JP2020175415A - 金属組成物、接着剤、焼結体、接合構造、接合体及びその製造方法、並びに焼結体付き支持部材及びその製造方法 - Google Patents

金属組成物、接着剤、焼結体、接合構造、接合体及びその製造方法、並びに焼結体付き支持部材及びその製造方法 Download PDF

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将太 梅崎
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Masaki Takeuchi
雅記 竹内
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Yukihisa Ishida
恭久 石田
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Abstract

【課題】遷移的液相焼結法における焼結の際の形状保持性に優れる金属組成物、当該金属組成物を含有する接着剤、並びに当該金属組成物を用いた焼結体、接合体、接合構造及びその製造方法、及び焼結体付き支持部材及びその製造方法を提供する。【解決手段】金属組成物は、遷移的液相焼結が可能な金属成分と、有機成分と、を含有し、前記遷移的液相焼結が可能な金属成分は、融点が300℃より高い金属粒子Aと、融点が300℃以下である金属粒子Bと、を含み、前記有機成分は、ロジンと、ロジンとは異なる融点が100℃以上の有機化合物と、を含む。【選択図】なし

Description

本開示は、金属組成物、接着剤、焼結体、接合構造、接合体及びその製造方法、並びに焼結体付き支持部材及びその製造方法に関する。
半導体装置を製造する際、半導体素子と支持部材とを接着させる方法としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂にはんだ粉を分散させてペースト状とし、これを導電性接着剤として使用する方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
この方法では、ディスペンサ、印刷機、スタンピングマシン等を用いて、ペースト状の導電性接着剤を支持部材のダイパッドに塗布した後、半導体素子をダイボンディングし、導電性接着剤を加熱硬化して半導体装置とする。
近年、半導体素子の高速化、高集積化等が進むに伴い、半導体装置を高温で作動させるために、導電性接着剤に低温での接合性及び高温での接続信頼性が求められている。
はんだ粉を分散させたはんだペーストの信頼性の向上を図るため、アクリル樹脂に代表される低弾性材料の検討がなされている(例えば、特許文献2参照)。
また、特殊な表面処理を施したマイクロサイズ以下の銀粒子を用いることで、100℃〜400℃での加熱により銀粒子同士が焼結する接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3で提案されている銀粒子同士が焼結する接着剤組成物では、銀粒子が金属結合を形成するため、高温下での接続信頼性が優れるものと考えられることが記載されている。
一方で、銀以外の金属粒子を用いた例として、遷移的液相焼結型金属接着剤の開発が進められている(例えば、特許文献4参照)。遷移的液相焼結型金属接着剤では、金属成分として接合界面に液相を生じる金属粒子の組み合わせ(例えば銅と錫)が用いられる。接合界面に液相を生じる金属粒子を組み合わせることで、加熱により界面液相が形成される。その後、反応拡散の進行により液相の融点が徐々に上がることで、最終的に接合層の組成の融点が接合温度を上回るようになる。
特許文献4には、遷移的液相焼結型金属接着剤において、銅と銅錫合金とが接合することにより、電気的及び機械的に安定した接続が形成されることが記載されている。
特開2005−93996号公報 国際公開第2009/104693号 特開2015−224263号公報 特表2013−510240号公報
チップ実装に用いる遷移的液相焼結型金属接着剤は、印刷時の塗布厚さを厚くする場合がある。また、遷移的液相焼結型金属接着剤の特徴である焼結後に再溶融しない特徴を活かし、近年、スルーホールビア、半貫通ビア等のビアホールの充填に用いる需要が増えつつある。しかしながら、従来の遷移的液相焼結型金属接着剤では、印刷時の塗布厚さを厚くする場合、ビア接続に用いる場合等に、焼結時の形状保持性を十分満たせないという問題があった。
遷移的液相焼結型金属接着剤は一般に、金属成分に有機成分を添加してペースト状に調製されている。ペースト状の接合材料は、焼結させる際のプロセスの温度変化等により、焼結前の形状を維持することができないことがある。例えば、ペースト状の接合材料を焼結させる際に、塗布表面に膨れ、凹み等が発生することがある。これにより、例えばチップ実装の際にはチップが浮き上がり高温動作時の信頼性が低下したり、ビア層間接続の際には間隙が発生して接続信頼性が低下する等の問題があった。
上記従来の事情に鑑み、本開示は、遷移的液相焼結法における焼結の際の形状保持性に優れる金属組成物、当該金属組成物を含有する接着剤、並びに当該金属組成物を用いた焼結体、接合体、接合構造及びその製造方法、及び焼結体付き支持部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 遷移的液相焼結が可能な金属成分と、有機成分と、を含有し、
前記遷移的液相焼結が可能な金属成分は、融点が300℃より高い金属粒子Aと、融点が300℃以下である金属粒子Bと、を含み、
前記有機成分は、ロジンと、ロジンとは異なる融点が100℃以上の有機化合物と、を含む、
金属組成物。
<2> 前記金属粒子AがCuを含む<1>に記載の金属組成物。
<3> 前記金属粒子BがSnを含む<1>又は<2>に記載の金属組成物。
<4> 前記有機成分が、樹脂成分、チキソ剤、活性剤、及び溶剤からなる群より選択される少なくとも1種と、ロジンと、を含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の金属組成物。
<5> <1>〜<4>のいずれか1項に記載の金属組成物を含有する接着剤。
<6> <1>〜<4>のいずれか1項に記載の金属組成物の焼結体。
<7> 第1の被接合物と第2の被接合物とが<6>に記載の焼結体を介して接合されている接合構造。
<8> 素子と支持部材とが<6>に記載の焼結体を介して接合されている接合体。
<9> 支持部材における素子の接合される箇所及び前記素子における前記支持部材と接合される箇所の少なくとも一方に、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の金属組成物を付与して金属組成物層を形成する工程と、
前記金属組成物層を介して、前記支持部材と前記素子とを接触させる工程と、
前記金属組成物層を加熱して焼結する工程と、
を有する接合体の製造方法。
<10> ビアホールを有する支持部材と、前記ビアホールに充填された<6>に記載の焼結体と、を有する焼結体付き支持部材。
<11> 支持部材に設けられたビアホールへ<1>〜<4>のいずれか1項に記載の金属組成物を充填する工程と、
前記充填された金属組成物を加熱して焼結する工程と、
を有する焼結体付き支持部材の製造方法。
本開示によれば、遷移的液相焼結法における焼結の際の形状保持性に優れる金属組成物、当該金属組成物を含有する接着剤、並びに当該金属組成物を用いた焼結体、接合体、接合構造及びその製造方法、及び焼結体付き支持部材及びその製造方法が提供される。
実施例及び比較例の金属組成物の焼結前後の形状変化を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分に該当する物質は複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
≪金属組成物≫
本開示の一実施形態における金属組成物は、遷移的液相焼結が可能な金属成分と、有機成分と、を含有し、前記遷移的液相焼結が可能な金属成分は、融点が300℃より高い金属粒子Aと、融点が300℃以下である金属粒子Bと、を含み、前記有機成分は、ロジンと、ロジンとは異なる融点が100℃以上の有機化合物と、を含む。
上記金属組成物によれば、焼結時の形状変化が抑制される傾向にある。その理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えることができる。
遷移的液相焼結型金属組成物として使用される金属組成物は、一般に金属成分と有機成分を含有する。前記有機成分の融点が低いと、加熱時に金属組成物が充分に乾燥する前に有機成分が溶融し、焼結直前に金属組成物の粘度が低下して形状が変化しやすいと考えられる。一方、本開示の金属組成物は、有機成分に含まれる有機化合物の融点を100℃以上とすることによって、焼結前の粘度の低下を抑制し、金属組成物焼結体の形状の変化を抑制できると考えられる。
以下、本開示の金属組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
<金属成分>
本開示の金属組成物は、遷移的液相焼結が可能な金属成分を含有する。
本開示における「遷移的液相焼結」とは、Transient Liquid Phase Sintering(TLPS)とも称され、融点の異なる金属のうち相対的に融点の低い金属(低融点金属と称することがある)の粒子界面における加熱による液相への転移と、相対的に融点の高い金属(高融点金属と称することがある)の前記液相への反応拡散により、両金属による金属間化合物の生成(合金化)が進行する現象をいう。この現象を利用して、低温で焼結可能であり、かつ焼結後の融点が高い焼結体を得ることができる。
遷移的液相焼結が可能な金属成分としては、遷移的液相焼結が可能な融点の異なる金属の組み合わせ(低融点金属と高融点金属の組み合わせ)が挙げられる。遷移的液相焼結が可能な金属の組み合わせは特に限定されるものではなく、例えば、低融点金属と高融点金属がそれぞれSnとCuである組み合わせ、InとAuである組み合わせ、SnとCoである組み合わせ、及びSnとNiである組み合わせが挙げられる。遷移的液相焼結が可能な金属の組み合わせは2種の金属の組み合わせであっても、3種以上の金属の組み合わせであってもよい。
遷移的液相焼結が可能な金属成分は、融点が300℃より高い金属粒子Aと、融点が300℃以下である金属粒子Bと、を含む。
焼結後の接合強度の観点からは、金属粒子Aの融点は500℃以上であることが好ましく、800℃以上であることがより好ましい。
焼結時の液相への転移を促進する観点からは、融点が300℃以下である金属粒子Bの融点は250℃以下であることが好ましい。
ある実施態様では、遷移的液相焼結が可能な金属成分は、金属粒子AとしてCu(融点:1085℃)を含んでいてもよく、金属粒子BとしてSn(融点:231.9℃)を含んでいてもよい。CuとSnを含む金属成分は、焼結により銅−錫金属化合物(CuSn)を生成する。この生成反応は250℃付近で進行するため、リフロー炉等の一般的な設備による焼結が可能である。
金属成分が金属粒子Aと金属粒子Bとを含む場合の具体的な態様は、特に制限されない。例えば、金属粒子Aと金属粒子Bがそれぞれ金属の単体の状態であっても、金属粒子Aと金属粒子Bの一方又は両方が合金の状態であってもよい。また、金属粒子Aと金属粒子Bに同種の金属元素が含まれていてもよい。
ある実施態様では、金属粒子AとしてCuと、金属粒子BとしてSnと、を含む合金とを含んでもよい。Snが合金の状態である場合の例としては、Sn、Ag及びCuからなる合金(SAC)が挙げられる。SACの組成は特に制限されず、例えばSn−3.0Ag−0.5Cuが挙げられる。本開示において、例えばSn−AX−BYで表される合金は、Snを含む合金の中に元素XがA質量%、元素YがB質量%含まれていることを示す。Sn−3.0Ag−0.5Cuで表される合金の融点(液相転移温度)は、約217℃である。
金属成分における金属粒子Aと金属粒子Bの比率は、特に制限されない。例えば、金属成分に占める金属粒子Aの割合は高温信頼性の観点から、金属成分全体の50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
金属組成物中に占める金属粒子Aの割合は、特に制限されない。例えば、体積抵抗率、熱伝導率等の観点から、金属組成物全体に占める金属粒子Aの割合は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、67質量%以上であることがさらに好ましい。
金属成分に含まれる金属粒子Aと金属粒子Bは、それぞれ1種の金属のみからなっていても、2種以上の金属を含んでいてもよい。金属粒子A又は金属粒子Bが2種以上の金属を含む場合、当該金属粒子は2種以上の金属のそれぞれを含む金属粒子の組み合わせ(すなわち混合物)であっても、2種以上の金属が同じ金属粒子中に含まれていても、これらの組み合わせであってもよい。
同じ金属粒子中に2種以上の金属を含有する金属粒子の構成は、特に制限されない。例えば、2種以上の金属の合金からなる金属粒子であっても、2種以上の金属の単体から構成される金属粒子であってもよい。2種以上の金属の単体から構成される金属粒子は、例えば、一方の金属を含む金属粒子の表面に、めっき、蒸着等により他方の金属を含む層を形成することで得ることができる。また、一方の金属を含む金属粒子の表面に、高速気流中で衝撃力を主体とした力を用いて乾式で他方の金属を含む粒子を付与して両者を複合化する方法により、同じ金属粒子中に2種以上の金属を含有する金属粒子を得ることもできる。
金属粒子の平均粒径は、特に限定されるものではない。例えば、金属粒子の平均粒径は、0.5μm〜80μmであることが好ましく、1μm〜50μmであることがより好ましく、1μm〜30μmであることがさらに好ましい。
金属粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計(例えば、ベックマン・コールター株式会社、LS 13 320型レーザー散乱回折法粒度分布測定装置)によって測定される体積平均粒径(粒度分布の小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となる粒子径(D50))をいう。具体的には、溶剤(テルピネオール)125gに、金属粒子を0.01質量%〜0.3質量%の範囲内で添加し、分散液を調製する。この分散液の約100mL程度をセルに注入して25℃で測定する。粒度分布は溶媒の屈折率を1.48として測定する。
金属粒子Aと金属粒子Bの大きさの関係は、特に限定されるものではない。焼結時に金属粒子Aの間の空隙を溶融した金属粒子Bで充填する観点からは、例えば、金属粒子Aの平均粒径/金属粒子Bの平均粒径の値が1より大きいことが好ましく、2より大きいことがより好ましく、5より大きいことがさらに好ましい。金属粒子Aの平均粒径/金属粒子Bの平均粒径の値の上限は特に制限されず、例えば、10以下であってもよい。
金属組成物中における金属成分の含有率は、特に限定されるものではない。例えば、金属組成物全体に占める金属成分の質量基準の割合は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、88質量%以上であることがさらに好ましい。また、金属組成物全体に占める金属成分の質量基準の割合は、98質量%以下であってもよい。金属成分の質量基準の割合が98質量%以下であると、本開示の金属組成物をペーストとして使用した場合に、印刷性、充填性等が損なわれにくい傾向にある。
<有機成分>
本開示の金属組成物は、有機成分を含有する。有機成分は、ロジンと、ロジンとは異なる融点が100℃以上の有機化合物と、を含む(以下、「ロジンとは異なる融点が100℃以上の有機化合物」を単に「融点が100℃以上の有機化合物」ともいう。すなわち、本開示において「融点が100℃以上の有機化合物」という場合、当該「融点が100℃以上の有機化合物」にはロジンは含まれないものとする)。金属組成物が有機成分を含有することで、金属組成物をペーストとして使用した場合の印刷性、充填性等の向上等の効果が得られる。有機成分としては、ロジンの他、チキソ剤、樹脂成分、活性剤、溶剤等が挙げられる。
金属組成物中における有機成分の含有率は、特に限定されるものではない。例えば、金属組成物全体に占める有機成分の質量基準の割合は、20質量%未満であることが好ましく、15質量%未満であることがより好ましく、12質量%未満であることがさらに好ましい。また、金属組成物全体に占める有機成分の質量基準の割合は、2質量%超であってもよい。有機成分の質量基準の割合が2質量%超であると、本開示の金属組成物をペーストとして使用した場合に、印刷性、充填性等が損なわれにくい傾向にある。
本開示において、有機成分は、融点が100℃以上の有機化合物を含む。また、有機成分は、融点100℃以上の有機化合物に加えて、融点100℃未満の有機化合物を含んでいてもよい。
有機成分の全量に対する融点100℃以上の有機化合物の合計含有量は特に制限されず、0.1質量%〜50質量%であってもよく、0.5質量%〜40質量%であってもよく、1質量%〜30質量%であってもよく、2質量%〜20質量%であってもよい。
有機化合物の融点は、例えば、溶剤等を用いて金属組成物に含まれる金属成分と有機化合物を分離し、分離した有機化合物の示差走査熱量測定(DSC)を行うことで分析することが可能である。
融点100℃以上の有機化合物の融点は120℃以上であることが好ましく、135℃以上であることがより好ましい。融点100℃以上の有機化合物の融点は、金属粒子Bの液相転移温度より低いことが好ましく、例えば220℃以下であることが好ましく、200℃以下であってもよく、180℃以下であってもよい。また、混合する溶剤の選択の幅の観点からは、140℃以下であってもよい。融点100℃以上の有機化合物の融点が金属粒子Aの液相転移温度より低いと、融解していない有機化合物が合金化を阻害することが抑制される傾向にある。
以下、有機成分として金属組成物に含まれるロジン、及び金属組成物に含まれていてもよいチキソ剤、樹脂成分、活性剤、溶剤等の各成分について詳述する。
(ロジン)
本開示の金属組成物は、有機成分としてロジンを含有する。ロジンは、フラックス成分として作用する。本開示においてフラックス成分とは、フラックス作用(酸化膜の除去作用)を発揮しうる有機成分を意味し、その種類は特に制限されない。一実施形態においてフラックスは、ロジン、活性剤、及び溶剤を含有する。活性剤及び溶剤については後述する。
ロジンとして具体的には、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ピマル酸、イソピマル酸、テトラヒドロアビエチン酸、パラストリン酸等が挙げられる。ロジンは、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本開示の金属組成物において、ロジンの含有量は金属組成物に含まれる金属成分全体の表面積1mあたり0.090g〜0.170gであることが好ましく、0.117g〜0.156gであることがより好ましい。
金属組成物に含まれる金属成分全体の表面積は、JIS−Z−8830:2013に準じ、BET法にて窒素吸着能から測定した比表面積(単位質量あたり表面積)に基づいて得ることができる。
金属成分が比表面積の異なる金属粒子を複数種含む場合、金属成分全体の表面積は、当該複数種の金属粒子の表面積を合計した値となる。例えば、比表面積S1の金属粒子M1グラム、比表面積S2の金属粒子M2グラム、及び比表面積S3の金属粒子M3グラムで構成された金属成分全体の表面積Xは、下記式で表される。
X=(S1×M1+S2×M2+S3×M3)
上記式は、金属成分が比表面積の異なる3種類の金属粒子を含む場合の例であるが、金属粒子が2種以下又は4種以上である場合も同様にして計算できる。
有機成分全体に占めるロジンの割合は特に制限されず、例えば1質量%〜50質量%であってもよく、5質量%〜40質量%であってもよく、10質量%〜30質量%であってもよい。
(チキソ剤)
金属組成物はチキソ剤を含有してもよい。本開示におけるチキソ剤は、添加することにより組成物にチキソトロピー性を付与する物質である。金属組成物にチキソ剤を添加すると、例えば金属成分とフラックス、樹脂等の有機成分との分離を抑制したり、急激なフラックスの揮発を抑制したりすることができる傾向にある。
本開示における融点100℃以上の有機化合物はチキソ剤であってもよい。例えば、金属組成物が融点100℃以上のチキソ剤と溶剤を含有する場合、チキソ剤は溶剤を内包してゲル化する。ここで、チキソ剤の融点が100℃以上であると、焼結プロセスにおいてチキソ剤のネットワークが崩れて溶剤が急激に揮発することにより金属組成物が膨張することを抑制することができると考えられる。その結果、焼結体の形状変化を効果的に抑制することができると考えられる。
チキソ剤が融点100℃以上の有機化合物である場合、当該有機化合物の融点は120℃以上であることが好ましく、135℃以上であることがより好ましい。また当該有機化合物の融点は、金属粒子Bの液相転移温度より低いことが好ましく、例えば220℃以下であることが好ましく、200℃以下であってもよく、180℃以下であってもよい。また、金属組成物による金属ペーストを作製する際に、溶剤とチキソ剤の混合物をチキソ剤の融点以上に加熱して溶解させる場合、チキソ剤の融点が高いと作製過程で溶剤が揮発するため、溶剤の選択の幅の観点からは、140℃以下であってもよい。
チキソ剤としての有機化合物の融点は、例えば、溶剤等を用いて金属組成物に含まれる金属成分と有機化合物を分離し、分離した有機化合物の示差走査熱量測定(DSC)を行うことで分析することが可能である。
融点100℃以上のチキソ剤の種類は特に制限されず、好ましいチキソ剤として、グリセリド及び脂肪酸アミドから選択される少なくとも1つが挙げられる。
グリセリドとしては、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド等が挙げられ、トリグリセリドが好ましい。
グリセリドの構成成分となる脂肪酸としては、炭素数16〜20の脂肪酸が好ましく、炭素数18〜20の脂肪酸がより好ましく、炭素数18の脂肪酸がさらに好ましい。脂肪酸は飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、高融点の観点からは飽和脂肪酸であることが好ましい。脂肪酸は水酸基等の置換基を有していても有していなくてもよい。金属組成物に含まれる金属成分との親和性の観点からは、脂肪酸は水酸基を有することが好ましい。
脂肪酸アミドとしては、モノ脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等が挙げられる。
脂肪酸アミドの構成成分となる脂肪酸としては、炭素数16〜20の脂肪酸が好ましく、炭素数18〜20の脂肪酸がより好ましく、炭素数18の脂肪酸がさらに好ましい。脂肪酸は飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、高融点の観点からは飽和脂肪酸であることが好ましい。脂肪酸は水酸基等の置換基を有していても有していなくてもよい。金属組成物に含まれる金属成分との親和性の観点からは、脂肪酸は水酸基を有することが好ましい。
融点100℃以上のチキソ剤の具体例としては、以下の例が挙げられる。チキソ剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
12−ヒドロキシステアリン酸アミド(融点107℃)、
N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド(融点145℃)、
N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド(融点119℃)、
N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド(融点141℃)、
N,N’−ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド(融点110℃)、
N−ヒドロキシエチル−12−ヒドロキシステアリン酸アミド(融点105℃)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド(融点135℃)、
N,N’−キシリレン−ビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド(融点125℃)。
チキソ剤は融点100℃以上のチキソ剤に加えて、融点100℃未満のチキソ剤をさらに含んでいてもよい。融点100℃未満のチキソ剤としては、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、リシノール酸トリグリセリド等が挙げられる。
チキソ剤全量に対する融点100℃以上のチキソ剤の含有量は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。チキソ剤全量に対する融点100℃以上のチキソ剤の含有量が50質量%以上であると、焼結したときの形状の変化を良好に抑えやすい。
本開示の金属組成物において、有機成分に占めるチキソ剤の割合は特に限定されない。例えば、有機成分全体の0.1質量%〜50質量%であってもよく、1質量%〜40質量%であってもよく、2質量%〜30質量%であってもよく、3質量%〜20質量%であってもよく、4質量%〜10質量%であってもよい。
(樹脂成分)
本開示の金属組成物は、有機成分として樹脂成分を含有してもよい。金属組成物が樹脂成分を含むことで、焼結物中の金属成分間の空隙が樹脂成分で充填され、応力緩和性等が向上する傾向にある。
金属組成物に含まれる樹脂成分は熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であっても、これらの組み合わせであってもよい。また、樹脂成分は加熱により重合反応を生じうる官能基を有するモノマーの状態であってもすでに重合したポリマーの状態であってもよい。樹脂成分は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
耐熱性の観点からは、樹脂成分は熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ヒドロキシ基、ビニル基、カルボキシ基、アミノ基、マレイミド基、酸無水物基、チオール基、チオニル基等の官能基を有する樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂として具体的には、エポキシ樹脂、オキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でもエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂及び環式脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
有機成分が樹脂成分を含む場合、有機成分全体に占める樹脂成分の割合は特に制限されない。例えば、有機成分全体の0.1質量%〜50質量%であってもよく、1質量%〜40質量%であってもよく、2質量%〜30質量%であってもよい。
(活性剤)
本開示の金属組成物は、有機成分として活性剤を含有してもよい。活性剤は金属成分表面又は被接合物表面を洗浄し、濡れ性を向上させる有機成分を意味し、その種類は特に制限されない。活性剤は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
活性剤として具体的には、アミノデカン酸、ペンタン−1,5−ジカルボン酸、トリエタノールアミン、ジフェニル酢酸、セバシン酸、フタル酸、安息香酸、ジブロモサリチル酸、アニス酸、ヨードサリチル酸、ピコリン酸等が挙げられる。
有機成分が活性剤を含む場合、有機成分全体に占める活性剤の割合は特に制限されない。例えば、有機成分全体の0.1質量%〜50質量%であってもよく、5質量%〜40質量%であってもよく、10質量%〜30質量%であってもよい。
(溶剤)
本開示の金属組成物は、有機成分として溶剤を含有してもよい。樹脂成分を充分に溶解する観点から、溶剤は極性溶媒が好ましく、金属組成物を付与する工程での金属組成物の乾燥を防ぐ観点から、200℃以上の沸点を有している溶剤であることが好ましく、焼結時のボイドの発生を抑制するために300℃以下の沸点を有している溶剤であることがより好ましい。
このような溶剤の例としては、テルピネオール、ステアリルアルコール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(2−(2−エトキシエトキシ)エタノール)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコールフェニルエーテル、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール等のアルコール類;クエン酸トリブチル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、γ−ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、グリセリントリアセテート等のエステル類;イソホロン等のケトン;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム;フェニルアセトニトリル等のニトリル類などを挙げることができる。溶剤は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
有機成分が溶剤を含む場合、有機成分全体に占める溶剤の割合は特に制限されない。例えば、有機成分全体の0.1質量%〜50質量%であってもよく、1質量%〜40質量%であってもよい。
〔金属組成物の調製方法〕
本開示の金属組成物の調製方法は、特に限定されるものではない。例えば、本開示の金属組成物を構成する成分を混合し、さらに撹拌、溶融、分散等の処理をすることにより得ることができる。これらの混合、撹拌、分散等のための装置としては、特に限定されるものではなく、3本ロールミル、プラネタリーミキサ、遊星式ミキサ、自転公転型撹拌装置、らいかい機、二軸混練機、薄層せん断分散機等を使用することができる。また、これらの装置を適宜組み合わせて使用してもよい。上記処理の際、必要に応じて加熱してもよい。
処理後、ろ過により金属組成物の最大粒径を調整してもよい。ろ過は、ろ過装置を用いて行うことができる。ろ過用のフィルタとしては、例えば、金属メッシュ、メタルフィルター及びナイロンメッシュが挙げられる。
〔金属組成物の用途〕
本開示の金属組成物は、例えば、半導体装置、電子部品等を構成する素子と支持部材とを接合するための接合材料;又は積層基板間若しくは積層パッケージ間で導通をとるためのビア層間接続材料として用いることができる。ただし、本開示の金属組成物の用途はこれらに限定されるものではない。
≪接着剤≫
本開示の一実施形態における接着剤は、本開示の金属組成物を含有する。本開示の組成物は、そのまま接着剤として用いてもよく、必要に応じてその他の成分を含有させて接着剤としてもよい。本開示の接着剤の好ましい態様は、上述の本開示の組成物の場合と同様である。
≪焼結体≫
本開示の一実施形態における焼結体は、本開示の金属組成物を焼結したものである。本開示の金属組成物を焼結する方法は特に限定されない。
焼結体の電気抵抗率は、1×10−4Ω・cm以下であることが好ましい。
≪接合構造≫
本開示の一実施形態における接合構造は、第1の被接合物と第2の被接合物とが本開示の焼結体を介して接合された構造である。
第1の被接合物と第2の被接合物との組み合わせは特に限定されるものではなく、後述する接合体における素子と支持部材との組み合わせ等が挙げられる。
また、本開示の接合構造としては、後述する接合体における接合部の構造が挙げられる。
≪接合体及びその製造方法≫
本開示の一実施形態における接合体は、素子と支持部材、又は複数の支持部材同士が本開示の焼結体を介して接合されたものである。
支持部材は特に限定されるものではなく、例えば素子の接合される箇所の材質が金属であるものが用いられる。素子の接合される箇所の材質である金属としては、金、銀、銅、ニッケル等が挙げられる。また、上記のうち複数の金属が基材上にパターニングされて支持部材が構成されていてもよい。
支持部材の具体例としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、リジッド配線板、フレキシブル配線板、配線済みのガラス基板、配線済みのシリコンウエハ、ウエハーレベルCSP(Wafer Level Chip Size Package)で採用される再配線層等が挙げられる。
素子は特に限定されるものではなく、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル、スイッチ等の受動素子などが挙げられる。
また、接合体としては、半導体装置、電子部品等が挙げられる。半導体装置の具体例としては、ダイオード、整流器、サイリスタ、MOS(Metal Oxide Semiconductor)ゲートドライバ、パワースイッチ、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field−Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、ショットキーダイオード、ファーストリカバリダイオード等を備えるパワーモジュール、発信機、増幅器、LEDモジュールなどが挙げられる。
本開示の一実施形態における接合体の製造方法は、支持部材における素子の接合される箇所及び前記素子における前記支持部材と接合される箇所の少なくとも一方に、本開示の金属組成物を付与して金属組成物層を形成する工程と、前記金属組成物層を介して、前記支持部材と前記素子とを接触させる工程と、前記金属組成物層を加熱して焼結する工程と、を有する。
金属組成物を付与して金属組成物層を形成する工程には、付与した金属組成物を乾燥する工程を含んでいてもよい。
本開示の金属組成物を支持部材における素子の接合される箇所及び素子における支持部材と接合される箇所の少なくとも一方に付与することで金属組成物層が形成される。
金属組成物の付与方法としては、例えば、塗布法及び印刷法が挙げられる。
金属組成物を塗布する塗布方法としては、例えば、ディッピング、スプレーコート、バーコート、ダイコート、コンマコート、スリットコート、及びアプリケータによる塗布を用いることができる。金属組成物を印刷する印刷方法としては、例えば、ディスペンサ法、ステンシル印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、ニードルディスペンサ法、及びジェットディスペンサ法を用いることができる。
金属組成物の付与により形成された金属組成物層は、加熱時における金属組成物の流動及びボイドの発生を抑制する観点から乾燥させることが好ましい。
金属組成物層の乾燥方法は、常温(例えば、25℃)放置による乾燥、加熱乾燥又は減圧乾燥を用いることができる。加熱乾燥又は減圧乾燥には、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉、熱板プレス装置等を用いることができる。
乾燥のための温度及び時間は、使用した溶剤の種類及び量に合わせて適宜調整することができ、例えば、50℃〜180℃で、1分間〜120分間乾燥させることが好ましい。
金属組成物層の形成後、素子と支持部材とを接触させることで、素子と支持部材とを金属組成物層を介して貼り合わせる。付与した金属組成物を乾燥する工程は、支持部材と素子とを接触させる工程の前及び後のいずれの段階で行ってもよい。
次いで、金属組成物層を加熱することにより焼結体を形成する。金属組成物層の焼結は、加熱処理で行ってもよいし、加熱加圧処理で行ってもよい。
加熱処理には、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等を用いることができる。
また、加熱加圧処理には、熱板プレス装置等を用いてもよいし、加圧しながら上述の加熱処理を行ってもよい。
金属組成物層の焼結における加熱温度は、金属粒子の種類によって適宜調整することができる。例えば、加熱温度は180℃以上であることが好ましく、190℃以上であることがより好ましく、220℃以上であることがさらに好ましい。当該加熱温度の上限は、特に制限されず、例えば300℃以下である。
金属組成物層の焼結における加熱時間は、金属粒子の種類によって適宜調整することができる。例えば、加熱時間は5秒間〜10時間であることが好ましく、1分〜30分であることがより好ましく、3分〜10分であることがさらに好ましい。
本開示の接合体の製造方法においては、金属組成物層の焼結は、低酸素濃度の雰囲気下で行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気下とは、酸素濃度が1000ppm以下の状態をいい、好ましくは500ppm以下である。
≪焼結体付き支持部材及びその製造方法≫
本開示の一実施形態における焼結体付き支持部材は、ビアホールを有する支持部材と、前記ビアホールに充填された本開示の焼結体と、を有する。本開示の金属組成物によれば、焼成時の変形が抑制されているため、ビア内充填、又はビア層間接続に用いる場合にも優れた信頼性を達成することができる。
本実施形態に係る焼結体付き支持部材における焼結体及び支持部材の詳細は、前述の焼結体及び支持部材の詳細を適用することができる。
本開示の一実施形態における焼結体付き支持部材の製造方法は、支持部材に設けられたスルーホールビア、半貫通ビア等のビアホールへ本開示の金属組成物を充填する工程と、前記充填された金属組成物を加熱して焼結する工程と、を有する。
金属組成物の充填方法は特に制限されず、印刷法、ディスペンサ法等が挙げられる。
充填された金属組成物の乾燥方法及び焼結方法については、前述した金属組成物層の乾燥方法及び焼結方法を適用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔金属組成物の調製〕
表1に示す各成分を表1に示す量(単位:g)で混合し、金属組成物を調製した。表1に示す成分の詳細は、下記のとおりである。
金属成分1…平均粒径3μmのCu粒子
金属成分2…平均粒径25μmのCu粒子
金属成分3…平均粒径3μmのSAC粒子(Sn96.5質量%、Ag3.0質量%、Cu0.5質量%)
金属成分4…平均粒径25μmのSAC粒子(Sn96.5質量%、Ag3.0質量%、Cu0.5質量%)
有機成分1:エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)(ガラス転移温度:−10℃)
有機成分2:ロジン(デヒドロアビエチン酸)(融点162℃)
有機成分3:チキソ剤(N−ヒドロキシエチル−12−ヒドロキシステアリン酸アミド)(融点105℃)
有機成分3’:チキソ剤(N,N’−キシリレン−ビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド)(融点125℃)
有機成分3’’:チキソ剤(N,N’−ヘキサメチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド)(融点135℃)
有機成分3’’’:チキソ剤(N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド)(融点143℃)
有機成分3’’’’:チキソ剤(12−ヒドロキシステアリン酸)(融点75℃)
有機成分4:活性剤(トリエタノールアミン)(融点20℃)
有機成分5:溶媒(ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル)(融点−33℃)
〔焼結前後形状変化率の評価〕
高さ1mm、直径4mmの円形印刷版を用いて銅板上に金属組成物を印刷した後に、3D形状測定機(株式会社キーエンス製、VR−3200)を使用し、金属組成物焼結前形状として高さH(mm)、直径R(mm)を計測した。その後、金属組成物を印刷した銅板をホットプレート上において120℃で30分乾燥した。次いで、リフロー炉内で250℃、5分加熱し、組成物の焼結済みサンプルを得た。金属組成物焼結前形状の測定と同様の方法で、金属組成物焼結後形状として高さH’(mm)、直径R’(mm)を計測した。焼結後計測値をそれぞれ焼結前計測値で除して、金属組成物焼結後高さ増加率(H’/H)及び金属組成物焼結後径増加率(R’/R)を求めた。H’/Hが1.3以上又はR’/Rが1.3以上の場合を形状保持性なしと判断した。結果を表1及び図1に示す。
表1からわかるように、実施例1〜4の金属組成物の焼結体は金属組成物焼結後高さ増加率(H’/H)及び金属組成物焼結後径増加率(R’/R)がいずれも1.3未満であり良好に形状を保持していた。一方、比較例1の金属組成物では金属組成物焼結後高さ増加率(H’/H)及び金属組成物焼結後径増加率(R’/R)がいずれも1.3であり、金属組成物の変形が生じていた。

Claims (11)

  1. 遷移的液相焼結が可能な金属成分と、有機成分と、を含有し、
    前記遷移的液相焼結が可能な金属成分は、融点が300℃より高い金属粒子Aと、融点が300℃以下である金属粒子Bと、を含み、
    前記有機成分は、ロジンと、ロジンとは異なる融点が100℃以上の有機化合物と、を含む、
    金属組成物。
  2. 前記金属粒子AがCuを含む請求項1に記載の金属組成物。
  3. 前記金属粒子BがSnを含む請求項1又は請求項2に記載の金属組成物。
  4. 前記有機成分が、樹脂成分、チキソ剤、活性剤、及び溶剤からなる群より選択される少なくとも1種と、ロジンと、を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属組成物を含有する接着剤。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属組成物の焼結体。
  7. 第1の被接合物と第2の被接合物とが請求項6に記載の焼結体を介して接合されている接合構造。
  8. 素子と支持部材とが請求項6に記載の焼結体を介して接合されている接合体。
  9. 支持部材における素子の接合される箇所及び前記素子における前記支持部材と接合される箇所の少なくとも一方に、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属組成物を付与して金属組成物層を形成する工程と、
    前記金属組成物層を介して、前記支持部材と前記素子とを接触させる工程と、
    前記金属組成物層を加熱して焼結する工程と、
    を有する接合体の製造方法。
  10. ビアホールを有する支持部材と、前記ビアホールに充填された請求項6に記載の焼結体と、を有する焼結体付き支持部材。
  11. 支持部材に設けられたビアホールへ請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属組成物を充填する工程と、
    前記充填された金属組成物を加熱して焼結する工程と、
    を有する焼結体付き支持部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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