以下、図面を参照しながら実施形態の車両用ドア100について説明する。図1,2に示すように、車両用ドア100は、ドアトリム10と、ドアトリム10の内面10aに取り付けられるドア用衝撃吸収体30と、ドアパネル20とを含んでいる。なお、各図に示す矢印FR、矢印UP、矢印RHは、車両の前方向(進行方向)、上方向、右方向をそれぞれ示している。また、各矢印FR、UP、RHの反対方向は、車両後方向、下方向、左方向を示す。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両左右方向(車両幅方向)の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。
図2に示すように、ドアパネル20は、車室内側のインナパネル21と車室外側のアウタパネル22とで構成される。アウタパネル22の車室外側の面は、車両用ドア100の外面側の意匠面を構成する。
ドアトリム10は、インナパネル21の車室内側に取り付けられる樹脂製部材であり、車両用ドア100の車室内側の意匠面を構成する。図1,2に示すようにドアトリム10は、ドアポケット11、アームレスト12、インサイドハンドル13等を備えている。ドア用衝撃吸収体30は、ドアトリム10に設けられたアームレスト12の下側で車両後方側の平板部14の車室外側の内面10aに取り付けられている。インナパネル21には、ドア用衝撃吸収体30が貫通する開口23が設けられており、ドア用衝撃吸収体30の天板33は、アウタパネル22の車室内側の面と対向している。このように、ドア用衝撃吸収体30は、ドアトリム10のアウタパネル22と対向する内面10aに取付られている。
図3に示すように、ドア用衝撃吸収体30は、樹脂製部材であり、複数の脚部31と、天板33と、複数の板部材35,35a,35bと、各板部材35,35a,35bに設けられる第1補強リブ36と、第2補強リブ38とで構成される。本実施形態のドア用衝撃吸収体30では、脚部31と板部材35,35a,35bとはそれぞれ4つであり、第1、第2補強リブ36,38は、各板部材35,35a,35bにそれぞれ2本ずつ設けられているが、各部材の個数はこれに限定されない。
脚部31は、角が丸いL字状断面の長手部材であり、車室内側にはドアトリム10の車室外側の面に固定されるプレート32が取り付けられている。プレート32には、ドアトリム10の内面10aに各脚部31を固定する固定具60(図4参照)が挿入される開口32aが設けられている。車両前方の上側の脚部31には、車両上側に向って突出する突起53が取り付けられている。また、車両前方の下側の脚部31には、車両下側に向かって突出する突起51と、車両前方に向って突出する突起52とが取り付けられている。
天板33は、四隅に脚部31が接続される略四角形状の板状部材である。図2、図4に示すように、天板33の車室外側の面には、複数の補強リブ34が設けられている。
天板33の車室内側の面には、天板33からドアトリム10に向かって延びる4枚の板部材35,35a,35bが十字状に設けられている。4枚の板部材35,35a,35bの内、2枚の板部材35は板の面が水平方向に配置され、板部材35a,35bは板の面が垂直方向に配置されている。
図2、3に示すように、2枚の板部材35の下側の面には第1補強リブ36が立設されている。また、板部材35の上側の面の第1補強リブ36に対応する位置には第2補強リブ38が立設されている。
第1補強リブ36は、天板33からドアトリム10に向って延び、ドアトリム10に向かうにつれて高さが低くなる板状のリブである。第1補強リブ36は、天板33から板部材35の中央付近まで延びており、第1補強リブ36のドアトリム側端37が板部材35の略中央に位置している。
第2補強リブ38は、天板33からドアトリム10に向かって板部材35のドアトリム10の側の端部まで延び、ドアトリム10に向かうにつれて高さが低くなる板状のリブである。従って、第2補強リブ38は第1補強リブ36よりも長いリブである。また、天板33からドアトリム10に向かう長さが同一の位置においては、第2補強リブ38の高さは、第1補強リブ36よりも高くなっている。更に、第2補強リブ38は、第1補強リブ36のドアトリム側端37と天板33との間に天板33からドアトリム10に向かう傾斜角度が変化する隅部39を有している。
図3に示すように、板の面が垂直方向に配置された2枚の板部材35a,35bの内、上側の板部材35aは、車両後方側に第1補強リブ36が設けられており、車両前方側に第2補強リブ38が設けられている。また、下側の板部材35bは、車両後方側に第2補強リブ38が設けられており、車両前方側に第1補強リブ36が設けられている。
ドアトリム10の平板部14の内面10aには、板部材35,35a,35bの先端部分を挟んで車両上下或いは車両前後方向に移動しないようにガイドするガイド15が取付られている。また、平板部14の内面10aの脚部31が取り付けられる取付位置の周囲には複数のストッパ16,17,18が設けられている。
図4に示すように、ドアトリム10の平板部14の内面10aのドア用衝撃吸収体30の車両後方の上側の脚部31が取り付けられる取付位置の上側には、ストッパ16が取り付けられている。ストッパ16は、脚部31の上側の面に平行な受板16aと、受板16aと直角に配置された支持板16bとで構成されている。同様に、車両後方の下側の脚部31の取り付け位置の下側には、受板17aと支持板17bとで構成されるストッパ17が取り付けられている。更に、車両前方の上側の脚部31の車両前方には、受板18aと支持板18bとで構成されるストッパ18が取り付けられている。このように、平板部14の内面10aの脚部31が取り付けられる取付位置の周囲の一部に複数のストッパ16〜18が設けられている。そして、脚部31の突起51〜53が設けられている車両前方の上側の脚部31の上側、車両前方の下側の脚部31の下側と車両前方側とには、ストッパは設けられていない。
図4に示すように、ドア用衝撃吸収体30が正しい方向に取り付けられると、脚部31に取付られた各突起51〜53は、各ストッパ16〜18の取り付けられていない方向に突出する。そして、各ストッパ16〜18は、ドア用衝撃吸収体30を誤った方向に設置すると、脚部31から突出する各突起51〜53と干渉し、ドア用衝撃吸収体30を誤った方向に取り付けることを防止する。
これにより、ドア用衝撃吸収体30を正しい方向に取り付けて、所望の衝撃エネルギー量を吸収させることができる。
また、側突により車両側面から衝撃荷重が入力されると、衝撃荷重は、ドアパネル20のアウタパネル22からドア用衝撃吸収体30の天板33に入力される。ドア用衝撃吸収体30は、ドアトリム10とアウタパネル22との間に配置されているので、衝撃荷重Fにより、ドアトリム10とアウタパネル22との間に挟みこまれて圧縮される。
この際、ドア用衝撃吸収体30にはドア用衝撃吸収体30をドアトリム10の内面10aに沿って移動させようとする横力が入力される場合がある。この横力によってドア用衝撃吸収体30は、ドアトリム10の内面10aに沿って移動しようとすると、脚部31或いは脚部31の先端に取り付けられたプレート32が各ストッパ16〜18に当たるので、衝撃荷重が入力された際に、ドア用衝撃吸収体30がドアトリム10の内面10aに沿って移動することが規制される。
そして、圧縮荷重が板部材35,35a,35bに入力され、板部材35,35a,35bは、図3の矢印91から93及び破線に示すように、第1補強リブ36のドアトリム側端37の位置を起点に補強リブの高さの低い第1補強リブ36の側が凸となるV字状に折れ曲がるように座屈変形する。更に、圧縮荷重により第2補強リブ38の隅部39の位置を起点に第1補強リブ36の方に座屈する。このように、車両用ドア100では、ドア用衝撃吸収体30がドアトリム10の内面10aに沿って移動することを抑制し、板部材35,35a,35bに所望の座屈変形を行わせることができる。これにより、ドア用衝撃吸収体30に所望の衝突エネルギー量を吸収させることができる。
以上説明した実施形態の車両用ドア100では、ストッパ16〜18と突起51〜53の配置の一例を示したが、ストッパ16〜18、突起51〜53の配置はこの配置に限定されず、自由に配置してもよい。