JP2020111658A - インク、インク収容容器、記録装置、及び記録方法 - Google Patents

インク、インク収容容器、記録装置、及び記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020111658A
JP2020111658A JP2019002762A JP2019002762A JP2020111658A JP 2020111658 A JP2020111658 A JP 2020111658A JP 2019002762 A JP2019002762 A JP 2019002762A JP 2019002762 A JP2019002762 A JP 2019002762A JP 2020111658 A JP2020111658 A JP 2020111658A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
resin
structural unit
general formula
unit represented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019002762A
Other languages
English (en)
Inventor
拓也 齋賀
Takuya Saiga
拓也 齋賀
原田 成之
Nariyuki Harada
成之 原田
拓哉 山崎
Takuya Yamazaki
拓哉 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2019002762A priority Critical patent/JP2020111658A/ja
Publication of JP2020111658A publication Critical patent/JP2020111658A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】 従来から、アニオン性基を有する構造単位および末端にナフチル基を有する構造単位を有する共重合体である分散剤を含むインクが開示されている。しかしながら、このようなインクでは、インクの保存性安定性と、付与されたインクにより形成される画像を加熱した場合に生じる画像濃度低下の抑制と、を両立することが困難である課題がある。【解決手段】 所定の一般式で表される構造単位を有する樹脂と、カーボンブラックと、を含むインクであって、前記カーボンブラックの平均一次粒子径は、15nm以下であり、前記インクの乾固物のガラス転移温度Tgは、50℃以上100℃以下であるインク。【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インク収容容器、記録装置、及び記録方法に関する。
インクジェット記録方式で用いるインクとしては、染料または顔料を用いた水性インクが知られている。このようなインクでは、水に溶解することが困難な顔料等の成分を、水中に長期間安定して分散させる必要があるため、分散剤を併用することが有効である。
特許文献1には、アニオン性基を有する構造単位および末端にナフチル基を有する構造単位を有する共重合体である分散剤が開示され、これらの分散剤を含むインクをインクジェット方式により記録媒体に吐出できることが開示されている。
しかしながら、インクの保存性安定性と、付与されたインクにより形成される画像を加熱した場合に生じる画像濃度低下の抑制と、を両立することが困難である課題がある。
請求項1に係る発明は、下記一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂と、カーボンブラックと、を含むインクであって、前記カーボンブラックの平均一次粒子径は、15nm以下であり、前記インクの乾固物のガラス転移温度Tgは、50℃以上100℃以下であるインクである。
(前記一般式(1)で表される構造単位において、Rは水素原子又はメチル基であり、Lは炭素数が2以上18以下のアルキレン基である。)
本発明は、インクの保存性安定性と、付与されたブラックインクにより形成される画像を加熱した場合に生じる画像濃度低下の抑制と、を両立することができる優れた効果を奏する。
図1は、記録装置の一例を示す斜視説明図である。 図2は、メインタンクの一例を示す斜視説明図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<<インク>>
本実施形態のインクは、一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂、及びカーボンブラックを含有し、必要に応じて、一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂以外の樹脂、有機溶剤、水、及び界面活性剤等の成分を含有する。
まず、本実施形態のインクが優れた効果を奏する理由について説明する。通常、顔料の含有量が多いインクは、記録媒体等に付与されたインクにより形成される画像において高い画像濃度を得られる。しかし、顔料の含有量を多くすると、顔料を分散させるために用いる分散剤を多く必要とするが、一般的な分散剤では顔料への吸着性が高いとは言えずインクの保存安定性が低下する。また、記録媒体に付与されたインクが乾燥工程等で加熱されるとインク中の分子の運動が活発化し、顔料に吸着していた分散剤が乖離することでインク中の顔料が凝集する。顔料が凝集すると、画像表面の平滑性が低下し、それに伴って画像濃度が低下する。そこで、本実施形態では、顔料への吸着性が高いナフチル基を側鎖に有する樹脂を分散剤として用いることで保存安定性の向上を図った。また、この保存安定性が向上する効果は、インクが乾燥工程等で加熱されている際にも有効であり、顔料の凝集を抑制することができるので、結果として画像濃度の低下が抑制される。
なお、カーボンブラックを含むブラックインクにより形成されるブラック画像は、画像表面に入射した光が高効率で吸収されて画像表面から生じる散乱光が減少することにより、濃い黒色に見える。従って、ブラック画像の画像濃度を向上させる場合、画像表面のナノメートルレベルにおける平滑性を高めることが好ましい。本発明者らは、画像表面の平滑性を高める手法として、「インクを乾燥して得られ、分散剤や定着樹脂などの樹脂、及びカーボンブラック等を含むインクの乾固物のガラス転移温度Tgを調整する手法」、「カーボンブラックの平均一次粒子径を調整する手法」を見出した。
分散剤や定着樹脂などのインク中の樹脂は、水や有機溶剤などのインク中の液体成分(以下、「ビヒクル」とも称する)に溶解または分散している。このような溶解または分散している樹脂を含有するインクが乾燥してインク膜を形成する過程において、樹脂や顔料の収縮が生じる。この収縮時に、樹脂と顔料の間に収縮率の差異があることで、画像表面にナノメートルレベルでの凹凸が生じ、凹凸で散乱した光によってブラック画像の画像濃度が低下する。本実施形態では、この画像濃度の低下を防ぐためにインクの乾固物のガラス転移温度Tgを50℃以上100℃以下に調整する。
また、本実施形態では、インク中におけるカーボンブラックの一次粒子径を15nm以下に調整することで画像表面に生じる凹凸を減少させ、画像濃度の低下を抑制する。
<樹脂>
樹脂としては、一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂、及び一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂以外の樹脂などが挙げられる。また、これら樹脂のインク中における態様としては、ビヒクルに溶解している樹脂、及びビヒクルに分散している樹脂などが挙げられるが、特に限定されない。また、これら樹脂の機能としては、例えば、顔料を分散させるために用いる分散剤、顔料を記録媒体に定着させるために用いる定着樹脂などが挙げられるが、特に限定されない。
−一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂−
一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂(以下、「第一の樹脂」とも称する)は、下記の一般式(1)で表される構造単位を有するが、一般式(1)以外の構造単位を更に有する共重合体であってもよい。
一般式(1)で表される構造単位において、Rは水素原子又はメチル基である。また、Lは炭素数が2以上18以下のアルキレン基であり、炭素数が2以上16以下のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が2以上12以下のアルキレン基であることがより好ましい。Lを介して末端に存在するナフチル基は、インク中のカーボンブラックとの間のπ−πスタッキングにより、カーボンブラックに対して優れた顔料吸着力を有しており、これにより高い保存安定性を有するインクが得られる。
一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂における、一般式(1)で表される構造単位の含有率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂全体に対して、37.0質量%以上98.0質量%以下であることが好ましく、54.0質量%以上95.0質量%以下がより好ましく、66.0質量%以上92.0質量%以下がさらに好ましい。
また、一般式(1)で表される構造単位において、*は他の構造単位への結合部位を表し、一般式(1)の構造以外に、その他の重合性モノマー由来の構造単位(一般式(1)以外の構造単位)を有することができる。その他の重合性モノマーとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合性の疎水性モノマー、重合性の親水性モノマー、重合性界面活性剤などが挙げられる。
重合性の疎水性モノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−クロロメチルスチレン等の芳香族環を有する不飽和エチレンモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸ラウリル(C12)、(メタ)アクリル酸トリデシル(C13)、(メタ)アクリル酸テトラデシル(C14)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル(C15)、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル(C16)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル(C17)、(メタ)アクリル酸ノナデシル(C19)、(メタ)アクリル酸エイコシル(C20)、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル(C21)、(メタ)アクリル酸ドコシル(C22)等の(メタ)アクリル酸アルキル;1−ヘプテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ドコセン等のアルキル基を持つ不飽和エチレンモノマー、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合性の親水性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸又はその塩、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、フマル酸、4−スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、或いはリン酸、ホスホン酸、アレンドロン酸又はエチドロン酸を含有した不飽和エチレンモノマー等のアニオン性不飽和エチレンモノマー;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド等の非イオン性不飽和エチレンモノマーなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、重合性の親水性モノマー由来の構造単位としては、例えば、次の一般式(2)で表される構造単位が挙げられる。
一般式(2)で表される構造単位において、Rは水素原子又はメチル基である。また、Xは水素原子又は陽イオンである。
陽イオンの場合、陽イオンに隣接する酸素はOとして存在する。陽イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、トリブチルメチルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムイオン、トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、プロピルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムイオン、オクチルトリメチルアンモニウムイオン、ノニルトリメチルアンモニウムイオン、デシルトリメチルアンモニウムイオン、ドデシルトリメチルアンモニウムイオン、テトラデシルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムイオン、オクタデシルトリメチルアンモニウムイオンジドデシルジメチルアンモニウムイオン、ジテトラデシルジメチルアンモニウムイオン、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムイオン、ジオクタデシルジメチルアンモニウムイオン、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムイオン、アンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、モノエチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、メチルエタノールアンモニウムイオン、メチルジエタノールアンモニウムイオン、ジメチルエタノールアンモニウムイオン、モノプロパノールアンモニウムイオン、ジプロパノールアンモニウムイオン、トリプロパノールアンモニウムイオン、イソプロパノールアンモニウムイオン、モルホリニウムイオン、N−メチルモルホリニウムイオン、N−メチル−2−ピロリドニウムイオン、2−ピロリドニウムイオンなどが挙げられる。
一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂における、一般式(2)で表される構造単位の含有率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂に対して、10質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
重合性界面活性剤は、ラジカル重合可能な不飽和二重結合性基を分子内に少なくとも1つ以上有するアニオン性又は非イオン性の界面活性剤である。
アニオン性界面活性剤としては、硫酸アンモニウム塩基(−SO NH )などの硫酸塩基とアリル基(−CH−CH=CH)とを有する炭化水素化合物、硫酸アンモニウム塩基(−SO NH )などの硫酸塩基とメタクリル基〔−CO−C(CH)=CH〕とを有する炭化水素化合物、又は硫酸アンモニウム塩基(−SO NH )などの硫酸塩基と1−プロペニル基(−CH=CHCH)とを有する芳香族炭化水素化合物が挙げられる。その具体例としては、三洋化成社製のエレミノールJS−20、及びRS−300、第一工業製薬社製のアクアロンKH−10、アクアロンKH−1025、アクアロンKH−05、アクアロンHS−10、アクアロンHS−1025、アクアロンBC−0515、アクアロンBC−10、アクアロンBC−1025、アクアロンBC−20、及びアクアロンBC−2020などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、1−プロペニル基(−CH=CHCH)とポリオキシエチレン基〔−(CO)n−H〕とを有する炭化水素化合物又は芳香族炭化水素化合物が挙げられる。その具体例としては、第一工業製薬社製のアクアロンRN−20、アクアロンRN−2025、アクアロンRN−30、及びアクアロンRN−50、花王社製のラテムルPD−104、ラテムルPD−420、ラテムルPD−430、及びラテムルPD−450などが挙げられる。
重合性界面活性剤は、1種又は2種以上を混合し一般式(1)で表される構造単位を形成するモノマーに対して、0.1〜10質量%使用することが好ましい。
本実施形態の一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂は、下記反応式(1)〜(2)に示すように、まず、ナフタレンカルボニルクロリド(A−1)と過剰量のジオール化合物を、アミン又はピリジンなどの酸受容剤の存在下で縮合反応させて、ナフタレンカルボン酸ヒドロキシアルキルエステル(A−2)を得る。次いで、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(A−3)と(A−2)とを反応させて、モノマー(A−4)を得る。樹脂にするためには、さらにラジカル重合開始剤の存在下で重合させればよい。 ここで、モノマー(A−4)の重量平均分子量は、一般式(1)のLが炭素数2〜18のアルキレン基、及びRが水素原子かメチル基であることから、357〜596である。
ラジカル重合開始剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、シアノ系のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,2’−イソバレロニトリル)、非シアノ系のジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、などが挙げられる。これらの中でも、分子量の制御がしやすく分解温度が低い点から、有機過酸化物、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物が特に好ましい。
ラジカル重合開始剤の含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、重合性モノマーの総量に対して、1〜10質量%が好ましい。
一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂の分子量を調整するために、連鎖移動剤を適量添加してもよい。連鎖移動剤の例としては、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール、ドデシルメルカプタン、1−ドデカンチオール、チオグリセロール、などが挙げられる。重合温度は特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜150℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。重合時間も特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3〜48時間が好ましい。
一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂のインク中における含有量は、効果が高まるという観点から、インクの全量に対して1.0質量%以上3.5質量%以下が好ましく、1.5質量%以上3.0質量%以下がより好ましい。
−一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂以外の樹脂−
本実施形態のインクは、一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂の他に、一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂以外の樹脂(以下、「第二の樹脂」とも称する)を含有することができる。樹脂の種類としては、一般式(1)で表される構造単位を有していなければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。樹脂は樹脂粒子の形態であることが好ましい。ここで、樹脂粒子とは、水中またはインク中に分散した微細な樹脂の粒であり、樹脂エマルションとも称する。
本実施形態に用いる樹脂粒子は、平均体積粒径(D50)が500nm以下であることが好ましく、50nm以上250nm以下であることがさらに好ましく、50nm以上200nm以下であるとさらに好ましい。ここで、樹脂粒子の体積平均粒子径(D50)は、23℃、55%RHの環境下において、日機装株式会社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定したものである。
樹脂粒子の具体例としては、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、アクリル−スチレン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。この中でも、ポリ(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル−シリコーン樹脂、(メタ)アクリル−スチレン樹脂を使用することが好ましい。
一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂以外の樹脂のインク中における含有量は、インクの全量に対して1.0質量%以上10質量%以下が好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下がより好ましい。
<カーボンブラック>
本実施形態のインクは、黒色顔料としてカーボンブラックを含有し、カーボンブラックの平均一次粒子径は、15nm以下である。インク中におけるカーボンブラックの一次粒子径を15nm以下に調整することで画像表面に生じる凹凸を減少させ、画像濃度の低下を抑制することができる。なお、カーボンブラックの平均一次粒子径は、1nm以上であることが好ましい。
カーボンブラックの平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡TEM(JEM−2100、JEOL社製)を用いて撮影した画像を処理することで測定することができる。具体的には、インクをテトラヒドロフランで固形分0.1%に希釈し、超音波分散機で5分間×3セット分散処理を行う。次に、分散液をコロジオン膜貼付けメッシュ(日新EM社製)にパスツールピペットを用いて滴下し、ドライヤーで溶媒を蒸発させ、透過型電子顕微鏡を用い、倍率40,000倍、加速電圧200kVの観察条件で画像を撮影する。粒径分布の算出は画像解析ソフト(Image−Pro Plus、Media Cybernetics社製)を用いて行うことができる。観察画像から得られるカーボンブラック粒子単体の投影面積に等しい円の直径(円相当径)を粒径と定義し、1次粒子まで分散しているカーボンブラックを無作為に100個以上選択し、それらの平均を得ることで、粒子の円相当径を平均1次粒径として算出できる。
カーボンブラックは、ファーネス法、チャネル法で製造されたものであることが好ましく、BET法による比表面積が200〜800m/g、DBP吸油量が40〜150mL/100g、揮発分が0.5〜10質量%、pHが2〜9であるものが好ましい。
なお、本願の課題である「付与されたインクにより形成される画像を加熱した場合に生じる画像濃度低下」は、カラー顔料を含有するカラーインクでは問題視されず、カーボンブラックを含有するブラックインク特有の課題である。上記課題がブラックインクで顕著になる原因として、カラーインクとブラックインクの発色のメカニズムの違いがある。各色の画像濃度を決定する要素として、色相・彩度・明度があるが、カラーインクでは色相と彩度が画像濃度に強く影響し、ブラックインクでは明度が画像濃度に強く影響する。すなわち、カラーインクでは、カラー顔料に入射した光のうち特定の色の光が吸収され他の色の光が反射されることで、人間の目には濃いカラー画像として認識されるが、ブラックインクでは、ブラック顔料に入射した光が吸収され、余分な反射光(散乱光)が少ないことで人間の目には濃いブラック画像として認識される違いがある。ここで、本願のように画像が加熱された場合に生じる現象としては、前述した通り、画像表面における平滑性の低下がある。画像表面における平滑性の低下は、余分な反射光(散乱光)の増加をもたらし、特にブラックインクで画像濃度低下の課題を引き起こすので、本実施形態におけるインクの構成とすることが有効となる。
カーボンブラックとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、No.2650、No.2600、No.2350、No.2300(三菱化学社製)、COLOUR BLACK FW 171、COLOUR BLACK FW 285、COLOUR BLACK FW 255、COLOUR BLACK FW 1、COLOUR BLACK FW 2、COLOUR BLACK FW 200、NIPex 90、PRINTEX 90、COLOUR BLACK FW 18、COLOUR BLACK FW 182、NIPex 180 IQ、PRINTEX 95(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)、SUNBLACK900、SUNBLACK905、SUNBLACK910、SUNBLACK915、SUNBLACK935、SUNBLACK960、SUNBLACK805(旭カーボン社製)などが挙げられる。
カーボンブラックの含有量は、インクに対して1.0質量%以上8.0質量%以下であることが好ましい。含有量が1.0質量%以上であるとインク塗膜内の顔料に光が効率的に吸収されて濃度が高くなるため好ましく、8.0質量%以下であるとインクの保存安定性が向上するため好ましい。
<有機溶剤>
本実施形態に使用できる有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
多価アルコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等が挙げられる。
アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物類としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等が挙げられる。
その他の有機溶剤としては、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
有機溶剤として、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましい。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCHCH(OH)CH−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
<<インクの乾固物>>
本実施形態のインクを乾燥して得られるインクの乾固物は、インクに含まれている成分である一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂(第一の樹脂)、一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂以外の樹脂(第二の樹脂)、カーボンブラック、各種添加剤などを含む。インクの乾固物のガラス転移温度Tgは、50℃以上100℃以下であり、60℃以上90℃以下であることが好ましい。乾固物のガラス転移温度Tgが50℃以上であると、乾燥時または乾燥後においてインクに含まれる樹脂の収縮を抑制できるためブラック画像の画像濃度が向上する。また、乾固物のガラス転移温度Tgが100℃以下であると、樹脂の融着が発生して表面が平滑化するためブラック画像の画像濃度が向上する。乾固物のガラス転移温度Tgを50℃以上100℃以下に調整する手法としては、例えば、インクに含まれる一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂(第一の樹脂)と一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂以外の樹脂(第二の樹脂)の種類、含有量、配合比などを調整することが挙げられる。なお、インクの乾固物のガラス転移温度Tgは、DSCシステムQ−2000(TAインスツルメント社製)等の示差走査熱量計を用いて測定できる。具体的には、まず、インクをアルミカップに入れ、80℃のオーブンで12時間乾燥させた後、80℃の真空オーブンで6時間乾燥してインクの乾固物を得る。次に、得られたインクの乾固物をアルミニウム製の試料容器に5.0mg入れ、窒素雰囲気下にて測定を行う。下記(1)〜(4)の2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、中点法にてTgを求める。
(1)−80まで冷却後5分保持
(2)10℃/minで160℃まで昇温
(3)−80まで冷却後5分保持
(4)10℃/minで160℃まで昇温
<<インクの製造方法>>
インクの製造方法としては、上記の一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂の合成方法に従って樹脂を作製した後で、例えば、水、カーボンブラック、一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂、及び一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂以外の樹脂等のその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、撹拌混合して製造する方法が挙げられる。なお、一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂は、カーボンブラックの分散体作製の際に用いる顔料分散樹脂として用いてもよい。
分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散等により行うことができる。撹拌混合は、例えば、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等により行うことができる。
<<記録媒体>>
本実施形態のインクは、付与される記録媒体として、低吸収性基材、非吸収性基材を用いたときに最も効果を発揮するが、インク吸収性を有する基材に対しても用いることができる。なお、非吸収性基材とは、水透過性、水吸収性及び/又は水吸着性が低い表面を有する基材を指しており、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれる。より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材を指す。低吸収性機材としては、例えば、光沢紙、コート紙、合成紙などが挙げられる。非浸透性基材としては、例えば、プラスチックフィルムおよびシート(塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン)などを好適に使用することができる。
<<記録物>>
記録物は、記録媒体と、記録媒体上に付与された本実施形態のインクにより形成された印刷層と、を有する。印刷層は、本実施形態のインクが付与され、乾燥することで形成される層なので、上記の一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂と、カーボンブラックと、を含有する。
<<インク収容容器>>
インク収容容器は、本実施形態のインクを収容するインク収容部を備え、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有してもよい。
インク収容容器は、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク収容部を有するもの、大容量のインクタンクなどが好適である。
<<記録装置、記録方法>>
本実施形態のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本実施形態において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置は、インクを記録媒体に着弾させるインク付与工程の後に、付与されたインクを加熱乾燥させる加熱工程に用いる加熱手段を有しても良い。加熱手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。加熱は、記録面にベタつきが感じられない程度に行うことが好ましい。加熱手段を用いた加熱工程における加熱温度は、60℃以上90℃以下であることが好ましい。60℃以上90℃以下であることにより、インクに含まれるビヒクルをすばやく蒸発させることができ、ビーディングやにじみによる画像濃度の低下を抑制できる。しかし、記録媒体に付与されたインクを加熱して乾燥させると、上述の通り、インクにより形成される画像において画像濃度が低下する課題がある。そのため、加熱手段、加熱工程を有する記録装置、記録方法においてインクを使用する場合、本実施形態のインクを用いることが好ましい。また、乾固物のガラス転移温度Tgと加熱手段、加熱工程による加熱温度との差(ガラス転移温度Tg−加熱温度)は、−30℃以上30℃以下であることが好ましく、−25℃以上15℃以下であることがより好ましい。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
<<用途>>
本実施形態のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り、「質量部」及び「質量%」である。
実施例及び比較例で用いた共重合体の平均分子量は、以下のようにして求めた。
<共重合体の平均分子量測定>
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー株式会社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー株式会社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分間
濃度0.5質量%の共重合体を1mL注入し、上記の条件で測定した共重合体の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して共重合体の数平均分子量Mn、及び重量平均分子量Mwを算出した。
<共重合体1:CP−1の合成>
1,6−ヘキサンジオール(東京化成社製)62.0g(525mmol)を塩化メチレン700mLに溶解し、ピリジン20.7g(262mmol)を加えた。この溶液に、2−ナフタレンカルボニルクロリド(東京化成社製)50.0g(262mmol)を塩化メチレン100mLに溶解した溶液を、2時間かけて攪拌しながら滴下した後、室温で6時間攪拌した。得られた反応溶液を水洗した後、有機相を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステル52.5gを得た。
次に、2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステル42.1g(155mmol)を乾燥メチルエチルケトン80mLに溶解し、60℃に加熱した。この溶液に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)24.0g(155mmol)を乾燥メチルエチルケトン20mLに溶解した溶液を、1時間かけて攪拌しながら滴下した後、70℃で12時間攪拌した。室温まで冷却した後、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比99/1)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記構造式(1)で表される構造を有するモノマーM−1を57.0g得た。
次いで、アクリル酸(アルドリッチ社製)を1.20g(16.7mmol)、及びモノマーM−1を7.12g(16.7mmol)、乾燥メチルエチルケトン40mLに溶解してモノマー溶液を調製した。モノマー溶液の10%をアルゴン気流下で75℃まで加熱した後、残りのモノマー溶液に2,2’−アゾイソ(ブチロニトリル)(東京化成社製)0.273g(1.67mmol)を溶解した溶液を1.5時間かけて滴下し、75℃で6時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液をヘキサンに投下した。析出した共重合体をろ別し、減圧乾燥して共重合体CP−1(重量平均分子量(Mw):9200、数平均分子量(Mn):3100)を8.13g得た。
次いで、得られた共重合体2.00gを、共重合体の濃度が11.9%、且つpHが8.0となるように、テトラエチルアンモニウム(TEA)ヒドロキシド水溶液に溶解して、共重合体CP−1水溶液を調製した。
<共重合体2:CP−2の合成>
共重合体CP−1の合成において、1,6−ヘキサンジオールに代えて、エチレングリコール(東京化成社製)を用いた点以外は、実施例1と同様にして下記構造式(2)で表される構造を有するモノマーM−2を得た。次に、アクリル酸、及び得られたモノマーM−2を用いて、CP−1と同様にして共重合体CP−2(重量平均分子量(Mw):8700、数平均分子量(Mn):3000)を得て、CP−1と同様にして共重合体CP−2水溶液を調製した。
<共重合体3:CP−3の合成>
共重合体CP−1の合成において、1,6−ヘキサンジオールに代えて、1,12−ドデカンジオール(東京化成社製)を用いた点以外は、実施例1と同様にして下記構造式(3)で表される構造を有するモノマーM−3を得た。次に、アクリル酸、及び得られたモノマーM−3を用いて、CP−1と同様にして共重合体CP−3(重量平均分子量(Mw):9000、数平均分子量(Mn):2800)を得て、CP−1と同様にして共重合体CP−3水溶液を調製した。
<顔料分散体:DP−1の調製>
調製した共重合体CP−1の水溶液44.1部に、顔料としてNIPex 90(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)21.0部、イオン交換水34.0部を加えて12時間攪拌した。得られた混合物をディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速10m/sで24時間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、顔料分散体DP−1(顔料固形分濃度:21%)100.0部を得た。
<顔料分散体:DP−2の調製>
顔料分散体DP−1の調製において、顔料のNIPex 90をSUNBLACK935(旭カーボン社製)とした他は同様にして、顔料分散体DP−2顔料(顔料固形分濃度:21%)100.0部を得た。
<顔料分散体:DP−3の調製>
顔料分散体DP−1の調製において、顔料のNIPex 90をCOLOUR BLACK FW 255(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)とした他は同様にして分散を行い、加えて、遠心分離機(久保田商事社製Model−7700)により、回転数15,000rpmで20分間処理を行った後、容器の上部から60.0部を静かに抽出し、孔径0.8μmのフィルターで濾過して、顔料分散体DP−3(顔料固形分濃度:18%)50.0部を得た。
<顔料分散体:DP−4の調製>
顔料分散体DP−1の調製において、共重合体CP−1の水溶液を共重合体CP−2の水溶液とした他は同様にして、顔料分散体DP−4顔料(顔料固形分濃度:21%)100.0部を得た。
<顔料分散体:DP−5の調製>
顔料分散体DP−1の調製において、共重合体CP−1の水溶液を共重合体CP−3の水溶液とした他は同様にして、顔料分散体DP−5顔料(顔料固形分濃度:21%)100.0部を得た。
<顔料分散体:DP−6の調製>
顔料分散体DP−1の調製において、共重合体CP−1の水溶液を7.3部に、顔料3.5部、イオン交換水51.5部とした他は同様にして、顔料分散体DP−6顔料(顔料固形分濃度:3.5%)100.0部を得た。
<顔料分散体:DP−7の調製>
顔料分散体DP−1の調製において、共重合体CP−1の水溶液を63.0部に、顔料31.0部、イオン交換水6.0部とした他は同様にして、顔料分散体DP−6顔料(顔料固形分濃度:31%)100.0部を得た。
<顔料分散体:DP−8の調製>
顔料分散体DP−1の調製において、共重合体CP−1の水溶液をDISPERBYK−2015(BYK−Chemie社製)とした他は同様にして、顔料分散体DP−8顔料(顔料固形分濃度:21%)100.0部を得た。
<顔料分散体:DP−9の調製>
顔料分散体DP−1の調製において、共重合体CP−1の水溶液をSOLSPERSE 43000(Lubrizol社製)とした他は同様にして、顔料分散体DP−9顔料(顔料固形分濃度:21%)100.0部を得た。
<顔料分散体:DP−10の調製>
顔料分散体DP−1の調製において、顔料のNIPex 90をPRINTEX L6(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)とした他は同様にして、顔料分散体DP−10(顔料固形分濃度:21%)100.0部を得た。
<樹脂エマルション:EM−1の調製>
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管を備えた1Lのフラスコ(A)内に、イオン交換水89.0部を仕込み、窒素を導入しつつ70℃に昇温した。さらに、10%アクアロンHS−10(第一工業製薬社製)水溶液3.0部、5%過硫酸アンモニウム水溶液2.6部を投入した。
また、フラスコ(B)内にて、メタクリル酸メチル20.0部、アクリル酸2−エチルヘキシル16.0部、スチレン64.0部、アクアロンHS−10を1.5部、イオン交換水42.9部をホモミキサーで混合し、乳化液を得た。
フラスコ(A)の溶液を撹拌しながら、フラスコ(B)の乳化液を4時間かけて連続的に滴下した。また、滴下開始から3時間経過するまでの間、1時間毎に5%過硫酸アンモニウム水溶液を計1.6部投入した。滴下終了後70℃で2時間熟成した後に冷却し、28%アンモニア水でpHを7〜8となるように調節し、樹脂エマルションEM−1を得た。
<樹脂エマルション:EM−2の調製>
樹脂エマルションEM−1の合成において、メタクリル酸メチル20.0部、アクリル酸2−エチルヘキシル0部、スチレン80.0部とした他は同様にして、樹脂エマルションEM−2を得た。
<樹脂エマルション:EM−3の調製>
樹脂エマルションEM−1の合成において、アクリル酸2−エチルヘキシル40.0部、スチレン40.0部とした他は同様にして、樹脂エマルションEM−3を得た。
<樹脂エマルション:EM−4の調製>
T−5650E(ポリカーボネート系ポリマーポリオール、旭化成ケミカルズ社製)50.0部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸3.1部、トリエチルアミン2.3部、アセトン53.0部からなる混合物を、攪拌翼、温度計、還流管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに仕込み攪拌、窒素を導入しながら40℃に加熱して原材料を溶解させた。次いで、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナート23.2部、2−エチルヘキサン酸すず(II)を1滴加え、80℃に昇温して2時間反応させた。その後40℃に降温し、イオン交換水142.0部を加えて微粒子化し1時間攪拌、ジエチレントリアミン0.9部を加えてさらに2時間反応させた。pHが8未満の場合はトリエチルアミンで適宜中和し、アセトンを除去することにより、樹脂エマルションEM−4を得た。
<樹脂エマルション:EM−5の調製>
テフロンAF1600(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)をペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)に溶解させた樹脂溶液(固形分濃度:15質量%)200部をジャケット付きガラス容器(内容量:2L)に仕込み、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)で撹拌した(回転速度:600rpm)。その後、撹拌しながら、あらかじめ水に溶解しておいた界面活性剤(商品名:ユニダイン DSN−403N、ダイキン工業株式会社製)の10質量%水溶液を10部添加し、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水を190部添加した。蒸留水を全量添加する間、系内温度は常に15℃以下であった。蒸留水添加終了後、30分間撹拌して固形分濃度が8質量%のフッ素樹脂エマルジョンを得た。さらに、この水性分散体400部を1Lフラスコ入れ、約50℃に加熱されたオイルバスにて加熱し、減圧で濃縮を行った。濃縮を「フラスコ+水性分散体」の質量が260部減量したところで一度終了し、室温まで冷却後、蒸留水を200部添加した。この水性分散体340部を再び1Lフラスコに入れ、50℃に加熱されたオイルバスで加熱し、減圧で濃縮を行った。濃縮は「フラスコ+水性分散体」の質量が240部減量したところで終了し、室温まで冷却した。以上の操作により、固形分濃度が30質量%の樹脂エマルションEM−5を得た。
<樹脂エマルション:EM−6の調製>
樹脂エマルションEM−1の合成において、アクリル酸2−エチルヘキシル60.0部、スチレン20.0部とした他は同様にして、樹脂エマルションEM−6を得た。
<インクの作製>
[実施例1]
顔料分散体DP−1を28.0部、プロパン−1,2−ジオール18.0部、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール2.0部、TEGO Wet270(EVONIK INDUSTRIES製)1.0部、樹脂エマルション:EM−1(固形分量30.0%)17.0部、プロキセルLV(アビシア製)0.1部、1,2,3−ベンゾトリアゾール0.1部、及びイオン交換水33.8部を混合し、1時間攪拌した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して実施例1のインクを得た。
[実施例2〜10]
実施例1の配合において、材料を表1に記載の顔料分散体と樹脂の組み合わせにした以外は同様にして、実施例2〜10のインクを作製した。
[比較例1〜5]
実施例1の配合において、材料を表1に記載の顔料分散体と樹脂の組み合わせにした以外は同様にして、比較例1〜5のインクを作製した。
<カーボンブラックの平均一次粒子径の測定>
カーボンブラックの平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡TEM(JEM−2100、JEOL社製)を用いて撮影した画像を処理することで測定した。具体的には、インクをテトラヒドロフランで固形分0.1%に希釈し、超音波分散機で5分間×3セット分散処理を行った。分散液をコロジオン膜貼付けメッシュ(日新EM社製)にパスツールピペットを用いて滴下し、ドライヤーで溶媒を蒸発させ、透過型電子顕微鏡を用い、倍率40,000倍、加速電圧200kVの観察条件で画像を撮影した。粒径分布の算出は画像解析ソフト(Image−Pro Plus、Media Cybernetics社製)を用いて行った。観察画像から得られるカーボンブラック粒子単体の投影面積に等しい円の直径(円相当径)を粒径と定義し、1次粒子まで分散しているカーボンブラックを無作為に100個以上選択し、粒子の円相当径を平均1次粒径として算出した。結果を表1に示す。
<乾固物のガラス転移温度Tgの測定>
インクの乾固物のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計(DSCシステムQ−2000、TAインスツルメント社製)を用いて測定した。具体的には、インクをアルミカップに入れ、80℃のオーブンで12時間乾燥させた後、80℃の真空オーブンで6時間乾燥してインクの乾固物を得た。得られたインクの乾固物をアルミニウム製の試料容器に5.0mg入れ、窒素雰囲気下にて測定を行った。下記(1)〜(4)の2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、中点法にてTgを求めた。結果を表1に示す。
(1)−80まで冷却後5分保持
(2)10℃/minで160℃まで昇温
(3)−80まで冷却後5分保持
(4)10℃/minで160℃まで昇温
次に、上記実施例1〜10、比較例1〜5で作製した各インクの特性を、下記の方法及び評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
<保存安定性評価>
各インクをインク収容容器に充填して70℃で1週間保存し、保存前の粘度(P)に対する保存後の粘度(Q)の変化率を下記式から求め、下記の基準で評価した。
式:粘度の変化率(%)={(Q−P)/P}×100
粘度の測定には、粘度計(RE80L、東機産業社製)を使用し、25℃における粘度を、50回転で測定した。
〔評価基準〕
A:粘度の変化率が±5%以内
B:粘度の変化率が±5%を超え、±10%以内
C:粘度の変化率が±10%を超え、±30%以内
D:粘度の変化率が±30%を超える、またはゲル化して評価不能
<画像濃度>
各インクをインクジェットプリンター(IPSiO GXe5500、リコー製)に充填し、コート紙(Lumi Art Gloss 130gsm紙、Stora Enso社製)に、解像度600dpiで20mm四方のベタ画像を形成した。印字後は即座に80℃のオーブンで60秒加熱乾燥した。
次に、記録媒体に印字されたベタ画像に対し、ハンディー測色計(X−Rite eXact、X−Rite社製)を用いて画像濃度を測定し、画像濃度を以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
A:画像濃度が1.90以上
B:画像濃度が1.70以上1.90未満
C:画像濃度が1.50以上1.70未満
D:画像濃度が1.50未満
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
特開2018−127525号公報

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂と、カーボンブラックと、を含むインクであって、
    前記カーボンブラックの平均一次粒子径は、15nm以下であり、
    前記インクの乾固物のガラス転移温度Tgは、50℃以上100℃以下であるインク。
    (前記一般式(1)で表される構造単位において、Rは水素原子又はメチル基であり、Lは炭素数が2以上18以下のアルキレン基である。)
  2. 更に、前記一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂以外の樹脂を含む請求項1に記載のインク。
  3. 前記乾固物のガラス転移温度Tgは、60℃以上90℃以下である請求項1又は2に記載のインク。
  4. 前記一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂は、更に、下記一般式(2)で表される構造単位を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインク。
    (前記一般式(2)で表される構造単位において、Rは水素原子又はメチル基であり、Xは水素原子又は陽イオンである。)
  5. 前記カーボンブラックの含有量は、前記インクに対して1.0質量%以上8.0質量%以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインク。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインクを収容するインク収容容器。
  7. 請求項6に記載のインク収容容器と、収容された前記インクを吐出する吐出手段と、を有する記録装置。
  8. 更に、吐出された前記インクを加熱する加熱手段を有する請求項7に記載の記録装置。
  9. 前記乾固物のガラス転移温度Tg及び前記加熱手段による加熱温度の差(ガラス転移温度Tg−加熱温度)は、−30℃以上30℃以下である請求項7又は8に記載の記録装置。
  10. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインクを吐出する吐出工程を有する記録方法。
  11. 更に、吐出された前記インクを加熱する加熱工程を有する請求項10に記載の記録方法。
  12. 前記乾固物のガラス転移温度Tg及び前記加熱工程における加熱温度の差(ガラス転移温度Tg−加熱温度)は、−30℃以上30℃以下である請求項10又は11に記載の記録方法。
JP2019002762A 2019-01-10 2019-01-10 インク、インク収容容器、記録装置、及び記録方法 Pending JP2020111658A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019002762A JP2020111658A (ja) 2019-01-10 2019-01-10 インク、インク収容容器、記録装置、及び記録方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019002762A JP2020111658A (ja) 2019-01-10 2019-01-10 インク、インク収容容器、記録装置、及び記録方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020111658A true JP2020111658A (ja) 2020-07-27

Family

ID=71665792

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019002762A Pending JP2020111658A (ja) 2019-01-10 2019-01-10 インク、インク収容容器、記録装置、及び記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020111658A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6569411B2 (ja) インク、インク収容容器、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP6344123B2 (ja) 新規共重合体、水性インク、及びインクカートリッジ
US10370548B2 (en) Copolymer, ink including copolymer, and ink-stored container
JP6344172B2 (ja) 新規共重合体、水性インク、及びインクカートリッジ
JP6838266B2 (ja) 新規共重合体、水性インク、及びインクカートリッジ
JP6645148B2 (ja) 共重合体、色材分散体、インク、及びインク収容容器
US10273373B2 (en) Ink and method for producing same, and ink stored container, printing method, and printing apparatus
JP6747187B2 (ja) インクセット、記録方法、及び記録装置
JP2017155137A (ja) インク−後処理液セット、画像形成方法、インク−後処理液のカートリッジセット、インク−後処理液セットの収容容器セット及びインクジェット記録装置
JP6687898B2 (ja) インク及びその製造方法、並びにインク収容容器、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物
JP6642084B2 (ja) インク及びその製造方法、並びにインク収容容器、画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成物
JP6759981B2 (ja) 共重合体及びその製造方法、インク、インク収容容器、記録方法、及び記録装置
JP7006488B2 (ja) インク、インク収容容器、記録装置、記録方法、及び記録物
US11193029B2 (en) Ink, ink accommodating container, recording device, recording method, and recorded matter
JP2020111658A (ja) インク、インク収容容器、記録装置、及び記録方法
JP6686375B2 (ja) インク、インクカートリッジ、記録装置及び記録物
JP6683053B2 (ja) インク及びその製造方法、並びにインク収容容器、画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成物
JP2016169338A (ja) インク、インクの製造方法、インク収納容器、インクジェット記録装置
JP6645246B2 (ja) インク、記録物、インク収容容器、記録装置及び記録方法
JP6957888B2 (ja) インク、収容容器及び記録装置
JP6701572B2 (ja) インク、収容容器、画像形成方法及び画像形成装置
JP6973040B2 (ja) インク、インク収容容器、記録装置、記録方法、及び記録物
JP2019157108A (ja) インク、インクカートリッジ、画像形成方法および印刷物
JP6900720B2 (ja) インク、インク収容容器、インクジェット記録装置および印刷物の製造方法
JP6687899B2 (ja) インク及びその製造方法、並びにインク収容容器、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物