JP2020089897A - はんだペーストおよび実装構造体 - Google Patents

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Yasuhiro Suzuki
康寛 鈴木
日野 裕久
Hirohisa Hino
裕久 日野
繁 山津
Shigeru Yamatsu
繁 山津
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Abstract

【課題】本発明は、高融点を要するはんだ接続にも適用することができ、かつ優れた塗布作業性、高い密着性および優れたはんだ接続信頼性を有するはんだペーストおよびそれを用いて電子部品を実装した実装構造体を提供することを目的とする。【解決手段】はんだペーストは、はんだ粉末とフラックスとを含むはんだペーストであって、前記フラックスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン化合物および活性剤を含み、前記フェノール樹脂は、前記フラックスの全質量に対して、58.9質量%未満の割合で含まれ、前記活性剤は、前記フラックスの全質量に対して、1.3質量%より大きい割合で含まれる。実装構造体は、回路基板に、前述のはんだペーストを用いて電子部品を実装した実装構造体であって、前記電子部品と前記回路基板とが金属接合された導電部と、前記導電部の周囲が前記フラックスの硬化物で覆われることにより形成された補強部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、主として回路基板に半導体部品または電子部品などをはんだ付けする際に用いられるはんだペーストのうち、フラックス成分にエポキシ樹脂を含むはんだペーストおよび実装構造体に関するものである。
近年、携帯電話またはPDA(Personal Digital Assistant)などのモバイル機器の小型化、高機能化が進んでいる。これに対応できる実装技術として、BGA(Ball Grid Array)またはCSP(Chip Scale Package)などの実装構造が多く用いられている。モバイル機器は、落下衝撃などの機械的負荷にさらされやすい。QFP(Quad Flat Package)では、そのリード部分において、衝撃を吸収する。しかし、衝撃を緩和するリードを持たないBGAまたはCSPなどでは、耐衝撃信頼性を確保することが重要となってきている。特に、近年の導体デバイスの高機能化やハイパワー化に伴い、耐ヒートサイクル性や耐熱性が重要になってきている。車載用途では、厳しい耐振動性やエンジンルール内への半導体デバイスの搭載による耐熱性が必要となる。そのため、デバイス実装での高いはんだ接続信頼性が必須となってきており、それを実現できる構造的な手法およびはんだ材料が望まれている。
はんだの接続信頼性を高める構造的な手法として、BGAやCSPの実装に、アンダーフィル材を用いることが行われている。アンダーフィル材を用いた実装構造とは、電子部品と回路基板との間をはんだボール(例えばSn−Ag−Cu系はんだボール)の溶解で接続し、そのはんだの周囲をエポキシ樹脂などで充填する手法である。アンダーフィルを施した電子部品は、はんだの周囲が樹脂で覆われていることによって、熱膨張および収縮や振動および落下ストレスなどの外力を、はんだに集中させずに周囲の樹脂に分散させることができる。そのため、高い接続信頼性を発揮させることができる。しかしながら、かかる実装方法は、毛細管の力でアンダーフィル材を数十ミクロン程の電子部品と回路基板との隙間へ充填する必要がある。そのために、1デバイス当たりの実装時間が長くなる。しかも、充填後、アンダーフィル材を熱硬化させるため、さらにプロセスが長くなり、それに伴いコストも嵩んでしまう。
そこで、さらなる対策として、フラックスに熱硬化性樹脂を含むはんだペーストを用いた半導体実装構造体およびその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
熱硬化性樹脂を含むはんだペースト(以下、単にはんだペーストともいう)は、加熱してはんだが溶融接続する工程で、フラックス中に含まれる樹脂とはんだが分離して、はんだの周辺を樹脂が覆う補強構造を形成し得る。その補強の結果、はんだの接続部の強度を高くすることが可能になる。
はんだペーストを用いた実装工程では、メタルマスクを用いて回路基板の配線電極などを所定の位置に印刷後、リフロー炉で加熱される。その際、フラックスによって、はんだ付けされる金属表面の酸化膜およびはんだ粉末の表面の酸化膜を還元反応で化学的に除去する作用、すなわちフラックス作用が働き、はんだの溶融接続が可能となる。その後、引き続きエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化が進み、回路基板の配線電極と電子部品の接合および樹脂での補強が、1回の加熱リフロー工程で行われる。
一方、はんだ材料として、従来は代表的にPb共晶はんだが利用されていたが、昨今では環境への配慮から鉛フリーはんだが利用されている。例えば、鉛フリーはんだには、Sn−Bi系はんだ、Sn−Ag−Cu系はんだ(以下、単にSACはんだともいう)、Sn−Cu系はんだなどがある。SACはんだなどを用いた実装では、高接続信頼性の実現の対策として、金属組成の異なるIn入りのはんだなども実用化されてきている。SACはんだは、その代表格として、SAC305(Sn−3.0Ag−0.5Cu)はんだ(以下、単にSAC305はんだともいう)およびより銀比率の低いSAC105(Sn−1.0Ag−0.5Cu)はんだ(銀比率1%)(以下、単にSAC105はんだともいう)が検討されて、徐々に実用化されてきている。
特許第5204241号公報
前述したように、フラックスに熱硬化性樹脂を含むはんだペーストによると、プロセスの遅延およびコストの問題が生じることなく、樹脂で形成された補強構造によって接続信頼性を高めることができる。しかしながら、このようなはんだペーストで実用化されているものは、特許文献1に示されるような、Sn−Bi系はんだなどの低融点はんだを用いたものである。例えば、SACはんだなどの高融点はんだを用いた熱硬化性樹脂を含むはんだペーストは、ほとんど実用化されていない。
具体的には、特許文献1に示されているような低融点のSn−Bi系はんだであれば、融点が約139℃であるため、はんだが溶融した後に、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂の硬化が起こる。そのため、はんだ接合部分(導電部)および樹脂補強部分を好適に形成することが可能である。一方、例えば、融点が約219℃であるSAC305はんだをリフロープロファイルにおいて十分に溶融させるためには、実装のリフロー炉のピーク温度を240〜260℃まで上げる必要がある。一般的に、はんだペーストのフラックス中の熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂は、通常100〜150℃で硬化反応を開始する。そのため、リフロープロファイルにおいて、はんだペースト中に分散しているはんだ粒子が溶融して凝集する前に、エポキシ樹脂が硬化を始めて増粘してしまい、はんだ接合部分等の好適な形成が困難となる。さらに、エポキシ樹脂は、200℃付近の高い温度では、150℃付近の温度と比べて非常に硬化速度が速く、短時間で固化してしまう。そのため、特に高融点のはんだの場合、熱硬化性樹脂を含むはんだペーストでのはんだ接合部分および樹脂補強部分の形成は、非常に困難となってしまう。
このように、たとえ高融点を通るリフロープロファイルを行っても、はんだ接合部分および樹脂補強部分を好適に形成することができるはんだペーストが望まれている。
そこで、本発明は、高融点を要するはんだ接続にも適用することができ、かつ優れた塗布作業性、高い密着性および優れたはんだ接続信頼性を有するはんだペーストおよびそれを用いて電子部品を実装した実装構造体を提供することを目的とする。
一般的に利用される硬化促進剤を含ませず、エポキシ樹脂とフェノール樹脂とのみを含む混合物を、例えば約240℃程度の高温で1時間加熱しても、樹脂硬化はほとんど進まない。しかし、該混合物に適量のベンゾオキサジン化合物を加えることによって、約240℃程度の高温かつ数分程度の短時間で、樹脂硬化が起こることが分かった。また、フラックス作用を働かせるために、ベンゾオキサジン化合物を加えた該混合物にさらに適量の活性剤を加えることによって、好適なはんだペーストが得られることが分かった。
本発明の第1の要旨によれば、はんだ粉末とフラックスとを含むはんだペーストであって、
前記フラックスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン化合物および活性剤を含み、
前記フェノール樹脂は、前記フラックスの全質量に対して、58.9質量%未満の割合で含まれ、
前記活性剤は、前記フラックスの全質量に対して、1.3質量%より大きい割合で含まれる、
はんだペーストが提供される。
本発明の第1の要旨の1つの態様において、前記はんだ粉末は、融点が200℃以上の、Sn−Ag−Cu系はんだまたはSn−Cu系はんだであり得る。
本発明の第1の要旨の1つの態様において、前記エポキシ樹脂は、前記フラックスの全質量に対して、20質量%以上60質量%以下の割合で含まれ、
前記フェノール樹脂は、前記フラックスの全質量に対して、10質量%以上40質量%以下の割合で含まれ、
前記ベンゾオキサジン化合物は、前記フラックスの全質量に対して、5質量%以上30質量%以下の割合で含まれ、
前記活性剤は、前記フラックスの全質量に対して、3質量%以上40質量%以下の割合で含まれ得る。
本発明の第1の要旨の1つの態様において、前記活性剤は、有機酸であり得る。
本発明の第1の要旨の上記態様において、前記有機酸は、融点が130℃以上220℃以下であり得る。
本発明の第1の要旨の1つの態様において、前記フェノール樹脂は、軟化点が60℃以上110℃以下、水酸基当量が70g/eq以上150g/eq以下のフェノールノボラック樹脂であり得る。
本発明の第1の要旨の1つの態様において、前記ベンゾオキサジン化合物は、分子内に複数のオキサジン環をもつ多価オキサジンであり得る。
本発明の第1の要旨の1つの態様において、前記はんだ粉末は、該はんだペーストの全質量に対して、50質量%以上95質量%以下の割合で含まれ得る。
本発明の第2の要旨によれば、回路基板に、上記第1の要旨のはんだペーストを用いて電子部品を実装した実装構造体であって、
前記電子部品と前記回路基板とが金属接合された導電部と、前記導電部の周囲が前記フラックスの硬化物で覆われることにより形成された補強部と、を備える、
実装構造体が提供される。
本発明のはんだペーストによれば、高融点を要するはんだ接続にも適用することができ、かつ優れた塗布作業性、高い密着性および優れたはんだ接続信頼性を有する。
本発明の実施の形態におけるはんだペーストを用いて接合されたCSPのはんだ接合部分の断面図である。 本発明の実施の形態におけるはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の実施の形態におけるはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の実施の形態におけるはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の実施の形態におけるはんだペーストを用いたチップ部品の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の実施の形態におけるはんだペーストを用いたチップ部品の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 本発明の実施の形態におけるはんだペーストを用いたチップ部品の接合工程を模式的に示した断面説明図である。 チップ部品のせん断密着力測定方法を示した断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態におけるはんだペーストは、はんだ粉末とフラックスとを含む。図1は、本発明の実施の形態におけるはんだペーストを用いて接合されたCSPのはんだ接合部分の断面図である。図1に示すように、CSP基板1に設けた電極2と回路基板3に設けた電極4との間が、はんだボールの溶融部分とはんだ粉末由来の部分とから構成される導電部5で金属的に接合され、その周囲がフラックス由来の硬化後の固体エポキシ樹脂である補強部6bで補強された構造となっている。
本発明の実施の形態におけるはんだペーストの組成について、以下、詳細に説明する。
本発明の実施の形態におけるはんだペーストは、はんだ粉末とフラックスとを含み、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。フラックスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン化合物および活性剤を含む。
<フラックス>
本発明の実施の形態におけるはんだペースト中のフラックスには、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン化合物および活性剤が含まれる。はんだペーストの全質量に対するフラックスの量は、好ましくは1質量%以上65質量%以下、より好ましくは1質量%以上55質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上50質量%以下の範囲にある。本発明のはんだペーストにおけるフラックスの含有量が上記範囲にあることにより、接合部分の高い接続信頼性とペーストの優れた印刷作業性および安定した導電性を効果的に実現することができる。以下に、フラックスに含まれる各必須成分についてさらに詳細に記載する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂とは、一般に、構造内にエポキシ基を有することにより、加熱による硬化が可能である熱硬化性樹脂をいう。本発明の実施の形態においてフラックスに含まれるエポキシ樹脂(ベースエポキシ樹脂)は、常温で液状のものである。このようなエポキシ樹脂を配合することで、はんだ粒子などの他の成分を容易に分散することができる。本明細書において「常温で液状」とは、大気圧下での5℃以上28℃以下の温度範囲、特に室温20℃前後において流動性を持つことを意味する。あるいは、常温では固体のエポキシ樹脂を液体のエポキシ樹脂と混合することで液体化したり、反応性エポキシ希釈材や溶剤を添加することで液状化してもよい。
常温で液状のエポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2つ以上有するものであれば、その分子量および分子構造は特に限定されず、各種のものを用いることができる。具体的には、例えば、グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型またはオレフィン酸化型(脂環式)などの各種の液状のエポキシ樹脂を用いることができる。さらに具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂などの水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなどを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。これらの中でも、半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物の低粘度化と硬化物の物性向上を考慮すると、常温で液状のエポキシ樹脂として、ビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。具体的に市販されている商品として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製:品番jER828)およびビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製:品番jER806)などを挙げることができる。
エポキシ樹脂は、フラックスの全質量に対して、好ましくは10質量%以上90質量%以下、より好ましくは20質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上60質量%以下の割合で含まれることが好ましい。本発明のフラックスにおけるエポキシ樹脂の含有量が上記範囲にあることにより、接合部分の接続信頼性を効果的に向上させることができる。
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂は、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応し得るフェノール性水酸基を分子中に2個以上有するものであれば、特に制限されない。例えば、ビスフェノールA、フェノールノボラック、またはクレゾールノボラック等の、フェノール性水酸基を分子内に2個以上有する多官能フェノール類を挙げることができる。特に、分子中に2個以上存在するフェノール性水酸基のエポキシ樹脂などの他の成分への溶解性の点から、該フェノール樹脂は、好ましくは、軟化点が60℃以上110℃以下、水酸基当量が70g/eq以上150g/eq以下である。本開示において、軟化点とはフェノール樹脂が温度の上昇によって軟化し、変形を始めるときの温度をいい、環球式軟化点測定法を用いて計測した温度を指す。さらに、本開示において、水酸基当量とは、JIS K 0070に準拠した中和滴定法によって測定した数値を指す。具体的に市販されている商品として、例えば、フェノールノボラック樹脂(明和化成(株)製:品番HF−1M)、フェノールアラルキル樹脂(明和化成(株)製:品番MEH−7800)、およびビフェニルアラルキル樹脂(明和化成(株)製:品番MEH−7851SS)などを挙げることができる。フェノール樹脂の形態は、固体でも液体でもよい。さらに、フェノール性水酸基が分子中に1個しかないフェノール樹脂を併用することも可能である。
フェノール樹脂は、フラックスの全質量に対して、58.9質量%未満の割合で含まれる。含有量の下限は、特に制限されないが、フェノール樹脂は、フラックスの全質量に対して、好ましくは10質量%以上58.9質量%未満、より好ましくは10質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上40質量%以下の割合で含まれる。フェノール樹脂の割合をこのような特定の範囲内の割合とすることによって、適切な粘度とすることができ、樹脂の硬化反応を適切に進めることができる。
(ベンゾオキサジン化合物)
ベンゾオキサジン化合物は、ジヒドロベンゾオキサジン環を含有する化合物であれば、特に限定されない。例えば、各種のフェノール、アミンおよびホルムアルデヒドなどから合成することが可能である。
ベンゾオキサジン化合物は、常態下では、ジヒドロベンゾオキサジン環は化学的に安定であり、重合反応は進まない。しかし、約170℃以上に加熱することで、ジヒドロベンゾオキサジン環が開環して、フェノール性水酸基と塩基性アミノ基とからなるジアミノジフェニル構造を有するポリベンゾオキサジン化合物に変異する。この開環によって形成されたジアミノジフェニル構造に存在する塩基性アミノ基が、前述のエポキシ樹脂と前述のフェノール樹脂との、高温におけるはんだ粉末の融点(例えばSACはんだの場合、約219℃)以上での反応を促進し、硬化促進剤として働くことによって、はんだ溶融後に樹脂硬化を加速するものと考えられる。加えて、ベンゾオキサジン化合物のジヒドロベンゾオキサジン環は、170℃になるまで開環することはなく、従って、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との反応も進まないため、後述するようなはんだの溶融および凝集を阻害しない。加えて、開環後、フェノール性水酸基は、副生成物を生じることなく自己重合したり、前述のエポキシ樹脂等と反応し得る。このように、はんだ溶融後には、ジヒドロベンゾオキサジン環の開環によって、フラックスは急激に反応することになる。
ここで、例えば、ベンゾオキサジン化合物とエポキシ樹脂とを主体とした組成物に、硬化促進剤とフェノール樹脂とを添加することで、樹脂の反応温度を約150℃以下の低温域に下げることができる技術については、例えば特開2000−248151号公報および特開2002−047391号公報に開示されている。該技術を本実施の形態のはんだペーストに適用すると、樹脂の硬化温度が低くなり、高融点まで達する前に増粘してしまい、後述のはんだの溶融および凝集を阻害してしまうことになる。しかし、本発明の実施の形態のはんだペーストによると、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂を主体として、その他適切な量においてベンゾオキサジン化合物(および活性剤)を含んでいるため、高融点まで達する前に増粘することなく、優れたはんだ接続を行うことができる。
硬化促進剤としての機能をより高めるため、好ましくは、ベンゾオキサジン化合物は、分子内に複数のオキサジン環をもつ多価オキサジンである。
ベンゾオキサジン化合物は、フラックスの全質量に対して、好ましくは1質量%以上50質量%以下、より好ましくは1質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上30質量%以下の割合で含まれる。ベンゾオキサジン化合物を、このような割合で含むことによって、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との硬化を十分に好適に進めることができる。
ベンゾオキサジン化合物は、原材料の種類によって、生成されるベンゾオキサジン化合物の構造は異なる。本発明では、様々な原材料から合成されたベンゾオキサジン化合物を用いることができる。または、市販のものを用いることもできる。
市販の代表的な化合物としては、次の化合物が挙げられる。
P−d型ベンゾオキサジン化合物:フェノールとジアミノジフェニルメタンとホルムアルデヒドとの重合物(四国化成工業(株)製)
Figure 2020089897
(式中、Rは、水素またはアリル基を示す。)
さらに、樹脂骨格の異なる次の化合物も挙げることができる。
F−a型ベンゾオキサジン化合物:ビスフェノールFとアニリンとホルムアルデヒドとの重合物(四国化成工業(株)製)
Figure 2020089897
(活性剤)
活性剤の種類は、金属酸化膜を除去する機能を有する限り任意の適切なものであり得、種類は限定されない。例えば、はんだペーストを加熱する温度域において、被接合部材である電子部品の電極、配線および/またははんだ粉末表面に存在し得る酸化膜を除去する還元力を有する有機酸、ハロゲンまたはアミン塩などが用いられ得る。これらのうち、活性剤は、好ましくは、絶縁性の耐劣化特性に優れる有機酸である。有機酸は、特に優れたフラックス作用(ここで、フラックス作用とは、はんだペーストが塗布される金属表面に生じた酸化皮膜を除去するという還元作用、および、溶融はんだの表面張力を低下させて、はんだの接合金属表面への濡れ性を促進する作用を意味する)を有する。有機酸の種類は、特に限定されるものではなく、任意の有機化合物の酸を用いることができる。例えばアビエチン酸に代表されるロジン成分材料、各種アミンおよびその塩、セバシン塩、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、クエン酸、ピメリン酸、などを用いることができる。
本発明は、融点が200℃付近または200℃以上の高融点であるはんだ(はんだ粉末)(例えば、SACはんだまたはSn−Cu系はんだ)が用いられる場合に、より効率的にその効果を発揮する。有機酸は、そのカルボキシル基が、200℃以下でもエポキシ基と反応するため、はんだペースト中のフラックスの増粘に関与する。そのため、活性剤として有機酸を用いる場合、該有機酸は、融点が、好ましくは130℃以上220℃以下、より好ましくは130℃以上200℃以下、さらに好ましくは133℃以上186℃以下である。これは、かかる高融点を有する2塩基酸の有機酸を用いることによって、後述するようなはんだの溶融および凝集を阻害し難いということが分かったためである。
具体的には、高融点の例えばSACはんだのようなはんだに対しては、130℃以下の低温域では活性力(すなわち、はんだ表面の酸化膜の除去という還元作用)は小さく、高温域で活性力を発現することが望ましい。融点が130℃以上220℃以下である有機酸としては、例えば、2塩基酸の一種であるコハク酸(融点186℃)、アジピン酸(融点152℃)、コルク酸(融点142℃)、セバシン酸(融点133℃)などを挙げることができる。なお、シュウ酸無水和物は、融点が189℃と高いが、吸湿性が高く、吸湿により低融点(融点101℃)の2水和物になる。また、イソフタル酸(融点340℃)のようにSACはんだの融点よりも高い融点の有機酸は、はんだの酸化膜を除去する働きが通常期待できない。しかしながら、本発明に利用可能な有機酸から、融点が130℃未満または220℃超であるこれら有機酸を排除する趣旨ではなく、実際に使用するはんだおよびリフロー温度等に応じて適宜使用されてもよい。これらの有機酸は、1種類の成分であってもよく、2種類以上の成分を混合してもよい。
活性剤は、フラックスの全質量に対して、1.3質量%より大きい割合で含まれ、好ましくは1.5質量%以上60質量%以下、より好ましくは2質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上40質量%以下の割合で含まれる。活性剤(特に有機酸)の含有量が上記範囲にあることにより、フラックス作用が適切に働き、好適な接続信頼性を得ることができる。
(その他の成分)
はんだペーストに含まれるフラックスのその他の成分の例としては、通常用いられる改質剤(例えばロジン)、添加剤などが挙げられる。また、はんだペーストの粘度を低減し、流動性を付与する目的で、低沸点の溶剤や希釈剤を加えることもできる。さらに、印刷形状を保持するためのチクソ性付与剤として、硬化ヒマシ油またはステアリン酸アミドなどを添加することも有効である。
なお、本発明のはんだペーストのフラックスに、粘度低下のための溶剤を添加した場合、フラックスの全質量に対する各成分の配合比率の換算においては、溶剤は考慮していない。その理由は、溶剤は、はんだペーストの状態ではペースト中に存在するが、リフロー加熱工程では、樹脂とは反応せず、ほとんどが揮発してしまい、樹脂硬化物中には存在しないか、極めて少量のみの存在となるためである。
<はんだ粉末>
本発明のはんだペーストに含まれるはんだ粉末は、特に限定されないが、融点が180℃以上、特に200℃以上のはんだ粉末が用いられることが好ましい。はんだ粉末の組成は、特に限定されないが、はんだ合金の形態であってもよい。例えば、Snをベースとした、SACはんだ、Sn−Cu系はんだまたはSn−Ag系はんだの合金などを用いることができる。SACはんだは、例えば、融点が219℃であるSAC305(Sn−3.0Ag−0.5Cu)はんだ、融点が220℃であるSAC405(Sn−4.0Ag−0.05Cu)はんだ、融点が225℃であるSAC105(Sn−1.0Ag−0.5Cu)はんだなどを挙げることができる。Sn−Ag系はんだとしては、例えば融点が221℃であるSn−3.5Agはんだなど、Sn−Cu系はんだとしては、例えば融点が227℃であるSn−0.7Cuはんだなどを挙げることができる。これらのはんだ合金のうち、好ましくは、SAC305はんだである。これは、現在、SAC305はんだは、民生電子機器に汎用的に用いられており、高い接続信頼性と低コストを実現しているため、および、CSPやBGAパッケージのはんだボール用としても汎用的に用いられているためである。
本発明のはんだペーストの全質量に対するはんだ粉末の含有量は、好ましくは35質量%以上95質量%以下、より好ましくは40質量%以上95質量%以下、さらに好ましくは50質量%以上95質量%以下の範囲にある。はんだ粉末の含有量が上記範囲にあることにより、接合部分の高い接続信頼性とペーストの優れた印刷作業性とを効果的に実現することができる。該はんだ粉末の含有量が、35質量%程度より少ないと十分な接続を確保することができない場合がある。また、95質量%よりも多いと高粘度となり、ペーストとしての適正な粘性を確保することができなくなり得、かつフラックス分が少なくなるため、十分な補強効果も得られなくなり得る。
本明細書におけるはんだ粉末の組成は、はんだ粉末に含まれる元素の元素記号をハイフンで結んで表記している。本明細書中、はんだ粉末の金属組成を説明するのに、金属元素の直前に数値または数値範囲を示すことがあるが、これは、当該技術分野において一般的に使用されているように、金属組成中に占める各元素の質量%(=質量%)を数値または数値範囲で示すものである。はんだ粉末は、列挙した元素で実質的に構成されている限り、不可避的に混入する微量金属であって、例えばNi、Ge、Zn、Sb、Cuなどである金属を含んでいてもよい。
本明細書におけるはんだ粉末(またははんだ)の融点は、試料の加熱昇温過程での状態変化を観察したときの、融け終わりの温度をいい、DSC、TG−DTAなどを使用して測定することができる。
次に、上述した本発明の実施の形態におけるはんだペーストの調製方法、および当該はんだペーストを用いて回路基板に電子部品を実装して実装構造体を作製(または製造)する具体的な方法の1例を示す。
まず、前述したエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン化合物および活性剤を秤量し混合して、フラックスを作成する。そのフラックスに、はんだ粉末を添加して混合・混練する。
本発明の実施の形態におけるはんだペーストを用いて、導体配線を有する回路基板などに半導体部品を実装することができる。本発明の実施の形態における実装構造体、例えば半導体装置は、前述したはんだペーストを用いて半導体部品の端子と回路基板の電極とが接合された接合部分を備えている。はんだペーストの塗布は、例えば、電極と同じ位置に貫通孔を設けたメタルマスクを回路基板に重ねた後、メタルマスクの表面にはんだペーストを供給し、スキージで貫通孔に充填することによって行うことができる。その後、メタルマスクを回路基板から離すと、電極ごとにはんだペーストが塗布された回路基板を得ることができる。
次に、はんだペーストが未硬化状態のまま、チップ部品または半導体部品の端子と回路基板の電極とが対向するように、チップマウンターなどを用いてチップ部品または半導体部品を回路基板とを重ねる。ここで、チップ部品としては、チップ抵抗またはチップコンデンタなどが搭載され得る。また半導体部品としては、端子としてはんだボールを設けて形成されたCSPもしくはBGA、端子としてリードを設けて形成されたQFPなどの半導体パッケージ、または、パッケージに収容されずに端子を設けて形成された半導体素子(ベアチップ)などを用いることができる。
この状態で、チップ部品が配置されたプリント配線板をリフロー炉で所定の加熱温度まで加熱する。このような方法で、チップ部品または半導体部品の端子と回路基板の電極とが本発明の実施の形態におけるはんだペーストを介して接続された導電部を備える、本発明のもう1つの実施の形態における半導体装置を製造することができる。この導電部は、はんだ粉末とはんだボールが溶融一体化したはんだ接合部分(導電部)と、この周囲がフラックスの硬化物で覆われることにより形成された部分、すなわちエポキシ樹脂硬化部(補強部)とを備える。このように、本発明の実施の形態におけるはんだペーストによれば、導電部により部品と基板との電機的接合がなされ、かつ、補強部により機械的補強がなされた実装構造体を作製することができる。
リフロー工程では、はんだ粉末が十分に溶融し、さらには、フラックスの樹脂成分の硬化反応が充分かつ適切に進行する必要がある。詳細には、リフロー工程において、はんだ粉末が完全に溶融する前に、はんだペースト中のフラックス成分であるエポキシ樹脂の硬化反応が進行してしまうと、フラックスが増粘してしまう。すると、はんだ粒子の凝集および溶融が阻害されて、適切な金属導通が取れなくなる。このような事態を避けるために、リフロー炉の温度は、使用するはんだ粉末の融点に昇温するまでは樹脂の硬化反応が遅く、かつ、はんだ粉末が溶融し、例えば半導体部品のはんだボールと溶融合体し、回路部品の電極金属と溶融接合した後は、フラックスの樹脂が短時間(例えば数分程度)で硬化反応を完了することが必要である。
本発明の実施の形態におけるはんだペーストは、フラックスの組成が、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂を主体として含み、かつ適量のベンゾオキサジン化合物(および活性剤)をさらに含むことによって、リフロー炉の温度がはんだペースト中のはんだ粉末の融点(特に、汎用されているSAC305はんだの融点である約219℃)まで昇温する間、フラックスが増粘し難くなっている。加えて、フラックスの組成においてさらに適量の活性剤を併用することによって、優れたはんだ溶融性と、はんだ溶融後の樹脂フラックスの短時間硬化とを可能にする。好ましくは、はんだペースト中のフラックスの組成は、エポキシ樹脂がフラックスの全質量に対して20質量%以上60質量%以下の割合で含まれ、フェノール樹脂がフラックスの全質量に対して10質量%以上40質量%以下の割合で含まれ、ベンゾオキサジン化合物がフラックスの全質量に対して5質量%以上30質量%以下の割合で含まれ、活性剤がフラックスの全質量に対して3質量%以上40質量%以下の割合で含まれる。
他の実施の形態において、リフロー炉のプロファイルで、はんだ溶融後、温度を150〜200℃に下げて、マイルドな硬化にするような二段階プロファイルとしてもよい。その場合は、開環したベンゾオキサジン化合物と活性剤だけでは、硬化速度が遅くなるため、はんだ溶融を阻害しない程度に硬化促進剤を適量併用することも可能である。硬化促進剤の種類としては、イミダゾール類、3級アミン類、DBU塩などの環状アミン類、TPP塩等のトリアリールホスフィン類、4級ホスホニウム塩、Feアセチルアセトナートなどの金属錯体などが挙げられる。これらのうち、高温反応系のものが適している。
図2A〜図2Cは、本発明の実施の形態におけるはんだペーストを用いたCSPのボール部の接合工程を模式的に示した断面説明図である。図2A〜図2Cに示すように、CSP基板1に設けた電極2と回路基板3に設けた電極4との間を、はんだボール8とはんだペースト7で接合し、その後、乾燥機9で加熱硬化して、完成となる。形成された導電部5の周囲は、硬化後の固体エポキシ樹脂である補強部6bで補強された構造となる。
図3A〜図3Cは、本発明の実施の形態におけるはんだペーストを用いたチップ部品の接合工程を模式的に示した断面説明図である。図3A〜図3Cに示すように、回路基板3に設けた電極4上に塗布されたはんだペースト7の上に、チップ部品10を搭載して、乾燥機9で加熱硬化する。すると、はんだが溶融接続して導電部11を形成し、はんだの凝集力で押し出された液体のエポキシ樹脂6aが、はんだの周囲および/またはチップ部品10下部を覆う構造を形成する。その後、加熱により固体エポキシ樹脂である補強部6bへと硬化して、完成する。このようにして、チップ部品10と回路基板3とが金属接合(原料のはんだペースト中のはんだ粉末に由来する金属を含む金属接合)された導電部11と、導電部11の周囲の補強部6bとを有する実装構造体が製造される。
以下に本発明の実施例および比較例を示す。下記の本発明の実施例および比較例の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。実施例および比較例中、「部」および「%」は、言及のない限り、質量基準による。
<はんだペーストの作成>
はじめに、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂と、ベンゾオキサジン化合物とを、はんだペースト合計質量(但し溶剤は除く)100質量部に対して、以下に示す表1および表2に記載の質量部を占めるような割合となるようにそれぞれ秤量し、80℃に加熱溶融して、均一な樹脂混合物を作成した。室温に冷却後、秤量した有機酸をさらに加えて混合して、実施例1〜9および比較例1〜4のフラックスを作成した。さらに、適宜表1および表2に示すように溶剤を加えた後、プラネタリーミキサーを用いて混合物を均一に分散させた。なお、以下、phrは、はんだペーストの全フラックスの質量(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン化合物および有機酸の合計質量)に対して占める質量%である。ただし溶剤の量は全フラックス量に含まれない。
エポキシ樹脂には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製:品番jER828)またはビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製:品番jER806)を用いた。フェノール樹脂には、フェノールノボラック(明和化成(株)製:品番HF−1MまたはH−4)を用いた。ベンゾオキサジン化合物には、P−d型ベンゾオキサジン(四国化成工業(株)製)またはF−a型ベンゾオキサジン(四国化成工業(株)製)を用いた。活性剤としての有機酸には、アジピン酸(東京化成工業(株)製)またはコハク酸(東京化成工業(株)製)を用いた。溶剤は、HeDG(ヘキシルジグリコール)(日本乳化剤(株)製)を用いた。
次に、上述のようにして得られた実施例1〜9および比較例1〜4のフラックスに、はんだ粉末を、それぞれ表1および表2に示す質量部を占めるような割合で添加して、さらに混練することにより、はんだペーストを調製した。はんだ粉末には、SAC305はんだ粉末(Sn−3.0Ag−0.5Cu)(平均粒径:10〜25μm、融点:219℃(三井金属鉱業(株)製))またはSAC105はんだ粉末(Sn−1.0Ag−0.5Cu)(平均粒径:10〜25μm、融点:225℃(三井金属鉱業(株)製))を用いた。
<密着性の評価素子の作製>
上述のとおりに調製されたはんだペーストを、メタルマスクを用いて、厚さが0.1mmとなるように、回路基板(FR−4基板)上のAuメッキされた電極上に印刷して、はんだペースト印刷部を形成した。
そして、3.2mm×1.6mmサイズのチップ抵抗(錫電極)を、チップマウンターを用いて回路基板上のはんだペースト印刷部にマウントした。なお、回路基板は、電極材質が銅で、基板材質はガラスエポキシ材であった。その後、リフロー装置を用いて240℃で6分加熱することにより接合部分を形成し、評価素子を作製した。
<評価>
実施例1〜9および比較例1〜4について、以下の項目について評価した。評価結果は、各例におけるはんだペーストの特性として表1および表2に併せて示した。
(印刷性)
メタルマスクを用いて印刷したはんだペーストの形状を観察することによって、はんだペーストの印刷性の評価を行った。観察は、目視にて、電極エリアへの収まり状態、ダレや尖がり形状に対して行った。印刷性の評価は、ペーストをマスクの貫通孔を通過させて回路基板の電極上に転写した時の形状で判定した。電極部に形状が保持できているものを○、形状に不具合(ダレや尖がりの発生)があるが使用可能であるものを△、非常に形状が悪いものを×とした。
(密着性)
図4は、チップ部品のせん断密着力測定方法を示した断面模式図である。チップ部品10を加熱可能なステージ13に固定し、せん断冶具12を用いて、水平に押すことで、密着強度を測定する。このような方法で測定がなされるボンドテスター装置(DAGE社製、Series4000)を用いて、上記のように作製した密着性の評価素子の室温20℃におけるせん断密着力を測定することによって、はんだペーストの密着性の評価を行った。密着性の評価は、接合部分に掛かる荷重が、20Kg/チップを越えても破損しなかった物を◎、15〜20Kg/チップの範囲で破損が生じたものを○、10〜15Kg/チップの範囲で破損が生じたものを△、10Kg/チップ未満の範囲で破損を生じたものを×とした。
(メタライズ性)
メタライズ性(はんだ接続信頼性)の評価を、下記のJIS Z3284−4 ソルダボール試験に準拠して実施した。はんだの凝集度合がレベル1であったものを◎、はんだの凝集度合がレベル2であったものを○、はんだの凝集度合がレベル3であったものを△、はんだの凝集度合がレベル4であったものを×とした。はんだの凝集度合の各レベルの詳細は、以下の通りである。
レベル1:はんだ(粉末)が溶融して、はんだは一つの大きな球となり、周囲にソルダボールがない。
レベル2:はんだ(粉末)が溶融して、はんだは一つの大きな球となり、周囲に直径75μm以下のソルダボールが三つ以下ある。
レベル3:はんだ(粉末)が溶融して、はんだは一つの大きな球となり、周囲に直径75μm以下のソルダボールが四つ以上あり、半連続の環状に並んではいない。
レベル4:はんだ(粉末)が溶融して、はんだは一つの大きな球となり、周囲に多数の細かい球が半連続の環状に並んでいる。
(総合判定)
印刷性、密着性およびメタライズ性の3つの評価で、全項目が○のものを○、1個でも△があるものを△、1個でも×があるものを×として、総合的な評価を行った。
以下の表1および表2に示す配合量は質量部を表す。
Figure 2020089897
Figure 2020089897
例えば、表1に示すとおり、実施例1では、はんだ粉末の種類は、SAC305はんだを用いた。はんだペースト100質量部(ただし、溶剤は含まない)に対して、はんだ粉末は50質量部とし、はんだ比率も50質量%とした。フラックスにおけるエポキシ樹脂は、jER828とし、添加量ははんだペースト全量に対して23.5質量部、全フラックス量に対して47.0phrとした。フェノール樹脂は、HF−1Mとし、添加量ははんだペースト全量に対して15.0質量部、全フラックス量に対して30.0phrとした。ベンゾオキサジン化合物は、P−d型とし、添加量ははんだペースト全量に対して10.0質量部、全フラックス量に対して20.0phrとした。有機酸は、アジピン酸とし、添加量ははんだペースト全量に対して1.5質量部、全フラックス量に対して3.0phrとした。溶剤は添加しなかった。このような実施例1のはんだペーストの評価結果では、印刷性は、若干ダレが発生しており、△判定であった。密着性は、12Kg/チップでやや優れており、△判定であった。メタライズ性は、レベル3でやや良好であり、△であった。その結果、総合判定は、△であった。はんだ粉末、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン化合物および有機酸の種類および量を種々変更した実施例2〜9のはんだペーストについても、上記表1に示すとおり、同様に良好なまたは使用可能なレベルの印刷性、密着性およびメタライズ性の評価を確認できた。
比較例1は、はんだ比率が30%のはんだペーストを用いた。その評価結果では、印刷性は、かなりのダレが発生し、判定は×であった。密着性も、7Kg/チップと弱く、判定は×であった。メタライズ性も、レベル4であり、判定×であった。その結果から、総合判定としては、×であった。
比較例2は、ベンゾオキサジン化合物が含まれていないはんだペーストを用いた。その評価結果では、密着性が弱く、総合判定としては、×であった。これは、ベンゾオキサジン化合物が含まれていなかったため、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との硬化が、十分に進まなかったためと推察される。
比較例3は、フェノール樹脂であるフェノールノボラックの比率が58.9phrであるはんだペーストを用いた。その評価結果では、粘度が高く、密着性やメタライズ性についても良好ではなかった。これは、フェノールノボラックが過剰な量であったため、硬化反応が十分に進まなかったものと推察される。
比較例4は、有機酸を含んでいないはんだペーストを用いた。その評価結果では、密着性やメタライズ性が悪い結果となった。これは、有機酸を含んでいないため、はんだのメタライズが進まなかったためと推察される。
表1および表2の結果から考察すると、フラックス成分として、エポキシ樹脂とフェノール樹脂を主体に、さらにベンゾオキサジン化合物を適宜添加したはんだペーストが、240℃のリフロー処理において、優れたメタライズ性と高い密着性を有している。これは、ベンゾオキサジン化合物が、170℃以上の加熱で、ジヒドロベンゾオキサジン環が開環して、ジアミノジフェニル構造を有するポリベンゾオキサジン化合物に変異し、この開環により形成されたジアミノジフェニル構造に存在する塩基性アミノ基が、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の反応を促進するためと推察される。その上、自身の水酸基がエポキシ樹脂と反応して架橋構造を形成することによっても、優れた密着性を確保すると推察される。
そのようなポリベンゾオキサジン化合物への変異は、SACはんだの溶融後に起こるため、SACはんだの溶融前にはフラックスは増粘し難い。そのため、はんだの溶融および接合において、非常に好適となることが推察される。また、ベンゾオキサジン化合物のジヒドロベンゾオキサジン環の開環は、低温ではほとんど起こらないため、当該はんだペーストの室温保存性は、すこぶる安定であり、長時間の室温可使時間がある。
表1および表2の結果からさらに考察すると、はんだペーストのフラックスに含まれるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン化合物および有機酸(同じ作用を有する他の活性剤も同様)の構成比率について、エポキシ樹脂が20phr以上60phr以下、フェノール樹脂が10phr以上40phr以下、ベンゾオキサジン化合物が5phr以上30phr以下、有機酸(同じ作用を有する他の活性剤も同様)が3phr以上40phr以下であると、好適であることも分かる。
本発明のはんだペーストおよび実装構造体は、電気/電子回路形成技術の分野において、広範な用途に使用できる。例えば、CCD素子、フォログラム素子、チップ部品などの電子部品の接続用およびそれらを基板に接合する用途に用いることができる。さらに、例えば、これらの素子、部品、または基板を内蔵する製品、例えば、DVD、携帯電話、ポータブルAV機器、デジタルカメラなどに使用することができる。
1 CSP基板
2 電極
3 回路基板
4 電極
5 導電部
6a エポキシ樹脂(未硬化液体)
6b 補強部
7 はんだペースト
8 はんだボール
9 乾燥機
10 チップ部品
11 導電部
12 せん断冶具
13 ステージ

Claims (9)

  1. はんだ粉末とフラックスとを含むはんだペーストであって、
    前記フラックスは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン化合物および活性剤を含み、
    前記フェノール樹脂は、前記フラックスの全質量に対して、58.9質量%未満の割合で含まれ、
    前記活性剤は、前記フラックスの全質量に対して、1.3質量%より大きい割合で含まれる、
    はんだペースト。
  2. 前記はんだ粉末は、融点が200℃以上の、Sn−Ag−Cu系はんだまたはSn−Cu系はんだである、請求項1に記載のはんだペースト。
  3. 前記エポキシ樹脂は、前記フラックスの全質量に対して、20質量%以上60質量%以下の割合で含まれ、
    前記フェノール樹脂は、前記フラックスの全質量に対して、10質量%以上40質量%以下の割合で含まれ、
    前記ベンゾオキサジン化合物は、前記フラックスの全質量に対して、5質量%以上30質量%以下の割合で含まれ、
    前記活性剤は、前記フラックスの全質量に対して、3質量%以上40質量%以下の割合で含まれる、
    請求項1または2に記載のはんだペースト。
  4. 前記活性剤は、有機酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のはんだペースト。
  5. 前記有機酸は、融点が130℃以上220℃以下である、請求項4に記載のはんだペースト。
  6. 前記フェノール樹脂は、軟化点が60℃以上110℃以下、水酸基当量が70g/eq以上150g/eq以下のフェノールノボラック樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のはんだペースト。
  7. 前記ベンゾオキサジン化合物は、分子内に複数のオキサジン環をもつ多価オキサジンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のはんだペースト。
  8. 前記はんだ粉末は、該はんだペーストの全質量に対して、50質量%以上95質量%以下の割合で含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のはんだペースト。
  9. 回路基板に、請求項1〜8のいずれか1項に記載のはんだペーストを用いて電子部品を実装した実装構造体であって、
    前記電子部品と前記回路基板とが金属接合された導電部と、前記導電部の周囲が前記フラックスの硬化物で覆われることにより形成された補強部と、を備える、
    実装構造体。
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