JP2020050970A - ポリエステル系長繊維不織布 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を共重合させた原料を用いることなしに、同原料を用いた場合よりも成型性を向上可能な、ポリエステル系長繊維不織布を得る。
【解決手段】ポリエステル系長繊維不織布であって、芯部にポリエステル系重合体Aが配されるとともに、鞘部にポリエステル系重合体Bが配された芯鞘型複合繊維を構成繊維とする。鞘部のポリエステル系重合体Bは、非晶性飽和共重合ポリエステルを1.0〜20質量%含有する。非晶性飽和共重合ポリエステルは、ガラス転移温度が60〜90℃、軟化点が90〜110℃、数平均分子量が10000〜20000、200℃におけるシェアレート1000s−1での溶融粘度が900〜3000dPa・sである。
【選択図】なし
【解決手段】ポリエステル系長繊維不織布であって、芯部にポリエステル系重合体Aが配されるとともに、鞘部にポリエステル系重合体Bが配された芯鞘型複合繊維を構成繊維とする。鞘部のポリエステル系重合体Bは、非晶性飽和共重合ポリエステルを1.0〜20質量%含有する。非晶性飽和共重合ポリエステルは、ガラス転移温度が60〜90℃、軟化点が90〜110℃、数平均分子量が10000〜20000、200℃におけるシェアレート1000s−1での溶融粘度が900〜3000dPa・sである。
【選択図】なし
Description
本発明はポリエステル系長繊維不織布に関し、特に成型の用途に適したポリエステル系長繊維不織布に関する。
ポリエステル系長繊維不織布は、強度が高く、また耐久性に優れるため、各種の分野に用いられている。その中でも、他の素材との複合、あるいは不織布単独で、所定の形状に成型された成型物は、連続繊維不織布の特性を活かしたものとなる。
このような成型用途に適したポリエステル系長繊維不織布として、特許文献1に例示されたものがある。この特許文献1では、不織布の構成ポリマーであるポリエステルとして、芳香族ポリエステルと低融点の共重合ポリエステルとを併用することが提案されている。すなわち、成型に用いる長繊維不織布を構成する連続繊維は、芳香族ポリエステルと芳香族共重合ポリエステルとを組み合せたものである。具体的な組合せ方としては、2つのポリエステルを複合紡糸して芯鞘複合繊維やサイドバイサイド繊維とする方法、2つのポリエステルをブレンド紡糸してブレンド繊維とする方法、低融点熱接着繊維と高融点繊維とを混繊する方法を挙げている。
しかしながら、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに第三成分を共重合させた共重合ポリエステルは、融点が低いため、高温下での寸法安定性に劣る。このため、高温での熱成型性に劣り、また耐熱性も高くないなどの問題点がある。
そこで本発明は、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに第三成分を共重合させた共重合ポリエステルを用いることなしに、共重合ポリエステルを用いた場合よりも成型性を向上可能な、ポリエステル系長繊維不織布を得ることを目的とする。
この目的を達成するため、本発明のポリエステル系長繊維不織布は、芯部にポリエステル系重合体Aが配されるとともに、鞘部にポリエステル系重合体Bが配された芯鞘型複合繊維を構成繊維とし、鞘部のポリエステル系重合体Bに非晶性飽和共重合ポリエステルを1.0〜20質量%含有し、前記非晶性飽和共重合ポリエステルは、ガラス転移温度が60〜90℃、軟化点が90〜110℃、数平均分子量が10000〜20000、200℃におけるシェアレート1000s−1での溶融粘度が900〜3000dPa・sであることを特徴とする。
本発明のポリエステル系長繊維不織布によれば、ポリエステル系重合体Aの融点が240〜270℃であることが好適であり、また芯部と鞘部との質量比率が、(芯部)/(鞘部)=90/10〜50/50であることが好適である。
本発明のポリエステル系長繊維不織布の製造方法は、上記のポリエステル系長繊維不織布のための構成繊維を得るときの紡糸速度を3000〜4500m/minとすることを特徴とする。
本発明によれば、鞘部のポリエステル系重合体Bに、所定の物性を有する非晶性飽和共重合ポリエステルを所定量含有させることで、鞘部のポリエステル系重合体Bの結晶性を芯部のポリエステル系重合体Aの結晶性よりも下げることができる。このように結晶化が抑制された鞘部は、融点よりも低い温度で良好に軟化するので、融点よりも低い温度で熱接着処理を施すことができ、このため引っ張りに対して伸張しやすく破壊や破断が生じにくいことから、熱成型時に良好に追従させることができ、優れた成型性を発揮する。
本発明のポリエステル系長繊維不織布の構成繊維において、芯部のポリエステル系重合体Aと鞘部のポリエステル系重合体Bとは、同じものを用いることができる。そのようなポリエステル系重合体として、芳香族ポリエステルや脂肪族ポリエステル等の従来公知のポリエステルを採用しうる。特に、ポリエチレンテレフタレートを好適に用いることができる。
鞘部のポリエステル系重合体Bは、非晶性飽和共重合ポリエステルを1.0〜20質量%含有する。この非晶性飽和共重合ポリエステルは、ガラス転移温度が60〜90℃、軟化点が90〜110℃、数平均分子量が10000〜20000、200℃におけるシェアレート1000s−1での溶融粘度が900〜3000dPa・sであることが必要である。
このように鞘部のポリエステル系重合体Bに非晶性飽和共重合ポリエステルを含有させることで、次のような利点がある。すなわち、ポリエステル系重合体を用いた溶融紡糸後に高速で引き取る際に、芯部および鞘部に配されたポリエステル系重合体は分子配向して結晶化するが、このとき、鞘部は、非晶性飽和共重合ポリエステルが含有されているため、芯部よりも結晶化しにくい。このように芯部と鞘部とで結晶しやすさに差を設け、そのような重合体を複合して、溶融紡糸後に高速で引き取った際に、芯部は配向結晶化が促進され、これに対し鞘部は配向結晶化が抑制される。すると、結晶化が抑制された鞘部は、不織布化のための熱接着成分として良好に機能する。すなわち、結晶化が抑制された鞘部は、融点よりも低い温度で良好に軟化するので、熱接着性に優れる。また、融点よりも低い温度で熱接着していることから、引っ張りに対して伸張しやすく、かつ破壊や破断が生じにくく、このため成型時の追従性が良好となる。さらには、熱圧着された箇所(部分熱圧着部)において、融点以下の低い温度で熱処理が施されていることにより、芯部への熱の影響がなく、熱圧着された箇所においても芯部は良好に強度を維持する。
鞘部のポリエステル系重合体Bに含有される非晶性飽和共重合ポリエステルのガラス転移温度が60〜90℃、その軟化点が90〜110℃であることで、鞘部が上記のように不織布化のための熱接着成分として良好に機能することを、確実に実現することができる。
また非晶性飽和共重合ポリエステルの数平均分子量が10000〜20000であることにより、鞘部を熱接着成分として良好に機能させることができる。
非晶性飽和共重合ポリエステルの200℃におけるシェアレート1000s−1での溶融粘度が900〜3000dPa・sであることで、鞘部の粘度を低くして、鞘部を流動しやすいものとすることができる。鞘部が流動しやすいことで、この鞘部を、上述の接着剤として良好に機能させることができる。
鞘部のポリエステル系重合体Bにおける非晶性飽和共重合ポリエステルの含有量は、上記した機能を発揮させるために、1.0〜20質量%であることが必要である。
芯部のポリエステル系重合体Aは、その融点が240〜270℃であることで、熱成型のための耐熱性に寄与することができる。
本発明のポリエステル系長繊維不織布によれば、芯部よりも結晶性の低い鞘部が不織布化のための熱接着成分として機能するとともに、芯部は不織布のための繊維構成成分として機能する。両方の機能をいずれも良好に発揮させるために、芯部と鞘部とは、その質量比率が、(芯部)/(鞘部)=90/10〜50/50であることが好適である。
不織布の構成繊維の単繊維繊度は、不織布の用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定しないが、一般に0.5〜12デシテックス程度がよい。
不織布の目付は、用途に応じて適宜選択すればよいが、一般に、10〜200g/m2程度がよい。目付が10g/m2未満であると、地合および機械的強力に劣る場合があり、実用的ではない。一方、目付が200g/m2を超えると、コスト面で不利である場合がある。熱成型性を考慮すると、10〜80g/m2がよい。
次に、本発明の不織布の好ましい製造方法について説明する。
本発明の不織布は、スパンボンド法によって効率よく製造することができる。まず、上述した芯部のためのポリエステル系重合体Aと、鞘部のための、所定の非晶性飽和共重合ポリエステルを所定量含有したポリエステル系重合体Bとを準備する。そして、両者を個別に溶融計量し、芯鞘型複合紡糸口金を用いて、ポリエステル系重合体Aは芯部を構成するノズル孔に、所定の非晶性飽和共重合ポリエステルを所定量含有したポリエステル系重合体Bは鞘部を構成するノズル孔に、それぞれ供給し溶融紡糸する。紡糸口金より紡出した紡出糸条は、従来公知の横吹き付けや環状吹き付け等の冷却装置を用いて冷却した後、吸引装置を用いて牽引細化して引き取る。
牽引細化の際の牽引速度は、3000〜4500m/分に設定する。牽引速度が3000m/分未満であると、糸条においては、十分に分子配向が促進されず、得られる不織布の寸法安定性が劣る傾向となる。一方、牽引速度が4500m/分を超えると、糸条へ大きな応力がかかり鞘部のポリマーにおいても結晶化が進むことから、本発明が目的とする不織布を得にくい。
牽引細化した芯鞘型複合繊維は、公知の開繊器具にて開繊した後、スクリーンコンベアなどの移動式捕集面上に開繊堆積して、不織ウェブを形成する。その後、この不織ウェブに、熱エンボス装置などの熱圧着装置を用いて部分的に熱圧着することにより、構成繊維同士を一体化して本発明の不織布を得る。
部分的に加熱加圧する際の熱処理温度(熱エンボス装置のロール設定温度)は、芯部のためのポリエステル系重合体Aの融点よりも50〜60℃低い温度に設定するとよい。本発明における芯鞘型複合繊維は、上記したように、芯部と鞘部とに同じポリエステル重合体A、Bを配することができるが、鞘部のポリエステル系重合体Bに非晶性飽和共重合ポリエステルを含有させることにより、芯部と鞘部とにおいて結晶化の状態が異なっている。すなわち、非晶性飽和共重合ポリエステルの有無により、結晶配向化のしやすさに差があり、そのようなポリマーを複合して溶融紡糸後に高速で引き取ると、芯部は配向結晶化が促進するが、鞘部は配向結晶化が抑制される。このため、融点よりも50〜60℃も低い温度で鞘部は良好に軟化し繊維同士を接着することから、実用的な強度を有する不織布が得られる。熱処理温度を、融点よりも60℃低い温度よりさらに低い温度に設定すると、鞘部が軟化しにくくなり接着強力が劣る傾向となる。一方、融点よりも50℃低い温度より高い温度に設定すると、熱圧着部が溶融固化して樹脂化しやすくなり、成型にあたっての所望の追従性が得られにくくなる。
以下の実施例、比較例における各種物性は、次のようにして評価した。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg):
JIS−K 7121に従って、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSC型)を用い、−60℃から120℃まで、昇温速度10℃/分の
JIS−K 7121に従って、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSC型)を用い、−60℃から120℃まで、昇温速度10℃/分の
条件で測定をおこなった。そして、得られた昇温曲線中の、低温側ベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度を求め、その交点をガラス転移温度とした。
ポリエステル樹脂の固有粘度(dL/g):
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃の条件下で、常法に基づき測定した。
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃の条件下で、常法に基づき測定した。
軟化点(℃):
ポリエステル樹脂を200μmの厚みになるように成形し、熱機械分析装置(TAインスツルメント社製、「TMA2940」)を用いて、下記「条件1」にて針入測定により軟化点を測定した(ベースと変曲点の接線の交点を軟化点とした)。
条件1:荷重500mN、昇温速度2℃/分、先端プローブ径1mm、試料厚み200μm
ポリエステル樹脂を200μmの厚みになるように成形し、熱機械分析装置(TAインスツルメント社製、「TMA2940」)を用いて、下記「条件1」にて針入測定により軟化点を測定した(ベースと変曲点の接線の交点を軟化点とした)。
条件1:荷重500mN、昇温速度2℃/分、先端プローブ径1mm、試料厚み200μm
ポリエステル樹脂の数平均分子量:
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量を測定した。
送液ユニット:島津製作所社製LC−10ADvp
紫外−可視分光光度計:島津製作所社製SPD−6AV
検出波長:254nm
カラム:Shodex社製KF−803 1本、Shodex社製KF−804 2本を直列に接続して使用
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量を測定した。
送液ユニット:島津製作所社製LC−10ADvp
紫外−可視分光光度計:島津製作所社製SPD−6AV
検出波長:254nm
カラム:Shodex社製KF−803 1本、Shodex社製KF−804 2本を直列に接続して使用
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
200℃におけるシェアレート1000s−1での溶融粘度(dPa・s):
東洋精機製キャピログラフ1C型を用いて、温度200℃、剪断速度1000秒−1、オリフィス径1mmの条件で測定した。
東洋精機製キャピログラフ1C型を用いて、温度200℃、剪断速度1000秒−1、オリフィス径1mmの条件で測定した。
目付(g/m2):
得られた不織布から、10cm×10cmの試料片を裁断し、これを10点作製した。標準状態(20℃、65%RH)において各試料片を秤量し、この秤量の平均値を算出した。この平均値を単位面積当たりの質量に換算し、不織布の目付け(g/m2)とした。
得られた不織布から、10cm×10cmの試料片を裁断し、これを10点作製した。標準状態(20℃、65%RH)において各試料片を秤量し、この秤量の平均値を算出した。この平均値を単位面積当たりの質量に換算し、不織布の目付け(g/m2)とした。
繊度(dtex):
堆積されたウェブの状態から、構成繊維をランダムに50本抜き出し、これらの繊維径を顕微鏡にて測定した。この測定値を密度補正して、各々の繊維の繊度を算出し、さらに平均値を求め、繊度とした。
堆積されたウェブの状態から、構成繊維をランダムに50本抜き出し、これらの繊維径を顕微鏡にて測定した。この測定値を密度補正して、各々の繊維の繊度を算出し、さらに平均値を求め、繊度とした。
5%強力(N/5cm):
下記載の引張強力と同条件で測定した際の、5%伸長時の応力を5%強力とした。
下記載の引張強力と同条件で測定した際の、5%伸長時の応力を5%強力とした。
引張強力(N/5cm):
試料長20cm、試料幅5cmの試料片を10点作製し、各試料片について、定速伸張型引張試験機(オリエンテック社製、「テンシロンUTM−4−1−100」)を用い、つかみ間隔10cm、引張速度20cm/分で伸張した際の、切断時の破断荷重(N/5cm)を測定した。そして、破断荷重の平均値を引張強力とした。測定は、機械方向(MD)および機械方向と直交する方向(CD)において測定した。
試料長20cm、試料幅5cmの試料片を10点作製し、各試料片について、定速伸張型引張試験機(オリエンテック社製、「テンシロンUTM−4−1−100」)を用い、つかみ間隔10cm、引張速度20cm/分で伸張した際の、切断時の破断荷重(N/5cm)を測定した。そして、破断荷重の平均値を引張強力とした。測定は、機械方向(MD)および機械方向と直交する方向(CD)において測定した。
破断伸度(%)
上記載の引張強力における評価前の試料片長さをL0とし、切断時の試料片長さをLとして、下記式によって算出した。
(破断伸度)(%)={(L−L0)/L0}×100
上記載の引張強力における評価前の試料片長さをL0とし、切断時の試料片長さをLとして、下記式によって算出した。
(破断伸度)(%)={(L−L0)/L0}×100
200℃×5min乾熱収縮率(%):
15cm×15cmの試料片を5点準備した。各々の試料片を、温度180℃で5分間放置し、収縮率を下式により算出した。算出された値の平均値を、乾熱収縮率とした。
(収縮率)(%)=[(15−Lx)/15]×100
なお、上記式において、Lxは、5分間放置した後の試料の長さを示す。
15cm×15cmの試料片を5点準備した。各々の試料片を、温度180℃で5分間放置し、収縮率を下式により算出した。算出された値の平均値を、乾熱収縮率とした。
(収縮率)(%)=[(15−Lx)/15]×100
なお、上記式において、Lxは、5分間放置した後の試料の長さを示す。
実施例1
ポリエステル系重合体として、融点258℃、固有粘度0.70dL/gのポリエチレンテレフタレートを使用した。このポリエステル系重合体を鞘/芯=35/65(質量比)となるように個別に計量した後、個別のエクトル−ダー型押出機を用いて溶融し、芯鞘形複合断面となるように溶融紡糸した。その際、鞘部に、非晶性飽和共重合ポリエステルとしての、ユニチカ社製ポリエステルUE−3200を5.0質量%となるように計量し添加した。このUE−3200は、ガラス転移温度84℃、軟化点100℃、数平均分子量16000、200℃におけるシェアレート1000s−1での溶融粘度2100dPa・sであった。
ポリエステル系重合体として、融点258℃、固有粘度0.70dL/gのポリエチレンテレフタレートを使用した。このポリエステル系重合体を鞘/芯=35/65(質量比)となるように個別に計量した後、個別のエクトル−ダー型押出機を用いて溶融し、芯鞘形複合断面となるように溶融紡糸した。その際、鞘部に、非晶性飽和共重合ポリエステルとしての、ユニチカ社製ポリエステルUE−3200を5.0質量%となるように計量し添加した。このUE−3200は、ガラス転移温度84℃、軟化点100℃、数平均分子量16000、200℃におけるシェアレート1000s−1での溶融粘度2100dPa・sであった。
紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、引き続いて紡糸口金の下方に設けたエアーサッカーにて牽引速度4000m/分で牽引細化し、公知の開繊器具を用いて開繊した。さらに、移動するスクリーンコンベア上にウェブとして捕集堆積させた。なお、堆積させた複合長繊維の単糸繊度は3.0デシテックス(dtex)であった。
次いで、このウェブを、エンボスロールと表面平滑な金属ロールとからなる熱エンボス装置に通して熱処理を施し、目付が30g/m2であるポリエステル系長繊維不織布を得た。熱エンボス条件としては、両ロールの表面温度を205℃とした。エンボスロールとして、個々の面積が0.6mm2の六角形の彫刻模様で、圧接点密度が20点/cm2、圧接面積率が15%のものを用いた。
得られたポリエステル系長繊維不織布の物性を表1に示す。
実施例2
実施例1と同様の条件で、目付が40g/m2のポリエステル系長繊維不織布を得た。
実施例1と同様の条件で、目付が40g/m2のポリエステル系長繊維不織布を得た。
得られたポリエステル系長繊維不織布の物性を表1に示す。
比較例1
第1のポリエステル系重合体として、融点258℃、固有粘度0.70dL/gのポリエチレンテレフタレートを準備した。第2のポリエステル系重合体として、次のものを準備した。すなわち、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA)92mol%及びイソフタル酸(IPA)8mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール(EG)100mol%を用いて共重合し、低融点ポリエステル(固有粘度0.79dL/g、融点230℃)を得た。それぞれのポリエステル系重合体を個別計量し(第1のポリエステル系重合体と第2のポリエステル系重合体との質量比=2:1)、個別のエクトル−ダー型押出機を用いて溶融し、丸断面の混繊となるように溶融紡糸した。
第1のポリエステル系重合体として、融点258℃、固有粘度0.70dL/gのポリエチレンテレフタレートを準備した。第2のポリエステル系重合体として、次のものを準備した。すなわち、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA)92mol%及びイソフタル酸(IPA)8mol%を用い、ジオール成分としてエチレングリコール(EG)100mol%を用いて共重合し、低融点ポリエステル(固有粘度0.79dL/g、融点230℃)を得た。それぞれのポリエステル系重合体を個別計量し(第1のポリエステル系重合体と第2のポリエステル系重合体との質量比=2:1)、個別のエクトル−ダー型押出機を用いて溶融し、丸断面の混繊となるように溶融紡糸した。
紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、引き続いて紡糸口金の下方に設けたエアーサッカーにて牽引速度5000m/分で牽引細化し、公知の開繊器具を用いて開繊した。さらに、移動するスクリーンコンベア上にウェブとして捕集堆積させた。堆積させた混繊長繊維の単糸繊度は、ポリエステル系重合体のものが3.4デシテックス、イソフタル酸を共重合したものが2.4デシテックスであった。
次いで、このウェブを、エンボスロールと表面平滑な金属ロールとからなる熱エンボス装置に通して熱処理を施し、目付が30g/m2であるポリエステル系長繊維不織布を得た。熱エンボス条件としては、両ロールの表面温度を210℃とした。エンボスロールとして、個々の面積が0.6mm2の六角形の彫刻模様で、圧接点密度が20点/cm2、圧接面積率が15%のものを用いた。
得られたポリエステル系長繊維不織布の物性を表1に示す。
比較例2
比較例1と同様の条件で、目付が40g/m2のポリエステル系長繊維不織布を得た。
比較例1と同様の条件で、目付が40g/m2のポリエステル系長繊維不織布を得た。
得られたポリエステル系長繊維不織布の物性を表1に示す。
実施例1、2の不織布は、比較例1、2における同じ目付のものと比べて、5%強力は小さく、これは、熱成形時に初期の応力に対して伸びやすく良好に成形型枠に追髄可能であることを示しており、加えて、破断伸度も高いものであった。また、実用的な強度を有するものであった。さらには、比較例と比べて、乾熱収縮率が小さく、耐熱性も良好であった。
これに対し、比較例1、2は、長繊維不織布の構成繊維が、ポリエチレンテレフタレート繊維と低融点の共重合ポリエステル繊維との2種の繊維であったため、すなわち実施例1、2のような鞘部に非晶性飽和共重合ポリエステルを含有した芯鞘の断面構造ではなかったため、実施例1、2と比較して、5%強力、伸度、乾熱収縮率が劣るものであった。
Claims (4)
- 芯部にポリエステル系重合体Aが配されるとともに、鞘部にポリエステル系重合体Bが配された芯鞘型複合繊維を構成繊維とし、鞘部のポリエステル系重合体Bに非晶性飽和共重合ポリエステルを1.0〜20質量%含有し、前記非晶性飽和共重合ポリエステルは、ガラス転移温度が60〜90℃、軟化点が90〜110℃、数平均分子量が10000〜20000、200℃におけるシェアレート1000s−1での溶融粘度が900〜3000dPa・sであることを特徴とするポリエステル系長繊維不織布。
- ポリエステル系重合体Aの融点が240〜270℃であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル系長繊維不織布。
- 芯部と鞘部との質量比率が、(芯部)/(鞘部)=90/10〜50/50であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル系長繊維不織布。
- 請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリエステル系長繊維不織布を製造するに際し、前記長繊維不織布のための構成繊維を得るときの紡糸速度を3000〜4500m/minとすることを特徴とするポリエステル系長繊維不織布の製造方法。
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Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2018-09-25 JP JP2018178213A patent/JP2020050970A/ja active Pending
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