JP2020099950A - はんだ材料、ソルダペースト、及びはんだ継手 - Google Patents

はんだ材料、ソルダペースト、及びはんだ継手 Download PDF

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智史 横田
隆 赤川
Takashi AKAGAWA
隆 赤川
宏 ▲高▼橋
宏 ▲高▼橋
Hiroshi Takahashi
宏 川中子
Hiroshi Kawanakako
宏 川中子
浩由 川▲崎▼
Hiroyoshi Kawasaki
浩由 川▲崎▼
宗形 修
Osamu Munakata
修 宗形
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Abstract

【課題】本発明は、経時での粘度上昇が抑制され、濡れ性及び信頼性に優れるはんだ材料、ソルダペースト、及びはんだ継手を提供することを目的とする。【解決手段】Sn又はSn系合金、40〜250質量ppmのAs、0〜3000質量ppmのSb、0〜10000質量ppmのBi及び0〜5100質量ppmのPbを含み(ただし、Bi及びPbの含有量が同時に0質量ppmになることはない)、As濃化層を有する、はんだ材料。【選択図】図1

Description

本発明は、はんだ材料、ソルダペースト、及びはんだ継手に関する。
プリント基板への電子部品の実装といった、電子機器における電子部品の固定と電気的
接続は、コスト面及び信頼性の面で最も有利なはんだ付けにより一般に行われている。
はんだ材料は一般にSnを主成分とするところ、製造時や製造後にSnと空気中の酸素
が反応し、表面にSn酸化物による膜が形成され、黄色の変色を引き起こすことがある。
はんだ材料の変色を改善する方法としては、はんだ材料に、P、Ge、Gaなどの元素
を添加することが知られている。これらの元素は、Snよりも酸化物の標準生成自由エネ
ルギーが小さく、非常に酸化されやすい。したがって、溶融はんだからはんだ粉末やはん
だボール等のはんだ材料を形成する際に、SnではなくP、Ge、Gaなどの元素が酸化
されて表面に濃化し、はんだ表面の黄色変化を抑制することができる。しかし、一般的に
はんだ材料には、溶融した際に電子部品の金属上を広がっていく性質(濡れ性)が求めら
れるところ、P、Ge、Gaなどの元素を添加した場合には、はんだ材料の濡れ性が低下
してしまう。はんだ材料の濡れ性が悪いとはんだ付け不良が発生する原因になる。
また、はんだ付けの中でも、電子機器の基板への電子部品の接合・組立てにおいては、
ソルダペーストを使用したはんだ付けがコスト面及び信頼性の面で有利であり、最も普通
に行われている。ソルダペーストは、はんだ材料(はんだ粉末)と、ロジン、活性剤、チ
キソトロピック剤、溶剤などのはんだ材料以外の成分を含むフラックスとを混練してペー
スト状にした混合物である。
ソルダペーストの基板への塗布は、例えば、メタルマスクを用いたスクリーン印刷によ
り行われる。そのため、ソルダペーストの印刷性を確保するために、ソルダペーストの粘
度は適度である必要がある。しかし、一般に、ソルダペーストは、保存安定性に劣り、経
時でソルダペーストの粘度が上昇してしまうことがある。
さらに、ソルダペーストを構成するはんだ材料においては、液相線温度(TL)と固相
線温度(TS)との差(ΔT=TL−TS)が大きくなると、電子機器の基板に塗布後、凝
固する際にはんだ材料の組織が不均一となりやすく、将来的な信頼性を低下させる原因に
なる。
Sbを含有するはんだ材料としては、例えば、Ag:2.8〜4.2重量%、Cu:0
.4〜0.6重量%、Sbを50〜3000ppm含有し、残部がSn及び不可避不純物
からなる成分組成を有しているバンプ用はんだ合金粉末が提案されている(特許文献1)

Biを含有するはんだ材料としては、例えば、Ag:2.8〜4.2重量%、Cu:0
.4〜0.6重量%、Biを50〜1000ppm含有し、残部がSn及び不可避不純物
からなる成分組成を有しているバンプ用はんだ合金粉末が提案されている(特許文献2)

Pbを含有するはんだ材料としては、例えば、Ag:2.8〜4.2重量%、Cu:0
.4〜0.6重量%、Pbを50〜5000ppm含有し、残部がSn及び不可避不純物
からなる成分組成を有しているバンプ用はんだ合金粉末が提案されている(特許文献3)

しかし、特許文献1〜3に記載されたはんだ材料は、バンプ形成時に生じる突起を抑制
することを課題としていて、変色やソルダペーストとしたときの経時での粘度上昇の問題
を改善するものではない。
以上のように、変色や、ペーストとしたときの経時での粘度上昇の問題が抑制され、し
かも濡れ性及び信頼性にも優れるはんだ材料が望まれている。
特開2013−237091号 特開2013−237089号 特開2013−237088号
本発明は、変色や、ペーストとしたときの経時での粘度上昇が小さく、濡れ性及び信頼
性に優れるはんだ材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究した結果、表面側にAs濃化層を有す
るはんだ材料は、変色や、ペーストとしたときの粘度の経時変化が少なく、しかも、As
を含有するはんだ材料は通常は濡れ性が低くなる傾向があるにもかかわらず、表面にAs
濃化層が形成されていれば、そのような濡れ性の低下もないことを見出し、このような材
料を用いれば上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の具体的態様は以下のとおりである。
なお、本明細書において、「〜」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値
を含むものとする。また、各元素の含有量は、例えば、JIS Z 3910 に準拠に
してICP−AESで分析することにより測定することができる。
[1] Sn又はSn系合金、40〜250質量ppmのAs、0〜3000質量ppmの
Sb、0〜10000質量ppmのBi及び0〜5100質量ppmのPbを含み((た
だし、Bi及びPbの含有量が同時に0質量ppmになることはない)、As濃化層を有
する、はんだ材料。
[2] As、Sb、Bi及びPbの含有量が、下記式(1)及び式(2)を満たす、[1]
に記載のはんだ材料。
275≦2As+Sb+Bi+Pb (1)
0.01≦(2As+Sb)/(Bi+Pb)≦10.00 (2)
ただし、式(1)及び式(2)中、As、Sb、Bi及びPbは、各々のはんだ材料中
の含有量(質量ppm)を表す。
[3] 前記はんだ材料の形態が粉末である、[1]又は[2]に記載のはんだ材料。
[4] [3]に記載のはんだ材料、及びフラックスを含むソルダペースト。
[5] 酸化ジルコニウム粉末をさらに含む[4]に記載のソルダペースト。
[6] ソルダペースト全体の質量に対する酸化ジルコニウム粉末の含有量が0.05〜2
0.0質量%である、[5]に記載のソルダペースト。
[7] Sn又はSn系合金、40〜250質量ppmのAs、0〜3000質量ppmの
Sb、0〜10000質量ppmのBi及び0〜5100質量ppmのPbを含み(ただ
し、Bi及びPbの含有量が同時に0質量ppmになることはない)、As濃化層を有す
る、はんだ継手。
本発明によれば、変色が少なく、濡れ性も良好で、サイクル特性等の信頼性が高く、ソ
ルダペーストとしたときの経時での粘度上昇の小さいはんだ材料を提供することができる
はんだ材料表面のXPS分析のチャートの一例である。 はんだ材料表面のXPS分析のチャートの一例である。 はんだ材料表面のXPS分析のチャートの一例である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について説明す
る。
ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な
変形が可能である。
本実施形態において、はんだ材料は、Sn又はSn系合金、0〜3000質量ppmの
Sb、0〜10000質量ppmのBi及び0〜5100質量ppmのPbを含む。ただ
し、Bi及びPbの含有量が同時に0質量ppmになることはなく、Sb、Bi及びPb
のうちの2種類以上が含まれていること(2種以上の含有量が0質量ppm超)が好まし
く、Sb、Bi及びPbのすべてが含まれていること(3種すべての含有量が0質量pp
m超)も好ましい。
ここで、Snの純度は、特に限定されず、例えば、純度が3N(99.9%以上)、4
N(99.99%以上)、5N(99.999%以上)であるもの等の当業界で一般的な
ものを用いることができる。
また、Sn系合金としては、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Sn−Ag−Cu合金
、Sn−Ag−Cu−Ni−Co合金、Sn−In合金や前記合金組成にAg、Cu、I
n、Ni、Co、Ge、P、Fe、Zn、Al、Ga等を更に添加した合金が挙げられる
。Sn系合金中のSnの含有量に限定はないが、例えば、40質量%超とすることができ
る。
なお、Sn及びSn系合金は、不可避不純物を含んでいてもよい。
本実施形態においてSn系合金は、はんだ濡れ性、融点、その他のはんだ材料としての
物性の観点から、0.005〜40質量%のAg及び/又は0.001〜10質量%のC
uを含み、残部がSnであるものが好ましい。
この場合、ΔTの観点からは、はんだ材料全体の質量に対するAgの含有量は、4質量
%以下が好ましい。Agの含有量が3.8質量%を超えるとΔTが大幅に増大する傾向に
ある。はんだ材料全体の質量に対するAgの含有量は、0.1〜3.8質量%がより好ま
しく、0.5〜3.5質量%が最も好ましい。
また、ΔTの観点からは、はんだ材料全体の質量に対するCuの含有量は、1.0質量
%以下が好ましい。Cuの含有量が0.9質量%を超えるとΔTが大幅に増大する傾向に
ある。はんだ材料全体の質量に対するCuの含有量は、0.05〜0.9質量%がより好
ましく、0.1〜0.7質量%が最も好ましい。
なお、上記のAg及びCuの含有量の好ましい数値範囲は各々独立したものであって、
Ag及びCuの含有量は各々独立して決定することができる。
本実施形態において、はんだ材料全体の質量に対するAsの含有量は、40〜250質
量ppm(0.0040〜0.0250質量%)であり、40〜150質量ppmが好ま
しく、50〜100質量ppmがより好ましい。Asの含有量が40質量ppm未満であ
ると、As濃化層を形成することが極めて難しい。
Asは、はんだ材料全体の質量に対する含有量が40〜250質量ppmであるという
条件を満たし、はんだ材料中にAs濃化層が存在していれば、その一部又は全部がSnや
Sn系合金と共に合金(金属間化合物や固溶体等)を構成していてもよいし、Sn系合金
とは別に、例えばAs単体や酸化物として、存在していてもよい。
本実施形態において、はんだ材料全体の質量に対するSbの含有量は0〜3000質量
ppm、Biの含有量は0〜10000質量ppm、Pbの含有量は0〜5100質量p
pmである。
Sb、Bi又はPbが十分に存在していると粘度上昇が抑制される傾向にあることが判
明した。その理由は明らかではないが、これらの元素はSnに対して貴な金属であり、そ
のため、Sn−Sb/Bi/Pb合金はSnよりもイオン化しにくく、フラックスへのイ
オン状態(塩)としての溶出が起こりにくくなるためと考えられる。ただし、機序はこれ
によらない。また、Bi及びPbは、はんだ材料がAsを含む場合に起こる濡れ性の低下
を抑制する傾向もある。
一方で、Sb、Bi及びPbの含有量が大きすぎると、固相線温度が低下し、液相線温
度(TL)と固相線温度(TS)との差(ΔT=TL−TS)が大きくなり、溶融はんだの凝
固過程において、BiやPbの含有量が少ない高融点の結晶相が先に析出し、その後、B
iやPbの濃度が高い低融点の結晶相が偏析するため、はんだ材料の機械的強度等が劣化
し、サイクル特性等の信頼性を低下させるおそれがある。特に、Bi濃度が高い結晶相は
硬くて脆いため、はんだ材料中で偏析すると信頼性が著しく低下するおそれがある。
以上の観点から、Sb、Bi及びPbの含有量の好ましい範囲は以下の通りである。
Sb含有量の下限は、好ましくは25質量ppm以上であり、より好ましくは50質量
ppm以上であり、さらに好ましくは100質量ppm以上であり、特に好ましくは30
0質量ppm以上である。また、Sb含有量の上限は、好ましくは1150質量ppm以
下であり、より好ましくは500質量ppm以下である。
Bi含有量の下限は、好ましくは25質量ppm以上であり、より好ましくは50質量
ppm以上であり、さらに好ましくは75質量ppm以上であり、特に好ましくは100
質量ppm以上であり、最も好ましくは250質量ppm以上である。また、Bi含有量
の上限は、好ましくは1000質量ppm以下であり、より好ましくは600質量ppm
以下であり、さらに好ましくは500質量ppm以下である。
Pb含有量の下限は、好ましくは25質量ppm以上であり、より好ましくは50質量
ppm以上であり、さらに好ましくは75質量ppm以上であり、特に好ましくは100
質量ppm以上であり、最も好ましくは250質量ppm以上である。また、Pb含有量
の上限は、好ましくは5000質量ppm以下であり、より好ましくは1000質量pp
m以下であり、さらに好ましくは850質量ppm以下であり、特に好ましくは500質
量ppm以下である。
Sb、Bi、及び、Pbは、はんだ材料全体の質量に対する含有量が上述の条件を満た
していれば、全部がSnやSn系合金と共に合金(金属間化合物や固溶体等)を構成して
いてもよいし、その一部がSn系合金とは別に存在していてもよい。
本実施形態において、As、Sb、Bi、及びPbの含有量は、下記(1)式を満たす
ことが好ましい。
275≦2As+Sb+Bi+Pb (1)
上記(1)式中、As、Sb、Bi、及びPbは、各々のはんだ材料中の含有量(質量
ppm)を表す。
As、Sb、Bi及びPbは、いずれもペーストとしたときの粘土上昇を抑制する効果
(増粘抑制効果)を示す元素であるので、増粘抑制の観点からは、これらの合計が275
ppm以上であることが好ましい。(1)式中、As含有量を2倍にしたのは、AsがS
bやBiやPbと比較して増粘抑制効果が高いためである。
2As+Sb+Bi+Pbは、好ましくは350以上であり、より好ましくは1200
以上である。一方、2As+Sb+Bi+Pbに上限はないが、ΔTを適した範囲にする
観点から、18600以下であり、好ましくは10200以下であり、さらに好ましくは
5300以下であり、特に好ましくは3800以下である。
上記好ましい態様の中から上限および下限を適宜選択したものが、下記(1a)式およ
び(1b)式である。
275≦2As+Sb+Bi+Pb≦18600 (1a)
275≦2As+Sb+Bi+Pb≦5300 (1b)
上記(1a)及び(1b)式中、As、Sb、Bi、及びPbは、各々のはんだ材料中
の含有量(質量ppm)を表す。
本実施形態において、As、Sb、Bi、及びPbの含有量は、下記(2)式を満たす
ことが好ましい。
0.01≦(2As+Sb)/(Bi+Pb)≦10.00 (2)
上記(2)式中、As、Sb、Bi、及びPbは、各々のはんだ材料中の含有量(質量
ppm)を表す。
一般に、As及びSbの含有量が多いとはんだ材料の濡れ性が劣化する傾向にある。一
方、Bi及びPbは、Asを含有することによる濡れ性の劣化を抑制するが、含有量が多
すぎるとΔTが上昇してしまうため、厳密な管理が必要である。特に、Bi及びPbを同
時に含有する合金組成では、ΔTが広がりやすく、BiおよびPbの含有量を増加させて
過度に濡れ性を向上させようとするとΔTが広がってしまう。一方、AsやSbの含有量
を増加させて増粘抑制効果を向上させようとすると濡れ性が劣化してしまう。しかし、A
s及びSbのグループと、Bi及びPbのグループに分け、両グループの合計含有量が式
(2)の関係を満足するようにすれば、As及びSbのグループとBi及びPbグループ
の含有量の間のバランスが適正になり、増粘抑制効果、ΔTの狭窄化、および濡れ性のす
べてを同時に満たすことができる。
(2As+Sb)/(Bi+Pb)が0.01未満であると、Bi及びPbの含有量の
合計がAs及びPbの含有量の合計と比較して相対的に多くなるため、ΔTが広がってし
まう。(2As+Sb)/(Bi+Pb)は0.01以上であることが好ましく、より好
ましくは0.02以上であり、さらに好ましくは0.41以上であり、なお好ましくは0
.90以上であり、特に好ましくは1.00以上であり、最も好ましくは1.40以上で
ある。一方、(2As+Sb)/(Bi+Pb)が10.00を超えると、As及びSb
の含有量の合計がBi及びPbの含有量の合計より相対的に多くなるため、濡れ性が劣化
してしまう。(2As+Sb)/(Bi+Pb)は10.00以下であることが好ましく
、より好ましくは5.33以下であり、さらに好ましくは4.50以下であり、なお好ま
しくは2.67以下であり、特に好ましくは4.18以下であり、最も好ましくは2.3
0以下である。
なお、(2)式の分母は「Bi+Pb」であるので、式(2)が満たされる場合には、
BiおよびPbのうちの少なくとも1種が必ず含有されることになる。Bi及びPbのい
ずれも含有しないはんだ材料は、前述のように、濡れ性が劣る傾向にある。
上記好ましい態様の中から上限および下限を適宜選択したものが、下記(2a)式であ
る。
0.31≦(2As+Sb)/(Bi+Pb)≦10.00 (2a)
上記(2a)式中、As、Sb、Bi、及びPbは、各々のはんだ材料中の含有量(質
量ppm)を表す。
なお、本実施形態において、As、Sb、Bi及びPbの含有量は、上述の式(1)及
び式(2)の少なくとも一方を満たしていることが好ましく、両方満たしていることがよ
り好ましい。
本実施形態においては、はんだ材料は、その少なくとも一部にAs濃化層を有する。こ
こで、As濃化層とは、As濃度が、はんだ材料中の平均As濃度(はんだ材料全体の質
量に対するAsの含有量)より高くなっている領域をいい、具体的には後述の判定基準に
より存在を確認することができる。
As濃化層は、はんだ材料の表面側の少なくとも一部に存在していることが好ましく、
表面全体を覆っていることが好ましい。
(判定基準)
5.0mm×5.0mmの大きさのサンプル(はんだ材料が板状でない場合には、5.
0mm×5.0mmの範囲にはんだ材料(はんだ粉末、はんだボール等)を隙間なく敷き
詰めたもの)を用意し、その中から任意の700μm×300μmのエリアを選定し、イ
オンスパッタリングを併用したXPS分析を行う。サンプル1個につき1つのエリアを選
定し、3つのサンプルについてそれぞれ1回ずつ、合計3回の分析を行う。全3回の分析
の全てにおいて後述のS1とS2の大小関係が一致する場合(As濃化層が表面側に存在
している場合は、全3回の分析全てにおいてS1>S2となる場合)、As濃化層が形成
されていると判断する。
ここで、S1、S2及びD1の定義は以下の通りである。
S1:上述のサンプルについて行ったXPS分析のチャートにおいて、SiO2換算の
深さが0〜2×D1(nm)の領域におけるAsの検出強度の積分値
S2:上述のサンプルについて行ったXPS分析のチャートにおいて、SiO2換算の
深さが2×D1〜4×D1(nm)の領域におけるAsの検出強度の積分値
D1:上述のサンプルについて行ったXPS分析のチャートにおいて、O原子の検出強
度が最大となるSiO2換算の深さ(Do・max(nm))より深い部分において、O
原子の検出強度が最大検出強度(Do・maxにおける強度)の1/2の強度となる最初
のSiO2換算の深さ(nm)(図3参照)。
ただし、本判定基準におけるXPS分析の詳細な条件は、後述の「(1)As濃化層の
有無の評価」の記載に従う。
なお、本判定基準においては、D1が定義できる、すなわち、XPS分析チャートにお
いて、O原子の検出強度が最大値を取るということを前提としており、D1が定義できな
い場合(O原子の検出強度が常に一定等の場合)には、As濃化層は存在していないと判
断するものとする。
As濃化層が存在すると、変色、濡れ性、ソルダペーストとしたときの粘度上昇の問題
が解決できる理由は明らかでないが、粘度上昇はSnやSn酸化物とソルダペースト(フ
ラックス)に含まれる活性剤等の各種添加剤との間で生じる反応により、塩が形成された
り、はんだ材料が凝集すること等によって引き起こされると考えられるところ、はんだ材
料の表面にAs濃化層が存在すると、はんだ合金とフラックスの間にAs濃化層が介在す
ることになり、上述のような反応が起こりにくくなるためと考えられる。ただし、機序は
これによらない。
本実施形態において、As濃化層の厚み(SiO2換算)に限定はないが、0.5〜8
.0nmが好ましく、0.5〜4.0nmがより好ましく、0.5〜2.0nmが最も好
ましい。ここで、As濃化層の厚みとは、2×D1をいう。
As濃化層の厚みが上記の範囲であると、濡れ性に悪影響を及ぼすことなく、変色とソ
ルダペーストとしたときの経時での粘度上昇を十分に抑えることができる。
本実施形態のはんだ材料は、はんだ材料全体の質量に対するAsの含有量及びSb、B
i及びPbの含有量が上記範囲内であり、はんだ材料にAs濃化層が含まれることにより
、変色やソルダペーストとしたときの経時での粘度上昇が抑制され、しかも、濡れ性や信
頼性にも優れる。
本実施形態のはんだ材料の製造方法に限定はなく、原料金属を溶融混合することにより
製造することができる。
はんだ材料中にAs濃化層を形成する方法にも限定はない。As濃化層の形成方法の一
例としては、はんだ材料を酸化雰囲気(空気や酸素雰囲気)中で加熱することが挙げられ
る。加熱温度に限定はないが、例えば、40〜200℃とすることができ、50〜80℃
であってもよい。加熱時間にも限定はなく、例えば、数分〜数日間、好ましくは数分〜数
時間とすることができる。十分な量のAs濃化層を形成するためには、加熱時間は10分
以上、さらには20分以上とすることが好ましい。
本実施形態において、はんだ材料の形態に特に限定されなく、棒はんだのような棒状で
あってもよいし、ワイヤ状であってもよいし、はんだボールやはんだ粉末等の粒子状であ
ってもよい。
はんだ材料が粒子状であるとはんだ材料の流動性が向上する。
粒子状のはんだ材料の製造方法に限定はなく、溶融させたはんだ材料を滴下して粒子を
得る滴下法や遠心噴霧する噴霧法、バルクのはんだ材料を粉砕する方法等、公知の方法を
採用することができる。滴下法や噴霧法において、滴下や噴霧は、粒子状とするために不
活性雰囲気や溶媒中で行うことが好ましい。
また、はんだ材料が粒子状である場合、JIS Z 3284−1:2004における
粉末サイズの分類(表2)において記号1〜8に該当するサイズ(粒度分布)を有してい
ると、微細な部品へのはんだ付けが可能となる。粒子状はんだ材料のサイズは、記号4〜
8に該当するサイズであることがより好ましく、記号5〜8に該当するサイズであること
がより好ましい。
はんだ材料が粒子状である場合、真球度は0.90以上が好ましく、0.95以上がよ
り好ましく、0.99以上が最も好ましい。
本実施形態において、はんだ材料の使用形態は特に限定されない。例えば、油脂等と混
合してやに入りはんだとしてもよいし、はんだ材料が粉末状である場合には、ロジン系樹
脂、活性剤、溶剤等を含むフラックスと混合してソルダペーストとして使用したり、はん
だボールとして使用することができるが、本実施形態のはんだ材料は、ソルダペーストと
した場合の経時的な粘度上昇が小さいので、とりわけソルダペーストとして使用するのに
適している。
本実施形態において、ソルダペーストは、本実施形態のはんだ粉末とフラックスとを含
む。
ここで、「フラックス」とは、ソルダペーストにおけるはんだ粉末以外の成分全体のこ
とをいい、はんだ粉末とフラックスとの質量比(はんだ粉末:フラックス)に限定はなく
、用途に応じて適宜設定することができる。
本実施形態において、フラックスの組成に限定はなく、例えば、樹脂成分;溶剤;活性
剤、チクソ剤、pH調整剤、酸化防止剤、着色剤、消泡剤等の各種添加剤等を任意の割合
で含むことができる。樹脂、溶剤、各種添加剤についても限定はなく、ソルダペーストに
おいて一般に使用されているものが使用できる。活性剤については、好ましい具体例とし
ては有機酸、アミン、ハロゲン(有機ハロゲン化合物、アミンハロゲン化水素酸塩)等が挙
げられる。
本実施形態において、ソルダペーストは、酸化ジルコニウム粉末をさらに含むことがで
きる。ソルダペースト全体の質量に対する酸化ジルコニウム粉末の含有量は、0.05〜
20.0質量%が好ましく、0.05〜10.0質量%がより好ましく、0.1〜3質量
%が最も好ましい。
酸化ジルコニウム粉末の含有量が上記範囲内であれば、フラックスに含まれる活性剤が
酸化ジルコニウム粉末と優先的に反応し、はんだ粉末表面のSnやSn酸化物との反応が
起こりにくくなることで経時変化による粘度上昇を更に抑制する効果が発揮される。
ソルダペーストに添加する酸化ジルコニウム粉末の粒径の上限に限定はないが、5μm
以下であることが好ましい。粒径が5μm以下であるとペーストの印刷性を維持すること
ができる。また、下限も特に限定されることはないが、0.5μm以上であることが好ま
しい。上記粒径は、酸化ジルコニウム粉末のSEM写真を撮影し、視野内に存在する各粒
子について画像解析により投影円相当径を求めたときの、投影円相当径が0.1μm以上
であるものの投影円相当径の平均値とする。
酸化ジルコニウム粒子の形状は特に限定されないが、異形状であればフラックスとの接
触面積が大きく増粘抑制効果がある。球形であると良好な流動性が得られるためにペース
トとしての優れた印刷性が得られる。所望の特性に応じて適宜形状を選択すればよい。
本実施形態において、ソルダペーストは、本実施形態のはんだ材料(はんだ粉末)とフ
ラックスとを公知の方法により混練することにより製造することができる。
本実施形態におけるソルダペーストは、例えば、電子機器における微細構造の回路基板
に使用することができ、具体的には、メタルマスクを用いた印刷法、ディスペンサを用い
た吐出法、又は転写ピンによる転写法等により、はんだ付け部に塗布し、リフローを行う
ことができる。
本実施形態において、はんだ材料は、2つ又はそれ以上の各種部材を接合する継手(接
合部分)として使用することができる。接合部材に限定はなく、例えば、電子機器部材の
継手としても有用である。
本実施形態において、はんだ継手は、Sn又はSn系合金、40〜250質量ppmの
As、0〜3000質量ppmのSb、0〜10000質量ppmのBi及び0〜510
0質量ppmのPbを含み(ただし、Sb、Bi及びPbの含有量がすべて同時に0質量
ppmになることはない)、少なくともその一部にAs濃化層を含む。本実施形態のはん
だ継手は、上述の本実施形態のはんだ材料と同様の組成及び物性を有することができ、上
述の本実施形態のはんだ材料を用いて形成することができる。
はんだ継手全体の質量に対するAsの含有量及びSb、Bi及びSbの含有量が上記範
囲内であり、はんだ継手にAs濃化層が含まれる場合には、変色がなく信頼性に優れたは
んだ継手となる。
本実施形態において、はんだ継手は、例えば、本実施形態のはんだ材料からなるはんだ
ボールや本実施形態のソルダペーストを、接合予定部分に配置又は塗布し、加熱するなど
の、当業界で一般的な方法で製造することができる。
以下、本発明について実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例に記載の内容
に限定されるものではない。
(評価)
実施例、比較例それぞれのはんだ粉末について、以下のとおり、(1)As濃化層の有
無の評価、(2)増粘抑制の評価、(3)はんだ濡れ性の評価、(4)信頼性の評価を行
った。
(1)As濃化層の有無の評価
As濃化層の有無は、XPS(X線光電分光法:X-ray Photoelectron Spectroscopy)
による深さ方向分析を用いて以下の様に評価した。
(分析条件)
・分析装置:微小領域X線光電子分光分析装置(クレイトス・アナリティカル社製AX
IS Nova)
・分析条件:X線源 AlKα線、X線銃電圧 15kV、X線銃電流値 10mA、
分析エリア 700μm×300μm
・スパッタ条件:イオン種 Ar+、加速電圧 2kV、スパッタリングレート 0.
5nm/min(SiO2換算)
・サンプル:カーボンテープを貼ったステージ上にはんだ材料(実施例及び比較例にお
けるはんだ粉末)を隙間なく平坦に敷き詰めたものを3つ用意し、サンプルとした。ただ
し、サンプルの大きさは5.0mm×5.0mmとした。
(評価手順)
5.0mm×5.0mmの大きさのサンプルの中から、任意の700μm×300μm
のエリアを選定し、イオンスパッタリングを行いながらSn、O及びAsの各原子につい
てXPS分析を行い、XPS分析のチャートを得た。サンプル1個につき1つのエリアを
選定し、3つのサンプルについてそれぞれ1回ずつ、合計3回の分析を行った。
XPS分析により得られたチャートの一例を図1〜3に示す。図1〜3は、同一のサン
プルについて縦軸の検出強度(cps)のスケールを変更したものであり、横軸はスパッ
タ時間から算出したSiO2換算の深さ(nm)である。XPS分析のチャートにおいて
は、縦軸は、検出強度(cps)であり、横軸は、スパッタ時間(min)又はスパッタ
時間からSiO2標準試料のスパッタエッチングレートを用いて算出したSiO2換算の深
さ(nm)のいずれかから選択できるが、図1〜3においては、XPS分析のチャートに
おける横軸を、スパッタ時間からSiO2標準試料のスパッタエッチングレートを用いて
算出したSiO2換算の深さ(nm)とした。
そして、各サンプルのXPS分析のチャートにおいて、O原子の検出強度が最大となっ
たSiO2換算の深さをDo・max(nm)とした(図2参照)。そして、Do・ma
xより深い部分において、O原子の検出強度が、最大検出強度(Do・maxにおける強
度)の1/2の強度となる最初のSiO2換算の深さをD1(nm)とした。
次いで、各サンプルのXPS分析のチャートにおいて、最表面から深さ2×D1までの
領域(SiO2換算の深さが0〜2×D1(nm)の領域)におけるAsの検出強度の積
分値(S1)と、深さ2×D1からさらに2×D1だけ深い部分までの領域(SiO2
算の深さが2×D1〜4×D1(nm)の領域)におけるAsの検出強度の積分値(S2
)(図3参照)とを求め、その比較を行った。
そして、以下の基準に基づいて評価を行った。
・全3回の測定の全てにおいてS1>S2となる
:As濃化層が形成されている(○)
・全3回の測定のうちの2回以下の回数でS1>S2となる
:As濃化層が形成されていない(×)
(2)増粘抑制の評価
以下の表1に示す組成の各材料を加熱撹拌した後、冷却することによりフラックスを調
製した。調製したフラックス、並びに実施例、比較例それぞれのはんだ粉末を、フラック
スとはんだ粉末との質量比(フラックス:はんだ粉末)が11:89となるように混練し
てソルダペーストを製造した。
得られたソルダペーストについて、JIS Z 3284−3の「4.2 粘度特性試
験」に記載された方法に従って、回転粘度計(PCU−205、株式会社マルコム製)を
用い、回転数:10rpm、測定温度:25℃にて、粘度を12時間測定し続けた。そし
て、初期粘度(撹拌30分後の粘度)と12時間後の粘度とを比較し、以下の基準に基づ
いて増粘抑制効果の評価を行った。
12時間後の粘度 ≦ 初期粘度×1.2 :経時での粘度上昇が小さく良好(○)
12時間後の粘度 > 初期粘度×1.2 :経時での粘度上昇が大きく不良(×)
(3)はんだ濡れ性の評価
上記の「(2)増粘抑制の評価」と同様にして、実施例及び比較例それぞれのはんだ粉
末を用いてソルダペーストを製造した。
得られたソルダペーストを、Cu板上に開口径6.5mm、開口数4個、マスク厚0.
2mmのメタルマスクを用いて印刷し、リフロー炉において、N2雰囲気下、昇温速度1
℃/secで25℃から260℃まで加熱した後、室温(25℃)まで空冷し、4個のは
んだバンプを形成した。光学顕微鏡(倍率:100倍)を用いて、得られたはんだバンプ
の外観を観察し、以下の基準に基づいて評価を行った。
4個のはんだバンプの全てにおいて溶融しきれないはんだ粒子が観察されなかった。
:はんだ濡れ性が良好(○)
4個のはんだバンプのうちの1個以上において溶融しきれないはんだ粒子が観察された
。 :はんだ濡れ性が不良(×)
(4)信頼性の評価
実施例、比較例それぞれのはんだ粉末について、示差走査熱量計(EXSTAR DS
C7020、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて、昇温速度:5℃/
分(180℃〜250℃)、降温速度:−3℃/分(250℃〜150℃)、キャリアガ
ス:N2の測定条件でDSC測定を行い、液相線温度(TL)及び固相線温度(TS)を測
定した。そして、液相線温度(TL)と固相線温度(TS)との差(ΔT=TL−TS)を算
出し、以下の基準に基づいて評価を行った。
ΔTが10℃以内:信頼性に優れる(○)
ΔTが10℃超 :信頼性に劣る(×)
はんだ粉末の液相線温度(TL)と固相線温度(TS)との差(ΔT=TL−TS)が大き
い場合、当該はんだ粉末を含むソルダペーストを電子機器の基板に塗布後、凝固する際に
、はんだ粉末の表面に融点の高い組織が析出しやすい。はんだ粉末の表面に融点の高い組
織が析出すると、その後、はんだ粉末の内側に向かって融点の低い組織が逐次析出し、は
んだ粉末の組織が不均一となりやすく、サイクル性等の信頼性を低下させる原因になる。
(実施例A1〜A18、比較例A1〜A24)
Sn、As、Sb、Bi及びPbを、As、Sb、Bi及びPbの含有量が以下の表2
に示すようになり、Snがその残部(Sn、As、Sb、Bi及びPbの合計が100質
量%となるような残部)となるよう秤取り、溶融混合し、Ar雰囲気中で遠心噴霧するこ
とにより粉末(平均粒径21μm、JIS Z3284−1:2004の粉末サイズ分類
(表2)の4に該当)を調製した。得られた粉末を空気中において乾燥装置を用いて60
℃で30分間加熱し、実施例、比較例のはんだ粉末を得た。なお、比較例A3〜A14に
ついては、該加熱処理は施さず、遠心噴霧に得られた粉末をそのままはんだ粉末とした。
なお、Snとしては、不可避不純物を含む3N材を用いた。
(実施例B1〜B18、比較例B1〜B24)
Sn、Cu、As、Sb、Bi及びPbを、Cuの含有量が0.7質量%、As、Sb
、Bi及びPbの含有量が以下の表3に示すようになり、Snがその残部(Sn、Cu、
As、Sb、Bi及びPbの合計が100質量%となるような残部)となるようになるよ
う秤取り、溶融混合し、Ar雰囲気中で遠心噴霧することにより粉末(平均粒径21μm
、粉末サイズ分類の4に該当)を調製した。得られた粉末を空気中において乾燥装置を用
いて60℃で30分間加熱し、実施例、比較例のはんだ粉末を得た。なお、比較例B3〜
B14については、該加熱処理は施さず、遠心噴霧に得られた粉末をそのままはんだ粉末
とした。
なお、Snとしては、不可避不純物を含む3N材を用いた。
(実施例C1〜C18、比較例C1〜C24)
Sn、Ag、Cu、As、Sb、Bi及びPbを、Cuの含有量が0.5質量%、Ag
の含有量が1.0質量%、As、Sb、Bi及びPbの含有量が以下の表4に示すように
なり、Snがその残部(Sn、Ag、Cu、As、Sb、Bi及びPbの合計が100質
量%となるような残部)となるようになるよう秤取り、溶融混合し、Ar雰囲気中で遠心
噴霧することにより粉末(平均粒径21μm、粉末サイズ分類の4に該当)を調製した。
得られた粉末を空気中において乾燥装置を用いて60℃で30分間加熱し、実施例、比較
例のはんだ粉末を得た。なお、比較例C3〜C14については、該加熱処理は施さず、遠
心噴霧に得られた粉末をそのままはんだ粉末とした。
なお、Snとしては、不可避不純物を含む3N材を用いた。
実施例C1で得られたはんだ粉末について、Sn、Ag、Cu、As、Sb、Bi及び
Pbの含有量をJIS Z 3910に準拠してICP−AESで分析したところ、仕込
み量と一致していることが確認できた。
(実施例D1〜D18、比較例D1〜D24)
Sn、Ag、Cu、As、Sb、Bi及びPbを、Cuの含有量が0.5質量%、Ag
の含有量が2.0質量%、As、Sb、Bi及びPbの含有量が以下の表5に示すように
なり、Snがその残部(Sn、Ag、Cu、As、Sb、Bi及びPbの合計が100質
量%となるような残部)となるようになるよう秤取り、溶融混合し、Ar雰囲気中で遠心
噴霧することにより粉末(平均粒径21μm、粉末サイズ分類の4に該当)を調製した。
得られた粉末を空気中において乾燥装置を用いて60℃で30分間加熱し、実施例、比較
例のはんだ粉末を得た。なお、比較例D3〜D14については、該加熱処理は施さず、遠
心噴霧に得られた粉末をそのままはんだ粉末とした。
なおSnとしては、不可避不純物を含む3N材を用いた。
(実施例E1〜E18、比較例E1〜E24)
Sn、Ag、Cu、As、Sb、Bi及びPbを、Cuの含有量が0.5質量%、Ag
の含有量が3.0質量%、As、Sb、Bi及びPbの含有量が以下の表6に示すように
なり、Snがその残部(Sn、Ag、Cu、As、Sb、Bi及びPbの合計が100質
量%となるような残部)となるようになるよう秤取り、溶融混合し、Ar雰囲気中で遠心
噴霧することにより粉末(平均粒径21μm、粉末サイズ分類の4に該当)を調製した。
得られた粉末を空気中において乾燥装置を用いて60℃で30分間加熱し、実施例、比較
例のはんだ粉末を得た。なお、比較例E3〜E14については、該加熱処理は施さず、遠
心噴霧に得られた粉末をそのままはんだ粉末とした。
なお、Snとしては、不可避不純物を含む3N材を用いた。
(実施例F1〜F18、比較例F1〜F24)
Sn、Ag、Cu、As、Sb、Bi及びPbを、Cuの含有量が0.5質量%、Ag
の含有量が3.5質量%、As、Sb、Bi及びPbの含有量が以下の表7に示すように
なり、Snがその残部(Sn、Ag、Cu、As、Sb、Bi及びPbの合計が100質
量%となるような残部)となるようになるよう秤取り、溶融混合し、Ar雰囲気中で遠心
噴霧することにより粉末(平均粒径21μm、粉末サイズ分類の4に該当)を調製した。
得られた粉末を空気中において乾燥装置を用いて60℃で30分間加熱し、実施例、比較
例のはんだ粉末を得た。なお、比較例F3〜F14については、該加熱処理は施さず、遠
心噴霧に得られた粉末をそのままはんだ粉末とした。
なお、Snとしては、不可避不純物を含む3N材を用いた。
実施例及び比較例それぞれのはんだ粉末についての、(1)As濃化層の有無の評価、
(2)増粘抑制の評価、(3)はんだ濡れ性の評価、(4)信頼性の評価の評価結果を以
下の表2〜7に示す。
本発明のはんだ材料は、変色がなく、はんだ濡れ性やサイクル特性等の信頼性にも優れ
ているため各種用途に利用でき、とりわけ、ペーストとしたときの経時での粘度上昇が小
さいので、ソルダペースト用はんだ材料として好適に利用することができる。

Claims (8)

  1. Sn又はSn系合金、40〜250質量ppmのAs、0〜3000質量ppmのSb
    、0〜10000質量ppmのBi及び0〜5100質量ppmのPbを含み(ただし、
    Bi及びPbの含有量が同時に0質量ppmになることはない)、As濃化層を有する、
    はんだ材料。
  2. As、Sb、Bi及びPbの含有量が、下記式(1)及び式(2)を満たす、請求項1
    に記載のはんだ材料。
    275≦2As+Sb+Bi+Pb (1)
    0.01≦(2As+Sb)/(Bi+Pb)≦10.00 (2)
    ただし、式(1)及び式(2)中、As、Sb、Bi及びPbは、各々のはんだ材料中
    の含有量(質量ppm)を表す。
  3. 前記Sn又はSn系合金が、0.005〜40質量%のAg及び/又は0.001〜1
    0質量%のCuを含むSn系合金である、請求項1又は2に記載のはんだ材料。
  4. 前記はんだ材料の形態が粉末である、請求項1〜3いずれか一項に記載のはんだ材料。
  5. 請求項4に記載のはんだ材料、及びフラックスを含むソルダペースト。
  6. 酸化ジルコニウム粉末をさらに含む請求項5に記載のソルダペースト。
  7. ソルダペースト全体の質量に対する酸化ジルコニウム粉末の含有量が0.05〜20.
    0質量%である、請求項6に記載のソルダペースト。
  8. Sn又はSn系合金、40〜250質量ppmのAs、0〜3000質量ppmのSb
    、0〜10000質量ppmのBi及び0〜5100質量ppmのPbを含み(ただし、
    Bi及びPbの含有量が同時に0質量ppmになることはない)、As濃化層を有する、
    はんだ継手。
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