JP2020094499A - タービン部品の補修方法および補修されたタービン部品の製造方法 - Google Patents

タービン部品の補修方法および補修されたタービン部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高品質の補修を効率的かつ安価に実施できるタービン部品の補修方法を提供する。【解決手段】タービン部品の補修が必要な箇所に、コールドスプレーで補修材を付着させる工程と、この付着された補修材の表面に吸収層を形成する工程と、前記の補修材を、この補修材を構成するろう材の溶融温度以上の温度に加熱して、拡散熱処理を行なう工程と、前記の液化したろう材を固化させる工程と、を含んでなることを特徴とするタービン部品の補修方法、及び補修されたタービン部品の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、タービン部品の補修方法および補修されたタービン部品の製造方法に関する。
一般に、ガスタービン発電プラントでは、ガスタービンと同軸にある圧縮機で得た圧縮空気を燃焼器に案内して燃焼器ライナで燃料とともに燃焼させることがなされている。このとき、燃焼による高温の燃焼ガスは、トランジションピースおよび静翼を経て動翼に案内され、この動翼が植込まれたシャフトを回転駆動させて、同軸の発電機にて発電が行われる。
この種のガスタービンの高温部品である燃焼器ライナ、トランジションピース、静翼および動翼には、一般的に、Ni基、Co基またはNi−Fe基超合金が用いられているが、ガスタービンの運転とともに種々の損傷が発生する。まず、高温の燃焼ガス雰囲気に曝されるため、材質劣化が生じるとともに、動翼については高速回転により遠心応力でクリープ損傷が蓄積する。静翼などの静止部品においては、ガスタービンの起動時には、比較的低温環境域から高温環境域に推移する段階で、また、ガスタービンの停止時には、逆に高温環境域から低温環境域に推移する段階で、熱応力が生じ、熱疲労による損傷が蓄積する。なお、これらの損傷は重畳して蓄積する。
ところで、ガスタービン高温部品の保守管理は、機器の設計段階で決まるクリープあるいは疲労寿命と、実機の運転、立地上の環境により設定される寿命とをもとにして、同一機種あるいは同一運転形態をとるガスタービンを分類し、その分類された各グループの先行機の実績を参照して設計寿命を補正して、後続機の保守管理を行なわれることがある。
そして、近年では、ガスタービンの高温部品の劣化、損傷診断を効率的に精度良く予測する保守管理方法がなされつつある。
いずれの保守管理方法にしても、通常、必要に応じて定検毎に補修を繰返して管理寿命に到達した後、一律に廃却となり、非常に高価な新品と交換している。ここで、ガスタービン静翼の定検毎の補修においては、使用によりき裂が発生した場合はき裂周辺を除去し、溶接補修することで再使用が可能となっている。また、溶接補修の他にろう付け補修する方法もある。
下記に溶接補修またはろう付けによる手法の公知例を示す。
特開平11−117705号公報 特開平6−234066号公報 特開平6−344129号公報 特開2006−46147号公報
従来、き裂などの補修必要箇所をろう材で補修する際には、液化したろう材が流出しないように、液化したろう材が固化して補修が終了するまで、き裂などの補修箇所を水平に保つ必要があった。
タービン部品、特にタービン静翼および動翼は、複雑な形状をしており、そして、き裂や摩耗等の補修必要箇所は、その複雑な形状をしたタービン部品の様々な部位に生じる。
よって、補修を行う際には、補修必要箇所が水平になるように、補修必要箇所の角度に対応して、タービン部品の角度、姿勢等を調整し、一定時間保持する必要があった。このことから、同一のタービン部分に補修必要箇所が複数存在し、特に補修必要箇所の角度が異なる場合は、補修必要箇所を一つずつ補修し、これを順次繰り返すことが必要になることがあった。
このことから、補修作業の手間や時間、コストがかかりがちであった。
本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法は、上記の従来の補修方法の問題点を解決するものである。
したがって、本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法は、
タービン部品の補修が必要な箇所に、コールドスプレーで補修材を付着させる工程と、
この付着された補修材の表面に吸収層を形成する工程と、
前記の補修材を、この補修材を構成するろう材の溶融温度以上の温度に加熱し、拡散熱処理を行なう工程と、
前記の液化したろう材を凝固させる工程と、
を含んでなること、を特徴とするものである。
そして、本発明の実施形態による補修されたタービン部品の製造方法は、
タービン部品の補修が必要な箇所に、コールドスプレーで補修材を付着させる工程と、
この付着された補修材の表面に吸収層を形成する工程と、
前記の補修材を、この補修材を構成するろう材の溶融温度以上の温度に加熱し、拡散熱処理を行なう工程と、
前記の液化したろう材を凝固させる工程と、
を含んでなること、を特徴とするものである。
ここで、「補修」とは、形状や寸法の不整、欠陥などを修正することをいう。例えば、タービン部品が使用されることによって生じた、き裂部、減肉部、貫通または非貫通の孔、表面の傷などに、補修材を充填、肉盛りないし付着させることによって、タービン部品を、それが使用される前の形状、形態および寸法に修復し、同時に強度、耐久性、機能等を回復ないし維持させることは、上記の「補修」に包含される。
本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法によれば、補修材をコールドスプレーを用いて補修必要箇所に付着させている。このことから、例えば、タービン部品のき裂の深部まで、補修材を、効率良く、確実に充填できかつき裂内部に保持させることができる。また、補修材をタービン部品の減肉領域に、補修材を緻密に確実に、かつ均一に付着保持させることが容易である。
そして、補修材をコールドスプレーを用いて付着させているので、補修必要箇所が水平でなくても、補修材を効率的かつ確実に付着保持させることが出来る。
さらに、本発明の実施形態によれば、付着された上記補修材を覆うように吸収層が形成されていて、この吸収層が溶融した補修材を吸収保持できる。このことから、タービン部品の補修必要箇所が水平でなくても溶融した補修材が流出することがない。このことから、同一のタービン部品に傾きが異なる複数の補修必要箇所が存在していたとしても、各補修必要箇所に対して同時に拡散熱処理を行うことも可能である。
さらに、本発明の実施形態によれば、「同一のタービン部品に存在する複数の補修必要箇所」だけでなく、「複数個の異なるタービン部品のそれぞれ存在する、複数の補修必要箇所」に対して、同時に、または連続的に、拡散熱処理を行なうことも可能である。
そして、本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法によれば、付着された上記補修材を覆うように吸収層が形成されており、この吸収層が補修材の形態安定化層として機能する場合がある。このことから、例えば、タービン静翼等の曲面状の表面に付着させた補修材を拡散熱処理のために液化ないし流動化させた際も、液化した補修材が流出したり不均一化することが、この吸収層の存在によって効果的に抑制される。また、例えば、補修材が溶融した後の冷却・凝固過程において、角度変化や、外部からの振動等を受けたとしても、溶融、凝固過程における補修材の形態変化が抑制される。
このことから、目的とする補修形態、形状に応じた、強度が高い高品質の補修を、容易に行うことができる。
したがって、本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法によれば、高品質の補修を、効率的かつ安価に、実施することができる。
本発明の好ましいタービン部品の補修方法を示す模式図。 本発明の好ましいタービン部品の補修方法を示す模式図。 本発明の好ましいタービン部品の補修方法を示す模式図。 本発明の好ましいタービン部品の補修方法により補修された第一段静翼の断面模式図。 本発明の好ましいタービン部品の補修方法により補修された第一段静翼の断面模式図。 本発明の好ましいタービン部品の補修方法により補修された第一段静翼の低サイクル疲労試験の結果を示す図面。 本発明の好ましいタービン部品の補修方法により補修された第二段静翼の断面模式図。 本発明の好ましいタービン部品の補修方法により補修された第二段静翼の断面模式図。 本発明の好ましいタービン部品の補修方法により補修された第二段静翼の低サイクル疲労試験の結果を示す図面。
発明の実施の形態
〔タービン部品の補修方法〕
本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法は、
タービン部品の補修が必要な箇所に、コールドスプレーで補修材を付着させる工程と、
この付着された補修材の表面に吸収層を形成する工程と、
前記の補修材を、この補修材を構成するろう材の溶融温度以上の温度に加熱し、拡散熱処理を行なって、補修を行う工程と、
前記の液化したろう材を凝固させる工程と、
を含んでなること、を特徴とする。
図1は、本実施形態による好ましいタービン部品の補修方法の概要を示す図である。
図1は、タービン部品の一具体例として、ガスタービンの静翼について示している。図1Aに示されるガスタービンの静翼1は、運転に使用されて、翼面2に、補修が必要な箇所3として、き裂30および減肉部31が生じたガスタービンの静翼1である。
本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法は、このガスタービンの静翼1の補修が必要な箇所3に、コールドスプレー装置(図示せず)を用いて、図1Bに示されるように、補修材4を付着させる(付着した補修材を、補修材4’と示す)。
コールドスプレー装置には、好ましくは、「拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料4a」と、「拡散熱処理の際に溶融するろう材4b」とを含んでなる「混合粉体材料」を供給し、この混合粉体材料を、ガスタービンの静翼1の補修が必要な箇所3に吹き付けて付着させる。付着された補修材4’は、「拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料4a’」と「拡散熱処理の際に溶融するろう材4b’」とからなり、両材料同士が均一かつ緊密に接合すると共に、ガスタービンの静翼1の表面部(き裂30内部の静翼1の表面を含む)とも緊密に付着したものとなっている。
付着された補修材4’は、き裂30の内部空間のみに充填され、そこのみに付着させることもできる。しかし、実施形態によるタービン部品の補修方法は、このように補修材4’を、付着位置および付着量を厳密に制御して、き裂30の内部空間にみに充填する態様に限定されない。例えば、図1Bに示されるように、き裂30の内部空間が充填されると共に、ガスタービンの静翼1のき裂30の開口部(即ち、翼面2の面におけるき裂30の開口部)の周辺部32にも付着し、かつき裂30の開口部よりも、補修材4’が盛り上がるように付着させることの方が容易であり、かつ好ましい。同様に、補修材4’は、減肉部31の減肉体積相当分のみの量が付着していてもよいが、図1Bに示されるように、ガスタービンの静翼1の減肉領域の周辺部32に付着し、かつ減肉体積以上の量の補修材4’を付着させることの方が容易であり、かつ好ましい。
次いで、本実施形態による補修方法では、図1Cに示されるように、付着された補修材4’の表面に吸収層5’を形成する工程、好ましくは、付着された補修材4’の全表面を覆うように吸収層5’を形成する工程、を行なう。
この吸収層5’は、多孔質体であることが好ましく、吸収層5’の内面側(即ち、補修材4’側の面)に開口した細孔を有するもの、特に、複数の細孔のいくつか繋がって連結しているもの、が好ましい。
次いで、本実施形態による補修方法では、補修材4’を構成する「拡散熱処理の際に溶融するろう材4b’」の溶融温度以上の温度に加熱し、拡散熱処理を行なう工程が行われる。この工程では、前記の「ろう材4b’」が、その溶融温度以上の温度に加熱されて、溶融し液化する。この「液化したろう材4b’」は、「拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料4a’」の各粒子を取り囲むとともに、ガスタービンの静翼1のき裂30内部あるいはガスタービンの静翼1の減肉部31の表面、ならびにその周囲部32に存在する微小き裂あるいは金属組織に浸透ないし接触しつつ、拡散熱処理が行われる。また、この液化したろう材4b’」の一部は、吸収層5’中に吸収されて吸収層5’中に保持される。この吸収層5’の存在により、「液化したろう材4b’」および「拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料4a’」が、き裂30の外部へ流出することが防止されている。ここで、「拡散熱処理」とは、それぞれの材料の元素を拡散させる熱処理を意味する。
そして、この液化したろう材は、液化したろう材を凝固させる工程によって凝固されて、図1D中の4b”で示されるように、ガスタービンの静翼1の構成材料と一体化される。これによって、「拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料4a”」を分散相とし、「凝固したろう材4b”」を連続相とするマトリクス構造体によって、き裂あるいは減肉が補修されたガスタービンの静翼1が得られる。
これらに一連の工程の実施によって、本実施形態によるタービン部品の補修方法を行うことができる。これによって、本発明の実施形態による補修されたタービン部品を製造することができる。
<タービン部品>
本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法は、運転に使用された各種のタービン部品、好ましくは、例えば、ガスタービンの静翼、動翼、燃焼器ライナ、トランジションピース、シュラウドセグメントおよび圧縮機を補修する際に適用することができる。特に、ガスタービン静翼の翼部、インナーウォール部あるいはアウターウォール部に生じた一個または複数個の損傷(例えば、き裂や、破断、あるいは摩耗ないし減肉領域)を補修する際に、適用することができる。
そして、本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法は、各種の金属材料からなるタービン部品を補修する際に、適用することができる。特に、Ni基、Co基またはNi−Fe基の合金からなるガスタービン静翼を補修する際に、適用することができる。特に好ましくは、Cr28.5〜30.5%、C0.2〜0.3%、Ni9.5〜11.5%、W6.5〜7.5%およびB0.005〜0.01%を含むCo基合金材料からなるタービン部品、あるいはCo18〜20%、W1.5〜2.5%、Cr20〜24%、Al1.0〜1.5%、Ta0.8〜1.2%、Nb0.6〜1.0%、Hf0〜0.2%、Ti2.0〜2.5%、Mo0〜0.2%、C0.05〜0.15%、Zr0.002〜0.05%およびB0.01〜0.02%を含むNi基合金材料からなるタービン部品を補修する際に、採用することができる。なお、タービン部品は、単一の金属材料のみから形成されていてもよく、異なる金属材料または非金属材料からなる数種の部品が組み合わせからなることができる。
<補修材および補修材を付着させる工程>
本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法では、コールドスプレーで補修材を付着させる工程が行われる。例えば、好ましくは、図1に示されるように、コールドスプレーで、補修材をき裂30内に充填すること、あるいはタービン部品の使用によって生じた減肉(摩耗)部31を減肉(摩耗)する以前の形態に回復させるために、減肉領域に補修材を付着させて被覆することが行われる。ここで、本明細書において、「コールドスプレー」とは、「金属粉末を融点より低い温度の高速のガス流によって加速し、固相状態のまま基板に高速で衝突させ、主として基材および粒子の塑性変形によって金属粉末を付着させる技術」をいう。
コールドスプレー装置には、補修材4として、好ましくは、「拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料4a」と、「拡散熱処理の際に溶融するろう材4b」とを含んでなる「混合粉体材料」が供給される。ここで、「拡散熱処理の際に溶融するろう材4b」とは、拡散熱処理に付される前の条件(例えば、常温条件)では粉末状であるが、拡散熱処理が行われる温度条件下において溶融状態になる、ろう材をいう。
上記の「混合粉体材料」において、「拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料4a」と、「拡散熱処理の際に溶融するろう材4b」との混合割合(重量割合)は、Ni基溶融合金粉末材料:Co基非溶融合金粉末材料で表して、好ましくは20〜80:80〜20、特に好ましくは30〜70:70〜30、である。
前記の「拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料4a」としては、好ましくは、例えば、Co基合金の粉末材料およびNi基合金粉末材料を含むものを挙げることができる。Co基非溶融合金粉末材料の特に好ましい具体例としては、例えば、Cr15〜25%、Ni15〜25%、Ta5〜10%、C0.05%以下、W0.1%以下を含むCo−Ni−Cr系の合金粉末材料(溶融温度1380〜1425℃)およびCo10〜15%、Cr15〜20%、Al1〜1.5%、Ti0.5〜1%、Ta0.05〜0.15%、Mo8〜10%、Nb0.2〜0.4%、C0.02〜0.08%を含むNi基合金粉末材料(溶融温度1300〜1400℃を挙げることができる。
「粉末材料4a」の好ましい粒径は、70μm以下であり、特に好ましい粒径は、50μm以下である。ここで、粒径は、JIS Z2510によるものである。このような粒径であることによって、元素の拡散を容易に行うことができる。
一方、前記の「拡散熱処理の際に溶融するろう材4b」としては、好ましくは、例えばNi基合金粉末材料を含む粒子を挙げることができる。Ni基合金粉末材料の特に好ましい具体例としては、例えば、Cr10〜15%、Co15〜25%、Si3〜5%、B2〜5%を含むNi−Cr−Co−Si−B系の合金粉末材料(溶融温度1000〜1090℃)を挙げることができる。
「ろう材4b」の好ましい粒径は、70μm以下であり、特に好ましい粒径は、50μm以下である。ここで、粒径は、JIS Z2510によるものである。このような粒径であることによって、溶融を容易に行うことができ、元素拡散させることができる。
この「拡散熱処理の際に溶融するろう材4b」は、付着後に、拡散熱処理に付されて溶融した際に、タービン部品を構成している金属材料に対してぬれ性が良好なものが好ましい。ここで、「ぬれ性」とは、「JIS Z3191に定められており、広がり試験および間げき試験で評価する。ぬれ性が良好な場合、タービン部品の補修必要箇所3のき裂30の内壁面の深部ないし細部に浸透ないし付着する。また、吸収層5’(詳細後記)に迅速かつ十分な量、吸収されやすくなるので、吸収層による効果がより達成されやすくなる。
本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法によれは、複数の補修必要箇所に、補修材を、コールドスプレーを用いて、同時にあるいは逐次的に施すことができる(ここで、「複数の補修必要箇所」とは、「同一のタービン部品に存在する複数の補修必要箇所」だけでなく、「複数個の異なるタービン部品のそれぞれ存在する、複数の補修必要箇所」をも意味する。また、補修材を付着させる際には、それぞれの補修必要箇所の傾きは水平である必要がない。
コールドスプレーで補修材4を、き裂30内に充填する際、あるいは減肉部31を被覆する際は、き裂30の開口部(即ち、翼面2の面におけるき裂30の開口部)よりも補修材4’が盛り上がるように、あるいは減肉部31の減肉体積以上の補修材4’を付着させることが好ましい。そして、き裂30の周辺部32、あるいは減肉領域31の周辺部32にも同時に補修材4’を付着させることが好ましい。コールドスプレーで施された補修材4’が、例えば、その後の拡散熱処理の際に溶融して、その一部が吸収層5’に吸収されたり、コールドスプレーで施された補修材4’中に内包されていた成分が、その後の拡散熱処理の際に離脱して、凝固乾燥後の補修材4’の体積がコールドスプレー直後よりも減少する場合があるからである。
コールドスプレーは、空気中で行うことも可能であるが、場合により、不活性ガス等の非酸化性ガス雰囲気中で行うこともできる。
<吸収層および吸収層の形成工程>
本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法では、上記の工程によって付着された補修材4’の表面に吸収層5’を形成する工程が行われる。
この工程は、吸収層5’となる形成材料を、例えば補修材4’の表面にローラや刷毛等を用いて塗布することによって行うことができるし、従来の一般的な噴霧器等に用いて行うことができるが、本発明の実施形態では、補修材4を付着させる際に用いたようなコールドスプレーを採用することが好ましい。
この時、吸収層5’を形成させる材料としては、コールドスプレーによって補修材の表面に膜を形成可能なものであって、そして、補修材4’の表面に接して吸収層5’が形成された後は、後述する熱拡散処理の温度条件で溶融しないものを用いることが好ましい。
吸収層5’の形成材料をコールドスプレー装置に供給する際は、好ましくは粒径150〜300μmで、特に好ましくは粒径200〜250μmの粉末材料として供給することが好ましい。
吸収層5’を形成させる材料の好ましい具体例としては、例えば、Ni10〜40%、Cr10〜20%、その他SiおよびFeを含むNi−Cr系の合金粉末材料(溶融温度1050〜1100℃)を挙げることができる。
この吸収層5’の形成材料は、熱拡散処理の際に溶融したろう材に対して濡れ性が良いものが好ましい。。
吸収層5’は、タービン部品1に付着された補修材4’の表面を覆うように形成することができる。特に、図1Dに示されるように、吸収層5は、タービン部品1に付着された補修材4’の実質的に全ての表面を覆うことに加えて、タービン部品1の表面であって、前記補修材4’が付着した周辺部32に加えて、補修材4’が付着されていない周辺部33も含めて、連続的に覆うように形成されていることが好ましい。吸収層5’の厚さは、好ましくは、2〜3mm程度で、できるだけ薄いことが好ましい。
このように、吸収層5’自体が、タービン部品1の表面に直接付着されている部分(即ち、補修材4’を介することなく直接付着されている部分(即ち、周辺部33))が存在することによって、吸収層5’の付着強度がさらに向上して、吸収層5’の補修材4’に対する形態安定化層として機能が向上する。
このことによって、き裂等の補修必要箇所3が傾いていたとしても、溶融したろう材4b”が、吸収層5’に吸収され、そしてこの吸収剤層5’がタービン部品にしっかり付着されているので、「溶融したろう材4b”」や「拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料4a’」が補修必要箇所3から流出することが防止されている。
特に、吸収層5’は、多孔質体であることが好ましく、吸収層5’の内面側(即ち、補修材4’側の面)に開口した細孔を有するもの、特に、複数の細孔のいくつかが繋がって連結しているもの、が好ましい。
このような、ろう材に対して濡れ性がよく、かつ多孔質構造を有する吸収層5’は、溶融したろう材4b”の吸収性が良好でかつろう材b”の保持能力も高いので、タービン部品の傾き等によって、き裂30や減肉部31ならびにその周辺部32等に付着させた補修材4’が外部へ流出することが効果的に防止される。
<拡散熱処理>
本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法では、吸収層5’の形成後に、前記の補修材4’を、この補修材4’を構成するろう材4b’の溶融温度以上の温度に加熱し、拡散熱処理を行なう工程が行われる。
拡散熱処理の温度は、補修材4’の内容、例えば「拡散熱処理の際に溶融するろう材4b’」等の種類などに応じて、最適な処理条件を適宜定めることができる。
拡散熱処理の温度は、例えば、「拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料4a’」として、Co‐Ni‐Cr系合金粉末あるいはNi基合金粉末を用い、「拡散熱処理の際に溶融するろう材4b’」として、Ni‐Cr‐Co‐Si‐B系合金粉末を用いた場合は、1050〜1150℃、好ましくは1070〜1100℃、である。高強度化熱処理工程の温度は、上記温度範囲内の所定の温度で一定であることが好ましいが、上記温度範囲で変動してもよい。
拡散熱処理の実施時間は、一般に、10分間以上、30分間以下、好ましくは15分間以上、20分間以下、である。拡散熱処理の実施時間が十分でない場合は、未溶融となり、一方、実施時間が長すぎる場合は、工数増大となることから、好ましくない。
拡散熱処理終了後、前記の液化したろう材を固化させる工程を行う。この工程は、補修されたタービン部品を、例えば、そのまま空気中で放置することによって行うことができるし、真空中あるいは不活性ガス等の非酸化性ガス雰囲気中で放置、あるいは不活性ガスの吹きつけ等によって、常温まで冷却することができる。
本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法によれは、上記の「複数の補修必要箇所」に施された補修材を、必要に応じて、同時に、拡散熱処理に付すことができる。この拡散熱処理に際しては、それぞれの補修必要箇所の傾きは水平である必要がない。よって、従来のような、例えば溶融したろう材をき裂内に充填したり、き裂内に充填した粒状の補修材を、その後に加熱して流動化させることからなる補修方法に比べて、極めて効率的に補修作業を行うことができる。
<他の処理工程>
本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法においては、上記の補修工程に先だって、必要に応じて、他の処理工程を実施することができる。そのような他の処理工程としては、例えば、洗浄処理、酸化ないし腐食物の除去処理、溶体化処理等を挙げることができる。ここで、酸化ないし腐食物の除去処理とは、具体的には、損傷を補修する前に、タービン部品の表面に存在している酸化物および腐食物を含む層を除去する処理工程である。この除去工程は、例えば、微粒子を吹き付けることからなるブラスト法、グラインダーによる研磨法等による機械的研磨や、還元性ガス(例えば水素ガスまたはフッ化水素)等による還元処理によって行うことができる。この除去処理工程を実施することによって、ろう材の流れ性や浸透性の向上、ろう付け強度や溶接強度等を向上させることができる。また、溶体化処理とは、具体的には、損傷を補修する前に、タービン部品の表面部を溶体化温度に加熱して、タービン部品を形成している金属組織の均一化ならびに改質を行うことができる。この溶体化処理を実施することによって、溶接性が改善されたものとすることができる。溶体化処理の処理温度は、好ましくは1150〜1190℃、特に好ましくは1160〜1180℃であり、処理時間は、好ましくは30〜480分、特に好ましくは120〜240分である。
そして、本発明の実施形態によるタービン部品の補修方法においては、必要に応じて、補修後に、例えば、図1のタービン部品の補修された部分を平坦化、あるいはタービン部品としての機能を回復ないし向上させるために、研磨などの形状補正工程を実施することができる。研磨は、例えば、微粒子を吹き付けることからなるブラスト法、グラインダーによる研磨法等による機械的研磨などを挙げることができる。
〔補修されたタービン部品の製造方法〕
本発明の実施形態による補修されたタービン部品の製造方法は、
タービン部品の補修が必要な箇所に、コールドスプレーで補修材を付着させる工程と、
この付着された補修材の表面に吸収層を形成する工程と、
前記の補修材を、この補修材を構成するろう材の溶融温度以上の温度に加熱し、拡散熱処理を行なって、補修を行う工程と、
前記の液化したろう材を凝固させる工程と、
を含んでなること、を特徴とする。
この補修されたタービン部品の製造方法における補修材を付着させる工程吸、収材層を形成する工程および補修を行う工程は、それぞれ、前述したタービン部品の補修方法における各工程と実質的に同様のものである。これらの各工程は、上記の〔タービン部品の補修方法〕の項において、詳細に記載されている通りである。
以上、本発明のいくつかの実施形態によるタービン部品の補修方法および補修されたタービン部品の製造方法を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更あるいは付加等を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本発明に係るガスタービン高温部品のき裂、減肉の拡散ろう付け補修方法の実施例について図面を参照して述べる。
図2は、本実施形態による特に好ましい補修方法の流れを模式的に示している。
図2に示される補修方法は、受入れ検査11、酸化・腐食層の除去12、コールドスプレーを用いた補修材の付着13、コールドスプレーを用いた吸収の形成14、拡散熱処理15、吸収層の除去16、出荷前検査17の各工程が、この順番で実施される方法である。
<実施例1>
実施例1では、上記のき裂、減肉の補修を実機静翼と同じ材料を用いて実験室的にき裂を模擬した材料を用いて実験を行った。なお、実験室的な試験材を用いているため、図2に示された受入れ検査、酸化・腐食層の除去、吸収層の除去、出荷前検査は省略している。補修対象となるタービン部品は、下記表1に示されるCo基超合金FSX414からなるものである。
Figure 2020094499
ここでは、図3に示されるように、基板状のタービン部品18(図3A)に対してき裂を模擬するためにワイヤカットで溝19を作成した(図3B)。次に、加工時の油や汚れを除去するために事前に材料全体を脱脂洗浄した後、補修材をコールドスプレーにて、上記で作成した溝19に付着させた(図3C)。補修材には、Ni基溶融合金粉末と、Co基非溶融合金粉末とを配合したものを用いた。付着したNi基溶融合金粉末20’は、Ni−Cr−Co−Si−B系で、付着したCo基非溶融合金粉末21’はCo−Ni−Cr系である。その上に、拡散熱処理時に補修材が流出を防止するため、拡散熱処理温度と同等ないし融点が高いNi−Cr系の合金粉末を、コールドスプレーで吹きかけて、ポーラスな構造となる吸収層22’を形成した(図3D)。
次に、上記のように作成した試験材を、真空熱処理炉に装入し、1090℃の条件で拡散熱処理を行った後、補修部の断面観察を行った。図3に、断面の模式図を各プロセスでの断面とともに示す。
拡散熱処理後、補修部は、Co基非溶融合金粉末21’と、Ni基溶融合金粉末20’に由来する溶融物の凝固物20”とが均一に混在した組織を呈しており、空洞などがない健全な補修部であることが確認できた(図3E)。また、拡散熱処理の後、Ni基溶融合金は、吸収層22’の隙間に染み込む形態を示していた。Ni基溶融合金粉末20’が液体となり、毛細管現象によりこのような形態になったものと考えられる。
本実施例1によれば、き裂が補修材で充填でき、かつ補修面が傾いても補修材が吸収層22’の隙間に優先的に染み込むことから、補修材の流出が防止できる。
<実施例2>
ここでは、実プラントで使用した静翼で表1に示す材料と同等であるCo基超合金のガスタービン第一段静翼を対象に実施した例を示す。ここでの補修方法は、図2に示される手順で行った。
本第一段静翼は、実機で長時間使用されたものであることから、補修するき裂23の表面は酸化皮膜が生成しており、この状態ではろう材が濡れないため、水素雰囲気中で熱処理して、き裂面の酸化物を除去した。
補修材には、Ni基溶融合金粉末と、Co基非溶融合金粉末とを混合したものを用いた。Ni基溶融合金粉末はNi−Cr−Co−Si−B系であり、Co基非溶融合金粉末はCo−Ni−Cr系である。これらを、コールドスプレーで、この第一段静翼の翼部24のき裂23の内部および周辺部に吹き付けた。
その上に、拡散熱処理時に補修材が流出を防止するため、拡散熱処理温度と同等ないし融点が高いNi−Cr系の合金粉末を、コールドスプレーで吹きかけて、ポーラスな構造となる吸収層25’を形成した。
次に、上記のように作成した試験材を、真空熱処理炉に装入し、1080℃の条件で拡散熱処理を行った後、補修部の断面観察を行った。図4に断面の模式図を示す。
拡散熱処理後、補修部は、Co基非溶融合金粉末26’と、Ni基溶融合金粉末に由来する溶融物の凝固物27”とが均一に混在した組織を呈しており、空洞などがない健全な補修部であることが確認できた。また、Ni基溶融合金粉末は、拡散熱処理後は、吸収層25’の隙間に染み込む形態を示していた。Ni基溶融合金粉末が液相となり、毛細管現象によりこのような形態になったものと考えられる。さらに、き裂23が、反対面まで貫通しており、補修面が垂直になる静翼のインナーウォール部28やアウターウォール部29でも補修材の流出は認められなかった。
図5は、図4の吸収層25’および補修材の盛り上がり部をグラインダーによって除去して表面を仕上げ、目視検査した後に、補修部を切断し、断面観察を行った際の模式図である。補修部の内部および表面上の欠陥は認められず、健全な補修であることが確認できた。
次に、補修部の高温強度を確認した。図6に、補修した静翼の補修部を含めた試験片40(3サンプル)の低サイクル疲労試験による破損繰返し数を、未使用の静翼41(3サンプル)の同値と比較して示す。試験データにば、若干のばらつきがあるものの、補修材40の破損繰返し数は、未使用の静翼41とほぼ同等の値を示した。
本実施例2によれば、いずれの方向のき裂で、き裂が貫通していても補修材で充填されており、補修対象物を変形させることなく、補修していない材料と同等の高温強度となる補修ができ、再使用が可能となった。なお、補修材を装填する部位は、き裂だけでなく、酸化またはエロージョンによって減肉された凹んだ損傷部を対象とする補修でも本手法が有効である。
<実施例3>
ここでは、実プラントで使用したガスタービンの第二段静翼を補修対象とする実施例を示す。この静翼は、下記表2に示されるNi基超合金からなる。
Figure 2020094499
ここでの補修方法は、図2に示される手順で行った。
本第二段静翼は、実機で長時間使用されたものであることから、補修するき裂43の表面は酸化皮膜が生成しており、この状態ではろう材が濡れないためフッ化水素雰囲気中で熱処理し、き裂面の酸化物を除去した。フッ化水素雰囲気での熱処理ができない場合は、き裂周りの酸化層をグラインダーなどで機械的に除去することができる。
補修材には、Ni基溶融合金粉末と、静翼を構成する金属材料と類似した成分のNi基非溶融合金粉末とを配合したものを用いた。Ni基溶融合金粉末はNi−Cr−Co−Si−B系であり、Ni基非溶融合金粉末はNi−Co−Cr系である。これらを、コールドスプレーで、この第二段静翼の翼部44のき裂43の内部および周辺部に吹き付けた。
その上に、拡散熱処理時に補修材が流出を防止するため、拡散熱処理温度と同等ないし融点が高いNi−Cr系の合金粉末を、コールドスプレーで吹きかけて、ポーラスな構造となる吸収層45’を形成した。
次に、上記のように作成した試験材を、真空熱処理炉に装入し、1090℃の条件で拡散熱処理を行った後、補修部の断面観察を行った。図7に断面の模式図を示す。
拡散熱処理後、補修部は、Ni基非溶融合金粉末46’と、Ni基溶融合金粉末に由来する溶融物の固化物47”とが均一に混在した組織を呈しており、空洞などがない健全な補修部であることが確認できた。また、Ni基溶融合金粉末は、拡散熱処理後は、吸収層45’の隙間に染み込む形態を示していた。Ni基溶融合金粉末が液相となり、毛細管現象によりこのような形態になったものと考えられる。さらに、き裂43が、反対面まで貫通しており、補修面が垂直になる静翼のインナーウォール部48やアウターウォール部49でも補修材の流出は認められなかった。
図8は、図7の吸収層45’および補修材の盛り上がり部をグラインダーによって除去して表面を仕上げ、目視検査した後に、補修部を切断し、断面観察を行った際の模式図である。補修部の内部および表面上の欠陥は認められず、健全な補修であることが確認できた。
次に、補修部の高温強度を確認した。図9に補修した静翼の補修部を含めた試験片50(3サンプル)での低サイクル疲労試験による破損繰返し数を、未使用の静翼51(3サンプル)の値と比較して示す。試験データに、若干のばらつきがあるものの、補修材の破損繰返し数は、未使用の静翼43とほぼ同等の値を示した。
本実施例3によれば、いずれの方向のき裂で、き裂が貫通していても補修材で充填されており、補修対象物を変形させることなく、補修していない材料と同等の高温強度となる補修ができ、再使用が可能となった。なお、補修材を装填する部位は、き裂だけでなく、酸化またはエロージョンによって減肉された凹んだ損傷部の補修でも本手法が有効である。
〔発明の効果〕
以上の通り、本発明に係るガスタービン高温部品のき裂、減肉の拡散ろう付け補修方法およびその高温部品において、異なる方向のき裂、貫通したき裂でもろう付け補修材で充填され、補修材の流出がなく、母材とほぼ同等の高温強度が確認できた。また、拡散ろう付け処理を複数回に分けて実施する必要がなく、合理的な補修が達成できた。
1・・・タービンの静翼、2…翼面、3…補修が必要な箇所、30…き裂、31…減肉部、32・・・周辺部、4’・・・付着した補修剤、4a’…拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料の付着物、4b’…拡散熱処理の際に溶融するろう材の付着物、4b”…固化したろう材、5’…吸収層、11…受入れ検査、12…酸化・腐食層の除去、13…コールドスプレーを用いた補修材の付着、14…コールドスプレーを用いた吸収の付着、15…拡散熱処理、16…吸収層の除去、17…出荷前検査、18…タービン部品、19…溝、20’…付着したNi基溶融合金粉末、21’…付着したCo基非溶融合金粉末、22’…吸収層、23…き裂、24…翼部、25’…吸収層、26’…Co基非溶融合金粉末、27”…Ni基溶融合金粉末に由来する溶融物の固化物、28…インナーウォール部、29…アウターウォール部、40…補修した静翼、41…未使用の静翼、43…き裂、44…翼部、45’…吸収層、46’…Ni基非溶融合金粉末と、47”…Ni基溶融合金粉末に由来する溶融物の固化物、48…インナーウォール部、49…アウターウォール部、50…補修した静翼、51…未使用の静翼

Claims (9)

  1. タービン部品の補修が必要な箇所に、コールドスプレーで補修材を付着させる工程と、
    この付着された補修材の表面に吸収層を形成する工程と、
    前記の補修材を、この補修材を構成するろう材の溶融温度以上の温度に加熱して、拡散熱処理を行なう工程と、
    前記の液化したろう材を固化させる工程と、
    を含んでなることを特徴とする、タービン部品の補修方法。
  2. 前記の吸収層を、コールドスプレーを用いて形成する、請求項1に記載のタービン部品の補修方法。
  3. 前記の補修材は、前記の拡散熱処理の際に溶融するろう材と、前記の拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料とを含んでなる、請求項1または2に記載のタービン部品の補修方法。
  4. 前記の拡散熱処理の際に溶融するろう材は、Ni基合金の粉末材料を含むものである、請求項3に記載のタービン部品の補修方法。
  5. 前記の拡散熱処理の際に溶融しない粉末材料は、Co基合金粉末材料、またはNi基合金粉末材料を含むものである、請求項3または4に記載のタービン部品の補修方法。
  6. 前記のタービン部品の補修が必要な箇所が、タービン部品の使用によって発生した、き裂もしくは貫通孔、あるいは摩耗によって生じた減肉領域である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタービン部品の補修方法。
  7. 前記の吸収層は、多孔質構造を有している、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタービン部品の補修方法。
  8. 前記のタービン部品は、ガスタービンの静翼、動翼、燃焼器ライナ、トランジションピース、シュラウドセグメントおよび圧縮機から選ばれるものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のタービン部品の補修方法。
  9. タービン部品の補修が必要な箇所に、コールドスプレーで補修材を付着させる工程と、
    この付着された補修材の表面に吸収層を形成する工程と、
    前記の補修材を、この補修材を構成するろう材の溶融温度以上の温度に加熱し、拡散熱処理を行なう工程と、
    前記の液化したろう材を固化させる工程と、
    を含んでなることを特徴とする、補修されたタービン部品の製造方法。
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