JP2020050544A - 鉄ガリウム合金単結晶育成用種結晶 - Google Patents

鉄ガリウム合金単結晶育成用種結晶 Download PDF

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【課題】単結晶の育成時に種結晶の側面へ原料融液が流れ込んだとしても、側面の融解を防止して多結晶化を低減できるFeGa合金単結晶育成用種結晶を提供する。【解決手段】鉄ガリウム合金単結晶育成用種結晶であって、鉄ガリウム合金単結晶と、前記鉄ガリウム合金単結晶の側面を周回して被覆する第1鉄膜と、を備え、原料融液と接触する接触面は、前記鉄ガリウム合金単結晶が露出している、種結晶。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄ガリウム合金単結晶の育成に用いる種結晶に関し、特に、垂直ブリッジマン法(Vertical Bridgman method、以下「VB法」と略記する)や垂直温度勾配凝固法(Vertical Gradient Freeze method、以下「VGF法」と略記する)等に代表される、種結晶の上に配置した原料融液を坩堝中で固化させる一方向凝固結晶成長法による鉄ガリウム(以下、「FeGa」と略記する)合金単結晶の育成に有用な、種結晶に関する。
FeGa合金は、機械加工が可能であり、100〜350ppm程度の大きな磁歪を示すため、磁歪式振動発電やアクチュエータ等に用いられる素材として好適であり、近年、注目されている。
さらに、FeGa合金は、結晶の特定方位に大きな磁気歪みを現出させるため、磁歪部材の磁歪を必要とする方向と結晶の磁気歪みが最大となる方位を一致させた単結晶の使用が最適であると考えられている。
FeGa合金の単結晶の製造では、引き上げ法(チョクラルスキー法等)による単結晶の育成方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、高周波誘導加熱方式により原料の融解を行うため、電源コストが高くなる。また、装置構成が複雑であり、装置コストが高いため、引き上げ法では結果的に製造コストが高くなってしまう。
これに対して、VB法やVGF法は、育成された単結晶を引き上げる必要がなく、装置内に引き上げのスペースは不要である。そのため、単結晶育成装置の小型化や簡略化が可能であり、初期投資費用を抑えることができる。
一般的に、VB法やVGF法により単結晶を育成する場合、坩堝の底に種結晶を配置し、その上に原料を必要量入れ、原料融解を経て固化させるが、シーディング時、融解した原料が坩堝の内壁面と種結晶の側面との間にある隙間へ流れ込む場合がある。その際に、流れ込んだ原料融液により種結晶が側面部分から融解してしまい、融解した部分において、本来得ようとする結晶方位とは異なる方向に結晶が成長し、多結晶となる場合がある。また、流れ込んだ原料融液が種結晶の底まで到達すると、種結晶が完全に融解し、所定方位への単結晶の育成が困難となるおそれがある。さらに、流れ込んだ原料融液によるヒートショックにより、種結晶にクラックが発生してしまうおそれがある。
このような原料の流れ込みの問題に対して、例えば特許文献2では、種結晶の外側面に鉛直方向の上方から下方に向けて水平方向の径が徐々に小さくなるようなテーパを設けることで、シーディング時における原料融液の流れ込みを抑制している。
特開2016−28831号公報 特開2010−064936号公報
しかしながら、原料融液が流れ込まないよう、種結晶を収納する坩堝の形状や、その形状に合うよう種結晶の形状を加工するにしても、加工精度には限界があり、原料融液が種結晶の側面へ流れ込むことは完全には回避できないのが現実である。
本発明は、上述のような問題点に鑑み、単結晶の育成時に種結晶の側面へ原料融液が流れ込んだとしても、側面の融解を防止して多結晶化を低減できるFeGa合金単結晶育成用種結晶を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の種結晶は、FeGa合金単結晶育成用種結晶であって、FeGa合金単結晶と、前記FeGa合金単結晶の側面を周回して被覆する第1鉄膜と、を備え、原料融液と接触する接触面は、前記FeGa合金単結晶が露出している。
本発明の種結晶は、前記第1鉄膜の膜厚が、0.1〜0.4mmであってもよい。
本発明の種結晶は、前記FeGa合金単結晶の底面を被覆する第2鉄膜を備えてもよい。
本発明の種結晶は、前記第2鉄膜の膜厚が、0.1〜0.4mmであってもよい。
本発明のFeGa合金単結晶育成用種結晶であれば、VB法やVGF法等で単結晶の育成を行う場合において、原料融液が種結晶の側面へ流れ込んだとしても、側面の融解を防止して多結晶化を低減することができる。
本発明のFeGa合金単結晶育成用種結晶の実施態様の一例を示す図である。 本発明のFeGa合金単結晶育成用種結晶を備える単結晶育成装置の概略断面図である。
本発明者は、特許文献2に開示されたように、種結晶にテーパを設けても、種結晶の側面へ融液の流れ込みが発生し、種結晶の底まで到達すると多結晶化やクラック等の発生により、安定した品質の良い単結晶が得られない原因について検討した。その結果、シーディング時における坩堝と種結晶の熱膨張を計算して、シーディング時に原料融液が流れ込むような隙間が生じないように加工等することで、原料融液の流れ込みを抑えようとしても、坩堝の作製および種結晶の加工精度には限界があるため、原料融液の流れ込みを完全に防ぐことはできない。そして、加工精度が悪いと、原料融液の流れ込みも不均一となるために、原料融液が流れ込んだ部分の種結晶が融解することで多結晶化する可能性が非常に高くなる。
また、毎回行うシーディングについても、その条件や操作に多少なりともバラツキがあるため、原料融液と種結晶との境界付近において種結晶の中心部まで十分に溶解するように、坩堝内の温度を上げて種結晶をやや過剰気味に溶解してしまうと、種結晶の底部まで原料融液が到達し、多結晶化やヒートショックによる種結晶へのクラックが生じてしまうことの知見を得た。
本発明者は、これらの知見を出発点として、FeGa合金単結晶育成用種結晶の側面の融解を防止できるよう、鋭意研究を重ねた結果、坩堝と種結晶の加工精度が少々悪く、これらにシーディング時に原料融液が流れ込むような隙間がある場合や、坩堝内の温度を上げて種結晶を過剰気味に溶解した場合であっても、種結晶の表面に種結晶の融点より高く、原料にも使用されている鉄を用いて鉄膜を施すことで、種結晶の側面の融解による多結晶化を防止できることの知見を得て、本発明を完成するに至ったものである。
以下、本発明の一実施形態にかかるFeGa合金単結晶育成用種結晶について、図1、2を参照しつつ説明する。
[FeGa合金単結晶育成用種結晶]
図1は、本発明のFeGa合金単結晶育成用種結晶の実施態様の一例を示す図である。図1(a)は種結晶100の斜視図であり、図1(b)は図1(a)のAA線で切断した側面の断面である。また、図1(c)〜(e)は、種結晶100の変形例を示す側面の断面図である。種結晶100は、FeGa合金単結晶10と、第1鉄膜20を備える。
(FeGa合金単結晶)
FeGa合金単結晶10は、FeGa合金単結晶の育成に用いることのできるFeGa合金製の種結晶であれば、特に限定されない。また、図1(a)では、FeGa合金単結晶10の一例として、円柱状の種結晶を示しているが、形状はこれに限定されず、角柱状、角に丸みのある略角柱状、円錐台状、逆円錐台状等、種結晶として用いやすい任意の形状とすることができる。
(第1鉄膜)
第1鉄膜20は、FeGa合金単結晶10の側面11を周回して被覆する。このように、FeGa合金単結晶10の側面11を、FeGa合金よりも融点が高く、かつFeGa合金を構成する元素でもあるFeが膜状に一周するように周回することで、Fe膜より低い融点のFeGa原料融液が種結晶100の側面に流れ込んできても、直ちに種結晶100の側面が融解せず、種結晶100の形状と育成方位を維持したままシーディング作業が行えることで、FeGa合金単結晶の育成初期時の多結晶化を抑制できる。
ここで、FeはFeGa合金単結晶を構成する元素である。そのため、Feの融点よりも高い温度となったFeGa原料融液が側面11に流れ込むことによりFe膜が融解したとしても、FeGa原料融液の組成変動は僅かであり、単結晶の育成に問題は生じない。
また、第1鉄膜20は、側面11の一部を周回して被覆すればその効果を発揮することができ、これにより、FeGa原料融液がどこから側面11へ流れ込んできても、育成初期時の多結晶化を抑制できる。このような効果は、例えば図1(c)および図1(d)に示すように、高さH方向の上半分のみを第1鉄膜21が周回して被覆する種結晶110や、高さ方向の下半分のみを第1鉄膜22が周回して被覆する種結晶120のような形態であれば、期待することができる。ただし、図1(b)に示すように、側面11の全体を第1鉄膜20が被覆すれば、側面11においてFeGa合金単結晶10が露出することがないため、FeGa合金単結晶の育成初期時の多結晶化をより高い確率で抑制することができる。
第1鉄膜20〜22の膜厚は、特に限定されないが、0.1mm〜0.4mmであることが好ましい。この範囲の膜厚であれば、FeGa合金単結晶の育成初期時の多結晶化やヒートショックによるクラックの発生を十分に防止することができる。膜厚が0.1mm未満であっても、Fe膜が形成されていることによる側面11の融解防止効果は発揮されるが、シーディングが長引くとFe膜が原料融液中に溶出し、消失してしまうおそれがある。また、膜厚が0.4mmを超えたとしても、種結晶の融解防止効果がさらに向上することはなく、例えばFe膜の膜厚を厚くするための成膜時間が長くなるおそれや、FeGa原料融液の組成変動を招くおそれがある。
第1鉄膜20〜22は、膜厚が均一であることが好ましい。これにより、FeGa原料融液がどこから側面11へ流れ込んできても、育成初期時の多結晶化を一様に、抑制できる。
なお、本発明の種結晶は、シーディングに不具合が乗じないよう、原料融液と接触する接触面12は、鉄膜等によって被覆されることなく、FeGa合金単結晶10が露出している。
(第2鉄膜)
本発明の種結晶は、上記した第1鉄膜に加え、図1(e)に示すように鉄ガリウム合金単結晶10の底面13を被覆する第2鉄膜30を備えてもよい。例えば、シーディングの温度条件が通常よりも高いことで、温度の高い原料融液が側面11に流れ込んで更に底面13に達した場合であっても、第2鉄膜30を備えていれば、流れ込んだ原料融液との接触によるヒートショックにより、FeGa合金単結晶10にクラックが発生することを防止できる。
第1鉄膜20〜22および第2鉄膜30の膜厚は、特に限定されないが、0.1mm〜0.4mmであることが好ましい。この範囲の膜厚であれば、FeGa合金単結晶の育成初期時の多結晶化やヒートショックによるクラックの発生を十分に防止することができる。膜厚が0.1mm未満であっても、Fe膜が形成されていることによる側面11の融解防止効果や、底面13付近のクラックの発生の防止効果は発揮されるが、シーディングが長引くとFe膜が原料融液中に溶出し、消失してしまうおそれがある。また、膜厚が0.4mmを超えたとしても、種結晶の融解防止効果や、底面13付近のクラックの発生の防止効果がさらに向上することはなく、例えばFe膜の膜厚を厚くするための成膜時間が長くなるおそれや、FeGa原料融液の組成変動を招くおそれがある。
なお、第1鉄膜20〜22および第2鉄膜30の膜厚は同一であってもよく、第2鉄膜30の方が薄い場合や、厚い場合も本発明に含まれる。
第2鉄膜30は、膜厚が均一であることが好ましい。これにより、FeGa原料融液がどこから底面13へ流れ込んできても、FeGa合金単結晶10にクラックが発生することを一様に防止できる。
本発明のFeGa合金単結晶育成用種結晶は、当該種結晶の上にある原料融液を育成して単結晶を得る方法に有用であり、具体的には、VB法、VGF法、引下げ法等において多結晶化を防止できる点で、有用である。ただし、引き上げ法等において本発明の種結晶を用いても問題は無い。
〈FeGa合金単結晶育成用種結晶の製造方法〉
次に、種結晶100の製造方法について説明する。製法としては、FeGa合金単結晶10の側面11や底面13にFe膜を形成して被覆することが出来れば、特に限定されない。例えば、結晶育成面となる原料融液と接触する接触面12のみにテープや樹脂等でFe膜が施されないようマスキングした後、比較的低コストである電解めっき処理により、Fe膜を形成することができる。もちろん、電解めっき法以外に無電解めっき法やコスト高となるがスパッタリング法および蒸着法などでも、Fe膜の形成に問題はない。
〈FeGa合金単結晶育成装置〉
以下、図2に示す単結晶育成装置1000の概略断面図を参照しつつ、本発明の鉄ガリウム合金単結晶育成用種結晶を備える単結晶育成装置の一例について説明する。
図2では、単結晶育成装置1000における単結晶育成用坩堝200と種結晶100、FeGa単結晶用の原料300との位置関係を模式的に示している。単結晶育成装置1000は、上段ヒーター400a、中段ヒーター400b、下段ヒーター400cを備える抵抗加熱ヒーター400、坩堝受け500、坩堝受け500を上下に移動可能な可動用ロッド600を備えており、更に図2では図示していないが、断熱材、単結晶育成用坩堝200の温度を確認するための熱電対、真空ポンプおよびチャンバー等を備えている。そして、チャンバー内の上部が高温、下部が低温となる温度分布を実現可能な構成となっており、VB法やVGF法等の一方向凝固結晶成長法により、原料300の融解物を単結晶育成用坩堝200中で固化させることで、単結晶を育成することができる。
抵抗加熱ヒーター400としては、例えばカーボン製の抵抗加熱ヒーターを配置し、単結晶の育成時に抵抗加熱ヒーター400によりホットゾーンを形成することができる。また、上段ヒーター400a、中段ヒーター400bおよび下段ヒーター400cへの投入電力を調整することにより、ホットゾーン内の温度勾配を制御することが可能である。
抵抗加熱ヒーター400の内側には、単結晶育成用坩堝200が配置され、坩堝受け500に載置されている。単結晶育成用坩堝200内の下部に、本発明の種結晶100が充填され、この種結晶100の上に、粒子状やフレーク状等の鉄とガリウムの混合物である原料300が充填される。
単結晶育成装置1000には、チャンバーと真空ポンプが設置されており、原料300をアルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気や真空雰囲気に調整して単結晶を育成することができる。
単結晶育成用坩堝200の材質は、鉄ガリウム合金の単結晶との化学的反応性が低く、高融点材料であるであるアルミナが好ましい。また、マグネシア、熱分解窒化ホウ素(Pyrolitic Boron Nitride)でもよい。
上方側が開放された単結晶育成用坩堝200には、ゴミ落下防止用の蓋材(図示せず)を被せてもよい。単結晶育成用坩堝200は、上述したように単結晶育成装置1000内で坩堝受け500上に載置され、可動用ロッド600を上下させることにより、単結晶育成用坩堝200を育成炉内で上下させることができる。また、単結晶育成用坩堝200には、坩堝の温度をモニタリングできる熱電対210が取り付けられている。
〈FeGa合金単結晶の育成方法〉
次に、単結晶育成装置1000を用いた単結晶育成方法について、VB法を例として、図4を参照しつつ説明する。
まず、単結晶育成用坩堝200の下部に主面方位が<100>方位の種結晶100を配置する。そして、種結晶100の上には、鉄とガリウムの混合物である単結晶の原料300を必要量配置する。
次に、チャンバー内にアルゴンや窒素等の不活性ガスを流し、チャンバー内を不活性雰囲気に調整する。窒化ガリウム等が生成するおそれがある場合には、アルゴンガスを導入することが好ましい。チャンバー内が不活性雰囲気となった後、単結晶育成用坩堝200を囲むように配置された上段ヒーター400a、中段ヒーター400bおよび下段ヒーター400cを作動して昇温し、原料300の融解を開始する。
原料300がほぼ融解して融解物となったら、真空ポンプを作動して、チャンバー内を減圧し、融解物中の気泡を取り除く。気泡を除去したら、チャンバー内にアルゴンや窒素等の不活性ガスを流し、再びチャンバー内を不活性雰囲気に調整した後、単結晶育成用坩堝200の内部でFeGa合金の単結晶を育成する。具体的には、抵抗加熱ヒーター400を用いて、種結晶100および融解物が収納された単結晶育成用坩堝200を、高さ方向の上方の温度が高く、下方の温度が低い温度分布となるように加熱する。この状態で、チャンバー内の温度を、種結晶100が高さH方向の上半分位までが融解するまで昇温し、シーディングを行う。なお、種結晶100は、単結晶育成の核となるものであり、種結晶100を原料300の融解物と一体化させるために一部を融解させるが、種結晶100の全部を融解させないようにしなければならない。その後、そのままのチャンバー内の温度勾配を維持しながら、抵抗加熱ヒーター400の出力を徐々に低下させ、すべての融解物を固化させた後、所定速度で冷却を行ってFeGa合金の単結晶を得る。
次に、チャンバー内の温度が室温程度になったことを確認した後、育成された単結晶が入った単結晶育成用坩堝200を坩堝受け500から取り外し、さらに単結晶育成用坩堝200から育成された単結晶を取り出す。
上記では、単結晶育成装置1000を用いたVB法による鉄ガリウム合金の単結晶育成方法について説明したが、同じ単結晶育成装置1000を用いて、単結晶育成中に単結晶育成用坩堝200を上下に移動させることに替えて、抵抗加熱ヒーター400を調整して温度制御するVGF法によっても、鉄ガリウム合金の単結晶を育成することができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例等によって何ら限定されることはない。なお、単結晶の育成はVB法により行った。
[実施例1]
(種結晶130の製造)
図1(a)、(e)に示す高さ30mm、直径25mmφであるGa含有量16at%のFeGa合金単結晶10に対し、結晶育成の妨げにならないように成長方向面(接触面12)以外の表面、つまり側面11と底面13に、厚さが0.2mmのFe膜を電解めっきにより形成し、実施例1の種結晶130を得た。表1に、第1鉄膜および第2鉄膜の膜厚を示す。
(FeGa合金単結晶の育成)
図2に示す単結晶育成装置1000を使用し、上記した育成方法に基づき、FeGa合金単結晶を育成した。坩堝台500の上に単結晶育成用坩堝200(アルミナ製で内径26mmφ、高さ150mm、厚み3mm)を置き、単結晶育成用坩堝200内に実施例1の種結晶130を収納した。次に、種結晶130の上に、融解したGaにFe粉を所望量入れて混合した原料300を必要量入れた。そして、カーボン製抵抗加熱ヒーター400を用いて、炉内の温度分布を上方が高く、下方が低くなるよう調整した。なお、炉内はArガスを注入して低酸素雰囲気として、育成を開始した。
この状態で、種結晶130の高さが半分位融解するよう可動用ロッド600を徐々に上昇させ、シーディングを行った。シーディング後、種結晶130上部の融解した固液界面形状を安定させる目的で、1時間程度炉内の条件を保持させた後、可動用ロッド600を2mm/hの速度で降下させて、単結晶育成を行った。
単結晶育成用坩堝200内の原料融液をすべて固化させた後、約300℃/hの速度で炉冷を行い、室温程度になったことを確認した後、育成した単結晶を取り出して、原料融液の流れ込みと得られたFeGa合金単結晶の品質を確認した。その結果、種結晶130の側面および底面には原料融液の流れ込みが認められたものの、第1鉄膜および第2鉄膜が残っており、原料融液の流れ込みによる種結晶130の融解やクラックの発生は観察されなかった。また、育成により得られたFeGa合金単結晶の品質を確認したところ、多結晶化せずに良好な単結晶であった(表1)。
Figure 2020050544
[実施例2〜6]
第1鉄膜および第2鉄膜の膜厚が実施例1と異なる他は、実施例1と同様のFeGa合金単結晶10にFe膜を電解めっきにより形成して種結晶130を製造し、FeGa合金単結晶の育成を行い、育成したFeGa合金単結晶の品質を確認した。
その結果、第1鉄膜および第2鉄膜の膜厚を0.25mm〜0.4mmとした実施例2〜5では、種結晶130の側面および底面には原料融液の流れ込みが認められたものの、第1鉄膜および第2鉄膜が残っており、原料融液の流れ込みによる種結晶130の融解やクラックの発生は観察されなかった。また、育成により得られたFeGa合金単結晶は、多結晶化せずに良好な単結晶であった(表1)。
次に、第1鉄膜および第2鉄膜の膜厚の厚さを0.1mmとした実施例6では、種結晶130の側面の一部で第1鉄膜が消失しており、原料融液の流れ込みによるFeGa合金単結晶10の融解が疑われるところが観察された。ただし、原料融液の流れ込みによる種結晶130の融解やクラックの発生は観察されなかった。また、育成により得られたFeGa合金単結晶は、多結晶化せずに良好な単結晶であった(表1)。
[比較例1]
実施例1と同様のFeGa合金単結晶10を、Fe膜を形成せずに種結晶として使用したこと以外は、実施例1と同様にしてFeGa合金単結晶の育成を行い、育成したFeGa合金単結晶の品質を確認した。
その結果、種結晶の側面と底面とで原料融液の流れ込みによる融解が発生しており、また、育成により得られたFeGa結晶は多結晶化していた(表1)。
[まとめ]
以上の実施例の結果より、本発明であれば、種結晶へFe膜を被覆することで、種結晶の融解やクラックの発生を抑制でき、その結果として、FeGa合金単結晶の育成において、歩留まりを上げることができることは明らかである。
10 FeGa合金単結晶
11 側面
12 接触面
13 底面
20 第1鉄膜
21 第1鉄膜
22 第1鉄膜
30 第2鉄膜
100 種結晶
110 種結晶
120 種結晶
200 単結晶育成用坩堝
210 熱電対
300 原料
400 抵抗加熱ヒーター
400a 上段ヒーター
400b 中段ヒーター
400c 下段ヒーター
500 坩堝受け
600 可動用ロッド
1000 単結晶育成装置
H 高さ

Claims (4)

  1. 鉄ガリウム合金単結晶育成用種結晶であって、
    鉄ガリウム合金単結晶と、
    前記鉄ガリウム合金単結晶の側面を周回して被覆する第1鉄膜と、を備え、
    原料融液と接触する接触面は、前記鉄ガリウム合金単結晶が露出している、種結晶。
  2. 前記第1鉄膜の膜厚が、0.1〜0.4mmである、請求項1に記載の種結晶。
  3. 前記鉄ガリウム合金単結晶の底面を被覆する第2鉄膜を備える、請求項1または2に記載の種結晶。
  4. 前記第2鉄膜の膜厚が、0.1〜0.4mmである、請求項3に記載の種結晶。
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