JP2020076185A - センサ付き衣類、複合モジュール付き衣類及び呼吸解析方法 - Google Patents

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Takaya Kimoto
貴也 木本
香取 将哉
Masaya Katori
将哉 香取
直樹 才脇
Naoki Saiwaki
直樹 才脇
和賀代 藤本
Wakayo Fujimoto
和賀代 藤本
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【課題】身に着けていても快適で、拘束力の少ないセンサ付きの衣類を提供すること。【解決手段】個体に着用させる伸縮性を有する衣類20と、前記衣類20に積層して配置し前記衣類の伸縮を検知するセンサ30と、を備えるセンサ付き衣類11について、前記センサ30の長さが、前記個体における検出対象とする体変位の10〜2000%の長さであることを特徴とするセンサ付き衣類とした。【選択図】図1

Description

本発明は、個体に着用着させる衣類に、その衣類の伸縮を検知できるセンサを設けたセンサ付き衣類、及び複合モジュール付き衣類、並びにこれらの衣類を用いて呼吸を解析する呼吸解析方法に関する。
個体の肺機能又は心臓機能などの生理的機能を測定するため、あるいはまた個体の動作又は運動などの運動的機能を測定するために、個体に着用させる衣類型のデバイスが知られている。例えば、特開2011−136182号公報(特許文献1)には、インダクタンス変化から呼吸量、呼吸速度等の各種生理的パラメータを測定することが可能な袖なしシャツの形態にセンサベルトを巻き付けたデバイスが記載されている。また、特開2017−141538号公報(特許文献2)には、個体の運動パフォーマンスを効果的に追跡できるようにハーネスを含んだセンサ衣服が記載されている。
特開2011−136182号公報 特開2017−141538号公報
しかしながらこうしたデバイスは、個体の動きがつぶさに反映されるように個体に密着して用いられる。そして、個体からの生理的、動的な指標を検出するために、計測に付随する衣類以外の部材が使われている。こうした理由から従来のデバイスは、着心地が必ずしも良いとはいえず、着用時の快適性が損なわれていた。したがって、計測のためとはいえ常時装着するには被験者の心理的な負担が大きかった。そこで本発明は、身に着けていても快適で、拘束力の少ないセンサ付きの衣類を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様のセンサ付き衣類は以下のとおり構成される。即ち、本発明の一態様は、個体に着用させる伸縮性を有する衣類と、前記衣類に積層して配置し前記衣類の伸縮を検知するセンサと、を備えるセンサ付き衣類について、前記センサの長さが、前記個体における検出対象とする体変位の10〜2000%の長さであることを特徴とするセンサ付き衣類を提供する。
センサ付き衣類について、個体に着用させる伸縮性を有する衣類と、前記衣類に積層して配置し前記衣類の伸縮を検知するセンサと、を備えるため、個体がかかる衣類を着用することで、その着用時の身体の変化に応じた衣類の伸縮変化をセンサで検知することができる。したがって、その検知した衣類の伸縮から個体の呼吸や心肺等の生理的現象、又は個体の動作や運動等の動的現象を解析することができる。また、センサ付き衣類について、前記センサの長さが、前記個体における検出対象とする体変位の10〜2000%の長さとしたため、センサの長さを短くすることができる。
一般に衣類に用いられる生地は、快適な着心地を与えるために、過剰な締め付け感とならないように伸長荷重が小さくなるように調整されている。しかしながら従来のセンサ付き衣類では、センサ部分の伸縮性が乏しいため、そのセンサ部分では衣類の伸縮性が損なわれていた。そうした従来の技術に比べて、本発明の一態様は、センサを短くできるため、換言すれば、センサが装着されない広い部分の面積を衣類に備えるため、衣類本来の伸張性を備える部分を広く保持することができる。したがって、本発明の一態様は、衣類本来の伸び易い部分を充分に備えることで、その衣類が備える快適性を損なわずに済むことができる。
したがって、本発明の一態様によれば、衣類による個体の締め付け感が過剰に大きくなく、あるいは、衣類を装着した状態で個体を動作させたときに、衣類による拘束力が過剰に大きくない。そのため、個体にとって「快適」であり、個体に対して「快適性」のある衣類である。
センサ付き衣類は、前記センサを、前記衣類における前記個体の胴囲の周内に配置し、胴囲の周長の変化を検出するものと構成することができる。センサ付き衣類では、前記センサを前記衣類における前記個体の胴囲の周内に配置し、胴囲の周長の変化を検出するため、個体の生理的、又は動的な胴囲の動きを検知することができる。なお、ここで「胴囲」とは、胸囲、ウエスト周り、腹囲、ヒップ周りなどの個体の任意の高さ位置における周方向の長さを意味するものとする。
センサ付き衣類は、前記センサを前記衣類における前記個体の胴囲の周内に配置し、胴囲の周長の変化を検出するものと構成することができる。センサ付き衣類では、前記センサを前記衣類における前記個体の胴囲の周内に配置し、胴囲の周長の変化を検出するため、複数のセンサごとに胴囲全体ではないセンサを配置した部分の部分的な伸長を測定することができ、複数部位の伸び率や伸びの周期の違いから、呼吸時の肺の3次元的な動き等の従来判別できなかった事象の違いを判別し分析することができる。
このとき、センサは、前記衣類の前記胸部、前記腹部、前記肩部、前記肘部、前記首部、前記脇下部、前記脇腹部、及び前記背部の少なくとも何れかに伸縮性を有する導電性物質を含む導電層を形成することによって構成される導電帯であることとしてもよい。また、センサ付き衣類は、前記センサを前記衣類における前記個体の胸部、腹部、肩部、肘部、首部、脇下部、脇腹部、及び背部の少なくとも何れかに配置し、前記センサが前記個体における検出対象とする体変位を検出することが好ましい。例えば、センサ付き衣類は、前記センサを前記衣類における前記個体の胸部に配置するものと構成することができる。センサ付き衣類では、前記センサを前記衣類における前記個体の胸部に配置するため呼吸の計測に好適である。また、胸部に設けたセンサは姿勢の変化を検出し易い。
センサ付き衣類は、前記センサの長さが前記衣類の胸囲に対して0.5〜13%の長さであるものと構成することができる。センサ付き衣類では、前記センサの長さを前記衣類の胸囲に対して0.5〜13%の長さとしたため、センサの長さが短く個体の呼吸に伴う動きを妨げることがなく、胸囲の変化に伴う体変位を個体にとって快適に計測できる。また、本発明の一態様は、このような長さのセンサを有する他のセンサ付き衣類を提供する。即ち、本発明の一態様は、個体に着用させる伸縮性を有する衣類と、前記衣類に積層して配置し前記衣類の伸縮を検知するセンサと、を備えるセンサ付き衣類について、前記センサの長さが、前記衣類の胸囲に対して0.5〜13%の長さであることを特徴とする。
また、センサ付き衣類は、前述したように、前記センサを前記衣類における前記個体の胸部、腹部、肩部、肘部、首部、脇下部、脇腹部、及び背部の少なくとも何れかに配置し、前記センサが前記個体における検出対象とする体変位を検出することが好ましい。例えば、センサ付き衣類は、前記センサを前記衣類における前記個体の腹部に配置する構成とすることができる。センサ付き衣類では、前記センサを前記衣類における前記個体の腹部に配置したため、腹式呼吸の計測に好適である。また、腹部に設けたセンサからは個体の姿勢が変化しても安定して呼吸を検知することができる。
センサ付き衣類は、前記センサの長さが前記衣類の腹囲に対して0.5〜13%の長さであるものと構成することができる。センサ付き衣類では、前記センサの長さを前記衣類の腹囲に対して0.5〜13%の長さとしたため、センサの長さが短く個体の呼吸に伴う動きを妨げることがなく、腹囲の変化に伴う体変位を個体にとって快適に計測できる。また、本発明の一態様は、このような長さのセンサを有する他のセンサ付き衣類を提供する。即ち、本発明の一態様は、個体に着用させる伸縮性を有する衣類と、前記衣類に積層して配置し前記衣類の伸縮を検知するセンサと、を備えるセンサ付き衣類について、前記センサの長さが、前記衣類の腹囲に対して0.5〜13%の長さであることを特徴とする。
センサ付き衣類は、前記センサを前記衣類における前記個体の胴囲方向とは交差方向に配置して、前記交差方向の前記衣類の伸縮を検知するものと構成することができる。前記センサ付き衣類では、前記センサを前記衣類における前記個体の胴囲方向とは交差方向に配置して、前記交差方向の前記衣類の伸縮を検知するため、胴囲方向に対する垂直方向を含む交差方向の個体の体変位を効果的に計測することができる。また、胴囲方向との組合せで、胴囲方向をx方向とすれば、胴囲に対する垂直方向となるy方向への2次元的な動きを検出できる。
本発明の一態様は、また、上記何れかのセンサ付き衣類と、前記センサに電圧を印加するとともに、前記センサの出力を検知する制御モジュールと、前記検知されたセンサ出力を外部に送信可能な通信モジュールと、を備える複合モジュール付き衣類として構成できる。本発明の一態様は、上記何れかのセンサ付き衣類と、前記センサに電圧を印加するとともに、前記センサの出力を検知する制御モジュールと、前記検知されたセンサ出力を外部に送信可能な通信モジュールと、を備える複合モジュール付き衣類として構成したため、導電帯に電圧を印加して電流を読み取ることで導電帯の伸縮の程度を検出し、出力し、その出力を外部機器に無線で送信することができる。
複合モジュール付き衣類は、前記制御モジュールがセンサ付き衣類から着脱可能であるものとして構成できる。前記複合モジュール付き衣類では、前記制御モジュールがセンサ付き衣類から着脱可能な制御モジュールであるため、メンテナンスが容易である。また、制御モジュールをセンサ付き衣類から取り外すことで、センサ付き衣類の洗濯が可能となり衛生的である。あるいはまた、センサ付き衣類は、使い捨て、又は消耗品として考えたときに制御モジュールを継続使用することができ、ランニングコストを抑えることができる。
本発明の一態様は、さらにまた、前記何れかのセンサ付き衣類における複数の前記センサごとに時間経過に伴う体変位データを検出し、前記体変位データを対比して呼吸周期のずれを分析する呼吸解析方法として構成することができる。本発明の一態様は、前記何れかのセンサ付き衣類における複数の前記センサごとに時間経過に伴う体変位データを検出し、前記体変位データを対比して呼吸周期のずれを分析する呼吸解析方法としたため、個体の3次元的な動きを解析でき、奇異性呼吸か否かの判別を行うことができる。
本発明の一態様のセンサ付き衣類、複合モジュール付き衣類及び呼吸解析方法によれば、衣類を着用する個体の感じる着心地を悪化させずに、その個体の生理的又は動的データを検出することができる。
本発明の第1実施形態であるセンサ付き衣類であり、分図1(a)は、このセンサ付き衣類の模式正面図、分図1(b)は、このセンサ付き衣類の模式背面図である。 図1のセンサ付き衣類の導電帯を設けた部分の部分拡大断面図である。 変形例のセンサ付き衣類の図2相当の部分拡大断面図であり、分図3(a)は、変形例1のセンサ付き衣類であり、分図3(b)は、変形例2のセンサ付き衣類であり、分図3(c)は変形例3のセンサ付き衣類である。 変形例4のセンサ付き衣類の図2相当の部分拡大断面図である。 変形例5のセンサ付き衣類の図2相当の部分拡大断面図である。 本発明の第2実施形態であるセンサ付き衣類であり、分図6(a)は、このセンサ付き衣類の模式正面図、分図6(b)は、このセンサ付き衣類の模式背面図である。 本発明の第3実施形態であるセンサ付き衣類の模式正面図である。 本発明の第4実施形態であるセンサ付き衣類であり、分図8(a)はこのセンサ付き衣類の模式正面図、分図8(b)はこのセンサ付き衣類の模式背面図である。 本発明の第5実施形態であるセンサ付き衣類の要部拡大図であり、分図9(a)は、このセンサ付き衣類の模式要部正面図、分図9(b)は、このセンサ付き衣類の一変形例の模式要部正面図、分図9(b)は、このセンサ付き衣類の他の変形例の模式要部正面図である。 本発明の第6実施形態であるセンサ付き衣類であり、分図10(a)は、このセンサ付き衣類の模式正面図、分図10(b)は、このセンサ付き衣類の模式背面図である。 本発明の第7実施形態であるセンサ付き衣類の模式正面図である。 本発明の第8実施形態であるセンサ付き衣類であり、分図12(a)は、このセンサ付き衣類の模式正面図、分図12(b)は、このセンサ付き衣類の模式背面図である。 本発明の第9実施形態であるセンサ付き衣類であり、分図13(a)は、このセンサ付き衣類の模式正面図、分図12(b)は、このセンサ付き衣類の模式背面図である。 本発明の第10実施形態であるセンサ付き衣類であり、分図14(a)は、このセンサ付き衣類の模式正面図、分図14(b)は、このセンサ付き衣類の模式背面図である。
実施形態に即してさらに詳しく説明する。なお、各実施形態において同一の材質、組成、製法、作用、効果等については重複説明を省略する。
第1実施形態[図1]:
本発明の第1実施形態に係るセンサ付き衣類11について、図面を用いながら説明する。図1には、第1実施形態となるセンサ付き衣類11の正面図と背面図を示す。このセンサ付き衣類11は、導電層からなりセンサとなる導電帯30を、衣類20に備えるものである。センサ付き衣類11を構成する各部位について説明する。
衣類20は、織物や編物、不織布等の布帛(布)からなる繊維シートを人間及びその他の動物である個体が身につけられるように縫製したものである。衣類20に用いる繊維の種類は限定されず、一般的な天然繊維や合成繊維を用いることができ、また、ガラス繊維のような無機繊維を用いることができる。身体に身につけることから、絶縁性があり、しなやかな性質を持つ綿、ウール、レーヨン、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維等が好ましい。
繊維シートを構成する撚糸の直径は、0.01〜1.0mm程度が好ましい。ニットの場合には、1.0mmよりも太ければ生じる編み目の空隙が大きくなり導電層を形成し難くなる。また、0.01mmよりも細くても良いが、擦れに弱くなり、衣類の耐久性が低くなるおそれがある。
本実施形態におけるセンサ付き衣類11では、後述するように個体の呼吸時における胸囲の長さ変化等をセンシングするため、身体にフィットする衣類であることが好ましい。
本実施形態でのセンサは、導電帯30であり、衣類20の所定箇所に導電層を所定の大きさに形成したものである。導電層は、少なくとも導電性物質を含むことで導電性を有し、ある程度の伸縮性を有する部分である。また、導電層は、伸張によって抵抗値変化を起こすものとして用いている。導電層の一態様としては、導電性を発現させる導電性充填材と導電性充填材を保持する高分子マトリクスとを主成分としてなる薄膜状部位を挙げることができる。高分子マトリクスが伸張性を有するものであれば、後述の下地層60を設けずに衣類20上に直接導電層を設けることもできる。
伸張性を備えた高分子マトリクスとしては、架橋ゴムや熱可塑性エラストマが挙げられる。シリコーンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等の架橋ゴムや、スチレン系熱可塑性エラストマ、オレフィン系熱可塑性エラストマ、エステル系熱可塑性エラストマ、ウレタン系熱可塑性エラストマ、アミド系熱可塑性エラストマ、塩化ビニル系熱可塑性エラストマ、フッ素系熱可塑性エラストマなどの熱可塑性エラストマが例示できる。これらの材質の中でも、シリコーンゴムは極めて柔軟な導電層を形成することができ、比較的耐候性が高いため好適である。
高分子マトリクスの硬さは、JIS K6253で規定されるA硬度で5〜80の範囲が好ましい。A5未満では、柔軟すぎるため耐久性の点で懸念が生じる。一方、A80を越えると硬くなり伸張し難くなる。なお、人に対するやさしい触感が求められる場合には、この範囲内でも柔軟な素材を用いることがより好ましい。
導電性充填材としては、カーボンや金属等の導電性粉末を用いることできる。金属粉末の中では、ある程度の耐候性と極めて低い抵抗値を有する銀粉末が好適であるが、伸縮による抵抗値変化の大きな導電層を形成するため、カーボン粉末を用いることが好ましい。導電性充填材の形状は、特に限定されないが、繊維状のものやフレーク状のもの、あるいは凝集力が大きくストラクチャーを構成しやすいケッチェンブラックが好ましい。また、特に、フレーク状粉末とケッチェンブラックを併用することで、伸張したときに断線し難い導電層とすることができる。
こうした導電性充填材は、導電層中で15〜50体積%を占めるように配合することが好ましい。15体積%未満では、抵抗値が高くなりすぎるおそれがあり、50体積%を超えると、導電性充填材を保持する高分子マトリクスの割合が少なくなりすぎ、伸張したときに導電層に亀裂等が生じて断線するおそれが高まる。
伸縮による抵抗値変化の大きな導電層の一例としては、シリコーン100質量部に対して、ケッチェンブラックを3.8〜15質量部(導電層中で3.6〜23体積%)、黒鉛を0〜45質量部(導電層中で0〜48体積%)含む導電性樹脂からなる導電層を挙げることができる。ケッチェンブラックの添加量が3.8質量部よりも少ないと所望の導電性や耐久性が得られ難い。また、15質量部を超えるとシリコーンとの混合組成物の粘度が高くなり、また導電層を伸張したときにクラックが生じ易くなる。また、黒鉛の添加量が30質量部よりも少ないと導電層の伸張に伴う適度な抵抗変化率が得られ難い。また、45質量部を超えるとシリコーンとの混合組成物の粘度が高くなり、また、導電層の伸張に対する耐久性が悪くなる。
導電層は、液状の導電性ペーストから印刷形成することが好ましい。この導電性ペーストには、前記高分子マトリクスとなるバインダーと導電性充填材とを含む液状組成物を挙げることができる。液状組成物の具体例としては、前述の導電性粉末を硬化可能な液状樹脂であるアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンとハイドロジェンオルガノポリシロキサンの組合せや、ポリウレタンポリオールとイソシアネートの組合せたもの、各種ゴムやエラストマを溶剤に溶かしたものに分散したものとすることができる。また、導電性ペーストには、溶剤を含むことができる。溶剤を用いることで黒鉛やケッチェンブラックの分散性、基材表面への塗布性、そして粘度を調整することができる。
導電性ペーストを形成するには、微粒子導電性粉末、繊維状導電性粉末、鱗片状導電性粉末のうち少なくとも1種の導電性粉末を含むことが好ましい。その理由は、これらの何れか1種を含むことで、所定の導電性ペーストのチキソ比を3〜30に調整することができ、しかも固化後には所定の抵抗値範囲の導電層が得られるためである。特に、チキソ比をこの範囲にすることで、導電性ペーストが必要以上に衣類20に浸み込むことを抑制できるため、高品位なパターニングが可能となる。なお、チキソ比は、粘度計の回転速度10rpmにおける測定値μ10rpmと、回転速度100rpmにおける測定値μ100rpmの比(μ10rpm/μ100rpm)である。
導電性ペーストの粘度は、粘度計(BROOKFIELD回転粘度計DV−E)でスピンドルSC4−14の回転子を用い、回転速度10rpmで測定した25℃における粘度が、1〜300Pa・sであることが好ましい。1Pa・sよりも低いと、所望の層厚に形成することが困難になり、300Pa・sよりも大きいと、印刷形成が困難になる。
導電性ペースト又は導電層には、生産性、耐候性、耐熱性など種々の性質を高める目的で種々の添加材を含むことができる。そうした添加材を例示すれば、可塑剤、補強材、着色剤、耐熱向上剤、難燃剤、触媒、硬化遅延剤、劣化防止剤など、種々の機能性向上剤が挙げられる。
こうした導電層は、所定の抵抗値特性を有することが好ましい。例えば、端子間の抵抗値が数kΩであり、伸縮率に対する抵抗値変化率は、1.5〜10倍である導電層が好ましい。前記抵抗値変化率の倍率は、具体的には、導電層を1.5倍に伸ばしたとき(伸縮率50%)の抵抗値が1.5〜10倍(抵抗値変化率としては75〜500%)となるこという。
導電層は、所定の大きさで、衣類20の所定箇所に配置することで導電帯30を形成する。本実施形態のセンサ付き衣類11では、図1で示すように、衣類20の胸部に導電帯30を設けて胸部センサ31を形成し、また、衣類20の腹部に導電帯30を設けて腹部センサ32を形成している。胸部センサ31は、個体の肺の位置にあって、呼吸に基づく胸囲の変動を検出することができる。一方、腹部センサ32は、個体の腹の位置にあって、腹式呼吸の際の個体の呼吸に基づく腹囲の変動を検出することができ、個体の姿勢が変化しても、安定して呼吸を検知し易いという特徴がある。
導電帯30の幅は、必要に応じて適切な大きさに形成できるが、0.1〜10mmであることが好ましい。0.1mm未満であると、導電帯30の幅が細すぎ、所望の導電性が得られにくいだけでなく、破断する可能性が高まるからである。一方で導電帯30の幅が10mmを超えると導電帯30を伸ばす応力が大きくなるおそれがあり、着心地にも影響するおそれがある。
導電帯30の長さは、個体の体変位の10〜2000%の長さであるものとすることができる。また、好ましくは25〜500%とすることができる。10%よりも短いと十分に体変位の大きさを検出できないおそれがあり、2000%よりも長いと着心地に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。個体の体変位とは、ヒトの呼吸という観点で捉えると、呼吸の際に息を吸って肺が大きくなり、息を吐いて肺が小さくなる繰り返しにおける身体の変化である。例えば、息を吐いて肺が最も小さくなったときの胸囲が89cmであり、息を吸って肺が最も大きくなったときの胸囲が91cmであるとすれば、呼吸に関わる胸囲の体変位は2cmであるということができる。同様に、息を吐いて肺が最も小さくなったときの腹囲が79.5cmであり、息を吸って肺が最も大きくなったときの腹囲が80.5cmであるとすれば、呼吸に関わる腹囲の体変位は1cmであるということができる。また、胸囲や腹囲のように周長を測定できる場合には、上記の方法でよいが、周長を測定できない場合には、以下のようにして体変位を求めることができる。例えば、腹部において周方向とは、垂直方向(すなわち上下方向)の体変位は、胸部から腰部までの長さの変化を測定することで前記箇所の体変位を求めることができる。
一方、個体の身体にフィットする衣類20のサイズから単純にセンササイズを求める方法を採用することもできる。例えば、導電帯30の長さを衣類20の胸囲に対して0.5〜13%とし、衣類の腹囲に対して0.5〜13%とすることができる。また、好ましくは、胸囲に対して1〜6%とし、腹囲に対して1〜7%とすることができる。胸囲については、13%よりも長いと衣類20の拘束力が高まり、個体が感じる快適性を損なうおそれがあり、0.5%より短いと伸縮による充分な出力変化が検出できないおそれがあり、また、低抵抗となり消費電力が大きくなるおそれがある。腹囲については、13%よりも長いと衣類20の拘束力が高まり、個体が感じる快適性を損なうおそれがあり、0.5%より短いと伸縮による充分な出力変化が検出できないおそれがあり、また、低抵抗となり消費電力が大きくなるおそれがある。したがって、例えば、衣類20の胸囲が90cmの男性が着用するシャツには5〜100mmの長さの導電帯30を胸部センサ31として設けることが好ましい。また、衣類20の腹囲が80cmの男性が着用するシャツには、4〜90mmの長さの導電帯30を腹部センサ32として設けることが好ましい。
センサ部分の柔軟性は、センサ部分の伸長荷重によって判断することができる。このセンサ部分の伸長荷重とは、衣類20上に形成された導電帯30を衣類20ごと伸長させたときの荷重であって、初期状態の長さから200%の長さにまで伸ばした際の荷重(伸長荷重(Fs))として規定することができる。より具体的には、衣類20の原料となる幅20mm、長さ50mmの繊維シートに導電帯30を設けた試験片について、伸長部分の長さが25mmとなるように試験機に装着して、100mm/分で伸長し、200%(伸長部分が50mm)の長さになるまで伸ばした直後の荷重を測定する。
このセンサ部分の伸長荷重(Fs)は、導電帯30を設けずに衣類20となる生地のみを、前記試験片と同じ大きさと条件で測定したときの値(Fb)を1として、1〜20とすることが好ましい。20よりも大きくなると荷重が大きく着心地に影響を与える可能性があるからである。このFs/Fbの関係は、さらに1〜10未満がより好ましく、1に近づくほど好ましい。内側がサラサラで肌との摩擦が小さい衣類、又は比較的フィット感が小さい衣類、重ね着した場合などは、周囲の伸びによる伸長の緩和が大きくなるおそれがあるため、こうした場合には、10未満とすることが好ましい。1に近いほど好ましい理由は、1に近いほどセンサを備えない衣類と同等の着心地が得られるからである。また、測定部位によっては伸長の検出が難しくなるおそれがあるからである。
また、伸長荷重の値(Fs)は、10N以下であることが好ましく、3N以下であることがより好ましい。10Nよりも大きいと、伸縮に過大な力が必要となり、衣類用のセンサとして適合しないおそれがあるからである。なお、衣類20単独での伸長荷重(Fb)は、通常のアンダーウェアなどは値が小さめで0.5〜3N程度であり、サポータやコンプレッションウェアなどは値が大きめで5〜10N程度である。
胸部センサ31及び腹部センサ32の両端には、導電糸等から形成された配線40が伸び、衣類20の下部に設けた複合モジュール50に接続している。配線40は、センサである導電帯30と複合モジュール50とを導電接続する部位である。複合モジュール50は、導電帯30を伸縮センサとして機能させるための電子部品複合体である。以下、これらの部位について説明する。
導電糸から形成する配線40は、ロックミシンによって縫製することができ、ギザギザ縫い又は半返し縫いとすることが好ましい。これらの縫い方であれば、糸自体を伸長させずに衣類20の伸長に追従させることができるからである。ギザギザ縫いなどで形成した配線40の伸縮荷重は導電帯30の伸長荷重よりも小さく構成することができる。
配線40には、導電糸を用いる場合の他、導電性ペーストを用いて形成することもできる。導電性ペーストによって配線40を形成する場合は、導電帯30の抵抗値よりも充分に小さな抵抗値となるように、良導電性のフィラーを配合した導電性ペーストであることが好ましい。また、配線40を伸ばしすぎると、衣類20の伸長を阻害して快適性が損なわれるおそれがあるため、配線40の長さができるだけ短くなるように設計することが好ましい。導電性ペーストによって形成した配線40は、ジグザグや波状のパターンに印刷することで、衣類20の伸長の阻害を低減することができる。
配線40の配置は、導電帯30の伸長方向の延長線上で、導電帯30の伸長方向に沿う向きに設けないことが好ましい。導電帯30の伸長がこうした配線40の配置によって妨げられるおそれがあるためである。導電帯30の近傍では、導電帯30の伸長方向に対して45°以上の角度に配線40を設けることが好ましく、略垂直方向へ向かう配線40を設けることがより好ましい。また、着心地に影響を与えない範囲で、センサの伸長領域以外の部分に伸び難い配線40を配置し、衣類20の伸長する箇所をセンサ部分に集中させるようにすることも場合により可能である。
配線40は、衣類20の伸縮によらず、抵抗値の変化が小さいことが好ましい。また、抵抗値変化が導電帯30の抵抗値変化の1/10以下であることが好ましい。配線40は、導電帯30と複合モジュール50を導通接続するものであるからである。
複合モジュール50は、サーバー又はPC、スマートフォン等の外部機器へデータを送ることができる電子部品複合体であり、制御モジュール51、通信モジュール52、アンテナ、及び電池又は電源を含むものとして構成できる。制御モジュール51は、導電帯30に電圧を印加して電流を読み取ることで導電帯30の伸縮の程度を検出し、出力する機能を持たせることができる。通信モジュール52は、制御モジュール51の出力を外部機器に無線で送信することができる。
本実施形態のセンサ付き衣類11では、胸部センサ31と腹部センサ32とを有するため、奇異性呼吸の判別を行うことができる。胸囲の長さ変化、又は腹囲の長さ変化をそれぞれ単独で計測すると、呼吸の有無、呼吸の周期、呼吸の深さなどは検出できるものの、それが正常な呼吸であるのか、奇異性の呼吸であるのかを必ずしも判別できなかった。しかしながら、胸部センサ31及び腹部センサ32から個体の胸囲及び腹囲の変化の大きさとタイミングを計測できるため、それらを解析することで、正常な呼吸であるか、奇異性呼吸であるかを判別することができる。より具体的には、センサ付き衣類11では、胸部センサ31と腹部センサ32のそれぞれの伸び率や伸びの周期の違いから、胸部と腹部の動きが同調していない頸髄損傷の存在等を疑うことができる。また、胸部センサ31及び腹部センサ32が小さく、個体が衣類を着用した際に個体を過度に圧迫することがないため、個体にとって快適であり、着心地が良い。
変形例[図3〜図5]:
導電帯30は、衣類20の表面のみに設ける場合に限らず、衣類20の裏面又は内部、あるいは衣類20の表裏両面に設けても良い。図3(a)には、衣類の裏面に導電帯30を設けた変形例1のセンサ付き衣類11aの部分拡大断面図を、図3(b)には、衣類の内部に導電帯30を設けた変形例2のセンサ付き衣類11bの部分拡大断面図を、図3(c)には、衣類の表裏両面に導電帯30を設けた変形例3のセンサ付き衣類11cの部分拡大断面図をそれぞれ示す。
センサ付き衣類11の表面(裏面)には、必要に応じて種々の機能層を積層することも可能である。例えば、図4で示す変形例4のセンサ付き衣類11dでは、導電帯30を設けた側の衣類20の表面に、導電帯30とその周囲の衣類20の表面を覆うような保護層70を設けている。保護層70は、透明な可撓性のある樹脂材や柔軟なゴム材で形成することが好ましく、導電帯30の表面を保護し、導電帯30の衣類20への固着をより確実にすることができる。また、導電帯30の端部近傍における衣類20の内側(肌と接する側)に滑り止め(図示せず)を備えることができる。滑りを低減して、導電帯30が個体に追従して伸びることを促進する。
導電帯30の別の態様として、図5で示す変形例5のセンサ付き衣類11eのように、導電層の伸張性が十分でない場合は、下地層60を設けることが好ましい。下地層60は導電層と衣類の間に介在し、導電層と衣類20の密着性を高めるための層であり、導電層と衣類20の双方に対する接着性に優れた樹脂材やゴム材等を用いることができる。下地層60を設ける場合には、導電層と下地層60との積層体を導電帯30とすることができる。
第2実施形態[図6]:
本発明の第2実施形態に係るセンサ付き衣類12について、図面を用いながら説明する。図6には、第2実施形態となるセンサ付き衣類12の正面図と背面図を示す。このセンサ付き衣類12は、導電層からなりセンサとなる導電帯30を衣類20に備えるものである点で、第1実施形態のセンサ付き衣類11と同じであるが、胸部に複数の導電帯30を設けた胸部センサ31とした点で、第1実施形態のセンサ付き衣類11と異なる。即ち、本実施形態のセンサ付き衣類12では、衣類20の胸部の複数位置に導電帯30を配置して複数の導電帯30からなる胸部センサ31としている。また、腹部センサ32についても、衣類20の腹部の複数位置に導電帯30を配置して複数の導電帯30からなる腹部センサ32としている。なお、複数の導電帯30を設ける場合、例えば、胸部については、胸囲の周内に配置した導電帯30の合計の長さを、体変位の10〜2000%とすることが好ましい。また、腹部についても同様とすることができる。
より具体的に図6で示した例では、複数の導電帯30からなる胸部センサ31の例として、衣類20の前側の胸部内には、その中央に中央導電帯31a、その左右両側に右側導電帯31bと左側導電帯31cの合計3つの導電帯30を設け、衣類20の後側の胸部内には、その中央に中央導電帯31d、その左右両側に右側導電帯31eと左側導電帯31fの合計3つの導電帯30を設けている。また、複数の導電帯30からなる腹部センサ32の例として、衣類20の前側の腹部内には、その中央に中央導電帯32a、その左右両側に右側導電帯32bと左側導電帯32cの合計3つの導電帯30を設け、衣類20の後側の腹部内には、その中央に中央導電帯32d、その左右両側に右側導電帯32eと左側導電帯32fの合計3つの導電帯30を設けている。なお、衣類の後側の配線40は、その導電帯30側と反対側が衣類20の内側に回り込み、衣類20の裏面に沿って配置されて複合モジュール50に接続するようになっている。
センサ付き衣類12では、胸囲や腹囲の全体の伸長ではなく、導電帯30を配置した部分における部分的な伸張を測定することができ、複数の導電帯30のそれぞれの伸び率や伸びの周期の違いから、従来判別できなかった事象の違いを判別することができる。したがって、呼吸状態に対応した体表の3次元的な伸縮変位を検出することができる。より具体的には、胸部センサ31となる中央導電帯31a、右側導電帯31b、及び左側導電帯31cの間で胸部伸縮の周期がずれ、伸縮長さが異なるといったデータを検出することができ、左右の肺が対象的な動きではないことが判定でき、無気肺又は気胸、血胸等の存在、気道内異物の存在等を疑うことができる。
第3実施形態[図7]:
本発明の第3実施形態に係るセンサ付き衣類13について、図面を用いながら説明する。図7には、第3実施形態となるセンサ付き衣類13の正面図と背面図を示す。このセンサ付き衣類13は、導電層からなりセンサとなる導電帯30を衣類20に備えるものである点で、第1実施形態及び第2実施形態のセンサ付き衣類11,12と同じであるが、腹部に垂直方向に配置した垂直センサ33を設けた点で、第1実施形態及び第2実施形態のセンサ付き衣類11,12と異なる。すなわち、センサ付き衣類13は、センサとなる導電帯30として、垂直センサ33を衣類20における個体の胴囲方向に対して交差する交差方向に配置して、当該交差方向の衣類20の伸縮を検知するものとなっている。また、センサ付き衣類13における配線40は、衣類20の裏面を通じて複合モジュール50に接続するようにしている。
センサ付き衣類13では、胴周(胸囲)方向の伸縮によって得られる情報と、胴周(腹囲))に対して垂直方向の伸縮によって得られる垂直センサ33からの情報から、個体の2次元的な動きを検出できる。すなわち、センサ付き衣類13では、垂直センサ33を衣類20における個体の胴囲方向とは交差方向に配置して、交差方向の衣類20の伸縮を検知するため、胴囲方向に対する垂直方向を含む交差方向の個体の体変位を効果的に計測することができる。また、胴囲方向との組合せで、胴囲方向をx方向とすれば、胴囲に対する垂直方向となるy方向への2次元的な動きを検出できる。
第4実施形態[図8]:
本発明の第4実施形態に係るセンサ付き衣類14について、図面を用いながら説明する。図8には、第4実施形態となるセンサ付き衣類14の正面図と背面図を示す。このセンサ付き衣類14は、導電層からなりセンサとなる導電帯30を衣類20に備えるものである点で、これまでの各実施形態で示したセンサ付き衣類11〜13と同じであるが、肩部に4つの肩部センサ34a〜34d(34)を設け、袖の肘部に2つの肘部センサ35a,35b(35)を設けた点で、これまでの実施形態で示したセンサ付き衣類11〜13と異なる。
肩関節、親指関節、股関節、足首など3次元的に可動できる関節の動きは単一方向の伸縮では把握が難しい。しかしながら、2方向の伸縮を同時に測定して、動きの方向性や連動を解析することで、前記関節の3次元的な動きを把握することができる。本実施形態で示すセンサ付き衣類13では、肩部に肩部センサ34を設けたことで、肩関節の曲げ角度(垂直方向)に加え、筋肉の使用率(周方向)も計測でき、肩関節付近における動きの方向性を解析することができる。また、肘部センサ35を設けたことで、肘関節の曲げ角度を計測できる。したがって、これらの基礎データを習得し解析を行うことで、投球動作などにおける効果的な肩の使い方を導く用途等に利用することができる。
第5実施形態[図9]:
本発明の第5実施形態に係るセンサ付き衣類15について、図面を用いながら説明する。図9(a)には、第5実施形態となるセンサ付き衣類15の正面図の要部拡大図を示し、図9(b)には、本実施形態の一変形例となるセンサ付き衣類15aの正面図の要部拡大図を示し、図9(c)には、本実施形態の他の変形例となるセンサ付き衣類15bの正面図の要部拡大図を示す。なお、図9(a)、図9(b)、及び図9(c)では、衣類20の首部センサ36が設けられている部位を説明するために、センサ付き衣類15、15a、15bの首部センサ36のみを表示し、配線40と複合モジュール50の表示を省略している。
このセンサ付き衣類15は、導電層からなりセンサとなる導電帯30を衣類20に備えるものである点で、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14と同じであるが、衣類20の首部に首部センサ36(36a)を設けた点で、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14と異なる。また、センサ付き衣類15における不図示の配線は、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14と同様に、首部センサ36(36a)の長辺の端部から衣類20の裏面を通じて不図示の複合モジュールに接続するようにしている。
センサ付き衣類15では、図9(a)に示すように、衣類20の首部の中央側に沿って首部センサ36aが配置されている。このため、食べ物や唾液が喉元を通過すると喉仏の動きが衣類20の首部に伝わって、衣類20の首部に設けられた首部センサ36aの長辺方向の伸縮によって、首部センサ36aが長辺方向に伸縮して、長辺方向の伸縮によって得られる首部センサ36aからの情報から、個体の2次元的な動きを体変位変化として検出できる。
また、本実施形態では、図9(b)に示すように、センサ付き衣類15aは、衣類20の首部センサ36として、衣類20の首部の左右の側部前方側に沿って一対の首部センサ36bを配置してもよい。このように衣類20の首部に首部センサ36bを配置することによって、あご骨の動きから首部センサ36bが咀嚼回数を体変位変化として検出したり、首部センサ36bを左右に配置することで噛む力のバランスを体変位変化として検出することができる。また、本実施形態では、首部センサ36bを衣類20の首部の左右の側部前方側に沿って一対設けることによって、首部センサ36bが呼吸音や声帯振動を検出できるようになるので、センサ付き衣類15aを着用した個体の窒息の確認を取ることもできる。
さらに、本実施形態では、図9(c)に示すように、センサ付き衣類15bは、衣類20の首部センサ36として、衣類20の首部の前方側の周方向に沿って複数の首部センサ36cを配置してもよい。このように衣類20の首部に首部センサ36cを配置することによって、センサ付き衣類15bを着用した個体の飲食した際の飲食の流れが段階的に検出することができる。
このように、本実施形態では、衣類20の首部に首部センサ36(36a、36b、36c)を設けることによって、体変位変化としてセンサ付き衣類15(15a、15b)を着用した個体の喉元への飲食物の通過や咀嚼回数、噛む力のバランス等を検出できる。このため、飲食物の通過や咀嚼回数、噛む力のバランス等の体変位変化の検出結果を分析して嚥下解析方法に適用することができる。
第6実施形態[図10]:
本発明の第6実施形態に係るセンサ付き衣類16について、図面を用いながら説明する。図10には、第6実施形態となるセンサ付き衣類16の正面図と背面図を示す。なお、図10(a)及び図10(b)では、衣類20の胸部センサ31が設けられている部位を説明するために、センサ付き衣類16の胸部センサ31のみを表示し、配線40と複合モジュール50の表示を省略している。
このセンサ付き衣類16は、導電層からなりセンサとなる導電帯30を衣類20に備えるものである点で、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15bと同じであるが、衣類20の前面側の胸部に沿って一対の胸部センサ31(31b、31h)を設けた点で、各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15bと異なる。また、センサ付き衣類16における不図示の配線は、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15bと同様に、各センサの長辺の端部から衣類20の裏面を通じて不図示の複合モジュールに接続するようにしている。
センサ付き衣類16では、図10(a)に示すように、衣類20の胸部に沿って一対の胸部センサ31g、31hが配置されている。センサ付き衣類16を着用する個体から見て右側の胸部センサ31gは、着用した個体の右側の肺の呼吸数を測定して検出し、左側の胸部センサ31hは、着用した個体の左側の肺の呼吸数と心拍数を測定して検出する。このため、本実施形態では、センサ付き衣類16を着用した個体が呼吸したり、心拍を打つと、衣類20に設けた胸部センサ31g、31hが長辺方向に伸縮して、長辺方向の伸縮によって得られる胸部センサ31g、31hからの情報から、心拍数や呼吸数を体変位変化として検出できる。また、心拍数や呼吸数を体変位変化として検出して分析することによって、心拍解析方法に適用することができる。
第7実施形態[図11]:
本発明の第7実施形態に係るセンサ付き衣類17について、図面を用いながら説明する。図11には、第7実施形態となるセンサ付き衣類17の正面図を示す。なお、図11では、衣類20の脇下部センサ37が設けられている部位を説明するために、センサ付き衣類17の脇下部センサ37のみを表示し、配線40と複合モジュール50の表示を省略している。
このセンサ付き衣類17は、導電層からなりセンサとなる導電帯30を衣類20に備えるものである点で、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15b、16と同じであるが、衣類20の袖の脇下部に沿って一対の脇下部センサ37(37a、37b)を設けた点で、各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15b、16と異なる。また、センサ付き衣類17における不図示の配線は、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15b、16と同様に、各センサの長辺の端部から衣類20の裏面を通じて不図示の複合モジュールに接続するようにしている。
センサ付き衣類17では、図11に示すように、衣類20の袖部の脇下部に沿って一対の脇下部センサ37a、37bが配置されている。このため、本実施形態では、センサ付き衣類17を着用した個体が腕を動かすと、衣類20に設けた脇下部センサ37a、37bが長辺方向に伸縮して、長辺方向の伸縮によって得られる脇下部センサ37a、37bからの情報から、体動として腕の動きを体変位変化として検出できる。特に、センサ付き衣類17を個体に着用させることによって、着用した個体の睡眠時の動作を解析し、熟睡度の分析することによって、体動解析方法に適用することができる。
第8実施形態[図12]:
本発明の第8実施形態に係るセンサ付き衣類18について、図面を用いながら説明する。図12には、第8実施形態となるセンサ付き衣類18の正面図と背面図を示す。なお、図12(a)及び図12(b)では、衣類20の腹部センサ32となる脇腹部センサ32g、32hが設けられている部位を説明するために、センサ付き衣類18の脇腹部センサ32g、32hのみを表示し、配線40と複合モジュール50の表示を省略している。
このセンサ付き衣類18は、導電層からなりセンサとなる導電帯30を衣類20に備えるものである点で、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15b、16、17と同じであるが、衣類20の脇腹部の周囲方向に沿って一対の脇腹部センサ32g、32hを設けた点で、各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15b、16、17と異なる。また、センサ付き衣類18における不図示の配線は、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15b、16、17と同様に、各センサの長辺の端部から衣類20の裏面を通じて不図示の複合モジュールに接続するようにしている。
センサ付き衣類18では、図12(a)及び図12(b)に示すように、衣類20の脇腹部に沿って一対の脇腹部センサ32g、32hが脇腹部の上下方向に沿って配置されている。このため、本実施形態では、センサ付き衣類18を着用した個体が上半身を動かすと、衣類20に設けた脇腹部センサ32g、32hが長辺方向に伸縮して、長辺方向の伸縮によって得られる脇腹部センサ32g、32hからの情報から、体動として上半身の動きを体変位変化として検出できる。特に、センサ付き衣類18を個体に着用させることによって、着用した個体の睡眠時の動作を解析し、熟睡度の分析することによって、体動解析方法に適用することができる。
第9実施形態[図13]:
本発明の第9実施形態に係るセンサ付き衣類19について、図面を用いながら説明する。図13には、第9実施形態となるセンサ付き衣類19の正面図と背面図を示す。なお、図13(a)及び図13(b)では、衣類20の肩部センサ34となる背面側肩部センサ34e、34f、背部側の腹部センサ32となる中央導電帯32j、その左右両側に左側導電帯32iと右側導電帯32kが設けられている部位を説明するために、センサ付き衣類19の各センサ32i、32j、32k、34e、34fのみを表示し、配線40と複合モジュール50の表示を省略している。
このセンサ付き衣類19は、導電層からなりセンサとなる導電帯30を衣類20に備えるものである点で、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15b、16、17、18と同じであるが、衣類20の背部側の肩部と腹部に複数のセンサ32i、32j、32k、34e、34fを設けた点で、各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15b、16、17、18と異なる。また、センサ付き衣類19における不図示の配線は、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15b、16、17、18と同様に、各センサの長辺の端部から衣類20の裏面を通じて不図示の複合モジュールに接続するようにしている。
センサ付き衣類19では、図13(b)に示すように、衣類20の肩部の背面側に一対の背面側肩部センサ34e、34fが肩甲骨部に沿って配置されている。このため、本実施形態では、センサ付き衣類19を着用した個体が猫背になっていく状況を分析できるようになる。また、本実施形態では、センサ付き衣類19では、図13(b)に示すように、衣類20の腹部の背面側の中央に腹部センサ32となる中央導電帯32j、その左右両側に左側導電帯32iと右側導電帯32kが背骨に沿って配置されている。このため、本実施形態では、中央導電帯32j、左側導電帯32i及び右側導電帯32kを介してセンサ付き衣類19を着用した個体の姿勢や落ち着き度等を分析できるようになる。このように、本実施形態では、体変位変化として、主にセンサ付き衣類19を着用した個体の姿勢の変化を検出できるので、着用した個体の姿勢を計測して、解析することによって、姿勢計測の体動解析方法に適用することができる。
第10実施形態[図14]:
本発明の第10実施形態に係るセンサ付き衣類10について、図面を用いながら説明する。図14には、第10実施形態となるセンサ付き衣類10の正面図と背面図を示す。なお、図14(a)及び図14(b)では、衣類20の各センサ32、34、37が設けられている部位を説明するために、センサ付き衣類19の各センサ32、34、37のみを表示し、配線40と複合モジュール50の表示を省略している。
このセンサ付き衣類10は、導電層からなりセンサとなる導電帯30を衣類20に備えるものである点で、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15b、16、17、18、19と同じであり、第7実施形態、第8実施形態、及び第9実施形態のセンサ付き衣類17、18、19を合わせた構成となっている。また、センサ付き衣類19における不図示の配線は、前述した各実施形態のセンサ付き衣類11,12、13、14、15、15a、15b、16、17、18、19と同様に、各センサの長辺の端部から衣類20の裏面を通じて不図示の複合モジュールに接続するようにしている。
センサ付き衣類10では、図14に示すように、衣類20の袖部の脇下部に沿って一対の脇下部センサ37a、37bが配置されている。また、センサ付き衣類10では、図14(a)及び図14(b)に示すように、衣類20の脇腹部に沿って一対の脇腹部センサ32g、32hが脇腹部の上下方向に沿って配置されている。さらに、センサ付き衣類10では、図14(b)に示すように、衣類20の肩部の背面側に一対の背面側肩部センサ34e、34fが肩甲骨部に沿って配置され、衣類20の腹部の背部側の中央に腹部センサ32となる中央導電帯32m、その左右両側に左側導電帯32lと右側導電帯32nが背骨に沿って配置されている。
このため、本実施形態では、センサ付き衣類10を着用した個体が腕を動かすと、衣類20に設けた脇下部センサ37a、37bが長辺方向に伸縮して、長辺方向の伸縮によって得られる脇下部センサ37a、37bからの情報から、体動として腕の動きを体変位変化として検出できる。また、本実施形態では、センサ付き衣類10を着用した個体が上半身を動かすと、衣類20に設けた脇腹部センサ32g、32hが長辺方向に伸縮して、長辺方向の伸縮によって得られる脇腹部センサ32g、32hからの情報から、体動として上半身の動きを体変位変化として検出できる。さらに、本実施形態では、中央導電帯32m、左側導電帯32l及び右側導電帯32nを介してセンサ付き衣類10を着用した個体の姿勢や落ち着き度等を分析できるようになる。このように、本実施形態では、腹部(背部)、脇腹部、脇下部、肩甲骨部にそれぞれセンサ32l、32m、32n、32g、32h、37a、37b、34e、34fを配置しているので、より多面的に体変位変化を検出して、より精密に分析する体動解析方法に適用することができる。
以上説明したように、本発明の各実施形態のセンサ付き衣類10〜19は、医療診断等に用いることのできる平静時の個体の心肺機能に関わるパラメータ(負荷の大きさ)の測定、あるいはまた運動時、日常生活での動作時におけるこれらのパラメータの測定を行うことができる。
また、本発明の各実施形態のセンサ付き衣類10〜19では、伸縮性を有する導電性物質を含む導電層を形成することによって構成される導電帯30からなるセンサ31、32、33、34、35、36、37を衣類20の胸部、腹部、肩部、肘部、首部、脇下部、脇腹部、及び背部の少なくとも何れかに取り付けている。このため、センサ付き衣類10〜19の着用時の快適性を確保した上で個体から生理的、動的な指標として、導電帯30からなるセンサ31、32、33、34、35、36、37が個体における検出対象とする体変位を検出できる。従って、個体となる被験者の心理的な負担を軽減して、身に着けていても快適に拘束力の少ない状態で体変位を検出して、医療診断等における呼吸解析や嚥下解析、心拍解析、体動解析に適用できる。なお、導電帯30からなるセンサ31、32、33、34、35、36、37は、衣類20の胸部、腹部、肩部、肘部、首部、脇下部、脇腹部、及び背部の少なくとも何れかに取り付けられていればよいので、センサ31、32、33、34、35、36、37の設置部位は、前述した各実施形態のセンサ付き衣類10〜19の態様に限定されない。
実施例1(導電帯の抵抗値変化): 導電帯の抵抗値変化を測定するための試験片を作製した。試験片は、衣類となる生地に導電性ペーストを印刷して導電帯を形成したものである。生地としてはスムース編みのニット(89%ポリエステル、11%ポリウレタン)を準備した。また、導電性ペーストは、付加反応型液状シリコーン(粘度100Pa・s、硬度後の硬さA25)100質量部に対して、ケッチェンブラック(粒径40nm)15質量部を混合し、25℃における粘度100Pa・s(回転速度10rpm)、チキソ比29となるものを作製した。試験片の作製は、上記生地に幅1.0mm、長さ25mmの大きさとなるようにメタルマスクを用いて導電性ペーストをスクリーン印刷し、120℃で30分加熱することで生地の表面に所定の大きさの導電帯を形成した。そして導電帯が生地の中央部分に配置されるように、生地を70mm×20mmの大きさに切断して試験片とした。
導電帯の両端をデジタルマルチメータ(横河メータ&インスツルメンツ社製73201)に接続した後に、試験片の長手方向両端部を治具に固定し、一方端をロードセルでその長手方向に引っ張りながら所定の伸張状態のときの抵抗値を読み取った。
次の表1において、試験片の初期状態の抵抗値(試験片を伸張せずに測定した抵抗値)を「初期」欄に示した。また、導電帯の初期状態の長さ25mmを1.2倍に伸ばして30mmとしたときの抵抗値を「120%」の欄に、1.5倍に伸ばして37.5mmとしたときの抵抗値を「150%」の欄に、2倍に伸ばして50mmとしたときの抵抗値を「200%」の欄にそれぞれ示した。
Figure 2020076185
また、上記試験片の伸長荷重(Fs)を測定したところ4.8Nであり、生地のみの伸長荷重(Fb)は2.5Nだった。したがってFs/Fbの値は1.9となった。
実施例2(センサ付き衣類): 以下に説明する2人の被験者がそれぞれ着用してフィット感のあるスムース編みのニットのTシャツ(89%ポリエステル、11%ポリウレタン)を準備した。そして、そのTシャツに対して、実施例1で用いた導電性ペーストをここでも用い、導電帯を表2に記載した位置及び長さ(幅は1.0mm)で形成して試料1〜試料5のセンサ付き衣類を作製した。なおここで試料1〜試料4は導電性ペーストを1回印刷して導電帯を形成したのに対し、試料5は導電性ペーストを2回印刷して導電帯の厚みを厚くしたものである。
こうして得た試料1〜試料5のセンサ付き衣類を2人の被験者(成人男性、胸囲の平均89cm、腹囲の平均81cm)に着用させ、呼吸時の体変位の大きさを測定した。その結果、安静時の腹式呼吸で胸部の体変位は2人の平均で7.5mm、腹部の体変位は2人の平均で13.5mmとなった。また、腹式呼吸の深呼吸では胸部の体変位は2人の平均で13mm、腹部の体変位は2人の平均で51mmとなった。また参考に安静時の胸式呼吸では、胸部の体変位は同平均で19mm、腹部の体変位は同平均で3.5mmとなり、胸式呼吸による深呼吸では胸部の体変位は同平均で50mm、腹部の体変位は同平均で11.5mmとなった。
この結果より、呼吸の種類を問わずに深呼吸を測定対象とする場合には、胸部および腹部の体変位は約50mmといえる。一方、安静時の体変位のみを測定対象にする場合は、胸部および腹部の体変位は10〜20mm程度を想定すれば良いことがわかる。なお、これらの算出において、長さが20mmのセンサを5つ配置した試料4については、5つのセンサの合計の長さ(100mm)で計算したものである。
Figure 2020076185
各試料の快適性については、センサを設けなかったTシャツに比べて、試料1および2は違いがまったく感じられず、試料3〜5についてはわずかに違いを感じる程度であり、いずれも快適な着心地であった。また、すべての試料において体変位が抵抗値の変化として検出可能だった。
深呼吸を測定対象とする場合において、胸部および腹部の体変位が50mmであるときに、例えば試料1を例に説明すると、試料1の導電帯はその長さは体変位の10%であり、また、試料1の導電帯はその長さが胸囲の89cmに対し0.56%である。こうした長さの導電帯を備えることで、導電帯は初期の長さに対して体変位後は0.28mm伸張することから、初期状態の抵抗値に対して1.24倍の抵抗値変化を導くことができ、容易に体変位の状態を検出することができる。
上記実施形態は本発明の例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施形態の変更又は公知技術の付加、組合せ等を行い得るものであり、それらの技術もまた本発明の範囲に含まれるものである。例えば、第1実施形態の変形例として説明した変更形態は、他の実施形態の変形例としても適用することができる。
上記実施形態では、主に個体の生理的機能を計測したが、第4実施形態の応用として動的機能の計測ができる。例えば、衣類20としてのシャツに、導電帯30を背中に縦に配置し、また胸に縦に配置することで、上体の捩りや前屈の程度を測定することができる。シャツ以外の様々な衣類20を対象とすることもでき、下着だけでなく、上衣、パンツ(ボトム)、手袋、帽子、靴下等にも利用することができる。パンツに導電帯30を設けることで、腰関節又は膝の動きを測定することができ、手袋に導電帯30を設けることで、指、又は手首の動きを測定することができる。靴下に導電帯30を設ければ、足首、足指の曲げ角度を測定することができ、水着に導電帯30を設ければ、水泳中の動作を読み取ることができる。
上記の個体の生理的機能や運動的機能を捉える用途に用いる他、センサ付き衣類は、個体にフィットする新たな衣類を作製するためのサイズ取り(サイズの検知)や、個体特有の身体的特徴を検出するために利用することができる。様々な向きに向けた複数の導電帯30を、様々な箇所に設けた衣類20を作製すれば、その衣類20を装着したときに、各導電帯30の伸び状態を計測することで、この衣類20を着用した個体がきつく感じる箇所や、緩く感じる箇所等を検出することができる。さらには、身体にフィットする衣類の作製とは別に、和服に導電帯30を設けることで、最適な帯の締め付け力を検知する場合などのように、身体にフィットする衣類以外の衣類への応用も可能である。
センサ付き衣類の他の用途への応用例としては、例えば、寝衣(パジャマ)に導電帯30を設けることで呼吸数又は呼吸の異常など、就寝中の異常を検出する用途への利用が考えられる。また、呼吸以外のセンシングとしても、咳、くしゃみ、しゃっくりによる個体の動きを捉えることができるので、年間を通して着用し、咳やくしゃみのデータを蓄積することでどの季節にアレルギー(花粉症)が酷い等を検出し、その期間から原因植物を割り出すなどの利用が検討できる。また、各所のスギ花粉症持ちのヒトにセンサ付き衣類を着用してもらうことで、スギ(花粉)の分布をビッグデータで共有することも期待される。犬猫などの意思疎通が難しい動物(ペット)に着用させれば、これらの動物のアレルギー判別にも利用が期待される。さらには体表の部分的な動きから、内臓の状態を分析するなどの利用も検討している。今日的には病気や健康状態の見守りシステムとしての期待が大きい。睡眠時無呼吸症候群の検知への応用が期待でき、呼吸の状態から運動状態を把握できるので、睡眠時にも活動時にも見守り(監視)システムの一部として機能させることができる。
上記実施形態では導電30の伸縮に基づく抵抗値変化を検出したが、伸縮に基づくインダクタンス変化や静電容量変化を検出するものとして構成することもできる。
10、11,11a,11b,11c,11d,11e,12,13,14、15、15a、15b、16、17、18、19 センサ付き衣類
20 衣類
30 導電帯
31 胸部センサ
31a、31d 中央導電帯
31b、31e 右側導電帯
31c、31f 左側導電帯
32 腹部センサ
32a、32d、32j、32m 中央導電帯
32b、32e、32k、32n 右側導電帯
32c、32f、32i、32l 左側導電帯
32g、32h 脇腹部センサ
33 垂直センサ
34,34a〜34f 肩部センサ
35,35a,35b 肘部センサ
36、36a、36b、36c 首部センサ
37、37a、37b 脇下部センサ
40 配線
50 複合モジュール
51 制御モジュール
52 通信モジュール
60 下地層
70 保護層

Claims (11)

  1. 個体に着用させる伸縮性を有する衣類と、
    前記衣類に積層して配置し前記衣類の伸縮を検知するセンサと、を備えるセンサ付き衣類において、
    前記センサの長さが、前記個体における検出対象とする体変位の10〜2000%の長さであることを特徴とするセンサ付き衣類。
  2. 前記センサを前記衣類における前記個体の胸部、腹部、肩部、肘部、首部、脇下部、脇腹部、及び背部の少なくとも何れかに配置し、前記センサが前記個体における検出対象とする体変位を検出する請求項1記載のセンサ付き衣類。
  3. 前記センサは、前記衣類の前記胸部、前記腹部、前記肩部、前記肘部、前記首部、前記脇下部、前記脇腹部、及び前記背部の少なくとも何れかに伸縮性を有する導電性物質を含む導電層を形成することによって構成される導電帯である請求項2記載のセンサ付き衣類。
  4. 前記センサを前記衣類における前記個体の胴囲の周内に配置し、胴囲の周長の変化を検出する請求項1〜請求項3何れか1項記載のセンサ付き衣類。
  5. 前記センサを前記衣類における前記個体の前記周内の複数位置に配置する請求項4記載のセンサ付き衣類。
  6. 前記センサを前記衣類における前記個体の胴囲方向とは交差方向に配置して、前記センサが前記交差方向の前記衣類の伸縮を検知する請求項1〜請求項5何れか1項記載のセンサ付き衣類。
  7. 前記センサを前記衣類における前記個体の前記胸部に配置し、前記センサの長さが前記衣類の胸囲に対して0.5〜13%の長さである請求項2〜請求項6何れか1項記載のセンサ付き衣類。
  8. 前記センサを前記衣類における前記個体の前記腹部に配置し、前記センサの長さが前記衣類の腹囲に対して0.5〜13%の長さである請求項2〜請求項7何れか1項記載のセンサ付き衣類。
  9. 請求項1〜請求項8何れか1項記載のセンサ付き衣類と、
    前記センサに電圧を印加するとともに、前記センサの出力を検知する制御モジュールと、
    前記検知されたセンサ出力を外部に送信可能な通信モジュールと、
    を備える複合モジュール付き衣類。
  10. 前記制御モジュールがセンサ付き衣類から着脱可能である請求項9記載の複合モジュール付き衣類。
  11. 請求項1〜請求項8何れか1項記載のセンサ付き衣類における複数の前記センサごとに時間経過に伴う体変位データを検出し、
    前記体変位データを対比して呼吸波形を分析する呼吸解析方法。
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