JP2020132771A - 封止用樹脂組成物および電子装置 - Google Patents

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渉 高田
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Abstract

【課題】ショートや絶縁信頼性低下の原因となりうるカーボンブラックを用いずとも、レーザ照射したときの捺印性が良好で、かつ、従来の封止用樹脂組成物と同様の色味の封止物を得ることができる封止用樹脂組成物を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、無機充填材(C)、染料(D)およびレーザ光により色味が変化する物質(E)を含み、全成分中のカーボンブラックの含有量が0.01質量%未満である封止用樹脂組成物及び該封止用樹脂組成物の硬化物により電子部品が封止された電子装置。【選択図】図1

Description

本発明は、封止用樹脂組成物および電子装置に関する。より具体的には、特定の組成の封止用樹脂組成物、および、その組成物の硬化物である封止材を備える電子装置に関する。
主として電子装置の封止を行うための封止用樹脂組成物として、エポキシ樹脂を含むものが様々に知られている。
例えば、特許文献1は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、離型剤、カーボンブラックおよび酸化チタンを含む封止用エポキシ樹脂組成物を開示している。特許文献1には、この組成物を用いて得られた成形品(樹脂硬化物)にYAGレーザを照射すると、視認性がより良好な捺印(描画)を行うことができる旨が記載されている。
別の例として、特許文献2は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミン変性シリコーンオイルおよびブタジエン系ゴム粒子を含む封止用エポキシ樹脂組成物を開示している。特許文献2によれば、この組成物は、低応力性、耐湿信頼性および捺印性に優れている。
特開2001−207030号公報 特開平11−100488号公報
特許文献1などに記載のように、従来の封止用樹脂組成物の多くはカーボンブラックを含む。封止用樹脂組成物にカーボンブラックを含める目的の1つは、封止用樹脂組成物を硬化させて得られた封止材にレーザを照射した際の捺印性(レーザマーキング性)を高めるためである。
カーボンブラックは、(金属ほどではないが)比較的大きな導電性を有する。ゆえに、カーボンブラックを含む封止用樹脂組成物で電子装置を封止した場合、ショート(短絡)や、絶縁信頼性低下の懸念がある。例えば、近年の電子装置の微細化・複雑化の中で、狭ピッチワイヤー間にカーボンブラックの凝集物が詰まってしまう「ワイヤーショート」の懸念がある。よって、最近、カーボンブラックを用いない封止用樹脂組成物が求められつつある。
しかし、単に封止用樹脂組成物からカーボンブラックを除くと、従来得られていた捺印性が損なわれてしまう。
また、封止用樹脂組成物からカーボンブラックを除くと、封止用樹脂組成物(およびこれを用いて得られる封止物)の色味が変わってしまう。従来のカーボンブラックを含む封止用樹脂組成物の「代替」という点からは、カーボンブラックを用いずとも、従来の封止用樹脂組成物と同様の色味(同程度の黒色性)の封止物が得られることが好ましい。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明は、ショートや絶縁信頼性低下の原因となりうるカーボンブラックを用いずとも、レーザ照射したときの捺印性が良好で、かつ、従来の封止用樹脂組成物と同様の色味の封止物を得ることができる封止用樹脂組成物を提供すること、を目的の1つとする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
本発明によれば、
エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、無機充填材(C)、染料(D)およびレーザ光により色味が変化する物質(E)を含み、全成分中のカーボンブラックの含有量が0.01質量%未満である封止用樹脂組成物
が提供される。
また、本発明によれば、
電子部品と、前記電子部品を封止する封止材とを備える電子装置であって、
前記封止材が、前記封止用樹脂組成物の硬化物である電子装置
が提供される。
本発明の封止用樹脂組成物を用いることで、レーザ照射したときの捺印性が良好で、かつ、従来の封止用樹脂組成物と同様の色味の封止物を得ることができる。
電子装置の構造の一例を説明するための断面図である。 図1に示されたものとは異なる電子装置の構造の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、「略」という用語は、特に明示的な説明の無い限りは、製造上の公差や組立て上のばらつき等を考慮した範囲を含むことを表す。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
本明細書における「電子装置」の語は、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路ディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術が適用された素子、デバイス、最終製品等を包含する意味で用いられる。
<封止用樹脂組成物>
本実施形態の封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、無機充填材(C)、染料(D)およびレーザ光により色味が変化する物質(E)を含み、全成分中のカーボンブラックの含有量が0.01質量%未満である。
以下では、レーザ光により色味が変化する物質(E)を、単に「物質(E)」とも記載する。また、封止用樹脂組成物を単に「組成物」とも表記する。
本実施形態の封止用樹脂組成物においては、組成物の全成分中のカーボンブラックの含有量が0.01質量%未満であることにより、ショートが起きにくくなる。
カーボンブラックの含有量は、好ましくは「ゼロ」である。
また、組成物の全成分中のカーボンブラックの含有量が0.01質量%未満であるということは、例えば、本実施形態の封止用樹脂組成物を扱う者の労働衛生面からも好ましい。
近年、カーボンブラックの発がん性が指摘されている。例えば、国際がん研究機関 (IARC)は、カーボンブラックを、グループ2B(ヒトに対する発癌性が疑われる)に分類している。この点からも、カーボンブラックの含有量がゼロまたは極めて少ない本実施形態の封止用樹脂組成物は好ましい。
一方、本実施形態の封止用樹脂組成物は、カーボンブラックの代わりに、染料(D)および物質(E)を含むことにより、レーザ照射したときの捺印性が良好である。また、従来の封止用樹脂組成物と同様の色味(同程度の黒色性)を得ることもできる。
換言すると、本実施形態の封止用樹脂組成物は、物質(E)により捺印性を得つつ、かつ、染料(D)を含むことにより、物質(E)のみでは不足しがちである黒色性も十分に得ることができる。
上記の「捺印性」について補足する。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、従来のカーボンブラックを含む封止用樹脂組成物と、同程度またはそれ以上の捺印性を有する。別の言い方として、従来と同程度またはそれ以上に鮮明/高コントラストのレーザマーキングが可能である。
カーボンブラックを含む従来の封止材にレーザを照射したときの描画メカニズムは「アブレーション(気化)」によるものであり、カーボンブラックそのものが色変化するわけではない。一方で、本実施形態の封止用樹脂組成物で形成された封止材にレーザを照射すると、物質(E)そのものが色変化して捺印(描画)がなされる。後者のほうがより鮮明/高コントラストの画像が得られることは自明であろう。
上記の「従来の封止用樹脂組成物と同様の色味(同程度の黒色性)」ということについても補足する。
このことは、本実施形態の封止用樹脂組成物が、従来の封止用樹脂組成物の「代替品」「置換品」として好ましく使用可能であることを意味する。
封止用樹脂組成物のユーザである電子装置メーカは、封止用樹脂組成物を変えても、従来と同様の色味(黒色性)を求めるニーズを有している場合がある。本実施形態の封止用樹脂組成物は、そのようなニーズに応えらえるという点で好ましい。特に、染料(D)の種類や配合を適切に調整することで、封止用樹脂組成物をカーボンブラックレスのものに変えたとしても、従来と限りなく近い色味(黒色性)の封止材を得ることができる。
以下、組成物が含むまたは含むことができる各成分や、組成物の各種性状について、より詳しく説明する。
・エポキシ樹脂(A)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)を含む。
エポキシ樹脂(A)は、具体的には、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般でありうる。エポキシ樹脂(A)の分子量や分子構造などは特に限定されない。
エポキシ樹脂(A)として具体的には、ビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリアリールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格およびビフェニル骨格からなる群から選択される1または2の骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格およびビフェニル骨格からなる群から選択される1または2の骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂、等を挙げることができる。
特に、エポキシ樹脂(A)としては、ビフェニル骨格またはトリアリールメタン骨格を有するものが好ましい。具体的には、以下一般式(1)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂や、以下一般式(2)で表されるトリアリールメタン骨格を有するエポキシ樹脂などを好ましく挙げることができる。
Figure 2020132771
一般式(1)中、
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表し、
aは1以上の整数である。
〜Rの1価の有機基の例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ヘテロ環基、カルボキシル基などを挙げることができる。1価の有機基の炭素数は、例えば1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6である。
〜Rとしては水素原子が好ましい。
aは、好ましくは1〜10である。
Figure 2020132771
一般式(2)において、
11は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
12は、複数ある場合はそれぞれ独立に、1価の置換基を表し、
iは、0〜3の整数であり、
jは、0〜4の整数である。
11およびR12の1価の置換基としては、1価の有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基等を挙げることができる。
1価の有機基の例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ヘテロ環基、カルボキシル基などを挙げることができる。1価の有機基の炭素数は、例えば1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6である。
iおよびjは、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0〜1、さらに好ましくは0である。つまり、好ましい態様として、一般式(2)中のベンゼン環の全ては、1価の置換基としては、明示されたグリシジルオキシ基以外の置換基を有しない。
封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
エポキシ樹脂(A)の量は、成形時に好適な流動性を得て充填性や成形性の向上を図る観点から、封止用樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、例えば2質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上である。
別観点として、封止用樹脂組成物を用いて得られる封止材の絶縁特性向上の観点からエポキシ樹脂(A)の量は、封止用樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、例えば40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
・硬化剤(B)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、硬化剤(B)を含む。硬化剤(B)は、エポキシ樹脂(A)と反応してそれを硬化させるものである限り、特に限定されない。
硬化剤(B)として具体的には、アミン系硬化剤(アミノ基を有する硬化剤)、フェノール系硬化剤などを挙げることができる。
アミン系硬化剤としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜20の脂肪族ジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン等の芳香族ジアミン、ジシアノジアミド等を挙げることができる。
フェノール系硬化剤としては、アニリン変性レゾール樹脂やジメチルエーテルレゾール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル樹脂;ナフタレン骨格やアントラセン骨格のような縮合多環構造を有するフェノール樹脂などを挙げることができる。
その他、硬化剤(B)として、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物等;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類等を挙げることができる。
電子装置の封止における耐湿性や信頼性等の点から、硬化剤(B)としては、1分子内に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。より具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;レゾール型フェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールアラルキル樹脂等が好ましく挙げられる。
特に好ましくは、ビフェニル骨格を有するフェノール系硬化剤、トリフェニルメタン骨格を有するフェノール系硬化剤等を挙げることができる。より具体的には、前述の一般式(1)または(2)において、グリシジルオキシ基の部分がヒドロキシ基に置き換わった構造の化合物などを挙げることができる。
封止用樹脂組成物は、硬化剤(B)を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
硬化剤(B)の量は、電子装置を封止する際の優れた流動性、充填性、成形性などの向上を図る観点から、組成物全体を基準(100質量%)として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。
別観点として、電子装置の耐湿信頼性や耐リフロー性向上の観点から、硬化剤(B)の量は、組成物全体を基準(100質量%)として、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
なお、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の量については、当量比が適当な値となるようにすることが好ましい。当量比を適切に調整することで、より良好な成形性、封止材としたときの一層の信頼性向上などの効果が得られる傾向がある。
例えば、硬化剤(B)がフェノール系硬化剤である場合、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)との当量比、すなわち、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基モル数/硬化剤(B)中のフェノール性水酸基モル数の比は、例えば0.5〜2、好ましくは0.6〜1.8、より好ましくは0.8〜1.5である。
硬化剤(B)がアミン系硬化剤である場合は、アミノ基(−NH)は2つの活性水素を有するため、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基モル数/硬化剤(B)中のアミノ基のモル数の比は、例えば1〜4、好ましくは1.2〜3.6、より好ましくは1.6〜3である。
・無機充填材(C)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、無機充填材(C)を含む。無機充填材としては、一般的に電子装置封止用の樹脂組成物に使用されているものを用いることができる。
無機充填剤(C)として具体的には、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ等のシリカ;アルミナ;チタンホワイト;水酸化アルミニウム;タルク;クレー;マイカ;ガラス繊維等が挙げられる。これらの中でもシリカが好ましく、特に溶融球状シリカが好ましい。
無機充填剤(C)の粒子形状は、略真球状であることが好ましい。
無機充填剤(C)のメジアン径は、特に限定されない。典型的には1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは1〜20μmである。メジアン径が適当であることにより、成形時の流動性の一層の向上等を図ることができたり、電子装置の峡部に対する組成物の充填性を高めたりすることができる。
無機充填剤(C)の量は、封止用樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上である。
また、封止用樹脂組成物の成形時における流動性や充填性をより効果的に向上させる観点から、無機充填剤(C)の量は、封止用樹脂組成物全体を基準(100質量%)としたとき、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
無機充填剤(C)の量を適切に調整することで、封止用樹脂組成物により形成される封止材の低吸湿性や低熱膨張性の一層の向上、得られる電子装置の耐湿信頼性や耐リフロー性の一層の向上、成形時の流動性や充填性の一層の向上などの効果を得ることができる。
・染料(D)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、染料(D)を含む。染料(D)は、前述のように、主として、物質(E)のみでは不足しがちである黒色性を、封止用樹脂組成物に付与するために用いられる。
所望の色味を得たり、色味を微調整したりするために、二種以上の染料(D)を併用してもよい。
一態様として、染料(D)は、好ましくは黒色染料(d1)を含む。これにより、最終的な封止材の色味を、適度な黒色にしやすい。
ここで、黒色染料(d1)は、しばしば、単一化合物ではなく、二種以上の化合物の異なる色の化合物の混合物である。染料分子の特性上、単一分子だけで広範囲の可視光を吸収する分子を製造することが困難なためである。
黒色染料(d1)としては、公知の黒色染料を適宜用いることができる。また、複数種の黒色染料を併用してもよい。
特に、黒色染料(d1)は、アンスラキノン系染料(「アントラキノン」と表記される場合もある)、アジン系染料、アゾ系染料、ジスアゾ系染料およびクロム錯塩系染料からなる群より選択される一種または二種以上の染料を含むことが好ましい。これら染料は、分解温度が比較的高いために硬化時の変質や変色が抑えられる、電子材料として望ましくないハロゲン系不純物が少ないものを入手しやすい、等の点で好ましい。
市場で入手可能な黒色染料(d1)としては、NUBIAN BLACK PC−5857(アンスラキノン系、オリエント化学工業社)、SEP−L−0040(アンスラキノン系、オリエント化学工業社)、NUBIAN BLACK PC−8550(アンスラキノン系およびアジン系の混合、オリエント化学工業社)、SOL−L−0693(アンスラキノン系およびアゾ系の混合、オリエント化学工業社)、VALIFAST BLACK 1821(アジン系、オリエント化学工業社)、OIL BLACK BS(アジン系、オリエント化学工業社)、ORIPACS B−35(アジン系、オリエント化学工業社)、OIL BLACK 860(ジスアゾ系、オリエント化学工業社)、OIL BLACK 803(アゾ系、オリエント化学工業社)、VALIFAST BLACK 3830(クロム錯塩、オリエント化学工業社)、VALIFAST BLACK 3877(クロム錯塩、オリエント化学工業社)等を挙げることができる。
ここで、「NUBIAN」、「ORIPACS」および「VARIFAST」は、オリエント化学工業社の登録商標である。
別の態様として、染料(D)は、黄色染料(d2)および/またはオレンジ染料(d3)を含むことが好ましい。これにより、最終的な封止材の色味を、従来のカーボンブラックを用いたものに一層近づけることができる。
黄色染料(d2)および/またはオレンジ染料(d3)は、黒色顔料(d1)と併用されてもよいし、併用されなくてもよい。要は、染料(d1)、(d2)および(d3)のうちの1種または2種以上と、後述の物質(E)(例えば、物質(E)がチタンブラックである場合には、青黒い)などの「組成物全体」として、所望の色味に調整されればよい。
黄色染料(d2)および/またはオレンジ染料(d3)としては、公知のものを適宜用いることができる。また、複数種の黄色染料および/またはオレンジ染料を併用してもよい。
具体的には、黄色染料(d2)および/またはオレンジ染料(d3)は、メチン系染料、ジスアゾ系染料、アゾコバルト錯体系染料およびアゾクロム錯体系染料からなる群より選択される一種または二種以上の染料を含むことが好ましい。これら染料は、分解温度が比較的高いために硬化時の変質や変色が抑えられる、電子材料として望ましくないハロゲン系不純物が少ないものを入手しやすい、等の点で好ましい。
市場で入手可能な黄色染料(d2)および/またはオレンジ染料(d3)としては、OPLAS YELLOW 140(メチン系、オリエント化学工業社)、OIL YELLOW 107(ジスアゾ系、オリエント化学工業社)、OIL YELLOW 129(ジスアゾ系、オリエント化学工業社)、VARIFAST YELLOW 3170(アゾコバルト錯体系、オリエント化学工業社)、VARIFAST YELLOW 1101(ジスアゾ系、オリエント化学工業社)、VALIFAST ORANGE 3209(アゾクロム錯体系、オリエント化学工業社)などを挙げることができる。
ここで、「OPLAS」および「VARIFAST」は、オリエント化学工業社の登録商標である。
染料(D)の量は、封止用樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、例えば0.01〜3質量%、好ましくは0.3〜2質量%、より好ましくは0.4〜1.0質量%である。量を適切に調整することで、封止用材料としての諸性能を維持しつつ、一層好適な黒色や色味を実現することができる。
黄色染料(d2)および/またはオレンジ染料(d3)を用いる場合、染料(D)全体に対するこれらの比率は、例えば0〜100質量%、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜50質量%である。黄色染料(d2)および/またはオレンジ染料(d3)の量を適切に調整することで、カーボンブラックを用いた従来の封止用樹脂組成物と同様の色味としやすい。
・レーザ光により色味が変化する物質(E)(物質(E))
本実施形態の封止用樹脂組成物は、レーザ光により色味が変化する物質(E)(物質(E))を含む。
物質(E)は、典型的には、レーザ光が照射されることでそれ自身が化学的に変化する(酸化、還元、化学結合の生成または切断など)ことでそれ自身の色が変わるものである。また、物質(E)は、一態様として、レーザ光の照射により白色化する(明度が大きくなる)ものである。
ここで、上記「レーザ光」の波長は、物質(E)の色味を変化させることができるものである限り特に限定されない。レーザは、例えば、YAGレーザ(波長1064nm)、グリーンレーザー(波長532nm、UVレーザ(波長355nm)、ファイバーレーザ(波長1090nm)などであることができる。
物質(E)それ自体は、電子装置の封止の際の加熱での色味の変化が小さいことが好ましい。換言すると、物質(E)は、175℃、4時間の加熱によっても色味の変化が小さく、レーザ光により色味が変化する性質が維持される性質のものであることが好ましい。
物質(E)は、チタンブラック(黒色酸化チタン)を含むことが好ましい。本発明者らの知見として、チタンブラックは、175℃程度の加熱でほとんど色味は変化しないが、レーザ照射により白色化する。
チタンブラック自体、(カーボンブラックには及ばないが)黒色であるため、染料(D)との併用で適度な黒色を得やすいというメリットがある。
また、チタンブラックは、絶縁性が比較的大きい点でも好ましい(電子装置の封止に好ましい)。
チタンブラックとしては、例えば、赤穂化成株式会社のチタン系黒色顔料「Tilack D」などを用いることができる。
物質(E)の平均粒径は、例えば0.1〜5μm、好ましくは0.5〜2μm程度である。粒子の大きさが適当であることで、封止用樹脂組成物としての適度な流動性などを得つつ、捺印性を高めやすい。
物質(E)の量は、封止用樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、例えば0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4質量%、より好ましくは0.8〜2質量%である。量を適切に調整することで、封止用材料としての諸性能を維持しつつ、捺印性を一層高めることができる。
・その他成分
本実施形態の封止用樹脂組成物は、上記(A)〜(E)のいずれにも該当しないその他の成分を含んでもよい。その他の成分として具体的には、硬化促進剤、カップリング剤、離型剤、イオン捕捉剤、難燃剤、酸化防止剤、低応力剤等を挙げることができる。
封止用樹脂組成物がその他の成分を含む場合は、一種のみを含んでもよいし、二種以上を含んでもよい。
硬化促進剤としては、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等のアミジンまたは3級アミン、アミジンまたはアミンの4級塩、などの窒素原子含有化合物を挙げることができる。
これらの中でも、硬化性の向上の点からは、リン原子含有化合物が好ましい。また、成形性と硬化性のバランスを向上させる観点からは、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等の潜伏性を有するものを含むことがより好ましい。
硬化促進剤を用いる場合、その量は、他の成分とのバランス等を考慮し、組成物全体を基準(100質量%)として、下限は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、上限は好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
カップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、フェニルアミノシラン等のアミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を挙げることができる。
これらの中でも、流動性等の観点から、エポキシシランまたはアミノシランを含むことがより好ましく、2級アミノシランを含むことがさらに好ましい。好ましいカップリング剤として具体的には、例えばフェニルアミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
カップリング剤を用いる場合、その量は、他の成分とのバランス等を考慮し、組成物全体を基準(100質量%)として、下限は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、上限は好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
離型剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、酸化ポリエチレンワックス、モンタン酸エステルワックス等の合成ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類、パラフィン、等を挙げることができる。
離型剤を用いる場合、その量は、他の成分とのバランス等を考慮し、組成物全体を基準(100質量%)として、下限は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、上限は好ましくは2.0質量%以下で、より好ましくは1.0質量%以下である。
イオン捕捉剤としては、たとえば、ハイドロタルサイトを挙げることができる。
イオン捕捉剤を用いる場合、封止用樹脂組成物中のイオン捕捉剤の含有量は、電子装置の信頼性を向上させる観点から、組成物全体を基準(100質量%)として、下限は好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、上限は好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ホスファゼンなどを挙げることができる。
難燃剤を用いる場合、封止用樹脂組成物中の難燃剤の含有量は、難燃性の向上と他の性能とのバランスの点から、封止用樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、例えば0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは3〜10質量%である。
低応力剤としては、シリコーンオイル、シリコーンゴム、カルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリルゴム等を挙げることができる。
低応力剤を用いる場合、封止用樹脂組成物中の低応力剤の含有量は、他の性能とのバランスの点から、封止用樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、例えば0.1〜5質量%、好ましくは0.15〜3質量%、より好ましくは0.2〜1質量%である。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、チオエーテル系化合物などを挙げることができる。
酸化防止剤を用いる場合、封止用樹脂組成物中の酸化防止剤の含有量は、他の性能とのバランスの点から、封止用樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、例えば0.1〜5質量%、好ましくは0.15〜3質量%、より好ましくは0.2〜1質量%である。
・組成物の形状
本実施形態の封止用樹脂組成物の形状は、特に限定されない。形状は、例えば粒子状またはシート状である。
粒子状の封止用樹脂組成物として具体的には、タブレット状または粉粒体のものが挙げられる。
封止用樹脂組成物がタブレット状である場合は、例えばトランスファー成形法を用いて封止用樹脂組成物を成形することができる。
封止用樹脂組成物が粉粒体である場合には、例えば、圧縮成形法を用いて封止用樹脂組成物を成形することができる。ここで、封止用樹脂組成物が粉粒体であるとは、粉末状または顆粒状のいずれかである場合を指す。
・硬化物の色
本実施形態の封止用樹脂組成物を、成形温度175℃、硬化時間100秒、成形圧力8MPaの条件で硬化させて得られた硬化物の、L色空間における明度Lの値は、好ましくは29.0〜31.0である。
また、別観点として、本実施形態の封止用樹脂組成物を、成形温度175℃、硬化時間100秒、成形圧力8MPaの条件で硬化させて得られた硬化物の、L色空間におけるbの値は、好ましくは−4.9〜−2.6である。
硬化物のLおよび/またはbが上記数値範囲となるように封止用樹脂組成物を設計することで、カーボンブラックを含む従来の封止用樹脂組成物と同程度の色味(黒色性)を得やすい。かつ/または、レーザ照射して捺印する際のコントラストを高くしやすい。
ここで、Lおよびbの値は、国際照明委員(CIE)の1976年の定義下での値である。L、bは、市販の測色計を用いることで測定することができる。
・組成物の製造方法
本実施形態の封止用樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。
例えば、上述の各成分を、公知の手段で混合し、さらにロール、ニーダーまたは押出機等の混練機で溶融混練し、冷却し、その後に粉砕する方法により得ることができる。
必要に応じて、粉砕後にタブレット状に打錠成形してもよい。
必要に応じて、粉砕後に例えば真空ラミネート成形または圧縮成形によりシート状にしてもよい。
必要に応じて、得られた封止用樹脂組成物の分散度や流動性等を調整してもよい。
<電子装置、その製造方法など>
上述の封止用樹脂組成物を用いて、電子装置を製造することができる。
具体的には、電子部品と、その電子部品を封止する封止材(この封止材は、上述の封止用樹脂組成物の硬化物である)とを備える電子装置を得ることができる。
以下、電子装置の一例を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、電子装置100の構成を示す断面図である。図1に記載の電子装置100は、基板30上に搭載された半導体素子20と、その半導体素子20を封止する封止材50と、を備える。
封止材50は、本実施形態の封止用樹脂組成物を硬化して得られる硬化物により構成される。
図1には、基板30が回路基板である場合が示されている。この場合、図1に示されるように、基板30のうちの半導体素子20を搭載する一面とは反対側の他面には、例えば複数の半田ボール60が形成される。半導体素子20は基板30上に搭載され、かつ、ワイヤ40を介して基板30と電気的に接続される。一方で、半導体素子20は、基板30に対してフリップチップ実装されてもよい。ここで、ワイヤ40は、例えば銅で構成される。
封止材50は、例えば半導体素子20のうちの基板30と対向する一面とは反対側の他面を覆うように半導体素子20を封止する。図1においては、半導体素子20の他面と側面を覆うように封止材50が形成されている。封止材50は、例えば本実施形態の封止用樹脂組成物をトランスファー成形法または圧縮成形法等の公知の方法を用いて成形することにより形成することができる。
上記電子装置100の製造方法としては、例えば、
基板30上に半導体素子20を搭載する工程と、
本実施形態の封止用樹脂組成物を用いて、半導体素子20を封止する封止工程と、
を含む製造方法が挙げられる。
また、電子装置100を、さらに他の基板と電気的に接合した電子装置を製造方法するため、封止工程の後に、リフロー工程を行ってもよい。
図2は、図1とは異なる、電子装置100の構成を示す断面図である。
図2の電子装置100は、基板30としてリードフレームが用いられている。この場合、半導体素子20は、例えば基板30のうちのダイパッド32上に搭載され、かつワイヤ40を介してアウターリード34へ電気的に接続される。また、封止材50は、図1の例と同様にして、本実施形態の封止用樹脂組成物を用いて形成される。
図1または図2における封止材50に対し、レーザを照射することで、捺印(文字や画像の描画)を行うことができる。使用可能なレーザの例は前述したためここでは省略する。レーザの照射条件は、十分判読できる捺印が得られる限り特に限定されないが、例えば、出力0.1〜20W、描画速度1〜1000mm/s、ビーム径1〜100μm等とすることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<封止用樹脂組成物の調製>
以下のようにして、実施例、比較例および参考例の封止用樹脂組成物を調製した。
まず、後掲の表1に記載の各成分を、ミキサーを用いて混合した。次いで、得られた混合物を、ロール混練し、その後冷却し、さらに粉砕した。これにより、粉粒体である封止用樹脂組成物を得た。
用いた各成分の詳細は下記のとおりである。
(無機充填材(シリカ))
・シリカ粒子1:MSV−SF540(株式会社龍森社製、メジアン径13μm)
・シリカ粒子2:SO−C2(アドマテック社製、メジアン径0.5μm)
・シリカ粒子3:SO−C5(アドマテック社製、メジアン径1.6μm)
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂1:NC−3000(日本化薬社製、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、前述の一般式(1)に該当)
・エポキシ樹脂2:1032H60(三菱ケミカル社製、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂)
(硬化剤)
・硬化剤1:GPH−65(日本化薬社製、前述の一般式(1)において、グリシジルオキシ基をヒドロキシに換えた構造に該当)
・硬化剤2:HE910−20(エア・ウオーター社製、トリフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂、前述の一般式(2)において、グリシジルオキシ基をヒドロキシに換えた構造に該当)
(カップリング剤)
・カップリング剤1:KBM−573(信越化学工業社製、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)
(着色剤(染料、レーザ変色物質等))
・カーボンブラック1:カーボン♯5(三菱ケミカル社製)
・レーザ変色物質1:チタンブラック Tilack D(赤穂化成社製、微粒タイプ)
・黒色染料1:PC−5857(オリエント化学工業社、アンスラキノン系)
・黄色/オレンジ染料1:OIL YELLOW 129(オリエント化学工業社、ジスアゾ系)
・黄色/オレンジ染料2:OIL YELLOW 108M(オリエント化学工業社、ジスアゾ系)
・黄色/オレンジ染料3:OIL YELLOW 201M(オリエント化学工業社、ジスアゾ系)
なお、レーザ変色物質1(チタンブラック)を、175℃で4時間加熱しても、実質的な色味の変化は無く、また、レーザ照射により色変化する性質を保持していることを確認した。
(その他調整成分)
公知の難燃剤、硬化促進剤、低応力剤、イオン捕捉剤などの調整成分を、表1に記載の合計量で用いた。
<色味の評価>
各組成物を、圧縮成形法により、成形温度175℃、硬化時間100秒、成形圧力8MPaの条件で硬化させて、短冊形状の硬化物を得た。
得られた硬化物の色味について、(1)参考例のカーボンブラック使用のものと比べて色味の違いが小さく、十分黒いか、または、(2)参考例のカーボンブラック使用のものと色味の違いが大きく、黒いとは言えないかを、目視で観察・判断した。
観察・判断はパネラー5名で行い、3名以上が(1)と判断した場合は表1に「合格」と記載した。一方、3名以上が(2)と判断した場合は表1に「不合格」と記載し、また、参考までにどのような系統の色に見えたかも記載した。
また、硬化物の表面のL値、a値およびbを、カラーリーダーCR−13(コニカミノルタセンシング社製)を用いて測定した。
<捺印性についての評価>
まず、上記「色味の評価」で得た短冊形状の硬化物に対し、EO TECHNICS社製のレーザマーカ「SFL263」(レーザ波長:1064nm)を用いて、周波数20kHz、電流値1.75A、捺印速度400mm/secの条件で、「abc」の文字を捺印した。
次に、捺印された硬化物の捺印面を、以下の方法でスキャンし、得られた画像を以下の条件で2値化(白/黒の二階調化)した。
[スキャン方法]
コピー機を用いてスキャン機能で画像を取り込んだ。装置および条件を以下に示す。
・装置:MX−5140(シャープ社製、コピー・スキャナー・ファックス複合機)
・機能:スキャン(SMB)
・濃度:自動
・解像度:600×600dpi
・フォーマット:JPEG
・カラーモード:フルカラー
・原稿:読み込みサイズ:写真、出力サイズ:自動
[2値化方法]
(1)ImageJ(NIH Image社製)を起動し、スキャンしたファイルを開いた。
(2)レーザーマークが捺印された範囲を、1200*500のピクセルサイズの長方形となるように選択し、選択した範囲の画像を切り抜いた。
(3)切り抜いた領域を以下の条件で帯域フィルタ処理し、ノイズを除去した。
Filter_large structures down to 30 pixels
Filter_small structures up to 3 pixels
Suppress stripes:None
Tolerance of direction;5%
Autoscale after filtering:有効
Saturate image when autoscaling:有効
Display filter:無効
(4)上記(3)で得られた画像を2値化処理した。閾値色を「B&W」(白黒)とし、256階調の66を閾値として、それ以下を黒とした。
(5)捺印部分を135×75のピクセルサイズに切り取った。そして全画素数に対する白色部の画素数の割合(%)を求めた。
この割合が大きいほど、鮮明/高コントラストの画像が得られていることを意味する。
<硬化特性の評価>
封止用樹脂組成物としての基本的な性能を確認するため、硬化特性および硬化物の物性に関する以下評価を行った。以下評価において、トランスファー成形の際には、粉粒体状の組成物を打錠してタブレット状としたうえで、トランスファー成形機にセットした。
(スパイラルフロー)
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、KTS−15)を用いて、ANSI/ASTM D 3123−72に準じたスパイラルフロー測定用金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒の条件にて、封止用樹脂組成物を注入し、流動長を測定した。
スパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい方が、流動性が良好である。
(ゲルタイム)
175℃に設定されたホットプレート上に、各実施例または比較例の封止用樹脂組成物を置いた。試料が溶融した後、ヘラで練りながら、硬化するまでの時間を測定した。
ゲルタイムが短いほど、硬化速度が速いことを示す。
封止用樹脂組成物の組成と、評価結果を、まとめて表1に示す。
Figure 2020132771
実施例1および2の封止用樹脂組成物で形成された硬化物の、色味は「合格」であり、また、捺印性は参考例よりも良好であった。つまり、特定の染料とレーザ光により色味が変化する物質とを含む封止用樹脂組成物を用いることで、捺印性が良好で、かつ、従来の封止用樹脂組成物と同様の色味の封止物を得ることができることが示された。
一方、比較例1の封止用樹脂組成物で形成された硬化物(特定の染料を含まない)の、色味は「不合格」であった。
<追加評価:絶縁性の簡易評価>
十分な量の封止用樹脂組成物(実施例1または2のもの、粉粒体)に対し、2本の銅線を間隔5mmで当てて固定した。そして、2本の銅線間に30Vの電圧をかけて、電流が流れるかどうかを評価した。この評価において、電流は流れなかった。すなわち、実施例1または2の封止用樹脂組成物は、電子装置の封止に求められる基本的な絶縁性を有していることが確認された。
100 電子装置
20 半導体素子
30 基板
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ワイヤ
50 封止材
60 半田ボール

Claims (10)

  1. エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、無機充填材(C)、染料(D)およびレーザ光により色味が変化する物質(E)を含み、全成分中のカーボンブラックの含有量が0.01質量%未満である封止用樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記染料(D)は、黒色染料(d1)を含む封止用樹脂組成物。
  3. 請求項2に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記黒色染料(d1)は、アンスラキノン系染料、アジン系染料、アゾ系染料、ジスアゾ系染料およびクロム錯塩系染料からなる群より選択される一種または二種以上の染料を含む封止用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記染料(D)は、黄色染料(d2)および/またはオレンジ染料(d3)を含む封止用樹脂組成物。
  5. 請求項4に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記黄色染料(d2)および/またはオレンジ染料(d3)が、メチン系染料、ジスアゾ系染料、アゾコバルト錯体系染料およびアゾクロム錯体系染料からなる群より選択される一種または二種以上の染料を含む封止用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記物質(E)は、175℃、4時間の加熱によってもレーザ光により色味が変化する性質が維持される物質である封止用樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記物質(E)は、チタンブラックを含む封止用樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
    当該組成物を、成形温度175℃、硬化時間100秒、成形圧力8MPaの条件で硬化させて得られた硬化物の、L色空間における明度Lの値が、29.0〜31.0である封止用樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
    当該組成物を、成形温度175℃、硬化時間100秒、成形圧力8MPaの条件で硬化させて得られた硬化物の、L色空間におけるbの値が、−4.9〜−2.6である封止用樹脂組成物。
  10. 電子部品と、前記電子部品を封止する封止材とを備える電子装置であって、
    前記封止材は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物である電子装置。
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