JP2020165621A - 蓄熱材シート - Google Patents

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JP2020165621A JP2019068729A JP2019068729A JP2020165621A JP 2020165621 A JP2020165621 A JP 2020165621A JP 2019068729 A JP2019068729 A JP 2019068729A JP 2019068729 A JP2019068729 A JP 2019068729A JP 2020165621 A JP2020165621 A JP 2020165621A
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Abstract

【課題】可撓性シートが破れても潜熱蓄熱物質からなる内容物が漏れ出すことがない蓄熱材シートを実現する。【解決手段】本発明の蓄熱材シート(10)は、複数の蓄熱ユニット(U)を備え、蓄熱ユニット(U)は、可撓性シート1により構成された空間部(1c)と、空間部(1c)に配置された潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物(2)と、を備えた構成である。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄熱材シートに関する。
従来、物品の保温もしくは保冷、空気調和、または熱交換等といった用途に、シート状の蓄熱材が提案されている。例えば、特許文献1には、多数の独立した空気室を有する可撓性シートを構成し、これら空気室に潜熱蓄熱物質を充填した潜熱蓄熱シートが開示されている。
特開2000−46488号公報
しかしながら、特許文献1に開示された潜熱蓄熱シートでは、潜熱蓄熱物質が液体であるため、可撓性シートの破れにより潜熱蓄熱物質が漏れ出すといった問題がある。
本発明の一態様は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、可撓性シートが破れても潜熱蓄熱物質からなる内容物が漏れ出すことがない蓄熱材シートを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る蓄熱材シートは、互いに連結した複数の蓄熱ユニットを備え、前記蓄熱ユニットは、可撓性シートにより構成された空間部と、前記空間部に配置された潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物と、を備えたことを特徴としている。
本発明の一態様によれば、可撓性シートが破れても潜熱蓄熱物質からなる内容物が漏れ出すことがない蓄熱材シートを実現できる。
本発明の実施形態に係る蓄熱材シートの概略構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のI−I線断面図である。 図1の(a)および(b)に示す蓄熱材シートを折り曲げた構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。 図1に示す蓄熱材シートが適用可能なグリット型システム天井の概略構成を示す斜視図である。
本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上B以下」を意図する。
1.蓄熱材シート10の構成
以下、本実施形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る蓄熱材シート10の概略構成を示し、図1の(a)は平面図であり、図1の(b)は図1の(a)のI−I線断面図である。
図1の(a)および(b)に示されるように、本実施形態に係る蓄熱材シート10は、可撓性シート1と、可撓性シート1内に形成された複数の蓄熱ユニットUと、を備えている。可撓性シート1は、矩形形状であり、蓄熱ユニットUは、可撓性シート1の長辺方向および短辺方向において、並列して配置している。また、互いに隣り合う2つの蓄熱ユニットUの間には、ミシン目3が設けられている。
図1の(b)に示されるように、蓄熱ユニットUは、可撓性シート1により構成された空間部1cと、空間部1cに配置された潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物2と、を備えている。ここでいう「配置」とは、空間部1cに硬化物2が存在していることを意味する。硬化物2が存在する形態は、特に限定されない。硬化物2の存在形態として、例えば、空間部1cを構成する可撓性シート1との間に隙間がある状態で硬化物2が存在する形態、可撓性シート1との間で隙間なく硬化物2が存在する(すなわち、空間部1cに硬化物2が充填された形態)等が挙げられる。なお、図1に示された構成では、空間部1cに硬化物2が充填された構成が示されている。本実施形態に係る蓄熱材シート10では、空間部1cに配置されている蓄熱材が硬化物2であり、固体である。それゆえ、可撓性シート1が破れても、潜熱蓄熱物質からなる内容物が漏れ出すことがない。
硬化物2が配置された、複数の空間部1cは、可撓性シート1内にて、独立して形成されている。このような空間部1cが形成された可撓性シート1は、例えば、2つのフィルム1aおよび1bを重ね合せて、重ね合せたフィルム1aおよび1bを格子状にシール処理を行うことにより構成される。前記シール処理は、フィルムによる内容物の封止に使用し得る従来公知の技術であれば適用可能である。例えば、従来公知のシール装置を用いて、フィルム1aおよび1bを融着することにより、空間部1cが形成された可撓性シート1を製造することができる。
また、本実施形態に係る蓄熱材シート10は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、フィルム1aおよび1bのシール処理の前に、フィルム1aおよび1bの何れか一方のフィルムにおける空間部1cの形成領域に、硬化前の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を塗布する。次いで、フィルム1aおよび1bのうち潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が塗布されていない他方のフィルムを一方のフィルムに重ね合せ、上述のシール処理を行う。そして、当該シール処理によってフィルム1aおよび1b間に封止された潜熱蓄熱材含有樹脂組成物に対して硬化処理を行うことにより蓄熱材シート10が製造される。なお、当該硬化処理は、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物に含まれる反応硬化型液状樹脂が、例えば熱硬化樹脂である場合、フィルム1aおよび1bのシール処理により潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を封止した後、封止された潜熱蓄熱材含有樹脂組成物に対して加熱する処理である。また、紫外線硬化樹脂である場合、フィルム1aおよび1bのシール処理により潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を封止した後、封止された潜熱蓄熱材含有樹脂組成物に対して紫外線照射する処理である。さらに、反応硬化型液状樹脂が硬化剤の添加により硬化する液状の樹脂である場合、前記硬化処理は、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物中に封止直前に硬化剤を添加して硬化前に封止する処理である。上述した製造方法により、空間部1cに潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物2が充填された蓄熱材シート10を製造することができる。
また、本実施形態に係る蓄熱材シート10では、可撓性シート1の空間部1c内の内容物は、硬化物2であり固体である。それゆえ、予め小片状に成形された潜熱蓄熱材含有樹脂の硬化物2をフィルム1aおよび1bの間に供給した後にシール処理を施しても蓄熱材シート10を製造することができる。このような製造方法により、空間部1cを構成する可撓性シート1との間に隙間がある状態で硬化物2が存在する形態の蓄熱材シート10を製造することができる。
本実施形態に係る蓄熱材シート10は、例えば、建材に取り付けて使用される。このように建材用途で蓄熱材シート10を使用する場合、以下の(a)および(b)が課題となる。
(a)建材の寸法などに応じて蓄熱材シート10の形状を適合させることが困難であり、建材に対する蓄熱材シート10の施工性がよくない。
(b)潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の融解時に建材に取り付けても外気温が低下して潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が結晶化したとき、蓄熱材シート10に応力が発生する。そして、この応力の発生により硬化物2に反りが生じ、蓄熱材シート10が建材の取り付け部から剥れるおそれがある。
ここで、本実施形態に係る蓄熱材シート10は、可撓性シート1に上述した蓄熱ユニットUが複数設けられた構成となっている。より具体的には、可撓性シート1内に互いに独立した空間部1cが形成されており、この空間部1c内に潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物2が配置された構成となっている。換言すれば、可撓性シート1内において、フィルム1aおよび1bのシール処理部によって形成された所定の領域(空間部1c)それぞれに硬化物2が小分けされて配置された構成となっている。
このため、蓄熱材シート10を折り畳むことにより、蓄熱材シート10の寸法設定の自由度が増す。図2は、図1の(a)および(b)に示す蓄熱材シート10を折り曲げた構成を示し、図2の(a)は平面図であり、図2の(b)は側面図である。図2の(a)および(b)に示されるように、長手方向において、蓄熱材シート10を3列毎に折り畳むことにより、蓄熱材シート10の長手方向の寸法を略1/5に縮小することが可能である。また、短手方向において、蓄熱材シート10を折り畳むことにより、蓄熱材シート10の短手方向の寸法を比較的自由に設定することもできる。このように蓄熱材シート10の構成によれば、可撓性シート1内で潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物2が小分けされて配置されているので、蓄熱材シート10の長手方向および短手方向の寸法設定の自由度が増す。それゆえ、容易に建材の寸法などに応じて蓄熱材シート10の形状を適合させることができ、施工性が向上する。すなわち、前記(a)の課題を解決し得る。
また、本実施形態に係る蓄熱材シート10によれば、互いに隣り合う2つの蓄熱ユニットUの間には、ミシン目3が設けられている。このため、容易に蓄熱材シート10を折り畳むことができる。それゆえ、建材に対する蓄熱材シート10の寸法合わせが容易になる。
また、本実施形態によれば、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が結晶化したとき、蓄熱材シート10に応力が発生しても、個々の蓄熱ユニットUの硬化物2に応力が分散される。このため、個々の蓄熱ユニットUの硬化物2に歪みが発生しても、歪みによる反りが分断される。それゆえ、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の結晶化の際の蓄熱材シート10の反りを極めて小さくできるので、蓄熱材シート10が建材の取り付け部から剥れることを抑制できる。すなわち、前記(b)の課題を解決し得る。
また、本実施形態に係る蓄熱材シート10は、タッカー等により建材に留めることが可能であるので、施工現場での蓄熱材シート10の施工性が改善される。
また、図1に示される構成では、可撓性シート1は、2つのフィルム1aおよび1bにより構成されていた。しかし、可撓性シート1の構成は、空間部を形成可能な構成であれば特に限定されない。例えば、可撓性シート1は、3つのフィルムが重なっており、真中のフィルムと上側のフィルムとの間、および真中のフィルムと下側のフィルムとの間に、空間部が形成された構成であってもよい。
2.硬化物2を構成する潜熱蓄熱材含有樹脂組成物について
硬化物2に使用される潜熱蓄熱材含有樹脂組成物(以下、「本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物」とも称する。)は、(1)潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が凝固状態(固体)から溶融状態(液体)に相転移する際に熱エネルギーを吸収すること、および、(2)潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が溶融状態(液体)から凝固状態(固体)に相転移する際に熱エネルギーを放出すること、を用いた潜熱型の蓄熱材として利用できるものである。
例えば、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、凝固状態から溶融状態に相転移する際に熱エネルギーを吸収することによって、高温環境下(例えば、夏)においても、例えば室内の温度を、環境温度以下の所望の温度に保持することができる。さらに、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、溶融状態から凝固状態に相転移する際に熱エネルギーを放出することによって、低温環境下(例えば、冬)においても、例えば室内の温度を、環境温度以上の所望の温度に保持することができる。つまり、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物によれば、高温環境下および低温環境下の何れであっても、例えば室内の温度を、所望の温度(例えば、15〜30℃)に維持することができる。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、無機系潜熱蓄熱材組成物を樹脂に練りこんで硬化させることを特徴としており、それ故、マイクロカプセル化が不要でありながらも、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度以上での潜熱蓄熱材組成物の漏洩を防止することができる。また、加工性の良いシート状等に成形することも可能である。さらに、基材樹脂の種類や物性(粘弾性等)を変化させることで、例えば建材と組み合わせやすいように硬さ等を調節することができる。そのため、建築現場において、安全性が高く、かつ、容易に施工可能な潜熱蓄熱材組成物を提供することができる。
さらには、基材樹脂が潜熱蓄熱材組成物の相変化温度に影響を与えず、潜熱蓄熱材組成物の融解温度にかかわらず常に固体形状を保っているため、容器が不要となる利点も有する。
本実施形態に使用される潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、融解温度+25℃に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物が、反応硬化型液状樹脂中に分散されてなる。
さらに、本実施形態に使用される別の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、無機系潜熱蓄熱材組成物および反応硬化型液状樹脂を含み、前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、増粘剤を含み、前記反応硬化型液状樹脂は、下記を満たす:前記反応硬化型液状樹脂を硬化させて厚さ1mmの硬化物としたとき、当該硬化物は、40℃かつ湿度90%における水蒸気透過度が500g/m・日未満である。
以下、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物について詳細に説明する。
〔2−1.無機系潜熱蓄熱材組成物〕
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、融解温度を超える温度で加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物を含む。無機系潜熱蓄熱材組成物が固液分離する、とは、例えば、無機系潜熱蓄熱材組成物を適当な容器に入れて一定時間静置した際に、固体部分が沈殿し、水分が漏出して上澄みとして分離する状態のことを言う。無機系潜熱蓄熱材組成物が固液分離すると、組成物中に含まれる蓄熱材を構成している水和塩の構造が変化するため、蓄熱性能が失われる可能性がある。また、無機系潜熱蓄熱材組成物が、融解温度を超える温度で加熱しても固液分離しない性質を有することにより、それを用いた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度以上においても流動しないという利点を有する。
本実施形態に使用される無機系潜熱蓄熱材組成物は、融解温度+25℃に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物であり、融解温度+25℃以上に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物であることが好ましく、融解温度+30℃以上に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物であることがより好ましい。また、その加熱温度の上限は、無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる無機系潜熱蓄熱材と増粘剤との適当な混合の観点から、融解温度+40℃以下に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物であることが好ましく、蓄熱材組成物の融解温度+40℃以上の温度環境下において、ゲル状であり、固液分離しないことが特に好ましい。なお、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の使用環境下の温度に特に制限はない。無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる、無機系潜熱蓄熱材(例えば、水和塩)と増粘剤との適当な混合比率の観点から、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、蓄熱材組成物の融解温度+40℃以下で使用されることが好ましい。
本明細書において「ゲル状」とは、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+25℃で測定したときの粘度が5〜25Pa・sの範囲である状態を意味する。ゲル状の定義における粘度の測定は、振動粘度計(音叉振動式レオメーターとも称される。)により測定された値とする。
無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる潜熱蓄熱材としては、無機系である限り特に限定されない。「潜熱蓄熱材」とは、潜熱型の蓄熱材として機能する成分を意図する。本実施形態に使用される無機系潜熱蓄熱材としては、例えば、酢酸ナトリウム3水和物(融解温度58℃)、チオ硫酸ナトリウム5水和物(融解温度48.5℃)、硫酸ナトリウム10水和物(融解温度32.4℃)、塩化カルシウム2水和物(融解温度176℃)、塩化カルシウム6水和物(融解温度29.8℃)、リン酸水素二ナトリウム12水和物(融解温度35.2℃)、炭酸ナトリウム10水塩(融解温度33℃)等の水和塩等が挙げられる。なかでも、人間の住環境を想定した温度帯、耐久性および臭い等の観点から、塩化カルシウム6水和物が最も好ましい。また、国際公開第2017/164304号に記載の無機系潜熱蓄熱材も、本実施形態における無機系潜熱蓄熱材として使用され得る。
本実施形態に使用される無機系潜熱蓄熱材組成物(以下、「本無機系潜熱蓄熱材組成物」とも称する。)は、前記無機系潜熱蓄熱材の他に、融点調整剤、過冷却防止剤および増粘剤を含み得る。
融点調整剤は、潜熱蓄熱材組成物の融解温度および凝固温度を調節する機能を有する。よって、融点調整剤は、凝固点降下剤と言い換えることもできる。
本無機系潜熱蓄熱材組成物は、融点調整剤として、好ましくは、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウム、臭化鉄、臭化亜鉛、臭化バリウム等の金属臭化物、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、塩化鉄、塩化亜鉛、塩化コバルト等の金属塩化物から選ばれる融点調整剤を挙げることができる。中でも、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム等は、融点調整効果が大きいため、好ましい。これらは、単独あるいは2種以上を混合して使用することもできる。
本無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる融点調整剤の量は、特に限定されない。例えば、無機系潜熱蓄熱材として塩化カルシウム6水和物が用いられる場合、無機系潜熱蓄熱材1.0モルに対して、融点調整剤の合計含有量が、0.05モル以上2.0モル以下であることが好ましく、0.1モル以上1.5モル以下であることがより好ましく、0.15モル以上1.0モル以下であることがさらに好ましい。前記構成であれば、本無機系潜熱蓄熱材組成物を含む蓄熱材シート4Bを壁材、床材、天井材、屋根材等の建材に用いる際に、当該建材で覆われた空間を適切な温度に高精度で維持できる。例えば、無機系潜熱蓄熱材1.0モルに対して、融点調整剤の合計含有量が、0.05モル以上2.0モル以下である場合、室内の温度を15〜30℃の温度範囲で維持できるため、好ましい。なお、無機系潜熱蓄熱材として塩化カルシウム6水和物以外のものが使用される場合、本無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる融点調整剤の量は、適宜設定され得る。
本無機系潜熱蓄熱材組成物は、金属臭化物および金属塩化物以外の融点調整剤を含んでいてもよい。当該融点調整剤としては、例えば、アンモニウム塩、金属臭化物および金属塩化物以外の金属ハロゲン化物、金属非ハロゲン化物、尿素等を挙げることができる。
前記アンモニウム塩としては、臭化アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、カルバミン酸炭酸水素アンモニウム、ギ酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等を挙げることができる。
ただし、アンモニウム塩は、取扱いに注意を要する物質であり、かつ、不快なアンモニア臭を発生させて環境に大きな影響を及ぼす懸念がある。このようなアンモニウム塩の弊害を生じることの無い潜熱蓄熱材組成物を実現するという観点から、本無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれるアンモニウム塩の量(換言すれば含有量)は、蓄熱材組成物の1重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることがさらに好ましく、0.01重量%以下であることがさらに好ましく、0重量%であることが特に好ましい。
前記金属臭化物および金属塩化物以外の金属ハロゲン化物としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等を挙げることができる。
前記金属非ハロゲン化物としては、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ギ酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、酢酸カリウム、リン酸カリウム、水素化ホウ素カリウム、ギ酸カリウム、シュウ酸カリウム、炭酸カリウム、グルタミン酸カリウム、水酸化カリウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、グルタミン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物で覆われた空間の温度を所望の温度により精度良く調節するという観点から、本無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる金属臭化物および金属塩化物以外の金属ハロゲン化物の量は、例えば、無機系潜熱蓄熱材として塩化カルシウム6水和物が用いられる場合、無機系潜熱蓄熱材1.0モルに対して1.0モル以下であることが好ましく、0.5モル以下であることがより好ましく、0.3モル以下であることがさらに好ましい。なお、無機系潜熱蓄熱材として塩化カルシウム6水和物以外のものが使用される場合、本無機系潜熱蓄熱材組成物に含まれる金属臭化物および金属塩化物以外の金属ハロゲン化物の量は、適宜設定され得る。
本無機系潜熱蓄熱材組成物は、過冷却防止剤を含んでいてもよい。「過冷却防止剤」は、「核剤」または「核形成剤」とも称する。過冷却防止剤は、特に限定されないが、例えば、ピロリン酸ナトリウム10水和物、四ホウ酸ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム1水和物、炭酸ナトリウム10水和物、臭素酸バリウム1水和物、硫酸カルシウム2水和物、ミョウバン、ピロリン酸二水素二ナトリウム6水和物、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化アルミニウム、リン酸水素二ナトリウム12水和物、亜リン酸水素二ナトリウム5水和物、リン酸三ナトリウム12水和物、リン酸二水素ナトリウム2水和物、フッ化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム6水和物、硫化バリウム、酒石酸カルシウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム6水和物、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、ケイ酸塩、二酸化ケイ素(シリカ)、氷晶石等からなる群より選ばれる過冷却防止剤を挙げることができる。
過冷却防止剤は、比較的少量の添加で過冷却を防止でき、かつ入手が容易である。そのため、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、過冷却防止剤は、好ましく使用できる。
過冷却防止剤は使用する無機系潜熱蓄熱材に対応して、適宜選定して使用することが好ましい。例えば、無機系潜熱蓄熱材が酢酸ナトリウム3水塩の場合、ピロリン酸ナトリウム10水塩が好ましく選ばれ得る。また、無機系潜熱蓄熱材組成物がチオ硫酸ナトリウム5水塩および/または硫酸ナトリウム10水塩の場合、四ホウ酸ナトリウム10水塩が好ましく選ばれ得る。
増粘剤は、無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度を増加させることができるものであり、無機系潜熱蓄熱材組成物をゲル状にできるともいえる。前記増粘剤は、無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度を増加させることができる限り、特に限定されない。前記増粘剤は、前記増粘剤は、吸水性樹脂、アタパルジャイト粘土、ゼラチン、寒天、シリカゲル、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース、蒟蒻などが挙げられる。前記吸水性樹脂としては、澱粉系樹脂、アクリル酸塩系樹脂、ポバール系樹脂、カルボキシメチルセルロース系樹脂等が挙げられる。本明細書において、「増粘剤」は「ゲル化剤」ともいえ、「増粘剤」および「ゲル化剤」は相互置換可能である。
前記増粘剤としては、イオン性増粘剤であってもよく、ノニオン性増粘剤であってもよい。特に、無機系潜熱蓄熱材組成物が無機系潜熱蓄熱材として無機塩を含有する場合、当該無機塩は溶解してイオンの状態になっていることが多いため、無機系潜熱蓄熱材組成物中に溶解している無機イオンに影響を与えないことから、ノニオン性増粘剤が好ましい。
前記ノニオン性増粘剤としては、例えば、グアーガム、デキストリン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、前記増粘剤は、吸水性樹脂、アタパルジャイト粘土、ゼラチン、寒天、シリカゲル、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース、蒟蒻およびヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される、少なくとも1種であることが好ましい。
本無機系潜熱蓄熱材組成物は、含有する無機塩の濃度に依存して、温度変化により、経時的に、無機塩の析出が起こる場合がある。本無機系潜熱蓄熱材組成物が、増粘剤を含む場合、増粘剤は無機系潜熱蓄熱材組成物をゲル状にするだけでなく、溶解している無機塩のイオンを効率的に分散することにより、無機塩の析出を抑止することができる。
例示した増粘剤の中でも、無機系潜熱蓄熱材組成物中に溶解している無機イオンに影響を与えないノニオン性の増粘剤が好ましく、ノニオン性の増粘剤の中でも、ゲルの安定性に優れており環境適合性の高いヒドロキシエチルセルロースが特に好ましい。
本無機系潜熱蓄熱材組成物が増粘剤を含む場合、増粘剤は、当該無機系潜熱蓄熱材組成物の融解/凝固挙動にも影響を与えず、かつ無機系潜熱蓄熱材組成物が高い融解潜熱量を維持することを可能とする。また、本無機系潜熱蓄熱材組成物が増粘剤を含むことにより、得られる潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の使用が想定される環境温度下でのヒートサイクル試験後も固液分離しないものとなる。
さらに、本無機系潜熱蓄熱材組成物が増粘剤を含むことにより、仮に、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物から無機系潜熱蓄熱材組成物が漏洩した場合であっても、漏洩時の環境負荷、および無機系潜熱蓄熱材組成物の回収時の作業負荷を低減することが可能となる。
なお、本発明の一実施形態では、ポリエステルと、常温にて揮発性を有する有機溶剤と金属酸化物とを主成分とする混合物は、増粘剤の範囲に含めない。また、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の難燃性をより高くするために、増粘剤としては、常温にて揮発性を有する有機溶剤の含有量が少ないことが好ましく、常温にて揮発性を有する有機溶剤を実質的に含まないことが好ましい。具体的には、増粘剤における常温にて揮発性を有する有機溶剤の含有量は、1000ppm以下であることが好ましい。常温にて揮発性を有する有機溶剤としては、単環芳香族化合物が挙げられ、例えば、ベンゼル、トルエン、キシレン、エチレンベンゼン、クメン、パラシメン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピルなどが挙げられる。増粘剤における単環芳香族化合物の含有量は、1000ppm以下であることが好ましい。増粘剤における、ベンゼル、トルエン、キシレン、エチレンベンゼン、クメン、パラシメン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルおよびフタル酸ジプロピルからなる群より選択される1種以上の化合物の合計の含有量は、1000ppm以下であることが好ましい。
本無機系潜熱蓄熱材組成物は、好ましくは、塩化カルシウム6水和物、融点調整剤、(過冷却防止剤)および増粘剤を含む。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、前記成分の他に、相分離防止剤(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸もしくはオレイン酸等の脂肪酸、またはオレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、メタリン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、もしくはイソステアリン酸カリウム等の脂肪酸塩)、香料、着色剤、抗菌剤、高分子ポリマー、その他の有機化合物、または、その他の無機化合物等を、必要に応じて含有してもよい。「相分離防止剤」は、「増粘補助剤」と称する場合もある。
本無機系潜熱蓄熱材組成物は、融解潜熱量が高いことが好ましい。無機系潜熱蓄熱材組成物の融解潜熱量は、80J/g以上であることが好ましく、100J/g以上であることがより好ましく、120J/g以上であることがさらに好ましく、140J/g以上であることが特に好ましい。無機系潜熱蓄熱材組成物の融解潜熱量は、示差走査型熱量計を用いて測定することができる。例えば、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメント社製:SII EXSTAR6000 DSC)を用いて、無機系潜熱蓄熱材組成物の温度を、3.0℃/分の速度にて−20℃から50℃へ降温させた後、同じ速度にて50℃から−20℃へ昇温させたときに得られるDSC曲線から、求めることができる。
〔2−2.反応硬化型液状樹脂〕
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、反応硬化型液状樹脂を含む。
本明細書において「反応硬化型液状樹脂」とは、加熱処理、硬化剤の添加および/または紫外線の照射等により硬化する液状の樹脂を意味する。反応硬化型液状樹脂は、本発明の一実施形態に係る効果を奏するかぎり特に限定されない。反応硬化型液状樹脂は、例えば、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、レゾール型フェノール系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン等が挙げられる。硬化させやすさの観点から、好ましくは、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂が使用される。その他、反応硬化型液状樹脂について、特開2016−166754号公報を適宜援用できる。
本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、前記反応硬化型液状樹脂は、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群より選択される、少なくとも1種であることが好ましい。
潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の難燃性をより高くするために、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、有機系材料を多量に含まないことが好ましい。例えば、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物における有機材料の含有量は、反応硬化型液状樹脂100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましい。
当該構成であれば、吸湿性がより低い潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を提供できる。
前記シリコーン系樹脂は、特に限定されることなく、従来公知の各種シリコーン系樹脂が使用できる。例えば、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素基(以下、「反応性ケイ素基」と称する。)を有する重合体(以下、「基材樹脂」と称する。)、および、シラノール縮合触媒を含む液状樹脂組成物を硬化してなる変成シリコーン樹脂であり得る。以下、前記変成シリコーン系樹脂を構成する基材樹脂(A)およびシラノール縮合触媒(B)について、詳述する。
<基材樹脂(A)>
基材樹脂(A)は、重合体(a)70〜100重量部と反応性可塑剤(b)0〜30重量部とからなる。重合体(a)は、分子鎖中に反応性ケイ素基を1.0個以上2.0個以下有し、主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される。重合体(a)は、シラノール縮合触媒(B)によって縮合反応が起こり、架橋することによって高分子状となり、硬化する。反応性可塑剤(b)は、分子鎖の片末端に反応性ケイ素基を1.0個以下有し、主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される。反応性可塑剤(b)は、シラノール縮合触媒(B)によって縮合反応が起こり、重合体(a)中の反応性ケイ素基と架橋することによって高分子状となり、硬化する。
重合体(a)に含まれる反応性ケイ素基の数は、分子鎖中に1.0個以上2.0個以下である。シラノール縮合触媒(B)によって縮合反応するという点から、重合体1分子中に平均して少なくとも1.0個必要であり、好ましくは1.1個以上、より好ましくは1.2個以上存在するのが好ましい。
反応性可塑剤(b)含まれる反応性ケイ素基の数は、分子鎖の片末端に1.0個以下である。シラノール縮合触媒(B)によって重合体(A)と部分的に縮合反応して架橋するという点から、重合体1分子中に平均して少なくとも0.3個必要であり、好ましくは0.4個以上、より好ましくは0.5個以上存在するのがよい。
反応性ケイ素基の平均個数は、H−NMR機器を用いて定量する方法により求めることができる。
基材樹脂(A)中に含有される反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合したヒドロキシ基または加水分解性基を有し、シラノール縮合触媒によって加速される反応によりシロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。反応性ケイ素基としては、一般式(1)にて示されるトリオルガノシロキシ基が挙げられる。
Figure 2020165621
(一般式(1)中、Rは、それぞれ独立に炭素原子数1から20のアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、炭素原子数7から20のアラルキル基、または、−OSi(R’)(R’は、それぞれ独立に炭素原子数1から20の炭化水素基である)であり、また、Xは、それぞれ独立にヒドロキシ基または加水分解性基である。さらに、pは1から3の整数である。)。
加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、および、アルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
加水分解性基および/またはヒドロキシ基は、1個のケイ素原子に1から3個の範囲で結合することができる。加水分解性基および/またはヒドロキシ基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
上記一般式(1)におけるpは、硬化性の点から、2または3であることが好ましく、特に速硬化性を求める場合には3であることが好ましく、貯蔵中の安定性を求める場合には2であることが好ましい。
前記一般式(1)におけるRの具体例としては、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。前記一般式(1)におけるRの具体例としては、例えば、R’がメチル基、フェニル基等である−OSi(R’)で示されるトリオルガノシロキシ基、クロロメチル基、メトキシメチル基等も挙げられる。これらの中ではメチル基が特に好ましい。
反応性ケイ素基のより具体的な例示としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基が挙げられる。活性が高く良好な硬化性が得られることから、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基が好ましい。
基材樹脂(A)の構造としては、直鎖状であっても、分岐が主鎖の分子量よりも少ない範囲で分岐構造を有していても構わない。
重合体(a)の分子量は、反応性の点から、数平均分子量として、3000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましい。数平均分子量の上限値には特に限定は無いが、100000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下がさらに好ましい。
反応性可塑剤(b)の分子量は、反応性の点から、数平均分子量として、2000以上20000以下であることが好ましく、3000以上15000以下であることがより好ましい。なお、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel permeation chromatography;GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出できる。
また、重合体(a)は、2種類以上の重合体の組み合わせからなるものでもよい。重合体(a)が2種類以上の重合体の混合物である場合は、混合物の数平均分子量が上記の範囲であることが好ましい。
なお、架橋構造、粘度等の調整を目的として、重合体(a)に、上記以外の重合体を添加してもよい。
主鎖がオキシアルキレン系単位から構成される基材樹脂(A)は、主鎖を形成する出発物質として活性水素を2個以上有する化合物を使用し、アルキレンオキシドを重合させることにより製造することができる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノール化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール等を出発物質として用い、C〜Cのアルキレンオキシドを重合させることにより製造することができる。
基材樹脂(A)の主鎖の具体例としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびブチレンオキシドから選ばれる2種以上のモノマーのランダムまたはブロック共重合体、等が挙げられる。基材樹脂(A)は、これらの群より選ばれる主鎖の少なくとも1種の末端に、アルケニル基を導入することが好ましい。架橋構造等の点から、主鎖の繰返し単位は、ポリプロピレンオキシドであることがより好ましい。
重合体の主鎖骨格に反応性ケイ素基を導入する方法としては、特に限定されず、例えば、国際公開第2014/073593号に記載された公知の方法で行うことができる。
無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃(例えば、融解温度+25℃:50℃)における、基材樹脂(A)の粘度は、2〜25Pa・sであることが好ましく、3〜20Pa・sがより好ましい。基材樹脂(A)の粘度が2Pa・s未満であると、潜熱蓄熱材組成物との混合の際に、硬化するよりも前に沈降し、潜熱蓄熱材組成物の分散が困難になる場合がある。基材樹脂(A)の粘度が25Pa・sを超えると、潜熱蓄熱材組成物との混合の際に、ハンドリング性が悪くなる場合がある。
<シラノール縮合触媒(B)>
反応性ケイ素基を有し、主鎖を構成する単位がオキシアルキレン系単位からなる重合体を反応させるシラノール縮合触媒としては、シラノール縮合触媒として使用し得るものである限り、特に制限はなく、任意のものを使用し得る。
このようなシラノール縮合触媒の具体例としては、例えば、(i)ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等のジアルキル錫ジカルボキシレート類、(ii)ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド等のジアルキル錫アルコキサイド類、(iii)ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセテート等のジアルキル錫の分子内配位性誘導体類、(iv)(a)ジブチル錫オキサイドおよびジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫オキサイドとジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、メチルマレエート等のエステル化合物との反応物、(b)ジアルキル錫オキサイド、カルボン酸およびアルコール化合物を反応させて得られる錫化合物、(c)ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジオクチル錫ビストリエトキシシリケート等のジアルキル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、および(d)これらジアルキル錫化合物のオキシ誘導体(スタノキサン化合物)等の4価の錫化合物類、等を挙げることができる。また、このようなシラノール縮合触媒の具体例としては、例えば、(i)オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、バーサチック酸錫等の2価の錫化合物類、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;(ii)モノブチル錫トリスオクトエートおよびモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物並びにモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;(iii)テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、イソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等のチタン酸エステル類;(iv)アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジ−イソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;(v)カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄、カルボン酸チタニウム、カルボン酸鉛、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸カルシウム、カルボン酸カリウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸マンガン、カルボン酸セリウム、カルボン酸ニッケル、カルボン酸コバルト、カルボン酸亜鉛、カルボン酸アルミニウム等のカルボン酸(2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、バーサチック酸、オレイン酸、ナフテン酸等)金属塩、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン系化合物との反応物および混合物;(vi)ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジブトキシジルコニウムジアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類等を挙げることができる。また、このようなシラノール縮合触媒の具体例としては、例えば、(i−i)メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一アミン類;(i−ii)ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステアリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステアリルアミン等の脂肪族第二アミン類;(i−iii)トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪族第三アミン類;(i−iv)トリアリルアミン、オレイルアミン、等の脂肪族不飽和アミン類;(i−v)ラウリルアニリン、ステアリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン類;(i−vi)および、その他のアミン類として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物;あるいは(ii)これらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩等を挙げることができる。また、このようなシラノール縮合触媒の具体例としては、例えば、(i)ラウリルアミンおよびオクチル酸錫の反応物あるいは混合物のようなアミン系化合物と有機錫化合物との反応物および混合物;(ii)過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;(iii)過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;(iv)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。また、(i)これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらには(ii)バーサチック酸等の脂肪酸および有機酸性リン酸エステル化合物等他の酸性触媒、(iii)塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸性触媒の有機酸性リン酸エステル化合物としては、(CHO)−P(=O)(−OH)、(CHO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(CO)−P(=O)(−OH)、(C17O)−P(=O)(−OH)、(C17O)−P(=O)(−OH)、(C1021O)−P(=O)(−OH)、(C1021O)−P(=O)(−OH)、(C1327O)−P(=O)(−OH)、(C1327O)−P(=O)(−OH)、(C1633O)−P(=O)(−OH)、(C1633O)−P(=O)(−OH)、(HO−C12O)−P(=O)(−OH)、(HO−C12O)−P(=O)(−OH)、(HO−C16O)−P(=O)(−OH)、(HO−C16O)−P(=O)(−OH)、[(CHOH)(CHOH)CHO]−P(=O)(−OH)、[(CHOH)(CHOH)CHO]−P(=O)(−OH)、[(CHOH)(CHOH)CO]−P(=O)(−OH)、[(CHOH)(CHOH)CO]−P(=O)(−OH)等が挙げられるが、例示物質に限定されるものではない。
前記液状樹脂組成物におけるシラノール縮合触媒(B)の含有量は、基材樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部であり、0.5〜3重量部がより好ましい。
前記シリコーン系樹脂は、基材樹脂(A)およびシラノール縮合触媒(B)以外の他の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば、有機系の基材樹脂(A)と無機系潜熱蓄熱材組成物との相溶性を向上させるシランカップリング剤等が挙げられる。
アクリル系樹脂は、特に限定されることなく、従来公知の各種アクリル系樹脂が使用できる。アクリル系樹脂は、例えば、以下で示す、(メタ)アクリル樹脂(A)、アクリル樹脂(B)、(メタ)アクリル樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との混合物であり得る。
<(メタ)アクリル樹脂(A)>
(メタ)アクリル樹脂(A)は、分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートからなる群より選ばれた1種以上のモノマーを含むモノマー成分を重合させることにより得られる(メタ)アクリル樹脂である。(メタ)アクリル樹脂(A)は、側鎖および/または末端に(メタ)アクリロイル基を有している。
(メタ)アクリル樹脂(A)の主鎖を構成するモノマー成分は、分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートからなる群より選ばれた1種以上のモノマーを、全モノマー成分を基準として、99.9質量%以下含むことが好ましく、30.0〜99.5質量%含むことがより好ましく、40.0〜95質量%含むことがさらに好ましい。
分岐状アルキル基の炭素数は、8〜24であることが好ましい。炭素数8〜24の分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの例としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミスチリル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソペンタデシル(メタ)アクリレート、イソヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソヘプタデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、デシルテトラデカニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーのTgは、−80〜20℃であることが好ましく、−70〜−10℃であることがより好ましい。本明細書において、「Tg」は、「ガラス転移温度」を示す。
分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、(メタ)アクリル樹脂(A)の主鎖を構成する全モノマー成分を基準として、好ましくは99.9質量%以下であり、より好ましくは30.0〜99.5質量%、さらに好ましくは40.0〜95質量%である。
直鎖状アルキル基の炭素数は、4〜24であることが好ましい。炭素数4〜24の直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートの例としては、n−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−へキシルメタクリレート、n−ヘプチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、n−ウンデシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート(ラウリルメタクリレート)、n−トリデシルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートのホモポリマーのTgは、−80〜20℃であることが好ましく、−70〜−10℃であることがより好ましい。
直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートの含有量は、(メタ)アクリル樹脂(A)の主鎖を構成する全モノマー成分を基準として、好ましくは99.9質量%以下であり、より好ましくは30.0〜99.5質量%、さらに好ましくは40.0〜95.0質量%である。
本実施形態において、分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートとは適時組み合わせて使用することも可能である。
(メタ)アクリル樹脂(A)が側鎖および/または末端に有する(メタ)アクリロイル基は、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物とを反応させることにより導入してもよい。
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物としては、例えば、2−イソシアネートエチルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート、1,1−ビス(アクリロイロキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。中でも光硬化性、汎用性およびコストの観点から、2−イソシアネートエチルメタクリレートが好ましい。
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物の配合量は、(メタ)アクリロイル基を導入する前の(メタ)アクリル樹脂100質量%に対し、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
側鎖および/または末端にヒドロキシル基、アミノ基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物とを反応させる方法としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒下において、不活性ガス雰囲気下、室温(25℃)〜80℃の温度で2時間〜10時間反応させる方法がある。
(メタ)アクリル樹脂(A)は、極性基含有モノマー由来の構造単位をさらに有していてもよい。すなわち、(メタ)アクリル樹脂(A)の主鎖を構成するモノマー成分は、極性基含有モノマーをさらに含むことができる。極性基含有モノマーの含有量は全モノマー成分を基準として0.1〜20質量%であることが好ましく、硬化物の接着力および凝集力を高める観点から、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。一方で、極性基含有モノマーが多くなりすぎると、反応硬化型液状樹脂の硬化物が硬くなり、また、粘度が上昇するため、極性基含有モノマーの含有量は、18質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
極性基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、窒素原子含有モノマーまたはアセトアセトキシ基含有モノマーが挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性基と、カルボキシル基とを有する化合物を特に制限なく用いることができる。カルボキシル基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、カルボキシル基含有モノマーとして、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
ヒドロキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性基と、ヒドロキシル基とを有する化合物を特に制限なく用いることができる。ヒドロキシル基含有モノマーの例としては、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルシクロアルカン(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
窒素原子含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性基と、アミド基またはニトリル基とを有する化合物を特に制限なく用いることができる。アミド基含有モノマーの例としては、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。ニトリル基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
アセトアセトキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性基と、アセトアセトキシ基とを有するものを特に制限なく用いることができる。アセトアセトキシ基含有モノマーの例としては、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシペンチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらの極性基含有モノマーの中では、(メタ)アクリル樹脂(A)の側鎖および/または末端に(メタ)アクリロイル基を導入し易い等の観点から、ヒドロキシル基含有モノマーが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(A)の重量平均分子量は、特に限定されないが、4000〜100000が好ましく、6000〜80000がより好ましく、10000〜50000がさらに好ましい。
<アクリル樹脂(B)>
アクリル樹脂(B)は、直鎖状アルキル基を有するアルキルアクリレートを含むモノマー成分を重合させることにより得られるアクリル樹脂であり、側鎖および/または末端に(メタ)アクリロイル基を有している。
アクリル樹脂(B)の主鎖を構成するモノマー成分は、直鎖状アルキル基を有するアルキルアクリレートからなる群より選ばれた1種以上のモノマーを、全モノマー成分を基準として、99.9質量%以下含むことが好ましく、30.0〜99.5質量%含むことがより好ましく、40.0〜95質量%含むことがさらに好ましい。
直鎖状アルキル基の炭素数は、8〜24であることが好ましい。炭素数8〜24の直鎖状アルキル基を有するアルキルアクリレートの例としては、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ウンデシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート(ラウリルアクリレート)、n−トリデシルアクリレート、n−ステアリルアクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
直鎖状アルキル基を有するアルキルメタクリレートのホモポリマーのTgは、−80〜20℃であることが好ましく、−70〜−10℃であることがより好ましい。
アクリル樹脂(B)が側鎖および/または末端に有する(メタ)アクリロイル基は、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基またはカルボキシル基を有するアクリル樹脂と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物とを反応させることにより導入してもよい。
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物としては、上記(メタ)アクリル樹脂(A)で例示した化合物を用いることができる。
(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物の配合量は、(メタ)アクリロイル基を導入する前のアクリル樹脂100質量%に対し、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
側鎖および/または末端にヒドロキシル基、アミノ基またはカルボキシル基を有するアクリル樹脂と、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物とを反応させる方法としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒下において、不活性ガス雰囲気下、室温(25℃)〜80℃の温度で2時間〜10時間反応させる方法がある。
アクリル樹脂(B)の主鎖を構成するモノマー成分は、極性基含有モノマーをさらに含むことができる。極性基含有モノマーの含有量は全モノマー成分を基準として0.1〜20質量%であることが好ましく、硬化物の接着力および凝集力を高める観点から、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。一方で、極性基含有モノマーが多くなりすぎると、反応硬化型液状樹脂の硬化物が硬くなり、また、粘度が上昇するため、極性基含有モノマーの含有量は、18質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
極性基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、窒素原子含有モノマーまたはアセトアセチル基含有モノマーが挙げられ、上記(メタ)アクリル樹脂(A)で例示した化合物をそれぞれ用いることができる。
これらの極性基含有モノマーの中では、アクリル樹脂(B)の側鎖および/または末端に(メタ)アクリロイル基を導入し易い等の観点から、ヒドロキシル基含有モノマーが好ましい。
アクリル樹脂(B)の重量平均分子量は、特に限定されないが、4000〜100000が好ましく、6000〜80000がより好ましく、10000〜50000がさらに好ましい。
<(メタ)アクリル樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との混合物>
(メタ)アクリル樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との混合物は、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記アクリル樹脂(B)との混合物である。(メタ)アクリル樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との含有割合(混合割合)は、80/20質量%〜95/5質量%であることが好ましく、85/15質量%〜95/5質量%であることがより好ましい。
その他、アクリル系樹脂について、特開2017−122174号公報、特許第2851350号公報、特開2016−131718号公報を適宜援用できる。
ポリイソブチレン系樹脂は、特に限定されることなく、従来公知の各種ポリイソブチレン系樹脂が使用できる。ポリイソブチレン系樹脂は、例えば、主骨格がイソブチレンからなる骨格であり、かつ、分子内に(メタ)アクリロイル基を有するポリマーである。
前記「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル(CH=CHCO−)およびメタクリロイル(CH=C(CH)CO−)のうち少なくとも1つを意味する。また、前記「主骨格」は、ポリマーの主鎖を形成する主な骨格(全構成の中で占める割合が最も多い骨格)を意味する。また、前記「イソブチレンからなる骨格」は、−[CH−C(CH]−単位からなる骨格である「イソブチレン骨格」の、炭素および水素により構成される骨格を意味する。
前記ポリマーとしては、主骨格がイソブチレンからなる骨格であり、かつ、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記ポリマーとしては、水添物(主骨格が水素添加されているポリマーであって、水添ポリマーとも称する。)であってもよい。前記ポリマーの具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリマーの分子内における(メタ)アクリロイル基の個数としては、1個以上である限り、目的に応じて適宜選択することができる。前記ポリマーの分子内における(メタ)アクリロイル基の個数が2個以上であると、網目構造を形成することができ、圧縮永久歪を小さくできる。
前記ポリマー分子内における(メタ)アクリロイル基の位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ポリマー末端(片末端、両末端)であってもよく、ポリマー側鎖であってもよい。
前記ポリマーの数平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜40,000が好ましく、2,000〜35,000がより好ましい。
その他、ポリイソブチレン系樹脂について、特開2014−80497号公報、特許第2873395号公報、特許第3315210号公報、特許第3368057号公報、特開2004−204183号公報を適宜援用できる。
前記ウレタン系樹脂は、分子内にウレタン結合を含有する樹脂である。当該ウレタン系樹脂は、有機溶媒に対して可溶性であり、分子内に少なくとも1つのウレタン結合を含有する繰り返し単位を有している。また、重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で1,000以上、1,000,000以下のポリマーである。すなわち、ポリイソシアネート成分と、ポリオール、発泡剤、水、触媒、整泡剤、および、その他助剤からなるポリオール成分と、を一定の比率で混合して発泡させる方法により製造されるポリマーである。
前記ポリイソシアネート成分は、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなど;これらの変性ポリイソシアネート、すなわち、ポリイソシアネートの部分化学反応で得られる生成物であって、例えば、エステル、尿素、ビューレット、アロファネート、カルボジイミド、イソシアヌレート、ウレタンなどの基を含むポリイソシアネート;などが挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
前記ポリオール成分としては、(i)ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールが挙げられる。当該ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークローズ、ビスフェノールA、などの多価アルコール、(ii)エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびエチレンジアミンなどの脂肪族アミン、(iii)トルエンジアミン、およびメチレンジアニリンなどの芳香族アミン類、(iv)マンニッヒ縮合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合して得られるポリエーテルポリオールなどが挙げられる。当該ポリエーテルポリオールは、1種を単独で使用してもよく、または2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。ポリエーテルポリオールとしては、芳香族ポリエーテルポリオールが熱伝導率を低下させるために特に好ましい。ポリエーテルポリオールの水酸基価は、特に限定しないが、300〜800mgKOH/gが好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、多価カルボン酸に前記多価アルコールを縮合してなるポリオール、および環状エステル開環重合からなるポリオールがある。多価カルボン酸としてはコハク酸、グルタン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの無水物である脂肪族多塩基酸等が挙げられ、特に芳香環を有するポリエステルポリオールが好ましい。このポリエステルポリオールの水酸基価は、特に限定しないが、100〜400mgKOH/gが好ましい。
さらに、分子内にウレタン結合を含有する樹脂は、任意の反応により得ることが可能であるが、例えば、下記一般式(2)で示されるジオール化合物と、下記一般式(3)とで示されるジイソシアネート化合物を反応させることにより、下記一般式(4)で示されるウレタン結合を含有する繰り返し単位を含有する構造として得られる。
Figure 2020165621
(一般式(2)中、Rは2価の有機基を示す)
Figure 2020165621
(一般式(3)中、Xは2価の有機基を示す)
Figure 2020165621
(一般式(4)中、R及びXはそれぞれ独立に2価の有機基を示し、nは1以上の整数を示す)
前記ウレタン系樹脂は、公知の技術により、上述した成分を共重合させて製造される。
エポキシ系樹脂は、特に限定されることなく、従来公知の各種エポキシ系樹脂が使用できる。例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、フルオログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールCジグリシジルエーテル、ビスフェノールヘキサフルオロプロパンジグリシジルエーテル、1,3−ビス〔1−(2,3−エポキシプロパキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル〕ベンゼン、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、フェノールノボラック型ビスエポキシ化合物等の芳香族系グリシジルエーテル化合物、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド等の脂環式ポリエポキシ化合物、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジメチルグリシジルフタレート、ジメチルグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジル−p−オキシベンゾエート、ジグリシジルシクロペンタン−1,3−ジカルボキシレート、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルトリブロモアニリン等のグリシジルアミン化合物、ジグリシジルヒダントイン、グリシジルグリシドオキシアルキルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物等が挙げられる。
その他、エポキシ系樹脂について、国際公開第2010/103809号を適宜援用できる。
また、反応硬化型液状樹脂として例示したシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂以外の樹脂については、当該分野で使用される任意の樹脂が使用され得る。
また、反応性硬化型液状樹脂の他の例として、反応硬化型液状樹脂を硬化させて厚さ1mmの硬化物としたとき、当該硬化物は、40℃かつ湿度90%における水蒸気透過度が500g/m・日未満であり、250g/m・日以内であることが好ましく、150g/m・日以内であることがより好ましく、100g/m・日以内であることがさらに好ましく、80g/m・日以内であることが特に好ましい。当該構成によると、得られる潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、吸湿性がより低い潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を提供できる。反応硬化型液状樹脂の硬化物の水蒸気透過度が上記範囲内である場合、反応硬化型液状樹脂の硬化物は防湿性を有するともいえる。また、「硬化物」とは「硬化している状態」を指す。反応硬化型液状樹脂が「硬化している状態」とは、例えば、加熱または紫外線により反応硬化型液状樹脂を反応(硬化)させた後、得られた硬化物を24時間以上室温雰囲気下かつ密閉容器内にて養生した後、直径1mmの針状の棒を垂直に突き刺したときに、目視にて、棒に付着物が認められない状態のことを指す。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、前記反応硬化型液状樹脂は、任意で希釈剤、および/または、光ラジカル開始剤を含んでいてもよい。
前記希釈剤としては、特に限定されないが、例えば、イソステアリルアルコールおよびテレケリックポリアクリレートなどが挙げられる。希釈材は市販品を使用することもでき、例えば、大阪有機化学工業社製のイソステアリルアルコール、およびカネカ社製のMM100C(テレケリックポリアクリレート)が挙げられる。
前記光ラジカル開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドが挙げられる。光ラジカル開始剤は市販品を使用することもでき、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンはIRGACURE1173(BASFジャパン製)として入手でき、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドはIRGACURE819(BASFジャパン製)として入手できる。これらの希釈剤、および/または、光ラジカル開始剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、希釈剤、および/または、光ラジカル開始剤の含有量は、特に限定されない。希釈剤の含有量は、反応硬化型液状樹脂の硬化物の防湿性を損なわない限り、蓄熱材組成物との粘度差調整のために、反応硬化型液状樹脂100重量部に対して5重量部〜25重量部であることが好ましい。光ラジカル開始剤の含有量は、紫外線照射によって十分に潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の光硬化反応が進行するために、反応硬化型液状樹脂100重量部に対して0.5重量部〜5.0重量部であることが好ましい。
〔3−3.潜熱蓄熱材含有樹脂組成物〕
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、前記無機系潜熱蓄熱材組成物が、前記反応硬化型液状樹脂中に分散されている。
本明細書において「分散されてなる(分散されている)」とは、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物につき、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度−20℃以下の温度にてマイクロスコープ(倍率:10倍、視野:1cm)で観察した時に、1mm以上の無機系潜熱蓄熱材組成物の凝集塊が見られないものを意味する。
潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の難燃性をより高くするために、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物における、常温にて揮発性を有する有機溶剤の含有量は少ないことが好ましい。具体的には、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物100重量部中における常温にて揮発性を有する有機溶剤の含有量は、50重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、1重量部以下であることがより好ましく、0.5重量部以下であることがさらに好ましく、0.1重量部以下であることが特に好ましい。潜熱蓄熱材含有樹脂組成物100重量部中における単環芳香族化合物の含有量は、50重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、1重量部以下であることがより好ましく、0.5重量部以下であることがさらに好ましく、0.1重量部以下であることが特に好ましい。潜熱蓄熱材含有樹脂組成物100重量部中における、ベンゼル、トルエン、キシレン、エチレンベンゼン、クメン、パラシメン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルおよびフタル酸ジプロピルからなる群より選択される1種以上の化合物の合計の含有量は、50重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、1重量部以下であることがより好ましく、0.5重量部以下であることがさらに好ましく、0.1重量部以下であることが特に好ましい。潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物における、(i)常温にて揮発性を有する有機溶剤の含有量、(ii)単環芳香族化合物の含有量、または(iii)ベンゼル、トルエン、キシレン、エチレンベンゼン、クメン、パラシメン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルおよびフタル酸ジプロピルからなる群より選択される1種以上の化合物の合計の含有量、は、それぞれ上述した潜熱蓄熱材含有樹脂組成物における含有量の好ましい範囲内であることが好ましい。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、15℃〜30℃の融解温度を有することが好ましい。当該構成であれば、住環境に適した潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を得ることができる。
本明細書において、固体状の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が融解して液体状またはゲル状になるときに、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が呈する温度範囲の中間の温度を、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の「融解温度」とする。融解温度は、融点、相変化温度、または相転移温度とも称する。なお、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の融解温度は、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度ともいえる。
潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が有する融解温度は特に限定されない。潜熱蓄熱材含有樹脂組成物を、住宅に適応し、住環境を整えるために使用する場合を考える。この場合、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、15℃〜30℃の融解温度を有することが好ましく、17℃〜28℃の融解温度を有することがより好ましく、20℃〜25℃の融解温度を有することがさらに好ましい。
本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、前記無機系潜熱蓄熱材組成物および前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物以外の他の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば、難燃剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、貯蔵安定剤、気泡調整剤、潤滑剤、防カビ剤等が挙げられる。
本実施形態において、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃(例えば、融解温度+25℃:50℃)における前記反応硬化型液状樹脂の未硬化の液状樹脂の粘度と、前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物との粘度の差は、12Pa・s以下であり、好ましくは、10Pa・s以下である。粘度の差の下限は特に限定されないが、好ましくは、0Pa・s以上である。粘度の差が上記範囲内であれば、前記液状樹脂中に蓄熱材が均一分散することが可能となる。なお、前記粘度の差は、使用される液状樹脂および無機系潜熱蓄熱材組成物の組み合わせに応じて、適宜変更され得る。
本実施形態において、前記粘度は、音叉振動式粘度計により測定される。
本実施形態に用いられる別の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、(i)(a)前記無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃における、振動粘度計により測定された前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度が5〜25Pa・sであるか、または、(b)前記無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃における、E型回転粘度計により測定された前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度が30〜90Pa・sであり、かつ、(ii)前記無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+10℃〜融解温度+35℃における、前記E型回転粘度計により測定された前記反応硬化型液状樹脂の粘度と、前記E型回転粘度計により測定した前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度との差(以下、単に「粘度差」とも称する。)が、80Pa・s以下である。
前記粘度差は、80Pa・s以下であり、好ましくは80Pa・s未満であり、より好ましくは60Pa・s以下であり、より60Pa・s未満であり、より好ましくは50Pa・s以下であり、さらに好ましくは40Pa・s以下であり、特に好ましくは20Pa・s以下である。当該粘度差の下限は特に限定されないが、好ましくは、0Pa・s以上である。当該粘度差が上述した範囲内であれば、前記反応硬化型液状樹脂中に無機系潜熱蓄熱材組成物が均一分散することが可能となる。なお、前記粘度差は、使用される反応硬化型液状樹脂および無機系潜熱蓄熱材組成物の組み合わせに応じて、適宜変更され得る。
前記無機系潜熱蓄熱材組成物の粘度は、E型回転粘度計、および/または、振動粘度計を使用して測定することができる。
〔3−4.潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法〕
本施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の製造方法(以下、「本製造方法」とも称する。)は、無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤とを混合して、無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+25℃に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物を調製する工程と、前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と、未反応の反応硬化型液状樹脂とを混合する工程と、前記未反応の反応硬化型液状樹脂を硬化させる工程と、を含む。
また、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の別の製造方法は、(i)無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤とを混合する第1の混合工程と、(ii)得られた混合物と反応硬化型液状樹脂とを混合する第2の混合工程と、を含み、前記反応硬化型液状樹脂は下記を満たす:前記反応硬化型液状樹脂を硬化させて厚さ1mmの硬化物としたとき、当該硬化物は、40℃かつ湿度90%における水蒸気透過度が500g/m・日未満である。前記(i)の工程を、単に「調製工程」とも称する。前記(ii)の工程を、単に「混合工程」とも称する。
また、前記別の製造方法においては、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物中に含まれる応硬化型液状樹脂を硬化させる工程を含んでもよい。
本製造方法においては、無機系潜熱蓄熱材組成物を増粘剤でゲル化して融解温度以上でも液状化することを防いだ後に、反応硬化型液状樹脂中に混ぜ込み、全体を硬化させることにより、潜熱蓄熱材組成物の融解温度以上においても流動しない無機系潜熱蓄熱材組成物を得ることができる。また、本製造方法においては、増粘剤と液状の反応硬化型液状樹脂との相溶性、粘度等を調整することにより、前記液状樹脂中に潜熱蓄熱材組成物が均一分散することが可能となる。さらに、本製造方法においては、潜熱蓄熱材組成物が無機系であることにより、建材用途で懸念される可燃性の問題を解消し、住環境用潜熱蓄熱材組成物として好適に使用することができる。
前記調製工程において、無機系潜熱蓄熱材組成物と増粘剤との混合は、当該技術分野において公知である任意の技術を用いて行うことができる。
増粘剤は、使用する種類によって最適配合量が異なるが、潜熱蓄熱材組成物に溶解している塩の凝集および析出を防ぎ、潜熱蓄熱材組成物のハンドリング性が良く、潜熱蓄熱材組成物を用いた潜熱蓄熱材含有樹脂組成物において、潜熱蓄熱材組成物の+25℃に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物が得られる配合量であれば、特に限定されない。前記増粘剤は、無機系潜熱蓄熱材および融点調整剤の合計に対して、1〜10重量部を添加することが好ましく、2〜6重量部がさらに好ましい。
前記調製工程において、無機系潜熱蓄熱材組成物および増粘剤は、例えば、前記〔3−1.無機系潜熱蓄熱材組成物〕に記載のものが用いられる。
前記混合工程において、ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と、未反応の反応硬化型液状樹脂との混合は、当該技術分野において公知である任意の技術を用いて行うことができる。
ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と、未反応の反応硬化型液状樹脂との混合比率は、本潜熱蓄熱材含有樹脂組成物が得られる比率であれば、特に限定されない。前記混合比率は、例えば、ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物と、未反応の反応硬化型液状樹脂とが、重量比で、80:20〜20:80であり、好ましくは、50:50である。
前記混合工程において、反応硬化型液状樹脂は、例えば、前記〔3−2.反応硬化型液状樹脂〕に記載のものが用いられる。
前記硬化工程において、反応硬化型液状樹脂を硬化させる方法は、当該反応硬化型液状樹脂が硬化する方法であれば特に限定されない。例えば、硬化剤を添加することにより行ってもよいし、紫外線照射により行ってもよい。また、硬化剤としては、例えば、AP−4(商品名、ブチルアシッドホスフェート)、AP−8(商品名、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート)、AP−10(商品名、イソデシルアシッドホスフェート)等が使用され得る。
前記調製工程、前記混合工程および前記硬化工程は、一つの装置の中で連続して行ってもよいし、別々に行ってもよい。
(吸湿性)
本潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物は、吸湿性がより低いことが好ましい。当該吸湿性は、下記実施例にて説明する吸湿率(%)によって評価され得る。吸湿率は、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を40℃かつ湿度90%の条件で1時間静置したとき、1時間静置前後の潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物の重量によって測定され、測定方法の詳細は下記実施例に示す。本発明の一実施形態に係る潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物は、前記吸湿率(%)が、8%未満であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、4%以下であることが特に好ましい。当該構成によると、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を長期間使用した場合であっても、潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物が潜熱蓄熱材として効率的に機能するという利点を有する。また、「2.硬化物2を構成する潜熱蓄熱材含有樹脂組成物について」の項に記載の潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、前記吸湿率を有する潜熱蓄熱材含有樹脂硬化物を提供することが好ましい、ともいえる。
3.蓄熱材シート10の適用例
本実施形態に係る蓄熱材シート10は、物品の保温もしくは保冷、空気調和、または熱交換等が必要な部分であれば、任意の部分で適用可能である。特に、蓄熱材シート10は、空気調和や熱交換が必要な建材に適用されることが好ましい。図3は、蓄熱材シート10が適用可能なグリット型システム天井の概略構成を示す斜視図である。
図3に示されるように、天井システムCは、グリットGにより区画された複数の天板ユニットTが長手方向および短手方向の両方向に連結した構成となっている。蓄熱材シート10は、例えば、天板ユニットTにおけるグリットGに囲まれた領域Sに設置され得る。
蓄熱材シート10には、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物2が配置されているので、可撓性シート1が破れても内容物の蓄熱材シート10外部への漏出が抑制される。
また、天井ユニットTの領域Sに蓄熱材シート10を施工するに際し、蓄熱材シート10は領域Sの寸法などに応じて形状が適合可能である。それゆえ、施工現場での蓄熱材シート10の寸法合わせも容易になり、天井ユニットTに対する蓄熱材シート10の施工性が向上する。さらに、潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の結晶化のときに発生する応力による蓄熱材シート10の反りも低減されるので、天井ユニットTの領域Sでの蓄熱材シート10の■れを抑制することができる。
なお、図3に示される例では、蓄熱材シート10が天井システムに適用された例を説明した。しかし、蓄熱材シート10の適用箇所は、図3に示される天井システムに限定されず、例えば、床下の部材や床面フロア部材等にも適用可能である。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、当該実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る蓄熱材シート10は、複数の蓄熱ユニットUを備え、前記蓄熱ユニットUは、可撓性シート1により構成された空間部1cと、前記空間部1cに配置された潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物2と、を備えた構成である。
本発明の態様2に係る蓄熱材シート10は、態様1において、互いに隣り合う2つの蓄熱ユニットUの間にミシン目3が設けられている構成である。
本発明の態様3に係る蓄熱材シート10は、態様1または2において、前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、融解温度+25℃に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物が、反応硬化型液状樹脂中に分散されてなる構成である。
本発明の態様4に係る蓄熱材シート10は、態様3において、前記反応硬化型液状樹脂は、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である構成である。
本発明の態様5に係る蓄熱材シート10は、態様3または4において、前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、塩化カルシウム6水和物、融点調整剤、過冷却防止剤および増粘剤を含むものである構成である。
本発明の態様6に係る蓄熱材シート10は、態様5において、前記増粘剤は、吸水性樹脂、アタパルジャイト粘土、ゼラチン、寒天、シリカゲル、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース、蒟蒻およびヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種である構成である。
本発明の態様7に係る蓄熱材シート10は、態様3〜6の何れかにおいて、前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+25℃で測定したときの粘度が5〜25Pa・sであり、かつ、前記反応硬化型液状樹脂の未硬化の液状樹脂の粘度と、前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物との粘度の差が、12Pa・s以下である構成である。
本発明の態様8に係る蓄熱材シート10は、態様3〜7の何れかにおいて、前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、15℃〜30℃の融解温度を有する構成である。
1 可撓性シート
1c 空間部
2 硬化物
3 ミシン目
10 蓄熱材シート
U 蓄熱ユニット

Claims (8)

  1. 複数の蓄熱ユニットを備え、
    前記蓄熱ユニットは、
    可撓性シートにより構成された空間部と、
    前記空間部に配置された潜熱蓄熱材含有樹脂組成物の硬化物と、を備えた、蓄熱材シート。
  2. 互いに隣り合う2つの蓄熱ユニットの間にミシン目が設けられている、請求項1に記載の蓄熱材シート。
  3. 前記潜熱蓄熱材含有樹脂組成物は、融解温度+25℃に加熱した場合に固液分離しないゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物が、反応硬化型液状樹脂中に分散されてなる、請求項1または2に蓄熱材シート。
  4. 前記反応硬化型液状樹脂は、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂およびエポキシ系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の蓄熱材シート。
  5. 前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、塩化カルシウム6水和物、融点調整剤、過冷却防止剤および増粘剤を含むものである、請求項3または4に記載の蓄熱材シート。
  6. 前記増粘剤は、吸水性樹脂、アタパルジャイト粘土、ゼラチン、寒天、シリカゲル、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース、蒟蒻およびヒドロキシエチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の蓄熱材シート。
  7. 前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物の融解温度+25℃で測定したときの粘度が5〜25Pa・sであり、かつ、前記反応硬化型液状樹脂の未硬化の液状樹脂の粘度と、前記ゲル状の無機系潜熱蓄熱材組成物との粘度の差が、12Pa・s以下である、請求項3〜6の何れか1項に記載の蓄熱材シート。
  8. 前記無機系潜熱蓄熱材組成物は、15℃〜30℃の融解温度を有する、請求項3〜7の何れか1項に記載の蓄熱材シート。
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