JP2020158784A - 潤滑油組成物、内燃機関、及び内燃機関の潤滑方法 - Google Patents

潤滑油組成物、内燃機関、及び内燃機関の潤滑方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた摩擦低減効果及び低温粘度特性を有し、省燃費性に優れると共に、添加剤の溶解性が良好であって、低蒸発性化された潤滑油組成物、並びに当該潤滑油組成物を用いた内燃機関及び内燃機関の潤滑方法を提供する。【解決手段】回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1%の条件下で計測した、−35℃における複素粘度η*が150Pa・s以下である鉱油(A1)を含む基油(A)と、櫛形ポリマー(B1)を含む粘度指数向上剤(B)と、モリブデン系摩擦調整剤(C)とを含む、潤滑油組成物であって、成分(C)のモリブデン原子換算での含有量が、当該潤滑油組成物の全量基準で、500質量ppm超900質量ppm未満であり、NOACK値が10質量%以下である、潤滑油組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物、並びに、当該潤滑油組成物を用いた内燃機関及び内燃機関の潤滑方法に関する。
近年、自動車等の車両には、エネルギー損失の低減や二酸化炭素の発生量の低減の観点から、省燃費性が求められており、過給機を用いたエンジンの熱効率向上の検討が行われている。
また、自動車等の車両に使用されるエンジン油に対しても、省燃費性能の向上が要求されている。
エンジン油の省燃費化の一つの手段として、摩擦低減効果に優れたエンジン油の開発が行われている。例えば、摩擦低減効果に優れたエンジン油とするために、摩擦調整剤として、有機モリブデン系化合物を用いる場合が多い。
例えば、特許文献1には、所定の動粘度を有し、%Cが70以上、%Cが2以下の潤滑油基油に、少なくともポリオレフィンからなる高分子モノマーと(メタ)アクリレートモノマーの共重合体である粘度指数向上剤と、有機モリブンデン化合物をモリブデン量で1000質量ppm以上含有してなる潤滑油組成物が開示されている。
特開2012−201806号公報
特許文献1に記載された潤滑油組成物は、モリブデン系摩擦調整剤の含有量がモリブデン原子換算で1000質量ppm以上と多く配合されている。一般的に、モリブデン系摩擦調整剤は、基油に対する溶解性に問題があり、特に高精製の基油においては析出し沈殿し易い。
そのため、モリブデン系摩擦調整剤を含むエンジン油においては、当該モリブデン系摩擦調整剤の基油との溶解性の改善という課題が存在する。
また、自動車等のエンジンに過給機を搭載することで、エンジンの熱効率が向上する一方、当該エンジンに使用される潤滑油組成物への熱負荷も増大する。
例えば、過給機を搭載したエンジンに対して、高蒸発性の潤滑油組成物を用いた場合、熱負荷の増大により、当該潤滑油組成物の蒸発量が大きくなり、エンジン部品の潤滑に必要な油量を十分に保つことができないことも生じ得る。それは、結果として、エンジン部品の破損の要因ともなる。そのため、エンジンに用いられる潤滑油組成物には、低蒸発性も求められる。
特許文献1の実施例に具体的な組成が開示された潤滑油組成物は、少なくともNOACK値が12質量%の基油を使用しているため、当該潤滑油組成物を過給機を搭載したエンジンに用いた場合、上述の弊害が生じる懸念が大きい。
なお、その一方で、高粘度の鉱油系基油を用いることにより、潤滑油組成物の蒸発量は抑えられるものの、低温粘度特性が損なわれるという問題もある。
本発明は、低蒸発性化しつつも、優れた摩擦低減効果及び低温粘度特性を有し、省燃費性に優れ、さらに添加剤との溶解性も良好である潤滑油組成物、並びに当該潤滑油組成物を用いた内燃機関及び内燃機関の潤滑方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、−35℃における複素粘度η*が所定値以下の鉱油と、櫛形ポリマーを含む粘度指数向上剤とを用い、更にモリブデン系摩擦調整剤の含有量を所定の範囲に調整し、更にNOACK値を所定値以下に調整した潤滑油組成物が、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち本発明は、下記[1]〜[3]を提供する。
[1]回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1%の条件下で計測した、−35℃における複素粘度η*が150Pa・s以下である鉱油(A1)を含む基油(A)と、
櫛形ポリマー(B1)を含む粘度指数向上剤(B)と、
モリブデン系摩擦調整剤(C)とを含む、潤滑油組成物であって、
モリブデン系摩擦調整剤(C)のモリブデン原子換算での含有量が、当該潤滑油組成物の全量基準で、500質量ppm超900質量ppm未満であり、
NOACK値が10質量%以下である、潤滑油組成物。
[2]ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有し、且つ、上記[1]に記載の潤滑油組成物を含む、内燃機関。
[3]ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有する内燃機関の潤滑方法であって、当該ピストンリング及びライナーを、上記[1]に記載の潤滑油組成物を用いて潤滑する、内燃機関の潤滑方法。
本発明の潤滑油組成物は、低蒸発性化しつつも、優れた摩擦低減効果及び低温粘度特性を有し、省燃費性に優れ、更に添加剤との溶解性も良好である。
ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構の構成の概略を示す模式図である。
本明細書において、動粘度及び粘度指数は、JIS K2283:2000に準拠して測定された値を意味する。
本明細書において、各成分の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
本明細書において、例えば、「アルキル(メタ)アクリレート」とは、「アルキルアクリレート」及び「アルキルメタクリレート」の双方を示す語として用いており、他の類似用語や同様の標記についても、同じである。
〔潤滑油組成物〕
本発明の潤滑油組成物は、NOACK値が10質量%以下であり、低蒸発性化されたものである。
NOACK値が10質量%超である潤滑油組成物は、例えば、過給機を搭載したエンジン等に用いた場合、熱負荷の増大により、蒸発量が大きくなり、潤滑に必要な油量を十分に保つことができず、エンジン部品等の破損が生じ易くなる。
本発明の潤滑油組成物のNOACK値は、上記観点から、10質量%以下であるが、好ましくは9.9質量%以下、より好ましくは9.8質量%以下であり、また、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。
なお、本明細書において、NOACK値は、JPI−5S−41−2004に準拠して測定された値を意味する。
本発明の潤滑油組成物は、回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1%の条件下で計測した、−35℃における複素粘度η*が150Pa・s以下である鉱油(A1)を含む基油(A)と、櫛形ポリマー(B1)を含む粘度指数向上剤(B)と、モリブデン系摩擦調整剤(C)とを含む。
なお、本発明の一態様の潤滑油組成物は、更に上記以外の潤滑油用添加剤を含有してもよい。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、成分(A)、(B)、及び(C)の合計含有量としては、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは85〜100質量%である。
<基油(A)>
本発明の潤滑油組成物に含まれる基油(A)は、鉱油(A1)を含むものであるが、鉱油(A1)と共に、合成油を含むこともできる。
当該合成油としては、例えば、ポリα−オレフィン(PAO)、エステル系化合物、エーテル系化合物、ポリグリコール、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等が挙げられる。
これらの合成油は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
なお、本発明の一態様の潤滑油組成物に含まれる基油(A)の全量(100質量%)中の鉱油(A1)の含有割合としては、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%である。
また、本発明の一態様の潤滑油組成物において、基油(A)の含有量としては、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは75質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
本発明の一態様において、基油(A)の100℃における動粘度としては、好ましくは3.8〜5.6mm/s、より好ましくは4.0〜5.4mm/s、更に好ましくは4.2〜5.2mm/s、より更に好ましくは4.4〜5.0mm/sである。
本発明の一態様において、基油(A)の粘度指数としては、好ましくは100以上、より好ましくは105以上、更に好ましくは110以上、より更に好ましくは120以上である。
<鉱油(A1)>
本発明で用いる鉱油(A1)は、例えば、パラフィン系鉱油、中間基系鉱油、ナフテン系鉱油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;当該常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化仕上げ、溶剤脱ろう、接触脱ろう、異性化脱ろう、減圧蒸留等の精製処理の一つ以上の処理を施した鉱油又はワックス(スラックワックス、GTLワックス等);等が挙げられる。
本発明で用いる鉱油(A1)は、1種の鉱油からなるものであってもよく、2種以上の鉱油を組み合わせた混合油であってもよい。
ここで、本発明で用いる鉱油(A1)は、下記要件(I)を満たす鉱油である。
・要件(I):回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1%の条件下で計測した、−35℃における複素粘度η*(以下、単に「−35℃における複素粘度η*」ともいう)が150Pa・s以下である。
本明細書において、所定の温度における複素粘度η*は、上記の条件にて測定された値であり、具体的には、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
なお、本発明で用いる鉱油(A1)が、2種以上の鉱油を組み合わせた混合油である場合、当該混合油が、上記要件(I)を満たすものであればよい。また、「2種以上の鉱油」のそれぞれが上記要件(I)を満たすものであれば、「当該混合油も上記要件(I)を満たす」とみなすこともできる。
上記要件(I)で規定する「−35℃における複素粘度η*」は、鉱油の低温環境下での低温粘度特性を示す指標の一つである。
−35℃における複素粘度η*が低い鉱油ほど、直鎖パラフィン分(ノルマルパラフィン分)が低い傾向にある。直鎖パラフィン分が低い鉱油を用いることで、低温粘度特性が良好である潤滑油組成物となり得る。
また、直鎖パラフィン分が低い鉱油は、モリブデン系摩擦調整剤との溶解性が良好となり易く、さらにモリブデン系摩擦調整剤等の添加剤の機能をより効果的に引き立てることができる。
本発明で用いる鉱油(A1)の−35℃における複素粘度η*は、150Pa・s以下であるが、上記観点から、好ましくは120Pa・s以下、より好ましくは100Pa・s以下、更に好ましくは80Pa・s以下、より更に好ましくは60Pa・s以下、特に好ましくは40Pa・s以下である。
また、鉱油(A1)の−35℃における複素粘度η*は、下限値については特に制限は無いが、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは0.5Pa・s以上、更に好ましくは1.0Pa・s以上である。
本発明の一態様において、潤滑油組成物の低温粘度特性を良好にすると共に、NOACK値を低く調整する観点から、鉱油(A1)が、−35℃における複素粘度η*が15Pa・s未満である鉱油(A11)と、−35℃における複素粘度η*が15〜150Pa・sである鉱油(A12)とを含むことが好ましい。
鉱油(A11)は、潤滑油組成物の低温粘度特性の向上に寄与する。一方、鉱油(A12)は、NOACK値を低く調整し、潤滑油組成物の低蒸発性化に寄与する。
鉱油(A11)と鉱油(A12)との含有量比としては、〔(A11)/(A12)〕としては、上記観点から、好ましくは55/45〜95/5、より好ましくは60/40〜90/10、更に好ましくは65/35〜85/15、より更に好ましくは70/30〜80/20である。
なお、鉱油(A11)の−35℃における複素粘度η*は、好ましくは10Pa・s以下、より好ましくは8.0Pa・s以下、更に好ましくは6.0Pa・s以下である。
一方、鉱油(A12)の−35℃における複素粘度η*は、好ましくは20Pa・s以上、より好ましくは25Pa・s以上であり、また、好ましくは120Pa・s以下、より好ましくは100Pa・s以下、更に好ましくは80Pa・s以下、より更に好ましくは60Pa・s以下、特に好ましくは40Pa・s以下である。
鉱油(A1)は、要件(I)と共に、下記要件(II)を満たす鉱油であることが好ましい。
・要件(II):回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1〜100%の条件下で計測した、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配|Δη*|(以下、単に「複素粘度の温度勾配|Δη*|」ともいう)が、1.0Pa・s/℃以下である。
上記要件(II)で規定の「歪み量」は、0.1〜100%の範囲で測定温度に応じて適宜設定される測定条件パラメータであり、例えば、後述の実施例では、−10℃での測定では「2.1%」、−25℃での測定では「0.4%」と設定した。
なお、本発明で用いる鉱油(A1)が、2種以上の鉱油を組み合わせた混合油である場合、当該混合油が、上記要件(II)を満たすものであればよい。また、「2種以上の鉱油」のそれぞれが上記要件(II)を満たすものであれば、「当該混合油も上記要件(II)を満たす」とみなすこともできる。
上記要件(II)で規定の「複素粘度の温度勾配|Δη*|」は、−10℃における複素粘度η*の値と、−25℃における複素粘度η*の値とを、それぞれ独立に、もしくは、−10℃から−25℃又は−25℃から−10℃まで温度を連続的に変化させながら測定し、当該値を温度−複素粘度の座標平面においた際、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の単位あたりの変化量(傾きの絶対値)を示す値である。より具体的には、下記計算式(f1)から算出される値を意味する。
・計算式(f1):複素粘度の温度勾配Δη*=|([−25℃における複素粘度η*]−[−10℃における複素粘度η*])/(−25−(−10))|
ところで、鉱油には、ワックス分が含まれているため、鉱油の温度を徐々に低下させていくと、鉱油中のワックス分が析出し、ゲル状構造を形成する。ワックス分は、パラフィン等の構造によって、析出してくる温度が異なる。このゲル状構造は、壊れ易く、機械的な作用で、粘度が変化してしまう。従来、一般的に用いられている低温粘度特性を示す物性パラメータは、このようなワックス分の析出を考慮したものではなかった。
それに対して、要件(II)で規定する「複素粘度の温度勾配|Δη*|」は、鉱油中に含まれるワックス分の析出速度を加味し、ワックス分の析出に伴う摩擦係数の変化を考慮した、鉱油の低温粘度特性をより示す正確に評価し得る指標である。
要件(II)を満たす鉱油は、複素粘度の温度勾配|Δη*|が1.0Pa・s/℃以下であり、ワックス分の析出速度を速くならないように調整されているため、摩擦係数の上昇を引き起こし難く、低温粘度特性も良好である。
そのため、要件(II)を満たす鉱油を用いることで、摩擦低減効果及び低温粘度特性に優れた潤滑油組成物とすることができる。
鉱油(A1)の要件(II)で規定する複素粘度の温度勾配|Δη*|は、1.0Pa・s/℃以下であるが、上記観点から、好ましくは0.8Pa・s/℃以下、より好ましくは0.6Pa・s/℃以下、更に好ましくは0.5Pa・s/℃以下、より更に好ましくは0.4Pa・s/℃以下である。
また、鉱油(A1)の要件(II)で規定する複素粘度の温度勾配|Δη*|は、下限値については特に制限は無いが、好ましくは0.001Pa・s/℃以上、より好ましくは0.01Pa・s/℃以上である。
鉱油(A1)の100℃における動粘度としては、好ましくは4〜8mm/s、より好ましくは4.1〜7.8mm/sである。
なお、本発明の一態様において、NOACK値を低く調整し、低蒸発性化した潤滑油組成物とする観点から、鉱油(A1)は、100℃における動粘度が4mm/s以上7mm/s未満の鉱油と、100℃における動粘度が7mm/s以上8mm/s以下の鉱油とを含むことが好ましい。
鉱油(A1)の粘度指数としては、好ましくは100以上、より好ましくは105以上、更に好ましくは110以上、より更に好ましくは120以上である。
鉱油(A1)のナフテン分(%C)としては、好ましくは3〜30、より好ましくは4〜30、更に好ましくは5〜30、より更に好ましくは6〜30である。
また、ナフテン分(%C)が上記範囲にある鉱油は、モリブデン系摩擦調整剤との溶解性が良好となり易い。
鉱油(A1)の芳香族分(%C)としては、ピストンの高温清浄性に優れた潤滑油組成物とする観点から、好ましくは1.0未満、より好ましくは0.5未満、更に好ましくは0.1以下である。
なお、本明細書において、鉱油(A1)のナフテン分(%C)及び芳香族分(%C)は、ASTM D−3238環分析(n−d−M法)により測定した、ナフテン分及び芳香族分の割合(百分率)を意味する。
<要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)の調製例>
上記要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)は、以下に示す事項を適宜考慮することで、容易に調製することができる。なお、以下の事項は、調製法の一例であって、これら以外の事項を考慮することによっても調製可能である。
(1)鉱油(A1)の質量平均分子量の調整
鉱油(A1)の質量平均分子量(Mw)は、上記要件(I)及び(II)で規定の性状に影響を及ぼす物性である。
鉱油(A1)の質量平均分子量(Mw)は、上記要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)とする観点から、好ましくは550以下であり、また、好ましくは300以上である。
(2)鉱油(A1)の原料である原料油の選択
鉱油(A1)の原料である原料油としては、石油由来のワックス(スラックワックス等)を含む原料油、並びに、石油由来のワックス及びボトム油を含む原料油であることが好ましい。また、溶剤脱ろう油を含む原料油を用いてもよい。
なお、本発明の一態様の潤滑油組成物に含まれる鉱油(A1)は、石油由来のワックスを含む原料油を精製して得られたものであることが好ましい。
石油由来のワックス及びボトム油を含む原料油を用いる場合、当該原料油中のワックスとボトム油との含有量比〔ワックス/ボトム油〕としては、質量比で、好ましくは50/50〜99/1、より好ましくは60/40〜98/2、更に好ましくは70/30〜97/3、より更に好ましくは80/20〜95/5である。
なお、上記原料油中のボトム油の割合が多くなると、要件(I)で規定する−35℃における複素粘度η*の値、及び、要件(II)で規定する複素粘度の温度勾配|Δη*|の値が、上昇する傾向にある。
一方、ボトム油にはナフテン分が多く含まれるため、ボトム油を含む原料油を用いることで、ナフテン分(%C)が高い鉱油を調製することができる。鉱油中のナフテン分は、潤滑油組成物のピストンの高温清浄性に寄与する。
ボトム油としては、原油を原料とした通常の燃料油の製造工程において、減圧蒸留装置から得られた重質燃料油を水素化分解して、ナフサ−軽油を製造する際に得られるボトム留分が挙げられ、芳香族分、硫黄分、及び窒素分の低減の観点から、重質燃料油を水素化分解して得られるボトム留分が好ましい。
また、ワックスとしては、上記のボトム留分を溶剤脱ろうして分離されるワックスのほか、パラフィン系鉱油、中間基系鉱油、ナフテン系鉱油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を溶剤脱ろうして得られるワックス;当該常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油を溶剤脱ろうして得られるワックス;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化仕上げしたものを溶剤脱ろうして得られるワックス;フィッシャー・トロプッシュ合成により得られるGTLワックス等が挙げられる。
一方、溶剤脱ろう油としては、上述のボトム留分等を溶剤脱ろうし、上記のワックスを分離除去した後の残油が挙げられる。また、溶剤脱ろう油は、溶剤脱ろうの精製処理が施されており、上述のボトム油とは異なるものである。
溶剤脱ろうによりワックスを得る方法としては、例えば、ボトム留分をメチルエチルケントンとトルエンとの混合溶媒を混合し、低温領域下で撹拌しながら、析出物を取り除いて得る方法が好ましい。
なお、要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)に調製する観点から、溶剤脱ろうにおける低温環境下の具体的な温度としては、一般的な溶剤脱ろうでの温度よりも低いことが好ましく、具体的には、−25℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。
原料油の油分としては、要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)に調製する観点から、好ましくは5〜55質量%、より好ましくは7〜45質量%、更に好ましくは10〜35質量%、より更に好ましくは15〜32質量%、特に好ましくは21〜30質量%である。
(3)原料油の精製条件の設定
上記の原料油に対して、精製処理を施すことが好ましい。
精製処理としては、水素化異性化脱ろう処理及び水素化処理の少なくとも一方を含むことが好ましい。なお、使用する原料油の種類に応じて、精製処理の種類や精製条件は適宜設定されることが好ましい。
より具体的には、要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)に調製する観点から、使用する原料油の種類に応じて、以下のように精製処理を選択することが好ましい。
・石油由来のワックスとボトム油とを上述の含有量比で含む原料油(α)を用いる場合、当該原料油(α)に対して、水素化異性化脱ろう処理及び水素化処理の双方を含む精製処理を行うことが好ましい。
・溶剤脱ろう油を含む原料油(β)を用いる場合、当該原料油(β)に対して、水素化異性化脱ろう処理を行わず、水素化処理を含む精製処理を行うことが好ましい。
上述の原料油(α)は、ボトム油を含むため、芳香族分、硫黄分、及び窒素分の含有量が多くなる傾向にある。芳香族分、硫黄分、及び窒素分の存在は、潤滑油組成物とした際のデポジット発生の要因となり、ピストンの高温洗浄性の低下を引き起こす。
水素化異性化脱ろう処理によって、芳香族分、硫黄分、及び窒素分を除去し、これらの含有量の低減を図ることができる。
水素化異性化脱ろう処理は、ワックス中の直鎖パラフィンを分岐鎖のイソパラフィンへとすることで、要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)を調製し易くなる。
一方、上述の原料油(β)は、ワックスを含むものであるが、溶剤脱ろう処理によって、低温環境下で直鎖パラフィンを析出させ分離除去しているため、要件(I)及び(II)で規定する複素粘度の値に影響を与える直鎖パラフィンの含有量が少ない。そのため、「水素化異性化脱ろう処理」を行う必要性は低い。
(水素化異性化脱ろう処理)
水素化異性化脱ろう処理は、上述のとおり、原料油中に含まれる直鎖パラフィンを分岐鎖のイソパラフィンへとする異性化、芳香族分を開環させパラフィン分の変換、並びに硫黄分や窒素分等の不純物の除去等を目的に行われる精製処理である。特に、直鎖パラフィンの存在は、要件(II)で規定する複素粘度の温度勾配|Δη*|の値を大きくする要因の一つとなるため、本処理では、直鎖パラフィンを分岐鎖のイソパラフィンへと異性化をし、複素粘度の温度勾配|Δη*|の値を低く調整している。
水素化異性化脱ろう処理は、水素化異性化脱ろう触媒の存在下で行われることが好ましい。
水素化異性化脱ろう触媒としては、例えば、シリカアルミノフォスフェート(SAPO)やゼオライト等の担体に、ニッケル(Ni)/タングステン(W)、ニッケル(Ni)/モリブデン(Mo)、コバルト(Co)/モリブデン(Mo)等の金属酸化物や、白金(Pt)や鉛(Pd)等の貴金属を担持した触媒が挙げられる。
水素化異性化脱ろう処理における水素分圧としては、要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)に調製する観点から、好ましくは2.0〜220MPa、より好ましくは2.5〜100MPa、更に好ましくは3.0〜50MPa、より更に好ましくは3.5〜25MPaである。
水素化異性化脱ろう処理における反応温度としては、要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)に調製する観点から、一般的な水素化異性化脱ろう処理での反応温度よりも高めに設定されることが好ましく、具体的には、好ましくは320〜480℃、より好ましくは325〜420℃、更に好ましくは330〜400℃、より更に好ましくは340〜370℃である。
当該反応温度が高温であることで、原料油中に存在する直鎖パラフィンを分岐鎖のイソパラフィンへ異性化を促進させることができ、要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)の調製が容易となる。
また、水素化異性化脱ろう処理における液時空間速度(LHSV)としては、要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)に調製する観点から、好ましくは5.0hr−1以下、より好ましくは2.0hr−1以下、更に好ましくは1.0hr−1以下、より更に好ましくは0.6hr−1以下である。
また、生産性の向上の観点から、水素化異性化脱ろう処理におけるLHSVは、好ましくは0.1hr−1以上、より好ましくは0.2hr−1以上である。
水素化異性化脱ろう処理における水素ガスの供給割合としては、供給する原料油1キロリットルに対して、好ましくは100〜1000Nm、より好ましくは200〜800Nm、更に好ましくは250〜650Nmである。
なお、水素化異性化脱ろう処理を行った生成油に対して、軽質留分を除去するために、減圧蒸留を施してもよい。
(水素化処理)
水素化処理は、原料油中に含まれる芳香族分の完全飽和化、及び、硫黄分や窒素分等の不純物の除去等を目的に行われる精製処理である。
水素化処理は、水素化触媒の存在下で行われることが好ましい。
水素化触媒としては、例えば、シリカ/アルミナ、アルミナ等の非晶質やゼオライト等の結晶質担体に、ニッケル(Ni)/タングステン(W)、ニッケル(Ni)/モリブデン(Mo)、コバルト(Co)/モリブデン(Mo)等の金属酸化物や、白金(Pt)や鉛(Pd)等の貴金属を担持した触媒が挙げられる。
水素化処理における水素分圧としては、要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)に調製する観点から、一般的な水素化処理での圧力よりも高めに設定されることが好ましく、具体的には、好ましくは16MPa以上、より好ましくは17MPa以上、更に好ましくは20MPa以上であり、また、好ましくは30MPa以下、より好ましくは22MPa以下である。
水素化処理における反応温度としては、要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)に調製する観点から、好ましくは200〜400℃、より好ましくは250〜350℃、更に好ましくは280〜330℃である。
水素化処理における液時空間速度(LHSV)としては、要件(I)及び(II)を満たす鉱油(A1)に調製する観点から、好ましくは5.0hr−1以下、より好ましくは2.0hr−1以下、更に好ましくは1.0hr−1以下であり、また、生産性の観点から、好ましくは0.1hr−1以上、より好ましくは0.2hr−1以上、更に好ましくは0.3hr−1以上である。
水素化処理における水素ガスの供給割合としては、供給する工程(3)で得た生成油1キロリットルに対して、好ましくは100〜1000Nm、より好ましくは200〜800Nm、更に好ましくは250〜650Nmである。
なお、水素化処理を行った生成油に対して、軽質留分を除去するために、減圧蒸留を施してもよい。減圧蒸留の諸条件(圧力、温度、時間等)としては、鉱油(A1)の100℃における動粘度が所望の範囲内となるように、適宜調整される。
<粘度指数向上剤(B)>
本発明の潤滑油組成物は、櫛形ポリマー(B1)を含む粘度指数向上剤(B)を含有する。
本発明の潤滑油組成物は、粘度指数向上剤(B)として、櫛形ポリマー(B1)を含むことによって、通常のポリメタクリレートやオレフィン系共重合体を配合した場合に比べて、モリブデン系摩擦調整剤(C)の溶解性を向上させることができる。
また、一般的な粘度指数向上剤であるPMA等を用いた場合、得られる潤滑油組成物の高温高せん断(HTHS)粘度は上昇し易く、省燃費性の点で問題を有する。
これに対して、本発明の潤滑油組成物では、粘度指数向上剤として櫛形ポリマー(B1)を用いることで、HTHS粘度の上昇を抑え、優れた省燃費性を発現させることができる。
なお、本発明の一態様で用いる粘度指数向上剤(B)は、本発明の効果を損なわない範囲において、櫛形ポリマー(B1)には該当しない他の樹脂分からなる粘度指数向上剤や、櫛形ポリマー(B1)の合成時に使用した未反応の原料化合物、触媒、及び合成時に生じた櫛形ポリマーには該当しない樹脂分等の副生成物を含有してもよい。
なお、本明細書において、上記の「樹脂分」とは、質量平均分子量(Mw)が1000以上で、一定の繰り返し単位を有する重合体を意味する。
櫛形ポリマー(B1)には該当しない他の樹脂分からなる粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体など)等が挙げられる。
また、上述の副生成物の含有量は、粘度指数向上剤(B)中の固形分の全量(100質量%)基準で、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下である。
なお、上記の「粘度指数向上剤(B)中の固形分」とは、粘度指数向上剤(B)から希釈油を除いた成分を意味し、櫛形ポリマー(B1)だけでなく、上述の櫛形ポリマー(B1)には該当しない他の樹脂分や副生成物も含まれる。
本発明の一態様で用いる粘度指数向上剤(B)は、櫛形ポリマー(B1)を含むものであるが、通常はハンドリング性や基油(A)との溶解性を考慮し、この櫛形ポリマー(B1)等の樹脂分を含む固形分が、鉱油や合成油等の希釈油により溶解された溶液の形態で市販されていることが多い。
粘度指数向上剤(B)が溶液の形態である場合、当該溶液の固形分濃度としては、当該溶液の全量(100質量%)基準で、通常5〜30質量%である。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、粘度指数向上剤(B)の含有量は、モリブデン系摩擦調整剤(C)の溶解性を向上させる観点、及び、省燃費性に優れた潤滑油組成物とする観点から、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.1〜3.2質量%、より好ましくは0.2〜3.0質量%、更に好ましくは0.5〜2.7質量%、より更に好ましくは1.0〜2.4質量%である。
本発明の潤滑油組成物は、上記要件(I)を満たす鉱油(A1)を用いているため、添加剤の機能が効果的に発現し易く、粘度指数向上剤(B)の含有量を少量に抑えることができる。その結果、HTHS粘度の上昇を抑え、省燃費性に優れた潤滑油組成物とすることができる。
なお、本明細書において、上記「粘度指数向上剤(B)の含有量」は、櫛形ポリマー(B1)や上述の他の樹脂分を含む固形分量であって、希釈油の質量は除外したものである。
本発明の一態様の潤滑油組成物に含まれる粘度指数向上剤(B)の全量(固形分量、100質量%)中の櫛形ポリマー(B1)の含有割合としては、モリブデン系摩擦調整剤(C)の溶解性を向上させる観点、及び、省燃費性に優れた潤滑油組成物とする観点から、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%である。
<櫛形ポリマー(B1)>
本発明において「櫛形ポリマー」とは、高分子量の側鎖が出ている三叉分岐点を主鎖に数多くもつ構造を有するポリマーを指す。
櫛形ポリマー(B1)の質量平均分子量(Mw)としては、省燃費性能の向上の観点から、好ましくは1万〜100万、より好ましくは5万〜95万、更に好ましくは10万〜90万、より更に好ましくは20万〜85万、特に好ましくは35万〜70万である。
櫛形ポリマー(B1)の分子量分布(Mw/Mn)(但し、Mwは櫛形ポリマー(B1)の質量平均分子量、Mnは櫛形ポリマー(B1)の数平均分子量を示す)としては、潤滑油組成物の省燃費性能の向上の観点から、好ましくは8.00以下、より好ましくは7.00以下、より好ましくは6.50以下、更に好ましくは6.00以下、更に好ましくは5.00以下、より更に好ましくは3.00以下である。なお、櫛形ポリマー(B1)の分子量分布が小さくなる程、基油と共に含有した潤滑油組成物の省燃費性能がより向上する傾向にある。
また、櫛形ポリマー(B1)の分子量分布は、下限値としては特に制限はないが、通常1.01以上、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.10以上である。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、櫛形ポリマー(B1)の含有量は、モリブデン系摩擦調整剤(C)の溶解性を向上させる観点、及び、省燃費性に優れた潤滑油組成物とする観点から、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.1〜3.2質量%、より好ましくは0.2〜3.0質量%、更に好ましくは0.5〜2.7質量%、より更に好ましくは1.0〜2.4質量%である。
本発明の潤滑油組成物は、上記要件(I)を満たす鉱油(A1)を用いているため、添加剤の機能が効果的に発現し易く、櫛形ポリマー(B1)の含有量を少量に抑えることができる。その結果、HTHS粘度の上昇を抑え、省燃費性に優れた潤滑油組成物とすることができる。
櫛形ポリマー(B1)のSSI(せん断安定性指数)としては、エンジン始動時を想定した低温領域下での省燃費性能の向上の観点から、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは15以下である。
また、櫛形ポリマー(B1)のSSIは、下限値の制限は特に無いが、通常0.1以上、好ましくは0.2以上である。
本明細書において、櫛形ポリマー(B1)のSSI(せん断安定性指数)とは、櫛形ポリマー(B1)中の樹脂分に由来するせん断による粘度低下をパーセンテージで示すものであり、ASTM D6278に準拠して測定された値であって、具体的には、下記計算式(1)より算出された値である。
上記式(1)中、Kvは、樹脂分を含む粘度指数向上剤を鉱油に希釈した試料油の100℃における動粘度の値であり、Kvは、当該の樹脂分を含む粘度指数向上剤を鉱油に希釈した試料油を、ASTM D6278の手順にしたがって、30サイクル高剪断ボッシュ・ディーゼルインジェクターに通過させた後の100℃における動粘度の値である。また、Kvoilは、当該粘度指数向上剤を希釈する際に用いた鉱油の100℃における動粘度の値である。
なお、櫛形ポリマー(B1)のSSIの値は、櫛形ポリマー(B1)の構造によって変化するものである。具体的には、以下に示す傾向があり、これらの事項を考慮することで、櫛形ポリマー(B1)のSSIの値を容易に調整できる。なお、以下の事項は、あくまで一例であって、これら以外の事項を考慮することによっても調整可能である。
・櫛形ポリマーの側鎖は、マクロモノマー(x1)で構成され、当該マクロモノマー(x1)に由来する構成単位(X1)の含有量が多い櫛形ポリマーほど、SSIの値が低くなる傾向にある。
・高分子量の側鎖を有する櫛形ポリマーほど、SSIの値が低くなる傾向にある。
櫛形ポリマー(B1)としては、マクロモノマー(x1)に由来する構成単位(X1)を少なくとも有する重合体が好ましい。この構成単位(X1)が、上述の「高分子量の側鎖」に該当する。
なお、本発明において、上記の「マクロモノマー」とは、重合性官能基を有する高分子量モノマーのことを意味し、末端に重合性官能基を有する高分子量モノマーであることが好ましい。
マクロモノマー(x1)の数平均分子量(Mn)としては、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは600以上、より更に好ましくは700以上であり、また、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは50,000以下、より更に好ましくは20,000以下である。
マクロモノマー(x1)が有する重合性官能基としては、例えば、アクリロイル基(CH=CH−COO−)、メタクリロイル基(CH=CCH−COO−)、エテニル基(CH=CH−)、ビニルエーテル基(CH=CH−O−)、アリル基(CH=CH−CH−)、アリルエーテル基(CH=CH−CH−O−)、CH=CH−CONH−で表される基、CH=CCH−CONH−で表される基等が挙げられる。
マクロモノマー(x1)は、上記重合性官能基以外に、例えば、以下の一般式(i)〜(iii)で表される繰り返し単位を1種以上有していてもよい。
上記一般式(i)中、Rb1は、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、具体的には、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、2−エチルヘキシレン基等が挙げられる。
上記一般式(ii)中、Rb2は、炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、具体的には、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基等が挙げられる。
上記一般式(iii)中、Rb3は、水素原子又はメチル基を示す。
また、Rb4は炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、具体的には、メチル基、エチル基,n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、イソヘキシル基、t−ヘキシル基、イソヘプチル基、t−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基等が挙げられる。
なお、上記一般式(i)〜(iii)で表される繰り返し単位をそれぞれ複数有する場合には、Rb1、Rb2、Rb3、Rb4は、それぞれ同一であってもよく、互いに異なるものであってもよい。
なお、マクロモノマー(x1)が、前記一般式(i)〜(iii)から選ばれる2種以上の繰り返し単位を有する共重合体である場合、共重合の形態としては、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
本発明の一態様で用いる櫛形ポリマー(B1)は、1種類のマクロモノマー(x1)に由来する構成単位(X1)のみからなる単独重合体でもよく、2種類以上のマクロモノマー(x1)に由来する構成単位(X1)を含む共重合体であってもよい。
また、本発明の一態様で用いる櫛形ポリマー(B1)は、マクロモノマー(x1)に由来する構成単位と共に、マクロモノマー(x1)以外の他のモノマー(x2)に由来する構成単位(X2)を含む共重合体であってもよい。
このような櫛形ポリマーの具体的な構造としては、モノマー(x2)に由来する構成単位(X2)を含む主鎖に対して、マクロモノマー(x1)に由来する構成単位(X1)を含む側鎖を有する共重合体が好ましい。
モノマー(x2)としては、例えば、下記一般式(a1)で表される単量体(x2−a)、アルキル(メタ)アクリレート(x2−b)、窒素原子含有ビニル単量体(x2−c)、水酸基含有ビニル単量体(x2−d)、リン原子含有単量体(x2−e)、脂肪族炭化水素系ビニル単量体(x2−f)、脂環式炭化水素系ビニル単量体(x2−g)、ビニルエステル類(x2−h)、ビニルエーテル類(x2−i)、ビニルケトン類(x2−j)、エポキシ基含有ビニル単量体(x2−k)、ハロゲン元素含有ビニル単量体(x2−l)、不飽和ポリカルボン酸のエステル(x2−m)、(ジ)アルキルフマレート(x2−n)、(ジ)アルキルマレエート(x2−o)、芳香族炭化水素系ビニル単量体(x2−p)等が挙げられる。
なお、モノマー(x2)としては、リン原子含有単量体(x2−e)及び芳香族炭化水素系ビニル単量体(x2−p)以外の単量体が好ましい。
(下記一般式(a1)で表される単量体(x2−a))
上記一般式(a1)中、Rb11は、水素原子又はメチル基を示す。
b12は、単結合、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基、−O−、もしくは−NH−を示す。
b13は、炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。また、nは1以上の整数(好ましくは1〜20の整数、より好ましくは1〜5の整数)を示す。なお、nが2以上の整数の場合、複数のRb13は、同一であってもよく、異なっていてもよく、さらに、(Rb13O)部分は、ランダム結合でもブロック結合でもよい。
b14は、炭素数1〜60(好ましくは10〜50、より好ましくは20〜40)の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。
上記の「炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基」、「炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基」、及び「炭素数1〜60の直鎖又は分岐鎖のアルキル基」の具体的な基としては、上述の一般式(i)〜(iii)に関する記載で例示した基と同じものが挙げられる。
(アルキル(メタ)アクリレート(x2−b))
アルキル(メタ)アクリレート(x2−b)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−t−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレート(x2−b)が有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜26、更に好ましくは1〜10である。
(窒素原子含有ビニル単量体(x2−c))
窒素原子含有ビニル単量体(x2−c)としては、例えば、アミド基含有ビニル単量体(x2−c1)、ニトロ基含有単量体(x2−c2)、1級アミノ基含有ビニル単量体(x2−c3)、2級アミノ基含有ビニル単量体(x2−c4)、3級アミノ基含有ビニル単量体(x2−c5)、及びニトリル基含有ビニル単量体(x2−c6)等が挙げられる。
アミド基含有ビニル単量体(x2−c1)としては、例えば、(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN−n−又はイソブチル(メタ)アクリルアミド等のモノアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド;N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアミノ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド及びN−n−又はイソブチルアミノ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等のモノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジ−n−ブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−又はイソプロピオニルアミド及びN−ビニルヒドロキシアセトアミド等のN−ビニルカルボン酸アミド;等が挙げられる。
ニトロ基含有単量体(x2−c2)としては、例えば、ニトロエチレン、3−ニトロ−1−プロペン等が挙げられる。
1級アミノ基含有ビニル単量体(x2−c3)としては、例えば、(メタ)アリルアミン及びクロチルアミン等の炭素数3〜6のアルケニル基を有するアルケニルアミン;アミノエチル(メタ)アクリレート等の炭素数2〜6のアルキル基を有するアミノアルキル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
2級アミノ基含有ビニル単量体(x2−c4)としては、例えば、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のモノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;ジ(メタ)アリルアミン等の炭素数6〜12のジアルケニルアミン;等が挙げられる。
3級アミノ基含有ビニル単量体(x2−c5)としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;モルホリノエチル(メタ)アクリレート等の窒素原子を有する脂環式(メタ)アクリレート;及びこれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩又は低級アルキル(炭素数1〜8)モノカルボン酸(酢酸及びプロピオン酸等)塩;等が挙げられる。
ニトリル基含有ビニル単量体(x2−c6)としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
(水酸基含有ビニル単量体(x2−d))
水酸基含有ビニル単量体(x2−d)としては、例えば、ヒドロキシル基含有ビニル単量体(x2−d1)、及びポリオキシアルキレン鎖含有ビニル単量体(x2−d2)等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有ビニル単量体(x2−d1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の炭素数2〜6のアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等の炭素数1〜4のアルキル基を有するモノ−又はジ−ヒドロキシアルキル置換(メタ)アクリルアミド;ビニルアルコール;(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−オクテノール及び1−ウンデセノール等の炭素数3〜12のアルケノール;1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール及び2−ブテン−1,4−ジオール等の炭素数4〜12のアルケンモノオール又はアルケンジオール;2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル等の炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数3〜10のアルケニル基を有するヒドロキシアルキルアルケニルエーテル;グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ジグリセリン、糖類及び蔗糖等の多価アルコールのアルケニルエーテル又は(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン鎖含有ビニル単量体(x2−d2)としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコール(アルキレン基の炭素数2〜4、重合度2〜50)、ポリオキシアルキレンポリオール(上述の多価アルコールのポリオキシアルキレンエーテル(アルキレン基の炭素数2〜4、重合度2〜100))、ポリオキシアルキレングリコール又はポリオキシアルキレンポリオールのアルキル(炭素数1〜4)エーテルのモノ(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコール(Mn:100〜300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn:130〜500)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(Mn:110〜310)(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物(2〜30モル)(メタ)アクリレート及びモノ(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン(Mn:150〜230)ソルビタン等]等が挙げられる。
(リン原子含有単量体(x2−e))
リン原子含有単量体(x2−e)としては、例えば、リン酸エステル基含有単量体(x2−e1)、及びホスホノ基含有単量体(x2−e2)等が挙げられる。
リン酸エステル基含有単量体(x2−e1)としては、例えば、(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート及び(メタ)アクリロイロキシイソプロピルホスフェート等の炭素数2〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリロイロキシアルキルリン酸エステル;リン酸ビニル、リン酸アリル、リン酸プロペニル、リン酸イソプロペニル、リン酸ブテニル、リン酸ペンテニル、リン酸オクテニル、リン酸デセニル及びリン酸ドデセニル等の炭素数2〜12のアルケニル基を有するリン酸アルケニルエステル;等が挙げられる。
ホスホノ基含有単量体(x2−e2)としては、例えば、(メタ)アクリロイロキシエチルホスホン酸等の炭素数2〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリロイロキシアルキルホスホン酸;ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸及びオクテニルホスホン酸等の炭素数2〜12のアルケニル基を有するアルケニルホスホン酸;等が挙げられる。
(脂肪族炭化水素系ビニル単量体(x2−f))
脂肪族炭化水素系ビニル単量体(x2−f)としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等の炭素数2〜20のアルケン;ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘプタジエン及び1,7−オクタジエン等の炭素数4〜12のアルカジエン;等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系ビニル単量体(x2−f)の炭素数としては、好ましくは2〜30、より好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜12である。
(脂環式炭化水素系ビニル単量体(x2−g))
脂環式炭化水素系ビニル単量体(x2−g)としては、例えば、シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等が挙げられる。
脂環式炭化水素系ビニル単量体(x2−g)の炭素数としては、好ましくは3〜30、より好ましくは3〜20、更に好ましくは3〜12である。
(ビニルエステル類(x2−h))
ビニルエステル類(x2−h)としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル及びオクタン酸ビニル等の炭素数2〜12の飽和脂肪酸のビニルエステル等が挙げられる。
(ビニルエーテル類(x2−i))
ビニルエーテル類(x2−i)としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、及び2−エチルヘキシルビニルエーテル等の炭素数1〜12のアルキルビニルエーテル;ビニル−2−メトキシエチルエーテル、及びビニル−2−ブトキシエチルエーテル等の炭素数1〜12のアルコキシアルキルビニルエーテル;等が挙げられる。
(ビニルケトン類(x2−j))
ビニルケトン類(x2−j)としては、例えば、メチルビニルケトン、及びエチルビニルケトン等の炭素数1〜8のアルキルビニルケトン;等が挙げられる。
(エポキシ基含有ビニル単量体(x2−k))
エポキシ基含有ビニル単量体(x2−k)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
(ハロゲン元素含有ビニル単量体(x2−l))
ハロゲン元素含有ビニル単量体(x2−l)としては、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリル等が挙げられる。
(不飽和ポリカルボン酸のエステル(x2−m))
不飽和ポリカルボン酸のエステル(x2−m)としては、例えば、不飽和ポリカルボン酸のアルキルエステル、不飽和ポリカルボン酸のシクロアルキルエステル、不飽和ポリカルボン酸のアラルキルエステル等が挙げられ、不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等が挙げられる。
((ジ)アルキルフマレート(x2−n))
(ジ)アルキルフマレート(x2−n)としては、例えば、モノメチルフマレート、ジメチルフマレート、モノエチルフマレート、ジエチルフマレート、メチルエチルフマレート、モノブチルフマレート、ジブチルフマレート、ジペンチルフマレート、ジヘキシルフマレート等が挙げられる。
((ジ)アルキルマレエート(x2−o))
(ジ)アルキルマレエート(x2−o)としては、例えば、モノメチルマレエート、ジメチルマレエート、モノエチルマレエート、ジエチルマレエート、メチルエチルマレエート、モノブチルマレエート、ジブチルマレエート等が挙げられる。
(芳香族炭化水素系ビニル単量体(x2−p))
芳香族炭化水素系ビニル単量体(x2−p)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−ブチルスチレン、4−フェニルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ベンジルスチレン、p−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン、テトラブロモスチレン、4−クロチルベンゼン、インデン及び2−ビニルナフタレン等が挙げられる。
芳香族炭化水素系ビニル単量体(x2−p)の炭素数としては、好ましくは8〜30、より好ましくは8〜20、更に好ましくは8〜18である。
<モリブデン系摩擦調整剤(C)>
本発明の潤滑油組成物は、モリブデン系摩擦調整剤(C)を含有し、当該モリブデン系摩擦調整剤(C)のモリブデン原子換算での含有量が、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、500質量ppm超900質量ppm未満に調整されている。
モリブデン系摩擦調整剤(C)のモリブデン原子換算での含有量が500質量ppm以下であると、得られる潤滑油組成物の摩擦低減効果が不十分となる。
一方、モリブデン系摩擦調整剤(C)のモリブデン原子換算での含有量が900質量ppm以上であると、モリブデン系摩擦調整剤(C)が析出し易く、溶解性の問題が生じる。
なお、本発明の潤滑油組成物は、上記要件(I)を満たす鉱油(A1)を用いているため、添加剤の機能が効果的に発現し易い。つまり、モリブデン系摩擦調整剤(C)の含有量が少量であっても、優れた摩擦低減効果を発現させることができる。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、モリブデン系摩擦調整剤(C)のモリブデン原子換算での含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、摩擦低減効果の向上の観点から、好ましくは530質量ppm以上、より好ましくは550質量ppm以上、更に好ましくは580質量ppm以上、より更に好ましくは600質量ppm以上であり、また、モリブデン系摩擦調整剤(C)の析出を抑制する観点から、好ましくは880質量ppm以下、より好ましくは850質量ppm以下、更に好ましくは820質量ppm以下、より更に好ましくは800質量ppm以下である。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、櫛形ポリマー(B1)100質量部に対する、モリブデン系摩擦調整剤(C)のモリブデン原子換算での含有量が、好ましくは1.0〜10.0質量部、より好ましくは1.5〜7.5質量部、更に好ましくは2.0〜6.0質量部、より更に好ましくは2.5〜5.0質量部である。
上記範囲であれば、摩擦低減効果を向上させると共に、モリブデン系摩擦調整剤(C)の析出を効果的に抑制することができる。
モリブデン系摩擦調整剤(C)としては、モリブデン原子を有する有機化合物であれば用いることができるが、摩擦低減効果の向上の観点から、ジチオリン酸モリブデン(MoDTP)、ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)が好ましい。
なお、モリブデン系摩擦調整剤(C)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ジチオリン酸モリブデン(MoDTC)としては、下記一般式(c1−1)で表される化合物、又は、下記一般式(c1−2)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(c1−1)及び(c1−2)中、R〜Rは、それぞれ独立に、炭化水素基を示し、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
〜Xは、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を示し、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。ただし、式(c1−1)中のX〜Xの少なくとも二つは硫黄原子である。
なお、本発明の一態様においては、前記一般式(c1−1)中、X及びXが酸素原子であり、X〜Xが硫黄原子であることが好ましい。また、前記一般式(c1−2)中、X及びXが酸素原子であり、X及びXが硫黄原子であることが好ましい。
上記一般式(c1−1)において、溶解性を向上させる観点から、X〜X中の硫黄原子と酸素原子とのモル比〔硫黄原子/酸素原子〕が、好ましくは1/4〜4/1、より好ましくは1/3〜3/1である。
上記一般式(c1−2)において、上記と同様の観点から、X〜X中の硫黄原子と酸素原子とのモル比〔硫黄原子/酸素原子〕が、好ましくは1/3〜3/1、より好ましくは1.5/2.5〜2.5/1.5である。
〜Rとして選択し得る炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは5〜18、更に好ましくは5〜16、より更に好ましくは5〜12である。
〜Rとして選択し得る具体的な当該炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基等のアルケニル基;シクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、プロピルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、ヘプチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等のアリール基;トリル基、ジメチルフェニル基、ブチルフェニル基、ノニルフェニル基、メチルベンジル基、ジメチルナフチル基等のアルキルアリール基;フェニルメチル基、フェニルエチル基、ジフェニルメチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)としては、一分子中に2つのモリブデン原子を含む二核のジチオカルバミン酸モリブデン、及び一分子中に3つのモリブデン原子を含む三核のジチオカルバミン酸モリブデンが挙げられる。
これらのMoDTCの中でも、二核のジチオカルバミン酸モリブデンが好ましい。
二核のジチオカルバミン酸モリブデンとしては、下記一般式(c2−1)で表される化合物、及び、下記一般式(c2−2)で表される化合物がより好ましい。
上記一般式(c2−1)及び(c2−2)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、炭化水素基を示し、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
11〜X18は、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を示し、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
ただし、式(c2−1)中のX11〜X18の少なくとも一つは硫黄原子である。
なお、本発明の一態様においては、式(c2−1)中のX11及びX12が酸素原子であり、X13〜X18が硫黄原子であることが好ましい。
また、式(b2−2)中のX11〜X14が酸素原子であることが好ましい。
上記一般式(c2−1)において、溶解性を向上させる観点から、X11〜X18中の硫黄原子と酸素原子とのモル比〔硫黄原子/酸素原子〕が、好ましくは1/4〜4/1、より好ましくは1/3〜3/1である。
上記一般式(c2−1)及び(c2−2)中、R11〜R14として選択し得る炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは5〜18、更に好ましくは5〜16、より更に好ましくは5〜12である。
11〜R14として選択し得る具体的な当該炭化水素基としては、前記一般式(c1−1)及び(c1−2)中のR〜Rとして選択し得る炭化水素基と同じものが挙げられる。
三核のジチオカルバミン酸モリブデンとしては、下記一般式(c3−1)で表される化合物であることが好ましい。
Mo (c3−1)
前記一般式(c3−1)中、kは1以上の整数、mは0以上の整数であり、k+mは4〜10の整数であり、4〜7の整数であることが好ましい。nは1〜4の整数、pは0以上の整数である。zは0〜5の整数であって、非化学量論の値を含む。
Eは、それぞれ独立に、酸素原子又はセレン原子であり、例えば、後述するコアにおいて硫黄を置換し得るものである。
Lは、それぞれ独立に、炭素原子を含有する有機基を有するアニオン性リガンドであり、各リガンドにおける該有機基の炭素原子の合計が14個以上であり、各リガンドは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Aは、それぞれ独立に、L以外のアニオンである。
Qは、それぞれ独立に、中性電子を供与する化合物であり、三核モリブデン化合物上における空の配位を満たすために存在する。
Lで表されるアニオン性リガンドにおける有機基の炭素原子の合計としては、好ましくは14〜50個、より好ましくは16〜30個、更に好ましくは18〜24個である。
Lとしては、1価のアニオン性リガンドであるモノアニオン性リガンドであることが好ましく、具体的には、下記一般式(i)〜(iv)で表されるリガンドであることがより好ましい。
なお、前記一般式(c3−1)中、Lとして選択されるアニオン性リガンドとしては、前記一般式(iv)で表されるリガンドであることが好ましい。
また、前記一般式(c3−1)において、Lとして選択されるアニオン性リガンドは、すべて同一であることが好ましく、すべて前記一般式(iv)で表されるリガンドであることがより好ましい。
前記一般式(i)〜(iv)中、X31〜X37、及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子であり、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記一般式(i)〜(iv)中、R31〜R35は、それぞれ独立に、有機基であり、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
なお、R31、R32、及びR33として選択し得るそれぞれの有機基の炭素数は、好ましくは14〜50個、より好ましくは16〜30個、更に好ましくは18〜24個である。
式(iv)中のR34及びR35として選択し得る2つの有機基の合計炭素数としては、好ましくは14〜50個、より好ましくは16〜30個、更に好ましくは18〜24個である。
34及びR35として選択し得るそれぞれの有機基の炭素数は、好ましくは7〜30個、より好ましくは7〜20個、更に好ましくは8〜13個である。
なお、R34の有機基と、R35の有機基とは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよいが、互いに異なることが好ましい。また、R34の有機基の炭素数と、R35の有機基の炭素数とは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよいが、互いに異なることが好ましい。
31〜R35として選択される有機基としては、アルキル基、アリール基、置換アリール基及びエーテル基等のヒドロカルビル基が挙げられる。
なお、「ヒドロカルビル」なる用語は、リガンドの残部に直接結合する炭素原子を有する置換基を示し、本実施形態の範囲内において、その特性が主にヒドロカルビルである。かかる置換基は、以下のものが挙げられる。
1.炭化水素置換基
炭化水素置換基としては、アルキル、アルケニル等の脂肪族の置換基、シクロアルキル、シクロアルケニル等の脂環式の置換基、芳香族基、脂肪族基及び脂環式基に置換された芳香核、環がリガンド中のもう一つの箇所を介して完結している環式基(即ち、任意の2つの示された置換基がともに脂環式基を形成してもよい)が挙げられる。
2.置換された炭化水素置換基
置換された炭化水素置換基としては、上記炭化水素置換基をヒドロカルビルの特性を変化させない非炭化水素基で置換したものが挙げられる。非炭化水素基としては、例えば、特にクロロ、フルオロ等のハロゲン基、アミノ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルメルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホキシ基等が挙げられる。
前記一般式(c3−1)中、Lとして選択されるアニオン性リガンドとしては、アルキルキサントゲン酸塩、カルボン酸塩、ジアルキルジチオカルバミン酸塩、及びこれらの混合物に由来のものが好ましく、ジアルキルジチオカルバミン酸塩に由来のものがより好ましい。
前記一般式(c3−1)中、Aとして選択し得るアニオンは、1価のアニオンであってもよく、2価のアニオンであってもよい。Aとして選択し得るアニオンとしては、例えば、ジスルフィド、ヒドロキシド、アルコキシド、アミド及びチオシアネート又はそれらの誘導体等が挙げられる。
前記一般式(c3−1)中、Qとしては、水、アミン、アルコール、エーテル及びホスフィン等が挙げられる。Qは、同一であってもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
三核のジチオカルバミン酸モリブデンとしては、前記一般式(c3−1)中、kが4〜7の整数、nが1又は2、Lがモノアニオン性リガンドであり、pがAにおけるアニオン電荷をベースとする化合物に電気的中性を付与する整数であり、且つ、m及びzのそれぞれが0である化合物が好ましく、kが4〜7の整数であり、Lがモノアニオン性リガンドであり、nが4であり、且つ、p、m及びzのそれぞれが0である化合物がより好ましい。
また、三核のジチオカルバミン酸モリブデンとしては、例えば、下記式(IV−A)又は(IV−B)で表されるコアを有する化合物であることが好ましい。各コアは、+4の実効電荷(net electrical charge)を有する。これらのコアは、アニオン性リガンド、及び必要に応じて存在するアニオン性リガンド以外のアニオンによって囲まれている。
三核モリブデン−硫黄化合物の形成には、例えば、コア中に存在する硫黄及びE原子数に依存して、適切なアニオン性リガンド(L)及び他のアニオン(A)を選択することが必要であること、、即ち、硫黄原子、存在するならE原子、L及び存在するならAにより構成される全アニオン電荷が−4でなければならない。
三核モリブデン−硫黄化合物は、また、アニオン電荷が−4を超える場合、モリブデン以外のカチオン、例えば、(アルキル)アンモニウム、アミン又はナトリウムを含んでいてもよい。アニオン性リガンド(L)及び他のアニオン(A)の好ましい実施形態は、4個のモノアニオン性のリガンドを有する構成である。
モリブデン−硫黄コア、例えば、上記(IV−A)及び(IV−B)で表される構造体は、1又は2以上の多座リガンド、即ち、モリブデン原子に結合して、オリゴマーを形成することが可能な官能基を1つより多く有するリガンドにより相互接続(interconnect)させることができる。
<潤滑油用添加剤>
本発明の一態様の潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、更に成分(B)及び(C)以外の潤滑油用添加剤(以下、単に「潤滑油用添加剤」ともいう)を含有してもよい。
このような潤滑油用添加剤としては、例えば、流動点降下剤、金属系清浄剤、分散剤、耐摩耗剤、極圧剤、酸化防止剤、消泡剤、防錆剤、金属不活性化剤等が挙げられる。
なお、当該潤滑油用添加剤として、API/ILSAC SN/GF−5規格等に適合した、複数の添加剤を含有する市販品の添加剤パッケージを用いてもよい。
また、上記の添加剤としての機能を複数有する化合物(例えば、耐摩耗剤及び極圧剤としての機能を有する化合物)を用いてもよい。
さらに、各潤滑油用添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの潤滑油用添加剤の各含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内で、適宜調整することができるが、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、通常0.001〜15質量%、好ましくは0.005〜10質量%、より好ましくは0.01〜8質量%である。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、これらの潤滑油用添加剤の合計含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0〜40質量%、より好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは0〜20質量%、より更に好ましくは0〜15質量%である。
なお、本発明の一態様の潤滑油組成物は、成分(C)には該当しない摩擦調整剤を含有してもよい。
当該摩擦調整剤としては、例えば、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、脂肪族アミン、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル等の無灰摩擦調整剤;油脂類、アミン、アミド、硫化エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられる。
成分(C)には該当しない摩擦調整剤の含有量は、成分(C)の全量100質量部に対して、好ましくは0〜30質量部、より好ましくは0〜20質量部、更に好ましくは0〜10質量部である。
<潤滑油組成物の各種物性>
本発明の一態様の潤滑油組成物の100℃における動粘度としては、好ましくは4mm/s以上、より好ましくは5mm/s以上、更に好ましくは6mm/s以上、より更に好ましくは7mm/s以上であり、また、好ましくは15mm/s以下、より好ましくは12.5mm/s以下、更に好ましくは11mm/s以下、より更に好ましくは10mm/s以下である。
本発明の一態様の潤滑油組成物の粘度指数としては、好ましくは140以上、より好ましくは150以上、更に好ましくは160以上である。
本発明の一態様の潤滑油組成物の100℃におけるHTHS粘度としては、潤滑性能が良好な潤滑油組成物とする観点から、好ましくは3.5mPa・s以上、より好ましくは3.7mPa・s以上、更に好ましくは4.0mPa・s以上、より更に好ましくは4.3mPa・s以上であり、省燃費性に優れた潤滑油組成物とする観点から、好ましくは5.5mPa・s以下、より好ましくは5.4mPa・s以下、更に好ましくは5.35mPa・s以下、より更に好ましくは5.2mPa・s以下である。
本発明の一態様の潤滑油組成物の150℃におけるHTHS粘度としては、潤滑性能が良好な潤滑油組成物とする観点から、好ましくは1.5mPa・s以上、より好ましくは1.6mPa・s以上、更に好ましくは1.7mPa・s以上、より更に好ましくは2.0mPa・s以上であり、省燃費性に優れた潤滑油組成物とする観点から、好ましくは3.3mPa・s以下、より好ましくは3.2mPa・s以下、更に好ましくは3.1mPa・s以下、より更に好ましくは2.8mPa・s以下である。
なお、上記の150℃におけるHTHS粘度は、エンジンの高速運転時の高温領域下での粘度として想定することもできる。つまり、潤滑油組成物の150℃におけるHTHS粘度が上記範囲に属していれば、当該潤滑油組成物はエンジンの高速運転時を想定した高温領域下での粘度等の各種性状が良好であるといえる。
また、本明細書において、100℃又は150℃におけるHTHS粘度は、ASTM D4741に準拠して測定した値を意味する。
本発明の一態様の潤滑油組成物の−35℃におけるCCS粘度(低温粘度)としては、良好な低温粘度特性を有する潤滑油組成物とする観点から、好ましくは9,000mPa・s以下、より好ましくは8,000mPa・s以下、更に好ましくは7,000mPa・s以下、より更に好ましくは6,000mPa・s以下、特に好ましくは5,000mPa・s以下である。
なお、本明細書において、−35℃におけるCCS粘度は、JIS K2010:1993(ASTM D 2602)に準拠して測定した値を意味する。
本発明の一態様の潤滑油組成物について、後述の実施例に記載の条件にて、往復動摩擦試験機を用いて測定した摩擦係数としては、好ましくは0.120以下、より好ましくは0.100以下、更に好ましくは0.080以下、より更に好ましくは0.060以下である。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、モリブデン原子の含有量としては、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは500質量ppm以上900質量ppm未満、より好ましくは530質量ppm以上880質量ppm以下、更に好ましくは550質量ppm以上850質量ppm以下である。
なお、上記の「モリブデン原子の含有量」には、成分(C)に由来するモリブデン原子だけでなく、潤滑油組成物中に含まれる成分(C)には該当しないモリブデン系化合物に由来のモリブデン原子の含有量も含まれる。
〔潤滑油組成物の製造方法〕
本発明の潤滑油組成物の製造方法としては、特に制限は無いが、下記工程(1)を有する製造方法であることが好ましい。
工程(1):回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1%の条件下で計測した、−35℃における複素粘度η*が150Pa・s以下である鉱油(A1)を含む基油(A)に、櫛形ポリマー(B1)を含む粘度指数向上剤(B)と、モリブデン系摩擦調整剤(C)とを配合する工程であって、
モリブデン系摩擦調整剤(C)のモリブデン原子換算での含有量が500質量ppm超900質量ppm未満とし、且つ、NOACK値が10質量%以下となるように調製する工程。
上記工程(1)において、鉱油(A1)及び基油(A)、櫛形ポリマー(B1)及び粘度指数向上剤(B)、並びに、モリブデン系摩擦調整剤(C)は、上述のとおりであり、好適な成分、各成分の含有量も上述のとおりである。
なお、本工程において、成分(B)及び(C)以外の上述の潤滑油用添加剤を配合してもよい。
成分(B)は、櫛形ポリマー(B1)を含む樹脂分を希釈油に溶解した溶液の形態で配合してもよい。当該溶液の固形分濃度としては、通常10〜50質量%である。
各成分を配合した後、公知の方法により、撹拌して均一に分散させることが好ましい。
なお、各成分を配合後に、成分の一部が変性したり、2成分が互いに反応し、別の成分を生成した場合の得られる潤滑油組成物は、本発明の潤滑油組成物の製造方法によって得られる潤滑油組成物に該当し、本発明の技術的範囲に属するものである。
〔潤滑油組成物の用途〕
本発明の潤滑油組成物は、、低蒸発性化されたものであって、優れた摩擦低減効果及び低温粘度特性を有し、省燃費性に優れると共に、更に添加剤の溶解性が良好である。
そのため、本発明の潤滑油組成物を充填したエンジンとしては、自動車、電車、航空機等の車両用エンジン等が挙げられるが、自動車用エンジンが好ましく、ハイブリッド機構やアイドリングストップ機構を搭載した自動車用エンジンがより好ましい。
なお、本発明の一態様の潤滑油組成物は、自動車、電車、航空機等の車両等に使用される内燃機関用潤滑油組成物(内燃機関用エンジンオイル)としての用途が好適であるが、他の用途にも適用し得る。
本発明の潤滑油組成物は、ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有する装置におけるピストンリング及びライナーを備えた摺動機構、特に、内燃機関(好ましくは自動車の内燃機関)におけるピストンリング及びライナーを備えた摺動機構の潤滑に適するものである。
本発明の潤滑油組成物を適用するピストンリング及びライナーの形成材料については特に制限はない。
ピストンリングの形成材料としては、例えば、Si−Cr鋼や11〜17質量%Crのマルテンサイト系ステンレス鋼等が挙げられる。なお、ピストンリングは、このような形成材料に、さらにクロムめっき処理、窒化クロム処理又は窒化処理及びこれらの組合せに係る下地処理をすることが好ましい。
ライナーの形成材料としては、例えば、アルミニウム合金や鋳鉄合金等が挙げられる。
〔内燃機関〕
本発明は、ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有し、且つ、上述の本発明の潤滑油組成物を含む内燃機関も提供する。
本発明の一態様において、前記摺動機構の摺動部に、本発明の潤滑油組成物が適用された内燃機関が好ましい。
なお、本実施形態の潤滑油組成物及びピストンリング及びライナーを備えた摺動機構については、前述の通りであり、具体的な摺動機構の構成としては、図2に示すものが挙げられる。
図2に示す摺動機構1は、ピストン運動路2a及びクランクシャフト収容部2bを有するブロック2、ピストン運動路2aの内壁に沿って配置されたライナー12、ライナー12内に収容されたピストン4、ピストン4に外嵌されたピストンリング6、クランクシャフト収容部2b内に収容されたクランクシャフト10、クランクシャフト10とピストン4とを連結するコンロッド9、並びに、ライナー12とピストン運動路2aとによって挟まれた構造を有する。
このクランクシャフト10は、図示しないモータによって回転駆動され、コンロッド9を介してピストン4を往復運動させることができる。
このように構成の摺動機構1において、本発明の潤滑油組成物20は、クランクシャフト収容部2b内に、クランクシャフト10の中心軸の中心よりも上位かつ中心軸の最上端よりも下位の液位になるまで充填される。このクランクシャフト収容部2b内の潤滑油組成物20は、回転するクランクシャフト10によるはねかけ式で、ライナー12とピストンリング6との間に供給される。
〔内燃機関の潤滑方法〕
本発明は、ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有する装置を潤滑する内燃機関の潤滑方法であって、当該ピストンリング及びライナーを、上述の本発明の潤滑油組成物を用いて潤滑する、内燃機関の潤滑方法も提供する。
本実施形態の潤滑油組成物及びピストンリング及びライナーを備えた摺動機構については、前述の通りである。
本発明の内燃機関の潤滑方法においては、本実施形態の潤滑油組成物を、ピストンリングとライナーとの間の摺動部分に潤滑油として使用することにより、流体潤滑、混合潤滑のいずれにおいても、その摩擦を大きく低減させ、省燃費性の向上に資することができる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、各種物性の測定法又は評価法は、下記のとおりである。
<基油又は潤滑油組成物の物性>
(1)40℃及び100℃における動粘度
JIS K2283:2000に準拠して測定した。
(2)粘度指数
JIS K2283:2000に準拠して測定した。
<基油の物性>
(3)−35℃、−25℃、及び−10℃における複素粘度η*
Anton Paar社製レオメータ「Physica MCR 301」を用いて、以下の手順で測定した。
まず、−35℃、−25℃、及び−10℃のいずれかの測定温度に調整したコーンプレート(直径50mm、傾斜角1°)に、測定対象の試料油を挿入し、同じ温度で10分間保持した。なお、この際、挿入した溶液に歪みを与えないように留意した。
そして、所定の測定温度にて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1〜100%の範囲で測定温度に応じて適宜設定した値の条件下にて、振動モードで、各測定温度における複素粘度η*を測定した。なお、上記の「歪み量」は、−35℃での測定では「0.1%」とし、−10℃での測定では「2.1%」とし、−25℃での測定では「0.4%」とした。
そして、−25℃及び−10℃における複素粘度η*の値から、前記計算式(f1)から、「複素粘度の温度勾配|Δη*|」を算出した。
<粘度指数向上剤の物性>
(4)質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
ゲル浸透クロマトグラフ装置(アジレント社製、「1260型HPLC」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「Shodex LF404」を2本、順次連結したもの。
・カラム温度:35℃
・展開溶媒:クロロホルム
・流速:0.3mL/min
(5)SSI(せん断安定性指数)
測定対象となる粘度指数向上剤に希釈油である鉱油を加えて試料油を調製し、当該試料油及び当該鉱油を用いて、ASTM D6278に準拠して測定した。
具体的には、対象となる粘度指数向上剤について、前記計算式(1)中のKv、Kv、Kvoilの各値を測定して、当該計算式(1)より算出した。
<潤滑油組成物の物性及び評価>
(6)NOACK値
250℃、1時間の条件にて、JPI−5S−41−2004に準拠して測定した。
(7)モリブデン原子の含有量
JPI−5S−38−92に準拠して測定した。
(8)100℃又は150℃におけるHTHS粘度(高温高せん断粘度)
ASTM D4741に準拠して、測定対象の潤滑油組成物を、100℃又は150℃の温度条件下、せん断速度10/sにて、せん断した後の粘度を測定した。
(9)−35℃におけるCCS粘度
JIS K2010:1993(ASTM D 2602)に準拠して測定した。
(10)摩擦係数
往復動摩擦試験機(オプティマール社製、SRV往復動摩擦試験機)を用いて、以下の手順で摩擦係数を測定した。
テストピースとして、ディスク(直径24mm、厚さ7.9mm、材質:SUJ−2)を用い、当該ディスク上に、調製した潤滑油組成物を数滴滴下し、シリンダー(直径15mm、長さ22mm、シリンダーピンの材質:SUJ−2)を当該ディスク上部にセットした。
その状態で、荷重400N、振幅1.5mm、周波数50Hz、温度100℃の条件にて、摩擦係数を求めた。
(11)溶解性の評価
測定対象となる潤滑油組成物100mLを、−5℃の環境下で5日間静置した後、室温(20℃)に戻した際に、当該潤滑油組成物の曇り(沈殿)の有無を目視で確認し、以下に基準により評価した。
A:潤滑油組成物に曇りが確認されず、添加剤の析出は見られなかった。
F:潤滑油組成物に曇りが見られ、添加剤と思われる沈殿も確認された。
実施例1〜6、比較例1〜9
表1又は表2に示す種類及び配合量の基油、粘度指数向上剤、摩擦調整剤、及びパッケージ添加剤を配合して、潤滑油組成物をそれぞれ調製した。
なお、使用した基油、粘度指数向上剤、摩擦調整剤、及びパッケージ添加剤の詳細は以下のとおりである。
<基油>
・基油(1):スラックワックスと重質燃料油を水素化分解して得られたボトム油とを含む原料油(スラックワックス/ボトム油=95/5(質量比))を、水素化異性化脱ろう処理を施した後に、水素化仕上げ処理を施し得られた鉱油。100℃動粘度=4.1mm/s、粘度指数=129、−35℃における複素粘度η*=3.5Pa・s、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配|Δη*|=0.03Pa・s/℃、%C=−0.2、%C=6.5である鉱油。
・基油(2):スラックワックスと重質燃料油を水素化分解して得られたボトム油とを含む原料油(スラックワックス/ボトム油=95/5(質量比))を、水素化異性化脱ろう処理を施した後に、水素化仕上げ処理を施し得られた鉱油。100℃動粘度=7.7mm/s、粘度指数=140、−35℃における複素粘度η*=25.4Pa・s、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配|Δη*|=0.12Pa・s/℃、%C=−0.3、%C=6.5である鉱油。
・基油(3):スラックワックスと重質燃料油を水素化分解して得られたボトム油とを含む原料油(スラックワックス/ボトム油=95/5(質量比))を、水素化異性化脱ろう処理を施した後に、水素化仕上げ処理を施し得られた鉱油。100℃動粘度=2.7mm/s、粘度指数=114、−35℃における複素粘度η*=1.4Pa・s、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配|Δη*|=0.01Pa・s/℃、%C=0.4、%C=7.1である鉱油。
・基油(4):スラックワックスと重質燃料油を水素化分解して得られたボトム油とを含む原料油(スラックワックス/ボトム油=30/70(質量比))を、水素化異性化脱ろう処理を施し、さらに水素化仕上げ処理を施した後に、減圧蒸留して100℃における動粘度が4.0〜4.5mm/sの範囲となる留分を回収して得られた鉱油。100℃動粘度=4.3mm/s、粘度指数=123、−35℃における複素粘度η*=10,000Pa・s、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配|Δη*|=4.80Pa・s/℃、%C=−0.7、%C=23である鉱油。
・基油(5):スラックワックスと重質燃料油を水素化分解して得られたボトム油とを含む原料油(スラックワックス/ボトム油=30/70(質量比))を、水素化異性化脱ろう処理を施し、さらに水素化仕上げ処理を施した後に、減圧蒸留して100℃における動粘度が7.0〜7.5mm/sの範囲となる留分を回収して得られた鉱油。100℃動粘度=7.3mm/s、粘度指数=130、−35℃における複素粘度η*=33,000Pa・s、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配|Δη*|=125Pa・s/℃、%C=−0.2、%C=21.4である鉱油。
<粘度指数向上剤>
・粘度指数向上剤(1):Mnが500以上のマクロモノマーに由来する構成単位を少なくとも有する櫛形ポリマー(Mw=60万、Mw/Mn=2.40、SSI=0.9)。
・粘度指数向上剤(2):Mnが500以上のマクロモノマーに由来する構成単位を少なくとも有する櫛形ポリマー(Mw=39万、Mw/Mn=5.21、SSI=0.3)。
・粘度指数向上剤(3):Mnが500以上のマクロモノマーに由来する構成単位を少なくとも有する櫛形ポリマー(Mw=45万、Mw/Mn=5.5、SSI=13.5)。
・粘度指数向上剤(4):ポリメタクリレート(Mw=40万、Mw/Mn=1.72、SSI=30.7)。
・粘度指数向上剤(5):オレフィンコポリマー(Mw=60、Mw/Mn=1.14、SSI=12.2)。
<モリブデン系摩擦調整剤>
・有機Mo系化合物:アデカサクラルーブ515(株式会社ADEKA製)、モリブデン原子の含有量=10.0質量%、硫黄原子の含有量=11.5質量%。下記式で表される二核ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(式中、Rは、それぞれ独立に、炭素数が8又は13の炭化水素基である)。

(式中、Rは、それぞれ独立に、炭素数が8又は13の炭化水素基である。)
<パッケージ添加剤>
・エンジン油用添加剤パッケージ:API/ILSAC規格、及びSN/GF−5規格に適合した添加剤パッケージであり、以下の各種添加剤を含む。
金属系清浄剤:カルシウムサリチレート
分散剤:高分子ビスイミド、ホウ素変性モノイミド
耐摩耗剤:第1級のZnDTP、及び第2級のZnDTP
酸化防止剤:ジフェニルアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤
金属不活性化剤:ベンゾトリアゾール
消泡剤:シリコーン系消泡剤
実施例1〜6で調製した潤滑油組成物(I)〜(VI)は、NOACK値が10質量%以下であり、低蒸発性に優れると共に、100℃におけるHTHS粘度が低いため、省燃費性に優れる。また、低温粘度特性、摩擦低減効果、及び溶解性も良好であった。
一方、比較例2〜9で調製した潤滑油組成物(ii)〜(ix)は、低蒸発性、省燃費性、低温粘度特性、摩擦低減効果、及び溶解性の1つ以上の特性が劣る結果となった。
なお、比較例1で調製した潤滑油組成物(i)は、配合したモリブデン系摩擦調整剤が多量に析出してしまい、各種物性値を測定することができなかった。
1:摺動機構
2:ブロック
2a:ピストン運動路
2b:クランクシャフト収容部
4:ピストン
6、8:ピストンリング
10:クランクシャフト
12:ライナー

Claims (11)

  1. 回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1%の条件下で計測した、−35℃における複素粘度η*が150Pa・s以下である鉱油(A1)を含む基油(A)と、
    櫛形ポリマー(B1)を含む粘度指数向上剤(B)と、
    モリブデン系摩擦調整剤(C)とを含む、潤滑油組成物であって、
    モリブデン系摩擦調整剤(C)のモリブデン原子換算での含有量が、当該潤滑油組成物の全量基準で、500質量ppm超900質量ppm未満であり、
    NOACK値が10質量%以下である、潤滑油組成物。
  2. 鉱油(A1)の、回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1〜100%の条件下で計測した、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配|Δη*|が、1.0Pa・s/℃以下である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 基油(A)の100℃における動粘度が4〜8mm/sである、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 基油(A)の全量中の鉱油(A1)の含有割合が、70〜100質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  5. 鉱油(A1)が、石油由来のワックスを含む原料油を精製して得られたものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  6. 粘度指数向上剤(B)の全量中の櫛形ポリマー(B1)の含有割合が、80〜100質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  7. 櫛形ポリマー(B1)の含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.1〜3.2質量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  8. 櫛形ポリマー(B1)100質量部に対する、モリブデン系摩擦調整剤(C)のモリブデン原子換算での含有量が、1.0〜10.0質量部である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  9. 100℃における高温高せん断粘度(HTHS粘度)が5.5mPa・s以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  10. ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有し、且つ、請求項1〜9のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を含む、内燃機関。
  11. ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有する内燃機関の潤滑方法であって、当該ピストンリング及びライナーを、請求項1〜9のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を用いて潤滑する、内燃機関の潤滑方法。
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