JP2020094205A - 蓄熱材及び蓄熱材の製造方法 - Google Patents

蓄熱材及び蓄熱材の製造方法 Download PDF

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Kenichi Fujisaki
健一 藤崎
小関 祐子
Yuko Koseki
祐子 小関
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Abstract

【課題】 空隙率と蓄熱性粒子の含有率を好適に調整可能な蓄熱材を提供することにあり、さらには、空隙と蓄熱性粒子の両者を高密度で含有することが可能な蓄熱材を提供する。【解決手段】 蓄熱性粒子が樹脂で被覆された被覆粒子が前記樹脂にて結合してなり、前記蓄熱性粒子に前記樹脂の水分散液を混合した際の蓄熱性粒子100質量部に対する前記樹脂の水性分散液の吸収量が70質量部以下である蓄熱材により、成形されたフォーム材に蓄熱性粒子を保持させた構成や樹脂マトリクス中に独立気泡や蓄熱性粒子が分散した構成に比べ、蓄熱性粒子と空隙の両者を高密度で含有することができる。また、空隙率と蓄熱性粒子の含有率の調整も容易であることから、所望の用途に応じて蓄熱性や断熱性を好適に調整できる。【選択図】 図2

Description

本発明は、各種使用態様に応じた適温保持、省エネルギー化が可能な蓄熱材に関する。特に、住宅等の居住空間や自動車等の室内の適温保持に有用な蓄熱材に関する。
近年、住宅やオフィス等の居住空間において省エネルギー化の要請が高まっており、住宅等に使用される建築材料にも省エネルギー化に貢献する材料が求められている。一般的には、床、天井、壁面等に断熱材を用いて冷暖房の効率化が図られているが、さらなる省エネルギー化のために各種材料の検討がなされている。また、自動車や航空機等の閉空間や、冷蔵車等の冷蔵庫内においても同様に省エネルギー化の要請が高い。
このような蓄熱性の材料として、発泡樹脂に蓄熱性粒子を含む塗液を塗布した蓄熱性発泡体や、フォーム材に蓄熱性粒子をさせた建材等が開示されている(特許文献1〜2参照)。
特開平10−300373号公報 特開2001−303030号公報
気泡と蓄熱性粒子とを有する蓄熱性材料は、気泡と蓄熱性粒子により断熱性や蓄熱性を有するものであるが、建材等への実用化に際しては、蓄熱性や保温性、断熱性の更なる向上が求められていた。
本発明が解決しようとする課題は、蓄熱性粒子を含有しながらも好適な成型性を有する蓄熱材を空隙率と蓄熱性粒子の含有率を好適に調整可能な蓄熱材を提供することにあり、さらには、空隙や蓄熱性粒子を高密度で含有することが可能な蓄熱材を提供することにある。
本発明は、蓄熱性粒子が樹脂で被覆された被覆粒子が前記樹脂にて結合してなり、前記蓄熱性粒子に前記樹脂の水性分散液を混合した際の蓄熱性粒子100質量部に対する前記樹脂の水性分散液の吸収量が70質量部以下である蓄熱材により、上記課題を解決するものである。
本発明の蓄熱材は、蓄熱性粒子が樹脂で被覆された被覆粒子が、当該被覆粒子により結合され、当該被覆粒子間に空隙を有する構成により、成形されたフォーム材に蓄熱性粒子を保持させた構成や樹脂マトリクス中に独立気泡や蓄熱性粒子が分散した構成に比べ、蓄熱性粒子や空隙、さらにはその両者を高密度で含有することができる。また、空隙率と蓄熱性粒子の含有率の調整も容易であることから、所望の用途に応じて蓄熱性や保温性、断熱性を好適に調整できる。
さらに、優れた蓄熱性や保温性、断熱性を有しながらも軽量化が可能であることから、大判の形状とした際の施工性や、輸送時の取り扱い性等にも優れる。また、空隙を有さない蓄熱材に比して、蓄熱材の含有量が少なくとも好適な蓄熱性や保温性、断熱性を実現できる。さらに、各種形状への成型や加工も容易であり、蓄熱性粒子の脱落も生じにくく、柔軟性の付与も容易であることから、各種用途に好適に適用できる。
このような本発明の蓄熱材は、各種用途に使用でき、住宅等の居住空間の壁材や壁紙、自動車、電車、航空機、農業ハウス等の室内、さらには、冷蔵車や冷蔵設備の冷蔵庫内、航空機の庫内等の閉空間、パソコンのCPUや蓄電池などの熱を発生する電気部品に適用する材料等、各種用途において好適に省エネルギー化に貢献できる。
実施例1の蓄熱材断面の顕微鏡写真である。 実施例3の蓄熱材断面の顕微鏡写真である。
本発明の蓄熱材は、蓄熱性粒子が樹脂で被覆された被覆粒子が前記樹脂にて結合してなり、前記蓄熱性粒子に前記樹脂の水性分散液を混合した際の蓄熱性粒子100質量部に対する前記樹脂の水性分散液の吸収量が70質量部以下の蓄熱材である。
[蓄熱性粒子]
本発明に使用する蓄熱性粒子は、有機系蓄熱性粒子や無機系蓄熱性粒子等、各種の公知の蓄熱性粒子を使用できる。なかでも、取扱いや成形体の成形が容易であることから、固体−液体の相変化による潜熱蓄熱材を含有する蓄熱性粒子が好ましい。
当該蓄熱性粒子は、相変化による溶融時の染み出し等の問題や、混入時の分散性を考慮して、有機材料等からなる外殻中にパラフィンなどの潜熱蓄熱材料を内包した、カプセル化された有機系蓄熱性粒子や、無機材料からなる無機系蓄熱性粒子を好ましく使用できる。
これら蓄熱性粒子の中でも、パラフィンや脂肪酸エステル等の有機系潜熱蓄熱材をメラミンやアクリル等の有機材料からなる外殻で被覆した蓄熱性カプセル粒子を好ましく使用できる。また、蓄熱性粒子としては、水の吸収量が少ないものを好ましく使用できる。
このような蓄熱性粒子としては、例えば、メラミン樹脂からなる外殻を用いたものとして、三菱製紙社製サーモメモリーFP−16,FP−25,FP−31,FP−39、三木理研工業社製リケンレジンPMCD−15SP,25SP,32SP等が例示できる。また、シリカからなる外殻を用いたものとして、三木理研工業社製リケンレジンLA−15,LA−25,LA−32等、ポリメチルメタクリレート樹脂からなる外殻を用いたものとして、BASF社製MicronalDS5001X,5040X等、ウレタン樹脂からなる外殻を用いたものとして、JSR社製CALGRIP NJ2021,NJ2721等が例示できる。
本発明に使用する蓄熱性粒子の粒子径は特に制限されないが、その平均粒子径が10〜3000μmであることが好ましい。当該範囲の粒子を使用することで得られる蓄熱材の空隙部を好適に形成しやすく、かつ良好な成型性を実現しやすくなる。当該粒子径は、30μm以上とすることが好ましく、50μm以上とすることがより好ましく、100μm以上とすることがより好ましい。また、好適な空隙部の形成や良好な成型性と共に、好適に粒子を保持しやすいことから、蓄熱性粒子の平均粒子径を3000μm以下とすることが好ましく、2000μm以下とすることがより好ましく、1000μ以下とすることが特に好ましい。当該粒子径は、一次粒子の平均粒子径が上記範囲であることが好ましい。
蓄熱性粒子の平均粒子径は、平均粒径はレーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製のLA−950V2)により測定して、得られたメジアン径(累積分布の50%に相当する粒径、50%粒径)を平均粒径とする。
潜熱蓄熱材は、特定の温度の融点において相変化する。すなわち、室温が融点を超えた場合は、固体から液体へ相変化し、室温が融点より下がった場合は、液体から固体へ相変化する。潜熱蓄熱材の融点は、その使用態様に応じて調整すればよく、−20℃〜120℃程度の温度範囲にて固/液相転移を示すものを適宜使用できる。例えば、住宅等の居住空間や、自動車、電車、航空機、農業ハウス等の室内等の適温を維持し、省エネルギー化を図る場合には、この融点を日常生活に適した温度、具体的には10〜35℃、好ましくは15〜30℃に設計した潜熱蓄熱材を混入する事により、適温維持性能を発揮する事ができる。より詳細に冬季又は夏季の適温維持性能を調整する場合には、冬場の暖房効果を持続させる事を目的とすれば25〜28℃程度を融点とした潜熱蓄熱材を混入する。もしくは、夏場の冷房効率を持続させる事を目的とすれば20〜23℃程度を融点とした潜熱蓄熱材を混入する事ができる。両方の効果を発現するには融点設計の異なる2種類以上の潜熱蓄熱材を混入すればよい。また、冷蔵設備等の庫内の省エネルギー化を図る場合には、−10℃〜5℃程度の融点の潜熱蓄熱材を使用すればよい。
[樹脂]
本発明に使用する樹脂は、上記蓄熱性粒子を被覆すると共に当該被覆粒子間を結合する樹脂である。当該樹脂が被覆粒子間を三次元網目状に結合することで、空隙部を有する蓄熱材を形成できる。
本発明においては、使用する蓄熱性粒子に前記樹脂の水性分散液を混合した際の蓄熱性粒子100質量部に対する前記樹脂の水性分散液の吸収量が70質量部以下である樹脂を使用することで、蓄熱材中に好適に空隙を確保しやすく、また、当該樹脂により被覆された蓄熱性粒子間を当該樹脂により好適に結合でき、好適な強度の蓄熱材を得ることができる。また、蓄熱材の製造に際しても良好な塗工性を確保しやすく、好適に蓄熱材を成型しやすくなる。当該吸収量は、60質量部以下とすることがより好ましく、55質量部以下とすることがさらに好ましく、50質量部以下とすることが特に好ましい。蓄熱性粒子に対する前記樹脂の水性分散液の吸収量は、例えば、JIS K5101−13−1に準じて測定することができる。なお、前記樹脂の水性分散液としては、水45質量部中に樹脂55質量部が分散した水性分散液を使用する。
当該樹脂の種類は特に制限されず、空隙部を有する構造を形成できる樹脂であれば特に制限なく使用できる。なかでも、蓄熱材の全体構造を好適に形成しやすく、また良好な空隙部の形成や空隙率の確保が容易であることから、機械発泡により空隙部を形成できるエマルジョン樹脂を好ましく使用できる。当該エマルジョン樹脂としては、例えば、アクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、エチレン酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン等が例示でき、なかでも、アクリル系エマルジョンは耐熱性や断熱性に優れ、ウレタン系エマルジョンは柔軟性に優れることから、特に好ましく使用できる。
エマルジョン樹脂の粒子径は、上記蓄熱性粒子の被覆や、樹脂で被覆された蓄熱性粒子間を好適に結着しやすいことから、その平均粒子径が30〜1500nmであることが好ましく、50〜1000nmであることが特に好ましい。エマルジョン粒子の平均粒子径は、動的光散乱法により測定される50%メジアン径、例えば、日機装(株)製マイクロトラックUPA型粒度分布測定装置により測定される体積基準での50%メジアン径を平均粒子径とすることができる。
[蓄熱材]
本発明の蓄熱材は、上記蓄熱性粒子が上記樹脂で被覆された被覆粒子が当該樹脂にて結合してなる構造体である。本発明の蓄熱材は、当該構成により、成形されたフォーム材に蓄熱性粒子を保持させた構成や樹脂マトリクス中に独立気泡や蓄熱性粒子が分散した構成に比べ、蓄熱性粒子と空隙の両者を高密度で含有することができる。また、空隙率と蓄熱性粒子の含有率の調整も容易であることから、所望の用途に応じて蓄熱性や保温性、断熱性を好適に調整できる。さらに、軽量で各種形状への成型や加工も容易であり、蓄熱性粒子の脱落も生じにくく、柔軟性の付与も容易であることから、各種用途に好適に適用できる。
本発明の蓄熱材は、蓄熱性粒子が樹脂で被覆された被覆粒子間を当該被覆樹脂が結合し、当該被覆樹脂間に空隙を有する構造である。蓄熱材の比重は0.15〜0.9であることが好ましく、0.3〜0.9であることが好適な温度保持性を得やすいため好ましい。また、軽量化が容易であり、好適な加工性も得やすくなる。
本発明の蓄熱材中の蓄熱性粒子の含有率は、所望の用途に応じて適宜調整できるが、好適な蓄熱性や断熱性を実現しやすいことから、15〜80質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。
蓄熱材中の樹脂含有率は、空隙及び蓄熱性粒子の含有量の調整や、両者の含有量を向上させやすいことから、20〜85質量%であることが好ましく、50〜70質量%であることがより好ましい。
また、好適な温度保持性や断熱性を得やすいことから、蓄熱性粒子と樹脂の含有量比が、蓄熱性粒子/樹脂で表される固形分質量比で80/20〜15/85であることが好ましく、50/50〜30/70であることがより好ましい。
本発明の蓄熱材は各種形状に成型でき、取り扱いの容易なシート状への成型も容易である。また切断等の加工も容易であることから、取り扱い性に優れる。
形状や大きさは、所望の用途等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、建築材料用のシート状とする場合には、その厚みが1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。
本発明の蓄熱材は、JIS K5600−5−1(1999)に準拠した耐屈曲性試験において割れの生じるマンドレル直径が25mm以下、好ましくは20mm以下、より好ましくは16mm以下とすることで、好適な柔軟性や各種材料への優れた追従性を確保できる。
また、蓄熱材のJIS L1913(2010)に規定するガーレ法に準拠して測定した剛軟度が0.1〜30mNであることが好ましく、0.5〜20mNであることがより好ましく、1〜10mNであることが更に好ましい。剛軟度を当該範囲とすることで、好適な柔軟性や各種材料への優れた追従性を確保できる。
本発明の蓄熱材は、好ましくは引張強さを0.1MPa以上とすることで、柔軟性を有しながらも強靭な層とすることができ、加工時や搬送時等にも割れが生じにくく、好適な加工性や取扱い性、搬送適正、曲げ適性等を得やすくなるため好ましい。引張強さは0.2MPa以上であることがより好ましい。引張強さの上限は特に制限されるものではないが、15MPa以下程度であることが好ましく、10MPa以下であることがより好ましく、5MPa以下であることが特に好ましい。
また、蓄熱材の引張破断時の伸び率を好ましくは10%以上とすることで、シートの脆化を抑制でき、加工時や搬送時等に曲げや歪みが生じた場合にも、割れや欠けが生じにくいため好ましい。引張破断時の伸び率は30%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましい。伸び率の上限は1000%以下であることが好ましく、500%以下であることがより好ましく、300%以下であることが更に好ましい。伸び率を当該範囲とすることで、強靭でありながら好適な柔軟性を実現でき、良好な加工性や取扱い性、搬送適正、各種材料への追従性等を得やすくなる。
引張強さ、引張破断時の伸び率は、JIS K6251に準じて測定される。具体的には、蓄熱層単体をシート状に形成した蓄熱シートをダンベル状2号形に切り出し、初期の標線間距離を20mmとして2本の標線をつけた試験片を作成する。この試験片を引張り試験機に取り付け、速度200mm/minで引っ張って破断させる。この時、破断までの最大の力(N)、及び破断時の標線間距離(mm)を測定し、以下の式により引張り強さと引張り破断時の伸び率を算出する。
引張強さTS(MPa)は以下の式により算出する。
TS=Fm/Wt
Fm:最大の力(N)
W:平行部分の幅(mm)
t:平行部分の厚さ(mm)
引張り破断時の伸び率Eb(%)は以下の式により算出する。
Eb=(Lb−L0)/L0×100
Lb:破断時の標線間距離(mm)
L0:初期の標線間距離(mm)
本発明の蓄熱材には、必要に応じて各種添加剤を含有してもよい。当該添加剤としては、例えば、難燃剤、ホルムアルデヒド等の有害物質吸着剤、着色顔料、消臭剤等を好ましく使用できる。
[製造方法]
本発明の蓄熱材の好ましい製造方法としては、樹脂、蓄熱性粒子及び水性媒体を含有するエマルジョン樹脂組成物を機械発泡させた後、塗布や注型し、乾燥して製造する方法を使用できる。当該製造に際しては、乾燥後に必要に応じて熱や紫外線等により硬化してもよい。
エマルジョン樹脂組成物に使用する水性媒体としては、水を好ましく使用できる。また、水と水溶性溶剤との混合物であってもよい。水溶性溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の極性溶剤等を使用でき、1種又は2種以上を使用してもよい。
本発明の蓄熱材は、エマルジョン樹脂組成物のほか、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤、難燃剤、架橋剤、その他の添加物を含んでいてもよい。例えば、起泡した泡の微細化や安定化のために、任意の界面活性剤を使用できる。界面活性剤としては特に制限されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれを用いてもよいが、起泡した泡の安定性の観点から、アニオン系界面活性剤が好ましく、特にステアリン酸アンモニウム等の脂肪酸アンモニウム系界面活性剤がより好ましい。界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に使用するエマルジョン樹脂組成物中には、起泡した泡の安定性や成膜性を向上させるために増粘剤を必要量含有してもよい。増粘剤としては、例えば、アクリル酸系増粘剤、ウレタン系増粘剤、ポリビニルアルコール系増粘剤等を使用できる。なかでも、アクリル酸系増粘剤、ウレタン系増粘剤を好ましく使用できる。
本発明のエマルジョン樹脂組成物中には、蓄熱材の難燃性を向上させるために難燃剤を必要量含有してもよい。当該難燃剤としては、特に制限されるものではなく、有機難燃剤、無機系難燃剤を適宜使用できる。有機難燃剤としては、例えば、リン系化合物、ハロゲン化合物、グアニジン化合物などがあり、具体的にはリン酸第一アンモニウム、リン酸第二アンモニウム、リン酸トリエステル、亜リン酸エステル、フォスフォニウム塩、リン酸トリアミド、塩素化パラフィン、臭化アンモニウム、デカブロモビスフェノール、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモエタン、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモフェニルオキサイド、ペンタブロモオキサイド、ヘキサブロモベンゼン、塩酸グアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グアニル尿素等を例示できる。無機系難燃剤としては、例えば、アンチモンやアルミニウムの化合物、ホウ素化合物、アンモニウム化合物などがあり、具体的には、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、四ホウ酸ナトリウム十水和物(ホウ砂)、硫酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム等を例示できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のエマルジョン樹脂組成物中には、蓄熱材の強度を向上させるために硬化剤を必要量含有してもよい。当該硬化剤としては、使用する水分散性樹脂の種類に応じて適宜選択すればよく、エポキシ系硬化剤、メラミン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤等を例示できる。
エマルジョン樹脂組成物中のエマルジョン樹脂の含有量は、例えば、アクリル系エマルジョン樹脂を使用する場合には、水性媒体100質量部に対して、30〜200質量部とすることが好ましく、50〜150質量部とすることがより好ましい。当該範囲とすることで、粘度を良好な範囲に調整しやすく、また、安定な発泡性を得やすくなる。エマルジョン樹脂組成物中の蓄熱性粒子の含有量は、蓄熱材中の蓄熱性粒子/樹脂の比率が上記した比率となるように含有すればよい。
エマルジョン樹脂組成物中に界面活性剤を使用する場合の含有量は、好適な発泡性を得やすいことから、エマルジョン樹脂100質量部(固形分)に対して、30質量部以下とすることが好ましく、0.5〜20質量部とすることがより好ましく、3〜15質量部とすることがさらに好ましい。増粘剤を使用する場合には、エマルジョン樹脂100質量部(固形分)に対して、0.1〜10質量部とすることが好ましく、0.5〜8質量部とすることがより好ましい。
[蓄熱積層体]
本発明の蓄熱材は、各種の機能層と積層することで蓄熱積層体とすることも好ましい。機能層との積層としては、断熱層との積層体が好ましい構成として例示できる。本発明の蓄熱材は、当該断熱層との積層により、極めて優れた温度保持性や断熱性を実現できる。当該断熱層との積層体は、例えば建築物の壁面や床面、天井面等の建築材料として使用した際に、蓄熱層の熱吸収及び熱放出が室内側と効果的になされ、室内の適温維持効果を特に好適に発揮することができる。また、室内の熱の流出を防ぐ、もしくは、外気からの熱の影響の軽減にも有効である。本発明の蓄熱積層体は、これら複合作用により、室内の温度変化を抑制し、室内を適温に保つ事ができる。また、エアコンや冷蔵設備等の空調機器を使用した場合に、その消費エネルギーを低減することもできる。これにより、好適に室内の省エネルギー化に貢献できる。
断熱層としては、熱伝導率が0.1W/m・K未満の層を好ましく使用できる。当該断熱層は、蓄熱層から外気への熱の流出を防ぎ、かつ、外気の温度影響を低減させる効果を発揮するものである。断熱層は、熱伝導率が0.1W/m・K未満の層を形成できるものであれば特に限定されず、例えば、発泡樹脂シート、断熱材料を含有する樹脂シート等の断熱シートや、押出し法ポリスチレン、ビーズ法ポリスチレン、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム等の断熱ボード等を適宜使用できる。なかでも、断熱シートは施工性を確保しやすいため好ましく、断熱材料を含有した樹脂シートである事が熱伝導率を低減できるためより好ましい。また、発泡シートは入手が容易であり、安価であるため好ましい。
断熱層はシート状とすることで施工性を確保しやすくなるが、なかでも、円筒形マンドレル屈曲試験機(JIS K 5600)による測定値が、マンドレル直径で2〜32mmであることが好ましい。
断熱層に使用する断熱材料は、蓄熱積層体の断熱性を高めるものであり、例えば、多孔質シリカ、多孔質アクリル、中空ガラスビーズ、真空ビーズ、中空ファイバーなどが挙げられる。この断熱材料5は、公知のものを用いればよい。本発明では、特に、多孔質アクリルを好適として用いる事ができる。断熱材料の粒径は、限定される事はないが、1〜300μm程度である事が好ましい。
断熱層として断熱材料を含有する樹脂シートを使用する場合には、断熱材料を、ベースとなる樹脂材料に混入してシート成形を行う。樹脂材料としては、前述と同様に、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂などが挙げられる。ポリエステルとしては、A−PET、PET−G等を使用できる。なかでも、火災時の低燃焼性の面から、自己消化性である塩化ビニル樹脂を好適に用いる事ができる。
シートの成形方法としては、例えば、塩化ビニル樹脂と可塑剤と断熱材料を、押出し成形、カレンダー成形などの成形機を用いてシートの成形を行う。
断熱層中の断熱材料の含有量は、断熱層中の20質量%以上であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、30〜80質量%であることが更に好ましく、40〜80質量%であることが特に好ましい。断熱材の含有量を当該範囲とすることで、好適に断熱効果を発揮でき、また、断熱層を形成しやすくなる。
断熱層中には、必要に応じて、可塑剤、難燃材等の添加剤を配合してもよい。
断熱層の層厚は、特に限定されないが、厚みが増す程室内の保温性が上がる。シートとしての湾曲性や施工性を保有する為には、50〜3000μm程度である事が好ましい。
また、不燃紙等の不燃層と積層することで難燃性を向上させることができ、居住空間への適用に特に好適である。また、例えば、熱拡散層や断熱層と積層することで、蓄熱性をより効果的に発現することもできる。また、居住空間の内壁等へ適用するために、化粧層や装飾層を設けることもできる。
不燃層と積層した構成としては、本発明の蓄熱材の片面又は両面に不燃紙を積層した構成を例示できる。片面に不燃紙を積層した構成としては、本発明の蓄熱材を不燃紙に貼り合せた構成であってもよいが、不燃紙上に直接本発明の蓄熱材を形成する発泡組成物を塗布、乾燥した構成とすると形成が容易であるため好ましい。また、両面に不燃紙を有する構成としては、本発明の蓄熱材の両面に不燃紙を貼り合せた構成であってもよいが、不燃紙上に発泡組成物を塗布、乾燥した不燃紙積層蓄熱材の蓄熱材面同士を貼り合せることで容易に形成できる。
当該不燃紙としては、不燃性を有するものであれば特に限定しないが、例えば、紙に難燃剤を塗布、含浸、内添しているものを使用できる。難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、ステファミン酸塩等の塩基性化合物、ガラス繊維等が例示できる。
熱拡散層を積層した構成として室内等の閉空間に適用した場合には、熱拡散層で室内の熱を均一化する効果を持たせるとともに、室内(住宅等の居住空間や、自動車、電車、航空機等の室内、冷蔵車の冷蔵庫内、航空機の庫内等の閉空間等)からの熱を分散して熱抵抗が少なく蓄熱層へ伝える事ができる。蓄熱層では蓄熱性粒子により室内の熱吸収及び室内への熱放出がなされ、室内の温度環境下を適温に制御できる。
熱拡散層としては、熱伝導率が5〜400W/m・Kの高い熱伝導率を有する層を好ましく使用できる。高い熱伝導率により、局所に集中した熱を拡散して蓄熱層へ伝えて熱効率を向上し、かつ室温を均一化できる。
熱拡散層の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄、グラファイトなどが挙げられる。本発明では、特にアルミニウムを好適に用いることができる。アルミニウムが好適な理由として、放射熱の反射による断熱効果も発現することが挙げられる。特に、放射熱による暖房器具では、断熱効果により暖房効率を向上する事ができる。放射熱を主とした暖房器具としては、例えば、電気式床暖房、温水式床暖房、赤外線ヒーターなどが挙げられる。また、防災の視点からも難燃性能を向上させる事ができる。
熱拡散層の形態としては、上記材料のシートからなる層や、上記材料の蒸着層等の適宜な形態を使用できる。材料としてアルミニウムを使用する場合には、たとえば、アルミ箔、アルミ蒸着層などの湾曲性があるものを好ましく使用できる。
熱拡散層の層厚は、特に限定されないが、3〜500μm程度とすることで、好適な熱拡散性や取扱い性を確保しやすくなるため好ましい。
本発明の蓄熱材は、主に建築物の内壁、天井、床などにおける内装材用途として好適に用いられるが、窓のサッシ枠の被服材や、車両等の内装材としても適用可能である。また、建築物の壁、床、天井に限らず、自動車、電車、飛行機などの室内に使用する事も可能である。また、冷蔵設備の低温保持材料や、パソコンのCPUや蓄電池など熱を発生する電気部品の低温維持材料としても使用することも可能である。また、面状発熱体等のヒーターを併用して、蓄熱による省エネルギー効果を発現しても良い。
また、本発明の蓄熱材は、優れた柔軟性や各種材料への追従性や強靭性を確保しやすいことから、曲面や複雑な表面形状を有する材料を被覆する用途や変形が生じる用途、例えば、寝具やソファー、衣服等の用途にも好ましく適用できる。また、筒状物への巻き付けも容易であり、湾曲した長茎植物の茎や株元に巻き付けによる保温用途等にも好適に使用できる。
(実施例1)
水分散アクリルエマルジョン樹脂(1)(DIC社製 DICNAL MF−342 カイ15:不揮発分55%)100質量部、アニオン界面活性剤6質量部、増粘剤3質量部、有機系潜熱蓄熱材をウレタン樹脂からなる外殻を用いてマイクロカプセル化した蓄熱性粒子(1)(平均一次粒子径150μm、融点27℃)100質量部を配合し、ディスパーにて攪拌混合し(2000rpm、3分)、機械発泡用バインダーを作成した。使用した蓄熱性粒子100質量部に対する上記水分散アクリルエマルジョン樹脂の吸収量は28質量部であった。これをPETフィルム上にアプリケーターにて塗布した後、予備乾燥として100℃のドライヤー温度で5分間加熱後、140℃のドライヤー温度で10分間熱処理して硬化させ、厚さ3.5mmの蓄熱材を形成した。この蓄熱材の比重は0.39、蓄熱材の質量は1390g/m、蓄熱材に含有する蓄熱性粒子の質量は897g/mであった。得られた蓄熱材を切断した断面を電子顕微鏡(キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX−900)で確認した。
(実施例2)
実施例1にて使用した蓄熱性粒子(1)100質量部にかえて、同蓄熱性粒子(1)を20質量部使用した以外は実施例1と同様にして、厚さ3.3mmの蓄熱材を形成した。この蓄熱材の比重は0.27、蓄熱材の質量は884g/m、蓄熱材に含有する蓄熱性粒子の質量は236g/mであった。
(実施例3)
実施例1にて使用した蓄熱性粒子(1)100質量部にかえて、有機系潜熱蓄熱材をアクリル樹脂からなる外殻を用いてマイクロカプセル化した蓄熱性粒子(2)(平均一次粒子径1mm、融点26℃)100質量部使用した以外は実施例1と同様にして、厚さ3.2mmの蓄熱材を形成した。この蓄熱材の比重は0.43、蓄熱材の質量は1354g/m、蓄熱材に含有する蓄熱性粒子の質量は874g/mであった。得られた蓄熱材を切断した断面を電子顕微鏡(キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX−900)で確認した。
(比較例1)
水分散アクリルエマルジョン樹脂(DIC社製 DICNAL MF−342 カイ15:不揮発分55%)100質量部、アニオン界面活性剤6質量部、増粘剤3質量部、潜熱蓄熱材をメラミン樹脂からなる外殻を用いてマイクロカプセル化した蓄熱性粒子(H1)(平均一次粒子径5μm、融点27℃)100質量部を配合し、ディスパーにて攪拌混合し(2000rpm、3分)、機械発泡用バインダーを作成した。作成したバインダーは流動性がなく、アプリケーターでの塗工はできなかった。
(比較例2)
実施例1にて使用した蓄熱性粒子(3)100質量部にかえて、有機系潜熱蓄熱材をアクリル樹脂からなる外殻を用いてマイクロカプセル化した蓄熱性粒子(H2)(平均一次粒子径5μm、融点25℃)100質量部使用した以外は比較例1と同様にして、ディスパーにて攪拌混合し(2000rpm、3分)、機械発泡用バインダーを作成した。作成したバインダーは流動性がなく、アプリケーターでの塗工はできなかった。
上記実施例及び比較例の蓄熱材及び使用した蓄熱性粒子につき、以下の評価を行った。得られた結果は下表のとおりである。
<樹脂吸収量>
蓄熱性粒子への樹脂の吸収量を、JIS K5101−13−1に準じて以下の方法にて測定した。蓄熱性粒子1gを秤量した試料をガラス板上に設置し、水分散エマルジョン樹脂をビュレットから一回に4〜5滴ずつ徐々に加え、鋼製のパレットナイフで試料に練り込んだ。これを繰り返し、蓄熱性粒子と樹脂が塊状になるまで滴下を続けた。以後、1滴ずつ滴下して完全に混練するようにして繰り返し、滑らかな硬さになったところを終点とし、当該吸収量を樹脂の吸収量とし、蓄熱性粒子100質量部に対する樹脂の吸収量を算出した。
<蓄熱性評価試験>
実施例及び比較例にて作成したシートをペルチェ式温度変化プレートに設置した。プレートと接触した面の反対側に熱電対をセットし、プレートに設置したシートを上から断熱材で覆った。熱電対の温度変化はデータロガーで記録した。プレートの温度を35℃に設定し、30分間保持して恒温状態とした。その後、プレートの温度を35℃から15℃に1分かけて変化させたときの熱電対の温度変化を測定した。プレート温度変化開始時から、熱電対の温度が20℃に到達するまでの時間を算出し、保温性を評価した。
◎:20℃に到達するまでの時間が5分以上
○:20℃に到達するまでの時間が3分以上
×:20℃に到達するまでの時間が3分未満
上記表から明らかなとおり、実施例1〜3の本発明の蓄熱材は、良好に成型でき、好適な蓄熱性を有するものであった。一方、比較例1〜2の蓄熱材は良好に成型できないものであった。
(実施例4)
蓄熱材の厚みを3mmにした以外は実施例1と同様にして蓄熱材を形成した。この蓄熱材の比重は0.4、屈曲性試験において割れが生じるマンドレル直径は2mm、ガーレ法による剛軟度は6mN、0℃から40℃の潜熱量は109kJ/m、引張り強さは0.3MPa、引張り破断時の伸び率は70%であった。
(実施例5)
蓄熱材の厚みを1.7mmにした以外は実施例1と同様にして蓄熱材を形成した。この蓄熱材の比重は0.4、屈曲性試験において割れが生じるマンドレル直径は2mm、ガーレ法による剛軟度は1mN、0℃から40℃の潜熱量は58kJ/m、引張り強さは0.2MPa、引張り破断時の伸び率は110%であった。
上記実施例4〜5にて得られた蓄熱材につき、以下の評価を行った。得られた結果を下表に示す。
<柔軟性試験>
実施例及び比較例にて作成したシートを100mm×300mmサイズにカットし、試験体を作成した。作成した試験体を長茎植物の株元に見立てた直径25mmの木製丸棒に巻きつけ、ピンチ式の固定治具で設置した際の装着性について評価した。3名の試験者が各シートにつき3回ずつ評価を行い、試験体と丸棒との隙間が最大5mm以下となるように巻きつけるのに要した作業時間を計測し、以下の基準にて評価した。
◎:20秒未満で装着できた。
〇:20秒以上1分未満で装着できた。
△:1分以上5分未満で装着できた。
×:5分作業しても最大隙間5mm以下にできなかった、又は試験体が割れた。
(比較例3)
重合度900のポリ塩化ビニル樹脂粒子(新第一塩ビ社製 ZEST PQ92)90質量部、ポリエステル系可塑剤(DIC社製 ポリサイザーW−230H:粘度220mPa・s、ゲル化終点温度136℃)70質量部、熱安定剤(大協化成工業社製 MTX−11P)1質量部、分散剤(BYK社製 Disperplast−1150)5質量部、カーボンブラックを濃度10質量%で可塑剤に混錬した着色剤(1)1.6質量部、有機系潜熱蓄熱材をウレタン樹脂からなる外殻を用いてマイクロカプセル化した蓄熱性粒子(1)(平均一次粒子径150μm、融点27℃)60質量部を配合し、プラスチゾル塗工液を作成した。これをPETフィルム上にアプリケーター塗工機にて塗布した後、150℃のドライヤー温度で8分間加熱してゲル化させ、PETフィルムを剥離して、厚さ3mmの非水分散系の蓄熱材を形成した。得られた蓄熱材の比重は1.0、屈曲性試験において割れが生じるマンドレル直径は25mm、ガーレ法による剛軟度は50mN、0℃から40℃の潜熱量は111kJ/m、引張り強さは1.4MPa、引張り破断時の伸び率は60%であった。
<温度保持性評価試験>
同等の潜熱量を有する実施例4及び比較例3にて作成した蓄熱材を5cm角にカットし、試験体を作成した。作成した試験体をペルチェ式温度変化プレートに設置し、プレートと接触した面の反対側に熱電対をセットしてプレートに設置した試験体を上から断熱材で覆った。熱電対の温度変化はデータロガーで記録した。プレートの温度を35℃に設定し、30分間保持して恒温状態とした。その後、プレートの温度を35℃から10℃に1分かけて変化させたときの熱電対の温度変化を測定した。プレート温度変化開始時から、熱電対の温度が15℃に到達するまでの時間を算出し、以下の基準にて保温性を評価した。
○:15℃に到達するまでの時間が5分以上
×:15℃に到達するまでの時間が5分未満
上記実施例及び比較例から明らかなとおり、本発明の蓄熱材は好適な柔軟性や追従性、優れた温度保持性を有するものであった。

Claims (9)

  1. 蓄熱性粒子が樹脂で被覆された被覆粒子が前記樹脂にて結合してなり、前記蓄熱性粒子に前記樹脂の水分散液を混合した際の蓄熱性粒子100質量部に対する前記樹脂の水性分散液の吸収量が70質量部以下であることを特徴とする蓄熱材。
  2. 比重が0.15〜0.9である請求項1に記載の蓄熱材。
  3. 前記樹脂と蓄熱性粒子の固形分質量比が、80/20〜15/85である請求項1又は2に記載の蓄熱材。
  4. 前記蓄熱性粒子が、外殻中に潜熱蓄熱材料を内包した蓄熱性カプセル粒子である請求項1〜3に記載の蓄熱材。
  5. 前記樹脂が、アクリル系樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の蓄熱材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の蓄熱材に断熱層を積層した蓄熱積層体。
  7. 樹脂、蓄熱性粒子及び水性媒体を含有し、前記蓄熱性粒子に前記樹脂の水分散液を混合した際の蓄熱性粒子100質量部に対する前記樹脂の水性分散液の吸収量が70質量部以下であることを特徴とするエマルジョン樹脂組成物。
  8. 樹脂、製泡剤、蓄熱性粒子及び水性媒体を含有するエマルジョン樹脂組成物を機械発泡させた後、塗布又は注型して乾燥することを特徴とする蓄熱材の製造方法。
  9. 前記機械発泡の発泡倍率が1.1〜5倍である請求項8に記載の蓄熱材の製造方法。
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