JP2020100739A - ピリジン化合物を含む着色剤及びその応用 - Google Patents
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Abstract
【課題】種々のトリアリールピリジン化合物の検討による鮮やかな橙色〜赤色の蛍光発色を示す着色剤の提供。【解決手段】式(14)で代表されるピリジン化合物を含むことを特徴とする着色剤。【選択図】図1
Description
本発明は、ボールペンやマーカー等の筆記具に用いられるインキ組成物に好適であり、発色性が高く、鮮やかな橙色〜赤色の蛍光発色を示す新規なピリジン化合物を含む着色剤及びその応用に関する。
ロイコ染料は、電子受容性物質(通常は酸性物質)と反応して変色する染料であって、種々の用途に使用されている。特に、電子受容性物質である顕色材との反応により無色あるいは淡色から鮮やかな着色へ変化するものは、感熱記録材料への応用がなされている。
近年、感熱記録材料は様々な用途に使用されており、高感度化、高耐久性、多色記録化など、要望事項も多岐にわたっている。
特許文献1では、(イ)ピリジン系、キナゾリン系、及びビスキナゾリン系化合物から選ばれる電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)前記電子供与性呈色性有機化合物に対して電子受容性である化合物、(ハ)前記(イ)および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体である化合物、の3成分を必須成分とする相溶体からなる可逆熱変色性組成物が記載されている。赤色を呈色するロイコ染料としてキナゾリン系およびビスキナゾリン系化合物を検討しているが、これらの構造を有する化合物は発色性、蛍光発色性が低い場合があり、視認性に劣ることがある。
一方ピリジン系化合物、特にトリフェニルピリジン系化合物は、鮮やかな黄色の蛍光色を示すロイコ染料であり注目されているが、これらのトリフェニルピリジン系化合物の多くは、深色化が難しく、所望の色相のピリジン化合物を得ることが困難であった。
一方ピリジン系化合物、特にトリフェニルピリジン系化合物は、鮮やかな黄色の蛍光色を示すロイコ染料であり注目されているが、これらのトリフェニルピリジン系化合物の多くは、深色化が難しく、所望の色相のピリジン化合物を得ることが困難であった。
本発明は、種々のトリアリールピリジン化合物を検討して鮮やかな橙色〜赤色の蛍光発色を示す着色剤を見出すことを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、従来のトリフェニルピリジン化合物のピリジン環の4位のフェニル基をナフチル基またはアントラニル基に置換することで、従来の黄色に蛍光発色するトリフェニルピリジン化合物とは異なる鮮やかな橙色〜赤色の蛍光発色を示すものを見出し、それを着色剤として用いることにより上記課題が解決できることがわかった。
即ち、本発明は、下記式(1)
[式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基またはハロゲン原子であり、Arは下記式(2)または下記式(3)のいずれか一方から選択され、
式(2)または(3)中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基である。]
で表されるピリジン化合物を含むことを特徴とする着色剤を提供する。
で表されるピリジン化合物を含むことを特徴とする着色剤を提供する。
上記式(1)におけるR6およびR7は、好ましくはメチル基またはp−トリル基であるピリジン化合物を含む着色剤である。
本発明は、また、上記の着色剤を含むインキ組成物を提供する。
本発明の着色剤に用いられるピリジン化合物は、一般的なトリフェニルピリジン化合物とは異なり、ピリジン環の4位にフェニル基ではなく、2以上の縮環した芳香族炭化水素基(具体的には、ナフタレン基またはアントラセン基)を有することで、一般的なトリフェニルピリジン化合物が紫外光下で黄色蛍光を示すのに対し、鮮やかな橙色〜赤色蛍光を示す。このピリジン化合物を着色剤の形で、ボールペンやマーカーなどのインキ組成物に用いると、優れた鮮やかな橙色〜赤色蛍光発色が提供できる。
本発明の着色剤に含まれるピリジン化合物は下記一般式(1)で表される:
[一般式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基またはハロゲン原子であり、Arは下記式(2)または下記式(3)のいずれか一方から選択され、
式(2)または(3)中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基である。]
一般式(1)で示されるピリジン化合物のピリジン環の4位の置換基であるArは、従来のピリジン化合物と異なり、前記式(2)または前記式(3)で表される2つ以上のベンゼン環が縮合した芳香族炭化水素基である。前記式(2)および(3)中において、二級アミノ基(−NR6R7)は芳香族炭化水素基のいずれの個所にも置換基として結合し得るので、そのことを表すために窒素(N)と芳香族炭化水素基(具体的には、ナフチル基またはアントラニル基)との結合線が芳香族炭化水素基の中に入り込んで更に芳香族炭化水素基を貫くように記載している。
前記ピリジン環の4位への置換基であるArが式(2)で表されるナフチル基である場合、そのピリジン環との結合位置はナフチル基の1位または2位が好ましい。またR6およびR7の置換基を有するアミノ基の置換位置としては共役系を延長する観点から、ナフチル基の5位〜8位が好ましい。特に共役系の延長効果を得るためのアミノ基の置換位置としては、ナフチル基の5位または6位がより好ましい。
前記ピリジン環の4位への置換基であるArが式(3)で表されるアントラニル基である場合、そのピリジン環との結合位置はアントラニル基の1位または2位が好ましい。またR6およびR7の置換基を有するアミノ基の置換位置としては共役系を延長する観点から、アントラニル基の5位〜8位が好ましい。特に共役系の延長効果を得るためのアミノ基の置換位置としては、アントラニル基の5位または6位がより好ましい。
前記式(2)または前記式(3)のR6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基を表す。R6およびR7が炭素数1〜6のアルキル基である場合、発色濃度が高くなる。一方、R6およびR7が置換または無置換のフェニル基である場合、発色濃度が高くなる、もしくは溶解性が向上する。そのためR6およびR7は好ましくはメチル基またはp−トリル基である。
前記式(2)または前記式(3)のR6およびR7における、炭素数1〜6のアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基またはn−ヘキシル基などが挙げられる。好ましくは、R6およびR7は、炭素数1〜4のアルキル基であって、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基またはt−ブチル基である。
前記式(2)または前記式(3)のR6およびR7におけるフェニル基の置換基の例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基またはt−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基、F,Cl、BrまたはIなどのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボン酸基または炭素数1〜3のアルコキシ基が挙げられる。上記置換基は、発色濃度、溶解性の観点において、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基などが好ましい。
前記一般式(1)のピリジン環の2位及び6位のフェニル基の置換基であるR1〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基またはハロゲン原子である。具体的には、ハロゲン原子はF、Cl、BrまたはIなどであり、好ましくはClまたはBrである。炭素数1〜8のアルキル基はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基または2−エチルヘキシル基などである。炭素数1〜6のアルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基またはn−ヘキシルオキシ基などが挙げられる。R1〜R5の炭素数1〜6のアルコキシ基の好ましい例として具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基またはi−プロピルオキシ基などが挙げられる。得られたピリジン化合物の可視光発色性、蛍光発色性、溶解安定性の観点からR1〜R5のうち、少なくとも1つは炭素数1〜6のアルコキシ基であることが好ましい。さらにR1〜R5のうち2つが炭素数1〜6のアルコキシ基であるとより好ましい。
本発明の着色剤に含まれるピリジン化合物は電子受容性物質を加えることで、蛍光発色するが、その蛍光発色性はピリジン環に置換するフェニル基の置換基の置換位置により影響を受けると考えられる。このことから上記ピリジン化合物においてピリジン環に置換するフェニル基の置換基の置換位置は、2位および/または4位であることが好ましい。
本発明で用いられるピリジン化合物の製造方法
本発明の着色剤に用いられるピリジン化合物の製造方法の一実施形態を説明する。ピリジン化合物はJ.Am.Chem.Soc.,1952,74(1),200−202 などに記載の公知の方法で合成することができる。より詳しくはアンモニアまたはアンモニア発生剤の存在下、アセトフェノン誘導体とベンズアルデヒド誘導体を酢酸などの酸触媒下で加熱縮合し環化体を合成する環化体合成ステップと、得られた環化体をアミン化するアミン化ステップを経ることにより得ることができる。以下の反応ステップの説明において、一種のアセトフェノン誘導体を用いた合成方法を例示するが、これに限定されるわけではない。
本発明の着色剤に用いられるピリジン化合物の製造方法の一実施形態を説明する。ピリジン化合物はJ.Am.Chem.Soc.,1952,74(1),200−202 などに記載の公知の方法で合成することができる。より詳しくはアンモニアまたはアンモニア発生剤の存在下、アセトフェノン誘導体とベンズアルデヒド誘導体を酢酸などの酸触媒下で加熱縮合し環化体を合成する環化体合成ステップと、得られた環化体をアミン化するアミン化ステップを経ることにより得ることができる。以下の反応ステップの説明において、一種のアセトフェノン誘導体を用いた合成方法を例示するが、これに限定されるわけではない。
(環化体合成ステップ)
前記製造方法の例として、下記(4)式で表されるアセトフェノン誘導体と、
[式(4)中、R1〜R5はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基またはハロゲン原子である。]
前記製造方法の例として、下記(4)式で表されるアセトフェノン誘導体と、
下記式(5)または下記式(6)で表されるアルデヒド誘導体とを、
[式(5)及び式(6)中、Xはハロゲン原子である。]
酢酸アンモニウム存在下、酢酸中で反応することにより、下記式(7)で表される環化体を合成することができる:
酢酸アンモニウム存在下、酢酸中で反応することにより、下記式(7)で表される環化体を合成することができる:
(アミン化ステップ)
得られた環化体(7)と下記式(10)で表されるアミン化合物とを、
[式(10)中、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基である。]
有機溶媒中で触媒存在下反応させることにより、下記一般式(1)で表されるピリジン化合物を得ることができる。
得られた環化体(7)と下記式(10)で表されるアミン化合物とを、
有機溶媒中で触媒存在下反応させることにより、下記一般式(1)で表されるピリジン化合物を得ることができる。
本発明の着色剤に含まれるピリジン化合物が、電子受容性物質存在下で橙色〜赤色の蛍光を発色させるためには、前記一般式(1)におけるR1〜R5のうち、少なくとも1つは炭素数1〜6のアルコキシ基であることが好ましく、さらにR1〜R5のうち、2つが炭素数1〜6のアルコキシ基であることがより好ましい。アルコキシ基の置換位置は特に限定されないが、オルト位および/またはパラ位に置換されていると鮮やかな蛍光を発色する。
本発明で用いるピリジン化合物が電子受容性物質存在下でより赤色の蛍光を発色させるためには、ピリジン化合物のπ電子共役系を伸長することが好ましい。その為、例えばナフチル基の2位にピリジン環が、ナフチル基の6位にアミノ基が結合した場合、ピリジン化合物のπ電子共役系が延長し、極大吸収波長が長波長シフトし、電子受容性物質存在下、紫外光を照射すると鮮やかな赤色蛍光の発色がみられる。
前記環化体合成ステップにおいて、式(4)で表されるアセトフェノン誘導体と式(5)または式(6)で表されるアルデヒド誘導体の仕込み割合は、アルデヒド誘導体1molに対し、アセトフェノン誘導体は2〜5molであるのが好ましい。
前記環化体合成ステップにおいて、酢酸アンモニウムの添加量は、アルデヒド誘導体1molに対し、5〜20molが好ましい。
前記環化体合成ステップにおいて、特に限定されないが酢酸などの溶媒中で、100〜120℃で反応させることが好ましい。反応時間は反応が進行する時間であれば特に限定されないが、2〜10時間で行うことが好ましい。
前記アミン化ステップにおける触媒としては、クロスカップリング反応に使用できる遷移金属触媒を挙げることができる。より具体的には、銅、パラジウム、ニッケル等の金属またはそれらの金属化合物が挙げられる。例えば、銅触媒としては、ハロゲン化銅、例えばヨウ化銅、塩化銅、または臭化銅、または銅錯体、例えばチオフェン−2−カルボン酸銅(I)またはテトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファートなどを例示することができる。またパラジウム触媒としては、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドまたは[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドなどを例示することができる。さらには酢酸パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)などの前駆体をトリフェニルホスフィン、トリ-t-ブチルホスフィンなどの配位子と系中で反応させて使用することもできる。ニッケル触媒としては、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジカルボニルまたはニッケルカルボニルなどを例示することができる。特に限定されないが、反応性の向上、収率向上の観点から酢酸パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)などの前駆体をトリフェニルホスフィンまたはトリ-t-ブチルホスフィンなどの配位子と系中で反応させて得られるパラジウム触媒が好ましい。
前記アミン化ステップにおいて、特に限定されないが窒素気流下、トルエンなどの有機溶媒中で、100〜120℃で反応させることが好ましい。反応時間は反応が進行する時間であれば特に限定されないが、2〜10時間で行うことが好ましい。
本発明におけるピリジン化合物の取り出し方法は、特に限定されない。例えば希アルカリ溶液にて中和後、水とメタノールの混合溶液に投入し、スラリー化すると、反応副生成物と固形物に容易に分離することができる。さらに析出した固形物を濾過等の単純な方法で取り出すことができ、好ましい。この濾過の方法としては、特に限定されないが、例えば、ヌッチェ、加圧式濾過器、遠心分離またはフィルタープレス等を用いることができる。更に得られたピリジン化合物をメタノールで洗浄してもよい。
本発明におけるピリジン化合物は、一般的なトリフェニルピリジン化合物とは異なり、ピリジン環の4位に2つ以上のベンゼン環が縮環した芳香族炭化水素基(具体的には、ナフタレン基またはアントラセン基)が結合した構造を有しているので、可視光発色性が高く、有機酸などの電子受容性物質と共存することにより橙色〜赤色に蛍光発色する。また、本発明に用いられるピリジン化合物は、一般的なトリフェニルピリジン化合物に比べ、耐光性、耐熱性が良好である。従って、本発明におけるピリジン化合物は、着色剤、より具体的にはボールペンやマーカーペンなどの筆記具用インキ組成物に好適に用いることができる。
(着色剤)
本発明の着色剤は染料成分として上記の特定のピリジン化合物を含有する。さらに必要に応じて、所望の色相を形成するために顔料または他の染料を含んでもよい。着色剤は、必要に応じて溶媒を含んでもよい。使用しうる溶媒は、本発明に用いるピリジン化合物に高い溶解性を示す有機溶媒であり、主としてケトン類、例えばメチルエチルケトンなどが例示される。
本発明の着色剤は染料成分として上記の特定のピリジン化合物を含有する。さらに必要に応じて、所望の色相を形成するために顔料または他の染料を含んでもよい。着色剤は、必要に応じて溶媒を含んでもよい。使用しうる溶媒は、本発明に用いるピリジン化合物に高い溶解性を示す有機溶媒であり、主としてケトン類、例えばメチルエチルケトンなどが例示される。
本発明の着色剤に含んでも良い他の染料は、カラーインデックスにおいて、酸性染料、直接染料、反応染料、建染染料、硫化染料又は食品用色素に分類されているものの他に油溶染料、塩基性染料に分類される染料を用いることができる。また、顔料としては、一般的な無機顔料、有機顔料を用いることができる。これらの顔料または他の染料の配合量は、所望の色相に応じて配合されるものであって、限定されるものではないが、好ましくは着色剤の固形分の0〜25質量%、より好ましくは0〜10質量%である。染料や顔料は複数種を用いることができる。
本発明の着色剤は、一般的なトリフェニルピリジン染料を含む着色剤と同様に、染色剤、捺染剤、筆記具用インキ、インキジェット用インキ、樹脂の着色、カラーフィルターの着色などに好適に利用される。
(インキ組成物)
本発明のインキ組成物は、少なくとも上記のピリジン化合物を含む着色剤、溶媒およびこの溶媒に溶解するビヒクル樹脂を含むものであり、ボールペン、マーキングペン、サインペンのような筆記具に充填されることにより好適に用いられる。着色剤の含有量は、インキ組成物全量に対して、0.5〜35質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましい。着色剤の含有量が0.5質量%未満であると、インキ組成物の着色力、発色性が不十分となってしまう。一方35質量%を超えると筆記具に応用した場合に筆跡にカスレが生じてしまう。
本発明のインキ組成物は、少なくとも上記のピリジン化合物を含む着色剤、溶媒およびこの溶媒に溶解するビヒクル樹脂を含むものであり、ボールペン、マーキングペン、サインペンのような筆記具に充填されることにより好適に用いられる。着色剤の含有量は、インキ組成物全量に対して、0.5〜35質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましい。着色剤の含有量が0.5質量%未満であると、インキ組成物の着色力、発色性が不十分となってしまう。一方35質量%を超えると筆記具に応用した場合に筆跡にカスレが生じてしまう。
このインキ組成物を用いて、着色剤を含有する油性インキを処方することができ、このインキを充填した筆記具による筆跡は、発色性、耐光性に優れている。
インキ組成物に含まれる溶媒は、アルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、ジエーテル系溶媒、ケトン系溶媒およびエステル系溶媒のような溶媒を挙げることができる。溶媒の含有量は、筆記具の種類や、染料や顔料の種類および含有量に応じて適宜設定されるが、インキ組成物全量に対して、20〜97質量%であることが好ましく、30〜95質量%であることがより好ましい。
アルコール系溶媒は、具体的には炭素数が2以上の脂肪族アルコールであり、具体的には、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、イソアミルアルコール、s−アミルアルコール、3−ペンタノール、t−アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−デカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコールまたは2−フェノキシエタノール等が挙げられる。
多価アルコール系溶媒の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコールまたはオクチレングリコールのような分子内に2個以上の炭素および2個以上のヒドロキシ基を有する多価アルコールまたはこれらの誘導体が挙げられる。
グリコールエーテル系溶媒は、例えば、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルまたはテトラプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
ジエーテル系溶媒は、例えば、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルまたはジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノンまたはシクロヘキサノン等が挙げられる。
エステル系溶媒は、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、トリメチル酢酸プロピル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリル酸プロピル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、カプリル酸トリグリセライド、クエン酸トリブチルアセテート、オキシステアリン酸オクチル、プロピレングリコールモノリシノレート、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテートまたは分子内にヒドロキシ基を有しないジエステルが挙げられる。
インキ組成物は、インキの定着性向上、筆跡の裏写り防止、本発明の着色剤の安定性および分散性の向上、並びに粘度調整のためビヒクル樹脂を含んでいる。ビヒクル樹脂は、上記の溶媒に溶解するものである。ビヒクル樹脂の含有量は、粘度調整および書き味の調整の観点から、インキ組成物全量に対して、0.5〜35質量%であることが好ましく、1.0〜20質量%であることがより好ましい。ビヒクル樹脂の含有量が0.5質量%未満であるとインキ組成物の粘度が不足して筆跡の滲みや、ボールペンのペン先の摩耗が起きる場合がある。一方35質量%を超えるとインキ組成物に含まれるべき溶媒や染顔料の不足や、筆跡にカスレを生じ書き味に悪影響を及ぼす場合がある。
使用できるビヒクル樹脂は、例えば、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンのようなケトン系樹脂;ポリスチレンのようなスチレン系樹脂;ポリビニルブチラールのようなポリビニルアセタール系樹脂;ポリビニルピロリドン;ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂のようなマレイン酸系樹脂;ロジン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂のようなフェノール系樹脂;スチレン−アクリル樹脂のようなアクリル系樹脂;ロジン系樹脂;尿素アルデヒド系樹脂;またはシクロヘキサノン系樹脂が挙げられる。なかでもポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
本発明のインキ組成物は、必要に応じて適当な添加剤、例えば電子受容性物質、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤およびpH調整剤等を含んでいてもよい。
前記電子受容性物質は添加することにより紫外光を照射した際に蛍光を発色する。筆記具用インキ組成物における好適な電子受容性物質としては、特に限定されないが、一般的に有機酸や媒体中で酸性物質のような働きをする酸性物質が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、β−ナフトール、4−t−ブチルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのフェノール化合物や、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、3−t−ブチルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸または3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸等の芳香族カルボン酸などが例示される。なお特に限定されるわけではないが、前記インキ組成物において本発明のピリジン化合物1質量部に対し、電子受容性物質は0.1〜3質量部添加することが好ましい。
前記酸化防止剤は特には限定されないがヒンダードフェノール系酸化防止剤を例示することができる。さらに具体的には2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)または1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンが挙げられる。前記インキ組成物においてピリジン化合物1重量部に対し、酸化防止剤は0.01〜1質量部添加することが好ましい。
紫外線吸収剤は、特に限定されないが、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤などが挙げられる。前記インキ組成物においてピリジン化合物1重量部に対し、紫外線吸収剤は0.01〜1質量部添加することが好ましい。
消泡剤は、特に限定されないが、アセチレングリコールやアセチレンアルコールなどのアセチレン系界面活性剤として日信化学工業社製のサフィノールDFシリーズやオルフィンEシリーズなどが挙げられる。前記インキ組成物においてピリジン化合物1重量部に対し、消泡剤は0.01〜1質量部添加することが好ましい。
pH調整剤は、特に限定されないが、アンモニア、尿素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、トリポリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど炭酸やリン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などの少なくとも1種が挙げられる。前記インキ組成物においてピリジン化合物1重量部に対し、pH調整剤は0.01〜1質量部添加することが好ましい。
添加剤は、インキ組成物の機能を向上するために添加されるが、添加量が多いと逆にインキ組成物の性能を低下することがある。添加剤の総量は、本発明のインキ組成物100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは1〜3質量部が好適である。
本発明のインキ組成物は、上記ピリジン化合物を含む着色剤、溶媒、ビヒクル樹脂および必要に応じて添加剤を混合することにより得られる。本発明のインキ組成物は、筆記具用インキに好適であり、鮮やかな橙色〜赤色の蛍光発色を有する筆記具が得られる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものと解してはならない。
(ピリジン化合物の合成)
合成例1
環化体1の合成
100mlの三口フラスコに4−ブロモ−1−ナフトアルデヒド(Merck KGaA社製)2.94g(12.5mmol)、2’,4’−ジエトキシアセトフェノン(SIGMA−ALDRICH社製)5.20g(25.0mmol)、酢酸アンモニウム16.7g(216.7mmol)および酢酸15gを加え、120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水15mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液25ml、60℃の熱水25mlで順次洗浄を行った。回収したトルエン相の溶媒を減圧留去し、残留物にエタノール10mlを加え、析出物を濾取した。析出物をエタノール10mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記化学式(11)で表される環化体1として白色固体5.20g(収率67.9%)を得た。
合成例1
環化体1の合成
100mlの三口フラスコに4−ブロモ−1−ナフトアルデヒド(Merck KGaA社製)2.94g(12.5mmol)、2’,4’−ジエトキシアセトフェノン(SIGMA−ALDRICH社製)5.20g(25.0mmol)、酢酸アンモニウム16.7g(216.7mmol)および酢酸15gを加え、120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水15mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液25ml、60℃の熱水25mlで順次洗浄を行った。回収したトルエン相の溶媒を減圧留去し、残留物にエタノール10mlを加え、析出物を濾取した。析出物をエタノール10mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記化学式(11)で表される環化体1として白色固体5.20g(収率67.9%)を得た。
得られた白色固体を元素分析装置(EA:パーキンエルマージャパン社製 2400II 全自動元素分析装置)および1H−核磁気共鳴装置(NMR:日本電子社製 JNM−AL300)、示差熱・熱重量測定(TG/DTA:SIIナノテクノロジーズ社製 TG/DTA6200)の測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、環化体1が前記化学式(11)の構造であることを確認した。
融点:145.3℃
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):
3.93(6H,s)、6.55(4H,d)、7.35(1H,dd)、7.66(1H,d)、8.03(4H,d)、8.38(2H,s)、8.43(1H,d)
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):
3.93(6H,s)、6.55(4H,d)、7.35(1H,dd)、7.66(1H,d)、8.03(4H,d)、8.38(2H,s)、8.43(1H,d)
合成例2
環化体2の合成
100mlの三口フラスコに6−ブロモ−2−ナフトアルデヒド(東京化成社製) 2.94g(12.5mmol)、2’,4’−ジエトキシアセトフェノン(SIGMA−ALDRICH社製)5.20g(25.0mmol)、酢酸アンモニウム16.7g(216.7mmol)および酢酸15gを加え120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水15mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液25ml、60℃の熱水25mlで順次洗浄を行った。回収したトルエン相の溶媒を減圧留去し、残留物にエタノール10mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール10mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記化学式(12)で表される環化体2として白色固体5.64g(収率73.6%)を得た。
環化体2の合成
100mlの三口フラスコに6−ブロモ−2−ナフトアルデヒド(東京化成社製) 2.94g(12.5mmol)、2’,4’−ジエトキシアセトフェノン(SIGMA−ALDRICH社製)5.20g(25.0mmol)、酢酸アンモニウム16.7g(216.7mmol)および酢酸15gを加え120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水15mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液25ml、60℃の熱水25mlで順次洗浄を行った。回収したトルエン相の溶媒を減圧留去し、残留物にエタノール10mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール10mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記化学式(12)で表される環化体2として白色固体5.64g(収率73.6%)を得た。
得られた白色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR,TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、環化体2が前記化学式(12)の構造であることを確認した。
融点:148.1℃
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):
1.49(12H,t)、4.09(8H,q)、6.55(2H,d)、6.61(2H,dd)、7.75(1H,d)、7.93(1H,d)、8.05(2H,d)、8.43(1H,d)、8.79(1H,d)
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):
1.49(12H,t)、4.09(8H,q)、6.55(2H,d)、6.61(2H,dd)、7.75(1H,d)、7.93(1H,d)、8.05(2H,d)、8.43(1H,d)、8.79(1H,d)
合成例3
環化体3の合成
100mlの三口フラスコに、特開平10―195018号公報に記載の方法を参考に合成した6−ブロモ−2−アントラセンカルボキシアルデヒド 3.56g(12.5mmol)、2’,4’−ジエトキシアセトフェノン(SIGMA−ALDRICH社製)5.20g(25.0mmol)、酢酸アンモニウム16.7g(216.7mmol)および酢酸15gを加え120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水15mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液25ml、60℃の熱水25mlで順次洗浄を行った。回収したトルエン相の溶媒を減圧留去し、残留物にエタノール10mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール10mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記式(13)で表される環化体3として白色固体5.39g(収率65.1%)を得た。
環化体3の合成
100mlの三口フラスコに、特開平10―195018号公報に記載の方法を参考に合成した6−ブロモ−2−アントラセンカルボキシアルデヒド 3.56g(12.5mmol)、2’,4’−ジエトキシアセトフェノン(SIGMA−ALDRICH社製)5.20g(25.0mmol)、酢酸アンモニウム16.7g(216.7mmol)および酢酸15gを加え120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水15mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液25ml、60℃の熱水25mlで順次洗浄を行った。回収したトルエン相の溶媒を減圧留去し、残留物にエタノール10mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール10mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記式(13)で表される環化体3として白色固体5.39g(収率65.1%)を得た。
得られた白色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR,TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、環化体3が前記化学式(13)の構造であることを確認した。
融点:148.1℃
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):
1.49(12H,t)、4.09(8H,q)、6.55(2H,d)、6.61(2H,dd)、7.75(1H,d)、7.93(1H,d)、8.05(2H,d)、8.43(1H,d)、8.79(1H,d)
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):
1.49(12H,t)、4.09(8H,q)、6.55(2H,d)、6.61(2H,dd)、7.75(1H,d)、7.93(1H,d)、8.05(2H,d)、8.43(1H,d)、8.79(1H,d)
合成例4
ピリジン化合物1の合成
50mlの三口フラスコに合成例1で得られた環化体1 2.30g(3.75mmol)、p,p’−ジトリルアミン(東京化成工業社製)0.75g(3.8mmol)、トルエン6ml、トリ−t−ブチルホスフィン0.09g(0.45mmol)、酢酸パラジウム(II)0.04g(0.18mmol)およびナトリウム−t−ブトキシド0.55g(5.72mmol)を秤取り、窒素を充填した。100℃に加熱し、5時間撹拌したのち、室温まで放冷した。ジクロロメタン50mlを加え、濾過した。溶媒を減圧留去し、フラスコ内の残留物にメタノール10mlを加えてスラリー化した。濾過後、メタノール20mlで洗浄した。ウェットケーキにトルエン20mlを加え、100℃に加熱して完溶させ、熱時濾過した。濾液を冷蔵庫で一晩静置し、結晶を濾取した。メタノール10mlで洗浄し、60℃で一晩乾燥し、下記式(14)で表されるピリジン化合物1である黄色固体2.50g(収率91.5%)を得た。
ピリジン化合物1の合成
50mlの三口フラスコに合成例1で得られた環化体1 2.30g(3.75mmol)、p,p’−ジトリルアミン(東京化成工業社製)0.75g(3.8mmol)、トルエン6ml、トリ−t−ブチルホスフィン0.09g(0.45mmol)、酢酸パラジウム(II)0.04g(0.18mmol)およびナトリウム−t−ブトキシド0.55g(5.72mmol)を秤取り、窒素を充填した。100℃に加熱し、5時間撹拌したのち、室温まで放冷した。ジクロロメタン50mlを加え、濾過した。溶媒を減圧留去し、フラスコ内の残留物にメタノール10mlを加えてスラリー化した。濾過後、メタノール20mlで洗浄した。ウェットケーキにトルエン20mlを加え、100℃に加熱して完溶させ、熱時濾過した。濾液を冷蔵庫で一晩静置し、結晶を濾取した。メタノール10mlで洗浄し、60℃で一晩乾燥し、下記式(14)で表されるピリジン化合物1である黄色固体2.50g(収率91.5%)を得た。
得られた黄色固体を合成例1と同様に元素分析および1H−NMR,TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、ピリジン化合物1が前記化学式(14)の構造であることを確認した。
融点:170.0℃
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):
1.50(12H,q)、2.34(6H,s)、4.10(8H,q)、6.58(2H,s)、6.63(2H,dd)、7.08(8H,m)、7.28(1H,d)、7.35(1H,s)、7.68(3H,m)、8.06(2H,d)、8.09(1H,s)、8.18(2H、s)
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):
1.50(12H,q)、2.34(6H,s)、4.10(8H,q)、6.58(2H,s)、6.63(2H,dd)、7.08(8H,m)、7.28(1H,d)、7.35(1H,s)、7.68(3H,m)、8.06(2H,d)、8.09(1H,s)、8.18(2H、s)
(極大吸収波長の測定)
得られたピリジン化合物1の吸収スペクトルを紫外可視分光光度計Pharma Spec UV−1700(株式会社島津製作所製)により、以下の測定条件にて測定を行い、極大吸収波長λmaxを測定した。ピリジン化合物1の紫外可視分光スペクトルを図1に示す。
得られたピリジン化合物1の吸収スペクトルを紫外可視分光光度計Pharma Spec UV−1700(株式会社島津製作所製)により、以下の測定条件にて測定を行い、極大吸収波長λmaxを測定した。ピリジン化合物1の紫外可視分光スペクトルを図1に示す。
吸光度の測定条件としては測定対象サンプル10mgをメタノール:80%酢酸=80:20に調整した混合溶液100mlに溶解させ、さらに前記混合溶液で10倍に希釈した後、ポア径が0.5μmの耐溶剤性メンブレンフィルターで濾過してサンプル溶液とした。
ピリジン化合物1の極大吸収波長λmaxは以下の通りであった。
λmax=438.5nm
λmax=438.5nm
(耐光性試験)
得られたピリジン化合物1の耐光性試験を耐光性試験機サンテストCPS+(アトラス・エレクトリック・デバイス社製)により光照射を行い、高速液体クロマトグラフィーProminenceLC−20AT(株式会社島津製作所製)にて、光照射前後のピーク面積より算出した。
得られたピリジン化合物1の耐光性試験を耐光性試験機サンテストCPS+(アトラス・エレクトリック・デバイス社製)により光照射を行い、高速液体クロマトグラフィーProminenceLC−20AT(株式会社島津製作所製)にて、光照射前後のピーク面積より算出した。
耐光性試験の測定条件としては、測定対象サンプル10mgをメタノール:80%酢酸=80:20に調整した混合溶液100mlに溶解させ、さらに前記混合溶液で10倍に希釈した後、ポア径が0.5μmの耐溶剤性メンブレンフィルターで濾過してサンプル溶液とした。このサンプル溶液10mlを15mlのスクリュー型サンプル管に加え、キャップにより密栓し、スクリュー型サンプル管を耐光性試験機内で窓越しの光を想定した光強度(照射強度30w/m2、300−400nm)にて10時間照射した。光照射前のサンプルおよび光照射後のサンプルについて高速液体クロマトグラフィーにより測定し、面積値の比較より、ピリジン化合物の残存率を算出した。得られた結果を表9に示す。
高速液体クロマトグラフィーは以下の条件で測定を行った。
カラム:化学物質評価機構製 L−COLUMNODS2(4.6×250mm、5μm)
移動相:テトラヒドロフラン(和光純薬製HPLCグレード):25mM酢酸アンモニウム水溶液(pH4)=70:30
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
測定波長:365nm
カラム:化学物質評価機構製 L−COLUMNODS2(4.6×250mm、5μm)
移動相:テトラヒドロフラン(和光純薬製HPLCグレード):25mM酢酸アンモニウム水溶液(pH4)=70:30
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
測定波長:365nm
合成例5
ピリジン化合物2の合成
50mlの三口フラスコに合成例2で得られた環化体2 2.30g(3.75mmol)、p,p’−ジトリルアミン(東京化成工業社製)0.75g(3.80mmol)、トルエン6ml、トリ−t−ブチルホスフィン0.09g(0.45mmol)、酢酸パラジウム(II)0.04g(0.18mmol)およびナトリウム−t−ブトキシド0.55g(5.72mmol)を秤取り、窒素を充填した。100℃に加熱し、5時間撹拌したのち、室温まで放冷した。ジクロロメタン50mlを加え、濾過した。溶媒を減圧留去し、フラスコ内の残留物にメタノール10mlを加えてスラリー化した。濾過後、メタノール20mlで洗浄した。ウェットケーキにトルエン20mlを加え、100℃に加熱して完溶させ、熱時濾過した。濾液を冷蔵庫で一晩静置し、結晶を濾取した。メタノール10mlで洗浄し、60℃で一晩乾燥し、下記式(15)で表されるピリジン化合物2である黄色固体2.50g(収率91.5%)を得た。
ピリジン化合物2の合成
50mlの三口フラスコに合成例2で得られた環化体2 2.30g(3.75mmol)、p,p’−ジトリルアミン(東京化成工業社製)0.75g(3.80mmol)、トルエン6ml、トリ−t−ブチルホスフィン0.09g(0.45mmol)、酢酸パラジウム(II)0.04g(0.18mmol)およびナトリウム−t−ブトキシド0.55g(5.72mmol)を秤取り、窒素を充填した。100℃に加熱し、5時間撹拌したのち、室温まで放冷した。ジクロロメタン50mlを加え、濾過した。溶媒を減圧留去し、フラスコ内の残留物にメタノール10mlを加えてスラリー化した。濾過後、メタノール20mlで洗浄した。ウェットケーキにトルエン20mlを加え、100℃に加熱して完溶させ、熱時濾過した。濾液を冷蔵庫で一晩静置し、結晶を濾取した。メタノール10mlで洗浄し、60℃で一晩乾燥し、下記式(15)で表されるピリジン化合物2である黄色固体2.50g(収率91.5%)を得た。
得られた黄色固体を合成例1と同様に元素分析および1H−NMR,TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、ピリジン化合物2が前記化学式(15)の構造であることを確認した。
融点:150.9℃
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):
1.12(6H,t)、1.40(12H,t)、2.99(4H,q)、4.17(8H,q)、6.55(2H,d)、6.61(2H,dd)、7.35(1H,d)、7.66(1H,d)、8.01(2H,d)、8.38(2H,s)、8.43(1H,d)
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm):
1.12(6H,t)、1.40(12H,t)、2.99(4H,q)、4.17(8H,q)、6.55(2H,d)、6.61(2H,dd)、7.35(1H,d)、7.66(1H,d)、8.01(2H,d)、8.38(2H,s)、8.43(1H,d)
得られたピリジン化合物2について、合成例4と同様に極大吸収波長を測定した。ピリジン化合物2の紫外可視分光スペクトルも図1中に示す。ピリジン化合物2の極大吸収波長λmaxは以下の通りであった。
λmax=450.7nm
λmax=450.7nm
得られたピリジン化合物2について合成例4と同様に、耐光性試験を行った。結果を表9に示す。
合成例6
ピリジン化合物3の合成
50mlの三口フラスコに合成例3で得られた環化体3 3.61g(5.45mmol)、ジメチルアミン(東京化成工業社製)0.26g(5.68mmol)、トルエン17ml、トリ−t−ブチルホスフィン0.13g(0.64mmol)、酢酸パラジウム(II) 0.05g(0.22mmol)およびナトリウム−t−ブトキシド0.91g(9.54mmol)を秤取り、窒素を充填した。100℃に加熱し、5時間撹拌したのち、室温まで放冷した。ジクロロメタン50mlを加え、濾過した。溶媒を減圧留去し、フラスコ内の残留物にメタノール10mlを加えてスラリー化した。濾過後、メタノール20mlで洗浄した。ウェットケーキにトルエン20mlを加え、100℃に加熱して完溶させ、熱時濾過した。濾液を冷蔵庫で一晩静置し、結晶を濾取した。メタノール10mlで洗浄し、60℃で一晩乾燥し、下記式(16)で表されるピリジン化合物3である橙色固体0.59g(収率17.4%)を得た。
ピリジン化合物3の合成
50mlの三口フラスコに合成例3で得られた環化体3 3.61g(5.45mmol)、ジメチルアミン(東京化成工業社製)0.26g(5.68mmol)、トルエン17ml、トリ−t−ブチルホスフィン0.13g(0.64mmol)、酢酸パラジウム(II) 0.05g(0.22mmol)およびナトリウム−t−ブトキシド0.91g(9.54mmol)を秤取り、窒素を充填した。100℃に加熱し、5時間撹拌したのち、室温まで放冷した。ジクロロメタン50mlを加え、濾過した。溶媒を減圧留去し、フラスコ内の残留物にメタノール10mlを加えてスラリー化した。濾過後、メタノール20mlで洗浄した。ウェットケーキにトルエン20mlを加え、100℃に加熱して完溶させ、熱時濾過した。濾液を冷蔵庫で一晩静置し、結晶を濾取した。メタノール10mlで洗浄し、60℃で一晩乾燥し、下記式(16)で表されるピリジン化合物3である橙色固体0.59g(収率17.4%)を得た。
得られた橙色固体を合成例1と同様に元素分析および1H−NMR、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、ピリジン化合物3が前記化学式(16)の構造であることを確認した。
融点:213.1℃
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):
1.44(12H,q)、2.34(6H,s)、4.09(8H,q)、6.55(2H,d)、6.61(2H,dd)、7.09(8H,m)、7.35(1H,d)、7.66(1H,d)、8.01(2H,d)、8.38(2H,S)、8.43(1H,d)
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):
1.44(12H,q)、2.34(6H,s)、4.09(8H,q)、6.55(2H,d)、6.61(2H,dd)、7.09(8H,m)、7.35(1H,d)、7.66(1H,d)、8.01(2H,d)、8.38(2H,S)、8.43(1H,d)
得られたピリジン化合物3について、合成例4と同様に極大吸収波長を測定した。ピリジン化合物3の紫外可視分光スペクトルを図1中に示す。ピリジン化合物2の極大吸収波長λmaxは以下の通りであった。
λmax=461.2nm
λmax=461.2nm
得られたピリジン化合物3について合成例4と同様に、耐光性試験を行った。結果を表9に示す。
比較合成例1
比較環化体1の合成
100mlの三口フラスコにp−ブロモベンズアルデヒド2.00g(10.80mmol)、4’−メトキシアセトフェノン3.24g(21.6mmol)、酢酸アンモニウム14.4g(186mmol)および酢酸12gを加え、120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水30mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液50ml、60℃の熱水50mlで順次洗浄した。回収したトルエン相の溶媒を減圧留去し、残留物にエタノール20mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール20mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記式(17)で表される比較環化体1として白色固体1.75g(収率36.4%)を得た。
比較環化体1の合成
100mlの三口フラスコにp−ブロモベンズアルデヒド2.00g(10.80mmol)、4’−メトキシアセトフェノン3.24g(21.6mmol)、酢酸アンモニウム14.4g(186mmol)および酢酸12gを加え、120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水30mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液50ml、60℃の熱水50mlで順次洗浄した。回収したトルエン相の溶媒を減圧留去し、残留物にエタノール20mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール20mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記式(17)で表される比較環化体1として白色固体1.75g(収率36.4%)を得た。
得られた白色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、比較環化体1が前記化学式(17)の構造であることを確認した。
融点:133.9℃
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):
3.93(6H,s)、6.55(4H,dd)、7.59(4H,q)、8.03(2H,s)、8.06(4H,d)
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):
3.93(6H,s)、6.55(4H,dd)、7.59(4H,q)、8.03(2H,s)、8.06(4H,d)
比較合成例2
比較ピリジン化合物1の合成
50mlの三口フラスコに比較合成例1で得られた比較環化体1 1.75g(3.92mmol)、ジフェニルアミン0.66g(3.92mmol)、トルエン10ml、トリ−t−ブチルホスフィン0.09g(0.45mmol)、酢酸パラジウム(II) 0.03g(0.14mmol)およびナトリウム−t−ブトキシド0.52g(5.42mmol)を秤取り、窒素を充填した。100℃に加熱し、5時間撹拌したのち、室温まで放冷した。ジクロロメタン50mlを加え、濾過した。溶媒を減圧留去し、フラスコ内の残留物にメタノール10mlを加えてスラリー化した。濾過後、メタノール20mlで洗浄した。ウェットケーキにトルエン20mlを加え、100℃に加熱して完溶させ、熱時濾過した。濾液を冷蔵庫で一晩静置し、結晶を濾取した。メタノール10mlで洗浄し、60℃で一晩乾燥し、下記式(18)で表される比較ピリジン化合物1である黄色固体1.21g(収率57.5%)を得た。
比較ピリジン化合物1の合成
50mlの三口フラスコに比較合成例1で得られた比較環化体1 1.75g(3.92mmol)、ジフェニルアミン0.66g(3.92mmol)、トルエン10ml、トリ−t−ブチルホスフィン0.09g(0.45mmol)、酢酸パラジウム(II) 0.03g(0.14mmol)およびナトリウム−t−ブトキシド0.52g(5.42mmol)を秤取り、窒素を充填した。100℃に加熱し、5時間撹拌したのち、室温まで放冷した。ジクロロメタン50mlを加え、濾過した。溶媒を減圧留去し、フラスコ内の残留物にメタノール10mlを加えてスラリー化した。濾過後、メタノール20mlで洗浄した。ウェットケーキにトルエン20mlを加え、100℃に加熱して完溶させ、熱時濾過した。濾液を冷蔵庫で一晩静置し、結晶を濾取した。メタノール10mlで洗浄し、60℃で一晩乾燥し、下記式(18)で表される比較ピリジン化合物1である黄色固体1.21g(収率57.5%)を得た。
得られた黄色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、比較ピリジン化合物1が前記化学式(18)の構造であることを確認した。
融点:143.9℃
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):
3.93(6H,s)、6.55(4H,dd)、7.26(12H,m)、7.57(2H,d)、8.01(2H,s)、8.06(4H,d)
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):
3.93(6H,s)、6.55(4H,dd)、7.26(12H,m)、7.57(2H,d)、8.01(2H,s)、8.06(4H,d)
得られた比較ピリジン化合物1について、合成例4と同様に極大吸収波長を測定した。比較ピリジン化合物1の紫外可視分光スペクトルも図1に示す。比較ピリジン化合物1の極大吸収波長λmaxは以下の通りであった。
λmax=420.9nm
λmax=420.9nm
得られた比較ピリジン化合物1について合成例4と同様に、耐光性試験を行った。結果を表9に示す。
合成例4〜6で得られたピリジン化合物1〜3および比較合成例1で得られた比較ピリジン化合物1の耐光性試験結果を表9にまとめる。
表9におけるピリジン化合物1〜3および比較ピリジン化合物1の耐光性試験評価の基準は以下の通りである:
◎:ピリジン化合物の照射後の残存率が91〜100%
○:ピリジン化合物の照射後の残存率が81〜90%
△:ピリジン化合物の照射後の残存率が51〜80%
×:ピリジン化合物の照射後の残存率が50%未満
◎:ピリジン化合物の照射後の残存率が91〜100%
○:ピリジン化合物の照射後の残存率が81〜90%
△:ピリジン化合物の照射後の残存率が51〜80%
×:ピリジン化合物の照射後の残存率が50%未満
実施例1〜3および比較例1
合成例で得られたピリジン化合物1〜3を用いて下記表10の配合で混合することにより実施例1〜3のインキ組成物を調製した。また、比較合成例2の比較ピリジン化合物1を用いて表10の配合で混合することにより比較例1のインキ組成物を調製した。表10中、実施例番号または比較例番号以外の数字は、質量%を示す。
合成例で得られたピリジン化合物1〜3を用いて下記表10の配合で混合することにより実施例1〜3のインキ組成物を調製した。また、比較合成例2の比較ピリジン化合物1を用いて表10の配合で混合することにより比較例1のインキ組成物を調製した。表10中、実施例番号または比較例番号以外の数字は、質量%を示す。
上記表10におけるポリビニルブチラールBL−1は積水化学工業株式会社製のポリビニルブチラール樹脂であり、ハイラック111は日立化成工業社製のシクロヘキサノン系ケトン樹脂である。また電子受容性物質として使用したサリチル酸および4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンは東京化成工業社製の試薬である。
実施例1〜3および比較例1のインキ組成物を、ディゾルバーによって撹拌し、分散させた後、フェルト製のペン芯を有するマーキングペン(株式会社パイロットコーポレーション製パイロットマーカー中字)に適量充填し、ペン芯を覆うようにキャップを嵌め、評価用マーキングペンを作製した。マーキングペンを用いて、蛍光発色および耐光性を以下の評価し、表11に示した。
(筆記具用インキ組成物の発色性評価)
作製したマーキングペンでPPC用紙にフリーハンドで丸を筆記し発色を目視で確認した。このPPC用紙を暗室で365nmの光を照射し、その時の蛍光発色についても目視にて確認した。
作製したマーキングペンでPPC用紙にフリーハンドで丸を筆記し発色を目視で確認した。このPPC用紙を暗室で365nmの光を照射し、その時の蛍光発色についても目視にて確認した。
(筆記具用インキ組成物の耐光性評価)
作製したマーキングペンでPPC用紙にフリーハンドで丸を筆記した。このPPC用紙を耐光性試験機サンテストCPS+(アトラス・エレクトリック・デバイス社製)内にて窓越しの光を想定した光強度(照射強度30w/m2、300−400nm)にて1時間照射した。目視により筆記の変化を評価した。
評価の基準は以下の通りであった。
◎:筆記された丸の変化がない。
〇:筆記された丸の変化がほぼない。
△:筆記された丸の色がわずかに薄くなった。
▲:筆記された丸の色が薄くなったまたは部分的に消失している。
×:筆記された丸の色が変化し、丸が部分的に消失している。
作製したマーキングペンでPPC用紙にフリーハンドで丸を筆記した。このPPC用紙を耐光性試験機サンテストCPS+(アトラス・エレクトリック・デバイス社製)内にて窓越しの光を想定した光強度(照射強度30w/m2、300−400nm)にて1時間照射した。目視により筆記の変化を評価した。
評価の基準は以下の通りであった。
◎:筆記された丸の変化がない。
〇:筆記された丸の変化がほぼない。
△:筆記された丸の色がわずかに薄くなった。
▲:筆記された丸の色が薄くなったまたは部分的に消失している。
×:筆記された丸の色が変化し、丸が部分的に消失している。
表11から明らかなように、本発明を適用したインキ組成物は、比較例のインキ組成物に比べて耐光性の点において非常に優れていることが確認された。また実施例2および3のインキ組成物は赤色の蛍光を示した。
本発明の着色剤は、従来のトリフェニルピリジン化合物のピリジン環の4位のフェニル基をナフチル基またはアントラニル基に置換したものを用いるので、従来の黄色に蛍光発色するトリフェニルピリジン化合物とは異なる鮮やかな橙色〜赤色の蛍光発色を示し、かつ十分な耐光性を有しているため、記録材料用途に用いられる着色剤として好適に使用することができる。また、本発明の着色剤を用いたインキ組成物は、鮮やかな橙色〜赤色蛍光発色性を備えるため、マーカーなどの筆記具用インキ組成物に好適に用いることができる。
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JP2018240068A JP2020100739A (ja) | 2018-12-21 | 2018-12-21 | ピリジン化合物を含む着色剤及びその応用 |
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Cited By (1)
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JP2020100710A (ja) * | 2018-12-21 | 2020-07-02 | パイロットインキ株式会社 | 可逆熱変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料 |
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2018
- 2018-12-21 JP JP2018240068A patent/JP2020100739A/ja active Pending
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JP7078529B2 (ja) | 2018-12-21 | 2022-05-31 | パイロットインキ株式会社 | 可逆熱変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料 |
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