JP2020085311A - 沸騰冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】沸騰冷却装置において、小型化を図る。【解決手段】沸騰冷却装置は、蒸発器10と、凝縮器20と、熱媒体通路30とを備える。蒸発器10は、発熱体40と熱媒体との熱交換により熱媒体を沸騰気化させることで冷却対象物を冷却する。凝縮器20は、熱媒体と空気との熱交換により熱媒体を凝縮させることで熱媒体の熱を空気に放熱する。熱媒体通路30は、蒸発器10と凝縮器20とをループ状に連結して蒸発器10と凝縮器20との間で熱媒体を循環させる。凝縮器20は、第1凝縮器21と、第1凝縮器21の重力方向上方側に配置される第2凝縮器22と、を有している。第1凝縮器21は、気液二相状態の熱媒体から少なくとも一部の液相熱媒体を分離するとともに、少なくとも一部の液相熱媒体が分離された後の熱媒体を第2凝縮器22の蒸気流入口2221側へ流出させる。【選択図】図1
Description
本発明は、沸騰冷却装置に関するものである。
従来、特許文献1には、車両に搭載されるパワー素子等の発熱体を冷却するために、発熱体で発生する熱により熱媒体を沸騰させて発熱体から吸熱する沸騰冷却装置が開示されている。この特許文献1の沸騰冷却装置は、蒸発器、凝縮器および熱媒体配管を備えている。
蒸発器は、内部に熱媒体を流通させて発熱体からの熱を受熱する。凝縮器は、蒸発器で蒸発した熱媒体を冷却液化する。熱媒体配管は、蒸発器と凝縮器とをループ状に連結して蒸発器と凝縮器との間で熱媒体を循環させる。
ところで、上記特許文献1に記載の沸騰冷却装置において、発熱体の発熱量が増大すると、蒸発器から気液二相状態の熱媒体が流出する。この気液二相状態の熱媒体を凝縮器の重力方向上方側にある熱媒体流入口まで上昇させる必要があるので、気相熱媒体を熱媒体流入口まで上昇させる場合と比較して、圧力損失が増大する。
したがって、沸騰冷却装置内で熱媒体を循環させるためには、蒸発器に対する凝縮器の高さを高くする必要がある。これにより、液相熱媒体の位置エネルギを増大させて、液相熱媒体の駆動力を大きくすることができる。しかしながら、蒸発器に対する凝縮器の高さを高くすると、沸騰冷却装置が大型化してしまう。
本発明は上記点に鑑みて、沸騰冷却装置において、小型化を図ることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の沸騰冷却装置は、
冷却対象物(40)と熱媒体との熱交換により熱媒体を沸騰気化させることで冷却対象物を冷却する蒸発器(10)と、
熱媒体と外部流体との熱交換により熱媒体を凝縮させることで熱媒体の熱を外部流体に放熱する凝縮器(20)と、
蒸発器と凝縮器とをループ状に連結して蒸発器と凝縮器との間で熱媒体を循環させる熱媒体通路(30)と、を備える沸騰冷却装置において、
凝縮器は、第1凝縮器(21)と、第1凝縮器の重力方向上方側に配置される第2凝縮器(22)と、を有しており、
第1凝縮器は、気液二相状態の熱媒体から少なくとも一部の液相熱媒体を分離するとともに、少なくとも一部の液相熱媒体が分離された後の熱媒体を第2凝縮器の流入口(2221)側へ流出させる。
冷却対象物(40)と熱媒体との熱交換により熱媒体を沸騰気化させることで冷却対象物を冷却する蒸発器(10)と、
熱媒体と外部流体との熱交換により熱媒体を凝縮させることで熱媒体の熱を外部流体に放熱する凝縮器(20)と、
蒸発器と凝縮器とをループ状に連結して蒸発器と凝縮器との間で熱媒体を循環させる熱媒体通路(30)と、を備える沸騰冷却装置において、
凝縮器は、第1凝縮器(21)と、第1凝縮器の重力方向上方側に配置される第2凝縮器(22)と、を有しており、
第1凝縮器は、気液二相状態の熱媒体から少なくとも一部の液相熱媒体を分離するとともに、少なくとも一部の液相熱媒体が分離された後の熱媒体を第2凝縮器の流入口(2221)側へ流出させる。
これによれば、重力方向下方側に位置する第1凝縮器(21)において、気液二相状態の熱媒体から少なくとも一部の液相熱媒体が分離される。このため、重力方向上方側に位置する第2凝縮器(22)には、少なくとも一部の液相熱媒体が分離された後の熱媒体を流入させることになる。すなわち、気液二相状態の熱媒体を第2凝縮器(22)まで上昇させる必要がない。したがって、気液二相状態の熱媒体の重力方向上方側への上昇高さを低くすることができるので、熱媒体の圧力損失を低減できる。このため、蒸発器(10)に対する凝縮器(20)の高さを高くする必要がないので、沸騰冷却装置の小型化を図ることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1および図2に基づいて説明する。本実施形態の沸騰冷却装置は、車両に搭載された発熱体を冷却する装置である。また、以下の各図中、上下の矢印は、車両の上下の各方向を示している。以下の各図は、車両の上下方向が重力方向と平行になっている状態を示している。
本発明の第1実施形態について図1および図2に基づいて説明する。本実施形態の沸騰冷却装置は、車両に搭載された発熱体を冷却する装置である。また、以下の各図中、上下の矢印は、車両の上下の各方向を示している。以下の各図は、車両の上下方向が重力方向と平行になっている状態を示している。
沸騰冷却装置は、蒸発器10と、凝縮器20と、熱媒体通路30とを備えている。蒸発器10は、冷却対象物である発熱体40と熱媒体との熱交換により熱媒体を沸騰気化させることで発熱体40を冷却する熱交換器である。発熱体40としては、例えばパワー素子を採用することができる。
凝縮器20は、熱媒体と外部流体である空気との熱交換により熱媒体を凝縮させることで熱媒体の熱を空気に放熱する熱交換器である。熱媒体通路30は、蒸発器10と凝縮器20とをループ状に連結して、蒸発器10と凝縮器20との間で熱媒体を循環させる通路である。
熱媒体としては、蒸発および凝縮可能な流体を採用することができる。具体的には、熱媒体として、水またはアルコールを採用することができる。
次に、蒸発器10の構成について説明する。蒸発器10は、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器である。蒸発器10は、蒸発チューブ101と、蒸発タンク102、103とを備えている。
蒸発チューブ101は、熱媒体が流れる流路を形成する管状部材である。蒸発チューブ101は、扁平板状(すなわち断面扁平形状)に形成された扁平チューブである。蒸発チューブ101は、その長手方向が重力方向と略平行となるように配置されている。蒸発チューブ101は、水平方向において、複数本平行に配置されている。
複数の蒸発チューブ101は、同一平面を形成している。すなわち、複数の蒸発チューブ101は、蒸発チューブ101の両側の扁平面がそれぞれ同一平面上に配置されるように、一列に並んで配置されている。
複数の蒸発チューブ101における扁平面には、発熱体40が接合されている。このため、蒸発チューブ101内の熱媒体には、発熱体40からの熱が伝わる。
蒸発タンク102、103は、複数の蒸発チューブ101と連通している。蒸発タンク102、103は、複数の蒸発チューブ101に対して熱媒体の集合または分配を行う。
蒸発タンク102、103は、蒸発チューブ101における長手方向の両端部に一つずつ設けられている。すなわち、蒸発タンク102、103は、蒸発チューブ101における重力方向上端部および下端部に一つずつ設けられている。
蒸発タンク102、103は、蒸発チューブ101の長手方向と直交する方向に延びている。すなわち、蒸発タンク102、103は、水平方向に延びている。蒸発タンク102、103には、蒸発チューブ101が挿入された状態で接合されている。
ここで、二つの蒸発タンク102、103のうち、重力方向下方側に配置されるとともに蒸発チューブ101に対して熱媒体の分配を行うものを、蒸発入口タンク102という。また、二つの蒸発タンク102、103のうち、重力方向上方側に配置されるとともに、蒸発チューブ101から流出する熱媒体の集合を行うものを、蒸発出口タンク103という。
蒸発入口タンク102は、後述する凝縮器20にて凝縮した液相熱媒体を蒸発入口タンク102内に流入させる液流入口1021を有している。液流入口1021は、蒸発入口タンク102における長手方向の一端側に設けられている。
蒸発出口タンク103は、蒸発出口タンク103内の熱媒体を凝縮器20の蒸気流入口2121側へ流出させる蒸気流出口1031を有している。換言すると、蒸発出口タンク103は、蒸発チューブ101にて蒸発した気相熱媒体を含む気液二相状態の熱媒体を凝縮器20の蒸気流入口2121側へ流出させる蒸気流出口1031を有している。
蒸気流出口1031は、蒸発出口タンク103における長手方向の一端側に設けられている。本実施形態では、蒸気流出口1031は、蒸発出口タンク103の長手方向における液流入口1021と同一側の端部に設けられている。
次に、凝縮器20の構成について説明する。凝縮器20は、第1凝縮器21および第2凝縮器22を有している。第2凝縮器22は、第1凝縮器21の重力方向上方側に配置されている。本実施形態では、第1凝縮器21および第2凝縮器22は一体に形成されている。
第1凝縮器21は、蒸発器10から流出した気液二相状態の熱媒体から少なくとも一部の液相熱媒体を分離する。第1凝縮器21は、気液二相状態の熱媒体から少なくとも一部の液相熱媒体が分離された後の熱媒体を、第2凝縮器22の流入口側へ流出させる。
次に、第1凝縮器21の構成について説明する。第1凝縮器21は、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器である。第1凝縮器21は、第1凝縮チューブ211と、第1凝縮タンク212、213とを備えている。
第1凝縮チューブ211は、熱媒体が流れる流路を形成する管状部材である。第1凝縮チューブ211は、扁平板状に形成された扁平チューブである。第1凝縮チューブ211は、その長手方向が重力方向と略垂直となるように配置されている。すなわち、第1凝縮チューブ211は、その長手方向が水平方向と略平行となるように配置されている。第1凝縮チューブ211は、重力方向において、複数本平行に配置されている。
複数の第1凝縮チューブ211は所定の間隔で互いに積層されている。複数の第1凝縮チューブ211同士の間には、空気が流れるようになっている。複数の第1凝縮チューブ211同士の間の空気通路には、第1放熱フィン215が設けられている。本実施形態では、第1放熱フィン215は、波状(すなわちコルゲート状)に形成されている。これにより、複数の第1凝縮チューブ211内を流れる熱媒体と、複数の第1凝縮チューブ211間を流れる空気とが熱交換される。
第1凝縮タンク212、213は、複数の第1凝縮チューブ211と連通している。第1凝縮タンク212、213は、複数の第1凝縮チューブ211に対して熱媒体の集合または分配を行う。第1凝縮タンク212、213は、第1凝縮チューブ211における長手方向の両端部に一つずつ設けられている。
第1凝縮タンク212、213は、第1凝縮チューブ211の長手方向と直交する方向に延びている。すなわち、第1凝縮タンク212、213は、重力方向に延びている。第1凝縮タンク212、213には、第1凝縮チューブ211が挿入された状態で接合されている。
ここで、二つの第1凝縮タンク212、213のうち、水平方向の一側に配置されるとともに、第1凝縮チューブ211に対して熱媒体の分配を行うものを、第1凝縮入口タンク212という。また、二つの第1凝縮タンク212、213のうち、水平方向の他側に配置されるとともに、第1凝縮チューブ211から流出する熱媒体の集合を行うものを、第1凝縮出口タンク213という。
第1凝縮入口タンク212は、蒸発器10から流出した気液二相状態の熱媒体を第1凝縮入口タンク212内に流入させる蒸気流入口2121を有している。蒸気流入口2121は、第1凝縮入口タンク212における重力方向の略中央部に設けられている。蒸気流入口2121は、蒸発器10の蒸気流出口1031よりも重力方向上方側に配置されている。
第1凝縮出口タンク213は、蒸気流出口2131および液流出口2132を有している。蒸気流出口2131は、第1凝縮出口タンク213内の気相熱媒体を、後述する第2凝縮器22の蒸気流入口2221側へ流出させる。液流出口2132は、第1凝縮出口タンク213内の液相熱媒体を、蒸発器10の液流入口1021側へ流出させる。
蒸気流出口2131は、第1凝縮出口タンク213における重力方向上方側に設けられている。液流出口2132は、第1凝縮出口タンク213における重力方向下方側に設けられている。
次に、第2凝縮器22の構成について説明する。第2凝縮器22は、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器である。第2凝縮器22は、第2凝縮チューブ221と、第2凝縮タンク222、223とを備えている。
第2凝縮チューブ221は、熱媒体が流れる流路を形成する管状部材である。第2凝縮チューブ221は、扁平板状に形成された扁平チューブである。第2凝縮チューブ221は、その長手方向が重力方向と略平行となるように配置されている。第2凝縮チューブ221は、水平方向において、複数本平行に配置されている。
複数の第2凝縮チューブ221は所定の間隔で互いに積層されている。複数の第2凝縮チューブ221同士の間には、空気が流れるようになっている。複数の第2凝縮チューブ221同士の間の空気通路には、第2放熱フィン225が設けられている。本実施形態では、第2放熱フィン225は、波状に形成されている。複数の第2凝縮チューブ221内を流れる熱媒体と、複数の第2凝縮チューブ221間を流れる空気とが熱交換される。
第2凝縮タンク222、223は、複数の第2凝縮チューブ221と連通している。第2凝縮タンク222、223は、複数の第2凝縮チューブ221に対して熱媒体の集合または分配を行う。第2凝縮タンク222、223は、第2凝縮チューブ221における長手方向の両端部に一つずつ設けられている。すなわち、第2凝縮タンク222、223は、第2凝縮チューブ221における重力方向上端部および下端部に一つずつ設けられている。
第2凝縮タンク222、223は、第2凝縮チューブ221の長手方向と直交する方向に延びている。すなわち、第2凝縮タンク222、223は、水平方向に延びている。第2凝縮タンク222、223には、第2凝縮チューブ221が挿入された状態で接合されている。
ここで、二つの第2凝縮タンク222、223のうち、重力方向の上方側に配置されるとともに、第2凝縮チューブ221に対して熱媒体の分配を行うものを、第2凝縮入口タンク222という。また、二つの第2凝縮タンク222、223のうち、重力方向の下方側に配置されるとともに、第2凝縮チューブ221から流出する熱媒体の集合を行うものを、第2凝縮出口タンク223という。
第2凝縮入口タンク222は、第1凝縮器21から流出した気相熱媒体を第2凝縮入口タンク222内に流入させる蒸気流入口2221を有している。蒸気流入口2221は、第2凝縮入口タンク222における長手方向の一端側に設けられている。
第2凝縮出口タンク223は、液流出口2231を有している。液流出口2231は、第2凝縮出口タンク223内の液相熱媒体を、蒸発器10の液流入口1021側へ流出させる。液流出口2231は、第2凝縮出口タンク223における長手方向の一端側に設けられている。本実施形態では、液流出口2231は、第2凝縮出口タンク223の長手方向における蒸気流入口2221と同一側の端部に設けられている。
第2凝縮出口タンク223の下端面には、第1凝縮器21における複数の第1凝縮チューブ211のうち、重力方向の最上方側に配置された第1凝縮チューブ211の上端面が接合されている。これにより、第1凝縮器21および第2凝縮器22が一体化されている。
次に、熱媒体通路30の構成について説明する。熱媒体通路30は、蒸気通路301、接続通路302、第1液通路303および第2液通路304を備えている。各通路301〜304は、例えば金属製の配管により形成されている。
蒸気通路301は、蒸発器10から流出した熱媒体を第1凝縮器21に導く通路である。具体的には、蒸気通路301は、蒸発器10の蒸気流出口1031と第1凝縮器21の蒸気流入口2121とを接続する通路である。
蒸気通路301の上流側端部(すなわち入口側端部)は、蒸発器10の重力方向上方側に接続されている。蒸気通路301の下流側端部(すなわち出口側端部)は、第1凝縮器21の重力方向における略中央部に接続されている。また、蒸気通路301の下流側端部は、第1コネクタ216を介して第1凝縮器21に接続されている。
接続通路302は、第1凝縮器21から流出した熱媒体を第2凝縮器22に導く通路である。具体的には、接続通路302は、第1凝縮器21の蒸気流出口2131と第2凝縮器22の蒸気流入口2221とを接続する通路である。
接続通路302の上流側端部は、第1凝縮器21の重力方向上方側に接続されている。接続通路302の下流側端部は、第2凝縮器22の重力方向上方側に接続されている。
接続通路302の上流側端部は、第2コネクタ217を介して第1凝縮器21に接続されている。接続通路302の下流側端部は、第3コネクタ226を介して第2凝縮器22に接続されている。
第1液通路303は、第1凝縮器21から流出した熱媒体を蒸発器10に導く通路である。具体的には、第1液通路303は、第1凝縮器21の液流出口2132と蒸発器10の液流入口1021とを接続する通路である。
第1液通路303の上流側端部は、第1凝縮器21の重力方向下方側に接続されている。第1液通路303の下流側端部は、蒸発器10の重力方向下方側に接続されている。また、第1液通路303の上流側端部は、第4コネクタ218を介して第1凝縮器21に接続されている。
第2液通路304は、第2凝縮器22から流出した熱媒体を蒸発器10に導く液通路である。具体的には、第2液通路304は、第2凝縮器22の液流出口2231と後述する合流部305とを接続する通路である。
より詳細には、第2液通路304の下流側端部は、合流部305を介して蒸発器10に接続されている。合流部305は、第1液通路303と第2液通路304とが合流する部分である。したがって、第2凝縮器22から流出した熱媒体は、第2液通路304および第1液通路303を介して蒸発器10に導かれる。すなわち、第2凝縮器22から流出した熱媒体は、第2液通路304、合流部305、第1液通路303の順に流れて、蒸発器10に流入する。
第2液通路304の上流側端部は、第2凝縮器22の重力方向下方側に接続されている。第1液通路303の下流側端部、すなわち合流部305は、凝縮器20よりも重力方向下方側に位置している。また、第2液通路304の上流側端部は、第5コネクタ227を介して第2凝縮器22に接続されている。
図2に示すように、第1凝縮器21は、蒸気通路301から流出した熱媒体が流入する入口側流路219を有している。本実施形態では、入口側流路219は、第1凝縮タンク212により形成されている。
入口側流路219の流路断面積D2は、蒸気通路301の通路断面積D1より大きい。ここで、入口側流路219の流路断面積D2とは、入口側流路219における蒸気流入口2121から流入した熱媒体の流れ方向に垂直な断面の断面積をいう。本実施形態では、入口側流路219の流路断面積D2は、第1凝縮入口タンク212の内部空間における水平方向に垂直な断面の断面積である。
続いて、本実施形態における沸騰冷却装置の作動を説明する。
蒸発器10において、高温の発熱体40と蒸発チューブ101内の液相熱媒体との間で、熱交換が行われる。これにより、発熱体40の熱量が液相熱媒体に移動して、液相熱媒体が沸騰して気相熱媒体となり、発熱体40が冷却される。
そして、蒸発チューブ101内で蒸発した気相熱媒体は、蒸発出口タンク103に流入する。蒸発出口タンク103内の気相熱媒体は、蒸気通路301を介して、第1凝縮器21に流入する。
ここで、発熱体40の発熱量が増大すると、気液二相状態の熱媒体が、蒸発チューブ101から蒸発出口タンク103に流出する。このため、気液二相状態の熱媒体が、蒸発出口タンク103から蒸気通路301を介して第1凝縮器21に流入する。
このとき、第1凝縮器21における入口側流路219の流路断面積D2が蒸気通路301の通路断面積D1より大きいので、蒸気通路301から第1凝縮器21に流入した熱媒体の流速が低下する。これにより、第1凝縮器21の入口側流路219(すなわち第1凝縮入口タンク212)において、気液二相状態の熱媒体から液相熱媒体が分離・除去される。つまり、第1凝縮入口タンク212において、気液二相状態の熱媒体から液相熱媒体と気相熱媒体とに分離される。
第1凝縮入口タンク212において気液分離された気相熱媒体は、複数の第1凝縮チューブ211のうち重力方向上方側の第1凝縮チューブ211を流れて、第1凝縮出口タンク213の重力方向上方側に流入する。そして、第1凝縮器21で気液分離された気相熱媒体は、第1凝縮出口タンク213から接続通路302を介して、第2凝縮器22の第2凝縮入口タンク222に流入する。
一方、第1凝縮入口タンク212において分離された液相熱媒体は、複数の第1凝縮チューブ211のうち重力方向下方側の第1凝縮チューブ211を流れて、第1凝縮出口タンク213の重力方向下方側に流入する。そして、第1凝縮器21で気液分離された液相熱媒体は、第1凝縮出口タンク213から第1液通路303を介して、蒸発器10の蒸発入口タンク102に流入する。
このとき、第1凝縮器21では、第1放熱フィン215を介して、複数の第1凝縮チューブ211同士の間の空気通路を流れる空気と、第1凝縮チューブ211内の熱媒体との間で熱交換が行われる。これにより、熱媒体の有する熱が空気に放出される。
第2凝縮器22の第2凝縮入口タンク222に流入した気相熱媒体は、第2凝縮チューブ221に流入する。このとき、第2凝縮器22では、第2放熱フィン225を介して、複数の第2凝縮チューブ221同士の間の空気通路を流れる空気と、第2凝縮チューブ221内の気相熱媒体との間で熱交換が行われる。これにより、気相熱媒体が凝縮して液相熱媒体となり、熱媒体の有する熱が空気に放出される。
第2凝縮チューブ221で凝縮した液相熱媒体は、第2凝縮出口タンク223に流入する。そして、第2凝縮チューブ221で凝縮した液相熱媒体は、第2凝縮出口タンク223から第2液通路304および第1液通路303を介して、蒸発器10の蒸発入口タンク102に流入する。
以上説明したように、本実施形態では、凝縮器20として、第1凝縮器21と、第1凝縮器21の重力方向上方側に配置される第2凝縮器22と、を設けている。第1凝縮器21において、気液二相状態の熱媒体から液相熱媒体を分離させる。さらに、第1凝縮器21において、液相熱媒体が分離された後の気相熱媒体を第2凝縮器22の蒸気流入口2221側へ流出させる。
これによれば、第1凝縮器21および第2凝縮器22のうち、重力方向上方側に位置する第2凝縮器22には、気相熱媒体が流入する。つまり、気液二相状態の熱媒体を第2凝縮器22まで上昇させる(すなわち、持ち上げる)必要がない。したがって、気液二相状態の熱媒体の重力方向上方側への上昇高さを低くすることができるので、熱媒体の圧力損失を低減できる。
ここで、蒸発器10の蒸気流出口1031から流出した気液二相状態の熱媒体を第1凝縮器21の蒸気流入口2121まで上昇させる上昇高さを、二相持ち上げ高さH1という。第1凝縮器21の蒸気流出口2131から流出した気相冷媒を第2凝縮器22の蒸気流入口2221まで上昇させる上昇高さを、気相持ち上げ高さH2という。本実施形態では、二相持ち上げ高さH1は、気相持ち上げ高さH2よりも十分小さい。このため、熱媒体の圧力損失を十分低減できる。
したがって、蒸発器10に対する凝縮器20の高さを高くする必要がない。このため、沸騰冷却装置の小型化を図ることができる。
ところで、上述した特許文献1の沸騰冷却装置では、蒸発器から気液二相状態の熱媒体が流出した場合、凝縮器内に液相熱媒体が流入する。これにより、凝縮器における熱媒体の放熱性が悪化する可能性がある。このため、凝縮器における熱媒体の放熱性を確保するためには、凝縮器の体格を大きくする必要がある。その結果、沸騰冷却装置が大型化してしまう。
これに対し、本実施形態では、第1凝縮器21において、液相熱媒体が分離された後の気相熱媒体を第2凝縮器22の蒸気流入口2221側へ流出させるので、第2凝縮器22への液相熱媒体の流入を抑制できる。したがって、第2凝縮器22における熱媒体の放熱性を確保するために第2凝縮器22の体格を大きくする必要がない。このため、沸騰冷却装置の小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、第1凝縮器21における入口側流路219の流路断面積D2を、蒸気通路301の通路断面積D1より大きくしている。これによれば、蒸気通路301から第1凝縮器21に流入する熱媒体の流速を低下させることができる。このため、第1凝縮器21の入口側流路219において、気液二相状態の熱媒体から液相熱媒体を分離することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3および図4に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、蒸気通路301の構成が異なるものである。
次に、本発明の第2実施形態について図3および図4に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、蒸気通路301の構成が異なるものである。
図3に示すように、本実施形態の蒸発器10における蒸発出口タンク103は、蒸発出口タンク103内の熱媒体を凝縮器20の流入口側へ流出させる複数の蒸気流出口1031、1032を有している。換言すると、蒸発出口タンク103は、蒸発チューブ101にて蒸発した気相熱媒体を含む気液二相状態の熱媒体を凝縮器20の流入口側へ流出させる複数の蒸気流出口1031、1032を有している。具体的には、蒸発出口タンク103は、2つの蒸気流出口1031、1032を有している。
2つの蒸気流出口1031、1032は、蒸発出口タンク103における長手方向の一端側および他端側に設けられている。以下、2つの蒸気流出口1031のうち、蒸発出口タンク103における長手方向の一端側に設けられたものを第1蒸気流出口1031といい、蒸発出口タンク103における長手方向の他端側に設けられたものを第2蒸気流出口1032という。第1蒸気流出口1031は、蒸発出口タンク103の長手方向における液流入口1021と同一側の端部に設けられている。
本実施形態の第1凝縮器21における第1凝縮入口タンク212は、蒸発器10から流出した気液二相状態の熱媒体を第1凝縮入口タンク212内に流入させる複数の蒸気流入口2121、2122を有している。具体的には、第1凝縮入口タンク212は、2つの蒸気流入口2121、2122を有している。
2つの蒸気流入口2121、2122は、第1凝縮入口タンク212における重力方向の中央部周辺に、上下方向に並んで設けられている。以下、2つの蒸気流入口2121、2122のうち、重力方向下方側に設けられたものを第1蒸気流入口2121といい、重力方向上方側に設けられたものを第2蒸気流入口2122という。
第1蒸気流入口2121は、蒸発器10の第1蒸気流出口1031よりも重力方向上方側に配置されている。第2蒸気流入口2122は、蒸発器10の第2蒸気流出口1032よりも重力方向上方側に配置されている。
本実施形態の熱媒体通路30は、複数の蒸気通路301A、301Bを有している。具体的には、熱媒体通路30は、第1蒸気通路301Aおよび第2蒸気通路301Bを有している。
第1蒸気通路301Aは、蒸発器10の第1蒸気流出口1031と第1凝縮器21の第1蒸気流入口2121とを接続する通路である。第2蒸気通路301Bは、蒸発器10の第2蒸気流出口1032と第1凝縮器21の第2蒸気流入口2122とを接続する通路である。
第1蒸気通路301Aの下流側端部は、第6コネクタ216Aを介して第1凝縮器21に接続されている。第2蒸気通路301Bの下流側端部は、第7コネクタ216Bを介して第1凝縮器21に接続されている。
図4に示すように、本実施形態の入口側流路219は、第1凝縮器21において、第1蒸気通路301Aおよび第2蒸気通路301Bから流出した熱媒体が流入するように構成されている。すなわち、第1凝縮器21は、複数の蒸気通路301A、301Bから流出した熱媒体が流入する入口側流路219を有している。
入口側流路219の流路断面積D2は、複数の蒸気通路301A、301Bにおける通路断面積D1A、D1Bの合計値より大きい。具体的には、入口側流路219の流路断面積D2は、第1蒸気通路301Aの通路断面積D1Aと、第2蒸気通路301Bの通路断面積D1Bとの合計値より大きい。すなわち、入口側流路219の流路断面積D2、第1蒸気通路301Aの通路断面積D1A、および第2蒸気通路301Bの通路断面積D1Bが、D2<D1A+D1Bの関係を満している。
以上説明したように、本実施形態では、熱媒体通路30は、複数の蒸気通路301A、301Bを有している。これによれば、蒸発器10から第1凝縮器21に導かれる熱媒体の流量を増大させることができるので、沸騰冷却装置の冷却能力を向上させることができる。
また、本実施形態では、第1凝縮器21における入口側流路219の流路断面積D2を第1蒸気通路301Aにおける通路断面積D1Aと、第2蒸気通路301Bにおける通路断面積D1Bと合計値より大きくしている。これによれば、第1蒸気通路301Aおよび第2蒸気通路301Bから第1凝縮器21に流入する熱媒体の流速を低下させることができる。このため、第1凝縮器21の入口側流路219において、気液二相状態の熱媒体から液相熱媒体を分離することができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、例えば以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、例えば以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
(1)上述の実施形態では、第1凝縮器21において、気液二相状態の熱媒体から液相熱媒体を分離・除去させるとともに、気相熱媒体を第2凝縮器22の蒸気流入口2221側へ流出させた例について説明したが、これに限定されない。
例えば、第1凝縮器21において、気液二相状態の熱媒体から一部の液相熱媒体を分離・除去させてもよい。さらに、第1凝縮器21において、当該一部の液相冷媒が分離された後の熱媒体を第2凝縮器22の蒸気流入口2221側へ流出させてもよい。
(2)上述の実施形態では、第1凝縮器21および第2凝縮器22を一体に形成した例について説明したが、第1凝縮器21および第2凝縮器22の構成はこれに限定されない。例えば、第1凝縮器21および第2凝縮器22を別体として形成してもよい。
(3)上述の第2実施形態では、複数の蒸気通路301として、2つの蒸気通路301A、301Bを設けた例について説明したが、これに限定されない。例えば、複数の蒸気通路301として、3つ以上の蒸気通路301を設けてもよい。
10 蒸発器
20 凝縮器
21 第1凝縮器
22 第2凝縮器
30 熱媒体通路
40 発熱体(冷却対象物)
2221 蒸気流入口
20 凝縮器
21 第1凝縮器
22 第2凝縮器
30 熱媒体通路
40 発熱体(冷却対象物)
2221 蒸気流入口
Claims (7)
- 冷却対象物(40)と熱媒体との熱交換により前記熱媒体を沸騰気化させることで前記冷却対象物を冷却する蒸発器(10)と、
前記熱媒体と外部流体との熱交換により前記熱媒体を凝縮させることで前記熱媒体の熱を前記外部流体に放熱する凝縮器(20)と、
前記蒸発器と前記凝縮器とをループ状に連結して前記蒸発器と前記凝縮器との間で前記熱媒体を循環させる熱媒体通路(30)と、を備える沸騰冷却装置であって、
前記凝縮器は、第1凝縮器(21)と、前記第1凝縮器の重力方向上方側に配置される第2凝縮器(22)と、を有しており、
前記第1凝縮器は、気液二相状態の前記熱媒体から少なくとも一部の液相熱媒体を分離するとともに、前記少なくとも一部の液相熱媒体が分離された後の前記熱媒体を前記第2凝縮器の流入口(2221)側へ流出させる沸騰冷却装置。 - 前記第1凝縮器には、前記蒸発器から流出した気液二相状態の前記熱媒体が流入する請求項1に記載の沸騰冷却装置。
- 前記第1凝縮器における重力方向上方側には、前記第1凝縮器にて前記気液二相状態の熱媒体から少なくとも一部の液相熱媒体が分離された後の熱媒体を、前記第2凝縮器の前記流入口側へ流出させる流出口(2131)が設けられている請求項1または2に記載の沸騰冷却装置。
- 前記熱媒体通路は、前記蒸発器から流出した前記熱媒体を前記第1凝縮器に導く蒸気通路(301)を含んでおり、
前記第1凝縮器は、前記蒸気通路から流出した前記熱媒体が流入する入口側流路(219)を有しており、
前記入口側流路の流路断面積(D2)は、前記蒸気通路の通路断面積(D1)より大きい請求項1ないし3のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置。 - 前記熱媒体通路は、
前記第1凝縮器から流出した前記熱媒体を前記第2凝縮器に導く接続通路(302)と、
前記第2凝縮器から流出した前記熱媒体を前記蒸発器に導く液通路(304)と、を含んでおり、
前記接続通路の下流側端部は、前記第2凝縮器の重力方向上方側に接続されており、
前記液通路の上流側端部は、前記第2凝縮器の重力方向下方側に接続されている請求項1ないし4のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置。 - 前記熱媒体通路は、前記蒸発器から流出した前記熱媒体を前記第1凝縮器に導く複数の蒸気通路(301A、301B)を含んでいる請求項1ないし5のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置。
- 前記第1凝縮器は、前記複数の蒸気通路から流出した前記熱媒体が流入する入口側流路(219)を有しており、
前記入口側流路の流路断面積(D2)は、前記複数の蒸気通路における通路断面積(D1A、D1B)の合計値より大きい請求項6に記載の沸騰冷却装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114636317A (zh) * | 2022-02-28 | 2022-06-17 | 中国船舶重工集团公司第七一九研究所 | 冷却***及船舶蒸汽动力*** |
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-
2018
- 2018-11-22 JP JP2018218983A patent/JP2020085311A/ja active Pending
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