JP2020071120A - 放射線検出器 - Google Patents

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Abstract

【課題】1台の放射線検出器により、中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を分離して精度よく測定することができる放射線検出器を得ること。【解決手段】中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を分離して検出する放射線検出器であって、入射した中性子もしくはガンマ線に基づいて異なるパルス波形であるシンチレーション光を発生するシンチレータと、パルス波形から中性子とガンマ線とを判別する粒子弁別回路と、判別された中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を算出する線量演算装置と、シンチレータの周囲に、中性子に対する前記シンチレータの感度のエネルギー特性を中性子束あたりの線量率のエネルギー依存性と一致させるように寸法調整された減速体とを備えた。【選択図】図1

Description

本願は、放射線検出器に関するものである。
原子力発電所および加速器施設などにおいては、中性子とガンマ線が混在して発生している。被ばく線量を正確に把握するためには、ガンマ線に限らず中性子による被ばく線量も測定する必要がある。中性子およびガンマ線などの放射線は、放射線と物質の相互作用を利用して被ばく線量の測定が行われる。ガンマ線と中性子とでは物質との相互作用が異なるため、一般的に異なる放射線検出器により測定が行われる。ガンマ線による線量率測定においては、半導体検出器またはヨウ化ナトリウムなどのシンチレータが用いられる。これらの検出器の感度のエネルギー特性が、ガンマ線による線量率のエネルギー依存性に一致するように調整することで、検出器出力を線量率に換算している。一方、中性子による被ばく線量測定では、熱中性子領域から高速中性子領域までの広いエネルギー範囲の中性子を検出する必要があるため、BF比例計数管などの減速体を設けた熱中性子検出器を利用することが一般的である。このため、種類の異なる放射線についての線量率を測定するためには、異なる放射線検出器を用意しなければならないという課題があった。
この課題を解決するために、中性子検出器のうちガンマ線にも感度を持つもの、また逆にガンマ線検出器で中性子に感度を持つものもあるため、これらを利用することでガンマ線と中性子の線量率を1つの検出器で測定する技術が検討されている。例えば、中性子とガンマ線に感度を有する有機シンチレータ中に、中性子を捕獲する無機シンチレータを均一混合させたシンチレータを用い、中性子とガンマ線を検出した際のシンチレータのパルス波形の違いを利用して中性子とガンマ線を弁別して測定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ガンマ線検出器の周囲を中性子吸収材が含まれた中性子減速材で囲み、中性子は中性子吸収材においての中性子吸収反応で生じたガンマ線で検出し、ガンマ線は中性子減速材を透過するためガンマ線も検出可能であり、中性子吸収材と中性子減速材の量をガンマ線束あたりの線量率と中性子束あたりの線量率が同じになる様に調整して、ガンマ線と中性子の線量率を1台の検出器で測定する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特表2014−534442号公報 特開2007−47066号公報
上記特許文献1においては、シンチレーションパルスの波形の違いからガンマ線と中性子を弁別することができる。しかしながら、高速中性子が有機シンチレータで散乱されるときに生じるシンチレーションパルスと散乱により減速された中性子が無機シンチレータに吸収されるときに生じるシンチレーションパルスの2つのパルスが一定時間内に生じた場合に、中性子減速より生じるパルスから入射した高速中性子のエネルギーを測定するため、入射する中性子のエネルギーが低く、減速によるシンチレーションパルスが検出限界以下となる場合には、入射する中性子のエネルギーを測定できないという課題があった。一般的に有機シンチレータの検出限界は数100kev程度となるため、この方式では低エネルギー領域の中性子による被ばく線量を正確に評価することは困難である。
また上記特許文献2においては、中性子とガンマ線のどちらが入射した場合でもガンマ線でのみ検出を行うため、中性子とガンマ線による事象を区別出来ず、線量率上昇の要因が、ガンマ線または中性子のいずれに起因するかを判断することが不可能であるという課題があった。さらに、ガンマ線のエネルギーによりガンマ線検出器の中心部の感度が異なるため、ガンマ線束あたりの線量率のエネルギー依存性が正確に考慮できておらず、被ばく線量を正確に評価することは困難であるという課題があった。
本願は前記のような課題を解決するためになされたものであり、1台の放射線検出器により、中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を分離して精度よく測定することを目的としている。
本願に開示される放射線検出器は、中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を分離して検出する放射線検出器であって、入射した中性子もしくはガンマ線に基づいて異なるパルス波形であるシンチレーション光を発生するシンチレータと、パルス波形から中性子とガンマ線とを判別する粒子弁別回路と、判別された中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を算出する線量演算装置と、シンチレータの周囲に、中性子に対するシンチレータの感度のエネルギー特性を中性子束あたりの線量率のエネルギー依存性と一致させるように寸法調整された減速体とを備えたものである。
本願に開示される放射線検出器によれば、1台の放射線検出器により、中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を分離して精度よく測定することができる。
実施の形態1に係る放射線検出器の構成図である。 実施の形態1に係る放射線検出器が備えたシンチレータにおける中性子とガンマ線のパルス波形の違いの例を示す模式図である。 放射線検出器のハードウエアの一例を示す構成図である。 出力された微小パルス信号から線量率を算出するまでの処理フローを説明する図である。 実施の形態1に係る線量演算装置で作成された2次元ヒストグラムの例を示す模式図である。 実施の形態1に係る線量演算装置で作成されたエネルギースペクトルの例を示す模式図である。 実施の形態1に係るガンマ線のエネルギーと荷重計数の関係を示す模式図である。 実施の形態1に係る中性子束に対する計数率および中性子束に対する線量率の中性子エネルギー依存性の例を示す模式図である。 実施の形態1に係る線量率に対する計数率の中性子エネルギー依存性の例を示す模式図である。 実施の形態2に係る放射線検出器の構成図である。 実施の形態2に係る線量率を算出するまでの処理フローを説明する図である。
以下、実施の形態の放射線検出器を図に基づいて説明するが、各図において同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る放射線検出器1の構成図である。放射線検出器1は、中性子2とガンマ線3が入射されるシンチレータ4と、中性子2またはガンマ線3との相互作用によりシンチレータ4が発する微弱なシンチレーション光を測定する光センサ5と、シンチレータ4の周囲に設置される減速体6と、光センサ5から出力された信号を処理する増幅回路11、波高弁別回路12、粒子弁別回路13、および線量演算装置14と、処理した結果得られた線量率を表示する表示器15と、線量率を記録する記録装置16とから構成される。
まず、放射線の検出部であるシンチレータ4、減速体6、光センサ5について説明する。シンチレータ4は、中性子2とガンマ線3のどちらにも感度を有し、入射した中性子2またはガンマ線3から付与されたエネルギーにより構成分子が励起され、基底状態に戻る際に中性子もしくはガンマ線に基づいて異なるパルス波形であるシンチレーション光を発生する。また、熱中性子との相互作用確率を高めるために、熱中性子との相互作用確率が大きい物質、例えば、リチウムの同位体であるリチウム−6、ホウ素の同位体であるホウ素−10、ガドリニウム、カドミウムがシンチレータ4には混合されており、これらはガンマ線に対しても感度を有している。シンチレータ4は、図2のシンチレータ4における中性子2とガンマ線3のパルス波形の違いを示す模式図からわかるように、中性子2またはガンマ線3により発生するシンチレーション光の発光減衰時間が異なる。シンチレータ4には、例えばアントラセンまたは有機液体シンチレータ、およびフッ化カルシウム等の無機シンチレータを使用する。なお、ここでは線量率の測定精度をさらに向上させるために熱中性子との相互作用確率を高める物質をシンチレータに混合しているが、混合しなくても中性子とガンマ線の線量率をそれぞれ分離して精度よく測定することはできる。
中性子2のうちエネルギーの高い高速中性子は、質量数の小さな軽元素との散乱によりエネルギーを失いやすい。そのため、この高速中性子の減速を目的として設置される減速体6は、ポリエチレン等の軽元素を主要材料として構成される。減速体6を設けることで、中性子2のエネルギースペクトルには、減速した高速中性子である熱中性子との相互作用に起因するピークが発生する。一方、ガンマ線3は原子番号の大きい元素との相互作用確率が大きいため、軽元素から成る減速体6との相互作用の発生確率は小さくなり、ガンマ線3は減衰することなくシンチレータ4に入射する。
光センサ5はシンチレータ4が発したパルス波形であるシンチレーション光を受光して光電変換を行い、電気信号として微小パルス信号を出力する。光センサ5とシンチレータ4とは、空気層を挟まないように接着剤等を介して密着させて光学的に結合している。光センサ5としては、例えば光電子増倍管、光ダイオード、またはアバランシェ光ダイオードが用いられるがこれらに限るものではない。
放射線検出器1の波高弁別回路12と粒子弁別回路13と線量演算装置14は、ハードウエアの一例を図3に示すように、プロセッサ111と記憶装置112から構成される。記憶装置112は、図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を具備してもよい。プロセッサ111は、記憶装置112から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ111にプログラムが入力される。また、プロセッサ111は、演算結果等のデータを記憶装置112の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
次に放射線検出器1の動作について説明する。
中性子2は減速体6を通過する際に散乱し、高速中性子はエネルギーの低い中性子である熱中性子の領域まで十分に減速された後にシンチレータ4に入射される。熱中性子はシンチレータ4を構成する原子核と核反応を起こし、核反応前後の質量欠損である反応のQ値に相当する荷電粒子が生成される。生成された荷電粒子は、シンチレータ4に全エネルギーを付与してシンチレーション光を発生する。一方、ガンマ線3は減速体6通過時に減衰することなくシンチレータ4に入射され、シンチレータ4との相互作用によりシンチレーション光を発生する。シンチレーション光は、中性子とガンマ線とで異なる発光減衰時間を有したパルス波形である。シンチレータ4の内部を伝搬した中性子とガンマ線のシンチレーション光は光センサ5に入射され、光センサ5は微小パルス信号を増幅回路11に出力する。
図4は出力された微小パルス信号から線量率を算出するまでの処理フローを説明する図である。増幅回路11は入力された微小パルス信号を増幅し、後段で利用可能なパルス信号として出力する(ステップS11)。出力されたパルス信号は、波高弁別回路12と粒子弁別回路13に入力される。
波高弁別回路12は、入力されたパルス信号を閾値により弁別する(ステップS12)。閾値は、測定回路系全体のノイズレベルにより、ノイズレベルの波高が含まれない波高に決定される。パルス信号は論理信号と共に線量演算装置14に出力される(ステップS13、S14)。論理信号は、閾値以上のパルス信号は「HIGH」、閾値を下回る場合は「LOW」を出力する。
粒子弁別回路13は、シンチレータ4を通過した中性子の発光減衰時間がガンマ線の発光減衰時間よりも長いことに基づいて中性子とガンマ線とを判別するために、PSDパラメータを算出する(ステップS15)。PSDとは、パルス波形弁別(Pulse Shape Discrimination)と呼ばれるパルス信号の波形から放射線の種類を判別する方法であり、時間測定、電荷積分という2つの方法がある。時間測定の場合、判別に用いるPSDパラメータは、(パルス波形の立ち下がり時間ないしパルス幅)/(パルス波形の立ち上がり時間)と定義される。電荷積分の場合、PSDパラメータは、(パルス波形の立ち下がり部分ないしパルス全体の電荷)/(パルス波形の立ち上がり部分の電荷)と定義される。例えば図2に示したパルス波形において、中性子とガンマ線の発光減衰時間は中性子で長くガンマ線で短いため、時間測定と電荷積分のいずれの方法で算出してもPSDパラメータは中性子の方がガンマ線よりも大きくなる。粒子弁別回路13において、何れの方法でPSDパラメータを算出しても構わない。粒子弁別回路13は、算出した中性子とガンマ線のPSDパラメータを後段の線量演算装置14に出力する。
線量演算装置14は、中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を算出する。算出の工程を順に説明する。線量演算装置14は、まず1パルス毎に「HIGH」の状態の論理信号が付与されたパルス信号の波高値(以下、パルス波高と示す)とPSDパラメータのデジタル変換した値を予め定めた時間の幅で保存して、図5に示すような2次元ヒストグラムを作成する(ステップS16)。「LOW」が付与されたパルス信号は、ノイズとみなし処理は行わない。シンチレーション光の発光減衰時間は、発生したシンチレーション光のパルス波高に依らないため、図5に示すように中性子とガンマ線のそれぞれの検出事象は精度よく確実に分離される。
図6は、図5において分離された中性子事象とガンマ線事象のそれぞれをエネルギー軸に写像して作成したエネルギースペクトルの例を示す模式図である。縦軸の計数率は、単位時間あたりに入射した中性子およびガンマ線の計数値を示す。図6に示すように、中性子とガンマ線を分離して、エネルギースペクトルが作成される(ステップS17)。それぞれのエネルギースペクトルを用いて、中性子とガンマ線の線量率を算出する(ステップS18、S19)。
まず中性子の線量率の算出について説明する。熱中性子とシンチレータ4との核反応の結果生じる荷電粒子のエネルギーが反応のQ値にほぼ一致するため、図6に示すように、エネルギースペクトルにQ値に相当するピークが現れる。このピーク部分の計数率が、シンチレータ4で検出した中性子の計数率となる。この計数率に予め定められた感度計数を乗じることで、中性子の線量率が算出される(ステップS18)。感度計数の決定手法については後述する。
次にガンマ線の線量率の算出について説明する。ガンマ線は、次に示す何れかの方法を適用することで容易に線量率を算出することができる(ステップS19)。
まず、G(E)関数法の適用について説明する。G(E)関数法は、G(E)関数を使用して線量率を算出する方法である。図7はガンマ線のエネルギーと荷重計数の関係を示すG(E)関数の模式図である。図6のように作成されたエネルギースペクトルに予め定められたエネルギー換算計数であるG(E)関数を荷重し、線量率を算出することができる。次に逆問題解法について説明する。ガンマ線のエネルギースペクトルに対して予め求めておいたガンマ線3に対するシンチレータ4の応答関数を用いて、アンフォールディングまたはデコンボリューション等の逆問題演算によりガンマ線のエネルギースペクトルを算出し、ガンマ線束に対する線量率換算係数を乗じて線量率を算出することができる。
線量演算装置14で演算された中性子とガンマ線のそれぞれの線量率は、表示器15および記録装置16に出力される。表示器15はそれぞれの線量率を表示し、記録装置16はそれぞれの線量率を記録する。
ここで、感度計数の決定手法について説明する。図8は中性子束に対する計数率および中性子束に対する線量率の中性子エネルギー依存性の例を示す模式図、図9は線量率に対する計数率の中性子エネルギー依存性の例を示す模式図である。減速体6により熱中性子領域まで減速された後にシンチレータ4で検出される中性子2の割合(以下、中性子2に対するシンチレータ4の感度として示す)は、シンチレータ4の物性、中性子2のエネルギーおよび減速体6の構造で決定される。中性子2に対するシンチレータ4の感度は、中性子のエネルギーにより変化するため、シンチレータ4の物性、中性子2のエネルギーおよび減速体6の構造に依存して、中性子束に対する計数率は例えば図8の実線のように示される。この特性は放射線検出器1の設計において決定されるものである。一方、中性子束に対する線量率も中性子のエネルギーにより変化するため、同様にシンチレータ4の物性、中性子2のエネルギーおよび減速体6の構造に依存して、中性子束に対する線量率は例えば図8の破線のように示される。このとき実線と破線の比率がすべての中性子のエネルギーの値で図8に示すように一定であれば、図9に示すように計数率と線量率の比率は一定となる。減速体6の厚みなどの構造を調整することで、計数率と線量率の比率を一定にすることができる。このようにして、計数率と線量率の比例計数である感度係数が決定される。
以上のように、この放射線検出器1では、中性子のパルス波形の発光減衰時間がガンマ線の発光減衰時間よりも長いことに基づいて中性子とガンマ線を分離してそれぞれのエネルギースペクトルを作成するため、中性子はエネルギースペクトルに現れるピークから線量率を求めることができ、ガンマ線はG(E)関数法または逆問題解法にて線量率を求めることができ、1台の放射線検出器1により、中性子とガンマ線の線量率をそれぞれ分離して精度よく測定することができる。また、減速体6の構造を調整することで計数率と線量率の比率を一定にして感度係数を決定したため、中性子2のエネルギーに依存することなく、どのようなエネルギーの中性子が入射したとしても計数率から線量率を精度よく算出することができる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る放射線検出器1について説明する。図10は放射線検出器1の構成図である。実施の形態1ではシンチレータ4を取り囲む減速体6が設けられていたが、実施の形態2ではシンチレータ4を取り囲む減速体6を設けないものである。なお、他の構成については、実施の形態1の記載と同様であるため同一の符号を付して説明を省略する。また、ガンマ線3の線量率測定については実施の形態1と同様であり説明を省略する。
図11は線量率を算出するまでの処理フローを説明する図である。なお、処理フローにおいて、エネルギースペクトルを作成するステップS17までの処理、およびガンマ線の線量率算出(ステップS19)については実施の形態1と同様のため説明を省略する。
まず、中性子2のうちエネルギーが高い高速中性子の場合について説明する。図10に示すように、放射線検出器1には減速体6が設けられていないため、高速中性子は熱中性子領域のエネルギーまで減速されずにシンチレータ4に入射する。熱中性子においては図4に示したようにエネルギースペクトルに熱中性子の相互作用に起因したピークが現れたが、高速中性子においてはエネルギースペクトルにピークは現れない。線量演算装置14は、予め求めておいた高速中性子に対するシンチレータ4の応答関数を用いて、エネルギースペクトルに対してアンフォールディングまたはデコンボリューション等の逆問題演算を実施し(ステップS21)、シンチレータ4に入射した中性子2のエネルギースペクトルを作成する。その後、得られた中性子2のエネルギースペクトルに中性子束あたりの線量率換算係数を乗じて(ステップS22)、線量率を算出する(ステップS24)。
次に、中性子2のうちエネルギーが低い中性子の場合について説明する。エネルギーが低くなると、中性子とシンチレータ4の散乱によって生じる反跳イオンのエネルギーも低くなるため、シンチレータ4の出力が波高弁別回路12においてノイズと判定される波高値よりも低くなり、先に示した逆問題演算により中性子のエネルギースペクトルを求めることはできない。しかしながら、シンチレータ4に入射した中性子の一部は、シンチレータ4の内部で散乱を繰り返して熱中性子領域まで減速する。シンチレータ4は熱中性子との相互作用確率が大きい物質を含むため、減速して生じた熱中性子はシンチレータ4と核反応を起こす。これに対する増幅されたパルス信号は、ステップS17で作成されるエネルギースペクトルにおいて熱中性子との核反応に起因するピークが出現する。このピーク部分の計数率が、シンチレータ4で検出した中性子の計数率となる。この計数率に予め定められた感度計数を乗じることで(ステップS23)、線量率を算出することができる(ステップS24)。
ここで、感度計数の決定手法について説明する。減速体6を備えていない放射線検出器1においては、シンチレータ4に入射した比較的低エネルギーの中性子がシンチレータ4の内部で減速され核反応を起こして検出される確率は、中性子のエネルギーとシンチレータ4の物性およびシンチレータ4の大きさによって決定される。そのため、中性子がシンチレータ4の内部で減速され核反応を起こして検出されるエネルギー特性と、中性子束あたりの線量率のエネルギー依存性が一致するように寸法調整されたシンチレータ4を備えることで、計数率と線量率の比例計数である感度計数が決定される。
以上のように、この放射線検出器1では、シンチレータ4を取り囲む減速体6を設けていないため、中性子のエネルギーが高い場合は逆問題演算により中性子のエネルギースペクトルを算出して線量率が求められ、中性子のエネルギーが低い場合は中性子の計数率から線量率が求められるので、中性子の線量率をガンマ線の線量率とは分離して精度よく測定することができる。また、減速体6を設けていないため、放射線の検出部の構成を単純化でき、容易に設計することができる。また、シンチレータ4の寸法を調整することで、計数率と線量率の比率を一定にして感度係数を決定したため、中性子のエネルギーに依存することなく、どのようなエネルギーの中性子が入射したとしても計数率から線量率を精度よく算出することができる。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 放射線検出器、2 中性子、3 ガンマ線、4 シンチレータ、5 光センサ、6 減速体、11 増幅回路、12 波高弁別回路、13 粒子弁別回路、14 線量演算装置、15 表示器、16 記録装置

Claims (7)

  1. 中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を分離して検出する放射線検出器であって、
    入射した中性子もしくはガンマ線に基づいて異なるパルス波形であるシンチレーション光を発生するシンチレータと、
    前記パルス波形から中性子とガンマ線とを判別する粒子弁別回路と、
    判別された中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を算出する線量演算装置と、
    前記シンチレータの周囲に、中性子に対する前記シンチレータの感度のエネルギー特性を中性子束あたりの線量率のエネルギー依存性と一致させるように寸法調整された減速体と、を備えたことを特徴とする放射線検出器。
  2. 前記シンチレータは、前記シンチレータを構成する物質よりも熱中性子との相互作用確率が大きい物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
  3. 前記線量演算装置は、中性子のエネルギースペクトルから熱中性子との相互作用に起因するピークを抽出して計数率を求め、前記計数率に予め定められた感度計数を乗じて中性子の線量率を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線検出器。
  4. 前記線量演算装置は、ガンマ線のエネルギースペクトルにG(E)関数を荷重してガンマ線の線量率を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の放射線検出器。
  5. 前記線量演算装置は、ガンマ線のエネルギースペクトルに対して前記シンチレータの応答関数を用いて逆問題演算を実施し、前記シンチレータに入射したガンマ線のエネルギースペクトルを算出し、算出されたエネルギースペクトルに線量率換算係数を乗じてガンマ線の線量率を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の放射線検出器。
  6. 中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を分離して検出する放射線検出器であって、
    入射した中性子もしくはガンマ線に基づいて異なるパルス波形であるシンチレーション光を発生するシンチレータと、
    前記パルス波形から中性子とガンマ線とを判別する粒子弁別回路と、
    判別された中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を算出する線量演算装置と、を備え、
    前記線量演算装置は、中性子のエネルギースペクトルに対して前記シンチレータの応答関数を用いて逆問題演算を実施し、前記シンチレータに入射した中性子のエネルギースペクトルを算出し、算出されたエネルギースペクトルに線量率換算係数を乗じて中性子の線量率を算出することを特徴とする放射線検出器。
  7. 中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を分離して検出する放射線検出器であって、
    入射した中性子もしくはガンマ線に基づいて異なるパルス波形であるシンチレーション光を発生するシンチレータと、
    前記パルス波形から中性子とガンマ線とを判別する粒子弁別回路と、
    判別された中性子とガンマ線のそれぞれの線量率を算出する線量演算装置と、を備え、
    前記シンチレータには前記シンチレータを構成する物質よりも熱中性子との相互作用確率が大きい物質が含まれ、
    前記シンチレータは中性子に対する前記シンチレータの感度のエネルギー特性を中性子束あたりの線量率のエネルギー依存性と一致させるように寸法調整されており、
    前記線量演算装置は、中性子のエネルギースペクトルから熱中性子との相互作用に起因するピークを抽出して計数率を求め、前記計数率に予め定められた感度計数を乗じて中性子の線量率を算出することを特徴とする放射線検出器。
JP2018204927A 2018-10-31 2018-10-31 放射線検出器 Active JP7085964B2 (ja)

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