JP2020045382A - インクジェット用インクセット、および、インクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水性のインクジェット用インクで形成する被膜について、耐水性を更に向上させること。【解決手段】水性インクと反応液とを有するインクジェット用インクセットであって、前記水性インクは、水、顔料及び反応性二重結合を有する樹脂粒子を含み、前記反応液は、水及び求核反応を起こす基を有する化合物を含む、インクジェット用インクセット。【選択図】なし
Description
本発明はインクジェット用インクに関し、インクジェット用水性インクに関する。
インクを用いて、画像、文字、模様など(以下、これらをまとめて画像という)を記録媒体に記録する方法の一つとして、インクジェット方式がある。紙、布などのインク吸収性のある基材に画像を形成する場合には、インクジェット用インクとしては、環境に与える負荷が少ない水性インクが使用される。なお、画像は、記録媒体の表面で、水性インクに含まれる水、有機溶媒などの溶剤が揮発することにより、形成される。
他方、樹脂フィルム、プラスチック、金属などのように、インク吸収性のない基材(以下、非吸収性基材という)、または、インク吸収性の低い基材(以下、低吸収性基材という)にも画像を形成する場合には、密着性等に優れた画像を形成することができる油性インクが使用される。
近年では、油性インクによる環境負荷を低減する観点から、非吸収性基材または低吸収性基材に対しても水性インクを使用することが要求されている。
特許文献1には、エマルション、界面活性剤、有機溶媒、顔料及び水を含む水性インクと、凝集剤、1,2−アルカンジオール、グリコールエーテル系溶媒および/またはグリコールエーテルアセテート系溶媒及び水を含む反応液とを、併用するインクジェット用インクセットが記載されている。このインクジェット用インクセットは、非吸収性基材または低吸収性基材からなる記録媒体に使用することができ、耐擦過性及び密着性などの塗膜特性に優れた画像を形成することができる。
インクジェット印刷装置の性能向上に伴い、屋外等の水分に接する環境下で使用する画像についてもインクジェット印刷法を使用して形成する需要が増大している。そのため、印刷画像の耐水性に対する要求が厳格化しており、水性のインクジェット用インクで形成する被膜ついて、耐水性を更に向上させる必要がある。
本発明は、水性インクと反応液とを有するインクジェット用インクセットであって、
前記水性インクは、水、顔料及び反応性二重結合を有する樹脂粒子を含み、
前記反応液は、水及び求核反応を起こす基を有する化合物を含む、
インクジェット用インクセットを提供する。
前記水性インクは、水、顔料及び反応性二重結合を有する樹脂粒子を含み、
前記反応液は、水及び求核反応を起こす基を有する化合物を含む、
インクジェット用インクセットを提供する。
ある一形態においては、前記求核反応を起こす基を有する化合物は、アミン化合物である。
ある一形態においては、前記アミン化合物は、1000以上の分子量を有する1級アミンである。
ある一形態においては、前記アミン化合物は、ポリアリルアミン及びポリエチレンイミンから成る群から選択される少なくとも一種である。
ある一形態においては、前記反応性二重結合がアクリル基、アクリロイル基、アクリルアミド基及びN−ビニル基から成る群から選択される少なくとも一種である。
ある一形態においては、前記水性インクは、反応性二重結合を有さない樹脂粒子、有機溶媒及び界面活性剤を更に含有する。
ある一形態においては、前記反応液には、グリコールエーテル系又はグリコールエーテルアセテート系の有機溶剤が更に含まれる。
ある一形態においては、上記いずれかのインクジェット用インクセットは非吸収性基材または低吸収性基材上に画像を形成する用途に使用される。
また、本発明は、上記いずれかのインクジェット用インクセットを用いて、記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録方法であって、
水性インクおよび反応液を、前記記録媒体上で接触させるように、インクジェットヘッドから吐出する、インクジェット記録方法を提供する。
水性インクおよび反応液を、前記記録媒体上で接触させるように、インクジェットヘッドから吐出する、インクジェット記録方法を提供する。
また、本発明は、記録媒体と、該記録媒体の表面上に上記いずれかのインクジェット用インクセットから形成された画像とを、有する印刷物を提供する。
本発明のインクジェット用インクセットは水性インクであるにも拘わらず、耐水性に優れた画像を形成することができる。本発明のインクジェット用インクセットから形成される被膜は、記録媒体に対する密着力、耐水性及び耐エタノール性が向上したものである。
1.インクジェット用インクセット
本明細書でいうインクジェット用インクセットは二液式インクであり、水性インク及び反応液を有するものである。印刷の際に、水性インク及び反応液は併用される。
本明細書でいうインクジェット用インクセットは二液式インクであり、水性インク及び反応液を有するものである。印刷の際に、水性インク及び反応液は併用される。
<水性インク>
水性インクを構成する成分は以下の通りである。水性インクは、水を主成分とするインクであり、少なくとも、水、顔料及び反応性二重結合を有する樹脂粒子を含み、要すれば、反応性二重結合を有さない樹脂粒子、有機溶媒及び界面活性剤を含むインクである。
水性インクを構成する成分は以下の通りである。水性インクは、水を主成分とするインクであり、少なくとも、水、顔料及び反応性二重結合を有する樹脂粒子を含み、要すれば、反応性二重結合を有さない樹脂粒子、有機溶媒及び界面活性剤を含むインクである。
(反応性二重結合を有する樹脂粒子)
反応性二重結合を有する樹脂粒子は、樹脂粒子の外部に反応性二重結を有する樹脂粒子である。本明細書でいう樹脂粒子は約1〜100μmの粒子径を有する微粒子状の樹脂である。樹脂粒子は、通常は、分散媒中に分散した分散液の形態で存在する。樹脂粒子の分散液には、一般に、エマルション又はディスパーションと呼ばれているものが該当する。樹脂粒子の分散液は、自己分散型である事が好ましい。自己分散型分散液とは、樹脂粒子自体が分散能力を有し、分散剤を含有しない分散液をいう。
反応性二重結合を有する樹脂粒子は、樹脂粒子の外部に反応性二重結を有する樹脂粒子である。本明細書でいう樹脂粒子は約1〜100μmの粒子径を有する微粒子状の樹脂である。樹脂粒子は、通常は、分散媒中に分散した分散液の形態で存在する。樹脂粒子の分散液には、一般に、エマルション又はディスパーションと呼ばれているものが該当する。樹脂粒子の分散液は、自己分散型である事が好ましい。自己分散型分散液とは、樹脂粒子自体が分散能力を有し、分散剤を含有しない分散液をいう。
反応性二重結合は、例えば、電子吸引部分に結合した末端二重結合であり、具体的には、アクリル基、アクリロイル基、アクリルアミド基、N−ビニル基が含まれる。反応性二重結合は、1種類でもよいし、2種類以上であってもよい。特に、反応性二重結合は、アクリル基及びアクリロイル基を含むことが好ましく、アクリル基である事がより好ましい。
反応性二重結合を有する樹脂粒子の具体例には、アクリル基又はメタクリル基を有する樹脂粒子である、(メタ)アクリレート樹脂粒子が含まれる。(メタ)アクリレート樹脂粒子は、反応液中に含まれる水溶性アミン化合物と反応して架橋構造を形成することで、耐水性及び耐エタノール性を有する被膜を形成する。(メタ)アクリレート樹脂粒子は、水系溶媒中に均一に存在する(メタ)アクリレート樹脂粒子であり、具体的には、水系溶媒中に均一に分散する形状をとる(メタ)アクリレート樹脂粒子を意味する。
反応性二重結合を有する樹脂粒子の粒径は、体積平均粒径で1nm〜400nmの範囲であることが好ましく、1nm〜200nmの範囲であることがより好ましく、10nm〜100nmの範囲であることが更に好ましい。体積平均粒径が1nm以上であれば、製造適性が向上し、また、体積平均粒径が400nm以下であれば、インクのヘッド吐出適正が向上する。ここで、反応性二重結合を有する樹脂粒子の体積平均粒径は、光散乱を用いた粒度分布測定装置によって測定された値を指す。
本発明における反応性二重結合を有する樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、10,000以上であり、30,000以上であることが好ましく、100,000以上であることがより好ましい。重量平均分子量の上限は特に限定されないが、1,000,000以下であることが好ましく、500,000以下であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算値として測定された値である。
反応性二重結合を有する樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は30〜150℃である。反応性二重結合を有する樹脂粒子のTgが30℃未満であると、塗膜表面にタックが残り易くなり、150℃を超えると塗膜の柔軟性が低下する。反応性二重結合を有する樹脂粒子のガラス転移温度は、好ましくは60〜120℃である。
反応性二重結合を有する樹脂粒子のガラス転移温度は、通常用いられる方法によって適宜制御することができる。例えば、反応性二重結合を有する樹脂粒子を構成するモノマー(重合性化合物)の種類やその構成比率、反応性二重結合を有する樹脂粒子を構成するポリマーの分子量等を適宜選択することで、反応性二重結合を有する樹脂粒子のガラス転移温度を所望の範囲に制御することができる。
反応性二重結合を有する樹脂粒子の形成に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニル樹脂(例:塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等)、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂(例:フタル酸樹脂等)、アミノ材料(例:メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等)が(メタ)アクリル基等を有するように変性された樹脂が挙げられる。これらの中でも、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
また、反応性二重結合を有する樹脂粒子を形成する樹脂は、上記に例示された樹脂を構成する構造単位を2種以上含む共重合体であってもよく、2種以上の樹脂の混合物であってもよい。また、反応性二重結合を有する樹脂粒子自体が2種以上の樹脂の混合物からなるもののみならず、2種以上の樹脂が例えば、コア/シェルのように積層されてなる複合樹脂粒子であってもよい。
上記の中でも、基材への密着性に優れるインクが得られ、また、アルコール耐性及び高温堅牢性により優れた印刷物を得ることができる観点から、反応性二重結合を有する樹脂粒子はウレタン樹脂を含有することが好ましい。
ウレタン樹脂を含有する反応性二重結合を有する樹脂粒子の一例には、(メタ)アクリル基を有するポリウレタンが含まれる。(メタ)アクリル基を有するポリウレタンは、例えば、ポリオールと、ポリイソシアネートと、水酸基及び(メタ)アクリル基を有する化合物又はイソシアネート基及び(メタ)アクリル基を有する化合物とを、反応させることにより得ることができる。
反応性二重結合を有する樹脂粒子としては市販品を使用してもよい。市販品としては、以下に示すものが例示できる。ダイセルオルネクス社製「UCECOAT7571」(商品名)、「UCECOAT7655」(商品名)、荒川化学工業社製「EM−90」(商品名)、「EM−94」(商品名)、楠本化成社製「NeoRad R−444」(商品名)。
反応性二重結合を有する樹脂粒子は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
反応性二重結合を有する樹脂粒子は、後述する反応液に含まれる水溶性アミン化合物と反応して耐水性を向上させる観点から、1粒子当たりの反応性二重結合の数が2以上、好ましくは3以上である。
反応性二重結合を有する樹脂粒子は、アニオン性又はカチオン性のイオン性である事が好ましい。
反応性二重結合を有する樹脂粒子は、吐出安定性を確保する観点から、その5%分散液の25℃における粘度が15mPa・s未満、好ましくは9mPa・s、より好ましくは5mPa・s未満である。
反応性二重結合を有する樹脂粒子の含有量は、水性インク全体100重量部に対して、0.3〜10重量部である。反応性二重結合を有する樹脂粒子の含有量が0.3重量部未満であると、充分な耐水性を有する被膜を形成できない場合がある。一方、反応性二重結合を有する樹脂粒子の含有量が10重量部を超えると、アミン樹脂と未反応の反応性二重結合が多分に残存し、効率的な反応ができないばかりか、水性インクの粘度の調整が困難となる。反応性二重結合を有する樹脂粒子の含有量は、好ましくは水性インク全体100重量部に対して、1〜7重量部であり、より好ましくは3〜5重量部である。
(反応性二重結合を有さない樹脂粒子)
水性インクは、反応性二重結合を有さない樹脂粒子を含有してよい。反応性二重結合を有さない樹脂粒子は、水性インクの塗膜を形成する成分であり、耐擦過性、耐水性などの塗膜特性に優れた画像を与える。
水性インクは、反応性二重結合を有さない樹脂粒子を含有してよい。反応性二重結合を有さない樹脂粒子は、水性インクの塗膜を形成する成分であり、耐擦過性、耐水性などの塗膜特性に優れた画像を与える。
反応性二重結合を有さない樹脂粒子は親水性部と疎水性部を有し、親水性部は、カルボキシ基である事が好ましく、疎水性部は、鎖状脂肪族基である事が好ましい。
反応性二重結合を有さない樹脂粒子を構成する樹脂としては、スチレン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(α,2,3または4)−アルキルスチレン、(α,2,3または4)−アルコキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、α−フェニルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他のアルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ基を有するジエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、プロポキシ基を有するジエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、ブトキシ基を有するジエチレングリコールまたはポリエチレングリコールの(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、その他のフッ素含有(メタ)アクリレート、塩素含有(メタ)アクリレート、珪素含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、(メタ)アクリル酸などの1官能の他に架橋構造を導入する場合は、(モノ、ジ、トリ、テトラ、ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールなどのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ、トリ)(メタ)アクリレート、ビスフェノールAまたはFのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
反応性二重結合を有さない樹脂粒子のガラス転移温度は、好ましくは50℃以上である。反応性二重結合を有さない樹脂粒子のガラス転移温度が50℃未満であると、塗膜の硬さが不十分となる。反応性二重結合を有さない樹脂粒子のガラス転移温度は、一般的なプリンターの乾燥温度(60〜100℃)よりも低くするため、100℃以下であることが好ましい。なお、本明細書において、「反応性二重結合を有さない樹脂粒子のガラス転移温度」とは、反応性二重結合を有さない樹脂粒子を含有するエマルションを150℃で2時間乾燥させ、脱水させることにより、得られた樹脂を単独で測定したときのガラス転移温度をいう。
反応性二重結合を有さない樹脂粒子の含有量は、水性インク全体100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましい。反応性二重結合を有さない樹脂粒子の含有量が30重量部を超えると、水性インクの粘度が高くなりすぎる場合があり、また、印刷物の凹凸が大きくなる場合がある。反応性二重結合を有さない樹脂粒子の含有量は、水性インク全体100重量部に対して、3重量部以上であることが好ましく、20重量部以下であることがより好ましく、更に10質量部以下である事がより好ましい。
尚、反応性二重結合を有する樹脂粒子の含有量は、反応性二重結合を有さない樹脂粒子含有量に対して、5〜100%、好ましくは12〜80%、より好ましくは40〜65%である。
(界面活性剤)
界面活性剤は、記録媒体に対する濡れ性、レベリング性、すべり性等を向上させる成分である。
界面活性剤は、記録媒体に対する濡れ性、レベリング性、すべり性等を向上させる成分である。
界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類などが挙げられる。
シリコン系界面活性剤は、ポリシロキサン系化合物であることが好ましい。ポリシロキサン系化合物としては、例えば、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。具体的には、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、水性インク全体100重量部に対して、0.1〜5.0重量部であることが好ましい。界面活性剤の含有量が0.1重量部未満であると、基材に対して水性インクが充分に濡れ広がらない場合がある。一方、界面活性剤の含有量が5.0重量部を超えると、過剰な界面活性剤が塗膜表面上に滲む場合があり、また、基材に対する水性インクの密着性が劣る場合がある。界面活性剤の含有量は、水性インク全体100重量部に対して、0.5重量部以上であることがより好ましく、3.0重量部以下であることがより好ましい。
(有機溶媒)
有機溶媒は、水性インクの乾燥性および基材に対する濡れ性などを調整する成分である。
有機溶媒は、水性インクの乾燥性および基材に対する濡れ性などを調整する成分である。
有機溶媒としては、樹脂粒子を膨潤させにくい有機溶媒であることが好ましい。このような有機溶媒としては、多価アルコール類および/またはピロリドン誘導体であることが好ましい。多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、3,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−チオジエタノールなどが挙げられる。ピロリドン誘導体としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。多価アルコール類およびピロリドン誘導体以外の有機溶媒としては、例えば、3−ピリジルカルビノール、スルホランなどが挙げられる。これらの中でも、SP値(溶解パラメータ)が11以上の多価アルコール類であることがより好ましく、また沸点および安全性も考慮すると、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3プロパンジオール、エチレングリコール、および、プロピレングリコールから選択される1種以上であることがさらに好ましい。
有機溶媒は、樹脂粒子の造膜性を向上させる成分を含まないことが望ましい。樹脂粒子の造膜性を向上させる有機溶媒としては、例えば、グリコールエーテル系溶媒、グリコールエーテルアセテート系溶媒などが挙げられる。
有機溶媒の含有量は、水性インク全体100重量部に対して、5〜40重量部であることが好ましい。有機溶媒の含有量が5重量部未満であると、乾燥速度が速くなりすぎて、吐出安定性が劣る場合がある。一方、有機溶媒の含有量が40重量部を超えると、揮発性有機化合物(VOC)の排出量が多くなり、安全性に問題が生じる場合がある。また、安全性を確保しようとすると、VOC排出用の排気設備が必要となるため、設備コストが上昇する場合がある。有機溶媒の含有量は、水性インク全体100重量部に対して、10重量部以上であることがより好ましく、30重量部以下であることがより好ましい。
(顔料)
顔料としては、従来公知の無機顔料および有機顔料を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種を併用してもよい。
顔料としては、従来公知の無機顔料および有機顔料を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、トリポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機顔料としては、例えば、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリン系等が挙げられる。また、有機顔料としては、酸性、中性または塩基性カーボンからなるカーボンブラック、架橋したアクリル樹脂の中空粒子などを用いることもできる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
顔料の含有量は、水性インク全体100重量部に対して、0.1重量部以上であることが好ましく、0.3重量部以上であることがより好ましい。また、顔料の含有量は、水性インク全体100重量部に対して、15重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましい。
(水)
水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、水道水、井戸水などが挙げられる。これらの中でも、不純物が比較的少なく、かつ、安価に入手できるという観点から、イオン交換水であることが好ましい。
水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、水道水、井戸水などが挙げられる。これらの中でも、不純物が比較的少なく、かつ、安価に入手できるという観点から、イオン交換水であることが好ましい。
水性インクには、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により、その他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤としては、例えば、防カビ剤、キレート剤、pH調整剤、錆止め剤などが挙げられる。
水性インクは、特に限定されるものではないが、例えば、水、反応性二重結合を有する樹脂粒子、顔料、及び必要により、反応性二重結合を有さない樹脂粒子、界面活性剤、有機溶媒、その他の添加剤を、混合攪拌装置等を用いて均一に混合することにより、製造することができる。
このようにして製造された水性インクは、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点から、25℃における粘度が、1〜15mPa・s以下であることが好ましい。なお、水性インクの粘度の測定は、JIS Z 8803に準拠し、R100型粘度計を用いて行うことができる。
水性インクは、20〜40mN/m表面張力であることが好ましい。なお、水性インクの表面張力の測定は、自動表面張力計「DY−300」(商品名、協和科学社製)により行うことができる。
水性インクは、6〜9のpHであることが好ましい。なお、水性インクのpH測定は、パーソナルpHメーター「pH71」(商品名、横河電機社製)により行うことができる。
<反応液>
反応液を構成する成分は以下の通りである。反応液とは、前記水性インク中に含まれる、反応性二重結合を有する樹脂粒子及び顔料を凝集させる成分である。反応液は、少なくとも、水及びアミン化合物を含み、更に有機溶媒及び界面活性剤を含む。
反応液を構成する成分は以下の通りである。反応液とは、前記水性インク中に含まれる、反応性二重結合を有する樹脂粒子及び顔料を凝集させる成分である。反応液は、少なくとも、水及びアミン化合物を含み、更に有機溶媒及び界面活性剤を含む。
(アミン化合物)
アミン化合物は、水性インク中に含まれる反応性二重結合を有する樹脂粒子と反応して架橋構造を形成することで、耐水性及び耐エタノール性を有する被膜を形成する成分である。また、アミン化合物は、水性インク中に含まれる顔料又は反応性二重結合を有する樹脂粒子を凝集させる成分である。
アミン化合物は、水性インク中に含まれる反応性二重結合を有する樹脂粒子と反応して架橋構造を形成することで、耐水性及び耐エタノール性を有する被膜を形成する成分である。また、アミン化合物は、水性インク中に含まれる顔料又は反応性二重結合を有する樹脂粒子を凝集させる成分である。
アミン化合物は、水溶性アミン化合物であることが好ましい。ここで、水溶性とは、水に対して溶解状態になる事と定義する。
水溶性アミン化合物は、架橋構造を形成する観点から好ましくは、1分子当たり2個以上のアミノ基を有するものである。水溶性アミン化合物は、反応性を向上させる観点から好ましくは、1級アミノ基を有するものである。水溶性アミン化合物は、好ましくは高分子化合物である。
水溶性アミン化合物は、1000以上、好ましくは3000〜30000の分子量を有する。水溶性アミン化合物の分子量が3000未満であると、充分な凝集効果が得られず、滲み止めの役割を果たすことができなくなることがあり、30000を超えると、粘度の上昇などにより吐出不良を起こしやすくなる。水溶性アミン化合物の分子量は、より好ましくは8000〜15000である。
水溶性アミン化合物の具体例としては、例えば、ジメチルアミン−エピクロルヒドリン共重合物、アクリルアミド−ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアリルアミン、ジジアンジアミド−ジエチレントリアミン共重合物、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
水溶性アミン化合物は、反応性や、分子量選択のしやすさの観点から、好ましくは、ポリアリルアミンである。また、水溶性アミン化合物は、反応性二重結合との反応点を増やす観点から、アミン価が200〜1100、好ましくは400〜1050、より好ましくは500〜1000である。
水溶性アミン化合物は、反応性二重結合との反応性の観点から1級、2級アミンであり、好ましくは1級アミンである。より具体的には、アミン化合物は、ポリアリルアミン及び、またはポリエチレンイミンである事が好ましい。
水溶性アミン化合物の含有量は、反応液全体100重量部に対して、1〜10重量部である。水溶性アミン化合物の含有量が1重量部未満であると、充分な凝集力、及び反応性二重結合を有する樹脂粒子との架橋反応が進まず、滲み止め、耐水性の向上が不十分となり、10重量部を超えるとインクジェット用としての適性粘度を外れやすくなり吐出不良を起こす。水溶性アミン化合物の含有量は、反応液全体100重量部に対して、好ましくは2〜8重量部、より好ましくは3〜5重量部である。
水性インクの反応性二重結合を有する樹脂粒子の配合比と反応液の水溶性アミン化合物の配合比の比率は50:100〜100:50、好ましくは70:100〜100:70、より好ましくは80:100〜100:80である。この範囲から外れると未反応の反応性二重結合を有する樹脂粒子、または水溶性アミン化合物の存在が多くなり、耐水性などの悪化を起こす。
(界面活性剤)
界面活性剤は、記録媒体に対する濡れ性を向上させる成分である。
界面活性剤は、記録媒体に対する濡れ性を向上させる成分である。
界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類などが挙げられる。
シリコン系界面活性剤は、ポリシロキサン系化合物であることが好ましい。ポリシロキサン系化合物としては、例えば、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。具体的には、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、反応液全体100重量部に対して、0.1〜5.0重量部であることが好ましい。界面活性剤の含有量が0.1重量部未満であると、基材に対して反応液が充分に濡れ広がらない場合がある。一方、界面活性剤の含有量が5.0重量部を超えると、過剰な界面活性剤が塗膜表面上に滲む場合があり、また、基材に対する反応液の密着性が劣る場合がある。界面活性剤の含有量は、反応液全体100重量部に対して、0.5重量部以上であることがより好ましく、3.0重量部以下であることがより好ましい。
(有機溶媒)
有機溶媒は、反応液の乾燥性および基材に対する濡れ性などを調整する成分である。
有機溶媒は、反応液の乾燥性および基材に対する濡れ性などを調整する成分である。
有機溶媒としては、多価アルコール類および/またはピロリドン誘導体であることが好ましい。多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、3,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−チオジエタノールなどが挙げられる。ピロリドン誘導体としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。多価アルコール類およびピロリドン誘導体以外の有機溶媒としては、グリコールエーテル系および/またはグリコールエーテルアセテート系溶媒が挙げられる。これらの中でも、樹脂粒子の造膜性を向上させる観点から、グリコールエーテル系、グリコールエテーテルアセトート系から選択される1種以上を含むことがさらに好ましい。
(グリコールエーテル系溶媒および/またはグリコールエーテルアセテート系溶媒)
グリコールエーテル系溶媒および/またはグリコールエーテルアセテート系溶媒は、樹脂粒子の造膜性を向上させ、かつ、耐擦過性および基材との密着性に優れた画像を形成させる成分である。
グリコールエーテル系溶媒および/またはグリコールエーテルアセテート系溶媒は、樹脂粒子の造膜性を向上させ、かつ、耐擦過性および基材との密着性に優れた画像を形成させる成分である。
グリコールエーテル系溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。グリコールエーテルアセテート系溶媒としては、例えば、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、沸点の観点から、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、および、トリプロピレングリコールジメチルエーテルから選択される1種以上であることが好ましい。
グリコールエーテル系溶媒および/またはグリコールエーテルアセテート系溶媒の含有量は、反応液全体100重量部に対して、合計1〜40重量部であることが好ましい。グリコールエーテル系溶媒および/またはグリコールエーテルアセテート系溶媒の含有量の合計が1重量部未満であると、樹脂粒子の造膜効果を充分に得られない場合がある。一方、グリコールエーテル系溶媒および/またはグリコールエーテルアセテート系溶媒の含有量の合計が40重量部を超えると、揮発性有機化合物(VOC)の排出量が多くなり、安全性に問題が生じる場合がある。また、安全性を確保しようとすると、VOC排出用の排気設備が必要となるため、設備コストが上昇する場合がある。グリコールエーテル系溶媒および/またはグリコールエーテルアセテート系溶媒の含有量は、反応液全体100重量部に対して、合計5重量部以上であることがより好ましく、合計20重量部以下であることがより好ましい。
(水)
水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、水道水、井戸水などが挙げられる。これらの中でも、不純物が比較的少なく、かつ、安価に入手できるという観点から、イオン交換水であることが好ましい。
水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、水道水、井戸水などが挙げられる。これらの中でも、不純物が比較的少なく、かつ、安価に入手できるという観点から、イオン交換水であることが好ましい。
反応液には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により、その他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤としては、例えば、防カビ剤、キレート剤、pH調整剤、錆止め剤などが挙げられる。
反応液は、特に限定されるものではないが、例えば、水、水溶性アミン化合物、及び必要により、グリコールエーテル系溶媒および/またはグリコールエーテルアセテート系溶媒、その他の添加剤を、混合攪拌装置等を用いて均一に混合することにより、製造することができる。
このようにして製造された反応液は、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点から、25℃における粘度が、1〜15mPa・s以下であることが好ましい。なお、反応液の粘度の測定は、JIS Z 8803に準拠し、R100型粘度計を用いて行うことができる。
反応液は、20〜40mN/m表面張力であることが好ましい。なお、反応液の表面張力の測定は、自動表面張力計「DY−300」(商品名、協和科学社製)により行うことができる。
反応液は、9〜11のpHであることが好ましい。なお、反応液のpH測定は、パーソナルpHメーター「pH71」(商品名、横河電機社製)により行うことができる。
2.インクジェット記録方法
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記インクジェット用インクセットを用いて、記録媒体上に画像を形成する方法であって、水性インクおよび反応液を、記録媒体上で接触させるように、インクジェットヘッドから吐出する。これにより、記録媒体上に画像を形成することができる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記インクジェット用インクセットを用いて、記録媒体上に画像を形成する方法であって、水性インクおよび反応液を、記録媒体上で接触させるように、インクジェットヘッドから吐出する。これにより、記録媒体上に画像を形成することができる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法では、水性インクおよび反応液が充填されたインクジェットヘッドを、記録媒体に対して相対的な位置に移動させながら、インクジェットヘッドから水性インクおよび反応液を記録媒体に吐出させる。水性インクおよび反応液は、インクジェットヘッドから同時に吐出させてもよいし、反応液を吐出後、水性インクを吐出させてもよい。
本実施形態に係るインクジェット記録方法では、20〜40℃の温度範囲において、インクジェットヘッドから水性インクおよび反応液を吐出させることが好ましい。また、水性インクおよび反応液を吐出させる時の記録媒体は、例えば30〜80℃、特に40〜70℃に加熱されていることが好ましい。さらに、反応液の単位面積当たりの滴下量は、水性インクの滴下量に対して、10〜60wt%であることが好ましい。
記録媒体は、非吸収性基材または低吸収性基材から選択されてもよい。非吸収性基材としては、例えば、インクジェット印刷用に表面処理をしていない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、ならびに、紙などの基材上にプラスチックがコーティングされているもの、および、プラスチックフィルムが接着されているものなどが挙げられる。なお、プラスチックとは、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。低吸収性基材としては、アート紙、コート紙、マット紙などの印刷本紙が挙げられる。他にも、金属、ガラスなどの非吸収性基材または低吸収性基材を用いてもよい。
以下、本実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<水性インク>
(水性インクの調製)
表1及び表2に示す配合で、反応性二重結合を有する樹脂粒子である(メタ)アクリレート樹脂粒子、反応性二重結合を有さない樹脂粒子、界面活性剤、顔料、有機溶媒および水を、混合攪拌装置を用いて均一に混合した。その後、グラスフィルター(桐山製作所製)を用いて、この混合物を吸引濾過することにより、A1〜A8の水性インクを調製した。
(水性インクの調製)
表1及び表2に示す配合で、反応性二重結合を有する樹脂粒子である(メタ)アクリレート樹脂粒子、反応性二重結合を有さない樹脂粒子、界面活性剤、顔料、有機溶媒および水を、混合攪拌装置を用いて均一に混合した。その後、グラスフィルター(桐山製作所製)を用いて、この混合物を吸引濾過することにより、A1〜A8の水性インクを調製した。
UCECOAT7571:脂肪族ポリウレタンアクリレート分散液(ダイセルオルネクス社製)
UCECOAT7655:脂肪族ポリウレタンアクリレート分散液(ダイセルオルネクス社製)
モビニール6800:アクリルエマルション(ジャパンコーティングレジン社製)
MD−2000:ポリエステルエマルション(東洋紡社製)
BYK348:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー社製)
CAB−O−JET 352K:カーボンブラック(CABOT社製)
UCECOAT7655:脂肪族ポリウレタンアクリレート分散液(ダイセルオルネクス社製)
モビニール6800:アクリルエマルション(ジャパンコーティングレジン社製)
MD−2000:ポリエステルエマルション(東洋紡社製)
BYK348:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー社製)
CAB−O−JET 352K:カーボンブラック(CABOT社製)
<反応液>
(反応液の調製)
表3に示す配合で、水溶性アミン化合物、水、有機溶媒および界面活性剤を、混合攪拌装置を用いて均一に混合し、Bの反応液を調製した。
(反応液の調製)
表3に示す配合で、水溶性アミン化合物、水、有機溶媒および界面活性剤を、混合攪拌装置を用いて均一に混合し、Bの反応液を調製した。
PAA−15C:ポリアリルアミン(アミン価950mgKOH/g、ニットーボーメディカル社製)
BYK348:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー社製)
BYK348:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー社製)
<インクセット>
表4に示すように、A1〜A8の各水性インク、およびBの反応液を用いて、実施例1〜5および比較例1〜4のインクセットを作製した。実施例1〜5および比較例1〜4のインクセットを備えたプリンター「UJF−3042HG」(商品名、ミマキエンジニアリング社製)を用いて、PETメディア「QT−92」(商品名)の未処理面(易接着層無し)上に、水性インク100%、反応液40%の印刷濃度で解像度720×600dpi、パス回数4回にて、120mm×30mmサイズの画像サンプルを形成した。画像サンプルは、反応液の後に水性インクを印刷し、その後、乾燥機「FV−320」(商品名、アドバンテック東洋社製)を用いて、80℃にて10minの乾燥を行うことにより、形成した。なお、ステージにはラバーヒーターを設置し温度は40℃とした。各画像サンプルの塗膜特性の評価は、以下のようにして行った。
表4に示すように、A1〜A8の各水性インク、およびBの反応液を用いて、実施例1〜5および比較例1〜4のインクセットを作製した。実施例1〜5および比較例1〜4のインクセットを備えたプリンター「UJF−3042HG」(商品名、ミマキエンジニアリング社製)を用いて、PETメディア「QT−92」(商品名)の未処理面(易接着層無し)上に、水性インク100%、反応液40%の印刷濃度で解像度720×600dpi、パス回数4回にて、120mm×30mmサイズの画像サンプルを形成した。画像サンプルは、反応液の後に水性インクを印刷し、その後、乾燥機「FV−320」(商品名、アドバンテック東洋社製)を用いて、80℃にて10minの乾燥を行うことにより、形成した。なお、ステージにはラバーヒーターを設置し温度は40℃とした。各画像サンプルの塗膜特性の評価は、以下のようにして行った。
(耐擦過性)
上記のようにして得た印刷塗膜上に綿棒を10往復させた後、塗膜の外観を以下の基準に従い評価して、塗膜の耐擦過性を評価した。
上記のようにして得た印刷塗膜上に綿棒を10往復させた後、塗膜の外観を以下の基準に従い評価して、塗膜の耐擦過性を評価した。
○:印刷塗膜に変化は見られない
×:印刷塗膜の剥がれが見られた
×:印刷塗膜の剥がれが見られた
(耐水性)
上記のようにして得た印刷塗膜上に水を染み込ませた綿棒を10往復させた後、塗膜の外観を以下の基準に従い評価して、塗膜の耐水性を評価した。
上記のようにして得た印刷塗膜上に水を染み込ませた綿棒を10往復させた後、塗膜の外観を以下の基準に従い評価して、塗膜の耐水性を評価した。
○:印刷塗膜に変化は見られない
×:印刷塗膜の滲み、または、剥がれが見られた
×:印刷塗膜の滲み、または、剥がれが見られた
(耐エタノール性)
エタノール濃度が10%刻みで10〜100%になる比率でエタノールと水を混合した10種類の混合液を調製した。上記のようにして得た印刷塗膜上に、上記各混合液を染み込ませた綿棒を10往復させた後、塗膜の外観に変化が無く、綿棒に印刷物の付着も無いエタノールの濃度の最大値を耐エタノール性の値として評価した。耐エタノール性は塗膜の耐久性の観点から20%以上、より好ましくは30%以上であることが望ましい。
エタノール濃度が10%刻みで10〜100%になる比率でエタノールと水を混合した10種類の混合液を調製した。上記のようにして得た印刷塗膜上に、上記各混合液を染み込ませた綿棒を10往復させた後、塗膜の外観に変化が無く、綿棒に印刷物の付着も無いエタノールの濃度の最大値を耐エタノール性の値として評価した。耐エタノール性は塗膜の耐久性の観点から20%以上、より好ましくは30%以上であることが望ましい。
(密着性)
各画像サンプルの印刷面に、粘着シート[セロテープ(登録商標)(ニチバン社製)]の粘着層側の面を貼り付け、引き剥がす操作を行った。密着性は、下記基準により評価した。
各画像サンプルの印刷面に、粘着シート[セロテープ(登録商標)(ニチバン社製)]の粘着層側の面を貼り付け、引き剥がす操作を行った。密着性は、下記基準により評価した。
5:印刷物が全く剥離しなかった。
4:印刷物の1割未満が剥離した。
3:印刷物の1割以上4割未満が剥離した。
2:印刷物の4割以上9割未満が剥離した。
1:印刷物の9割以上が剥離した。
4:印刷物の1割未満が剥離した。
3:印刷物の1割以上4割未満が剥離した。
2:印刷物の4割以上9割未満が剥離した。
1:印刷物の9割以上が剥離した。
表4の結果から分かるように、本発明の要件をすべて満たす実施例1〜5のインクセットは、作成された画像の耐エタノール性が良好であった。印刷画像が耐エタノール性に優れていることは、耐水性に優れていることを意味する。
本発明のインクセットは、環境に与える負荷が少ない水性インクであるにも拘わらず、耐水性に優れた画像を形成することができる。よって、本発明のインクセットは、インクジェット用のインクセットとして産業上有用である。
Claims (10)
- 水性インクと反応液とを有するインクジェット用インクセットであって、
前記水性インクは、水、顔料及び反応性二重結合を有する樹脂粒子を含み、
前記反応液は、水及び求核反応を起こす基を有する化合物を含む、
インクジェット用インクセット。 - 前記求核反応を起こす基を有する化合物は、アミン化合物である請求項1に記載のインクジェット用インクセット。
- 前記アミン化合物は、1000以上の分子量を有する1級アミンである請求項2に記載のインクジェット用インクセット。
- 前記アミン化合物は、ポリアリルアミン及びポリエチレンイミンから成る群から選択される少なくとも一種である請求項2又は3に記載のインクジェット用インクセット。
- 前記反応性二重結合がアクリル基、アクリロイル基、アクリルアミド基及びN−ビニル基から成る群から選択される少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット用インクセット。
- 前記水性インクは、反応性二重結合を有さない樹脂粒子、有機溶媒及び界面活性剤を更に含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット用インクセット。
- 前記反応液にグリコールエーテル系又はグリコールエーテルアセテート系の有機溶剤を更に含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット用インクセット。
- 非吸収性基材または低吸収性基材上に画像を形成する用途に使用する請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット用インクセット。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット用インクセットを用いて、記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録方法であって、
水性インクおよび反応液を、前記記録媒体上で接触させるように、インクジェットヘッドから吐出する、インクジェット記録方法。 - 記録媒体と、該記録媒体の表面上に請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット用インクセットから形成された画像とを、有する印刷物。
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- 2019-03-06 WO PCT/JP2019/008907 patent/WO2020054106A1/ja active Application Filing
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022158339A1 (ja) * | 2021-01-21 | 2022-07-28 | コニカミノルタ株式会社 | インクジェット記録方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2020054106A1 (ja) | 2020-03-19 |
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