JP2020098963A - 撮像装置 - Google Patents

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和幸 田島
良太 川俣
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良太 川俣
悠介 中村
Yusuke Nakamura
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Abstract

【課題】簡易な構成で、薄型であり、かつ、歪みのない状態で接写時の視野を拡大した撮像装置を提供する。【解決手段】撮像装置は、撮像面にアレイ状に配列された複数の画素に取り込まれた光学像を画像信号に変換して出力する画像センサと、画像センサの受光面に設けられ、格子パターンを用いて光の強度を変調する変調部と、画像センサより出力された出力画像に対して所定の画像処理を施す画像処理部と、画像処理部から出力された画像に対して歪み補正を行う画像歪み補正部と、画像歪み補正部に画像歪み補正用の設定値を受け渡す画像歪み補正設定値入力部と、を備える。【選択図】図30

Description

本発明は、撮像装置に関する。
IoT(Internet of things)デバイスやウェアラブルデバイスなどのデバイスに搭載する撮像装置は、限られたスペースへ組み込むために薄型化と低コスト化が求められる。そこで、例えば特許文献1のようにレンズを用いることなく物体像を得ることができる撮像方式が提案されている。また、例えば特許文献2では、マイクロレンズアレイを用いた「携帯用情報機器に設置することが可能な厚さの小さい指認証装置を可能にする撮像装置」が提案されている。
米国特許出願公開第2015/0219808号明細書 特開2011−203792号公報
上述の特許文献1は、画像センサ前に特殊な格子パターンを配置し、画像センサで受光する格子パターンの斜影パターンを用いて信号処理により逆問題を解くことで物体の像を得る撮像方式である。この撮像方式は、撮像装置の薄型化を可能とするが、像を得るための演算が複雑になるという問題がある。
また、上述の特許文献2は、「前段のマイクロレンズアレイと絞りアレイとを対向させ、前段のマイクロレンズアレイの被写体からの光の焦点近傍に絞りアレイの絞りを設けて、更に後段のマイクロレンズアレイによって光の集束も同時に行う」ことで、「指静脈認証装置に用いる光学系を小さくし、小型・薄型の指静脈認証装置を実現することができる」撮像方式である。この撮像方式は、特に、接写可能な撮像装置の薄型化を可能とするが、レンズによる集光に距離が必要である点と、2つのレンズアレイを配置する空間が必要である点で、薄型化の限界となっている。
本発明の目的は、簡易な構成で、薄型であり、かつ、歪みのない状態で接写時の視野を拡大した撮像装置を提供することを目的とする。
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。
本発明の一態様は、撮像装置であって、撮像面にアレイ状に配列された複数の画素に取り込まれた光学像を画像信号に変換して出力する画像センサと、上記画像センサの受光面に設けられ、格子パターンを用いて光の強度を変調する変調部と、上記画像センサより出力された出力画像に対して所定の画像処理を施す画像処理部と、上記画像処理部から出力された画像に対して歪み補正を行う画像歪み補正部と、上記画像歪み補正部に画像歪み補正用の設定値を受け渡す画像歪み補正設定値入力部と、を備える。
本発明によれば、簡易な構成で、薄型であり、かつ、歪みのない状態で接写時の視野を拡大した撮像装置を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
第1実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。 変調器の構成例を示す図である。 変調器の他の構成例を示す図である。 撮像装置を用いて外界の物体を撮影する様子を示す図である。 画像処理部の画像処理の一例を示すフローチャートである。 斜め入射平行光による格子基板表面から裏面への射影像が面内ずれを生じることを説明する図である。 格子基板両面の格子の軸がそろった場合のモアレ縞の生成と周波数スペクトルを説明する図であり、(a)は入射角:0の場合を示し、(b)は入射角:+θの場合を示し、(c)は入射角:−θの場合を示す。 表面格子と裏面格子の軸をずらして配置した格子基板の一例を示す図である。 格子基板両面の格子をずらして配置する場合のモアレ縞の生成と周波数スペクトルを説明する図であり、(a)は入射角:0の場合を示し、(b)は入射角:+θの場合を示し、(c)は入射角:−θの場合を示す。 格子パターンの一例を示す図である。 格子パターンの他の例を示す図である。 格子パターンのさらに他の例を示す図である。 物体を構成する各点からの光が画像センサに対してなす角を説明する図である。 物体が無限距離にある場合に表側格子パターンが投影されることを説明する図である。 物体が無限距離にある場合に生成されるモアレ縞の例を示す図である。 物体が有限距離にある場合に表側格子パターンが拡大されることを説明する図である。 物体が有限距離にある場合に生成されるモアレ縞の例を示す図である。 物体が有限距離にある場合に裏側格子パターンを補正したモアレ縞の例を示す図である。 裏側格子パターンを画像処理で実現する撮像装置の構成例を示す図である。 変調器の構成例を示す図である。 画像処理部の画像処理の一例を示すフローチャートである。 時分割フリンジスキャンを実現する撮像装置の構成例を示す図である。 時分割フリンジスキャンにおける格子パターンの例を示す図である。 時分割フリンジスキャンを実現する変調器の構成例を示す図である。 時分割フリンジスキャンを実現する画像処理部の画像処理の一例を示すフローチャートである。 空間分割フリンジスキャンを実現する撮像装置の構成例を示す図である。 空間分割フリンジスキャンにおける格子パターンの例を示す図である。 被写体からの光線が光学部の厚みと屈折率、被写***置によってずれて画像センサ上に投影される様子を説明する図である。 撮影される被写体の歪みの発生の一例を示す図である。 画像歪み補正により画像の歪みを補正した状態で被写体を撮影することを実現する撮像装置の構成例を示す図である。 画角θmax2を説明する図である。 物体が近距離にある場合に物体を構成するある点からの光が照射する格子パターンの範囲と視野を説明する図である。 複眼の格子パターンと複数の画像センサの組み合わせ及び画像歪み補正によりによる広視野化を実現する撮像装置の構成例を示す図である。 複眼の格子パターンの一例を示す図である。 複眼の格子パターンと複数の画像センサによる視野を説明する図である。 画像歪み補正処理の一例を示すフローチャートである。 合成方法の一例を説明する図である。 合成画像を説明する図である。 画像センサの配置例を説明する図である。 画像センサの他の配置例を説明する図である。 注視方向の一例を説明する図である。 注視方向の他の例を説明する図である。 画像歪み補正部内に画像歪み補正設定値を記憶する構成例を示す図である。 画像歪み補正設定値学習部で学習した設定値を画像歪み補正設定値を記憶する構成例を示す図である。 撮像装置からセンサ画像と必要設定値の情報を外部に出力し、外部で情報を受信し画像処理、画像歪み補正、画像合成を行う構成を示す図である。
以下の実施形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。
[第一実施形態]
<無限遠物体の撮影原理>
図1は、第一実施形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。撮像装置101は、通常のカメラが備えるような結像させるためのレンズを用いることなく、外界の物体の画像を取得するものであり、変調器102、画像センサ103、および画像処理部106から構成されている。
図2は、変調器の構成例を示す図である。変調器102は、画像センサ103の受光面に密着して固定されており(図1)、格子基板102aと、格子基板102aの上下面に形成された第1の格子パターン104及び第2の格子パターン105とを含んで構成される。格子基板102aは、例えばガラスやプラスティックなどの透明な材料からなる。以降、格子基板102aの画像センサ103側を裏面と呼び、対向する面すなわち撮影対象側を表面と呼ぶ。
これらの格子パターン104,105は、外側に向かうほど中心からの半径に反比例して格子パターンの間隔、すなわちピッチが狭くなる同心円状の格子パターンからなる。格子パターン104,105は、例えば半導体プロセスに用いられるスパッタリング法などによってアルミニウム、クロムなどの金属を蒸着することによって形成される。金属が蒸着されたパターンと蒸着されていないパターンによって濃淡がつけられる。
格子パターン104,105の形成は、蒸着に限定されるものでなく、例えばインクジェットプリンタなどによる印刷などによって濃淡をつけて形成してもよい。さらに、ここでは可視光を例に説明したが、例えば遠赤外線での撮影の場合、格子基板102aは、例えばゲルマニウム、シリコン、カルコゲナイドなどの遠赤外線に対して透明な材料からなる。すなわち、格子基板102aには、撮影対象となる波長に対して透明な材料を用いることができ、格子パターン104,105には、撮影対象となる波長を遮断する金属等の材料を用いることができる。
なお、ここでは変調器102を実現するために、格子パターン104,105を格子基板102aに形成する方法について述べたが、これに限定されない。図3は、変調器102の他の構成例を示す図である。格子パターン104,105を薄膜に形成し、これらを格子基板102aの替わりに設けた支持部材102bにより保持する構成などによっても、変調器102を実現することができる。
画像センサ103は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどからなる。画像センサ103の表面には、受光素子である画素103aが格子状に規則的に配置されている。格子パターン104,105を透過する光は、それらの格子パターンによって光の強度が変調され、画像センサ103にて受光される。画像センサ103は、画素103aが受光した光画像を電気信号である画像信号に変換する。画像センサ103から出力された画像信号(「画像データ」とも呼ぶ)は、画像処理部106によって画像処理されて画像表示部107などに出力される。画像処理部106は、処理した画像データを、撮像装置101の備える記憶装置(図示せず)に格納したり、外部のホストコンピュータや記録媒体に出力したりしてもよい。
なお、撮像装置101は、例えば、プロセッサ、メモリ、通信装置、処理回路等を備えることができる。また、撮像装置101は、例えばUSB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)等の、外部装置と接続する入出力インターフェイスを備えてもよい。画像処理部106は、例えば、専用画像処理回路によって実現されてもよいし、プログラムを実行するプロセッサによって実現されてもよい。
図4は、図1の撮像装置101を用いて外界の物体を撮影する様子を示す図である。図4では、被写体401が撮像装置101によって撮影されて画像表示部107に表示されている例を示している。被写体401を撮影する際には、変調器102における表面、具体的には第1の格子パターン104が形成されている格子基板102aの面が、被写体401に対して正対するようにして撮影が行われる。
続いて、画像処理部106による画像処理の概略について説明する。図5は、画像処理部106の画像処理の一例を示すフローチャートである。
まず、画像処理部106は、画像センサ103から出力されるモアレ縞画像に対して、カラーのRGB(Red Green Blue)成分ごとに高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)などの2次元フーリエ変換演算による現像処理で周波数スペクトルを求める(501)。続いて、画像処理部106は、ステップ501の処理による周波数スペクトルのうち必要な周波数領域のデータを切り出した後(502)、該周波数スペクトルの強度計算を行う(503)ことによって画像を取得する。そして、画像処理部106は、得られた画像に対してノイズ除去処理を行い(504)、続いてコントラスト強調処理(505)などを行う。その後、画像処理部106は、画像のカラーバランスを調整して(506)撮影画像として出力する。以上により、画像処理部106による画像処理が終了となる。
続いて、撮像装置101における撮影原理について説明する。
まず、中心からの半径に対して反比例してピッチが細かくなる同心円状の格子パターン104,105は、以下のように定義する。レーザ干渉計などにおいて、平面波に近い球面波と参照光として用いる平面波とを干渉させる場合を想定する。同心円の中心である基準座標からの半径をrとし、そこでの球面波の位相をΦ(r)とするとき、球面波は、波面の曲がりの大きさを決める係数βを用いて、
Figure 2020098963
と表せる。
球面波にもかかわらず、半径rの2乗で表されているのは、平面波に近い球面波のため、展開の最低次のみで近似できるからである。この位相分布を持った光に平面波を干渉させると、
Figure 2020098963
のような干渉縞の強度分布が得られる。これは、
Figure 2020098963
を満たす半径位置で明るい線を持つ同心円の縞となる。縞のピッチをpとすると、
Figure 2020098963
が得られ、ピッチは、半径に対して反比例して狭くなっていくことがわかる。このような縞を持つプレートは、フレネルゾーンプレートやガボールゾーンプレートと呼ばれる。本実施形態では、式(2)で定義される強度分布に比例した透過率分布をもった格子パターンを、図1に示した格子パターン104,105として用いる。
図6は、斜め入射平行光による格子基板表面から裏面への射影像が面内ずれを生じることを説明する図である。格子パターン104,105が両面に形成された厚さtの変調器102に、角度θで平行光が入射したとする。変調器102中の屈折角をθとして、幾何光学的には、表面の格子の透過率が乗じられた光が、δ=t・tanθだけずれて裏面に入射し、仮に2つの同心円格子の中心がそろえて形成されていたとすると、裏面の格子の透過率がδだけずれて掛け合わされることになる。このとき、
Figure 2020098963
のような強度分布が得られる。この展開式の第4項が、2つの格子のずれの方向にまっすぐな等間隔の縞模様を、2つの格子の重なり合った領域一面に作ることがわかる。このような縞と縞の重ね合わせによって相対的に低い空間周波数で生じる縞は、モアレ縞と呼ばれる。このようにまっすぐな等間隔の縞は、検出画像の2次元フーリエ変換によって得られる空間周波数分布に鋭いピークを生じる。その周波数の値からδの値、すなわち光線の入射角θを求めることが可能となる。このような全面で一様に等間隔で得られるモアレ縞は、同心円状の格子配置の対称性から、ずれの方向によらず同じピッチで生じることは明らかである。このような縞が得られるのは、格子パターンをフレネルゾーンプレートまたはガボールゾーンプレートで形成したことによるものであるが、全面で一様に等間隔なモアレ縞が得られるのであればどのような格子パターンを使用してもよい。
ここで、式(5)から鋭いピークを持つ成分のみを、
Figure 2020098963
のように取り出すと、そのフーリエスペクトルは、
Figure 2020098963
のようになる。ここで、Fはフーリエ変換の演算を表し、uおよびvは、x方向およびy方向の空間周波数座標、括弧を伴うδはデルタ関数である。この結果から、検出画像の空間周波数スペクトルにおいて、モアレ縞の空間周波数のピークがu=±δβ/πの位置に生じることがわかる。その様子を図7に示す。
図7は、格子基板両面の格子の軸がそろった場合のモアレ縞の生成と周波数スペクトルを説明する図である。図7において、左から右にかけて、光線と変調器102の配置図、モアレ縞、および空間周波数スペクトルの模式図を、それぞれ示している。図7の(a)は、垂直入射、図7の(b)は、左側から角度θで光線が入射する場合、図7の(c)は、右側から角度θで光線が入射する場合を、それぞれ示している。
変調器102の表面側に形成された第1の格子パターン104と裏面側に形成された第2の格子パターン105とは、軸がそろっている。図7の(a)では、第1の格子パターン104と第2の格子パターン105との影が一致するのでモアレ縞は生じない。
図7の(b)および図7の(c)では、第1の格子パターン104と第2の格子パターン105とのずれが等しいために同じモアレが生じ、空間周波数スペクトルのピーク位置も一致して、空間周波数スペクトルからは、光線の入射角が図7の(b)の場合なのか図7の(c)の場合なのかを判別することができなくなる。これを避ける方法の例を、図8に示す。
図8は、表面格子と裏面格子の軸をずらして配置した格子基板の一例を示す図である。図8に示すように、変調器102に垂直に入射する光線に対しても2つの格子パターンの影がずれて重なるよう予め2つの格子パターン104,105を光軸に対して相対的にずらしておくことが必要である。軸上の垂直入射平面波に対して2つの格子の影の相対的なずれをδとするとき、入射角θの平面波によって生じるずれδは、
Figure 2020098963
のように表せる。このとき、入射角θの光線のモアレ縞の空間周波数スペクトルのピークは周波数のプラス側では、
Figure 2020098963
の位置となる。画像センサの大きさをS、画像センサのx方向およびy方向の画素数を共にNとすると、2次元フーリエ変換による離散画像の空間周波数スペクトルは、−N/(2S)から+N/(2S)の範囲で得られる。このことから、プラス側の入射角とマイナス側の入射角を均等に受光することを考えれば、垂直入射平面波(θ=0)によるモアレ縞のスペクトルピーク位置は、原点(DC:直流成分)位置と、例えば+側端の周波数位置との中央位置、すなわち、
Figure 2020098963
の空間周波数位置とするのが妥当である。したがって、2つの格子の相対的な中心位置ずれは、
Figure 2020098963
とするのが妥当である。
図9は、格子基板両面の格子をずらして配置する場合のモアレ縞の生成と周波数スペクトルを説明する図である。図7と同様にして、左から右にかけて、光線と変調器102の配置図、モアレ縞、および空間周波数スペクトルの模式図を、それぞれ示す。図9の(a)は、光線が垂直入射の場合、図9の(b)は、光線が左側から角度θで入射する場合、図9の(c)は、光線が右側から角度θで入射する場合を、それぞれ示している。
第1の格子パターン104と第2の格子パターン105とは、予めδだけずらして配置されている。そのため、図9の(a)でもモアレ縞が生じ、空間周波数スペクトルにピークが現れる。そのずらし量δは、上記したとおり、ピーク位置が原点から片側のスペクトル範囲の中央に現れるように設定されている。このとき図9の(b)では、ずれδがさらに大きくなる方向、図9の(c)では、ずれδが小さくなる方向となっているため、図7と異なり、図9の(b)と図9の(c)との違いがスペクトルのピーク位置から判別できる。このピークのスペクトル像がすなわち無限遠の光束を示す輝点であり、図1の撮像装置101による撮影像にほかならない。
受光できる平行光の入射角の最大角度をθmaxとすると、
Figure 2020098963
より、撮像装置101にて受光できる最大画角は、
Figure 2020098963
で与えられる。
一般的なレンズを用いた結像との類推から、画角θmaxの平行光を画像センサの端で焦点を結んで受光すると考えると、レンズを用いない撮像装置101の実効的な焦点距離は、
Figure 2020098963
に相当すると考えることができる。
ここで、式(13)および式(14)より、画角は変調器102の厚さt、および画像センサ103の大きさSによって変更可能であることが判る。よって、例えば変調器102が図3の構成であり支持部材102bの長さを変更可能な機能(例えば機械構造)を有していれば、撮影時に画角を変更して撮影することも可能となる。
なお、モアレ縞から空間周波数スペクトルを算出する方法として高速フーリエ変換を例に説明したが、これに限定されるものではなく、離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)などを使用しても実現可能であり、さらに演算量を削減することも可能である。
また、格子パターン104,105の透過率分布は、式(2)で示したように正弦波的な特性があることを想定して説明したが、格子パターンの基本周波数成分としてそのような成分を含んでいればよい。例えば図10(格子パターンの一例を示す図)に示すように格子パターンの透過率を2値化することも可能であり、さらに図11(格子パターンの他の例を示す図)のように透過率が高い格子領域と低い領域のdutyを変えて、透過率の高い領域の幅を広げて透過率を高めることも可能である。これにより、格子パターンからの回折を抑圧するなどの効果も得られ、撮影像の劣化を低減可能である。
また、格子パターン104,105は透過率変調でなく、位相変調で実現してもよい。例えば図12(格子パターンのさらに他の例を示す図)に示すように、格子基板102aをシリンドリカルレンズ1201で構成することにより、画像センサ103上に図に示すような強度変調パターンを生じさせることができるため、今までの議論と同様に撮像が可能となる。これにより格子パターン104の遮蔽部による光量損失を低減でき、光利用効率を向上させることができる上、格子パターンからの回折を抑圧する効果も得られる。図12ではレンズで実現したが、同等の効果を持つ位相変調素子で実現することも可能である。
以上の説明では、いずれも入射光線が同時には1つの入射角度で入射する場合であったが、実際に撮像装置101がカメラとして作用するためには、複数の入射角度の光が同時に入射する場合を想定しなければならない。このような複数の入射角の光は、裏面側の格子パターンに入射する時点ですでに複数の表側格子の像を重なり合わせることになる。もし、これらの像が相互にモアレ縞を生じると、このモアレ縞が、信号成分である第2の格子パターン105とのモアレ縞の検出を阻害するノイズとなることが懸念される。しかし、実際は、第1の格子パターン104の像どうしの重なりはモアレ像のピークを生じず、ピークを生じさせるのは裏面側の第2の格子パターン105との重なりだけになる。その理由について以下に説明する。
まず、複数の入射角の光線による表面側の第1の格子パターン104の影どうしの重なりは、積ではなく和であることが大きな違いである。1つの入射角の光による第1の格子パターン104の影と第2の格子パターン105との重なりについては、第1の格子パターン104の影である光の強度分布に、第2の格子パターン105の透過率を乗算することで、裏面側の第2の格子パターン105を透過したあとの光強度分布が得られる。
これに対して、表面側の第1の格子パターン104に複数入射する角度の異なる光による影どうしの重なりは、光の重なり合いなので、積ではなく、和になるのである。和の場合は、
Figure 2020098963
のように、もとのフレネルゾーンプレートの格子の分布に、モアレ縞の分布を乗算した分布となる。したがって、その周波数スペクトルは、それぞれの周波数スペクトルの重なり積分で表される。そのため、たとえモアレのスペクトルが単独で鋭いピークをもったとしても、実際上、その位置にフレネルゾーンプレートの周波数スペクトルのゴーストが生じるだけである。つまり、スペクトルに鋭いピークは生じない。したがって、複数の入射角の光を入れても検出されるモアレ像のスペクトルは、常に表面側の第1の格子パターン104と裏面側の第2の格子パターン105との積のモアレだけであり、第2の格子パターン105が単一である以上、検出されるスペクトルのピークは1つの入射角に対して1つだけとなるのである。
ここで、これまで検出することを説明してきた平行光と、実際の物体からの光との対応について図13を用いて模式的に説明する。
図13は、物体を構成する各点からの光が画像センサに対してなす角を説明する図である。被写体401を構成する各点からの光は、厳密には点光源からの球面波として、図1の撮像装置101の変調器102および画像センサ103(以下、図13では格子センサ一体基板1301という)に入射する。このとき、被写体401に対して格子センサ一体基板1301が十分に小さい場合や十分に遠い場合には、各点から格子センサ一体基板1301を照明する光の入射角は、同じとみなすことができる。
式(9)から求められる微小角度変位Δθに対するモアレの空間周波数変位Δuが、画像センサの空間周波数の最小解像度である1/S以下となる関係から、Δθが平行光とみなせる条件は、
Figure 2020098963
のように表せる。この条件下であれば、無限遠の物体を本実施形態の撮像装置が撮像可能である。
<有限距離物体の撮影原理>
ここで、これまで述べた無限遠の物体に対する撮像について再度説明する。図14は、物体が無限距離にある場合に表側格子パターンが投影されることを説明する図である。図14は、表面側の第1の格子パターン104の裏面への射影の様子を示している。無限遠の物体を構成する点1401からの球面波は、十分に長い距離を伝搬する間に平面波となり表面側の第1の格子パターン104を照射し、その投影像1402が下の面に投影される。この場合、その投影像は第1の格子パターン104とほぼ同じ形状である。結果、投影像1402に対して、裏面側の格子パターン(図2の第2の格子パターン105に相当)の透過率分布を乗じることにより、図15(物体が無限距離にある場合に生成されるモアレ縞の例を示す図)に示すような等間隔な直線状のモアレ縞を得ることができる。
一方、有限距離の物体に対する撮像について説明する。図16は、物体が有限距離にある場合に表側格子パターンが拡大されることを説明する図である。図16は、表面側の第1の格子パターン104の裏面への射影の様子を示している。物体を構成する点1601からの球面波は表面側の第1の格子パターン104を照射し、その投影像1602が下の面に投影される。この場合、その投影像はほぼ一様に拡大される。なお、この拡大率αは、第1の格子パターン104から点1601までの距離dを用いて、
Figure 2020098963
のように算出できる。
そのため、平行光に対して設計された裏面側の格子パターンの透過率分布をそのまま乗じたのでは、図17(物体が有限距離にある場合に生成されるモアレ縞の例を示す図)に示すように、等間隔な直線状のモアレ縞は生じなくなる。しかし、一様に拡大された表面側の第1の格子パターン104の影に合わせて、第2の格子パターン105を拡大するならば、拡大された投影像1602に対して再び、図18(物体が有限距離にある場合に裏側格子パターンを補正したモアレ縞の例を示す図)に示すように、等間隔な直線状のモアレ縞を生じさせることができる。このためには、第2の格子パターン105の係数βをβ/αとすることで補正が可能である。
これにより、必ずしも無限遠でない距離の点1601からの光を選択的に現像することができる。これによって、任意の位置に焦点合わせて撮影を行うことができる。
<簡略化構成>
次に、上述の変調器102の構成を簡略化する方法について説明する。変調器102では、格子基板102aの表面および裏面にそれぞれ同一形状の第1の格子パターン104および第2の格子パターン105を互いにずらして形成している。そして、画像処理によって入射する平行光の角度をモアレ縞の空間周波数スペクトルから検知して像を現像している。この裏面側の第2の格子パターン105は、画像センサ103に密着して入射する光の強度を変調する光学素子であり、入射光に依らず同じ格子パターンである。そこで、次のように撮像装置101の構成を変更してもよい。図1と異なる点を中心に説明する。
図19は、裏側格子パターンを画像処理で実現する撮像装置101の構成例を示す図である。この撮像装置101は、第2の格子パターン105を省略した変調器1901と、第2の格子パターン105に相当する処理を行う強度変調部1903を含む画像処理部1902とを備える。
図20は、変調器1901の構成例を示す図である。変調器1901は、格子基板102aと、格子基板102aの表面に形成された第1の格子パターン104とから構成される。図2と比較して、格子基板102aに形成する格子パターンを1面減らすことができる。これにより、変調器の製造コストを低減することができ、さらに光利用効率を向上させることもできる。
図21は、画像処理部1902の画像処理の一例を示すフローチャートである。図5のフローチャートと異なるところは、ステップ501の前のステップ2101の処理である。ステップ501〜506の処理は、図5の対応する処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
ステップ2101の処理では、前述した強度変調部1903は、画像センサ103から出力される画像に対して、裏面側の格子パターン105を透過したことに相当するモアレ縞画像を生成する。具体的には、式(5)に相当する演算が行われればよいので、強度変調部1903は、裏面側の格子パターン105を生成し、画像センサ103の画像に対して乗算する。さらに、裏面側の格子パターン105が図10又は図11に示すような2値化したパターンであれば、強度変調部1903が黒に相当する領域の画像センサ103の値を0に設定するだけでよい。これにより、乗算演算の計算負荷や乗算回路の規模を抑圧することが可能である。
なお、この場合、画像センサ103が有する画素103a(図20)のピッチは、第1の格子パターン104のピッチを十分再現できる程度に細かいか、あるいは第1の格子パターン104のピッチは、画素103aのピッチにて再現できる程度に粗い必要がある。格子パターンを格子基板102aの両面に形成する場合は、必ずしも格子パターンのピッチが画像センサ103の画素103aにて解像できる必要はなく、そのモアレ像だけが解像できればよい。しかし、画像処理により格子パターンを再現する場合は、格子パターンと画像センサ103の解像度は同等である必要がある。
また、以上は強度変調部1903により第2の格子パターン105に相当する処理を実現した。しかし、これに限定されず、第2の格子パターン105はセンサに密着して入射する光の強度を変調する光学素子であるため、センサの感度を実効的に第2の格子パターン105の透過率を加味して設定することによっても実現できる。
<ノイズキャンセル>
これまでの説明では、式(5)から鋭いピークを持つ成分のみを取り出した式(6)に着目して話を進めたが、実際には式(5)の第4項以外の項がノイズとなる。そこで、フリンジスキャンに基づくノイズキャンセルが効果的である。
まず、式(2)の干渉縞強度分布において、第1の格子パターン104の初期位相をΦ、第2の格子パターン105の初期位相をΦとすると、式(5)は、
Figure 2020098963
のように表せる。ここで、三角関数の直交性を利用し、
Figure 2020098963
式(19)のように式(18)をΦ、Φに関して積分すると、ノイズ項がキャンセルされ単一周波数の定数倍の項が残ることになる。前述の議論から、これをフーリエ変換すれば、空間周波数分布にノイズのない鋭いピークを生じることになる。
ここで式(19)は積分の形で示しているが、実際にはΦ、Φの組合せの総和を計算することによっても同様の効果が得られる。Φ、Φは0〜2πの間の角度を等分するように設定すればよく、{0、π/2、π、3π/2}のように4等分、{0、π/3、2π/3}のように3等分してもよい。
さらに、式(19)は簡略化できる。式(19)では、Φ、Φを独立して変えられるように計算したが、Φ=Φすなわち格子パターン104と105の初期位相に同じ位相を適用してもノイズ項をキャンセルできる。式(19)においてΦ=Φ=Φとすれば、
Figure 2020098963
となり、ノイズ項がキャンセルされ単一周波数の定数倍の項が残ることになる。また、Φは0〜2πの間の角度を等分するように設定すればよく、{0、π/2、π、3π/2}のように4等分すればよい。
また、等分せずとも、{0、π/2}の直交した位相を使用してもノイズ項をキャンセルでき、さらに簡略化できる。まず、図19の構成のように第2の格子パターン105を画像処理部1902で実施すれば、格子パターン105に負値を扱えるため、式(18)は、
Figure 2020098963
となる(Φ=Φ=Φ)。格子パターン105は既知であるため、この式(21)から格子パターン105を減算し、Φ={0、π/2}の場合について加算すれば、
Figure 2020098963
のようにノイズ項がキャンセルされ単一周波数の定数倍の項が残ることになる。
また、前述のように第1の格子パターン104と第2の格子パターン105とは、あらかじめδずらすことで空間周波数空間に生じる2つの現像画像を分離していた。しかし、この方法では現像画像の画素数が半分になる問題点がある。そこで、δずらさなくとも現像画像の重複を回避する方法について説明する。式(19)のフリンジスキャンにおいて、cosの代わりに、
Figure 2020098963
のようにexpを用い複素平面上で演算する。これによりノイズ項がキャンセルされ単一周波数の定数倍の項が残ることになる。式(23)中のexp(2iβδx)をフーリエ変換すれば、
Figure 2020098963
となり、式(7)のように2つのピークを生じず、単一の現像画像を得られることが判る。このように、格子パターン104,105をずらす必要もなくなり、画素数を有効に使用可能となる。
以上のフリンジスキャンに基づくノイズキャンセル方法を行うための構成について、図22〜27を用いて説明する。フリンジスキャンでは、少なくとも格子パターン104として初期位相の異なる複数のパターンを使用する必要がある。これを実現するには、時分割でパターンを切り替える方法(図22〜25)と、空間分割でパターンを切り替える方法(図26〜27)がある。
図22は、時分割フリンジスキャンを実現する撮像装置101の構成例を示す図である。この撮像装置101は、図1の変調器102に替えて、変調器2201を有する。また、この撮像装置101は、変調器制御部2202と画像処理部2203を有する。
図23は、時分割フリンジスキャンにおける格子パターンの例を示す図である。変調器2201は、例えば電気的に図23に示す複数の初期位相を切り替えて表示することが可能(すなわち格子パターンを変更可能)な液晶表示素子などで構成される。図23の各パターンは、初期位相Φもしくは位相差Φがそれぞれ{0、π/2、π、3π/2}である。これを実現する変調器2201の液晶表示素子における電極配置の例を図24に示す。
図24は、時分割フリンジスキャンを実現する変調器2201の構成例を示す図である。変調器2201には、格子パターンの1周期を4分割するように同心円状電極が設けられており、内側から4本おきに電極が結線され、外周部から駆動端子として4本の電極が引き出されている。変調器制御部2202によってこれら4つの電極に印加する電圧状態を“0”と“1”の2つの状態で時間的に切り替えることで、格子パターンの初期位相ΦもしくはΦを図24のように{0、π/2、π、3π/2}と切り替えることが可能となる。なお、図24において、網掛けで示した“1”を印加した電極が光を遮蔽し、白で示した“0”を印加した電極が光を透過させることに対応している。
図25は、時分割フリンジスキャンを実現する画像処理部2203の画像処理の一例を示すフローチャートである。図21のフローチャートと異なるところは、ステップ501より前のステップ2501〜2504の処理である。ステップ501〜506の処理は、図21の対応する処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
まず、画像処理部2203は、フリンジスキャン演算の初めに加算結果をリセットする(2501)。次に、式(20)に対応する場合には、画像処理部2203は、撮影に使用された格子パターン104と同じ初期位相を設定し(2502)、その初期位相を持つ格子パターン105を生成し、画像センサ103の出力画像に対して乗算する(2101)。画像処理部2203は、この乗算結果を各初期位相のパターン毎に加算する(2503)。画像処理部2203は、以上のステップ2502〜2503の処理を全ての初期位相のパターン数繰り返す(2504でNO)。全ての位相について処理が終了した場合(2504でYES)、画像処理部2203は、処理をステップ501に進める。なお、上記フローチャートは式(20)を例に説明したが、式(19)、式(22)、式(23)にも同様に適用することが可能である。
図26は、空間分割フリンジスキャンを実現する撮像装置101の構成例を示す図である。この撮像装置101は、図1の変調器102に替えて、変調器2601を有する。また、この撮像装置101は、画像分割部2602と画像処理部2203を有する。
図27は、空間分割フリンジスキャンにおける格子パターンの例を示す図である。変調器2601は、例えば図27の初期位相ΦFもしくはΦがそれぞれ{0、π/2、π、3π/2}のパターンように、2次元的に配列した複数の初期位相のパターンを有する。画像分割部2602は、画像センサ103の出力画像を変調器2601のパターン配置に対応した領域画像に分割し、画像処理部2203に順次伝送する。図26の例では、画像センサ出力は、2×2の領域に分割される。式(20)に基づくフリンジスキャンでは4位相必要であるため、変調器2601は2×2のパターン配置を有する。式(22)に基づくフリンジスキャンは2位相で実現できるため、変調器2601は1×2のパターン配置で実現可能であり、それに応じて画像センサ出力も1×2の領域に分割される。以降の画像処理部2203の処理は、時分割フリンジスキャンである図22の処理と同等であるため、説明を省略する。
この空間分割フリンジスキャンを用いれば、時分割フリンジスキャンの変調器2201のように電気的に格子パターンを切り替える必要がなく、安価に変調器を作製することができる。しかし、空間分割フリンジスキャンを用いると画像を分割するため解像度が実効的に低下する。よって、解像度を上げる必要がある場合には時分割フリンジスキャンが適している。
<歪み補正原理>
更にここで、第1の格子パターン104が厚みを持ち、かつその屈折率nが1ではない場合を考える。図28は、被写体からの光線が光学部の厚みと屈折率、被写***置によってずれて画像センサ上に投影される様子を説明する図である。図28では、格子パターン104が厚みlの光学部2801、lの光学部2802で挟み込まれている。また、近距離にある物体を構成するある点からの光の主軸は、格子パターン中心を通り画像センサ103に到達する。
物体を構成する点2803が格子パターン104の中心直上にある場合、その光線は光学部2801の厚みl、光学部2802の厚みl、屈折率に関わらず画像センサの同一箇所に到達する。その一方で、格子パターン104の中心からずれた位置にある物体を構成する点2804からの光線はその点の位置、光学部2801の厚みl、光学部2802の厚みl、屈折率によって画像センサに到達する位置が異なる。仮に物体を構成する点の2804の位置をx,yとすると到達位置のずれ量δrは
Figure 2020098963
となる。このずれが含まれた状態で被写体の撮影を行うと表示画像は歪むことになる。仮に画像センサと格子パターンの中心が一致していた場合、δrの値はx,yが大きいほど、つまり中心から遠い箇所ほど大きく歪んだ画像として表示される。
図29は、撮影される被写体の歪みの発生の一例を示す図である。図29に示すような格子模様を被写体とした場合、屈折率が1であるか、または光学部2801、光学部2802の厚みがともに0であれば、歪みなく撮影され図29右上に示すように同一の画像が撮像され、表示される。一方で、屈折率が1より大きく、かつ光学部2801の厚みl、光学部2802の厚みlが0より大きい場合、図29右下に示すように歪んだ画像が表示される。
そこで、式(25)から計算されるδrを利用し、歪みを補正する方法を考える。図30は、画像歪み補正により画像の歪みを補正した状態で被写体を撮影することを実現する撮像装置の構成例を示す図である。具体的には、撮像装置101は、画像歪み補正部3201を含んでいる。基本的な撮影原理は図1で示したものと同一であるが、画像表示前に画像歪み補正部3201によって画像歪みを除去する補正を行う。この補正では、画像歪み補正部3201は、式(25)から計算されるδrを用いる。その計算に必要なパラメータを入力する為に、画像歪み補正部3201は、画像歪み補正設定値入力部3202を使用する。ここで画像歪み補正設定値入力部3202が入力を受け付ける設定値は、光学部2801の厚みl及び屈折率、光学部2802の厚みl及び屈折率、光学部2801表面から被写体までの距離dである。この補正の処理によって、画像表示部107で表示される画像は歪みが除去され、被写体を正しく表示することが可能となる。
ここで、画像歪み補正設定値入力部3202に入力する値は、撮像装置101の設計値でも良いが、装置毎に必要な設定値を測定しても良い。例えば距離dが既知の点光源を被写体として撮影すれば光学部2801の厚みl及び光学部2802の厚みlを逆算することが可能となる。これによって装置製造時の個体差を除去することが可能となる。
また、本実施形態では、例として格子パターン104の前後に接触する形で各光学部2801、2802が配置された例を示したが、これに限られず、各光学部2801、2802は、格子パターン104と接触せず離れていても良いし、その数はいくつであっても構わない。これによって、例えば画像センサ103にカバーガラスが付随している場合でもその影響を除去することが可能となり、より精度の良い歪み補正が可能となる。
[第二実施形態]
<接写における問題>
上記の実施形態では、撮像装置から被写体が一定距離以上離れている場合を想定して説明した。第二の実施形態では、被写体を接写撮影する場合の問題点について説明する。まず初めに画角について再定義する。これまでの説明では、入射角θの光線のモアレ縞の空間周波数スペクトルのピーク位置u(式(9))が、画像センサ103のピクセルピッチによって決定される上限周波数N/(2S)よりも大きい場合で、画角θmaxを定義(式(13))していた。一方で、βが小さい、または画像センサ103のピクセルピッチ(S/N)が小さく、ピーク位置uが上限周波数よりも小さい場合には、画角の定義が異なる。
図31は、その画角θmax2を説明する図である。第1の格子パターン104を構成する同心円状の格子パターンの基準座標と、画像センサ103の端とを通る直線の傾きであるθmax2が、現像できる最大の画角となる。よって、画角θmax2は、第1の格子パターンからdだけ離れた距離の撮像において、画像センサ103の大きさSと変調器の厚さtを用いて、
Figure 2020098963
のように表せる。また、視野の直径Aは、θmax2を用いて、
Figure 2020098963
となる。
ここで、接写時には、撮像する物体からの散乱角や、画像センサのCRA(Chief Ray Angle)特性によって視野が狭まることが問題となる。
まず、撮像する物体からの散乱角による視野の制限について説明する。図32は、物体が近距離にある場合に物体を構成するある点からの光が照射する格子パターンの範囲と視野を説明する図である。図32は、物体のある点からの光の拡がり角(散乱角)θを示している。物体を構成する点3401乃至点3403からの散乱光が第1の格子パターン104を照射する場合、第1の格子パターン104における照射領域の直径Bは、散乱角θを用いて、
Figure 2020098963
となる。このように、接写時には第1の格子パターン104のうち照射領域しか使用することができない。なお、現実には散乱光強度は散乱角が大きくなるに従い徐々に減衰するものであるが、図32では簡単化のため、照射領域のみ散乱光が到達しているとしている。
上述したように、入射光が第1の格子パターン104を構成する同心円状の格子パターンの基準座標を通る場合に撮像が可能となる。そのため、散乱光が基準座標を通る点3401や点3402の撮像はできる一方で、基準座標を通らない点3403などの撮像はできない。図32のように、θ≦θmax2となる場合には、画角は散乱角θで決定され、視野の直径Aは、
Figure 2020098963
となる。
次に、画像センサのCRA特性による視野の制限について説明する。受光素子の表面または背面にある配線等の配置や受光素子の通常前面に配置するマイクロレンズアレイの設計によって、画像センサの受光光量には、CRA特性とよばれる角度依存性がみられる。そこで、CRA特性に基づいて、入射光が入射角θまで受光できるとすると、θ≦θmax2となるような画像センサを用いた撮像では、画角はθで決定され、視野Aは、
Figure 2020098963
となる。ただし、θ≦θの場合の視野は式(29)となる。
なお、入射角θはCRA特性の半値半幅となる角度で決定するのがよいが、これに限
定するものではなく、半値半幅より小さい角度に設計すれば周辺光量減衰が起き難く、半値半幅より大きい角度に設計すれば視野が大きくなる。
<接写時の視野拡大方法>
そこで、接写時に視野を拡大する方法について説明する。
図33は、複眼の格子パターンと複数の画像センサの組み合わせによる広視野化を実現する撮像装置の構成例を示す図である。この撮像装置101は、図19と異なり、複眼格子パターン3503が形成された変調器301と、複眼画像センサ3004と、画像合成部3506と、画像処理部106とを有する。複眼格子パターン3503は、中心から端へ向かうほど縞のピッチが狭くなる同心円状の格子パターンからなる基本パターン(基本格子パターン)3502を複数配列することで構成される。複眼画像センサ3004は、画像センサ3505を複数配列することで構成される。
図34は、複眼の格子パターンの一例を示す図である。この例では、基本パターン3502を3×3に互いに重なることなく配列することで複眼格子パターン3503を実現している。この場合、各画像センサ3505は、各基本パターン3502と対応するように3×3で配置される。
図35は、図33に示す複眼の格子パターンと複数の画像センサによる視野を説明する図である。複数の基本パターン3502と複数の画像センサ3505のうち、n番目の基本パターン3502とn番目の画像センサ3505の組み合わせによるn番目の視野をA、画角をθ、n番目とn+1番目の基本パターン3502の中心間距離をq、複数の基本パターン3502と複数の画像センサ3505の一次元方向の個数をNとする。なお、各基本パターンの視野Aは、互いに異なっている。このとき、合成視野Aは、
Figure 2020098963
となる。つまり、基本パターン3502と画像センサ3505の一対一の組み合わせ(基本ユニットともいう)を複数用いることで、それぞれの組み合わせで撮像できる視野を合成し拡大することができる。
ただし、複眼格子パターン3503から撮像対象までの距離dが短いと、各基本パターン3502の視野が小さくなり、合成視野Aに隙間ができる。隙間が生じない連続した視野を得るためには、Aがq以上であれば良く、A=2d・tanθ≧qを満たすようなdとqを設定すれば良い。
続いて、上述の複眼画像センサ3004及び複眼格子パターン3503を使った撮像の画像処理について、図36〜40を用いて説明する。
図36は、画像歪み補正処理の一例を示すフローチャートである。図21のフローチャートと異なるところは、ステップ504とステップ505の間に追加されたステップ3801およびステップ3802の処理である。なお、画像処理部106は、ステップ2101〜ステップ504の処理を、複数の画像センサ3505の出力するセンサ画像それぞれについて行う。
画像歪み補正部3201は、ステップ3801にて画像歪み補正設定値入力部3202からの入力値に従って各画像センサ3505の出力画像に対して画像歪み補正を行う。続いて、画像合成部3506は、ステップ3802にて、各画像センサ3505の配列に従ってステップ3801の出力画像を並び替え、これらを合成する。ここで、ステップ3801において画像歪み補正を行っているために、ステップ3802において正しく画像の合成を行うことが可能となる。
ステップ3801において画像歪み補正に用いる設定値は画像歪み補正設定値入力部3202を介して入力された光学部2801の厚みl及び屈折率、光学部2802の厚みl2及び屈折率、光学部2801表面から被写体までの距離dである。
ここで、画像歪み補正設定値入力部3202が入力される値は、撮像装置101の設計値でも良いが、装置の個体毎に必要な設定値を測定しても良い。例えば、基本格子パターン3502の直上にそれぞれ距離dが既知の点光源を被写体として撮影すれば、光学部2801及び光学部2802の厚みであるl1,2を逆算で求めることが可能となる。これによって装置製造時の個体差を除去することが可能となる。
図37は、合成方法の一例を説明する図である。また、図38は、合成画像を説明する図である。図37と図38は、ともに、ステップ3802の合成方法の一例を説明する図である。図37におけるAは、図35における合成視野Aであり、AとAn+1は、図35におけるn番目とn+1番目の基本パターン3502による視野Aと視野An+1である。また、図36のステップ3801の出力画像を、出力画像3901と出力画像3902として表している。
図38では、出力画像3901と出力画像3902の合成画像が示されている。ステップ3802では、n番目とn+1番目の基本パターン3502の中心間距離qに相当するピクセル数だけ、出力画像3901及び出力画像3902の少なくとも一方をずらして足し合わせることで一枚の合成画像が得られる。
次に、図38を用いて、合成後の輝度補正について説明する。重複領域4001は、出力画像3901と出力画像3902の視野Aと視野An+1が重なる領域を示している。合成後の重複領域4001の輝度は、出力画像3901と出力画像3902の足し合わせとなる。そのため、重複領域4001と視野の重なっていないその他の領域との輝度差を無くし、滑らかな輝度分布とするためには、重複領域4001の輝度補正が必要である。出力画像3901の重複領域4001に相当する領域の輝度と、出力画像3902の重複領域4001に相当する領域の輝度と、が一致する場合には、合成後の重複領域4001の輝度を1/2にすることで容易に補正できる。
しかしながら、実際の輝度は、CRA等の影響によって、中心から端になるほど減衰する分布を持つため、出力画像3901の重複領域4001に相当する領域の輝度と出力画像3902の重複領域4001に相当する領域の輝度とが一致せず、合成後の輝度を1/2としても輝度差を補正することができないことが多い。そこで、出力画像3901または出力画像3902のいずれかの画像のうち、視野Aと視野An+1が重なる重複領域4001に相当する領域のいずれか一方を採用して合成する、または、両方の画像を端からq/2に対応するピクセル数だけ切り取って重なり部分を無くした画像を足し合わせる。これらのいずれかの方法により、輝度補正をすることなく、輝度差を低減することができる。
なお、本実施例では画像センサ3505を複数使用する説明をしたが、複眼格子パターン3503に対して画像センサ3505が十分大きい場合には一枚の画像センサ3505で使用しても構わない。その場合、画像センサ3505から出力される画像を基本パターン3502の個数に応じて分割すれば、画像センサ3505を複数用いた場合と同等の処理が可能である。
また、図35などでは基本パターン3502と画像センサ3505の一次元方向の配列に着目して説明したが、この構成は、同様に直交する方向にも拡張することにより二次元配列についても適用可能である。
また、基本パターン3502の個数も、図示したものに限定されるものではない。基本パターン3502の個数によって視野が決定するため、撮像対象の大きさに合わせて適宜変更されるものであってもよい。
また、基本パターン3502から撮像対象までの距離を離す(大きくする)と視野は広くなる。このようにすれば、同一の広さの視野を得るのに必要な基本パターン3502の個数を減らすことができる。
図39は、画像センサの配置例を説明する図である。図39では、各画像センサ3505の向き(配線の向き)を揃えた(同一方向に向けた)配置を示している。一般的な画像センサは、信号を伝送するための配線が受光面の横から出ている。複数の画像センサ3505を配置するには、配線同士の干渉や受光面4101への配線の重なりが発生しないように画像センサ3505同士の間隔を空ける必要があり、受光面同士を一定距離以内に近づけられない場合がある。
図40は、画像センサの他の配置例を説明する図である。図40では、各画像センサ3505の向き(配線の向き)が画像センサ3505の外側を向くようにした配置を示している。配線の位置は画像センサの種類によって異なるが、少なくとも一部の画像センサ3505の向きを他の画像センサ3505の向きと異ならせて配置することで、配線による受光面間の距離の制約(一定距離以内に近づけられない制約)を回避することができる。
以上の方法及び構成に依れば、画像センサ3505と基本パターン3502の組み合わせを複数用いることで、それぞれで撮像できる視野を合成し拡大することができる。本実施形態によれば、簡易な構成で、薄型であり、かつ、歪みが補正され接写時の視野が拡大された撮像装置を提供することができる。
[第三実施形態]
<注視方向の設計>
第三の実施形態を用いて、複眼格子パターン3503を用いた撮像における注視方向について説明する。
図41は、注視方向の一例を説明する図である。とくに、図41は、複眼格子パターン3503による撮像の注視方向の一例を説明する図である。Aは、式(26)により画角が決定される場合に、n番目の基本パターン4301によって取得できる視野を示している。また、ここでは、基本パターン4301を構成する同心円状の格子パターンの基準座標と画像センサ3505の受光面の中心座標は一致していない。なお、画像センサ3505の受光面の中心座標は、受光面の四隅を結ぶ対角線の交点とする。
第1実施形態でも説明したとおり、式(26)で決定される画角は、画像センサ3505の受光面の端と基本パターン4301を構成する同心円状の格子パターンの基準座標とを通る直線の傾きにより特定される。従って、注視方向は、基本パターン4301を構成する同心円状の格子パターンの基準座標と視野Aの中心との2点を結んだベクトルとなる。つまり、基本パターン4301を構成する同心円状の格子パターンの基準座標と画像センサ3505の受光面の中心座標の位置の設計時の設定によって、注視方向を変えることができるといえる。
図42は、注視方向の他の例を説明する図である。この例は、複数設けられる基本パターンが、互いに注視方向を変えるための構成例を示している。図41の構成と図42の構成の異なるところは、基本パターン4401と基本パターン4402を構成する各同心円状の格子パターンの基準座標の位置である。図42では、これらの基準座標は、基本パターン4401と基本パターン4402の同心円状の格子パターンの中心間距離lが近づく向きに寄せられている。このように同心円状の格子パターンの中心座標を基本パターンごとに変えることによって、それぞれの基本パターンによる撮像の注視方向を変えることができる。
画像センサ3505の種類によっては、受光面から出ている配線の配置などの理由によって、隣接する画像センサ3505の受光面の中心座標を近づけられない場合もある。そのような場合にも、基本パターン3502の基準座標の位置を変えることによって、撮像対象に視野Aを合わせることができ、連続した視野Aを得ることができる。
以上のように基本パターン4301を構成する同心円上の格子パターンの中心座標と画像センサ3505の中心座標が一致していない(格子パターンの平面中心と画像センサの中心とが平面上でいずれかの方向にオフセットしている)場合、画像の歪み量を計算する式(25)において用いるx、yの値にその中心座標のずれ量(オフセット量)を反映する必要がある。実施例1で示したような格子パターンに一つの基本パターンしか含まれない場合には設定する中心座標のずれ量δcを一つ画像歪み補正設定値入力部3202に設定すれば良く、実施例3で説明したような格子パターンに複数の基本パターンが含まれる場合には、基本パターンごとに中心座標のずれ量δcを設定することで、全基本パターンの歪みを正しく補正することが可能である。
この場合、δcの値を用いてx、yの値を補正し、補正後の値を特定し、それぞれx´、y´とする。そして、式(25)のx、yの値をx´、y´として演算し、x、yにおけるδを特定する。
以上の方法・構成によれば、基本パターン3502を構成する同心円状の格子パターンの基準座標の設定によって注視方向を変えることができ、画像センサ3505の配置方法に制約がある場合にも、撮像対象に視野を向けることが可能である。
[第四実施形態]
上述の第一の実施形態から第三の実施形態では、撮像装置101の外部に存在する画像歪み補正設定値入力部3202が画像歪み補正部3201で用いる設定値を入力する方法を説明した。本実施形態では、撮像装置101の内部に、画像歪み補正部3201で用いる設定値が内包される構成について説明する。
図43は、画像歪み補正部内に画像歪み補正設定値を記憶する構成例を示す図である。この構成例では、外部から歪み補正用の設定値を与える必要が無くなり、操作性を簡便に出来る。この場合、画像歪み補正設定値記憶部4501に記憶させる設定値は撮像装置101固有のものとなり、用途に応じて製造時にその設定値を検査し記憶させる必要がある。設定値として必要になるものは上述の通り、光学部2801の厚みl及び屈折率、光学部2802の厚みl2及び屈折率、光学部2801表面から被写体までの距離dである。また、第三の実施形態のように注視方向を設ける場合には、格子パターンと画像センサの中心位置座標のずれ量δcが画像歪み補正設定値記憶部4501に予め記憶させられている。
また、第四の実施形態では、最初に設定した被写体距離以外で使用する場合、外的要因によって格子パターンと画像センサの中心位置座標、または格子パターンの厚み、屈折率が変動した場合には再度画像歪み補正設定値記憶部4501に記憶させる設定値を更新する(与えられる)必要がある。
[第五実施形態]
第一の実施形態から第四の実施形態では、格子パターンから被写体までの距離、画像センサから被写体の間に存在する屈折率1以外の光学部の厚みおよび屈折率、被写体の2次元位置情報によって計算された歪み量に基づき歪み補正を行うものである。画像処理部106によって得られた画像から画像歪み補正設定値記憶部4501に記憶する設定値を学習する構成について説明する。図44は、撮像装置101の中に画像歪み補正設定値学習部4601が内包された場合の構成図である。画像処理部106から出力された画像は画像歪み補正設定値学習部4601に送られる。この時、撮影対象となる被写体は既知のパターンであることが望ましく、例えば格子模様等の既知の明確で均等なパターンであれば尚学習が容易である。
なお、画像処理部106からの出力画像は、撮影の都度、画像歪み補正設定値学習部4601に送られて再学習に用いられてもよいし、特定の条件によって画像歪み補正設定値を学習する場合のみ出力画像が画像歪み補正設定値学習部4601に送られても構わない。この場合、特定の条件には、例えば被写体が事前に登録されている場合、歪み補正設定値を学習するモードに画像処理部106の動作モードが切り替えられた場合、等が考えられる。また、この学習にはさまざまな方法による学習が含まれ、ルールベースの学習処理であってもよいし、機械学習やニューラルネットワークにおける学習済みモデルに基づく学習処理であってもよい。
このように、第五の実施形態に係る撮像装置101によれば、実際に被写体を撮影した結果から歪み補正を行うため画像歪み補正部3201で用いる設定値の幅を拡げることが可能となる。例えば格子状のパターンを撮影した場合、各格子の交点の位置情報のずれ(理想パターンとのズレ量、ズレ方向、あるいは交点間の距離の差)を特定し歪み補正を行なってもよい。これによってより撮像装置101の状態を反映した歪み補正を行うことが可能となる。
[第六実施形態]
第一の実施形態から第五の実施形態は、撮像装置101の中で画像処理、歪み補正、画像合成の処理を行うものである。第六の実施形態では、画像センサ3505で取得した画像および画像処理に必要な設定値、画像歪み補正に必要な設定に並びに画像合成に必要な設定値をサーバー装置やパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の外部装置に出力し、それ以降の現像処理を外部装置側で行う構成について説明する。
図45は、撮像装置からセンサ画像と必要設定値の情報を外部に出力し、外部で情報を受信し画像処理、画像歪み補正、画像合成を行う構成を示す図である。つまり、撮像装置101の中には、画像処理設定値記憶部4701と、画像歪み補正設定値記憶部4501と、画像合成設定値記憶部4702及び情報送信部4703とが内包されている。そして、情報送信部4703は、ネットワークや通信線、あるいは無線通信路を経由して外部装置に画像センサ3505の出力と、画像処理設定値記憶部4701に格納された情報と、画像歪み補正設定値記憶部4501に格納された情報と、画像合成設定値記憶部4702に格納された情報とを全て含めた形で送信する。
そして、送信された情報は情報受信部4704を介して受信され、画像処理装置4705に入力される。画像処理装置4705には、情報受信部4704と、画像処理部106と、画像歪み補正部3201と、画像合成部3506と、が含まれ、上述の実施形態と同様に画像処理、画像歪み補正処理、画像合成の処理を行い、画像表示部107に送る。
画像表示部107は、合成された画像を用いて画面等を構成し、ディスプレイ装置に表示させる。
このような構成とすることで、画像処理、画像歪み補正、画像合成を撮像装置101において行う必要が無くなり、撮像装置101の演算量を大幅に低減できる。そのため、撮像装置101のハードウェア要求水準を下げることが可能となり、撮像装置101の単価を抑制できる。このようにネットワークを介した他の装置、例えば遠隔地にあるサーバー装置と連携することも可能となると、利便性が向上する。
以上、本発明について複数の実施形態を用いて説明した。もちろん、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
本発明は、撮像装置、及び撮像方法に限られず、撮像システム、現像方法、コンピュータ読み取り可能なプログラム、画像処理回路、指静脈認証装置、指静脈撮像装置、指静脈認証方法などの様々な態様で提供できる。
101…撮像装置、102…変調器、102a…格子基板、102b…支持部材、103…画像センサ、103a…画素、104…第1の格子パターン、105…第2の格子パターン、106…画像処理部、107…画像表示部、401…被写体、3201…画像歪み補正部、3202…画像歪み補正設定値入力部、3506…画像合成部、4501…画像歪み補正設定値記憶部、4601…画像歪み補正設定値学習部、4701…画像処理設定値記憶部、4702…画像合成設定値記憶部、4703…情報送信部、4704…情報受信部、4705…画像処理装置

Claims (13)

  1. 撮像面にアレイ状に配列された複数の画素に取り込まれた光学像を画像信号に変換して出力する画像センサと、
    前記画像センサの受光面に設けられ、格子パターンを用いて光の強度を変調する変調部と、
    前記画像センサより出力された出力画像に対して所定の画像処理を施す画像処理部と、
    前記画像処理部から出力された画像に対して歪み補正を行う画像歪み補正部と、
    前記画像歪み補正部に画像歪み補正用の設定値を受け渡す画像歪み補正設定値入力部と、
    を備えることを特徴とする撮像装置。
  2. 請求項1に記載の撮像装置であって、
    前記格子パターンは、複数の基本格子パターンを有する複数格子パターンであって、
    前記複数の基本格子パターンのそれぞれは、互いに異なる視野を有する、
    ことを特徴とする撮像装置。
  3. 請求項1に記載の撮像装置であって、
    前記画像センサを複数備え、
    前記格子パターンは、複数の基本格子パターンを有する複数格子パターンであって、
    前記複数の基本格子パターンのそれぞれは、互いに異なる視野を有し、
    前記基本格子パターンは、前記画像センサと一対一に対応付けられた基本ユニットを構成し、
    前記基本ユニットのそれぞれは、互いに異なる視野を有する、
    ことを特徴とする撮像装置。
  4. 請求項1に記載の撮像装置であって、
    前記格子パターンは、複数の基本格子パターンを有する複数格子パターンであって、
    前記基本格子パターンは、所定の厚みを有し前記画像センサの受光面と略平行な平面上に設けられ、該平面上の二次元方向の中心位置と、前記画像センサの前記受光面の中心位置とが前記平面上のいずれかの方向にオフセットされており、
    前記画像歪み補正設定値入力部は、該オフセットの量または前記基本格子パターンの前記平面上の中心位置を前記設定値として用いる、
    ことを特徴とする撮像装置。
  5. 請求項1に記載の撮像装置であって、
    前記画像センサを複数備え、
    前記格子パターンは、複数の基本格子パターンを有する複数格子パターンであって、
    前記複数の基本格子パターンのそれぞれは、互いに異なる視野を有し、
    前記基本格子パターンは、前記画像センサと一対一に対応付けられた基本ユニットを構成し、
    前記基本ユニットのそれぞれは、互いに異なる視野を有し、
    前記基本格子パターンは、所定の厚みを有し前記画像センサの受光面と略平行な平面上に設けられ、該平面上の二次元方向の中心位置と、前記画像センサの前記受光面の中心位置とが前記平面上のいずれかの方向にオフセットして配置されており、
    前記画像歪み補正部は、該オフセットの量または前記基本格子パターンの前記平面上の中心位置を前記設定値として用いる、
    ことを特徴とする撮像装置。
  6. 請求項1に記載の撮像装置であって、
    前記画像歪み補正設定値入力部は、前記画像歪み補正部または前記画像処理部の少なくともいずれかに設けられる、
    ことを特徴とする撮像装置。
  7. 請求項3または請求項6に記載の撮像装置であって、
    前記画像歪み補正部の前記設定値を、所定の既知のパターンを撮像した結果を用いて所定の方法で学習する歪み補正設定値学習部を備える、
    ことを特徴とする撮像装置。
  8. 撮像面にアレイ状に配列された複数の画素に取り込まれた光学像を画像信号に変換して出力する画像センサと、
    前記画像センサの受光面に設けられ、格子パターンを用いて光の強度を変調する変調部と、
    前記画像センサより出力された前記画像信号を処理する為の設定値を記憶する画像処理設定値記憶部と、
    前記画像センサより出力された前記画像信号を歪み補正する為の設定値を記憶する画像歪み補正設定値記憶部と、
    前記画像センサより出力された前記画像信号を合成する為の設定値を記憶する画像合成設定値記憶部と、
    前記画像センサより出力された前記画像信号と、前記画像処理設定値記憶部に記憶された設定値と、前記画像歪み補正設定値記憶部に記憶された設定値と、前記画像合成設定値記憶部に記憶された設定値とを、所定の外部の装置に送信する情報送信部と、
    を備えることを特徴とする撮像装置。
  9. 請求項8に記載の撮像装置であって、
    前記格子パターンは、複数の基本格子パターンを有する複数格子パターンであって、
    前記複数の基本格子パターンのそれぞれは、互いに異なる視野を有する、
    ことを特徴とする撮像装置。
  10. 請求項8に記載の撮像装置であって、
    前記画像センサを複数備え、
    前記格子パターンは、複数の基本格子パターンを有する複数格子パターンであって、
    前記複数の基本格子パターンのそれぞれは、互いに異なる視野を有し、
    前記基本格子パターンは、前記画像センサと一対一に対応付けられた基本ユニットを構成し、
    前記基本ユニットのそれぞれは、互いに異なる視野を有する、
    ことを特徴とする撮像装置。
  11. 請求項8に記載の撮像装置であって、
    前記格子パターンは、複数の基本格子パターンを有する複数格子パターンであって、
    前記基本格子パターンは、所定の厚みを有し前記画像センサの受光面と略平行な平面上に設けられ、該平面上の二次元方向の中心位置と、前記画像センサの前記受光面の中心位置とが前記平面上のいずれかの方向にオフセットして配置されており、
    前記画像歪み補正設定値記憶部は、該オフセットの量または前記基本格子パターンの前記平面上の中心位置を前記設定値として記憶する、
    ことを特徴とする撮像装置。
  12. 請求項10に記載の撮像装置であって、
    前記画像センサを複数備え、
    前記格子パターンは、複数の基本格子パターンを有する複数格子パターンであって、
    前記複数の基本格子パターンのそれぞれは、互いに異なる視野を有し、
    前記基本格子パターンは、前記画像センサと一対一に対応付けられた基本ユニットを構成し、
    前記基本ユニットのそれぞれは、互いに異なる視野を有し、
    前記基本格子パターンは、所定の厚みを有し前記画像センサの受光面と略平行な平面上に設けられ、該平面上の二次元方向の中心位置と、前記画像センサの前記受光面の中心位置とが前記平面上のいずれかの方向にオフセットして配置されており、
    前記画像歪み補正設定値記憶部は、該オフセットの量または前記基本格子パターンの前記平面上の中心位置を前記設定値として記憶する、
    ことを特徴とする撮像装置。
  13. 請求項8に記載の撮像装置であって、
    前記画像センサを複数備え、
    前記格子パターンは、複数の基本格子パターンを有する複数格子パターンであって、
    前記複数の基本格子パターンのそれぞれは、互いに異なる視野を有し、
    前記基本格子パターンは、前記画像センサと一対一に対応付けられた基本ユニットを構成し、
    前記基本ユニットのそれぞれは、互いに異なる視野を有し、
    前記画像歪み補正部の前記設定値を、所定の既知のパターンを撮像した結果を用いて所定の方法で学習する歪み補正設定値学習部を備える、
    ことを特徴とする撮像装置。
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