JP2020074308A - 電池用粘着シートおよびリチウムイオン電池 - Google Patents

電池用粘着シートおよびリチウムイオン電池 Download PDF

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耕輔 ▲高▼田
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Abstract

【課題】粘着シートが電解液に接触した場合であっても、被着体に対して良好な粘着力を発揮するとともに、粘着剤が電解液に溶出し難い粘着性組成物、電池用粘着シートおよびリチウムイオン電池を提供する。【解決手段】基材11と粘着剤層13とを備える電池用粘着シート1であって、基材11が主鎖に窒素含有環構造を有する重合体からなるフィルムであり、粘着剤層13が、重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が6個以上20個以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および分子内にカルボキシ基を有するモノマーを含み、重量平均分子量が5万以上250万以下であり、ガラス転移温度が−70℃以上0℃未満である(メタ)アクリル酸エステル重合体と、金属キレート系架橋剤とを含有する粘着性組成物から形成されたものであり、粘着剤層13を構成する粘着剤を非水系電解液の溶媒に80℃で72時間浸漬した後における粘着剤のゲル分率が80%以上100%以下である電池用粘着シート1。【選択図】図1

Description

本発明は、電池用の粘着シート、当該電池用粘着シートの粘着剤層を形成するための粘着性組成物、およびそれらを用いて製造されたリチウムイオン電池に関するものである。
一部の電池では、正極と、負極と、それらの間に位置するセパレータとが積層されてなる帯状の積層体が巻き取られた状態で内部に収容されている。正極および負極には、導電体からなる電極取り出しタブがそれぞれ接続されており、これらの電極取り出しタブを介して、正極および負極は、それぞれ電池の正極端子および負極端子に電気的に接続されている。
上記積層体の巻き留めや、電極への電極取り出しタブの固定には、粘着テープが使用される。特許文献1には、このような粘着テープが開示されている。この粘着テープは、基材と、当該基材の一方の面に設けられた粘着剤層とからなり、粘着剤層は、ゴム、特にブチルゴムを主剤とするものからなる。
特開2011−138632号公報
電池内部に使用される粘着テープは、電池内部に充填された電解液に接触したり、充放電等の際に発生する熱に曝されたりする可能性がある。特に近年、小型で高性能の電池の開発が進められており、電池内部に使用される粘着テープは、より厳しい条件下に曝されることとなる。
電池としての性能を良好に発揮するためには、粘着テープは、上述のような厳しい条件下に曝されたとしても、被着体との間で高い密着性を維持すること、そして粘着剤が電解液に溶出せずに、電池性能に悪影響を及ぼさないことが要求される。しかしながら、従来の粘着テープでは、そのような要求を十分満たすことができないことがあった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、粘着シートが電解液に接触した場合であっても、被着体に対して良好な粘着力を発揮するとともに、粘着剤が電解液に溶出し難い粘着性組成物、電池用粘着シートおよびリチウムイオン電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材の一方の面側に積層された粘着剤層とを備える電池用粘着シートであって、前記基材が、主鎖に窒素含有環構造を有する重合体からなるフィルムであり、前記粘着剤層が、重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が6個以上、20個以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および分子内にカルボキシ基を有するモノマーを含み、重量平均分子量が5万以上、250万以下である(メタ)アクリル酸エステル重合体と、金属キレート系架橋剤とを含有する粘着性組成物から形成されたものであり、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度が、−70℃以上、0℃未満であり、前記粘着剤層を構成する粘着剤を非水系電解液の溶媒に80℃で72時間浸漬した後における前記粘着剤のゲル分率が、80%以上、100%以下であることを特徴とする電池用粘着シートを提供する(発明1)。なお、本明細書において、シートにはテープの概念も含まれるものとする。
上記発明(発明1)においては、(メタ)アクリル酸エステル重合体が、当該重合体を構成するモノマー単位として、特に、アルキル基の炭素数が6個以上、20個以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことによって、良好な粘着性を発揮するとともに、その疎水性に起因して耐電解液性にも優れたものとなる。そのため、電池用粘着シートの粘着剤層を、上記発明(発明1)に係る粘着性組成物によって形成すると、当該電池用粘着シートが電解液に接触した場合であっても、粘着剤層が膨潤によって凝集破壊することが抑制され、被着体に対して優れた粘着力が発揮されるとともに、粘着剤が電解液に溶出し難い。
上記発明(発明1)においては、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体が、当該重合体を構成するモノマー単位として、分子内に脂環式構造を有するモノマーを含むことが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記基材における前記粘着剤層側の面には、ハードコート層が形成されていることが好ましい(発明3)。なお、本明細書におけるハードコート層は、基材よりも硬い材料からなる層を意味し、フィルムの最表層に存在する層を意味するものではない。
第2に本発明は、電池の内部にて、前記電池用粘着シート(発明1〜3)を用いて、2つ以上の導電体同士が接触した状態で固定されていることを特徴とするリチウムイオン電池を提供する(発明4)。
本発明に係る粘着性組成物、電池用粘着シートおよびリチウムイオン電池によれば、電池用粘着シートが電解液に接触した場合であっても、粘着剤層が膨潤によって凝集破壊することが抑制され、電池用粘着シートが被着体に対して優れた粘着力を発揮するとともに、粘着剤が電解液に溶出し難い。
本発明の一実施形態に係る電池用粘着シートの断面図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の部分断面分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の電極体の展開斜視図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着性組成物〕
本発明の一実施形態に係る粘着性組成物は、電池用粘着シートの粘着剤層を形成するための粘着性組成物である。本明細書における「電池用粘着シート」は、電池の製造において電解液に接触する可能性のある箇所で使用される粘着シートであり、好ましくは電池の内部にて使用される粘着シートであり、電池内装用粘着シートであってもよい。電池としては、非水系電池であることが好ましい。したがって、当該電池に使用する電解液は非水系電解液であることが好ましい。本明細書における電池用粘着シートは、非水系電池内部の電解液に浸漬する可能性のある部位または電解液に接触する可能性のある部位に貼付される粘着シートであることが好ましい。非水系電池としては、リチウムイオン電池が特に好ましい。
本実施形態に係る粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という場合がある。)は、重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が6個以上、20個以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および分子内にカルボキシ基を有するモノマー(カルボキシ基含有モノマー)を含む(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を含有し、好ましくはさらに金属キレート系架橋剤(B)を含有し、特に好ましくはさらにシランカップリング剤(C)を含有する。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。また、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
(1)各成分
(1−1)(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が6〜20個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および分子内にカルボキシ基を有するモノマー(カルボキシ基含有モノマー)を含む。
上記アルキル基の炭素数が6〜20個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、得られる粘着剤に良好な粘着性を付与するとともに、アルキル基の炭素数が多いことによって疎水性を示す。この疎水性は、電解液(非水系電解液を含む)に対する親和性が低いという性質を有する。したがって、得られる粘着剤は、良好な粘着力を発揮するとともに、上記の疎水性により耐電解液性にも優れたものとなる。そのため、電池用粘着シートの粘着剤層を、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を含有する粘着性組成物Pによって形成すると、当該電池用粘着シートが電解液に接触した場合(浸漬した場合を含む)であっても、粘着剤層が膨潤によって凝集破壊することが抑制され、電池用粘着シートが被着体に対して優れた粘着力を発揮する。また、粘着剤層を構成する粘着剤が電解液に溶出し難く、粘着剤が電池性能に悪影響を及ぼさない。これらによって、電池用粘着シートに起因する電池の誤作動、熱暴走および短絡が抑制される。
アルキル基の炭素数が6〜20個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの当該アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。当該アルキル基の炭素数は、疎水性の観点から、6個以上であることを必要とし、7個以上であることが好ましく、特に8個以上であることが好ましい。一方、当該アルキル基の炭素数は、粘着性の観点から、20個以下であることを必要とし、18個以下であることが好ましく、特に15個以下であることが好ましく、さらには10個以下であることが好ましい。
アルキル基の炭素数が6〜20個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル中でも、粘着性および疎水性の観点から、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、アクリル酸n−ドデシル等が好ましく、特にアクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸イソオクチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が6〜20個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがより好ましく、特に70質量%以上含有することが好ましく、さらには75質量%以上含有することが好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%以上含有すると、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)はより優れた粘着性および耐電解液性を発揮することができる。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを99質量%以下含有することが好ましく、97質量%以下含有することがより好ましく、特に90質量%以下含有することが好ましく、さらには85質量%以下含有することが好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを99質量%以下とすることにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)中に他のモノマー成分を好適な量導入することができる。
一方、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が当該重合体を構成するモノマー単位として含むカルボキシ基含有モノマーは、得られる粘着剤の粘着力を向上させる効果がある。また、粘着性組成物Pが後述する金属キレート系架橋剤(B)を含有する場合、上記カルボキシ基含有モノマー由来のカルボキシ基は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の架橋時に金属キレート系架橋剤(B)と反応し、それによって、三次元網目構造である架橋構造が形成される。このカルボキシ基と金属キレート系架橋剤(B)との反応による架橋構造を有する粘着剤は、電解液、特に非水系電解液に対する耐性が高く、当該電解液に接触しても溶出し難い。したがって、上記アルキル基の炭素数が6〜20個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルによる耐電解液性と相まって、得られる粘着剤は、電解液により溶出し難いものとなる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸が好ましい。アクリル酸によれば、上記の効果がより優れたものとなる。上記カルボキシ基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを、下限値として0.5質量%以上含有することが好ましく、特に1質量%以上含有することが好ましく、さらには3質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを、上限値として30質量%以下含有することが好ましく、特に20質量%以下含有することが好ましく、さらには10質量%以下含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)がモノマー単位として上記の量でカルボキシ基含有モノマーを含有すると、得られる粘着剤において上記の効果がより優れたものとなる。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、分子内に脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)を含むことが好ましい。この脂環式構造含有モノマーは、嵩高いことによって疎水性を示す。したがって、得られる粘着剤は、上記アルキル基の炭素数が6〜20個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルによる疎水性と相まって、得られる粘着剤は、耐電解液性により優れたものとなる。そのため、当該電池用粘着シートが電解液に接触した場合であっても、粘着剤層が膨潤によって凝集破壊することがより効果的に抑制され、電池用粘着シートが被着体に対してより優れた粘着力を発揮する。また、粘着剤層を構成する粘着剤が電解液により溶出し難いものとなる。
脂環式構造含有モノマーにおける脂環式構造の炭素環は、飽和構造のものであってもよいし、不飽和結合を一部に有するものであってもよい。また、脂環式構造は、単環の脂環式構造であってもよいし、二環、三環等の多環の脂環式構造であってもよい。上記の疎水性、それによる耐電解液性の観点から、上記脂環式構造は、多環の脂環式構造(多環構造)であることが好ましい。さらに、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と他の成分との相溶性を考慮して、上記多環構造は、二環から四環であることが特に好ましい。また、耐電解液性を効果的に発揮させる観点から、脂環式構造の炭素数(環を形成している部分の全ての炭素数をいい、複数の環が独立して存在する場合には、その合計の炭素数をいう)は、通常5以上であることが好ましく、7以上であることが特に好ましい。一方、脂環式構造の炭素数の上限は特に制限されないが、上記と同様に相溶性の観点から、15以下であることが好ましく、10以下であることが特に好ましい。
脂環式構造としては、例えば、シクロヘキシル骨格、ジシクロペンタジエン骨格、アダマンタン骨格、イソボルニル骨格、シクロアルカン骨格(シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、シクロノナン骨格、シクロデカン骨格、シクロウンデカン骨格、シクロドデカン骨格等)、シクロアルケン骨格(シクロヘプテン骨格、シクロオクテン骨格等)、ノルボルネン骨格、ノルボルナジエン骨格、キュバン骨格、バスケタン骨格、ハウサン骨格、スピロ骨格などを含むものが挙げられ、中でも、より優れた耐久性を発揮する、ジシクロペンタジエン骨格(脂環式構造の炭素数:10)、アダマンタン骨格(脂環式構造の炭素数:10)またはイソボルニル骨格(脂環式構造の炭素数:7)を含むものが好ましく、特にイソボルニル骨格を含むものが好ましい。
上記脂環式構造含有モノマーとしては、上記の骨格を含む(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が挙げられ、中でも、より優れた耐久性を発揮する、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチルまたは(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましく、特に(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として脂環式構造含有モノマーを含有する場合、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、疎水性をより高める観点から、脂環式構造含有モノマーを5質量%以上含有することが好ましく、特に7.5質量%以上含有することが好ましく、さらには10質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、アルキル基の炭素数6〜20個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの量が不足して、耐電解液性が低下するのを防ぐ観点から、当該重合体を構成するモノマー単位として、脂環式構造含有モノマーを35質量%以下含有することが好ましく、特に30質量%以下含有することが好ましく、さらには20質量%以下含有することが好ましい。脂環式構造含有モノマーの含有量が上記の範囲にあることで、上記の耐電解液性がより優れたものとなる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、所望により、当該重合体を構成するモノマー単位として、他のモノマーを含有してもよい。他のモノマーとしては、反応性を有する官能基(カルボキシ基を除く)を含むモノマーであってもよいし、反応性を有する官能基を含まないモノマーであってもよい。
反応性を有する官能基を含むモノマーとしては、分子内に水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)、分子内にアミノ基を有するモノマー(アミノ基含有モノマー)等が挙げられる。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、カルボキシ基と金属キレート系架橋剤(B)との反応による架橋構造によって得られる効果を阻害しないためにも、反応性を有する官能基を含むモノマーは、前述のカルボキシ基含有モノマーのみとすることが好ましい。
一方、反応性を有する官能基を含まないモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアルキル基の炭素数が1〜4個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリロイルモルホリン等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は、下限値として5万以上であることが好ましく、10万以上であることがより好ましく、特に20万以上であることが好ましく、さらには50万以上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量の下限値が上記以上であると、得られる粘着剤の電解液への耐溶出性がより優れたものとなる。
また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は、上限値として250万以下であることが好ましく、200万以下であることがより好ましく、特に150万以下であることが好ましく、さらには120万以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量の上限値が上記以下であると、得られる粘着剤の粘着力がより優れたものとなる。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、上限値として、20℃未満であることが好ましく、特に0℃未満であることが好ましく、さらには−40℃未満であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度の上限値が上記であると、粘着剤の常温におけるタックが高く、電解液浸漬時に剥がれにくいものとなる。一方、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)の下限値は、特に限定されないが、電解液中での耐久性を向上させる観点から、通常は−70℃以上であることが好ましく、特に−62.5℃以上であることが好ましく、さらには−55℃以上であることが好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を構成する各モノマーのホモポリマーとしてのガラス転移温度(Tg)に基づき、FOXの式により算出したものとする。
なお、粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(1−2)金属キレート系架橋剤(B)
粘着性組成物Pは、金属キレート系架橋剤(B)を含有することが好ましい。粘着性組成物Pが金属キレート系架橋剤(B)を含有すると、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が金属キレート系架橋剤(B)によって架橋された粘着剤が得られる。この架橋構造を有する粘着剤は、電解液、特に非水系電解液に対する耐性が高く、上記アルキル基の炭素数が6〜20個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルによる耐電解液性と相まって、電解液により溶出し難いものとなる。
金属キレート系架橋剤(B)としては、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズ等である金属キレート化合物を使用することができる。中でもアルミニウムキレート化合物が特に好ましい。アルミニウムキレート化合物は、前述した電解液への耐溶出性を特に効果的に発揮する。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノ−N−ラウロイル−β−アラネートモノラウリルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(イソブチルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(2−エチルヘキシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(ドデシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(オレイルアセトアセテート)キレート等が挙げられる。これらの中でも、上記効果の観点から、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、その他の金属キレート化合物としては、例えば、チタニウムテトラプロピオネート、チタニウムテトラ−n−ブチレート、チタニウムテトラ−2−エチルヘキサノエート、ジルコニウムsec−ブチレート、ジルコニウムジエトキシ−tert−ブチレート、トリエタノールアミンチタニウムジプロピオネート、チタニウムラクテートのアンモニウム塩、テトラオクチレングリコールチタネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の金属キレート系架橋剤(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る粘着剤組成物P中における金属キレート系架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、下限値として0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、特に0.5質量部以上であることが好ましく、さらには1.2質量部以上であることが好ましい。また、金属キレート系架橋剤(B)の含有量は、上限値として5質量部以下であることが好ましく、特に4質量部以下であることが好ましく、さらには3質量部以下であることが好ましい。金属キレート系架橋剤(B)の含有量が上記の範囲にあることにより、前述した効果がより優れたものとなる。
(1−3)シランカップリング剤(C)
粘着性組成物Pは、さらにシランカップリング剤(C)を含有することが好ましい。粘着性組成物Pがシランカップリング剤(C)を含有すると、電池用粘着シートが電解液に接触した場合(浸漬した場合を含む)であっても、被着体に対して(特に金属部材に対して)優れた粘着性を発揮する。それにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を構成するアルキル基の炭素数が6〜20個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルによる粘着性および耐電解液性との重畳的作用が発揮されて粘着力がより向上し、電池用粘着シートが被着体から剥がれることが効果的に抑制される。その結果、当該電池用粘着シートに起因する電池性能の低下が抑制される。また、電池用粘着シートにおいて基材の粘着剤層側の面にハードコート層が形成されている場合であっても、上記粘着剤層はハードコート層に対する密着性が高いものとなる。そのため、電池用粘着シートの電解液への浸漬によってハードコート層と粘着剤層との界面で剥がれ等が生じることを防止し、電解液溶媒浸漬後の粘着力をより高いものとすることができる。また、粘着剤層から剥離シートを剥離するときに、粘着剤層が剥離シートに転着してハードコート層から剥離することも抑制することができる。
シランカップリング剤(C)としては、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物であって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)との相溶性がよいものが好ましい。
かかるシランカップリング剤(C)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有ケイ素化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、あるいはこれらの少なくとも1つと、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有ケイ素化合物との縮合物などが挙げられる。これらの中でも、上記効果の観点から、エポキシ構造を有するケイ素化合物が好ましく、特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着性組成物P中におけるシランカップリング剤(C)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、特に0.1質量部以上であることが好ましく、さらには0.4質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、特に3質量部以下であることが好ましく、さらには1.5質量部以下であることが好ましい。シランカップリング剤(C)の含有量が上記の範囲にあることにより、電解液溶媒浸漬後の粘着力がより優れたものとなる。
(1−4)各種添加剤
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えば粘着付与剤、酸化防止剤、軟化剤、充填剤などを添加することができる。なお、後述の重合溶媒や希釈溶媒は、粘着性組成物Pを構成する添加剤に含まれないものとする。
(2)粘着性組成物の製造
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)に、所望により、金属キレート系架橋剤(B)、シランカップリング剤(C)、添加剤等を加えることで製造することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、重合体を構成するモノマーの混合物を通常のラジカル重合法で重合することにより製造することができる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法等により行うことができる。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
なお、上記重合工程において、2−メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が得られたら、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の溶液に、所望により金属キレート系架橋剤(B)、シランカップリング剤(C)、添加剤等を添加し、十分に混合することにより、粘着性組成物Pを得る。
なお、粘着性組成物Pは、塗工に適切な粘度に調整したり、粘着剤層を所望の膜厚に調整するため、適宜、前述の重合溶媒に加え、希釈溶媒等で希釈して、後述する塗布液としてもよい。希釈溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
〔電池用粘着シート〕
本発明の一実施形態に係る電池用粘着シートは、基材と、基材の一方の面側に積層された粘着剤層とを備え、当該粘着剤層が、前述した粘着性組成物Pから形成されたものである。以下、好ましい実施形態に係る電池用粘着シートについて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る電池用粘着シート1は、基材11と、基材11の一方の面側に設けられたハードコート層12と、ハードコート層12における基材11とは反対側に設けられた粘着剤層13と、粘着剤層13におけるハードコート層12とは反対側に設けられた剥離シート14とから構成される。粘着剤層13は、前述した粘着性組成物Pから形成されたものである。なお、本発明においてハードコート層12および剥離シート14は必須構成要素ではなく、それぞれ省略されてもよい。
前述した粘着性組成物Pから形成された粘着剤層13を有する電池用粘着シート1は、電解液に接触した場合(浸漬した場合を含む)であっても、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を構成するアルキル基の炭素数が6〜20個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの良好な粘着性および耐電解液性により、粘着剤層13が膨潤によって凝集破壊することが抑制され、電池用粘着シート1が被着体に対して優れた粘着力を発揮する。また、粘着剤層13を構成する粘着剤が電解液に溶出し難く、粘着剤が電池性能に悪影響を及ぼさない。これらによって、電池用粘着シート1に起因する電池の誤作動、熱暴走および短絡が抑制される。
また、本実施形態に係る電池用粘着シート1は、ハードコート層12を備えることにより、基材11や粘着剤層13が炭化した場合であっても、絶縁性を確保することができ、電池の安全性を向上させることができる。
1.基材
本実施形態に係る電池用粘着シート1では、基材11は、UL94規格の難燃レベルV−0を満たす難燃性を有することが好ましい。基材11がこのような難燃性を有することにより、通常の電池の使用により発熱した場合であっても、基材11の変性や変形が抑制される。また、電池に不具合が発生し、過度に発熱した場合であっても、基材11の発火や燃焼が抑制され、重大な事故が防止される。
基材11の材料は、難燃性、耐熱性、絶縁性、電解液との反応性、電解液の透過性等の観点から適宜選択できる。特に、基材11としては、樹脂フィルムを使用することが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリウレタン樹脂フィルム、ノルボルネン系重合体フィルム、環状オレフィン系重合体フィルム、環状共役ジエン系重合体フィルム、ビニル脂環式炭化水素重合体フィルム等の樹脂フィルムまたはそれらの積層フィルムが挙げられる。特に、優れた難燃性および耐熱性を示す観点から、主鎖に窒素を含む重合体のフィルム(当該重合体以外の成分を含有してもよい。本明細書にて同様。)が好ましく、特に主鎖に窒素含有環構造を有する重合体のフィルムが好ましく、さらには、主鎖に窒素含有環構造および芳香環構造を有する重合体のフィルムが好ましい。具体的には、例えば、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルムまたはポリエーテルエーテルケトンフィルムが好ましく、これらの中でもより高い耐熱性を示すポリイミドフィルムが好ましい。
基材11の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、特に10〜100μmであることが好ましく、さらには15〜40μmであることが好ましい。基材11の厚さが5μm以上であることにより、基材11に適度な剛性が付与され、基材11にハードコート層12を形成する際に硬化収縮が発生した場合であってもカールの発生が効果的に抑制される。また、基材11の厚さが200μm以下であることにより、電池用粘着シート1が適度な柔軟性を有し、電極と電極取り出しタブとを固定する場合のように、段差が存在する面に電池用粘着シート1を貼付する場合であっても、当該段差に対して良好に追従することができる。
2.ハードコート層
(1)ハードコート層の物性
本実施形態に係る電池用粘着シート1では、基材11に設けられた状態におけるハードコート層12は、#0000のスチールウールを用いて、250g/cmの荷重でハードコート層12を10cm、10往復擦り、傷が生じないことが好ましい。このような耐スチールウール性の評価を有すると、電解液のハードコート層12の透過が効果的に遮断され、ハードコート層12の膨潤による無機フィラーの抜け出しが効果的に抑制される。
(2)ハードコート層の組成
ハードコート層12は、有機成分と無機フィラーとを含有する組成物(以下「ハードコート層用組成物」ということがある。)から形成されることが好ましい。特に、ハードコート層12は、活性エネルギー線硬化性成分と無機フィラーとを含有する組成物を硬化させた材料からなることが好ましい。
(2−1)活性エネルギー線硬化性成分
活性エネルギー線硬化性成分としては、活性エネルギー線の照射により硬化して所望の硬度を発揮するものであれば特に限定されない。
具体的な活性エネルギー線硬化性成分としては、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー、(メタ)アクリレート系プレポリマー、活性エネルギー線硬化性ポリマー等が挙げられるが、中でも多官能性(メタ)アクリレート系モノマーおよび/または(メタ)アクリレート系プレポリマーであることが好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系モノマーおよび(メタ)アクリレート系プレポリマーは、それぞれ単独で使用してもよいし、両者を併用してもよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味する。他の類似用語も同様である。
多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、多官能(メタ)アクリレート系モノマーは、特に制約されないが、電解液浸漬下にてハードコート層12から無機フィラーの抜け出しを防止する観点から、分子量1000未満のものであることがより好ましい。
一方、(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系等のプレポリマーが挙げられる。プレポリマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のハードコート層12を構成する活性エネルギー線硬化性成分は、硬化後のガラス転移点が130℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、ガラス転移点が観測されないものであることが特に好ましい。活性エネルギー線硬化性成分のガラス転移点が上述の通りであることにより、ハードコート層12の耐熱性が優れたものとなり、このようなハードコート層12が設けられた電池用粘着シート1を含む電池の性能および安全性も優れたものとなる。
なお、本実施形態のハードコート層12にて活性エネルギー線硬化性成分を2種以上使用する場合、それらの活性エネルギー線硬化性成分は、互いに相溶性に優れたものであることが好ましい。
(2−2)無機フィラー
本実施形態のハードコート層12を構成するハードコート層用組成物は、無機フィラーを含有することが好ましい。無機フィラーを含有することで、本実施形態のハードコート層12に剛性が付与され、高温下あるいは電解液浸漬下での衝撃等により電池用粘着シート1が破れたり穴が空いたりする等の破損を防止することができる。
好ましい無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、ベーマイト、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、炭化珪素、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、シリカ、アルミナ、ベーマイト、酸化チタン、酸化ジルコニウム等が好ましく、活性エネルギー線硬化性成分中への分散性の観点からシリカ、アルミナおよび酸化ジルコニウムが好ましい。なお、これらの無機フィラーは、分散媒中に分散しゾル状となった形態で使用することもできる。
また、無機フィラーは、表面修飾されていることも好ましい。このような無機フィラーとして、反応性シリカを例示することができる。
本明細書において「反応性シリカ」とは、活性エネルギー線硬化性不飽和基を有する有機化合物で表面修飾されたシリカ微粒子をいう。上記活性エネルギー線硬化性不飽和基を有する有機化合物で表面修飾されたシリカ微粒子(反応性シリカ)は、例えば、通常、平均粒径1〜200nmのシリカ微粒子表面のシラノール基に、当該シラノール基と反応し得る官能基(例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシ基等)を有する活性エネルギー線硬化性不飽和基含有有機化合物を反応させることにより、得ることができる。なお、上記活性エネルギー線硬化性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基やビニル基を好ましく挙げることができる。
このような反応性シリカと、前述した多官能性(メタ)アクリレート系モノマーおよび/または(メタ)アクリレート系プレポリマーとを含有する有機無機ハイブリッド材料(オルガノシリカゾル)としては、例えば商品名「オプスターZ7530」、「オプスターZ7524」、「オプスターTU4086」、「オプスターZ7537」(以上、JSR社製)等を使用することができる。
好ましい無機フィラーのその他の例としては、アルミナセラミックナノ粒子、シリカ表面のシラノール基がむき出しのままのシリカ微粒子が分散媒中にコロイド状態で懸濁しているシリカゾル、シリカ表面のシラノール基がシランカップリング剤等で表面処理されたオルガノシリカゾル等が挙げられる。
本実施形態において用いる無機フィラーは、平均粒径が1〜1000nmであることが好ましく、10〜500nmであることが特に好ましく、15〜200nmであることがさらに好ましい。無機フィラーの平均粒径が1nm以上であることで、ハードコート層用組成物を硬化させたハードコート層12が、より高い剛性を有するものとなる。また、無機フィラーの平均粒径が1000nm以下であることで、ハードコート層用組成物中における無機フィラーの分散性が優れたものとなり、基材11上にハードコート層12を形成した際に、ハードコート層12における基材11とは反対側の面における凹凸の発生を効果的に防止することができる。さらに、当該面上に粘着剤層13を形成することで、粘着剤層13におけるハードコート層12とは反対側の面において非常に高い平滑性を得ることができる。これにより、粘着剤層13は被着体に対して優れた密着性を発揮することができる。なお、無機フィラーの平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定したものとする。
本実施形態のハードコート層12における無機フィラーの含有量は、ハードコート層12に対して0〜90質量%(90質量%以下)であることが好ましく、30〜85質量%であることがより好ましく、40〜80質量%であることが特に好ましく、45〜70質量%であることがさらに好ましい。無機フィラーを含有する場合には、その含有量が30質量%以上であることで、ハードコート層12に付与される剛性がより高いものとなる。一方、無機フィラーの含有量が90質量%以下であることで、ハードコート層用組成物を用いた層形成が容易になる。
(2−3)その他の成分
本実施形態のハードコート層12を形成するための組成物は、上述した成分以外に、各種添加剤を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、光重合開始剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、着色剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、消泡剤、有機系充填材等が挙げられる。
活性エネルギー線として紫外線を使用してハードコート層12を形成する場合、光重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤としては、使用する活性エネルギー線硬化性成分の光重合開始剤として機能するものであれば特に限定されないが、例えば、アシルホスフィンオキサイド系化合物、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物等が挙げられる。具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン―1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノンなどが例示できる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ハードコート層用組成物中における上記光重合開始剤の含有量は、通常は、活性エネルギー線硬化性成分100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、特に1〜15質量部であることが好ましい。
(3)ハードコート層の厚さ
ハードコート層12の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、特に0.5〜7μmであることが好ましく、さらには1〜4μmであることが好ましい。ハードコート層12の厚さが0.1μm以上であることにより、電解液によるハードコート層12の透過が効果的に遮断される。また、ハードコート層12の厚さが10μm以下であることにより、電池用粘着シート1が適度な柔軟性を有し、電極と電極取り出しタブとを固定する場合のように、段差が存在する面に電池用粘着シート1を貼付する場合であっても、電池用粘着シート1が当該段差に対して良好に追従することができる。
3.粘着剤層
粘着剤層13は、前述した粘着性組成物Pから形成されたものである。粘着剤層13の形成方法は後述する。
(1)粘着剤/粘着剤層の物性
本実施形態に係る電池用粘着シート1では、粘着剤層13を構成する粘着剤を非水系電解液の溶媒に80℃で72時間浸漬した後における粘着剤のゲル分率が、下限値として70%以上であることが好ましく、特に80%以上であることが好ましく、さらには90%以上であることが好ましい。上記ゲル分率の下限値が上記であることにより、粘着剤層13が電解液に接触した場合における粘着剤の溶出量が低く抑えられることとなる。それによって、電池用粘着シート1を使用した電池の誤作動、熱暴走および短絡がより効果的に抑制される。
一方、上記ゲル分率の上限値は、100%以下であることが好ましく、特に99%以下であることが好ましく、さらには98%以下であることが好ましい。ゲル分率の上限値が98%以下であると、電池用粘着シート1が適度な柔軟性を有し、電極と電極取り出しタブとを固定する場合のように、段差が存在する面に電池用粘着シート1を貼付する場合であっても、当該段差に対して良好に追従することができる。
なお、ここにおける非水系電解液の溶媒とは、炭酸エチレンおよび炭酸ジエチルを1:1の体積比で混合した調製液であり、ゲル分率の試験方法は、後述する試験例に示す通りである。
(2)粘着剤層の厚さ
粘着剤層13の厚さ(JIS K7130に準じて測定した値)は、1〜50μmであることが好ましく、特に3〜15μmであることが好ましく、さらには4〜9μmであることが好ましい。粘着剤層13の厚さが1μm以上であることにより、電池用粘着シート1はより優れた粘着力を発揮することができる。また、粘着剤層13の厚さが50μm以下であることにより、粘着剤層13の端部から浸入する電解液の量を効果的に低減することができる。
4.剥離シート
剥離シート14は、電池用粘着シート1の使用時まで粘着剤層を保護するものであり、電池用粘着シート1を使用するときに剥離される。本実施形態に係る電池用粘着シート1において、剥離シート14は必ずしも必要なものではない。
剥離シート14としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
剥離シート14の剥離面(粘着剤層13と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。
剥離シート14の厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
5.電池用粘着シートの物性等
本実施形態に係る電池用粘着シート1のアルミニウム板に対する粘着力(電解液溶媒浸漬前の粘着力)は、下限値として0.5N/25mm以上であることが好ましく、0.75N/25mm以上であることがより好ましく、特に1.0N/25mm以上であることが好ましく、さらには2.0N/25mm以上であることが好ましい。電池用粘着シート1の電解液溶媒浸漬前の粘着力の下限値が上記であることにより、電池用粘着シート1が電解液に接触する前に、電池用粘着シート1が被着体(特に金属部材)から剥離する不具合が発生し難い。上記電解液溶媒浸漬前の粘着力の上限値は特に限定されないが、通常は50N/25mm以下であることが好ましく、40N/25mm以下であることがより好ましく、特に30N/25mm以下であることが好ましく、さらには10N/25mm以下であることが好ましい。なお、本明細書における粘着力は、基本的にはJIS Z0237:2009に準じた180°引き剥がし法により測定した粘着力をいい、詳細な測定方法は後述する試験例にて示す通りである。
また、本実施形態に係る電池用粘着シート1をアルミニウム板に貼付し、非水系電解液の溶媒に80℃で72時間浸漬した後の、当該電池用粘着シート1のアルミニウム板に対する粘着力(電解液溶媒浸漬後の粘着力)は、下限値として0.5N/25mm以上であることが好ましく、0.75N/25mm以上であることがより好ましく、特に1.0N/25mm以上であることが好ましく、さらには2.0N/25mm以上であることが好ましい。電池用粘着シート1の電解液溶媒浸漬後の粘着力の下限値が上記であることにより、電池用粘着シート1が電解液に接触(浸漬)した後であっても、電池用粘着シート1が被着体(特に金属部材)から剥離する不具合が発生し難い。上記電解液溶媒浸漬後の粘着力の上限値は特に限定されないが、通常は40N/25mm以下であることが好ましく、30N/25mm以下であることがより好ましく、特に20N/25mm以下であることが好ましく、さらには10N/25mm以下であることが好ましい。本実施形態に係る電池用粘着シート1は、前述した(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)、好ましくはさらに金属キレート系架橋剤(B)、特に好ましくはさらにシランカップリング剤(C)を含有する粘着性組成物Pを使用して形成された粘着剤層13を有することにより、上記範囲の優れた粘着力を達成することができる。なお、ここにおける非水系電解液の溶媒とは、炭酸エチレンおよび炭酸ジエチルを1:1の体積比で混合した調製液である。
電解液溶媒浸漬後の粘着力は、電解液溶媒浸漬前の粘着力に対して、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、特に70%以上であることが好ましく、さらには100%以上であることが好ましい。
電池用粘着シート1の厚さ(剥離シート14の厚さを除く)は、10〜250μmであることが好ましく、特に15〜110μmであることが好ましく、さらには20〜45μmであることが好ましい。電池用粘着シート1の厚さが上記の範囲にあることにより、電池用粘着シート1は粘着力および耐熱性を両立した、より好適なものとなる。
6.電池用粘着シートの製造方法
本実施形態に係る電池用粘着シート1は、例えば、基材11とハードコート層12との積層体、および粘着性組成物Pの塗膜と剥離シート14との積層体をそれぞれ作製し、ハードコート層12と粘着性組成物Pの塗膜とが接するようにこれらの積層体を貼合した後、養生して、粘着性組成物Pの塗膜から粘着剤層13を形成することで製造することができる。なお、ハードコート層12と粘着剤層13との密着性を向上させる観点から、これらのいずれかの層の貼合する面または両方の層の貼合する面に対し、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を行ってから両層を貼合することも好ましい。
基材11とハードコート層12との積層体は、例えば、次のように作製することができる。まず、基材11の一方の主面に対して、ハードコート層用組成物と、所望によりさらに溶媒とを含有する塗布液を塗布し、乾燥させる。塗布液の塗布は、常法によって行えばよく、例えば、バーコート法、ナイフコート法、マイヤーバー法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法によって行えばよい。乾燥は、例えば80〜150℃で30秒〜5分程度加熱することによって行うことができる。
その後、上記塗布液を乾燥させてなる層に活性エネルギー線を照射することにより、当該層を硬化させてハードコート層12を形成する。活性エネルギー線としては、例えば、電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを使用でき、具体的には、紫外線や電子線などを使用することができる。特に、取扱いが容易な紫外線が好ましい。紫外線の照射は、高圧水銀ランプ、キセノンランプ等によって行うことができ、紫外線の照射量は、照度が50〜1000mW/cm程度であることが好ましい。また、光量は、50〜10000mJ/cmであることが好ましく、80〜5000mJ/cmであることがより好ましく、200〜2000mJ/cmであることが特に好ましい。一方、電子線の照射は、電子線加速器等によって行うことができ、電子線の照射量は、10〜1000krad程度が好ましい。
粘着性組成物Pの塗膜と剥離シート14との積層体は、例えば次のように作製することができる。前述した粘着性組成物Pおよび所望により溶剤を含有する塗布液を、剥離シート14の剥離面に塗布し、加熱処理を行って、塗膜を形成する。
上記加熱処理は、塗布液の希釈溶剤等を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。加熱処理を行う場合、加熱温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に70〜120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、30秒〜10分であることが好ましく、特に50秒〜2分であることが好ましい。
基材11上のハードコート層12と、剥離シート14上の粘着性組成物Pの塗膜とを貼合した後、養生を行う。この養生は、通常、常温(例えば、23℃、50%RH)で1〜2週間程度行う。これにより、粘着性組成物Pの塗膜が粘着剤層13となり、電池用粘着シート1が製造される。
本実施形態に係る電池用粘着シート1の他の製造方法として、基材11上にハードコート層12および粘着剤層13を順に形成することで、電池用粘着シート1を製造してもよい。
〔リチウムイオン電池〕
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池は、電池の内部にて、前述した電池用粘着シートを用いて、2つ以上の導電体同士が接触した状態で固定されているものである。2つ以上の導電体の少なくとも1つはシート状であり、少なくとも1つは線状またはテープ状であることが好ましい。以下、好ましい実施形態に係るリチウムイオン電池について説明する。
図2に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン電池2は、底部が負極端子23を構成する有底円筒状の外装体21と、外装体21の開口部に設けられた正極端子22と、外装体21の内部に設けられた電極体24とを備えている。また、当該リチウムイオン電池2の内部には、電解液が封入されている。
電極体24は、それぞれシート状(帯状)の、正極活物質層241aが積層された正極集電体241と、負極活物質層242a層が積層された負極集電体242と、それらの間に介在するセパレータ243とを備えている。なお、正極集電体241および正極活物質層241aの積層体を正極という場合があり、負極集電体242および負極活物質層242aの積層体を負極という場合があり、それら正極および負極を包括して電極という場合がある。正極、負極およびセパレータ243は、それぞれ巻回されて、外装体21の内部に挿入される。
また、図3に示すように、正極集電体241には、線状またはテープ状の電極取り出しタブ244が、前述した電池用粘着シート1によって貼り付けられており、それによって電極取り出しタブ244は正極集電体241に電気的に接続している。この電極取り出しタブ244は、上記正極端子22にも電気的に接続している。なお、負極集電体242は、図示しない電極取り出しタブを介して負極端子23に電気的に接続している。
一般的に、正極集電体241および負極集電体242は、アルミニウムといった金属を材料とし、電極取り出しタブ244は、アルミニウムまたは銅といった金属を材料とする。
リチウムイオン電池2で使用される電解液は、通常、非水系電解液である。この非水系電解液としては、例えば、電解質としてのリチウム塩が、環状炭酸エステルと低級鎖状炭酸エステルとの混合溶媒に溶解したものが好ましく挙げられる。リチウム塩としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiBF)といったフッ素系錯塩や、LiN(SORf)・LiC(SORf)(ただしRf=CF,C)等が使用される。また、環状炭酸エステルとしては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が使用され、低級鎖状炭酸エステルとしては、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等が好ましく挙げられる。
本実施形態に係るリチウムイオン電池2は、電極取り出しタブ244の固定に前述した電池用粘着シート1を使用する以外、通常の方法によって製造することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン電池2では、電極取り出しタブ244の正極集電体241への貼付を電池用粘着シート1により行っている。当該電池用粘着シート1は、非水系電解液に浸漬された状態であっても、粘着剤層13が膨潤によって凝集破壊することが抑制され、正極集電体241および電極取り出しタブ244に対して優れた粘着力を発揮する。また、粘着剤層13を構成する粘着剤は電解液に溶出し難く、粘着剤が電池性能に悪影響を及ぼさない。
さらに、上記電池用粘着シート1はハードコート層12を備えるため、基材11や粘着剤層13が炭化した場合であっても、絶縁性を確保することができる。
以上のことから、本実施形態に係るリチウムイオン電池2は、電池用粘着シート1に起因する性能の低下、誤作動、熱暴走および短絡が抑制され、また、大電流での条件下においても温度安定性や安全性に優れることが期待される。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、電池用粘着シート1において、ハードコート層12および/または剥離シート14は省略されてもよい。また、電池用粘着シート1において、基材11とハードコート層12との間には、その他の層が設けられてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
1.基材上におけるハードコート層の形成
活性エネルギー線硬化性成分としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(硬化後にガラス転移点が観測されない材料)40質量部と、光重合開始剤としてのヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン5質量部と、無機フィラーとしてのオルガノシリカゾル(日産化学社製,商品名「MEK−ST」;平均粒径30nm)60質量部(固形分換算値;以下同じ)とを混合し、メチルエチルケトンで希釈することにより、ハードコート層用塗布液を調製した。
基材としてのポリイミドフィルム(東レデュポン社製,商品名「カプトン100H」,厚さ25μm,UL94規格の難燃レベルV−0)の一方の面に、上記塗布液をナイフコーターで塗布した後、70℃で1分間乾燥させた。次に、その塗膜に対して紫外線(照度230mW/cm,光量510mJ/cm)を照射することにより、当該塗膜を硬化させた。これにより、基材の一方の面に厚さ2μmのハードコート層が形成された第1の積層体を得た。
なお、得られた第1の積層体においては、耐スチールウール性試験として、#0000のスチールウールを用いて、ハードコート層の表面を、250g/cmの荷重で10cm、10往復擦った。その結果、当該ハードコート層の表面にはスチールウールによる擦り傷が形成されなかったことを確認した。
2.剥離シート上における粘着性組成物の塗膜の形成
アクリル酸2−エチルヘキシル80質量部、アクリル酸イソボルニル15質量部およびアクリル酸5質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(Tg:−50℃)を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は70万であった。
次に、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部と、金属キレート系架橋剤としてのアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)(綜研化学社製,商品名「M−5A」)1.55質量部と、シランカップリング剤としての3−グリシドキプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製,商品名「KBM−403」)0.5質量部とを混合し、メチルエチルケトンで希釈することにより、粘着剤層用塗布液を調製した。
得られた塗布液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,商品名「PET251130」)の剥離処理面にナイフコーターで塗布したのち、120℃で1分間加熱処理した。これにより、剥離シートの剥離処理面に、粘着性組成物の塗膜が積層された第2の積層体を得た。
3.電池用粘着シートの作製
上記の通り作製した第1の積層体のハードコート層側の面と、上記の通り作製した第2の積層体の粘着性組成物の塗膜側の面とを貼合し、その後、23℃、50%RHで7日間養生した。これにより、粘着性組成物の塗膜が粘着剤層となった電池用粘着シートを得た。なお、粘着剤層の厚さは7μmであった。当該粘着剤層の厚さは、電池用粘着シートの総厚を求め、当該総厚から第1の積層体および上記剥離シートの厚さを差し引くことにより算出した。
〔実施例2〕
アクリル酸2−エチルヘキシル75質量部、アクリル酸イソボルニル20質量部およびアクリル酸5質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(Tg:−44℃)を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は70万であった。(メタ)アクリル酸エステル重合体として、上記で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体を使用する以外、実施例1と同様にして電池用粘着シートを製造した。
〔実施例3〕
アクリル酸2−エチルヘキシル70質量部、アクリル酸イソボルニル25質量部およびアクリル酸5質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(Tg:−38℃)を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は70万であった。(メタ)アクリル酸エステル重合体として、上記で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体を使用する以外、実施例1と同様にして電池用粘着シートを製造した。
〔実施例4〕
アクリル酸2−エチルヘキシル87.5質量部、アクリル酸イソボルニル7.5質量部およびアクリル酸5質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(Tg:−58℃)を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は70万であった。(メタ)アクリル酸エステル重合体として、上記で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体を使用する以外、実施例1と同様にして電池用粘着シートを製造した。
〔実施例5〕
アクリル酸2−エチルヘキシル79質量部、アクリル酸イソボルニル20質量部およびアクリル酸1質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(Tg:−49℃)を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は70万であった。(メタ)アクリル酸エステル重合体として、上記で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体を使用する以外、実施例1と同様にして電池用粘着シートを製造した。
〔実施例6〕
アクリル酸2−エチルヘキシル80質量部、アクリル酸シクロヘキシル15質量部およびアクリル酸5質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(Tg:−55℃)を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は70万であった。(メタ)アクリル酸エステル重合体として、上記で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体を使用する以外、実施例1と同様にして電池用粘着シートを製造した。
〔実施例7〕
アクリル酸2−エチルヘキシル80質量部、アクリル酸n−ドデシル15質量部およびアクリル酸5質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(Tg:−28℃)を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は70万であった。(メタ)アクリル酸エステル重合体として、上記で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体を使用する以外、実施例1と同様にして電池用粘着シートを製造した。
〔実施例8〕
アクリル酸2−エチルヘキシル95質量部およびアクリル酸5質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(Tg:−65℃)を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は70万であった。(メタ)アクリル酸エステル重合体として、上記で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体を使用する以外、実施例1と同様にして電池用粘着シートを製造した。
〔比較例1〕
アクリル酸2−エチルヘキシル60質量部、メタクリル酸メチル20質量部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル20質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(Tg:−38℃)を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は50万であった。
次に、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部と、金属キレート系架橋剤としてのアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)(綜研化学社製,商品名「M−5A」)0.93質量部と、シランカップリング剤としての3−グリシドキプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製,商品名「KBM−403」)0.5質量部とを混合し、メチルエチルケトンで希釈することにより、粘着剤層用塗布液を調製した。粘着剤層用塗布液として、得られた粘着剤層用塗布液を使用する以外、実施例1と同様にして電池用粘着シートを製造した。
〔比較例2〕
アクリル酸n−ブチル76.8質量部、アクリル酸メチル19.2質量部およびアクリル酸4質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(Tg:−40℃)を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は100万であった。
次に、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部と、金属キレート系架橋剤としてのアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)(綜研化学社製,商品名「M−5A」)0.31質量部と、イソシアネート系架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(トーヨーケム社製,商品名「BHS8515」)2.35質量部と、シランカップリング剤としての3−グリシドキプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製,商品名「KBM−403」)0.5質量部とを混合し、メチルエチルケトンで希釈することにより、粘着剤層用塗布液を調製した。粘着剤層用塗布液として、得られた粘着剤層用塗布液を使用する以外、実施例1と同様にして電池用粘着シートを製造した。
〔比較例3〕
アクリル酸n−ブチル96質量部およびアクリル酸4質量部を溶液重合法により共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(Tg:−50℃)を調製した。この重合体の分子量を後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は100万であった。
次に、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部と、金属キレート系架橋剤としてのアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)(綜研化学社製,商品名「M−5A」)0.93質量部と、シランカップリング剤としての3−グリシドキプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製,商品名「KBM−403」)0.5質量部とを混合し、メチルエチルケトンで希釈することにより、粘着剤層用塗布液を調製した。粘着剤層用塗布液として、得られた粘着剤層用塗布液を使用する以外、実施例1と同様にして電池用粘着シートを製造した。
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
〔試験例1〕(電解液溶媒浸漬によるゲル分率の測定)
実施例および比較例の電池用粘着シートの製造において、第2の積層体の粘着性組成物の塗膜側の面と、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,商品名「PET251130」)の剥離処理面とを貼合した。その後、23℃、50%RHで7日間養生して、両面を剥離シートで保護された粘着剤層単独からなる測定用シートを得た。
得られた測定用シートを80mm×80mmのサイズに裁断し、粘着剤層の両面を保護する剥離シートを剥がし、ポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM1とする。次に、上記ポリエステル製メッシュに包まれた粘着剤を、電解液溶媒としての、炭酸エチレンおよび炭酸ジエチルを1:1の体積比で混合した調製液に80℃で72時間浸漬させた。その後粘着剤層を取り出し、エタノール中に一旦浸漬することにより、付着した電解液溶媒を溶解除去した後、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM2とする。ゲル分率(%)を、(M2/M1)×100という計算式から算出した。結果を表1に示す。
〔試験例2〕(電解液溶媒浸漬前の粘着力の測定)
本試験例による電池用粘着シートの粘着力は、以下に示す操作以外、JIS Z0237:2009に準じて測定した。
実施例および比較例で得られた電池用粘着シートを幅25mm、長さ250mmに裁断した後、剥離シートを剥離することで試験片を得た。この試験片の露出した粘着剤層を、23℃、50%RHの環境下で、被着体としてのアルミニウム板に2kgゴムローラーを用いて貼付した。その直後、万能型引張試験機(オリエンテック社製,商品名「テンシロンUTM−4−100」)を用いて、剥離角度180°、剥離速度300mm/minで試験片を上記アルミニウム板から剥離することにより、粘着力(N/25mm)を測定した。この測定値を電解液溶媒浸漬前の粘着力とした。結果を表1に示す。
〔試験例3〕(電解液溶媒浸漬後の粘着力の測定)
本試験例による電池用粘着シートの粘着力は、以下に示す操作以外、JIS Z0237:2009に準じて測定した。
実施例および比較例で得られた電池用粘着シートを幅25mm、長さ250mmに裁断した後、剥離シートを剥離することで試験片を得た。この試験片の露出した粘着剤層を、23℃、50%RHの環境下で、被着体としてのアルミニウム板に2kgゴムローラーを用いて貼付した後、同環境下に20分放置した。その後、試験片をアルミニウム板に貼付した状態で、電解液溶媒としての、炭酸エチレンおよび炭酸ジエチルを1:1の体積比で混合した調製液に80℃で72時間浸漬させた。そして調製液から取り出した直後に、上記と同様にして粘着力(N/25mm)を測定した。この測定値を電解液溶媒浸漬後の粘着力とした。結果を表1に示す。
なお、上記試験の際、実施例の電池用粘着シートでは粘着剤層の凝集破壊は生じなかったが、比較例の電池用粘着シートでは粘着剤層の凝集破壊が生じた。
〔試験例4〕(耐電解液性の評価)
実施例および比較例で得られた電池用粘着シートから剥離シートを剥離して、露出した粘着剤層をアルミニウム板(厚さ:1mm)に貼付し、これを試験片とした。得られた試験片を、電解液としての、炭酸エチレンおよび炭酸ジエチルを1:1の体積比で混合した混合液にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を1mol/Lの濃度で溶解させた調製液とともにアルミラミネート袋に封入し、80℃の環境下で3日間加熱した。その後、アルミニウム板から電池用粘着シートをピンセットで剥がした。その電池用粘着シートの電解液浸漬中の状態、電池用粘着シートを剥がす際の粘着力の強さ、および電池用粘着シートを剥がす際の状態を確認し、以下の判断基準に基づいて耐電解液性を評価した。3以上を合格とする。結果を表1に示す。
5…粘着剤/被着体の界面で剥離した(粘着力高)。
4…粘着剤/被着体の界面で剥離した(粘着力中)。
3…粘着剤/被着体の界面で剥離した(粘着力低)。
2…粘着剤が膨潤し凝集破壊した。
1…電解液浸漬中に剥がれた。
Figure 2020074308
表1から明らかなように、実施例の電池用粘着シートは、電解液溶媒および電解液に浸漬した場合においても粘着剤層に凝集破壊が生じず、高い粘着力(電解液溶媒浸漬前の粘着力に対して70%以上)を示した。また、実施例の電池用粘着シートの粘着剤は、電解液溶媒に浸漬した後においても高いゲル分率を示し、電解液溶媒に溶出し難いことが分かった。
本発明に係る粘着性組成物および電池用粘着シートは、リチウムイオン電池の内部にて、電極取り出しタブを電極(集電体)に貼り付けるのに好適である。
1…電池用粘着シート
11…基材
12…ハードコート層
13…粘着剤層
14…剥離シート
2…リチウムイオン電池
21…外装体
22…正極端子
23…負極端子
24…電極体
241…正極集電体
241a…正極活物質層
242…負極集電体
242a…負極活物質層
243…セパレータ
244…電極取り出しタブ

Claims (4)

  1. 基材と、前記基材の一方の面側に積層された粘着剤層とを備える電池用粘着シートであって、
    前記基材が、主鎖に窒素含有環構造を有する重合体からなるフィルムであり、
    前記粘着剤層が、
    重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が6個以上、20個以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および分子内にカルボキシ基を有するモノマーを含み、重量平均分子量が5万以上、250万以下である(メタ)アクリル酸エステル重合体と、
    金属キレート系架橋剤と
    を含有する粘着性組成物から形成されたものであり、
    前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)のガラス転移温度が、−70℃以上、0℃未満であり、
    前記粘着剤層を構成する粘着剤を非水系電解液の溶媒に80℃で72時間浸漬した後における前記粘着剤のゲル分率が、80%以上、100%以下である
    ことを特徴とする電池用粘着シート。
  2. 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体が、当該重合体を構成するモノマー単位として、分子内に脂環式構造を有するモノマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の電池用粘着シート。
  3. 前記基材における前記粘着剤層側の面には、ハードコート層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電池用粘着シート。
  4. 電池の内部にて、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池用粘着シートを用いて、2つ以上の導電体同士が接触した状態で固定されている
    ことを特徴とするリチウムイオン電池。
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