JP2020152700A - 抗菌剤 - Google Patents

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守啓 北村
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暁子 逸見
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正弘 中之庄
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Abstract

【課題】良好な抗菌性能を示す抗菌剤の提供。【解決手段】カチオン性基含有共重合体を含む抗菌剤であって、該共重合体は、下記一般式で表されるカチオン性基含有単量体由来の構造単位(a)と疎水性単量体由来の構造単位(b)とを有し、該共重合体は、構造単位(a)を36〜99.9質量%含み、該共重合体の重量平均分子量は4000〜100万であり、該疎水性単量体は、単独重合体の溶解性パラメータが15以下である抗菌剤である。式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基を表し、Xは2価の連結基を表し、Y−はアニオン種を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、抗菌剤に関する。例えば、洗浄剤、化粧料、塗料、樹脂、木材防腐剤、セメント混和剤、水処理剤、工業用水、紙パルプ、プラスチック、繊維、食品添加物、医療機器、光学機器、モジュール、電子製品等に有用な抗菌剤に関する。
近年、消費者の清潔志向及び衛生上の観点から、抗菌加工が施された種々のものが市販されている。抗菌加工品に使用される抗菌剤についても種々のものが開発され、カチオン系抗菌剤としてカチオン性基を有するポリマーが検討されている。(特許文献1)
特開2017−214346号公報
上述のように、カチオン性を有するポリマーが開示されているが、従来のポリマーでは抗菌性能が十分でなく、改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、良好な抗菌性能を示す抗菌剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、抗菌剤について種々検討したところ、所定のカチオン性基含有単量体由来の構造単位と特定の疎水性単量体由来の構造単位とを有する重合体が、抗菌性能、例えば黄色ブドウ球菌に対しての抗菌性能が優れることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、カチオン性基含有共重合体を含む抗菌剤であって、該共重合体は、下記一般式(1)で表されるカチオン性基含有単量体由来の構造単位(a)と疎水性単量体由来の構造単位(b)とを有し、該共重合体は、構造単位(a)を36〜99.9質量%含み、該共重合体の重量平均分子量は4000〜100万であり、該疎水性単量体は、該疎水性単量体の単独重合体の溶解性パラメータが15以下である抗菌剤である。
Figure 2020152700

上記一般式(1)においてRは水素原子又はメチル基を表し、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1から24のアルキル基を表し、Xは2価の連結基を表し、Yはアルキル硫酸、アルキルホウ酸、アルキルリン酸から選択される少なくともひとつの化合物から、少なくとも一つのアルキル基もしくはプロトンを除いた構造のアニオン種、又はアルキルスルホン酸エステルからアルキル基を除いた構造のアニオン種、又はアルキルスルホン酸からプロトンを除いた構造のアニオン種を表す。
本発明のカチオン性基含有単量体を有するポリマーは、例えば黄色ブドウ球菌等の菌に対して高い抗菌性を示す。よって、洗浄剤用途、化粧品、化粧料用途、工業用途、電子機器用途等の種々の用途に使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
[本発明の抗菌剤]
〈カチオン性基含有共重合体〉
本発明の抗菌剤は、カチオン性基含有共重合体(以下、「本開示の共重合体」という)を含む。本開示の共重合体は、カチオン性基含有単量体由来の構造単位と疎水性単量体由来の構造単位とを有する共重合体を含む。
〈カチオン性基含有単量体由来の構造単位〉
上記該カチオン性基含有単量体由来の構造単位(以下、「構造単位(a)」ともいう)は下記式(1)で表わされる。
Figure 2020152700
一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1から24のアルキル基を表し、Xは2価の連結基を表し、Yはアルキル硫酸、アルキルホウ酸、アルキルリン酸から選択される少なくともひとつの化合物から、少なくとも一つのアルキル基もしくはプロトンを除いた構造のアニオン種、又はアルキルスルホン酸エステルからアルキル基を除いた構造のアニオン種、又はアルキルスルホン酸からプロトンを除いた構造のアニオン種である。
上記R、R及びRにおけるアルキル基としては、それぞれ独立に、直鎖構造、分岐構造又は環状構造等を有していても良く、置換基を有していても良い。置換基としては、水酸基、メトキシ基、アリール基、複素環基、アミノ基、アミド基、アシル基、ハロゲン原子、等が例示され、2つ以上有していても良い。上記置換基は、さらに置換基を有していても良い。上記アルキル基の炭素数としては、それぞれ独立に、1以上、24以下であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、更に好ましくは1〜5であり、特に好ましくは1〜3である。アルキル基が置換基を有する場合には、置換基を含めた炭素数が上記範囲であることが好ましい。
一般式(1)におけるYは、アルキル硫酸、アルキルホウ酸、アルキルリン酸から選択される少なくともひとつの化合物から、少なくとも一つのアルキル基もしくはプロトンを除いた構造のアニオン種、又はアルキルスルホン酸エステルからアルキル基を除いた構造のアニオン種、又はアルキルスルホン酸からプロトンを除いた構造のアニオン種である。上記化合物はアミノ基を4級化出来る化合物もしくは塩基を中和できる化合物であり、本発明では4級化剤もしくは中和剤ともいう。本発明の抗菌剤の抗菌性が特に向上する観点から、Yは、アルキル硫酸、又はアルキルスルホン酸エステルから誘導されるアニオン種であることが好ましく、上記アニオン種としてはジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メタンスルホン酸メチルから少なくとも一つのアルキル基を除いた構造であることが特に好ましい。上記Yとしては、CHOSO 、CHCHOSO 、CHSO であることが特に好ましい。
一般式(1)におけるXは、2価の連結基であり、特に制限は無く、直鎖構造、環状構造等が含まれていても良い。上記Xは、炭素数が1以上の基であっても良く、2以上の基であっても良い。また、炭素数が24以下の基であっても良く、12以下の基であっても良い。上記Xは、例えばエーテル結合、エステル結合、アミド結合から選択される1以上の構造を含むことが好ましい。上記Xは、例えば水酸基、メトキシ基、アリール基、複素環基、アミノ基、アミド基、アシル基、ハロゲン原子、等を有していても良く、これらを2つ以上有していても良い。上記Xは、−C(=O)−O−R−、−C(=O)−N−R−、−CH−、のいずれかで表される構造であることが好ましい。上記Rとしては、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCH(−CH)−等のアルキレン基;ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖等のポリアルキレングリコール鎖;等が例示される。上記Rの炭素数は、上記Xが上記の炭素数の範囲になるように設定されることが好ましく、上記ポリアルキレングリコール鎖は、繰り返し単位が1〜100のものが好ましい。
上記カチオン性基含有単量体由来の構造単位は、例えば、カチオン性基含有単量体を重合することにより形成することが好ましいが、例えば対応するアミノ基含有単量体を重合した後に、4級化することにより形成しても良く、これらに限定されない。上記カチオン性基含有単量体として、具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノ(メタ)アクリレート、及びこれらに4級化剤を付加させたモノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド類及びこれらに4級化剤を付加させたモノマー、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル等のモノアルキルアミノ(メタ)アクリレート類及びこれらに4級化剤を付加させたモノマー、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のモノアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド類及びこれらに4級化剤を付加させたモノマー、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル等の(メタ)アクリル酸とアルカノールアミンとのエステル類及びこれらに4級化剤を付加させたモノマー、N,N−ジアリルメチルアミン及びこれらに4級化剤を付加させたモノマー、アリルアミン及びこれらに4級化剤を付加させたモノマー、1−アリルオキシ−3−ジブチルアミノ−2−オール、1−アリルオキシ−3−ジエタノールアミノ−2−オール等の炭素数2〜8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体と炭素数1〜24のアミン化合物との付加反応物及びこれらに4級化剤を付加させたモノマー等が挙げられる。
〈疎水性単量体由来の構造単位〉
本開示において、疎水性単量体由来の構造単位とは、疎水性単量体が重合して形成される構造と同じ構造の構造単位を表す。すなわち、疎水性単量体由来の構造単位は、実際に疎水性単量体を重合して形成された構造単位に限定されず、同じ構造を有せば、別の製法により形成された構造単位であっても疎水性単量体由来の構造単位に含まれる。例えば、アクリル酸メチル、CH2=CH(−COOCH)、に由来する構造単位は、−CH2−CH(−COOCH)−、で表すことができる。
上記疎水性単量体は、単独重合を行って得られた単独重合体(ホモポリマー)に対する溶解性パラメータが15以下であることが好ましい。なお、溶解性パラメータが15以下であっても、カチオン性基を有し、第4級アンモニウム塩基を含むものについてはカチオン性基含有単量体に含むものとする。
本開示において、溶解性パラメータは「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE」(1974年、Vol.14、No2)147〜154ページに記載の方法によって計算される値である。
以下にその方法を概説する。単独重合体の溶解性パラメータ(δ)(cal/cm3)1/2 は、該単独重合体を形成している構成単位の蒸発エネルギー(Δei)及びモル体積(Δvi)に基づいて、下記の計算方法により算出される。
δ=(Δei/Δvi)1/2 (cal/cm1/2
疎水性単量体を単独で重合した際に得られた単独重合体の溶解性パラメータが15以下であれば、本発明の共重合体における疎水性が充分なものとなり、細菌の細胞膜に対する親和性が向上し、細胞膜の生理活性を阻害することで、抗菌性能に優れる。
上記疎水性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸と置換基を有していてもよいアルコールとのエステル((メタ)アクリレート)類(以下、(メタ)アクリル酸エステルともいう);(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α―アリルオキシアクリル酸及びこれらの塩等の不飽和モノカルボン酸類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体;エチレン、プロピレン等のオレフィン系単量体;酢酸ビニル等の不飽和アルコールとカルボン酸とのエステル;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;1−アリルオキシ−3−ブトキシプロパン−2−オール等の炭素数2〜8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体と炭素数1〜20のアルコールとの付加反応物;アリルアルコールのエチレンオキシド付加物、メタリルアルコールのエチレンオキシド付加物、イソプレノールのエチレンオキシド付加物等の炭素数2〜20の不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物及びそれらの末端疎水変性物;N−ビニルピロリドン等の環状ビニル系単量体が挙げられる。上記疎水性単量体としては、炭素数が2以上のアルキル基を有するものが好ましい。疎水性単量体が、炭素数2以上のアルキル基を有することにより、微生物の細胞膜との親和性が増し、抗菌性がより向上する。
上記不飽和モノカルボン酸の塩としては、金属塩が挙げられる。上記金属塩の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が挙げられる。
上記(メタ)アクリレートにおける置換基としては、水酸基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜18のアルコキシ基;オキシアルキレン基、スルホン酸基、リン酸基等のオキソ基含有基;フルオロ基等のハロゲノ基;グリシジル基等のエポキシ基;アルデヒド基等のカルボニル基等が挙げられる。
上記のような置換基を有しないアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1〜18の水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリプロポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
オキソ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート等の(ジ)エチレングリコール(メトキシ)(メタ)アクリレート;アルコキシポリエチレングリコールメタクリレート(アントックスLMA−10)等のアルキレングリコールの繰り返し数が1〜100のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;スルホプロピル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
フルオロ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が2〜6のフルオロ基含有アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等が挙げられる。
カルボニル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、アセトニル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートアセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−アクリレートアセチルアセテート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシアルキルプロペナール等が挙げられる。
本開示の共重合体は、疎水性単量体由来の構造単位(b)として、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位(以下、構造単位(b1))を含むことが好ましい。上記(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位としては、下記式(2);
Figure 2020152700
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
で表わされる構造単位であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル、および上記(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位としては、炭化水素基の炭素原子数が1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜16であり、更に好ましくは1〜12であり、特に好ましくは2〜8である。上記炭化水素基の炭素数が2〜8であれば、重合体の水溶性、粘度を好適な範囲とすることができ、重合体の製造も容易である。さらに安全性にすぐれ抗菌性がより向上する。
上記炭化水素基としては、特に制限されず、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の鎖状炭化水素基、芳香族炭化水素基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の環状炭化水素基が挙げられる。上記炭化水素基は、分岐を有していてもよく、分岐を有する場合の炭化水素基の炭素数は、主鎖及び分岐鎖の合計の炭素数を意味する。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルへキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基、イコシル基等が挙げられる。上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。上記アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ドデシニル基、オクタデシニル基、イコシニル基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o−キシリル基等が挙げられる。上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。上記シクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。上記炭化水素基として、好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、より好ましくはアルキル基である。すなわち上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル(メタ)アクリレート)が好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとして好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。特に好ましくは、エチル(メタ)アクリレートである。
<その他の成分>
本開示の共重合体は、上記カチオン性基含有単量体及び疎水性単量体以外のその他の単量体由来の構造単位を有していてもよい。その他の単量体としては、特に制限されず、その他の単量体の単独重合体での溶解性パラメータは、15以下であっても、15を超えるものであってもよい。その他の単量体の溶解性パラメータが15以下であっても、15を超えるものであっても、上記疎水性単量体を好ましい割合で重合している限り、共重合体としての疎水性は充分に維持されることとなる。また、粘度を調整する観点から溶解性パラメータの値にかかわらずエチレン性不飽和基を2個以上有する単量体が含まれていてもよい。エチレン性不飽和基を2個以上有する単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、サッカロース、ソルビトール、1,4−ブタンジオール等のポリオールの2置換以上の水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステル類;上記ポリオールの2置換以上のメタクリル酸エステル類;上記ポリオールの2置換以上の水酸基とアリルアルコール、ビニルアルコール等の不飽和アルコールとのエーテル類;フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、メタクリル酸アリル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、アジピン酸ジビニル、クロトン酸ビニル、1,5−ヘキサジエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらのその他の単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。抗菌性を向上させる観点から、本発明の共重合体はその他の単量体として重合性金属塩を共重合していてもよい。重合性金属塩としてはアクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、α―アリルオキシアクリル酸亜鉛等の不飽和カルボン酸の重金属塩が挙げられる。
〈分子量〉
本発明の抗菌剤が含むカチオン性基含有共重合体の重量平均分子量は、4000〜100万であることが好ましい。カチオン性基含有共重合体の重量平均分子量がこのような範囲であれば、抗菌剤を使用する素材に対する抗菌剤の吸着性が向上する傾向にあるため、洗浄した際に洗い流されることを抑制し、上記素材に対する抗菌作用が向上する傾向にある。上記重量平均分子量として好ましくは4000〜80万であり、より好ましくは5000〜60万であり、更に好ましくは6000〜40万であり、一層好ましくは7000〜20万であり、更に一層好ましくは7000〜10万であり、特に好ましくは7000〜8万である。カチオン性基含有共重合体の重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〈組成〉
本開示の共重合体は、共重合体を形成する構造単位の総量100質量%に対して、カチオン性基含有単量体由来の構造単位(a)を36〜99.9質量%の割合で有する。好ましくは40〜99質量%、より好ましくは45〜98質量%であり、更に好ましくは50〜97質量%であり、一層好ましくは55〜96質量%であり、特に好ましくは60〜95質量%であり、最も好ましくは60〜94質量%である。
本発明のカチオン性基含有共重合体は、共重合体を形成する構造単位の総量100質量%に対して、疎水性単量体由来の構造単位(b)を0.01〜64質量%の割合で有することが好ましい。より好ましくは0.05〜60質量%、更に好ましくは0.1〜50質量%であり、一層好ましくは0.5〜48質量%であり、更に一層好ましくは1〜45質量%であり、特に好ましくは3〜40質量%であり、最も好ましくは5〜30質量%である。
本開示の共重合体は、共重合体における疎水性単量体由来の構造単位の含有割合が、共重合体におけるカチオン性基含有単量体由来の構造単位100質量%に対して、0.1〜200質量%であることが好ましい。より好ましくは0.5〜160質量%、更に好ましくは1〜80質量%であり、一層好ましくは2〜70質量%であり、更に一層好ましくは4〜60質量%であり、特に好ましくは5〜55質量%でる。本発明の共重合体における疎水性単量体由来の構造単位の含有割合がこのような範囲であれば、上記共重合体の抗菌性能が向上する傾向にある。
本開示の共重合体の疎水性単量体由来の構造単位として(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位(b1)を有する場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位の割合は、共重合体を形成する構造単位の総量100質量%に対して、0.01〜49質量%であることが好ましい。より好ましくは1〜45質量%、更に好ましくは3〜40質量%である。
本開示の共重合体は、共重合体を形成する構造単位の総量100質量%に対して、その他の単量体由来の構造単位の含有割合が、0〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0〜8質量%、更に好ましくは0〜5質量%である。その他の単量体の中でもエチレン性不飽和基を2個以上有する単量体由来の構造単位の含有割合は、共重合体を形成する構造単位の総量100質量%に対して0〜1%であることが好ましく、より好ましくは、0〜0.5質量%、更に好ましくは0〜0.1質量%である。
〈本開示の共重合体の製法〉
本発明の共重合体の製造は特に制限されないが、単量体成分を重合する工程(以下、「重合工程」ともいう)を含むことにより製造することができ、単量体成分の具体例及び好ましい例は、上述のとおりである。
上記共重合体は、上記単量体成分を重合開始剤の存在下で重合する方法により製造することが好ましい。すなわち、上記重合工程は重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。単量体成分を重合させる際には、重合方法に応じて重合開始剤を適宜用いることができる。上記重合開始剤としては、通常用いられるものを使用することができ、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤のうち、アゾ系化合物が好ましい。上記重合開始剤としては、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記重合開始剤の使用量は、上記単量体成分の重合を開始できる量であれば特に制限されないが、全単量体成分100質量部に対して、通常0.01〜50質量部であり、好ましくは0.05〜30質量部、より好ましくは0.05〜20質量部であることが好ましい。
本発明で用いるカチオン性基含有単量体の使用方法としては、4級化剤により4級化した4級アンモニウム塩として用いてもよい。カチオン性基含有単量体の4級化剤としては、上述のとおりである。4級化剤の使用量はカチオン性基含有単量体1モルに対して、0.1〜1モルであることが好ましい。
カチオン性基含有単量体の4級化の方法については、本発明の共重合体を重合させた後に、4級化剤を加えることによる後添加の方法も好ましい。4級化剤の使用量はカチオン性基含有単量体1モルに対して、0.1〜1モルであることが好ましい。
上記重合方法あるいは重合工程において、単量体成分や重合開始剤等の反応容器への添加方法としては、反応容器に単量体成分の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体成分の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に連続してあるいは段階的に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法;反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体成分と重合開始剤の全量を添加する方法;単量体のうちの一(例えば、カチオン性基含有単量体)の一部を反応容器に仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法等が好適である。このような方法の中でも、得られる共重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができうることから、重合開始剤と単量体成分を反応容器に逐次滴下する方法で共重合を行うことが好ましい。
上記共重合方法としては、例えば、溶液重合やバルク重合、懸濁重合、乳化重合、リビング重合やグラフト重合等の方法で行うことができ、特に限定されるものではないが、溶液重合が好ましい。この際使用できる溶媒は、水単独もしくは水と溶剤との混合溶媒であることが好ましい。水のみを使用する場合には、脱溶剤工程を省略できる点で好適である。
上記重合方法あるいは重合工程は、回分式でも連続式でも行うことができる。また、共重合の際、必要に応じて使用される溶媒としては、公知のものを使用でき、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、THF(テトラヒドロフラン)等の1価のアルコール類;グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の芳香族又は脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、単量体成分及び得られる共重合体の溶解性の点から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールからなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を用いることが好ましい。上記溶媒は、比較的安価なものであり、本発明の製造方法は、経済的にも優れる。また、上記共重合方法においては、水にプロピレングリコールやエチレングリコール等の多価アルコール溶媒を加えて重合してもよい。上記多価アルコール溶媒は水と併用することによって、ポリマーの溶解性を高めることができ、ソープフリー重合をより充分に抑制することができる。これにより、水溶性に乏しいポリマーの生成をより充分に抑制し、溶液の透明性をより向上させることができる。上記多価アルコール溶媒と水とを併用する場合、水100質量%に対する多価アルコール溶媒の割合は、0〜200質量%であることが好ましい。本発明の共重合体の製造方法は、必要に応じて、任意の連鎖移動剤、pH調節剤、緩衝剤などを用いることができる。得られたポリマーは水に任意に溶解するもの、もしくは任意に分散するものどちらでもよいが、水に任意に溶解するものが特に好ましい。
上記重合の際の温度は特に限定されないが、通常50〜120℃であり、好ましくは60〜110℃である。重合時の温度が上記範囲であれば、残存単量体成分が少なくなる傾向にある。なお、重合時の温度は、重合反応の進行中において、常に一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間又は昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応の進行中に経時的に重合温度を変動(昇温又は降温)させてもよい。また、単量体成分を重合させる際には、単量体成分が均一に重合するようにするために、適宜、撹拌することが好ましい。
上記重合における重合時間は特に制限されず、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2〜9時間程度である。なお、本発明において、「重合時間」とは単量体の滴下前の加熱撹拌を行っている時間、単量体を添加している時間及び単量体の滴下後の熟成時間を表す。
上記重合における反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよく、これらを組み合わせても良い。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でも不活性雰囲気でもどちらでもよい。
上記重合反応系における重合反応が終了した時点での水溶液中の固形分濃度(すなわち単量体の重合固形分濃度)は、20質量%以上が好ましく、25〜80質量%であることがより好ましい。このように重合反応終了時の固形分濃度が20質量%以上と高ければ、高濃度かつ一段で重合を行うことができる。そのため、従来の製造方法では場合によっては必要であった濃縮工程を省略することができるなど、効率よく共重合体を含む抗菌剤を得ることができる。それゆえ、その製造効率を大幅に上昇させたものとすることができ、その結果、本発明の抗菌剤の生産性を大幅に向上し、製造コストの上昇も抑制することが可能となる。
本発明の共重合体の製造方法は、全ての使用原料の添加が終了した以後に、単量体の重合率を上げること等を目的として熟成工程を設けても良い。熟成時間は、通常1〜240分間、好ましくは1〜180分間、より好ましくは1〜120分間である。熟成時間が1分間未満の場合には、熟成不十分につき単量体成分が残ることがあり、残存単量体に起因する毒性や臭気などが問題となる。
また、熟成工程における好ましい重合体溶液の温度は、上記重合温度と同様の範囲である。したがって、ここでの温度も一定温度(好ましくは上記滴下が終了した時点での温度)で保持してもよいし、熟成中に経時的に温度を変化させてもよい。
本開示の共重合体の製法は、上記の重合工程に加え、必要に応じてその他の任意の工程を含んでいても良い。上記任意の工程として、熟成工程、濃縮工程、精製工程、乾燥工程、希釈工程等が例示される。
<本発明の抗菌剤の組成>
本発明の抗菌剤は、本開示の共重合体を必須成分として含む。本発明の抗菌剤は、本開示の共重合体を、例えば0.001質量%以上、100%以下含むことが好ましい。本発明の抗菌剤は、本開示の共重合体以外のその他の成分を含んでいても良い。上記その他の成分としては、特に制限されないが、例えば、アルカリ調整剤、界面活性剤、相溶化剤や安定化剤等の添加剤が挙げられる。
また本発明の抗菌剤は、抗菌性を向上させる観点から、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物などを含んでいても良い。金属塩、金属酸化物、金属水酸化物の金属としては、銅、亜鉛、銀などの重金属が好ましい。上記その他の成分の含有量は、抗菌剤の抗菌性能を阻害しなければ特に制限されないが、上記共重合体100質量%に対して、0〜20%であることが好ましい。
また本発明の抗菌剤は、任意の適切な他の抗菌性物質を含んでいても良い。このような抗菌性物質としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のヒドロキシ安息香酸およびその塩若しくはそのエステル;サリチル酸;安息香酸ナトリウム;フェノキシエタノール;1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等の1,2−ジオール;メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン等のイソチアゾリンオン誘導体;イミダゾリニウムウレア;デヒドロ酢酸およびその塩;フェノール類;トリクロサン等のハロゲン化ビスフェノール類、酸アミド類、四級アンモニウム塩類;トリクロロカルバニド、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ハロカルバン、ヘキサクロロフェン、ヒノキチオール;フェノール、イソプロピルフェノール、クレゾール、チモール、パラクロロフェノール、フェニルフェノール、フェニルフェノールナトリウム等のその他フェノール類;フェニルエチルアルコール、感光素類、抗菌性ゼオライト、銀イオン;などが挙げられる。
上記その他の抗菌性物質の含有量は、特に制限されないが、上記共重合体100質量%に対して、0〜20%であることが好ましい。
<本発明の抗菌剤の性能>
本発明の抗菌剤は、抗菌性能を有する。抗菌性能とは、殺菌(特定の細菌を死滅させる)、制菌(細菌の繁殖を抑える)、滅菌(すべての細菌を死滅させる)、消毒(細菌の活動を弱める)、除菌(細菌を取り除く)などの性能を表す。本発明の抗菌剤の適応対象となるのは、例えば、細菌、真菌である。細菌としては、大腸菌、緑膿菌、サルモネラ菌、モラクセラ菌、レジオネラ菌のグラム陰性菌;黄色ブドウ球菌、クロストリジウム属細菌等のグラム陽性菌が挙げられる。真菌としては、カンジダ菌、ロドトルラ、パン酵母等の酵母類;赤カビ、黒カビ等のカビ類が挙げられる。
本発明の抗菌剤は含有するカチオン性基含有単量体が第4級アンモニウム塩基を含有しているため、細胞壁がペプチドで構成されているグラム陽性菌の表面により吸着しやすく、グラム陽性菌に対する抗菌効果が顕著である。例えば黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果に優れる。
なお、特に限定はされないが、抗菌性が発揮される理由は以下のように推定される。本発明の抗菌剤を細菌に作用させると、必須成分である本開示の共重合体が有するカチオン性基部分がマイナスの電荷を有する細菌の外壁に吸着する。共重合体が有する疎水性基部分は、脂質で構成される細胞膜部分と親和性を持ち、細胞膜に結合するタンパク質の機能を阻害することで、細胞が破壊され、生理活性が阻害され細菌が死滅すると考えられる。
<抗菌剤の製法>
本発明の抗菌剤は、公知の方法によって製造される。例えば、本発明の抗菌剤に含まれる本開示の共重合体を上述の方法によって製造し、その他成分を適宜混合することで、製造される。
その他の成分としては水溶性物質が好適に用いられるが、非水溶性物質との混合であっても乳化剤などの相溶化剤を使用することによって適宜製造できる。
[本発明の抗菌方法]
本発明の抗菌方法は、本発明の抗菌剤を用いた抗菌方法であって、抗菌すべき対象物に本発明の抗菌剤を接触させる工程を含むことが好ましい。すなわち、本発明の抗菌方法は、抗菌すべき対象物に、本発明の抗菌剤を接触させることによって、抗菌効果を発現させる。上記接触させる形態としては、対象物に本発明の抗菌剤を添加したり、塗布したり、噴霧したり、対象物を本発明の抗菌剤に含浸させたりすることが例示される。
[本発明の抗菌剤の用途]
上記対象物としては、特に制限は無い。
例えば、洗濯洗浄剤、柔軟剤、住居用洗剤、食器洗浄剤、硬質表面用洗浄剤等の洗浄剤用途;シャンプー、リンス、化粧水、乳液、クリーム、日焼け止め、ファンデーション、アイメイク製品等の化粧品、制汗剤等の化粧料用途;塗料、木材防腐剤、セメント混和剤、工業用水(製紙工程における抄紙工程水、各種工業用の冷却水や洗浄水)等の工業用途;医療器具、食品添加物、太陽電池モジュールや有機素子デバイス、熱線遮蔽フィルムなどの電子機器用途などに好適に用いることが出来る。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみ
に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)>
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定条件、装置などは以下の通りである。
装置:東ソー社製 EcoSEC HLC−8320PC
GPCソフト:東ソー社製 EcoSEC−WS
検出器:示差屈折率計(RI)検出器
カラム:東ソー社製 TSKgel α−M、α−2500
カラム温度:40℃
流速:0.8mL/min
注入量:10μL(試料濃度0.4wt%の溶離液調製溶液)
検量線:ジーエルサイエンス社製 ポリエチレングリコール
溶離液:0.5M酢酸+0.2M硝酸Na/ アセトニトリル=50/50(v/v)
<最少発育阻止濃度(MIC)>
抗菌剤を含む溶液をミューラーヒントン培地中で2倍ずつ順次希釈していき、抗菌剤含有培地の希釈系列を調整した。その後、各濃度の抗菌剤を含有する培地をポリスチレン製96穴プレートに50μLずつ添加した。次に18時間ミューラーヒントン寒天培地上で生育させた黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus,NBRC−13276)のコロニーをバターフィールド緩衝液に懸濁し、10×10個/mL程度の菌液を調整した。調整した菌液をミューラーヒントン培地中で10×10個/mL程度まで希釈し、上記で調整した希釈系列に対して50μLずつ添加した。35℃にて20時間静置後、菌が生育していない培地中の最少の抗菌剤濃度(ppm)を最少発育阻止濃度(MIC)として決定した。菌の生育の有無は、目視にて濁度が上昇しているかによって判断した。
〈合成例1〉
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、プロピレングリコール70.0gを仕込み、攪拌下、80℃に昇温した。
次いで、攪拌下、重合反応系中に、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(N,N−ジメチルアミノエチルメタクレート)(和光純薬工業(株)製、以下DAMと称す。)72.0g、メタクリル酸エチル(以下、EMAと称す。)18.0g、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)製、以下VA044と称す)5%水溶液37.0gからなる開始剤水溶液をそれぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下開始時間に関して、それぞれ同時に滴下を開始し、DAMとEMAは180分間、開始剤水溶液は240分間滴下した。全滴下終了後、さらに30分間反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結させ、共重合体1を得た。得られた共重合体1の固形分は、34,7wt%、重量平均分子量は38,500であった。
温度計、還流冷却器、攪拌子を備えた20mLフラスコに共重合体1を1.0g秤量し、攪拌下、60℃に昇温した。そこへ、メタンスルホン酸メチル(東京化成製)0.23gを窒素雰囲気下で徐々に滴下した。液温の下降と共に、ポリマーの曇天が現れるが、次第に透明な溶液になった。得られた共重合体中和物の固形分は、27.9%、重量平均分子量は38,900であった。
〈合成例2〉
メタンスルホン酸メチル0.23gの代わりにジエチル硫酸(東京化成製)0.185gを使用した以外は、合成例1と同様に操作した。得られた共重合体1中和物の固形分は、30.5%、重量平均分子量は38,800であった。
〈合成例3〉
メタンスルホン酸メチルの代わりにジエチル硫酸(東京化成製)0.09gを使用した以外は、合成例1と同様に操作した。得られた共重合体1中和物の固形分は、29.3%、重量平均分子量は38,600であった。
〈合成例4〉
DAM 58.5g、EMA 31.5gを使用した以外は合成例1と同様に重合した。
得られた共重合体2の固形分は、29.9wt%、重量平均分子量は38,400であった。
メタンスルホン酸メチルの代わりにジエチル硫酸(東京化成製)を使用した以外は合成例1と同様に中和を行い、得られた共重合体2中和物の固形分は、29.6%重量平均分子量は38,600であった。
〈合成例5〉
DAM 36.0g、EMA54.0gを使用し、仕込みの溶媒をメチルエチルケトンに変更した以外は、合成例1と同様に重合し共重合体3を得た。
得られた共重合体3の固形分は25.5wt%、重量平均分子量は 28,900であった。
合成例と同様に中和を行い、得られた共重合体3中和物の固形分は、21.3%、重量平均分子量は29,000であった。
〈合成例6〉
メタンスルホン酸メチルの代わりにジメチル硫酸(東京化成製)0.24gを使用した以外は、合成例1と同様に操作した。得られた共重合体1中和物の固形分は、31.4%、重量平均分子量は38,700であった。
〈比較合成例1〉
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、プロピレングリコール70.0gを仕込み、攪拌下、80℃に昇温した。次いで、攪拌下、重合反応系中に、DAM72.0gと塩酸35−37wt%46.4gを予め混合しておいた[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチルアンモニウム塩酸塩、メタクリル酸エチル(以下、EMAと称す。)18.0g、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)製、以下VA044と称す)5%水溶液40.7gからなる開始剤水溶液をそれぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下開始時間に関して、それぞれ同時に滴下を開始し、DAMとEMAは180分間、開始剤水溶液は240分間滴下した。全的か終了後、さらに30分間反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結させ、共重合体4を得た。得られた共重合体4の固形分は、25.0wt%、重量平均分子量は33,000であった。
〈比較合成例2〉
[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチルアンモニウム塩酸塩の代わりに、DAM72.0gと酢酸27.5gを予め混合しておいた[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチルアンモニウム酢酸塩を使用した以外は、比較合成例1と同様に重合した。得られた共重合体5の固形分は、33.1wt%、重量平均分子量は38,400であった。
〈比較合成例3〉
中和において、ジエチル硫酸の代わりに塩酸35−37wt%(富士フィルム和光純薬製)46.4gを使用した以外は合成例4と同様に重合を行った。得られた共重合体2中和物の固形分は、23.4%、重量平均分子量は38,400であった。
〈比較合成例4〉
中和において、ジエチル硫酸の代わりに塩酸35−37wt%(富士フィルム和光純薬製)46.4gを使用した以外は合成例5と同様に重合を行った。得られた共重合体3中和物の固形分は、24.4%、重量平均分子量は28,900であった。
〈比較合成例5〉
[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチルアンモニウム塩酸塩の代わりに、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド 溶液 75%水溶液96.0gを使用した以外は、比較合成例1と同様に重合した。得られた共重合体6の固形分は、29.6wt%、重量平均分子量は27,400であった。
〈実施例1〜6及び比較例1〜5〉
合成例1〜6及び、比較合成例1〜5で得られた共重合物及び化合物について、MICを評価し、結果を表1に示した。
Figure 2020152700
上記より本発明の抗菌剤は、従来のポリマー抗菌剤と比較して、高い抗菌性能を有することが明らかとなった。

Claims (5)

  1. カチオン性基含有共重合体を含む抗菌剤であって、該共重合体は、下記一般式(1)で表されるカチオン性基含有単量体由来の構造単位(a)と疎水性単量体由来の構造単位(b)とを有し、該共重合体は、構造単位(a)を36〜99.9質量%含み、該共重合体の重量平均分子量は4000〜100万であり、該疎水性単量体は、該疎水性単量体の単独重合体の溶解性パラメータが15以下である抗菌剤。
    Figure 2020152700
    [式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基を表し、Xは2価の連結基を表し、Yはアルキル硫酸、アルキルホウ酸、アルキルリン酸から選択される少なくともひとつの化合物から、少なくとも一つのアルキル基もしくはプロトンを除いた構造のアニオン種、又はアルキルスルホン酸エステルからアルキル基を除いた構造のアニオン種、又はアルキルスルホン酸からプロトンを除いた構造のアニオン種を表す]
  2. 前記カチオン性基含有単量体由来の構造単位が、N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレート由来の構造単位である請求項1に記載の抗菌剤。
  3. 前記疎水性単量体が少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の抗菌剤。
  4. 前記(メタ)アクリル酸エステルがメタアクリル酸エチルである請求項1から3に記載の抗菌剤。
  5. 前記対アニオン種がアルキル硫酸である請求項1から4に記載の抗菌剤。
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