JP2020163386A - 金属捕捉剤を活用した機能性材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗菌・防カビ成分及び/又は触媒材料を含む機能性製品及びその製造方法を提供する。【解決手段】金属捕捉剤の、フマル酸塩等を有効成分として使用することで、添加した高価な抗菌・防カビ成分の流出を防ぎ、高い比表面積を有した担体材料でなくても複合化することで抗菌・防カビ材料等としての機能性向上を達成できる抗菌・防カビ成分及び/又は触媒材料を含む機能性製品及びその製造方法を提供する。フマル酸塩等は水に溶けやすいため、有機溶媒を用いず、設備を小型化した簡易な製造方法や人体にも安心・安全な金属捕捉剤とそれを活用した抗菌・防カビ材料等を提供することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、抗菌・防カビ材料等の製造工程で使用される金属成分の流出を防ぐのに有効な金属捕捉剤と、それを活用した抗菌・防カビ材料等と、その製造方法に関する。
従来、一般に、抗菌・防カビ剤の有効金属成分(主に銀、銅、亜鉛等)や、担体(有機材料や無機材料)や、金属捕捉剤に関連する先行技術として、幾つかの特許文献や非特許文献が報告されている。例えば、生野菜の改質剤として、アルコールを単独で、又は主剤としてのアルコールにpH調整剤として有機酸及び有機酸塩類を配合して用いてなる生野菜用改質剤が報告されている(特許文献1)。
また、難溶性有機塩(フマル酸、アジピン酸、コハク酸、イタコン酸、ソルビン酸、安息香酸等)を瞬時に溶解できる速溶性の有機酸製剤として、例えば、平均粒子径0.1〜8μmの難溶性有機酸5〜40重量%と、水又は酸性溶液の1種以上と、分散剤として酢酸基の割合が0.1〜3%とするキサンタンガム0.01〜5重量%とを含有する有機製剤が報告されている(特許文献2)。
また、配位子からみた発光性銀(I)錯体として、500nm以下に極大を持つ、青白く(もしくは青緑に)光る錯体と、銀中心が強く関与する発光性錯体を設計することにより、青から赤まで種々の色を示す化合物を合成すること、が報告されている(非特許文献1)。
また、フマル酸の微粒子化と、特殊な製法により水への溶解性を改善した、新規微細化フマル酸製剤DF30の抗菌効果とその応用開発や、DF30は高い即溶性や大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌に対して極めて短時間で殺菌効果を示し、カット野菜などの加熱殺菌できない製品の洗浄に有用であることについて、報告されている(非特許文献2)。
また、乾式粉砕より得られる平均粒径0.01〜5μmの難溶性有機酸5〜40重量%と、水又はリンゴ酸等の酸性溶液と、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の分散安定剤0.1〜10重量%とを含有する有機酸製剤について、報告されている(特許文献3)。
更に、クエン酸塩を有効成分として含んでなる、魚肉由来の筋肉タンパク質の熱変性や凍結変性を強く抑制する効果のある筋肉タンパク質変性抑制剤等が報告されている(特許文献4)。
ここで、抗菌・防カビ剤の製造方法について詳しく説明すると、抗菌・防カビ剤は、担体(有機材料や無機材料)表面や層間等に金属成分(主に銀、銅、亜鉛等)を担持・結合・イオン交換等して製造されている。金属成分を担体表面や層間等へ均一に担持・結合・イオン交換等をさせるためには、物理的に混合させる乾式法よりも、水溶液中で混合させる湿式法の方が効率的である。
抗菌・防カビ機能を発現する有効な金属成分(主に銀、銅、亜鉛等)のうち、特に人体に安全とされている金属成分としては銀が挙げられる。銀は、水溶液中で容易にイオン化し、抗菌・防カビ成分として使用される。市販されている抗菌・防カビ剤は、主に湿式法で製造されている。その理由として、銀を担体表面や層間等に均一に分散させて担持するためである。
抗菌・防カビ機能等を向上させるためには、抗菌・防カビ等に有効な金属成分をより均一に、担持できれば、高い機能を発現することが知られている。しかしながら、湿式法では、添加した金属(銀、亜鉛、銅等)成分量に対して、得られた抗菌・防カビ材料等に含まれる金属成分量が大きく減少しており、高価な金属成分の流出を抑えた効率的な製造方法が必要となっていた。
抗菌・防カビ材料等を湿式法で製造する場合、固体と液体を分離する必要があり、吸引ろ過等で固液分離を行い、目的である抗菌・防カビ材料等を得ている。その場合、ろ過液中に銀成分が多量に含まれることがわかり、固体の洗浄操作を行うと、更に銀成分がろ過液中に含まれるという事実があった。これは、銀成分が水溶液中において、イオン化し易く、材料に吸着と脱着を繰り返しやすいという特性があるため、銀成分が吸引ろ過工程を経ると容易に流出する現象が起きると考えられる。
特開平2−5822号公報 特許第4127529号公報 特許第4324346号公報 特許第4621834号公報
Bull.Jpn.Soc.Coord.Chem.,Vol.56(2010),pages24−40 九州・沖縄地域企業&公設試・産総研合同成果発表会(平成30年11月16〜17日)の冊子
このような状況の中で、本発明者らは、上記金属成分(主に銀、銅、亜鉛等)の吸引ろ過操作を行っても、金属成分の流出を抑えた効率的な手法を開発することを目標として鋭意研究開発を進めた結果、所期の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、金属捕捉剤と、抗菌・防カビ成分及び/又は触媒材料及び担体物質との複合物から構成される機能性製品と、その製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る金属捕捉剤の特徴は、フマル酸塩等を有効成分として添加し、抗菌・防カビ機能等を示す金属成分を捕捉する点にある。廉価なフマル酸塩等を適量添加することで、高価な金属成分を捕捉することができるため、貴重な資源(高価な金属成分)の無駄を省くことができる。また、そのフマル酸塩等の添加量は、抗菌・防カビ機能等を示す金属成分の添加量に比べて少なく、廉価であるため、投入した高価な金属成分の捕捉と機能性向上が同時に達成できる点にある。
また、本発明に係る金属捕捉剤は、水に対する溶解度も高いため、製造装置を小型化することができる有利な点がある。抗菌・防カビ機能等を示す金属成分を有効成分として添加しても、その有効成分が水に溶けにくい物質であると有効成分を溶かすために、多量の水とその水を入れる大型な設備(容器)が必要になるからである。抗菌・防カビ機能等を示す金属成分は、アルコールでも溶かすことができるが、水で溶かした方がより廉価で環境にも配慮したものづくりが可能となる。水を用いて小型設備で作製できることは、製造コストの低減や作業者に負担が少なく、環境に対しても有利となる。
抗菌・防カビ性能等を向上させるためには、抗菌・防カビ機能等を示す金属成分を保持する担体が必要となる。この担体は、比表面積が大きいほど、金属成分を保持する能力が高くなるため、担体物質自体の比表面積も抗菌・防カビ性能等に影響する。
しかしながら、本発明の製造方法で作製した抗菌・防カビ材料等は、比表面積が数m/gと小さい担体(市販されている窯業原料の担体)にもかかわらず、抗菌・防カビ機能等を示す金属成分を保持・含有することが可能となり、高い抗菌・防カビ機能を発現できる。
本発明は、上記構成を採用することにより、以下のような効果を奏する。
1)本発明では、フマル酸塩等を添加することで抗菌・防カビ性能等に寄与する高価な銀成分等の流出を防ぎ、担体物質に担持及び含有された材料を得ることができ、且つ抗菌・防カビ性能等を発現する材料を得ることができる。
2)更に、廉価なフマル酸塩の添加量を最適化することで、添加した高価な銀成分を全て捕捉することが可能となるため、高価な資源の流出を防ぎながら、機能性を発現するものづくりが可能となる。
3)また、特に銀成分を効率的に捕捉するため、銀成分の添加量を半減しても同等の抗菌性能を発現することが可能となる。
4)更に銀成分のみでなく、捕捉しにくい他の金属(亜鉛、銅等)成分についても高い捕捉性能を示すことが分かった。
5)また、抗菌・防カビ材料としてだけでなく、触媒機能を向上させる助触媒としても活用できることも分かった。
6)フマル酸塩等を活用することで、水に溶けやすい材料を使用するため、設備を小型化した簡易な製造方法や安心・安全な製品を提供することも可能となる。
図1は、本発明における実施形態の製造工程を示す。 図2は、非晶質シリカを酸化焼成して得られるクリストバライト結晶相のみを含むシリカのXRDパターンを示す。 図3は、実施例5に関して金属捕捉剤としてオルトケイ酸ナトリウムを用いた場合の複合物及び担体物質のXRDパターンを示す。 図4は、実施例10に関して金属捕捉剤としてリン酸三カリウムを用いた場合の複合物及び担体物質のXRDパターンを示す。 図5は、実施例10において各種条件((a)合成温度=60℃、(b)標準条件、(c)担体物質=石英、(d)担体物質=10g)で合成した固体のXRDパターンを示す。 図6は、実施例10の結果(合成条件の違いによる各炭酸銀の生成割合)を示す。 図7は、実施例10の結果(β−炭酸銀の生成割合に対する最小発育阻止濃度;MIC)を示す。 図8は、実施例10において金属捕捉剤として亜硫酸ナトリウムを用いた場合の複合物および担体物質のXRDパターン(複合物:上、担体物質:下)を示す。 図9は、実施例14で作製した光触媒試料の試験前後の写真(上部:試験前、下部:28日間試験後)を示す。 図10は、実施例15で作製した加工液を被覆した樹脂試料(左:対黄色ブドウ球菌、右:対大腸菌)を示す。 図11は、実施例17における酸化焼成後の試料外観[(数字)は表20中のサンプル名に対応]を示す。 図12は、実施例19で作製した光触媒粉末(左図)およびそれらのUV−Vis吸収スペクトル(右図)を示す。 図13は、実施例19で作製した光触媒フィルターの外観を示す。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の例によって何ら限定されるものではない。
以下、本発明に係る金属捕捉剤を用いた抗菌・防カビ材料等の実施例について説明する。なお、本発明の範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
〔実施例1〕
金属捕捉剤にコハク酸を選定し、各担体物質の重量に対して0.5mass%を90mlの蒸留水に溶解した。担体物質は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW;石英結晶相およびクリストバライト結晶相を含むシリカ)、大村白土、株式会社五島鉱山製の五島PCクレー(ロウ石)、長崎陶料株式会社製の対馬陶石(SP−80)、株式会社ニッチツハイシリカ事業本部製の石英(FK−3F)をそれぞれ22gずつ用いた。硝酸銀水溶液は、10mlの蒸留水に0.025molの硝酸銀を溶解した溶液を用いた。
図1の製造方法で得られた固体中に含まれる銀含有量を蛍光X線分析装置により求めた。比較のため、金属捕捉剤を添加しない場合も図1と同様な製造方法で粉末試料を得た。コハク酸を添加した粉末とコハク酸を添加していない粉末の最小発育阻止濃度:MIC(大腸菌)評価を一般社団法人京都微生物研究所に依頼した。それらの結果を表1に示す。
コハク酸を添加していない試料は、83.2〜95.7mass%の銀が吸引ろ過等で流出している事実を確認した。一方、コハク酸を0.5mass%添加した試料は、すべての試料において銀の含有量が増加しており、銀の流出を抑制していることが分かった。また、銀の捕捉量が増加すると、MIC(大腸菌)値も低下する(高い機能性を発現する)傾向を示した。つまり、銀の流出を抑え、試料中の銀の含有量を高めることは、資源の無駄を減らしながら、且つ抗菌性能を向上させることにつながることが分かった。
また、担体物質として、上記シリカ以外に、非晶質シリカを酸化焼成して得られるクリストバライト結晶相のみを含むシリカを用いることができる。そのXRDパターンを図2に示す。
〔実施例2〕
そこで、本実施例では、銀の含有量を高めることができる金属捕捉剤を探索した。金属捕捉剤(=各種ジカルボン酸<直鎖二塩基酸>)を担体物質の重量に対して0.5mass%に固定して、90mlの蒸留水やアルコール溶液に溶解した。担体物質は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)を22g用いた。硝酸銀水溶液は、10mlの蒸留水に0.025molの硝酸銀を溶解した溶液を用いた。図1の製造方法で得られた固体中に含まれる銀含有量を蛍光X線分析装置により求めた。その結果を表2に示す。
各種ジカルボン酸の炭素(直鎖)数が多くなると銀含有量は、最大2.7倍以上増加するが、炭素数が多すぎても逆に銀含有量は減少した。また、炭素数が多くなるに従って、水やアルコール溶液に対する溶解性が低下し、多量の水やアルコール溶液が必要になることが分かった。これらのことは多量調製する場合、多量の水やアルコール溶液が必要となり、調製する容器が大型化し、製造コストも高くなることにつながる結果となった。
〔実施例3〕
金属捕捉剤(=各種有機酸<カルボキシル基−COOH含む>)を担体物質の重量に対して0.5mass%に固定して、90mlの蒸留水に溶解した。担体物質は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)をそれぞれ22g用いた。硝酸銀水溶液は、10mlの蒸留水に0.025mol硝酸銀を溶解した溶液を用いた。図1の製造方法で得られた固体中に含まれる銀含有量を蛍光X線分析装置により求めた。その結果を表3に示す。
ヒドロキシ酸や糖及び不飽和二塩基酸を金属捕捉剤として添加したところ、フマル酸を用いると最も多く銀を含み、フマル酸を添加しない場合に比べて3.6倍以上に銀が増加することが分かった。これは添加した銀成分の流出分も少なくしていることにつながっており、高価な金属成分を有効活用できることが期待された。しかし、フマル酸は水に難溶のため、多量に調製する場合、多量の水が必要になり、且つ調製する容器も大型化する懸念があった。これらのことは、製造コストの増加につながることと、吸引ろ過時間も長時間かかり、生産効率の低下につながることが予想された。
〔実施例4〕
更に、水に溶けやすい物質で、且つ安全な金属捕捉剤(=各種有機酸や無機化合物<Na塩,K塩含む>)を検討した。金属捕捉剤は、担体物質の重量に対し0.5mass%に固定して、90mlの蒸留水に溶解した。担体物質は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)をそれぞれ22g用いた。硝酸銀水溶液は、10mlの蒸留水に0.025molの硝酸銀を溶解した溶液を用いた。図1の製造方法で得られた固体中に含まれる銀含有量を蛍光X線分析装置により求めた。その結果を表4に示す。
リン酸二水素カリウムやフマル酸水素ナトリウム等を金属捕捉剤として添加すると、金属捕捉剤を添加しない場合と比べて最大6.2倍以上に銀を含むことが分かった。これは、添加した銀成分の流出を更に抑え、高価な金属成分を有効活用しながら、抗菌特性を向上させることが期待された。更に、多量調製する場合も、少量の水で調製可能で、且つ調製容器も大型化する必要がなく、吸引ろ過時間も短時間で完了し、生産性も低下することなく製造することが可能となった。
〔実施例5〕
廉価な金属捕捉剤の添加量を最適化することで、高価な銀成分を全て捕捉することを目的に、食品添加物に指定された安全な金属捕捉剤の中から選択し、担持量を変化させた場合の試料に含まれる銀含有量を確認した。金属捕捉剤は、担体物質の重量に対してそれぞれ、0.5,3.0,10mass%を90mlの蒸留水にそれぞれ溶解した。担体物質は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)をそれぞれ22g用いた。硝酸銀水溶液は、10mlの蒸留水に0.025molの硝酸銀を溶解した溶液を用いた。
図1の製造方法と同様にして得られた固体中の銀含有量を蛍光X線分析装置により求めた。その結果を表5−1に示す。金属捕捉剤の添加量が増加するのに伴い、銀含有量も増加した。金属捕捉剤を添加していない試料と比較して、18.5倍以上の銀成分を捕捉することが分かった。一方、コハク酸やリン酸系等の金属補足剤を添加した試料の中には、10mass%添加しても投入した銀成分全てを回収することができなかった。
残った銀成分量に差があるのは、金属捕捉剤の分子構造の違いや錯体形成の違い、あるいはイオン化エネルギーの違い、担体物質表面との物理吸着量の違い、又は、担体物質表面のシラノール基や水素イオンとのイオン交換で安定化された量の違い等によって出ているものと考えられる。高価な銀成分を有効活用し機能性を高めるには、添加した銀成分を全て捕捉し、且つ高分散されていることが望ましい。
また、金属捕捉剤として炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムおよびオルトケイ酸ナトリウムを用い、上記と同様にして銀含有量を測定した。その結果を表5−2に示す。
また、金属捕捉剤をオルトケイ酸ナトリウムにして、図1の製造方法で得られた粉末のXRDパターンを図3に示す。複合物には酸化銀の生成が確認された。
〔実施例6〕
金属捕捉剤を変えることで、銀成分の含有量が変化し、且つ抗菌性能が変化するかどうかを確認するため、金属捕捉剤にコハク酸、フマル酸、フマル酸水素ナトリウムを選定し、それぞれ担体物質の重量に対して0.5mass%を90mlの蒸留水に溶解して調製した。担体物質は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)をそれぞれ22gずつ用いた。硝酸銀水溶液は、10mlの蒸留水に0.025molの硝酸銀を溶解した溶液を用いた。
図1の製造方法と同様にして得られた固体中に含まれる銀成分の含有量を蛍光X線分析装置により求めた。得られた粉末は、最小発育阻止濃度:MIC(大腸菌)評価を一般社団法人京都微生物研究所に依頼した。その結果を表6に示す。
金属捕捉剤をコハク酸、フマル酸、フマル酸水素ナトリウムに変えることで、銀含有量が増加した。それに伴い、MIC値も減少することを確認した。つまり、銀を多く保持できる廉価で安全な金属捕捉剤を活用することで、大腸菌に対する最小発育阻止濃度が減少し、大腸菌の増殖抑制効果を高めることも分かった。
〔実施例7〕
フマル酸水素ナトリウムの金属成分の違いや担体物質の違いによる捕捉能力を確認するため、フマル酸水素ナトリウムを担体物質の重量に対して10mass%を90mlの蒸留水に溶解した。担体物質は、株式会社五島鉱山製の五島PCクレー(ロウ石)を22g用いた。硝酸亜鉛水溶液は、10mlの蒸留水に0.025mol硝酸亜鉛6水和物を溶解した溶液を用いた。硝酸銅水溶液は、10mlの蒸留水に0.025mol硝酸銅3水和物を溶解した溶液を用いた。
図1と同様な製造方法で得られた固体中に含まれる亜鉛と銅含有量をそれぞれ蛍光X線分析装置により求め、添加した金属成分に対する捕捉率を求めた。その結果を表7に示す。比較のため、0.025mol硝酸銀を溶解した水溶液を用いた場合の銀捕捉率も示す。フマル酸水素ナトリウムは、担体物質が変わっても、銀を全て捕捉できることが分かった。亜鉛成分や銅成分については、添加した金属(亜鉛、銅)成分を全て捕捉することができなかった。これらの結果から、フマル酸水素ナトリウムは、担体物質が変わっても、金属成分の中で特に銀成分を捕捉する能力が高いことも分かった。
〔実施例8〕
銀成分の添加量を少なくした場合の抗菌特性を確認するため、金属捕捉剤をフマル酸水素ナトリウムに固定し、担体物質の重量に対して10mass%を90mlの蒸留水に溶解した。担体物質は、株式会社五島鉱山製五島PCクレー(ロウ石)を22gずつ用いた。硝酸銀水溶液は、10mlの蒸留水に0.025mol,0.0125mol,0.00625molの硝酸銀をそれぞれ溶解した溶液を用いた。
図1の製造方法と同様にして作製し、得られた粉末は、最小発育阻止濃度:MIC(大腸菌)評価を一般社団法人京都微生物研究所に依頼した。その結果を表8に示す。
硝酸銀添加量を1/2にしても大腸菌に対して同じ最小発育阻止濃度を示すことが分かった。これは抗菌・防カビ成分として最初に添加する原料を50%低減することができることを意味しており、コストの低減につながることが分かった。更に、硝酸銀添加量を1/4にしても増殖速度の速い大腸菌に対して抗菌活性を示すことも分かった。
〔実施例9〕
担体物質の比表面積の違いによる銀成分の含有量を確認するため、金属捕捉剤をフマル酸水素ナトリウムに固定し、担体物質の重量に対して0.5mass%を90ml〜150mlの蒸留水に溶解した。担体物質は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW:3.8m/g)、日本アエロジル株式会社製の非晶質シリカ(380:380m/g)及び品川ゼネラル株式会社製(P−1:301.5m/g)をそれぞれ22gずつ用いた。硝酸銀水溶液は、10mlの蒸留水に0.025molの硝酸銀を溶解した溶液を用いた。
図1の製造方法と同様にして得られた固体中に含まれる銀含有量を蛍光X線分析装置により求めた。その結果を表9に示す。比表面積が高い担体物質を用いれば銀成分の含有量が多くなる結果が得られた。つまり、銀を保持するには、比表面積の高い担体物質を選択することが有効である。しかし、比表面積が高く、超微粒子で嵩高い粉末の担体物質の場合は、添加する水の量が多く必要となり、かつ、撹拌、吸引ろ過、乾燥時間も長時間かかり作業性が極端に低下することも分かった。
〔実施例10〕
金属捕捉剤をフマル酸水素ナトリウムにして、担体物質の重量に対して10mass%を90mlの蒸留水に溶解した。担体物質は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)と株式会社五島鉱山製五島PCクレー(ロウ石)をそれぞれ22gずつ用いた。硝酸銀水溶液は、10mlの蒸留水に0.025molの硝酸銀を溶解した溶液を用いた。図1の製造方法と同様にして得られた固体中に含まれる銀含有量を蛍光X線分析装置により求めた。得られた粉末は、最小発育阻止濃度:MIC(大腸菌・黒麹黴)評価を一般社団法人京都微生物研究所に依頼した。その結果を表10−1に示す。
また、金属捕捉剤をリン酸三カリウム、炭酸カリウムにして、担体物質として大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)をそれぞれ22g用い、上記と同様にして銀含有量およびMICを測定した。その結果を表10−2に示す。フマル酸水素ナトリウムを添加した場合と比較して、黒麹黴に対する抗菌活性が向上した。
また、金属捕捉剤をリン酸三カリウムにして、図1の製造方法で得られた粉末のXRDパターンを図4に示す。複合物にはリン酸銀の生成が確認された。
また、金属捕捉剤を炭酸カリウムにして、図1の製造方法を改良(硝酸銀水溶液の滴下速度を遅く、撹拌速度を上げ、合成温度を高く)したこと以外は、上記と同様にして銀含有量およびMICを測定した。その結果を表10−3に示す。また、図5に、各種条件((a)合成温度=60℃、(b)標準条件、(c)担体物質=石英、(d)担体物質=10g)で合成した固体のXRDパターンを示す。
図6に示すように、β−炭酸銀(以後、β相)の生成量が標準条件(表10−2)と比べて増加した。合成温度が高い方がβ相の生成に有利であり、担体物質をクリストバライトにすることで、β相の生成量が増加することも分かった。合成時に、クリストバライトが含まれないとβ相は生成しないことと合成温度を更に高くしてもβ相の生成には有利に作用しないことも確認された。また、図7に示すように、β相を多く生成させることで大腸菌や黒麹黴に対する抗菌活性が向上した。
さらに、金属捕捉剤を亜硫酸ナトリウムにして、担体物質として大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)を22g用い、上記と同様にして銀含有量およびMICを測定した。その結果を表10−4に示す。また、得られた粉末の結晶相を、粉末X線回折装置を用いて同定した結果を図8に示す。複合物には亜硫酸銀の生成が確認された。また、大腸菌に対する抗菌活性が向上した。さらに、金属捕捉剤を使用しなかった試料(クリストバライトと硝酸銀)[MIC:大腸菌3,200ppm、黒麹黴3,200ppm]と比較して、MICは大腸菌に対して1/256、黒麹黴に対して1/32となり、抗菌・防カビ効果が顕著に向上した。
比較のため、図1と同様な製造方法で作製し、金属捕捉剤を添加しなかった試料と硝酸銀水溶液を添加しなかった試料のそれぞれの抗菌・防カビ特性も表11に示す。担体物質は、特別な材料ではなく、県内企業で製造・販売されており、比表面積の小さな窯業原料を使用した。表11の結果からフマル酸水素ナトリウムを10mass%添加し、銀成分を添加しなかった試料は、大腸菌に対して3200超過を示し、黒麹黴にも3200超過を示し、抗菌・防カビ効果を示さないことも分かった。
これらの結果から、高い比表面積(数十m/gから数百m/g)を有した担体物質でなくても、数m/g程度の担体物質に金属捕捉剤を活用することで、簡易に調製でき、より多くの銀成分を捕捉し、且つ、増殖機構の異なる大腸菌と黒麹黴の両方に対する高い抗菌活性機能を付与できた。
〔実施例11〕
捕捉率が低かった金属成分(亜鉛や銅)を更に捕捉できる金属捕捉剤を検討した。また、担体物質の違いによる捕捉能力も確認するため、それぞれの捕捉率を求めた。各種金属捕捉剤は、担体物質の重量に対して10mass%を90mlの蒸留水に溶解した。担体物質は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)と株式会社五島鉱山製五島PCクレー(ロウ石)をそれぞれ22gずつ用いた。硝酸亜鉛水溶液は、10mlの蒸留水に0.025mol硝酸亜鉛6水和物を溶解した溶液を用いた。硝酸銅水溶液は、10mlの蒸留水に0.025mol硝酸銅3水和物を溶解した溶液を用いた。
図1と同様な製造方法で得られた固体中に含まれる亜鉛と銅含有量をそれぞれ蛍光X線分析装置により求め、添加した各金属成分に対する捕捉率を求めた。その結果を表12に示す。フマル酸水素ナトリウムを使用した場合に比べて、更に亜鉛や銅成分の両方を効率的に捕捉できる金属捕捉剤があることも分かった。これらの複合材料は、銀を複合化した材料と比較しても低コスト(試薬単価で1/20倍)になり、抗菌・防カビ性能を示せば、より製品の低コスト化につながることが期待される。
〔実施例12−1〕
銀・亜鉛・銅成分以外の金属成分(鉄)についても捕捉可能かどうか検討した。各種金属捕捉剤は、担体物質の重量に対して10mass%を90mlの蒸留水に溶解した。担体物質は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)を22gずつ用いた。鉄成分として、硝酸塩と塩化物塩及び硫酸塩を用いた。各種水溶液は、10mlの蒸留水に0.025mol硝酸鉄9水和物、塩化鉄(無水)、硫酸鉄をそれぞれ溶解した溶液を用いた。
図1と同様な製造方法で得られた固体中に含まれる鉄含有量をそれぞれ蛍光X線分析装置により求め、添加した各種鉄塩に対する捕捉率を求めた。その結果を表13−1に示す。この結果、炭酸塩等を金属捕捉剤として添加すると亜鉛や銅成分よりも低い捕捉率を示した。しかしながら、コハク酸塩やフマル酸塩を金属捕捉剤にすることで金属成分(鉄)に対する捕捉率が向上した。
〔実施例12−2〕
他の金属成分(アルミニウム)について検討した。各種金属捕捉剤は、担体物質の重量に対して、10〜40mass%を90〜210mlの蒸留水に溶解した。担体物質は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)を22g用いた。アルミニウム成分として、硝酸塩(硝酸アルミニウム・9水和物)を用いた。硝酸塩の添加量は、0.025molとした。金属捕捉剤は、硫酸カリウム、酢酸カリウム、リン酸三カリウム、コハク酸二ナトリウム、フマル酸水素ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムを選定した。図1の製造方法と同様にして得られた固体中に含まれるアルミニウム含有量を蛍光X線分析装置により求めた。その結果を表13−2に示す。得られた粉末の一部は、最小発育阻止濃度:MIC(大腸菌・黒麹黴)評価を一般社団法人京都微生物研究所にて実施した。その結果を表13−3に示す。MIC評価では、黒麹黴に対して400ppmを示した。硝酸アルミニウムは、硝酸銀と比較して、約1/35の価格を示し、劇物にも指定されていないため、取扱いが容易で安価な金属成分として使用できる。硝酸アルミニウムとフマル酸水素ナトリウム及びクリストバライトの複合物は、黒麹黴に対して抗菌活性を示した。
〔実施例13〕
銀や銅等の成分は抗菌・防カビ材料として使用するだけでなく、触媒表面への金属担持による助触媒の効果も期待されるため、その効果を検証した。フッ素樹脂や分散剤及び光触媒粉末(石英結晶相およびクリストバライト結晶相を含むシリカに担持された酸化チタンを含む酸化チタン担持シリカからなる光触媒(TiO−SiO):特許第6561411号)等を含む水溶液(以後、加工液)を調製し、その加工液に銀成分や鉄成分や銅成分を担持した複合粉末を光触媒粉末に対して2.0mass%ずつ添加し、一昼夜、回転混合して銀成分を含んだ加工液、鉄成分を含んだ加工液や銅成分を含んだ加工液をそれぞれ作製した。
鉄、銀、銅成分を担持した複合物は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)を担体物質として使用し、また、鉄と銅成分の金属捕捉剤として炭酸カリウムを選択し、銀成分の金属捕捉剤として、フマル酸水素ナトリウムを選択し、それぞれ担体物質の重量に対して10mass%を使用した。金属(銀)換算で担体物質に対して6.2mass%、金属(銅)換算で担体物質に対して5.6mass%、金属(鉄)換算で担体物質に対して0.7mass%含んだ複合粉末をそれぞれ作製した。銀、鉄、銅成分を含むそれぞれの加工液は、多孔質フィルター(50mm×50mm×9mm厚さ)上に被覆し、常温乾燥後、それぞれおよそ1gずつ担持された光触媒フィルターを得た。光触媒活性は、4種類(金属成分無添加、銀成分添加、銅成分添加、鉄成分添加)の光触媒フィルターを用意し、光触媒表面から生成される活性酸素種を定量した。
試験方法は、10ppmのジメチルスルホキシド(以下、DMSO)水溶液500mlを循環した中に各種光触媒フィルターを静置した。光触媒フィルター上部から紫外線(紫外線強度:1.47mW/cm)を照射すると、光触媒反応によって、DMSOからメタンスルホン酸(以下、MSA)が活性酸素種と等モルで生成する。紫外線照射5時間後に10ml採水し、その水溶液中に含まれるMSAをイオンクロマトグラフ装置で定量した。MSA生成量の結果を表14−1に示す。
その結果、銀や銅、鉄成分を添加した加工液は、無添加の加工液と比べてMSA生成量が全て増加しており、触媒作用を高めることが分かった。この結果から、安価な(試薬価格で比較すると1/20倍)硝酸鉄等や硝酸銅等を使用すれば、触媒機能を高めながら且つ、低コスト化に寄与できる可能性を有することが分かった。更に、このうち鉄、銅成分を保持したクリストバライト(10000LW)粉末のMSA生成量に対する添加量依存性を表15と表16に示す。その結果、鉄成分を含む光触媒は、添加量4.8mass%で、銅成分を含む光触媒は、添加量4.2mass%で、MSA生成量が多く、すなわち多くの活性酸素種を生成することが分かった。
また、鉄、銅、銀成分をそれぞれ担持した複合粉末は、大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)を担体物質として使用し、また鉄成分の金属捕捉剤としてコハク酸二ナトリウムを選択し、銅成分の金属捕捉剤として、炭酸カリウムを選択し、銀成分の金属捕捉剤としてリン酸三カリウムを選択し、それぞれ担体物質の重量に対して10mass%を使用した。金属(銀)換算で担体物質に対して12mass%、金属(銅)換算で担体物質に対して5.6mass%、金属(鉄)換算で担体物質に対して4.0mass%含んだ複合粉末をそれぞれ作製した。光触媒粉末(TiO−SiO:特許第6561411号)と銀、銅、鉄成分等をそれぞれ含む加工液は、18/16メッシュの網状アルミニウム合金製(50mm×50mm×0.55mm厚さ)シート(株式会社吉田隆製)上に被覆した。常温乾燥後、複合物等が被覆された光触媒フィルターを得た。光触媒活性は、4種類(金属成分無添加、銀成分添加、銅成分添加、鉄成分添加)の光触媒フィルターを用意し、JISR1704に準拠して試験を行った、光源として三共電気製ブラックライトブルー蛍光ランプ(352nm FL20SBLB×2本)を用いて光触媒フィルター上面から照射した。紫外線強度は、1.43mW/cmであった。光触媒表面から生成される活性酸素種をイオンクロマトグラフで定量した。金属成分を添加した光触媒フィルターは、金属成分が無添加の光触媒フィルターと比較して、活性酸素種生成量を最大2.25倍(特願2019−068594のセラミックスフィルターの場合は最大1.5倍)増大させた。また、市販されている光触媒フィルターと本発明の光触媒フィルターの活性酸素種生成量等を比較した。その結果を表14−2および14−3に示す。本発明の光触媒フィルターは、市販されている光触媒フィルターと比較して、フィルターの厚みや重量が約1/10にもかかわらず、活性酸素種生成量が2倍以上であることが分かった。アルミニウム合金製シート上に本発明の複合物を含む加工液を被覆したことで、任意の形状に変形可能で、装置に組み込んだ場合、小型・軽量化も可能になる。更にセラミックス製の光触媒フィルターに比べて破損リスクが小さいため、安定した製品づくりや高機能化した新商品開発に寄与できる。
〔実施例14〕
実施例13に関連して、作製した複合物をフッ素樹脂や分散剤及びTiO−SiO(特許第6561411号)と混合した加工液を作製した。そのうち、銀成分を含む加工液を網状アルミニウム合金製シート(50mm×50mm×0.55mm厚さ)やPTFE(四フッ化エチレン)多孔質フィルム(50mm×50mm×0.08mm厚さ)表面に被覆してアルミニウム合金製光触媒とPTFE多孔質膜光触媒を作製し、一般社団法人京都微生物研究所にて、JIS Z 2911(カビ抵抗試験)評価を実施した。試料を、29℃、相対湿度95%以上に設定された恒温恒湿器中に設置した。試料表面にはカビ胞子懸濁液を0.1ml接種し、試験を28日間行った。評価に用いた5種類のカビは、黒コウジカビ(NBRC−105649)、ペニシリウム・ピノフィラム(NBRC−33285)、ケタマカビ(NBRC−6347)、トリコデルマ(NBRC−6355)、ペシロマイセス(NBRC−33284)であった。その結果を表17および図9に示す。網状アルミニウム合金製シートからなるアルミニウム合金製光触媒は、肉眼及び顕微鏡下でも、カビの発育が観察されなかった。本発明の複合物を含む加工液を被覆した試料は、暗所下において長期間、菌糸の発育およびその増殖を抑制した。各種試料に光(特に紫外線)が受光されれば、活性酸素種の生成能を発現するため、更に防カビ効果を高めることが期待される。
〔実施例15〕
アクリル樹脂試料の表面にプラスチック用プライマーを塗布して、常温乾燥後、光触媒粉末(TiO−SiO:特許第6561411号)に本発明の銀成分等を含む複合物(金属(銀)換算で担体物質に対して12mass%、金属捕捉剤としてリン酸三カリウム(担体物質の重量に対して10mass%)、担体物質として大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)を使用)を添加した加工液を塗布し、常温乾燥させた。得られた試料について、一般社団法人京都微生物研究所にて、抗菌力評価(JIS L 1902ハロー試験)を実施した。その結果を表18および図10に示す。黄色ブドウ球菌(NBRC−12732)と大腸菌(NBRC−3972)に対して、ハローが観察され、黄色ブドウ球菌と大腸菌に対する抗菌性を有することが分かった。
〔実施例16〕
光触媒粉末(TiO−SiO:特許第6561411号)やフッ素樹脂等を含む加工液と光触媒粉末(TiO−SiO:特許第6561411号)を含まず、TiO−SiOと同量のSiOやフッ素樹脂等を含む加工液をそれぞれ作製した。それぞれの加工液には、同量の銀成分が含まれるように本発明の複合物(金属(銀)換算で担体物質に対して12mass%、金属捕捉剤としてリン酸三カリウム(担体物質の重量に対して10mass%)、担体物質として大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)を使用)を加えた。それぞれの加工液は、PTFE(四フッ化エチレン)多孔質フィルム(縦50mm×横50mm、0.08mm厚さ)表面に被覆し、常温で固定化し、乾燥後に表面に同量(0.07g)の抗菌成分等を含む膜が形成された試料を作製した。得られた試料について、大腸菌と黄色ブドウ球菌に対する抗菌力評価試験(JIS Z 2801:フィルム密着法)を一般社団法人京都微生物研究所にて実施した。その結果を表19に示す。それぞれの加工液で被覆したPTFE多孔質フィルムは、24時間後に大腸菌と黄色ブドウ球菌が検出されず、高い抗菌効果を発現した。光触媒粉末(TiO−SiO:特許第6561411号)を含む加工液は、紫外線等の光を受光すれば、活性酸素種の生成が予想される。光を受光できる環境下においては、銀成分と活性酸素種の生成による細菌又はカビの増殖抑制や防汚といったセルフクリーニング機能を発現する用途展開も期待される。
〔実施例17〕
金属捕捉剤としてコハク酸(担体物質の重量に対して0.5mass%)を選択し、銀(金属(銀)換算で担体物質に対して4.95mass%)および大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)(担体物質)を含む複合物と、TiO−SiO(特許第6561411号)を準備した。複合物50gとTiO−SiO 50g[1対1(質量比)の割合]で混合した粉末(以後、光触媒等含有複合粉末)に100gの窯研株式会社製の「カオリンマット(乾燥粉末)」を混合し、そこに水道水(53.5%)を添加した水溶液(以後、光触媒等含有釉薬)を作製した。低火度陶土(マット釉)を原料としたタイル(50mm×50mm)を約900℃で仮焼した後、その表面に光触媒等含有釉薬を施釉したタイルを作製した。その後、一昼夜、常温乾燥後、電気炉で1230℃の酸化焼成を施したタイルを作製した。光触媒等含有複合粉末の添加量を変えて作製した光触媒等含有釉薬を調製し、それを施釉したタイルを複数枚作製した。光触媒等含有複合粉末の大腸菌と黄色ブドウ球菌に対する添加量依存性を評価した。各種試料について、一般社団法人京都微生物研究所にて、抗菌力評価試験(JIS Z 2801;フィルム密着法)を実施した。その結果を表20および図11に示す。光触媒等含有釉薬に光触媒等含有複合粉末を10%以上添加することで、大腸菌と黄色ブドウ球菌に対して高い抗菌効果を示すことが分かった。金属捕捉剤を最適化すれば更に光触媒等含有複合粉末の添加量を抑えることが期待される。
〔実施例18〕
実施例15で作製した加工液を網状アルミニウム合金製シート表面に常温で被覆・固定した。作製した試料は、地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所にて、ウイルスに対する性能評価試験(JIS R 1706;バクテリオファージを用いた抗ウイルス性能評価試験)を行った。その結果を表21に示す。抗ウイルス活性値、光照射効果ともに光触媒工業会の製品判定基準値(抗ウイルス活性値が2.0、光照射効果が0.3)よりも高い数値を示した。
バクテリオQβファージは、ノロウイルスの代替として用いられている。開発された加工液を基材に被覆し、光照射を行うと、99.99%以上のバクテリオQβファージを不活化したことを意味する。これにより、細菌やカビの増殖抑制効果のみでなく、ウイルスに対しても増殖抑制効果が期待される。
〔実施例19〕
紫外光応答型光触媒粉末(TiO−SiO:特許第6561411号)に鉄成分(硝酸鉄9水和物)を加えて光触媒粉末(TiO−SiO/Fe)を作製した。各光触媒粉末およびそれらのUV−Vis吸収スペクトルを図12に示す。TiO−SiO/Fe粉末は、紫外光応答型TiO−SiO粉末(特許第6561411)と比較すると、およそ400nm〜560nm領域に可視光線の吸収が確認でき、より長波長の光を吸収できることが分かった。
TiO−SiO粉末(特許第6561411)等を含む加工液AとTiO−SiO/Fe粉末等を含む加工液Bをそれぞれ作製した。また、加工液の更なる高活性化を目指して、TiO−SiO/Fe粉末に本発明の銀成分を含む複合物(金属(銀)換算で担体物質に対して12mass%、金属捕捉剤としてリン酸三カリウム(担体物質の重量に対して10mass%)、担体物質として大村セラテック株式会社製のクリストバライト(10000LW)を使用)を添加した複合粉末(TiO−SiO/Fe−Ag)を含む加工液Cも同様に作製した。
3種類の加工液は、18/16メッシュの網状アルミニウム合金製(100mm×100mm×0.55mm厚さ)シート((株)吉田隆製)2枚に被覆した。常温乾燥後、3種類の光触媒フィルターを得た。活性酸素種生成能は、JISR1704に準拠して試験を行い評価した。光源として三共電気製ブラックライトブルー蛍光ランプ(352nm FL20SBLB×1本)および東芝蛍光ランプ(白色FL20S・W×1本)を用いて光触媒フィルター上面から照射した。紫外線強度は、0.84mW/cmであった。光触媒表面から生成される活性酸素種(=メタンスルホン酸:以後MSA)をイオンクロマトグラフで定量した。その結果を表22に示す。加工液Bを被覆した光触媒フィルターは、加工液Aを被覆した光触媒フィルターと比較して、MSA生成量(=活性酸素種生成量)が増加した。また、加工液Bに銀成分を含む複合物を微量加えた加工液Cを被覆した光触媒フィルターは、加工液Bを被覆した光触媒フィルターよりも更に約2.1倍MSA生成量(=活性酸素種生成量)が増加した。
今回作製した加工液Cを被覆した光触媒フィルターは、紫外線よりも長波長側の光も吸収できる加工液Bを活用したことや銀成分を含む複合物の添加により、光源の低エネルギー化に寄与しながら、活性酸素種生成量を増加することが出来た。
また、加工液A(紫外光応答型光触媒粉末;TiO−SiO)および加工液B(可視光応答型光触媒粉末;TiO−SiO/Fe)を使用して作製した光触媒フィルターの外観を図13に示す。どちらの光触媒フィルターも白色を示しているため、特に加工液Bを使用して作製した光触媒フィルターは、今後、応用範囲の拡大が期待される。
以上詳述したように、本発明は、金属捕捉剤を活用した機能性材料及びその製造方法に係るものであり、本発明により、市販されている窯業原料等とフマル酸塩等を用いることで、高価な銀成分等を捕捉しながら複合化した素材とその製造方法を提供することができる。また、触媒機能を高める助触媒としての活用も可能であるため、これまで未利用資源であった担体物質の有効活用も可能となり、新分野への応用展開も期待される。本発明の重要な要素である、フマル酸塩等は、銀成分等を特異的に捕捉するため、添加する銀成分の量を抑えることも可能となり、抗菌・防カビ剤の低コスト化も図れる。また、フマル酸塩等は、人体にも安心して使用できる食品添加物等であるため、抗菌・防カビ剤等を製造する分野やそれを応用・加工する食品産業等にも安心したものづくりに貢献でき、人や環境に対する高い技術的意義を有する。

Claims (7)

  1. 金属捕捉剤と、抗菌・防カビ成分及び/又は触媒材料及び担体物質との複合物から構成される機能性製品であって、前記金属捕捉剤として、炭酸塩又は亜硫酸塩又はリン酸塩又はコハク酸塩又はフマル酸塩又は酢酸塩又はチオ硫酸塩又はクエン酸塩又は硫酸塩又はケイ酸塩を有効成分として含有することを特徴とする、抗菌・防カビ材料及び/又は触媒材料を含む機能性製品。
  2. 金属捕捉剤の炭酸塩が、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムであり、亜硫酸塩が、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムであり、リン酸塩が、リン酸三カリウム、トリポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムであり、コハク酸塩が、コハク酸二ナトリウム、コハク酸一ナトリウムであり、フマル酸塩が、フマル酸水素ナトリウムであり、酢酸塩が、酢酸カリウム、酢酸ナトリウムであり、チオ硫酸塩が、チオ硫酸ナトリウムであり、クエン酸塩が、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウムであり、硫酸塩が、硫酸カリウムであり、ケイ酸塩が、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムである(いずれの金属捕捉剤も水和物含む)、請求項1に記載の機能性製品。
  3. 触媒材料が、石英結晶相およびクリストバライト結晶相を含むシリカに担持された酸化チタンを含む酸化チタン担持シリカからなる光触媒、あるいは、該光触媒に金属成分を加えて可視光線の吸収を示す光触媒である、請求項1に記載の機能性製品。
  4. β−炭酸銀または炭酸銀または亜硫酸銀またはリン酸銀または酸化銀のいずれか1種以上の結晶相を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性製品。
  5. 担体物質が、クリストバライト結晶相、または石英結晶相およびクリストバライト結晶相を含むシリカである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の機能性製品。
  6. 前記機能性製品の製造方法であって、水に金属捕捉剤を溶解する工程と、それに担体物質を加えて混合し、機能性を示す金属成分を入れて混合する工程、水溶液と固体を分ける工程、及び乾燥・分級工程からなることを特徴とする抗菌・防カビ材料及び/又は触媒材料を含む機能性製品の製造方法。
  7. 請求項1〜5に記載のいずれかの金属捕捉剤と、抗菌・防カビ成分及び/又は触媒材料、及び担体物質とを複合化した材料を機能性素材として使用したことを特徴とする機能性製品の製造方法。
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