JP2020090067A - 表面酸化樹脂硬化層付き基板、化粧シート、加飾シート、樹脂ガラス、及び、表面酸化樹脂硬化層付き基板の製造方法 - Google Patents
表面酸化樹脂硬化層付き基板、化粧シート、加飾シート、樹脂ガラス、及び、表面酸化樹脂硬化層付き基板の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】少なくとも耐摩耗性と加工性とを同時に兼ね備える表面酸化樹脂硬化層付き基板を提供する。【解決手段】基板1と、基板の一方の面1a側に設けられ、基板と向かい合う第1面と、第1面の反対側に位置する第2面とを有する表面酸化樹脂硬化層2とを備えている。表面酸化樹脂硬化層は、主成分としてポリシロキサンを硬化してなる樹脂硬化層3と、樹脂硬化層の表面が酸化処理されてなる表面酸化層4と、を備えている。表面酸化層は第2面に位置し、樹脂硬化層は下記の(a)〜(c)の要件を満たしている。(a)厚さ25μmの易成形用PETフィルム上に厚さ6μmの樹脂硬化層を設けた積層体を引張試験機にて引っ張った際、樹脂硬化層にクラックが発生するまでの伸度が8%以上である。(b)樹脂硬化層はナノ粒子を含む。(c)樹脂硬化層はポリシロキサンを含む塗液を40℃以下の温度で乾燥または硬化させるとタックフリーとなる。【選択図】図1
Description
本発明は、表面酸化樹脂硬化層付き基板、化粧シート、加飾シート、樹脂ガラス、及び、表面酸化樹脂硬化層付き基板の製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂は、透明性に優れ、軽量で耐衝撃性が高いことから、各種の建築物、自動車等の窓材や構造材等として、広く応用展開されてきた。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は、耐摩耗性、耐侯性、耐薬品性の観点でガラスに大幅に劣るという欠点がある。そのため、これらの性能をカバーする機能を有するハードコート層をポリカーボネート樹脂上に形成する方法が提案されている。
このようなハードコート層としては、有機珪素化合物の加水分解縮合物を主成分として含む下地ハードコート層の上層に、PE−CVD法で形成した酸化珪素層を積層させたものが提案されている(例えば、特許文献1)。
このようなハードコート層としては、有機珪素化合物の加水分解縮合物を主成分として含む下地ハードコート層の上層に、PE−CVD法で形成した酸化珪素層を積層させたものが提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、この方法でハードコート層を形成する場合には、成膜速度が遅いために生産性が低くなりやすい。また、この方法でハードコート層を形成する場合には、湿式塗工装置と乾式塗工装置の両装置を導入する必要があるという点で、製造コストが高くなりやすい。また、ハードコート層が硬く、ハードコート層を設けた後に加工することが難しい為、製造方法が限られる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、少なくとも耐摩耗性と加工性とを同時に兼ね備える表面酸化樹脂硬化層付き基板、化粧シート、加飾シート、樹脂ガラス、及び、表面酸化樹脂硬化層付き基板の製造方法を提供することにある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、少なくとも耐摩耗性と加工性とを同時に兼ね備える表面酸化樹脂硬化層付き基板、化粧シート、加飾シート、樹脂ガラス、及び、表面酸化樹脂硬化層付き基板の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る表面酸化樹脂硬化層付き基板は、基板と、基板の少なくとも一方の面側に設けられ、基板と向かい合う第1面と、第1面の反対側に位置する第2面とを有する表面酸化樹脂硬化層と、を備え、表面酸化樹脂硬化層は、主成分としてポリシロキサンを硬化してなる樹脂硬化層と、樹脂硬化層の表面が酸化処理されてなる表面酸化層と、を備え、表面酸化層は前記第2面に位置し、樹脂硬化層は下記の(a)〜(c)の要件を満たすことを特徴とする。
(a)厚さ25μmの易成形用PETフィルム上に厚さ6μmの前記樹脂硬化層を設けた積層体を引張試験機にて引っ張った際、前記樹脂硬化層にクラックが発生するまでの伸度が8%以上である。
(b)前記樹脂硬化層はナノ粒子を含む。
(c)前記樹脂硬化層は前記ポリシロキサンを含む塗液を40℃以下の温度で乾燥または硬化させるとタックフリーとなる。
(a)厚さ25μmの易成形用PETフィルム上に厚さ6μmの前記樹脂硬化層を設けた積層体を引張試験機にて引っ張った際、前記樹脂硬化層にクラックが発生するまでの伸度が8%以上である。
(b)前記樹脂硬化層はナノ粒子を含む。
(c)前記樹脂硬化層は前記ポリシロキサンを含む塗液を40℃以下の温度で乾燥または硬化させるとタックフリーとなる。
本発明によれば、少なくとも耐摩耗性と加工性とを同時に兼ね備える表面酸化樹脂硬化層付き基板、化粧シート、加飾シート、樹脂ガラス、及び、表面酸化樹脂硬化層付き基板の製造方法を提供することができる。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る表面樹脂硬化層付き基板100の構成を示す断面図である。表面樹脂硬化層付き基板100は、基板1と、基板1の一方の面1a側に設けられた表面酸化樹脂硬化層2とを備えている。表面酸化樹脂硬化層2は、基板1に向かい合う第1面2aと、第1面2aの反対側に位置する第2面2bとを備えている。表面酸化樹脂硬化層2は、主成分としてポリシロキサンを硬化してなる樹脂硬化層3と、第2面2b側に位置して樹脂硬化層3の表面が酸化処理されてなる表面酸化層4とを備えている。ここで、本実施形態における「主成分」は、「量的に多く含む成分」を意味している。
樹脂硬化層3は、下記の(a)から(c)の要件を満たしている。
(a)厚さ25μmの易成形用PET(polyethylene terephthalate)フィルム上に厚さ6μmの樹脂硬化層3を設けた積層体を引張試験機にて引っ張った際、前記樹脂硬化層にクラックが発生するまでの伸度が8%以上である。伸度は、引っ張ることにより生じた伸び量を、引っ張る前の長さで除算して100を乗算することにより得られる量である。
(b)樹脂硬化層3はナノ粒子を含む。
(c)樹脂硬化層3はポリシロキサンを含む塗液を乾燥または室温硬化させるとタックフリーとなる。タックフリーとは、表面が硬化して粘性が弱まり、指等で振れても付着しない状態のことを意味する。
(a)厚さ25μmの易成形用PET(polyethylene terephthalate)フィルム上に厚さ6μmの樹脂硬化層3を設けた積層体を引張試験機にて引っ張った際、前記樹脂硬化層にクラックが発生するまでの伸度が8%以上である。伸度は、引っ張ることにより生じた伸び量を、引っ張る前の長さで除算して100を乗算することにより得られる量である。
(b)樹脂硬化層3はナノ粒子を含む。
(c)樹脂硬化層3はポリシロキサンを含む塗液を乾燥または室温硬化させるとタックフリーとなる。タックフリーとは、表面が硬化して粘性が弱まり、指等で振れても付着しない状態のことを意味する。
表面樹脂硬化層付き基板100は、ポリカーボネート樹脂のような傷つきやすい材料で基板1が形成されていたとしても、表面酸化樹脂硬化層2が基板1を覆っている。これにより、樹脂硬化層付き基板100は十分な耐摩耗性を備える。また、表面酸化樹脂硬化層2を構成する樹脂硬化層3は引っ張りによる伸度が大きい。このため、基板1に樹脂硬化層3を設けた後からでも、基板1に曲げるなどの加工を施すことができる。また、表面樹脂硬化層付き基板100の製造方法は、表面酸化樹脂硬化層2を形成する際にCVD法などの乾式塗工を使用しないため、生産性の低下や設備導入による製造コストの上昇を抑制することができる。
以下に、表面樹脂硬化層付き基板100を構成する各層の組成や厚さ等について説明する。表面樹脂硬化層付き基板100において、基板1の材質は特に制限されず、樹脂(例えば有機樹脂)、ガラス、紙、木材、金属など様々な材質のものを用いることができる。この中でも、樹脂の射出成形により基板1を成形する場合、後述する熱可塑性樹脂あるいは、熱硬化性樹脂(1液又は2液硬化性樹脂を含む)を用いることができる。
熱可塑性樹脂材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系重合体や、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)などのスチレン系樹脂や、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系樹脂などが挙げられる。あるいは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂や、ポリカーボネート樹脂などを挙げることもできる。
また、熱硬化性樹脂としては、1液又は2液反応硬化型のポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いても良いし、二種以上混合して用いても良い。これらの樹脂の中でも、ポリカーボネートは耐衝撃性や透明性に優れており、好適に使用される。
また、これらの樹脂には、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、無機物粉末(シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなど)、充填剤(木粉、ガラス繊維など)、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤があげられる。なお、樹脂は、用途に応じて適宜、着色剤を添加して着色した樹脂を使用しても良い。
また、これらの樹脂には、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、無機物粉末(シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなど)、充填剤(木粉、ガラス繊維など)、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤があげられる。なお、樹脂は、用途に応じて適宜、着色剤を添加して着色した樹脂を使用しても良い。
基板1の厚みについては特に限定されるものではなく、基板1の用途に応じて適宜決定すればよい。
基板1と樹脂硬化層3との密着性を向上させる目的で、基板1と樹脂硬化層3との界面に接着層を設けても良い。接着層としては、公知のヒートシール性接着剤又は粘着剤を使用できる。例えば、接着層としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、塩酢ビ樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などを使用できる。また、紫外線遮蔽機能を付与するために、耐候性改善剤を添加しても良い。接着層の厚みとしては、0.5μm〜10μmの範囲が好適である。
基板1と樹脂硬化層3との密着性を向上させる目的で、基板1と樹脂硬化層3との界面に接着層を設けても良い。接着層としては、公知のヒートシール性接着剤又は粘着剤を使用できる。例えば、接着層としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、塩酢ビ樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などを使用できる。また、紫外線遮蔽機能を付与するために、耐候性改善剤を添加しても良い。接着層の厚みとしては、0.5μm〜10μmの範囲が好適である。
樹脂硬化層3は、基板1に耐摩耗性等の機械強度を付与するために設けられる層であり、ポリシロキサンを含む樹脂組成物の硬化物からなる。例えば、樹脂硬化層3は、主成分としてタックフリーなポリシロキサンを含む。
ポリシロキサンとは、珪素と酸素が交互に結合して形成されたポリマーのことである。ポリシロキサンはシリコーン樹脂の主骨格構造であり、分子同士の架橋密度や分子量によってシリコーンオイルやシリコーンゴム、シリコーンレジン、シリコーンオリゴマー等の種類があり、樹脂硬化層3に含まれるポリシロキサンはこれらのどの形態でもかまわないが、耐摩耗性の観点から、シリコーンレジンおよびシリコーンオリゴマーが特に好ましい。
ポリシロキサンとは、珪素と酸素が交互に結合して形成されたポリマーのことである。ポリシロキサンはシリコーン樹脂の主骨格構造であり、分子同士の架橋密度や分子量によってシリコーンオイルやシリコーンゴム、シリコーンレジン、シリコーンオリゴマー等の種類があり、樹脂硬化層3に含まれるポリシロキサンはこれらのどの形態でもかまわないが、耐摩耗性の観点から、シリコーンレジンおよびシリコーンオリゴマーが特に好ましい。
樹脂硬化層3は、厚さ25μmの易成形用PETフィルム上に厚さ6μmの樹脂を設けた積層体を引張試験機にて引っ張った際、樹脂にクラックが発生するまでの伸度が8%以上であることが望ましい。このような伸度の樹脂を樹脂硬化層3に用いることで、基板1に樹脂硬化層3を設けた後でも加工をすることが容易となり、製造工程の自由度が高くなる。
前記樹脂硬化層3にクラックが発生するまでの伸度は、一般的な引張試験機を使用して、樹脂硬化層3を設けた積層体をJIS K6251に準拠したダンベル状5号形に切抜き、評点間距離50mm、引張速度10mm/minの条件でサンプルを引っ張っていく際、サンプル表面の樹脂硬化層3を目視で観察し続け、クラックが発生した瞬間の引張伸度を記録して測定することができる。また易成形用PETフィルムとは、加飾成形や包装等に用いる際に成形加工しやすいように、強度だけでなく伸度も高く設計された2軸延伸PETフィルムを指す。
前記樹脂硬化層3にクラックが発生するまでの伸度は、一般的な引張試験機を使用して、樹脂硬化層3を設けた積層体をJIS K6251に準拠したダンベル状5号形に切抜き、評点間距離50mm、引張速度10mm/minの条件でサンプルを引っ張っていく際、サンプル表面の樹脂硬化層3を目視で観察し続け、クラックが発生した瞬間の引張伸度を記録して測定することができる。また易成形用PETフィルムとは、加飾成形や包装等に用いる際に成形加工しやすいように、強度だけでなく伸度も高く設計された2軸延伸PETフィルムを指す。
樹脂硬化層3はポリシロキサンを含む塗液を乾燥または室温硬化させるとタックフリーとなることが望ましい。乾燥または室温硬化によりタックフリーとなるポリシロキサンを用いることで、インモールド成形が可能となる。また乾燥または室温硬化によりタックフリーとなるポリシロキサンは重合度が高いため、伸度も大きくなる傾向がある。そのため、基板1に樹脂硬化層3を設けた後でも加工をすることが容易となり、製造工程の自由度が高くなる。
樹脂硬化層3はポリシロキサンを含む塗液を乾燥または室温硬化させた後に、さらに室温硬化や熱硬化、または紫外線硬化等の硬化処理を行っても良い。このような硬化処理を行うことによって、樹脂硬化層3の耐摩耗性が向上する。
樹脂硬化層3はポリシロキサンを含む塗液を乾燥または室温硬化させた後に、さらに室温硬化や熱硬化、または紫外線硬化等の硬化処理を行っても良い。このような硬化処理を行うことによって、樹脂硬化層3の耐摩耗性が向上する。
樹脂硬化層3に含まれるポリシロキサンは官能基を付与したり、有機ポリマー等のポリシロキサン以外の物質で変性したりしても良い。官能基を付与したり、有機ポリマーで変性したりすることで、基材への接着力を向上させたり、硬化温度を下げたりすることが可能となる。
ポリシロキサンに付与することができる官能基は、例えば、アクリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミン基、イソシアネート基、エポキシ基、ビニル基、ヒドラジン基、ニトリル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリシロキサンに付与することができる官能基は、例えば、アクリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミン基、イソシアネート基、エポキシ基、ビニル基、ヒドラジン基、ニトリル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリシロキサンを変性させる有機ポリマーとしては、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリシロキサンに上記のような官能基を付与したり、有機ポリマーで変性したりした場合には、それらを反応させるための湿気硬化、熱硬化または紫外線硬化等の硬化処理を追加で行っても構わない。
ポリシロキサンに上記のような官能基を付与したり、有機ポリマーで変性したりした場合には、それらを反応させるための湿気硬化、熱硬化または紫外線硬化等の硬化処理を追加で行っても構わない。
樹脂硬化層3はナノ粒子を含有する。上記のような伸度の大きな樹脂は、ナノ粒子を含有することで更に伸度が大きくなる傾向がある。その理由は不明だが、複数の分子鎖が大きな表面積を持つナノ粒子によって拘束を受け、見かけ上高分子量化している可能性等が考えられる。
樹脂硬化層3に含まれるナノ粒子としては、有機ナノ粒子と無機ナノ粒子がある。有機ナノ粒子としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。無機ナノ粒子としては、例えば、アルミナ、酸化ビスマス、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化珪素、酸化スズ、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
樹脂硬化層3に含まれるナノ粒子としては、有機ナノ粒子と無機ナノ粒子がある。有機ナノ粒子としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。無機ナノ粒子としては、例えば、アルミナ、酸化ビスマス、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化珪素、酸化スズ、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
樹脂硬化層3に含まれるナノ粒子としては、ポリシロキサンとの結合をより強固にするために表面に官能基を付与してもかまわない。ナノ粒子の表面に付与する官能基としては、例えば、アクリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミン基、イソシアネート基、エポキシ基、ビニル基、ヒドラジン基、ニトリル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
樹脂硬化層3に含まれるナノ粒子の量としては、ポリシロキサン100質量部に対して1質量部以上50質量部以下が好ましく、5質量部以上30質量部以下がより好ましい。ナノ粒子の添加量を前記下限以上とすることで、伸度を大きくする効果が得られるが、前記上限よりも多く添加するとバルクのポリシロキサンが不足となり膜形成が困難となる。
樹脂硬化層3に含まれるナノ粒子の量としては、ポリシロキサン100質量部に対して1質量部以上50質量部以下が好ましく、5質量部以上30質量部以下がより好ましい。ナノ粒子の添加量を前記下限以上とすることで、伸度を大きくする効果が得られるが、前記上限よりも多く添加するとバルクのポリシロキサンが不足となり膜形成が困難となる。
また、諸物性を向上させるため、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、滑剤等を樹脂硬化層3に添加しても構わない。特に、耐候性能を付与するためには、紫外線吸収剤や光安定剤を添加することが好ましく、紫外線や風雨に晒されることによる樹脂の変色や劣化等を効果的に抑制することが可能になる。
樹脂硬化層3の膜厚は、1μm以上20μm以下とする必要があり、2μm以上10μm以下がより好ましい。樹脂硬化層3の膜厚が1μm未満であると樹脂硬化層3の耐摩耗性が不十分となるおそれがあり、樹脂硬化層3の膜厚が20μmよりも厚いと樹脂硬化層3にクラックが発生しやすくなり耐摩耗性が低下するおそれがある。
樹脂硬化層3の膜厚は、1μm以上20μm以下とする必要があり、2μm以上10μm以下がより好ましい。樹脂硬化層3の膜厚が1μm未満であると樹脂硬化層3の耐摩耗性が不十分となるおそれがあり、樹脂硬化層3の膜厚が20μmよりも厚いと樹脂硬化層3にクラックが発生しやすくなり耐摩耗性が低下するおそれがある。
図2から図4は、本発明の実施形態に係る表面酸化樹脂硬化層付き基板の製造方法を工程順に示す断面図である。表面酸化樹脂硬化層付き基板100の製造方法については、特に限定されないが、例えば、基板1以外の各層を予め積層させたフィルム積層体10を作製しておき、当該フィルム積層体10を用いて基板1に各層を積層させる方法が挙げられる。
具体的には、図2に示すように、少なくとも離型層12及び樹脂硬化層3をこの順に支持フィルム11上に積層させたフィルム積層体10を用意する。次に、図3に示すように、樹脂硬化層3を基板1の一方の面1aに対向させ、この状態で、フィルム積層タイミング10を基板1の一方の面1aに積層する。次に、図4に示すように、基板1及び樹脂硬化層3から支持フィルム11及び離型層12を剥離する。次に、樹脂硬化層3の第2面2bに紫外線を照射して樹脂硬化層3を硬化する。樹脂硬化層3の第2面2bは、基板1に対面する第1面2aの反対側に位置する面である。このような方法によって、樹脂硬化層付き基板100を製造することができる。
具体的には、図2に示すように、少なくとも離型層12及び樹脂硬化層3をこの順に支持フィルム11上に積層させたフィルム積層体10を用意する。次に、図3に示すように、樹脂硬化層3を基板1の一方の面1aに対向させ、この状態で、フィルム積層タイミング10を基板1の一方の面1aに積層する。次に、図4に示すように、基板1及び樹脂硬化層3から支持フィルム11及び離型層12を剥離する。次に、樹脂硬化層3の第2面2bに紫外線を照射して樹脂硬化層3を硬化する。樹脂硬化層3の第2面2bは、基板1に対面する第1面2aの反対側に位置する面である。このような方法によって、樹脂硬化層付き基板100を製造することができる。
フィルム積層体10の支持フィルム11としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロンフィルム、セロファンフィルム、アクリルフィルムといった基材が使用可能である。使用可能な支持フィルム3の厚みは、25μm〜150μmであるが、好ましくは38μm〜50μmである。
フィルム積層体10の離型層12は、樹脂硬化層3からの剥離性が最も重要であり、耐熱性、耐溶剤性及び延伸性も必要とされる。このため、離型層12は、硬化系であることが好ましく、例えば、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、酢酸セルロースなどの硬化物が使用可能である。硬化架橋系としては、エポキシ樹脂/アミン類、アルキド樹脂/酸触媒、アクリルポリオール樹脂/イソシアネート化合物、アクリルオリゴマー/光開始剤を使用できる。離型層12の厚みは特に制限はないが、0.1μm〜3μmが好適である。
フィルム積層体10の離型層12は、樹脂硬化層3からの剥離性が最も重要であり、耐熱性、耐溶剤性及び延伸性も必要とされる。このため、離型層12は、硬化系であることが好ましく、例えば、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、酢酸セルロースなどの硬化物が使用可能である。硬化架橋系としては、エポキシ樹脂/アミン類、アルキド樹脂/酸触媒、アクリルポリオール樹脂/イソシアネート化合物、アクリルオリゴマー/光開始剤を使用できる。離型層12の厚みは特に制限はないが、0.1μm〜3μmが好適である。
また、本実施形態の表面酸化樹脂硬化層付き基板の製造方法では、図4で形成した樹脂硬化層付き基板100の樹脂硬化層3に対して酸化処理を行う。例えば樹脂硬化層3の第2面2bを酸化処理する。これにより、樹脂硬化層3に含まれるポリシロキサンが酸化され有機成分の少ないガラス状構造へと改質した表面酸化層4が形成される。この表面酸化層4によって、表面酸化樹脂硬化層2の耐磨耗性が向上する。
樹脂硬化層3を酸化させる方法としては、例えば、コロナ放電処理、クロム酸処理、プラズマ処理、火炎処理、熱風処理、オゾン処理、電子線照射処理、紫外線照射処理などが挙げられるが、特に紫外線照射処理が好ましく、中でも真空紫外光(以下、「VUV」と記す。)を用いた紫外線照射処理が好ましい。VUVは波長200nm以下の紫外線であり、これを照射することにより、樹脂硬化層3の表面構造を変化させることができる。具体的には、樹脂硬化層3の表面に存在する珪素原子と炭素原子の結合あるいは炭素原子と炭素原子の結合を特異的に切断することが可能である。
樹脂硬化層3を酸化させる方法としては、例えば、コロナ放電処理、クロム酸処理、プラズマ処理、火炎処理、熱風処理、オゾン処理、電子線照射処理、紫外線照射処理などが挙げられるが、特に紫外線照射処理が好ましく、中でも真空紫外光(以下、「VUV」と記す。)を用いた紫外線照射処理が好ましい。VUVは波長200nm以下の紫外線であり、これを照射することにより、樹脂硬化層3の表面構造を変化させることができる。具体的には、樹脂硬化層3の表面に存在する珪素原子と炭素原子の結合あるいは炭素原子と炭素原子の結合を特異的に切断することが可能である。
このような処理を行うことにより、表面酸化樹脂硬化層2に対して、基板1と接する第1面2a側からフーリエ変換赤外分光光度計による赤外分光分析を行って算出される以下の式(1)で示される値Xと、第1面2aの反対側に位置する第2面2b側から赤外分光分析を行って算出される式(1)で示される値Yとの比X/Yを向上させることができる。
i1280cm―1/i1020cm―1 ・・・(1)
上記式(1)において、i1280cm―1はSi−CH3結合を示す波長1280cm―1付近のピークの吸光度であり、i1020cm-―1はSi−O−Si結合を示す波長1020cm―1付近のピークの吸光度である。
X/Y≧1.2 ・・・(2)
上記式(2)に示すように、X/Yは1.2以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。
i1280cm―1/i1020cm―1 ・・・(1)
上記式(1)において、i1280cm―1はSi−CH3結合を示す波長1280cm―1付近のピークの吸光度であり、i1020cm-―1はSi−O−Si結合を示す波長1020cm―1付近のピークの吸光度である。
X/Y≧1.2 ・・・(2)
上記式(2)に示すように、X/Yは1.2以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。
X/Yが1.2以上であると、表面酸化樹脂硬化層2の基板1と接していない第2面2bに無機硬質皮膜が形成されており、優れた耐摩耗性が得られる。
このような分子構造を表面酸化樹脂硬化層2に備えさせるには、酸化処理が行われる前の樹脂硬化層3の組成や厚さ等を適宜調整すればよく、その具体的条件について以下に詳述する。
フーリエ変換赤外分光光度計による測定には、ゲルマニウムクリスタル製のプリズムを用いた顕微全反射減衰法(顕微ATR法)にて行ってもよい。なお、Xを求める際には、基板1と接している面側から測定する以外にも、基板1と接していない面側から表面を削り測定する方法を用いることができる。
このような分子構造を表面酸化樹脂硬化層2に備えさせるには、酸化処理が行われる前の樹脂硬化層3の組成や厚さ等を適宜調整すればよく、その具体的条件について以下に詳述する。
フーリエ変換赤外分光光度計による測定には、ゲルマニウムクリスタル製のプリズムを用いた顕微全反射減衰法(顕微ATR法)にて行ってもよい。なお、Xを求める際には、基板1と接している面側から測定する以外にも、基板1と接していない面側から表面を削り測定する方法を用いることができる。
VUVの光源としては、例えば、重水素ランプ、ヘリウムランプ、カーボンアークランプ、低圧水銀ランプ、エキシマランプなどが挙げられる。エキシマランプのエキシマ源としては、例えば、NaF、Ar2、Kr2、F2、ArBr、Xe2、ArCl、KrCl、ArFなどが挙げられる。
表面酸化樹脂硬化層2のマルテンス硬度は、150N/mm2以上800N/mm2以下であることが好ましく、200N/mm2以上600N/mm2以下であることがより好ましい。マルテンス硬度が150N/mm2未満では樹脂硬化層3の耐摩耗性が不十分となるおそれがあり、800N/mm2よりも高いと樹脂硬化層3にクラックが発生しやすくなる。
表面酸化樹脂硬化層2のマルテンス硬度は、150N/mm2以上800N/mm2以下であることが好ましく、200N/mm2以上600N/mm2以下であることがより好ましい。マルテンス硬度が150N/mm2未満では樹脂硬化層3の耐摩耗性が不十分となるおそれがあり、800N/mm2よりも高いと樹脂硬化層3にクラックが発生しやすくなる。
マルテンス硬度は、試料表面に最大荷重0.5mNの荷重でダイヤモンド製の圧子を押し込んだ際の押し込み深さから、最大荷重(A)と圧子の表面積(B)を用いて以下の式(3)により算出する。
マルテンス硬度=A/B ・・・(3)
なお、本発明におけるマルテンス硬度は、ISO14577に規定の方法に従って測定される値である。表面酸化樹脂硬化層2に150N/mm2以上800N/mm2以下のマルテンス硬度を備えさせるには、酸化処理が行われる前の樹脂硬化層2の組成、厚さ等を適宜調整すればよい。
マルテンス硬度=A/B ・・・(3)
なお、本発明におけるマルテンス硬度は、ISO14577に規定の方法に従って測定される値である。表面酸化樹脂硬化層2に150N/mm2以上800N/mm2以下のマルテンス硬度を備えさせるには、酸化処理が行われる前の樹脂硬化層2の組成、厚さ等を適宜調整すればよい。
<Si/C比>
表面酸化樹脂硬化層2は、樹脂硬化層3の第2面2bから深さ方向10nmの領域において、X線光電子分光を用いて測定された炭素原子の含有率C(at%:原子パーセント)と珪素原子の含有率Si(at%)の比(珪素/炭素比)が5.0以上を充足すればよい。
すなわち、炭素原子の含有率C(at%:)と珪素原子の含有率Si(at%)の比が、以下の式(4)を満たしていればよい。このような化学組成を備えることにより、表面酸化樹脂硬化層2は優れた耐磨耗性を備えることができる。
Si(at%)/C(at%:)≧5.0・・・(4)
上記の化学組成は、試料表面にX線光分子分光法を用いて測定を行った場合の炭素原子の含有率C(at%)と珪素原子の含有率Si(at%)を用いて算出する。
上記の化学組成を表面酸化樹脂硬化層2に備えさせるには、酸化処理が行われる前の樹脂硬化層3の組成や厚さ等を適宜調整すればよく、その具体的条件については後述する。
表面酸化樹脂硬化層2は、樹脂硬化層3の第2面2bから深さ方向10nmの領域において、X線光電子分光を用いて測定された炭素原子の含有率C(at%:原子パーセント)と珪素原子の含有率Si(at%)の比(珪素/炭素比)が5.0以上を充足すればよい。
すなわち、炭素原子の含有率C(at%:)と珪素原子の含有率Si(at%)の比が、以下の式(4)を満たしていればよい。このような化学組成を備えることにより、表面酸化樹脂硬化層2は優れた耐磨耗性を備えることができる。
Si(at%)/C(at%:)≧5.0・・・(4)
上記の化学組成は、試料表面にX線光分子分光法を用いて測定を行った場合の炭素原子の含有率C(at%)と珪素原子の含有率Si(at%)を用いて算出する。
上記の化学組成を表面酸化樹脂硬化層2に備えさせるには、酸化処理が行われる前の樹脂硬化層3の組成や厚さ等を適宜調整すればよく、その具体的条件については後述する。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。
〔実施例1〕
以下のようにして、図2と同様の構成のフィルム積層体を製造した。支持フィルムである厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱樹脂株式会社製のG440E50)上に、アクリルメラミン樹脂(日立化成ポリマー株式会社製のテスファイン)をグラビア法により塗布してアクリルメラミン樹脂層を形成し、離型層とした。アクリルメラミン樹脂層の厚さは、Dry厚で0.2μmとした。ここで「Dry厚で0.2μm」とは、アクリルメラミン樹脂層の厚さが乾燥後に0.2μmになるということを意味している。以下に記載される「Dry厚」の意味も同様である。
〔実施例1〕
以下のようにして、図2と同様の構成のフィルム積層体を製造した。支持フィルムである厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱樹脂株式会社製のG440E50)上に、アクリルメラミン樹脂(日立化成ポリマー株式会社製のテスファイン)をグラビア法により塗布してアクリルメラミン樹脂層を形成し、離型層とした。アクリルメラミン樹脂層の厚さは、Dry厚で0.2μmとした。ここで「Dry厚で0.2μm」とは、アクリルメラミン樹脂層の厚さが乾燥後に0.2μmになるということを意味している。以下に記載される「Dry厚」の意味も同様である。
次に、シリコーンレジン(信越化学工業株式会社製のKR−251)100質量部と、チタン系触媒(信越化学工業株式会社製のD−20)4質量部と、ナノシリカ微粒子(アドマテックス製のYA010C−SV1)30質量部と、メチルイソブチルケトン30質量部とを混合して、樹脂組成物を得た。そして、離型層上に樹脂組成物をグラビア法により塗布して、25℃の室内環境で60分間静置することでタックフリーの樹脂組成物層を形成した。この樹脂組成物層の厚さは、Dry厚で2μmとした。
続いて、塩酢ビ樹脂(日信化学工業株式会社製のソルバインA)をトルエン及びメチルエチルケトンに溶かしてインキを得た。そして、樹脂組成物層上にインキをグラビア法により塗布してインキ層を形成し、接着層とした。インキ層の厚さは、Dry厚で4μmとした。これにより、フィルム積層体を得た。
続いて、塩酢ビ樹脂(日信化学工業株式会社製のソルバインA)をトルエン及びメチルエチルケトンに溶かしてインキを得た。そして、樹脂組成物層上にインキをグラビア法により塗布してインキ層を形成し、接着層とした。インキ層の厚さは、Dry厚で4μmとした。これにより、フィルム積層体を得た。
さらに、射出成形機の金型内にこのフィルム積層体を装着した上で、金型内に溶融したポリカーボネート樹脂を充填し、射出成形を行った。ポリカーボネート樹脂により基板が形成され、基板上にフィルム積層体の樹脂組成物層が積層された射出成形品が得られた。得られた射出成形品から支持フィルムおよび離型層を取り除き、150℃のオーブン内で30分間熱処理することにより樹脂組成物層を熱硬化させ、樹脂硬化層とした。その後、この樹脂硬化層に対して6000mJ/cm2のXe2エキシマ光を照射することにより、表面酸化樹脂硬化層付き基板を得た。
〔実施例2〕
シリコーンレジンの代わりにアクリル変性シリコーンオリゴマー(信越化学工業株式会社製のKR−513)を使用し、チタン系触媒の使用量を7質量部、ナノシリカ微粒子の使用量を20質量部、メチルイソブチルケトンの使用量を20質量部とし、更に1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを4質量部追加した点以外は、実施例1と同様にしてフィルム積層体を得た。その後、実施例1と同様に支持フィルムおよび離型層を取り除き、120W/cmの高圧水銀灯で露光量1000mJ/cm2の紫外線を照射後に120℃のオーブン内で30分間熱処理することにより樹脂組成物層を硬化させ、樹脂硬化層とした。その後、この樹脂硬化層に対して8000mJ/cm2のXe2エキシマ光を照射することにより、表面酸化層が樹脂硬化層に形成された表面酸化樹脂硬化層付き基板を得た。
シリコーンレジンの代わりにアクリル変性シリコーンオリゴマー(信越化学工業株式会社製のKR−513)を使用し、チタン系触媒の使用量を7質量部、ナノシリカ微粒子の使用量を20質量部、メチルイソブチルケトンの使用量を20質量部とし、更に1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを4質量部追加した点以外は、実施例1と同様にしてフィルム積層体を得た。その後、実施例1と同様に支持フィルムおよび離型層を取り除き、120W/cmの高圧水銀灯で露光量1000mJ/cm2の紫外線を照射後に120℃のオーブン内で30分間熱処理することにより樹脂組成物層を硬化させ、樹脂硬化層とした。その後、この樹脂硬化層に対して8000mJ/cm2のXe2エキシマ光を照射することにより、表面酸化層が樹脂硬化層に形成された表面酸化樹脂硬化層付き基板を得た。
〔実施例3〕
シリコーンレジンの代わりにシリコーンオリゴマー(信越化学工業株式会社製のX−40−9246)を使用し、チタン系触媒の代わりに酸系触媒(信越化学工業株式会社製のX−40−2309A)30質量部、ナノシリカ微粒子の代わりにナノアルミナ微粒子(CIKナノテック社のALMIBK30WT%−M47)を150質量部、メチルイソブチルケトンの使用量を50質量部とした点以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、離型層上に塗布した後、25℃の室内環境で3日間静置することで湿気硬化させ、樹脂硬化層を形成した。その後、実施例1と同様にしてフィルム積層体を作製して射出成形品から支持フィルムおよび離型層を取り除いた後、樹脂硬化層に対して7000mJ/cm2のXe2エキシマ光を照射することにより、表面酸化樹脂硬化層付き基板を得た。
シリコーンレジンの代わりにシリコーンオリゴマー(信越化学工業株式会社製のX−40−9246)を使用し、チタン系触媒の代わりに酸系触媒(信越化学工業株式会社製のX−40−2309A)30質量部、ナノシリカ微粒子の代わりにナノアルミナ微粒子(CIKナノテック社のALMIBK30WT%−M47)を150質量部、メチルイソブチルケトンの使用量を50質量部とした点以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、離型層上に塗布した後、25℃の室内環境で3日間静置することで湿気硬化させ、樹脂硬化層を形成した。その後、実施例1と同様にしてフィルム積層体を作製して射出成形品から支持フィルムおよび離型層を取り除いた後、樹脂硬化層に対して7000mJ/cm2のXe2エキシマ光を照射することにより、表面酸化樹脂硬化層付き基板を得た。
〔比較例1〕
樹脂硬化層に対してXe2エキシマ光を照射しなかった点以外は、実施例1と同様にして、樹脂硬化層付き基板を得た。
〔比較例2〕
シリコーンレジンの代わりにシリコーンオリゴマー(信越化学工業株式会社製のKR−400)を使用し、チタン系触媒の使用量を6質量部とした点以外は、実施例1と同様にしてフィルム積層体を得た。その後、実施例1と同様にして射出成形品から支持フィルムおよび離型層を取り除いた後、樹脂硬化層に対して6000mJ/cm2のXe2エキシマ光を照射することにより、表面酸化樹脂硬化層付き基板を得た。
樹脂硬化層に対してXe2エキシマ光を照射しなかった点以外は、実施例1と同様にして、樹脂硬化層付き基板を得た。
〔比較例2〕
シリコーンレジンの代わりにシリコーンオリゴマー(信越化学工業株式会社製のKR−400)を使用し、チタン系触媒の使用量を6質量部とした点以外は、実施例1と同様にしてフィルム積層体を得た。その後、実施例1と同様にして射出成形品から支持フィルムおよび離型層を取り除いた後、樹脂硬化層に対して6000mJ/cm2のXe2エキシマ光を照射することにより、表面酸化樹脂硬化層付き基板を得た。
〔比較例3〕
触媒を添加しなかった点以外は実施例3と同様にして樹脂硬化層を作製した。この樹脂硬化層は、25℃の室内環境で3日間静置後も硬化反応が終了しておらずタックが残っており、接着層を設ける際に樹脂硬化層が混ざり成膜できなかった。
〔比較例4〕
ナノシリカ微粒子を添加せず、メチルイソブチルケトンの使用量を5質量部とした点以外は、実施例1と同様にしてフィルム積層体を得た。その後、実施例1と同様にして射出成形品から支持フィルムおよび離型層を取り除いた後、樹脂硬化層に対して6000mJ/cm2のXe2エキシマ光を照射することにより、表面酸化樹脂硬化層付き基板を得た。
触媒を添加しなかった点以外は実施例3と同様にして樹脂硬化層を作製した。この樹脂硬化層は、25℃の室内環境で3日間静置後も硬化反応が終了しておらずタックが残っており、接着層を設ける際に樹脂硬化層が混ざり成膜できなかった。
〔比較例4〕
ナノシリカ微粒子を添加せず、メチルイソブチルケトンの使用量を5質量部とした点以外は、実施例1と同様にしてフィルム積層体を得た。その後、実施例1と同様にして射出成形品から支持フィルムおよび離型層を取り除いた後、樹脂硬化層に対して6000mJ/cm2のXe2エキシマ光を照射することにより、表面酸化樹脂硬化層付き基板を得た。
実施例1〜3および比較例1〜4の樹脂硬化層付き基板を評価した。その評価項目と評価基準を下記に示す。
(伸度)
厚さ25μmのPETフィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製のテフレックスFT3)上に樹脂組成物層をグラビア法により塗布し、25℃の室内環境で60分間静置することでタックフリーの樹脂組成物層を形成した後、各例と同様の方法で硬化させ樹脂硬化層付き積層フィルムを作製した。その後、前述に記載の方法で伸度を測定した。
各実施例及び各比較例の評価結果を表1に示す。
(伸度)
厚さ25μmのPETフィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製のテフレックスFT3)上に樹脂組成物層をグラビア法により塗布し、25℃の室内環境で60分間静置することでタックフリーの樹脂組成物層を形成した後、各例と同様の方法で硬化させ樹脂硬化層付き積層フィルムを作製した。その後、前述に記載の方法で伸度を測定した。
各実施例及び各比較例の評価結果を表1に示す。
(耐摩耗性)
摩耗輪としてCS−10Fを用いて、樹脂硬化層付き基板の樹脂硬化層のテーバー摩耗試験を行った。テーバー摩耗試験の条件は、摩耗輪の回転回数1000回転、摩耗輪の回転速度60rpm、摩耗輪の負荷荷重500gfである。
テーバー摩耗試験前後において、樹脂硬化層付き基板の樹脂硬化層の表面の4カ所についてヘイズを測定し、その平均値を求めた。ヘイズの測定は、日本電色工業株式会社製のヘーズメータNDH−2000を用い、JIS K7136に規定の方法に従って行った。そして、テーバー摩耗試験後のヘイズからテーバー摩耗試験前のヘイズを差し引くことにより、テーバー摩耗試験前後のヘイズ差(ΔHz)を求め、ΔHzが5%以下なら○、それよりも大きければ×とした。
摩耗輪としてCS−10Fを用いて、樹脂硬化層付き基板の樹脂硬化層のテーバー摩耗試験を行った。テーバー摩耗試験の条件は、摩耗輪の回転回数1000回転、摩耗輪の回転速度60rpm、摩耗輪の負荷荷重500gfである。
テーバー摩耗試験前後において、樹脂硬化層付き基板の樹脂硬化層の表面の4カ所についてヘイズを測定し、その平均値を求めた。ヘイズの測定は、日本電色工業株式会社製のヘーズメータNDH−2000を用い、JIS K7136に規定の方法に従って行った。そして、テーバー摩耗試験後のヘイズからテーバー摩耗試験前のヘイズを差し引くことにより、テーバー摩耗試験前後のヘイズ差(ΔHz)を求め、ΔHzが5%以下なら○、それよりも大きければ×とした。
各実施例及び各比較例の評価結果を表1に示す。
(加工性)
屈曲試験機にフィルム積層体を一度だけ巻きつけ、樹脂硬化層にクラックが発生しなかった最小径が2mmなら0.2mmよりも大きければ×とした。
各実施例及び各比較例の評価結果を表1に示す。
(加工性)
屈曲試験機にフィルム積層体を一度だけ巻きつけ、樹脂硬化層にクラックが発生しなかった最小径が2mmなら0.2mmよりも大きければ×とした。
各実施例及び各比較例の評価結果を表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜4の樹脂硬化層付き基板の樹脂硬化層の伸度、耐摩耗性および加工性を評価したところ、伸度が8%以上で、ポリシロキサンを含む塗液を乾燥または室温硬化させるとタックフリーとなる樹脂を用い、ナノ粒子を含んでいる実施例1〜3については、耐摩耗性と加工性がどちらも優れていた。
一方、表面酸化処理を行わなかった比較例1は耐摩耗性が悪かった。ポリシロキサンを含む塗液を乾燥または室温硬化させるとタックフリーとなる樹脂を用いなかった比較例3は樹脂硬化層付き基板を作製できなかった。また、伸度が8%に満たない比較例2およびナノ粒子を含まなかった比較例4は加工性が悪かった。
一方、表面酸化処理を行わなかった比較例1は耐摩耗性が悪かった。ポリシロキサンを含む塗液を乾燥または室温硬化させるとタックフリーとなる樹脂を用いなかった比較例3は樹脂硬化層付き基板を作製できなかった。また、伸度が8%に満たない比較例2およびナノ粒子を含まなかった比較例4は加工性が悪かった。
さらに、比較例2の伸度が低い値(2.1%)であるのは、比較例2で使用しているシリコーンオリゴマー(信越化学工業株式会社製のKR−400)が、硬度が高く伸度が低い性質を有しているからである。なお、実施例2は伸度が8.9%(8%以上)であるが、実施例2で使用しているアクリル変性シリコーンオリゴマー(信越化学工業株式会社製のKR−513)は、アクリル他有機成分が多くSi−Oの緻密な構造が取りにくく伸度が高い性質を有しているからである。さらに、実施例3の伸度が12.7%であるのは、硬度が高く、伸度が低い性質を有するシリコーンオリゴマー(信越化学工業株式会社製のX−40−9246)を使用しているからである。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、ポリカーボネート樹脂のような傷つきやすい材料で基板1が形成されていても、十分な耐摩耗性および加工性を兼ね備える表面酸化樹脂硬化層付き基板100を提供することができる。表面酸化樹脂硬化層付き基板100は、ハードコートとなる樹脂硬化層3を形成する際にCVD法などの乾式塗工を使用しないため、生産性の低下や設備導入による製造コストの上昇を抑制することができる。
(変形例)
なお、本発明の実施形態に係る表面酸化樹脂硬化層付き基板は、基板1の一方の面側だけでなく、他方の面側にも表面酸化樹脂硬化層2を備えてもよい。
図5は、本発明の実施形態の変形例に係る表面酸化樹脂硬化層付き基板を示す断面図である。図5に示す表面酸化樹脂硬化層付き基板100Aは、基板1と、基板1の一方の面1a側に設けられた表面酸化樹脂硬化層2と、基板1の他方の面1b側に設けられた表面酸化樹脂硬化層2と、を備えている。基板1の他方の面1b側に設けられた表面酸化樹脂硬化層2は、基板1の一方の面1a側に設けられた面酸化樹脂硬化層2と同一の組成を有し、同一の物性を有する。このような実施形態であれば、表面酸化樹脂硬化層付き基板100Aは、その両面に1a,1bにおいて、耐摩耗性と加工性とを同時に兼ね備える。なお、基板1の他方の面1b側に設けられた表面酸化樹脂硬化層2は、基板1の一方の面1a側に設けられた表面酸化樹脂硬化層2と同一の組成を有さなくてもよい。
なお、本発明の実施形態に係る表面酸化樹脂硬化層付き基板は、基板1の一方の面側だけでなく、他方の面側にも表面酸化樹脂硬化層2を備えてもよい。
図5は、本発明の実施形態の変形例に係る表面酸化樹脂硬化層付き基板を示す断面図である。図5に示す表面酸化樹脂硬化層付き基板100Aは、基板1と、基板1の一方の面1a側に設けられた表面酸化樹脂硬化層2と、基板1の他方の面1b側に設けられた表面酸化樹脂硬化層2と、を備えている。基板1の他方の面1b側に設けられた表面酸化樹脂硬化層2は、基板1の一方の面1a側に設けられた面酸化樹脂硬化層2と同一の組成を有し、同一の物性を有する。このような実施形態であれば、表面酸化樹脂硬化層付き基板100Aは、その両面に1a,1bにおいて、耐摩耗性と加工性とを同時に兼ね備える。なお、基板1の他方の面1b側に設けられた表面酸化樹脂硬化層2は、基板1の一方の面1a側に設けられた表面酸化樹脂硬化層2と同一の組成を有さなくてもよい。
図6は、本発明の実施形態に係る化粧シートの構成例を示す断面図である。図6に示す化粧シート200は、シート条の基板1と、基板1の他方の面1b上に接着層を介して設けられた印刷層41と、印刷層41上に設けられた樹脂層42と、樹脂層42上に設けられた表面酸化樹脂硬化層2と、を備えている。樹脂層42は、耐溶剤性や耐候性を持たせる層である。この化粧シート200において、表面酸化樹脂硬化層2及び樹脂層42はそれぞれ透明性を有し、表面酸化樹脂硬化層2側から印刷層41を目視することができる。
本発明の実施形態に係る加飾シートは、例えば図6と同様の構成を有する部材であり、図6の化粧シート200を加飾シートと読み替えてもよい。
本発明の実施形態に係る樹脂ガラスは、例えば図5と同様の構成を有する部材であり、図5の表面酸化樹脂硬化層付き基板100Aを樹脂ガラスと読み替えてもよい。
本発明の実施形態に係る加飾シートは、例えば図6と同様の構成を有する部材であり、図6の化粧シート200を加飾シートと読み替えてもよい。
本発明の実施形態に係る樹脂ガラスは、例えば図5と同様の構成を有する部材であり、図5の表面酸化樹脂硬化層付き基板100Aを樹脂ガラスと読み替えてもよい。
1 基板
1a 基板の一方の面
1b 基板の他方の面
2 表面酸化樹脂硬化層
2a 表面酸化樹脂硬化層の基板に向かい合う第1面
2b 表面酸化樹脂硬化層の第1面の反対側に位置する面
3 樹脂硬化層
4 表面酸化層
10 フィルム積層体
11 支持フィルム
12 離型層
41 印刷層
42 樹脂層
100 表面樹脂硬化層付き基板
100A 表面酸化樹脂硬化層付き基板
200 化粧シート
1a 基板の一方の面
1b 基板の他方の面
2 表面酸化樹脂硬化層
2a 表面酸化樹脂硬化層の基板に向かい合う第1面
2b 表面酸化樹脂硬化層の第1面の反対側に位置する面
3 樹脂硬化層
4 表面酸化層
10 フィルム積層体
11 支持フィルム
12 離型層
41 印刷層
42 樹脂層
100 表面樹脂硬化層付き基板
100A 表面酸化樹脂硬化層付き基板
200 化粧シート
Claims (10)
- 基板と、
前記基板の少なくとも一方の面側に設けられ、前記基板と向かい合う第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する表面酸化樹脂硬化層と、を備え、
前記表面酸化樹脂硬化層は、
主成分としてポリシロキサンを硬化してなる樹脂硬化層と、
前記樹脂硬化層の表面が酸化処理されてなる表面酸化層と、を備え、
前記表面酸化層は前記第2面に位置し、
前記樹脂硬化層は下記の(a)〜(c)の要件を満たすことを特徴とする表面酸化樹脂硬化層付き基板。
(a)厚さ25μmの易成形用PETフィルム上に厚さ6μmの前記樹脂硬化層を設けた積層体を引張試験機にて引っ張った際、前記樹脂硬化層にクラックが発生するまでの伸度が8%以上である。
(b)前記樹脂硬化層はナノ粒子を含む。
(c)前記樹脂硬化層は前記ポリシロキサンを含む塗液を40℃以下の温度で乾燥または硬化させるとタックフリーとなる。 - 基板と、
前記基板の少なくとも一方の面側に設けられ、前記基板と向かい合う第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する表面酸化樹脂硬化層と、を備え、
前記表面酸化樹脂硬化層は、
主成分としてタックフリーなポリシロキサンを硬化してなる樹脂硬化層と、
前記樹脂硬化層の表面が酸化処理されてなる表面酸化層と、を備え、
前記表面酸化層は前記第2面に位置し、
前記樹脂硬化層は下記の(a)、(b)の要件を満たすことを特徴とする表面酸化樹脂硬化層付き基板。
(a)厚さ25μmの易成形用PETフィルム上に厚さ6μmの前記樹脂硬化層を設けた積層体を引張試験機にて引っ張った際、前記樹脂硬化層にクラックが発生するまでの伸度が8%以上である。
(b)前記樹脂硬化層はナノ粒子を含む。 - 前記基板が有機樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面酸化樹脂硬化層付き基板。
- 前記表面酸化樹脂硬化層に対して、
前記第1面側からフーリエ変換赤外分光光度計による赤外分光分析を行って算出した下記式(1)で示される値Xと、前記第2面側から前記赤外分光分析を行って算出した下記式(1)で示される値Yとの関係が、下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の表面酸化樹脂硬化層付き基板。
i1280cm―1/i1020cm―1 ・・・(1)
上記式(1)において、i1280cm―1はSi−CH3結合を示す波長1280cm―1付近のピークの吸光度であり、i1020cm-―1はSi−O−Si結合を示す波長1020cm―1付近のピークの吸光度である。
X/Y≧1.2 ・・・(2) - 前記表面酸化樹脂硬化層の法線方向に0.5mNの荷重を負荷した場合に、下記式(3)で算出される前記表面酸化樹脂硬化層のマルテンス硬度が、150N/mm2以上800N/mm2以下であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の表面酸化樹脂硬化層付き基板。
マルテンス硬度=A/B ・・・(3)
上記式(3)において、Aは最大荷重であり、Bは圧子の表面積である。 - 前記表面酸化樹脂硬化層の前記第2面側から深さ方向10nmの領域において、X線光電子分光法を用いて測定された炭素原子の含有率C(at%)と珪素原子の含有率Si(at%)が式(4)を満たすことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の表面酸化樹脂硬化層付き基板。
Si(at%)/C(at%)≧5.0・・・(4) - 請求項1から6の何れか1項に記載の表面酸化樹脂硬化層付き基板を含む化粧シート。
- 請求項1から6の何れか1項に記載の表面酸化樹脂硬化層付き基板を含む加飾シート。
- 請求項1から6の何れか1項に記載の表面酸化樹脂硬化層付き基板を含む樹脂ガラス。
- 基板の少なくとも一方の面に主成分としてポリシロキサンを硬化してなる下記(a)〜(c)の要件を満たす樹脂硬化層を形成し樹脂硬化層付き基板を作製する工程と、
前記樹脂硬化層付き基板を所望の形状に加工する工程と、
前記樹脂硬化層において前記基板とは反対側の表面を酸化処理する工程と、を含むことを特徴とする表面酸化樹脂硬化層付き基板の製造方法。
(a)厚さ25μmの易成形用PETフィルム上に厚さ6μmの前記樹脂硬化層を設けた積層体を引張試験機にて引っ張った際、前記樹脂硬化層にクラックが発生するまでの伸度が8%以上である。
(b)前記樹脂硬化層はナノ粒子を含む。
(c)前記樹脂硬化層は前記ポリシロキサンを含む塗液を40℃以下の温度で乾燥または硬化させるとタックフリーとなる。
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