JP2020164672A - バインダー樹脂組成物、プリフォーム、並びに繊維強化複合材料、及び繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

バインダー樹脂組成物、プリフォーム、並びに繊維強化複合材料、及び繊維強化複合材料の製造方法 Download PDF

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【課題】 繊維強化複合材料の圧縮特性を向上するとともに耐熱性低下を抑制しつつ、プリフォームの成型性を向上することのできるプリフォーム用バインダー樹脂組成物、このプリフォーム用バインダー樹脂組成物を用いて作製するプリフォーム、このプリフォームにマトリクス樹脂を含浸させて硬化させた繊維強化複合材料、及びその製造方法を提供する。【解決手段】 熱可塑性樹脂と所定のエポキシ樹脂とを含むプリフォーム用バインダー樹脂組成物は上記課題を解決出来る。【選択図】なし

Description

本発明は、バインダー樹脂組成物、プリフォーム、並びに繊維強化複合材料、及び繊維強化複合材料の製造方法に関する。更に詳述すれば、所定の構造を有するエポキシ化合物を含有するエポキシ樹脂組成物から成るバインダー樹脂組成物;このバインダー樹脂組成物が繊維強化基材と一体化するとともに賦形されて成るプリフォーム;このプリフォームに熱硬化性樹脂が含浸して硬化して成る繊維強化複合材料;この繊維強化複合材料の製造方法に関する。
繊維強化複合材料は、軽量かつ高強度、高剛性であるため、釣り竿やゴルフシャフト等のスポーツ・レジャー用途、自動車や航空機等の産業用途等の幅広い分野で用いられている。繊維強化複合材料の成形方法としては、予め樹脂を強化材繊維に含浸させてシート状に形成したプリプレグ(中間基材)を成型する方法や、強化繊維基材と樹脂フィルムを積層して形成した中間基材を成型する樹脂フィルム注入法(RFI法)、繊維強化基材を積層して成るプリフォームを作製し、このプリフォームに熱硬化性樹脂を含浸、硬化して繊維強化複合材料を得る樹脂トランスファー成形法(以下、RTM法)や真空樹脂トランスファー成形法(VaRTM法)がある。
RTM法やVaRTM法においては、繊維強化基材に少量のバインダーを付与し、熱と圧力を加えて基材に賦形するプリフォーミングの工程が含まれる。バインダーとしては、熱可塑性樹脂を利用したものが特許文献1に開示されいている。特許文献1では耐熱性の低いフェノキシ樹脂をバインダーに利用しており、この場合繊維強化複合材料の耐熱性が低下してしまうという問題があった。そのため、耐熱性が高い繊維強化複合材料を製造するためには、バインダーを構成する成分も耐熱性が高い材料であることが求められる。
一方で、特許文献2ではバインダーに高耐熱性の熱可塑性樹脂を用いている。この場合、プリフォームの加工温度がバインダーに利用する熱可塑性樹の融点以上と高くなるため、経済的に不利なプロセスとなる。
耐熱性の高い熱可塑性樹脂を用い、尚且つプリフォームの加工温度を下げるための方法として、耐熱性の高い熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を組合わせる方法が特許文献3に開示されている。しかしながら、プリフォームの加工性や得られる繊維強化複合材料の層間靭性については言及されているものの、圧縮特性については特に言及されていない。
特開2012−251044号 米国特許第4988469号 特開2004−43621号
本発明の目的は、繊維強化複合材料の圧縮特性を向上するとともに耐熱性低下を抑制しつつ、プリフォームの成型性を向上することのできるバインダー樹脂組成物を提供することにある。さらには、このバインダー樹脂組成物を用いて作製するプリフォーム;このプリフォームにマトリクス樹脂を含浸させて硬化させた繊維強化複合材料、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、所定のエポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂と、の混合物をバインダーとして用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を達成する本発明は、以下に記載のものである。
〔1〕 熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂とを含むバインダー樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂のグリシジル基が3官能以上であることを特徴とするバインダー樹脂組成物。
〔2〕 前記エポキシ樹脂が、硬化物の曲げ弾性率が4GPa以上であるエポキシ樹脂である〔1〕に記載のバインダー樹脂組成物。
〔3〕 前記エポキシ樹脂が下記化学式(1)
Figure 2020164672
(ただし、化(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及びハロゲン原子から成る群から選ばれた1つを表す。Xは、−CH−、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−O−C(=O)−、−NHCO−、−CONH−、及び−SO−から成る群から選ばれた1つを表す。)
で示される化合物を含有するエポキシ樹脂である〔1〕又は〔2〕に記載のバインダー樹脂組成物。
〔4〕 前記熱可塑性樹脂がポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、若しくはこれらの共重合体、又はこれらの混合物である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のバインダー樹脂組成物。
〔5〕 ガラス転移温度が40〜150℃である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のバインダー樹脂組成物。
上記〔1〕に記載の発明は、所定のエポキシ樹脂を熱可塑性樹脂とともに用いるプリフォーム用バインダー樹脂組成物である。
エポキシ樹脂としては、〔2〕又は〔3〕に記載のエポキシ樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、〔4〕に記載の熱可塑性樹脂が好ましい。
このプリフォーム用バインダー樹脂組成物のガラス転移温度は、〔5〕に記載する範囲であることが好ましい。
〔6〕 〔1〕乃至〔5〕の何れかに記載の樹脂組成物からなる、プリフォーム用バインダー樹脂組成物。
〔7〕 室温(25℃)において粒子形態を有する〔6〕に記載のプリフォーム用バインダー樹脂組成物。
このプリフォーム用バインダー樹脂組成物は、室温で粒子状であることが好ましい。本発明における粒子の定義は後述する。
〔8〕 複数の繊維強化基材シートと、
〔1〕〜〔5〕の何れかに記載のバインダー組成物と、
から成り、
前記複数の繊維強化基材シートが積層されるとともに、
前記複数の繊維強化基材シートが前記プリフォーム用バインダー組成物を介して互いに接着されているプリフォーム。
〔9〕 前記繊維強化基材シートが炭素繊維、ガラス繊維、又はアラミド繊維を含んで成る〔8〕に記載のプリフォーム。
上記〔8〕に記載の発明は、本発明のバインダー樹脂組成物を用いて作製されたプリフォームである。
このプリフォームを構成する繊維強化基材シートは〔9〕に記載する材質であることが好ましい。
〔10〕 〔8〕又は〔9〕に記載のプリフォームと、
前記プリフォーム内に含浸して硬化された熱硬化性樹脂と、
から成る繊維強化複合材料。
〔11〕 〔8〕又は〔9〕に記載のプリフォーム内に、液状又はスラリー状の熱硬化性樹脂組成物を含浸させて硬化させる繊維強化複合材料の製造方法。
上記〔10〕及び〔11〕に記載の発明は、本発明のプリフォームに、マトリクス樹脂として熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させた繊維強化複合材料、及びその製造方法である。
本発明のバインダー樹脂組成物は、低温で使用することができるためプリフォームの加工性を向上でき、且つ最終製品である繊維強化複合材料の圧縮特性および耐熱性を向上できる。
以下、本発明のバインダー樹脂組成物、プリフォーム、繊維強化複合材料及びその製造方法について説明する。
1. バインダー樹脂組成物
本発明のバインダー樹脂組成物は、グリシジル基が3官能以上のエポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂と、を含んで成る。本発明のバインダー樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂は、未硬化状態である。
本発明のバインダー樹脂組成物において、所定のエポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂と、の質量割合は、1:9〜9:1であることが好ましく、1:9〜7:3であることがより好ましい。エポキシ樹脂の割合が1未満である場合、バインダー樹脂組成物のガラス転移温度が十分に下がらないため、プリフォームの加工時に高温を要する。エポキシ樹脂の割合が9を超える場合、バインダー樹脂組成物のガラス転移温度が低くなり過ぎて常温で軟化してしまい、プリフォームの形態を維持できなくなる場合がある。
本発明のバインダー樹脂組成物のガラス転移温度は、30〜180℃であることが好ましく、40〜150℃であることがより好ましい。30℃未満である場合、バインダー樹脂組成物のガラス転移温度が低くなり過ぎて、プリフォームの形態を維持できなくなる場合がある。180℃を超える場合、プリフォームの加工温度が十分に下がらないため、プリフォームの作製時に高温を要する。
本発明のバインダー樹脂組成物の形態としては、粒子状、ペレット状、繊維状、フィルム状等の何れであっても良いが、繊維強化基材に均一に散布しやすいため、室温(25℃)において粒子状であることが好ましい(以下、このような形態を有するバインダー樹脂組成物を、特に「プリフォーム用バインダー樹脂組成物」という場合がある)。本発明において、粒子状とは、粉末乃至ビーズ状であり、具体的な平均粒子径としては、1〜1000μmであることが好ましく、10〜500μmであることがより好ましく、20〜300μmであることが更に好ましい。
1.1. エポキシ樹脂
本発明において用いるエポキシ樹脂は、グリシジル基が3官能以上のエポキシ樹脂である。本発明において、エポキシ樹脂は、以下の条件で測定した硬化物の曲げ弾性率が4GPa以上であるエポキシ樹脂であることが好ましい。
[曲げ弾性率測定方法]
硬化物の曲げ弾性率の測定は、JIS K7171法に準じて行う。測定に供じる硬化物は、エポキシ樹脂のグリシジル基と硬化剤の活性水素を等量として混合し、180℃、2時間で硬化させて得る。エポキシ樹脂の硬化剤としては、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンを用いる。
本発明において用いるエポキシ樹脂は、下記化学式(1)で表されるグリシジルアミン構造を有するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂であることが好ましい。このエポキシ樹脂の配合量は、全エポキシ樹脂100質量部中、25質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、80質量部以上が更に好ましい。
Figure 2020164672
上記化学式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及びハロゲン原子から成る群から選ばれた1つを表す。Xは、−CH−、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−O−C(=O)−、−NHCO−、−CONH−、及び−SO−から成る群から選ばれた1つを表す。
上記化学式(1)で表される化合物の中でも、合成が容易になるためXが−O−であるエポキシ樹脂が特に好ましい。
上記化学式(1)におけるR〜Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子からなる群から選ばれた1つであることが好ましく、水素原子、又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。R〜Rの水素原子以外の置換基としては、炭素数1〜4の脂肪族飽和炭化水素基であることが好ましい。
このようなエポキシ樹脂としては、以下の化学式(2)〜(4)の化合物が例示される。
Figure 2020164672
Figure 2020164672
Figure 2020164672
このようなエポキシ樹脂は、どのような方法で合成しても良いが、例えば、原料である芳香族ジアミン化合物とエピクロロヒドリンなどのエピハロヒドリンとを反応させてテトラハロヒドリン体を得た後、次いでアルカリ性化合物を用いて環化反応することにより得られる。より具体的には、後述の実施例の方法で合成することができる。
原料である芳香族ジアミンとしては、アミノ基を有する2つの芳香環がエーテル結合により連結しており、エーテル結合に対して一方のアミノ基がパラ位、もう一方のアミノ基がオルト位に位置しており、さらに、少なくとも1つの芳香環のアミノ基のオルト位に水素原子以外の置換基が少なくとも1つ結合している芳香族ジアミンであればよい。
このような芳香族ジアミンとしては、 例えば、置換基数が1の場合は、3,4’−ジアミノ−3’−メチルジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチルジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−イソプロピルジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−tert−ブチルジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−フルオロジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−クロロジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−メチルジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−エチルジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−イソプロピルジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−メチルジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−エチルジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−イソプロピルジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−tert−ブチルフェニルエーテルが挙げられる。
また、置換基数が2の芳香族ジアミンとしては、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジメチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジエチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジイソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−5’−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2,3’−ジメチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−2−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−イソプロピル−2−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−メチル−3’−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−フルオロ−2−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−クロロ−2−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−エチル−3’−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2,3’−ジエチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−エチル−3’−イソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−エチル−3’−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−エチル−3’−フルオロフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−クロロ−2−エチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−イソプロピル−3’−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−2−イソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2,3’−ジイソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−イソプロピル−3’−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−フルオロ−2−イソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−クロロ−2−イソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−メチル−2−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−2−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−イソプロピル−2−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2、3’−ジ−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−フルオロ−2−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−クロロ−2−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,4−ジメチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−4−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−イソプロピル−4−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−メチル−3’−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−フルオロ−4−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−クロロ−4−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−エチル−3’−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,4−ジエチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−エチル−3’−イソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−エチル−3’−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−エチル−3’−フルオロフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−クロロ−4−エチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−イソプロピル−3’−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−4−イソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,4−ジイソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−イソプロピル−3’−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−フルオロ−4−イソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−クロロ−4−イソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−メチル−4−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−4−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−イソプロピル−4−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,4−ジ−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−フルオロ−4−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−クロロ−4−tert−ブチルフェニルエーテルが挙げられる。
また、置換基数が3の芳香族ジアミンとしては、3,4’−ジアミノ−2,3’,5’−トリメチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジエチル−2−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジイソプロピル−2−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−メチル−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−2,5’−ジメチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−エチル−3’,5’−ジメチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2,3’,5’−トリエチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−エチル−3’,5’−ジイソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−エチル−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2,3’−ジエチル−5’−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−イソプロピル−3’,5’−ジメチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジエチル−2−イソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2,3’,5’−トリイソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2−イソプロピル−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−2−イソプロピル−5’−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジメチル−2−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジエチル−2−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジイソプロピル−2−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−2,3’,5’−トリ−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−5’−メチル−2−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,4,5’−トリメチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジエチル−4−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジイソプロピル−4−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−メチル−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−4,5’−ジメチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−エチル−3’,5’−ジメチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,4,5’−トリエチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−エチル−3’,5’−ジイソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−エチル−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,4−ジエチル−5’−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−イソプロピル−3’,5’−ジメチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジエチル−4−イソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,4,5’−トリイソプロピルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−4−イソプロピル−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−4−イソプロピル−5’−メチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジメチル−4−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジエチル−4−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,5’−ジイソプロピル−4−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’,4,5’−トリ−tert−ブチルフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3’−エチル−5’−メチル−4−tert−ブチルフェニルエーテルが挙げられる。
エピハロヒドリンとしては、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピフルオロヒドリンなどが挙げられる。これらの中でも、反応性や取扱性の観点から、エピクロロヒドリンおよびエピブロモヒドリンが特に好ましい。
芳香族ジアミンとエピハロヒドリンとの質量比は1:1〜1:20が好ましく、1:3〜1:10がより好ましい。反応時に用いる溶媒としては、エタノールやn−ブタノールなどのアルコール系溶媒、メチルイソブチルケトンやメチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、アセトニトリルやN,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒が例示される。特にエタノールやn−ブタノールなどのアルコール系溶媒、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒が好ましい。溶媒の使用量は芳香族ジアミンに対して1〜10質量倍であることが好ましい。酸触媒としてはブレンステッド酸とルイス酸のいずれも好適に用いることができ、特にブレンステッド酸としてはエタノールや水、酢酸が、ルイス酸としては四塩化チタンや硝酸ランタン六水和物、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体が好ましい。
反応時間は、0.1〜180時間であることが好ましく、0.5〜24時間がより好ましい。反応温度は、20〜100℃であることが好ましく、40〜80℃がより好ましい。
環化反応時に用いるアルカリ性化合物としては水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが例示される。アルカリ性化合物は固体として添加しても水溶液として添加してもよい。
環化反応時には相間移動触媒を用いてもよい。相間移動触媒としては塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウムなどの第四級アンモニウム塩、臭化トリブチルヘキサデシルホスホニウム、臭化トリブチルドデシルホスホニウムなどのホスホニウム化合物、18−クラウン−6−エーテルなどのクラウンエーテル類が例示される。
本発明において用いる化学式(1)で表されるグリシジルアミン構造を有するエポキシ樹脂は、50℃における粘度が50Pa・s未満であることが好ましく、10Pa・s未満であることがより好ましく、5.0Pa・s未満であることが更に好ましく、2.0Pa・s未満であることが特に好ましい。
また、本発明においては、化学式(1)で表されるグリシジルアミン構造を有するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂に加え、その他のエポキシ樹脂を用いることもできる。
その他のエポキシ樹脂としては、特に制限はないが、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリンおよびその誘導体などの2官能エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノフェノール、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンなどの3官能エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂が挙げられる。
1.2. 熱可塑性樹脂
本発明のバインダー樹脂組成物は、エポキシ樹脂の他に、熱可塑性樹脂が使用される。
熱可塑性樹脂としては、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリビニルホルマールのようなエンジニアリングプラスチックに属する熱可塑性樹脂の一群がより好ましく用いられる。耐熱性や靭性、取り扱い性に優れることから、ポリアリレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリビニルホルマールなどが特に好ましく使用される。また、これらの共重合体も好ましく使用される。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、150〜280℃、好ましくは180〜270℃、より好ましくは200〜250℃である。
1.3. その他の成分
本発明のバインダー樹脂組成物は、その機能を損なわない限り、他の成分が配合されても良い。例えば、難燃剤、無機系充填剤が配合されてもよい。
難燃剤としては、リン系難燃剤が例示される。リン系難燃剤としては、分子中にリン原子を含むものであれば特に限定されず、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、有機ホスフィン酸金属塩などの有機リン化合物や赤リンが挙げられる。耐熱性の観点から特に、有機ホスフィン酸金属塩が好ましく使用される。
無機系充填材としては、例えば、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、グラファイト、硫酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸塩鉱物が挙げられる。特に、ケイ酸塩鉱物を用いることが好ましい。ケイ酸塩鉱物の市販品としては、THIXOTROPIC AGENT DT 5039(ハンツマン・ジャパン株式会社 製)が挙げられる。
また、繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に用いられる、熱硬化性樹脂の硬化に関与する成分、例えば硬化剤、硬化促進剤が配合されても良い。
硬化剤としては、例えばジシアンジアミド、芳香族アミン、アミノ安息香酸エステル類が挙げられる。
硬化促進剤としては、例えばイミダゾールおよびその誘導体およびその塩、DBU(1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7)やDBN(1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5)などの有機強塩基化合物、トリフェニルホスフィンなどのリン系化合物およびその塩、BF錯体、スルホニウム塩、強酸アルキルエステル、ポリフェノール化合物、脂肪族アルコール、などが挙げられる。
1.4. バインダー樹脂組成物の製造方法
本発明のバインダー樹脂組成物の製造方法としては、エポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂と、をニーダーなどを用いて混錬、分散させても良いし、エポキシ樹脂中で加熱するなどして、エポキシ樹脂中に熱可塑性樹脂を溶解させても良い。また、適当な溶媒へエポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂とを溶解し、溶媒を除去することで製造しても良い。本発明のバインダー樹脂組成物は、一部の熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂に溶解させて使用することが好ましい。
2. プリフォーム
本発明のプリフォームは、複数の繊維強化基材シートと、
上述のバインダー樹脂組成物と、
から成り、
複数の繊維強化基材シートが積層されるとともに、
複数の繊維強化基材シートがバインダー樹脂組成物を介して互いに接着されている。
プリフォームにおけるバインダー組成物の目付量は、1〜200g/mであることが好ましく、3〜100g/mであることがより好ましい。1g/m未満である場合、プリフォームの形態が維持され難くなる場合がある。200g/mを超える場合、後工程におけるマトリクス樹脂の含浸量が十分に確保できなくなる場合がある。
2.1. 繊維強化基材シート
繊維強化基材シートとしては、あらゆる繊維を用いることが出来るが、炭素繊維、ガラス繊維、又はアラミド繊維を含んで成る繊維強化基材シートであることが好ましく、炭素繊維から成る繊維強化基材シートであることがより好ましい。特に、引張強度に優れる点でポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が特に好ましい。
繊維強化基材としてPAN系炭素繊維を用いる場合、その引張弾性率は、100〜600GPaであることが好ましく、200〜500GPaであることがより好ましく、230〜450GPaであることが特に好ましい。また、引張強度は2000〜10000MPa、好ましくは3000〜8000MPaである。炭素繊維の直径は4〜20μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。このような炭素繊維を用いることにより、得られる繊維強化複合材料の機械特性を向上できる。
シートの形態としては、例えば、多数本の強化繊維を一方向に引き揃えたシートや、平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、ノンクリンプ織物 (Non−Crimp−Fabric;NCF)、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙を挙げることができる。
シートの厚さは、0.01〜3mmが好ましく、0.1〜1.5mmがより好ましい。これらの繊維強化基材シートは、公知のサイズ剤を公知の含有量で含んでいても良い。
2.2. プリフォームの製造方法
本発明のプリフォームは、複数の繊維強化基材シート間に本発明のバインダー樹脂組成物を介在させて積層し、加圧成形することにより製造することが出来る。
バインダー樹脂組成物を介在させる方法としては、予めフィルム状に成形したバインダー樹脂組成物を繊維強化基材シートに積層する方法や、粒子状のバインダー樹脂組成物を繊維強化基材シートに散布しながら積層する方法が例示される。
あるいは、繊維強化基材シートにバインダー樹脂組成物を予め含ませておいても良い。例えば、繊維状のバインダー樹脂組成物とともに、繊維強化基材シートが形成されていても良いし、粒子状のバインダー樹脂組成物が繊維強化基材シートに付着していても良い。
プリフォームを製造する際の温度は、本発明のバインダー樹脂組成物が軟化する温度であれば特に限定されない。
3. 繊維強化複合材料
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のプリフォームと、このプリフォーム内に含浸されている熱硬化性樹脂組成物の硬化体と、から成る。
繊維強化複合材料中の樹脂含有量は、10〜80質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。樹脂含有量が低過ぎると、繊維強化複合材料の内部にボイド等が発生する場合がある。樹脂含有量が高過ぎると、強化繊維の含有量が不足し、得られる繊維強化複合材料の強度が低下し易い。
熱硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂の他、硬化剤や熱可塑性樹脂、各種添加剤を含んでいても良い。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、トリアジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂およびポリイミド樹脂等が挙げられる。更に、これらの変性体および2種類以上のブレンド樹脂なども用いることができる。これらの硬化性樹脂は、加熱により自己硬化するものであっても良いし、硬化剤や硬化促進剤などを配合することにより硬化する樹脂であっても良い。
これらの熱硬化性樹脂の中でも、耐熱性、機械特性および炭素繊維との接着性のバランスに優れているエポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂が好ましく、機械特性の面からはエポキシ樹脂がさらに好ましく、耐熱性の面からはビスマレイミド樹脂がより好ましい。
エポキシ樹脂としては、特に制限はないが、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリンおよびその誘導体などの2官能エポキシ樹脂、トリグリシジルアミノフェノール、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンなどの3官能エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、熱硬化性樹脂組成物に配合される熱硬化性樹脂を硬化させる公知の硬化剤が用いられる。例えば、エポキシ樹脂を用いる場合に使用される硬化剤としては、ジシアンジアミドなどの潜在性硬化剤、脂肪族ポリアミン類、芳香族アミン類、アミノ安息香酸エステル類、酸無水物類が挙げられる。
ジシアンジアミドは、潜在性を有するため好ましい。
脂肪族ポリアミン類は反応性が高く、低温での硬化反応が可能となるため好ましい。脂肪族ポリアミン類としては4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、m−キシリレンジアミン等が例示される。
芳香族ポリアミンは耐熱性や各種力学特性に優れるため好ましい。芳香族ポリアミン類としてはジアミノジフェニルスルホン類、ジアミノジフェニルメタン類、トルエンジアミン誘導体が例示される。4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン化合物及びそれらの非反応性置換基を有する誘導体は、耐熱性の良好な硬化物を与えるという観点から特に好ましい。また、非反応性置換基を有する芳香族ジアミン化合物は、反応性が特に低く、保存安定性に優れるため、特にRTM法に用いられるエポキシ樹脂組成物に適している。
アミノ安息香酸エステル類としては、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエートやネオペンチルグリコールジ−p−アミノベンゾエートが好ましく用いられる。これらを用いて硬化させた複合材料は、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体と比較して耐熱性は劣るが、引張伸度に優れる。
酸無水物類としては、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。これら硬化剤を用いた場合、未硬化樹脂組成物のポットライフが長く、電気的特性、化学的特性、機械的特性などに比較的バランスがとれた硬化物が得られる。そのため、複合材料の用途に応じて、使用する硬化剤の種類は適宜選択される。
熱硬化性樹脂組成物に含まれる硬化剤の量は、少なくとも熱硬化性樹脂組成物に配合されている熱硬化性樹脂を硬化させるのに適する量を、用いる熱硬化性樹脂及び硬化剤の種類に応じて適宜調節すればよい。配合量は、硬化剤・硬化促進剤の有無と添加量、硬化性樹脂との化学反応量論及び組成物の硬化速度などを考慮して、適宜、所望の配合量で用いることができる。保存安定性の観点から、熱硬化性樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂100質量部に対して、硬化剤を30〜100質量部配合することが好ましく、30〜70質量部がより好ましい。
最終的に得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性などの機械特性を向上させる目的で、熱可塑性樹脂を配合しても良い。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンオキシド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアラミド、ポリベンズイミダゾール、各種エラストマー等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物に配合する熱可塑性樹脂の量は、適切な機械特性を与えるように適宜調節すればよい。熱硬化性樹脂組成物に対して、熱可塑性樹脂は0.1〜100質量部となるように配合することが好ましい。
熱可塑性樹脂の具体的例としては、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルニトリル、ポリベンズイミダゾール、各種エラストマーが例示される。これらの中でも、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、各種エラストマーは、FRPに対する靭性向上効果が特に優れている。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。また、これらの共重合体を用いることもできる。
繊維強化複合材料の製造方法としては、本発明のプリフォーム内に、液状又はスラリー状の熱硬化性樹脂組成物を含浸させて硬化させる方法が挙げられる。具体的には、RTM法やVaRTM法が例示される。
成形時の温度は、140〜210℃が好ましい。成形温度が140℃以上であれば、十分に硬化反応を起こすことができ、高い生産性でFRPを得ることができる。また、成形温度が210℃以下であれば、経済的に有利なプロセスとなる。
成形時間は0.1〜8時間が好ましい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本実施例、比較例において使用する成分や試験方法を以下に記載する。
[炭素繊維基材の製造]
炭素繊維束“テナックス(登録商標)”HTS40−12K:(引張強度4.2GPa、引張弾性率240GPa、帝人(株)製)をタテ糸とヨコ糸に用いて、織物(綾織物、目付380g/m)を製造した。
[バインダー樹脂組成物の製造]
所定の熱可塑性樹脂およびエポキシ樹脂を混合したスラリーを、2軸押出機で混練して樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを凍結粉砕機を用いて粉砕し、粉状のバインダー樹脂組成物を得た。
[液状熱硬化性樹脂]
炭素繊維複合材料のマトリックス樹脂として、アミン硬化型エポキシ樹脂を利用した。その組成は以下の通りである。
[エポキシ樹脂]
・ハンツマン・ジャパン株式会社製 Araldite(登録商標) MY721 20質量部
・ハンツマン・ジャパン株式会社製 Araldite(登録商標) MY0510 30質量部
・ハンツマン・ジャパン株式会社製 Araldite(登録商標) MY0610 30質量部
・ハンツマン・ジャパン株式会社製 Araldite(登録商標) PY306 20質量部
[硬化剤]
・ロンザジャパン株式会社製 Lonzacure(登録商標)M−MIPA 67質量部
[炭素繊維複合材料1]
バインダー樹脂組成物を炭素繊維織物(綾織物、目付380g/m)の片面に8g/mを塗布し、その後、150℃のオーブンで10分間加温し、バインダー樹脂を炭素繊維織物に固定した。バインダー樹脂付き炭素繊維織物を350×350mmにカットし、500×500mmの離型処理したアルミ板の上に、バインダー樹脂の塗布面を上にして炭素繊維織物を8枚重ねて積層体([(0/90) / (±45)]2s)とした。 更に積層体の上に、離型性機能を付与した基材であるピールクロスのRelease Ply C(AIRTECH社製)と樹脂拡散基材のResin Flow 90HT(AIRTECH社製)を積層した。 その後、樹脂注入口と樹脂排出口形成のためのホースを配置し、全体をナイロンバッグフィルムで覆い、シーラントテープで密閉し、内部を真空にした。続いてアルミ板を120℃に加温し、バック内を5torr以下に減圧した後、樹脂注入口を通して、真空系内へ上記の液状熱硬化性樹脂を100℃に加熱した樹脂の注入を行った。注入した混合樹脂がバック内に充満し、積層体に含浸した状態で180℃に昇温し、180℃で2時間保持して、炭素繊維複合材料を得た。
[炭素繊維複合材料2]
バインダー樹脂組成物を炭素繊維織物(綾織物、目付380g/m)の両面に25g/mずつ、合計50g/mを塗布し、その後、150℃のオーブンで10分間加温し、バインダー樹脂を炭素繊維織物に固定した。バインダー樹脂付き炭素繊維織物を350×350mmにカットし、500×500mmの離型処理したアルミ板の上に、バインダー樹脂の塗布面を上にして炭素繊維織物を8枚重ねて積層体([(0/90) / (±45)]2s)とした。 更に積層体の上に、離型性機能を付与した基材であるピールクロスのRelease Ply C(AIRTECH社製)と樹脂拡散基材のResin Flow 90HT(AIRTECH社製)を積層した。 その後、樹脂注入口と樹脂排出口形成のためのホースを配置し、全体をナイロンバッグフィルムで覆い、シーラントテープで密閉し、内部を真空にした。続いてアルミ板を120℃に加温し、バック内を5torr以下に減圧した後、樹脂注入口を通して、真空系内へ上記の液状熱硬化性樹脂を100℃に加熱した樹脂の注入を行った。注入した混合樹脂がバック内に充満し、積層体に含浸した状態で180℃に昇温し、180℃で2時間保持して、炭素繊維複合材料を得た。
[評価方法]
(1) バインダー樹脂組成物のガラス転移温度
ティー・エイ・インスツルメント社製DSC(Q2000)を用い、ガラス転移温度を測定した。室温から250℃まで20℃/minで昇温した後、−40℃まで20℃/minで降温し、更に250℃まで20℃/minで昇温し、ベースラインがシフトするカーブの変曲点をガラス転移温度とした。
(2) バインダー樹脂組成物の接着性
炭素繊維基材の片面へ12g/mの目付量でバインダー樹脂組成物を散布した。続いて160℃のオーブンへ投入し、10分間加熱処理を行うことで、基材を得た。基材のバインダー樹脂組成物を散布した面を指でこすり、バインダー樹脂組成物の脱落有無を確認した。
(3) 炭素繊維複合材料のガラス転移温度
炭素繊維複合材料のガラス転移温度は、SACMA 18R−94法に準じて測定した。炭素繊維複合材料1を50mm×6mm×2mmの寸法に切断し、試験片を準備した。UBM社製動的粘弾性測定装置Rheogel−E400を用い、測定周波数1Hz、昇温速度5℃/分、ひずみ0.0167%の条件で、チャック間の距離を30mmとし、50℃からゴム弾性領域まで貯蔵弾性率E’を測定した。logE’を温度に対してプロットし、logE’の平坦領域の近似直線と、E’が変位する領域の変曲点における接線との交点から求められる温度を、炭素繊維複合材料のガラス転移温度として記録した。
(4) 炭素繊維複合材料のOHC
炭素繊維複合材料2を幅38.1mm × 長さ304.8mmの寸法に切断し、試験片中心に直径6.35mmの穴あけ加工を施し、有孔圧縮強度(OHC)試験の試験片を得た。試験は、SACMA SRM3に則って実施し、最大点荷重から有孔圧縮強度を算出した。
(5) エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率
エポキシ樹脂の硬化剤として、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンを用い、エポキシ樹脂のグリシジル基と硬化剤の活性水素を等量として混合し、180℃、2時間で硬化させ、硬化物を得た。硬化物の曲げ弾性率の測定は、JIS K7171法に準じて行った。
〔バインダー樹脂組成物の成分〕
(エポキシ樹脂)
・3,4’−TGDDE:以下の化学式(4)のエポキシ化合物を合成して用いた。
Figure 2020164672
このエポキシ樹脂の合成方法は以下の通りである。
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で3,4’−ジアミノジフェニルエーテル1000g(5.0mol)、トルエン2500g、蒸留水250gを仕込んだ。これにエピクロロヒドリン5545g(60mol)を加え、80℃で24時間撹拌して付加反応を完結させ、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)−3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを得た。続いて、フラスコ内温度を30℃に下げてから硫酸水素テトラブチルアンモニウム50.9g(150mmol)を加え、これに48%NaOH水溶液2497g(30mol)を60分かけて滴下し、更に4時間撹拌した。得られた反応液へ蒸留水3000mLを加え、有機層を分取した。得られた有機層を0.5%食塩水で1回、蒸留水で1回洗浄を行い、有機層を硫酸ナトリウムで脱水した後に濾過し、濾液を濃縮することで赤褐色の粘性液体を1309g得た。このエポキシ樹脂の硬化物の曲げ弾性率は、4.7GPaであった。
・jER825(三菱ケミカル社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化物の曲げ弾性率:3.4GPa)
・jER1004(三菱ケミカル社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化物の曲げ弾性率:3.2GPa)
(熱可塑性樹脂)
・ポリエーテルイミド(ULTEM1000P、SABIC社製)
・ポリエーテルスルホン(スミカエクセルPES5003P、住友化学社製)
・フェノキシ樹脂(PKHP200、 Gabriel社製)
〔参考例〕
バインダー樹脂組成物を用いない他は、炭素繊維複合材料1と同様に操作して炭素繊維複合材料を得た。この炭素繊維複合材料1のガラス転移温度は、210℃であった。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料のOHCは、277MPaであった。
〔実施例1〕
エポキシ樹脂として3,4’−TGDDEを、熱可塑性樹脂としてULTEM1000Pを、質量比20:80となる様に用いた。得られたバインダー樹脂組成物のガラス転移温度は134℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物の脱落はなかった。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料1のガラス転移温度は211℃であり、未使用の場合(参考例)と比べて1℃高く、良好な耐熱性を示した。
〔実施例2〕
エポキシ樹脂として3,4’−TGDDEを、熱可塑性樹脂としてULTEM1000Pを、質量比40:60となる様に用いた。得られたバインダー樹脂組成物のガラス転移温度は95℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物の脱落はなかった。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料1のガラス転移温度は209℃であり、未使用の場合と比べて1℃低くなったものの、良好な耐熱性を示した。
〔実施例3〕
エポキシ樹脂として3,4’−TGDDEを、熱可塑性樹脂としてULTEM1000Pを、質量比50:50となる様に用いた。得られたバインダー樹脂組成物のガラス転移温度は69℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物の脱落はなかった。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料1のガラス転移温度は208℃であり、未使用の場合と比べて2℃低くなったものの、良好な耐熱性を示した。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料2のOHCは、286MPaであり、参考例と比べても高く優れた物性を示した。
〔実施例4〕
エポキシ樹脂として3,4’−TGDDEを、熱可塑性樹脂としてスミカエクセルPES5003Pを、質量比30:70となる様に用いた。得られたバインダー樹脂組成物のガラス転移温度は137℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物の脱落はなかった。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料1のガラス転移温度は209℃であり、未使用の場合と比べて1℃低くなったものの、良好な耐熱性を示した。
〔実施例5〕
エポキシ樹脂として3,4’−TGDDEを、熱可塑性樹脂としてスミカエクセルPES5003Pを、質量比40:60となる様に用いた。得られたバインダー樹脂組成物のガラス転移温度は102℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物の脱落はなかった。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料1のガラス転移温度は209℃であり、未使用の場合と比べて1℃低くなったものの、良好な耐熱性を示した。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料2のOHCは、285MPaであり、参考例と比べても高く優れた物性を示した。
〔実施例6〕
エポキシ樹脂として3,4’−TGDDEを、熱可塑性樹脂としてスミカエクセルPES5003Pを、質量比50:50となる様に用いた。得られたバインダー樹脂組成物のガラス転移温度は71℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物の脱落はなかった。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料1のガラス転移温度は210℃であり、未使用の場合と比べて差はなく、良好な耐熱性を示した。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料2のOHCは、286MPaであり、参考例と比べても高く優れた物性を示した。
〔実施例7〕
エポキシ樹脂として3,4’−TGDDEを、熱可塑性樹脂としてスミカエクセルPES5003Pを、質量比60:40となる様に用いた。得られたバインダー樹脂組成物のガラス転移温度は51℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物の脱落はなかった。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料1のガラス転移温度は212℃であり、未使用の場合と比べて2℃高く、良好な耐熱性を示した。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料2のOHCは、287MPaであり、参考例と比べても高く優れた物性を示した。
〔比較例1〕
熱可塑性樹脂としてULTEM1000Pを凍結粉砕し、単独でバインダー樹脂として評価した。バインダー樹脂のガラス転移温度は220℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物は脱落し、接着性が不十分であった。
〔比較例2〕
熱可塑性樹脂としてスミカエクセルPES5003Pを凍結粉砕し、単独でバインダー樹脂として評価した。バインダー樹脂のガラス転移温度は223℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物は脱落し、接着性が不十分であった。
〔比較例3〕
エポキシ樹脂としてjER825を、熱可塑性樹脂としてULTEM1000Pを、質量比10:90となる様に用いた。得られたバインダー樹脂組成物のガラス転移温度は162℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物は脱落し、接着性が不十分であった。
〔比較例4〕
エポキシ樹脂としてjER1004を、熱可塑性樹脂としてULTEM1000Pを、質量比30:70となる様に用いた。得られたバインダー樹脂組成物のガラス転移温度は158℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物は脱落し、接着性が不十分であった。
〔比較例5〕
エポキシ樹脂としてjER825を、熱可塑性樹脂としてULTEM1000Pを、質量比50:50となる様に用いた。得られたバインダー樹脂組成物のガラス転移温度は43℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物の脱落はなかった。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料2のOHCは、278MPaであった。
〔比較例6〕
エポキシ樹脂としてjER825を、熱可塑性樹脂としてスミカエクセルPES5003Pを、質量比50:50となる様に用いた。得られたバインダー樹脂組成物のガラス転移温度は52℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物の脱落はなかった。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料2のOHCは、279MPaであった。
〔比較例7〕
バインダー樹脂組成物として、フェノキシ樹脂(PKHP200、 Gabriel社製)を用い、評価を行った。ガラス転移温度は69℃であった。
バインダー樹脂組成物の接着性を評価したところ、バインダー樹脂組成物の脱落はなかった。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料のガラス転移温度は198℃であり、未使用の場合と比べて12℃低くなり、耐熱性が大きく低下した。
得られたバインダー樹脂組成物を用いた炭素繊維複合材料2のOHCは、270MPaであり、参考例と比べても低く不十分な物性を示した。

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂とを含むバインダー樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂のグリシジル基が3官能以上であることを特徴とするバインダー樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂が、硬化物の曲げ弾性率が4GPa以上であるエポキシ樹脂である請求項1に記載のバインダー樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ樹脂が下記化学式(1)
    Figure 2020164672

    (ただし、化(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及びハロゲン原子から成る群から選ばれた1つを表す。Xは、−CH−、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−O−C(=O)−、−NHCO−、−CONH−、及び−SO−から成る群から選ばれた1つを表す。)
    で示される化合物を含有するエポキシ樹脂である請求項1又は2に記載のバインダー樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂がポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、若しくはこれらの共重合体、又はこれらの混合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載のバインダー樹脂組成物。
  5. ガラス転移温度が40〜150℃である請求項1〜4のいずれか1項に記載のバインダー樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の樹脂組成物からなる、プリフォーム用バインダー樹脂組成物。
  7. 室温(25℃)において粒子形態を有する請求項6に記載のプリフォーム用バインダー樹脂組成物。
  8. 複数の繊維強化基材シートと、
    請求項1乃至5の何れか1項に記載のバインダー樹脂組成物と、
    から成り、
    前記複数の繊維強化基材シートが積層されるとともに、
    前記複数の繊維強化基材シートが前記プリフォーム用バインダーを介して互いに接着されているプリフォーム。
  9. 前記繊維強化基材シートが炭素繊維、ガラス繊維、又はアラミド繊維を含んで成る請求項8に記載のプリフォーム。
  10. 請求項8又は9に記載のプリフォームと、
    前記プリフォーム内に含浸して硬化された熱硬化性樹脂と、
    から成る繊維強化複合材料。
  11. 請求項8又は9に記載のプリフォーム内に、液状又はスラリー状の熱硬化性樹脂組成物を含浸させて硬化させる繊維強化複合材料の製造方法。
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