以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態による縦型洗濯機について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る洗濯機10の縦断側面図である。洗濯機10は、外箱11、トップカバー12、水槽13、回転槽14、駆動装置15、注水装置16、排水装置17、操作パネル18を備えている。外箱11は、例えばステンレス鋼板等によって矩形の中空箱状に形成されており、洗濯機10の外郭を構成している。
水槽13は、上方が開口した有底円筒状に作成されており、内部に水を貯留することができる。水槽13は、水槽カバー131と水槽開口部132とを備えている。水槽カバー131は、水槽13の上端部から水槽開口部132の一部を覆うように設けられている。ユーザは、水槽開口部132を通して洗濯物を回転槽14内部に出し入れ可能である。また、水槽13は、水槽開口部132を開閉する内蓋133を備えていている。
回転槽14は、洗濯物を収容可能な有底円筒状に作成されており、水槽13の内部において回転可能に設けられている。回転槽14は、洗濯物を洗う洗い行程、及び洗濯物をすすぐすすぎ行程における洗濯槽として機能する。また、回転槽14は、洗濯物を脱水する脱水行程における脱水槽としても機能する。回転槽14は、回転槽14の底部にパルセータ141を備えている。パルセータ141は、回転槽14と一体的に、又は回転槽14に対して相対的に回転可能である。
駆動装置15は、図2にも示すように、モータ151とクラッチ機構152とを有している。モータ151は、パルセータ141に接続されており、パルセータ141を正方向及び逆方向に回転させる。クラッチ機構152は、モータ151の駆動力を回転槽14に伝達する。クラッチ機構152は、モータ151の駆動力の伝達を切り替え、パルセータ141のみを回転させたり、パルセータ141と回転槽14を一体に回転させたりする機能を備えている。
注水装置16は、例えば水道などの外部の水源から供給される水を、水槽13の内部に注水するための装置である。注水装置16は、外箱11の内部にあって、例えば、水槽13の左右一方寄りの上部に設けられている。注水装置16は、給水弁161、注水ホース162、及び注水ケース163を有している。給水弁161は、例えば電磁駆動式の開閉弁であり、図示しない水道などの外部の水源に接続される。注水ホース162は、注水ケース163と水槽13内とを接続している。給水弁161は、外部の水源から、注水装置16を介して水槽13の内部に至る注水経路を開閉する。
排水装置17は、水槽13の内部に貯留された水を、洗濯機10の機外へ排出するための装置である。排水装置17は、排水弁171と排水管172とを含んで構成されている。排水弁171は、例えば電磁駆動式の開閉弁である。排水弁171は、水槽13内から排水装置17を介して機外に至る排水経路を開閉する。
操作パネル18は、トップカバー12の上面前部に設けられている。操作パネル18は、ユーザの操作を受け付けるとともに、入力された操作内容や設定内容及び現在の動作内容などを表示する。
洗濯機10は、図2に示すように、制御部30と、重量検知部31と、モータ速度検知部32と、アンバランス検知部33と、温度検知部34と、を備えている。制御部30は、例えば図示しないCPUやROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を備えるマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯機10の動作全般の制御を行う。制御部30には、駆動装置15、給水弁161、排水弁171、及び操作パネル18が接続されている。これら駆動装置15、給水弁161、排水弁171、及び操作パネル18は、制御部30による制御に基づいて動作する。また、制御部30には、記憶部331が接続されている。記憶部331は、図示しない書き換え可能なメモリ等の記憶領域を備えている。
また、制御部30は、CPUにおいて制御プログラムを実行することにより、図2に示す重量検知部31、モータ速度検知部32、アンバランス検知部33、温度検知部34をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、制御部30は、重量検知部31、モータ速度検知部32、アンバランス検知部33、温度検知部34を集積回路等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現してもよい。
重量検知部31は、回転槽14内部の洗濯物の重量を検知する。重量検知部31は、例えばモータ151のベクトル制御におけるq軸電流を測定することによってモータ151に作用している現在の負荷を検知し、その負荷に基づいて回転槽14内部の洗濯物の重量を測定することができる。なお、重量検知部31は、例えば目標回転速度と実際の回転速度との差からモータ151の負荷を検知しても良い。
モータ速度検知部32は、回転速度検知部の一例であり、モータ151の回転速度を検知する。モータ速度検知部32は、例えば、モータ151のベクトル制御におけるq軸電流を測定することでモータ22の回転速度を検知してもよいし、モータ151に回転センサを設け、回転センサによりモータ22の回転速度を検知してもよい。
アンバランス検知部33は、記憶部331にアクセス可能に構成されている。アンバランス検知部33は、所定間隔毎に制御部30が駆動装置15へ指示する回転速度である指令回転速度Srとモータ速度検知部32が検知する回転槽14の実際の回転速度である実回転速度Rrとの差を求め、記憶部331に記憶させる。また、アンバランス検知部33は、記憶部331に記憶した指令回転数Srと実回転数Rrとの差を用いて、回転槽14内部の洗濯物に偏りがあるか、つまり、アンバランスが発生しているか否かを検知する。
温度検知部34は、図示しない温度センサにより、洗濯機10に関連する温度、例えば、洗濯機10周辺の外気の温度を検知可能となっている。
制御部30は、脱水行程において、図5に示すアンバランス検知処理を実行する。以下では、図3及び図4も参照して、アンバランス検知処理を含む洗濯運転に関する一連の制御内容について説明する。なお、本実施形態において洗濯運転とは、少なくとも洗い行程、すすぎ行程、脱水行程を自動で行う運転である。以下の説明では、アンバランス検知部33による処理は、いずれも制御部30が主体となって行うものとして説明する。
ユーザは、洗濯運転を実行する際、操作パネル18を操作して洗濯運転を選択し、その後、図示しないスタートボタンを操作する。すると、制御部30は、図3のフローを開始する。制御部30は、図3のフローを開始すると、まず、洗濯物重量検知(ステップS11)を行い、洗濯物の重量を検知する。制御部30は、検知した洗濯物重量を記憶部331に記憶する。その後、制御部30は、洗濯物を洗う洗い行程(ステップS12)、及び洗濯物をすすぐすすぎ行程(ステップS13)を実行し、その後、洗濯物を脱水する脱水行程を開始する(ステップA10)。
次に、この脱水行程における制御例について詳細に説明する。図4に例示するように、制御部30は、脱水行程に移行すると、まず、モータの実回転速度Rrを検知する(ステップA11)。そして、制御部30は、実回転速度Rrが所定の回転速度、この場合、例えば、60rpmを超えたか否かを判断する(ステップA12)。実回転速度Rrが60rpm以下である場合(ステップA12でNO)、制御部30は、実回転速度Rrが60rpmを超えるまで、実回転速度Rrの検知処理(ステップA11)及び判断処理(ステップA12)を繰り返す。そして、実回転速度Rrが60rpmを超えると(ステップA12でYES)、制御部30は、記憶部331に記憶されている回転速度差Grを消去つまりリセットする(A13)。
つまり、制御部30は、指令回転速度Srと実回転速度Rrとの差の絶対値である回転速度差Grを記憶部331から消去する。なお、回転速度差Grを消去するとは、例えば、記憶部331に記憶されている回転速度差Grの値として「0」をセットすることである。回転速度差Grの値として「0」をセットすることにより、複数の回転速度差Grの和であるアンバランス設定値を、運転開始した後に最初の回転速度差Grを求めた場合においても設定することができる。つまり、前回の運転における回転速度差Grをリセットして、今回の運転における回転速度差Grに基づき制御を進めることができる。その後、制御部30は、制御をステップB10へ移行させる。
制御部30は、ステップB10に移行すると、図5に例示するアンバランス検知処理を開始する。このアンバランス検知処理において、制御部30は、アンバランスが検知されるか(ステップB15でYES)、または、モータの実回転速度Rrが所定の回転速度、この場合、110rpmを超えるまで(ステップB16でYES)、ステップB11からB16の処理を繰り返す。なお、制御部30による繰り返しの頻度は、例えば、0.1秒から0.25秒程度の間隔とする。
制御部30は、アンバランス検知処理を開始すると、モータ151へ出力している指令回転速度Srを特定する(ステップB11)。また、制御部30は、モータ速度検知部32によりモータ151の実回転速度Rrを検知する(ステップB12)。そして、制御部30は、指令回転速度Srと実回転速度Rrとの差の絶対値、つまり、回転速度差Grを求める(ステップB13)。そして、制御部30は、求めた回転速度差Grを記憶部331に記憶させて、ステップB14に移行する。
制御部30は、ステップB14に移行すると、記憶部331に記憶させた回転速度差Grのうち、絶対値の大きい上位グループから複数、この場合、図6に例示するように、2つの回転速度差Gr1,Gr2を選択する(B14)。そして、制御部30は、選択した複数の回転速度差Gr1,Gr2の数値を足し合わせ、得られた数値をアンバランス判断値として設定する。
そして、制御部30は、アンバランス判断値、この場合、回転速度差Gr1,Gr2の合計値が所定の閾値Grmaxを超えるか否かを判断する(ステップB15)。なお、閾値Grmaxの値は、適宜変更して設定することができる。アンバランス判断値が閾値Grmaxを超えていた場合(ステップB15:YES)、制御部30は、処理を周知のほぐし動作(ステップB17)へ移行させ、アンバランスの解消を行った後、再度、脱水運転(ステップA10)を行う。
アンバランス判断値が閾値Grmax以下であった場合(ステップB15:NO)、制御部30は、処理をステップB16に移行する。制御部30は、ステップB16において、モータ151の実回転速度Rrを検知し、検知した実回転速度Rrが所定の回転速度、例えば、110rpm以下であれば(ステップB16:NO)、ステップB11に移行する。つまり、制御部30は、ステップB11からB16の処理を繰り返す。
モータ151の実回転速度Rrが110rpmを超えていれば(ステップB16でYES)、制御部30は、このアンバランス検知処理を終了する。そして、図4に例示するように、制御部30は、処理をステップA14へ移行させて本脱水を実行する。本脱水では、制御部30は、回転槽14の回転速度を所定の速度まで上昇させた後、その所定の速度を保った状態で所定時間の間、回転槽14を回転させる。そして、制御部30は、本脱水を終了すると、洗濯機10の運転を終了する。
以上説明した実施形態によれば、洗濯機10は、アンバランス検知部33を備えている。アンバランス検知部33は、所定間隔毎に制御部30からモータ151へ指示する回転速度である指令回転速度Srと、モータ速度検知部32が検知した回転槽14の実際の回転速度である実回転速度Rrとの差の絶対値である回転速度差Grを求め、記憶部331に記憶する。そして、アンバランス検知部33は、記憶部331に記憶した回転速度差Grのうち、絶対値の大きい上位グループから複数の回転速度差Grを選択し、選択した回転速度差Grの和を閾値Grmaxと比較することで、ほぐし動作を行うべきか否かを判断する。これによれば、洗濯機10は、安全バーや加速度センサに依らずとも、回転槽14内部の洗濯物の偏りを検知することができる。
なお、制御部30は、ステップB14において絶対値の大きい上位グループから選択する回転速度差Grの個数を3つ以上としてもよい。また、制御部30は、絶対値の大きい上位グループから選択する回転速度差Grの個数に応じて、閾値Grmaxを変更してもよい。また、制御部30は、絶対値の大きい上位グループであれば、任意の回転速度差Grを選択することができ、例えば、上位グループのうち絶対値の最も大きい回転速度差Grと3番目に大きい回転速度差Grを選択したり、2番目に大きい回転速度差Grと5番目に大きい回転速度差Grを選択したりするなど、様々なバリエーションを採用することができる。
すなわち、洗濯機10は、モータ151の回転速度に基づき洗濯物の偏りを検知するように構成したので、安全レバーや加速度センサを設ける必要がなく、安価かつ、省スペースな構成で洗濯物の偏りを検知することができる。
また、モータ151の回転速度に基づき洗濯物の偏りを検知するように構成したとしても、例えば外箱11と水槽13との間の隙間が狭い構成である場合には、外箱11と水槽13とが衝突しやすいことから、実際の洗濯物の偏りを過敏に検知してしまうおそれがある。
これに対し、洗濯機10によれば、指令回転速度Srと実回転速度Rrとの差の絶対値Grを求めて記憶部331に記憶し、記憶部331に記憶した回転速度差Grのうち絶対値の大きい上位グループから複数の回転速度差Grを選択し、選択した回転速度差Grを足し合わせてアンバランス判断値として設定し、設定したアンバランス判断値を閾値Grmaxと比較するようにした。このような演算処理を介してアンバランスを検知するようにした本実施形態に係る方法によれば、例えば水槽13の突発的な大きな揺れに応じて洗濯物の偏りが検知されてしまうことを抑制することができ、洗濯物の偏りによる水槽13の継続的な揺れを検知することに応じて、洗濯物の偏りに対処するほぐし動作を行うことができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図7を参照しながら説明する。本実施形態は、図5で示したアンバランス検知処理以外、第1実施形態と同様とする。つまり、本実施形態は、アンバランス検知処理の内容が第1実施形態と異なっている。図7に例示するように、第2実施形態のアンバランス検知処理は、図5で示したステップB11からB17に加えて、ステップB20からB22の処理を有している。
具体的には、制御部30は、ステップB20において、カウント数Nを「0」に設定する。カウント数Nは、アンバランス判断値が閾値Grmaxを超過した回数を示すものである。制御部30は、カウント数Nを「0」に設定すると、ステップB11からステップB15の処理を行う。そして、アンバランス判断値が閾値Grmaxを超過した場合(ステップB15でYES)、制御部30は、処理をステップB21へ移行させる。
制御部30は、ステップB21において、カウント数Nに1を加える。その後、制御部30は、カウント数Nと所定の閾値Nmaxとが同値となったか否かを判定する(ステップB22)。なお、閾値Nmaxの値は、適宜変更して設定することができ、この場合、例えば「3」が設定されている。カウント数Nが閾値Nmaxと同値ではない場合(ステップB22でNO)、制御部30は、今回のアンバランス判断値の算出に用いた複数、この場合、2つの回転速度差Grを記憶部331から破棄つまり消去する。その後、制御部30は、処理をステップB16に移行する。カウント数Nが閾値Nmaxと同値である場合(ステップB22でYES)、制御部30は、処理をほぐし動作(ステップB17)へと移行させる。
以上説明した第2実施形態によれば、アンバランス判断値が閾値Grmaxを超過した回数をカウントし、閾値Grmaxを超過した回数が所定の閾値Nmaxと同値となった場合に、ほぐし動作を実行する。水槽13は、ある方向に揺れると、その揺れた方向とは逆方向にも揺れることが多い。つまり、一度水槽13が大きく揺れると、その揺れの大きさを反映する回転速度差Grが少なくとも2つ計測されることが多い。第2実施形態によれば、アンバランス判断値が閾値Grmaxを超過した回数をカウントする処理を設けたので、そのカウント値に基づき、水槽13が突発的に大きく揺れただけであるのか、それとも、水槽13が継続的に何度も揺れたのかを判断することができる。そのため、洗濯物の偏りによる水槽13の継続的な揺れに応じて、洗濯物の偏りに対処するほぐし動作を行うことができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図8を参照しながら説明する。本実施形態は、図5で示したアンバランス検知処理以外、第1実施形態と同様とする。つまり、本実施形態は、アンバランス検知処理の内容が第1実施形態と異なっている。図8に例示する第3実施形態のアンバランス検知処理では、図5で示したステップB11からステップB16の処理を繰り返す頻度が第1実施形態よりも高くなっている。この場合、ステップB11からステップB16の処理を繰り返す頻度は、例えば20msecに1回の頻度となっている。
つまり、第3実施形態では、第1実施形態で例示したアンバランスを検知する区間の一例である「0.1秒から0.25秒程度」の区間よりも短い区間で求められる回転速度差Grに基づき、ほぐし動作を行うか否かを判定する。なお、第1実施形態で例示したアンバランスを検知する区間よりも短い区間で求められる極値回転速度差NGeに基づき、ほぐし動作を行うか否かを判定するようにしてもよい。また、第3実施形態のアンバランス検知処理は、その制御内容も第1実施形態とは異なっており、ステップB13に代えてステップB30、ステップB14に代えてステップB31、ステップB15に代えて、ステップB32を備えている。
具体的には、第3実施形態では、制御部30は、第1実施形態と同様に指令回転速度Srの検知(ステップB11)、実回転速度Rrの検知(ステップB12)を完了すると、処理をステップB30に移行させる。
ステップB30において、制御部30は、指令回転速度Srと実回転速度Rrとの差の値、つまり、絶対値ではないそのままの値である回転速度差Geを求める。そして、制御部30は、ステップB30で求めた回転速度差Geを記憶部331に記憶する。その後、制御部30は、処理をステップB31に移行させる。
ステップB31において、制御部30は、記憶した回転速度差Geの経時的変化を解析する。即ち、制御部30は、回転速度差Geの経時的変化において、回転速度差Geが増加から減少に変化するタイミング、もしくは、回転速度差Geが減少から増加に変化するタイミングに最も近いタイミングで計測された回転速度差Geを特定する。つまり、制御部30は、時々刻々と変化する回転速度差Geの極値に最も近い回転速度差Geを特定し、その特定した回転速度差Geを極値回転速度差NGeとして設定する。その後、制御部30は、処理をステップB32に移行させる。なお、このとき、制御部30は、時々刻々と変化する回転速度差Geの極値を極値回転速度差NGeとして設定してもよい。
ステップB32において、制御部30は、ステップB31で決定した極値回転速度差NGeのうち絶対値の大きい上位グループから複数、この場合、図9に例示するように、2つの極値回転速度差NGe1,NGe2を選択し、それぞれの絶対値を足し合わせてアンバランス判断値とする。そして、制御部30は、アンバランス判断値、この場合、極値回転速度差NGe1,NGe2の絶対値の合計値が所定の閾値NGemaxを超えるか否かを判断する(B32)。アンバランス判断値が閾値NGemaxを超えていた場合(ステップB32:YES)、制御部30は、処理をほぐし動作(ステップB17)へ移行させ、アンバランスの解消を行った後、再度、脱水運転(ステップA10)を行う。
アンバランス判断値が閾値NGemax以下であった場合(ステップB32:NO)、制御部30は、処理をステップB16に移行する。このステップB16における処理内容は、第1実施形態と同様である。
なお、制御部30は、絶対値の大きい上位グループから選択する極値回転速度差NGeの個数を3つ以上としてもよい。また、制御部30は、絶対値の大きい上位グループから選択する極値回転速度差NGeの個数に応じて、閾値NGemaxを変更してもよい。また、制御部30は、絶対値の大きい上位グループであれば、任意の極値回転速度差NGeを選択することができ、例えば、上位グループのうち絶対値の最も大きい極値回転速度差NGeと3番目に大きい極値回転速度差NGeを選択したり、2番目に大きい極値回転速度差NGeと5番目に大きい極値回転速度差NGeを選択したりするなど、様々なバリエーションを採用することができる。
以上説明した第3実施形態によれば、洗濯機10は、アンバランス検知部33を備えている。アンバランス検知部33は、所定間隔毎に制御部30からモータ151へ指示する回転速度である指令回転速度Srと、モータ速度検知部32が検知した回転槽14の実際の回転速度である実回転速度Rrとの差ある回転速度差Geを求め、記憶部331に記憶する。そして、アンバランス検知部33は、記憶部331に記憶した回転速度差Geから経時的に変化する回転速度差Geの極値あるいは極値に最も近い回転速度差Geである極値回転速度差NGeを決定する。そして、アンバランス検知部33は、極値回転速度差NGeのうち、絶対値の大きい上位グループから複数の極値回転速度差NGeを選択し、選択した極値回転速度差NGe足し合わせてアンバランス判断値とする。そして、アンバランス検知部33は、アンバランス判断値を閾値NGemaxと比較することで、ほぐし動作を行うべきか否かを判断する。これによれば、洗濯機10は、安全バーや加速度センサに依らずとも、回転槽14内部の洗濯物の偏りを検知することができる。
すなわち、本実施形態のように指令回転速度Sr,実回転速度Rrの検知頻度、およびアンバランスの判断頻度を高くして、経時的に変化する回転速度差Geから極値回転速度差NGeを求めることで、時々刻々と変化する回転速度差Geのうち水槽13の揺れがあまり反映されていない回転速度差Geをアンバランス検知で用いるデータから除外することができる。これにより、水槽13の揺れが極力反映されたデータを用いて、アンバランスを判定することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について図10を参照しながら説明する。本実施形態は、図5で示したアンバランス検知処理以外、第1実施形態と同様とする。つまり、本実施形態は、アンバランス検知処理の内容が第1実施形態と異なっている。図10に例示するように、第4実施形態のアンバランス検知処理は、図5で示したステップB11からB17に加えて、ステップB41の処理を有している。
具体的には、制御部30は、ステップ41において、求めた回転速度差Grが所定の第2の閾値の一例である閾値Grmax2より大きいか否かを判断する。Grmax2は、所定の第1の閾値Grmaxの例えば70%以上100%未満の数値で設定されている。Grmaxが、複数の回転速度差Grの和と比較する閾値であるのに対し、Grmax2は、単独の回転速度差Grと比較するものであり、水槽13が非常に大きく揺れたか否かを判断する閾値である。
求めた回転速度差Grが第2の閾値Grmax2より大きい場合(ステップB41でYES)、制御部30は、処理をほぐし動作(ステップB17)へ移行させる。求めた回転速度差Grが第2の閾値Grmax2以下である場合(ステップB41でNO)、制御部30は処理をステップB14へ移行させる。このステップB14における処理内容は、第1実施形態と同様である。
以上説明した第4実施形態によれば、求めた回転速度差Grと所定の第2の閾値Grmax2とを比較する処理を設けた。第1の閾値Grmaxと比較される「複数の回転速度差Grの和」の値のうち、ある回転速度差Grの値が非常に大きな値である場合には、水槽13に非常に大きな揺れが生じたということである。そのため、運転の続行に影響を及ぼす可能性が高い。本実施形態によれば、そのような水槽13の大きな揺れを回転速度差Grと所定の第2の閾値Grmax2とを比較することで検知し、検知した場合に、直ちに脱水行程を終了し、洗濯物の偏りに対処するほぐし動作を行うことができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について図11を参照しながら説明する。本実施形態は、図5で示したアンバランス検知処理以外、第1実施形態と同様とする。つまり、本実施形態は、アンバランス検知処理の内容が第1実施形態と異なっている。図11に例示するように第5実施形態のアンバランス検知処理は、図5で示したステップB11からB17に加えて、ステップB51の処理を有している。
具体的には、制御部30は、アンバランス判断値が閾値Grmaxを超えていた場合(ステップB15:YES)、制御をステップB51に移行する。ステップB51において、制御部30は、絶対値の最も大きい回転速度差Gr1が所定の第3の閾値Grmax3より大きいか否か判断する。第3の閾値Grmax3は、第1の閾値Grmax1、第2の閾値Grmax2と異なる値であれば、適宜変更して設定することができる。回転速度差Gr1が第3の閾値Grmax3より大きい場合(ステップB51でYES)、制御部30は、処理をほぐし動作(ステップB17)へ移行させる。回転速度差Gr1が第3の閾値Grmax3より小さい場合(ステップB51でNO)、制御部30は、処理をステップB16へ移行させる。このステップB16における処理内容は、第1実施形態と同様である。
以上説明した第5実施形態によれば、アンバランス判断値に基づくアンバランス検知だけでなく、さらに、絶対値の最も大きい回転速度差Gr、つまり、水槽13が最も揺れた際の揺れ度合が反映された値に基づくアンバランス検知も組み込むようにした。これにより、水槽13が大きく揺れていないのにも係らず、制御部30が洗濯物の偏りが生じていると判断してしまうことを回避することができ、不必要にほぐし動作が実行されてしまうことを抑制することができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について図12を参照しながら説明する。本実施形態は、図5で示したアンバランス検知処理以外、第1実施形態と同様とする。つまり、本実施形態は、アンバランス検知処理の内容が第1実施形態と異なっている。図12に例示するように第6実施形態のアンバランス検知処理は、図5で示したステップB11からステップB17に加えて、ステップB61、ステップB62、ステップB63の処理を有している。
具体的には、制御部30は、経過時間Tを計測する図示しないタイマーの値を「0」に設定し(ステップB61)、その後、タイマーによる計測を開始する。その後、制御部30は、ステップB11からステップB16の処理を行う。そして、回転槽14の実際の回転速度である実回転速度Rrが所定の回転速度の一例である110rpmより小さかった場合(ステップB16でNO)、制御部30は、処理をステップB62に移行させる。
ステップB62において、制御部30は、タイマーによる経過時間Tが所定時間Tmax以上であるか否かを判定する。なお、所定時間Tmaxの値は、適宜変更して設定することができる。経過時間Tが所定時間Tmaxより小さい場合(ステップB62でNO)、制御部30は、処理をステップB11に移行させる。経過時間Tが所定時間Tmaxより大きい場合(ステップB62でYES)、制御部30は、記憶部331に蓄積した回転速度差Grをリセット、つまり、全て削除する(ステップB63)。その後、制御部30は、処理をステップB61に移行させる。
以上説明した第6実施形態によれば、記憶部331に記憶される回転速度差Grを、所定時間Tmaxが経過するごとにリセットする。これにより、仮に、突発的に揺れた際に得られた回転速度差Grが記憶部331に記憶されたとしても、その回転速度差Grが記憶部331に残存し続けてしまうことを回避することができ、記憶部331のリセット後においては、突発的に揺れた際に記憶された回転速度差Grの影響を受けることなくアンバランス検知を行うことができる。よって、不必要にほぐし動作が実行されてしまうことを抑制することができる。
なお、本実施形態では、回転速度差Grを蓄積した記憶部331のリセットを行うか否かを処理開始からの経過時間に基づき決定するようにした。しかし、回転速度差Grを蓄積した記憶部331のリセットを行うか否かを、例えば、記憶部331に蓄積されている回転速度差Grの個数などを基準として決定するようにしてもよい。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について図13を参照しながら説明する。本実施形態は、図5で示したアンバランス検知処理以外、第1実施形態と同様とする。つまり、本実施形態は、アンバランス検知処理の内容が第1実施形態と異なっている。図13に例示するように第7実施形態のアンバランス検知処理は、図5で示したステップB11からステップB17に加えて、ステップB71、ステップB72の処理を有している。
具体的には、実回転速度Rrが所定の回転速度である110rpmより小さかった場合(ステップB16でNO)、制御部30は、処理をステップB71に移行させる。ステップB71において、制御部30は、記憶部331に記憶している回転速度差Grの個数が所定個数Mmax以上であるか以下か判断する。なお、所定個数Mmaxの値は、適宜変更して設定することができる。記憶部331に記憶している回転速度差Grの個数が所定個数Mmax未満の場合(ステップB71でNO)、制御部30は、処理をステップB11へ移行させる。記憶部331に記憶している回転速度差Grの個数が所定個数Mmax以上の場合(ステップB71でYES)、制御部30は、記憶部331に記憶している回転速度差Grのうち最も古い回転速度差Grを記憶部331から消去する。なお、このとき、制御部30は、最も古い複数個の回転速度差Grを消去するようにしてもよい。その後、制御部30は、処理をステップB11に移行させる。
以上説明した第7実施形態によれば、記憶部331に所定個数以上の回転速度差Grを記憶した場合に、最も古い回転速度差Grを削除することで、古い回転速度差Grではなく直近の極力新しい所定個数の回転速度差Grを用いてアンバランスを判断することができる。これにより、直近の水槽13の揺れに基づいてアンバランス検知を行うことができ、不必要にほぐし動作が実行されてしまうことを抑制することができる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について図14、図15を参照しながら説明する。本実施形態は、図5で示したアンバランス検知処理以外、第1実施形態と同様とする。つまり、本実施形態は、アンバランス検知処理の内容が第1実施形態と異なっている。図14に例示するように第8実施形態のアンバランス検知処理は、図5で示したステップB11からステップB17に加えて、ステップB81の処理を有している。
具体的には、制御部30は、アンバランス検知処理を開始した後、ステップB81の処理を行う。ステップB81において、制御部30は、今回の運転において重量検知部31で検知した洗濯物の重量や、温度検知部34で検知した外気温、もしくは、以前の運転で検知した洗濯物の重量や外気温に基づいて所定の閾値Grmaxの値を決定する。
この場合、制御部30は、図15に例示するテーブルデータに基づいて閾値Grmaxの値を決定する。具体的には、制御部30は、検知された洗濯物の重量が洗濯機10の回転槽14内に収容可能な衣類の重量の上限である最大容量に近い場合ほどGrmaxの値を小さくする。また、制御部30は、検知された外気温が低い場合ほど閾値Grmaxの値を小さくする。制御部30は、検知された洗濯物の重量や外気温に基づき閾値Grmaxの値を決定すると、第1実施形態と同様の処理を実行する。なお、図15に例示するLv1〜Lv9は、設定される閾値Grmaxの大きさを示すものであり、この場合、Lv1が最小の閾値、Lv9が最大の閾値となっている。
なお、制御部30は、検知された洗濯物の重量および外気温の少なくとも何れか一方のみに基づいて閾値Grmaxを決定してもよい。
以上説明した第8実施形態では、制御部30は、ほぐし動作を行うか否かの判断に用いる所定の閾値Grmaxを、洗濯物の重量や外気温に基づいて決定するようにしたので、洗濯運転の条件に適した値とすることができる。より詳細に説明すると、回転槽14内部における洗濯物は、洗濯物の重量が少ない場合ほど、つまり、回転槽14内の洗濯物が少ない場合ほど、回転槽14内に均等に洗濯物が配置され難くなり、洗濯物の偏りが発生しやすい。つまり、より大きな回転速度差Grとなる。また、外気温が高いほど、水槽13を支えている図示しないつり棒に塗布されているグリスの粘性が低くなるため、水槽13は揺れやすくなる。このため、外気温が高いほど、アンバランス検知部33は、水槽13の揺れを検知しやすくなる。つまり、より大きな回転速度差Grとなる。
以上のことから、より大きな回転速度差Grとなる場合、つまり、洗濯物の重量が少ない場合や外気温が高い場合には、それに応じて閾値Grmaxを大きい値とし、より小さな回転速度差Grとなる場合、つまり、洗濯物の重量が多い場合や外気温が低い場合には、それに応じて閾値Grmaxを小さくすることで、制御部30は、運転の条件に適した閾値Grmaxを用いて、ほぐし動作を行うか否かを判断することができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形には、発明の範囲や要旨が含まれると同様に、特許請求の範囲に含まれた発明とその均等の範囲に含まれるものである。