JP2020049917A - 書き味向上シート - Google Patents

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Abstract

【課題】タッチペンによる書き味に優れるとともに、白茶けの発生が抑制された書き味向上シートを提供する。【解決手段】基材11と、基材11の一方の面側に設けられた書き味向上層12と、書き味向上層12における基材11とは反対側に設けられた光学調整層13とを備えた書き味向上シート1であって、光学調整層13の屈折率が、書き味向上層12の屈折率未満であり、書き味向上シート1における光学調整層13側の表面に対し、ペン先直径0.5mmのハードフェルト芯のタッチペンのペン先を荷重3.92Nの加圧条件で垂直方向に接触させ、光学調整層13の表面と平行な任意の一方向に速度100mm/分で移動させたときのペン先抵抗力(mN)の初動値(A)及び摺動値(B)が、下記式(a)及び式(b)の関係を満たす書き味向上シート。0<初動値(A)−摺動値(B)…(a)350≦初動値(A)…(b)【選択図】図1

Description

本発明は、タッチパネル等におけるタッチペンでの書き味を向上させることのできる書き味向上シートに関するものである。
近年、各種電子機器において、表示装置と入力手段とを兼ねた位置検出機能付き画像表示装置(タッチパネル)が多く利用されている。このようなタッチパネルにおいては、指により入力を行うもの以外にも、タッチペンにより入力を行うものがあり、タッチペンによれば、指よりも細かく精度の高い入力作業が可能である。しかしながら、通常、タッチパネルの表示モジュールは硬質である。そのため、タッチペンによる書き味は、ボールペンや万年筆等のペンで紙に書くときの書き味と異なり、良好とはいい難い。
タッチパネルにおけるタッチペンによる書き味の問題を解決するために、タッチパネルの最表面に、書き味を向上させるフィルム(以下、「書き味向上フィルム」または「書き味向上シート」と称する場合がある。)を貼付することが検討されている。そのような書き味向上フィルムとして、例えば、特許文献1は、透明基材フィルムと、この透明基材フィルムの少なくとも一方の面で網目構造を形成する線状凸部とを含み、網目構造が規則的に配列された複数の区画を有し、かつ線状凸部が触感フィルム表面全体に対して5〜80%の面積を占める触感フィルム、を開示する。
特開2015−054417号公報
しかしながら、特許文献1に開示された発明では、ペン先に引っ掛かり感や滑り感が発生したり、筆記の際の音や振動が、ペンで紙に筆記した場合と異なったりして、ペンで紙に筆記したときの書き味を十分に得ることはできなかった。また、従来の書き味向上フィルムでは、当該フィルムが白っぽくなる、いわゆる「白茶け」が発生して、表示画像の視認性が低下する場合や、外観が悪化する場合があった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、タッチペンによる書き味に優れるとともに、白茶けの発生が抑制された書き味向上シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、基材と、前記基材の一方の面側に設けられた書き味向上層と、前記書き味向上層における前記基材とは反対側に設けられた光学調整層とを備えた書き味向上シートであって、前記光学調整層の屈折率が、前記書き味向上層の屈折率未満であり、前記書き味向上シートにおける前記光学調整層側の表面に対し、ペン先直径0.5mmのハードフェルト芯のタッチペンのペン先を荷重3.92Nの加圧条件で垂直方向に接触させ、前記光学調整層の表面と平行な任意の一方向に速度100mm/分で移動させたときのペン先抵抗力(mN)の初動値(A)及び摺動値(B)が、下記式(a)及び式(b)の関係を満たす
0<初動値(A)−摺動値(B) …(a)
350≦初動値(A) …(b)
ことを特徴とする書き味向上シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係る書き味向上シートにおいては、上記の構成および物性を有することにより、タッチペンによる書き味に優れるとともに、当該書き味向上シートに起因する白茶けの発生が抑制される。
上記発明(発明1)においては、前記光学調整層の屈折率が、1.2以上、1.5以下であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)においては、前記書き味向上シートのトータルヘイズが、5%以上、40%以下であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)においては、前記光学調整層が、硬化性成分と、微粒子とを含有するコーティング組成物を硬化させてなる層であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)においては、前記書き味向上層が、硬化性成分と、微粒子とを含有するコーティング組成物を硬化させてなる層であることが好ましい(発明5)。
本発明に係る書き味向上シートによれば、タッチペンによる書き味に優れるとともに、白茶けの発生が抑制される。
本発明の一実施形態に係る書き味向上シートの断面図である。 ペン先抵抗力の測定結果の一例(本実施形態に係る書き味向上シートに関する例)を示すグラフである。 ペン先抵抗力の測定結果の他の例(一般的な書き味向上シートに関する例)を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る書き味向上シートは、タッチペンが使用されるタッチパネルの最表層を構成するシートであり、基材と、基材の一方の面側に設けられた書き味向上層と、書き味向上層における基材とは反対側に設けられた光学調整層とを備える。好ましくは、図1に示すように、本実施形態に係る書き味向上シート1は、基材11と、書き味向上層12と、光学調整層13とをその順に積層してなる。
上記書き味向上シート1においては、光学調整層13の屈折率が、書き味向上層12の屈折率未満である。また、上記書き味向上シート1においては、当該書き味向上シート1における光学調整層13側の表面に対し、ペン先直径0.5mmのハードフェルト芯のタッチペンのペン先を荷重3.92Nの加圧条件で垂直方向に接触させ、光学調整層13の表面と平行な任意の一方向に速度100mm/分で移動させたときのペン先抵抗力(mN)の初動値(A)及び摺動値(B)が、下記式(a)及び式(b)の関係を満たす(以下「書き味物性」という場合がある)。
0<初動値(A)−摺動値(B) …(a)
350≦初動値(A) …(b)
上記の構成および物性を有する書き味向上シート1においては、タッチペンによる書き味に優れるとともに、当該書き味向上シート1に起因する白茶けの発生が抑制される。したがって、本実施形態に係る書き味向上シート1によれば、優れた書き味を有しつつ、表示画像の視認性や外観を良好に維持することができる。
本実施形態に係る書き味向上シート1において、書き味向上層12の屈折率から光学調整層13の屈折率を差し引いた値(屈折率差)は、0より大きな値であり、好ましくは0.01以上であり、特に好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.10以上である。上記屈折率差がかかる値であることにより、書き味向上シート1における白茶けの発生が効果的に抑制される。一方、上記屈折率差の上限値は、0.30以下であることが好ましく、特に0.25以下であることが好ましく、さらには0.20以下であることが好ましい。上記屈折率差の上限値がかかる値であることにより、書き味向上シート1における白茶けの発生の抑制と、ギラツキの発生の抑制とを両立し易くなり、表示画像の視認性や外観を良好に維持することができる。
光学調整層13の屈折率は、上限値として、1.50以下であることが好ましく、特に1.45以下であることが好ましく、さらには1.40以下であることが好ましい。光学調整層13の屈折率の上限値が上記であると、前述した屈折率差が満たされ易いものとなる。また、光学調整層13の屈折率は、下限値として、1.20以上であることが好ましく、特に1.25以上であることが好ましく、さらには1.30以上であることが好ましい。光学調整層13の屈折率の下限値が上記であると、前述した屈折率差の上限値を所望の値に調整し易くすることができる。
書き味向上層12の屈折率は、1.40以上であることが好ましく、特に1.45以上であることが好ましく、さらには1.50以上であることが好ましい。また、書き味向上層12の屈折率は、1.70以下であることが好ましく、特に1.60以下であることが好ましく、さらには1.55以下であることが好ましい。書き味向上層12の屈折率が上記範囲にあることで、優れた書き味を達成することができるとともに、前述した屈折率差が満たされ易いものとなる。
なお、本明細書における各層の屈折率は、試験例に示す方法により測定した値である。
ここで、ペン先抵抗力の初動値(A)とは、タッチペンが走査し出す段階に示すペン先抵抗力の値であり、図2及び図3に示されるように通常ピーク値として検出される。一方、ペン先抵抗力の摺動値(B)とは、初動の影響が収まり、安定な走査状態におけるペン先抵抗力の平均値をいう。例えば、図2では、走査長10〜40mmのペン先抵抗力の平均値が摺動値(B)となる。一方、図3では、走査長15〜40mmのペン先抵抗力の平均値が摺動値(B)となる。
上記式(a)に示すように初動値(A)から摺動値(B)を差し引いた値(ペン先抵抗力の差(A−B))が0mNよりも大きな値となることで、書き味向上シート1は、特にクッション性を有する粘着剤層等を設けることなく、書き味向上シート自体でタッチペンの書き味が良好になる。これは、初動値(A)と摺動値(B)との関係が、鉛筆で紙に書くときの関係に近くなるからであると考えられる。かかる観点から、初動値(A)から摺動値(B)を差し引いた値の下限値は、10mN以上であることが好ましく、特に40mN以上であることが好ましく、さらには70mN以上であることが好ましい。なお、表面に凹凸を有しない一般的なハードコートフィルムでは、ピークトップを示す初動値(A)が観察されない。また、一般的な書き味向上シートでは、図3に示すように、初動値(A)は観察されるものの、その後、ペン先抵抗力が増加して摺動値(B)が大きくなるため、上記ペン先抵抗力の差(A−B)は、通常、マイナスの値を示す。
なお、初動値(A)及び摺動値(B)が上記の関係を満たせば、上記ハードフェルト芯のタッチペンとは材料やペン先径の異なるタッチペン(例えば、ポリアセタール芯のタッチペン)を使用した場合でも、書き味向上シートの書き味向上の効果が確認される。
一方、初動値(A)から摺動値(B)を差し引いた値が大き過ぎると、ペン先が摩耗し易くなるおそれがあるとともに、書き始めに引っ掛かり感が出たり、音が生じたりするおそれがある。かかる観点から、初動値(A)から摺動値(B)を差し引いた値の上限値は、300mN以下であることが好ましく、特に250mN以下であることが好ましく、さらには200mN以下であることが好ましい。
さらに、上記式(b)に示すように、初動値(A)が、350mN以上であると、書き味向上シート1は、書き始めにペン先が滑り過ぎることがなく、タッチペンの書き味が良好なものとなる。かかる観点から、上記初動値(A)は、400mN以上であることが好ましく、特に500mN以上であることが好ましい。
一方、初動値(A)は、1000mN以下であることが好ましい。これは、書き味向上シート1において、書き始めにペン先に引っ掛かり感が出たり、音が生じたりすることが抑制され、タッチペンの書き味がより良好なものとなるためである。かかる観点から、初動値(A)の上限値は、900mN以下であることが好ましく、特に800mN以下であることが好ましく、さらには750mN以下であることが好ましい。
なお、上記摺動値(B)は、下限値として、100mN以上であることが好ましく、特に250mN以上であることが好ましく、さらには400mN以上であることが好ましい。また、上記摺動値(B)は、上限値として、900mN以下であることが好ましく、特に750mN以下であることが好ましく、さらには600mN以下であることが好ましい。摺動値(B)がかかる値の範囲であれば、書き味向上シート1は、筆記の際に、ペン先に引っ掛かり感や滑り感が発生することを効果的に抑制できるとともに、筆記の際の音や振動が、ペンで紙に筆記した場合に近くなり易く、書き味がさらに良好なものとなる。
書き味向上シート1のトータルヘイズは、下限値として、5%以上であることが好ましく、特に8%以上であることが好ましく、さらには16%以上であることが好ましい。トータルヘイズの下限値が上記であると、書き味向上シート1に起因するギラツキが抑制される。また、書き味向上シート1のトータルヘイズは、上限値として、40%以下であることが好ましく、特に30%以下であることが好ましく、さらには21%以下であることが好ましい。トータルヘイズの上限値が上記であると、書き味向上シート1に起因する白茶けの発生が効果的に抑制され易くなるとともに、光透過性が確保され、表示画像の視認性がより良好なものとなる。
また、書き味向上シート1の外部ヘイズは、下限値として、5%以上であることが好ましく、特に8%以上であることが好ましく、さらには15%以上であることが好ましい。外部ヘイズの下限値が上記であると、書き味向上シート1に起因するギラツキが効果的に抑制される。また、書き味向上シート1の外部ヘイズは、上限値として、40%以下であることが好ましく、特に30%以下であることが好ましく、さらには22%以下であることが好ましい。外部ヘイズの上限値が上記であると、書き味向上シート1に起因する白茶けの発生が効果的に抑制され易くなる。
なお、本実施形態における書き味向上シート1のトータルヘイズは、基材11、書き味向上層12および光学調整層13の積層体全体のヘイズ(内部ヘイズおよび外部ヘイズの合計)である。また、本明細書におけるヘイズは、JIS K7136:2000に準じて測定した値とする。トータルヘイズおよび外部ヘイズの具体的な測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
1.各部材
(1)基材
基材11としては、タッチペンが使用されるタッチパネル用として適したものから適宜選択すればよく、好ましくは書き味向上層12と親和性の良好なプラスチックフィルムを選択する。ただし、基材11は、ガラスであってもよい。
かかるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルぺンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリウレタン樹脂フィルム、ノルボルネン系重合体フィルム、環状オレフィン系重合体フィルム、環状共役ジエン系重合体フィルム、ビニル脂環式炭化水素重合体フィルム等のプラスチックフィルムまたはそれらの積層フィルムが挙げられる。中でも、前述した書き味向上層12との組み合わせにおいて、タッチペンの書き味を良好に維持することのできるポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系重合体フィルム等が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また、上記基材11においては、その表面に設けられる層(光学調整層13、後述する粘着剤層等)との密着性を向上させる目的で、所望により片面または両面に、プライマー処理、酸化法、凹凸化法等により表面処理を施すことができる。酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理法は基材11の種類に応じて適宜選ばれる。一例として、プライマー処理により易接着層を形成したプラスチックフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。
基材11の厚さは、15〜300μmであることが好ましく、特に30〜200μmであることが好ましく、さらには90〜150μmであることが好ましい。
(2)書き味向上層
(2−1)書き味向上層の材料
本実施形態における書き味向上シート1の書き味向上層12は、前述した屈折率差および書き味物性を満たす材料からなれば、いかなる材料から形成されてもよいが、好ましくは、以下に説明するコーティング組成物C1を硬化させることにより形成される。コーティング組成物C1によれば、上記の屈折率差および書き味物性を満たす書き味向上層12を形成し易い。
本実施形態におけるコーティング組成物C1は、硬化性成分と、微粒子とを含有することが好ましい。
(2−1−1)硬化性成分
硬化性成分は、活性エネルギー線や熱等のトリガーによって硬化する成分であり、例えば、活性エネルギー線硬化性成分、熱硬化性成分等が挙げられる。本実施形態では、形成される書き味向上層12の硬度や、基材11(プラスチックフィルム)の耐熱性等の観点から、活性エネルギー線硬化性成分を使用することが好ましい。
活性エネルギー線硬化性成分としては、活性エネルギー線の照射により硬化して所定の硬度を発揮し、かつ微粒子との関係で前述した物性を達成できるものが好ましい。
具体的な活性エネルギー線硬化性成分としては、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー、(メタ)アクリレート系プレポリマー、活性エネルギー線硬化性ポリマー等が挙げられるが、中でも多官能性(メタ)アクリレート系モノマーおよび/または(メタ)アクリレート系プレポリマーであることが好ましく、多官能性(メタ)アクリレート系モノマーであることがより好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系モノマーおよび(メタ)アクリレート系プレポリマーは、それぞれ単独で使用してもよいし、両者を併用してもよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味する。他の類似用語も同様である。
多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系等のプレポリマーが挙げられる。
ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。
ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリオールアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
以上のプレポリマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、活性エネルギー線硬化性成分として、有機無機ハイブリッド樹脂を使用することも好ましい。有機無機ハイブリッド樹脂としては、シリカなどの無機微粒子に、シランカップリング剤などを介して、重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる物質が好ましく挙げられる。なお、有機無機ハイブリッド樹脂が含有する無機微粒子は、後述する微粒子に該当するものであるが、オルガノゾルとしての機能を有すると共に、バインダーとしての機能も有するものである。有機無機ハイブリッド樹脂を使用すると、オルガノゾルとしての作用により、前述した書き味物性が得られ易くなり、また、形成される書き味向上層12の表面硬度を向上させることができる。
(2−1−2)微粒子
微粒子は、硬化性成分との関係で前述した物性を達成できるものが好ましい。微粒子としては、無機系微粒子および有機系微粒子のいずれであってもよいし、無機系微粒子および有機系微粒子を併用してもよい。好ましくは、少なくとも無機系微粒子を使用し、特に好ましくは、無機系微粒子および有機系微粒子を併用する。少なくとも無機系微粒子を使用することにより、前述した書き味物性が満たされ易くなる。また、無機系微粒子および有機系微粒子を併用することにより、前述した屈折率差がより満たされ易くなる。
無機系微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる微粒子が挙げられる。これらの中でも、シリカ微粒子が好ましい。なお、微粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機系微粒子の形状は、球状等の定形であってもよいが、形状が特定されない不定形が好ましい。不定形の微粒子によれば、球状の微粒子よりも、上記ペン先抵抗力の初動値(A)と摺動値(B)との関係を満たし易くなり、タッチペンの書き味がより良好なものとなる。したがって、上記微粒子は、不定形のシリカ微粒子であることが特に好ましい。
シリカ微粒子は、分散性向上等を目的として、有機物によって修飾されてもよい。また、シリカ微粒子は、オルガノゾル(コロイド状)の形態(シリカゾル)であることも好ましい。前述した有機無機ハイブリッド樹脂に含まれるシリカ微粒子は、通常、オルガノゾルの形態となっている。オルガノゾルの形態であることにより、シリカ微粒子の分散性が良好になり、形成される書き味向上層12の均質性および光透過性が向上する。
有機物による修飾は、常法によって行うことができる。例えば、CH=C(CH)COO(CHSi(OCHのような構造のシランカップリング剤をシリカ微粒子のオルガノゾルに加え、50℃程度に加温して数時間攪拌することにより、シリカ微粒子の表面を修飾することができる。使用するシランカップリング剤の構造や量は、シリカ微粒子の分散性の要求度合に応じて適宜選択される。
上記オルガノゾルの分散溶媒としては、多官能(メタ)アクリレートやレベリング剤との相溶性およびコート層形成時の揮発性に優れたメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が好ましい。
オルガノゾルではない無機系微粒子の平均粒径は、0.5μm以上であることが好ましく、特に1.0μm以上であることが好ましく、さらには1.5μm以上であることが好ましい。また、オルガノゾルではない無機系微粒子の平均粒径は、10μm以下であることが好ましく、特に4μm以下であることが好ましく、さらには2μm以下であることが好ましい。オルガノゾルではない無機系微粒子の平均粒径が上記の範囲にあることにより、前述した屈折率差および書き味物性を満たし易くなり、また、ギラツキを抑制することも可能となる。さらには、形成される書き味向上層12の表面硬度を向上させることもできる。
オルガノゾルとしての無機系微粒子、特にシリカゾルの平均粒径は、1nm以上であることが好ましく、特に5nm以上であることが好ましく、さらには10nm以上であることが好ましい。また、オルガノゾルとしての無機系微粒子の平均粒径は、300nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、特に80nm以下であることが好ましく、さらには50nm以下であることが好ましい。オルガノゾルとしての無機系微粒子の平均粒径が上記の範囲にあることにより、前述した屈折率差および書き味物性を満たし易くなり、また、ギラツキを抑制することも可能となる。さらには、形成される書き味向上層12の表面硬度を向上させることもできる。
一方、有機系微粒子としては、例えば、シリコーン系微粒子、メラミン系樹脂微粒子、アクリル系樹脂微粒子(例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子等)、アクリル−スチレン系共重合体微粒子、ポリカーボネート系微粒子、ポリエチレン系微粒子、ポリスチレン系微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子などが挙げられる。それらの樹脂は、架橋されていてもよい。上記の中でも、光学特性および硬度の観点から、アクリル系樹脂微粒子が好ましく、特にポリメチルメタクリレート樹脂微粒子が好ましく、さらには架橋ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子が好ましい。
有機系微粒子の形状は、球状等の定形であってもよいし、形状が特定されない不定形であってもよいが、球状であることが好ましい。前述した無機系微粒子とともに球状の有機系微粒子を使用することにより、タッチペンによる書き味に、好ましい抵抗感・摩擦感が付与されて、タッチペンの書き味が、ペンで紙に書くときの感覚に近くなり、より優れたものとなる。また、ギラツキを抑制する効果が、より優れたものとなる。
有機系微粒子の平均粒径は、1.0μm以上であることが好ましく、特に1.2μm以上であることが好ましく、さらには1.5μm以上であることが好ましい。また、有機系微粒子の平均粒径は、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、特に8μm以下であることが好ましく、さらには5μm以下であることが好ましい。有機系微粒子の平均粒径が上記の範囲にあることにより、前述した書き味物性を満たし易くなり、タッチペンの書き味がペンで紙に書くときの感覚により近くなる。
なお、本明細書における微粒子の平均粒径は、レーザー回析法によって一次粒径を測定したものとする。レーザー回折法による平均粒径は、微粒子1.2gとイソプロピルアルコール98.8gとを十分に撹拌したものを測定用試料とし、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製,製品名「LA−920」)によって測定した値である。
上記微粒子の粒度分布については、書き味向上層12が前述の書き味物性を得易くする観点から、下記の式で示される粒径の変動係数(CV値)が、3%以上であることが好ましく、特に5%以上であることが好ましく、さらには10%以上であることが好ましい。また、同様の観点から、上記CV値は、200%以下であることが好ましく、175%以下であることがより好ましく、特に150%以下であることが好ましく、さらには30%以下であることが好ましい。
粒径の変動係数(CV値)(%)=(標準偏差粒径/平均粒径)×100
なお、粒径の変動係数(CV値)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製,製品名「LA−920」)によって測定した値とする。
コーティング組成物C1中におけるオルガノゾルではない無機系微粒子の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、特に3質量%以上であることが好ましく、さらには5質量%以上であることが好ましい。また、上記微粒子の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、特に30質量%以下であることが好ましく、さらには20質量%以下であることが好ましい。オルガノゾルではない無機系微粒子の含有量が上記の範囲にあることにより、前述した屈折率差および書き味物性が得られ易い。
コーティング組成物C1中におけるオルガノゾルとしての無機系微粒子、特にシリカゾルの含有量は、1質量%以上であることが好ましく、特に3質量%以上であることが好ましく、さらには5質量%以上であることが好ましい。また、上記含有量は、40質量%以下であることが好ましく、特に30質量%以下であることが好ましく、さらには20質量%以下であることが好ましい。オルガノゾルとしての無機系微粒子の含有量が上記の範囲にあることにより、前述した屈折率差および書き味物性が得られ易い。
また、コーティング組成物C1中における有機系微粒子の含有量は、3質量%以上であることが好ましく、特に7質量%以上であることが好ましく、さらには10質量%以上であることが好ましい。また、上記有機系微粒子の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、特に30質量%以下であることが好ましく、さらには15質量%以下であることが好ましい。有機系微粒子の含有量が上記の範囲にあることにより、前述した屈折率差および書き味物性が得られ易く、また、ギラツキ抑制効果もより優れたものとなる。さらには、形成される書き味向上層12の表面硬度を向上させることもできる。
(2−1−3)光重合開始剤
上記活性エネルギー線硬化性成分を硬化させるための活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、コーティング組成物C1は、光重合開始剤を含有することが好ましい。このように光重合開始剤を含有することにより、活性エネルギー線硬化性成分を効率良く重合させることができ、また重合硬化時間および紫外線の照射量を少なくすることができる。
このような光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
コーティング組成物C1中における光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化性成分100質量部に対して、下限値として0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.1質量部以上であることが好ましく、さらには1質量部以上であることが好ましい。また、上限値として20質量部以下であることが好ましく、特に10質量部以下であることが好ましく、さらには5質量部以下であることが好ましい。
(2−1−4)その他の成分
コーティング組成物C1は、前述した成分以外に、各種添加剤を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、レベリング剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、着色剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、消泡剤、濡れ性改良剤、塗面改良剤等が挙げられる。上記の中でも分散剤を含有することにより、微粒子の分散性が良好になり、前述した書き味物性が満たされ易くなる。また、上記の中でもレベリング剤を含有することにより、形成される書き味向上層12が、スジ状の欠点やムラ等がなく、膜厚が均一なものとなり、優れた外観を呈する。
レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤等が挙げられ、中でも、レベリング性や他の成分との相溶性の観点から、シリコーン系レベリング剤が好ましい。なお、レベリング剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコーン系レベリング剤は、ポリジメチルシロキサンまたは変性ポリジメチルシロキサンであることが好ましく、ポリジメチルシロキサンであることが特に好ましい。なお、前述した書き味物性を満たし易くするために、変性ポリジメチルシロキサンの変性率は低い方が好ましい。
コーティング組成物C1中におけるレベリング剤の含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、特に0.05質量%以上であることが好ましく、さらには0.10質量%以上であることが好ましい。また、上記レベリング剤の含有量は、5.0質量%以下であることが好ましく、特に1.0質量%以下であることが好ましく、さらには0.5質量%以下であることが好ましい。レベリング剤の含有量が上記の範囲にあることにより、当該レベリング剤による効果が発揮され易い。
分散剤としては、分子内にカルボキシ基、水酸基、スルホ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、アミド基、第4級アンモニウム塩基、ピリジウム塩基、スルホニウム塩基およびホスホニウム塩基からなる群から選ばれる1種または2種以上の極性基を有する化合物が好ましく、特に、カルボキシ基および水酸基の1種または2種以上の極性基を有する化合物が好ましい。上記の極性基は、分子内に1つ導入されていてもよく、複数導入されていてもよい。
分散剤としての化合物が複数の極性基を有する場合、当該化合物の基本骨格は、エステル連鎖、ビニル連鎖、アクリル連鎖、エーテル連鎖、ウレタン連鎖等で構成されるものが好ましい。具体的には、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびアルキド樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂およびポリエステル樹脂が好ましく、さらにはアクリル樹脂が好ましい。
上記極性基は、分子中にランダムに配置されていてもよいが、側鎖に配置されていることが好ましい。したがって、分散剤としての化合物は、側鎖にカルボキシ基および/または水酸基を有するアクリル樹脂が好ましい。
分散剤としての化合物の重量平均分子量は特に限定されないが、10〜90万までの幅広いものの中から選択することができる。なお、分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
コーティング組成物C1中における分散剤の含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、特に0.05質量%以上であることが好ましく、さらには0.10質量%以上であることが好ましい。また、上記分散剤の含有量は、2.0質量%以下であることが好ましく、特に1.0質量%以下であることが好ましく、さらには0.5質量%以下であることが好ましい。分散剤の含有量が上記の範囲にあることにより、当該分散剤による効果が発揮され易い。
(2−2)書き味向上層の厚さ
書き味向上層12の厚さは、下限値として、0.5μm以上であることが好ましく、特に1μm以上であることが好ましく、さらには3μm以上であることが好ましい。書き味向上層12の厚さの下限値が上記であることにより、前述した書き味物性が満たされ易くなるとともに、良好な表面硬度が得られ易くなる。また、書き味向上層12の厚さは、上限値として、20μm以下であることが好ましく、特に15μm以下であることが好ましく、さらには10μm以下であることが好ましい。書き味向上層12の厚さの上限値が上記であることにより、前述した書き味物性が満たされ易くなるとともに、白茶けやギラツキの発生を抑制し易くなる。
(3)光学調整層
(3−1)光学調整層の材料
本実施形態における書き味向上シート1の光学調整層13は、前述した屈折率差および書き味物性を満たす材料からなれば、いかなる材料から形成されてもよいが、好ましくは、以下に説明するコーティング組成物C2を硬化させることにより形成される。コーティング組成物C2によれば、上記の屈折率差および書き味物性を満たす光学調整層13を形成し易い。また、コーティング組成物C2によれば、得られる書き味向上シート1の表面硬度が高くなり、書き味向上シート1が耐擦傷性に優れたものとなる。
本実施形態におけるコーティング組成物C2は、硬化性成分と、微粒子とを含有することが好ましい。
(3−1−1)硬化性成分
コーティング組成物C2における硬化性成分としては、前述したコーティング組成物C1における硬化性成分と同様のものを使用することができる。中でも、屈折率および硬度の観点から、有機無機ハイブリッド樹脂を使用することが好ましい。なお、有機無機ハイブリッド樹脂が含有する無機微粒子は、後述する微粒子に該当する。
(3−1−2)微粒子
微粒子としては、前述した屈折率差および書き味物性を満たすものであればよい。かかる微粒子としては、例えば、シリカ微粒子のオルガノゾル(シリカゾル)を好ましく使用することができる。
シリカゾルとしては、前述した書き味向上層12で使用可能なシリカ微粒子のオルガノゾルと同様のものを使用することができる。かかるシリカゾルは、有機無機ハイブリッド樹脂に含まれるものとして使用することもできる。
シリカゾルに含まれるシリカ微粒子は、空隙を有しない通常のコロイダルシリカ粒子であることが好ましい。これにより、書き味向上シート1が耐擦傷性に優れたものになり易い。
一方、シリカゾルに含まれるシリカ微粒子は、中空シリカ微粒子または多孔質シリカ微粒子であってもよい。中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子は、微粒子内に微細な空隙を開口した状態または閉口した状態で有している。当該空隙は、独立気泡であってもよいし、連続気泡であってもよい。その空隙に気体、例えば、屈折率1の空気が充填されているので、当該微粒子は、それ自身の屈折率が低い特徴がある。当該微粒子を塗膜中に集合体を形成せずに均一に分散した場合には、塗膜の屈折率を低下させる効果が高く、同時に透明性に優れる。空隙を有しない通常のコロイダルシリカ粒子(屈折率n=1.46程度)に比べると、空隙を有する中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子の屈折率は低い。したがって、中空シリカ微粒子または多孔質シリカ微粒子を使用することにより、前述した屈折率差が満たされ易くなる。
中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子の屈折率は、1.10〜1.65であることが好ましく、特に1.20〜1.55であることが好ましく、さらには1.30〜1.45であることが好ましい。
中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子には、重合性不飽和基含有有機化合物が結合していてもよい。重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子は、当該シリカ微粒子表面のシラノール基に、当該シラノール基と反応し得る官能基を有する重合性不飽和基含有有機化合物を反応させることにより、得ることができる。重合性不飽和基としては、例えばラジカル重合性のアクリロイル基やメタクリロイル基などが挙げられる。
中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子の平均粒径は、5nm以上であることが好ましく、特に10nm以上であることが好ましく、さらには20nm以上であることが好ましい。また、中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子の平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、特に80nm以下であることが好ましく、さらには60nm以下であることが好ましい。中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子の平均粒径が上記の範囲にあることにより、前述した屈折率差および書き味物性を満たし易くなる。
中空シリカ微粒子および多孔質シリカ微粒子の粒度分布については、書き味物性の観点から、粒径の変動係数(CV値)が、3%以上であることが好ましく、特に5%以上であることが好ましく、さらには10%以上であることが好ましい。また、同様の観点から、上記CV値は、200%以下であることが好ましく、150%以下であることがより好ましく、特に100%以下であることが好ましく、さらには75%以下であることが好ましい。
コーティング組成物C2中における微粒子(特にシリカゾル)の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、特に2質量%以上であることが好ましく、さらには4質量%以上であることが好ましい。また、上記微粒子の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、特に30質量%以下であることが好ましく、さらには20質量%以下であることが好ましい。微粒子の含有量が上記の範囲にあることにより、前述した屈折率差および書き味物性が得られ易く、得られる書き味向上シート1の表面硬度が高くなり、書き味向上シート1が耐擦傷性に優れたものとなる。
(3−1−3)光重合開始剤
上記活性エネルギー線硬化性成分を硬化させるための活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、コーティング組成物C2は、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、前述したコーティング組成物C1における光重合開始剤と同様のものを使用することができる。また、好ましい含有量もコーティング組成物C1と同様である。
(3−1−4)その他の成分
コーティング組成物C2は、前述した成分以外に、各種添加剤を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、レベリング剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、着色剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、消泡剤、濡れ性改良剤、塗面改良剤等が挙げられる。
コーティング組成物C2は、上記の中でも、レベリング剤を含有することが好ましい。レベリング剤の好ましい種類や含有量は、コーティング組成物C1と同様である。
(3−2)光学調整層の厚さ
光学調整層13の厚さは、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましく、特に150nm以上であることが好ましく、さらには200nm以上であることが好ましい。また、光学調整層13の厚さは、1000nm以下であることが好ましく、特に750nm以下であることが好ましく、さらには500nm以下であることが好ましい。光学調整層13の厚さが上記範囲にあることにより、前述した屈折率差および書き味物性が得られ易く、また、書き味向上シート1が耐擦傷性に優れたものになり易い。
2.書き味向上シートの製造方法
本実施形態に係る書き味向上シート1は、次のようにして製造することが好ましい。すなわち、書き味向上層12形成用のコーティング組成物、好ましくはコーティング組成物C1と、所望により溶剤とを含有する塗工液を基材11に対して塗布し、硬化させて書き味向上層12を形成する。その後、光学調整層13形成用のコーティング組成物、好ましくはコーティング組成物C2と、所望により溶剤とを含有する塗工液を上記書き味向上層12に対して塗布し、硬化させて光学調整層13を形成する。
溶剤は、塗工性の改良、粘度調整、固形分濃度の調整等のために使用することができ、硬化性成分等が溶解し、微粒子等が分散するものであれば、特に限定なく使用できる。
溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソロブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソロブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソロブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類などが挙げられる。
コーティング組成物の塗工液の塗布は、常法によって行えばよく、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法によって行えばよい。コーティング組成物の塗工液を塗布したら、塗膜を40〜120℃で30秒〜5分程度乾燥させることが好ましい。
コーティング組成物C1,C2のようにコーティング組成物が活性エネルギー線硬化性の場合、コーティング組成物の硬化は、コーティング組成物の塗膜に対して紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射することによって行う。紫外線照射は、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプ等によって行うことができ、紫外線の照射量は、照度50〜1000mW/cm、光量50〜1000mJ/cm程度が好ましい。一方、電子線照射は、電子線加速器等によって行うことができ、電子線の照射量は、10〜1000krad程度が好ましい。
3.物性
本実施形態に係る書き味向上シート1における書き味向上層12および光学調整層13の鉛筆硬度は、それぞれ3H以上であることが好ましい。これにより、書き味向上シート1は、耐擦傷性に優れたものとなる。なお、鉛筆硬度は、JIS K5600に準拠して測定した値とする。
4.その他の構成
本実施形態に係る書き味向上シート1は、基材11と、書き味向上層12と、光学調整層13とをその順に有するものであれば、さらに他の層を有していてもよい。例えば、基材11における書き味向上層12とは反対側の面には粘着剤層が形成されてもよいし、さらには粘着剤層に剥離シートが積層されてもよい。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、光学用途として通常使用されるものを使用することができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、所望の粘着性を発現し、光学特性や耐久性に優れたアクリル系粘着剤が好ましい。
粘着剤層の厚さは、5〜1000μmであることが好ましく、特に7〜500μmであることが好ましく、さらには10〜250μmであることが好ましい。
剥離シートとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
上記剥離シートの剥離面(特に粘着剤層と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。
剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
5.書き味向上シートの使用
本実施形態に係る書き味向上シート1は、タッチペンが使用されるタッチパネル(位置検出機能付き画像表示装置)の最表層を構成するシートである。具体的には、液晶(LCD)モジュール、発光ダイオード(LED)モジュール、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)モジュール等の表示体モジュールやタッチセンサーなどを有するタッチパネルにおけるカバー材上に積層されて使用されることが好ましい。書き味向上シート1のカバー材への積層は、前述したような粘着剤層を介して貼付することにより行うことが好ましい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、書き味向上シート1における基材11と書き味向上層12との間、書き味向上層12と光学調整層13との間には、他の層が介在してもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)書き味向上層の形成
硬化性成分としての有機無機ハイブリッド樹脂(荒川化学工業社製,製品名「オプスターZ7530」,平均粒径50nmのシリカ微粒子(CV値:28%)にアクリロイル基を結合させてなる物質と多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとの混合品)100質量部と、重合性不飽和基を有さないポリエステル樹脂(東洋紡績社製,製品名「バイロン20SS」)12.5質量部と、シリコーン系レベリング剤としてのポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製,製品名「SH28」)0.2質量部とを混合し、書き味向上層用のコーティング組成物C1を得た。そのコーティング組成物C1をトルエンおよびシクロヘキサノンで希釈し、塗工液を調製した。
基材としての易接着層付きポリエステルフィルム(三菱樹脂社製,製品名「PET125O300」,厚さ:125μm)の易接着層側の面に、上記で得られた書き味向上層用の塗工液を塗布し、70℃で1分間乾燥させた。次いで、大気下にて、紫外線照射装置(ジーエスユアサコーポレーション社製,製品名「窒素パージ小形コンベア式UV照射装置CSN2−40」)により下記の条件で紫外線を照射して、基材上に厚さ3μmの書き味向上層を形成した。
[紫外線照射条件]
・光源:高圧水銀灯
・ランプ電力:1.4kW
・コンベアスピード:1.2m/min
・照度:100mW/cm
・光量:240mJ/cm
なお、上記書き味向上層の厚さは、定圧厚さ計(ニコン社製,製品名「MH−15M」)を使用して、基材および書き味向上層の総厚を測定し、当該総厚から基材の厚さを差し引くことにより算出した。
(2)光学調整層の形成
硬化性成分としての有機無機ハイブリッド樹脂(荒川化学工業社製,製品名「オプスターZ7530」,平均粒径50nmのシリカ微粒子(CV値:28%)にアクリロイル基を結合させてなる物質と多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとの混合品)100質量部と、中空シリカゾル(日揮触媒化成社製,製品名「スルーリア4320」,平均粒径:60nm)5質量部と、シリコーン系レベリング剤としてのポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製,製品名「SH28」)0.2質量部とを混合し、光学調整層用のコーティング組成物C2を得た。そのコーティング組成物C2をプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびイソブチルアルコールで希釈し、塗工液を調製した。
上記基材上に形成された書き味向上層の露出面に、上記で得られた光学調整層用の塗工液を塗布し、70℃で1分間乾燥させた。次いで、書き味向上層の形成と同様の条件で紫外線を照射して、厚さ250nmの光学調整層を形成し、書き味向上シートを得た。
なお、上記書き味向上シートにおける光学調整層の厚さは、定圧厚さ計(ニコン社製,製品名「MH−15M」)を使用して、書き味向上シートの総厚を測定し、当該総厚から基材および書き味向上層の厚さを差し引くことにより算出した。
〔実施例2〕
(1)書き味向上層の形成
硬化性成分としての有機無機ハイブリッド樹脂(荒川化学工業社製,製品名「オプスターZ7530」,平均粒径50nmのシリカ微粒子(CV値:28%)にアクリロイル基を結合させてなる物質と多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとの混合品)100質量部と、架橋アクリル重合体樹脂球形微粒子(積水化成品工業社製,製品名「テクポリマーXX−27LA」,平均粒径:1.5μm,CV値:23%)25質量部と、シリコーン系レベリング剤としてのポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製,製品名「SH28」)0.2質量部とを混合し、書き味向上層用のコーティング組成物C1を得た。そのコーティング組成物C1をプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびイソブチルアルコールで希釈し、塗工液を調製した。
上記で得られた書き味向上層用の塗工液を使用し、実施例1と同様にして、基材上に厚さ4.5μmの書き味向上層を形成した。
(2)光学調整層の形成
硬化性成分としての有機無機ハイブリッド樹脂(荒川化学工業社製,製品名「オプスターTU2362」,平均粒径60nmの中空シリカ微粒子にアクリロイル基を結合させてなる物質と多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとの混合品)100質量部と、シリコーン系レベリング剤としてのポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製,製品名「SH28」)0.2質量部とを混合し、光学調整層用のコーティング組成物C2を得た。そのコーティング組成物C2をプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびイソブチルアルコールで希釈し、塗工液を調製した。
上記で得られた光学調整層用の塗工液を使用し、実施例1と同様にして、書き味向上層上に厚さ250nmの光学調整層を形成し、書き味向上シートを得た。
〔実施例3〕
(1)書き味向上層の形成
実施例2と同様にして、基材上に厚さ4.5μmの書き味向上層を形成した。
(2)光学調整層の形成
硬化性成分としての有機無機ハイブリッド樹脂(荒川化学工業社製,製品名「オプスターTU2360」,平均粒径60nmの中空シリカ微粒子にアクリロイル基を結合させてなる物質と多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとの混合品)100質量部と、シリコーン系レベリング剤としてのポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製,製品名「SH28」)0.2質量部とを混合し、光学調整層用のコーティング組成物C2を得た。そのコーティング組成物C2をプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびイソブチルアルコールで希釈し、塗工液を調製した。
上記で得られた光学調整層用の塗工液を使用し、実施例1と同様にして、書き味向上層上に厚さ250nmの光学調整層を形成し、書き味向上シートを得た。
〔比較例1〕
硬化性成分としての有機無機ハイブリッド樹脂(荒川化学工業社製,製品名「オプスターZ7530」,平均粒径50nmのシリカ微粒子(CV値:28%)にアクリロイル基を結合させてなる物質と多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとの混合品)100質量部と、重合性不飽和基を有さないポリエステル樹脂(東洋紡績社製,製品名「バイロン20SS」)8質量部と、シリコーン系レベリング剤としてのポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製,製品名「SH28」)0.2質量部とを混合し、書き味向上層用のコーティング組成物C1を得た。そのコーティング組成物C1をトルエンおよびシクロヘキサノンで希釈し、塗工液を調製した。
上記で得られた書き味向上層用の塗工液を使用し、実施例1と同様にして、基材上に厚さ4.5μmの書き味向上層を形成し、これを書き味向上シートとした。
〔比較例2〕
硬化性成分としての有機無機ハイブリッド樹脂(荒川化学工業社製,製品名「オプスターZ7530」,平均粒径50nmのシリカ微粒子(CV値:28%)にアクリロイル基を結合させてなる物質と多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとの混合品)100質量部と、架橋アクリル重合体樹脂球形微粒子(積水化成品工業社製,製品名「テクポリマーXX−27LA」,体積平均粒子径:1.5μm,CV値:23%)12質量部と、シリコーン系レベリング剤としてのポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製,製品名「SH28」)0.2質量部とを混合し、書き味向上層用のコーティング組成物C1を得た。そのコーティング組成物C1をプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびイソブチルアルコールで希釈し、塗工液を調製した。
上記で得られた書き味向上層用の塗工液を使用し、実施例1と同様にして、基材上に厚さ4.5μmの書き味向上層を形成し、これを書き味向上シートとした。
〔比較例3〕
(1)書き味向上層の形成
実施例2と同様にして、基材上に厚さ4.5μmの書き味向上層を形成した。
(2)光学調整層の形成
硬化性成分としての有機無機ハイブリッド樹脂(荒川化学工業社製,製品名「オプスターZ7530」,平均粒径50nmのシリカ微粒子(CV値:28%)にアクリロイル基を結合させてなる物質と多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとの混合品)100質量部と、ジルコニア微粒子(ソーラー社製,製品名「NANON5 ZR−020」,平均粒径:10〜20nm)7質量部と、シリコーン系レベリング剤としてのポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製,製品名「SH28」)0.2質量部とを混合し、光学調整層用のコーティング組成物C2を得た。そのコーティング組成物C2をプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびイソブチルアルコールで希釈し、塗工液を調製した。
上記で得られた光学調整層用の塗工液を使用し、実施例1と同様にして、書き味向上層上に厚さ250nmの光学調整層を形成し、書き味向上シートを得た。
〔比較例4〕
硬化性成分としての有機無機ハイブリッド樹脂(荒川化学工業社製,製品名「オプスターZ7530」,平均粒径50nmのシリカ微粒子(CV値:28%)にアクリロイル基を結合させてなる物質と多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとの混合品)100質量部と、架橋アクリル重合体樹脂球形微粒子(積水化成品工業社製,製品名「テクポリマーXX−27LA」,体積平均粒子径:1.5μm,CV値:23%)8質量部と、シリコーン系レベリング剤としてのポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製,製品名「SH28」)0.2質量部とを混合し、書き味向上層用のコーティング組成物C1を得た。そのコーティング組成物C1をプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびイソブチルアルコールで希釈し、塗工液を調製した。
上記で得られた書き味向上層用の塗工液を使用し、実施例1と同様にして、基材上に厚さ4.5μmの書き味向上層を形成し、これを書き味向上シートとした。
〔試験例1〕(屈折率の測定)
実施例および比較例にて調製した書き味向上層用の塗工液および光学調整層用の塗工液のそれぞれを、片面に易接着層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製,製品名「コスモシャインA4100」,厚さ50μm)の易接着層とは反対側の面に塗工し、実施例および比較例と同一の条件で書き味向上層および光学調整層を形成した。
次いで、PETフィルムの易接着層面を紙やすりで擦り、油性ペン(ゼブラ社製,製品名「マッキー黒色」)で黒色に塗り潰した。その後、上記の方法で得られた書き味向上層および光学調整層の屈折率を、JIS K7142(2008)に準じ、測定波長589nm、測定温度23℃の条件で、アッベ屈折率計(アタゴ社製,製品名「多波長アッベ屈折率計DR−M2」)を用いてそれぞれ測定した。また、実施例1〜3および比較例3については、書き味向上層の屈折率から光学調整層の屈折率を差し引いた値(屈折率差)を算出した。それぞれの結果を表1に示す。
〔試験例2〕(ヘイズの測定)
実施例および比較例で製造した書き味向上シートのトータルヘイズ(%)を、ヘイズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH−5000」)を用い、JIS K7136:2000に準拠して測定した。結果を表1に示す。
また、透明粘着剤層の両面に剥離フィルムを有する光学粘着シート(リンテック社製,製品名「OPTERIA MO−T015」)の一方の剥離フィルムを剥離し、露出した粘着剤層を、実施例および比較例で製造した書き味向上シートの上に貼付した。次いで、当該光学粘着シートにおける他方の剥離フィルムを剥離し、得られた積層体のヘイズを上記と同様にして測定し、当該積層体の内部ヘイズを取得した。そして、書き味向上シートのトータルヘイズから上記積層体の内部ヘイズを差し引くことにより、基材とは反対側の最外層(光学調整層または書き味向上層)の外部ヘイズ(%)を算出した。結果を表1に示す。
〔試験例3〕(ペン先抵抗力の測定)
実施例および比較例で製造した書き味向上シートを、基材側を下にしてガラス基板上に載置した。その書き味向上シートにおける基材とは反対側の最外層(光学調整層または書き味向上層)の表面に対し、ペン先直径0.5mmのハードフェルト芯のタッチペン(ワコム社製,製品名「ACK−2003」)のペン先を、荷重3.92Nの加圧条件で垂直方向(ペン先の軸心が書き味向上層の表面に対して垂直となる方向)に接触させながら、書き味向上シートの表面と平行な任意の一方向に速度100mm/分で移動させた。なお、上記タッチペンは測定専用台車に取り付け、当該台車を移動させることにより、タッチペンを書き味向上層上にて摺動させた。
移動時のペン先抵抗力を万能試験機(オリエンテック社製,製品名「テンシロン」)を用いて測定し、移動距離(mm)−ペン先抵抗力(mN)のチャートを得た。得られた測定チャートから、ペン先抵抗力の初動値(A)及び摺動値(B)を求めた。また、ペン先抵抗力の初動値(A)から摺動値(B)を差し引いた値を算出した。結果を表1に示す。
〔試験例4〕(書き味の官能評価)
実施例および比較例で製造した書き味向上シートを、基材側を下にして、ガラス基板上に載置した。その書き味向上シートにおける基材とは反対側の最外層(光学調整層または書き味向上層)の表面に対し、試験例3と同じタッチペンを使用して、それぞれの書き味を評価した。評価においては、5枚重ねの紙(コクヨS&T社製,キャンパスノートA罫 ノ−201A)に鉛筆(三菱鉛筆社製,三菱鉛筆ユニ B)を用いて筆圧約400g重で筆記した際の書き味に近いものを良好とし、当該書き味から離れたものを不良とした。なお、評価は5人のパネラーが行い、5人とも良好と感じたものを◎とし、3人〜4人が良好と感じたものを〇とし、1人〜2人が良好と感じたものを△とし、5人とも不良と感じたものは×とした。結果を表1に示す。
〔試験例5〕(画面評価−白茶けの評価)
実施例および比較例で製造した書き味向上シートを、基材側を下にして、全面緑色表示(RGB値(R,G,B)=0,255,0)にしたタブレット端末(アップル社製,製品名「iPad(登録商標)」,解像度:264ppi)の表示画面の表面に載置し、以下の基準にて、目視により白茶けの評価を行った。結果を表1に示す。
◎:書き味向上シートに起因する白茶けが確認されなかった。
〇:書き味向上シートに起因する白茶けが僅かに確認された。
×:書き味向上シートに起因する白茶けが確認された。
〔試験例6〕(画面評価−ギラツキの評価)
実施例および比較例で製造した書き味向上シートを、基材側を下にして、全面緑色表示(RGB値(R,G,B)=0,255,0)にしたタブレット端末(アップル社製,製品名「iPad(登録商標)」,解像度:264ppi)の表示画面の表面に載置し、以下の基準にて、目視によりギラツキの評価を行った。結果を表2に示す。
◎:書き味向上シートに起因するギラツキが確認されなかった。
〇:書き味向上シートに起因するギラツキが僅かに確認された。
×:書き味向上シートに起因するギラツキが確認された。
〔試験例7〕(鉛筆硬度の測定)
実施例および比較例で製造した基材および書き味向上層の積層体における書き味向上層側の面(書き味向上層の表面)の鉛筆硬度を、電動鉛筆引っかき硬度試験機(安田精機製作所社製,製品名「No.553−M1」)を用い、JIS K5600に準拠して測定した。また、実施例および比較例3で製造した書き味向上シートにおける光学調整層側の面(光学調整層の表面)の鉛筆硬度を、同様にして測定した。結果を表2に示す。
〔試験例8〕(耐擦傷性試験)
実施例および比較例で製造した基材および書き味向上層の積層体における書き味向上層側の面(書き味向上層の表面)について、#0000のスチールウールを用いて、250g/cmの荷重で10cm、10往復擦った。その書き味向上層の表面を、3波長蛍光灯下で目視により確認し、以下の基準で耐擦傷性を評価した。また、実施例および比較例3で製造した書き味向上シートにおける光学調整層側の面(光学調整層の表面)についても、同様にして耐擦傷性を評価した。結果を表2に示す。
〇:傷が確認されなかった。
×:傷が確認された。
Figure 2020049917
表1から明らかなように、実施例で製造した書き味向上シートは、タッチペンによる書き味に優れるとともに、当該書き味向上シートに起因する白茶けの発生が抑制されていた。また、実施例で製造した書き味向上シートは、ギラツキの発生も抑制されており、さらには高い表面硬度(耐擦傷性)を有していた。
本発明の書き味向上シートは、タッチペンが使用されるタッチパネルの最表層として好適に用いられる。
1…書き味向上シート
11…基材
12…書き味向上層
13…光学調整層

Claims (5)

  1. 基材と、前記基材の一方の面側に設けられた書き味向上層と、前記書き味向上層における前記基材とは反対側に設けられた光学調整層とを備えた書き味向上シートであって、
    前記光学調整層の屈折率が、前記書き味向上層の屈折率未満であり、
    前記書き味向上シートにおける前記光学調整層側の表面に対し、ペン先直径0.5mmのハードフェルト芯のタッチペンのペン先を荷重3.92Nの加圧条件で垂直方向に接触させ、前記光学調整層の表面と平行な任意の一方向に速度100mm/分で移動させたときのペン先抵抗力(mN)の初動値(A)及び摺動値(B)が、下記式(a)及び式(b)の関係を満たす
    0<初動値(A)−摺動値(B) …(a)
    350≦初動値(A) …(b)
    ことを特徴とする書き味向上シート。
  2. 前記光学調整層の屈折率が、1.2以上、1.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の書き味向上シート。
  3. 前記書き味向上シートのトータルヘイズが、5%以上、40%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の書き味向上シート。
  4. 前記光学調整層が、硬化性成分と、微粒子とを含有するコーティング組成物を硬化させてなる層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の書き味向上シート。
  5. 前記書き味向上層が、硬化性成分と、微粒子とを含有するコーティング組成物を硬化させてなる層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の書き味向上シート。
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