JP2020046638A - 光波長変換装置 - Google Patents

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Yuki Shimura
祐紀 志村
祐介 勝
Yusuke Katsu
祐介 勝
経之 伊藤
Tsuneyuki Ito
経之 伊藤
翔平 高久
Shohei Takahisa
翔平 高久
慎二 坂
Shinji Saka
慎二 坂
光岡 健
Takeshi Mitsuoka
健 光岡
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Abstract

【課題】光波長変換部材の温度上昇を抑制して、高い効率にて発光が可能な光波長変換装置を提供すること。【解決手段】光波長変換部材5は、放熱部材3の表面と直交する中心軸Oの周りを囲むように配置された環状の部材である。従って、光波長変換装置1を中心軸Oを中心にして回転させた状態で、光波長変換部材5に中心軸Oと平行にレーザー光を照射した場合には、レーザー光の照射位置が絶えず変化するので、光波長変換部材5の特定の箇所の温度が上昇しにくい。しかも、波長変換部材5は、透光相の結晶粒子はAl2O3の組成を有し、蛍光相の結晶粒子は化学式A3B5O12:Ceで表される組成を有し、A元素及びB元素は、前記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されている。よって、光波長変換部材5が蛍光を発しなくなる温度消光を抑制でき、高い発光効率を実現できる。【選択図】図1

Description

本開示は、光の波長の変換が可能な光波長変換部材と放熱部材とを備えた光波長変換部材に関するものである。
例えばヘッドランプやプロジェクターや各種照明機器などでは、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や半導体レーザー(LD:Laser Diode)の青色光を、蛍光体(即ち光波長変換部材)によって波長変換することにより白色を得ている装置が主流となっている。
蛍光体としては、樹脂系やガラス系などが知られているが、近年、光源の高出力化が進められており、蛍光体には、より高い耐久性が求められるようになったことから、セラミックス蛍光体に注目が集まっている。
このセラミックス蛍光体としては、YAl12:Ce(YAG:Ce)に代表されるように、ガーネット構造(A12)の成分にCeが賦活された蛍光体が知られている。
また、上述した装置のうち、例えば、レーザープロジェクタは、レーザー光源と、そこから発せられるレーザー光(即ち励起光)で励起される蛍光体(即ち光波長変換部材)と、を備えている。
このレーザープロジェクタでは、励起光が蛍光体に局所的に長時間照射されることにより、蛍光体の温度が上昇する。そのため、温度の上昇による蛍光の消失(即ち温度消光)が発生するという問題や、温度上昇によって蛍光体が破損するという問題がある。
これを改善する方法として、ホイール形状の蛍光体を回転させ、励起光の照射位置を継続的に変化させることで、局所的な蛍光体の温度上昇を抑制する構造や、放熱部材を用いて放熱する構造が知られている(特許文献1、2参照)。
特許文献1の技術では、ホイールに用いる蛍光体の構成として、樹脂バインダーと蛍光体粒子とを混合させている。これにより、様々な発光色を持つ蛍光体を混合できるので、色味の調整や強度の強い光を射出可能となっている。
特許文献2の技術では、ホイールに用いる蛍光体の構成として、セラミックス焼結体(YAG単体)からなる蛍光体層を使用することで、熱伝導率を向上させて、熱抵抗を小さくしている。さらに、蛍光体中の蛍光物質の濃度や厚みの組み合わせを最適化することで、発光効率を高めている。
特開2011−53320号公報 特開2015−138168号公報
ところで、上述した従来技術では、下記のような問題があり、その改善が求められていた。
例えば、特許文献1の技術では、バインダーに樹脂を使用しているので、熱伝導率が小さく、熱抵抗が大きい。そのため、蛍光体にレーザー光を照射したときには、蛍光体から熱が逃げにくいので、蛍光体の温度が上昇し易い。その結果、蛍光体が劣化したり破損することがある。
また、例えば、特許文献2の技術では、蛍光体から強い光を出力するために、レーザー光の光源の出力を大きくする場合には、YAG単体からなる蛍光体では、熱伝導率が不十分であり、温度消光や蛍光体の破損という問題が発生する恐れがある。
本開示は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光波長変換部材の温度上昇を抑制して、高い効率にて発光が可能な光波長変換装置を提供することにある。
(1)本開示の第1局面は、光の波長を変換する光波長変換部材と、光波長変換部材より熱伝導性の高い放熱部材と、を備え、放熱部材の表面に光波長変換部材が配置された光波長変換装置に関するものである。
この光波長変換装置では、光波長変換部材は、放熱部材の表面と直交する軸の周りを囲むように配置された環状の部材である。さらに、光波長変換部材は、蛍光性を有する結晶粒子を主体とする蛍光相と、透光性を有する結晶粒子を主体とする透光相と、を有するセラミックス焼結体から構成されている。この透光相の結晶粒子はAlの組成を有し、蛍光相の結晶粒子は化学式A12:Ceで表される組成を有するとともに、A元素及びB元素は、それぞれ下記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されている。
A:Sc、Y、ランタノイド(但し、Ceは除く)
B:Al、Ga
本第1局面では、光波長変換部材は、放熱部材の表面と直交する軸の周りを囲むように配置された環状の部材である。従って、放熱部材及び光波長変換部材を軸を中心にして回転させた状態で、光波長変換部材に対して軸と平行にレーザー光を照射した場合には、レーザー光の照射位置が絶えず変化するので、光波長変換部材の特定の箇所の温度が上昇しにくい。しかも、放熱部材によって、光波長変換部材の温度の上昇を抑制できる。
このように、蛍光体の温度が上昇しにくいので、温度消光が生じにくく、しかも、蛍光体が劣化したり破損することを抑制できるという効果がある。そのため、レーザーの高出力域でも、好適に蛍光を維持することができる。
しかも、本第1局面で用いられるセラミックス焼結体では、透光相の結晶粒子はAlの組成を有し、蛍光相の結晶粒子は化学式A12:Ceで表される組成を有するとともに、A元素及びB元素は、それぞれ前記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されている。
このような構成のセラミックス焼結体は、例えばYAG多結晶体と比較して熱伝導率が良いため、例えばレーザー光の照射によってセラミックス焼結体において発生した熱を、効率良く外部(例えば放熱部材)に排出することができる。よって、セラミックス焼結体が蛍光を発しなくなる温度消光を抑制できる。つまり、蛍光体の発光効率の低下を防ぎ、高い発光効率を実現できる。そのため、この点からも、レーザーの高出力域でも、好適に蛍光を維持することができる。
・前記「A12:Ce」とは、A12中の元素Aの一部にCeが固溶置換していることを示しており、このような構造を有することにより、同化合物は蛍光特性を示すようになる。
・化学式A12:Ceで表される組成を有する化合物は、前記セラミックス焼結体全体の3体積%〜70体積%の範囲であることが望ましい。前記化学式の化合物のCe濃度は、前記化合物のA元素に対して0.1mol%〜1.0mol%の範囲であることが望ましい。A元素にGdを含む場合には、Gd濃度はA元素に対して30mol%以下の範囲であることが望ましい。B元素にGaを含む場合には、Ga濃度はB元素に対して30mol%以下の範囲であることが望ましい。
・Ce以外のランタノイドとしては、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。
・放熱部材としては、アルミニウム、銅、銀等を採用できる。このような材料を使用する場合には、光波長変換部材を透過した励起光、及び、光波長変換部材により波長変換された光(蛍光)を、放熱部材の表面で効率良く反射できるので、効率良く反射光を得ることができる。
(2)本開示の第2局面では、光波長変換部材と放熱部材との間に、光波長変換部材と放熱部材とを接合する接着剤層を備えていてもよい。
この構成により、光波長変換部材と放熱部材とを容易に接合できる。
(3)本開示の第3局面では、光波長変換部材の光が入射する第1面とは反対側の第2面に、光を反射させる反射膜を備えていてもよい。
この構成により、光波長変換部材で発せられた光(蛍光)などを反射させることができる。つまり、反射膜が無い場合には透過する光を、反射膜によって外部に効率良く放射できるので、光波長変換部材の発光強度が向上する。
また、反射膜で光を反射するので、光波長変換部材を支持する基板(例えば放熱部材)は、高い反射率等の高い光学特性を必ずしも必要としない。また、接着剤層についても、必ずしも透光性を必要としない。そのため、基板(例えば放熱部材)や接着剤層の材料の選択の幅が大きいという利点がある。
この反射膜の材料としては、例えば、アルミニウム、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ランタン、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム、酸化タングステン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、窒化ケイ素などの材料を採用できる。なお、反射膜は単層でも多層構造でもよい。
(4)本開示の第4局面では、光波長変換部材の光が入射する第1面に、光の反射を抑制する反射防止膜を備えていてもよい。
この構成により、光波長変換部材の第1面での入射光の反射を抑制できるので、光波長変換部材に入射する光を効率よく吸収させることができる。さらに、光波長変換部材内部で発生する光を効率よく外部に取り出すことが可能になる。そのため、光波長変換部材の発光強度が向上するという利点がある。
この反射防止膜の材料としては、例えば、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化マグネシウムなどの材料を採用できる。なお、反射防止膜は、単層でも多層構造でもよい。
(5)本開示の第5局面では、光波長変換部材は、軸の方向から見た形状が、円環形状又は多角形の環状の形状であってもよい。
ここでは、光波長変換部材の好ましい形状を例示している。なお、軸の方向とは、軸に沿った方向(即ち軸と平行な方向:軸方向)である。
(6)本開示の第6局面では、光波長変換部材は、軸の周囲の周方向において、1又は複数の隙間を有していてもよい。
ここでは、光波長変換部材の好ましい形状を例示している。なお、隙間を設けることにより、光波長変換装置から取り出される光の色成分を調節することが可能である。
(7)本開示の第7局面では、光波長変換装置は、軸を中心して回転可能な回転体であってもよい。
この光波長変換装置は、軸を中心して回転可能な回転体であるので、例えばレーザー装置から、光波長変換部材の1箇所にレーザー光が当たるように設定しておけば、光波長変換装置の回転によって光波長変換部材も回転するので、光波長変換部材の周方向において、レーザー光の照射位置が異なる。従って、光波長変換部材の温度の上昇を抑制できる。その結果、温度消光を抑制でき、光波長変換部材の破損も抑制できる。
(8)本開示の第8局面では、光波長変換装置を回転させるモータを備えていてもよい。
ここでは、光波長変換装置の好ましい態様を例示している。
(9)本開示の第9局面では、光波長変換装置は、軸を中心して回転させた光波長変換部材に対して、光を照射する発光装置に用いられるものであってもよい。
このような発光装置に用いられる光波長変換装置では、上述のように、光波長変換部材の温度の上昇を抑制できる。その結果、温度消光を抑制でき、光波長変換部材の破損も抑制できる。
(10)本開示の第10局面は、光の波長を変換する光波長変換部材と、光波長変換部材より放熱性の高い放熱部材と、を備え、放熱部材の表面に前記光波長変換部材が配置された光波長変換装置に関するものである。
この光波長変換装置は、放熱部材の表面と直交する軸を中心して回転可能な回転体であり、光波長変換部材は、軸及び軸の周囲に広がる形状の板状の部材である。さらに、光波長変換部材は、蛍光性を有する結晶粒子を主体とする蛍光相と、透光性を有する結晶粒子を主体とする透光相と、を有するセラミックス焼結体から構成されている。しかも、透光相の結晶粒子はAlの組成を有し、蛍光相の結晶粒子は化学式A12:Ceで表される組成を有するとともに、A元素及びB元素は、それぞれ下記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されている。
A:Sc、Y、ランタノイド(但し、Ceは除く)
B:Al、Ga
本第10局面では、光波長変換部材として、軸及び軸の周囲に広がる形状の板状の部材を用いる。つまり、この光波長変換部材は、第1局面のような環状の部材ではない。
本第10局面では、第1局面と同様な効果を奏する。
なお、本第10局面でも、第1局面で説明した例示の構成と同様な構成を採用できる。
(11)本開示の第11局面では、光波長変換装置は、光を光波長変換部材に対して軸の方向に沿って照射する際に、光を軸の周囲を回転させるようにして照射する発光装置に用いられるものであってもよい。
本第11局面は、前記第9局面と同様な効果を奏する。つまり、このような発光装置に用いられる光波長変換装置では、上述のように、光波長変換部材の温度の上昇を抑制できる。その結果、温度消光を抑制でき、光波長変換部材の破損も抑制できる。
なお、例えばレーザー光を光波長変換部材に当たる位置を変更することが好ましいので、光波長変換装置を回転させても、光波長変換部材に当てる光の位置を回転させてもよく、さらには、光波長変換装置と光の当てる位置とを回転させてもよい。
<以下に、本開示の各構成について説明する>
・「蛍光相」は、蛍光性を有する結晶粒子を主体とする相であり、「透光相」は、透光性を有する結晶粒子、詳しくは蛍光相の結晶粒子とは異なる組成の結晶粒子を主体とする相である。
・「主体」とは、前記光波長変換部材中において、最も多い量(即ち体積)存在することを示している。例えば、蛍光相には、蛍光性を有する結晶粒子を50体積%以上(好ましくは90体積%以上)含まれていてもよい。また、例えば、透光相には、透光性を有する結晶粒子を50体積%以上(好ましくは90体積%以上)含まれていてもよい。
・セラミックス焼結体では、各結晶粒子やその粒界には、不可避不純物が含まれていてもよい。このセラミックス焼結体には、蛍光相及び透光相(従って蛍光性を有する結晶粒子及び透光性を有する結晶粒子)が、セラミックス焼結体の50体積%以上(好ましくは90体積%以上)含まれていてもよい。
なお、セラミックス焼結体中における蛍光相の割合(従って蛍光性を有する結晶粒子の割合)としては、3〜70体積%を採用できる。一方、セラミックス焼結体における透光相の割合(従って透光性を有する結晶粒子の割合)としては、30〜97体積%を採用できる。
第1実施形態の光波長変換装置を示す斜視図である。 第1実施形態の光波長変換装置を示す平面図である。 図3Aは第1実施形態の光波長変換装置を示す正面図、図3Bはその光波長変換装置を中心軸に沿って破断した断面を示す断面図である。 第1実施形態の光波長変換装置と光波長変換装置を回転駆動するモータとを示す説明図である。 第1実施形態の光波長変換装置が用いられる発光装置を示す説明図である。 図6Aは第2実施形態の光波長変換装置を示す平面図、図6Bは第3実施形態の光波長変換装置を示す平面図、図6Cは第4実施形態の光波長変換装置を示す平面図である。 図7Aは第5実施形態の光波長変換装置を示す平面図、図7Bは第5実施形態の光波長変換装置を示す正面図、図7Cは第6実施形態の光波長変換装置を示す平面図である。 図8Aは第7実施形態の光波長変換装置が用いられる発光装置を一部破断して示す説明図、図8Bは第7実施形態の光波長変換装置を示す平面図である。 第7実施形態の光波長変換装置の変形例を示す平面図である。
次に、本開示の光波長変換装置の実施形態について説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.光波長変換装置]
まず、本第1実施形態の光波長変換装置について説明する。なお、各図は形状の特徴を強調した模式図である。
図1に示すように、本第1実施形態の光波長変換装置1は、中心軸Oを中心に回転可能な略円盤形状の装置であり、放熱部材3の一方の表面(図1の上方)に、光波長変換部材5が接着剤層7(図3参照)により接合されたものである。なお、中心軸Oが光波長変換部材5の回転軸である。
図2及び図3に示すように、放熱部材3は、一定の厚み(例えば500μm)を有する環状の部材である。詳しくは、放熱部材3は、平面視で(中心軸Oに沿って見た場合)、中心軸Oを中心とする外形が円形(例えば直径70mm)であり、中心軸Oと同軸に、放熱部材3を厚み方向(図3の上下方向)に貫く(例えば直径10mm)の円形の貫通孔9を有している。
この放熱部材3は、光波長変換部材5よりも高い熱伝導性(従って熱伝導率)を有する部材であり、例えばアルミニウム等の金属から構成されている。
光波長変換部材5は、後に詳述するように、一定の厚み(例えば100μm〜400μmの範囲の例えば200μm)を有する環状のセラミック焼結体である。つまり、光波長変換部材5は、放熱部材3の厚み方向における表面3a(図2参照)と直交する中心軸O(即ち回転軸)の周りを囲むように配置された環状の部材である。
なお、レーザー光(L)は、例えば図2の一点鎖線で示す範囲(例えば円形の照射領域SR)内において、その一部に照射される。例えば0.1mm幅程度のスポット状の特定の1点(例えば照射領域SRの中心)に向けて照射される。つまり、レーザー光のスポット状の照射位置は、前記照射領域SRの範囲内に設定される。
この光波長変換部材5は、平面視で、中心軸Oを中心とする外形が円形(例えば直径60mm)であり、中心軸Oと同軸に、光波長変換部材5を厚み方向に貫く円形(例えば直径30mm)の貫通孔11を有している。
なお、放熱部材3の外径(即ち直径)は、光波長変換部材5の外径(即ち直径)よりも大きく、放熱部材3の内径(即ち貫通孔9の直径)は、光波長変換部材5の内径(即ち貫通孔11の直径)よりも小さい。なお、放熱部材3の外径と光波長変換部材5の外径とは同じであってもよい。
図3に示すように、光波長変換部材5は、その厚み方向の両端に、レーザー光が入射する第1面D1(図3Aの上方の面)と、第1面D1とは反対側の第2面D2(図3Aの)とを有している。
前記第1面D1には、外部からのレーザー光や光波長変換部材5の内部からの蛍光等の光の反射を抑制する反射防止膜13が形成されている。この反射防止膜13の厚みは、例えば0.01μm〜1μmであり、スパッタリングやメッキ等によって形成されている。なお、反射防止膜13は、例えば、酸化ニオブ等から構成されている。
前記第2面D2には、光波長変換部材5を透過したレーザー光や光波長変換部材5の内部からの蛍光等の光の反射する反射膜15が形成されている。この反射膜15の厚みは、例えば0.1μm〜1μmであり、スパッタリングやメッキ等によって形成されている。なお、反射膜15は、例えば、アルミニウム等から構成されている。
なお、接着剤層7は、例えば透明アクリル樹脂等の接着剤からなる層であり、放熱部材3と光波長変換部材5との間に設けられている。
図4に示すように、光波長変換装置1の放熱部材3側(図4の下方)には、中心軸Oと同軸にモータ17が接続されている。つまり、光波長変換装置1の中心軸Oと同軸にモータ17の回転軸19が接続されている。
詳しくは、回転軸19の先端(図4の上方)にナット21が固定されており、そのナットに、ボルト23の先端(図4の下方)が螺合している。このボルト23は、放熱部材3の貫通孔9に貫挿されており、その頭部23aが、放熱部材3の表面3a(図4の上方)に当接している。
つまり、ボルト23を締め付けることにより、光波長変換装置1をモータ17の回転軸19に固定することができる。従って、モータ17の回転軸19が所定の回転方向(K)に回転すると、同じ方向に光波長変換装置1も回転する。
[1−2.光波長変換部材]
次に、光波長変換部材5について説明する。
光波長変換部材5を構成するセラミックス焼結体は、外部から入射した光によって蛍光性を有する結晶粒子(即ち蛍光相粒子)を主体とする蛍光相と、透光性を有する結晶粒子(即ち透光相粒子)を主体とする透光相と、から構成されている。
つまり、セラミックス焼結体は、1又は複数の蛍光相粒子から構成された塊部分である蛍光相と、1又は複数の透光相粒子から構成された塊部分である透光相と、から構成されている。
すなわち、セラミックス焼結体は、実質的に、蛍光相粒子と透光相粒子とから構成されている。なお、蛍光相粒子及び透光相粒子は、セラミックス焼結体において、例えば90体積%以上(例えばほぼ100体積%)である。
詳しくは、蛍光相粒子は、化学式A12:Ceで表される組成を有するとともに、そのA元素及びB元素は、それぞれ下記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されている。
A:Sc、Y、ランタノイド(但し、Ceを除く)
B:Al、Ga
なお、前記化学式A12:CeのA及びBは、化学式A12:Ceで示される物質を構成する各元素(但し異なる元素)を示しており、Oは酸素、Ceはセリウムである。
さらに、セラミックス焼結体では、化学式A12:Ceで表される化合物(即ち蛍光相粒子)は、例えば、セラミックス焼結体全体の3体積%〜70体積%の範囲である。
また、前記蛍光相粒子におけるCe濃度は、例えば、化合物のA元素に対して0.1mol%〜1.0mol%の範囲である。
なお、A元素にGdを含む場合には、例えば、Gd濃度はA元素に対して30mol%以下の範囲である。また、B元素にGaを含む場合には、例えば、Ga濃度はB元素に対して30mol%以下の範囲である。
一方、透光相粒子は、例えばAlの組成を有している。
[1−3.発光装置]
次に、図5に基づいて、光波長変換装置1を備えた発光装置31について説明する。
この発光装置31は、反射型レーザープロジェクタである。
図5に示すように、反射型レーザープロジェクタは、その内部に光源ユニット33を備えている。この光源ユニット33は、青色のレーザー光を照射する第1青色レーザー35及び第2青色レーザー37と、ダイクロイックミラー39と、光波長変換装置1と、レンズ41と、を備えている。
次に、光源ユニット33の動作を説明する。
まず、第1青色レーザー35から、回転する光波長変換装置1(詳しくは光波長変換部材5)に対して、青色レーザー光(青色光)を照射する。これにより、光波長変換部材5からは、青色光を波長変換した黄色光が発生する。
この黄色光は、ダイクロイックミラー39に向けて発せられ、ダイクロイックミラー39にて反射されて、レンズ41に入射する。なお、ダイクロイックミラー39は、特定の波長の光(ここでは黄色光)を反射させるミラーであり、青色光は透過させる。
一方、第2青色レーザー37から、レンズ41に向けて、青色レーザー光(青色光)を照射する。
従って、レンズ41では、黄色光と青色光とを集光するとともに、混色させることにより、白色の光を出力する。なお、第2青色レーザー37からの青色光により、不足分の青色光を補うことができる。
[1−4.光波長変換装置の製造方法]
次に、光波長変換装置1を製造する際の概略の手順について、簡単に説明する。
まず、光波長変換部材5を製造した。この光波長変換部材5の製造方法とは、後に実験例にて詳述するように、反応焼結による製造方法である。
具体的には、最初に、前記第1実施形態の構成を満たすように、セラミックス焼結体である光波長変換部材5の粉末材料の秤量等を行った(即ち調製した)。
次に、調製した粉末材料に、有機溶剤と分散剤とを加え、ボールミルにて粉砕混合を行った。
次に、粉砕混合によって得られた粉末に、樹脂を混合しスラリーを作製した。
次に、スラリーを用いて、ドクターブレード法によりシート成形体を作製した。
次に、シート成形体を、脱脂した。
次に、脱脂したシート成形体に対して、圧力が10Pa以上で、且つ、酸素濃度が0.8体積%以上21体積%以下の焼成雰囲気で、所定時間焼成し、セラミックス焼結体(即ち光波長変換部材5)を得た。
その後、光波長変換部材5の第2面D2に、スパッタリング等によって反射膜15を形成した。また、光波長変換部材5の第1面D1に、スパッタリング等によって反射防止膜13を形成した。
次に、放熱部材3の表面3aに、接着剤層7を構成する接着剤(例えば透明アクリル樹脂)を用いて、反射膜15及び反射防止膜13を備えた光波長変換部材5を接合した。つまり、反射膜15を放熱部材3側となるようにして、放熱部材3に光波長変換部材5を接合した。
このような製造方法によって、光波長変換装置1が得られた。
[1−5.効果]
次に、本第1実施形態の効果を説明する。
(1)本第1実施形態では、光波長変換部材5は、放熱部材3の表面と直交する中心軸Oの周りを囲むように配置された環状の部材である。従って、放熱部材3及び光波長変換部材5を中心軸Oを中心にして回転させた状態で、光波長変換部材5に対して中心軸Oと平行にレーザー光を照射した場合には、レーザー光の照射位置が絶えず変化するので、光波長変換部材5の特定の箇所の温度が上昇しにくい。しかも、放熱部材3によって、光波長変換部材5の温度の上昇を抑制できる。
このように、光波長変換部材5の温度が上昇しにくいので、温度消光が生じにくく、しかも、光波長変換部材5が劣化したり破損することを抑制できるという効果がある。そのため、レーザーの高出力域でも、好適に蛍光を維持することができる。
しかも、本第1実施形態で用いられる光波長変換部材(即ちセラミックス焼結体)5では、透光相の結晶粒子はAlの組成を有し、蛍光相の結晶粒子は化学式A12:Ceで表される組成を有するとともに、A元素及びB元素は、それぞれ前記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されている。
このような構成の光波長変換部材5は、例えばYAG多結晶体と比較して熱伝導率が良いため、例えばレーザー光の照射によって光波長変換部材5において発生した熱を、効率良く外部(例えば放熱部材3)に排出することができる。よって、光波長変換部材5が蛍光を発しなくなる温度消光を抑制できる。つまり、光波長変換部材5の発光効率の低下を防ぎ、高い発光効率を実現できる。そのため、この点からも、レーザーの高出力域でも、好適に蛍光を維持することができる。
(2)本第1実施形態では、光波長変換部材5と放熱部材3との間に配置された接着剤層7により、光波長変換部材5と放熱部材3とを容易にまた確実に接合することができる。
(3)本第1実施形態では、光波長変換部材5の第2面D2に、光を反射する反射膜15を備えている。従って、光波長変換部材5で発せられた光(蛍光)などを反射させることができる。
つまり、反射膜15を備えている場合には、透過する光を反射膜15によって外部に効率良く放射できるので、光波長変換部材5の発光強度が向上する。
また、反射膜15で光を反射するので、光波長変換部材5を支持する放熱部材3は、高い反射率等の高い光学特性を必ずしも必要としない。また、接着剤層7についても、必ずしも透光性を必要としない。そのため、放熱部材3や接着剤層7の材料の選択の幅が大きいという利点がある。
(4)本第1実施形態では、光波長変換部材5の第1面D1に、光の反射を抑制する反射防止膜13を備えている。
この構成により、光波長変換部材5の第1面D1での入射光の反射を抑制できるので、光波長変換部材5に入射する光を効率よく吸収させることができる。さらに、光波長変換部材5内部で発生する光を効率よく外部に取り出すことが可能になる。そのため、光波長変換部材5の発光強度が向上するという利点がある。
(5)本第1実施形態では、光波長変換装置1は、中心軸Oを中心して回転可能な回転体である。
この光波長変換装置1は、中心軸Oを中心して回転可能な回転体であるので、レーザー装置から、光波長変換部材5の1箇所にレーザー光が当たるように設定しておけば、光波長変換装置1の回転によって光波長変換部材5も回転するので、光波長変換部材5の周方向において、レーザー光の照射位置が異なる。従って、光波長変換部材5の温度の上昇を抑制できる。その結果、温度消光を抑制でき、光波長変換部材5の破損も抑制できる。
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。また、第1実施形態と同様な構成については、同様な番号を付す。
図6Aに示すように、本第2実施形態の光波長変換装置51は、第1実施形態と同様な放熱部材3の表面に、第1実施形態と同様な組成の光波長変換部材53が接合されたものである。
特に本第2実施形態では、光波長変換部材53は、平面視で略円環状であるが、完全な円環ではなく、その一部(1箇所)が径方向に切り欠かれた隙間55を有している。つまり、光波長変換部材53は、平面視でC字形状である。
本第2実施形態は、第1実施形態と同様な効果を奏する。また、光波長変換部材53には隙間55があるので、隙間55の大きさを調節することなどにより、光波長変換装置1から取り出される光の色成分を調節することが可能である。
[3.第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。なお、第2実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。また、第2実施形態と同様な構成については、同様な番号を付す。
図6Bに示すように、本第3実施形態の光波長変換装置61は、第2実施形態と同様な放熱部材3の表面に、第2実施形態と同様な組成の光波長変換部材63が接合されたものである。
特に本第3実施形態では、光波長変換部材63は、平面視で略円環状であるが、完全な円環ではなく、その一部(4箇所)が径方向に切り欠かれた隙間65を有している。つまり、光波長変換部材63は、平面視で4個の扇形がそれぞれ隙間65を介して、円環状に配置されたものである。
本第3実施形態は、第2実施形態と同様な効果を奏する。
[4.第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。また、第1実施形態と同様な構成については、同様な番号を付す。
図6Cに示すように、本第4実施形態の光波長変換装置71は、第1実施形態と同様な放熱部材3の表面に、第1実施形態と同様な組成の光波長変換部材63が接合されたものである。
特に本第4実施形態では、光波長変換部材63は、平面視で円環状ではなく、多角形の環状である。つまり、光波長変換部材63は、外周の形状と内周の形状とが正8角形である。
本第4実施形態は、第1実施形態と同様な効果を奏する。
[5.第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。また、第1実施形態と同様な構成については、同様な番号を付す。
図7Aに示すように、本第5実施形態の光波長変換装置81は、第1実施形態と同様な組成の円盤形状の放熱部材83の表面に、第1実施形態と同様な組成の円盤形状の光波長変換部材85が、同軸に接合されたものである。
この放熱部材83や光波長変換部材85の平面視における形状は、環状ではなく、中心に貫通孔が無い板状である。
なお、光波長変換装置81を回転させる場合には、図7Bに示すように、放熱部材83の裏側(図7Bの右側)に取り付けた軸部87を、モータ17によって回転させるようにすればよい。
本第5実施形態は、第1実施形態と同様な効果を奏する。
[6.第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明する。なお、第5実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。また、第5実施形態と同様な構成については、同様な番号を付す。
図7Cに示すように、本第6実施形態の光波長変換装置91は、第5実施形態と同様な組成の円盤形状の放熱部材83の表面に、第5実施形態と同様な組成の多角形(例えば正8角形)の光波長変換部材85が、同軸に接合されたものである。
なお、光波長変換部材85は、複数の光波長変換部材85と同様な組成の部材(三角形の部材)8aを組み合わせて、正8角形となるように組み合わせたものである。
本第6実施形態は、第5実施形態と同様な効果を奏する。
[7.第7実施形態]
次に、第7実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。また、第1実施形態と同様な構成については、同様な番号を付す。
図8に示すように、本第7実施形態では、光波長変換装置1を回転させるのではなく、光波長変換部材5に照射するレーザー光の位置(即ち照射領域SR内の特定の照射位置)を、中心軸Oを中心にして、中心軸Oの周囲を円形に、図8Bの矢印方向KYに回転させるものである。
詳しくは、図8Aに示すように、レーザー装置91から照射されたレーザー光は、第1ミラー93にて全反射する。この第1ミラー93は、中心軸Oに対して45度傾斜した反射面を有しているので、レーザー光は、第1ミラー93にて径方向に反射する。
また、第1ミラー93の径方向の周囲には、中心軸Oに対して45度傾斜した円錐形状の反射面を有する第2ミラー95が配置されている。従って、第1ミラー93にて反射したレーザー光は、第2ミラー95にて中心軸Oと平行に反射して、光波長変換部材5に照射される。
このとき、第1ミラー93は、中心軸Oに対して回転するので、図8Bに示すように、光波長変換部材5に照射されるレーザー光の照射位置も、光波長変換部材5の周方向に沿って、円形に移動する。
本第7実施形態は、第1実施形態とは異なり、レーザー光の照射位置が回転方向に移動するが、第1実施形態と同様な効果を奏する。
なお、図9に示すように、レーザー装置91自身を、前記と同様な回転方向KYに回転させて、光波長変換部材5に対して、レーザー光を同様に円形に回転させて照射するようにしてもよい。
[8.実験例]
次に、前記実施形態の具体的な実施例等について説明する。
ここでは、下記表1に記載のNo.1〜17の光波長変換部材の各試料を作製した。
各試料のうち、No.1、4〜17が本開示の範囲内の実施例の試料であり、No.2、3が本開示の範囲外の比較例の試料である。
[8−1.試料の評価方法]
まず、各試料に対して実施した各評価の方法について説明する。
<耐レーザー出力>
耐レーザー出力を評価する際には、後述する蛍光強度の評価と同様に、光波長変換装置を回転機構(図示せず)に取り付け、回転数5000rpmで回転させながら評価した。
具体的には、各試料の光波長変換装置の光波長変換部材に対し、465nmの波長を有する青色レーザー光を、レンズで0.1mm幅まで集光させて照射した。そして、この集光した光に対して、分光放射照度計(コニカミノルタ製CL−500A)によって色度値(X方向)を測定した。
この時照射されるレーザ−光の出力密度(即ちレーザー出力)を0〜200W/mmとし、出力密度5W/mm毎に測定した。測定はそれぞれの出力密度において、分光放射照度計の連続測定機能を用いて、0.5秒毎に1回の測定を計10回繰り返し、その平均値で評価した。
そして、出力密度5W/mm時の色度値に対して60%以下になった場合に温度消光が生じたと判断し、その時の出力密度を下記表1の耐レーザー出力の欄に記載した。この表1では、200W/mmで消光しないものについては、「>200」と記載している。耐レーザー出力に関しては100W /mm以上まで消光しないものが好ましい。
<蛍光強度>
465nmの波長を有する青色LD光をレンズで0.1mm幅まで集光させて照射した。そして、照射後に反射した光をレンズによって集光させ、パワーセンサーによりその時の発光強度(即ち蛍光強度)を測定した。この時照射されるレーザー光の出力密度は40W/mmとした。
そして、レーザー光照射後、2秒毎に計5回強度値を読み取り、その平均値で評価した。ここでは、光波長変換部材(即ち蛍光体)にYAG多結晶を用いた時の蛍光強度を100%とし、各光波長変換装置の蛍光強度の比較を行った。蛍光強度については100%以上であることが好ましい。
[8−2.試料の製造方法及び評価結果]
次に、各試料の製造方法と、各試料の評価結果について説明する。
<実施例1>
下記表1に示す条件により、No.1の光波長変換装置の試料を作製した。即ち、反応焼結によって、No.1の光波長変換装置の試料を作製した。
なお、各試料における円環状の光波長変換部材の大きさは、外径φ60mm×内径φ30mm×厚み200μmである。
(1)まず、下記の手順で、光波長変換部材であるセラミックス焼結体(蛍光体)を作製した。
表1のNo.1の試料の組成となるように、Al(平均粒径0.2μm)、Y(平均粒径1.2μm)、Gd(平均粒径1.1μm)、CeO(平均粒径1.5μm)の各粉末材料を秤量した。このとき、A12:Ce量はセラミックス焼結体全体の30体積%に固定した。また、Ce量はA12化合物中Aに対して0.3mol%に固定した。
これらの粉末を、エタノールと共にボールミル中に投入し、16hr粉砕混合を行った。得られたスラリーを乾燥・造粒することで造粒粉を得た。この造粒粉に対して、所定の割合(全体の2重量%)となるように、十分に溶融させたバインダーを加え、良く攪拌し、乾燥させることで所定の粉末を得た。
得られた粉末をプレス成形し、さらにCIP成形することで成形体を得た。得られた成形体を脱脂後、大気雰囲気中で焼成を行って、セラミックス焼結体(即ち光波長変換部材)を得た。この際、焼成温度を1600℃、保持時間を10時間として焼成を行った。
(2)次に、得られた光波長変換部材を、例えばアルミニウムからなる放熱部材の厚み方向の一方の表面に、同軸に接合した。つまり、接着剤として透明アクリル樹脂を用いて、放熱部材と光波長変換部材とを接合した。
なお、円環状の放熱部材の大きさは、外径φ60mm×内径φ10mm×厚み500μmである。
このような製造方法によって、光波長変換装置を作製した。
そして、No.1の試料の光波長変換装置に対して、上述した評価方法による評価を行った。その結果等を、下記表1に記す。
この表1から明らかなように、No.1の試料(即ちAl−YAG系の試料)では、高熱伝導相であるAlの複合化により効率的な放熱が可能となり、レーザー出力が100W/mmを上回る高出力領域においても蛍光を維持し、高い蛍光強度を示した。
なお、表1には記載がないが、セラミックス焼結体の相対密度は99%以上で十分に緻密化されていた(他の本開示の試料についても同様であった)。
<比較例1>
比較例1では、下記表1に示す条件により、No.2、3の光波長変換装置の試料を作製した。
この比較例1の試料とは、光波長変換部材である蛍光体の構成を、本開示の蛍光体とは異なる構成としたものである。
具体的には、No.2の試料の蛍光体は、従来と同様に(例えば特開2011-53320号公報参照)、YAG粒子を樹脂中に分散させた蛍光体である。また、No.3の試料の蛍光体は、従来と同様なYAG多結晶体(例えば特開2015-138168公報参照)である。
表1から明らかなように、No.2の試料の蛍光体は、熱伝導性が著しく低いことから、高レーザー出力範囲では蛍光を維持できていないことが分かる。
また、No.3の試料の蛍光体は、熱伝導性が低いことに加え、蛍光体のみのマトリックスである為に発光に伴う発熱が大きく、高レーザー出力範囲では蛍光を維持できていないことが分かる。
<実施例2>
実施例2は、光波長変換部材(蛍光体)の組成による効果の違いを調べたものである。
実施例2のNo.4〜14の各試料の作製方法及び評価方法は、基本的に実施例1と同様であるが、蛍光体の組成を変化させたものである。なお、以下では、実施例1と異なる点について説明する。
No.4〜6の試料では、表1の組成となるように各原料を秤量して使用した。
No.7〜10の試料では、原料として、Yの代わりにLu(平均粒径1.1μm)を用いた。
No.11〜14の試料では、原料として、Yの代わりにSc(平均粒径1.2μm)を用いた。
表1から明らかなように、No.4〜14の試料では、どの蛍光体組成においても、Alとの複合化の効果により熱伝導性が向上し、耐レーザー出力は100W/mmを上回っており、高い蛍光強度を示した。
<実施例3>
実施例3は、光波長変換部材の表面に形成した反射膜及び反射防止膜による効果の違いを調べたものである。
実施例3のNo.15〜17の各試料の作製方法及び評価方法は、基本的に実施例1と同様であるが、反射膜及び反射防止膜の有無が異なっている。なお、以下では、実施例1と異なる点について説明する。
No.15の試料は、光波長変換部材に反射膜のみを設けたものである。
具体的には、No.15の試料では、光波長変換部材の第2面に、例えばスパッタリングによって、例えばAlからなる反射膜(膜厚は例えば1μm)を形成した。
No.16の試料は、光波長変換部材に反射防止膜のみを設けたものである。
具体的には、No.16の試料では、光波長変換部材の第1面に、例えばスパッタリングによって、例えばSiOからなる反射防止膜(膜厚は例えば1μm)を形成した。
No.18の試料は、光波長変換部材の第2面にNo.15の試料と同様な反射膜を設け、第1面にNo.16の試料と同様な反射防止膜を設けたものである。
その結果、表1に示すように、No.15の試料では、反射膜によって反射率が向上し、蛍光強度が増加した。
No.16の試料では、反射防止膜によって励起光を効率よく吸収することができるため、蛍光強度が増加した。
No.17の試料では、反射膜及び反射防止膜の両者を備えることで、上記の要因から、一層蛍光強度が増加した。
Figure 2020046638
[9.他の実施形態]
本開示は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本開示を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば、前記実施例では大気焼成にて試料を作製したが、その他にホットプレス焼成、真空焼成、還元雰囲気焼成、HIP、またはこれらを組み合わせた焼成方法によって、同等の性能を有した試料を作製することができる。
(2)前記光波長変換装置の用途としては、照明、プロジェクター等の光学機器など、各種の用途が挙げられる。
(3)発光装置に用いる発光素子としては特に限定はなく、周知のLEDやLDなど、各種のものを採用できる。
(4)なお、上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を、省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
1、51、61、71、81、91…光波長変換装置
3、83…放熱部材
5、53、63、85…光波長変換部材
7…接着剤層
13…反射防止膜
15…反射膜
17…モータ
31…発光装置
55、65…隙間

Claims (11)

  1. 光の波長を変換する光波長変換部材と、前記光波長変換部材より熱伝導性の高い放熱部材と、を備え、
    前記放熱部材の表面に前記光波長変換部材が配置された光波長変換装置であって、
    前記光波長変換部材は、前記放熱部材の表面と直交する軸の周りを囲むように配置された環状の部材であり、
    且つ、前記光波長変換部材は、蛍光性を有する結晶粒子を主体とする蛍光相と、透光性を有する結晶粒子を主体とする透光相と、を有するセラミックス焼結体から構成され、前記透光相の結晶粒子はAlの組成を有し、前記蛍光相の結晶粒子は化学式A12:Ceで表される組成を有するとともに、前記A元素及び前記B元素は、それぞれ下記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されている、光波長変換装置。
    A:Sc、Y、ランタノイド(但し、Ceは除く)
    B:Al、Ga
  2. 前記光波長変換部材と前記放熱部材との間に、前記光波長変換部材と前記放熱部材とを接合する接着剤層を備えた、
    請求項1に記載の光波長変換装置。
  3. 前記光波長変換部材の前記光が入射する第1面とは反対側の第2面に、光を反射させる反射膜を備えた、
    請求項1又は2に記載の光波長変換装置。
  4. 前記光波長変換部材の前記光が入射する第1面に、光の反射を抑制する反射防止膜を備えた、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の光波長変換装置。
  5. 前記光波長変換部材は、前記軸の方向から見た形状が、円環形状又は多角形の環状の形状である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の光波長変換装置。
  6. 前記光波長変換部材は、前記軸の周囲の周方向において、1又は複数の隙間を有する、
    請求項5に記載の光波長変換装置。
  7. 前記光波長変換装置は、前記軸を中心して回転可能な回転体である、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の光波長変換装置。
  8. 前記光波長変換装置を回転させるモータを備えた、
    請求項7に記載の光波長変換装置。
  9. 前記軸を中心して回転させた前記光波長変換部材に対して、前記光を照射する発光装置に用いられる、
    請求項7又は8に記載の光波長変換装置。
  10. 光の波長を変換する光波長変換部材と、前記光波長変換部材より放熱性の高い放熱部材と、を備え、
    前記放熱部材の表面に前記光波長変換部材が配置された光波長変換装置であって、
    前記光波長変換装置は、前記放熱部材の表面と直交する軸を中心して回転可能な回転体であり、
    前記光波長変換部材は、前記軸及び該軸の周囲に広がる形状の板状の部材であり、
    且つ、前記光波長変換部材は、蛍光性を有する結晶粒子を主体とする蛍光相と、透光性を有する結晶粒子を主体とする透光相と、を有するセラミックス焼結体から構成され、前記透光相の結晶粒子はAlの組成を有し、前記蛍光相の結晶粒子は化学式A12:Ceで表される組成を有するとともに、前記A元素及び前記B元素は、それぞれ下記元素群から選択される少なくとも1種の元素から構成されている、光波長変換装置。
    A:Sc、Y、ランタノイド(但し、Ceは除く)
    B:Al、Ga
  11. 前記光を前記光波長変換部材に対して前記軸の方向に沿って照射する際に、前記光を前記軸の周囲を回転させるようにして照射する発光装置に用いられる、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の光波長変換装置。
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