図1は、流体推進装置1の一実施形態を示している。該流体推進装置は、流体が推進される流体チャネル3,7を備えている。異なる実施形態では、該流体推進装置1は、ラボ・オン・チップ、プリントヘッド、又はデジタル滴定装置を含むことが可能であり、又はそれらの構成要素であることが可能である。該ラボ・オン・チップ又はデジタル滴定装置は、比較的高精度の実験室用途に最適化することが可能である。該プリントヘッドは、高精度インクジェットプリントヘッド、又は2D又は3Dプリンティング用の高精度流体分配(dispensing)ヘッドとすることが可能である。流体推進装置1の特定の実施形態は、前記プリントヘッド又はデジタル滴定装置等のようにノズルから流体を噴射するよう構成することが可能であり、他の実施形態では、必ずしも流体を噴射する必要はなく、例えば、前記チャネル内の特定のセンサ又は反応チャンバに沿って流体を移動させることが可能である。流体推進装置1に適した用途として、インクジェットプリンティング、3Dプリンティング、デジタル滴定、診断、化学反応器等が挙げられる(但し、これらには限定されない)。異なる実施形態では、前記流体は、液体、又は気体と混合された液体とすることが可能である。適した液体の例として、インク、薬剤、阻害剤又は融剤等の3Dプリンティング剤等が挙げられる。
一実施形態では、流体推進装置1は、MEMS(Micro-Electro-Mechanical System)5を含む。該MEMS 5は、少なくとも1つの第2の流体チャネル7を含む。該MEMS 5は、該第2のチャネル7を介して流体を移動させるアクチュエータ13を含む。
流体推進装置1は、プラスチック化合物9の構造体(例えば、実質的に剛性を有する構造体)を含むことが可能である。該プラスチック化合物9は、エポキシ成形化合物(例えば、Hitatchi Chemical(登録商標)から市販されているCEL400ZHF40WG)とすることが可能である。シリカ又は金属酸化物等の充填剤を使用することが可能である。MEMS 5は、プラスチック化合物構造体9内に埋め込まれている。本開示では、該埋め込みは、化合物によって該化合物内に固定されるように少なくとも部分的に取り囲まれることと理解することが可能である。例えば、MEMS 5の外面の大部分は化合物9と接触する。図示の実施形態では、MEMS 5は、大気に曝される該MEMS 5の正面11、及び第1の流体チャネル3に曝される該MEMS 5の背面部分12を除き、プラスチック化合物9により取り囲まれている。一実施形態では、該埋め込みは、圧縮成形技術を用いて化合物によりMEMSをオーバーモールドすることにより達成することが可能である。
プラスチック化合物構造体9は、MEMS 5の第2の流体チャネルに流体的に接続された第1の流体チャネル3を含み、該第1の流体チャネル3を介して該第2の流体チャネル7に流体を供給することができるようになっている。一実施形態では、第1の流体チャネル3は、該第1の流体チャネル3の対向する壁の間で最小断面直径D1を有し、第2の流体チャネル7は、該第2の流体チャネル7の対向する壁の間で最小断面直径D2を有し、該第2の流体チャネル7の最小断面直径D2は、該第1の流体チャネル3の最小断面直径D1よりも小さい。第2の流体チャネル7の最小直径D2は、40ミクロン未満、20ミクロン未満、10ミクロン未満、又は特定の場所では7ミクロン未満とすることが可能である。第2の流体チャネル7は、複数の流体チャネルのネットワークを含むことが可能であり、例えば、少なくとも1つの単一の流体チャネルが、より小さい直径の複数の流体チャネルへと分岐することが可能である。例えば、第2の流体チャネルは、単一行で、300ノズル/インチよりも高い密度、600ノズル/インチよりも高い密度、900ノズル/インチよりも高い密度、又は1200ノズル/インチよりも高い密度を有するノズルアレイに流体を供給することが可能である。
ここで、1インチあたりのノズルの数は、相対的な密度として理解されるべきであり、すなわち、特定の実施形態では、MEMS 5の長さは1インチ未満である。例えば、約1200ノズル/インチの密度を有し、及び3mmのノズルアレイ長を有するMEMS 5は、約142個のノズルを有するものとなる。
一実施形態では、MEMSの大部分はシリコンからなる。例えば、MEMSは、薄膜層(例えば、SU8ベースの層又はポリマータイプの層)が上部に堆積されたシリコン基板を含む。例えば、該シリコン基板は、単結晶シリコンからなる。
一実施形態では、MEMS 5は、薄片状の(sliver)形状を有する。MEMS 5は、数mm又は数cm(例えば、少なくとも0.2cm、少なくとも0.5cm、又は少なくとも1cm)の(図1の正面へと延びる)長さを有することが可能である。MEMS 5は、2.3mm未満(例えば、1.5mm未満、例えば、約1mm未満)の幅Wを有することが可能である。MEMS 5は、0.8mm未満(例えば、0.5mm未満、0.3mm未満、約0.2mm未満、又は約0.15mm未満)の厚さTを有することが可能である。MEMS 5は、流体に作用するアクチュエータアレイ13を含む。アクチュエータアレイ13は、第2の流体チャネル7内に配設される。例えば、アクチュエータアレイ13は、MEMS 5の長さに沿って配設された複数のアクチュエータからなる。該アクチュエータは、熱抵抗器又は圧電アクチュエータとすることが可能である。
ヒートシンク15は、MEMS 5に隣接して配設することが可能である。ヒートシンク15は、MEMS 5に隣接してプラスチック化合物構造体9内に埋め込まれる。ヒートシンク15は、プラスチック化合物9により部分的に又は完全に取り囲まれることが可能である。一実施形態では、ヒートシンク15は、例えば、圧縮成形プロセスを使用して、プラスチック化合物によりMEMS 5と同時にオーバーモールドされる。
ヒートシンク15は、MEMS 5から熱を逃がすことが可能である。実施形態によっては、MEMS 5内のアクチュエータ13が熱を発する場合がある。サーマルアクチュエータ13が比較的短いピッチで(例えば、少なくとも約300、600、900、1200、又は1800アクチュエータ/インチの分解能で)配設される実施形態では、熱が発生する可能性がある。MEMS 5は、多数のアクチュエータ13が比較的短い時間フレームで駆動される場合に加熱する可能性がある。アクチュエータ13により生成された熱は、シリコン基板、流体、及びおそらくはMEMS 5の薄膜層によって伝播されることになる。MEMS 5が(本開示の幾つかの実施形態の場合のように)比較的薄い厚さ及び/又は幅を有する場合には、特定の動作条件での過度の発熱に対処するのに十分なシリコン又は流体が存在しない可能性がある。別の実施形態では、熱抵抗器は、薄膜層内に噴射(ejector)抵抗器及びポンプ抵抗器の両方を含むことが可能であり、例えば、1インチあたり少なくとも600個のインク噴射抵抗器の行と少なくとも300個のポンプ抵抗器の行とを含むことが可能である。かかる構成では、噴射抵抗器のみを有するMEMSと比較して、ポンプ抵抗が発熱に加わる可能性がある。
他の解決策は、ヒートシンク15として作動するためにMEMS基板に依存するものであるが、本開示では、適当な熱伝導特性を有すると共に(例えば単結晶の)シリコン基板よりもコスト効率の良い別個のヒートシンク15が使用される。MEMS 5に沿った別個のヒートシンク15は、MEMS 5から熱を逃がすのを助けることが可能である。別個のヒートシンク15は、熱抵抗器の量及び/又は密度を増大させると共に必要な処理が行われた比較的少量のシリコンを使用して、MEMS5の小型化を容易化することが可能である。
一実施形態では、流体推進装置1内の1つの(又は複数の)ヒートシンク15の総体積は、該流体推進装置1内の少なくとも1つのMEMS 5の総体積よりも大きくすることが可能である。このため、MEMS 5内のシリコンを削減する一方で、十分な熱を伝導し蓄積することができる比較的大きなヒートシンク15によって熱発生の危険性に対抗することが可能である。追加のヒートシンク15の材料コストは、シリコンの材料コストに比べて比較的低くすることが可能である。
図2は、流体推進装置101の別の実施形態を示している。流体推進装置101は、流体噴射装置である。流体推進装置101は、プラスチック化合物構造体109を含む。ほぼシリコンからなるMEMS 105は、化合物109内に埋め込まれている。MEMS 105は、長さ方向の形状を有することが可能である。図2では、その長さは、図面の面内に延びるものである。ヒートシンク115A,115Bは、MEMS 105から熱を伝導して逃がすよう該MEMS 105に沿って配設されている。
MEMS 105は、数ミクロンの厚さの膜を有する薄膜構造体119を支持する基板117を含む。例えば、MEMS 105の全厚さTは、約0.5mm以下、約0.3mm以下、約0.2mm以下、又は約0.15mm以下とすることが可能であり、薄膜構造体119の厚さは、数十ミクロン(例えば、50ミクロン以下、40ミクロン以下、30ミクロン以下、20ミクロン以下、又は15ミクロン以下)とすることが可能である。薄膜構造体119は、SU8を含むことが可能である。薄膜構造体119はノズルプレート120を含み、該ノズルプレート120を介してその正面111にノズル127が延びている。薄膜構造体119は、インク噴射チャンバ123を含むことが可能であり、該インク噴射チャンバ123内に、ノズル127を介してインクを噴射させるインク噴射アクチュエータ125が配設されている。インク噴射アクチュエータ125のアレイの長さは、MEMS 105の長さに沿って、第2の流体供給孔107の両側に沿って、図面の表面内へと延びることが可能である。インク噴射アクチュエータ125は、熱抵抗器とすることが可能である。
化合物109は、MEMS 105の長さに沿った第1の流体供給スロット103を含む。MEMS 105は、該第1の流体供給スロット103の下流側に第2の流体供給スロット107を含む。該第2の流体供給スロット107は、薄膜構造体119内の複数の流体噴射チャンバの各々に流体を供給することが可能である。
上述のように、第1及び第2の流体供給スロットは、MEMS 105の長さに沿って延びることが可能である。別の実施形態では、第1及び/又は第2の流体供給スロット103,107は、複数の別個の流体供給孔を含む。一実施形態では、それら別個の流体供給孔は、少なくとも1つの長手方向のマニホールドチャネルを介して相互接続することが可能である。流体供給スロット又はチャネルの設計は、選択した形成及び/又は加工方法に応じて決定することが可能である。
流体推進装置101は、MEMS 105から熱を伝導して逃がすための複数のヒートシンク115A,115Bを含む。各ヒートシンク115A,115Bは、正面111と垂直な方向Lから見て少なくとも部分的にMEMS 105に隣接するよう延びている。
第1のヒートシンク115Aは、正面111と垂直な方向Lから見てMEMS 105に部分的に隣接するよう延び、部分的にMEMS 105の上部上にあり、及び化合物109及び/又はMEMS 105により取り囲まれている。一実施形態では、第1のヒートシンク115Aは、MEMS 105と接触し、又は熱伝導性ライン及び/又は接着剤でMEMS 105に接続される。別の実施形態では、ヒートシンク115Aは、MEMS 105から熱を伝導させるのに十分な短い距離(例えば0.5mm以上、又は1mm以上)だけMEMS 105から離れて延びている。接着剤の層又はプラスチック化合物の層は、ヒートシンク115AとMEMS 105との間に延びることが可能である。例えば、第1のヒートシンク115Aは、成形された化合物109内でヒートシンク115AをMEMS105に対して位置決めするために、成形プロセスに先立ってMEMS105に接着される。一実施形態では、接着剤は、熱せられたプラスチック化合物がMEMS 105及びヒートシンク115Aを取り囲む際に、製造中に実質的に溶解することが可能である。別の実施形態では、プラスチック化合物は、ヒートシンク115Aがプラスチック化合物109により完全に取り囲まれるように、MEMS 105とヒートシンク115Aとの間に延びることが可能である。かかる完全に埋め込まれたヒートシンク115Aは、スロット103,107及びノズル127を介して流れる流体により影響を受けることから保護される。これは、比較的広範なヒートシンク材料の使用を容易化し、ひいては比較的コスト効率の良いヒートシンク115Aの実施を容易化し得るものとなる。
別の実施形態では、第1のヒートシンク115Aの一方の側は、第1の流体スロット103に隣接して延びることが可能である。ヒートシンク115Aは、第1の流体スロット103に直接曝されることが可能であり、又は流体スロット103から短い距離まで延びることが可能であり、該短い距離は、第1の流体スロット103を介して流れる流体との熱交換を可能にするのに十分な短い距離である。動作中、ヒートシンク115Aの流体冷却により、MEMS 105の冷却が改善される。
第2のヒートシンク115Bは、例えば、MEMS 105の長さの少なくとも一部に沿って、MEMS 105のすぐ近くまで延びる。第1のヒートシンク115Aと同様に、第2のヒートシンク115Bは、(i)MEMS 105に接着され、(ii)MEMS 105からプラスチック化合物109を介して短い距離まで延び、(iii)MEMS 105に直接接触し、又は(iv)熱伝導性リード線等を介してMEMS 105に間接的に接触することが可能である。更なる実施形態では、第2のヒートシンク115Bは、大気による冷却が可能となるよう正面111に隣接して延びることが可能である。一実施形態では、第2のヒートシンク115Bは大気に直接曝される。別の実施形態では、第2のヒートシンク115Bは、正面111から短い距離まで延び、間接的な空気冷却を可能にするが、空気又は流体の小滴に直接曝されないようになっている。第2のヒートシンク115Bは、MEMS 105及び正面111に隣接して延びて、それら構成要素との熱交換を可能にする一方、プラスチック化合物109により完全に取り囲まれている。更なる実施形態では、第1のヒートシンク115Aのみ又は第2のヒートシンク115Bのみが、単一のMEMS 105に沿って又は2つの対向するMEMS 105に沿って配設される。
図3は、例示的な流体推進装置201の一部を示す図である。装置201は、化合物209内に部分的に又は完全に埋め込まれたMEMS 205及びヒートシンク215を含む。図示の実施形態では、MEMS 205は、第2の流体チャネル207A,207B,207C、及び特定のチャンバ233又は一層幅の広いチャネル部分を含む。第2の流体チャネル207A,207B,207Cは、化合物209内で第1の流体チャネルに直接的又は間接的に接続されている。熱抵抗アクチュエータ225A,225Bは、第2の流体チャネル207C及びチャンバ233内に配設されている。熱抵抗アクチュエータ225A,225Bは、流体を局所的に加熱することにより、該流体を所望の方向に推進させる蒸気泡を発生させる。一実施形態では、第2の流体チャネルは、第2の流体供給スロット207A、該第2の流体供給スロット207Aからチャンバ233へ流体を供給する流体供給チャネル207B、及び循環チャネル207Cを含み、この実施例では、該循環チャネル207Cは、チャンバ233及び流体供給スロット207Aに接続されて、流体の循環を容易にする。更なる実施形態では、チャンバ233は、ノズル227(点線で示す)に隣接して配設され、チャンバ233内の熱抵抗アクチュエータ225Aは、ノズル227を介してチャンバ233から流体を吐出させる。第2の熱抵抗アクチュエータ225Bは、循環チャネル207C内に配設されている。第2の熱抵抗アクチュエータ225Bは、第2のチャネル207A,207B,207Cの様々な部分間で流体を循環させることが可能である。第2の熱抵抗アクチュエータ225Bは、第1の熱抵抗アクチュエータ225Aよりも少ないが循環流路207Cを介して流体をポンピングするのに十分なエネルギー量を受け取ることによりトリガされることが可能である
図示の実施形態では、流体的に相互接続されたチャンバ233、ノズル227、流体供給チャネル207B、流体循環チャネル207C、及びアクチュエータ225A,225Bは、共に液滴生成装置を形成する。MEMS 205の長さにわたって(例えば、第2の流体スロット207Aの長さに沿って)少なくとも1つの液滴生成装置アレイを配設することが可能である。例えば、液滴生成装置アレイは、第2の流体スロット207Aの両側に沿って配設することが可能である。
図示の実施形態では、1つの流体再循環チャネル207Cが、各発射チャンバ233毎に配設されている。他の実施形態では、熱抵抗アクチュエータを備えた1つの流体再循環チャネル207Cが複数のチャンバ233に接続することが可能である。したがって、噴射アクチュエータ225Aの量と循環アクチュエータ225Bの量との比は、1:1、2:1、又は3:1とすることが可能である。したがって、発射チャンバ233の量とMEMS 205内の流体循環チャネル207Cの量との比は、1:1、2:1、又は3:1とすることが可能である。単一の第2の流体スロット207Aに(例えば、第2の流体スロット207Aの一方の側に沿って又は第2の流体スロット207Aの上部に)流体的に接続することが可能な第1列の液滴生成装置は、約300、600、900、1200、又は1800アクチュエータ/インチのアクチュエータ密度を有することが可能であり、熱抵抗噴射アクチュエータ225A及び熱循環アクチュエータ225Bの両方を含むことが可能である。別の同様の液滴生成装置の列は、同じ第2の流体スロット207Aに流体的に接続された前記第1列の液滴生成装置の反対側及び/又は隣に延びることが可能である。同一列のアクチュエータ225A及び/又は225Bは、互いに対して互い違いにすることが可能であり、すなわち、第2の流体供給スロット207Aから異なる距離、又は僅かに異なる位置を有することが可能である。明瞭化のため、本開示では、アクチュエータの密度は、同一列内にある噴射(発射)アクチュエータと循環(ポンプ)アクチュエータの両方を含むものとすることが可能であり、該同一列内では、それらアクチュエータは流体スロット207Aに対して異なる位置を有することが可能である。
循環アクチュエータ225Bは、流体の混合を容易化することが可能であり、次いでチャネルの詰まり及びMEMS 205に対するその他の損傷を阻止することが可能である。循環アクチュエータ225Bにより、熱抵抗密度は、熱抵抗噴射アクチュエータ225Aのみを備えているMEMSと比較して高くすることが可能となる。動作中、循環アクチュエータ225は、MEMS 205を更に加熱することが可能である。両方のタイプの熱抵抗アクチュエータ225A,225Bを有する比較的高密度の熱抵抗アクチュエータを備えた比較的薄いMEMS 205は、例えば、動作時に(例えば、比較的小さい表面における比較的大量の熱抵抗器が同時に及び/又は比較的高い頻度で駆動された場合に)比較的熱くなるリスクを冒し得るものである。薄いMEMS 205内には、所望の時間枠内で抵抗器の領域から熱を伝導させ逃がすだけの十分なシリコン等の熱伝導性材料が存在しない可能性がある。更に、化合物209は、少なくともシリコンと比較して断熱特性を有するため、熱を十分に速く逃がすことができない可能性がある。特定の実施形態では、熱伝導性成分を添加するなどして熱伝導率を向上させるよう化合物209の組成を変更した場合であっても、化合物209は、シリコンのような比較的熱伝導性の高い材料と比較して依然として比較的断熱性を有し得るものである。熱伝導性化合物209であっても十分に熱を伝導しない可能性がある。
図3の例示的な流体推進装置201は、MEMS 205から離間し及び該MEMS 205に隣接して配設されたヒートシンク215を含む。ヒートシンク215は、長手方向の形状を有する(例えば、長方形にする)ことが可能であり、及びMEMS 205の長さに沿って(例えば、MEMS 205の長さの少なくとも50%、60%、80%、又は少なくとも100%に沿って)延びることが可能である。ヒートシンク215は、セラミック、未処理のシリコン、銅等の熱伝導性材料を含むことが可能である。ヒートシンク215が占有する総体積は、MEMS 205が占有する体積よりも大きくすることが可能である。一実施形態では、ヒートシンク215は、(例えば、比較的均一な材料特性を有することにより)比較的均一な熱伝導率を有することが可能である。別の実施形態では、ヒートシンク215は、MEMS 205に近いほど高い熱伝導率を有する。様々な実施形態において、ヒートシンク215は、MEMS 205に少なくとも部分的に隣接して延びること及び/又はMEMS 205上に少なくとも部分的に延びることが可能である。
一実施形態では、ヒートシンク215及びMEMS 205の両方が、化合物209によってオーバーモールドされる。例えば、ヒートシンク215は、化合物209により殆ど又は完全に取り囲まれる。例えば、ヒートシンク215とMEMS 205との間の空間241は、成形プラスチック化合物209及び/又は接着剤(例えば、エポキシ化合物)で充填することが可能である。ヒートシンク215とMEMS 205との間の距離は、約0.1〜10mm、又は約0.1〜3mmとすることが可能である。このため、流体推進装置201は、抵抗器アレイを含む高密度回路を有する比較的薄い細長いMEMS 205と少なくとも1つのヒートシンク215とが埋め込まれた化合物209を含むことが可能である。ヒートシンク215は、長手方向、棒状、帯状、及び/又は立方体の形状を有することが可能である。
図4は、流体推進装置301の断面の別の実施形態を示す図である。流体推進装置301は、成形プラスチック化合物309を含む。化合物309は、該化合物309内に埋め込まれたMEMS 305に通じる第1の流体チャネル303を含み、該第1の流体チャネル303は、該MEMS 305内の第2の流体チャネルへ流体を供給する。ヒートシンク315は、MEMS 305に隣接して化合物309に埋め込まれている。
MEMS 305は、シリコン、薄膜層、及び熱抵抗器を含むことが可能である。MEMS 305は更に、第1の流体チャネル303に流体的に接続された第2の流体チャネルを含み、前記熱抵抗器は該第2のチャネル内に配設される。一実施形態では、該第2のチャネル内に複数のチャンバが配設され、該複数のチャンバ内に熱抵抗器が配設される。
ヒートシンク315は、MEMS 305に隣接して延びている。図示の実施形態では、ヒートシンク315は、MEMS 305の隣でその上方に延びる。図示の実施形態では、ヒートシンク315の一方の側面は、第1の流体チャネル303に隣接して延び、及びヒートシンク315の他方の側面は、流体推進装置301の正面311に隣接して延びている。一実施形態では、ヒートシンク315は、MEMS 305の隣に延びる下部315Aと、MEMS 305の上方に張り出すカンチレバー部315Bとを含む。別の実施形態では、ヒートシンク315は、2つの別個のブロック又はバーを含むことが可能であり、その一方のブロック又はバーは、正面311に隣接して延び、他方のブロック又はバーは、第1の流体チャネル303に隣接して延びる。
例えば、動作中に、ヒートシンク315は、第2の流体スロット303を通って流れる流体、及び/又は正面311における空気と熱交換を行う。一実施形態では、ヒートシンク315は、冷却を向上させるために流体又は空気と直接接触する。別の実施形態では、ヒートシンク315と流体又は空気との間に保護層(例えばプラスチック化合物309の層)が延びることが可能であり、該保護層は、冷却を促進させる薄さと、腐食、損傷、摩耗等からヒートシンク315を保護する厚さを有するものとなる。
図5は、流体推進装置401の断面の更に別の実施形態を示す図である。流体推進装置401は、少なくとも1つの成形プラスチック化合物409A,409Bを含む。該化合物409A,409Bは、該化合物409に埋め込まれたMEMS405に通じる第1の流体チャネル403を含み、該第1の流体チャネル403は、MEMS405内の第2の流体チャネルに流体を配送する。更に、該化合物409内にヒートシンク415が埋め込まれている。
MEMS405は、既述のMEMS 5,105,205,305と同様の特性を有することが可能である。ヒートシンク415は、MEMS405に隣接して(例えば、MEMS405の隣に)延びる。図示の実施形態では、ヒートシンク415の一方の側部は、流体推進装置401の正面411に隣接して延びる。例えば、動作時に、ヒートシンク415は、正面311で空気と熱交換を行って冷却を促進させる。一実施形態では、ヒートシンク415は空気と直接接触する。別の実施形態では、ヒートシンク415と空気との間に保護層(例えばプラスチック化合物409の層)が延びることが可能であり、この場合、該保護層は、冷却を促進させるのに十分薄く、ヒートシンク315を腐食、損傷、摩耗等から保護するのに十分厚いものとなる。
化合物409A,409Bは、該化合物409A,409Bの第1の化合物層409Aに対して向上した熱伝導率を有する第2の化合物層409Bを含むことが可能である。例えば、MEMS405は、向上した熱伝導率を有する第2の化合物409B内に埋め込むことが可能である。例えば、ヒートシンク415は、少なくとも部分的に第2の化合物409B内に埋め込むことが可能である。例えば、第2の化合物は、MEMS405とヒートシンク415との間に延びて、該MEMS405と該ヒートシンク415との間の熱伝導率を高めることが可能である。この熱伝導率の向上は、第2のプラスチック化合物409Bに含まれる添加剤により達成することが可能である。異なる実施形態では、該添加剤は、金属、金属酸化物、銅、酸化アルミニウム、シリカ粒子、カーボンナノ粒子、セラミックなどを含むことが可能である。プラスチック化合物キャリア材料は、エポキシを含むことが可能である。添加剤は、ヒートシンク415及びMEMS405をオーバーモールドする前に、熱伝導性の添加剤が反対側の後部412付近よりも装置の正面411の近くにより多く存在するように、プラスチック化合物の所定の粒(granulates)又は層内に含有させることが可能である。一実施形態では、プラスチック化合物409A,409Bは、異なる組成のプラスチック化合物409A,409Bの複数の層を含むことが可能である。更なる実施形態では、化合物409A,409Bの組成は、熱伝導率の勾配が背面から正面へと達成されるようなものとすることが可能である。
図6ないし図9は、様々な例示的な流体推進装置501,601,701,801の正面と垂直な断面図を示している。図6ないし図9は、ヒートシンク及びMEMSの様々な例示的なパターンを示している。
図6は、複数の平行で横方向に隔置されたMEMS 505が化合物内に埋め込まれた流体推進装置501を示している。MEMS 505の長さの実質的な部分(substantial portion)に沿って、複数のヒートシンク515が埋め込まれ、及びMEMS 505に隣に平行に延びている。図示の実施形態では、1つのヒートシンク515が各MEMS 505に沿って延びている。この例示的な実施形態では、ヒートシンク515の長さは、MEMS 505の長さよりも短い。一実施形態では、これは、空間効率のためであることが可能である。別の実施形態では、MEMS 505の端部は熱抵抗器を含まず、熱抵抗器の密度が最も高い部分に熱交換を一層良好に集中させることができるようにすることが可能である。一実施形態では、より短いヒートシンク515は、MEMS 505の端部近くの化合物の空間を促進させて、MEMS 505の端部に電気回路を都合よく接続することが可能となるようにすることが可能である。別の実施形態では、僅かに短いヒートシンク515又はMEMS 515の中央部分付近のヒートシンク515は、長手方向及び横方向に隔置されたMEMS 505,505B間でMEMSの端部をオーバーラップさせることを可能とする。一実施形態として、長手方向及び横方向に隔置されたMEMS 505Bの一部が図6で点線で示されている。
図7は、複数の平行で横方向に隔置されたMEMS 605が化合物内に埋め込まれた流体推進装置601を示している。MEMS 605の端部近くに少なくとも1つのヒートシンク615が埋設され及び延びている。図示の実施形態では、1つのヒートシンク615が、複数のMEMS 605の端部に沿って延びている。例えば、ヒートシンク615は、横方向に隔置されたMEMS 605(例えば、2つ又は4つのMEMS 605)の端部に重複している。一実施形態では、MEMSの端部のヒートシンク615は、第2の流体スロットがヒートシンク615に沿って化合物を通って延びてMEMS 605の第1の流体チャネルに接続することを可能にする。図示の実施形態では、1つのヒートシンク615が、MEMS 605の各々の第1の端部に隣接して延び、もう1つのヒートシンク615が、MEMS 605の各々の反対側の第2の端部に隣接して延びている。例えば、MEMS 605の中央部分に電気回路を接続することが可能である。
図8及び図9は、複数の平行で横方向に隔置されたMEMS 705,805が化合物内に埋め込まれた流体推進装置701,801を示している。少なくとも1つのヒートシンク715,815もまた埋め込まれており、及び少なくとも部分的にMEMS 705,805の隣で該複数のMEMS 705,805に沿って長手方向に延びている。図示の実施形態では、1つのヒートシンク715,815は、各MEMS 705,805の長さの実質的な部分にわたり、2つの横方向に隔置されたMEMS 705,805間に延びている。例えば、図8では、ヒートシンク715の長さは、MEMS 705の長さよりも短い。例えば、図9では、ヒートシンク815は、MEMS 805よりも長く、各MEMS 805の端部を越えて延びている。
流体推進装置の異なる実施形態では、ヒートシンクの量とMEMSの量は、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1等とすることが可能である。特定の実施形態では、ヒートシンクは、MEMSの長さよりも短く、MEMSの長さよりも長く、又はMEMSの長さとほぼ等しくすることが可能である。
図10は、流体推進装置の製造方法の一実施形態を示している。本方法は、(i)大部分がシリコンで構成され及び流体チャネルを含むMEMS、(ii)該MEMSに隣接して該MEMSから熱を逃がすヒートシンク、及び(iii)少なくとも部分的に融解状態にあるプラスチック化合物を成形型内に配設することを含むことが可能である(ブロック100)。該MEMSは更に、流体を推進させるアクチュエータを含むことが可能である。本方法は更に、MEMS及びヒートシンクが硬化した化合物内の所定位置に固定されるように化合物を硬化させること(ブロック110)に含むことが可能である。例えば、硬化後に、MEMSの正面が露出される。
図11は、流体推進装置の製造方法の別の実施形態を示している。本方法は、ヒートシンクをMEMSに接着すること(ブロック200)を含むことが可能である。一実施形態では、MEMSは、その大部分がシリコンで構成され、及び流体回路及びアクチュエータを含む。本方法は更に、(i)MEMS及びヒートシンク、及び(ii)少なくとも部分的に融解状態にあるプラスチック化合物を成形型内に配設すること(ブロック210)を含むことが可能である。本方法は更に、硬化した化合物内の所定位置にMEMS及びヒートシンクが固定されて該MEMSが部分的に露出するように該化合物を硬化させること(ブロック220)を含むことが可能である。
図12は、流体推進装置の製造方法の更に別の実施形態を示している。本方法は、成形型内の剥離(release)テープに対してMEMS及びヒートシンクを配置すること(ブロック300)を含むことが可能である。該剥離テープは、熱剥離(thermal release)テープとすることが可能である。本方法は、成形型内にプラスチック化合物を堆積させることを含むことが可能である(ブロック310)。プラスチック化合物及び/又は成形型を加熱して、化合物を少なくとも部分的に融解させることが可能である。本方法は更に、MEMS及びヒートシンクの両方を少なくとも部分的に取り囲むように成形型内の化合物を圧縮すること(ブロック320)を含むことが可能である。本方法は更に、硬化した化合物内の所定位置にヒートシンク及びMEMSが固定されるように該化合物を硬化させること(ブロック330)を含むことが可能である。本方法は更に、MEMSから剥離テープを剥離して(ブロック340)成形型から流体推進装置を取り外すことを含むことが可能である。
図13ないし図15は、例えば、図10ないし図12の例示的な方法に対応する流体推進装置の製造方法の異なる状態を時系列で示したものである。図13は、部分的に開いた成形型を示しており、その内部には、熱い部分的に融解した化合物909、MEMS 905、及びヒートシンク915が配設されている。MEMS 905及びヒートシンク915は、剥離テープ951に接着されている。MEMS 905及びヒートシンク915はまた、接着剤929を介して互いに接着することが可能である。成形型953は、圧縮成形機の一部とすることが可能である。成形型953は、第1のシェル955及びキャリア957を含むことが可能である。キャリア957は、MEMS 905及びヒートシンク915と共に剥離テープ951を支持することが可能である。第1のシェル955は、化合物909に第1の流体チャネルを形成するための第1の流体チャネル突起957を含むことが可能である。MEMS 905は、基板と、ミクロンサイズの第2の流体チャネル907を有する薄膜層とを含むことが可能である。第1の流体チャネル突起957は、MEMS 905の背面の第2の流体チャネル907と整列するように該第2の流体チャネル907と位置合わせすることが可能である。
一実施形態では、前記突起は、前記成形型の前記第1のモールドの設計に含めることが可能である。別の実施形態では、該突起は、成形型インサート(mold insert)とすることが可能である。更に別の実施形態では、前記第1の流体チャネルは、機械加工による方法を用いて仕上げることが可能である。更に別の実施形態では、前記第1の流体チャネルは(成形することなく)成形後に完全に機械加工することが可能である。
図14において、第1のモールドシェル955及びキャリア957は、互いに向かって移動して成形型内の化合物909を圧縮し、これによりMEMS 905及びヒートシンク915がオーバーモールドされている。熱い化合物909を成形型のキャビティの形状へと圧縮した後、該化合物909を受動的に冷却して、硬化した化合物909内の所定位置にヒートシンク915及びMEMS 905を固定することが可能である。成形型953を開いた後、剥離テープ951は、ヒートシンク915及びMEMS 905から容易に剥離することが可能である。
図15は、図13及び図14の工程の結果として得られる流体推進装置901の一実施形態を示している。流体推進装置901は、化合物909に埋め込まれたヒートシンク915及びMEMS 905を含むことが可能である。化合物909は、成形プロセスにより少なくとも部分的に形成され及び/又は機械加工プロセスにより少なくとも部分的に成形された第1の流体チャネル903を含む。第1の流体チャネル903は、MEMS 905内の第2の流体チャネル907と位置合わせされ及び該第2の流体チャネル907と流体的に接続している。ヒートシンク915は、少なくともMEMS 905の動作中に該MEMS 905から熱を逃がすように該MEMS 905の隣に隣接して延びている。
本開示の流体推進装置は、異なる用途を有することが可能である。その1つの用途は、2Dプリンティング、3Dプリンティング、又はデジタル滴定などの高精度のデジタル制御による流体の分配とすることが可能であり、この場合、該流体は、MEMSの正面のノズルから噴射される。ラボ・オン・チップのような流体推進装置の他の実施形態は、必ずしもノズルを備える必要はない。MEMSは、必ずしも流体を噴射することなく、流体が害装置を通って流れることを可能にするように構成することが可能である。MEMSは、第2の流体チャネルを通って流体を推進させるための噴出装置及び/又はポンプとして作用する熱アクチュエータ又は圧電アクチュエータを含むことが可能である。
異なる実施例では、前記化合物は、エポキシ成形化合物、サーマルプラスチックなどとすることが可能である。ヒートシンクは、任意の形状及び/又はサイズを有することが可能である。ヒートシンクは、プラスチック化合物内に埋め込むことが可能な比較的安価な熱伝導性材料から作成することが可能である。適切なヒートシンク材料として、銅、セラミック、未処理又は半処理(semi-processed)(バルク)シリコン、アルミニウム、ニッケル鉄合金、カーボンナノ粒子などが挙げられる。適切なヒートシンクの形状としては、ブロック状または長方形のヒートシンクを適用することが可能であるが、熱伝導率を高めるために適用することができるフィン状、ねじ山状などを含むことが可能である。
流体推進装置は、より大きな装置の副構成要素とすることが可能である。本開示における特定の側面又は方向への言及は、例示的なものであり、限定的なものではないと解釈されるべきである。提示した装置は任意の方向を有することが可能である。図面に示す寸法及び比率は、一実施形態の図であり、限定として説明されるべきではない。
図面では、限られた量のアクチュエータ及び流体チャネルを示したが、各MEMSは、高密度アクチュエータアレイ、高密度流体チャネルアレイ、高密度チャンバアレイ、及び/又は高密度ノズルアレイ等を含むことが可能である。また、横方向に隣接する複数の行のMEMSの端部が重なり合う少なくとも2つの長手方向に積み重ねられたMEMSを各流体推進装置に配設することが可能である。例示的な流体推進装置は、2D又は3Dプリンティングのための媒体幅流体分配装置とすることが可能である。各MEMS内で、各流体チャネルは実際には複数の流体チャネルを含むことが可能である。特定の実施形態では、MEMS内の最小の流体チャネルの断面直径は、約1〜40ミクロン程度とすることが可能である。
本開示のヒートシンクは、コスト効率及び熱伝導性の両方が高い単一の固体材料とすることが可能である。例えば、該材料は、任意のバルク材料又は合金とすることが可能である。ヒートシンクは、長手方向、棒状、帯状、及び/又はブロック状の形状とすることが可能である。他の実施形態では、ヒートシンクは、冷却を向上させるための突出したフィン又はワイヤを有することが可能である。
以下においては、本発明の種々の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施形態を示す。
1.第1の流体チャネルを有するプラスチック化合物構造体と、
該化合物内に埋め込まれたMEMSであって、基板と、前記第1の流体チャネルと流体的に接続された第2の流体チャネルと、該第2の流体チャネル内の流体推進アクチュエータとを含む、MEMSと、
該MEMSから熱を逃がすための該MEMSの隣のヒートシンクと
を備えた流体推進装置であって、
前記ヒートシンクが、前記化合物により少なくとも部分的に取り囲まれており、
前記MEMSが、2.3mm未満の幅と0.8mm未満の厚さとを有し、
該MEMSが、一列のアクチュエータにつき少なくとも300個/インチの平均密度を有する、流体推進装置。
2.前記ヒートシンクが、前記MEMSの長さの少なくとも半分に沿って延びる、前項1に記載の流体推進装置。
3.前記ヒートシンクの総体積が、前記MEMSの総体積よりも大きい、前項1に記載の流体推進装置。
4.前記基板がシリコンを含み、前記第2の流体チャネルが該基板を通って延び及び前記第1の流体チャネルに接続し、
前記MEMSが、正面の近傍で前記基板上に薄膜構造体を含み、及び前記第2の流体チャネルに接続された流体を吐出するためのノズルを有し、
前記ヒートシンクが、前記正面と垂直な方向から見て前記MEMSの隣に延びている、
前項1に記載の流体推進装置。
5.前記アクチュエータが、前記ノズルから流体を吐出するための噴射アクチュエータを該ノズルの近くで前記薄膜構造体内に含む、前項4に記載の流体推進装置。
6.前記アクチュエータが、前記第2のチャネルを介して流体を循環させるポンプとして作用する熱抵抗器を含む、前項1に記載の流体推進装置。
7.前記化合物が、前記MEMSと前記ヒートシンクとの間に延びる、前項1に記載の流体推進装置。
8.前記化合物が、第1の化合物と、該第1の化合物よりも高い熱伝導率を有する異なる組成の第2の化合物とを含み、前記MEMS及び前記ヒートシンクが、該第2の化合物内に少なくとも部分的に埋め込まれている、前項1に記載の流体推進装置。
9.平行に配置された複数の長手方向の形状を有するMEMSを含む、前項1に記載の流体推進装置。
10.1つのヒートシンクが、少なくとも2つのMEMSの隣に延びて該2つのMEMSから熱を逃がす、前項9に記載の流体推進装置。
11.前記MEMSより多くの前記ヒートシンクを含む、前項1に記載の流体推進装置。
12.前記ヒートシンクが、前記化合物により完全に取り囲まれている、前項1に記載の流体推進装置。
13.前記ヒートシンクが、前記化合物内に埋め込まれており、及び少なくとも動作時に大気又は流体に対して少なくとも部分的に曝される、前項1に記載の流体推進装置。
14.流体チャネルと該流体チャネル内の少なくとも1つのアクチュエータとを含むMEMSと、
該MEMSから熱を逃がすための該MEMSに隣接したヒートシンクと、
少なくとも部分的に融解状態にあるプラスチック化合物と
を成形型内に配設し、
硬化後に前記化合物内で前記MEMS及び前記ヒートシンクが所定位置に固定されるように前記成形型内の前記化合物を圧縮し及び硬化させ、
該化合物内の流体チャネルを前記MEMS内の前記流体チャネルと位置合わせする
ことを含む、流体推進装置の製造方法。
15.前記成形型内に配置する前に前記ヒートシンクを前記MEMSに接着することを含む、前項14に記載の方法。
16.流体推進用MEMS及びヒートシンクを成形型内の剥離テープに対して配置し、該MEMSが、2.3mm未満の幅と0.8mm未満の厚さとを有し、その大部分がシリコンで構成され、並びに流体チャネル及び該流体チャネル内の熱抵抗器アレイを含み、
前記MEMS及び前記ヒートシンクの少なくとも一方を少なくとも部分的に覆うように前記成形型内にプラスチック化合物を堆積させ、
前記MEMS及び前記ヒートシンクを少なくとも部分的に取り囲むように前記成形型内の前記化合物を圧縮し、
前記化合物を硬化させることにより前記ヒートシンク及び前記MEMSを該化合物内の所定位置に固定し、
前記剥離テープを剥離させる
ことを含む、流体推進装置の製造方法。