JP2020118068A - 排ガス浄化用触媒の早期活性化システム及び排ガス浄化用触媒の早期活性化方法 - Google Patents
排ガス浄化用触媒の早期活性化システム及び排ガス浄化用触媒の早期活性化方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】排ガス浄化用触媒を早期に活性化させることが可能であり、内燃機関の始動直後から大気汚染物質の排出の低減を十分に図ることを可能とする排ガス浄化用触媒の早期活性化システムを提供すること。【解決手段】内燃機関10で生じた排ガスが流通する排ガス流路に配置された排ガス浄化用触媒12と、前記触媒に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段13と、前記触媒に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段14と、前記触媒の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段21と、前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御するガス供給制御手段22と、を備えることを特徴とする排ガス浄化用触媒の早期活性化システム。【選択図】図1
Description
本発明は、排ガス浄化用触媒の早期活性化システム及び排ガス浄化用触媒の早期活性化方法に関する。
従来から、内燃機関から生じる排ガスを浄化するために種々の排ガス浄化用触媒が利用されてきており、その使用時に触媒による浄化効果を十分に得るために、触媒を早期から活性化させるための方法やシステムについての研究が進められている。例えば、特開2018−62898号公報(特許文献1)においては、ガスエンジンと、前記ガスエンジンと接続され、当該ガスエンジンから排出される排ガスが導通される排気管と、前記排気管と接続された過給機と、前記排気管から前記過給機へ至る流路中に配置され、前記ガスエンジンから排出される排ガス中の未燃燃料ガスを酸化させる触媒と、前記触媒の温度を測定する触媒温度測定手段と、前記排気管から前記触媒へ至る流路へ前記触媒の活性化促進剤を供給する触媒活性化装置と、前記触媒温度測定手段で計測された触媒温度が所定の閾値よりも低いときに前記活性化促進剤が供給されるように前記触媒活性化装置を動作させる第1機能部を有する制御装置とを備えており、かつ、前記活性化促進剤が、前記触媒での触媒反応に関する活性化状態のエネルギー値が前記ガスエンジンの燃料ガスよりも低い炭化水素を含んでいるガスエンジンシステムが開示されており、前記活性化促進剤がガスエンジンの排ガス中の未燃燃料ガスと比較して、触媒の温度が至適温度範囲より低い状況でも触媒反応が起こりやすいため、活性化促進剤が供給されない場合と比較して、触媒の温度を速やかに至適温度範囲まで昇温させることができ、触媒をより早期に活性化させることができることが記載されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載のような従来の触媒の活性化方法は、燃料や燃焼方法の異なる内燃機関のエミッションの低減を図るといった観点からは必ずしも十分なものではなかった。
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、排ガス浄化用触媒を早期に活性化させることが可能であり、内燃機関の始動直後から大気汚染物質の排出の低減を十分に図ることを可能とする排ガス浄化用触媒の早期活性化システム、及び、それを利用した排ガス浄化用触媒の早期活性化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、内燃機関で生じた排ガスが流通する排ガス流路に配置された排ガス浄化用触媒と、前記触媒に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段と、前記触媒に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段と、前記触媒の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段と、前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御するガス供給制御手段と、を備える排ガス浄化用触媒の早期活性化システムにより、内燃機関の始動時(冷間始動時)等に適宜制御しながら排ガス中に水素と酸素を供給(添加)することができ(例えば、水素及び/又は酸素を供給量等を適宜制御しながら連続添加又は間欠添加する等して排ガス中に水素及び酸素の供給することが可能であり)、これにより排ガス浄化用触媒を早期に活性化させて、内燃機関の始動直後から大気汚染物質の排出の低減を十分に図ることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムは、内燃機関で生じた排ガスが流通する排ガス流路に配置された排ガス浄化用触媒と、
前記触媒に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段と、
前記触媒に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段と、
前記触媒の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段と、
前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御するガス供給制御手段と、
を備えることを特徴とするものである。
前記触媒に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段と、
前記触媒に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段と、
前記触媒の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段と、
前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御するガス供給制御手段と、
を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化方法は、内燃機関で生じた排ガスが流通する排ガス流路に配置された排ガス浄化用触媒と、
前記触媒に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段と、
前記触媒に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段と、
前記触媒の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段と、
前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御するガス供給制御手段と、
を備える排ガス浄化用触媒の早期活性化システムを用いて、
前記触媒活性化判断手段により前記触媒の活性化の必要性を判断し、該活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記ガス供給制御手段を用いて前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御して、水素及び酸素の含有量が制御された排ガスを前記触媒に接触させることにより、前記触媒を活性化することを特徴とする方法である。
前記触媒に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段と、
前記触媒に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段と、
前記触媒の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段と、
前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御するガス供給制御手段と、
を備える排ガス浄化用触媒の早期活性化システムを用いて、
前記触媒活性化判断手段により前記触媒の活性化の必要性を判断し、該活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記ガス供給制御手段を用いて前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御して、水素及び酸素の含有量が制御された排ガスを前記触媒に接触させることにより、前記触媒を活性化することを特徴とする方法である。
上記本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システム及び上記本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化方法においては、前記触媒活性化判断手段が、前記触媒に接触する前後の排ガス中の酸素濃度の変化量、及び/又は、前記触媒の温度に基づいて、前記触媒の活性化の必要性を判断するものであることが好ましい。
上記本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システム及び上記本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化方法においては、前記ガス供給制御手段が、前記水素供給手段及び前記酸素供給手段から供給される前記水素及び前記酸素の量を、前記水素と前記酸素のモル比([水素]:[酸素])が2:0.1〜2:1.9(より好ましくは2:0.5〜2:1.5、さらに好ましくは2:0.9〜2:1.1)となるように制御するものであることが好ましい。
また、上記本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システム及び上記本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化方法においては、前記水素供給手段及び前記酸素供給手段が、水の電気分解手段からなることが好ましい。
なお、上記本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システム及び上記本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化方法によって、前記排ガス浄化用触媒を早期に活性化させることが可能となり、これにより内燃機関の始動直後から排ガス中に含まれる大気汚染物質の排出の低減を十分に図ること(エミッションの低減を十分に図ること)が可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、このような本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システム及び本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化方法においては、前記水素供給手段、前記酸素供給手段、前記触媒活性化判断手段及び前記ガス供給制御手段を用いて、排ガス中への水素と酸素の供給を制御することにより、触媒の早期活性化を可能とする。このような効果は、主に、水素が、排ガス中の他の未燃成分よりもより低温で着火することが可能な成分であることに起因して達成できるものであると考えられる。すなわち、水素は、触媒の活性点上において、排ガス中の他の未燃成分よりも先達って反応し、容易に燃焼する。このように水素が燃焼する場合の燃焼反応の熱化学方程式は、下記式1:
H2+1/2O2=H2O+286.2kJ/mol (式1)
で表される。水素の燃焼により、酸素被毒されている触媒の活性点(例えば貴金属活性点)をメタル化して触媒を活性化できるとともに、水素の酸化反応により発生する反応熱によって、活性温度に達していない触媒の活性点及びその周辺を直接暖機(加熱)することも可能となる。このように、触媒の温度が低い内燃機関の冷間始動直後等においても、排ガス中に水素と酸素を、その供給量や供給圧等を制御しながら供給(場合により連続的又は間欠的に供給)することで、水素と酸素の燃焼反応を効率よく引き起こして、触媒の活性点をメタル化及び直接暖機して前記触媒を早期から活性化させ、十分に高度な排ガス浄化性能を発揮させることによって、内燃機関の始動時(例えばエンジン始動時)のエミッション(排ガス中に含まれて大気中に排出される未燃のHC、CO、NOx等の大気汚染物質)の低減を十分に図ることが可能となるものと本発明者らは推察する。また、本発明においては、排ガス中に還元成分である水素と、酸化成分である酸素とを供給するため、例えば、排ガス中のガス組成、すなわち、酸化成分と還元成分の含有比に大きな影響を与えることがないように(例えば内燃機関がガソリンエンジンである場合、そのエンジンの空燃比制御への影響がより小さくなるように)、水素と酸素の供給量(投入量)や供給圧等を適宜制御しながら、これらの成分を供給することも可能である。そのため、例えば、内燃機関が理論空燃比近傍(ストイキ近傍)で稼動されるようなガソリンエンジンである場合であっても、酸化成分と還元成分の割合を十分に保持した状態で、水素と酸素が供給された排ガスを触媒に接触させることが可能である。これによって、還元成分が過剰となる等といったことに起因して他の成分の燃焼が阻害されることを十分に防止しながら、水素による触媒の早期活性化が可能となる。また、本発明においては、排ガス中に未燃の燃料が多いような場合に、水素と共に供給する酸素の量を調整して、排ガスの雰囲気がストイキ近傍となるように各ガスの供給を制御することも可能であることから、水素により触媒の早期活性化を図るとともに、他の成分の燃焼も促進させて、エミッションの低減をより効率よく図ることも可能であるものと本発明者らは推察する。
H2+1/2O2=H2O+286.2kJ/mol (式1)
で表される。水素の燃焼により、酸素被毒されている触媒の活性点(例えば貴金属活性点)をメタル化して触媒を活性化できるとともに、水素の酸化反応により発生する反応熱によって、活性温度に達していない触媒の活性点及びその周辺を直接暖機(加熱)することも可能となる。このように、触媒の温度が低い内燃機関の冷間始動直後等においても、排ガス中に水素と酸素を、その供給量や供給圧等を制御しながら供給(場合により連続的又は間欠的に供給)することで、水素と酸素の燃焼反応を効率よく引き起こして、触媒の活性点をメタル化及び直接暖機して前記触媒を早期から活性化させ、十分に高度な排ガス浄化性能を発揮させることによって、内燃機関の始動時(例えばエンジン始動時)のエミッション(排ガス中に含まれて大気中に排出される未燃のHC、CO、NOx等の大気汚染物質)の低減を十分に図ることが可能となるものと本発明者らは推察する。また、本発明においては、排ガス中に還元成分である水素と、酸化成分である酸素とを供給するため、例えば、排ガス中のガス組成、すなわち、酸化成分と還元成分の含有比に大きな影響を与えることがないように(例えば内燃機関がガソリンエンジンである場合、そのエンジンの空燃比制御への影響がより小さくなるように)、水素と酸素の供給量(投入量)や供給圧等を適宜制御しながら、これらの成分を供給することも可能である。そのため、例えば、内燃機関が理論空燃比近傍(ストイキ近傍)で稼動されるようなガソリンエンジンである場合であっても、酸化成分と還元成分の割合を十分に保持した状態で、水素と酸素が供給された排ガスを触媒に接触させることが可能である。これによって、還元成分が過剰となる等といったことに起因して他の成分の燃焼が阻害されることを十分に防止しながら、水素による触媒の早期活性化が可能となる。また、本発明においては、排ガス中に未燃の燃料が多いような場合に、水素と共に供給する酸素の量を調整して、排ガスの雰囲気がストイキ近傍となるように各ガスの供給を制御することも可能であることから、水素により触媒の早期活性化を図るとともに、他の成分の燃焼も促進させて、エミッションの低減をより効率よく図ることも可能であるものと本発明者らは推察する。
これに対して、上記特許文献1に記載の技術を応用して、活性化促進剤として燃料ガスよりも触媒反応に関する活性化状態のエネルギー値が低い炭化水素を供給する場合、排ガス中の酸化成分と還元成分の比率が変化してしまい、酸化成分に対して還元成分が過剰となり、還元成分が未燃のまま排出(未燃のHCがそのまま排出)されてしまう傾向にあり、これに伴って、排ガス中に含まれて大気中に排出される大気汚染物質(未燃のHCやCO等)の低減(低エミッション)を図ることが却って困難となる場合が生じてしまうことを本発明者らは見出している。特に、理論空燃比近傍(ストイキ近傍)で稼動させるような内燃機関(例えばガソリンエンジン等)の排ガスを浄化する際に、上記特許文献1に記載の技術を応用して活性化促進剤として炭化水素を供給すると、供給直後から還元成分が過剰となり未燃のまま排出されてしまうこととなる。そのため、上記特許文献1に記載されている技術は、特に、理論空燃比近傍(ストイキ近傍)で稼動させるような内燃機関(例えばガソリンエンジン等)の排ガスを浄化する際に応用することは困難であると考えられる。また、上記特許文献1に記載されている技術において、仮に、活性化促進剤としての炭化水素と酸素を組み合わせて利用したとしても、水素と比較すると、炭化水素の着火温度が高いため、本発明で得られるような早期活性化までは達成困難であるものと本発明者らは推察する。
以上、説明したように、本発明においては、水素と酸素を供給するため、例えば、排ガス中の酸化成分と還元成分の含有比に大きな影響を与えることないように(影響がより小さくなるように)、供給量や供給圧等を適宜制御しながら水素と酸素を供給することも可能であり、理論空燃比近傍(ストイキ近傍)で稼動させるような内燃機関(ガソリンエンジン等)の排ガスを浄化する場合であってもガス雰囲気に影響を与えることなく触媒を早期活性化して、冷間始動時のエミッションを十分に低減させることができる。そのため、本発明においては、内燃機関の種類によらず、触媒を早期活性化して十分に高度な排ガス浄化性能を発揮させることが可能であり、排ガス中に含まれる大気汚染物質の低減を十分に促進させることが可能であるものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、排ガス浄化用触媒を早期に活性化させることが可能であり、内燃機関の始動直後から大気汚染物質の排出の低減を十分に図ることを可能とする排ガス浄化用触媒の早期活性化システム、及び、それを利用した排ガス浄化用触媒の早期活性化方法を提供することが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムは、内燃機関で生じた排ガスが流通する排ガス流路に配置された排ガス浄化用触媒と;前記触媒に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段と;前記触媒に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段と;前記触媒の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段と;前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御するガス供給制御手段と;を備えることを特徴とするもの(装置)である。また、本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化方法は、内燃機関で生じた排ガスが流通する排ガス流路に配置された排ガス浄化用触媒と;前記触媒に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段と;前記触媒に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段と;前記触媒の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段と;前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御するガス供給制御手段と;を備える排ガス浄化用触媒の早期活性化システムを用いて、
前記触媒活性化判断手段により前記触媒の活性化の必要性を判断し、該活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記ガス供給制御手段を用いて前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御して、水素及び酸素の含有量が制御された排ガスを前記触媒に接触させることにより、前記触媒を活性化することを特徴とする方法である。
前記触媒活性化判断手段により前記触媒の活性化の必要性を判断し、該活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記ガス供給制御手段を用いて前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御して、水素及び酸素の含有量が制御された排ガスを前記触媒に接触させることにより、前記触媒を活性化することを特徴とする方法である。
ここで、先ず、図1に基いて、本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムの好適な一実施形態について説明する。図1に示す実施形態の早期活性化システムは、内燃機関10に接続された状態のものであって、内燃機関10で生じた排ガスを流通させるための排ガス管11と;排ガス管11内のガスが流通するガス流路に配置された排ガス浄化用触媒12と;触媒12に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段13と;触媒12に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段14と;水素供給手段13に接続された水素供給管15aと;酸素供給手段14に接続された酸素供給管15bと;水素供給管15aに設置されたバルブ16aと;酸素供給管15bに設置されたバルブ16bと;排ガス管11にそれぞれ接続されたガスセンサ17a及び17bと;水素及び酸素の供給を電子的に制御するための電子制御ユニット(Electronic Control Unit)20と;を備える。なお、本実施形態において、電子制御ユニット20は、入力された情報に基づいて触媒12の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段21と;前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段13からの水素の供給及び前記酸素供給手段14からの酸素の供給を制御するためのガス供給制御手段22と;を備えており、かかるガス供給制御手段22は、前記判断結果に基づいてバルブ16a及び16bの開閉動作を制御して排ガスへの水素及び酸素の供給を制御する。なお、図1においては、排ガス管11中において排ガスが流れる方向(排ガスの流通する方向)を、矢印(排ガス管内に記載された矢印)で概念的に示している。
このような内燃機関10としては、特に制限されず、公知の内燃機関を適宜利用でき、例えば、車両を駆動させるためのエンジンであってもよい。また、本発明においては、排ガス中の還元成分が酸化成分に対して過剰とならないように、排ガスに水素及び酸素を供給して触媒を活性化させることが可能であるため、内燃機関10としては、上記特許文献1に記載の技術を応用することが困難な、理論空燃比近傍(ストイキ近傍)で稼動させるような内燃機関(例えばガソリンエンジン等)であっても好適に利用できる。
また、排ガス管11は、内燃機関10において、燃料(例えば、ガソリン等)の燃焼により生じたガスを排出するために利用できるものであればよく、特に制限されず、公知の排ガス管を適宜利用できる。
排ガス浄化用触媒12は、排ガス管11により形成されるガス流路中に配置されている。このように、ガス流路に排ガス浄化用触媒12を配置することで、内燃機関10で生じたガスは、排ガス管11内を流通する過程において排ガス浄化用触媒12に接触することとなり、これにより排ガスが外気に排出される前に、触媒12により排ガス中の成分を浄化することが可能となる。このような排ガス浄化用触媒12としては、公知の排ガス浄化用触媒を適宜利用することができ、内燃機関がガソリンエンジンである場合には、いわゆる三元触媒を好適に利用できる。また、このような三元触媒としては特に制限されず、酸化成分と還元成分による雰囲気変動を吸収する酸素放出能を有するセリア(CeO2)に代表されるOSC(oxygen strage capacity)材又はOSC機能を有する担体を含む公知のものを適宜利用することができる。このようなOSC材又はOSC機能を有する担体を含む三元触媒を用いた場合には、排気成分による雰囲気変動や、水素及び酸素の供給に伴う雰囲気変動をも吸収することが可能となる。なお、エンジン始動時等の冷間始動時においても、水素により触媒12を効率よく暖機(加熱)又はメタル化するといった観点からは、触媒12は、触媒活性種として貴金属(白金、パラジウム、ロジウム等)を有する三元触媒であること、すなわち、担体と、担体に担持された貴金属とを備える触媒であることがより好ましい。このような担体としては特に制限されず、排ガス浄化用触媒に利用することが可能な公知のものを適宜利用することができる。なお、このような担体及び貴金属を備える触媒としては、前記担体及び貴金属以外にも触媒に利用することが可能な成分を適宜利用できる。
水素供給手段13としては、特に制限されず、水素供給管15aを介して排ガス中に水素を供給することが可能となるようなものであればよく、例えば、水素タンクや、図示を省略した水素供給源(例えば水の分解装置等)に接続された水素貯蔵室等を適宜利用できる。また、酸素供給手段14としては、特に制限されず、酸素供給管15bを介して排ガス中に酸素を供給することが可能となるようなものであればよく、例えば、酸素タンク、図示を省略した酸素供給源(例えば水の分解装置等)に接続された酸素貯蔵室等を適宜利用できる。
また、本実施形態では、水素供給管15aは、その一端が、排ガス流路において触媒の設置位置よりも上流側に水素が供給できるように排ガス管11に接続され、かつ、他端が水素供給手段13に接続されている。同様に、酸素供給管15bは、その一端が、排ガス流路において触媒の設置位置よりも上流側に酸素が供給できるように排ガス管11に接続され、かつ、他端が酸素供給手段14に接続されている。なお、水素供給管15a及び酸素供給管15bを介して水素及び酸素を排ガス中に供給する場合においても、触媒12に接触する前に、水素及び酸素が排ガス中により均一に混合されるように、配管長や径方向の接続位置を適宜設計したり、供給圧、供給のタイミング等を適宜変更することが好ましい。このように、触媒12に接触する前の排ガスに、水素及び酸素を供給して十分に均一に混合することにより、より高い触媒活性化効果が得られる傾向にある。
また、水素供給管15a及び酸素供給管15bには、それぞれ図示を省略した逆流防止弁(逆止弁)が設けられており、それぞれ、水素供給手段13側及び酸素供給手段14側への排ガスの流入を防止できるような構成としている。このような逆流防止弁(逆止弁)の構造は特に制限されず、公知の構造とすることができる。また、水素供給管15a及び酸素供給管15bには、それぞれバルブ16a及び16bが設けられている。
このようなバルブ16a及び16bとしては特に制限されず、公知の構成のものを適宜利用することができる。例えば、バルブ16a及び16bとしては、弁体と、弁体を駆動させるための電動アクチュエータ(モータ)とを備えており、電子的に弁体の開度を制御してバルブを介して流入するガスの量やタイミングを調整できるようになっているものを利用することができる。このようなバルブを利用した場合、ガス供給制御手段22を利用して電子的に弁体の駆動を制御して、バルブの開閉度合や開放時間等に応じて排ガス管への各ガスの供給を制御すること(例えば、バルブの開閉度合に応じて供給量を制御しながら、各ガスを連続的又は間欠的に添加するように、その供給を制御すること等)が可能となる。
ガスセンサ17a及び17bとしては特に制限されず、公知のものを適宜利用でき、市販のものを利用してもよい。このようなガスセンサ17a及び17bとしては、特に制限されず、例えば、排ガス浄化用触媒12に接触前の排ガス(触媒12よりも上流側の排ガス)及び触媒12に接触後の排ガス(触媒12よりも下流側の排ガス)中のある成分(触媒の活性の必要性を判断するためのガス種、例えば酸素等)の濃度のデータを測定するために、公知のガス濃度の測定手段(例えば、測定するガス種が酸素である場合にはO2センサ)を適宜利用してもよい。また、このようなガスセンサ17a及び17bはそれぞれ電子制御ユニット20に電気的に接続されており、これにより、触媒12の活性化の要否(活性化したか否か)を判断するために必要なデータ(例えば、触媒接触前後の排ガス中の酸素濃度の変化量に基いて活性化の要否を判断する場合には、触媒12に接触前の排ガス中の酸素の濃度に関するデータ及び触媒12に接触後の排ガス中の酸素の濃度に関するデータ)をそれぞれ電子制御ユニット20に入力可能としている。
なお、排ガス流路において触媒の設置位置よりも上流側に設置されるガスセンサ17aは、内燃機関10の排ガス雰囲気を正しく計測する必要があることから、本実施形態のように、水素供給管15a及び酸素供給管15b(水素及び酸素の供給部位)よりも前側(排ガス流露の上流側)に設置されることが好ましい。
電子制御ユニット20は、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なROM、RAM等の周辺装置を組み合わせたコンピュータとして構成されたものである。また、電子制御ユニット20(制御用のコンピュータ)は、触媒活性化の必要性の判断を行うための触媒活性化判断手段21を更に備えるとともに、その触媒活性化判断手段21における判断結果に基づいてバルブ16a及び16bの開閉度合や開放時間(バルブの弁体の駆動)を制御して各ガスの供給を制御するためのガス供給制御手段22を更に備える。このような、触媒活性化判断手段21及びガス供給制御手段22を備える電子制御ユニット20により、水素及び酸素の供給を電気的に制御することが可能となる。なお、このような電子制御ユニット20としては、内燃機関がエンジンである場合には、いわゆるエンジンの駆動状態を制御するためのエンジンコントロールユニット(ECU)のコンピュータを利用することもできる。
ここで、触媒活性化判断手段21は、例えば、内燃機関10に理論空燃比近傍(ストイキ近傍)で稼動させるようなガソリンエンジン等を使用し、かつ、ガスセンサ17a及び17bにいずれもO2センサを利用するような場合、ガスセンサ17a及び17bから入力された触媒に接触する前後の排ガス中の酸素濃度のデータから、その変化量もしくはガスセンサ17bの位置における酸素濃度に基づいて、前記触媒の活性化の必要性を判断してもよい。例えば、酸素濃度の変化量に基づいて触媒の活性化の要否を判断する場合、酸素濃度の変化量が特定の閾値未満である場合に触媒の活性化が必要と判断してもよい。
また、このような触媒活性化判断手段21は、例えば、電子制御ユニット20として、いわゆるエンジンコントロールユニット(ECU)を利用する場合(すなわち、ECUを構成するコンピュータを電子制御ユニット20としても利用する場合)、そのECUから得られる内燃機関の稼動状態の情報に基づいて触媒の活性化の必要性を判断してもよい。例えば、内燃機関の稼動状態及び稼働時間と、触媒温度との関係に関するマップを予め作成しておき、そのマップに基づいて触媒が活性化したと判断されるまで、ガス供給制御手段によりガスの供給が必要と判断してもよい。
また、本実施形態において、触媒活性化判断手段21において、触媒の活性化が必要と判断された場合には、その判断結果がガス供給制御手段22に入力され、その判断結果に基づいてガス供給制御手段22によりバルブ16a及び16bの開閉度合(弁体の駆動)を制御する。このようなバルブ16a及び16bの開閉度合(弁体の駆動)の制御により、上述のように、排ガスへの水素の供給をバルブ16aで制御(調整)し、かつ、排ガスへの酸素の供給をバルブ16bで制御(調整)することが可能となる(例えば、ガス供給制御手段22によりバルブ16a及び/又はバルブ16bの開閉動作を制御して、水素及び/又は酸素を、連続的に添加したり、あるいは、間欠的に添加するなどして、添加量や添加方法等を適宜制御することができる)。
また、ガス供給制御手段22は、水素供給手段13及び酸素供給手段14から排ガス中に供給される前記水素及び前記酸素の量がモル比([H2]:[O2])で2:0.1〜2:1.9(より好ましくは2:0.5〜2:1.5、さらに好ましくは2:0.9〜2:1.1、最も好ましくは2:1)となるように、バルブ16a及び16bの開閉度合を制御することが好ましい。なお、このような水素及び酸素のモル比([H2]:[O2])として好適な2:0.9〜2:1.1という比率は、その供給量の比率が±10%の割合で変動することを許容した範囲であり、水素の燃焼により排ガス組成に変動が生じても、その変動は触媒12によって許容できる範囲にあるものであるといえ、かかるモル比としては2:1であることが最も好ましい。このような水素及び酸素のモル比として好適な2:0.9〜2:1.1(最も好ましくは2:1)という比率は、特に、内燃機関がガソリンエンジンである場合において、該内燃機関をA/F比がストイキ近傍となるようにして稼動させている場合に、排ガス中の酸化成分と還元成分の比率に与える影響が小さくなるようにする(エンジン制御空燃比(A/F比)に与える影響がより小さくなるようにする)といった観点から好適な値であり、OSC能を有する触媒12を利用する場合であっても触媒12が低温でOSC能が十分でない場合に特に利点がある。なお、前述の水素と酸素のモル比が前記下限値未満では酸素不足となって未燃成分の酸化が困難となる傾向にあり、他方、前記上限値を超えると酸素過剰となってNOxの還元が困難となる傾向にあり、いずれの場合も、エミッション低減に対して好ましくない傾向にある。
次に、このような図1に示す実施形態のシステムを利用した、排ガス浄化用触媒の早期活性化方法の好適な一例を、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
図2は、図1に示す実施形態の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムの電子制御ユニット20(触媒活性化判断手段21及びガス供給制御手段22を含む)により行われる制御のフローチャートの好適な一実施形態である。
先ず、ステップS1においては、電子制御ユニット20(制御用のコンピュータ)に触媒活性化の要否判断に必要な情報を入力する。このように電子制御ユニット20に入力する情報としては、触媒の活性化が必要となる状態について予め調べておき、その状態を判定するために必要であれば、例えば、ガスセンサ17a及び17bにより測定された排ガス中の成分の含有量(例えば酸素の濃度)の情報、触媒温度の情報、内燃機関の運転状態に関する情報(例えば、内燃機関の始動時からの時間、エンジン回転数、アクセル開度、スロットル開度、トルク、吸気流量、燃料噴射量(燃料の供給量)、エンジン冷却水の水温、グロープラグの通電等の情報)を適宜利用することが挙げられる。
次に、ステップS2においては、電子制御ユニット20に入力された情報に基づいて、該ユニット20中の触媒活性化判断手段21により、触媒の活性化の必要性を判断する。このような判断は、特に制限されるものではないが、例えば、ガスセンサ17a及び17bにより測定された排ガス中のある成分の含有量の情報に基づいて、その変化量(例えば前記成分が酸素である場合、酸素濃度の変化量)を求め、触媒の活性化の要否を判断してもよく、また、冷間始動時のように内燃機関の始動時から特定の時間が経過する前においては、内燃機関の稼動状態及び稼働時間と、触媒活性化との関係に関するマップを予め作成しておき、そのマップに基づいて触媒の活性化の要否を判断してもよい。更に、これらの双方を利用して触媒の活性化の要否を判断してもよい。ここにおいて、例えば、ガスセンサ17a及び17bにより測定された酸素濃度の変化量に基いて触媒の活性化の要否を判断する場合、酸素濃度と触媒活性状態との関係から閾値を求め、その変化量が閾値未満である場合には触媒の活性化が必要と判断してもよい。
そして、ステップS2において、触媒活性化判断手段21により、触媒の活性化が必要と判断された場合には、ステップS3に進み、ガス供給制御手段22に判断結果を入力する。他方、ステップS2において、触媒活性化判断手段21により、触媒の活性化が不要と判断された場合には、後述のステップ5に進む。
次いで、ステップS2からステップS3に進む場合、上述のように、触媒活性化判断手段21の判断結果に基づいて、触媒12の活性化が必要と判断した場合に、ステップS3において、その判断結果をガス供給制御手段22を入力する。次に、ステップS4においては、ガス供給制御手段22により、入力された判断結果に基づいて、バルブ16a及び16bの開閉(開閉度合及び/又は開閉時間)を制御して排ガスへの水素と酸素の供給を制御する。すなわち、ステップS4においては、ガス供給制御手段22により、入力された判断結果に基づいて、バルブ16a及び16bの開閉(開閉度合及び/又は開閉時間)を制御して、水素供給手段13及び酸素供給手段14から、触媒12に接触する前の排ガス中に、所望の量の水素及び酸素が供給されるように、水素及び酸素の供給を制御する。このようにして排ガス中に水素及び酸素を供給することにより、触媒が低温である場合においても、触媒12を十分に活性化させることが可能となる。
このように、ステップS2において触媒活性化判断手断21により触媒の活性化の必要性を判断し、該活性化判断手段21の判断結果をステップS3においてガス供給制御手段22に入力し、その入力された情報(判断結果)に基づいて、ステップS4において、ガス供給制御手段22を用いて水素の供給及び酸素の供給を制御することにより、所望の量の水素及び酸素を排ガス中に混合(添加)して、水素及び酸素の含有量が制御された排ガスを触媒12に接触させることが可能となり、これにより、排ガス浄化用触媒12を活性化することが可能となる。なお、このような水素や酸素の供給の制御は、例えば、ステップS3において入力された情報(判断結果)に基づいて、バルブ16a及び16bの開閉を制御(例えば、バルブ16a及び16bの開閉度合及び/又は開閉時間を制御する等して開閉を制御)することにより行ってもよい(これにより、例えば、必要に応じて、所望のガスを連続的又は間欠的に添加することも可能となる)。さらに、このようなバルブ16a及び16bの開閉制御は同時であってもよく、あるいは、同時でなくてもよい。また、ガス供給制御手段22により、水素の供給及び酸素の供給を制御する際には、供給する水素と酸素のモル比([H2]:[O2])が2:0.1〜2:1.9(より好ましくは2:0.5〜2:1.5、さらに好ましくは2:0.9〜2:1.1、最も好ましくは2:1)となるように制御することが好ましい。なお、ステップS4においては、例えば、ガス供給制御手段22を用いて、ステップS1で得られた情報と触媒の活性化の関係についてのマップを予め作成しておき、そのマップに基づいて、ステップS1の情報に適したバルブ16a及び16bの開閉プログラムを実行するようにして、水素の供給及び酸素の供給を制御してもよい。
このようにして、ガス供給制御手段22によりバルブ16a及び16bの開閉を制御し、バルブ16a及び/又は16bを開放して排ガス中へ水素及び/又は酸素を供給した後、その開放したバルブ(バルブ16a及び/又は16b)を閉じることによりステップS4を実行した後には、再度、ステップS1に戻り、その段階での状況を検出し直して、触媒活性化の要否判断に必要な情報を再度入力し、その後、ステップS2に進んで、触媒活性化判断手段21による触媒の活性化の要否判断を行う。そして、触媒活性化判断手段21により、未だ触媒の活性化が必要であると判断された場合には、再度、ステップS3及びS4に進み、他方、触媒の活性化が不要と判断された場合には、ステップS5に進む。
このようなステップS5においては、安全のため電子制御ユニット20内(例えば、触媒活性化判断手断21)で、バルブ16a及び16bが閉じているか否かを判断(確認)し、バルブ16a及び16bが閉じていると判断された場合には、そのまま制御を終了してエンドへと進み、他方、バルブ16a及び16bが開いていると判断された場合には、ステップS6に進んで、バルブ16a及び16bを閉じることにより制御を終了してエンドへと進む。なお、このようなステップS6において、バルブ16a及び16bを閉じるように制御する場合、その制御方法は特に制限されないが、例えば、ステップS5においてバルブ16a及び16bが開いていると判断した場合に、その判断結果をガス供給制御手段22に入力し、ガス供給制御手段22によりバルブ16a及び16bを閉じるように制御することが挙げられる。
このようにして電子制御ユニット20(触媒活性化判断手段21及びガス供給制御手段22を含む)により、図2に示すようなフローで制御を実行することで、触媒の早期活性化を図ることが可能となる。なお、このような制御は、内燃機関の運転中に連続的に繰り返してもよく、あるいは、内燃機関の運転状態に関する情報(例えば、内燃機関の始動時からの時間、エンジン回転数、アクセル開度、スロットル開度、トルク、吸気流量、燃料噴射量(燃料の供給量)、エンジン冷却水の水温、グロープラグの通電等の情報)から間欠的に制御フローを実行するようにしてもよい。
このような制御フローにより、上記実施形態の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムを利用した場合には、触媒活性化判断手段21により触媒12の活性化の必要性を判断し、その触媒活性化判断手段21の判断結果に基づいて、ガス供給制御手段22により、炭化水素(HC)よりも低温で着火することが可能な還元成分である水素と、酸素とを制御されたモル比で排ガスに混合して触媒12に接触させることが可能となる。そのため、上記実施形態の排ガス浄化用触媒の早期活性化システム(本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムの好適な実施形態)によれば、水素の燃焼を利用して早期(例えば、エンジン始動時)から、排ガス浄化用触媒の活性点を、直接加熱(暖気)及び/またはメタル化して活性化することが可能であり、これにより触媒12に早期から十分に高度な排ガス浄化性能を発揮させることを可能として、排ガス中に含まれる大気汚染物質の低減を十分に図ることが可能となる。さらに、このような排ガス浄化用触媒の早期活性化システムにおいては、排ガス中の酸化成分及び還元成分の比(いわゆる空然比(A/F比)等)に影響を与えることなく、水素と酸素を排ガス中に添加することも可能であるため、内燃機関10の種類によらず(例えば、理論空燃比近傍(ストイキ近傍)で稼動されるようなガソリンエンジンである場合であっても)、触媒12に早期から十分に高度な排ガス浄化性能を発揮させることが可能である。
以上、図1及び図2に基づいて、本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システム及び排ガス浄化用触媒の早期活性化方法の好適な一実施形態について説明したが、以下、図3及び図4に基づいて、本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムの好適な他の実施形態について、それぞれ説明する。
先ず、図3に示す実施形態の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムについて説明する。図3に示す実施形態の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムは、内燃機関10に接続された状態のものであって、内燃機関10で生じた排ガスを流通させるための排ガス管11と;排ガス管11内のガスが流通するガス流路に配置された排ガス浄化用触媒12と;水素供給手段及び酸素供給手段としての水の電気分解手段30と;水の電気分解手段30と排ガス管11とを接続する、水素供給管15a及び酸素供給管15bと;水素供給管15a及び酸素供給管15bにそれぞれ設置されたバルブ16a及び16bと;触媒の温度を測定するための温度測定手段18a、18b及び18cと;電子制御ユニット20と;を備え、かつ、電子制御ユニット20は触媒活性化判断手段21及びガス供給制御手段22を備えるものである。
このような内燃機関10、排ガス管11、排ガス浄化用触媒12、水素供給管15a、酸素供給管15b、バルブ16a及び16b、電子制御ユニット20、触媒活性化判断手段21並びにガス供給制御手段22は、上記図1に示す実施形態において説明したものと同様のものである。なお、図3に示す実施形態においては、水素供給手段及び酸素供給手段として水の電気分解手段30を利用している。
水の電気分解手段30としては、水を電気分解することにより水から水素と酸素を生成することが可能なものであればよく、公知の構成のものを適宜利用することができる。なお、水の電気分解手段30は、内燃機関の種類に応じて、ラジエータからの凝縮水や補給タンクからの水が供給可能となるように、ラジエータや補給タンクなどの水供給手段(水供給部)に適宜接続してもよく、また、水電解の電気エネルギーを供給可能なように、電源供給手段(電源供給部)としてのバッテリー(例えば、内燃機関がHVやPHV等の自動車のエンジンである場合、モーターに接続されたバッテリーであってもよい)等に適宜接続してもよい。なお、本実施形態において、水の電気分解手段30は、図示を省略した補給タンクに接続され、かつ、電源供給手段としてのバッテリーに接続されている。
また、このような水の電気分解手段30は、水素供給管15a及び酸素供給管15bを介して排ガス管11に接続され、水素供給手段及び酸素供給手段として機能する。なお、水素供給管15aは、水の電気分解手段30により生成された水素を触媒に接触する前の排ガス中に供給するために、その一端が排ガス流路において触媒の設置位置よりも上流側に水素が供給できるように排ガス管11に接続され、かつ、他端が水の電気分解手段30に接続される。同様に、酸素供給管15bは、水の電気分解手段30により生成された酸素を触媒に接触する前の排ガス中に供給するために、その一端が排ガス流路において触媒の設置位置よりも上流側に酸素が供給できるように排ガス管11に接続され、かつ、他端が水の電気分解手段30に接続される。
また、水の電気分解手段30としては、電気分解で生成した水素と酸素を一時貯蔵できるような構成のものを利用してもよい。これにより水素及び酸素の供給が必要となった場合に、直ぐに供給することが可能となる。なお、このような水の電気分解手段30によって水素及び酸素を得る場合、分解により得られる水素と酸素のモル比([H2]:[O2])が2:1となり、これにより排ガスに供給する水素と酸素のモル比を2:1に容易に制御することが可能となる。そのため、水の電気分解手段30は、水素供給手段及び酸素供給手段として好適に利用できる。
さらに、図3に示す実施形態の早期活性化システムにおいては、温度測定手段18a〜18cを備える。このような温度測定手段18a〜18cとしては特に制限されず、温度を測定することが可能なものであればよく、公知の温度測定手段を適宜利用でき、市販の温度センサを適宜利用してもよい。なお、温度測定手段18aは、触媒12の温度を直接測定するために利用でき、温度測定手段18bは触媒12の出口温度を測定するために利用でき、温度測定手段18cは触媒12に接触した後の排ガス温度を測定するために利用できる。このような温度測定手段18a〜18cは、それぞれの位置において測定した温度の情報を、電子制御ユニット20に入力することが可能となるように、電子制御ユニット20と接続されている。
このような図3に示す実施形態の早期活性化システムにおいては、触媒12の温度情報(触媒温度、触媒出口温度、及び、触媒12に接触した後の排ガス温度のうちの少なくとも1つの温度の情報)に基づいて、触媒活性化判断手段21により、触媒12の活性化の必要性を判断することが可能である。このように、本発明においては、触媒活性化判断手段21を、各種温度情報(好ましくは触媒温度の情報)に基づいて触媒12の活性化の必要性を判断するものとして利用してもよい。例えば、触媒12の触媒温度、触媒12の出口温度、及び、触媒12に接触した後の排ガス温度のうちの少なくとも1つの温度の情報と、触媒の活性化の関係についてのマップを予め作成しておき、そのマップに基づいて、入力される温度情報が所定の閾値未満である場合には、触媒活性化判断手段21により触媒12の活性化の必要と判断してもよい。
このような図3に示す実施形態の早期活性化システムを利用する際には、水素供給手段及び酸素供給手段として水の電気分解手段30を利用し、ガスセンサの代わりに温度測定手段を利用する以外は、基本的に、図2に示すような制御フローと同様にして、排ガス浄化用触媒を活性化させるように制御することができる。なお、水の電気分解手段30を用いることで、触媒活性化判断手段21における判断結果に基づいて、水素と酸素を2:1のモル比で排ガスに添加することがより容易となる。このように、水の電気分解手段30を用いて水素と酸素を供給する場合、より容易に、水素と酸素を2:1のモル比で排ガスに添加できるため、水素供給手段及び酸素供給手段としては、水の電気分解手段を利用することが好ましい。
このような図3に示す実施形態のシステムを利用する場合には、かかるシステムが温度測定手段18a〜18cを備えるため、ステップS1において、温度測定手段18a〜18cのうちの少なくとも1つから温度情報を入力して利用でき、触媒の活性化の必要性を判断する際に、温度測定手段18a〜18cのうちの少なくとも1つから入力される温度の情報を好適に利用できる。そのため、図3に示す実施形態の早期活性化システムを利用する場合には、ステップS2において、触媒の温度情報等に基づいて、触媒活性化判断手段21により、前記触媒の活性化の必要性を判断してもよい。このようにして、触媒の温度情報及び/又は排ガスの温度情報を利用して、上記図2に示すような制御フローで排ガス浄化用触媒を活性化させるように、各ステップを実行することで、効率よく排ガス浄化用触媒を活性化することも可能である。
なお、触媒の活性化が必要と判断された場合に効率よく水素及び酸素を供給することが可能となるように、図2に示すような制御フローを利用して制御を行う場合、その制御とは別に、電子制御ユニット20において、水の電気分解手段30の運転を制御してもよい。すなわち、図3に示す実施形態の早期活性化システムを利用する場合、電子制御ユニット20に水の電気分解手段30を接続して、これにより水の電気分解手段30の運転を、該ユニット20を構成するコンピュータで制御してもよい。この場合、水の電気分解手段30に供給されている水の量の情報(例えばラジエターや補給タンクから供給可能な水の量の情報)や、水の電気分解に必要な電気エネルギーを得るための電源の状態の情報(例えば、水の電気分解手段30に接続されているバッテリーの電池容量の情報等)等を電子制御ユニット20に入力可能なように、電子制御ユニット20と水の電気分解手段30を電気的に接続してもよい。また、このように水の電気分解手段30の運転を制御する場合、例えば、水の電気分解手段30中に供給可能な水の量や、電気分解に必要となる電力を得るために水の電気分解手段30に接続された電源供給手段の状態に関する情報(電池容量等の情報等)を、ステップS1と同時に電子制御ユニット20に入力して、その情報に基づいて、必要となった場合に直ちに水素及び酸素を供給することが可能となるように、水の電気分解手段30の運転を適宜制御してもよく、又は、必要となった場合に直ちに水素及び酸素を供給することが可能となるように、水の電気分解手段30を予め運転させて、水素及び酸素をそれぞれ貯蔵するよう制御してもよい。また、ステップS4において、ガス供給制御手段22によりバルブを開いて水素及び酸素の供給を行う際に、必要な量の水素及び酸素が生成されるように、ガス供給制御手段22により水の電気分解手段30の運転を併せて制御してもよい。
以上、図3に示す実施形態の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムについて説明したが、次に、図4に示す実施形態の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムについて説明する。図4に示す実施形態の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムは、内燃機関10に接続された状態のものであって、内燃機関10で生じた排ガスを流通させるための排ガス管11と;排ガス管11内のガスが流通するガス流路に配置された前段の触媒12a及び後段の触媒12bからなる排ガス浄化用触媒12と;水素供給手段及び酸素供給手段としての水の電気分解手段30と;水の電気分解手段30と排ガス管11とを接続する、水素供給管15a及び酸素供給管15bと;水素供給管15a及び酸素供給管15bにそれぞれ設置されたバルブ16a及び16bと;ガスセンサ17a及び17bと;電子制御ユニット20と;を備え、かつ、電子制御ユニット20は触媒活性化判断手段21及びガス供給制御手段22を備えるものである。
このような内燃機関10、排ガス管11、水素供給管15a、バルブ16a及び16b、ガスセンサ17a及び17b、電子制御ユニット20、触媒活性化判断手段21並びにガス供給制御手段22は、上記図1に示す実施形態において説明したものと同様のものである。水素供給手段及び酸素供給手段としての水の電気分解手段30は、図3に示す実施形態において説明したものと同様のものである。
このような図4に示す実施形態の早期活性化システムは、水素供給手段及び酸素供給手段として水の電気分解手段30を利用し、排ガス浄化用触媒12として前段の触媒12a及び後段の触媒12bを利用し、かつ、酸素供給管15bの排ガス管11への接続位置を前段の触媒12aの設置位置と後段の触媒12bの設置位置との間の位置としている点で、図1に示す実施形態の早期活性化システムと異なる構成となっている。
図4に示すような、前段の触媒12aの設置位置よりも上流側に水素供給管15aが接続され、かつ、前段の触媒12aの設置位置と後段の触媒12bの設置位置との間の位置に酸素供給管15bが接続された実施形態の早期活性化システムを利用する場合、水素供給管15aを介して前段の触媒12aに接触前の排ガスに水素を供給しつつ、酸素供給管15bを介して前段の触媒12aに接触した後の排ガスに酸素を供給することが可能となる。なお、このような酸素供給管15bの設置位置においても、後段の触媒12bに対しては、その触媒に接触前の排ガスに酸素を供給することが可能となる。ここで、酸素及び/又は水素を供給する「触媒に接触する前の排ガス」の概念には、一度も触媒に接触していない排ガスの他に、例えば、複数段(例えば、前段、中段、後段等)に触媒が設置されている場合、既に一度以上触媒に接触した後の排ガスであっても、その排ガスを更に下流側(後段側)の触媒に接触させて浄化する場合には、その下流側の触媒への接触前の状態のものも含む。このように、本発明にいう「触媒に接触する前の排ガス」は、いずれかの設置位置の触媒に接触する前の排ガスを意味し、一度も触媒に接触していないものであっても、既に他の触媒に接触しているものであってもよい。
また、本実施形態では、前段の触媒12aでは水素供給管15aを介して供給された水素と排ガス中に含有されている酸素とで反応を進行させることを可能としつつ、反応後に不足する酸素を酸素供給管15bを介して補給して、反応に利用される酸素を十分に含んだ排ガスを後段の触媒12bに接触させて反応させることができ、排ガス中の酸化成分及び還元成分の比(いわゆる空然比(A/F比)等)に影響を与えることなく、水素と酸素を排ガス中に添加することも可能である。ここで、このような触媒12として利用する前段の触媒12aと後段の触媒12bは、同じ触媒からなるものであっても、異なる触媒からなるものであってもよく、図1に示す実施形態において触媒12として説明したものを適宜利用できる。
また、このような図4に示す実施形態の早期活性化システムを利用する場合においても、他の実施形態と酸素の供給位置が異なる以外は、基本的に、図2に示すような制御フローで採用している方法と同様の方法を採用して、排ガス浄化用触媒を活性化させるように制御することができる。
以上、図1〜4を参照しながら、本発明の早期活性化システム及びそれを利用した本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化方法の好適な他の実施形態を説明したが、本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システム及び排ガス浄化用触媒の早期活性化方法は、これらの実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムは、内燃機関で生じた排ガスが流通する排ガス流路に配置された排ガス浄化用触媒と、前記触媒に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段と、前記触媒に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段と、前記触媒の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段と、前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御するガス供給制御手段とを備えるものであればよく、その構成は特に制限されず、前述の図1、図3及び図4に示す実施形態以外の他の構成の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムであっても好適に利用することが可能である。
例えば、図1、図3及び図4に示す実施形態においては、排ガス管11に接続する水素供給管15a及び酸素供給管15bの数は、それぞれ1本であるが、ガス供給管の数は特に制限されず、それぞれ、複数本として異なる位置から水素及び/又は酸素が供給されるように、適宜設計を変更することができる。また、水素及び酸素の供給を制御するためにバルブを利用する場合、そのようなガス供給管の数に応じてバルブの数を適宜変更して利用できる。このように、バルブの数も特に制限されるものではなく、装置の設計に応じて適宜利用する数を変更することができる。
また、図3に示す実施形態においては、温度測定手段18a〜18cの3つの温度測定手段を備えているが、温度測定手段を利用する場合における、かかる手段の数は特に制限されず、触媒の活性の必要性の判断に利用する情報に応じて、温度測定手段18a〜18cのうちの1つのみを利用してもよく(例えば、温度測定手段18cのみを利用して(温度測定手段18a及び18bの設置を省略して)、触媒接触後の排ガスの温度を測定し、その温度情報に基いて触媒の活性化の必要性を判断してもよく)、あるいは、温度測定手段18a〜18cのうちの2つを利用する形態としてもよい。更に、温度測定手段の設置位置も特に制限されず、別の位置に接続して、その温度情報を利用してもよい。このように、温度測定手段の数やその設置位置は、触媒の活性化の状態を判別するために利用可能な情報が得られる数及びそのような情報を得ることが可能となる位置とすればよく、図3に示す形態に限定されるものではない。例えば、図1及び図4に示す実施形態のガスセンサ17a及び17bを、いずれも温度測定手段に変更して、触媒に接触する前後の排ガスの温度を測定し、その変化量もしくはガスセンサ17bの位置に設置された温度測定手段で測定される温度データに基いて、触媒の活性化の必要性を判断してもよい。この場合、ガスセンサ17aの代わりに用いられ、かつ、触媒12よりも上流側に設置される温度測定手段(例えば温度センサ)の設置位置は、ガスセンサ17aの設置されている位置に制限されるものではなく、触媒12よりも上流側であれば、いずれの位置であってもよい(例えば水素供給管15a及び酸素供給管15bの後ろ側に設置しても、水素供給管15a及び酸素供給管15bの接続位置の間に設置してもよい)。なお、このような場合(ガスセンサ17a及び17bを温度測定手段に変更する場合)において、下流側の温度測定手段から得られる情報のみを触媒の活性化の必要性の判断に利用する場合などにおいては、かかる触媒12よりも上流側の温度測定手段の設置を省略してもよい。
また、図1及び図4に示す実施形態の早期活性化システムにおいては、温度測定手段を利用していないが、触媒の活性化を判断するために温度測定手段を更に備える実施形態として利用してもよい。
また、図3に示す実施形態の早期活性化システムにおいては、ガスセンサ17a及び17bを備えていないが、温度測定手段18a〜18cとともに、これらを更に備える実施形態とするか、あるいは、温度測定手段18a〜18cを利用せずに、ガスセンサ17a及び17bを利用する実施形態として利用してもよい。なお、ガスセンサ17a及び17bとともに、温度測定手段18a〜18cを更に備える場合、前記触媒に接触する前後の排ガス中の酸素濃度の変化量の情報、及び、前記触媒の温度の情報の中から選択される少なくとも1つの情報に基づいて、前記触媒の活性化の必要性を判断することが可能であり、場合に応じて(内燃機関の運転時間等の種々の状況や判断するタイミング等に応じて)、触媒の活性化を図るために最適な情報を適宜選択するか、あるいは、前記情報を双方とも利用して、触媒12の活性化の必要性を判断することが可能となる。
また、本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムにおいては、必ずしもガスセンサや温度測定手段から入手できる情報によって活性化の必要性を判断しなくてもよく、これらのセンサ以外の各種センサや、内燃機関の運転状態に関する情報等を適宜利用して活性化の必要性を判断してもよい。
また、制御フローも上記図2に示す実施形態に限定されるものではなく、例えば、図2に示す実施形態の制御フローでは、触媒の活性化が不要と判断された場合に、安全のためにステップS5においてバルブが閉じているか確認しているが、そのような確認はせずに、ステップS2において触媒の活性化が不要と判断された場合に、そのままエンドに進んでもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<各試験で使用する評価ガスの種類について>
先ず、下記評価試験において使用する評価ガスの種類(組成等)について説明する。なお、評価ガス1及び2としては、それぞれ、下記表1に示す組成を有する評価ガス1用又は評価ガス2用の定常ガス(流量10L/min)に対して、1秒毎に周期的に、表2に示す各ガス用の変動ガスを所定量添加したもの(還元成分に対する酸素過剰率(λ)が0.998±0.02相当となるガス)を使用した。
先ず、下記評価試験において使用する評価ガスの種類(組成等)について説明する。なお、評価ガス1及び2としては、それぞれ、下記表1に示す組成を有する評価ガス1用又は評価ガス2用の定常ガス(流量10L/min)に対して、1秒毎に周期的に、表2に示す各ガス用の変動ガスを所定量添加したもの(還元成分に対する酸素過剰率(λ)が0.998±0.02相当となるガス)を使用した。
なお、表2に示すように変動ガスとしては、還元成分導入用ガスと酸化成分導入用ガスとを使用した。このうち、酸化成分導入用ガスは評価ガス1用のガスと評価ガス2用のガスとを共通として、O250容積%とN250容積%の混合ガスとした。他方、還元成分導入用ガスに関しては、表2に記載のように、評価ガス1用のガスをCO100容積%のガスとし、評価ガス2用のガスをCO75容積%とH225容積%の混合ガスとした。
このようにして設定した評価ガス1と評価ガス2とにおいて、評価ガス2は、上記評価ガス1中の、一酸化炭素(CO)の25容積%を水素(H2)に置き換えたモデルガスである。なお、COとH2は共に、1/2等量の酸素(O2)と反応するため、一部を置き換えたとしても酸素過剰率(λ)に変化はない。更に、H2の燃焼反応の熱化学方程式(下記式1)と、COの燃焼反応の熱化学方程式(下記式2)からも明らかなように、COとH2は燃焼反応における発熱量に大きな差はない。よって、本評価ガス1及び2(定常ガスに変動ガスを1秒毎に所定量添加したもの)をそれぞれ使用すれば、酸素過剰率(λ)だけではなく、反応の総発熱量もほぼ同等の条件での試験が可能となる。
H2+1/2O2=H2O+286.2kJ/mol (式1)
CO+1/2O2=CO2+283kJ/mol (式2)。
CO+1/2O2=CO2+283kJ/mol (式2)。
<各試験で使用する排ガス浄化用触媒について>
次に、排ガス浄化用触媒の調製方法を説明する。なお、下記評価試験においてはいずれも、以下に記載の調製方法を採用して得られた排ガス浄化用触媒(ペレット形状の排ガス浄化用触媒)を使用した。
次に、排ガス浄化用触媒の調製方法を説明する。なお、下記評価試験においてはいずれも、以下に記載の調製方法を採用して得られた排ガス浄化用触媒(ペレット形状の排ガス浄化用触媒)を使用した。
〈排ガス浄化用触媒の調製方法〉
先ず、粉末状のアルミナ−セリア−ジルコニア担体(30wt%Al2O3−38wt%CeO2−32wt%ZrO2)100gに貴金属(Pd)が0.1g担持された粉末触媒[Pd(0.1g)/30wt%Al2O3‐38wt%CeO2‐32wt%ZrO2(100g)]を準備した。次いで、前記粉末触媒とアルミナ粉末(4wt%La2O3‐96wt%Al2O3)とを質量比([粉末触媒]:[アルミナ粉末])が9:1となる割合で混合して混合粉末を得た後、該混合粉末を圧粉、破砕して粒子径(直径)0.5〜1.0mmのペレット形状に成形することにより、ペレット形状の排ガス浄化用触媒を得た。なお、このような排ガス浄化用触媒は、以下の評価試験(各試験例)において、浄化性能(反応)の優劣をより判定し易くするために、敢えて、貴金属の量(活性点の量)が少ない触媒とした。
先ず、粉末状のアルミナ−セリア−ジルコニア担体(30wt%Al2O3−38wt%CeO2−32wt%ZrO2)100gに貴金属(Pd)が0.1g担持された粉末触媒[Pd(0.1g)/30wt%Al2O3‐38wt%CeO2‐32wt%ZrO2(100g)]を準備した。次いで、前記粉末触媒とアルミナ粉末(4wt%La2O3‐96wt%Al2O3)とを質量比([粉末触媒]:[アルミナ粉末])が9:1となる割合で混合して混合粉末を得た後、該混合粉末を圧粉、破砕して粒子径(直径)0.5〜1.0mmのペレット形状に成形することにより、ペレット形状の排ガス浄化用触媒を得た。なお、このような排ガス浄化用触媒は、以下の評価試験(各試験例)において、浄化性能(反応)の優劣をより判定し易くするために、敢えて、貴金属の量(活性点の量)が少ない触媒とした。
(試験例1:触媒の活性化の評価試験A−1)
前述のようにして得られたペレット形状の排ガス浄化用触媒(3g)を反応管(内径:10mm、石英ガラス製)に充填し、該反応管の一端から他端に向かって、2容積%のO2とN2(残部:98容積%)とからなる前処理ガスを流量7L/分で流しながら、入ガス(触媒への流入ガス)の温度が500℃となるまで昇温し、500℃で10分間保持する酸化前処理を行った。その後、同流量のまま、入ガスのガス種を前処理ガスから上記評価ガス2(表1及び表2参照)に切り替え、入ガス温度を25℃/分の降温速度で500℃から下げながら、前記排ガス浄化用触媒の出ガス(触媒接触後の流出ガス)中の各ガス成分の濃度分析(出ガス濃度分析)を行った。各ガス成分の入ガス中の濃度に対する前記排ガス浄化用触媒の出ガス中の濃度から、CO、NOx、プロピレンの浄化率をそれぞれ求め、触媒の活性状態を評価した。このような評価の結果として得られた、入ガス温度と各ガス成分(CO、NOx、プロピレン)の浄化率との関係を示すグラフを図5に示す。
前述のようにして得られたペレット形状の排ガス浄化用触媒(3g)を反応管(内径:10mm、石英ガラス製)に充填し、該反応管の一端から他端に向かって、2容積%のO2とN2(残部:98容積%)とからなる前処理ガスを流量7L/分で流しながら、入ガス(触媒への流入ガス)の温度が500℃となるまで昇温し、500℃で10分間保持する酸化前処理を行った。その後、同流量のまま、入ガスのガス種を前処理ガスから上記評価ガス2(表1及び表2参照)に切り替え、入ガス温度を25℃/分の降温速度で500℃から下げながら、前記排ガス浄化用触媒の出ガス(触媒接触後の流出ガス)中の各ガス成分の濃度分析(出ガス濃度分析)を行った。各ガス成分の入ガス中の濃度に対する前記排ガス浄化用触媒の出ガス中の濃度から、CO、NOx、プロピレンの浄化率をそれぞれ求め、触媒の活性状態を評価した。このような評価の結果として得られた、入ガス温度と各ガス成分(CO、NOx、プロピレン)の浄化率との関係を示すグラフを図5に示す。
(比較試験例1:触媒の活性化の評価試験A−2)
評価ガスとして、上記評価ガス2の代わりに上記評価ガス1(表1及び表2参照)を使用した以外は、試験例1と同様にして、出ガス濃度分析を行ってCO、NOx、プロピレンの浄化率をそれぞれ求めて、触媒の活性状態を評価した。このような評価の結果として、入ガス温度と各ガス(CO、NOx、プロピレン)の浄化率との関係を示すグラフを図6に示す。
評価ガスとして、上記評価ガス2の代わりに上記評価ガス1(表1及び表2参照)を使用した以外は、試験例1と同様にして、出ガス濃度分析を行ってCO、NOx、プロピレンの浄化率をそれぞれ求めて、触媒の活性状態を評価した。このような評価の結果として、入ガス温度と各ガス(CO、NOx、プロピレン)の浄化率との関係を示すグラフを図6に示す。
また、このような試験例1及び比較試験例1の結果(図5及び図6)から、各試験例におけるプロピレンの50%浄化温度(プロピレンの浄化率が50%となる温度)を求めた。得られた結果を図7に示す。
[評価試験A−1及びA−2の結果について]
図5〜図6に示す結果からも明らかなように、同じ酸素過剰率(λ)の評価試験であってもH2を含まない評価ガス1を使用した場合(図6)と比べて、COの25容積%をH2で置き換えた評価ガス2を使用した場合(図5)には、いずれのガス成分についても低い入ガス温度まで高い浄化率を発現した。また、図7に示すように、プロピレンの50%浄化温度で比較すると、COの25容積%をH2で置き換えた評価ガス2を使用した場合(試験例1の場合)には、H2を含まない評価ガス1を使用した場合と比べて37℃低くなった(50%浄化温度が低温化した)。
図5〜図6に示す結果からも明らかなように、同じ酸素過剰率(λ)の評価試験であってもH2を含まない評価ガス1を使用した場合(図6)と比べて、COの25容積%をH2で置き換えた評価ガス2を使用した場合(図5)には、いずれのガス成分についても低い入ガス温度まで高い浄化率を発現した。また、図7に示すように、プロピレンの50%浄化温度で比較すると、COの25容積%をH2で置き換えた評価ガス2を使用した場合(試験例1の場合)には、H2を含まない評価ガス1を使用した場合と比べて37℃低くなった(50%浄化温度が低温化した)。
このような結果から、触媒に接触する前の排ガスにH2とO2を酸素過剰率を変えないように導入することにより触媒の活性(三元活性)が、低温の排ガス(入ガス)に対しても十分に発現することが確認された。さらに、図5の入ガス温度150℃付近に着目すると、150℃といった低温であるにも拘わらず、NOxの浄化率は約20%となっており、COやプロピレンと比べてNOxの浄化率がより高くなっている。このような結果はH2の燃焼がNOxとの反応によっても進行していることを示している。加えて、図5から、H2を導入することにより低温からCOの酸化反応を促進すること(入ガス温度200℃でCO浄化率が約50%となること)も確認され、その結果、プロピレン浄化温度も低温化したことが確認できた。このような結果と反応式等を併せ検討すれば、COやプロピレンと比較して、より低温から酸化可能なH2を酸素過剰率を変えないように導入することにより、排ガス浄化用触媒の活性点(貴金属)におけるH2の酸化反応によって活性点及びその周辺が反応熱で直接暖機されること、及び/又は、活性点が前記前処理により酸化されていてもメタル化が促進されること、等によって、活性点がより活性の高い状態となっていることは明らかである。
また、図5〜7に示す結果から、酸素過剰率(λ)と反応による総発熱量を保持したままであっても、H2を積極的に共存させることにより排ガス浄化用触媒の低温活性を発現させることが可能であることが分かった。すなわち、排ガスや触媒が低温の時に、排ガス浄化用触媒の活性を向上させるために、酸素過剰率(λ)を保持したまま、H2及びO2を排ガス組成に関係なく反応が完結するモル比で供給することで、内燃機関の種類によらず、より効率よく排ガス浄化用触媒の低温活性を向上させることも可能であることが分かる。
(試験例2:触媒の活性化の評価試験B−1)
前述の評価試験A−1に引き続き、該評価試験A−1で用いた反応管を使用し、該反応管に2容積%のO2とN2(残部:98容積%)とからなる前処理ガスを流量7L/分で流しながら、入ガス温度が500℃となるまで再度昇温し、500℃で10分間保持する酸化前処理を行った。その後、前記前処理ガスの温度を200℃まで降温して、温度が200℃で一定となるように制御した状態で、同流量のままで、入ガスのガス種を前記前処理ガスから上記評価ガス2(表1及び表2参照)に切り替え、前記排ガス浄化用触媒の出ガス濃度分析を行った。そして、ガス種の切り替えから60秒間のCO、NOx、プロピレンの出ガス濃度変化から、触媒の活性状態を評価した。このような評価の結果として、入ガス中のCO濃度(容積%)、NOx濃度(容積%)及びプロピレン濃度(容積%C)と経過時間との関係を示すグラフ、並びに、出ガス中のCO濃度(容積%)、NOx濃度(容積%)、プロピレン濃度(容積%C)と経過時間との関係を示すグラフを図8に示す。また、入ガス濃度と出ガス濃度から、ガス種の切り替えからの積算値として、NOx(NO2換算:mg)及び全炭化水素(THC:mg)を算出し、かかる積算値と評価ガス2の導入開始時からの経過時間との関係を示すグラフを図9に示す。
前述の評価試験A−1に引き続き、該評価試験A−1で用いた反応管を使用し、該反応管に2容積%のO2とN2(残部:98容積%)とからなる前処理ガスを流量7L/分で流しながら、入ガス温度が500℃となるまで再度昇温し、500℃で10分間保持する酸化前処理を行った。その後、前記前処理ガスの温度を200℃まで降温して、温度が200℃で一定となるように制御した状態で、同流量のままで、入ガスのガス種を前記前処理ガスから上記評価ガス2(表1及び表2参照)に切り替え、前記排ガス浄化用触媒の出ガス濃度分析を行った。そして、ガス種の切り替えから60秒間のCO、NOx、プロピレンの出ガス濃度変化から、触媒の活性状態を評価した。このような評価の結果として、入ガス中のCO濃度(容積%)、NOx濃度(容積%)及びプロピレン濃度(容積%C)と経過時間との関係を示すグラフ、並びに、出ガス中のCO濃度(容積%)、NOx濃度(容積%)、プロピレン濃度(容積%C)と経過時間との関係を示すグラフを図8に示す。また、入ガス濃度と出ガス濃度から、ガス種の切り替えからの積算値として、NOx(NO2換算:mg)及び全炭化水素(THC:mg)を算出し、かかる積算値と評価ガス2の導入開始時からの経過時間との関係を示すグラフを図9に示す。
(比較試験例2:触媒の活性化の評価試験B−2)
評価ガスとして、上記評価ガス2の代わりに上記評価ガス1を使用した以外は、試験例2と同様にして、出ガス濃度分析を行って、ガス種の切り替えから60秒間のCO、NOx、プロピレンの出ガス濃度変化から触媒の活性状態を評価した。このような評価の結果として、入ガス中のCO濃度(容積%)、NOx濃度(容積%)及びプロピレン濃度(容積%C)と経過時間との関係を示すグラフ、並びに、出ガス中のCO濃度(容積%)、NOx濃度(容積%)、プロピレン濃度(容積%C)と経過時間との関係を示すグラフを図10に示す。また、入ガス濃度と出ガス濃度から、ガス種の切り替えからの積算値として、NOx(NO2換算:mg)及び全炭化水素(THC:mg)を算出し、かかる積算値と評価ガス2の導入開始時からの経過時間との関係を示すグラフを図11に示す。
評価ガスとして、上記評価ガス2の代わりに上記評価ガス1を使用した以外は、試験例2と同様にして、出ガス濃度分析を行って、ガス種の切り替えから60秒間のCO、NOx、プロピレンの出ガス濃度変化から触媒の活性状態を評価した。このような評価の結果として、入ガス中のCO濃度(容積%)、NOx濃度(容積%)及びプロピレン濃度(容積%C)と経過時間との関係を示すグラフ、並びに、出ガス中のCO濃度(容積%)、NOx濃度(容積%)、プロピレン濃度(容積%C)と経過時間との関係を示すグラフを図10に示す。また、入ガス濃度と出ガス濃度から、ガス種の切り替えからの積算値として、NOx(NO2換算:mg)及び全炭化水素(THC:mg)を算出し、かかる積算値と評価ガス2の導入開始時からの経過時間との関係を示すグラフを図11に示す。
このような試験例2及び比較試験例2の結果(図8及び図10)から、各試験ごとに、ガス種を前処理ガスから評価ガス(評価ガス1又は評価ガス2)に切り替えてから30秒経過する間(評価ガスの導入開始から30秒間)のプロピレン浄化率(%)をそれぞれ求めた。得られた結果を図12に示す。
[評価試験B−1及びB−2の結果について]
前記前処理により排ガス浄化用触媒の活性点が酸素被毒状態であり、かつ、200℃という低温始動を模擬した評価試験においては、COの25容積%をH2で置き換えた評価ガス2を使用した場合(図8)では、H2を含まない評価ガス1を使用した場合(図10)と比較して、ガス種を評価ガスに切り替えた直後から浄化反応が進行しており、早期の段階から、より高度な活性(三元活性)が発現していることが分かり、H2を酸素過剰率を変えないように導入することにより排ガス浄化用触媒を早期からより活性化できることが分かった。なお、このような結果は、前述した評価試験A−1及びA−2と同様に、酸素過剰率(λ)と反応による総発熱量を保持したままであっても、排ガス浄化用触媒の活性点においてCOやプロピレンと比較してより低温から反応するH2の酸化反応により、活性点及びその周辺が反応熱で直接暖機(加熱)されること、及び/又は、活性点が前記前処理により酸化されていてもメタル化が促進されること、等によって、早期から、活性点がより活性の高い状態となったことによって生じていることは明らかである。また、この効果を積算値(すなわち、エミッション又は排出量)として示した図9及び図11からも明らかである。さらに、図12に示す、評価ガスの導入開始から30秒間のプロピレン浄化率は、COの25容積%をH2で置き換えた評価ガス2を使用した場合には、H2を含まない評価ガス1を使用した場合と比較して42%向上することが分かった。図8〜12に示す結果から、ガス中の酸化成分と還元成分の比率と反応による総発熱量を保ったままであっても、H2を導入することにより、排ガス浄化用触媒の低温活性を発現させることが可能となることが分かった。
前記前処理により排ガス浄化用触媒の活性点が酸素被毒状態であり、かつ、200℃という低温始動を模擬した評価試験においては、COの25容積%をH2で置き換えた評価ガス2を使用した場合(図8)では、H2を含まない評価ガス1を使用した場合(図10)と比較して、ガス種を評価ガスに切り替えた直後から浄化反応が進行しており、早期の段階から、より高度な活性(三元活性)が発現していることが分かり、H2を酸素過剰率を変えないように導入することにより排ガス浄化用触媒を早期からより活性化できることが分かった。なお、このような結果は、前述した評価試験A−1及びA−2と同様に、酸素過剰率(λ)と反応による総発熱量を保持したままであっても、排ガス浄化用触媒の活性点においてCOやプロピレンと比較してより低温から反応するH2の酸化反応により、活性点及びその周辺が反応熱で直接暖機(加熱)されること、及び/又は、活性点が前記前処理により酸化されていてもメタル化が促進されること、等によって、早期から、活性点がより活性の高い状態となったことによって生じていることは明らかである。また、この効果を積算値(すなわち、エミッション又は排出量)として示した図9及び図11からも明らかである。さらに、図12に示す、評価ガスの導入開始から30秒間のプロピレン浄化率は、COの25容積%をH2で置き換えた評価ガス2を使用した場合には、H2を含まない評価ガス1を使用した場合と比較して42%向上することが分かった。図8〜12に示す結果から、ガス中の酸化成分と還元成分の比率と反応による総発熱量を保ったままであっても、H2を導入することにより、排ガス浄化用触媒の低温活性を発現させることが可能となることが分かった。
以上、説明申し上げた通り、上記試験例1〜2及び比較試験例1〜2に示す結果から、ガス中の酸化成分と還元成分の比率と反応による総発熱量を保ったままであっても、H2を積極的に共存させることにより、排ガス浄化用触媒の低温活性を十分に発現できることが分かった。この結果から、例えば、エンジンの冷間始動直後などの早期の段階から、排ガス中の酸化成分と還元成分の比率を保つように、さらに、排ガス中にH2とO2を排ガス組成と関係なく反応が完結するモル比で供給することにより、排ガス浄化用触媒を早期から十分に活性化させることが可能であることが分かる。なお、OSC機能を有するいわゆる三元触媒の場合には、H2とO2の比率が2:0.1〜2:1.9(より好ましくは2:0.5〜2:1.5、さらに好ましくは2:0.9〜2:1.1)の範囲となるように制御することで、該触媒により排ガスの雰囲気変動を十分に吸収できると考えられることから、同様に、排ガス浄化用触媒を早期から十分に活性化させることが可能であり、早期からのエミッション低減を達成できるものと推察される。なお、H2とO2を排ガス組成と関係なく反応が完結するモル比で供給する好適な方法としては、例えば、水素供給手段及び酸素供給手段として、水の電気分解手段を使用して、水の電気分解によって生成したH2とO2を、そのまま排ガス浄化用触媒に接触する前の排ガス中に供給して混合する方法を挙げることができる。
以上のような結果から、内燃機関で生じた排ガスが流通する排ガス流路に配置された排ガス浄化用触媒と、前記触媒に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段と、前記触媒に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段と、前記触媒の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段と、前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御するガス供給制御手段とを備える活性化システムを用いて、前記触媒活性化判断手段により前記触媒の活性化が必要と判断された場合に、前記ガス供給制御手段を用いて、前記触媒に接触前の排ガスに対して、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を適宜制御(例えば、これらのガスの供給量や供給するタイミング、これらのガスの供給方法(連続的な添加や間欠的な添加による供給など)を適宜制御)することにより、水素及び酸素の含有量が制御された排ガスを前記触媒に接触させることが可能となり、これにより前記排ガス浄化用触媒を早期から十分に活性化させることが可能となることが分かる。
以上説明したように、本発明によれば、排ガス浄化用触媒を早期に活性化させることが可能であり、内燃機関の始動直後から大気汚染物質の排出の低減を十分に図ることを可能とする排ガス浄化用触媒の早期活性化システム、及び、それを利用した排ガス浄化用触媒の早期活性化方法を提供することが可能となる。このように、本発明の排ガス浄化用触媒の早期活性化システムは、排ガス中に含まれて大気中に排出される大気汚染物質の量の低減を十分に図ることが可能であるため、例えば、自動車のエンジンの排気系において排ガスを触媒で浄化する場合に、その触媒の活性化を図るための技術等として応用することが可能である。
10…内燃機関、11…排ガス管、12、12a及び12b…排ガス浄化用触媒、13…水素供給手段、14…酸素供給手段、15a…水素供給管、15b…酸素供給管、16a及び16b……バルブ、17a及び17b…ガスセンサ、18a、18b及び18c…温度測定手段、20…電子制御ユニット、21…触媒活性化判断手段、22…ガス供給制御手段、30…水の電気分解手段。
Claims (8)
- 内燃機関で生じた排ガスが流通する排ガス流路に配置された排ガス浄化用触媒と、
前記触媒に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段と、
前記触媒に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段と、
前記触媒の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段と、
前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御するガス供給制御手段と、
を備えることを特徴とする排ガス浄化用触媒の早期活性化システム。 - 前記触媒活性化判断手段が、前記触媒に接触する前後の排ガス中の酸素濃度の変化量、及び/又は、前記触媒の温度に基づいて、前記触媒の活性化の必要性を判断するものであることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒の早期活性化システム。
- 前記ガス供給制御手段が、前記水素供給手段及び前記酸素供給手段から供給される前記水素及び前記酸素の量を、前記水素と前記酸素のモル比([水素]:[酸素])が2:0.1〜2:1.9となるように制御するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒の早期活性化システム。
- 前記水素供給手段及び前記酸素供給手段が、水の電気分解手段からなることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒の早期活性化システム。
- 内燃機関で生じた排ガスが流通する排ガス流路に配置された排ガス浄化用触媒と、
前記触媒に接触する前の排ガスに水素を供給するための水素供給手段と、
前記触媒に接触する前の排ガスに酸素を供給するための酸素供給手段と、
前記触媒の活性化の必要性を判断する触媒活性化判断手段と、
前記触媒活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御するガス供給制御手段と、
を備える排ガス浄化用触媒の早期活性化システムを用いて、
前記触媒活性化判断手段により前記触媒の活性化の必要性を判断し、該活性化判断手段の判断結果に基づいて、前記ガス供給制御手段を用いて前記水素供給手段からの水素の供給及び前記酸素供給手段からの酸素の供給を制御して、水素及び酸素の含有量が制御された排ガスを前記触媒に接触させることにより、前記触媒を活性化することを特徴とする排ガス浄化用触媒の早期活性化方法。 - 前記触媒活性化判断手段が、前記触媒に接触する前後の排ガス中の酸素濃度の変化量、及び/又は、前記触媒の温度に基づいて、前記触媒の活性化の必要性を判断するものであることを特徴とする請求項5に記載の排ガス浄化用触媒の早期活性化方法。
- 前記ガス供給制御手段が、前記水素供給手段及び前記酸素供給手段から供給される前記水素及び前記酸素の量を、前記水素と前記酸素のモル比([水素]:[酸素])が、2:0.1〜2:1.9となるように制御するものであることを特徴とする請求項5又は6に記載の排ガス浄化用触媒の早期活性化方法。
- 前記水素供給手段及び前記酸素供給手段が、水の電気分解手段からなることを特徴とする請求項5〜7のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒の早期活性化方法。
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JP2005069053A (ja) * | 2003-08-21 | 2005-03-17 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の排気浄化装置 |
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