JP2020138995A - ベンゾオキサジン化合物、ベンゾオキサジン化合物を含む熱硬化性材料および熱硬化性材料の硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温硬化性に優れるベンゾオキサジン化合物を含む熱硬化性材料を提供できる【解決手段】熱硬化性材料は、5−位に求核性の第1置換基を有するベンゾオキサジン化合物を含む。ベンゾオキサジン化合物は、3−位の窒素原子に求核性の第2置換基を有していてもよい。熱硬化性材料は、重合触媒および/または電子供与性の置換基を有する芳香族化合物を含んでもよい。【選択図】なし
Description
本発明は、ベンゾオキサジン化合物を含む熱硬化性材料およびその硬化物、ならびにベンゾオキサジン化合物に関する。
ベンゾオキサジン化合物は、熱の作用によるオキサジン環の開環重合により硬化する。得られる硬化物は、ガラス転移点(Tg)、耐熱性、難燃性、および寸法安定性が高く、誘電率、吸水率などが低いなど、優れた特性を有する。そのため、ベンゾオキサジン化合物は、熱硬化性材料として様々な用途への利用が検討されている。
しかし、ベンゾオキサジン化合物は、硬化性が低いため、様々な硬化剤や硬化触媒を用いることが検討されている(特許文献1〜4)。また、硬化温度を低減する観点から、オキサジン環を構成する窒素原子に求核性基を有するベンゾオキサジン化合物を用いることが検討されている(非特許文献1〜2)。
R.Kudoh,A.Sudo,T.Endo,Macromolecules,43,1185(2010)
A.Sudo,R.Kudoh,T.Endo,J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.,49,1724(2011)
ベンゾオキサジン化合物は、硬化性が低いため、高温(例えば、200℃を超える温度)下で硬化させる必要があり、硬化性材料として取り扱い難い。特許文献1〜4のように触媒を用いて硬化を促進させても、ベンゾオキサジン化合物の種類によっては低温で硬化を行うことは難しい。また、非特許文献1〜2のようにオキサジン環の窒素原子に求核性の置換基を導入しても、未だ硬化を低温で行うことは難しい。
本発明の一側面は、5−位に求核性の第1置換基を有するベンゾオキサジン化合物を含む、熱硬化性材料に関する。
本発明の他の側面は、上記熱硬化性材料の硬化物に関する。
本発明のさらに他の側面は、5−位に一価の求核性の第1置換基を有するベンゾオキサジン化合物に関する。
低温硬化性に優れるベンゾオキサジン化合物またはそれを含む熱硬化性材料、および熱硬化性材料の硬化物を提供できる。
熱硬化性材料に用いられるベンゾオキサジン化合物としては、ビスフェノール骨格を有する二官能のベンゾオキサジン化合物が一般的である。このようなベンゾオキサジン化合物の硬化温度は、200℃を超える(例えば、特許文献1の比較例1、小西化学工業(株)、ベンゾオキサジンの技術資料http://www.konishi-chem.co.jp/technology/Benzoxazine.pdf参照)。なお、示差走査熱量計(DSC)により測定される、ベンゾオキサジン化合物を含む熱硬化性材料の硬化時の発熱ピーク温度を硬化温度とする。
硬化剤や硬化触媒を用いると、オキサジン環の開環反応が促進されたり、開環により生成する中間体が安定化したりする。これにより、比較的低温で硬化反応を進行させることができ、硬化温度を200℃以下に低減することも可能である。しかし、ベンゾオキサジン化合物の種類によっては未だ低温で硬化させることは難しい。非特許文献1または非特許文献2では、ベンゾオキサジン化合物のオキサジン環を構成する窒素原子にヒドロキシエチル基またはカルボキシエチル基などの求核性基を導入することで、硬化温度を低減することが提案されている。このような構造のベンゾオキサジン化合物でも、硬化温度の低減効果は未だ不十分である。
本発明の上記側面によれば、5−位に求核性の第1置換基を有するベンゾオキサジン化合物を用いる。このようなベンゾオキサジン化合物では、オキサジン環の開環により形成されるカルボカチオンに第1置換基が求核攻撃することによりエネルギー的に安定な中間体(換言すれば、ポリマーの前駆体)が形成される。ベンゾオキサジン化合物の開環反応と開環物の閉環反応とは可逆的に進行する。そのため、エネルギー的に安定な中間体が生成すると、平衡が中間体側に傾き、中間体が多く生成する。これにより、中間体からポリマーが生成し易くなるため、比較的低い温度でも硬化反応を進行させることができ、従来のベンゾオキサジン化合物に比べて優れた低温硬化性が得られる。このようなベンゾオキサジン化合物を用いることで、200℃以下の温度でも硬化反応を進行させることができる。
本発明には、上記のベンゾオキサジン化合物を含む熱硬化性材料およびその硬化物も包含される。
以下、ベンゾオキサジン化合物、熱硬化性材料、および熱硬化性材料の硬化物について、より具体的に説明する。
[ベンゾオキサジン化合物]
ベンゾオキサジン化合物が有するベンゾオキサジン環は、オキサジン環(具体的には、1,3−オキサジン環)にベンゼン環が縮合した構造を有している。ベンゾオキサジン環は、1−位が酸素原子および3−位が窒素原子であり、酸素原子に対して5−位の炭素原子に求核性の第1置換基を有している。このような位置に第1置換基が存在することで、優れた低温硬化性が得られる。第1置換基は、4−位および/または6−位に位置する置換基とともに環を構成していてもよいが、カルボカチオンに対して求核攻撃し易い観点からは、このような環を構成するものではなく、一価の置換基であることが好ましい。ベンゾオキサジン化合物は、3−位の窒素原子に第2置換基を有していてもよい。
ベンゾオキサジン化合物が有するベンゾオキサジン環は、オキサジン環(具体的には、1,3−オキサジン環)にベンゼン環が縮合した構造を有している。ベンゾオキサジン環は、1−位が酸素原子および3−位が窒素原子であり、酸素原子に対して5−位の炭素原子に求核性の第1置換基を有している。このような位置に第1置換基が存在することで、優れた低温硬化性が得られる。第1置換基は、4−位および/または6−位に位置する置換基とともに環を構成していてもよいが、カルボカチオンに対して求核攻撃し易い観点からは、このような環を構成するものではなく、一価の置換基であることが好ましい。ベンゾオキサジン化合物は、3−位の窒素原子に第2置換基を有していてもよい。
ベンゾオキサジン化合物は、1分子内に、ベンゾオキサジン環(または骨格)を2つ以上(例えば、2つ)有するものであってもよいが、より高い低温硬化性を確保し易い観点からは、1つ有するものであることが好ましい。
ベンゾオキサジン化合物が2つ以上のベンゾオキサジン環を有する場合、各ベンゾオキサジン環は、例えば、直接結合により連結されていてもよく、連結基(第1連結基)を介して連結されていてもよい。第1連結基は、ベンゾオキサジン環のオキサジン環に結合していてもよいが、開環反応の効率を高める観点からは、ベンゼン環に結合していていることが好ましい。第1連結基としては、例えば、ベンゾオキサジン環の個数に応じた数の結合手を有する多価基が挙げられる。このような多価基としては、例えば、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、スルホニル基(−SO2−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、炭化水素(例えば、アルカン、アレーン、アルキルアレーン、ジアルキルアレーンなど)に対応する多価基、複素環に対応する多価基、ポリアレーンに対応する多価基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリアレーンとしては、複数のアレーン環が、直接結合、エーテル結合、チオエーテル結合、スルホニル基、エステル結合、またはアルカンに対応する多価基などで連結されたものが挙げられる。第1連結基(炭化水素、複素環など)は、必要に応じて置換基(ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メルカプト基、および/またはアミノ基など)を有していてもよい。
第1置換基は、求核性を有するものであればよい。第1置換基としては、ヘテロ原子含有基、およびハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)が挙げられる。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、およびハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)が挙げられる。第1置換基は、これらのヘテロ原子を一種有していてもよく、二種以上有していてもよい。第1置換基は、ヘテロ原子を、1つ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。第1置換基が2つ以上のヘテロ原子を有する場合、ヘテロ原子の全てが同じであってもよく、一部が同じであってもよく、全て異なっていてもよい。中間体を安定化させる効果が高い観点からは、第1置換基は、ヘテロ原子含有基であることが好ましい。また、同様の観点から、ヘテロ原子含有基は、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
第1置換基としては、例えば、ヘテロ原子含有官能基が挙げられる。ヘテロ原子含有官能基としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基またはその塩(無機塩基との塩(金属塩、アンモニウム塩など)、有機塩基との塩など)、アシルオキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、およびシアノ基などが挙げられる。
アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、およびアシルアミノ基は、それぞれ、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれであってもよい。アルコキシ基およびアルコキシカルボニル基を構成するアルコキシ基としては、例えば、C1−6アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシなど)が挙げられる。アシルオキシ基およびアシルアミノ基を構成するアシル基としては、例えば、C2−6アシル基(アセチル基、プロピオニル基など)が挙げられる。アルキルアミノ基およびアルキルカルバモイル基を構成するアルキル基としては、例えば、C1−6アルキル(メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、ブチルなど)が挙げられる。アルキルアミノ基およびアルキルカルバモイル基は、それぞれ、アルキル基を1つ有するものであってもよく、2つ有するものであってもよい。
第1置換基は、上記ハロゲン原子および/または上記ヘテロ原子含有官能基を有する炭化水素基であってもよい。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(アルキル基など)、脂環式炭化水素基(シクロアルキル基(C5−8シクロアルキル基など)など)、芳香族炭化水素基(アリール基(C6−14アリール基など)など)などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、C1−6アルキル基(メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、ブチルなど)が挙げられる。
アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルキルカルバモイル基、および上記炭化水素基のそれぞれは、さらに置換基(第3置換基)を有していてもよい。第3置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシ基またはその塩(無機塩基との塩、有機塩基との塩など)、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)などであってもよい。第1置換基1つ当たりの第3置換基の個数は、特に制限されないが、例えば、1〜4個であり、1個または2個であってもよい。
より高い低温硬化性が得られ易く、入手も容易である観点から、第1置換基としては、少なくとも酸素原子および/または窒素原子を含むものが好ましい。このような第1置換基としては、例えば、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(第3置換基を有するこれらの基も含まれる)、ヒドロキシ基、カルボキシ基またはその塩が挙げられる。中でも、カルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)またはアミド結合(−NH−C(=O)−、>N−C(=O)−)を有するものが好ましい。このような第1置換基としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルカルバモイル基(第3置換基を有するこれらの基も含まれる)、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩などが挙げられる。
第1置換基において、カルボカチオンに求核攻撃するヘテロ原子は、ベンゾオキサジン環の2−位の炭素原子(カルボカチオンの炭素原子)、3−位の窒素原子、4−位および5−位の炭素原子とともに、環を形成し易い位置に存在することが好ましい。この場合、環を形成することで安定な中間体が生成され易いため、より高い低温硬化性を確保する観点から有利である。6員〜8員環(中でも、6員環または7員環)を形成し易い観点からは、カルボカチオンに求核攻撃するヘテロ原子を、ベンゾオキサジン環の5−位の炭素原子に対して、α位、β位、またはγ位(中でも、α位またはβ位)に有する第1置換基が好ましい。
ベンゾオキサジン環を2つ以上有する場合、ベンゾオキサジン化合物は、少なくとも1つのベンゾオキサジン環の5−位に第1置換基を有していればよく、2つ以上のベンゾオキサジン環の一部または全部のベンゾオキサジン環の5−位に第1置換基を有していてもよい。ベンゾオキサジン化合物が2つ以上の第1置換基を有する場合、一部または全部の第1置換基が同じであってもよく、全ての第1置換基が異なっていてもよい。
ベンゾオキサジン化合物が、3−位の窒素原子に有する第2置換基としては、特に制限されず、例えば、炭化水素基、求核性の官能基、重合性官能基(後述の重合性官能基を含む連結基(第2連結基)も含む)などが挙げられる。重合性官能基(第1重合性官能基)は、求核性を有するものであってもよい。炭化水素基は、例えば、第1置換基のハロゲン原子および/またはヘテロ原子含有官能基を有する炭化水素基について例示した炭化水素基から選択できる。求核性の官能基としては、例えば、第1置換基について例示したものが挙げられる。第2置換基は、第3置換基を有するものであってもよい。第2置換基1つ当たりの第3置換基の個数は、特に制限されないが、例えば、1〜4個であり、1個または2個であってもよい。
第1重合性官能基としては、例えば、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する基、エポキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ウレイド基、カルボキシ基、スルホン酸基、酸クロライド基、および塩素原子などが挙げられる。エポキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ウレイド基、カルボキシ基、スルホン酸基、酸クロライド基、および塩素原子は、それぞれ、第2連結基を介してベンゾオキサジン化合物に結合していてもよい。アミノ基は、−NH2基および>NH基のいずれであってもよい。第2連結基としては、2価の有機基が挙げられる。有機基としては、炭化水素基(脂肪族炭化水素基(アルキレン基、アルケニレン基など)、脂環族炭化水素基(シクロアルキレン基、ジアルキルシクロアルカンに対応する二価基など)、芳香族炭化水素基(アリーレン基など)、脂環式炭化水素環(シクロアルカンなど)または芳香族炭化水素環(アレーンなど)を有する脂肪族炭化水素基(アルキレン基、アルケニレン基など)など)、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、カルボニル基、オキシカルボニル基、−NH−C(=O)−、複素環基、複素環を有する脂肪族炭化水素基(アルキレン基、アルケニレン基など)などが挙げられる。複素環基を構成する複素環および脂肪族炭化水素が有する複素環としては、それぞれ、例えば、ヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、および/または硫黄原子など)を有する4〜10員の複素環が挙げられる。
重合性炭素−炭素不飽和結合を有する基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アルケニル基、ジエニル基、アクリロイルオキシアルキル基、メタクリロイルオキシアルキル基、アクリルアミノアルキル基、メタクリルアミノアルキル基などが挙げられる。重合性炭素−炭素不飽和結合を有する基の炭素数は、2以上であり、3以上または4以上であってもよい。重合性炭素−炭素不飽和結合を有する基の炭素数は、例えば、16以下であり、10以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。なお、本明細書中、アクリロイルオキシおよびメタクリロイルオキシをまとめて(メタ)アクリロイルオキシと称することがある。また、アクリルアミノおよびメタクリルアミノをまとめて(メタ)アクリルアミノと称することがある。(メタ)アクリロイルオキシアルキルおよび(メタ)アクリルアミノアルキルのそれぞれを構成するアルキル基は、例えば、C1−6アルキル(メチル、エチル、プロピル、2−プロピルなど)であってもよく、C1−4アルキルであってもよい。
第2置換基としては、第3置換基を有していてもよい炭化水素基(アルキル基、ヒドロキシアルキル基など)、ヘテロ原子含有基などが好ましい。ヘテロ原子として少なくとも酸素原子および/または窒素原子を含む基がより好ましい。
低温硬化性をさらに高める観点からは、ベンゾオキサジン化合物は、求核性を有する第2置換基を有することが好ましい。
低温硬化性をさらに高める観点からは、ベンゾオキサジン化合物は、求核性を有する第2置換基を有することが好ましい。
第2置換基としては、重合性官能基も好ましい。3−位に重合性官能基を有するベンゾオキサジン化合物は、硬化時に副反応が起こり難いため、硬化物の品質を高めることができる。また、重合性官能基を重合させることも可能であり、得られるポリマーをさらに高分子量化できる。また、共重合成分との共重合も容易になる。
ベンゾオキサジン化合物は、第1置換基および第2置換基の他に、置換基(第4置換基)を有していてもよい。第4置換基としては、例えば、第1置換基および第2置換基として記載したものから選択できる。
第4置換基の位置は、例えば、ベンゾオキサジン環の2位、4位、6位、7位、および/または8位である。なお、これらの位置は、オキサジン環の環を構成する酸素原子を1位としたときの位置である。
ベンゾオキサジン化合物における第4置換基の個数は、特に制限されず、1つのベンゾオキサジン環につき、0〜5個であり、1〜5個または1〜4個であってもよく、2〜5個または2〜4個であってもよい。ベンゾオキサジン化合物が2つ以上の第4置換基を有する場合、第4置換基は同じであってもよく、一部または全部が異なっていてもよい。
ベンゾオキサジン化合物は、例えば、下記式(1)で表される化合物を含むことが好ましい。
R4aおよびR4bは、同じであってもよく、異なっていてもよい。mが2の場合および/またはnが2または3の場合、R4aおよびR4bは、全て同じであってもよく、少なくとも一部が異なっていてもよい。
ベンゾオキサジン化合物としては、市販品を用いてもよく、公知の方法により合成したものを用いてもよい。例えば、式(1)で表されるベンゾオキサジン化合物は、3−位に第1置換基R1を有するフェノール化合物と、R2−NH2と、パラホルムアルデヒドとを反応させることにより合成することができる。第1置換基R1および/または第2置換基R2は、必要に応じて予め保護基で保護して反応に供してもよい。反応は溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒は、原料の種類に応じて選択すればよい。反応は、必要により加熱下で行ってもよい。合成されたベンゾオキサジン化合物は、必要に応じて、脱保護してもよい。合成されたベンゾオキサジン化合物は、必要に応じて、公知の方法により分離および/または精製される。
[熱硬化性材料]
熱硬化性材料は、上記のベンゾオキサジン化合物を含んでいればよく、さらに他の成分を含んでいてもよい。熱硬化性材料は、一種のベンゾオキサジン化合物を含んでもよく、二種以上のベンゾオキサジン化合物を含んでもよい。
熱硬化性材料は、上記のベンゾオキサジン化合物を含んでいればよく、さらに他の成分を含んでいてもよい。熱硬化性材料は、一種のベンゾオキサジン化合物を含んでもよく、二種以上のベンゾオキサジン化合物を含んでもよい。
熱硬化性材料に占める上記のベンゾオキサジン化合物の比率は、例えば、5質量%以上または10質量%以上であり、20質量%以上または50質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。
(重合触媒)
熱硬化性材料は、必要に応じて、ベンゾオキサジン環の硬化反応を促進する重合触媒(または硬化触媒)を含むことができる。重合触媒としては、酸触媒(プロトン酸など)、塩基触媒などが挙げられる。これらの重合触媒としては、ベンゾオキサジン化合物の重合に利用される公知のものが使用できる。酸触媒としては、例えば、有機カルボン酸(クエン酸、サリチル酸、安息香酸など)、フェノール類(フェノールなど)などが挙げられる。芳香族カルボン酸、オキシカルボン酸などを用いてもよい。塩基触媒としては、有機塩基(アミン、窒素含有環状化合物など)が好ましい。重合触媒としては揮発し難いものが好ましい。重合触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性材料は、必要に応じて、ベンゾオキサジン環の硬化反応を促進する重合触媒(または硬化触媒)を含むことができる。重合触媒としては、酸触媒(プロトン酸など)、塩基触媒などが挙げられる。これらの重合触媒としては、ベンゾオキサジン化合物の重合に利用される公知のものが使用できる。酸触媒としては、例えば、有機カルボン酸(クエン酸、サリチル酸、安息香酸など)、フェノール類(フェノールなど)などが挙げられる。芳香族カルボン酸、オキシカルボン酸などを用いてもよい。塩基触媒としては、有機塩基(アミン、窒素含有環状化合物など)が好ましい。重合触媒としては揮発し難いものが好ましい。重合触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸触媒を用いると、オキサジン環の開環反応が促進される。塩基触媒を用いると、開環により生成するカルボカチオンへの求核攻撃により生成する中間体が安定化される。酸触媒と塩基触媒との双方を用いると互いの作用が低下するため、触媒を用いる場合には、通常、酸触媒または塩基触媒のいずれか一方が使用される。そのため、触媒を利用する場合には、通常は、開環反応の促進か、もしくは中間体の安定化のいずれか一方の効果しか得られない。それに対し、本発明の上記側面によれば、ベンゾオキサジン化合物の第1置換基による中間体の安定化効果が得られるため、特に、酸触媒と組み合わせると、開環反応が促進されることに加え、開環後の中間体を安定化する効果により、さらに低温での硬化が可能になり、有利である。
熱硬化性材料に占める重合触媒の比率は、例えば、0.1質量%以上20質量%以下であり、0.5質量%以上10質量%以下であってもよい。
(電子供与性の置換基を有する芳香族化合物)
熱硬化性材料は、必要に応じて、電子供与性の置換基(第5置換基)を有する芳香族化合物を含むことができる。この場合、硬化物のクラックおよび/またはボイドの発生を抑制することができる。ベンゾオキサジン化合物の重合は、ベンゾオキサジン環の開環により生成したカルボカチオンに、他のベンゾオキサジン化合物のベンゼン環が求核攻撃することにより進行する。このような重合を、第5置換基を有する芳香族化合物の存在下で行うと、芳香族化合物の芳香環がカルボカチオンに求核攻撃することで、ポリマーの分子内に芳香族化合物が組み込まれることになる。そのため、ポリマーの柔軟性が向上し、これによりクラックやボイドの発生が抑制されると考えられる。
熱硬化性材料は、必要に応じて、電子供与性の置換基(第5置換基)を有する芳香族化合物を含むことができる。この場合、硬化物のクラックおよび/またはボイドの発生を抑制することができる。ベンゾオキサジン化合物の重合は、ベンゾオキサジン環の開環により生成したカルボカチオンに、他のベンゾオキサジン化合物のベンゼン環が求核攻撃することにより進行する。このような重合を、第5置換基を有する芳香族化合物の存在下で行うと、芳香族化合物の芳香環がカルボカチオンに求核攻撃することで、ポリマーの分子内に芳香族化合物が組み込まれることになる。そのため、ポリマーの柔軟性が向上し、これによりクラックやボイドの発生が抑制されると考えられる。
第5置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、メルカプト基、アルキルチオ基、メルカプトアルキル基、アミノ基、アミノアルキル基、アルキル基などが挙げられる。第5置換基における炭素数は、例えば、1〜8であり、1〜7または1〜6であってもよい。アミノ基には、遊離のアミノ基の他、置換アミノ基(例えば、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基など)も含まれる。第5置換基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。芳香族化合物は、第5置換基を少なくとも1つ有していればよく、2つ以上有していてもよい。芳香族化合物における第5置換基の個数は、芳香族化合物の炭素数に応じて選択され、例えば、1〜6個であり、1〜4個または1〜3個であってもよく、1個または2個であってもよい。
芳香族化合物としては、アレーン環を少なくとも1つ有していればよく、2つ以上のアレーン環を有していてもよい。2つ以上のアレーン環は、直接結合で連結されていてもよく、連結基を介して連結されていてもよい。アレーン環としては、例えば、C6−20アレーン環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環など)が挙げられる。連結基としては、例えば、第1連結基について例示したものが挙げられる。
熱硬化性材料に占める上記芳香族化合物の比率は、例えば、0.1質量%以上50質量%以下(または40質量%以下)であり、0.5質量%以上35質量%以下であってもよく、1質量%以上(または5質量%以上)30質量%以下であってもよく、1質量%以上(または5質量%以上)20質量%以下であってもよく、10質量%以上40質量%(または30質量%)以下であってもよい。芳香族化合物の比率がこのような範囲である場合、高い機械的強度を確保しながら、クラックおよびボイドの発生をより効果的に抑制できる。また、高いTgを確保し易い。
(その他)
ベンゾオキサジン化合物が、第1重合性官能基を含む場合、熱硬化性材料は、必要に応じて、ベンゾオキサジン化合物以外の重合性化合物を含むことができる。重合性化合物としては、ベンゾオキサジン化合物の第1重合性官能基と反応してポリマーとなるものが挙げられる。このような重合性化合物としては、ベンゾオキサジン化合物の第1重合性官能基と反応する重合性官能基(第2重合性官能基)を有するものが挙げられる。重合性化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ベンゾオキサジン化合物が、第1重合性官能基を含む場合、熱硬化性材料は、必要に応じて、ベンゾオキサジン化合物以外の重合性化合物を含むことができる。重合性化合物としては、ベンゾオキサジン化合物の第1重合性官能基と反応してポリマーとなるものが挙げられる。このような重合性化合物としては、ベンゾオキサジン化合物の第1重合性官能基と反応する重合性官能基(第2重合性官能基)を有するものが挙げられる。重合性化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性化合物としては、例えば、モノマーおよび/オリゴマーが挙げられる。オリゴマーとは、少なくとも、構成ユニットの繰り返し部分(繰り返し数は2以上)を含むものを言い、モノマーと区別される。
第2重合性官能基としては、重合開始剤から発生したラジカル、カチオン、および/またはアニオンなどの作用により、少なくとも第1重合性官能基と反応または重合可能な官能基が挙げられる。このような第2重合性官能基としては、例えば、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する基、エポキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、ウレイド基、カルボキシ基、スルホン酸基、酸クロライド基、塩素原子などが挙げられる。重合性炭素−炭素不飽和結合を有する基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ジエニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミノ基などが挙げられる。重合性化合物は、第2重合性官能基を1つ有する単官能化合物であってもよく、2つ以上有する多官能化合物であってもよい。
第2重合性官能基は、第1重合性官能基の種類に応じて選択される。第1重合性官能基と第2重合性官能基との組み合わせとしては、(a)重合性炭素−炭素不飽和結合を有する基と、重合性炭素−炭素不飽和結合を有する基との組み合わせ、(b)エポキシ基と、アミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシ基との組み合わせ、(c)イソシアネート基と、アミノ基、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基との組み合わせ、(d)ヒドロキシ基と、エポキシ基、イソシアネート基、またはアミノ基との組み合わせ、(e)メルカプト基と、酸アミドまたは重合性炭素−炭素不飽和結合を有する基との組み合わせ、(f)アミノ基と、エポキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、カルボキシ基、塩素原子、または酸クロライド基との組み合わせ、などが挙げられる。
熱硬化性材料に占める重合性化合物の比率は、第1重合性官能基の種類、および硬化物の用途などに応じて決定できる。熱硬化性材料に占める重合性化合物の比率は、例えば、0.1質量%以上95質量%以下(または70質量%以下)であり、1質量%以上95質量%以下(または70質量%以下)であってもよく、10質量%以上95質量%以下(または70質量%以下)であってもよい。これらの範囲において、上限値は、50質量%以下または30質量%以下であってもよい。
ベンゾオキサジン化合物が、第1重合性官能基を含む場合、熱硬化性材料は、さらに重合開始剤を含んでもよい。重合開始剤としては、例えば、熱の作用により活性化して、ベンゾオキサジン化合物の第1重合性官能基が関与する反応を開始させるものが使用される。重合開始剤は、第1重合性官能基の種類などに応じて選択される。重合開始剤としては、熱の作用により、ラジカル、カチオン、および/またはアニオンを発生させるものなどが使用される。重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤(アゾ化合物、過酸化物など)、イオン重合開始剤(スルホン酸エステル、スルホニウム塩、ジシアンジアミドなど)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。重合開始剤は、一種を用いてもよく、必要に応じて二種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の量は、ベンゾオキサジン化合物の第1重合性官能基の比率、重合性化合物の第2重合性官能基の比率などに応じて決定される。
熱硬化性材料は、さらに、その他の公知の熱硬化性樹脂(例えば、カルボジイミド化合物、トリアジンチオール化合物、ビスマレイミド化合物、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、アニリン樹脂など)などを含んでもよい。熱硬化性材料は、これらの熱硬化性樹脂を一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。
また、熱硬化性材料は、溶剤、公知の樹脂用添加剤(例えば、補強材、充填剤、可塑剤、着色剤、顔料、離型剤、難燃剤、難燃助剤、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤など)を含むことができる。熱硬化性材料は、一種の添加剤を含んでもよく、二種以上含んでもよい。
(硬化物)
本発明の一局面に係る硬化物は、上記の熱硬化性材料を硬化させることにより得られる。より具体的には、熱硬化性材料を加熱することにより硬化させることで硬化物が得られる。ベンゾオキサジン化合物が5−位に求核性を有する第1置換基を有するため、200℃以下の低い温度でベンゾオキサジン環の開環重合による硬化反応を進行させることができる。重合触媒を併用する場合には、例えば、180℃以下(さらには170℃以下)の低い温度でも硬化を進行させることができる。ベンゾオキサジン化合物が第1重合性官能基を含む場合には、ベンゾオキサジン環の開環重合反応に加え、第1重合性官能基を重合させてもよい。加熱温度は、例えば、100℃以上であり、130℃以上であってもよい。
本発明の一局面に係る硬化物は、上記の熱硬化性材料を硬化させることにより得られる。より具体的には、熱硬化性材料を加熱することにより硬化させることで硬化物が得られる。ベンゾオキサジン化合物が5−位に求核性を有する第1置換基を有するため、200℃以下の低い温度でベンゾオキサジン環の開環重合による硬化反応を進行させることができる。重合触媒を併用する場合には、例えば、180℃以下(さらには170℃以下)の低い温度でも硬化を進行させることができる。ベンゾオキサジン化合物が第1重合性官能基を含む場合には、ベンゾオキサジン環の開環重合反応に加え、第1重合性官能基を重合させてもよい。加熱温度は、例えば、100℃以上であり、130℃以上であってもよい。
熱硬化性材料の加熱は、一定の温度にて1段階で行ってもよく、必要に応じて昇温しながら行ってもよい。昇温は、段階的に(例えば、2〜4段階で)行ってもよく、連続的に(例えば、所定の昇温速度で)行ってもよい。
加熱時間は、ベンゾオキサジン化合物の構造、触媒の有無、触媒の種類、硬化物の用途などに応じて決定できる。加熱時間は、例えば、0.5時間以上24時間以下であり、1時間以上10時間以下であってもよく、2時間以上6時間以下であってもよい。
加熱は、減圧下または加圧下で行ってもよいが、通常、大気圧下で行われる。加熱は、大気中で行ってもよく、不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜6および比較例1〜5
表1および表2に示すベンゾオキサジン化合物と、必要に応じて表1および表2に示す添加剤とを混合することにより熱硬化性材料を調製した。添加剤は表1および表2に示す割合(熱硬化性材料中に占める割合)で用いた。得られた熱硬化性材料を、加熱することにより硬化させて硬化物を得た。熱硬化性材料の硬化は、DSC分析下で行った。DSC分析では、発熱開始温度を硬化開始温度とし、発熱ピーク温度を硬化温度として求めた。
結果を表1および表2に示す。実施例1〜6は、E1〜E6であり、比較例1〜5は、R1〜R5である。
表1および表2に示すベンゾオキサジン化合物と、必要に応じて表1および表2に示す添加剤とを混合することにより熱硬化性材料を調製した。添加剤は表1および表2に示す割合(熱硬化性材料中に占める割合)で用いた。得られた熱硬化性材料を、加熱することにより硬化させて硬化物を得た。熱硬化性材料の硬化は、DSC分析下で行った。DSC分析では、発熱開始温度を硬化開始温度とし、発熱ピーク温度を硬化温度として求めた。
結果を表1および表2に示す。実施例1〜6は、E1〜E6であり、比較例1〜5は、R1〜R5である。
表1および表2に示されるように、実施例では、対応する比較例に比べて、第1置換基の存在により、発熱ピーク温度および発熱開始温度が格段に低くなっており、低温硬化性が大きく向上している。
なお、R1とR3とを比較すると、ベンゾオキサジン化合物が第1置換基を有さない場合には、求核性の第2置換基をオキサジン環の窒素原子上に導入しても、発熱ピーク温度および発熱開始温度はそれほど変わらない。ところが、E1とE3との比較から、ベンゾオキサジン環が第1置換基を有する場合に、求核性の第2置換基を導入すると、発熱ピーク温度および発熱開始温度は大幅に低下している。この低下の程度は、求核性の第1置換基による効果と求核性の第2置換基による効果とから予想されるよりも格段に大きく、相乗的であると言える。
《ベンゾオキサジン化合物の合成例》
実施例1および2で用いたベンゾオキサジン化合物は、次の手順で合成した。まず、反応容器に、溶媒としてのジオキサンとプロピルアミンを加え攪拌し、パラホルムアルデヒドを加えた。得られた混合物を、70℃に加熱し、3−メトキシフェノールを加え、3時間攪拌した。得られた混合物を濃縮し、トルエンを加えて希釈し、1mol/L濃度の塩酸、蒸留水、および飽和食塩水のそれぞれを用いて洗浄した。洗浄後のトルエン溶液を濃縮し、ベンゾオキサジン化合物を得た。プロピルアミンとパラホルムアルデヒドと3−メトキシフェノールとは、おおよそ1:1:2の質量比で用いた。
実施例1および2で用いたベンゾオキサジン化合物は、次の手順で合成した。まず、反応容器に、溶媒としてのジオキサンとプロピルアミンを加え攪拌し、パラホルムアルデヒドを加えた。得られた混合物を、70℃に加熱し、3−メトキシフェノールを加え、3時間攪拌した。得られた混合物を濃縮し、トルエンを加えて希釈し、1mol/L濃度の塩酸、蒸留水、および飽和食塩水のそれぞれを用いて洗浄した。洗浄後のトルエン溶液を濃縮し、ベンゾオキサジン化合物を得た。プロピルアミンとパラホルムアルデヒドと3−メトキシフェノールとは、おおよそ1:1:2の質量比で用いた。
実施例3または実施例5で用いたベンゾオキサジン化合物は、プロピルアミンに代えて2−アミノエタノールまたはアリルアミンを用いる以外は実施例1と同様にして得た。各成分の質量比は各成分のモル比を考慮して適宜調整した。
実施例4で用いたベンゾオキサジン化合物は、実施例3の場合と同様にして合成したベンゾオキサジン化合物とメチルアクリレートと4−メトキシフェノールとを混合し、窒素雰囲気下、ジブチルスズオキサイドの存在下で80℃にて14時間加熱することにより合成した。得られた反応混合物は濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製することによりベンゾオキサジン化合物を得た。実施例3のベンゾオキサジン化合物と、メチルアクリレートと、4−メトキシフェノールと、ジブチルスズオキサイドとは、おおよそ100:185:0.3:5の質量比で用いた。
実施例6で用いたベンゾオキサジン化合物は、3−メトキシフェノールに代えて3−ヒドロキシアセタミドを用いる以外は、実施例1の場合と同様にして得た。各成分の質量比は各成分のモル比を考慮して適宜調整した。
比較例1〜3および5で用いたベンゾオキサジン化合物は、3−メトキシフェノールに代えてフェノールを用いる以外は、それぞれ、実施例1〜3および5の場合と同様にして得た。各成分の質量比は各成分のモル比を考慮して適宜調整した。
比較例4で用いたベンゾオキサジン化合物は、比較例3の場合と同様にして合成したベンゾオキサジン化合物を用いる以外は、実施例4の場合と同様にして得た。各成分の質量比は各成分のモル比を考慮して適宜調整した。
本発明の上記側面に係るベンゾオキサジン化合物は、低温硬化性に優れており、得られる硬化物は、Tg、耐熱性、難燃性、および寸法安定性が高く、誘電率、吸水率などが低いなど優れた特性を有する。そのため、ベンゾオキサジン化合物、熱硬化性材料および硬化物は、このような特性が求められる様々な用途に利用される。
Claims (10)
- 5−位に求核性の第1置換基を有するベンゾオキサジン化合物を含む、熱硬化性材料。
- 前記第1置換基は、ヘテロ原子含有基であり、
前記ヘテロ原子含有基は、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1に記載の熱硬化性材料。 - 前記ベンゾオキサジン化合物は、オキサジン環の3−位の窒素原子に求核性の第2置換基を有する、請求項1に記載の熱硬化性材料。
- 前記第2置換基は、ヘテロ原子含有基であり、
前記ヘテロ原子含有基は、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子からなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項3に記載の熱硬化性材料。 - さらに、重合触媒を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性材料。
- さらに、電子供与性の置換基を有する芳香族化合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性材料。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性材料の硬化物。
- 5−位に一価の求核性の第1置換基を有するベンゾオキサジン化合物。
- 前記第1置換基は、カルボニルオキシ基またはアミド結合を有する、請求項8に記載のベンゾオキサジン化合物。
- オキサジン環の3−位の窒素原子に重合性官能基を有する、請求項8または9に記載のベンゾオキサジン化合物。
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JP2019033265A JP2020138995A (ja) | 2019-02-26 | 2019-02-26 | ベンゾオキサジン化合物、ベンゾオキサジン化合物を含む熱硬化性材料および熱硬化性材料の硬化物 |
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JP2019033265A JP2020138995A (ja) | 2019-02-26 | 2019-02-26 | ベンゾオキサジン化合物、ベンゾオキサジン化合物を含む熱硬化性材料および熱硬化性材料の硬化物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022103331A1 (en) * | 2020-11-10 | 2022-05-19 | Nanyang Technological University | Polymeric products formed using polybenzoxazines suitable for use in additive manufacturing |
-
2019
- 2019-02-26 JP JP2019033265A patent/JP2020138995A/ja active Pending
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WO2022103331A1 (en) * | 2020-11-10 | 2022-05-19 | Nanyang Technological University | Polymeric products formed using polybenzoxazines suitable for use in additive manufacturing |
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