JP2020091275A - リチウム評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料に含まれるリチウムを、機器分析装置による相対分析手法に特有な諸問題の影響を受けず、共存元素が含まれる場合でも、正確に、高精度に評価できる技術を提供する。【解決手段】試料に含まれるリチウムを、リチウム化合物の形態で分離し、該リチウム化合物の重量を秤量することで、リチウム含有量を求めることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム評価方法に関する。
レアメタルの1つであるリチウムは、陶磁器・耐熱ガラス・光学ガラスの添加材などの窯業上の用途をはじめ、小型電子機器用・自動車用・自家発電用の各種電池のほか、うつ病治療薬などの医療や医薬、耐熱および耐圧グリース、鉄鋼連続鋳造用の融剤、合成ゴム用の重合触媒として、広く利用されており、そして、リチウムの大部分が、炭酸リチウムのようなリチウム化合物の形で用いられている。炭酸リチウムは、リチウムイオンバッテリー(LIB)の正極材や電解質などに用いられ、近年需要が急増している。また、水酸化リチウムも、リチウムイオンバッテリーの正極材が主要な用途であり、自動車用グリースにも用いられている。その他、臭化リチウムは、ビルおよび工場の大型空調用吸収式冷凍機の冷媒吸収材など、塩化リチウムは、空調除湿剤や溶接フラックスなどとして用いられている。なお、金属リチウムは、一次電池負極材の箔や合成ゴム触媒用のブチルリチウムの原料となっており、化合物や金属の形態以外にも、窯業分野においては、融点降下剤としてリチウム鉱石が直接用いられている。
このように、リチウムは、工業上の用途が広く需要も大きいため、これまでにも、各分野の製造工程で得られる中間物や最終製品などのリチウム含有量を、正確に評価できる方法の検討・開発が行われてきた。
リチウム含有量の評価方法としては、イオンクロマトグラフ法が特許文献1および特許文献2に提案されている。また、ICP法が特許文献3に提案されている。
特開平11−287793号公報 特開2010−25791号公報 特開2010−78381号公報
これらの評価方法は、機器分析装置が必要で、かつ、分析の物差しとなる標準物質や標準溶液が必要な、相対分析手法であった。このため、例えば誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置におけるプラズマの安定性によっては相対誤差が1〜3%になるなど、機器分析装置に起因してリチウムの分析精度が低下するという問題があった。また、これらの相対分析手法は、他の共存元素から受けるイオン化干渉や光学干渉の影響により、リチウムの分析精度が低下する問題があった。
これに対し、評価元素の絶対量を測定する評価方法である、絶対分析手法がある。この方法は機器分析装置で標準物質等と試料を比較する必要がないため、上述したような、機器分析装置に起因する分析精度の低下を防ぐことができる。また、この方法では評価元素の絶対量を測定するため、他の共存元素の影響に起因する分析精度の低下を防ぐことができる。このため、絶対分析手法は相対分析手法に比べ、高精度の分析が可能である利点があった。
しかし、リチウムのようなアルカリ金属では、その性質上、高精度分析が可能な重量法や滴定法の適用が、非常に困難である問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、試料に含まれるリチウムを、絶対分析手法である重量法を用いることで、機器分析装置による相対分析手法に特有な諸問題の影響を受けず、共存元素が含まれる場合でも、正確に、高精度に評価できる技術を提供することを一目的とする。
本発明者は、研究成果として、試料に含まれるニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムなどの共存元素から、イオン交換操作、沈澱操作、電解操作を駆使してリチウムを分離し、さらに、操作の過程で生成した、硫酸アンモニウムのような副生物を分解除去することにより、リチウムの重量を、最終的には、硫酸リチウムをはじめとするリチウム化合物の形態で、秤量できることを見出した。
本発明の第1の態様では、試料に含まれるリチウムを、リチウム化合物の形態で分離し、該リチウム化合物の重量を秤量することで、リチウム含有量を求めることを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
この態様によれば、試料に含まれるリチウムを、機器分析装置による相対分析手法に特有な諸問題の影響を受けず、共存元素が含まれる場合でも、正確に、高精度に評価できる。
本発明の第2の態様は、第1の態様のリチウム評価方法において、秤量した前記試料を酸で溶解し、溶解液を得た後、該溶解液の酸濃度を制御する試料溶解工程と、酸濃度を制御した前記溶解液を、イオン交換樹脂カラムに流し、流出液を得た後、該流出液の酸濃度を制御するイオン交換工程と、酸濃度を制御した前記流出液を白煙処理した後、アルカリを加え電解し、電解残液を得る電解工程と、前記電解残液を定容し、該電解残液の一部を容器に分取した後、前記容器ごと加熱および強熱を行うことで副生物を分解除去し、リチウム化合物を得るリチウム化合物生成工程と、前記リチウム化合物を前記容器ごと秤量し、リチウムを定量する分析工程と、を有することを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
このようにすれば、試料に含まれるリチウムを、機器分析装置による相対分析手法に特有な諸問題の影響を受けず、共存元素が含まれる場合でも、正確に、高精度に評価できる。
本発明の第3の態様は、第2の態様のリチウム評価方法において、前記イオン交換工程と前記電解工程の間に、酸濃度を制御した前記流出液を、酸および/又はアルカリでpH調整し、煮沸することにより、金属水酸化物の沈澱を生成させ、該沈澱を濾過して濾液を得る沈澱工程を有し、前記濾液を前記電解工程で白煙処理することを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
このようにすれば、試料にアルミニウムなどが含まれる場合でも、試料に含まれるリチウムを正確に、高精度に評価できる。
本発明の第4の態様は、第1又は第2の態様のリチウム評価方法において、前記リチウム化合物が硫酸リチウムであることを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
吸湿性および生成プロセスの煩雑さの観点から、重量を秤量するリチウム化合物として硫酸リチウムが好適である。
本発明の第5の態様は、第2の態様のリチウム評価方法において、前記酸が塩酸であり、前記イオン交換樹脂カラムが陰イオン交換樹脂カラムであることを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
このようにすれば、コバルト、マンガン、鉄、亜鉛などの共存元素をクロロ錯体の形態でカラムに吸着させ、分析対象元素であるリチウムと分離することができる。
本発明の第6の態様は、第2の態様のリチウム評価方法において、前記容器が石英製共栓三角フラスコであることを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
このようにすれば、リチウム化合物生成工程において飛沫を容器外に散り難くすることができる。そして、リチウム分析工程において、リチウム化合物が大気中の水分を吸収して水和物になることを防ぐことができる。
本発明の第7の態様は、第2又は第3の態様のリチウム評価方法において、当該リチウム評価方法におけるアルカリがアンモニア水であることを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
アンモニア水を使用することで、試料由来の共存元素以外が不純物として新たに混入することを防ぐことができる。
本発明の第8の態様は、第1〜第7の態様のいずれかのリチウム評価方法において、前記試料がニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムの1種以上を含むことを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
上記の共存元素が含まれる場合でも、試料に含まれるリチウムを、正確に、高精度に評価できる。
本発明の第9の態様は、第2の態様のリチウム評価方法において、前記副生物が硫酸アンモニウムであることを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
このようにすれば、試料由来の共存元素以外が不純物として新たに混入することを防ぐことができる。
本発明の第10の態様は、第2の態様のリチウム評価方法において、前記イオン交換工程および前記電解工程でのリチウム損失分を、原子吸光法、フレームレス原子吸光法、ICP法、ICP−MS法、イオンクロマトグラフ法の1種以上を用いて求めることを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
このようにすれば、イオン交換工程および電解工程におけるリチウム損失分を反映させることができるため、試料に含まれるリチウムを、正確に、高精度に評価できる。
本発明の第11の態様は、第3の態様のリチウム評価方法において、前記イオン交換工程、前記沈澱工程、前記電解工程でのリチウム損失分を、原子吸光法、フレームレス原子吸光法、ICP法、ICP−MS法、イオンクロマトグラフ法の1種以上を用いて求めることを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
このようにすれば、イオン交換工程、沈澱工程、前記電解工程におけるリチウム損失分を反映させることができるため、試料に含まれるリチウムを、正確に、高精度に評価できる。
本発明の第12の態様は、第1〜第11の態様のいずれかのリチウム評価方法において、前記リチウム含有量を算出した後、前記リチウム化合物を、ICP法、ICP−MS法の1種以上を用いて定性分析することを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
このようにすれば、リチウム分析工程で得られたリチウム化合物に共存元素の残存が無いことを確認することができるため、試料に含まれるリチウムを、正確に、高精度に評価できる。
本発明の第13の態様は、第1〜第12の態様のいずれかのリチウム評価方法において、前記リチウム化合物を、X線回折法を用いて形態分析することを特徴とするリチウム評価方法を提供する。
このようにすれば、得られたリチウム化合物について、吸湿による水和物化や、大気中の二酸化炭素による炭酸塩化が進行していないことを、確認することができる。このため、試料に含まれるリチウムを、正確に、高精度に評価できる。
本発明を用いれば、試料に含まれるリチウムを、絶対分析手法である重量法を用いることで、機器分析装置による相対分析手法に特有な諸問題の影響を受けず、共存元素が含まれる場合でも、正確に、高精度に評価できる。
図1は、本発明の一態様に係る、リチウム評価方法を説明するためのフロー図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
本発明の一態様に係るリチウム評価方法は、試料に含まれるリチウムの重量を直接秤量する、重量法に基づくものであり、絶対分析手法によりリチウムを評価するものである。
ここで、過去より行われてきたリチウム評価方法としては、原子吸光法、炎光法が代表例であるほか、ICP法、イオンクロマトグラフ法などが挙げられる。
例えばイオンクロマトグラフ法として、試料を、塩酸・硝酸・水の混酸で加熱分解し、次に過酸化水素水を加え煮沸した後、ルビジウムを内標準元素として添加した測定溶液を、イオンクロマトグラフ法で分析する方法(特許文献1)、陽イオン交換樹脂を充填した分離カラムと、陰イオン交換性のサプレッサを装備した、イオンクロマトグラフ装置を用いて、試料を、硝酸と過酸化水素水で加熱分解して得た測定溶液を、カリウム、アンモニウム、アミン系化合物の少なくとも1種を、内標準元素として測定する方法(特許文献2)がある。また、ICP法として、試料を、硝酸と過酸化水素水で加熱分解して得た試料溶液を、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置で測定する際、プラズマ励起温度を4900K以上とし、測定には内標準法を適用し、さらに、分析対象元素にリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムの少なくとも2種を含む場合、内標準元素として、リチウム、アルミニウム、マンガンに対してはガリウムを使用し、ニッケル、コバルトに対しては銅を使用する方法(特許文献3)がある。
ところが、原子吸光法、炎光法、ICP法では、分析精度が、フレーム炎、又は、プラズマの安定性を主な要因として、通常は、相対誤差1〜3%であり、さらなる高精度分析を行う場合には、他の共存元素から受けるイオン化干渉や光学干渉に対する、適切な対策が必要となる。また、イオンクロマトグラフ法では、試料秤量操作、加熱分解操作、溶液化した試料の容量を、一定量に合せる定容操作、試料溶液、および、検量線作成用標準溶液を、一定倍率に薄める希釈操作など、一連の前処理操作を連続的に行うことにより、リチウムの分析精度が著しく低下する問題があった。
ところで、上記の内標準法とは、検量線法の標準溶液と、試料を前処理した測定溶液の両方に、分析装置での測定において、分析対象元素と類似した物理的挙動を示す元素を、内標準元素として一定量添加し、内標準元素が受ける影響をモニターすることにより、分析対象元素の測定値を補正する方法(元々、試料に内標準元素が含まれていないことが前提)である。そして、本来、分析装置での測定において、マトリックス成分の影響による、測定溶液の導入効率の低下など、分析対象元素が測定で受ける物理的干渉を、補正するための方法である。
しかし、上記のいずれの評価方法においても、分析装置での測定段階からではなく、試料秤量の直後から内標準元素を添加・混合し、その後に前処理操作を行うことがある。けれども、標準物質の標準値確定方法として採用されている同位体希釈法(分析対象元素の濃縮安定同位体を、試料に一定量添加し、その挙動によって測定値を補正する方法)のように、分析対象元素と内標準元素が、全く同一の化学的・物理的性質を示すことは、皆無で有り得ないことであり、お互いの諸性質の違いが、例えば、前処理操作の煩雑化により、逆に顕著な分析誤差として現れ、悪影響を及ぼす危険性があるため、厳重な注意が必要となる。
上記のいずれの評価方法も、機器分析装置が必要で、かつ、分析の物差しとなる標準物質や、標準溶液が必要な相対分析手法であり、相対分析手法としては、同位体希釈法のみが唯一、標準物質の標準値を確定できる方法となっている。これに対し、古くから、標準物質の標準値を確定する方法には、分析対象元素そのものの重量を直接秤量する重量法、若しくは、分析対象元素と定量的に反応する試薬の添加容量から分析値を求める容量法など、化学量論に基づく方法であり、機器分析装置を必要としない絶対分析手法が採用されてきた。ところが、現在においても、リチウムのようなアルカリ金属では、その性質上、高精度分析が可能な重量法や滴定法の適用が、非常に困難であると言われている。
例えば重量法では、試料に含まれるリチウムの重量を測定することでリチウムを分析、評価するが、そのためには、リチウムと他の共存元素を分離する必要がある。さらに、高精度の分析には、分離したリチウムに、リチウム以外の元素(本願において「共存元素」とも言う)が不純物として含まれないこと、かつ、分離した共存元素にリチウムが含まれないことが必要となる。これらの不純物等の存在は、リチウム重量の正確な測定を妨げ、リチウムの分析精度を著しく低下させる。
そして、共存元素には例えばニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムなど、種々の性質を有する元素が存在する。このため、リチウムと共存元素の分離の際に、不純物等が含まれないように分離することは困難であった。また、アルカリ金属元素が不純物として含まれる場合は、リチウムと分離することが特に困難であるため、リチウムの分析精度を著しく低下させる問題があった。このため、高精度の分析のためには、リチウムの分離の際に、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属元素を含む試薬類を使用することができない問題があった。
本発明者は、上記の課題を解決すべく、試料からリチウムを分離する手段として、イオン交換操作、沈澱操作、電解操作を駆使することで、共存元素であるニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムなどから、リチウムを分離できることに着目した。また、リチウム化合物生成工程、および、リチウム分析工程において、操作の過程で生成した、硫酸アンモニウムのような副生物を、穏やかに分解除去することにより、最終的には、硫酸リチウムをはじめとするリチウム化合物の形態で、リチウムを正確に、高精度に評価できることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本願において、「分析」とは、通常は「定量分析」を指すものとし、「定性分析」を行う場合は、都度、その旨を記載することとした。なお、「定量分析」とは、試料中の分析対象成分の含有量を正しく定めるための分析方法であり、「定性分析」とは、試料がどのようなものか、どのような成分から構成されているか、或いは、分析対象成分がどのくらい含有されているか(半定量とも言う)など、性質的な情報を得るための分析方法である。一般的には、「定性分析」により、未知であった含有成分や、その大まかな含有量を明らかにし、それから分析対象成分についての「定量分析」が行われるが、既に含有成分などの情報が判明している場合は、直ちに「定量分析」を行うことができる。
以下、本発明の一態様に係るリチウム評価方法の概要を説明する。
[1.リチウム評価方法の概要]
まず、リチウム評価方法の概要について図面を使用しながら説明する。図1は、本発明の一態様に係る、リチウム評価方法を説明するためのフロー図である。本発明の一態様に係るリチウム評価方法は、図1に示すように、試料溶解工程S1、イオン交換工程S2、沈澱工程S3、電解工程S4、リチウム化合物生成工程S5およびリチウム分析工程S6から構成される。
[1−1.試料溶解工程S1]
試料溶解工程S1では、後述するイオン交換工程S2をはじめとする後工程のために、試料を塩酸で加熱分解後、さらに、塩酸を追加して酸濃度を制御する。後述するイオン交換工程S2において、クロロ錯体を陰イオン交換樹脂カラムに吸着させることで、リチウムと共存元素を分離するため、塩酸で試料を溶解することが好ましい。また、酸濃度によって生成するクロロ錯体は異なるが、酸濃度は8M以上12M以下が好ましく、9M以上11M以下がより好ましい。この範囲に酸濃度を制御することで、コバルト、マンガンのクロロ錯体における樹脂カラムへの吸着能力を最適化させることができるため、イオン交換工程S2において、これらの共存元素とリチウムを分離することができる。酸濃度が8M未満ではコバルトのクロロ錯体が樹脂カラムへ十分に吸着されず、リチウムと共存元素を分離することができない。
[1−2.イオン交換工程S2]
イオン交換工程S2では、陰イオン交換樹脂カラムを用い、コバルト、マンガン、鉄、亜鉛などの共存元素をクロロ錯体(錯陰イオン)の形態でカラムに吸着させ、分析対象元素であるリチウムをカラムから流出させる。これによりリチウムと共存元素を分離することができる。ところで、陽イオン交換樹脂カラムを用いた場合は、リチウムのほうをカラムに吸着させることとなるが、塩酸性などの単純な液性では、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムなどの共存元素も、カラムに吸着して残るため、リチウムを完全に分離するのは難しい。しかし、陰イオン交換樹脂カラムにおいても、リチウム以外に、ニッケルやアルミニウムなども、クロロ錯体(錯陰イオン)を生成しないので、リチウムと共に、カラムから流出する。
[1−3.沈澱工程S3]
沈澱工程S3では、イオン交換工程S2で、リチウムと分離できなかったアルミニウムなどの共存元素を、金属水酸化物の形態で分離する。沈澱pHを制御するアルカリとしては、アンモニア水が好ましい。アンモニア水を使用することで、ナトリウムやカリウムなどアルカリ金属元素が不純物として混入することを防ぎ、後述するリチウム分析工程S6において、リチウムを、正確に、高精度に評価できる。また、アルミニウムなどの共存元素を水酸化アルミニウム等とすることで、リチウムと共存元素を分離することができる。さらに、後述する電解工程S4において生成する副生成物を硫酸アンモニウムとすることで、後述するリチウム化合物生成工程S5で硫酸アンモニウムを気体のアンモニア、気体の二酸化硫黄、窒素ガス、および水蒸気として除去することができる。このため、リチウム化合物生成工程S5において、後述する副生成物が固体として残留することを防ぐことができるため、リチウム分析工程S6において、リチウムを、正確に、高精度に評価できる。
アンモニア水以外のアルカリ、例えば水酸化ナトリウム水溶液等は、リチウムと同じアルカリ金属元素である、ナトリウムやカリウムが不純物として混入するために、沈澱pHを制御するアルカリとして用いることができない。従って、沈澱工程S3においても、アンモニア水とアンミン錯体を生成することで、金属水酸化物として沈澱しないニッケルなどは、リチウムと共に濾液に残る。なお、アルミニウムなどが試料に含まれない場合には、この沈澱工程S3を省略可能である。
[1−4.電解工程S4]
電解工程S4では、イオン交換工程S2、および、沈澱工程S3でリチウムと分離できなかったニッケルなどの共存元素を、メタルの形態で白金カソードに析出させて分離する。この電解工程S4を経た段階で、全ての共存元素から、リチウムを分離することができる。電解工程S4では後述するようにイオン交換工程S2で得た流出液にアンモニア水を添加し、アルカリ性にして定電流電解を行う。アンモニア水を用いる理由およびその効果は、沈澱工程S3の概要で述べたものと同様であるため省略する。電解工程S4では試料の前処理に硫酸を用い、かつ、電解液性がアンモニア性であることから、電解残液中には、リチウムと共に硫酸アンモニウムが副生物として残る。
[1−5.リチウム化合物生成工程S5]
リチウム化合物生成工程S5では、副生物である硫酸アンモニウムを、加熱濃縮、蒸発乾固、強熱などの各操作により、分解除去すると共に、リチウム化合物のみを生成させる。上述したように、本工程で硫酸アンモニウムを気体のアンモニア、気体の二酸化硫黄、窒素ガス、および水蒸気として除去することができる。このため、副生成物が固体として残留することを防ぐことができるため、後述するリチウム分析工程S6において、リチウムを、正確に、高精度に評価できる。ただし、これらの各操作においては、特に、蒸発乾固や強熱の際、硫酸アンモニウムの副生量が多くなると、その飛沫が散り易く、飛沫が容器外に出ると、飛沫に含まれるリチウムが損失して、大きな誤差要因となる。ここで本工程を、石英製共栓三角フラスコを用いて行うことで、蒸発乾固や強熱の際、飛沫を容器外に散り難くすることができ、飛沫に含まれるリチウムが損失することを防ぐことができる。このため、リチウムを、正確に、高精度に評価できる。
[1−6.リチウム分析工程S6]
リチウム分析工程S6では、生成したリチウム化合物を放冷した後、電子天秤で重量を秤量する。ところが、リチウム化合物は、種類によっては強い吸湿性を持つので、大気中の水分を吸収して無水塩から水和物となり易い。ここで、リチウム化合物生成工程S5における副生物の分解除去を、石英製共栓三角フラスコを用いて行うことで、大気と遮断した状態でリチウム分析工程を行うことができる。このため、吸湿性による重量変化を防ぎ、リチウムを、正確に、高精度に評価できる。なお、リチウム化合物の重量を得た後、リチウム化合物を水で溶解し、その水溶液を用いて、ICP定性分析、ICP−MS定性分析を行うことにより、リチウム化合物に共存元素の残存が無いことを確認することができる。これにより、試料に含まれるリチウムを、正確に、高精度に評価できる。
また、後述するように、イオン交換工程S2、沈澱工程S3、電解工程S4において損失したリチウムを、原子吸光法、フレームレス原子吸光法、ICP法、ICP−MS法、イオンクロマトグラフ法の1種以上を用いて、分析することが可能である。そして、各工程におけるリチウム損失分をリチウム分析工程S6の測定結果に反映させることで、リチウム含有量を算出することができる。このため、リチウムを、正確に、高精度に評価できる。
このように、本発明は、研究成果として得られた、上記の知見に基づいて、なされたものであり、上記の効果を有する。
[2.リチウム評価方法]
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態に係る、リチウム評価方法について説明する。
本実施形態において、試料とは、少なくとも、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムの1種以上を含むものを示し、その試料のリチウムを評価する場合を一例とする。
本実施形態のリチウム評価方法は、試料溶解工程S1をはじめ、イオン交換工程S2、沈澱工程S3、電解工程S4、リチウム化合物生成工程S5、リチウム分析工程S6を有する。以下、その各工程の詳細について説明する。
[2−1.試料溶解工程S1]
試料溶解工程S1では、まず、分析対象となる試料を、0.5〜2g程度、電子天秤で秤量した後、水と塩酸を加えて溶解し、溶解液を得る。そして、ビーカーでの加熱および冷却には、後工程も含め、必要に応じて時計皿を蓋として使用する。
ところで、重量法を行う場合、分析過程において、試料由来の共存元素以外が、不純物として新たに混入することにより、余計な分離操作が増えるだけでなく、分離が困難となって分析自体が出来なくなる恐れがある。それ故、試料の溶解では、イオン交換工程S2をはじめとする後工程に、大きな悪影響を与えないため、無機酸などの単純液性となる様、処理することが好ましく、炭酸ナトリウムや二硫酸カリウムなどを用いた、アルカリ融解による処理を避けることが好ましい。
また、次工程のイオン交換工程S2で、試料に含まれる共存元素について、なるべく多くの種類を吸着分離するには、溶解液の液性を、硝酸性や硫酸性などとするよりも、塩酸性とするのが好ましい。塩酸の酸濃度は、分離したい共存元素の種類によっても変わり得るが、例えば、コバルト、マンガンであれば塩酸10モル(以降、単に「M」とも記載する)、鉄であれば塩酸8M、亜鉛であれば塩酸2Mとするのが好ましい。
[2−2.イオン交換工程S2]
イオン交換工程S2では、先述した通り、官能基として、アミノ基を導入したイオン交換樹脂であり、塩素イオンや硫酸イオンのような、陰イオンを交換することができる、陰イオン交換樹脂カラムを使用する。カラムに充填する陰イオン交換樹脂には、ザ・ダウケミカル・カンパニー製のDowex:ダウエックス(登録商標)シリーズのほか、オルガノ株式会社製のAmberlite:アンバーライト(登録商標)シリーズなど、上市され、一般的に広く普及している、強塩基性のものや弱塩基性のものを用いることができ、例えば、強塩基性のものなら、トリメチルアンモニウム基を持つ、I型のダウエックス−1x8(100−200メッシュ)などが挙げられる。
陰イオン交換樹脂カラムは、例えば、JIS−M−8129(鉱石中のコバルト定量方法)に準拠したものを、使用することができる。コック付きガラスカラム管(内径:約25mm、クロマトグラフ部の長さ:約350mm)に、水でほぐした脱脂綿(ガラス綿、テフロン綿でもよい)を、5〜10mmの厚さに緩く詰め、水で膨潤させた陰イオン交換樹脂(強塩基性、Cl型)を、スラリー状にして流し入れる。樹脂が沈降後、その上に、水でほぐした脱脂綿を、5〜10mmの厚さに緩く詰める。さらに、脱脂綿の詰め方や、コックの開度を調節し、流出液の流量を、毎分約3〜5mL(SV=1〜2)となるように制御する。
ここで、BV(通液倍率:Bed Volume)が、樹脂容積の何倍量を通液するかを示す単位であるのに対して、SV(空間速度:Space Velocity)とは、1時間当たりに、樹脂容積の何倍量を通液するかを示す単位である。
陰イオン交換樹脂は、式(I)に示すように、アンモニア水(7+100)を用いて、OH型に再生した後、式(II)に示すように、塩酸(1+100)を用いて、Cl型に交換してから、使用するのが好ましい。ここで、「1+100」とは、塩酸の場合、体積で塩酸1+水100を意味する。また、以下の式(I)(II)において、Aは、イオン交換樹脂の母体を示す。
A−N・Cl + NHOH → A−N・OH + NHCl (I)
A−N・OH + HCl → A−N・Cl + HO (II)
上記の操作を行うことで、連続使用による陰イオン交換樹脂の劣化が原因で起こり得る、吸着能力の低下を未然に防止することができる。再生操作は、塩酸(1+100)→水→アンモニア水(7+100)→水→塩酸(1+100)の順に、陰イオン交換樹脂の使用量に見合った液量、即ち、上記の例なら、それぞれ360mLずつをカラムに通す。
試料溶解工程S1で得た溶解液をカラムに通す前に、溶解液と同じ酸濃度にした調製塩酸をカラムに通して、カラム全体を調製塩酸で満たした状態としておく。さらに、溶解液をカラムに通した後は、少なくとも樹脂容積の2倍量の調製塩酸を用いて、リチウムをカラムから完全に流出させる。得られた流出液は、後工程のため、一旦、加熱濃縮、および、蒸発乾固を行った後、生成した塩類を、水と塩酸で再び加熱溶解し、所定の塩酸濃度に制御する。塩酸濃度が低すぎると蒸発乾固により生成した塩類が未溶解となるため、リチウム重量の正確な測定を妨げ、リチウムの分析精度を著しく低下させる。塩類を溶解できる濃度であれば塩酸濃度は特に限定されないが、塩酸濃度が高い程、沈澱工程ではアンモニア水の使用量が増え、電解工程の前処理では塩酸を除去するのに時間が掛かるため、リチウム分析に要するコストおよび時間が増加する。これらの分析精度、コストおよび時間の観点から、塩酸濃度は1M以上2M以下が好ましい。
カラムに吸着した共存元素は、元素毎に適した調製塩酸を用いるほか、例えば、アスコルビン酸1gを塩酸(1+9)1Lに溶解した溶離液を用いることにより、カラムから溶離させることができる。また、得られた回収液に含まれる共存元素を、イオン交換操作において損失(カラムに残存)したリチウムと共に、原子吸光法、フレームレス原子吸光法、ICP法、ICP−MS法、イオンクロマトグラフ法の1種以上を用い、分析することが可能である。
なお、イオン交換工程S2の次工程として、試料にアルミニウムなどが含まれる場合は、沈澱工程S3に、アルミニウムなどが含まれない場合は、沈澱工程S3を省略して、電解工程S4に移る。
[2−3.沈澱工程S3]
沈澱工程S3では、試料にアルミニウムなどが含まれる場合、イオン交換工程S2で得た酸濃度を制御した流出液に、水を加えて液量調整した後、塩酸(1+1)および/又はアンモニア水で所定の沈澱pHに制御し、共存元素を金属水酸化物の形態で沈澱させて分離する。沈澱pHは5以上10以下が好ましく、6以上9以下がより好ましい。沈澱pHをこれらの範囲に制御することで、アルミニウムを水酸化アルミニウムとして沈澱させ、リチウムと共存元素を分離することができる。先述した通り、沈澱pHを制御するアルカリには、試料由来の共存元素以外が不純物として新たに混入することが無い、アンモニア水を使用する。後工程のリチウム化合物生成工程S5における、硫酸アンモニウムの生成量を減らす目的で、アンモニア水の添加量は、沈澱pHの制御を慎重に行うことにより、なるべく少なくすることが特に好ましい。pH緩衝剤として、塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩を、一緒に添加することもできるが、この場合も、添加量を増やし過ぎないように注意する。また、共存元素との分離の観点から、金属水酸化物の沈澱を分離採取する前に、流出液を低温で加熱し、煮沸することで、沈澱を熟成させることが特に好ましい。煮沸により沈澱の生成速度が上がり、沈澱が他の成分を吸着するのを抑制しつつ、沈澱粒子を粗大化できるので、リチウムと共存元素の分離を促すことができる。また、沈澱の洗浄効率を向上させることができる。沈澱分離は、例えば、通常の自然濾過のほか、吸引濾過など公知の手段で行うことができ、濾過に用いる濾紙としては、例えば、通常の定量濾紙(JIS P 3801に規定される5種A、5種B、5種C)、酢酸セルロース濾紙、親水性PTFE濾紙などを用いるとよい。その他、分離した沈澱は、例えば、純水や希アンモニア水で5〜6回洗浄するとよい。
金属水酸化物の形態で沈澱した共存元素は、例えば、温塩酸(1+1)で溶解し、沈澱操作において損失(沈澱に残存)したリチウムと共に、原子吸光法、フレームレス原子吸光法、ICP法、ICP−MS法、イオンクロマトグラフ法の1種以上を用い、分析することが可能である。
[2−4.電解工程S4]
電解工程S4では、イオン交換工程S2で得た酸濃度を制御した流出液、又は、沈澱工程S3で得た濾液に、硫酸(1+1)を加えて加熱濃縮し、白煙を発生させた後、硫酸(1+1)と水で液量調整し、アンモニア水を加えてアルカリ性にして定電流電解を行う。電解には、上市されている電解装置を用いることができ、例えば、ヤナコテクニカルサイエンス株式会社製の電解分析装置AES−2D、東京光電株式会社製の電解分析装置ANA−2−2などを用いることができる。電極には、JIS−H−1101(銅地金分析方法)に記載された、らせん状白金アノード、および、円筒状白金カソード、を用いることができ、硝酸(1+1)中で煮沸後、水、エタノールで洗浄し、105℃で30分以上乾燥させて使用する。また、電解ビーカー(200mLトールビーカーでもよい)のほか、2個の半円形時計皿を使用し、電解条件は、電流を0.3〜0.7A、時間を10〜30時間に設定する。また上記の加熱濃縮により、流出液又は濾液中の塩酸を蒸発させて除去することができる。これにより、塩素が不純物として残留することを防ぐことができるため、リチウム分析工程S6において、リチウムを、正確に、高精度に評価できる。なお硫酸は不揮発性の酸でありその沸点は337℃と塩酸の沸点110℃より高いため、硫酸白煙の発生により、流出液又は濾液中に塩酸が存在しないことを確認することができる。なお本願では上記の硫酸添加、加熱濃縮および白煙発生の操作を白煙処理とも言う。
白金カソードに析出した共存元素は、例えば、電解操作後(共存元素析出後)の白金カソード乾燥重量から、電解操作前(共存元素析出前)の白金カソード乾燥重量を差し引く、電解重量法により分析することができるが、それ以外にも、電解操作後(共存元素析出後)の白金カソードから、共存元素のみを硝酸(1+1)で加熱分解し、電解操作において損失(白金カソード側に残存)したリチウムと共に、原子吸光法、フレームレス原子吸光法、ICP法、ICP−MS法、イオンクロマトグラフ法の1種以上を用いて、分析することが可能である。
[2−5.リチウム化合物生成工程S5]
リチウム化合物生成工程S5では、電解工程S4で得た電解残液を加熱濃縮し、一旦、所定の液量に定容後、それから適量を分取して、強熱用容器に移し入れる。この操作を行うことで、先にも述べた、硫酸アンモニウムの共存量を減らし、蒸発乾固や強熱の際、飛沫を容器外に散り難くすることができるので、定容・分取操作をしない場合よりも、特に好ましい。また、上記の強熱用容器には、石英製共栓三角フラスコを用いる。これにより、容器口が狭くなっているため、蒸発乾固や強熱の際、飛沫を容器外に散り難くすることができるので、白金皿、石英皿、磁性皿などを用いるよりも、特に好ましい。なお、硫酸アンモニウムは、120℃くらいから次第に分解し始め、357℃において、アンモニアを放って融解する。蒸発乾固の際には、濃縮液が突沸しない様、100〜320℃の範囲で、加熱温度を調整しながら処理を行う。強熱の際には、いきなり高温で処理すると飛沫が散り易くなるので、なるべく穏やかに昇温させるのがよく、電気マッフル炉などを用いて、昇温パターンを、室温→350℃(10分)→400℃(20分)→450℃(10分)、かつ、各設定温度までの昇温時間を10分とする条件で強熱を行うのが特に好ましい。強熱により、硫酸アンモニウムは気体のアンモニア、気体の二酸化硫黄、窒素ガス、および水蒸気として強熱用容器から除去される。
[2−6.リチウム分析工程S6]
リチウム分析工程S6では、リチウム化合物生成工程S5で得たリチウム化合物を、デシケータ中で放冷後、強熱用容器ごと、電子天秤で重量を秤量する。強熱が完了した後、リチウム化合物が、大気中の水分を吸収して、水和物とならない様、速やかに強熱用容器をデシケータ中に保管し、常温となるまで放冷する。強熱用容器に、石英製共栓三角フラスコを用いた場合、栓をして密閉状態で大気と遮断できるので、白金皿、石英皿、磁性皿などを用いるよりも、特に好ましい。また、重量の秤量において、リチウム化合物の種類には、硫酸リチウム、塩化リチウム、炭酸リチウム、臭化リチウムなどが挙げられるが、塩化リチウムは最も吸湿性が強く、炭酸リチウム、臭化リチウムは生成させるのに煩雑なプロセスが必要となるため、硫酸リチウムとするのが、特に好ましい。
得られたリチウム化合物の重量を、リチウム相当重量に換算し、試料溶解工程S1における試料量、リチウム化合物生成工程S5における定容量や分取量、各工程におけるリチウム損失分を反映させることで、リチウム含有量を算出することができる。なお、リチウム化合物の重量を得た後、リチウム化合物を水で溶解し、その水溶液を用いて、ICP定性分析、ICP−MS定性分析を行うことにより、リチウム化合物に共存元素の残存が無いことを確認することができる。さらに、上記の定性分析において、万が一、リチウム定量値に影響を及ぼす恐れのある量の共存元素の残存が確認された場合、引き続き、原子吸光法、フレームレス原子吸光法、ICP法、ICP−MS法、イオンクロマトグラフ法の1種以上を用いて分析し、リチウム定量値から差し引くことが可能である。これにより、試料に含まれるリチウムを、正確に、高精度に評価できる。また、得られたリチウム化合物の一部を採取するか、もしくは、後述する、併行分析の検体とは別に、化合物形態を確認するための検体を作製し、X線回折(XRD)法を用いて形態分析することが可能である。これにより、得られたリチウム化合物について、吸湿による水和物化や、大気中の二酸化炭素による炭酸塩化が進行していないことを、確認することができる。そして、水和物化や炭酸塩化による影響を排除することができるため、試料に含まれるリチウムを、正確に、高精度に評価できる。
<本実施形態に係る分析方法の詳細>
本実施形態に係る分析方法の詳細について、以下に説明する。
図1に示す工程に従い、試料X、Y(どちらも金属複合酸化物)に含まれるリチウムの評価を行った。誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置で別途分析した、試料X、Yにおけるマトリックス元素の組成を、表1に示す。試料Xには、ニッケル、コバルト、アルミニウムが、試料Yには、ニッケル、コバルト、マンガンが主成分として、分析対象元素であるリチウムと共存している。
Figure 2020091275
また、各工程におけるリチウム損失分、重量秤量後におけるリチウム化合物(硫酸リチウム)の定性分析、各比較例(酸分解液を用いた、従来法によるリチウムの分析)、これらの分析には、全てICP法を用いた。各検体を、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置(アジレント・テクノロジー株式会社製のICP−OES「Agilent730−ES」)に導入し、表2に示す測定条件で、リチウムや共存元素を測定し、かつ、定性分析を行った。各元素の測定波長は、リチウムを610.365nm、ニッケルを222. 295nm、コバルトを235.341nm、アルミニウムを396.152nm、マンガンを279.827nmとした以外に、内標準元素に選定したイットリウムを371.030nmとした。その他、測定溶液の液性については、塩酸1.2M、イットリウム濃度を10mg/Lとし、検量線濃度は、0、1、5、10、50mg/Lとした。
Figure 2020091275
下記の通り、本発明を、さらに詳細な実施例に基づいて説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
<実施例1>
本実施例では、図1に示す工程により、試料Xに含まれるリチウムを、3検体併行で処理し、評価した。
まず、試料Xを2g、200mLビーカーに秤量し、純水を10mL、塩酸を20mL添加した後、加熱分解した。溶解液を放冷した後、塩酸を30mL添加して、酸濃度を塩酸10Mに制御し、陰イオン交換樹脂カラムに、流出液の流量が毎分約3〜5mL(SV=1〜2)となるように通した。陰イオン交換樹脂カラムは、先にも述べた、JIS−M−8129(鉱石中のコバルト定量方法)に準拠したものを用い、樹脂は、ダウエックス−1x8(100−200メッシュ)を用いた。流出液は、500mLビーカーに受け、さらに、調製塩酸(塩酸10M)を360mL、小分けしながらカラムに通して洗浄し、リチウムをカラムから完全に流出させた。
カラムに吸着したコバルトやマンガンなどの共存元素は、塩酸(1+9)を溶離液として用い、360mLを小分けしながらカラムに通して、カラムから溶離させた。その後、得られた回収液は、500mL全量フラスコへ移し入れ、塩酸を14mL、内標準溶液であるイットリウム溶液(100mg/L)を50mL添加し、水で500mLに定容した。この回収液に含まれる共存元素を、イオン交換操作で損失(カラムに残存)したリチウムと共に、適宜、希釈操作を行いつつ、ICP法により分析した。
流出液を加熱濃縮し、200mLトールビーカーに移し入れ、加熱を続けて蒸発乾固させた後、純水を20mL、塩酸12Mを2mL添加して、生成塩を溶解しつつ、流出液の酸濃度を塩酸1M程度に再度制御した。さらに、流出液に純水を加え、液量を約100mLに調整した後、塩酸(1+1)およびアンモニアの質量%が28%のアンモニア水でpH7前後に調整し、金属水酸化物の沈澱を生成させた。生成した沈澱を、120℃で煮沸するまで加熱し、15分以上保持して、加熱熟成を行った。その後、濾紙(5A、125mm)を用いて自然濾過により分離し、また、温アンモニア水(1+100)で5〜6回洗浄した。なお、濾液は、200mLトールビーカーに採取した。
沈澱に含まれるアルミニウムなどの共存元素は、温塩酸(1+1)50mLで溶解し、得られた回収液は、500mL全量フラスコへ移し入れ、内標準溶液であるイットリウム溶液(100mg/L)を50mL添加し、水で500mLに定容した。この回収液に含まれる共存元素を、沈澱操作で損失(沈澱に残存)したリチウムと共に、適宜、希釈操作を行いつつ、ICP法により分析した。
得られた濾液に、硫酸(1+1)を10mL添加し、加熱濃縮して白煙を発生させた後、放冷して、再び硫酸(1+1)を10mL添加し、純水で100mLに液量を調整した。さらに、アンモニアの質量%が28%のアンモニア水を50mL添加し、アルカリ性とした後、先にも述べた、東京光電株式会社製の電解分析装置ANA−2−2のほか、JIS−H−1101(銅地金分析方法)に記載された白金電極やビーカー類を用いて、電流を0.3A(電流密度:約2mA/dm)、および、時間を15時間に設定し、電解を行った。
白金カソード表面に析出したニッケルなどの共存元素は、硝酸(1+1)100mLを用いて加熱分解し、得られた回収液は、500mL全量フラスコへ移し入れ、塩酸を50mL、内標準溶液であるイットリウム溶液(100mg/L)を50mL添加し、水で500mLに定容した。この回収液に含まれる共存元素を、電解操作で損失(白金カソード側に残存)したリチウムと共に、適宜、希釈操作を行いつつ、ICP法により分析した。
白金電極を取り出した後の電解残液を加熱濃縮し、100mL全量フラスコに移し入れ、純水で100mLに定容した。その電解残液から、50mLホールピペットで50mLを分取し、株式会社コスモスビード製で、重量を秤量済みの200mL石英製共栓三角フラスコに移し入れ、ホットプレートを用い、100〜320℃で温度調整しながら、加熱濃縮、および、蒸発乾固を行った。得られた生成塩を、フラスコごと電気マッフル炉に入れ、室温→350℃(10分)→400℃(20分)→450℃(10分)、かつ、各設定温度までの昇温時間を10分とする昇温パターンで強熱した。
電気マッフル炉からフラスコを取り出し、手で触れても火傷しない程度までに冷やした後、直ちに栓をしてデシケータに保管後、得られた硫酸リチウムを室温となるまで放冷した。その後、デシケータからフラスコを取り出し、電子天秤で重量(操作後フラスコ重量)を秤量し、元のフラスコ重量(操作前フラスコ重量)を差し引くことで、硫酸リチウムの重量を求めた。また、電解残液100mLから50mLを分取したため、得られた硫酸リチウムの重量を2倍にし、本来の試料量相当重量とした後、係数0.1263(硫酸リチウムLiSO1molにおけるリチウムの質量13.882/硫酸リチウムのモル質量109.945)を乗ずることにより、リチウム換算重量を求めた。
硫酸リチウムの重量を得た後、硫酸リチウムを水で溶解し、得られた水溶液を100mL全量フラスコへ移し入れ、水で100mLに定容した。この水溶液を用いて、ICP定性分析を行い、硫酸リチウムにおける共存元素の残存の有無を確認した。
得られたリチウム換算重量に、イオン交換工程、沈澱工程、電解工程の各工程におけるリチウム損失分を加えると共に、後述するブランク検体分を差し引くことにより、リチウム合計重量を求めた後、式(III)に示すように、最終的にリチウム定量値を算出した。
リチウム定量値[%]=(リチウム合計重量[g]/試料量[g])×100 (III)
本実施例では、検体1〜3とは別に、リチウム回収率を評価するための検体として、リチウム添加検体4〜5を作製した。具体的には、試料溶解工程における試料秤量の後に、リチウムとして0.05gとなるように炭酸リチウムを0.2661g添加し、それ以降は、図1に示す工程に従って、検体1〜3と同様の処理を行った。なお、式(IV)に示すように、リチウム回収率(「回収率」とも言う)を算出した。
リチウム回収率[%]
={(添加検体リチウム重量[g]−検体平均リチウム重量[g])
/リチウム添加量[g]}×100 (IV)
また、本実施例では、検体1〜3とは別に、空試験のためのブランク検体6〜7を作製した。具体的には、試料溶解工程において、試料を秤量しない以外は、図1に示す工程に従って、検体1〜3と同様の処理を行った。
さらに、本実施例では、検体1〜3とは別に、化合物形態を確認するための検体として、形態確認検体8を作製した。具体的には、図1に示す工程に従って、検体1〜3と同様の処理を行い、得られたリチウム化合物について、X線回折(XRD)分析装置(スペクトリス株式会社製の「X’PertPRO」)を用いて形態分析した。X線回折分析装置において、試料ホルダに採取した試料に対して、線源としてCuKα線を使用し、測定速さが2°/min、管電圧が45kV、管電流が40mA、測定範囲が2θ=10〜80°の条件で測定した。そして、ICDD(International Centre for Diffraction Data)におけるPDF(Powder Diffraction File)データベースを用いて、化合物の標準回折パターンと試料の回折パターンを照合することにより、化合物形態を同定した。
表3に、本実施例における、リチウム定量値、リチウム回収率、および、リチウム化合物の形態を示す。
<実施例2>
実施例2では、分析対象試料を試料Yとし、沈澱工程を省略したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、リチウム定量値、および、リチウム回収率を算出した。
表3に、実施例2における、リチウム定量値、リチウム回収率、および、リチウム化合物の形態を示す。
<比較例1>
比較例1では、分析対象試料を試料Xとし、試料溶解工程での加熱分解後、得られた酸分解液を、500mL全量フラスコへ移し入れ、塩酸を30mL、内標準溶液であるイットリウム溶液(100mg/L)を50mL添加し、純水で500mLに定容した。この酸分解液のリチウム、および、共存元素を、適宜、希釈操作を行いつつ、ICP法により分析した。
表3に、比較例1における、リチウム定量値、および、リチウム回収率を示す。
<比較例2>
比較例2では、分析対象試料を試料Yとした以外は、比較例1と同様の操作を行った。
表3に、比較例2における、リチウム定量値、および、リチウム回収率を示す。
Figure 2020091275
<評価結果>
表3に示すように、実施例1〜2によると、検体1〜3のリチウム定量値は、有効数字3桁での算出において、3つが全て一致していることが分かった。また、リチウム添加検体4〜5のリチウム回収率についても、全てが99.9%以上であることが分かった。さらに、形態確認検体8では、得られたリチウム化合物は、硫酸リチウム(LiSO)のみで構成されていることが確認でき、水和物や炭酸塩など、他の形態の化合物は検出されなかった。この結果から、本発明を用いたならば、試料に含まれるリチウムを、硫酸リチウムなどのリチウム化合物の形態で、分離することにより、共存元素が含まれる場合でも、リチウムを非常に良好な回収率で、採取可能であり、リチウムを正確に、高精度に評価できることが確認された。なお、硫酸リチウムの重量を秤量後、共存元素の残存の有無を確認するため、硫酸リチウムにおけるICP定性分析を行ったが、どの共存元素も検出されなかった。さらに、各工程におけるリチウム損失分と共に、共存元素の含有量をICP法により分析したが、ニッケル、コバルト、アルミニウム、マンガンの定量値は、表1に示す、マトリックス元素の組成と、ほぼ一致していた。この結果は、本発明に従って操作すれば、リチウムと一緒に、ニッケル、コバルト、アルミニウム、マンガンなどの共存元素も評価できることを示している。また、この結果から、本発明を用いたならば、各工程におけるリチウム損失分を反映することが可能であり、リチウムを正確に、高精度に評価できることが確認された。
これに対し、比較例1〜2によると、検体1〜3のリチウム定量値については、有効数字3桁での算出において一致するものは無かった。そして、リチウム添加検体4〜5のリチウム回収率については、いずれも99.9%未満であった。これは、先述した通り、ICP測定時におけるプラズマの安定性など、機器分析装置による相対分析手法に特有な諸問題の影響を受けていると思われる。以上から、ICP法では絶対分析手法である重量法に匹敵するほどの正確で高精度な評価を行うことはできないことが確認された。
なお、上記のように本発明の各実施形態および各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。またリチウム評価方法の構成、動作も本発明の各実施形態および各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
S1 試料溶解工程、S2 イオン交換工程、S3 沈澱工程、S4 電解工程、S5 リチウム化合物生成工程、S6 リチウム分析工程
得られたリチウム化合物の重量を、リチウム相当重量に換算し、試料溶解工程S1における試料量、リチウム化合物生成工程S5における定容量や分取量、各工程におけるリチウム損失分を反映させることで、リチウム含有量を算出することができる。なお、リチウム化合物の重量を得た後、リチウム化合物を水で溶解し、その水溶液を用いて、ICP定性分析、ICP−MS定性分析を行うことにより、リチウム化合物に共存元素の残存が無いことを確認することができる。さらに、上記の定性分析において、万が一、リチウム定量値に影響を及ぼす恐れのある量の共存元素の残存が確認された場合、引き続き、原子吸光法、フレームレス原子吸光法、ICP法、ICP−MS法、イオンクロマトグラフ法の1種以上を用いて分析し、リチウム定量値から差し引くことが可能である。これにより、試料に含まれるリチウムを、正確に、高精度に評価できる。また、得られたリチウム化合物の一部を採取するか、もしくは、後述する、併行分析の検体とは別に、化合物形態を確認するための検体を作製し、X線回折(XRD)法を用いて形態分析することが可能である。これにより、得られたリチウム化合物について、吸湿による水和物化や、大気中の二酸化炭素による炭酸塩化が進行していないことを、確認することができる。そして、水和物化や炭酸塩化による影響を排除することができるため、試料に含まれるリチウムを、正確に、高精度に評価できる。つまり、例えば、本発明では、全ての分析工程を経て、最終的に得られるリチウム化合物の形態は、先述の通り、硫酸リチウムとするのが、特に好ましい。ところが、仮に、得られたリチウム化合物に、水和物や炭酸塩などの他の形態が含まれる場合、リチウム化合物の全重量を硫酸リチウムとして、リチウム相当重量に換算したならば、リチウム化合物に共存元素の残存が有る場合と同様に、リチウム定量値に影響を及ぼすこととなる。故に、得られたリチウム化合物を、X線回折(XRD)法を用いて形態分析し、その結果を反映させる(この例では、リチウム化合物が、硫酸リチウムの単一化合物であることを証明する)ことにより、リチウム定量値の信頼性を、より向上させることができる。

Claims (13)

  1. 試料に含まれるリチウムを、リチウム化合物の形態で分離し、該リチウム化合物の重量を秤量することで、リチウム含有量を求めることを特徴とするリチウム評価方法。
  2. 秤量した前記試料を酸で溶解し、溶解液を得た後、該溶解液の酸濃度を制御する試料溶解工程と、
    酸濃度を制御した前記溶解液を、イオン交換樹脂カラムに流し、流出液を得た後、該流出液の酸濃度を制御するイオン交換工程と、
    酸濃度を制御した前記流出液を白煙処理した後、アルカリを加え電解し、電解残液を得る電解工程と、
    前記電解残液を定容し、該電解残液の一部を容器に分取した後、前記容器ごと加熱および強熱を行うことで副生物を分解除去し、リチウム化合物を得るリチウム化合物生成工程と、
    前記リチウム化合物を前記容器ごと秤量し、リチウムを定量する分析工程と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載のリチウム評価方法。
  3. 前記イオン交換工程と前記電解工程の間に、酸濃度を制御した前記流出液を、酸および/又はアルカリでpH調整し、煮沸することにより、金属水酸化物の沈澱を生成させ、該沈澱を濾過して濾液を得る沈澱工程を有し、
    前記濾液を前記電解工程で白煙処理することを特徴とする請求項2に記載のリチウム評価方法。
  4. 前記リチウム化合物が硫酸リチウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウム評価方法。
  5. 前記酸が塩酸であり、前記イオン交換樹脂カラムが陰イオン交換樹脂カラムであることを特徴とする請求項2に記載のリチウム評価方法。
  6. 前記容器が石英製共栓三角フラスコであることを特徴とする請求項2に記載のリチウム評価方法。
  7. 当該リチウム評価方法におけるアルカリがアンモニア水であることを特徴とする請求項2又は3に記載のリチウム評価方法。
  8. 前記試料がニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムの1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリチウム評価方法。
  9. 前記副生物が硫酸アンモニウムであることを特徴とする請求項2に記載のリチウム評価方法。
  10. 前記イオン交換工程および前記電解工程でのリチウム損失分を、原子吸光法、フレームレス原子吸光法、ICP法、ICP−MS法、イオンクロマトグラフ法の1種以上を用いて求めることを特徴とする請求項2に記載のリチウム評価方法。
  11. 前記イオン交換工程、前記沈澱工程、前記電解工程でのリチウム損失分を、原子吸光法、フレームレス原子吸光法、ICP法、ICP−MS法、イオンクロマトグラフ法の1種以上を用いて求めることを特徴とする請求項3に記載のリチウム評価方法。
  12. 前記リチウム含有量を算出した後、前記リチウム化合物を、ICP法、ICP−MS法の1種以上を用いて定性分析することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のリチウム評価方法。
  13. 前記リチウム化合物を、X線回折法を用いて形態分析することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のリチウム評価方法。
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