JP2020059339A - 転舵制御装置 - Google Patents

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Yukihide Kimura
雪秀 木村
利英 矢野
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Abstract

【課題】転舵輪の転舵角度を操舵ハンドルの操舵角度とは独立して制御できるステアバイワイヤを採用し、自動転舵制御を実行し且つ自動転舵制御の実行中における運転者による操舵介入を許容する転舵制御装置において、ある転舵角度に対する車両の転舵量が路面及び車輪等の状況に応じて変化する車両偏向現象が操舵介入の開始時に発生していると、操舵介入の実行中に車両偏向現象が解消した場合、運転者が違和感を覚える可能性がある。【解決手段】操舵介入の開始時における転舵方向と操舵介入の実行中における操舵方向とが互いに同一であれば操舵ハンドルに加える操舵反力の大きさを自動転舵制御の実行中と比較して大きくし、これらの転舵方向と操舵方向とが互いに異なっていれば操舵反力の大きさを自動転舵制御の実行中と比較して小さくする。【選択図】 図8

Description

本発明は、ステアバイワイヤ方式の転舵機構を採用する車両に適用され、自動転舵制御を実行する転舵制御装置に関する。
車両が備える転舵輪と、運転者によって操作される操舵ハンドルと、が互いに作用連結されていないステアバイワイヤ方式が適用される車両(以下、「ステアバイワイヤ車両」とも称呼される。)が知られている。
一般に、ステアバイワイヤ車両においては、転舵角度を制御する電動機(転舵電動機)と、運転者による操舵ハンドルへの操作(操舵操作)に対する反力(操舵反力)を発生させる電動機(操舵電動機)と、が搭載される。加えて、転舵電動機及び操舵電動機のそれぞれが発生させるトルクは、転舵制御装置によって制御される。転舵制御装置には、操舵角度に依らず目標転舵角度を決定し且つ実際の転舵角度が目標転舵角度と一致するように転舵電動機を制御する「自動転舵制御」を実行するものがある。
自動転舵制御を実行する従来の転舵制御装置の1つ(以下、「従来装置」とも称呼される。)は、車両(自車両)の前方を走行している前走車(追従対象車両)に追従して走行するように自動転舵制御を実行する。この場合、車両の運転者が操舵操作を行う必要が無いので、従来装置は、運転者が所定の閾値よりも大きい操舵トルクを操舵ハンドルに加えていなければ、操舵角度が変化しないように操作電動機を制御する。加えて、運転者が操舵操作を行うと、従来装置は、操舵角度に応じて目標転舵角度を決定する(例えば、特許文献1を参照。)。自動転舵制御の実行中における運転者による操舵操作に基づいて転舵制御装置が目標転舵角度を調整(変更)する制御は、以下、「操舵介入制御」とも称呼される。
特開2004−224238号公報
ところで、ある転舵角度に対する車両偏向角量(即ち、車両が単位長さだけ走行する間のヨー角の変化量)が路面及び車両(特に、車両が備える車輪)等の状況に応じて変化する現象(以下、「車両偏向現象」とも称呼される。)が車両の走行中に発生する場合がある。
車両偏向現象は、例えば、路面の傾斜、及び、車輪のそれぞれと路面との間のスリップ率が互いに異なること等が原因となって発生する。車両偏向現象が発生しているとき、例えば、転舵角度が「0」であっても(即ち、転舵輪が中立位置にあっても)、車両にヨー角が生じる。
換言すれば、自動転舵制御の実行中、車両が直進していても(即ち、車両の走行軌跡が略直線であっても)車両偏向現象が発生していれば、転舵角度が「0」ではない状況が発生する。このとき、運転者が操舵操作を行い操舵介入制御が開始されると、その時点における転舵角度が「0」であると運転者が認識する可能性がある。
即ち、ステアバイワイヤ車両における自動転舵制御の実行中に車両偏向現象が発生すると、当該自動転舵制御による転舵角度の調整が行われ、その結果、運転者による転舵角度の誤認識が発生する可能性がある。この場合、操舵介入制御の実行中に車両偏向現象が解消されると、転舵角度の誤認識に起因して運転者が違和感を覚える虞がある。
しかしながら、従来装置において、車両偏向現象の発生、及び、車両偏向現象に起因する運転者による転舵角度の誤認識に伴う違和感の発生は考慮されていなかった。
そこで、本発明の目的の1つは、ステアバイワイヤ車両における自動転舵制御の実行中に操舵介入制御を開始するときに車両偏向現象が発生している場合であっても、運転者が転舵角度の誤認識に伴う違和感を覚えることを回避することができる転舵制御装置を提供することである。
上記目的を達成するための転舵制御装置(以下、「本発明装置」とも称呼される。)は、操舵アクチュエータ、転舵アクチュエータ、転舵角度制御部、及び、操舵反力制御部を備える。
前記操舵アクチュエータ(操舵電動機83)は、
中立位置に対する回転方向及び回転量を表す操舵角度(θ)を車両(10)の運転者が制御できる操舵ハンドル(81)の当該操舵角度を変更させるトルク(操舵反力トルクTr)を発生させる。
前記転舵アクチュエータ(転舵電動機72)は、
前記車両が備える転舵装置の中立位置に対する転舵方向及び転舵量を表す転舵角度(δ)を前記操舵角度に依らず制御できる。
前記転舵角度制御部(運転支援ECU20及びEPS−ECU33)は、
前記操舵角度に対応する前記転舵角度を基本転舵角度(図4の直線Ls1に基づいて定まる目標転舵角度δtgt)として取得し且つ前記転舵角度が当該基本転舵角度と一致するように前記転舵アクチュエータを制御する「基本転舵制御」と、
前記操舵角度に依らず目標転舵角度を取得し(図9のステップ915)且つ前記転舵角度が当該目標転舵角度と一致するように前記転舵アクチュエータを制御する(図9のステップ920)「自動転舵制御」と、
を選択的に実行する。
前記操舵反力制御部は、
前記基本転舵制御が実行されているとき、前記操舵ハンドルが中立位置に戻る方向の、大きさが前記操舵角度に基づいて定まるトルク基準値(図5の実線Lt1に基づいて定まる操舵角度相関値θcrと、図6の直線Lkに基づいて定まる車速係数Kvと、の積)であるトルクを前記操舵アクチュエータに発生させる。
更に、前記転舵角度制御部は、
前記自動転舵制御の実行中に前記運転者による所定の操舵介入操作が行われると(図9のステップ910にて「No」と判定)、前記目標転舵角度を前記操舵角度に基づいて取得する「操舵介入制御」を開始する(図9のステップ965乃至ステップ970)。
一方、前記操舵反力制御部は、
前記操舵介入操作が行われた時点における前記転舵角度に対応する参照転舵角度(δre)の大きさが所定の角度閾値(δth)よりも大きければ(図9のステップ935にて「Yes」と判定)、前記操舵介入制御の実行中に順方向補正処理又は逆方向補正処理を実行する。
ここで、前記順方向補正処理は、
前記操舵角度が表す操舵方向と前記参照転舵角度が表す転舵方向とが互いに同一であるとき(図10のステップ1010にて「Yes」と判定)に前記操舵ハンドルが中立位置に戻る方向の、大きさが前記トルク基準値よりも大きいトルクを前記操舵アクチュエータに発生させる(図10のステップ1015)処理である。
一方、前記逆方向補正処理は、
前記操舵角度が表す操舵方向と前記参照転舵角度が表す転舵方向とが互いに異なるとき(図10のステップ1010にて「No」と判定)に前記操舵ハンドルが中立位置に戻る方向の、大きさが前記トルク基準値よりも小さいトルクを前記操舵アクチュエータに発生させる(図10のステップ1020)処理である。
目標転舵角度は、例えば、本発明装置が適用される車両(本車両)が、本車両が走行している車線(自車線)に沿って自動的に走行するように設定される。操舵介入操作は、例えば、操舵ハンドルを回転させるトルクを運転者が操舵ハンドルに加える操作である。
例えば、操舵介入制御の開始時点において車両偏向現象が発生しているために本車両が直進している一方で転舵輪が左方に転舵していて、その後の操舵介入制御の実行中に操舵ハンドルが左方に操作されていると仮定する。この場合、参照転舵角度が表す転舵方向は左方である。
この状態において、車両偏向現象が解消されると、車両の左方への転舵量が増加する。このとき、操舵角度が表す操舵方向と参照転舵角度が表す転舵方向とが共に左方であるので、操舵反力トルクの大きさが、自動転舵制御が実行されていないとき(即ち、基本転舵制御が実行されているとき)と比較して大きくなっている。そのため、操舵角度の大きさが大きいことに基づき、車両の左方への転舵量が大きくなることを運転者が予見できる可能性が高くなる。
一方、この操舵介入制御の実行中に操舵ハンドルが右方に操作され、その結果、車両が右方に旋回していると仮定する。この状態において、車両偏向現象が解消されると、車両の右方への転舵量が減少する。この場合、操舵角度が表す操舵方向が右方である一方、参照転舵角度が表す転舵方向が左方であるので、両者は互いに異なる。従って、このとき、操舵反力トルクの大きさが、自動転舵制御が実行されていないときと比較して小さくなっている。そのため、操舵角度の大きさが小さいことに基づき、車両の右方への転舵量が小さくなることを運転者が予見できる可能性が高くなる。
従って、本発明装置によれば、操舵介入制御を開始するときに車両偏向現象が発生している場合であっても、運転者が転舵角度の誤認識に伴う違和感を覚えることを回避することができる可能性が高くなる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述される実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の実施形態に係る転舵制御装置(本制御装置)が搭載される車両(本車両)の概略図である。 本車両のブロック図である。 本車両が備える転舵機構及び操舵機構を示した図である。 操舵角度と、目標転舵角度及び追加転舵角度のそれぞれと、の関係を表したグラフである。 操舵角度と操舵角度相関値との関係を表したグラフである。 車速と車速係数との関係を表したグラフである。 本車両のヨー角及び自車線偏差を説明するための図である。 操舵介入制御が実行される場合の本車両の走行経路の例を示した図である。 本制御装置が実行する転舵制御処理ルーチンを表したフローチャートである。 本制御装置が実行する目標操舵反力トルク取得処理ルーチンを表したフローチャートである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る転舵制御装置(以下、「本制御装置」とも称呼される。)について説明する。本制御装置は、図1に示される車両10に適用される。加えて、車両10のブロック図が図2に示される。本制御装置は、それぞれが電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である「運転支援ECU20、エンジンECU31、ブレーキECU32及びEPS−ECU33」を含んでいる。
運転支援ECU20は、CPU、ROM及びRAMを備えたマイクロコンピュータを主要素として含んでいる。CPUは、所定のプログラム(ルーチン)を逐次実行することによってデータの読み込み、数値演算、及び、演算結果の出力等を行う。ROMは、CPUが実行するプログラム及びルックアップテーブル(マップ)等を記憶する。RAMは、データを一時的に記憶する。
エンジンECU31、ブレーキECU32及びEPS−ECU33のそれぞれは、運転支援ECU20と同様に、CPU、ROM及びRAMを備えたマイクロコンピュータを主要素として含んでいる。これらのECUは、CAN(Controller Area Network)34を介して互いにデータ通信可能(データ交換可能)となっている。加えて、これらのECUは、他のECUに接続されたセンサの出力値をその「他のECU」からCAN34を介して受信することができる。
運転支援ECU20は、前方カメラ41、車速センサ42、加速度センサ43、コラムレバー44及び表示装置45と接続されている。
前方カメラ41は、車両10の車室内における天井部の前端中央部近傍に配設されている。前方カメラ41は、車両10の前方領域を撮影した画像(以下、「前方画像」とも称呼される。)を取得し、前方画像を表す信号を所定の時間が経過する毎に運転支援ECU20へ出力する。前方カメラ41のの水平方向の視野(画角)は、図1に示される直線LsLと直線LsRとがなす角度によって表される範囲に等しい。
車速センサ42は、車速Vs(即ち、車両10の走行速度)を検出し、車速Vsを表す信号を運転支援ECU20へ出力する。加速度センサ43は、加速度As(即ち、車速Vsの単位時間あたりの変化量)を検出し、加速度Asを表す信号を運転支援ECU20へ出力する。
コラムレバー44は、ステアリングコラム82a(図1を参照)の側方部における車両10の運転者が操作可能な位置に配設されている。ステアリングコラム82aには、後述される操舵ハンドル81が回動可能に固定されている。運転者は、コラムレバー44に対する揺動(回転)操作及びコラムレバー44に配設されたスイッチ(不図示)に対する操作によって運転支援ECU20に対する指示を行い、以て、後述される運転支援制御の実行状態を制御することができる。
表示装置45は、車両10のダッシュボードに配設されている。表示装置45は、表示画面(液晶ディスプレイ)を備えている。表示装置45に表示される文字及び図形等は、運転支援ECU20によって制御される。
(駆動力の制御)
エンジンECU31は、エンジン51及びトランスミッション52を制御する。エンジン51は、車両10の駆動力である機関発生トルクDtを発生させる。トランスミッション52は、車両10の駆動輪の回転速度に対するエンジン51の機関回転速度の比であるギア比Rgを調整(変更)することができる。加えて、トランスミッション52は、エンジン51と車両10の駆動輪との間のトルク伝達を遮断することができる。
エンジンECU31は、種々のエンジンセンサ53と接続され、これらのセンサの出力値を受信する。エンジンセンサ53は、エンジン51の運転状態量(パラメータ)を検出するセンサである。エンジンセンサ53は、アクセルペダル操作量センサ、スロットル弁開度センサ、機関回転速度センサ及び吸入空気量センサ等を含んでいる。エンジンECU31は、車速Vs及びエンジンセンサ53の出力値等に基づいて要求駆動トルクDrを決定する。
加えて、エンジンセンサ53は、種々のエンジンアクチュエータ54と接続され、これらのアクチュエータを制御することによってエンジン51の運転状態を制御する。エンジンアクチュエータ54は、スロットル弁アクチュエータ及び燃料噴射弁等を含んでいる。エンジンECU31は、車両10の駆動輪に伝達される駆動トルクDdが要求駆動トルクDrと一致するようにエンジンアクチュエータ54及びトランスミッション52を制御する。即ち、機関発生トルクDt及びギア比RgがエンジンECU31によって制御され、以て、加速度Asが制御される。
更に、エンジンECU31は、運転支援ECU20から目標駆動トルクDdtgを含む「駆動力制御要求」を受信すると、実際の駆動トルクDdが目標駆動トルクDdtgと一致するようにエンジンアクチュエータ54及びトランスミッション52を制御する。
(制動力の制御)
ブレーキECU32は、車両10に搭載された油圧式摩擦制動装置であるブレーキ機構61を制御する。ブレーキ機構61は、作動油(ブレーキフルード、ブレーキオイル)を貯留するリザーバタンク及びブレーキペダルの踏力を用いて作動油を加圧するマスターシリンダ、並びに、車両10が備える4つの車輪のそれぞれに配設されるディスクブレーキ装置を含んでいる。ディスクブレーキ装置のそれぞれは、車輪と一体的に回転するブレーキディスク、ブレーキディスクを両面から押圧する一対のブレーキパッド、ブレーキパッドを押圧する油圧ピストン(キャリパーピストン)を備えるブレーキキャリパーを含んでいる。
ブレーキECU32は、種々のブレーキセンサ62と接続され、これらのセンサの出力値を受信する。ブレーキセンサ62は、ブレーキ機構61を制御するために使用される状態量を検出するセンサである。ブレーキセンサ62は、ブレーキペダル操作量センサ及び4つの車輪のそれぞれの回転速度を検出する車輪速度センサ等を含んでいる。ブレーキECU32は、車速Vs及びブレーキセンサ62の出力値等に基づいて要求制動力Breqを決定する。
加えて、ブレーキECU32は、ブレーキ機構61の油圧制御アクチュエータである種々のブレーキアクチュエータ63と接続されている。ブレーキアクチュエータ63は、マスターシリンダと油圧ピストンのそれぞれとの間の油圧回路に配設される(何れも不図示)。ブレーキアクチュエータ63は、油圧ピストンのそれぞれに伝達される油圧を調整することができる。
ブレーキECU32は、車輪のそれぞれが発生させる摩擦制動力である制動力Bfが要求制動力Breqと一致するようにブレーキアクチュエータ63を制御し、以て、加速度As(具体的には、車速Vsの大きさの減少度合い、即ち、減速度)を制御する。
更に、ブレーキECU32は、運転支援ECU20から目標制動力Bftgを含む「制動力制御要求」を受信すると、実際の制動力Bfが目標制動力Bftgと一致するようにブレーキアクチュエータ63を制御する。
(転舵角度の制御)
車両10の転舵機構及び操舵機構が図3に示される。EPS−ECU33は、車両10の左前輪71L及び右前輪71Rの転舵方向及び転舵量を制御する。左前輪71L及び右前輪71Rは、以下、転舵輪71とも総称される。転舵輪71の転舵方向及び転舵量は、転舵角度δによって表される。
転舵輪71が中立位置にあるとき(即ち、車両10が直進するとき)、転舵角度δは「0」となる(即ち、δ=0)。転舵角度δは、車両10の前進時に車両10が左方に旋回するときに正の値となり(即ち、δ>0)、車両10の前進時に車両10が右方に旋回するときに負の値となる(即ち、δ<0)。
図3に示されるように、転舵輪71の転舵角度δを制御するために車両10が備える転舵機構は、転舵電動機72、ピニオンギア73、ラックバー74、転舵駆動回路75及び転舵角度センサ76を含んでいる。
転舵電動機72の回転軸(出力軸)にはピニオンギア73が一体回転するように接続されている。ラックバー74には、ピニオンギア73と噛合するようにラックギアが形成されている。即ち、ピニオンギア73及びラックバー74は、ラックアンドピニオン機構を構成している。従って、転舵電動機72の回転運動がラックバー74の往復直線運動に変換される。ラックバー74の往復直線運動に伴って転舵角度δが変更される。
転舵電動機72に供給される電力(即ち、転舵電動機72が発生させるトルクの大きさ及び方向)は、転舵駆動回路75によって制御される。転舵駆動回路75は、EPS−ECU33によって制御される。従って、EPS−ECU33は、転舵駆動回路75を介して転舵電動機72を制御し、以て、転舵角度δを制御することができる。
転舵角度センサ76は、ラックバー74の往復直線運動に係る移動位置を検出し、以て、転舵角度δを検出する。転舵角度センサ76は、転舵角度δを表す信号をEPS−ECU33へ出力する。
車両10の運転者が転舵角度δを制御するために車両10が備える操舵機構は、操舵ハンドル81、ステアリングシャフト82、操舵電動機83、操舵駆動回路84、操舵角度センサ85及び操舵トルクセンサ86を含んでいる(図3を参照。)。
操舵ハンドル81は車両10の運転者によって操作(回動)され、その結果、操舵ハンドル81の回転角度である操舵角度θが変更される。操舵ハンドル81が中立位置にあるとき、操舵角度θは「0」となる。操舵角度θは、操舵ハンドル81が反時計回りに回転させられているときに正の値となる(即ち、θ>0)。一方、操舵角度θは、操舵ハンドル81が時計回りに回転させられているときに負の値となる(即ち、θ<0)。
操舵ハンドル81は、ステアリングシャフト82の一端に、ステアリングシャフト82と一体回転するように接続されている。車両10の車室内において、ステアリングシャフト82はステアリングコラム82aによって覆われている(図1を参照。)。ステアリングシャフト82の他端は、操舵電動機83とトルク伝達可能に接続されている。換言すれば、ステアリングシャフト82は、操舵ハンドル81と操舵電動機83との間のトルク伝達経路を構成している。
従って、操舵電動機83が発生させるトルクは、操舵反力トルクTrとして操舵ハンドル81に伝達される。操舵反力トルクTrは、操舵電動機83が操舵ハンドル81を反時計回りに回転させる方向のトルクを発生させているときに正の値となる(即ち、Tr>0)。一方、操舵反力トルクTrは、操舵電動機83が操舵ハンドル81を時計回りに回転させる方向のトルクを発生させているときに負の値となる(即ち、Tr<0)。
操舵電動機83に供給される電力は、操舵駆動回路84によって制御される。操舵駆動回路84は、EPS−ECU33によって制御される。従って、EPS−ECU33は、操舵駆動回路84を介して操舵電動機83を制御し、以て、操舵反力トルクTrを制御することができる。
操舵角度センサ85は、ステアリングシャフト82に介装されている。操舵角度センサ85は、操舵角度θを検出し、操舵角度θを表す信号をEPS−ECU33へ出力する。
操舵トルクセンサ86は、ステアリングシャフト82に介装されている。操舵トルクセンサ86は、運転者が操舵ハンドル81に加えるトルクである操舵トルクTsを検出し、操舵トルクTsを表す信号をEPS−ECU33へ出力する。
操舵トルクTsは、運転者が操舵ハンドル81に対して操舵ハンドル81を反時計回りに回転させる方向にトルクを加えているときに正の値となる(即ち、Ts>0)。一方、操舵トルクTsは、運転者が操舵ハンドル81に対して操舵ハンドル81を時計回りに回転させる方向にトルクを加えているときに負の値となる(即ち、Ts<0)。
EPS−ECU33は、操舵角度θに応じて転舵電動機72を制御し、以て、転舵角度δを制御する。即ち、車両10の転舵装置は、所謂ステアバイワイヤ方式を採用している。
より具体的に述べると、EPS−ECU33は、転舵角度δの目標値である目標転舵角度δtgtに実際の転舵角度δが一致するように転舵電動機72を制御する。EPS−ECU33は、目標転舵角度δtgtを、「図4の直線Ls1によって表される操舵角度θと目標転舵角度δtgtとの関係」に操舵角度θを適用することによって取得する。直線Ls1から理解されるように、操舵角度θの大きさが大きくなるほど目標転舵角度δtgtの大きさが大きくなる。
加えて、EPS−ECU33は、運転支援ECU20から目標転舵角度δtgtを含む「転舵制御要求」を受信すると、実際の転舵角度δが目標転舵角度δtgtと一致するように転舵駆動回路75(ひいては、転舵電動機72)を制御する。
(転舵角度の制御−操舵反力の制御)
更に、EPS−ECU33は、操舵角度θに応じて操舵反力トルクTrを「操舵ハンドル81が中立位置に戻る方向」に発生させる。具体的には、EPS−ECU33は、操舵反力トルクTrの目標値である目標操舵反力トルクTrtgに、実際の操舵反力トルクTrが一致するように操舵電動機83を制御する。EPS−ECU33は、操舵反力トルクTrを、操舵角度θに対応する操舵角度相関値θcrと、車速Vsに対応する車速係数Kvと、の積として取得(算出)する(即ち、Tr=θcr×Kv)。
EPS−ECU33は、操舵角度相関値θcrを、「図5の実線Lt1によって表される操舵角度θと操舵角度相関値θcrとの関係」に操舵角度θを適用することによって取得する。実線Lt1から理解されるように、操舵角度θの大きさが大きくなるほど操舵角度相関値θcrの大きさが大きくなる。
加えて、EPS−ECU33は、車速係数Kvを、「図6の直線Lkによって表される車速Vsと車速係数Kvとの関係」に車速Vsを適用することによって取得する。直線Lkから理解されるように、車速係数Kvは、所定の定数k1よりも大きい範囲において、車速Vsが大きくなるほど大きくなる。
図5の実線Lt1及び図6の直線Lkのそれぞれによって表される関係に基づいて決定される操舵反力トルクTrは、便宜上、「基準操舵反力トルク」とも称呼される。加えて、基準操舵反力トルクの大きさは、便宜上、「トルク基準値」とも称呼される。
EPS−ECU33は、運転支援ECU20から目標操舵反力トルクTrtgを含む「操舵反力制御要求」を受信すると、実際の操舵反力トルクTrが目標操舵反力トルクTrtgと一致するように操舵電動機83を制御する。
(運転支援制御)
次に、運転支援ECU20が実行する運転支援制御について説明する。本実施形態において、運転支援制御には追従車間距離制御と車線維持制御とが含まれる。運転支援ECU20は、追従車間距離制御及び車線維持制御を同時に実行することも可能である。以下の説明において、車両10が走行している車線は、「自車線」とも称呼される。
(運転支援制御−追従車間距離制御)
追従車間距離制御は、自車線上の車両10の直前の位置を走行している他車両である「追従対象車両」との車間距離Dfを、所定の目標車間距離Dftgに一致させる制御である。追従車間距離制御は、「アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)」とも称呼される。追従車間距離制御のより具体的な説明は、例えば、特開2014−148293号公報、特開2006−315491号公報、特許第4172434号に係る明細書、及び、特許第4929777号に係る明細書に記載されている。
車両10の運転者は、コラムレバー44に対する操作によって追従車間距離制御の要求状態をオフ状態とオン状態との間で切り替えることができる。追従車間距離制御の要求状態がオフ状態からオン状態に切り替えられると、運転支援ECU20は、追従車間距離制御を開始する。追従車間距離制御が実行されているとき、運転支援ECU20は、追従車間距離制御の実行状況を表示装置45に表示させる。
追従車間距離制御の開始時、運転支援ECU20は、その時点における車速Vsをセット車速Vsetとして記憶する。追従車間距離制御の実行中、運転者は、コラムレバー44に対する操作によってセット車速Vsetを変更することができる。
追従車間距離制御の実行中、運転支援ECU20は、目標加速度Atgtを所定の時間が経過する毎に取得(決定)する。目標加速度Atgtの取得に際し、運転支援ECU20は、自車線情報取得処理を実行する。自車線情報取得処理は、前方カメラ41から受信した前方画像に含まれる「自車線を画定する一対の車線区画線(即ち、左区画線及び右区画線)」を周知の方法により抽出(認識)する処理である。
図7の例において、車線Ln1が自車線の左区画線であり、車線Ln2が自車線の右区画線である。自車線情報取得処理によって運転支援ECU20は、車両10の前方に延在する左区画線及び右区画線のそれぞれの車両10に対する位置を取得する。
加えて、運転支援ECU20は、前方画像に含まれている追従対象車両に関する情報を周知の方法により取得(抽出)する。追従対象車両が存在していれば、運転支援ECU20は、追従対象車両後端の左右方向中心位置の車両10に対する位置を取得する。
追従対象車両が存在している場合、運転支援ECU20は、追従対象車両との車間距離Dfが目標車間距離Dftgと一致するように目標加速度Atgtを設定する。車間距離Dfが所定の追従限界距離Dthよりも大きくなると、運転支援ECU20は、追従対象車両が存在していないと判定する。追従限界距離Dthは、目標車間距離Dftgよりも長い距離である(即ち、Dth>Dftg)。追従対象車両が存在していない場合、運転支援ECU20は、車速Vsがセット車速Vsetと一致するように車両10の目標加速度Atgtを設定する。
更に、運転支援ECU20は、実際の加速度Asが目標加速度Atgtと一致するように、エンジンECU31及びブレーキECU32に要求する。概して、目標加速度Atgtが正の値であるとき、及び、目標加速度Atgtが負の値であり且つ目標加速度Atgtの大きさが比較的小さいとき、運転支援ECU20は、目標加速度Atgtに応じて設定された目標駆動トルクDdtgを含む駆動力制御要求をエンジンECU31へ送信する。
一方、目標加速度Atgtが負の値であり且つ目標加速度Atgtの大きさが比較的大きいとき、運転支援ECU20は、目標駆動トルクDdtgが「0」に設定された駆動力制御要求をエンジンECU31へ送信する。加えて、この場合、運転支援ECU20は、目標加速度Atgtに応じて設定された目標制動力Bftgを含む制動力制御要求をブレーキECU32へ送信する。
運転者によるコラムレバー44に対する操作によって追従車間距離制御の要求状態がオン状態からオフ状態に切り替えられたとき、及び、運転者が車両10のブレーキペダルを操作したとき、運転支援ECU20は、追従車間距離制御の実行を終了する。
(運転支援制御−車線維持制御)
車線維持制御は、車両10が自車線から逸脱しないように転舵角度δを調整する制御である。車線維持制御は、「レーン・キーピング・アシスト(LKA)」及び「レーン・トレーシング・アシスト(LTA)」とも称呼される。車線維持制御のより具体的な説明は、例えば、特開2008−195402号公報、特開2009−190464号公報、特開2010−6279号公報、及び、特許第4349210号に係る明細書に記載されている。
運転者によるコラムレバー44に対する操作によって車線維持制御の要求状態がオフ状態からオン状態に切り替えられると、運転支援ECU20は、車線維持制御を開始する。車線維持制御が実行されているとき、運転支援ECU20は、車線維持制御の実行状況を表示装置45に表示させる。
車線維持制御の実行中、運転支援ECU20は、目標転舵角度δtgtを所定の時間か経過する毎に取得(決定)する。目標転舵角度δtgtを取得するため、運転支援ECU20は、上述した自車線情報取得処理を実行する。更に、運転支援ECU20は、自車線情報取得処理によって取得された左区画線及び右区画線それぞれの車両10に対する位置に基づいて「車両10の前方に延在する自車線の左右方向中心点の集合である車線中心線Lc」の曲率Cuを取得する。
車線中心線Lcが直線であれば(即ち、自車線が直線であれば)、曲率Cuは「0」となる。車線中心線Lcが左方に湾曲していれば、曲率Cuは正の値となる(即ち、Cu>0)。車線中心線Lcが右方に湾曲していれば、曲率Cuは負の値となる(即ち、Cu<0)。図7の例において、自車線(即ち、車線Ln1及び車線Ln2によって画定される車線)が(少なくとも図7に示される範囲において)直線道路であるので、車線中心線Lcは直線となり、従って、曲率Cuは「0」となる。
加えて、運転支援ECU20は、車線中心線Lcの方向(車線中心線Lcが湾曲している場合には車両10前端の左右方向中心位置における車線中心線Lcの接線の方向)と、車両10の進行方向と、のなす角度であるヨー角Yaを取得する。図7に示されるように、ヨー角Yaは、車線中心線Lcと、車両10の左右方向中心を通り且つ車両10の前後方向を表す直線Lrと、のなす角度である。
車両10が車線中心線Lcに対して左方を向いていれば、ヨー角Yaは正の値となる(即ち、Ya>0)。車両10が車線中心線Lcに対して右方を向いていれば、ヨー角Yaは負の値となる(即ち、Ya<0)。従って、図7の例において、ヨー角Yaは負の値である。
更に、運転支援ECU20は、自車線の左右方向中心と、車両10の走行位置(具体的には、車両10を上方から見たときの車両10の外形の幾何学的重心Pgの位置)と、の差分(符号付き距離)である自車線偏差Deを取得する。
車両10の左右方向中心が車線中心線Lcよりも左方にあれば、自車線偏差Deは正の値となる(即ち、De>0)。車両10の左右方向中心が車線中心線Lcよりも右方にあれば、自車線偏差Deは負の値となる(即ち、De<0)。従って、図7の例において、自車線偏差Deは負の値である。
運転支援ECU20は、車両10の走行経路が車線中心線Lcと一致するように目標転舵角度δtgtを取得(算出)する。具体的には、運転支援ECU20は、下式(1)に基づいて目標転舵角度δtgtを算出する。ここで、k1、k2、k3及びk4のそれぞれは、所定の制御ゲインである。加えて、積分値ΣDeは、自車線偏差Deを時間に対して積分して得られる値である。

δtgt=k1×Cu+k2×Ya+k3×De+k4×ΣDe ……(1)
更に、運転支援ECU20は、実際の転舵角度δが目標転舵角度δtgtと一致するように、EPS−ECU33に要求する。即ち、運転支援ECU20は、目標転舵角度δtgtを含む転舵制御要求をEPS−ECU33へ送信する。
(運転支援制御−車線維持制御−操舵介入制御)
車線維持制御の実行中であっても車両10の運転者は、操舵ハンドル81に対する操作によって転舵角度δを変更(調整)することができる。車線維持制御の実行中における運転者による転舵角度δの調整は、以下、「操舵介入制御」とも称呼される。加えて、車線維持制御の実行中に運転者が行う操舵ハンドル81への操作は、以下、「操舵介入操作」とも称呼される。
運転支援ECU20は、操舵介入制御の開始時(即ち、運転者が操舵介入操作を開始したとき)、その時点における転舵角度δを参照転舵角度δreとして記憶する。
運転支援ECU20は、操舵介入制御の実行中、操舵角度θに対応する追加転舵角度δadを取得(決定)する。加えて、運転支援ECU20は、参照転舵角度δreと追加転舵角度δadとの和を目標転舵角度δtgtとして取得する(即ち、操舵介入制御の実行中においては、δtgt=δre+δad)。運転支援ECU20は、追加転舵角度δadを、「図4の直線Ls1によって表される操舵角度θと追加転舵角度δadとの関係」に操舵角度θを適用することによって取得する。
運転者が操舵介入操作を終了すると、運転支援ECU20は、操舵介入制御の実行を終了する。即ち、運転支援ECU20は、上述した車両10の走行経路が車線中心線Lcと一致するように目標転舵角度δtgtを取得する処理を再開する。
(運転支援制御−車線維持制御−操舵介入制御−操舵反力補正処理)
次に、操舵反力補正処理について説明する。操舵反力補正処理は、操舵介入制御の実行中、操舵反力トルクTrの大きさを上述したトルク基準値と異なる値にする処理である。運転支援ECU20は、参照転舵角度δreの大きさが所定の角度閾値δthよりも大きければ、その参照転舵角度δreに係る操舵介入制御が終了するまでの期間において、操舵反力補正処理(具体的には、順方向補正処理及び逆方向補正処理の何れか)を実行する。なお、操舵介入制御の実行中、運転支援ECU20は、操舵反力補正処理の実行の有無に依らず、目標操舵反力トルクTrtgを取得し、その目標操舵反力トルクTrtgを含む操舵反力制御要求をEPS−ECU33へ送信する。
順方向補正処理は、参照転舵角度δreによって表される転舵方向と、操舵角度θによって表される操舵方向と、が互いに等しいとき、操舵反力トルクTrの大きさをトルク基準値よりも大きくする処理である。一方、逆方向補正処理は、参照転舵角度δreによって表される転舵方向と、操舵角度θによって表される操舵方向と、が互いに異なるとき、操舵反力トルクTrの大きさをトルク基準値よりも小さくする処理である。
順方向補正処理の実行時、運転支援ECU20は、操舵角度相関値θcrを「図5の破線Lt2a及び破線Lt2bによって表される操舵角度θと操舵角度相関値θcrとの関係」に操舵角度θを適用することによって取得する。図5から理解されるように、破線Lt2a及び破線Lt2bによって表される関係に基づいて取得される操舵角度相関値θcrの大きさは、実線Lt1によって表される関係に基づいて取得される操舵角度相関値θcrの大きさよりも大きい。従って、順方向補正処理が実行されるとき、操舵反力トルクTrの大きさは、トルク基準値よりも大きくなる。
一方、逆方向補正処理の実行時、運転支援ECU20は、操舵角度相関値θcrを「図5の一点鎖線Lt3によって表される操舵角度θと操舵角度相関値θcrとの関係」に操舵角度θを適用することによって取得する。図5から理解されるように、一点鎖線Lt3によって表される関係に基づいて取得される操舵角度相関値θcrの大きさは、実線Lt1によって表される関係に基づいて取得される操舵角度相関値θcrの大きさよりも小さい。従って、逆方向補正処理が実行されるとき、操舵反力トルクTrの大きさは、トルク基準値よりも小さくなる。
操舵介入制御並びに順方向補正処理及び逆方向補正処理について、図8を参照しながらより具体的に説明する。図8において、車線Ln3が自車線の左区画線であり、車線Ln4が自車線の右区画線である。本例において、自車線は(少なくとも図8に示される範囲において)直線道路である。
領域Rsは、路面上に堆積している圧雪(圧雪路面)を表している。図8から理解されるように、領域Rsは、自車線の右側の車線(右方隣接車線)及び自車線の一部(具体的には、右方隣接車線に隣接する領域)に分布している。そのため、車両10の右側車輪(即ち、右前輪71R及び右後輪)は領域Rsに接しており、車両10の左側車輪(左前輪71L及び左後輪)は領域Rsではなく乾燥路面に接している。
領域Rsを形成している圧雪路面は、乾燥路面と比較して車輪(具体的には、タイヤ)と路面との間の摩擦係数が小さい。そのため、車両10が車両位置10sにあるとき、右側車輪のスリップ率(即ち、「車両10の実際の走行速度」から「車輪回転速度に対応する速度」を減じた差を「車両10の実際の走行速度」により除して得られる値)が左側車輪のスリップ率よりも大きくなる。
そのため、仮に、転舵角度δが「0」であれば、車両10は自車線に沿って直進せずに右方に旋回する。即ち、この場合、車両偏向現象が発生している。そこで、運転支援ECU20は、このとき、車両10を直進させるために転舵角度δを正の値である転舵角度dwに設定している(即ち、運転支援ECU20は、転舵輪71を左方に転舵させている)。
この状況において、車線維持制御の実行中に車両10が自車線上にある汚損領域Rdを通過するのを避けるために運転者が操舵介入操作を行うと仮定する。即ち、この場合、操舵介入制御が開始される。
加えて、本例における転舵角度dwは、角度閾値δthよりも大きい(即ち、dw>δth>0)。従って、操舵介入制御の実行に際して操舵反力補正処理が実行される。
先ず、操舵介入制御によって車両10が左方に旋回し、以て、順方向補正処理が実行される場合について説明する。図8の矢印Aaは、この場合における車両10の走行経路(即ち、車両10先端の左右方向中心位置の移動軌跡)を表している。
車両10が車両位置10sにあるときに運転者が操舵介入操作を開始して操舵ハンドル81を中立位置から左方に回転させると(即ち、操舵角度θが「0」から正の値に変化すると)、運転支援ECU20は、操舵介入制御を開始する。その際、その時点における転舵角度δである転舵角度dwが、参照転舵角度δreとして記憶される。
車両10が車両位置10aにあるときに操舵角度θが正の値である回転角度dh1であれば、図4の直線Ls1から理解されるように、追加転舵角度δadは正の値である転舵角度da1となる。従って、この時点における目標転舵角度δtgtは、「参照転舵角度δreである転舵角度dw」と「追加転舵角度δadである転舵角度da1」と、の和に等しい(即ち、δtgt=dw+da1)。
このとき、参照転舵角度δre(即ち、転舵角度dw)は正の値であり且つ操舵角度θ(即ち、回転角度dh1)は正の値である。換言すれば、「参照転舵角度δre(転舵角度dw)によって表される転舵方向」は左方であり、「操舵角度θ(回転角度dh1)によって表される操舵方向」は左方であり、従って、両者は互いに等しい。
そのため、この時点においては順方向補正処理が実行される。具体的には、操舵角度θ(回転角度dh1)を図5の破線Lt2aによって表される関係に適用することによって操舵角度相関値θcrとして正の値である相関値di1が取得される。即ち、目標操舵反力トルクTrtgは、操舵角度相関値θcrである相関値di1と、この時点における車速係数Kvと、の積に等しい(即ち、Trtg=di1×Kv)。
次に、操舵介入制御によって車両10が右方に旋回し、以て、逆方向補正処理が実行される場合について説明する。図8の矢印Abは、この場合における車両10の走行経路を表している。
車両10が車両位置10sにあるときに運転者が操舵介入操作を開始して操舵ハンドル81を中立位置から右方に回転させると(即ち、操舵角度θが「0」から負の値に変化すると)、運転支援ECU20は、操舵介入制御を開始する。この場合、参照転舵角度δreは転舵角度dwとなる。
車両10が車両位置10bにあるときに操舵角度θが負の値である回転角度dh2であれば、図4の直線Ls1から理解されるように、追加転舵角度δadは負の値である転舵角度da2となる。従って、この時点における目標転舵角度δtgtは、「参照転舵角度δreである転舵角度dw」と「追加転舵角度δadである転舵角度da2」と、の和に等しい(即ち、δtgt=dw+da2)。
このとき、参照転舵角度δre(即ち、転舵角度dw)は正の値であり且つ操舵角度θ(即ち、回転角度dh2)は負の値である。換言すれば、「参照転舵角度δre(転舵角度dw)によって表される転舵方向」は左方であり、「操舵角度θ(回転角度dh2)によって表される操舵方向」は右方であり、従って、両者は互いに異なる。
そのため、この時点においては逆方向補正処理が実行される。具体的には、操舵角度θ(回転角度dh2)を図5の一点鎖線Lt3によって表される関係に適用することによって操舵角度相関値θcrとして負の値である相関値di2が取得される。即ち、目標操舵反力トルクTrtgは、操舵角度相関値θcrである相関値di2と、この時点における車速係数Kvと、の積に等しい(即ち、Trtg=di2×Kv)。
(操舵反力補正処理の意義)
ここで、操舵反力補正処理の意義について、順方向補正処理及び逆方向補正処理の順に説明する。図8の例において、車両10が車両位置10sに至るまで直進していたので、運転者は、車両10が車両位置10sにある時点において、車両10の転舵角度δが「0」であると認識している可能性が高い。
一方、この時点における実際の転舵角度δは転舵角度dwである。換言すれば、この時点において、転舵角度δが転舵角度dwであることは、車両10の旋回に寄与していない(より具体的には、転舵角度δが転舵角度dwであることは、「車両10の右方への旋回」を回避することに寄与している。)。
その後、運転者が操舵ハンドル81を左方に操作することによって操舵介入制御が開始されると、目標転舵角度δtgtは、参照転舵角度δre(この場合、転舵角度dw)と追加転舵角度δadとの和に等しい値に設定される。即ち、転舵角度δが参照転舵角度δre(転舵角度dw)よりも大きな値となり、その結果、車両10は左方に旋回する。このとき、「参照転舵角度δreと追加転舵角度δadとの和である転舵角度δ」に含まれる追加転舵角度δadのみが車両10の左方への旋回に寄与している。
その後、車両10が車両位置10aに到達したときには車両10の左側車輪及び右側車輪が共に乾燥路面に接している(図8を参照。)。換言すれば、左側車輪のスリップ率と、右側車輪のスリップ率と、が互いに略等しくなっている。そのため、「参照転舵角度δreと追加転舵角度δadとの和である転舵角度δ」に含まれる追加転舵角度δadに加えて参照転舵角度δreも車両10の左方への旋回に寄与する。
このとき、車両10の運転者が「自分が行った操舵ハンドル81に対する左方への操作(即ち、操舵介入操作)によって生じた追加転舵角度δadのみが車両10の左方への旋回に寄与する」と予期している可能性が高い。即ち、運転者による転舵角度δの誤認識が発生している可能性が高い。
そこで、運転支援ECU20は、順方向補正処理を実行して(即ち、操舵反力トルクTrの大きさをトルク基準値よりも大きくすることによって)実際の転舵角度δの大きさが追加転舵角度δadの大きさよりも大きいことを運転者に認識させる。
次に、逆方向補正処理が実行される場合について説明する。車両10が車両位置10sにあるときに操舵ハンドル81に対する右方への操作(即ち、操舵介入操作)が開始されると、操舵介入制御が開始される。その結果、転舵角度δが参照転舵角度δre(転舵角度dw)よりも小さな値となり、その結果、車両10は右方に旋回する。このとき、「参照転舵角度δreと追加転舵角度δadとの和である転舵角度δ」に含まれる追加転舵角度δad(この場合、追加転舵角度δadは負の値)のみが車両10の右方への旋回に寄与している。
その後、車両10が車両位置10bに到達したときには車両10の左側車輪及び右側車輪が共に圧雪路面(即ち、領域Rs)に接している。換言すれば、左側車輪のスリップ率と、右側車輪のスリップ率と、が互いに略等しくなっている。そのため、「参照転舵角度δreと追加転舵角度δadとの和である転舵角度δ」に含まれる追加転舵角度δadに加えて参照転舵角度δreも車両10の右方への旋回に寄与する。
このとき、車両10の運転者が「自分が行った操舵ハンドル81に対する右方への操作によって生じた追加転舵角度δadのみが車両10の右方への旋回に直接的に寄与する」と予見している可能性が高い。即ち、この場合も、運転者による転舵角度δの誤認識が発生している可能性が高い。
そこで、運転支援ECU20は、逆方向補正処理を実行して(即ち、操舵反力トルクTrの大きさをトルク基準値よりも小さくすることによって)実際の転舵角度δの大きさが追加転舵角度δadの大きさよりも小さいことを運転者に認識させる。
ところで、転舵角度δの大きさが角度閾値δth以下であれば(即ち、転舵角度δの大きさが比較的小さければ)、運転者による転舵角度δの誤認識が発生する可能性が低いので、運転支援ECU20は、操舵反力補正処理を実行しない。換言すれば、角度閾値δthは、操舵介入制御の開始時に転舵角度δの大きさが角度閾値δthよりも大きいときに運転者による転舵角度δの誤認識が発生する可能性が高くなるように設定されている。
(運転支援制御−車線維持制御−具体的作動)
次に、車線維持制御に係る運転支援ECU20の具体的作動について説明する。運転支援ECU20のCPU(以下、単に「CPU」とも称呼される。)は、車線維持制御の要求状態がオン状態であるとき、所定の時間が経過する毎に図9にフローチャートにより表された「転舵制御処理ルーチン」を実行する。
従って、適当なタイミングとなると、CPUは、図9のステップ900から処理を開始してステップ905に進み、操舵介入フラグXasの値が「0」であるか否かが判定される。
操舵介入フラグXasの値は、運転支援ECU20の起動時(即ち、車両10の図示しないイグニッション・スイッチがオフ位置からオン位置へ変更されたとき)にCPUが実行するイニシャルルーチン(不図示)において「0」に設定される。後述されるように、操舵介入制御が実行されているとき、操舵介入フラグXasの値は「1」に設定される。
(ケースA)操舵介入制御が実行されておらず且つ操舵介入操作が行われない場合
現時点において、操舵介入制御が実行されておらず(即ち、操舵介入フラグXasの値は「0」であり)、運転者が操舵介入操作を行っていないと仮定する。即ち、この場合、操舵介入制御が実行されない状態が継続する。
この場合、CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定してステップ910に進み、操舵介入操作が行われていないか否か(即ち、操舵ハンドル81が運転者によって操作されていないか否か)を判定する。具体的には、操舵トルクTsの大きさが所定のトルク閾値Tsthよりも小さければ(即ち、|Ts|<Tsth)、CPUは、操舵介入操作が行われていないと判定する。トルク閾値Tsthは、運転者が操舵ハンドル81を回転させようとしているときに検出される操舵トルクTsの大きさよりも小さい値となるように設定されている。
前述の仮定によれば、操舵介入操作が行われていないので、CPUは、ステップ910にて「Yes」と判定してステップ915に進み、上述した処理を実行して車両10の走行経路が車線中心線Lcと一致するように目標転舵角度δtgtを取得する。
次いで、CPUは、ステップ920に進み、EPS−ECU33を介して実際の転舵角度δが目標転舵角度δtgtと一致するように転舵電動機72を制御する。CPUは、取得された目標転舵角度δtgtを含む転舵制御要求をEPS−ECU33へ送信する。更に、CPUは、ステップ995に進み、本ルーチンを終了する。
(ケースB)操舵介入制御が実行されておらず且つ操舵介入操作が開始され、その結果として操舵反力補正処理が実行される場合
次に、操舵介入制御が実行されていなかったときに操舵介入操作が開始されたと仮定する。即ち、この仮定において、操舵介入フラグXasの値が「0」であるときに、操舵トルクTsの大きさがトルク閾値Tsthよりも大きくなっている。加えて、操舵介入操作が開始された時点における転舵角度δの大きさが角度閾値δthよりも大きい。
この場合、CPUは、ステップ905からステップ910に進むと、ステップ910にて「No」と判定してステップ925に進み、操舵介入フラグXasの値を「1」に設定する。次いで、CPUは、ステップ930に進み、参照転舵角度δreを転舵角度δに等しい値に設定する。
更に、CPUは、ステップ935に進み、転舵角度δの大きさが角度閾値δthよりも大きいか否かを判定する。前述の仮定によれば、転舵角度δの大きさが角度閾値δthよりも大きいので、CPUは、ステップ935にて「Yes」と判定してステップ940に進み、操舵反力補正フラグXtmの値を「1」に設定する。
次いで、CPUは、ステップ955に進み、図10にフローチャートにより表された「目標操舵反力トルク取得処理ルーチン」を実行して目標操舵反力トルクTrtgを取得する。従って、CPUは、図10のステップ1000から処理を開始してステップ1005に進み、操舵反力補正フラグXtmの値が「1」であるか否かを判定する。
この場合、操舵反力補正フラグXtmの値は「1」であるので、CPUは、ステップ1005にて「Yes」と判定してステップ1010に進み、参照転舵角度δreと操舵角度θの積が「0」以上であるか否かを判定する。即ち、CPUは、参照転舵角度δreによって表される転舵方向と、操舵角度θによって表される操舵方向と、が互いに等しいか否かを判定する。
転舵方向と操舵方向とが互いに等しければ、CPUは、ステップ1010にて「Yes」と判定してステップ1015に進み、順方向補正処理により目標操舵反力トルクTrtgを取得する。即ち、CPUは、「図5の破線Lt2a及び破線Lt2bによって表される操舵角度θと操舵角度相関値θcrとの関係」に基づいて取得される操舵角度相関値θcrと、この時点における車速係数Kvと、の積を目標操舵反力トルクTrtgとして取得する。なお、操舵角度θが「0」であれば、操舵角度相関値θcrが「0」となり、以て、目標操舵反力トルクTrtgが「0」となる。
次いで、CPUは、ステップ1095に進み、本ルーチンの処理を終了して図9のステップ960に進む。
一方、参照転舵角度δreによって表される転舵方向と、操舵角度θによって表される操舵方向と、が互いに異なっていれば、CPUは、ステップ1010にて「No」と判定してステップ1020に進み、逆方向補正処理により目標操舵反力トルクTrtgを取得する。
即ち、CPUは、「図5の一点鎖線Lt3によって表される操舵角度θと操舵角度相関値θcrとの関係」に基づいて取得される操舵角度相関値θcrと、この時点における車速係数Kvと、の積を目標操舵反力トルクTrtgとして取得する。次いで、CPUは、ステップ1095に進む。
CPUは、ステップ960に進むと、以下に説明するステップ960乃至ステップ970を順に実行し、ステップ920に進む。
ステップ960:CPUは、EPS−ECU33を介して実際の操舵反力トルクTrが目標操舵反力トルクTrtgと一致するように操舵電動機83を制御する。即ち、CPUは、取得された目標操舵反力トルクTrtgを含む操舵反力制御要求をEPS−ECU33へ送信する。
ステップ965:CPUは、「図4の直線Ls1によって表される操舵角度θと追加転舵角度δadとの関係」に操舵角度θを適用することによって追加転舵角度δadを取得する。
ステップ970:CPUは、参照転舵角度δreと追加転舵角度δadとの和を目標転舵角度δtgtとして取得する。
(ケースC)操舵介入制御が実行されておらず且つ操舵介入操作が開始されるが、操舵反力補正処理は実行されない場合
次に、操舵介入制御が実行されていなかったときに操舵介入操作が開始されるが、操舵介入操作が開始された時点における転舵角度δが角度閾値δth以下であると仮定する。
この場合、CPUは、ステップ935に進むと、ステップ935にて「No」と判定してステップ945に進み、操舵反力補正フラグXtmの値を「0」に設定する。次いで、CPUは、ステップ955に進んで図10の目標操舵反力トルク取得処理ルーチンの処理を開始すると、ステップ1005にて「No」と判定してステップ1025に進む。ステップ1025にてCPUは、基準操舵反力トルクを目標操舵反力トルクTrtgとして取得する。
即ち、CPUは、「図5の実線Lt1によって表される操舵角度θと操舵角度相関値θcrとの関係」に基づいて取得される操舵角度相関値θcrと、この時点における車速係数Kvと、の積を目標操舵反力トルクTrtgとして取得する。次いでCPUは、ステップ1095に進む。
(ケースD)操舵介入制御が実行されており且つ操舵介入操作が継続されている場合
次に、操舵介入制御が実行されており且つ運転者による操舵介入操作が継続されていると仮定する。
この場合、CPUは、ステップ905に進むと、ステップ905にて「No」と判定してステップ950に進む。ステップ950にてCPUは、操舵介入操作が行われているか否かを判定する。即ち、上述したステップ910の処理と同様に、CPUは、操舵トルクTsの大きさがトルク閾値Tsth以上であれば(即ち、|Ts|≧Tsth)、CPUは、操舵介入操作が行われていると判定する。
前述の仮定によれば、操舵介入操作が継続しているので、CPUは、ステップ950にて「Yes」と判定してステップ955に進む。
(ケースE)操舵介入制御が実行されており且つ操舵介入操作が終了した場合
次に、操舵介入制御が実行されているときに操舵介入操作が終了したと仮定する。
この場合、CPUは、ステップ950に進むと、ステップ950にて「No」と判定してステップ975に進み、操舵介入フラグXasの値を「0」に設定する。次いで、CPUは、ステップ915に進む。
以上、説明したように、運転支援ECU20は、操舵介入制御の実行中、操舵角度θが表す操舵方向と、転舵角度δが表す転舵方向と、が互いに同一であれば、操舵角度θに対して定まる操舵反力トルクTrの大きさをトルク基準値よりも大きくする。一方、運転支援ECU20は、操舵介入制御の実行中、操舵角度θが表す操舵方向と、転舵角度δが表す転舵方向と、が互いに異なっていれば、操舵角度θに対して定まる操舵反力トルクTrの大きさをトルク基準値よりも小さくする。そのため、本制御装置によれば、ステアバイワイヤ車両における自動転舵制御の実行中、操舵介入制御を開始するときに車両偏向現象が発生している場合であっても、操舵反力トルクTrを適切に制御し、以て、運転者が転舵角度の誤認識に伴う違和感を覚えることを回避することができる可能性が高くなる。
以上、本発明に係る転舵制御装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、本実施形態において、前方カメラ41が撮影した前方画像に基づいて運転支援ECU20が自車線及び追従対象車両に関する情報(前方情報)を取得していた。しかし、前方カメラ41とは異なる装置によって前方情報が取得されても良い。例えば、車両10が前方カメラ41の代わりに或いは前方カメラ41に加えてミリ波レーダ装置及び/又はLIDAR(LIght Detection And Ranging)装置を備え、運転支援ECU20は、これらの装置による検出結果に基づいて前方情報を取得しても良い。
加えて、本実施形態において、運転支援ECU20は、操舵介入操作の有無を、操舵トルクTsの大きさとトルク閾値Tsthとの大小関係に基づいて判定していた。しかし、これとは異なる方法によって操舵介入操作の有無が判定されても良い。例えば、操舵ハンドル81の回転に係る運動方程式に基づいて操舵介入操作の有無が判定されても良い。具体的には、下式(2)が成立しているとき、運転支援ECU20は、運転者による操舵介入操作が行われていると判定しても良い。

|Sm×ω’−(Tr+Sc×ω+Sf)|>Fth ……(2)

ただし、式(2)において、角速度ωは操舵角度θを時間に対して微分して得られる値であり、角加速度ω’は角速度ωを時間に対して微分して得られる値である。加えて、慣性モーメントSmは操舵ハンドル81の慣性モーメントであり、減衰係数Scは操舵ハンドル81に加わる減衰力に相関を有する定数であり、摩擦力Sfは操舵ハンドル81の回転時に発生する摩擦力に相関を有する定数である。更に、判定閾値Fthは所定の定数(閾値)である。
或いは、操舵ハンドル81は、運転者に対して前後方向に移動可能にステアリングコラム82aに接続され且つ車線維持制御の実行中は運転者に対して近い位置に維持されるように構成されても良い。この場合、運転支援ECU20は、運転者が操舵ハンドル81を押し込んだときに操舵介入操作が行われたと判定しても良い。
加えて、本実施形態において、運転支援ECU20は、運転支援制御として追従車間距離制御及び車線維持制御を実行していた。即ち、本実施形態において、車線維持制御が自動転舵制御として実行されていた。しかし、運転支援ECU20は、自動転舵制御として車線維持制御とは異なる運転支援制御を実行しても良い。例えば、運転支援ECU20は、車両10が車線変更及び/又は右左折することを支援する制御を自動転舵制御として実行しても良い。即ち、本制御装置は、所謂、自動運転車両に適用されても良い。
加えて、本実施形態において、運転支援ECU20は、操舵介入操作が行われた結果として操舵介入制御を開始する時点における転舵角度δを参照転舵角度δreとして記憶していた。しかし、運転支援ECU20は、操舵介入制御を開始する時点における「最後に取得された目標転舵角度δtgt」を参照転舵角度δreとして記憶しても良い。
加えて、本実施形態において、操舵ハンドル81の回転位置として操舵角度θが取得されていた。しかし、操舵角度θは操舵器(本実施形態において、操舵ハンドル81)の回転位置とは異なる物理量として取得されても良い。例えば、操舵ハンドル81の代わりに運転者による揺動操作可能に車両10に固定されたコントロール・スティック(即ち、棒状の操縦桿)が操舵器として用いられ、当該操舵器の操作量(コントロール・スティックが運転者によって傾けられた方向及び傾斜角度の大きさ)が操舵角度θとして取得されても良い。
10…車両、41…前方カメラ、44…コラムレバー、45…表示装置、71…転舵輪、71L…左前輪、71R…右前輪、72…転舵電動機、73…ピニオンギア、74…ラックバー、75…転舵駆動回路、76…転舵角度センサ、81…操舵ハンドル、82…ステアリングシャフト、82a…ステアリングコラム、83…操舵電動機、84…操舵駆動回路、85…操舵角度センサ、86…操舵トルクセンサ。

Claims (1)

  1. 中立位置に対する回転方向及び回転量を表す操舵角度を車両の運転者が制御できる操舵ハンドルの当該操舵角度を変更させるトルクを発生させる操舵アクチュエータと、
    前記車両が備える転舵装置の中立位置に対する転舵方向及び転舵量を表す転舵角度を前記操舵角度に依らず制御できる転舵アクチュエータと、
    前記操舵角度に対応する前記転舵角度を基本転舵角度として取得し且つ前記転舵角度が当該基本転舵角度と一致するように前記転舵アクチュエータを制御する基本転舵制御と、前記操舵角度に依らず目標転舵角度を取得し且つ前記転舵角度が当該目標転舵角度と一致するように前記転舵アクチュエータを制御する自動転舵制御と、を選択的に実行する転舵角度制御部と、
    前記基本転舵制御が実行されているとき、前記操舵ハンドルが中立位置に戻る方向の、大きさが前記操舵角度に基づいて定まるトルク基準値であるトルクを前記操舵アクチュエータに発生させる操舵反力制御部と、
    を備え、
    前記転舵角度制御部は、
    前記自動転舵制御の実行中に前記運転者による所定の操舵介入操作が行われると、前記目標転舵角度を前記操舵角度に基づいて取得する操舵介入制御を開始し、
    前記操舵反力制御部は、
    前記操舵介入操作が行われた時点における前記転舵角度に対応する参照転舵角度の大きさが所定の角度閾値よりも大きければ、前記操舵介入制御の実行中に順方向補正処理又は逆方向補正処理を実行し、
    前記順方向補正処理は、
    前記操舵角度が表す操舵方向と前記参照転舵角度が表す転舵方向とが互いに同一であるときに前記操舵ハンドルが中立位置に戻る方向の、大きさが前記トルク基準値よりも大きいトルクを前記操舵アクチュエータに発生させる処理であり、
    前記逆方向補正処理は、
    前記操舵角度が表す操舵方向と前記参照転舵角度が表す転舵方向とが互いに異なるときに前記操舵ハンドルが中立位置に戻る方向の、大きさが前記トルク基準値よりも小さいトルクを前記操舵アクチュエータに発生させる処理である、
    ように構成された転舵制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023053225A1 (ja) * 2021-09-28 2023-04-06 本田技研工業株式会社 自動二輪車の転舵制御装置
JP7489021B2 (ja) 2020-08-31 2024-05-23 株式会社ジェイテクト 操舵装置

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