JP2020125370A - 光硬化性粘着シート、剥離シート付き光硬化性粘着シート、光硬化性粘着シート付き光学フィルム、画像表示装置構成用積層体及び画像表示装置 - Google Patents

光硬化性粘着シート、剥離シート付き光硬化性粘着シート、光硬化性粘着シート付き光学フィルム、画像表示装置構成用積層体及び画像表示装置 Download PDF

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【課題】耐金属腐食性を有しながら、低温での粘着特性に優れ、かつ、加工性をも兼備する、新たな粘着シートを提供することを目的とする。【解決手段】(メタ)アクリル系共重合体(A)を含有する粘着剤樹脂組成物から形成され、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が異なる、連続する2層以上の粘着剤層を有し、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を実質的に含まず、かつ、該共重合体(A)を構成するモノマー成分として、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー及び窒素原子含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択されるいずれか1つ以上の極性基含有(メタ)アクリレートモノマー(a2)と、該(a2)以外であって、モノマー成分からホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)が−30℃未満である低Tg(メタ)アクリレートモノマー(a1)と、を含み、粘着シートの温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が、100〜500kPa以下であり、かつ、動的粘弾性測定により得られる損失正接(Tanδ)のピーク温度で定義されるガラス転移温度(Tg)が0℃以下である、光硬化性粘着シートとする。【選択図】なし

Description

本発明は、耐金属腐食性、低温での粘着特性及び加工性等に優れた光硬化性粘着シート、並びに、これを用いて成る、剥離シート付き光硬化性粘着シート、光硬化性粘着シート付き光学フィルム、画像表示装置構成用積層体及び画像表示装置に関するものである。
近年、画像表示装置の視認性を向上させるために、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等の画像表示パネルと、その前面側(視認側)に配置する保護パネルやタッチパネル部材との間の空隙を接着剤や粘着シートで充填することにより、入射光や表示画像からの出射光の空気層界面での反射を抑えることが行われている。
このような従来の粘着シートとして、例えば特許文献1〜5に例示されるようなアクリル系粘着シートが用いられてきた。
例えば上記タッチパネル部材は、通常、錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の金属材料で形成された微細配線や透明導電層を有する上部電極板及び下部電極板を備えており、昨今、上記粘着シートに対して、これらの金属材料に対する優れた耐腐食性が求められている。
そこで、例えば特許文献6には、うねりの発生を抑制でき、接着信頼性及び透明性を高度に保ちつつ腐食防止効果に優れた光学部材を効率よく低コストで製造できる粘着シートとして、ベースポリマーと防錆剤とを含有し、上記ベースポリマーが、構成するモノマー成分として酸性基含有モノマーを含有しない又は実質的に含有せず、85℃の弾性率が5.0×10Pa以上であることを特徴とする光学用粘着剤層を有する粘着シートが開示されている。
また、特許文献7には、高温環境下でアウトガスを発生する被着体、例えばポリカーボネート板やアクリル板を被着体として用いた場合にでも接着界面で発生する発泡や浮き剥がれを抑え、同時に金属薄膜の劣化をも抑制することのできる透明粘着テープとして、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を主成分とする粘着剤組成物からなる粘着剤層を有し、粘着剤層は、周波数10Hzでの動的粘弾性スペクトルの損失正接が−20〜20℃の温度領域に極大値を有しており、200℃における剪断貯蔵弾性率が2.5×10Pa以上であり、かつ、ゲル分率が70重量%以上であることを特徴とする透明粘着テープが開示されている。
さらに、特許文献8には、耐白化性、高温での接着信頼性に優れ、さらに段差吸収性にも優れた光学用粘着シートとして、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度が−10℃以上であるモノマーを必須のモノマー成分として形成されたアクリル系ポリマーを含有し、かつ、23℃におけるせん断貯蔵弾性率が0.8×10〜5.0×10Paであるアクリル系粘着剤層を有し、60℃、95%RHの環境下に120時間保存した後の水分率が0.65重量%以上であることを特徴とする光学用粘着シートが開示されている。
国際公開第2010/044229号 国際公開第2011/129200号 国際公開第2012/032995号 国際公開第2013/008565号 国際公開第2015/080097号 特開2015−004048号公報 国際公開第2012/173247号 国際公開第2011/111575号
上記特許文献6〜8に開示されているように、粘着シートによる金属薄膜等の腐食劣化防止の観点から、粘着シート形成材料として、アクリル酸等の酸性基を有するモノマー成分を極力使用しないことが求められている。
また、酸性基を有するモノマー成分を実質的に使用しないことから、粘着シートの耐白化性や接着力向上のために、水酸基を有するモノマー成分や窒素原子を有するモノマー成分を使用せざるを得えない。
さらに、上記のような材料上の制約のもとで、糊はみ出し、段差吸収性、貼り合せ時の気泡や浮きの発生防止のために、室温での弾性率を所定の範囲に調整するには、例えば特許文献8のように、ホモポリマー形成時のガラス転移温度(Tg)が−30℃未満の(メタ)アクリレートモノマーを75質量%以下とするなどして、動的粘弾性の損失正接(Tanδ)のピーク温度で定義される、粘着シートのガラス転移温度(Tg)を比較的高く設定するという手法が提案されてきた。
しかしながら、粘着シートのガラス転移温度(Tg)を比較的高く設定すると、低温での粘着特性に劣るようになり、その結果、冬場及び寒冷地などで使用する際に耐衝撃性が悪くなるという問題が生じることになった。
また、上記特許文献7のように、粘着シートの貯蔵弾性率を極端に高く設定した場合にも、低温での粘着特性が低下し、その結果、落下させた際に剥離したり、冬場の低温環境で使用する際に接着力が低下して剥離したりするなどの問題が生じることになった。
加えて、表示画面の拡大に伴い、例えば携帯電話等の画像表示装置に用いられる粘着シートには、カメラ、ボタン、マイク等が設けられる部分を円形に打ち抜くなどといったように、複雑で細かい形状に打ち抜くことができる打ち抜き加工性が求められる。
そこで、本発明は、耐金属腐食性を有しながら、低温での粘着特性に優れ、かつ、打ち抜き加工性をも兼備する、新たな粘着シートを提供することを目的とするものである。
本発明は、(メタ)アクリル系共重合体(A)を含有する粘着剤樹脂組成物から形成され、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が異なる、連続する2層以上の粘着剤層を有し、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を実質的に含まず、かつ、該共重合を構成するモノマー成分として、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー及び窒素原子含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択されるいずれか1つ以上の極性基含有(メタ)アクリレートモノマー(a2)と、該(a2)以外であって、モノマー成分からホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)が−30℃未満である低Tg(メタ)アクリレートモノマー(a1)と、を含み、粘着シートの温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が、100kPa以上500kPa以下であり、かつ、動的粘弾性測定により得られる損失正接(Tanδ)のピーク温度で定義されるガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることを特徴とする、光硬化性粘着シートを提案する。
本発明の光硬化性粘着シートを形成する際に用いる粘着剤樹脂組成物は、酸性基を有するモノマー成分としてのカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを実質的に含まないから、本発明の光硬化性粘着シートは、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートに由来する構成単位を実質的に含まず、耐金属腐食性に優れたものとすることができる。
また、本発明の光硬化性粘着シートは、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が100kPa以上500kPa以下であるため、裁断加工性や複雑な形状の打ち抜き加工性と各種粘着特性とをバランスよく兼備することができる。
さらに、本発明の光硬化性粘着シートは、動的粘弾性測定により得られる損失正接(Tanδ)のピーク温度で定義されるガラス転移温度(Tg)が0℃以下であるため、低温での粘着力が高く、冬場や寒冷地などで使用する際でも剥離することがなく、また、落下させた際の耐衝撃性(低温耐衝撃特性)にも優れるものである。
上記に加えて、本発明が提案する光硬化性粘着シートは、光により硬化する性質(光硬化性)を有しているため、光硬化前の状態では、柔軟で段差吸収性に優れたものとすることができ、かつ、光硬化することによって凝集力を高めることができるから、冷熱条件での貼合信頼性を優れたものとすることができる。
後述する実施例で行った耐ITO腐食信頼性及び耐Cu腐食信頼性の評価試験方法を説明するための図であり、(A)はITOガラス基板のITOパターンの上面図又は耐腐食信頼性評価用銅ガラス基板の銅パターンの上面図、(B)は耐ITO腐食信頼性評価用ITOガラス基板上に粘着シートを被覆した状態を示した上面図又は耐Cu腐食信頼性評価用銅ガラス基板上に粘着シートを被覆した状態を示した上面図、(C)は耐ITO腐食信頼性評価用サンプルの断面図、(D)は耐Cu腐食信頼性評価用サンプルの断面図である。
<<光硬化性粘着シート>>
本発明の実施形態の一例に係る光硬化性粘着シート(以下「本粘着シート」という。)は、(メタ)アクリル系共重合体(A)を含有する粘着剤樹脂組成物(以下「本樹脂組成物」という。)から形成される2層以上の粘着剤層を有するシートであり、
温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が、100kPa以上500kPa以下であり、かつ、動的粘弾性測定により得られる損失正接(Tanδ)のピーク温度で定義されるガラス転移温度(Tg)(以下、「実測値としてのTg」という。)が0℃以下であるという特徴を有するものである。
なお、本発明においては、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとし、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとする。
これまで、温度25℃での粘着シートの剪断貯蔵弾性率(G’)を高くするためには、該粘着シートの実測値としてのTgを高い設計とせざるを得なかった。
しかしながら、本発明の光硬化性粘着シートは、“温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が比較的高く、かつ、実測値としてのガラス転移温度(Tg)が比較的低い”という相反する性質を有しており、このために低温耐衝撃特性及び打ち抜き加工性を兼備することができる。
上記のとおり、本粘着シートは、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が100kPa以上500kPa以下であり、中でも、裁断加工性や複雑な形状の打ち抜き加工性と各種粘着特性とをバランスよく兼備させる観点から、110kPa以上400kPa以下であることが好ましく、その中でも120kPa以上或いは300kPa以下であることがより好ましく、その中でも140kPa以上或いは200kPa以下であることが特に好ましい。
上記のとおり、本粘着シートは、実測値としてのTgが0℃以下である。中でも、冬場や寒冷地などで使用する際の低温耐衝撃特性の観点から、−5℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがより好ましく、−15℃以下であることが特に好ましい。
なお、下限値は必ずしも制限する意図ではないが、現実的には−40℃以上である。
本粘着シートが、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)を上記範囲に調整し、且つ、実測値としてのTgを上記範囲に調整するには、下述する本樹脂組成物から形成される連続する2層以上の粘着剤層を備えるようにするのが好ましい。但し、これに限定するものではない。
<本粘着剤層>
本粘着シートは、上記の性質を有するために、本樹脂組成物から形成される2層以上の粘着剤層(これら各粘着剤層を総括して「本粘着剤層」と称する)を有し、かつ、該2層以上の粘着剤層は連続する重畳層を構成するのが好ましい。
中でも、本粘着シートにおける前記粘着剤層は、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が異なる2層以上の粘着剤層が連続して積層してなる構成を備えたものであるのが好ましい。
本粘着シートがこのような構成を備えていれば、各粘着剤層に別々の機能を分担させることができるから、例えば、本粘着シートとして上記のような相反する性質を具備することができる。
より具体的には、例えば、連続する2層の架橋剤の量を変えてそれぞれの弾性率を調整したり、各層の組成を変えてガラス転移温度を変えたりするなどして、本粘着シートの性質として“温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が比較的高く、かつ、実測値としてのガラス転移温度(Tg)が比較的低い”という相反する性質を実現することができる。この際、弾性率の高い粘着剤層のみから構成した場合には、打ち抜き加工性には優れるものの、低温での粘着特性や段差吸収性を担保することができない。
その一方で、Tgの低い粘着剤層のみから構成したのでは、低温での粘着特性や段差吸収性には優れるものの、弾性率が低くなり打ち抜き加工性を担保することができない。
そこで異なる層を積層させることで、第1粘着剤層で低温での粘着特性や段差吸収性を、第2粘着剤層で打ち抜き加工性を付与することができるため、これらの相反する性質を具備することができる。
なお、通常、粘着シートが等方性の弾性体である場合、引張弾性率(E’)と剪断貯蔵弾性率(G’)との間には、E’=3G’の関係が成立する。
しかし、本粘着シートのように、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が異なる、連続する2層以上の粘着剤層を有する、すなわち、異方性の弾性体である場合、該関係が成立しない(E’≠3G’)。
したがって、本発明において、本粘着シートが、「温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が異なる、連続する2層以上の粘着剤層を有する」か否かの判断に際しては、温度25℃での引張弾性率(E’)と温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が、E’≠3G’の関係を満足することをもって判断することができる。
より具体的には、本粘着シートのE’/G’が5以上であることが好ましく、より好ましくは7以上或いは100以下であること、さらに好ましくは10以上或いは30以下であることをもって、“温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が異なる、連続する2層以上の粘着剤層を有する”と判断することができる。
<積層構成>
上述した、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が異なる、連続する2層以上の粘着剤層を有する積層構成としては、例えば上記粘着剤層のうち少なくとも1つの層(第1粘着剤層)と他の層(第2粘着剤層)とが連続して積層された構成の2種2層構成、又は、第1粘着剤層、第2粘着剤層及び第1粘着剤層が連続して積層された構成の2種3層構成、又は、第1粘着剤層、第2粘着剤層及び第3粘着剤層が連続して積層された構成の3種3層構成を挙げることができる。これらの中でも、とりわけ、第1粘着剤層、第2粘着剤層及び第1粘着剤層が連続して積層された構成の2種3層構成が好ましい。
なお、上記の第1粘着剤層、第2粘着剤層、第3粘着剤層はいずれも、本粘着剤層に該当するものであり、特定の(メタ)アクリル系共重合体から構成される粘着剤層であり、弾性率が互いに異なる層である。
なお、本粘着シートにおける第1粘着剤層は、少なくとも一方の最表面層を構成する粘着剤層であると定義することができる。
上記積層構成における第1粘着剤層は、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が第2粘着剤層よりも低いことが好ましい。これにより、裁断加工性や複雑な形状の打ち抜き加工性と、低温特性や粘着力などの各種粘着特性をバランスよく兼備させるための設計がしやすくなる。
第1粘着剤層及び第2粘着剤層の温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)を上記のように調整するには、第2粘着剤層に架橋剤をより多く含有させることで、弾性率を高くすればよい。但し、これに限定するものではない。
また、上記積層構成における第1粘着剤層は、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が、本粘着シート全体よりも低いことが好ましい。これにより、裁断加工性や複雑な形状の打ち抜き加工性と、低温特性や粘着力などの各種粘着特性をバランスよく兼備させるための設計がしやすくなる。
かかる観点から、上記積層構成における第1粘着剤層は、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が、本粘着シート全体よりも、10kPa〜500kPa低いことが好ましく、中でも30kPa以上或いは300kPa以下、その中でも100kPa以上200kPa以下の範囲だけ低いことがより一層好ましい。
なお、第1粘着剤層及び本粘着シート全体の温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)を上記のように調整するには、第1粘着剤層と第2粘着剤層に用いる架橋剤や開始剤の配合比を調整したり、各層に用いる(メタ)アクリル系重合体の組成を調整したりすればよい。但し、これに限定するものではない。
(第1粘着剤層)
上記観点から、第1粘着剤層の温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)は0.1kPa〜90kPaであるのが好ましく、中でも1kPa以上或いは70kPa以下、その中でも10kPa以上或いは50kPa以下であるのが好ましい。
第1粘着剤層をこのように形成するためには、架橋剤や開始剤の配合比を調整したり、(メタ)アクリル系重合体の組成を調整したりすればよい。但し、これに限定するものではない。
第1粘着剤層は、さらに段差吸収性を高める観点から、温度70℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が0.01kPa以上70kPa以下であるのが好ましく、中でも0.1kPa以上或いは50kPa以下、その中でも0.5kPa以上或いは15kPa以下であるのが好ましい。
同じく第1粘着剤層は、さらに段差吸収性を高める観点から、温度70℃での損失正接(Tanδ)が0.5以上10以下であることが好ましく、中でも0.65以上或いは3以下、その中でも0.8以上或いは1.3以下であるのがさらに好ましい。
第1粘着剤層をこのように形成するためには、架橋剤の量を調整したり、第1粘着剤層に用いる主剤組成の組成を調整したりすればよい。但し、これに限定するものではない。
また、第1粘着剤層は、さらに耐金属腐食性を高めるために、酸を含まない組成としたり、防錆剤を含む組成としたりしてもよい。
(第2粘着剤層)
他方、第2粘着剤層の温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)は200kPa〜100MPaであるのが好ましく、中でも500kPa以上或いは10MPa以下、その中でも1MPa以上或いは6MPa以下であるのが好ましい。
第2粘着剤層をこのように形成するためには、架橋剤を多く含有させて弾性率を高くしたり、第2粘着剤層に用いる主剤組成の組成を調整して高弾性率化したりすればよい。但し、これに限定するものではない。
第2粘着剤層の主剤すなわち(メタ)アクリル系共重合体(A)を、第1粘着剤層のそれと同じ樹脂に揃えることにより、信頼性を高めることができる。すなわち、第1粘着剤層と第2粘着剤層間の密着力が高まり、より高レベルの信頼性を担保することができる。
(他の層)
本粘着シートは、上述したように、第1粘着剤層及び第2粘着剤層以外の「他の層」を有することもできる。
<厚み比>
本粘着シートは、上記積層構成すなわち、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が異なる第1粘着剤層及び第2粘着剤層を備えている場合、粘着シートに加工性やハンドリング性を付与する観点から、上記第1粘着剤層の厚みt1と、上記第2粘着剤層の厚みt2の比(t2/t1)が、1以上であることが好ましく、中でも1.1以上或いは10以下であることがより好ましく、その中でも1.5以上或いは5以下であることが特に好ましい。
なお、第1粘着剤層、第2粘着剤層及び第1粘着剤層が連続して積層された構成の2種3層構成のような場合、第1粘着剤層の厚みt1は、最外層を構成する2層の合計厚みを表す。
<光硬化性>
本粘着シートは、光硬化性を有するが、「光」とは、具体的には、波長200nm〜780nmの波長領域の光を意味し、「光硬化性」とは、かかる波長領域において硬化性を有することを意味する。本粘着シートが、該光硬化性を有するには、以下の(1)〜(3)で示される何れかの粘着剤層を備えていればよい。
なお、上記積層構成において、第1粘着剤層又は第2粘着剤層等の何れかの粘着剤層が、光硬化性を有していればよい。とりわけ、被着体と貼合した後の信頼性を向上させる観点からは、少なくとも最外層の粘着剤層が光硬化性を有していることが好ましい。
(1) 粘着剤層のうち少なくとも1層は、下述するように、水酸基とイソシアネート基又はアミノ基とイソシアネート基による化学的な結合が形成された(メタ)アクリル系共重合体(A)により予備硬化されてなり、かつ、光開始剤(C)を含む。
(2) 粘着剤層のうち少なくとも1層は、下述するように、ベンゾフェノン構造、ベンジル構造、o−ベンゾイル安息香酸エステル構造、チオキサントン構造、3−ケトクマリン構造、2−エチルアントラキノン構造及びカンファキノン構造から選択される何れか1つ以上の光架橋性構造部位を有する(メタ)アクリル系共重合体(A)により予備硬化されてなる。
(3) 粘着剤層のうち少なくとも1層は、水素引抜型光開始剤(c2)を含む粘着剤樹脂組成物から形成され、該水素引抜型開始剤(c2)により予備硬化されてなる。
(上記(1)による粘着剤層の形成)
上記(1)において、上記光開始剤(C)は、該粘着剤層の全質量、すなわち粘着剤層形成材料の全質量に対して、0.3質量%以上含有することが好ましい。
また、前記光開始剤(C)の含有量は、粘着シートに十分な光硬化性を付与させる観点から、とりわけ0.4質量%以上であることが好ましく、0.6質量%以上であることがより好ましく、0.8%質量以上であることが特に好ましい。
このように、粘着剤層中に光開始剤(C)が活性を有したままで存在することにより、本粘着シートが、光硬化性、すなわち、被着体への貼合後に硬化(本硬化)することができるという、後硬化性を具備することができる。
なお、前記粘着剤層は、連続する2層以上の何れかの層が光硬化性を具備すればよいことから、少なくとも何れかの層に光開始剤(C)が含有されていればよい。
したがって、かかる観点から、光開始剤(C)の含有量は、2層以上の粘着剤層中の各層毎の含有量ではなく、複数の層が積層されて成る粘着剤層全体に含まれる光開始剤(C)の含有量を示す。
上記(1)において、光開始剤(C)としては、開裂型光開始剤(c1)及び水素引抜型光開始剤(c2)のいずれであってもよく、それぞれ単独に使用しても両者を混合して使用してもよく、さらに、各々について1種又は2種以上を併用してもよい。
(上記(2)による粘着剤層の形成)
上記(2)では、粘着剤層の少なくとも1層は、(メタ)アクリル系共重合体(A)の光架橋性構造部位が光照射されることで予備硬化されてなり、また、該光架橋性構造部位は、再度の光照射により本硬化可能であることから、本粘着シートが、光硬化性、すなわち、被着体への貼合後に硬化(本硬化)することができるという、後硬化性を具備することができる。
(上記(3)による粘着剤層の形成)
上記(3)では、粘着剤層の少なくとも1層は、水素引抜型光開始剤(c2)を含む粘着剤樹脂組成物を光照射することで予備硬化されてなり、また、該光開始剤(c2)は、再度の光照射により本硬化可能であることから、本粘着シートが、光硬化性、すなわち、被着体への貼合後に硬化(本硬化)することができるという、後硬化性を具備することができる。
また、上記(3)において、水素引抜型光開始剤(c2)は、上述した(1)の場合と同様に、該粘着剤層の全質量、すなわち粘着剤層形成材料の全質量に対して、0.3質量%含有することが好ましく、0.4質量%以上であることが好ましく、0.6質量%以上であることがより好ましく、0.8質量%以上であることが特に好ましい。
なお、水素引抜型開始剤(c2)の含有量は、上記と同様に、2層以上の粘着剤層中の各層毎の含有量ではなく、複数の層が積層されて成る粘着剤層全体に含まれる水素引抜型開始剤(c2)の含有量を示す。
<<本樹脂組成物>>
本樹脂組成物は、少なくとも(メタ)アクリル系共重合体(A)を含有する樹脂組成物である。
本樹脂組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)以外に、必要に応じて、架橋剤(B)、光開始剤(C)、防錆剤(D)、シランカップリング剤(E)、粘着付与樹脂(F)等の他の成分を含有してもよい。とりわけ、架橋剤(B)及び防錆剤(D)を含むことがより好ましい。
この際、本樹脂組成物は、(メタ)アクリル系共重合体(A)を主成分とすることが好ましい。
ここで、「主成分」とは、各層を形成する粘着剤樹脂組成物のうち最も質量割合の大きな成分を意味する。この際、該主成分の含有割合は、各層を構成する粘着剤樹脂組成物の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100%含む)を占めるものである。
(第1粘着剤層を形成する粘着剤樹脂組成物)
第1粘着剤層を形成する粘着剤樹脂組成物は、粘着力、特に低温での粘着特性を担保させる観点から、架橋剤(B)を含まないことが好ましい。
さらに、第1粘着剤層を形成する粘着剤樹脂組成物は、より高レベルの耐金属腐食性を担保させる観点から、防錆剤を含むことが好ましい。
(第2粘着剤層を形成する粘着剤樹脂組成物)
第2粘着剤層を形成する粘着剤樹脂組成物は、打ち抜き加工性を担保させる観点から、第1粘着剤層よりも架橋剤(B)の含有量が多いことが好ましい。
さらに、第2粘着剤層を形成する粘着剤樹脂組成物は、第1粘着剤層と積層した際により高レベルの信頼性を担保させる観点から、第1粘着剤層と同一の(メタ)アクリル系共重合体を用いることが好ましい。
<(メタ)アクリル系共重合体(A)>
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、本粘着シートが、耐金属腐食性を有しながら、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)を100〜500kPa以下とするために、該共重合体を構成する共重合成分として、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を実質的に含まず、かつ、該共重合を構成するモノマー成分として、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)が−30℃未満である低Tg(メタ)アクリレートモノマー(a1)と、水酸基含有(メタ)アクレートモノマー及び窒素原子含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択されるいずれか1つ以上の極性基含有(メタ)アクリレートモノマー(a2)と、を含むことが好ましい。
なお、「カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を実質的に含まず」とは、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を完全に含まない場合のみならず、(メタ)アクリル系共重合体中に、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位が0.5質量%未満、好ましくは、0.1質量%未満で含むことを包含する意である。
また、本発明において、「(メタ)アクリル系共重合体」とは、アクリル系共重合体及びメタクリル系共重合体を包括する意味であり、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート及びメタクリレートを包括する意味であり、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルを包括する意味である。
上記カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等を挙げることができる。
<低Tg(メタ)アクリレートモノマー(a1)>
上記ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)が−30℃未満である低Tg(メタ)アクリレートモノマー(a1)としては、例えば2−エチルヘキシルアクリレート(Tg;−70℃)、n−ブチルアクリレート(Tg;−55℃)、n−オクチル(メタ)アクリート(Tg;−65℃)、イソオクチルアクリレート(Tg;−54℃)、ノニルアクリレート(Tg;−37℃)、イソノニルアクリレート(Tg;−58℃)イソデシルアクリレート(Tg;−60℃)、イソデシルメタクリレート(Tg;−41℃)、トリデシルアクリレート(Tg;−55℃)、トリデシルメタクリレート(Tg;−40℃)、n−ラウリルメタクリレート(Tg;−65℃)、2−エトキシエチルメタクリレート(Tg;−31℃)、エトキシエトキシエチルアクリレート(エチルカルビトールアクリレート)(Tg;−67℃)等を挙げることができる。これらの中でも、ガラス転移温度やモノマーの汎用性などの観点から、上記共重合成分として、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートからなる群より選択される何れか1つ以上を含むことが好ましい。
上記低Tg(メタ)アクリレートモノマー(a1)は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成する全モノマー成分の合計100質量%中、30質量%以上含むことが好ましく、とりわけ、共重合体としたときのガラス転移温度を調整する観点から、40質量%以上90質量%以下の割合で含むことがより好ましく、45質量%以上80質量%以下の割合で含むことが特に好ましい。
<極性基含有(メタ)アクリレートモノマー(a2)>
上記極性基含有(メタ)アクリレートモノマー(a2)としての水酸基含有(メタ)アクレートモノマーとしては、上記(a1)以外の(メタ)アクリレートモノマーであって、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、上記極性基含有(メタ)アクリレートモノマー(a2)としての窒素原子含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
これらの中でも、上記水酸基含有(メタ)アクレートモノマーとしては、ガラス転移温度やモノマーの汎用性、粘着特性を向上させるために極性を付与する観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される何れか1つ以上を使用することが好ましい。
また、前記窒素原子含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、ガラス転移温度やモノマーの汎用性、粘着特性を向上させるために極性を付与する観点から、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド及びN−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミドからなる群より選択される何れか1つ以上を使用することが好ましい。
上記極性基含有(メタ)アクリレートモノマー(a2)は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成する全モノマー成分の合計100質量%中、3質量%以上含むことが好ましく、とりわけ、共重合化したときのガラス転移温度および粘着特性を向上させるために極性を付与する観点から、5質量%以上50質量%以下の割合で含むことがより好ましく、8質量%以上30質量%以下の割合で含むことが特に好ましい。
(その他の共重合成分)
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、該共重合体を構成する共重合成分として、上記(a1)及び(a2)以外にも、側鎖の炭素数が4〜18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート(a3)、エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー(a4)、側鎖の炭素数が1〜3の(メタ)アクリレートモノマー(a5)等を使用してもよい。
上記側鎖の炭素数が4〜18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート(a3)としては、上記(a1)及び(a2)以外であって、例えばイソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記炭素数が4〜18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート(a3)は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成する全モノマー成分の合計100質量%中、3質量%以上含むことが好ましく、とりわけ、共重合化したときのガラス転移温度を調整する観点から、5質量%以上50質量%以下の割合で含むことがより好ましく、8質量%以上30質量%以下の割合で含むことが特に好ましい。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー(a4)としては、上記(a1)及び(a2)以外であって、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー(a4)は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成する全モノマー成分の合計100質量%中、1質量%以上含むことが好ましく、とりわけ、粘着シートに凝集力や粘着力を付与する観点から、2質量%以上30質量%以下の割合で含むことがより好ましく、3質量%以上15質量%以下の割合で含むことが特に好ましい。
側鎖の炭素数が1〜3の(メタ)アクリレートモノマー(a5)としては、上記(a1)及び(a2)以外であって、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記側鎖の炭素数が1〜3の(メタ)アクリレートモノマー(a5)は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成する全モノマー成分の合計100質量%中、1質量%以上含むことが好ましく、とりわけ、共重合化したときのガラス転移温度を調整する観点から、3質量%以上50質量%以下の割合で含むことがより好ましく、5質量%以上30質量%以下の割合で含むことが特に好ましい。
上述した中でも、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、該共重合体を構成する共重合成分として、上記(a1)及び(a2)以外に、上記(a3)及び/又は(a5)の何れかを含む3成分系乃至4成分系の共重合体であることが、共重合化したときのガラス転移温度や極性を調整して、凝集力や粘着力などの粘着特性をバランスよく付与する観点から特に好ましい。
なお、本発明において、上記共重合成分(a2)〜(a5)のガラス転移温度(Tg)が−30℃未満である場合であっても、これらは低Tg(メタ)アクリレートモノマー(a1)ではなく、(a2)〜(a5)のものとして取り扱うこととする。
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、該共重合体同士による架橋構造を形成して、光硬化性を有する本粘着シートの形状保持性の観点や、温度25℃での本粘着シートの剪断貯蔵弾性率(G’)を上記範囲内とする観点や、本粘着シートの実測値のTgを上記範囲内とする観点から、水酸基とイソシアネート基又はアミノ基とイソシアネート基による化学的な結合が形成されていることが好ましい。
より具体的には、(メタ)アクリル系共重合体(A)が、共重合成分として水酸基含有(メタ)アクリレートを含み、さらに、該水酸基と反応するイソシアネート基を有するイソシアネート系化合物を含む粘着剤樹脂組成物を用い、加熱又は養生させ、(メタ)アクリル系共重合体(A)の側鎖の水酸基と、該イソシアネート系化合物のイソシアネート基とを反応させ、該官能基間で化学的な結合を形成することで、上記粘着剤層を形成する方法や、或いは、(メタ)アクリル系共重合体(A)が、共重合成分としてアミノ基(メタ)アクリレートを含み、上記と同様に、該アミノ基と反応するイソシアネート基を有するイソシアネート系化合物を含む粘着剤樹脂組成物を用い、加熱又は養生させ、(メタ)アクリル系共重合体(A)の側鎖のアミノ基と、該イソシアネート系化合物のイソシアネート基とを反応させ、化学的な結合を形成することで、上記粘着剤層を形成する方法を挙げることができる。
上記イソシアネート系化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート系化合物を挙げることができる。
また、上記イソシアネート基を有する化合物は、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなどのように、さらに、(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性官能基を有していてもよい。
このように、(メタ)アクリル系共重合体(A)が、ラジカル重合性官能基を有することで、該ラジカル重合性官能基による(メタ)アクリル系共重合体(A)同士の架橋反応を利用することにより、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーや架橋剤(B)を用いなくとも光硬化(架橋)後の凝集力が効率よく上がりやすく信頼性に優れる等の利点があるため、より好ましい。
また、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、上記と同様の観点から、光架橋性構造部位を有していることが好ましい。該光架橋性構造部位とは、活性エネルギー線の照射により励起され水素引抜反応を生じさせることでラジカルを発生させることができる構造部位を言う。
より具体的には、前記光架橋性構造部位が、ベンゾフェノン構造、ベンジル構造、o−ベンゾイル安息香酸エステル構造、チオキサントン構造、3−ケトクマリン構造、2−エチルアントラキノン構造及びカンファキノン構造から選択される何れか1つ以上の構造であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル系共重合体(A)が、このような光架橋性構造部位を有することで、光架橋性構造部位により、効率的に(メタ)アクリル系共重合体(A)を硬化(架橋)することができ、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーや架橋剤(B)を用いなくとも光硬化(架橋)後の凝集力が効率よく上がりやすく信頼性に優れる等の利点がある。
(メタ)アクリル系共重合体(A)が、上記の光架橋性構造部位を有するには、共重合成分として、例えば4−アクリロイルオキシベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシエトキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシ−4’−ブロモベンゾフェノン、4−アクリロイルオキシエトキシ−4’−ブロモベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシエトキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシ−4’−ブロモベンゾフェノン、4−メタクリロイルオキシエトキシ−4’−ブロモベンゾフェノン及びこれらの混合物等のベンゾフェノン構造を有する(メタ)アクリレートモノマーを使用すればよい。
このような光架橋性構造部位を有する(メタ)アクリレートモノマーを使用することで、(メタ)アクリル系共重合体(A)中に、光架橋性構造部位を形成することができる。
<架橋剤(B)>
上記架橋剤(B)としては、少なくとも二重結合架橋を有する架橋剤が好ましい。例えば(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アジリジン基、ビニル基、アミノ基、イミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を有する架橋剤を挙げることができ、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記の中でも、上述したとおり、とりわけ(メタ)アクリル系共重合体(A)同士の架橋構造を形成させる観点から、架橋剤(B)として、イソシアネート系化合物を使用することが特に好ましい。
また、上記以外にも、架橋剤(B)としては、炭素−炭素二重結合を有する光重合性化合物、とりわけ、多官能(メタ)アクリレートを用いることも好ましい。
ここで、多官能は2つ以上の架橋性官能基を有するものを指す。
なお、必要に応じて3つ以上、4つ以上の架橋性官能基を有してもよい。
架橋剤(B)として、多官能(メタ)アクリレートを使用することで、多官能モノマー同士が化学的に結合して3次元網目構造からなる化学的な架橋構造を形成するばかりか、この3次元網目構造に鎖状の(メタ)アクリル系共重合体が絡み合うことで、ポリマーの動きが拘束されて物理的な凝集構造すなわち物理的な架橋構造を形成することもできる。
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリングリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の紫外線硬化型の多官能(メタ)アクリル系モノマーの他、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル系オリゴマーを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上述したとおり、本粘着シートは、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が異なる、連続する2層以上の粘着剤層を有するが、該粘着剤層のうちの少なくとも2層が、温度25℃において、異なる剪断貯蔵弾性率(G’)を有するために、いずれかの層が架橋剤(B)を含む粘着剤樹脂組成物から形成されることが好ましい。
また、同様の観点から、前記粘着剤層のうち、いずれかの層が架橋剤(B)を含まない粘着剤樹脂組成物から形成されることが好ましい。
とりわけ、裁断加工性や複雑な形状の打ち抜き加工性と、被着体に貼合した後の信頼性や粘着力を両立する観点から、上述した積層構成において、上記第2粘着剤層は、上記第1粘着剤層よりも架橋剤(B)の含有量が多い粘着剤樹脂組成物から形成されていることが好ましく、さらには、第2粘着剤層は、架橋剤(B)を含む粘着剤樹脂組成物から形成され、かつ、第1粘着剤層は、架橋剤(B)を含まない粘着剤樹脂組成物から形成されることが好ましい。このように、粘着シートを構成する第1粘着剤層及び第2粘着剤層間において架橋度を調整することで、一方の層は実測値としてのTgが低く、かつ、他方の層は、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が高い設計とすることが可能となる。
ただし、上述したように、(メタ)アクリル系共重合体同士の架橋構造により各層の架橋度を調整することも可能であるから、必ずしも架橋剤(B)が必須となるわけではない。
第2粘着剤層に添加する架橋剤(B)の添加量は、(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対して、5重量部以上であることが好ましく、10重量部以上100重量部以下であることがより好ましく、15重量部50重量部以下であることがさらに好ましい。
架橋剤(B)の分子量は、1000以下であることが好ましく、50以上800以下であることがより好ましく、100以上600以下であることがさらに好ましい。
架橋剤(B)が有する1反応性官能基あたりの分子量は、300以下であることが好ましく、30以上250以下であることがより好ましく、60以上150以下であることがさらに好ましい。
架橋剤単体の架橋物のTgが100℃以上、好ましくは200℃以上であることが好ましい。
架橋剤添加量、架橋剤分子量、架橋剤の1反応性官能基あたりの分子量、架橋剤Tgを上記の範囲とすることで、粘着剤層あるいは粘着積層体の弾性率を所定の範囲に調整しやすくなるため、打ち抜き加工性を付与しやすくなる。
<光開始剤(C)>
前記光開始剤(C)は、例えば紫外線や可視光線等の光、より具体的には、波長200nm〜780nmの光を照射することにより活性なラジカル種を発生する化合物を好ましい例として挙げることができる。
光開始剤(C)としては、上述したように、開裂型光開始剤(c1)及び水素引抜型光開始剤(c2)のいずれであってもよく、それぞれ単独に使用しても両者を混合して使用してもよく、さらに、各々について1種又は2種以上を併用してもよい。
開裂型光開始剤(c1)としては、例えば2,2−ジメトキシ−1,2-ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、フェニルグリオキシリック酸メチル、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドや、それらの誘導体などを挙げることができる。
水素引抜型光開始剤(c2)としては、例えばベンゾフェノン、4−メチル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3‘−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイル蟻酸メチル、ビス(2−フェニル−2−オキソ酢酸)オキシビスエチレン、4−(1,3−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、3−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノンやその誘導体などを挙げることができる。
(防錆剤(D))
上記防錆剤(D)としては、含有する防錆剤によって本樹脂組成物の光硬化性を阻害しない観点から、365nmの吸光係数が20mL/g・cm以下、中でも10mL/g・cm以下、その中でも5mL/g・cm以下、その中でも1mL/g・cm以下であるのが特に好ましい。
該特性を有する防錆剤(D)としては、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、チアゾール骨格及びチアジアゾール骨格から選択されるいずれの骨格も有しない、防錆剤が好ましい。該防錆剤(D)が、このような骨格を有しないことで、上記範囲の吸光係数を有することができる。
また、防錆剤(D)は、親水性の化合物であることが好ましい。防錆剤(D)が親水性であると、同じく親水性である(メタ)アクリル系共重合体(A)を含む、本樹脂組成物から形成される粘着剤層において、該防錆剤(D)が動き易いため、例えば銀原子と化学的に結合して保護皮膜を形成することができ、光照射によって光開始剤から発生するラジカルの金属部材、特に銀への攻撃(反応)を抑制することができる。
かかる観点から、25℃における金属腐食防止剤の水溶解度は20g/L以上であるのが好ましく、特に50g/L以上、中でも特に100g/L以上であるのがさらに好ましい。
365nmにおける吸光係数が20mL/g・cm以下であり、かつ、親水性の化合物からなる防錆剤(D)の中でも、トリアゾール系化合物であることが好ましい。
中でも、ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール及び1,2,4−トリアゾールから選択される1種又は2種以上の混合物であるのが特に好ましい。
また、該ベンゾトリアゾールとしては、置換又は無置換のいずれのベンゾトリアゾールであってもよく、例えば1,2,3−ベンゾトリアゾール、メチル−1H−ベンゾトリアゾール等のアルキルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、5−アミノベンゾトリアゾール、5−フェニルチオールベンゾトリアゾール、5−メトキシベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾール、クロロベンゾトリアゾール、ブロモベンゾトリアゾール、フルオロベンゾトリアゾール等のハロゲノベンゾトリアゾール、銅ベンゾトリアゾール、銀ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールシラン化合物等を挙げることができる。
これらの中でも、本樹脂組成物への分散性や添加しやすさ、金属腐食防止効果の観点から、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノールからなる群より選択されるいずれか1種又は2種以上の混合物が好ましい。
さらに、1,2,4−トリアゾールは、融点が約120℃の固体である一方、1,2,3−トリアゾールは融点が約20℃と室温でほぼ液体状態である。よって、1,2,3−トリアゾールは、粘着剤樹脂組成物中に混合する際の分散性に優れ、均一に混合することができ、また、マスターバッチ化しやすい等の優れた利点がある。
上記防錆剤(D)は、上記粘着剤層のうち連続する2層以上の何れかの層に含有されていればよく、その含有量は、粘着剤層の全質量に対して、0.01〜2質量%であるのが好ましく、中でも0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。
(シランカップリング剤(E))
上記シランカップリング剤(E)としては、接着性の向上、中でもガラス材に対する接着力を高める観点から、例えばビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基等とともに、アルコキシ基のような加水分解可能な官能基を有する化合物を挙げることができる。
シランカップリング剤の具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を例示することができる。中でも、とりわけ、接着性が良好であり、黄変等の変色が少ないこと等の観点から、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又はγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを好ましく用いることができる。
前記シランカップリング剤(E)は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記シランカップリング剤(E)は、上記粘着剤層のうち連続する2層以上の何れかの層に含有されていればよく、その含有量は、粘着剤層の全質量に対して、0.01〜2質量%であるのが好ましく、中でも0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。
(粘着付与樹脂(F))
上記粘着付与樹脂(F)としては、例えばロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、石油系粘着付与樹脂、スチレン系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂等が挙げられる。これらの中でも、とりわけ、ロジン系粘着付与樹脂が好ましく、該ロジン系粘着付与樹脂としては、ロジンエステル樹脂、不均化ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、重合ロジンエステル樹脂等のロジンエステル系樹脂が好ましい。
前記粘着付与樹脂(F)は、1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記粘着付与樹脂(F)は、上記粘着剤層のうち連続する2層以上の何れかの層に含有されていればよく、その含有量は、粘着剤層の全質量に対して、1〜40質量%であるのが好ましく、中でも3〜20質量%であるのがさらに好ましい。
(その他の成分)
本樹脂組成物は、上記以外の成分として、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、老化防止剤、吸湿剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、無機粒子などの各種の添加剤を適宜含有させることが可能である。
<本粘着シートの物性>
本粘着シートは、粘着シートの加工性や保管安定性と、貼合時の粘着力や段差吸収性を兼備させる観点から、温度70℃での損失正接(Tanδ)が0.45以上0.75以下であることが好ましく、中でも0.48以上或いは0.70以下、その中でも0.50以上或いは0.60以下であるのがさらに好ましい。
このように調製するには、各粘着剤層の架橋剤や開始剤の配合部数、あるいは予備硬化時の光量を増減させることで、粘着剤層の硬化度を調整したり、第1粘着剤層と第2粘着剤層の厚み(比)を調整したりすればよい。但し、これらの方法に限定するものではない。
<本粘着シートの製造方法>
本粘着シートを製造する方法の一例について説明する。
先ず、第1粘着剤層、第2粘着剤層等を形成する本樹脂組成物をそれぞれ調製する。
具体的には、(メタ)アクリル系共重合体(A)、必要に応じて架橋剤(B)、光開始剤(C)、防錆剤(D)及びシランカップリング剤(E)、さらにその他の材料等を、それぞれ所定量混合して、それぞれの層を形成する本樹脂組成物を調整する。
この際の混合方法としては、特に制限されず、各成分の混合順序も特に限定されない。
また、本樹脂組成物製造時に熱処理工程を入れてもよく、この場合は、予め、該組成物の各成分を混合してから熱処理を行うことが望ましい。
また、各種の混合成分を濃縮してマスターバッチ化したものを使用してもよい。
混合する際の装置も特に制限されず、例えば万能混練機、プラネタリミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、ゲートミキサー、加圧ニーダー、三本ロール、二本ロールを用いることができる。必要に応じて溶剤を用いて混合してもよい。
なお、本樹脂組成物は、溶剤を含まない無溶剤系として使用することできる。無溶剤系として使用することで溶剤が残存せず、耐熱性及び耐光性が高まるという利点を備えることができる。
本粘着シートは、上述したように調整した本樹脂組成物を、剥離シート上に塗布(塗工)して、第1粘着層を形成し、形成した第1粘着層上に第2粘着剤層形成用本樹脂組成物を塗布(塗工)して第2粘着剤層を形成し、さらに形成した第2粘着剤層上にさらに第1粘着層を形成する方法や、前記と同様にして第1粘着剤層及び第2粘着層を形成しておき、その後、それぞれの塗布(塗工)面同士を貼り合せる方法や、本樹脂組成物を多層コーティングや共押出成形により第1粘着剤層、第2粘着層を同時に形成する方法により、本粘着シートを作製することができる。
<剥離シート付き光硬化性粘着シート>
本発明の実施形態の一例に係る剥離シート付き光硬化性粘着シートは、本粘着シートの少なくとも一面側に剥離シートを有するものである。
前記剥離シートの材質としては、公知のフィルムを適宜用いることができる。例えばポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、フッ素樹脂フィルム等のフィルムに、シリコーン樹脂を塗布して離型処理したものや、離型紙などを適宜選択して用いることができる。
本粘着シートの両側に剥離シートを積層する場合、一方の剥離シートは、他方の剥離シートと同じ積層構成乃至材料のものであっても、異なる積層構成乃至材料のものであってもよい。
また、同じ厚さであっても、異なる厚さであってもよい。
また、剥離力の異なる剥離フィルムや厚さの異なる剥離フィルムを本粘着シートの両側に積層することができる。
剥離シートの厚みは特に制限されない。中でも、例えば加工性及びハンドリング性の観点からは、25μm〜500μmであるのが好ましく、その中でも38μm以上或いは250μm以下、その中でも50μm以上或いは200μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、本粘着シートは、上記のように剥離シートを使用せずに、例えば本樹脂組成物を直接に押出成形する方法や、型に注入することによって成形する方法を採用することもできる。
また、被着体である画像表示装置用構成部材間に本樹脂組成物を直接充填することによって、本粘着シートの態様とすることもできる。
<<光硬化性粘着シート付き光学フィルム>>
本発明の実施形態の一例に係る光硬化性粘着シート付き光学フィルムは、剥離シートと、本粘着シートと、光学フィルムとをこの順に有するものである。
前記光学フィルムとしては、偏光フィルム、位相差フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム及び輝度向上フィルムからなる群より選択される何れかを挙げることができる。
<<本積層体>>
本発明の実施形態の一例に係る画像表示装置構成用積層体(以下「本積層体」という)は、本粘着シートが、2つの画像表示装置構成用部材を介して積層されて成る構成を有するものである。
本積層体において、2つの画像表示装置用構成部材としては、偏光板、液晶表示パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネル、プラズマ表示パネル、タッチパネル及び保護パネル等からなる群より選択される何れかの部材を挙げることができる。
本積層体の具体例としては、例えば剥離シート/本粘着シート/タッチパネル、液晶表示パネル、有機ELパネル、プラズマ表示パネル等の各種画像表示パネル(以下、総称して「画像表示パネル」という)/本粘着シート/タッチパネル、画像表示パネル/本粘着シート/タッチパネル/本粘着シート/保護パネル、偏光板/本粘着シート/タッチパネル、偏光板/本粘着シート/タッチパネル/本粘着シート/保護パネルなどの構成を挙げることができる。
上記タッチパネルとしては、保護パネルにタッチパネル機能を内在させた構造体や、画像表示パネルにタッチパネル機能を内在させた構造体も含む。
よって、本積層体は、例えば剥離シート/本粘着シート/保護パネル、剥離シート/本粘着シート/画像表示パネル、画像表示パネル/本粘着シート/保護パネルなどの構成であってもよい。
また、上記の構成において、本粘着シートと、これと隣接するタッチパネル、保護パネル、画像表示パネル、偏光板等の部材との間に前記の導電層を介入する全ての構成を挙げることができる。但し、これらの積層例に限定されるものではない。
なお、上記タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、電磁誘導方式等の方式のものを挙げることができる。中でも静電容量方式であることが好ましい。
上記保護パネルの材質としては、ガラスの他、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィンポリマー等の脂環式ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等のプラスチックであってもよい。
<本積層体の製造方法>
本積層体は、例えば本粘着シートと偏光板、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、プラズマ表示パネル、タッチパネル及び保護パネルからなる群より選択される何れかの部材とを貼り合せて製造することができる。
より具体的には、本粘着シートと、上記部材とを貼り合せた後、該部材の外側から該部材を介して、光を照射し、本粘着シートの粘着剤層を本硬化させて、2つの部材を貼合させることにより、本積層体を製造することができる。
本積層体の製造において、本粘着シートが、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が500kPaを超え1,000kPa未満の範囲となるように、本粘着シートを本硬化させることが、本硬化後の信頼性を高めたり、粘着シートに凹凸が転写するのを抑えたりする観点から、とりわけ好ましい。すなわち、積層後の本粘着シート、つまり光照射して本硬化させた後の本粘着シートは、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が500kPaを超え1,000kPa未満であるのが好ましい。
また、積層後の本粘着シート、すなわち、本粘着シートと上記部材とを貼り合せて積層し、光照射した後(本硬化後)本粘着シートは、温度70℃での本粘着シートの損失正接(Tg)は、0.15以上0.45未満であることが、本硬化後の信頼性を高めたり、厚み方向に圧縮された際の変形を抑えたりする観点から、とりわけ好ましい。
本粘着シートが、このような本硬化性を具備するには、本樹脂組成物から形成される粘着剤層を有することが好ましく、とりわけ、水酸基とイソシアネート基又はアミノ基とイソシアネート基による化学的な結合が形成されている(メタ)アクリル系共重合体(A)を使用したり、ベンゾフェノン構造、ベンジル構造、o−ベンゾイル安息香酸エステル構造、チオキサントン構造、3−ケトクマリン構造、2−エチルアントラキノン構造及びカンファキノン構造から選択される何れか1つ以上の光架橋性構造部位を有する(メタ)アクリル系共重合体を使用したり、架橋剤(B)を含む粘着剤樹脂組成物を使用したりすることにより形成された粘着剤層を有することが好ましい。
なお、本粘着シートを介して2つの部材を貼り合せる方法は、特に制限されず、いずれか一方の部材を本粘着シートと貼り合せた後に、他方の部材と貼り合せてもよく、また、2つの部材を同時に本粘着シートと貼り合せてもよい。
<<本画像表示装置>>
本発明の実施形態の一例に係る画像表示装置(以下「本画像表示装置」という)は、本積層体を有するものである。
本画像表示装置の具体例としては、本積層体を備えた液晶ディスプレイ、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー、プラズマディスプレイ及びマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ディスプレイを挙げることができる。
<<語句の説明>>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[材料評価]
<水酸基価>
共重合体の水酸基価は中和滴定法にて測定を行った。
三角フラスコにサンプルを採取し、無水酢酸:ピリジン=1:13混合溶液をホールピペットで10ml添加し、さらにトルエン10mlを添加した。
三角フラスコの上部に空冷管を付け、95℃で90分加熱した。
加熱後、トルエン10mlと純水10mlを加え、撹拌しながら放冷し、室温まで冷却した。
その後、フェノールフタレイン溶液を数滴加え、0.1mol/L水酸化カリウム溶液で滴定を行った。
また空試験として、三角フラスコにサンプルを採取せずに、上記と同様の作業を実施した。
以下計算式に基づき、水酸基価を算出した。
計算式
水酸基価=5.611×(空試験に用いた水酸化カリウム溶液量(ml)−滴定に用いた水酸化カリウム溶液量(ml))×F/採取したサンプル量(g)+酸価
<質量平均分子量>
共重合体の質量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)分析装置(装置名:東ソー社製HLC−8320GPC)を用いて測定した。具体的には、4mgの共重合体に対して、THF12mLを用いて溶解させたものを測定試料とし、下記の条件で分子量分布曲線を測定し、重量平均分子量(Mw)を求めた。
・ガードカラム:TSKguardcolumnHXL
・分離カラム:TSKgelGMHXL(4本)
・温度:40℃
・注入量:100μL
・ポリスチレン換算
・溶媒:THF
・流速:1.0mL/min
<ガラス転移温度>
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、レオメータ(TA Instruments社製、「DiscoveryHR2」)を用いて測定した。具体的には、粘着治具:Φ8mmパラレルプレート、歪み:0.1%、周波数:1Hz、温度:−50〜80℃、昇温速度:5℃/minの条件で、−50℃〜80℃の温度範囲で動的粘弾性スペクトルを測定し、得られたデータから、損失正接(Tanδ)が極大値となる温度を読み取ることでTgを求めた。
<実施例1>
(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg;−70℃)/2−ヒドロキシエチルアクリレート/メチルアクリレートからなる共重合体(A−1、質量平均分子量44万、Tg−23℃、水酸基価67.4mgKOH/g)1kgと、開始剤(C)として、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−メチルベンゾフェノンの混合物(C−1)12gと、防錆剤(D)として、1,2,3−トリアゾール(D−1)2gとを均一に溶融混錬し、粘着剤樹脂組成物1を作製した。
なお、金属腐食防止剤としての1,2,3−トリアゾール(D−1)は、365nmでの吸光係数は0.3mL/(g・cm)であり、25℃における水溶解度は1000g/Lより高かった。
(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)として、(A−1)1kgと、架橋剤(B)として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(B−1)220gと、開始剤(C)として、(C−1)10gとを均一に溶融混錬し、粘着剤樹脂組成物2を作製した。
上記粘着剤樹脂組成物1を、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRF」、厚さ75μm/三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ25μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、表層用粘着シート(1−1)を作製した。
上記粘着剤樹脂組成物2を、剥離処理した2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRF」、厚さ75μm/三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ100μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、中層用粘着シート(2−1)を作製した。
中間層用シート(2−1)の両側のPETフィルムを順次剥離除去すると共に、表層用シート(1−1)の粘着面を両表面に順次貼合し、粘着シート(1−1)/(2−1)/(1−1)からなる積層体を作製した。
前記表層用シート(1−1)の表面に残るPETフィルムを介して、波長365nmの積算光量が1000mJ/cmとなるように高圧水銀ランプにて光を照射し、予備硬化させて、透明両面粘着シート積層体1を作製した。
なお、透明両面粘着シート積層体1において、表層の温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)は、中層のそれよりも低く、いずれの層も、光照射により光硬化する余地が残されていた(予備硬化品)。
<実施例2>
(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)として、(A−1)1kgと、架橋剤(B)として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(B−1)250gと、開始剤(C)として、(C−1)10gとを均一に溶融混錬し、粘着剤樹脂組成物3を作製した。
上記粘着剤樹脂組成物1を、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRF」、厚さ75μm/三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ25μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、表層用粘着シート(1−2)を作製した。
上記粘着剤樹脂組成物3を、剥離処理した2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRF」、厚さ75μm/三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ100μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、中層用粘着シート(3−2)を作製した。
中間層用シート(3−2)の両側のPETフィルムを順次剥離除去すると共に、表層用シート(1−2)の粘着面を両表面に順次貼合し、粘着シート(1−2)/(3−2)/(1−2)からなる積層体を作製した。
前記1−2の表面に残るPETフィルムを介して、波長365nmの積算光量が1000mJ/cmとなるように高圧水銀ランプにて光を照射し、予備硬化させて、透明両面粘着シート積層体2を作製した。
なお、透明両面粘着シート積層体2において、表層の温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)は、中層のそれよりも低く、いずれの層も、光照射により光硬化する余地が残されていた(予備硬化品)。
<実施例3>
(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)として、(A−1)1kgと、架橋剤(B)として、(B−1)180gと、開始剤(C)として、(C−1)10gとを均一に溶融混錬し、粘着剤樹脂組成物4を作製した。
上記粘着剤樹脂組成物1を、剥離処理された2枚の剥離シートとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRF」、厚さ75μm/三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ25μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、表層用粘着シート(1−3)を作製した。
上記粘着剤樹脂組成物4を、剥離処理した2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRF」、厚さ75μm/三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ100μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、中層用粘着シート(4−3)を作製した。
中間層用シート(4−3)の両側のPETフィルムを順次剥離除去すると共に、表層用シート(1−3)の粘着面を両表面に順次貼合し、粘着シート(1−3)/(4−3)/(1−3)からなる積層体を作製した。
前記表層用シート(1−3)の表面に残るPETフィルムを介して、波長365nmの積算光量が1000mJ/cmとなるように高圧水銀ランプにて光を照射し、予備硬化させて、透明両面粘着シート積層体3を作製した。
なお、透明両面粘着シート積層体3において、表層の温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)は、中層のそれよりも低く、いずれの層も、光照射により光硬化する余地が残されていた(予備硬化品)。
<実施例4>
(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)として、(A−1)1kgと、開始剤(C)として、(C−1)12gと、防錆剤(D)として、1,2,4−トリアゾール(D−2)2gとを均一に溶融混錬し、粘着剤樹脂組成物5を作製した。
なお、金属腐食防止剤としての1,2,4−トリアゾール(D−2)は、365nmでの吸光係数は0.3mL/(g・cm)であり、25℃における水溶解度は1000g/Lより高かった。
上記粘着剤樹脂組成物5を、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRF」、厚さ75μm/三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ15μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、表層用粘着シート(5−4)を作製した。
上記粘着剤樹脂組成物2を、剥離処理した2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRF」、厚さ75μm/三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)で挟み、厚さ120μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、中層用粘着シート(2−4)を作製した。
中間層用粘着シート(2−4)の両側のPETフィルムを順次剥離除去すると共に、表層用粘着シート(5−4)の粘着面を両表面に順次貼合し、粘着シート(5−4)/(2−4)/(5−4)からなる積層体を作製した。
前記表層用粘着シート(5−4)の表面に残るPETフィルムを介して、波長365nmの積算光量が1000mJ/cmとなるように高圧水銀ランプにて光を照射し、予備硬化させて、透明両面粘着シート積層体4を作製した。
なお、透明両面粘着シート積層体4において、表層の温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)は、中層のそれよりも低く、いずれの層も、光照射により光硬化する余地が残されていた(予備硬化品)。
<実施例5>
(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)として、(A−1)1kgと、架橋剤(B)として、(B−2)1gと、開始剤(C)として、(C−1)12gとを均一に溶融混錬し、粘着剤樹脂組成物6を作製した。
上記粘着剤樹脂組成物6を、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRF」、厚さ75μm/三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ35μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、表層用粘着シート6−5を作製した。
上記粘着剤樹脂組成物2を、剥離処理した2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRF」、厚さ75μm/三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ80μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、中層用粘着シート(2−5)を作製した。
中間層用粘着シート(2−5)の両側のPETフィルムを順次剥離除去すると共に、表層用粘着シート(6−5)の粘着面を両表面に順次貼合し、粘着シート(6−5)/(2−5)/(6−5)からなる積層体を作製した。
表層用粘着シート(6−5)の表面に残るPETフィルムを介して、波長365nmの積算光量が1000mJ/cmとなるように高圧水銀ランプにて光を照射し、予備硬化させて、透明両面粘着シート積層体5を作製した。
なお、透明両面粘着シート積層体5において、表層の温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)は、中層のそれよりも低く、いずれの層も、光照射により光硬化する余地が残されていた(予備硬化品)。
<比較例1>
(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg;−70℃)/2−ヒドロキシアクリレート/メチルアクリレートからなる共重合体(A−2、質量平均分子量28万、Tg2℃、水酸基価68.6mgKOH/g)1kgと、架橋剤(B)として(B−2)15gと、開始剤(C)として、(C−1)18gと、防錆剤(D)として、(D−1)2gとを均一に溶融混錬し、粘着剤樹脂組成物7を作製した。
上記粘着剤樹脂組成物7を、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(「ダイアホイルMRF」厚さ75μm/「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)、すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ150μmとなるように温度80℃でシート状に賦形し、一方のポリエチレンテレフタレートフィルム側から、波長365nmの積算光量が3000mJ/cmとなるように高圧水銀ランプにて光を照射し、予備硬化させて、透明両面粘着シート6を作製した。
なお、透明両面粘着シート6における粘着層は、光照射により光硬化する余地が残されていた(予備硬化品)。
<比較例2>
上記粘着剤樹脂組成物1を、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(「ダイアホイルMRF」厚さ75μm/「ダイアホイルMRT」厚さ38μm)すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ150μmとなるように温度80℃でシート状に賦形し、一方のポリエチレンテレフタレートフィルム側から、波長365nmの積算光量が1000mJ/cmとなるように高圧水銀ランプにて光を照射し、予備硬化させて、透明両面粘着シート7を作製した。
なお、透明両面粘着シート7における粘着層は、光照射により光硬化する余地が残されていた(予備硬化品)。
<比較例3>
上記粘着剤樹脂組成物2を、剥離処理した2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(「ダイアホイルMRF」厚さ75μm/「ダイアホイルMRT」厚さ38μm)すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ150μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、一方のポリエチレンテレフタレートフィルム側から、波長365nmの積算光量が1000mJ/cmとなるように高圧水銀ランプにて光を照射し、予備硬化させて、透明両面粘着シート8を作製した。
なお、透明両面粘着シート8における粘着層は、光照射により光硬化する余地が残されていた(予備硬化品)。
<比較例4>
(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)として、(A−1)1kgと、架橋剤(B)として、プロポキシ化ペンタエリストールトリアクリレート(B−3)100gと、開始剤(C)として、(C−1)10gとを均一に溶融混錬し、粘着剤樹脂組成物8を作製した。
上記粘着剤樹脂組成物5を、剥離処理した2枚のポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRF」、厚さ75μm/三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)すなわち2枚の剥離シートで挟み、厚さ35μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、表層用粘着シート(5−9)を作製した。
上記粘着剤樹脂組成物8を、剥離処理した2枚の剥離シートとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRF」、厚さ75μm/三菱ケミカル社製「ダイアホイルMRT」、厚さ38μm)、すなわち、剥離シートで挟み、厚さ80μmとなるように、温度80℃でシート状に賦形し、中間層用粘着シート(8−9)を作製した。
中間層用粘着シート(8−9)の両側のPETフィルムを順次剥離除去すると共に、表層用粘着シート(5−9)の粘着面を両表面に順次貼合し、粘着シート(5−9)/(8−9)/(5−9)からなる積層体を作製した。
前記表層用粘着シート(5−9)の表面に残るPETフィルムを介して、波長365nmの積算光量が1800mJ/cmとなるように高圧水銀ランプにて光を照射し、予備硬化させて、透明両面粘着シート積層体6を作製した。
なお、透明両面粘着シート積層体6において、いずれの層も、光照射により光硬化する余地が残されていた(予備硬化品)。
[物性評価]
実施例・比較例で得た、透明両面粘着シート積層体及び透明両面粘着シートの物性を、次のようにして測定した。
<貯蔵弾性率G’及び損失正接Tanδ>
実施例及び比較例で作製した予備硬化品、すなわち硬化前の透明両面粘着シート積層体1〜6及び透明両面粘着シート6〜8(以下、総称して「硬化前透明両面粘着シート」という。)のそれぞれについて、2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥し、粘着剤層を厚さ0.6〜0.8mmになるように積層して、直径8mmの円状に打ち抜いたものを測定試料とした。
レオメータ(TA Instruments社製、「DiscoveryHR2」)を用いて、粘着治具:Φ8mmパラレルプレート、歪み:0.1%、周波数:1Hz、温度:−50〜200℃、昇温速度:5℃/minの条件で、−50℃〜200℃の温度範囲で動的粘弾性スペクトルを測定し、得られたデータから、温度25℃及び70℃における、硬化前透明両面粘着シートの貯蔵弾性率G’並びに損失正接(Tanδ)を求めた。
また、Tanδが極大値となる温度すなわちピーク温度を読み取ることで、硬化前透明両面粘着シートの実測値としてのTgを求めた。
次に、波長365nmの積算光量が3000mJ/cmとなるように、上記硬化前透明両面粘着シートを高圧水銀ランプにて光を照射し光硬化させることで、硬化後の透明両面粘着シートを準備した。
前記硬化後の透明両面粘着シートのそれぞれ(以下、総称して「硬化後透明両面粘着シート」という。)について、上記と同様に、2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥した粘着剤層を、厚さ0.6〜0.8mmになるように積層し、硬化前透明両面粘着シートと同様の測定条件で、−50℃〜200℃の温度範囲で動的粘弾性スペクトルを測定し、得られたデータから、温度25℃及び70℃における、硬化後透明両面粘着シートの貯蔵弾性率G’並びに損失正接(Tanδ)を求めた。
また、Tanδが極大値となる温度すなわちピーク温度を読み取ることで、硬化後透明両面粘着シートの実測値としてのTgを求めた。
<引張弾性率(E’)>
引張り法で求める25℃における引張貯蔵弾性率(E’)は、実施例及び比較例で作製した予備硬化品、すなわち硬化前の透明両面粘着シート積層体1〜6及び透明両面粘着シート6〜8(以下、総称して「硬化前透明両面粘着シート」という。)のそれぞれについて、試料寸法:巾4mm×長15mmに裁断し、動的粘弾性測定装置(アイティ計測制御株式会社製、itkDVA-200)を用いて、引張モード:振動周波数1Hz、測定温度:0℃から80℃、昇温速度:3℃/分の速度で、25℃における引張貯蔵弾性率E’を測定した。
次に、波長365nmの積算光量が3000mJ/cmとなるように、上記硬化前透明両面粘着シートを高圧水銀ランプにて光を照射し光硬化させることで、硬化後の透明両面粘着シートを準備した。前記硬化後の透明両面粘着シートのそれぞれ(以下、総称して「硬化後透明両面粘着シート」という。)について、上記と同様に、試料寸法:巾4mm×長15mmに裁断し、動的粘弾性測定装置(アイティ計測制御株式会社製、itkDVA-200)を用いて、引張モード:振動周波数1Hz、測定温度:0℃から80℃、昇温速度:3℃/分の速度で、25℃における硬化後の引張貯蔵弾性率E’を測定した。
<裁断加工性>
前記硬化前透明両面粘着シートそれぞれについて、剥離シートを積層したままトムソン打抜機を用いて50×50mmにカットした。
片面剥離シートを剥離したのち、粘着剤層のみを30×30mmにカットし、改めて剥離した片面剥離シートをロールで貼り合わせることで、両面剥離シートが50×50mm、粘着剤層が30×30mmの裁断加工品を100枚作製した。
さらに、30×30mmの裁断加工品の中央部を、2mmφの円形状に剥離シートごと打ち抜いた。
剥離シート剥離時に糊が糸引きしたり、泣き別れが生じたりしたものを不良品とし、不良品が10枚を超えたものを「×(poor))」、不良品が10枚以下に抑えられたものを「○(good)」、さらに不良品が1枚以下に抑えられたものを「◎(very good)」と判定した。
<複雑な形状の打抜加工性>
裁断加工性評価で作製した30×30mmの裁断加工品の中央部を、3mmφの円形状及び3×3mmの正方形状に剥離シートごと打ち抜き、打ち抜いた箇所の状態を観察した。
打ち抜いた箇所又はその周辺の粘着形状が凹んだり潰れたりしたもの、或いは打ち抜き後のカスを取り除く際に粘着剤が付着してうまく取り除けなかったものを不良品とし、不良品が10枚を超えたものを「×(poor)」、不良品が10枚以下に抑えられたものを「○(good)」と判定した。
<粘着力>
前記硬化前透明両面粘着シートそれぞれについて、一方の剥離シートを剥離し、裏打ちフィルムとして100μmのPETフィルム(三菱ケミカル社製ダイアホイルT100)を貼合した。
これを長さ150mm、巾10mmに裁断した後、残りの剥離シートを剥がして露出した粘着面をソーダライムガラスにロール圧着し、貼合品とした。
該貼合品にオートクレーブ処理(60℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着した。
この試料に、PETフィルム面から、高圧水銀ランプを用いて365nmの紫外線を積算光量が3000mJ/cmとなるように照射した後、温度23℃、50%RHで12時間養生することで、接着力測定用サンプルを作製した。
該サンプルについて、温度−20℃又は温度23℃、50%RHの環境で、剥離角180°、剥離速度60mm/分で引き剥がしたときの剥離力(N/cm)を測定した。
そして、1N/cm未満で容易に剥がれるものを「×(poor)」、1N/cm以上3N/cm以下のものを「○(good)」3N/cm以上のものを「◎(very good)」と判定した。
<段差吸収性>
前記硬化前透明両面粘着シートそれぞれについて、剥離シートを積層したままトムソン打抜機を用いて50×80mmにカットした。
片側の剥離シートを剥離し、露出した粘着面を、周縁部5mmに厚さ15μm又は30μmの印刷を施したソーダライムガラス(82mm×54mm×厚さ0.5mm)の印刷面に、粘着シートの4辺が印刷段差にかかるようにして、真空プレス機を用いてプレス圧着した(温度25℃、プレス圧0.1MPa)。
次いで残る剥離シートを剥がし、印刷段差のないソーダライムガラス(82mm×54mm×厚さ0.5mm)をプレス貼合した後、オートクレーブ処理(60℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着し、段差付ガラス/粘着シート/ガラス積層体を作製した。
作製した該積層体を目視観察した。
印刷段差近傍で粘着シートが追従せず気泡が残ってしまい、印刷段差貼合には適さないものを「△(usual)」、印刷段差15μmには気泡がなく外観良好に貼合できたが30μmには気泡が残ったものを「○(good)」、印刷段差15μmと30μmともに気泡がなく外観良好に貼合できたものを「◎(very good)」と判定した。
<貼合信頼性>
段差吸収性評価に使用した、印刷段差15μm付のソーダライムガラスと、前記硬化前透明両面粘着シートと、印刷段差のないソーダライムガラスとを貼合したサンプルに、印刷段差付のソーダライムガラス側から、高圧水銀ランプを用いて、365nmの紫外線を積算光量が3000mJ/cmとなるように照射した後、温度23℃、50%RHの環境下で12時間養生することで、貼合信頼性評価用サンプル1を、各3枚作製した。
なお、前記硬化前透明両面粘着シートのうち透明両面粘着シート7については、印刷段差に気泡なく貼合できなかったため、貼合信頼性評価は行わなかった。
さらに、前記透明両面粘着シート7を除く前記硬化前透明両面粘着シートの一方の剥離シートを剥離し、厚さ150μの偏光板に貼合した後、残りの剥離シートを剥がして露出した粘着面を100×150mmのソーダライムガラスにロール圧着し、貼合品を得た。
該貼合品にオートクレーブ処理(60℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着した。この試料に、ガラス面から、高圧水銀ランプを用いて365nmの紫外線を積算光量が3000mJ/cmとなるように照射した後、23℃50%RHで12時間養生することで、貼合信頼性評価用サンプル2を、各3枚作製した。
貼合信頼性評価用サンプル1及び2について、気槽式熱衝撃試験機(ETAC社製WINTECH NEO NT1050W)を用いて、低温槽−40℃、高温槽85℃、300サイクルの条件で冷熱衝撃試験を行い、試験後の外観を確認することで、貼合信頼性を評価した。
前記透明両面粘着シート7を除く前記硬化前透明両面粘着シートの貼合信頼性評価用サンプル各6枚のいずれかで、被着体界面で発泡が生じたり、被着体が剥離したりして、貼合信頼性に劣るものを「×(poor)」、全てのサンプルで外観変化なく貼合信頼性に優れるものを「○(good)」と判定した。
<耐ITO腐食性>
60×45mm、厚さ0.7mmのガラス上に、線幅70μ/線間30μ(パターニング精度±8μm)、線長46cm、電極サイズ5mm□、電極間距離50mmのパターニング条件で、ITO200Åを成膜した、耐ITO腐食性評価用基板を準備した。
前記硬化前透明両面粘着シートそれぞれについて、片面剥離フィルムを剥離し、PETフィルム(三菱ケミカル社製ダイアホイルT100、厚さ50μm)にロール貼合した後、52mm巾にカットした。
その後、もう片側の剥離シートを剥離し、電極間に粘着シートが位置するように、基板にロールで貼合した後、オートクレーブ処理(温度60℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着した。
その後、PETフィルム側から、波長365nmの積算光量が2000mJ/cmとなるように高圧水銀ランプにて光を照射し光硬化させた(本硬化品)。
その後、室温で12時間養生することで、図1に示すような、耐ITO腐食性評価用試料を作製した。
この試料について、温度65℃、90%RH×500hの湿熱環境下で環境試験を行い、電極間の抵抗値上昇を確認した。
前記環境試験にて、抵抗値上昇が5%を超えたものを「×(poor)」、抵抗値上昇が4%以下に抑えられたものを「○(good)」、さらに抵抗値上昇が3%以下に抑えられたものを「◎(very good)」と判定した。
<耐Cu腐食性>
60×45mm、厚さ0.7mmのガラス上に、線幅70μ/線間30μ(パターニング精度±8μm)、線長46cm、電極サイズ5mm□、電極間距離50mmのパターニング条件で、ITO1300Å、Cu3000Åの順に成膜した、耐Cu腐食性評価用基板を準備した。
前記硬化前透明両面粘着シートそれぞれについて、片面剥離フィルムを剥離し、PETフィルム(三菱ケミカル社製ダイアホイルT100、厚さ50μm)にロール貼合した後、52mm巾にカットした。
その後、もう片側の剥離シートを剥離し、電極間に粘着シートが位置するように、基板にロールで貼合した後、オートクレーブ処理(温度60℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着した。
その後、PETフィルム側から、波長365nmの積算光量が3000mJ/cmとなるように高圧水銀ランプにて光を照射し光硬化させた(本硬化品)。
その後、室温で12時間養生することで、図1に示すような、耐Cu腐食性評価用試料を作製した。
この試料について、温度65℃、90%RH×500hの湿熱環境下で環境試験を行い、電極間の抵抗値上昇を確認した。
前記環境試験にて、抵抗値上昇が5%を超えたものを「×(poor)」、抵抗値上昇が3%以下に抑えられたものを「○(good)」、さらに抵抗値上昇が1%以下に抑えられたものを「◎(very good)」と判定した。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示した。
なお、表1の各実施例及び比較例において、粘着剤樹脂組成物の各項目に記載された数値は質量部である。
Figure 2020125370
実施例1〜5の透明両面粘着シート積層体1〜5は、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が異なる連続する2層以上の粘着剤層を有し、特定の(メタ)アクリル系共重合体(A)を用い、かつ温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)を100kPa以上500kPa以下であり、さらにガラス転移温度(Tg)が0℃以下であるため、裁断加工性や段差吸収性、粘着力、耐金属腐食性を兼備しつつ、特に、複雑な形状の打ち抜き加工性、低温での粘着性能、冷熱条件での貼合信頼性に優れるものであった。
中でも、実施例1〜3の透明両面粘着シート積層体は、表層と中層の配合の選定、層厚さ比の選定、防錆剤(D)との併用などによって、特に段差吸収性と耐金属腐食性の性能において優れたものであった。
これに対し、比較例1の透明両面粘着シート6では、(メタ)アクリル系共重合体(A)の組成を調整して、単層の粘着シートで、25℃の貯蔵弾性率を100kPa以上500kPa以下に設計している。
この透明両面粘着シート6は、複雑な形状の打ち抜き加工性には優れるものの、Tgが高くなってしまい、低温での粘着性能や、冷熱条件での貼合信頼性に劣るものであった。
また、比較例2や比較例3の透明両面粘着シート7及び8のように、特定の(メタ)アクリル系共重合体(A)を使用した単層設計では、裁断加工性や粘着性能をバランス化が困難であった。
さらに、比較例4の透明両面粘着シート積層体6は、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が異なる連続する2層以上の粘着剤層を有し、特定の(メタ)アクリル系共重合体(A)を用いた設計であるが、第2粘着剤層(中層)の架橋剤の種類や部数が異なることで、中層弾性率が十分に高くならないため、25℃の貯蔵弾性率が100kPaに満たないものであり、基本的な粘着性能は優れているものの、複雑な形状の打ち抜き加工時には歩留が悪く使用できないものであった。

Claims (14)

  1. (メタ)アクリル系共重合体(A)を含有する粘着剤樹脂組成物から形成され、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が異なる、連続する2層以上の粘着剤層を有し、
    前記(メタ)アクリル系共重合体(A)は、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を実質的に含まず、かつ、該共重合体(A)を構成するモノマー成分として、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー及び窒素原子含有(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択されるいずれか1つ以上の極性基含有(メタ)アクリレートモノマー(a2)と、該(a2)以外であって、モノマー成分からホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(Tg)が−30℃未満である低Tg(メタ)アクリレートモノマー(a1)と、を含み、
    粘着シートの温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が、100kPa以上500kPa以下であり、かつ、動的粘弾性測定により得られる損失正接(Tanδ)のピーク温度で定義されるガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることを特徴とする、光硬化性粘着シート。
  2. 前記の連続する2層以上の粘着剤層のうち少なくとも1つの粘着剤層(「第1粘着剤層」と称する)は、温度25℃での剪断貯蔵弾性率(G’)が他の粘着剤層(「第2粘着剤層」と称する)よりも低い、請求項1記載の光硬化性粘着シート。
  3. 前記の連続する2層以上の粘着剤層は、前記第1粘着剤層、第2粘着剤層及び前記第1粘着剤層が、この順に積層されてなる3層構成からなる、請求項1又は2記載の光硬化性粘着シート。
  4. 前記第2粘着剤層は、第1粘着剤層よりも架橋剤(B)の含有量が多い粘着剤樹脂組成物から形成されている、請求項2又は3記載の光硬化性粘着シート。
  5. 前記第1粘着剤層は、架橋剤(B)を含まない粘着剤樹脂組成物から形成されている、請求項2〜4の何れか一項記載の光硬化性粘着シート。
  6. 前記第1粘着剤層の厚みt1と、前記第2粘着剤層の厚みt2の比(t2/t1)が、1以上である、請求項2〜5の何れか一項記載の光硬化性粘着シート。
  7. 前記粘着剤層の全質量に対して光開始剤(C)を0.3質量%以上含有する、請求項1〜6の何れか一項記載の光硬化性粘着シート。
  8. 温度70℃での損失正接(Tanδ)が0.45以上0.75以下である、請求項1〜7の何れか一項記載の光硬化性粘着シート。
  9. 剥離シートと、請求項1〜8の何れか一項記載の光硬化性粘着シートとを有する、剥離シート付き光硬化性粘着シート。
  10. 剥離シートと、請求項1〜8の何れか一項記載の光硬化性粘着シートと、光学フィルムとを、この順に有する光硬化性粘着シート付き光学フィルム。
  11. 前記光学フィルムが、偏光フィルム、位相差フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム及び輝度向上フィルムからなる群より選択される何れかである、請求項10記載の光硬化性粘着シート付き光学フィルム。
  12. 請求項1〜8の何れか一項記載の光硬化性粘着シートを用いてなり、かつ、2つの画像表示装置用構成部材が前記光硬化性粘着シートを介して積層されてなる構成を有する、画像表示装置構成用積層体であって、
    前記2つの画像表示装置用構成部材の少なくとも1つが、偏光板、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、プラズマ表示パネル、タッチパネル及び保護パネルからなる群より選択される何れかの部材であることを特徴とする画像表示装置構成用積層体。
  13. 積層後の前記光硬化性粘着シートは、温度70℃での損失正接(Tanδ)が0.15以上0.45未満である、請求項12記載の画像表示装置構成用積層体。
  14. 請求項12又は13に記載の画像表示装置構成用積層体を用いてなる、画像表示装置。
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