JP2020163624A - 薬液保持用シート、フェイスマスクおよび薬液保持用シートの製造方法 - Google Patents

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Takahiro Yano
貴宏 谷野
博之 藤堂
Hiroyuki Todo
博之 藤堂
真基 中村
Masaki Nakamura
真基 中村
聖司 上原
Seiji Uehara
聖司 上原
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【課題】不織布の肌触りを損なうことなく不織布とフィルムとを強固に接着させた薬液保持用シート、フェイスマスクおよび薬液保持用シートの製造方法を提供する。【解決手段】保液性を有する不織布11と、フィルム12とを有し、フィルム12の熱可塑性エラストマーが放電処理した不織布11の放電処理面の繊維間の一部に入り込むことによって一体化している薬液保持用シート10。【選択図】図1

Description

本発明は、薬液保持用シート、フェイスマスクおよび薬液保持用シートの製造方法に関する。
例えば、特許文献1に示すように、不織布からなる液体含浸基材と、その液体含浸基材に重ねた液体遮断フィルムとを備え、液体含浸基材と液体遮断フィルムとを少なくとも部分的に接合して一体化したフェイスマスクが知られている。このフェイスマスクは、美容液や化粧水を含む液体含浸基材を顔に貼付したとき、液体遮断フィルムが液体含浸基材の外側を覆うことになるため、使用中における美容液や化粧水等の有効成分の蒸散を防ぐことができ、有効成分を長時間に亘って肌に作用させることができる。
特開2003−135146号公報
しかし、近年のフェイスマスクには、顔の皮膚に美容液や化粧水を供給するためだけではなく、頬を側頭部に向けて斜め上方に持ち上げるリフトアップ機能が求められている。特許文献1のフェイスマスクは、液体遮断フィルムとして樹脂製フィルムを用いているため、フェイスマスク全体として伸縮性およびキックバック性が小さく、十分なリフトアップ機能は得られない。
また特許文献1のフェイスマスクにおいて、液体含浸基材と液体遮断フィルムとを一体化する方法として、液体含浸基材(不織布)に熱融着性繊維を混入させた熱融着による一体化、ホットメルト等の接着剤を用いた一体化、あるいは、縫合による一体化が挙がられている。しかし、不織布に熱融着性繊維を混入させる場合、不織布内に分散された熱融着性繊維が溶融して他の繊維と結合するため、全体として固くなり、顔への密着性および肌触りが損なわれる。また、ホットメルト等の接着剤を用いる場合も、接着剤が不織布内に入り込むため、全体として固くなり、同様に顔への密着性および肌触りが損なわれる。そして、接着剤が不織布面側まで浸透するおそれもある。さらに、縫合する場合、縫合糸が不織布面側から露出し、不織布面の肌触りが悪い。
本発明は、不織布の肌触りを損なうことなく不織布とフィルムとを強固に接着させた積層シートおよび積層シートの製造方法を提供することを目的としている。
本発明の薬液保持用シートは、保液性を有する不織布とフィルムとを積層一体化した薬液保持用シートであって、前記フィルムは熱可塑性エラストマーを含むエラストマー組成物からなり、前記不織布の少なくとも一方の面は、放電処理された放電処理面であり、前記不織布の繊維の融点または分解温度より前記フィルムの熱可塑性エラストマーの融点が低く、前記熱可塑性エラストマーが前記放電処理面の繊維間の一部に入り込むことによって不織布とフィルムとが積層一体化していることを特徴としている。ここで「保液性」とは、液体を含侵または塗布することによって保持できることをいう。またここで「放電処理面の繊維間の一部に入り込む」とは、不織布としての保液性が損なわれない程度に、熱可塑性エラストマーが不織布内に入り込んでいることをいう。
このような薬液保持用シートであって、前記放電処理がコロナ処理であるものが好ましい。
このような薬液保持用シートは、不織布に薬液を保持させることにより様々な用途に用いることができる。特に、フェイスマスクに好ましく用いられる。
本発明の薬液保持用シートの製造方法は、保液性を有する不織布とフィルムとを積層一体化したものであって、前記フィルムは熱可塑性エラストマーを含むエラストマー組成物からなり、前記不織布の繊維の融点または分解温度より前記フィルムの熱可塑性エラストマーの融点が低い薬液保持用シートの製造方法であって、前記不織布の少なくとも一面に放電処理して放電処理面を形成し、前記放電処理面に溶融状態または軟化状態のフィルムを重ね、両者をプレスすることにより前記フィルムの熱可塑性エラストマーを前記放電処理面の繊維間の一部に入り込ませて前記不織布と前記フィルムとを積層一体化することを特徴としている。
本発明の薬液保持用シートは、放電処理を施した不織布の放電処理面の繊維間の一部に熱可塑性エラストマーが入り込むことによって不織布とフィルムとが積層一体化しているため、不織布の保液性および肌触り、さらにはエラストマー組成物からなるフィルムの物性を損なうことなく、不織布とフィルムとを強固に接着することができる。
本発明の薬液保持用シートの一実施形態を示す側面断面図である。
図1の薬液保持用シート10は、保液性を有する不織布11と、フィルム12とを有し、フィルム12の熱可塑性エラストマーが放電処理した不織布11の放電処理面の繊維間の一部に入り込むことによって一体化している。またフィルム12の外側の面にセパレーターを設けてもよい。
このような薬液保持用シート10は、不織布11に薬液を保持させて使用するものであり、例えば、ナプキン、おむつ、ウェットティッシュなどの体液吸収用シートまたは皮膚洗浄用シート;フェイスマスク、メイク除去シート、クレンジングシート、汗拭きシートや油取シートなどの身体洗浄用シート、冷却シート、かゆみ抑制シートや湿布などの薬用シートまたは治療用シートなどの各種スキンケアシート;洗浄液などを保持させたトイレ掃除用シートまたは床掃除用シートなどの各種掃除用シートなどに用いることができる。特に、フェイスマスクとして用いるのが好ましい。
フェイスマスクに用いる場合、薬液としては、例えば、化粧水、化粧液、美容液等、美容に関する有効成分を含んだ溶液が挙げられる。なお、有効成分としては、例えば、保湿剤、紫外線防止剤、美白剤等が挙げられる。
不織布11は、繊維が絡み合ったシート状のものに、放電処理を施したものであり、後述するように繊維の融点または分解温度が、フィルム12の熱可塑性エラストマーの融点より高い。不織布11の繊維の融点または分解温度の下限は、例えば、140℃以上、150℃以上、特に180℃以上であるものが好ましい。融点または分解温度の上限としては、500℃以下である。
放電処理としては、コロナ処理、プラズマ処理などが挙げられる。特に、コロナ処理が好ましい。コロナ処理は、高電圧の電極と金属製の処理ロール(対向電極)との間に高周波高電圧を印加してコロナ放電を発生させ、そこへ不織布を通過させ、不織布の繊維の表面に極性基を発生させ、表面改質をはかる処理である。電力としては、0.5〜4.0KW、1〜3KW、特に1.5〜2.5KWが好ましい。不織布を通過させるラインスピードは、10〜80m/分、10〜50m/分、特に10〜30m/分が好ましい。
不織布11を構成する繊維としては、特に限定されず、不織布に求める肌触り、強度に応じて適宜選択することができ、たとえば、綿、麻、絹などの天然繊維(植物繊維または動物繊維)や、ポリエステル、ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド66等)、アクリル、ポリオレフィン等の合成繊維などが挙げられる。特に、セルロース繊維またはポリエステル繊維を含むものが好ましく、少なくともポリエステル繊維を含むものがより好ましく、セルロース繊維とポリエステル繊維の両方を含むものが特に好ましい。セルロース繊維は、化粧水、化粧液、美容液等の化粧料の液状成分を構成する水や水溶液、極性溶媒、これらのエマルジョンなどの吸収性が良い。一方、ポリエステル繊維は、伸縮性に優れ、フィルムとの複合性に優れている。
セルロース繊維は、広義のセルロースを意味し、綿、絹、麻などの天然セルロース繊維、および、セルロースまたはその誘導体を処理した後、再びセルロースに戻した再生セルロース繊維を含む。再生セルロース繊維としては、例えば、ビスコースレーヨンなどのレーヨン、アセテート、リヨセルなどのテンセル、キュプラ、ポリノジックなどが挙げられる。
特に、分解温度が、170℃以上、200℃以上、特に230℃以上であるものが好ましい。例えば、レーヨン、キュプラは、分解温度が260℃〜300℃と高く好ましい。これらを単独または二種以上組み合わせて使用してもよい。
ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維などが挙げられる。
特に、融点が、170℃以上、200℃以上、特に210℃以上であるポリエステル繊維が好ましい。これらを単独または二種以上組み合わせて使用してもよい。
不織布11が、セルロース繊維とポリエステル繊維とを含む場合、セルロース繊維の分解温度とポリエステル繊維の融点との差が100℃以下、特に70℃以下であるものが好ましい。
不織布11をセルロース繊維と他の繊維(ポリエステル繊維以外)で構成する場合、他の繊維の混合割合は、セルロース繊維に対して20重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。
不織布11をポリエステル繊維と他の繊維(セルロース繊維以外)で構成する場合、他の繊維の混合割合は、ポリエステル繊維に対して20重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。
不織布11を実質的にポリエステル繊維とセルロース繊維とから構成する場合、ポリエステル繊維とセルロース繊維の重量比率は、90:10〜10:90、80:20〜50:50、特に80:20〜60:40とするのが好ましい。セルロース繊維が10重量%未満では、化粧水等の保液性が悪くなる。なお、セルロース繊維とポリエステル繊維以外に他の繊維を混ぜる場合、他の繊維の混合割合は、セルロース繊維とポリエステル繊維の混合物に対して20重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。
また不織布11として合成繊維、特に、ポリエステル繊維を用いる場合、コイル状の立体捲縮を有する捲縮繊維とするのが好ましい。捲縮繊維は、コイル状部分を有しているため、不織布として使用したとき、不織布に伸縮性を与え、柔軟な触感を与える。また捲縮繊維は、コイル状部分が他の繊維を囲うように交絡し、不織布の形態安定性を向上させ、毛羽立ちを抑制するため、肌触りも良い。
立体捲縮を有する捲縮繊維としては、サイドバイサイド型や芯鞘型の捲縮繊維などが有り、どちらかに限定されるものではないが、特に、サイドバイサイド型の捲縮繊維が好ましい。サイドバイサイド型の捲縮繊維は、熱収縮率(又は熱膨張率)の異なる同系統の樹脂を層状構造にした複合繊維を加熱により捲縮させた繊維である。例えば、サイドバイサイド型のポリエステル捲縮繊維の場合、熱収縮率の低いポリエステル樹脂を繊維断面片側成分とし、熱収縮率の高いポリエステル樹脂を他方側を占める成分とした複合繊維を加熱により捲縮させることによって得られる。
不織布11の繊維(セルロース繊維及びポリエステル繊維)の平均繊維径は、10〜30μm、好ましくは10〜20μm、特に好ましくは11〜18μmである。平均繊維径が10μmより小さい場合、繊維の開繊性が低下する。平均繊維径が30μmより大きい場合、不織布が固くなり、顔への密着性が低下する。
平均繊維長は、30〜75mm、好ましくは35〜65mmである。平均繊維長が30mmより小さい場合、繊維同士の絡みが悪くなる。平均繊維長が75mmより長い場合、繊維の開繊性が悪くなる。
不織布11の目付は、30〜120g/m、好ましくは、35〜100g/m、特に好ましくは40〜80g/mである。目付が30g/mより小さい場合、繊維の間隙が大きく、熱可塑性エラストマーが不織布の繊維間に入り込む量および深さが大きくなり、全体としての柔軟性が低下する。目付が120g/mより大きい場合、目付の高さに起因する不織布の固さにより、顔への密着性が損なわれ、かつ、全体としての柔軟性が低下する。
不織布11(熱可塑性エラストマーが侵入した部位含む)の厚みは、0.4mm〜3mm、好ましくは、0.7〜2.0mm、特に好ましくは、0.8mm〜1.5mmである。このような薄い不織布に対し、薬液保持性を維持した状態でフィルムを実使用に耐えうる程度に固着させるために、放電処理、特にコロナ処理を行うことが重要となる。
不織布の製法としては、スパンレース法、ニードルパンチ法、サーマルボンド法等があるが、特に限定されるものではない。しかし、ニードルパンチ法が好ましい。
フィルム12は、熱可塑性エラストマーを主成分としたエラストマー組成物を押出により成形したものである。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリ(エチレン−ブチレン)ポリスチレンブロック共重合体などのポリスチレンエラストマーなどを挙げることができる。
ここでポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどとしては、これらのエラストマーが、例えば、ポリテトラメチレングリコールやポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコールから誘導されるポリエーテルブロックを有する熱可塑性エラストマー、あるいはこれらと他の樹脂との組成物からなる熱可塑性エラストマーを挙げることができる。中でも、柔軟な触感、伸縮性およびキックバック性に優れたポリエステル系エラストマーが特に、好ましく用いられる。例えば、ポリブチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルと、ポリテトラメチレングリコールを主成分とするポリエーテルとを共重合したポリエステル系エラストマーなどが挙げられる。伸縮性およびキックバック性が優れたポリエステル系エラストマーは、フェイスマスクとして用いたときリフトアップ効果を向上させる。
熱可塑性エラストマーの融点は、不織布11の繊維の融点または分解温度より低くければよく、例えば、130〜180℃であり、好ましくは140〜170℃である。特に、不織布11の繊維の融点または分解温度より30℃以上低いこと、特に50℃以上低いことが好ましい。
エラストマー組成物は、用途に応じた望ましい柔軟な触感、伸縮性およびキックバック性を目的として、複数の熱可塑性エラストマーから構成してもよい。
また本発明の目的を損なわない範囲で樹脂成分を入れてもよい。その場合、エラストマー組成物における熱可塑性エラストマーの配合量は、80重量%〜99.5重量%、特に85重量%〜95重量%とするのが好ましい。特に、カーボンブラックのような着色剤をフィルム組成物に0.1〜5重量%程度添加する場合があるが、そのような場合は不織布との接着性能が低下するため、不織布に対し放電処理、特にコロナ処理を行うことが重要となる。
フィルム12の引張弾性率(ASTMD638)は、25MPa以下、20MPa以下、特に15MPa以下が好ましい。25MPaより大きいと、フェイスマスクを伸ばしながら顔面に貼付するとき、大きな力が必要となり、使い勝手が悪くなる。
フィルム12の厚みは、10〜40μm、好ましくは10〜30μm、特に好ましくは12〜25μmである。10μmより薄いと、接着性が悪くなる。また、フィルムの成形が困難である。40μmより厚いと、フィルム12の存在感が大きくなり、フェイスマスク全体の触感が低下する。
フィルム12の表面には凹凸が形成されていてもよい。凹凸を設けることにより、熱可塑性エラストマーのタック性を低下させることができる。
また、フィルム12に、本発明の目的を損なわない範囲でタルク等の滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料等の添加剤を入れてもよい。例えば、フィルム面と、不織布面とを外観で区別がつくように顔料を加えるのが好ましい。
図1の薬液保持用シート10の不織布11とフィルム12とは、フィルム12の熱可塑性エラストマーが不織布11の放電処理面の繊維間に入り込んで積層一体化している。電子顕微鏡で観察される、不織布11内に入り込んでいる熱可塑性エラストマーの(図1の符号13)の平均厚さは、0.1〜5μm、好ましくは0.25〜2μm、特に好ましくは、0.5〜1μmである。0.1μmより浅いと、アンカー効果を十分に得ることができず、リフトアップ時に剥がれが生じる。また5μmより深いと、不織布11が固くなり、薬液保持用シート10としての触感が低下する。
薬液保持用シート10の厚みは、0.5〜3.5mm、好ましくは0.75〜2.5mm、特に好ましくは1〜2mmである。このような薄いシートであって、薬液保持性を維持した状態でフィルムを実使用に耐えうる薬液保持用シートとするために、放電処理、特にコロナ処理を行うことが重要となる。
このとき薬液保持用シート10の不織布11とフィルム12との剥離強度の下限は、2N以上、2.5N以上、特に3N以上であることが薬液保持シート、特にフェイスマスクとして用いるのに好ましい。剥離強度の上限は、10N以下である。剥離強度は、幅50mm、長さ100mmの試料を、フィルム12のMD方向と平行にして剥離角度180度、試験速度200mm/分の条件で測定したものである。
薬液保持用シート10の伸長弾性率(伸長回復率(Z))は、MD方向(フィルム12の押出方向)及びTD方向(フィルム12の押出方向に対して垂直な方向)のいずれの方向についても、65%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは75%以上である。回復率が65%より低い場合、キックバック性が弱く、フェイスマスクとしてのリフトアップ機能が十分に発揮されない。なお、伸長弾性率の測定方法は、幅10mm、長さ150mmの試験片を、全幅をつかむように引張試験機にセットし、標点間距離100mmが150mmとなった状態で5分保持し、その後、試験片を開放して5分置いたときの長さ(Xmm)を測り、次の式で求める。
Z=(150−X)/(150−100)×100
上記伸長回復率の試験において、試験片を50%伸長させたときの引張力(N)は、MD方向において1.0N〜2.0N、好ましくは1.1〜1.7Nであり、TD方向において、0.2N〜1.0N、好ましくは0.3〜0.9Nである。この薬液保持用シート10をフェイスマスクとして用いるとき、薬液保持用シートのMD方向をフェイスマスクの縦方向とし、薬液保持用シートのTD方向をフェイスマスクの横方向とするのが好ましい。これによりフェイスマスクを横方向に伸ばしながら顔面に貼付するときに、使い勝手がよい。一方、フェイスマスクの縦方向は、横方向より伸びにくくした方が顔に密着させた後、フェイスマスクが顔から落ちにくい。
セパレーターは、製造工程上必要な、離形性を有するフィルムである。これにより、薬液保持用シート10の巻き取りが可能となる。セパレーターとしては、離形性を有する合成樹脂フィルムが用いられ、特に、ポリプロピレンフィルムが好ましい。セパレーターの厚みとしては、10μm〜150μm、好ましくは20μm〜120μm、特に好ましくは30μm〜100μmである。なお、セパレーターの表面調がフィルムに転写されるので、フィルムをマット調とすることもできる。
薬液保持用シート10は、例えば、押し出しラミネート法によって製造する。詳しくは、不織布11を準備し、不織布11の表面にコロナ処理を施す。ダイス等の押し出し機からフィルム状に押し出した溶融状態のエラストマーをコロナ処理した不織布11の表面に積層する。ダイス温度としては、熱可塑性エラストマーの融点より高く、かつ、不織布11の繊維の融点または分解温度より低い温度に設定するのが好ましい。例えば、熱可塑性エラストマーの融点より30℃〜100℃、好ましくは50℃〜80℃高くする。その後、溶融状態の熱可塑性エラストマーと不織布11との積層シートをプレスして、溶融状態または軟化状態の熱可塑性エラストマーをコロナ処理した不織布11の放電処理面の繊維間に入れ込み、一体化させる。例えば、一対のロールで挟みながらプレスして一体化して、薬液保持用シート10を生成する。一対のロールとしては、一対の金属ロール、金属ロールとゴムロール、一対のゴムロールの組み合わせが挙げられる。金属ロールとゴムロールの組合せ場合、熱可塑性エラストマーをゴムロールに当接させ、不織布を金属ロールに当接させることにより、フィルム12の表面に凹凸を形成させることができる。
なお、セパレーターを設ける場合、溶融状態のエラストマーを不織布11の表面に積層し、セパレーターをその溶融状態のエラストマーの上に積層し、3層構造の積層シートをプレスする。この場合、フィルム12は不織布11とセパレーターとの間に挟まれることとなるため、一対のロールの組合せのいずれを用いてもよい。
いずれの場合でも、金属ロールに熱を付与して温めながらニップしてもよい。
また、押し出しラミネート法以外に、不織布11およびフィルム12をそれぞれ成形し、それらを重ねた後、熱プレスして一体化してもよい。
このように薬液保持用シート10は、放電処理した不織布11の放電処理面の繊維間の一部に熱可塑性エラストマーが入り込むことによって不織布11とフィルム12とが積層一体化しているため、不織布11の保液性および肌触り、さらにはフィルムの物性を損なうことなく、不織布とフィルムとを強固に接着することができる。そのため、伸縮性およびキックバック性に優れている。特に、フェイスマスクとして使用する場合、リフトアップ機能が優れ、顔への密着性が良く、全体としての柔軟な触感を有する。
また不織布11にフィルム12が積層されているため、フェイスマスクを使用中において、美容液や化粧水等の有効成分が蒸散することが防止される。
また薬液保持用シート10は、熱可塑性エラストマーの融点以下では、品質が保持されるため、熱処理による滅菌処理ができ、フェイスマスクの生産工程の自由度が高い。
[実施例1、2]
繊維径15μm、繊維長51mmのサイドバイサイド型のPET捲縮繊維(融点が220℃)が70重量%、繊維径12μm、繊維長40mmのレーヨン繊維(分解温度280℃)が30重量%で目付60g/m、厚み0.8mmの不織布11をニードルパンチ法で準備した。その不織布11に、高電力(2.0kW)、ラインスピード(20m/分)の条件でコロナ処理を施した。
次に、ポリエステル系エラストマー(東洋紡株式会社のペルプレン(登録商標)、P−30B−30、融点160℃)が90重量%、黒色顔料のマスターバッチ(ポリエチレン70重量%、カーボンブラック30重量%)が10重量%で混錬・溶融し、ダイス(ダイス温度200℃)から厚み15μmのフィルム状になるよう押し出して不織布11のコロナ処理を施した面に重ねた。
次いで、厚さが40μmのポリプロピレンフィルムを、溶融状態のエラストマーの上に重ねた。
その後、コロナ処理の不織布11/黒色フィルム/セパレーターの三層シートを一対のロールで挟みながらプレスしてセパレーターが付いた薬液保持用シートを製造した。これを実施例1とする。また厚み20μmのフィルム状のエラストマー組成物を押し出した以外は、実施例1と同じ条件のセパレーターが付いた薬液保持用シートを製造した。これを実施例2とする。なお、セパレーターは製造工程上において必要な補助材であり、フェイスマスク等の薬液保持シートとして必要な部材ではない。
[比較例1]
繊維径15μm、繊維長51mmのサイドバイサイド型のPET捲縮繊維(融点が220℃)が70重量%、繊維径12μm、繊維長40mmのレーヨン繊維(分解温度280℃)が30重量%で目付60g/m、厚み0.8mmの不織布11をニードルパンチ法で準備した。次に、ポリエステル系エラストマー(東洋紡株式会社のペルプレン(登録商標)、P−30B−30、融点160℃)が90重量%、黒色顔料のマスターバッチ(ポリエチレン70重量%、カーボンブラック30重量%)が10重量%を、混錬・溶融し、ダイス(ダイス温度200℃)から厚み15μmのフィルム状になるよう押し出して不織布11に重ねた。そして、厚さが40μmのポリプロピレンフィルムを、溶融状態のエラストマーの上に重ねた。
その後、未処理の不織布11/黒色フィルム/セパレーターの三層シートを一対のロールで挟みながらプレスしてセパレーターが付いた薬液保持用シートを製造した。これを比較例1とする。
「物性試験」
実施例1、2および比較例1について、不織布とフィルムとの間の剥離強度(N)を求め、その結果を表1に示す。
剥離強度は、幅50mm、長さ100mmの試料を、フィルム12のMD方向と平行にして剥離角度180度、試験速度200mm/分の条件で測定したものである。なお、剥離強度はセパレーターが付いた状態で測定した。
Figure 2020163624
比較例1は剥離強度が1N程度であったのに対し、不織布にコロナ処理を施した実施例1、2の薬液保持用シートは剥離強度が3N以上となった。
10 薬液保持用シート
11 不織布
12 フィルム
13 熱可塑性エラストマーが入り込んだ部位

Claims (5)

  1. 保液性を有する不織布とフィルムとを積層一体化した薬液保持用シートであって、
    前記フィルムは熱可塑性エラストマーを含むエラストマー組成物からなり、
    前記不織布の少なくとも一方の面は、放電処理された放電処理面であり、
    前記不織布の繊維の融点または分解温度より前記フィルムの熱可塑性エラストマーの融点が低く、
    前記熱可塑性エラストマーが前記放電処理面の繊維間の一部に入り込むことによって不織布とフィルムとが積層一体化している、
    薬液保持用シート。
  2. 前記放電処理がコロナ処理である、
    請求項1に記載の薬液保持用シート。
  3. 不織布に薬液が保持された、
    請求項1または2に記載の薬液保持用シート。
  4. 請求項3に記載の薬液保持用シートからなるフェイスマスク。
  5. 保液性を有する不織布とフィルムとを積層一体化したものであって、前記フィルムは熱可塑性エラストマーを含むエラストマー組成物からなり、前記不織布の繊維の融点または分解温度より前記フィルムの熱可塑性エラストマーの融点が低い薬液保持用シートの製造方法であって、
    前記不織布の少なくとも一面に放電処理して放電処理面を形成し、
    前記放電処理面に溶融状態または軟化状態のフィルムを重ね、
    両者をプレスすることにより前記フィルムの熱可塑性エラストマーを前記放電処理面の繊維間の一部に入り込ませて前記不織布と前記フィルムとを積層一体化する、
    薬液保持用シートの製造方法。
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