JP2020165790A - 電荷検出型半導体センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】溶液プールなど使用することなく、また、検出対象物質が感応部に到達するまでの拡散時間を待たず、安定かつ迅速に、微量の生体関連物質を検出することができる電荷検出型半導体センサを提供する。【解決手段】少なくとも、基板、第一の電極、第二の電極及び第三の電極を有するセンサであって、第一の電極と第二の電極の間に半導体層が設けられ、半導体層にハイドロゲル層が接触し、ハイドロゲル層の表面抵抗が102〜103Ω/□オーダーであることを特徴とする電荷検出型半導体センサ。【選択図】図1
Description
本発明は、検出対象物質を安定して検出可能な電荷検出型半導体センサに関する。本発明はまた、この電荷検出型半導体センサの製造方法と使用方法に関する。
従来から核酸、ペプチド、タンパク質といった生体関連物質などの検出対象物質を標的化合物として、微量の検出対象物質を高感度に検出可能な様々なデバイスが開発されている。これらのデバイスでは、検出対象物質に特異的な捕捉体を基板等に固定化し、その捕捉体固定化基板に検体を供することにより、検体中の検出対象物質を化学的又は電気的手段により検出して定量化する。
一方、前記特異的な捕捉体として、グラフェンを使用する試みも行われている(非特許文献1)。例えば、シリコン基板上にグラフェンを配置し、グラフェンを取り囲むようにゴム状のプールを配置したデバイス(グラフェンFET構造)が開発されている(非特許文献1)。
このデバイスでは、必要に応じて検体を捕捉するための捕捉体で修飾されたグラフェンが、シリコン基板表面に転写されている。また、プール内に緩衝液が満たされ(以下、「溶液プール」と称す)、そこに検体が滴下されると、検出対象物質がその捕捉体に特異的に捕捉される。次いで、グラフェン近傍の電気二重層内から効率的にグラフェンへ電荷がドーピングされ、目的の検出対象物質を認識する特異的な電気的検出を可能としている。
このデバイスでは、必要に応じて検体を捕捉するための捕捉体で修飾されたグラフェンが、シリコン基板表面に転写されている。また、プール内に緩衝液が満たされ(以下、「溶液プール」と称す)、そこに検体が滴下されると、検出対象物質がその捕捉体に特異的に捕捉される。次いで、グラフェン近傍の電気二重層内から効率的にグラフェンへ電荷がドーピングされ、目的の検出対象物質を認識する特異的な電気的検出を可能としている。
Journal of Chemical Society 132,p.18012−18013(2010)
しかしながら、前記溶液プールに検体を供して検出対象物質を検出する方法では、開放系での検出の場合、液面での乾燥による検体濃度の変化や、外部環境からの汚染等が懸念される。このような懸念は検出の信頼性に問題を生じる。また、微量の検体を検出する場合、感応部(グラフェン表面)に接触させる必要があるため、長時間、検体を保持しなければ十分な拡散は得られず、安定的な検出には時間を要す。また、前記溶液プールに検体を保持する方式では、検出対象物質の捕捉体は水溶性のため、通常、プール内は1種類の検出対象物質用の捕捉体しか施せず、複数の検出対象物質を検出することが難しい。そのため、捕捉体毎に複数の溶液プールを準備し、さらに複数の流路を形成するといった、複雑なデバイスが必要となる。
本発明は、上記溶液プールを用いた従来のデバイスの課題を解決する電荷検出型半導体センサを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、検体を保持する場として、ある範囲の抵抗値を持ったハイドロゲルをセンサに組み込むことにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下を特徴とする。
すなわち、本発明は、以下を特徴とする。
[1] 少なくとも、基板、第一の電極、第二の電極及び第三の電極を有するセンサであって、該第一の電極と該第二の電極の間に半導体層が設けられ、該半導体層にハイドロゲル層が接触し、該ハイドロゲル層の表面抵抗が102〜103Ω/□オーダーであることを特徴とする電荷検出型半導体センサ。
[2] 前記ハイドロゲル層が、光硬化性樹脂組成物で形成される[1]に記載の電荷検出型半導体センサ。
[3] 前記半導体層に検出対象物質の捕捉体が保持されている[1]又は[2]に記載の電荷検出型半導体センサ。
[4] 前記半導体層がグラフェンを含む[1]〜[3]のいずれかの電荷検出型半導体センサ。
[5] 以下の工程(1)〜(3)をこの順で含む、電荷検出型半導体センサの製造方法。
(1) 基板、第一の電極、第二の電極及び第三の電極を含み、該第一の電極と該第二の電極の間に半導体層が設けられた半導体センサ本体を準備する工程
(2) 該半導体層に検体を供する工程
(3) ハイドロゲル層を該半導体層上に積層する工程
(1) 基板、第一の電極、第二の電極及び第三の電極を含み、該第一の電極と該第二の電極の間に半導体層が設けられた半導体センサ本体を準備する工程
(2) 該半導体層に検体を供する工程
(3) ハイドロゲル層を該半導体層上に積層する工程
[6] 以下の工程(I),(II)を含む、半導体センサの使用方法。
(I) 請求項1〜4のいずれかに記載の電荷検出型半導体センサを準備する工程
(II) 前記ハイドロゲル層に検体を供し、前記半導体層に検体を接触させる工程
(I) 請求項1〜4のいずれかに記載の電荷検出型半導体センサを準備する工程
(II) 前記ハイドロゲル層に検体を供し、前記半導体層に検体を接触させる工程
本発明によれば、従来の溶液プールを使用することなく、また、検出対象物質が感応部に到達するまでの拡散時間を待たず、安定かつ迅速に、微量の生体関連物質を検出することが可能となる。また、複数の検出対象物質を安定して、簡便に検出することが可能となる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[電荷検出型半導体センサ]
本発明の電荷検出型半導体センサは、基板、第一の電極、第二の電極及び第三の電極を有するセンサであって、該第一の電極と該第二の電極の間に半導体層が設けられ、該半導体層にハイドロゲル層が接触し、該ハイドロゲル層の表面抵抗が102〜103Ω/□オーダーであることを特徴とする。
なお、本発明において、「102〜103Ω/□オーダー」とは、100Ω/□以上、10000Ω/□未満の範囲を意味し、100Ω/□未満又は10000Ω/□以上となるものは排除される。
本発明の電荷検出型半導体センサは、基板、第一の電極、第二の電極及び第三の電極を有するセンサであって、該第一の電極と該第二の電極の間に半導体層が設けられ、該半導体層にハイドロゲル層が接触し、該ハイドロゲル層の表面抵抗が102〜103Ω/□オーダーであることを特徴とする。
なお、本発明において、「102〜103Ω/□オーダー」とは、100Ω/□以上、10000Ω/□未満の範囲を意味し、100Ω/□未満又は10000Ω/□以上となるものは排除される。
本発明におけるハイドロゲル層は、検体を効率よく拡散する目的で設置される。特定の表面抵抗を示すハイドロゲル層を設けることにより、測定部の簡易化、検体量の低減を図ることができ、従来の課題を解決することができる。
グラフェンのような高移動度で超高感度な材料を半導体層に使用すると、従来のような溶液プールに検体を滴下する方式では、液面のわずかな位置のゆらぎや蒸散、振動、測定時の音による揺れ、濡れ性などにより、検出部が敏感に応答するため、出力信号が変動し、安定しないおそれがあった。
しかし、本発明では検体供試の際にハイドロゲルを使用することにより、グラフェンのような高移動度で超高感度な材料を半導体層に使用した場合であっても、出力信号が安定し、迅速且つ安定な測定が可能となる。
さらに、複数のハイドロゲルを使用することにより、検体毎に、各対のSD(ソース・ドレイン)電極間の半導体層上に形成される個々の検出部位に振り分けることもできる。これにより、一度に複数の検出対象物質の検出を、互いに影響を及ぼすことなく安定して行うことが可能となる。また、ハイドロゲルには、検出対象物質の検出を妨げる夾雑物などを分離除去する機能、例えば、アフィニティクロマトグラフィや分子篩としての機能も付帯され、より高感度な検出を実現することが可能となる。
しかし、本発明では検体供試の際にハイドロゲルを使用することにより、グラフェンのような高移動度で超高感度な材料を半導体層に使用した場合であっても、出力信号が安定し、迅速且つ安定な測定が可能となる。
さらに、複数のハイドロゲルを使用することにより、検体毎に、各対のSD(ソース・ドレイン)電極間の半導体層上に形成される個々の検出部位に振り分けることもできる。これにより、一度に複数の検出対象物質の検出を、互いに影響を及ぼすことなく安定して行うことが可能となる。また、ハイドロゲルには、検出対象物質の検出を妨げる夾雑物などを分離除去する機能、例えば、アフィニティクロマトグラフィや分子篩としての機能も付帯され、より高感度な検出を実現することが可能となる。
以下、図1〜5を参照して、本発明の電荷検出型半導体センサ及びその製造方法と使用方法の実施の形態を説明する。なお、図1〜5において、同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
図1の電荷検出型半導体センサは、基板1上に、第一の電極2、半導体層5及び第二の電極3が並列配置で形成され、第二の電極3に離隔して第三の電極4が形成されており、これら第一の電極2、第二の電極3、半導体層5、及び第三の電極4上にハイドロゲル層6が構成されたものである。
[基板1]
基板1は、絶縁性を有する基板であれば任意の素材で形成された基板を用いることができる。通常は、絶縁性基板又は絶縁された半導体基板を用いる。なお、本発明において絶縁性という場合には、特に断らない限り電気絶縁性のことを指し、絶縁体という場合には、特に断らない限り電気絶縁体のことを指す。また、センサとして用いる場合、感度を高めるためには、絶縁性基板、又は絶縁性基板を構成する素材(即ち、絶縁体)で表面を被覆することにより絶縁化した半導体基板であることが好ましい。
基板1は、絶縁性を有する基板であれば任意の素材で形成された基板を用いることができる。通常は、絶縁性基板又は絶縁された半導体基板を用いる。なお、本発明において絶縁性という場合には、特に断らない限り電気絶縁性のことを指し、絶縁体という場合には、特に断らない限り電気絶縁体のことを指す。また、センサとして用いる場合、感度を高めるためには、絶縁性基板、又は絶縁性基板を構成する素材(即ち、絶縁体)で表面を被覆することにより絶縁化した半導体基板であることが好ましい。
絶縁性基板を形成する絶縁体材料としては、無機材料、有機材料のいずれでも構わない。無機材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、弗化カルシウム等が挙げられる。有機材料としては、脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール、ポリアラミド等が挙げられる。これらの絶縁体材料は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
半導体基板は半導体で形成された基板である。半導体基板を形成する半導体の具体例としては、シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、酸化亜鉛、インジウム燐、炭化シリコン等が挙げられる。これらの半導体は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
半導体基板を絶縁する方法は任意であるが、通常は、上記のような絶縁体で表面を被覆して絶縁することが望ましい。半導体基板の上に絶縁膜を形成して絶縁する場合、被覆に用いる絶縁体の具体例としては、上記の絶縁性基板を形成する絶縁体材料と同様のものが挙げられる。
[第一、第二、第三の電極]
本発明では第一の電極2、第二の電極3はそれぞれソース電極とドレイン電極であり、第三の電極4はゲート電極として機能する。
本発明では第一の電極2、第二の電極3はそれぞれソース電極とドレイン電極であり、第三の電極4はゲート電極として機能する。
第一の電極2、第二の電極3及び第三の電極4に用いられる材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物;白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデンなどの金属やこれらの合金;ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質;ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との錯体などの有機導電性物質;カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェンなどのナノカーボン材料;導電性カーボンブラックなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの材料は単独で用いてもよいし、これらのうち複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
半導体センサにおける電極として用いる場合、接触する水溶液などへの安定性の観点から、第一の電極2、第二の電極3および第三の電極4の材料は、金、銀、白金、パラジウム、有機導電性物質、およびナノカーボン材料から選ばれることが好ましい。
各電極の幅や厚み、配置間隔等は任意に設計可能である。電極の幅は、一般的には、1μm以上、1mm以下である。電極の厚みは、通常1nm以上、10mm以下である。第一の電極2と第二の電極3との間隔は、半導体の構造や移動度に応じて適宜、設計されうるが、通常1nm以上、10mm以下である。
第三の電極4と半導体層5とは、非接触の状態で配置されている。その距離は、積層するハイドロゲル層の面積と表面抵抗に応じた長さに設計される必要があるが、通常1μm以上、通常400μm以下である。
第三の電極4と半導体層5とは、非接触の状態で配置されている。その距離は、積層するハイドロゲル層の面積と表面抵抗に応じた長さに設計される必要があるが、通常1μm以上、通常400μm以下である。
[半導体層]
半導体層5は、単体半導体、化合物半導体、有機半導体、ナノカーボン材料等の半導体成分から形成される。
半導体層5は、単体半導体、化合物半導体、有機半導体、ナノカーボン材料等の半導体成分から形成される。
単体半導体としては、シリコン、ゲルマニウムなどの短期型周期表のIV族元素が用いられる。
シリコンを用いる場合は、アモルファスシリコン、ポリシリコン(多結晶シリコン)、単結晶シリコンなどが挙げられる。
シリコンを用いる場合は、アモルファスシリコン、ポリシリコン(多結晶シリコン)、単結晶シリコンなどが挙げられる。
化合物半導体は、さらに、短期型周期表のII−VI族半導体、III−V族半導体、IV族化合物半導体、I−III−VI族半導体、II−IV−V族半導体などに分類することができる。II−VI族半導体としては、ZnSe、CdS、ZnOなどが挙げられる。III−V族半導体としては、GaAs、InP、GaNなどが挙げられる。IV族化合物半導体としては、SiC、SiGeなどが挙げられる。I−III−VI族半導体としては、CuInSe2、AgGaTe2などが挙げられる。II−IV−V族半導体としては、ZnSiAs2、CdGeAs2などが挙げられる。
有機半導体としては、ペンタセン、アントラセン、ルブレン、ペリレン、コロネン、フタロシアニンなどの多環芳香族炭化水素や、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリンなどのポリマーなどが挙げられる。
ナノカーボン材料としては、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホーンなどが挙げられる。
フラーレンは、炭素原子どうしがsp2混成軌道間相互作用によって結合している多面体構造をした化合物である。該多面体は、五員環と六員環とから構成される。多面体を構成する炭素数としては、60、70、74、76、78などがある。フラーレンは1分子で用いても良いし、複数のフラーレン分子が集合したフラーレンナノウィスカーや、フラーレンナノウィスカーが中空構造を形成したフラーレンナノファイバーの形態で用いても良い。
グラフェンは、グラフェン・シートとも呼ばれ、理想的には全ての炭素原子どうしがsp2混成軌道間相互作用で結合し、六角形格子構造をとっている。グラフェンが多数積層されると、グラファイトとなる。グラフェンは、バンドギャップが存在しない特殊な半導体である。グラフェンは非常に高い電子移動度を示すため、半導体層中の半導体成分として有望である。
通常、炭素の層を数原子層まで重ねたものも含めてグラフェンと呼ばれる。本発明で用いられるグラフェンは、炭素の層が10原子層以下であることが好ましく、3原子層以下であることがより好ましく、単原子層であることが特に好ましい。
通常、炭素の層を数原子層まで重ねたものも含めてグラフェンと呼ばれる。本発明で用いられるグラフェンは、炭素の層が10原子層以下であることが好ましく、3原子層以下であることがより好ましく、単原子層であることが特に好ましい。
グラフェンの合成方法は、特に限定されないが、例えば機械剥離法、化学剥離法、炭化ケイ素加熱法(以下、SiC加熱法)、または熱化学気相成長法(以下、熱CVD法)などが挙げられる。
グラフェンが基板上に存在することは、光学顕微鏡によって確認することができる。詳細な分析にはラマン分光法が用いられる。
CNTとしては、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTなどが挙げられる。CNTは、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等により得ることができる。
カーボンナノホーンは、グラフェンを円錐形に丸めた構造をしている。カーボンナノホーンは、室温下、アルゴンガス雰囲気中で、グラファイトに二酸化炭素レーザーを照射することで合成することができる。
本発明の実施形態によるセンサにおいて、半導体成分としては、グラフェンであることが好ましい。
半導体層5の膜厚は、特に制限はないが、通常1nm以上、100nm以下が好ましい。この範囲内にあることで、ターゲット認識分子とターゲット物質との相互作用による電気特性の変化を、十分に電気信号として取り出すことが可能となる。半導体層の膜厚は、より好ましくは1nm以上、50nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上、20nm以下である。当該膜厚は、グラフェンの単層から4層の膜厚に相当する。
半導体層の膜厚は、公知の手法、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS)やAFMなどによって、測定することができる。
半導体層の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVD、他の基板からの転写など、乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から、塗布法などの湿式法を用いることが好ましい。塗布法は、半導体成分を塗布することにより半導体層を形成する工程を含む。塗布法としては具体的に、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、またはインクジェット法などが挙げられる。これらの方法から、塗膜厚みの制御や配向制御など、得ようとする塗膜の特性に応じて好ましい方法を選択できる。なお、形成した塗膜に対して、大気下、減圧下、または窒素(N2)やアルゴン(Ar)などの不活性ガス雰囲気下において、アニーリング処理を行ってもよい。
半導体層には、別途、捕捉体が保持されていることが好ましい。ここで捕捉体とは、検出対象となる検出対象物質を特異的に捕捉可能な物質のことを指す。捕捉体は、疎水結合により半導体層に保持することができる。この場合、捕捉体にリンカーとして、例えば芳香環等を導入することもできる。それにより上述の疎水結合に加えて、Π―Π電子相互作用により捕捉体を保持することも可能となる。
さらに捕捉体として、リンカーにさらにアプタマやフラグメント抗体やペプチドなど、検体を特異的に補足する機能分子を必要に応じて結合することも可能である。
さらに捕捉体として、リンカーにさらにアプタマやフラグメント抗体やペプチドなど、検体を特異的に補足する機能分子を必要に応じて結合することも可能である。
[ハイドロゲル層]
本発明におけるハイドロゲル層(ハイドロゲルブロック又はハイドロゲルシートと称す場合がある)6とは、ハイドロゲルにより構成された層である。また、そのハイドロゲル層の表面抵抗は、102〜103Ω/□オーダーである。ハイドロゲル層の表面抵抗が上記範囲の下限よりも低いと安定した表面抵抗の測定が難しく、上限よりも高いと安定かつ十分な電圧印加が行えなず、検出が困難になる恐れがある。ハイドロゲル層の表面抵抗は後述の実施例の項に記載の方法で測定される。なお、ハイドロゲル層の表面抵抗は、測定時にある程度幅を持った値で測定されるが、本発明において、ハイドロゲル層の表面抵抗は、常に102〜103Ω/□オーダーの範囲内であることを必須の要件とする。
ハイドロゲル層の厚みには特に制限はないが、ハンドリングの良さとハイドロゲルの安定性の観点から0.1mm以上であることが好ましく、検体を半導体に効率的に供給する観点から5mm以下が好ましい。
本発明におけるハイドロゲル層(ハイドロゲルブロック又はハイドロゲルシートと称す場合がある)6とは、ハイドロゲルにより構成された層である。また、そのハイドロゲル層の表面抵抗は、102〜103Ω/□オーダーである。ハイドロゲル層の表面抵抗が上記範囲の下限よりも低いと安定した表面抵抗の測定が難しく、上限よりも高いと安定かつ十分な電圧印加が行えなず、検出が困難になる恐れがある。ハイドロゲル層の表面抵抗は後述の実施例の項に記載の方法で測定される。なお、ハイドロゲル層の表面抵抗は、測定時にある程度幅を持った値で測定されるが、本発明において、ハイドロゲル層の表面抵抗は、常に102〜103Ω/□オーダーの範囲内であることを必須の要件とする。
ハイドロゲル層の厚みには特に制限はないが、ハンドリングの良さとハイドロゲルの安定性の観点から0.1mm以上であることが好ましく、検体を半導体に効率的に供給する観点から5mm以下が好ましい。
ここでいうハイドロゲルとは、ポリマーで構成された網目の内部に、後述する極性溶媒を含んでいるものを意味する。本発明に係るハイドロゲルに含まれる極性溶媒の量は特に限定されない。このようなハイドロゲルは、光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物等から調製することができる。取扱いやすさの観点で、光硬化性樹脂組成物から調製されたものが好ましい。
該光硬化性樹脂組成物には、重合性モノマー、光重合開始剤が含まれている。必要に応じて、増粘成分、架橋剤、極性溶媒、その他の成分をさらに含んでいてもよい。
以下にこの光硬化性樹脂組成物(以下、「本組成物」と称す場合がある。)について説明する。
以下にこの光硬化性樹脂組成物(以下、「本組成物」と称す場合がある。)について説明する。
(重合性モノマー)
重合性モノマーは、本組成物に光が照射されたときに、光重合開始剤の作用によって重合し、ポリマーを形成するものである。重合性モノマーとしては、前記光重合開始剤を用いて重合可能な化合物であればよく、例えば以下の化合物が挙げられる。
重合性モノマーは、本組成物に光が照射されたときに、光重合開始剤の作用によって重合し、ポリマーを形成するものである。重合性モノマーとしては、前記光重合開始剤を用いて重合可能な化合物であればよく、例えば以下の化合物が挙げられる。
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)及びその塩、スチレンスルホン酸(SS)及びその塩、アクリル酸(AA)及びその塩、メタクリル酸及びその塩、ビニルピリジン、酢酸ビニル、スチレン(St)、アクリルアミド(AAm)、モノ(又はジ)アルキルアクリルアミド(例えば、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm))、ヒドロキシエチルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、メチルメタクリレート(MMA)、ラウリルアクリレート(LA)、ステアリルアクリレート(SA)、トリフルオロエチルアクリレート(TFE)、2,2,2−トリフルオロエチルメチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、3−(ペルフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、及びフッ化ビニリデン等。
これらの重合性モノマーにおける塩としては、ナトリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、亜鉛等の金属塩等が挙げられる。
これらの重合性モノマーにおける塩としては、ナトリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、亜鉛等の金属塩等が挙げられる。
重合性モノマーは1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。すなわち、重合性モノマーから形成されるポリマー(以下、「第2のポリマー」と称す場合がある。)はホモポリマーであってもよくコポリマーであってもよい。
本組成物の重合性モノマーから形成されるポリマーは、網目構造を有するポリマーであってもよく、網目構造を有しないポリマー(例えば直鎖状ポリマー)であってもよい。形成されるゲルの機械的強度がより優れる点では、網目構造を有することが好ましい。
重合性モノマーから形成されるポリマーを、網目構造を有するポリマーとする方法としては、本組成物に架橋剤を含有させる方法が挙げられる。この場合、重合性モノマーが光重合開始剤及び架橋剤の存在下に重合し、網目構造を有するポリマーが生成する。
重合性モノマーから形成されるポリマーを直鎖状ポリマーとする場合は、本組成物に架橋剤を含有させず、重合性モノマーを光重合開始剤の存在下、かつ架橋剤の不在下に重合させる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤、レドックス系光重合開始剤等が挙げられる。取り扱いやすさの点で、光ラジカル重合開始剤が好ましい。光ラジカル重合開始剤は、光(活性エネルギー線)が照射されたときに、重合反応の起点となるラジカルを発生して重合を開始させる。光としては、可視光、紫外線、電子線等が挙げられる。
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤、レドックス系光重合開始剤等が挙げられる。取り扱いやすさの点で、光ラジカル重合開始剤が好ましい。光ラジカル重合開始剤は、光(活性エネルギー線)が照射されたときに、重合反応の起点となるラジカルを発生して重合を開始させる。光としては、可視光、紫外線、電子線等が挙げられる。
光重合開始剤は、公知の光重合開始剤を使用できる。例えば可視光域に吸収を有する光ラジカル重合開始剤として、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、3−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、1,2−オクタンジオン,1−(4−(フェニルチオ),2−(o−ベンゾイルオキシム))、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン1−(O−アセチルオキシム)、カンファーキノン、トリアジン系光重合開始剤、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸塩、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸塩が挙げられる。これらの光ラジカル重合開始剤はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(増粘成分)
増粘成分は、重合性モノマーや極性溶媒との相互作用によって、本組成物全体の粘度を高め、流動性を低下させる成分である。
増粘成分は、例えば、ハイドロゲルの機械物性の向上や、機能性の付与、ハイドロゲルの溶媒成分の乾燥抑制等の目的で用いられる。
増粘成分は、重合性モノマーや極性溶媒との相互作用によって、本組成物全体の粘度を高め、流動性を低下させる成分である。
増粘成分は、例えば、ハイドロゲルの機械物性の向上や、機能性の付与、ハイドロゲルの溶媒成分の乾燥抑制等の目的で用いられる。
増粘成分としては、例えば、ポリマー粒子、無機粘土鉱物(モンモリロナイト、ヘクトライト等)、増粘剤(多糖類、カルボキシメチルセルロース等)等が挙げられる。
これらのうち、増粘成分としてはポリマー粒子が好ましい。ポリマー粒子を含むことによって、本組成物から形成されるハイドロゲルは、本組成物中の重合性モノマーから形成されたポリマーからなる連続相中にポリマー粒子が分散して存在している構成を有するものとなる。かかるハイドロゲルは、ポリマー粒子を含まない場合に比べて、機械物性に優れる。
ポリマー粒子のポリマーとしては、重合性モノマーを重合したポリマー、多糖類(ジェラン、ヒアルロン酸、カラギーナン、キチン、アルギン酸等)、タンパク質(ゼラチン、コラーゲン等)が挙げられる。
このポリマー粒子を構成するポリマー(以下「第1のポリマー」と称す場合がある。)は、網目構造を有するポリマーであってもよく、網目構造を有しないポリマー(例えば直鎖状ポリマー)であってもよい。形成されるゲルの機械的強度がより優れる点では、網目構造を有するポリマーであることが好ましい。
第1のポリマーが網目構造を有すると、形成されるハイドロゲルは、第1のポリマーの網目構造に、第2のポリマーが侵入した構造を有するため、第1のポリマーが網目構造を有しない場合に比べて、機械的強度が優れる。
特に、第1のポリマー及び第2のポリマーが共に網目構造を有すると、形成されるハイドロゲルは、第1のポリマーと第2のポリマーとが相互に侵入する網目構造を有するため、機械的強度がより優れる。
このポリマー粒子を構成するポリマー(以下「第1のポリマー」と称す場合がある。)は、網目構造を有するポリマーであってもよく、網目構造を有しないポリマー(例えば直鎖状ポリマー)であってもよい。形成されるゲルの機械的強度がより優れる点では、網目構造を有するポリマーであることが好ましい。
第1のポリマーが網目構造を有すると、形成されるハイドロゲルは、第1のポリマーの網目構造に、第2のポリマーが侵入した構造を有するため、第1のポリマーが網目構造を有しない場合に比べて、機械的強度が優れる。
特に、第1のポリマー及び第2のポリマーが共に網目構造を有すると、形成されるハイドロゲルは、第1のポリマーと第2のポリマーとが相互に侵入する網目構造を有するため、機械的強度がより優れる。
ポリマー粒子の平均粒子径は、乾燥状態で、0.1〜10000μmが好ましく、0.1〜1000μmがより好ましく、0.1〜100μmが特に好ましい。平均粒子径が前記範囲の下限値以上であると、取り扱い性がより優れる。平均粒子径が前記範囲の上限値以下であると、機械的強度がより優れる。
ポリマー粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡により絶乾状態でのポリマー粒子100個を観察し、各ポリマー粒子の最大径を求め、それらの平均値を算出することにより求められる。
ポリマー粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡により絶乾状態でのポリマー粒子100個を観察し、各ポリマー粒子の最大径を求め、それらの平均値を算出することにより求められる。
(極性溶媒)
極性溶媒は、比誘電率が10以上の、常温で液状の化合物である。極性溶媒は、ポリマーによって構成された網目構造中に取り込まれてハイドロゲルを構成する。
ここで比誘電率は、液体用誘電率測定キット(ITACA製)を用いて、2GHzの周波数、25℃の条件で測定される値である。
極性溶媒は、比誘電率が10以上の、常温で液状の化合物である。極性溶媒は、ポリマーによって構成された網目構造中に取り込まれてハイドロゲルを構成する。
ここで比誘電率は、液体用誘電率測定キット(ITACA製)を用いて、2GHzの周波数、25℃の条件で測定される値である。
極性溶媒としては、水、極性有機溶剤、水と極性有機溶剤との混合物等が挙げられる。極性有機溶剤の例としては、エチレングリコール、エタノール等のアルコール、アセトン等のケトン、イオン液体等が挙げられる。極性溶媒としては、扱いやすさや安全性の観点から水、アルコールが好ましく、入手の容易さや環境調和性の点で、水が特に好ましい。タンパク質等の生体関連物質を検出対象物質に含む検体を使用する場合には、安定に電荷形成させ、かつ、検出感度を確保するために、検出対象物質のpKaに鑑みた適正なpH緩衝液、たとえば、PBS(phosphate−bufferd saline)やTris−HCl(Tris(hydroxymethyl)aminomethane)−HCl等を使用することが好ましい。
(架橋剤)
架橋剤としては、特に限定されず、重合性モノマーの種類に応じて公知のものを適宜用いることができる。
架橋剤としては、特に限定されず、重合性モノマーの種類に応じて公知のものを適宜用いることができる。
架橋剤としては、例えば、ラジカル重合性の不飽和基を2個以上有する多官能ビニル化合物が挙げられる。多官能ビニル化合物としては、形成されるゲルの機械的強度の点で、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、N,N’−ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)等のジビニル化合物が好ましい。
(その他の成分)
他の成分としては、例えば、光吸収剤、界面活性剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、防錆剤、老化防止剤、吸湿剤、加水分解防止剤、重合禁止剤、レベリング剤等が挙げられる。これらの添加剤はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の成分としては、例えば、光吸収剤、界面活性剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、防錆剤、老化防止剤、吸湿剤、加水分解防止剤、重合禁止剤、レベリング剤等が挙げられる。これらの添加剤はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ハイドロゲル層の作成)
本組成物を用いてハイドロゲル層を作成するには、本組成物を所定の厚さに湿式成膜し、形成された膜に、前述の可視光、紫外線、電子線等の光を照射して硬化させればよい。
本組成物を用いてハイドロゲル層を作成するには、本組成物を所定の厚さに湿式成膜し、形成された膜に、前述の可視光、紫外線、電子線等の光を照射して硬化させればよい。
[検体]
本発明に係る検体とは、検出対象物質を含むものである。
検出対象物質としては、例えばタンパク質(酵素、抗原/抗体、レクチン等)、ペプチド、脂質、ホルモン(アミン・アミノ酸誘導体・ペプチド・タンパク質等からなる含窒素ホルモン、及び、ステロイドホルモン)、核酸、糖、オリゴ糖、多糖等の糖鎖、色素、低分子化合物、有機物質、無機物質、pH、イオン(Na+,K+,Cl−等)若しくはこれらの融合体、又は、ウイルス若しくは細胞を構成する分子、血球などが挙げられる。
本発明に係る検体とは、検出対象物質を含むものである。
検出対象物質としては、例えばタンパク質(酵素、抗原/抗体、レクチン等)、ペプチド、脂質、ホルモン(アミン・アミノ酸誘導体・ペプチド・タンパク質等からなる含窒素ホルモン、及び、ステロイドホルモン)、核酸、糖、オリゴ糖、多糖等の糖鎖、色素、低分子化合物、有機物質、無機物質、pH、イオン(Na+,K+,Cl−等)若しくはこれらの融合体、又は、ウイルス若しくは細胞を構成する分子、血球などが挙げられる。
また、これらの検出対象物質は、血液(全血、血漿、血清)、リンパ液、唾液、尿、大便、汗、粘液、涙、随液、鼻汁、頸部又は膣の分泌液、***、胸膜液、羊水、腹水、中耳液、関節液、胃吸引液、組織・細胞等の抽出液や破砕液等の生体液を含むほとんど全ての液体試料中に含まれる成分として検出される。
タンパク質としては、本発明においてはタンパク質の全長は好ましくなく、結合活性部位を含む部分ペプチドや、アミノ酸配列、及び分子量が数十万程度までであり、その機能が既知のタンパク質でも、未知のタンパク質でもよい。これらは、合成されたペプチド鎖、生体より精製されたタンパク質、又はcDNAライブラリー等から適当な翻訳系を用いて翻訳し、精製したタンパク質等でも標的分子として用いることができる。合成されたペプチド鎖は、これに糖鎖が結合した糖タンパク質であってもよい。
これらのうち好ましくは、アミノ酸配列が既知の精製されたタンパク質か、又はcDNAライブラリー等から適当な方法を用いて翻訳、精製されたタンパク質を用いることができる。
これらのうち好ましくは、アミノ酸配列が既知の精製されたタンパク質か、又はcDNAライブラリー等から適当な方法を用いて翻訳、精製されたタンパク質を用いることができる。
脂質としては、特に制限はない。例えば脂質及びタンパク質と脂質との複合体、糖と脂質との複合体等が挙げられ、具体例を挙げると、総コレステロール、LDL−コレステロール、HDL−コレステロール、リポタンパク、アポリポタンパク、トリグリセライド等が挙げられる。
核酸としては、特に制限はなく、DNA又はRNAも用いることができる。また、塩基配列又は機能が既知の核酸でも、未知の核酸でもよい。好ましくは、タンパク質に結合能力を有する核酸としての機能、及び塩基配列が既知のものか、又はゲノムライブラリー等から制限酵素等を用いて切断単離してきたものを用いることができる。
糖鎖としては、その糖配列又は機能が、既知の糖鎖でも未知の糖鎖でもよい。好ましくは、既に分離解析され、糖配列又は機能が既知の糖鎖が用いられる。
低分子化合物としては、相互作用する能力を有する限り、特に制限はない。機能が未知のものでも、又はタンパク質と結合もしくは反応する能力が既に知られているものでも用いることができる。
[検出]
本発明においては、検出対象物質と捕捉体とが相互作用することにより生じる電気的変化を検出する。捕捉体としては、ターゲットとする検出対象物質が捕捉可能なものであればいずれでも構わない。
本発明においては、検出対象物質と捕捉体とが相互作用することにより生じる電気的変化を検出する。捕捉体としては、ターゲットとする検出対象物質が捕捉可能なものであればいずれでも構わない。
相互作用とは、例えば、抗原と抗体との間の結合及び解離、タンパク質レセプタとリガンドとの間の結合及び解離、接着分子と相手方分子との間の結合及び解離、酵素と基質との間の結合及び解離、アポ酵素と補酵素との間の結合及び解離、核酸とそれに結合するタンパク質との間の結合及び解離、核酸と核酸との間の結合及び解離、情報伝達系におけるタンパク質同士の間の結合と解離、糖タンパク質とタンパク質との間の結合及び解離、あるいは糖鎖とタンパク質との間の結合及び解離、細胞及び生体組織と蛋白質との間の結合及び解離、細胞及び生体組織と低分子化合物との間の結合及び解離、イオンとイオン感応性物質との間の相互作用等が挙げられる。
広義の捕捉体としては、半導体層も含まれうる。例えば、半導体層はその表面に検出対象物質が接触することによる電気的変化を検出することが可能である。また、半導体層とは別に捕捉体を準備し、この捕捉体を半導体層に固定し、検出対象物質と捕捉体との相互作用を検出することも可能である。
その場合、その捕捉体により検出対象物質は電気二重層の領域(デバイ長)内等、半導体面上の適切な距離に捕捉されることが検出感度を確保するために好ましい。電荷を発生させる機能を構築する場合には、その限りではない。そうすることにより、本発明では、生体内の低分子物質だけでなく、ウイルス、タンパク質等の巨大標的物質でも検出することを可能にする。
その場合、その捕捉体により検出対象物質は電気二重層の領域(デバイ長)内等、半導体面上の適切な距離に捕捉されることが検出感度を確保するために好ましい。電荷を発生させる機能を構築する場合には、その限りではない。そうすることにより、本発明では、生体内の低分子物質だけでなく、ウイルス、タンパク質等の巨大標的物質でも検出することを可能にする。
本発明では、電気的変化に関わるパラメータ量と検出対象物質の濃度や重量との作成済みの相関データとを比較することにより標的物質を定量することが可能である。また、校正用の基準物質をあらかじめ測定してから、標的物質を測定することも可能である。
電気的測定は通常の半導体の伝達特性測定に準ずるものであるが、ゲート電圧は溶液の電気分解のおそれがない電圧範囲で行うことが好ましい。尚、本発明では第一、第二電極はそれぞれソース電極とドレイン電極であり、第三電極はゲート電極として使用している。
電気的測定は通常の半導体の伝達特性測定に準ずるものであるが、ゲート電圧は溶液の電気分解のおそれがない電圧範囲で行うことが好ましい。尚、本発明では第一、第二電極はそれぞれソース電極とドレイン電極であり、第三電極はゲート電極として使用している。
[電荷検出型半導体センサの製造方法及び使用方法]
図1に示す電荷検出型半導体センサをを作成するには、第一の電極2、半導体層5、第二の電極3、及び第三の電極4が形成された基板1と、ハイドロゲルを準備し、半導体層5と電極2〜4を覆うように、ハイドロゲル層6を設ければよい。
また、後述する検体の供試方法によって、例えば図4,5のように基板1、半導体層5、電極2〜4からなるセンサ本体を準備し、検体7を供する際にハイドロゲルを適用する実施形態とすることも可能である。
即ち、本発明の電荷検出型半導体センサは、以下の工程(1)〜(3)から製造することもできる。
(1) 基板、第一の電極、第二の電極及び第三の電極を含み、該第一の電極と該第二の電極の間に半導体層が設けられた半導体センサ本体を準備する工程
(2) 該半導体層に検体を供する工程
(3)ハイドロゲル層を該半導体層上に積層する工程
図1に示す電荷検出型半導体センサをを作成するには、第一の電極2、半導体層5、第二の電極3、及び第三の電極4が形成された基板1と、ハイドロゲルを準備し、半導体層5と電極2〜4を覆うように、ハイドロゲル層6を設ければよい。
また、後述する検体の供試方法によって、例えば図4,5のように基板1、半導体層5、電極2〜4からなるセンサ本体を準備し、検体7を供する際にハイドロゲルを適用する実施形態とすることも可能である。
即ち、本発明の電荷検出型半導体センサは、以下の工程(1)〜(3)から製造することもできる。
(1) 基板、第一の電極、第二の電極及び第三の電極を含み、該第一の電極と該第二の電極の間に半導体層が設けられた半導体センサ本体を準備する工程
(2) 該半導体層に検体を供する工程
(3)ハイドロゲル層を該半導体層上に積層する工程
以下に図2〜5を参照して本発明の電荷検出型半導体センサにおける検体の供給方法について説明する。
図2は、半導体層15に接触して設けられたハイドロゲル層6に検体7を供する態様を示すものであり、検体7はシリンジ8等を用いて、ハイドロゲル層6中に注入される。注入位置はいずれでも構わないが、検出対象物質の安定かつ迅速な供給の観点から、半導体層5の近傍に注入することが好ましい。このようにして注入された検体7は、ハイドロゲル中に拡散、浸潤する。このような状態で、検体7中の検出対象物質が、半導体層5又は捕捉体との相互作用により捕捉される。
図3は、ハイドロゲル層6を検体7を供した後に設ける形態を示すものであり、この形態では、半導体層5上に検体7を供試し、その後、ハイドロゲル層6を覆いかぶせる。それによって、検体7は、ハイドロゲル中に拡散、浸潤する。
図4は、ハイドロゲル層6側に検体7を供し、その後、半導体層5と接触させるスタンプ方式に係る形態を示すものであり、ハイドロゲル層6に検体7を供する際は、スタンプする際に半導体層5と一致する場所に検体7を供することが好ましい。このような状態で、検体中の検出対象物質が、半導体層5又は捕捉体との相互作用により捕捉される。
図5は、予め検体を拡散、浸潤させたハイドロゲル層9を半導体層5と接触させる形態を示すものである。
いずれの実施形態であっても、本発明の電荷検出型半導体センサにおけるハイドロゲル層に検体を供すると共に半導体層にこの検体を接触させることで、迅速かつ安定に、高感度で検出対象物質の検出を行うことができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<ハイドロゲル用の光硬化性樹脂組成物の調製>
以下の手順でポリマー粒子と重合性モノマー、光重合開始剤及び溶媒を含むハイドロゲル用の光硬化性樹脂組成物を調製した。
以下の手順でポリマー粒子と重合性モノマー、光重合開始剤及び溶媒を含むハイドロゲル用の光硬化性樹脂組成物を調製した。
(ポリマー粒子の作製)
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(NaAMPS)の50質量%水溶液の91.7g(0.200モル)に、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAAm)の1.23g(0.00800ミリモル)と、光重合開始剤であるIrgacure1173(BASF社製、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)の0.032g(0.00022モル)と、純水91.7gを加えて第1の溶液を調製した。
第1の溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に枠状のシリコーンゴムシート(厚さ2mm)を置いた型に流し込み、その上を別のPETフィルムで覆い、さらに上下をガラス板で挟んでサンプルを作製した。このサンプルに、光ベルト方式の紫外線照射装置を用いて紫外線を照射することにより、サンプル内の第1の溶液をゲル化した。得られたゲルを乾燥機で一晩以上乾燥させ、乾燥後のゲルを粉砕し、100μmの篩を通過する乾燥ゲル粒子を回収し、ポリマー粒子(粒子径100μm以下)とした。
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(NaAMPS)の50質量%水溶液の91.7g(0.200モル)に、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAAm)の1.23g(0.00800ミリモル)と、光重合開始剤であるIrgacure1173(BASF社製、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)の0.032g(0.00022モル)と、純水91.7gを加えて第1の溶液を調製した。
第1の溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に枠状のシリコーンゴムシート(厚さ2mm)を置いた型に流し込み、その上を別のPETフィルムで覆い、さらに上下をガラス板で挟んでサンプルを作製した。このサンプルに、光ベルト方式の紫外線照射装置を用いて紫外線を照射することにより、サンプル内の第1の溶液をゲル化した。得られたゲルを乾燥機で一晩以上乾燥させ、乾燥後のゲルを粉砕し、100μmの篩を通過する乾燥ゲル粒子を回収し、ポリマー粒子(粒子径100μm以下)とした。
(ハイドロゲル用光硬化性樹脂組成物の調製)
N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)の19.8g(0.200モル)と、MBAAmの0.154g(0.000999モル)と、リチウムフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィネート(Li−TPO)の0.059g(0.00020モル)と、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)56.8gとを混合し、第2の溶液を得た。
N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)の19.8g(0.200モル)と、MBAAmの0.154g(0.000999モル)と、リチウムフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィネート(Li−TPO)の0.059g(0.00020モル)と、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)56.8gとを混合し、第2の溶液を得た。
前記作製したポリマー粒子と第2の溶液とを、ポリマー粒子の質量/第2の溶液の質量で表される比(以下、「1st/2nd」ともいう。)が1/30となるように混合し、ポリマー粒子を均一に分散、膨潤させ、ハイドロゲル用液S1を得た。
1st/2ndを1/20に変更した以外は上記と同様の手順でハイドロゲル用液S2を、また、PBSを純水に変更した以外は上記と同様の手順でハイドロゲル用液S3を得た。
各ハイドロゲル用液の組成は以下の通りである。
各ハイドロゲル用液の組成は以下の通りである。
<樹脂組成等>
S1:PBS分散液、1st/2nd=1/30
S2:PBS分散液、1st/2nd=1/20
S3:純水分散液、1st/2nd=1/30
S1:PBS分散液、1st/2nd=1/30
S2:PBS分散液、1st/2nd=1/20
S3:純水分散液、1st/2nd=1/30
また、ハイドロゲル用液S3、ハイドロゲル用液S1にそれぞれイオン液体(1-Ethyl-3-methylimidazolium tetrafluoroborate(東京化成))をそれぞれハイドロゲル用液S3の等重量、ハイドロゲル用液S1の等重量混合してハイドロゲル用液S4、S5を得た。
[参考例1〜5:表面抵抗測定用のハイドロゲルシートの作製及び表面抵抗の測定方法]
厚さ3mmのシリコンゴムシートを3.5cm×3.5cmに切り出し、さらに中央部分から2.5cm×2.5cmをくり抜いて型を作製した。ポリスチレン製シャーレの蓋の上でその型にハイドロゲル用液S1〜S5をそれぞれ流し込み、上部から高圧水銀ランプ(ウシオ電機社製)を用いて、約10Wで表1に示す時間、紫外線を照射してハイドロゲルを硬化させた。硬化後、型から抜き出しハイドロゲルシートを得た。ハイドロゲルシートは、厚さ約2mmで、2cm×2cmのシートであった。
厚さ3mmのシリコンゴムシートを3.5cm×3.5cmに切り出し、さらに中央部分から2.5cm×2.5cmをくり抜いて型を作製した。ポリスチレン製シャーレの蓋の上でその型にハイドロゲル用液S1〜S5をそれぞれ流し込み、上部から高圧水銀ランプ(ウシオ電機社製)を用いて、約10Wで表1に示す時間、紫外線を照射してハイドロゲルを硬化させた。硬化後、型から抜き出しハイドロゲルシートを得た。ハイドロゲルシートは、厚さ約2mmで、2cm×2cmのシートであった。
上記で得られたハイドロゲルシートの表面抵抗を低抵抗率計(三菱化学社製 ロレスター−GP MCP−T600)でPSPプローブモードと測定形を選択し、測定に供するハイドロゲルシートの面積(この場合は2cm×2cm)を入力し、ハイドロゲルシートの表面に短針をしっかり押し付けてそれらの表面抵抗値を測定した。なお、表面抵抗値は、ゲルサンプル作成時から8分前後の経過後の測定値とした。結果は表1に示す。ゲルサンプル作成時から8分前後の経過後の表面抵抗値は、安定した計測を可能とする観点からは、その変化が小さいものが好ましい。
参考例1〜5のうち、参考例1,2,4,5は本発明の表面抵抗の規定を満たすが、参考例3は2.0×103〜12×103Ω/□であり、103Ω/□オーダー以下を満たさない。
[実施例1〜5]
1.ハイドロゲルブロックの調製(表2中、ゲル形状「B」と記載)
7.5mm×18mmのシリコンゴムシートを準備し、そこから6.5mm×17mmを切り出し、型枠を作成した。なお、この型枠は、バッファー溶液(10mM PBS:リン酸緩衝生理食塩水)を保持するためのシリコンゴムプールとしても使用した。その型にハイドロゲル用液を流し込み、上部から高圧水銀ランプ(ウシオ電機社製)を用いて、約10Wで所定時間(この照射時間はハイドロゲル用液毎に、表1に示す照射時間である。)照射してハイドロゲルを硬化させた。硬化後、型から抜き出しハイドロゲルブロックを得た。ハイドロゲルブロックは、厚さ約5mmで、約5mm×10mmのブロックであった。
1.ハイドロゲルブロックの調製(表2中、ゲル形状「B」と記載)
7.5mm×18mmのシリコンゴムシートを準備し、そこから6.5mm×17mmを切り出し、型枠を作成した。なお、この型枠は、バッファー溶液(10mM PBS:リン酸緩衝生理食塩水)を保持するためのシリコンゴムプールとしても使用した。その型にハイドロゲル用液を流し込み、上部から高圧水銀ランプ(ウシオ電機社製)を用いて、約10Wで所定時間(この照射時間はハイドロゲル用液毎に、表1に示す照射時間である。)照射してハイドロゲルを硬化させた。硬化後、型から抜き出しハイドロゲルブロックを得た。ハイドロゲルブロックは、厚さ約5mmで、約5mm×10mmのブロックであった。
2.ハイドロゲルシートの調製(表2中、ゲル形状「S」と記載)
シャーレを準備し、シャーレの蓋の上にハイドロゲル用液を載せ、シャーレの底部で押した状態で、上から紫外線を照射した。紫外線照射は上述に準じて実施した。調製したハイドロゲルシートは、厚さ約2mmであった。
シャーレを準備し、シャーレの蓋の上にハイドロゲル用液を載せ、シャーレの底部で押した状態で、上から紫外線を照射した。紫外線照射は上述に準じて実施した。調製したハイドロゲルシートは、厚さ約2mmであった。
<ハイドロゲル用の樹脂組成物>
上記ハイドロゲル用液と同様のものを用いた。尚、表2中の「サンプル」で、実施例1の「S3−pH4」なる記載は、ハイドロゲル用液S3に、pH4の標準液を、ハイドロゲル用液S3の重量と等重量分混合した組成を用いたハイドロゲルであることを意味する。実施例2も同様である。同様に、実施例4の「S2−イオン1/2」は、ハイドロゲル用液S2に、その重量の1/2重量分のイオン液体を混合した組成を用いたハイドロゲルを示す。また、実施例3の「S1−pH9スタンプ」は、ハイドロゲル用液S1からなるハイドロゲルシートに、pH9の標準液を滴下したことを意味する。実施例5の「S2−イオン1/2−pH9スタンプ」は、実施例4に更にpH9の標準液を滴下したことを意味する。
上記ハイドロゲル用液と同様のものを用いた。尚、表2中の「サンプル」で、実施例1の「S3−pH4」なる記載は、ハイドロゲル用液S3に、pH4の標準液を、ハイドロゲル用液S3の重量と等重量分混合した組成を用いたハイドロゲルであることを意味する。実施例2も同様である。同様に、実施例4の「S2−イオン1/2」は、ハイドロゲル用液S2に、その重量の1/2重量分のイオン液体を混合した組成を用いたハイドロゲルを示す。また、実施例3の「S1−pH9スタンプ」は、ハイドロゲル用液S1からなるハイドロゲルシートに、pH9の標準液を滴下したことを意味する。実施例5の「S2−イオン1/2−pH9スタンプ」は、実施例4に更にpH9の標準液を滴下したことを意味する。
<グラフェンセンサの作製>
まず、285nmの厚さに酸化シリコン膜が付され、さらに、あらかじめ蒸着法で成膜したNi/Au電極(40nm)をフォトリソグラフィ法でパターニングした、シリコンウェハを準備した。そのシリコンウェハ上に、銅箔上にCVD法で合成したグラフェン単層結晶膜を転写した。さらにグラフェンを、フォトリソグラフィ法でパターニングした。第一電極と第二電極のギャップは約5μm、ギャップ部の電極の幅は約10μm、電極の長さは約5mm、第三電極との間隔は約50μmであった。その後、Ar/H2雰囲気下に300℃で1時間アニールした。
まず、285nmの厚さに酸化シリコン膜が付され、さらに、あらかじめ蒸着法で成膜したNi/Au電極(40nm)をフォトリソグラフィ法でパターニングした、シリコンウェハを準備した。そのシリコンウェハ上に、銅箔上にCVD法で合成したグラフェン単層結晶膜を転写した。さらにグラフェンを、フォトリソグラフィ法でパターニングした。第一電極と第二電極のギャップは約5μm、ギャップ部の電極の幅は約10μm、電極の長さは約5mm、第三電極との間隔は約50μmであった。その後、Ar/H2雰囲気下に300℃で1時間アニールした。
<検出>
上述したハイドロゲルシートをグラフェンセンサの上に配置し、第三電極をゲート電極として使用し、−0.1V〜0.1Vまで掃引し、I−Vカーブを測定した。測定結果を表2に示す。なおゲートは、第一電極、第二電極に近接して設けられた電極である。なお、表2中の比較例は、ハイドロゲルを使用しない実施形態である。実施例における、印加前のΔI(第一電極と第二電極の間に発生した電流値の最大−大小の電流差)の測定値は、比較例と同等の電流値を得ることが好ましい。尚、表2中の「印加前」、「印加後」は、シリコンウェハの底面に−10V〜10Vのゲート電圧(ボトムゲート)を掃引し、グラフェン半導体に、ハイドロゲルと反対の面から印加する工程を意味する。この工程の前後にそれぞれ、第三電極(トップゲート)に−0.1V〜0.1Vを掃引し、I−Vカーブを測定した結果を意味する。
上述したハイドロゲルシートをグラフェンセンサの上に配置し、第三電極をゲート電極として使用し、−0.1V〜0.1Vまで掃引し、I−Vカーブを測定した。測定結果を表2に示す。なおゲートは、第一電極、第二電極に近接して設けられた電極である。なお、表2中の比較例は、ハイドロゲルを使用しない実施形態である。実施例における、印加前のΔI(第一電極と第二電極の間に発生した電流値の最大−大小の電流差)の測定値は、比較例と同等の電流値を得ることが好ましい。尚、表2中の「印加前」、「印加後」は、シリコンウェハの底面に−10V〜10Vのゲート電圧(ボトムゲート)を掃引し、グラフェン半導体に、ハイドロゲルと反対の面から印加する工程を意味する。この工程の前後にそれぞれ、第三電極(トップゲート)に−0.1V〜0.1Vを掃引し、I−Vカーブを測定した結果を意味する。
本実施例で示すとおり、電圧を印加することによりノイズが低減し、ΔIが向上する結果が得られた。このような効果は、ハイドロゲル内のイオンが電圧印加の電場により移動し、ハイドロゲルとグラフェンの接触(電気的な密着性)が十分に得られたものと考えられる。尚、第一電極と第二電極(SD電極)間の印加電圧は0.1Vである。
[比較例1]
ハイドロゲルブロックを作製する際に用いるシリコンゴムプールと同様にシリコンゴムプールを用意し、グラフェンセンサを覆うように圧着し、溶液プールを設けた。溶液プールを150μlのPBS−生理食塩水で満たし、測定したい1つのセットのSD電極の直上の溶液水面下に、Ag/AgCl標準電極を挿入した。前記参照電極のそばにマイクロピペットでpH4の標準液を30μl静かに滴下した。瞬時にSD電極間に流れる、検出SD電流が大きく変化し、安定するまでに5分かかった。
5分後に、参照電極に−0.1V〜0.1Vのゲート電圧を掃引し、SD電極間に流れる電流を計測したところ、68.2μAから66.6μAに変化し、伝達特性(I−Vカーブ)が測定できた。
ハイドロゲルブロックを作製する際に用いるシリコンゴムプールと同様にシリコンゴムプールを用意し、グラフェンセンサを覆うように圧着し、溶液プールを設けた。溶液プールを150μlのPBS−生理食塩水で満たし、測定したい1つのセットのSD電極の直上の溶液水面下に、Ag/AgCl標準電極を挿入した。前記参照電極のそばにマイクロピペットでpH4の標準液を30μl静かに滴下した。瞬時にSD電極間に流れる、検出SD電流が大きく変化し、安定するまでに5分かかった。
5分後に、参照電極に−0.1V〜0.1Vのゲート電圧を掃引し、SD電極間に流れる電流を計測したところ、68.2μAから66.6μAに変化し、伝達特性(I−Vカーブ)が測定できた。
[比較例2]
参考例3のハイドロゲル用液S3のみからなるハイドロゲルブロックを作製し、実施例1〜実施例5と同様にして測定した第一電極と第二電極間の電流値は、−10V〜10V印加前後でともに数十ピコアンペアのノイズのみで、求める半導体特性によるマイクロアンペアオーダーの電流は観測できなかった。
この結果は、ハイドロゲル用液S3の樹脂組成では、乾燥などにより、ハイドロゲルの抵抗が大きすぎ好ましくないことを意味する。
参考例3のハイドロゲル用液S3のみからなるハイドロゲルブロックを作製し、実施例1〜実施例5と同様にして測定した第一電極と第二電極間の電流値は、−10V〜10V印加前後でともに数十ピコアンペアのノイズのみで、求める半導体特性によるマイクロアンペアオーダーの電流は観測できなかった。
この結果は、ハイドロゲル用液S3の樹脂組成では、乾燥などにより、ハイドロゲルの抵抗が大きすぎ好ましくないことを意味する。
[実施例6]
市販の2液混合型のハイドロゲル用樹脂アクアジョイント(日産化学))のB液を10ccのサンプル瓶に1.8cc入れ、さらに1.8ccのPBSと混合し、気泡が発生しないように静かに撹拌した。そこに1.8ccのA液を混合し、静かに撹拌し、ハイドロゲルを得た。さらに前記ハイドロゲルに2.5ccのPBSを加え、8か月保管し、膨潤させた。その結果、スポイトで吸い取り、滴下した状態で垂直においても、液滴状態を保持する状態のハイドロゲルを得ることができた。
市販の2液混合型のハイドロゲル用樹脂アクアジョイント(日産化学))のB液を10ccのサンプル瓶に1.8cc入れ、さらに1.8ccのPBSと混合し、気泡が発生しないように静かに撹拌した。そこに1.8ccのA液を混合し、静かに撹拌し、ハイドロゲルを得た。さらに前記ハイドロゲルに2.5ccのPBSを加え、8か月保管し、膨潤させた。その結果、スポイトで吸い取り、滴下した状態で垂直においても、液滴状態を保持する状態のハイドロゲルを得ることができた。
<グラフェンセンサの作製>で記載した、Ar/H2アニールした前述のグラフェンを、10mMのピレン−スクシンイミジルエステル(リンカー)(1-Pyrenebutyric acid N-hydroxysuccinimide ether)で処理し、さらに、IgE(グロブリンE抗体)の捕獲体であるIgEアプタマで修飾し、未修飾のリンカーをエタノールアミンでマスキングした。
前述のハイドロゲルをグラフェン上に30μl滴下し、図5に示すようなハイドロゲル層をグラフェン上に設けた。そのハイドロゲル層の上から、図2のように10nMのIgEを5μl滴下したところ、第三電極に−0.1V〜0.2Vゲート電圧を掃引し、良好なI−Vカーブのプラス側へのシフトが計測された。このI−Vカーブのシフトの大きさは、IgE捕獲体であるIgEアプタマにIgE抗体が捕獲され、その電荷をグラフェンが感知し、その電荷を中和するグラフェンの電位変化であり、IgEの濃度と、そのI−Vカーブのシフトと相関する。次いで700n MのIgEを同様に滴下したところ、同様にI−Vカーブのシフトが計測された。いずれも、SD電極間の電流は250μAと十分良い感度を示した。
尚、前述のハイドロゲルを樹脂製シャーレの上に、20mmφで厚み約5mmの円形になるように滴下し、低抵抗率計(三菱化学社製 ロレスター−GP MCP−T600)でPSPプローブモードと測定形を選択し、測定に供するゲルの面積(この場合は20mm)を入力し、ハイドロゲルシートの表面に短針をさしこみ、それらの抵抗値を測定したところ、8.2×103Ω/□であった。
前述のハイドロゲルをグラフェン上に30μl滴下し、図5に示すようなハイドロゲル層をグラフェン上に設けた。そのハイドロゲル層の上から、図2のように10nMのIgEを5μl滴下したところ、第三電極に−0.1V〜0.2Vゲート電圧を掃引し、良好なI−Vカーブのプラス側へのシフトが計測された。このI−Vカーブのシフトの大きさは、IgE捕獲体であるIgEアプタマにIgE抗体が捕獲され、その電荷をグラフェンが感知し、その電荷を中和するグラフェンの電位変化であり、IgEの濃度と、そのI−Vカーブのシフトと相関する。次いで700n MのIgEを同様に滴下したところ、同様にI−Vカーブのシフトが計測された。いずれも、SD電極間の電流は250μAと十分良い感度を示した。
尚、前述のハイドロゲルを樹脂製シャーレの上に、20mmφで厚み約5mmの円形になるように滴下し、低抵抗率計(三菱化学社製 ロレスター−GP MCP−T600)でPSPプローブモードと測定形を選択し、測定に供するゲルの面積(この場合は20mm)を入力し、ハイドロゲルシートの表面に短針をさしこみ、それらの抵抗値を測定したところ、8.2×103Ω/□であった。
[実施例7]
実施例6と同様にしてIgEアプタマ修飾したところに、参考例1のハイドロゲルシートを4mm×4mmに切り出し図1のように設置した。ハイドロゲルの中心底面近傍に、10nMのIgEを5μlマイクロピペットで注入し、さらに700nMのIgEを5μlマイクロピペットで注入したところ、それぞれにおいて、良好なI−Vカーブのシフトが計測され、IgEが良好に検出された。
実施例6と同様にしてIgEアプタマ修飾したところに、参考例1のハイドロゲルシートを4mm×4mmに切り出し図1のように設置した。ハイドロゲルの中心底面近傍に、10nMのIgEを5μlマイクロピペットで注入し、さらに700nMのIgEを5μlマイクロピペットで注入したところ、それぞれにおいて、良好なI−Vカーブのシフトが計測され、IgEが良好に検出された。
[比較例3]
実施例6と同様にしてIgEアプタマ修飾したところに、直接IgEを10μl滴下したところ、第三電極(ゲート電極)にゲート電圧を−0.1V〜0.2Vまで掃引したが、SD電極間の電流が安定せず、測定ができなかった。
実施例6と同様にしてIgEアプタマ修飾したところに、直接IgEを10μl滴下したところ、第三電極(ゲート電極)にゲート電圧を−0.1V〜0.2Vまで掃引したが、SD電極間の電流が安定せず、測定ができなかった。
1 基板
2 第一の電極
3 第二の電極
4 第三の電極
5 半導体層
6 ハイドロゲル層
7 検体
8 シリンジ
9 検体を核酸、湿潤させたハイドロゲル層
2 第一の電極
3 第二の電極
4 第三の電極
5 半導体層
6 ハイドロゲル層
7 検体
8 シリンジ
9 検体を核酸、湿潤させたハイドロゲル層
Claims (6)
- 少なくとも、基板、第一の電極、第二の電極及び第三の電極を有するセンサであって、該第一の電極と該第二の電極の間に半導体層が設けられ、該半導体層にハイドロゲル層が接触し、該ハイドロゲル層の表面抵抗が102〜103Ω/□オーダーであることを特徴とする電荷検出型半導体センサ。
- 前記ハイドロゲル層が、光硬化性樹脂組成物で形成される、請求項1に記載の電荷検出型半導体センサ。
- 前記半導体層に検出対象物質の捕捉体が保持されている、請求項1又は2に記載の電荷検出型半導体センサ。
- 前記半導体層がグラフェンを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の電荷検出型半導体センサ。
- 以下の工程(1)〜(3)をこの順で含む、電荷検出型半導体センサの製造方法。
(1) 基板、第一の電極、第二の電極及び第三の電極を含み、該第一の電極と該第二の電極の間に半導体層が設けられた半導体センサ本体を準備する工程
(2) 該半導体層に検体を供する工程
(3) ハイドロゲル層を該半導体層上に積層する工程 - 以下の工程(I),(II)を含む、半導体センサの使用方法。
(I) 請求項1〜4のいずれかに記載の電荷検出型半導体センサを準備する工程
(II) 前記ハイドロゲル層に検体を供し、前記半導体層に検体を接触させる工程
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019066202A JP2020165790A (ja) | 2019-03-29 | 2019-03-29 | 電荷検出型半導体センサ |
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ID=72715281
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JP2019066202A Pending JP2020165790A (ja) | 2019-03-29 | 2019-03-29 | 電荷検出型半導体センサ |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020165790A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022070636A1 (ja) | 2020-09-30 | 2022-04-07 | 日本製鉄株式会社 | 鋼板、及び鋼板の製造方法 |
-
2019
- 2019-03-29 JP JP2019066202A patent/JP2020165790A/ja active Pending
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