JP2020176287A - 蒸着源及び真空処理装置 - Google Patents

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政司 梅原
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Abstract

【課題】加熱効率を向上させ、蒸着材料が熱ダメージを受けにくい蒸着源及び真空処理装置を提供する。【解決手段】蒸着源は、蒸発容器と、噴出ノズルと、加熱機構とを具備する。上記蒸発容器は、蒸着材料を収容する内部空間を有する容器本体と、上記容器本体の上記内部空間を閉塞する天板とを有する。上記噴出ノズルは、上記天板に配置され、上記内部空間に連通する。蒸気加熱機構は、上記容器本体、上記天板、及び上記噴出ノズルの少なくとも1つを加熱する。上記容器本体、上記天板、及び上記噴出ノズルのいずれかの表面は、熱輻射率が相対的に低い低輻射領域と、熱輻射率が相対的に高い高輻射領域とを有している。【選択図】図1

Description

本発明は、蒸着源及び真空処理装置に関する。
真空処理装置の中に、例えば、ディスプレイ用の大型基板に有機材料を蒸着する装置がある。このような装置では、基板と蒸着源とを対向させ、蒸着源から基板に向けて有機物等の蒸着材料を噴出させて、基板に蒸着材料を蒸着する。
蒸着源は、蒸着材料を収容する蒸発容器(坩堝)と、蒸発容器の上部を塞ぐ天板と、天板に設けられた噴出ノズルと、蒸発容器、天板、及び噴出ノズルを加熱する加熱機構とを備える(例えば、特許文献1参照)。また、天板と、基板との間には、加熱機構から基板への直接的な熱輻射を防止するために、断熱板が設けられる場合がある。断熱板からは噴出ノズルが貫通・突出し、噴出ノズルから蒸着材料が基板に向けて噴出される。
特開2012−214835号公報
このような蒸着源においては、蒸発容器、天板、及び噴出ノズルが加熱機構によって効率よく加熱されるとともに、蒸発容器内に収容された蒸着材料が如何にして熱ダメージを受けないかが重視されている。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、加熱効率を向上させ、蒸着材料が熱ダメージを受けにくい蒸着源及び真空処理装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る蒸着源は、蒸発容器と、噴出ノズルと、加熱機構とを具備する。
上記蒸発容器は、蒸着材料を収容する内部空間を有する容器本体と、上記容器本体の上記内部空間を閉塞する天板とを有する。
上記噴出ノズルは、上記天板に配置され、上記内部空間に連通する。
蒸気加熱機構は、上記容器本体、上記天板、及び上記噴出ノズルの少なくとも1つを加熱する。
上記容器本体、上記天板、及び上記噴出ノズルのいずれかの表面は、熱輻射率が相対的に低い低輻射領域と、熱輻射率が相対的に高い高輻射領域とを有している。
このような蒸着源であれば、蒸着源の加熱効率が向上し、蒸着材料が熱ダメージを受けにくくなる。
上記の蒸着源においては、上記噴出ノズル及び上記天板の少なくとも1つの上記表面においては、上記加熱機構に直面する直面領域または前記蒸着材料の蒸気に直面する直面領域が上記高輻射領域で構成され、上記加熱機構に直面しない非直面領域が上記低輻射領域で構成されてもよい。
このような蒸着源であれば、加熱機構に直面する直面領域が高輻射領域で構成され、加熱機構に直面しない非直面領域が低輻射領域で構成されるので、蒸着源の加熱効率が向上し、蒸着材料が熱ダメージを受けにくくなる。
上記の蒸着源においては、上記容器本体は、側部と、上記側部に連設された底部とを有し、上記側部においては、上記加熱機構に直面する直面領域または前記蒸着材料に直面する直面領域が上記高輻射領域で構成され、上記加熱機構に直面しない非直面領域が上記低輻射領域で構成され、上記底部は、上記加熱機構に直面せず、上記底部の表面が上記低輻射領域の上記熱輻射率よりも高い領域で構成されてもよい。
このような蒸着源であれば、容器本体の側部においては、加熱機構に直面する直面領域が高輻射領域で構成され、加熱機構に直面しない非直面領域が低輻射領域で構成され、底部は、加熱機構に直面せず、底部の表面が低輻射領域の熱輻射率よりも高い領域で構成されるので、蒸着源の加熱効率が向上し、蒸着材料が熱ダメージを受けにくくなる。
上記の蒸着源においては、上記熱輻射率が相対的に高い上記表面領域の表面粗さは、上記熱輻射率が相対的に低い上記表面領域の表面粗さよりも粗くてもよい。
このような蒸着源であれば、熱輻射率が相対的に高い表面領域の表面粗さは、熱輻射率が相対的に低い上記表面領域の表面粗さよりも粗いので、蒸着源の加熱効率が向上し、蒸着材料が熱ダメージを受けにくくなる。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る真空処理装置は、上記蒸着源と、上記蒸着源と対向し、基板を支持する基板支持機構と、上記蒸着源及び上記基板支持機構と収容する真空容器とを具備する。
このような真空処理装置であれば、蒸着源の加熱効率が向上し、蒸着材料が熱ダメージを受けにくくなる。
以上述べたように、本発明によれば、加熱効率を向上させ、蒸着材料が熱ダメージを受けにくい蒸着源及び真空処理装置が提供される。
本実施形態の蒸着源を示す模式的断面図である。 本実施形態の蒸着源を示す別の模式的断面図である。 本実施形態の真空処理装置を示す模式的断面図である。 図(a)は、比較例に係る蒸着源の作用の一例を示す模式的断面図である。図(b)は、本実施形態に係る蒸着源の作用の一例を示す模式的断面図である。 図(a)は、比較例に係る蒸着源の作用の別例を示す模式的断面図である。図(b)は、本実施形態に係る蒸着源の作用の別例を示す模式的断面図である。 本実施形態の変形例1に係る蒸着源の模式的断面図である。 本実施形態の変形例2に係る蒸着源の模式的断面図である。 本実施形態の変形例3に係る蒸着源の模式的断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図面には、XYZ軸座標が導入される場合がある。また、同一の部材または同一の機能を有する部材には同一の符号を付す場合があり、その部材を説明した後には適宜説明を省略する場合がある。
図1(a)及び図1(b)は、本実施形態の蒸着源を示す模式的断面図である。図1(b)には、図1(a)のA線に沿った噴出ノズル32付近のZ−Y軸断面が示されている。
図1(a)に示す蒸着源30Aは、真空処理容器の成膜源として用いられる。蒸着源30Aの上方には、基板(不図示)が配置される。蒸着源30Aは、蒸発容器31(坩堝)と、噴出ノズル32と、加熱機構33とを具備する。さらに、図1(a)には、防着板40と、断熱板60とが示されている。
蒸発容器31は、容器本体311と、天板312とを有する。容器本体311は、蒸着材料30mを収容する内部空間315を有する。天板312は、容器本体311の内部空間315を閉塞する。天板312及び容器本体311、X軸方向に延在する。蒸発容器31をZ軸方向から上面視した場合、その外形は、例えば、長方形である。蒸着材料30mは、例えば、有機材料、金属等である。
天板312には、複数の噴出ノズル32が配置されている。複数の噴出ノズル32のそれぞれは、所定の間隔を隔てて、蒸発容器31の長手方向(X軸方向)に列状に並設されている。複数の噴出ノズル32のそれぞれは、内部空間315に連通する。噴出ノズル32の噴出口320は、基板に対向する。噴出口320からは、蒸発容器31に充填された蒸着材料30mが噴出する。例えば、蒸着材料30mの液面30msから蒸着材料30mの蒸気が蒸発する。
また、複数の噴出ノズル32においては、その一群の両側及び両側近傍に配置された噴出ノズル32が基板に背くように傾斜している。例えば、一群の複数の噴出ノズル32の両側及び両側近傍に配置された噴出ノズル32の中心軸32cは、天板312の法線31nと交差している。また、噴出ノズル32においては、断熱板60から上側に位置する部分を上部、断熱板60から下側に位置する部分を下部とする。
加熱機構33は、容器本体311、天板312、及び噴出ノズル32の少なくとも1つを加熱する。加熱機構33は、誘導加熱方式または抵抗加熱方式の加熱機構である。蒸発容器31に収容された蒸着材料30mが加熱機構33によって加熱されることにより、蒸着材料30mの蒸気圧が増して、複数の噴出ノズル32のそれぞれから基板に蒸着材料30mが向けて蒸発する。
例えば、加熱機構33は、上部加熱機構33uと、下部加熱機構33dとを有する(図1(a))。上部加熱機構33uは、断熱板60から下に位置する噴出ノズル32を囲み、主に、噴出ノズル32と天板312とを加熱する。下部加熱機構33dは、容器本体311を囲み、主に容器本体311を加熱する。
ここで、容器本体311、天板312、及び噴出ノズル32のいずれかの表面は、熱輻射率(放射率)が相対的に低い低輻射領域と、熱輻射率が相対的に高い高輻射領域とを有する。例えば、低輻射領域の熱輻射率は、0.1以上0.3以下であるのに対し、高輻射領域の熱輻射率は、0.5以上0.7以下である。なお、容器本体311、天板312、及び噴出ノズル32のいずれかの表面とは、減圧雰囲気に露出される外面、または、この外面とは反対側の容器本体311、天板312、及び噴出ノズル32のいずれかの内面を意味する。
例えば、蒸着源30Aにおいては、低輻射領域よりも高輻射領域のほうが算術平均粗さRaが大きく構成されている。例えば、低輻射領域は、例えば、鏡面研磨等の機械的研磨、電解鏡面研磨、イオン等を用いた化学的な表面処理等が施され、高輻射領域には、アルミナビーズブラスト、ガラスビーズブラスト等のブラスト処理が施されている。
噴出ノズル32の表面は、上部加熱機構33uに直面し、上部加熱機構33uから直接的に熱輻射を受ける直面領域と、防着板40または断熱板60の介在によって上部加熱機構33uに直面しない非直面領域を有する。例えば、直面領域は、噴出ノズル32の下部に形成された領域であり、非直面領域は、噴出ノズル32の上部に形成された領域である。噴出ノズル32の表面において、直面領域は、高輻射領域32Hで構成され、非直面領域は、低輻射領域32Lで構成されている。
また、天板312の表面は、上部加熱機構33uに直面し、上部加熱機構33uから直接的に熱輻射を受ける直面領域と、上部加熱機構33uに直面しない非直面領域を有する。天板312の表面において、直面領域は、高輻射領域32Hで構成され、非直面領域は、低輻射領域32Lで構成されている。例えば、天板312の上部312uの表面は、高輻射領域32Hで構成され、天板312の側部312wの表面は、低輻射領域32Lで構成されている。
図2は、本実施形態の蒸着源を示す別の模式的断面図である。図2には、図1(a)のA線に沿った容器本体311付近のZ−Y軸断面が示されている。
容器本体311は、側部311wと、底部311bとを有する。底部311bは、側部311wに連設されている。
側部311wは、下部加熱機構33dに直面する直面領域と、下部加熱機構33dに直面しない非直面領域とを有する。容器本体311の側部311wの表面においては、直面領域が高輻射領域311Hで構成され、非直面領域が低輻射領域311Lで構成されている。また、蒸着源30Aにおいては、蒸着材料30mが充填される液面の高さと、高輻射領域311Hの高さとが略同じ高さで構成されている。
また、容器本体311においては、底部311bが下部加熱機構33dに直面していない非直面領域となっている。但し、底部311bの表面の熱輻射率は、低輻射領域311Lの熱輻射率よりも高く構成されている。図2では、一例として、底部311bの表面が高輻射領域311Hとなっている。底部311bの下には、底部311bを冷却する冷却機構が配置されてもよい。
防着板40は、図1(a)に示すように、蒸発容器31の上方に設けられ、噴出ノズル32よりも高さが低く構成されている。防着板40と上部加熱機構33uとの間には、複数の断熱板60が設けられる。断熱板60は、金属板製のリフレクタ、絶縁部材等である。複数の噴出ノズル32のそれぞれの上部は、断熱板60及び防着板40を貫通し、基板に対向する。
断熱板60が防着板40と上部加熱機構33uとの間に設けられることで、基板、マスク部材は、上部加熱機構33uによる熱の影響(例えば、熱変形)を受けにくくなる。
容器本体311、天板312、及び噴出ノズル32は、チタン、モリブデン、タンタル、ステンレス鋼等の金属である。防着板40の材料は、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等の金属である。なお、直面領域から加熱機構を見た場合、直面領域は、加熱機構を直視できることから、直面領域を視野領域、非直面領域は、加熱機構を直視できないことから、非直面領域を非視野領域と呼称してもよい。
図3は、本実施形態の真空処理装置を示す模式的断面図である。
真空処理装置1は、真空容器10と、基板支持機構20と、蒸着源30Aと、防着板40と、冷却機構50と、断熱板60とを具備する。真空処理装置1は、蒸着材料30mを基板90に蒸着する蒸着装置である。
真空容器10は、減圧状態を維持できる容器である。真空容器10は、排気機構70によって、その内部の気体が排気される。真空容器10を基板支持機構20から蒸着源30Aに向かう方向(以下、Z軸方向)に上面視したときの平面形状は、例えば、矩形状である。
真空容器10は、基板支持機構20、蒸着源30A、防着板40、冷却機構50、断熱板60等を収容する。真空容器10には、ガスを供給することが可能なガス供給機構が取り付けられてもよい。また、真空容器10には、その内部の圧力を計測する圧力計が取り付けられてもよい。また、真空容器10には、基板90に形成された膜の蒸着速度等を間接的に計測する膜厚計が設けられてもよい。
基板支持機構20は、真空容器10の上部に位置する。基板支持機構20は、Z軸方向において蒸着源30Aに対向する。基板支持機構20は、基板90を保持する基板ホルダ91を支持しつつ、基板90及び基板ホルダ91をY軸方向に搬送する。すなわち、基板90が搬送されながら、基板90に蒸着材料30mが蒸着される。
基板90は、例えば、矩形状の大型ガラス基板である。また、基板90と蒸着源30Aとの間には、マスク部材92が設けられてもよい。例えば、図1の例では、基板90の蒸着源30Aと対向する面(蒸着面)にマスク部材92が設けられる。
蒸着源30Aは、真空容器10の下部に位置する。蒸着源30Aは、Z軸方向において基板90に対向する。蒸着源30Aは、例えば、図示しない支持台に固定されている。蒸着源30Aは、基板90が搬送される方向と直交する方向(X軸方向)に延在する。蒸着源30Aは、1つに限らず、例えば、Y軸方向に複数となって並設されてもよい。この場合、複数の蒸発容器31のそれぞれは、互いに平行になってY軸方向に並ぶことになる。複数の蒸発容器31のそれぞれには、種類が異なる蒸着材料30mを充填することができる。
蒸着源30Aと基板90との相対距離を変える搬送機構は、蒸着源30A側に設けられてもよい。例えば、固定された基板90に対して蒸着源30A及び蒸着源30Aを搬送する搬送機構が移動することにより、蒸着源30Aと基板90との相対距離を変えることができる。
蒸着源30Aの横には、防着板40を冷却する冷却機構50が配置されている。冷却機構50は、防着板40を支持する支持台としても機能する。
蒸着源30Aの作用について説明する。
本実施形態の蒸着源30Aの各部材の表面は、加熱機構33に直視され、加熱機構33によって強制的に加熱される領域が高輻射領域で構成され、加熱機構33に直視されず、且つ所定の温度で保持する領域は低輻射領域で構成されている。さらに、強制的に温度を下げる領域は、加熱機構33に直視されず、その領域が高輻射領域で構成されている。
ここで、高輻射領域は、その輻射率の高さから、加熱機構からの熱を受容しやすく、さらに、熱を放出しやすい性質を有する。一方、低輻射領域は、その輻射率の低さから、加熱機構からの熱を受容しにくく、さらに、熱を放出しにくい性質を有する。
図4(a)は、比較例に係る蒸着源の作用の一例を示す模式的断面図である。図4(b)は、本実施形態に係る蒸着源の作用の一例を示す模式的断面図である。各図には、熱の流れが矢印で示されている。矢印の長さは、例えば、熱量に対応している。
図4(a)に示す比較例では、天板312の上部312uと、噴出ノズル32の表面の全域が高輻射領域32Hで構成されている。この場合、噴出ノズル32の下部は、上部加熱機構33uによって効率よく加熱されるものの、噴出ノズル32の下部が受けた熱が噴出ノズル32の上部から防着板40または真空容器10に逃げやすい。これにより、比較例では、噴出ノズル32の上部の温度が下部に温度よりも低くなる可能性がある。
また、比較例で、噴出ノズル32の表面の全域を低輻射領域32Lで構成した場合は、そもそも噴出ノズル32の下部が上部加熱機構33uによって効率よく加熱されないことになり、噴出ノズル32の温度が上昇しにくくなる。
これに対して、図4(b)に示す本実施形態では、比較例に比べると、噴出ノズル32の上部の表面が選択的に低輻射領域32Lで構成されている。このため、比較例に比べて噴出ノズル32の下部が受けた熱が噴出ノズル32の上部から防着板40または真空容器10に逃げにくく、噴出ノズル32の上部の温度が上昇する。
例えば、図4(a)、(b)の構成のそれぞれで、上部加熱機構33uから同じ電力を噴出ノズル32と天板312に投入した場合、比較例に比べて、本実施形態では噴出ノズル32の上部の温度が約40℃上昇することが認められている。
これにより、本実施形態によれば、上部加熱機構33uによって噴出ノズル32の下部から上部までが効率よく加熱され、蒸着材料30mのノズル詰まりが確実に抑制される。特に、防着板40から突き出た噴出ノズル32の周りに加熱機構を設けなくとも、噴出ノズル32及び天板312の温度を蒸発材料30mの温度よりも高く設定することが容易となり、蒸着材料30mのノズル詰まり、天板内壁への堆積が確実に抑制される。また、噴出ノズル32の下部から上部まで効率よく加熱されることで、上部加熱機構33uから蒸着源30Aに投入する電力を下げることも可能となり、蒸着材料30mの熱ダメージが抑制される。
図5(a)は、比較例に係る蒸着源の作用の別例を示す模式的断面図である。図5(b)は、本実施形態に係る蒸着源の作用の別例を示す模式的断面図である。
図5(a)に示す比較例では、容器本体311の側部311wの表面が全域にわたり高輻射領域311Hで構成されている。さらに、側部311wの全域は、下部加熱機構33dに直面している。換言すれば、比較例では、蒸着材料30mの液面30ms(初期の液面)の上方に、上部加熱機構33uのほか、下部加熱機構33dが配置されている。また、比較例では、容器本体311の底部311bの表面が低輻射領域311Lで構成されている。
これにより、比較例では、蒸着材料30mが上部加熱機構33uと、下部加熱機構33dとによって加熱される。従って、蒸着材料30mの液面30msの側部311wに近い領域Pは、上部加熱機構33uと、下部加熱機構33dとにより局部的に加熱され、この領域Pの温度は局部的に高くなる傾向にある。この結果、領域Pにおける蒸着材料30mは、加熱機構33によって熱ダメージを受けやすくなる。
さらに、比較例では、容器本体311の底部311bの表面が低輻射領域311Lで構成されている。このため、蒸着材料30mに与えられた熱が底部311bから逃げにくくなり、液面30ms付近の蒸着材料30mの温度Tと、底部311b付近の蒸着材料30mの温度Tとの温度差が小さくなる。つまり、蒸発に寄与していない底部311b付近の蒸着材料30mに常時熱負荷がかかっていることになる。
これに対し、図5(b)に示す本実施形態では、容器本体311の液面30mから上方の側部311wの表面が下部加熱機構33dに直面していない。このため、領域Pのような局部的な高温領域が蒸着材料30mの液面30ms付近に形成されにくい。従って、蒸着材料30mが加熱機構33から熱ダメージを受けにくくなる。
また、本実施形態では、液面30mから上方の側部311wの表面が低輻射領域311Lで構成されている。このため、上部加熱機構33uから供給された熱が容器本体311から真空容器10内に逃げにくくなり、蒸着材料30mの液面30ms付近が上部加熱機構33uによって効率よく加熱される。すなわち、蒸着材料30mの液面30ms付近が上部加熱機構33uによって均一に加熱され、蒸着材料30mが液面30msから噴出ノズル32に向かって均一に蒸発する。
また、本実施形態では、容器本体311の底部311bの表面が高輻射領域311Hで構成されている。このため、蒸着材料30mに与えられた熱が底部311bから逃げやすく、液面30ms付近の蒸着材料30mの温度Tと、底部311b付近の蒸着材料30mの温度Tとの温度差が比較例に比べて大きくなる。例えば、比較例では、T−Tが約20℃であるのに対し、本実施形態では、T−Tが約30℃になることが判明している。つまり、蒸発に寄与していない底部311b付近の蒸着材料30mには、熱負荷がかかりにくくなっている。
また、本実施形態では、下部加熱機構33dが比較例に比べて小型となるため、加熱機構33の所要電力が比較例よりも小さくなる。
(変形例1)
図6は、本実施形態の変形例1に係る蒸着源の模式的断面図である。
図6に示す蒸着源30Bにおいては、加熱機構33が中部加熱機構33mと、下部加熱機構33dとを有する。蒸着源30Bにおいては、天板312の側部312wの表面が中部加熱機構33mに直面している。また、天板312の側部312wの表面が高輻射領域312Hで構成され、天板312の上部312uの表面が低輻射領域312Lで構成されている。噴出ノズル32の表面は、低輻射領域32Lで構成されている。
このような構成であっても、中部加熱機構33mから天板312の側部312wに熱が効率よく供給され、その熱は、天板312の上部312u及び噴出ノズル32から逃げにくくなる。これにより、天板312及び噴出ノズル32は、中部加熱機構33mによっても効率よく加熱され、蒸着材料30mの液面30msは、その上方の天板312から熱を受容する。この結果、蒸着材料30mの液面30msから均一に蒸着材料30mの蒸気が噴出ノズル32に向かって蒸発することになる。
(変形例2)
図7(a)、(b)は、本実施形態の変形例2に係る蒸着源の模式的断面図である。
図7(a)に示す蒸着源30Cにおいては、容器本体311の底部311bに冷却流路311cが設けられ、底部311bが温調機構となっている。また、図7(b)に示す蒸着源30Dでは、底部311bの下に冷却流路311cが内部に配置された温調機構35が設けられている。冷却流路311cには、冷却媒体が流れる。その温度は、例えば、Tよりも低く設定される。
このような温調機構を設ければ、底部311b付近の蒸着材料30mがより冷却されることで、温度Tと、温度Tとの温度差をさらにより確実に大きくすることが可能となり、蒸発に寄与していない底部311b付近の蒸着材料30mには、より確実に熱負荷がかかりにくくなる。
(変形例3)
図8は、本実施形態の変形例3に係る蒸着源の模式的断面図である。
図8に示す蒸着源30Eにおいては、噴出ノズル32及び天板312の少なくとも1つの内面において、蒸着材料30mの蒸気に直面する直面領域が高輻射領域32H、3121Hで構成されている。または、容器本体311の内面において、側部311wの蒸着材料30mに直面する直面領域が高輻射領域311Hで構成され、底部311bの蒸着材料30mに直面する直面領域が高輻射領域311Hで構成されている。
このような構成であれば、上部加熱機構33uによって加熱された熱が効率よく噴出ノズル32及び天板312の内面から輻射されて、蒸着材料30mが効率よく加熱される。または、下部加熱機構33dによって加熱された熱が効率よく側部311wの内面から輻射されて、蒸着材料30mが効率よく加熱される。
または、底部311bからは、蒸着材料30mの熱がより逃げやすくなって、温度Tと、温度Tとの温度差をさらにより確実に大きくすることが可能となる。これにより、蒸発に寄与していない底部311b付近の蒸着材料30mには、より確実に熱負荷がかかりにくくなる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合することができる。
1…真空処理装置
10…真空容器
20…基板支持機構
30A、30B、30C、30D、30E…蒸着源
30m…蒸着材料
30ms…液面
31…蒸発容器
31n…法線
311…容器本体
311w、312w…側部
311b…底部
311H、312H、32H…高輻射領域
311L、312L、32L…低輻射領域
311c…冷却流路
312…天板
312u…上部
315…内部空間
32…噴出ノズル
320…噴出口
32c…中心軸
33…加熱機構
33u…上部加熱機構
33m…中部加熱機構
33d…下部加熱機構
35…温調機構
40…防着板
50…冷却機構
60…断熱板
70…排気機構
90…基板
91…基板ホルダ
92…マスク部材

Claims (5)

  1. 蒸着材料を収容する内部空間を有する容器本体と、前記容器本体の前記内部空間を閉塞する天板とを有する蒸発容器と、
    前記天板に配置され、前記内部空間に連通する噴出ノズルと、
    前記容器本体、前記天板、及び前記噴出ノズルの少なくとも1つを加熱する加熱機構と
    を具備し、
    前記容器本体、前記天板、及び前記噴出ノズルのいずれかの表面は、熱輻射率が相対的に低い低輻射領域と、熱輻射率が相対的に高い高輻射領域とを有している
    蒸着源。
  2. 請求項1に記載の蒸着源であって、
    前記噴出ノズル及び前記天板の少なくとも1つの前記表面においては、前記加熱機構に直面する直面領域または前記蒸着材料の蒸気に直面する直面領域が前記高輻射領域で構成され、前記加熱機構に直面しない非直面領域が前記低輻射領域で構成される
    蒸着源。
  3. 請求項1または2に記載の蒸着源であって、
    前記容器本体は、側部と、前記側部に連設された底部とを有し、
    前記側部においては、前記加熱機構に直面する直面領域または前記蒸着材料に直面する直面領域が前記高輻射領域で構成され、前記加熱機構に直面しない非直面領域が前記低輻射領域で構成され、
    前記底部は、前記加熱機構に直面せず、前記底部の表面が前記低輻射領域の前記熱輻射率よりも高い領域で構成される
    蒸着源。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の蒸着源であって、
    前記熱輻射率が相対的に高い前記表面領域の表面粗さは、前記熱輻射率が相対的に低い前記表面領域の表面粗さよりも粗い
    蒸着源。
  5. 蒸着材料を収容する内部空間を有する容器本体と、前記容器本体の前記内部空間を閉塞する天板とを有する蒸発容器と、前記天板に配置され、前記内部空間に連通する噴出ノズルと、前記容器本体、前記天板、及び前記噴出ノズルの少なくとも1つを加熱する加熱機構とを有し、前記容器本体、前記天板、及び前記噴出ノズルのいずれかの表面は、熱輻射率が相対的に低い領域と、熱輻射率が相対的に高い領域とを有する蒸着源と、
    前記蒸着源と対向し、基板を支持する基板支持機構と、
    前記蒸着源及び前記基板支持機構と収容する真空容器と
    を具備する真空処理装置。
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