JP2020093515A - 立体造形用粉末、造形装置、造形方法、及び粉末 - Google Patents

立体造形用粉末、造形装置、造形方法、及び粉末 Download PDF

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崇一朗 飯田
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Abstract

【課題】立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度を向上させることができる立体造形用粉末の提供。【解決手段】熱可塑性樹脂粒子と、二酸化ケイ素を主成分に含む充填材とを少なくとも含む立体造形用粉末であって、前記充填材における、前記主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.630以上である立体造形用粉末である。【選択図】なし

Description

本発明は、立体造形用粉末、造形装置、造形方法、及び粉末に関する。
従来から、プラスチック製品としての造形物や成形物の原料として、立体造形用粉末が多く用いられている。立体造形用粉末としては、例えば、ミリメートル単位のサイズのペレット、マイクロメートル単位のサイズの粉末(粉体)などが挙げられる。これらの粉末は、例えば、射出成形、押出成形などにおいて溶融されて用いられており、近年では、粉末床溶融方式等の3Dプリンタにも用いられている。
また、溶融した樹脂組成物を金型に射出して成形する際に、成形品の力学的強度などを向上させるための手法として、例えば、樹脂組成物にタルクなどの無機強化剤を含有させることが知られている(特許文献1参照)。
本発明は、立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度を向上させることができる立体造形用粉末を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段としての本発明の立体造形用粉末は、
熱可塑性樹脂粒子と、二酸化ケイ素を主成分に含む充填材とを少なくとも含む立体造形用粉末であって、
充填材における、主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.630以上である。
本発明によると、立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度を向上させることができる立体造形用粉末を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る造形装置を示す概略図である。 図2Aは、本発明の一実施形態に係る立体造形物の造形方法を説明するための概略図である。 図2Bは、本発明の一実施形態に係る立体造形物の造形方法を説明するための概略図である。 図3Aは、本発明の一実施形態に係る立体造形物の造形方法を説明するための概略図である。 図3Bは、本発明の一実施形態に係る立体造形物の造形方法を説明するための概略図である。
本発明の立体造形用粉末は、熱可塑性樹脂粒子と、二酸化ケイ素を主成分に含む充填材とを少なくとも含む立体造形用粉末であって、充填材における、主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.630以上である。
本発明の立体造形用粉末は、従来の立体造形用粉末では、立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度が低くなってしまう場合があるという知見に基づくものである。具体的には、従来の立体造形用粉末においては、立体造形物の強度を向上させるために、無機強化剤としてタルクなどを含有させたとしても、立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度が低くなってしまう場合があるという知見に基づくものである。
この問題は、粉末床溶融(PBF:Powder Bed Fusion)方式などの3Dプリンタを用いて立体造形物を造形する際に、特に顕著である。PBF方式などの3Dプリンタにおいては、立体造形用粉末を含む造形層を造形し、造形した造形層を積層することにより、立体造形物を造形する。そのため、PBF方式などの3Dプリンタを用いて立体造形物を造形した場合には、積層方向における造形層間の接着力(融着)が他の方向における接着力よりも特に弱くなることがあった。この問題は、上記の特許文献1に記載されている無機強化剤としてのタルクなどを立体造形用粉末に含有させたとしても解決することができなかった。
そこで、本発明者らは、立体造形物の積層方向における強度及び造形精度を向上させるために鋭意検討した結果、上記の問題を解決できる立体造形用粉末を見出した。すなわち、本発明者らは、熱可塑性樹脂粒子と、二酸化ケイ素を主成分に含む充填材とを少なくとも含む立体造形用粉末であって、充填材における、主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比を、0.630以上とすることにより、上記の問題を解決できることを見出した。
本発明の立体造形用粉末における充填材は、従来の立体造形用粉末における充填材(例えば、特許文献1に記載の無機強化剤など)に比べて、二酸化ケイ素の割合が高くなっている。そのため、本発明の立体造形用粉末は、熱可塑性樹脂に対する充填材の分散性が向上しているので、充填材が熱可塑性樹脂粒子に対して均一に存在しやすくなり、立体造形物内での強度の均一性が保たれる。したがって、本発明の立体造形用粉末を用いて造形した立体造形物は、強度のムラがなく、強度的に弱い箇所が存在しにくくなるため、立体造形物の積層方向における強度を向上させることができると考えられる。
また、本発明の立体造形用粉末における充填材は、二酸化ケイ素の割合が高くなっているため、熱可塑性樹脂に対する相溶性が向上しており、造形層の表面に露出した充填材と、その造形層の上に新たに造形された造形層との間の接着力が向上すると考えられる。そのため、本発明の立体造形用粉末は、立体造形物の積層方向における強度を向上させることができると考えられる。
さらに、本発明の立体造形用粉末は、充填材が熱可塑性樹脂粒子に対して均一に存在しやすいため、立体造形物を造形する際の樹脂収縮(成形収縮)を均一にできるとともに、造形層間を密にすることができるので、立体造形物の造形精度を向上させることができる。
(立体造形用粉末)
本発明の立体造形用粉末は、熱可塑性樹脂粒子と、二酸化ケイ素を主成分に含む充填材を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
<熱可塑性樹脂粒子>
熱可塑性樹脂粒子とは、熱可塑性樹脂を含む粒子を意味する。
熱可塑性樹脂粒子の材質としては、樹脂成分として熱可塑性樹脂を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む樹脂組成物などが挙げられる。
−熱可塑性樹脂−
熱可塑性樹脂とは、熱を加えると可塑化し、溶融する樹脂を意味する。
熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性樹脂、非結晶性樹脂、液晶樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、結晶性樹脂、液晶樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、融解開始温度と、冷却時の再結晶温度の差が大きな樹脂が好ましい。
なお、結晶性樹脂とは、ISO3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)に準拠した測定において、融点ピークが検出される樹脂である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)、ポリアセタール(POM:Polyoxymethylene)、ポリイミド、フッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。
ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド410(PA410)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド11(PA11)、及びポリアミド12(PA12);並びにポリアミド4T(PA4T)、ポリアミドMXD6(PAMXD6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T)、及びポリアミド10T(PA10T)などの半芳香族性のポリアミドが挙げられる。
なお、PA9Tは、ポリノナメチレンテレフタルアミドとも呼ばれ、炭素が9つのジアミンとテレフタル酸モノマーとを含み、カルボン酸側が芳香族である半芳香族である。カルボン酸側だけでなく、ジアミン側も芳香族である全芳香族として、p−フェニレンジアミンとテレフタル酸モノマーとから生成されるアラミドもポリアミドに含まれる。
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブタジエンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性を付与する点で、テレフタル酸やイソフタル酸を一部に含む芳香族を有するものが好ましい。
ポリエーテルとしては、例えば、ポリアリールケトン、ポリエーテルスルフォンなどが挙げられる。
ポリアリールケトンとしては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、PA9Tのように2つの融点ピークを有するものでもよい。2つの融点ピークを有する熱可塑性樹脂は、高温側の融点ピーク以上の温度になると完全に溶融する。
立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度をより向上させるという観点からは、熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)が好ましい。
ポリプロピレンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどが挙げられる。これらの中でも、ブロックポリプロピレンが好ましい。
ポリプロピレンとしては、市販の製品を用いることができ、例えば、ブロックポリプロピレンとしては、住友ノーブレンAW564(住友化学株式会社製)、ホモポリプロピレンとしては、VS700R(サンアロマー株式会社製)、ランダムポリプロピレンとしては、J226T(株式会社プライムポリマー製)などが挙げられる。
熱可塑性樹脂粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱体、多角柱体、球体などの形状が挙げられる。これらの中でも、円柱体が好ましい。
円柱体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、真円柱体、楕円柱体などが挙げられる。これらの中でも、真円柱体が好ましい。
なお、円柱体には、略円柱体が含まれる。ここで、略円とは、短径に対する長径の比(長径/短径)が、1以上10以下であることを意味する。また、円柱体の円形部分は、一部が欠けていてもよい。
多角柱体としては、円柱体と同様に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、多角柱体における多角形部分の一部が欠けていてもよい。
球体としては、円柱体と同様に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、球体の一部が欠けていてもよい。
円柱体の円形部分の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。なお、円柱体の円形部分が楕円形である場合、直径とは長径を意味する。
多角柱体の多角形部分の一辺の長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多角形部分を全て含むような最小の円(最小包含円)の直径が5μm以上200μm以下であることが好ましい。
球体の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下であることが好ましい。
円柱体の高さ、即ち対向する2つの円形部分の距離(上面−底面間の距離)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
多角柱体の高さ、即ち対向する2つの多角形部分の距離(上面−底面間の距離)としては、円柱体の高さと同様に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上200μm以下が好ましい。
円柱体における、対向する2つの円形部分(上面及び底面)の面積は、互いに異なっていてもよい。ただし、面積が小さいほうの円形部分の直径r1に対する面積が大きいほうの円形部分の直径r2の比(r2/r1)としては、2つの円形部分の面積に差がないほうが嵩密度を高めることができる点で、1.5以下が好ましく、1.1以下がより好ましい。
多角柱体における、対向する2つの多角形部分(上面及び底面)の面積は、互いに異なっていてもよい。ただし、多角形部分の小さいほうの面積(S1)に対する多角形部分の大きいほうの面積(S2)の比(S2/S1)としては、2つの多角形部分の面積に差がないほうが嵩密度を高めることができる点で、1に近いことが好ましい。
粉末床溶融結合方式で立体造形物を造形する際には、熱可塑性樹脂粒子の嵩密度を高めることにより、造形物や成形物の精度を向上させることができる。
円柱体や多角柱体などの柱体の熱可塑性樹脂粒子においては、嵩密度を高めるため、頂点を持たないことが好ましい。なお、頂点とは、柱体の中に存在する角の部分をいう。
[熱可塑性樹脂粒子の製造方法]
熱可塑性樹脂粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂組成物を粉砕又は切断して所定の粒径にする方法が好ましい。
樹脂組成物を粉砕して所定の粒径にする方法としては、例えば、熱可塑性樹脂を含むペレット形状の樹脂組成物を粉砕装置により粉砕し、所定の粒径以外の熱可塑性樹脂粒子を分級又はフィルターにより濾過する方法などが挙げられる。また、樹脂組成物の脆弱性を利用して粉砕する場合、粉砕時の環境温度としては、樹脂組成物の脆弱温度以下がよく、室温以下が好ましく、0℃以下がより好ましく、−25℃以下が更に好ましく、−100℃以下が特に好ましい。分級操作では、樹脂粒子の流動性を向上させるために、例えば、25μm以上80μm以下の樹脂粒子を捕集することが好ましい。
樹脂組成物を切断して所定の粒径にする方法としては、例えば、押出成形により繊維化した樹脂組成物を所定の粒径になるように切断する方法などが挙げられる。
−結晶性制御−
熱可塑性樹脂粒子における結晶性樹脂の結晶サイズ及び結晶配向を制御することで、例えば、PBF方式で立体造形物を造形する際には、高温環境下の造形プロセスにおいて粉末層を成膜するリコート処理によるエラーの発生を低減させることができる。
結晶サイズ及び結晶配向を制御する方法としては、例えば、熱処理、延伸処理、超音波処理、外部電場印加処理等の外部刺激を用いる方法;結晶核剤を用いる方法;樹脂を溶媒に溶解し、溶媒をゆっくりと揮発させて結晶性を高める方法などが挙げられる。
熱処理としては、例えば、結晶性を高めるために、樹脂組成物をガラス転移温度以上の温度に加熱するアニーリング処理などが挙げられる。
アニーリング処理としては、例えば、結晶核剤が添加されている樹脂組成物をガラス転移温度から50℃高い温度で3日間保温し、その後、室温までゆっくりと冷却する処理などが挙げられる。また、樹脂組成物を粉砕する前又は粉砕した後に、熱処理としてアニーリング処理を行ってもよい。
延伸処理は、樹脂の延伸により樹脂の配向を高め、結晶性を高めるために行われる。延伸された樹脂は、粉砕、裁断などの加工が施され樹脂粒子となる。
延伸処理としては、例えば、押出加工機を用いて、樹脂を融点より30℃以上高い温度にて溶融させ撹拌しながら、溶融物を1倍以上10倍以下程度に延伸して繊維状にする処理などが挙げられる。
延伸処理における最大延伸倍率は、樹脂の溶融粘度などに応じて、適宜設定される。押出加工機を用いる場合、ノズル口の数は、特に限定されないが、多いほど生産性が向上する。
延伸の倍率としては、高ければ高いほど結晶配向性が向上することから、2.0倍以上が好ましく、2.5倍以上が理想的な結晶・配向性を得られやすくなる点でより好ましい。延伸処理後には、アニーリング工程やリラックス工程を入れてもよく加熱時の繊維の変形が起こらないようにしてもよい。
また、延伸処理を行う場合には、熱可塑性樹脂粒子の形状は、押出加工機のノズル口の形状により決まる。例えば、円柱体の熱可塑性樹脂粒子を得るためには、ノズル口の形状を円形にすればよく、多角柱体の熱可塑性樹脂粒子の形状を得るためには、ノズル口の形状を多角形にすればよい。
超音波処理としては、例えば、グリセリン(試薬グレード、東京化成工業株式会社製)溶媒を立体造形用粉末に対して5倍ほど加えた後、樹脂の融点より20℃高い温度まで加熱し、ヒールシャー社製、ultrasonicator UP200Sなどの超音波発生装置にて24kHz、振幅60%での超音波を2時間与える処理などが挙げられる。この場合、超音波を与える処理後、室温にて立体造形用粉末をイソプロパノールの溶媒で洗浄して真空乾燥することが好ましい。
外部電場印加処理としては、例えば、立体造形用粉末をガラス転移温度以上にて加熱した後に600V/cmの交流電場(500Hz)を1時間印加した後にゆっくりと冷却する処理などが挙げられる。
結晶層変化についての温度幅(温度窓)、即ち加熱時の溶融開始温度と冷却時の再結晶温度との差としては、3℃よりも大きいほうが造形物の反りを防ぐ点で好ましく、5℃以上大きいほうが高精細な造形物を形成できる点でより好ましい。また、PBF方式でレーザーにより立体造形物を造形する際には、レーザーによる加熱温度よりも高い分解温度を有する樹脂やその他の成分を選択することで、レーザー照射による発煙を抑制することができる。
<充填材>
充填材とは、立体造形用粉末に充填される成分を意味し、二酸化ケイ素(SiO)を主成分に含む。
充填材としては、二酸化ケイ素を主成分に含むものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タルク、マイカ、クレー、モンモリナイト、ベントナイト、ゾノライトなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、充填材としては、タルクが特に好ましい。充填材がタルクであると、立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度を特に向上することができる。
−タルク−
充填材として、特に好ましく用いることができる材料であるタルクについて説明する。
タルクは、滑石、フレンチチョーク、ステアタイト、ソープストーンなどと称されることもある層状鉱物であり、その組成式は、例えば、MgSi10(OH)で表される。タルクは、採掘された場所(産地)などによって、上記の化学成分の比率が異なる。
本発明において充填材として用いることができるタルクとしては、市販のものを選択することができ、製造元などが公開しているカタログの値などを参照して、適宜選択することができる。また、日本セラミックス協会規格の一つであるJCRS 106−2000「タルク(滑石)の化学分析方法」などを用いて、タルクの化学成分を分析することにより、本発明において充填材として用いることができるタルクを選択してもよい。
また、タルクにおいては、後述する体積平均粒径や強熱減量についても、製造元などが公開しているカタログの値などを参照することにより確認できる。
本発明において充填材として用いることができるタルクの市販製品としては、例えば、タルカンパウダーPK−S、タルカンパウダーPK−C、GHL10、GHL7、GH7(林化成株式会社製)などが挙げられる。なお、「タルカンパウダー」は、林化成株式会社の登録商標である。
本発明における充填材は、充填材における、主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.630以上であり、0.640以上であることが好ましい。充填材における主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.630以上であると、上述したように立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度を向上することができる。充填材における主成分全体の質量に対する、二酸化ケイ素の質量の比が、0.630未満であると、熱可塑性樹脂粒子との相溶性が低くなるため、立体造形物の強度が低下する場合がある。
充填材における、主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比としては、0.630以上0.660以下(0.66以下)であることが好ましい。充填材における主成分全体の質量に対する、二酸化ケイ素の質量の比が、この範囲内であると、立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度をより向上することができる。
また、充填材における主成分とは、充填材中における金属酸化物の成分を意味する。
充填材がタルクである場合には、充填材における主成分は、二酸化ケイ素(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉄(Fe)、及び酸化カルシウム(CaO)を含む。
充填材の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、13μm以下であることが更に好ましく、6μm以下であることが特に好ましい。充填材の体積平均粒径が6μm以下であることにより、立体造形物の積層方向における強度を特に向上することができる。さらに、充填剤の体積平均粒径が、5μm以上6μm以下であることが好ましい。
充填材の粒径を上記の特に好ましい範囲とした際の効果は、PBF方式などの3Dプリンタを用いて立体造形物を造形する場合に、充填材としてタルクなどの形状が平板であるものを使用するときにおいて、特に顕著となる。これは、上記の条件の場合、積層した造形層の熱可塑性樹脂粒子が溶融した溶融樹脂の垂直方向の流動が少なくなるため、充填材が水平方向に並びやすく、体積平均粒径の大きな充填材では、造形層間における接着力を強化することが難しいからであると考えられる。
なお、充填材の体積平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、microtrac MT3300EXII)を用いて測定することができる。
充填材の強熱減量(Ig.Loss値)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
強熱減量とは、タルクなどの鉱物中に含まれる揮発性物質(主に、有機物など)の質量を意味する。なお、本明細書においては、充填材中の揮発性物質を「副成分」と称することがある。
強熱減量は、マッフル炉などを用いて、充填材を1,000℃で2時間加熱した際の質量の変化を示すものであり、下記の数式を用いて算出できる。
Ig.Loss値(%)=(a−b)/a×100
なお、上記の数式において、aは加熱前の充填材の質量であり、bは加熱後の充填材の質量である。
充填材の強熱減量としては、8%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、6.85%以下であることが特に好ましい。すなわち、充填材を1,000℃で2時間加熱した際の強熱減量が、6.85%以下であることが特に好ましい。さらに、充填材の強熱減量が、5.25%以上6.85%以下であることが好ましい。
充填材の強熱減量が、上記の特に好ましい数値範囲内であると、立体造形物の立体造形物の積層方向における強度を特に向上することができる。これは、充填材の強熱減量が少ないと、充填材に含まれる有機成分などの不純物が少なくなるため、立体造形用粉末を溶融して造形層を形成する際に、充填材に含まれる不純物が析出することが抑制され、造形層間の接着力が強くなるためと考えられる。
立体造形用粉末における充填材の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。立体造形用粉末における充填材の割合が上記の好ましい数値範囲内であると、立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度をより向上できる。
立体造形用粉末における充填材の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。立体造形用粉末における充填材の形態としては、熱可塑性樹脂粒子に充填材が含有された状態(充填材含有樹脂粒子が形成され、立体造形用粉末が充填材含有樹脂粒子で形成された状態)、充填材含有樹脂粒子と充填材の粒子が混合された状態、熱可塑性樹脂粒子と充填材の粒子が混合された状態、充填材含有樹脂粒子と熱可塑性樹脂粒子と充填材の粒子が混合された状態などが挙げられる。
これらの中でも、立体造形用粉末における充填材の分散性を高めるため、熱可塑性樹脂粒子に充填材が含有された状態(立体造形用粉末が充填材含有樹脂粒子で形成された状態)であることが好ましい。すなわち、熱可塑性樹脂粒子が、充填材を含有することが好ましい。
<その他の成分>
立体造形用粉末におけるその他の成分としては、例えば、その他の充填材、劣化防止剤、流動化剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤等の添加剤や、非結晶性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、その他の成分は、各熱可塑性樹脂粒子に混合して使用しても、各熱可塑性樹脂粒子の表面に被覆して使用してもよい。
<<その他の充填材>>
その他の充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、立体造形物の強度向上の点から、無機ファイバーフィラー、ビーズフィラー、国際公開第2008/057844号パンフレットに記載のガラスフィラー、ガラスビーズ、カーボンファイバー、アルミボールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機ファイバーフィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンファイバー、無機ガラスファイバー、金属ファイバーなどが挙げられる。
ビーズフィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、カーボンビーズ、無機ガラスビーズ、金属ビーズなどが挙げられる。
無機ファイバーフィラーの平均繊維径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上30μm以下が好ましい。
無機ファイバーフィラーの平均繊維長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm以上500μm以下が好ましい。
無機ファイバーフィラーの平均繊維径及び平均繊維長さが好ましい範囲であると、造形物の強度が向上し、かつファイバーフィラーを含まない造形物の表面粗さと同程度とすることができる点で有利である。
無機ファイバーフィラーの含有量としては、立体造形用粉末全量に対して、5質量%以上60質量%以下が好ましい。無機ファイバーフィラーの含有量が5質量%以上であると造形物の強度が向上し、60質量%以下であると造形性が向上する。
ビーズフィラーの円形度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.8以上1.0以下が好ましい。
なお、円形度は、面積(ビーズフィラーを撮像したときのビーズフィラーを示す画素数)をS、周囲長をLとしたときに、次式、円形度=4πS/L、により求められる。
ビーズフィラーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm以上200μm以下が好ましい。
体積平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、microtrac MT3300EXII)を用いて測定することができる。
ビーズフィラーの含有量としては、立体造形用粉末全量に対して、5質量%以上60質量%以下が好ましい。含有量が5質量%以上であると、造形物の強度が向上し、60質量%以下であると、造形性が向上する。
<<劣化防止剤>>
分子の熱安定性を維持し、架橋又は分解などの樹脂劣化を抑制するために、立体造形用粉末は、劣化防止剤を含有してもよい。
劣化防止剤としては、例えば、金属キレート材、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤などが挙げられる。
金属キレート材としては、例えば、ヒドラジド系、ホスフェート系、ホスファイト系等の化合物などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系の化合物などが挙げられる。
重合禁止剤としては、例えば、酢酸銅などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系の化合物などが挙げられる。
ヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、例えば、ラジカル捕捉剤等の各種の添加剤などが挙げられる。
リン系の酸化防止剤としては、例えば、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸;ホスファイト化合物、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物、ホスホネイト化合物などのこれらのエステル;第3級ホスフィンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2種類以上の劣化防止剤を併用する場合には、より顕著な効果が得られる組み合わせも存在する。例えば、劣化防止剤としてヒンダートフェノール及びリン系の酸化防止剤を組み合わせて用いることで、相補的に安定性を向上させる効果があることから、より長期熱安定性がよくなる効果が得られる。
劣化防止剤の含有量としては、長時間の劣化を防止する点で、立体造形用粉末全量に対して0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が更に好ましい。2種類以上の劣化防止剤を併用する場合の各劣化防止剤の含有量の好ましい範囲は、上記の範囲と同様である。劣化防止剤の含有量が好ましい範囲内であれば、樹脂の熱劣化を防止する効果が十分に得られ、造形に使用した立体造形用粉末をリサイクルしたときの造形物の物性が向上し、立体造形用粉末の熱による変色を防止する効果も得られる。
<<流動化剤>>
流動化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機材料からなる球状粒子などが挙げられる。
無機材料からなる球状粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm未満であることが好ましい。
流動化剤の含有量としては、粒子表面上に覆うために十分な量であればよく、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、立体造形用粉末全量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。
球状粒子における無機材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化鉄、酸化銅、水和シリカ、シランカップリング剤により表面を変性させたシリカ、ケイ酸マグネシウムなどが挙げられる。これらの中でも、シリカ、チタニア、水和シリカ、及びシランカップリング剤により表面を変性させたシリカが流動性の改良の効果の点で好ましく、シランカップリング剤により表面を疎水性に変性させたシリカがコストの点でより好ましい。
<<難燃剤>>
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系、リン系、無機水和金属化合物系、窒素系、シリコーン系等の各種難燃剤などが挙げられる。建築、車両、又は船舶艤装用などの各種の難燃剤を立体造形用粉末に用いてもよい。難燃剤を2種以上併用する場合には、ハロゲン系と無機水和金属化合物系とを組合せることで難燃性能が向上する。
また、立体造形用粉末は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の繊維状物質;若しくはタルク、マイカ、モンモリロナイト等の無機層状珪酸塩などの無機強化剤を含有してもよい。このような実施形態によると、物性強化と難燃性強化とを両立できる。
立体造形用粉末の難燃性は、例えば、JIS K6911、JIS L1091(ISO6925)、JIS C3005、発熱性試験(コーンカロリメータ)などにより評価することができる。
難燃剤の含有量としては、立体造形用粉末全量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、より難燃性を高める点で、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。難燃剤の含有量が1質量%以上であると、十分な難燃性が得られる。難燃剤の含有量が50質量%以下であると、立体造形用粉末の溶融固化特性が変化することが抑制され、造形精度の低下や造形物の物性劣化を防止できる。
<立体造形用粉末の諸特性>
立体造形用粉末の比重としては、0.8g/mL以上であることが好ましい。立体造形用粉末の比重が0.8g/mL以上であると、造形時に粉末層を成膜するリコート処理において、粒子の2次凝集を抑止することができる。一方、金属代替などの用途では、軽量化のニーズから、立体造形用粉末の比重としては、3.0g/mL以下であることが好ましい。
立体造形用粉末の比重は、真比重の測定により得られる。真比重は、例えば、気相置換法を用いた乾式自動密度計(アキュピック1330、株式会社島津製作所製)を用いて一定温度で気体(Heガス)の体積と圧力を変化させて、サンプルの体積を求め、及びこのサンプルの質量を計測し、密度を算出することで得られる。
立体造形用粉末の体積平均粒径(Mv)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましく、75μm以上80μm以下が特に好ましい。また、立体造形用粉末の体積平均粒径(Mv)を個数平均粒径(Mn)で除した比(Mv/Mn)は、造形精度向上の点で、2.00以下が好ましく、1.50以下がより好ましく、1.20以下が更に好ましい。なお、50%体積粒径及びMv/Mnは、例えば、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、microtrac MT3300EXII)を用いて測定することができる。
立体造形用粉末は、造形に影響を及ぼさない程度に乾燥していることが好ましい。このため、真空乾燥機やシリカゲルにより乾燥させた樹脂粒子を用いて造形してもよい。
<立体造形用粉末の製造方法>
立体造形用粉末の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂粒子と充填材を公知の方法で加工することなどにより、立体造形用粉末を得ることができる。
立体造形用粉末の製造方法としては、立体造形用粉末を充填材含有樹脂粒子で形成する場合、熱可塑性樹脂のペレット又はパウダーと、充填材の粒子からなる粉末(充填材粉末)とを、ミキサーやシェイカーなどの混合機を用いて、十分に混合する。その後、得られた混合物を、混練押出装置などを用いて、熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度で溶融混練した後、ペレタイジングすることにより、充填材含有樹脂のペレットを作製する。そして、作製したペレットを粒子化することにより、充填材含有樹脂粒子で形成された立体造形用粉末を得ることができる。
なお、ペレットを粒子化する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温又は凍結温度環境下で粉砕する方法、樹脂を溶融した後に噴出するアトマイズ法、懸濁法、溶融混練・溶液混合法、繊維あるいはシート化した後粒子状にカッティングする方法などが挙げられる。また、得られた立体造形用粉末を、目的にあった粒度及び粒度分布にする為に分級することも可能である。
立体造形用粉末の製造方法としては、立体造形用粉末を、熱可塑性樹脂粒子と充填材の粒子が混合された形態として形成する場合、熱可塑性樹脂のペレット又はパウダーを上記の方法で粒子化する。その後、得られた熱可塑性樹脂粒子と充填材粉末とを、ミキサーやシェイカーなどの混合機を用いて十分に混合することにより、熱可塑性樹脂粒子と充填材の粒子が混合された形態の立体造形用粉末を得ることができる。
<用途>
本発明の立体造形用粉末は、粒度、粒度分布、熱移動特性、溶融粘度、嵩密度、流動性、溶融温度、及び再結晶温度のようなパラメータについて適切なバランスを有し、SLS方式、SMS(Selective Mask Sintering)方式、MJF(Multi Jet Fusion)方式、BJ(Binder Jetting)法などの立体造形用粉末を用いた各種立体造形方法において好適に利用される。
(粉末)
本発明の粉末は、本発明の立体造形用粉末と同様の特徴を有する。言い換えると、例えば、上述した本発明の立体造形用粉末における、熱可塑性樹脂粒子、充填材、その他の成分、立体造形用粉末の諸特性、立体造形用粉末の製造方法などを、本発明の粉末にも適用することができる。
より具体的には、本発明の粉末は、熱可塑性樹脂粒子と、二酸化ケイ素を主成分に含む充填材とを少なくとも含む。さらに、本発明の粉末に含まれる充填材における、主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比は、0.630以上であり、0.630以上かつ0.660以下(0.66以下)であることが好ましい。
また、本発明の粉末においては、充填材における主成分が、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、及び酸化カルシウムを含むことが好ましい。さらに、本発明の粉末においては、充填材が、タルクであることが好ましい。
加えて、本発明の粉末においては、充填材の体積平均粒径が、6μm以下であることが好ましい。また、本発明の粉末においては、充填材を1,000℃で2時間加熱した際の強熱減量が、6.85%以下であることが好ましい。
また、本発明の粉末は、表面収縮剤、スペーサー、滑剤、塗料、砥石、添加剤、二次電池セパレーター、食品、化粧品、衣服等において好適に利用される。このほか、自動車、精密機器、半導体、航空宇宙、医療等の分野において用いられる材料や金属代替材料として用いてもよい。
(造形装置)
図1を用いて、立体造形用粉末を用いて造形する造形装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る造形装置を示す概略図である。
図1に示すように、造形装置1は、造形用の立体造形用粉末Pを収容する収容手段の一例としての貯蔵槽11、貯蔵槽11に収容されている立体造形用粉末Pを供給する供給手段としてのローラ12、ローラ12によって供給された立体造形用粉末Pが配され、レーザーLが走査されるレーザー走査スペース13、電磁線としてのレーザーLの照射源である電磁照射源18、及び電磁照射源18によって照射されたレーザーLをレーザー走査スペース13の所定位置へ反射させる反射鏡19を有する。また、造形装置1は、貯蔵槽11、及びレーザー走査スペース13に収容される立体造形用粉末Pをそれぞれ加熱するヒータ11H,13Hを有する。
電磁照射源18としては、特に限定されないが、COレーザー、赤外照射源、マイクロウエーブ発生器、放射加熱器、LEDランプ、又はこれらの組合せなどが例示される。
反射鏡19の反射面は、電磁照射源18がレーザーLを照射している間、3D(three−dimensional)モデルの2次元データに基づいて、移動する。3Dモデルの2次元データは、3Dモデルを所定間隔でスライスしたときの各断面形状を示す。これにより、レーザーLの反射角度が変わることで、レーザー走査スペース13のうち、2次元データによって示される部分に、選択的にレーザーLが照射される。レーザーL照射位置の立体造形用粉末は、溶融し、焼結して層を形成する。すなわち、電磁照射源18は、立体造形用粉末Pから造形物の各層を形成する層形成手段及び層を硬化する硬化手段として機能する。
また、造形装置1の貯蔵槽11、及びレーザー走査スペース13には、ピストン11P,13Pが設けられている。ピストン11P,13Pは、層の造形が完了すると、貯蔵槽11及びレーザー走査スペース13を造形物の積層方向に対し、上方向又は下方向に移動させる。これにより、貯蔵槽11からレーザー走査スペース13へ、新たな層の造形に用いられる新たな立体造形用粉末Pを供給することが可能になる。
造形装置1は、反射鏡19によってレーザーの照射位置を変えることにより、立体造形用粉末Pを選択的に溶融させるが、本発明はこのような実施形態に限定されない。本発明の立体造形用粉末は、選択的マスク焼結方式の造形装置においても好適に用いられる。SMS方式では、例えば、立体造形用粉末の一部を遮蔽マスクによりマスクし、電磁線が照射され、マスクされていない部分に赤外線などの電磁線を照射し、選択的に立体造形用粉末を溶融することにより造形する。SMSプロセスを用いる場合、立体造形用粉末Pは、赤外吸収特性を増強させる熱吸収剤、又は暗色物質などを1種以上含有することが好ましい。熱吸収剤又は暗色物質としては、カーボンファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、及びセルロースナノファイバーなどが例示される。SMSプロセスについては、例えば、米国特許第6,531,086号明細書に記載されているものを好適に用いることができる。
(立体造形物の造形方法)
図2A、図2B、図3A、及び図3Bは、立体造形物の造形方法を説明するための概略図である。図2A、図2B、図3A、及び図3Bを用いて、造形装置1を用いた立体造形物の造形方法について説明する。
貯蔵槽11に収容された立体造形用粉末Pは、ヒータ11Hによって加熱される。貯蔵槽5の温度としては、立体造形用粉末Pをレーザー照射により溶融するとき反りを抑制する点では、立体造形用粉末Pの融点以下のなるべく高い温度が好ましいが、貯蔵槽11での立体造形用粉末Pの溶融を防ぐ点では、立体造形用粉末Pの融点より10℃以上低いことが好ましい。図4Aに示すように、造形装置1のエンジンは、供給工程の一例として、ローラ12を駆動して、貯蔵槽5の立体造形用粉末Pをレーザー走査スペース13へ供給して整地することで、1層分の厚さTの粉末層を形成する。レーザー走査スペース13へ供給された立体造形用粉末Pは、ヒータ13Hによって加熱される。レーザー走査スペース13の温度としては、立体造形用粉末Pをレーザー照射により溶融するときに反りを抑制する点では、なるべく高い方が好ましいが、レーザー走査スペース13での立体造形用粉末Pの溶融を防ぐ点では、立体造形用粉末Pの融点より5℃以上低温であることが好ましい。
造形装置1のエンジンは、3Dモデルから生成される複数の二次元データの入力を受け付ける。図2Bに示すように、造形装置1のエンジンは、複数の二次元データのうち最も底面側の二次元データに基づいて、反射鏡19の反射面を移動させつつ、電磁照射源18にレーザーを照射させる。レーザーの出力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、10ワット以上150ワット以下が好ましい。レーザーの照射により、粉末層のうち、最も底面側の二次元データによって示される画素に対応する位置の立体造形用粉末Pが溶融する。レーザーの照射が完了すると、溶融した樹脂は硬化して、最も底面側の二次元データが示す形状の焼結層が形成される(層形成工程の一例)。
焼結層の厚みTとしては、特に限定されないが、平均値として、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上が更に好ましい。また、焼結層の厚みTとしては、特に限定されないが、平均値として、200μm未満が好ましく、150μm未満がより好ましく、120μm未満が更に好ましい。
図3Aに示すように、最も底面側の焼結層が形成されると、造形装置1のエンジンは、レーザー走査スペース13に1層分の厚さTの造形スペースが形成されるように、ピストン13Pによりレーザー走査スペース13を1層分の厚さT分降下させる。また、造形装置1のエンジンは、新たな立体造形用粉末Pを供給可能とするため、ピストン11Pを上昇させる。続いて、図5Aに示すように、造形装置1のエンジンは、ローラ12を駆動して、貯蔵槽5の立体造形用粉末Pをレーザー走査スペース13へ供給して整地することで、1層分の厚さTの粉末層を形成する。
図3Bに示すように、造形装置1のエンジンは、複数の二次元データのうち最も底面側から2層目の二次元データに基づいて、反射鏡19の反射面を移動させつつ、電磁照射源18にレーザーを照射させる。これにより、粉末層のうち、最も底面側から2層目の二次元データによって示される画素に対応する位置の立体造形用粉末Pが溶融する。レーザーの照射が完了すると、溶融した樹脂は硬化して、最も底面側から2層目の二次元データが示す形状の焼結層が、最も底面側の焼結層に積層された状態で形成される。
造形装置1は、供給工程と、層形成工程と、を繰り返すことで、焼結層を積層させる。複数の二次元データのすべてに基づく造形が完了すると、3Dモデルと同形状の立体物が得られる。
<立体造形物>
立体造形用粉末によって形成される立体造形物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子機器パーツや自動車部品のプロトタイプ、強度試験用の試作品、エアロスペース、又は自動車産業のドレスアップツールなどに使われる少量製品などが挙げられる。PBF方式については、FFF(Fused Filament Fabrication)方式やインクジェット方式などの他の方式と比較し、強度が優れることが期待されるため、実用の製品としても使用に耐える。
生産スピードについては、例えば、小さい部品を平面状に大量に作ることにより必要な生産量を得ることができる。また、本発明に用いられるPBF方式における立体造形物の造形方法は、射出成形のような金型を必要としないため、試作及びプロトタイプの作製においては、圧倒的なコスト削減と納期削減を達成することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
熱可塑性樹脂としてのブロックポリプロピレン(ブロックPP)樹脂(商品名:住友ノーブレンAW564、住友化学株式会社製)90質量部と、充填材としてのタルク1(商品名:タルカンパウダーPK−S、林化成株式会社製)10質量部とを、混練押出マイクロペレット作製装置(装置名:1AEC、株式会社井元製作所製)を用いて、ブロックポリプロピレンの融点より30℃高い温度において溶融して混練した後、ペレタイジングすることにより、タルク含有樹脂ペレット1を作製した。
タルク1の物性値(カタログ値)を、表1に示す。ここで、表1における「主成分に対するSiOの比」は、タルクにおける主成分全体の質量に対する、二酸化ケイ素の質量の比を意味する。
実施例1では、表1に示すように、タルク1として、主成分に対するSiOの比が0.649であり、体積平均粒径が11.7μmであり、強熱減量が6.83%であるタルクを用いた。なお、タルク1及び後述するタルク2〜8における主成分は、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、及び酸化カルシウムである。
続いて、タルク含有樹脂ペレット1を、低温粉砕システム(装置名:リンレックスミルLX1、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、5μm以上200μm以下の幅になるように−200℃で凍結粉砕した。その後、目開きが65μmであるフィルターを用いて粗粉を、目開きが36μmであるフィルターを用いて微粉を除去することにより分級し、立体造形用粉末1を得た。
<体積平均粒径>
得られた立体造形用粉末1について、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、microtrac MT3300EXII)を用い体積平均粒径Dv(μm)を測定した。その際、立体造形用粉末の粒子ごとの粒子屈折率を使用し、溶媒は使用せずに乾式(大気)法にて測定した。測定結果を表1に示す。表1に示すように、立体造形用粉末1の体積平均粒径は、80μmであった。
[立体造形物の評価]
立体造形用粉末1を用いて立体造形物を造形することにより、立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度を評価した。
具体的には、SLS方式造形装置(株式会社リコー製、AM S5500P)の貯蔵槽に立体造形用粉末1を配置し、立体造形物の製造を行った。SLS方式造形装置の設定条件としては、層平均厚みを0.1mm、レーザー出力を10ワット以上150ワット以下、レーザーの走査間隔(ピッチ)を0.1mm、部品床温度を融点より−3℃の温度、造形時間を50時間に設定した。SLS方式造形装置にて、レーザー走査スペースの中心部に、Z軸垂直方向(ローラが進行する垂直方向)に長辺が向いた5個の試験標本(Z造形物)を造形した。なお、各々の造形物の間隔は5mm以上である。また、試験標本は、ISO(国際標準化機構)3167 Type1A 多目的犬骨様試験標本(標本は、80mm長さ、4mm厚さ、10mm幅の中心部分を有する)である。
<造形精度>
造形した5個の試験標本の10mm巾の中心部分の巾方向長をデジタルノギスにより5点測定し、巾長さの平均値(巾平均値)を算出し、狙いの巾長さとのズレを造形精度として下記式で計算した。
造形精度(mm)=巾平均値(mm)−10(mm)
続いて、算出した造形精度を下記の評価基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。
<<評価基準>>
◎:造形精度が、0.1mm以下であるもの
○:造形精度が、0.1mmより大きく、0.2mm以下であるもの
△:造形精度が、0.2mmより大きいもの
<積層方向における強度>
得られた5本の試験標本をISO 527に準じた引張試験機(装置名:AGS−5kN、株式会社島津製作所製)を使用して、積層方向の曲げ強度を測定し、平均値を強度[MPa]とした。なお、引張試験速度は、10mm/分とした。結果を表1に示す。
次に、測定した強度ついて、下記の評価基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。
<<評価基準>>
◎:測定した強度が、35MPa以上であるもの
○:測定した強度が、27MPa以上35MPa未満であるもの
×:測定した強度が、27MPa未満であるもの
(実施例2)
実施例2においては、充填材としてタルク2(商品名:タルカンパウダーPK−C、林化成株式会社製)10質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして立体造形用粉末2を作製した。タルク2の物性値については、表1に示す。
実施例2では、表1に示すように、タルク2として、主成分に対するSiOの比が0.651であり、体積平均粒径が12.1μmであり、強熱減量が5.7%であるタルクを用いた。
また、立体造形用粉末2についても、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、立体造形用粉末2の体積平均粒径は、83μmであった。
(実施例3)
実施例3においては、充填材としてタルク3(商品名:GHL10、林化成株式会社製)10質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして立体造形用粉末3を作製した。タルク3の物性値については、表1に示す。
実施例3では、表1に示すように、タルク3として、主成分に対するSiOの比が0.643であり、体積平均粒径が8μmであり、強熱減量が5.3%であるタルクを用いた。
また、立体造形用粉末3についても、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、立体造形用粉末3の体積平均粒径は、76μmであった。
(実施例4)
実施例4においては、充填材としてタルク4(商品名:GHL7、林化成株式会社製)10質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして立体造形用粉末4を作製した。タルク4の物性値については、表1に示す。
実施例4では、表1に示すように、タルク4として、主成分に対するSiOの比が0.643であり、体積平均粒径が5.8μmであり、強熱減量が5.3%であるタルクを用いた。
また、立体造形用粉末4についても、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、立体造形用粉末4の体積平均粒径は、85μmであった。
(実施例5)
実施例5においては、充填材としてタルク5(商品名:GH7、林化成株式会社製)10質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして立体造形用粉末5を作製した。タルク5の物性値については、表1に示す。
実施例5では、表1に示すように、タルク5として、主成分に対するSiOの比が0.642であり、体積平均粒径が5.8μmであり、強熱減量が5.25%であるタルクを用いた。
また、立体造形用粉末5についても、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、立体造形用粉末5の体積平均粒径は、80μmであった。
(比較例1)
比較例1においては、充填材としてタルク6(商品名:KHP−125、林化成株式会社製)10質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして立体造形用粉末6を作製した。タルク6の物性値については、表1に示す。
比較例1では、表1に示すように、タルク6として、主成分に対するSiOの比が0.629であり、体積平均粒径が7.5μmであり、強熱減量が6.87%であるタルクを用いた。
また、立体造形用粉末6についても、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、立体造形用粉末6の体積平均粒径は、80μmであった。
(比較例2)
比較例2においては、充填材としてタルク7(商品名:KHP−400、林化成株式会社製)10質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして立体造形用粉末7を作製した。タルク7の物性値については、表1に示す。
比較例2では、表1に示すように、タルク7として、主成分に対するSiOの比が0.629であり、体積平均粒径が14.2μmであり、強熱減量が6.87%であるタルクを用いた。
また、立体造形用粉末7についても、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、立体造形用粉末7の体積平均粒径は、80μmであった。
(比較例3)
比較例3においては、充填材としてタルク8(商品名:ミクロンホワイト#5000R、林化成株式会社製)10質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして立体造形用粉末8を作製した。タルク8の物性値については、表1に示す。
比較例3では、表1に示すように、タルク8として、主成分に対するSiOの比が0.624であり、体積平均粒径が4.6μmであり、強熱減量が7.01%であるタルクを用いた。
また、立体造形用粉末8についても、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、立体造形用粉末8の体積平均粒径は、80μmであった。
表1の結果から、充填材における、主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.630以上となっている実施例1〜5においては、立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度がともに優れていることが分かった。また、体積平均粒径が6μm以下であるタルクを充填材として用いた場合には、立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度が特に優れていることが分かった。
上述したように、本発明の立体造形用粉末は、熱可塑性樹脂粒子と、二酸化ケイ素を主成分に含む充填材とを少なくとも含む立体造形用粉末であって、充填材における、主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.630以上である。そのため、本発明の立体造形用粉末は、立体造形物の積層方向における強度、及び造形精度を向上できる。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 熱可塑性樹脂粒子と、二酸化ケイ素を主成分に含む充填材とを少なくとも含む立体造形用粉末であって、
前記充填材における、前記主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.630以上であることを特徴とする立体造形用粉末である。
<2> 前記充填材における、前記主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.660以下である前記<1>に記載の立体造形用粉末である。
<3> 前記充填材における前記主成分が、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、及び酸化カルシウムを含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<4> 前記充填材が、タルクである前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<5> 前記充填材の体積平均粒径が、6μm以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<6> 前記充填材を1,000℃で2時間加熱した際の強熱減量が、6.85%以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<7> 前記熱可塑性樹脂粒子が、前記充填材を含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<8> 立体造形用粉末が硬化した硬化層を積層して、立体造形物を造形する造形装置であって、
前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形用粉末が貯蔵されている貯蔵槽と、
前記貯蔵槽に貯蔵された前記立体造形用粉末を層形成領域に供給する供給手段と、
前記層形成領域に供給された前記立体造形用粉末を含む層を形成する層形成手段と、
前記層を硬化する硬化手段と、
を有することを特徴とする造形装置である。
<9> 立体造形用粉末が硬化した硬化層を積層して、立体造形物を造形する造形方法であって、
前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形用粉末を含む層を形成する層形成工程と、
前記層を硬化する硬化工程と、を繰り返すことを特徴とする造形方法である。
<10> 熱可塑性樹脂粒子と、二酸化ケイ素を主成分に含む充填材とを少なくとも含む粉末であって、
前記充填材における、前記主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.630以上であることを特徴とする粉末である。
<11> 前記充填材における、前記主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.660以下である前記<10>に記載の粉末である。
<12> 前記充填材における前記主成分が、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、及び酸化カルシウムを含む前記<10>から<11>のいずれかに記載の粉末である。
<13> 前記充填材が、タルクである前記<10>から<12>のいずれかに記載の粉末である。
<14> 前記充填材の体積平均粒径が、6μm以下である前記<10>から<13>のいずれかに記載の粉末である。
<15> 前記充填材を1,000℃で2時間加熱した際の強熱減量が、6.85%以下である前記<10>から<14>のいずれかに記載の粉末である。
<16> 前記熱可塑性樹脂粒子が、前記充填材を含有する前記<10>から<15>のいずれかに記載の粉末である。
前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形用粉末、前記<8>に記載の造形装置、前記<9>に記載の造形方法、及び前記<10>から<16>のいずれかに記載の粉末によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2002−161200号公報
1 造形装置
11 貯蔵槽
11H ヒータ
11P ピストン
12 ローラ
13 レーザー走査スペース
13H ヒータ
13P ピストン
18 電磁照射源
19 反射鏡

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂粒子と、二酸化ケイ素を主成分に含む充填材とを少なくとも含む立体造形用粉末であって、
    前記充填材における、前記主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.630以上であることを特徴とする立体造形用粉末。
  2. 前記充填材における、前記主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.660以下である請求項1に記載の立体造形用粉末。
  3. 前記充填材における前記主成分が、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、及び酸化カルシウムを含む請求項1から2のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  4. 前記充填材が、タルクである請求項1から3のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  5. 前記充填材の体積平均粒径が、6μm以下である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  6. 前記充填材を1,000℃で2時間加熱した際の強熱減量が、6.85%以下である請求項1から5のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  7. 前記熱可塑性樹脂粒子が、前記充填材を含有する請求項1から6のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  8. 立体造形用粉末が硬化した硬化層を積層して、立体造形物を造形する造形装置であって、
    請求項1から7のいずれかに記載の立体造形用粉末が貯蔵されている貯蔵槽と、
    前記貯蔵槽に貯蔵された前記立体造形用粉末を層形成領域に供給する供給手段と、
    前記層形成領域に供給された前記立体造形用粉末を含む層を形成する層形成手段と、
    前記層を硬化する硬化手段と、
    を有することを特徴とする造形装置。
  9. 立体造形用粉末が硬化した硬化層を積層して、立体造形物を造形する造形方法であって、
    請求項1から7のいずれかに記載の立体造形用粉末を含む層を形成する層形成工程と、
    前記層を硬化する硬化工程と、を繰り返すことを特徴とする造形方法。
  10. 熱可塑性樹脂粒子と、二酸化ケイ素を主成分に含む充填材とを少なくとも含む粉末であって、
    前記充填材における、前記主成分全体の質量に対する二酸化ケイ素の質量の比が、0.630以上であることを特徴とする粉末。

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