JP2020038849A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Yutaka Matsumura
友多佳 松村
成幸 田中
Nariyuki Tanaka
成幸 田中
太郎 藤田
Taro Fujita
太郎 藤田
孝哉 小堀
Takaya Kobori
孝哉 小堀
石川 雅之
Masayuki Ishikawa
石川  雅之
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Abstract

【課題】低温のみならず、室温以上の温度域においても耐屈曲性に優れる多芯ケーブル用コア電線及びそれを用いた多芯ケーブルの提供を目的とする。【解決手段】本開示の一態様に係る多芯ケーブル用コア電線は、複数の素線を撚り合わせた導体と、この導体の外周を被覆する絶縁層とを備える多芯ケーブル用コア電線であって、上記絶縁層の主成分がポリエチレン系樹脂であり、絶縁層の25℃から−35℃までの線膨張係数C1と、−35℃での弾性率E1との積C1×E1が0.01MPaK−1以上0.90MPaK−1以下であり、上記ポリエチレン系樹脂の融点が80℃以上130℃以下である。【選択図】なし

Description

本開示は、多芯ケーブル用コア電線及び多芯ケーブルに関する。
本出願は、2018年3月5日出願の日本出願第2018−039137号に基づく優先権を主張し、上記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
電動パーキングブレーキ(EPB)用や車輪速センサ用のケーブルなど自動車用複合ケーブルはこれらの車内での取り回しやアクチュエータの駆動等に伴って複雑に屈曲される。そのため、電動パーキングブレーキ用や車輪速センサ用のケーブルなど自動車用複合ケーブルの特性においては、耐屈曲性が重要となる。
また、上記ケーブルは、使用環境によっては0℃以下の低温に晒される場合があり、このような低温下では、絶縁層が収縮して導体を締め付けた状態で屈曲が繰り返されることとなり、導体の破断により通電不能となるおそれがある。そこで、従来技術においては、低温及び室温以上の温度域での耐屈曲性の改善するために、主成分としてエチレンとカルボニル基を有するαオレフィンとの共重合体を含有する絶縁層が提案されている(国際公開第2017/056278号パンフレット参考)。
国際公開第2017/056278号パンフレット
本開示の一態様に係る多芯ケーブル用コア電線は、複数の素線を撚り合わせた導体と、この導体の外周を被覆する絶縁層とを備える多芯ケーブル用コア電線であって、上記絶縁層の主成分がポリエチレン系樹脂であり、絶縁層の25℃から−35℃までの線膨張係数C1と、−35℃での弾性率E1との積C1×E1が0.01MPaK−1以上0.90MPaK−1以下であり、上記ポリエチレン系樹脂の融点が80℃以上130℃以下である。
本開示の第1実施形態に係る多芯ケーブル用コア電線を示す模式的横断面図である。 本開示の第2実施形態に係る多芯ケーブルを示す模式的横断面図である。 本開示の多芯ケーブルの製造装置を示す模式図である。 本開示の第3実施形態に係る多芯ケーブルを示す模式的横断面図である。 実施例での屈曲性試験を説明するための模式図である。
[本開示が解決しようとする課題]
本発明者らは、特に導体が破断しにくくなる室温以上の温度域で屈曲が繰り返される場合においても、絶縁材の摩耗や割れが発生することにより通電の障害が生じるおそれがあることを知見した。このような絶縁材の摩耗や割れは、シース内のコア電線同士、シースとコア電線との接触、紙巻構造の場合における巻紙とコア電線との接触等による摩擦によるものである。また、屈曲が繰り返されて絶縁材の疲労破壊が生じた場合においても、破損箇所から導体が露出して通電の障害が生じるおそれがある。従って低温のみならず、室温以上の温度域においても耐屈曲性の改善が求められる。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、低温のみならず、室温以上の温度域においても耐屈曲性に優れる多芯ケーブル用コア電線及びそれを用いた多芯ケーブルの提供を目的とする。
[本開示の効果]
本開示の一態様に係る多芯ケーブル用コア電線は、低温及び室温以上の温度域での耐屈曲性に優れる。
[本開示の実施形態の説明]
本開示の一態様に係る多芯ケーブル用コア電線は、複数の素線を撚り合わせた導体と、この導体の外周を被覆する絶縁層とを備える多芯ケーブル用コア電線であって、上記絶縁層の主成分がポリエチレン系樹脂であり、絶縁層の25℃から−35℃までの線膨張係数C1と、−35℃での弾性率E1との積C1×E1が0.01MPaK−1以上0.90MPaK−1以下であり、上記ポリエチレン系樹脂の融点が80℃以上130℃以下である。
当該多芯ケーブル用コア電線は、絶縁層の主成分としてポリエチレン系樹脂を用い、絶縁層の線膨張係数と低温での弾性率との積を上記範囲とすることで、低温下において比較的高い耐屈曲性を発揮する。このメカニズムとしては、線膨張係数又は低温及び室温以上の温度域での弾性率の少なくとも一方が比較的小さいことで、低温において絶縁層の収縮による硬化(柔軟性の低下)が抑えられ、低温及び室温以上の温度域での耐屈曲性が高まることによると考えられる。また、ポリエチレン系樹脂の融点が80℃以上130℃以下であることで、使用環境よりも絶縁層の融点が高くなり、室温以上の温度域における絶縁層の耐摩耗性や強度などの機械特性及び屈曲性能を向上できる。従って、当該多芯ケーブルは、低温及び室温以上の温度域で耐摩耗性及び耐屈曲性に優れる。
ここで、「線膨張係数」とは、JIS−K7244−4(1999)に記載の動的機械特性の試験方法に準拠して測定される線膨張率であり、粘弾性測定装置(例えばアイティー計測制御社製「DVA−220」)を用いて、引張モード、−100℃から200℃の温度範囲で、昇温速度5℃/分、周波数10Hz、歪0.05%の条件で、温度変化に対する薄板の寸法変化から算出される値である。「弾性率」とは、JIS−K7244−4(1999)に記載の動的機械特性の試験方法に準拠して測定される値であり、粘弾性測定装置(例えばアイティー計測制御社製「DVA−220」)を用いて、引張モード、−100℃から200℃の温度範囲で、昇温速度5℃/分、周波数10Hz、歪0.05%の条件で測定した貯蔵弾性率の値である。「主成分」とは、絶縁層を構成する物質のうち最も含有率が高いものをいい、好ましくは含有率が50質量%以上であるものをいう。また、屈曲性は、電線又はケーブルを繰り返し屈曲させても導体が断線しない性能を言う。
上記絶縁層の25℃における弾性率E2としては、100MPa以上が好ましい。絶縁層の上記弾性率E2を上記範囲とすることで、耐摩耗性及び屈曲性能を向上できる。
上記絶縁層の25℃から80℃までの線膨張係数C2としては、5.0×10−4−1以下が好ましい。絶縁層の上記線膨張係数C2を上記範囲とすることで、室温以上となった時の膨張によるシース内で絶縁層同士の接触圧を軽減して絶縁層の摩耗を抑制できる。
上記導体の横断面における平均面積としては1.0mm以上3.0mm以下が好ましい。導体の横断面の面積を上記範囲とすることで、当該多芯ケーブル用コア電線を車載用の多芯ケーブルに好適に用いることができる。
上記導体における複数の素線の平均径としては40μm以上100μm以下が好ましく、複数の素線の数としては196本以上2450本以下が好ましい。素線の平均径と数とを上記範囲とすることで、低温及び室温以上の温度域での耐屈曲性の向上効果の発現を促進できる。
上記導体が、複数の素線を撚り合せた撚素線をさらに撚り合せたものであるとよい。このように素線を撚り合せた撚素線をさらに撚り合せた導体(撚撚線)を用いることで、当該多芯ケーブル用コア電線の耐屈曲性の向上効果の発現を促進できる。
本開示の別の態様に係る多芯ケーブルは、複数のコア電線を撚り合わせた芯線と、この芯線の周囲に配設されるシース層とを備える多芯ケーブルであって、上記複数のコア電線の少なくとも1本が上記多芯ケーブル用コア電線である。
当該多芯ケーブルは、芯線を構成するコア電線として、上述の当該多芯ケーブル用コア電線を有するため、低温及び室温以上の温度域での耐屈曲性に優れる。
上記複数のコア電線の少なくとも1本が複数のコア電線を撚り合せたものであるとよい。このように撚コア電線を芯線が含むことで、耐屈曲性を維持しつつ、当該多芯ケーブルの用途を拡張することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態に係る多芯ケーブル用コア電線及び多芯ケーブルついて図面を参照しつつ詳説する。
〔第1実施形態〕
図1の当該多芯ケーブル用コア電線1は、芯線と、この芯線の周囲に配設されるシース層とを備える多芯ケーブルに用いられる絶縁電線であり、撚り合わされて上記芯線を形成する。当該多芯ケーブル用コア電線1は、線状の導体2と、この導体2の外周を被覆する保護層である絶縁層3とを有する。
当該多芯ケーブル用コア電線1の横断面形状は特に限定されないが、例えば円形とされる。当該多芯ケーブル用コア電線1の横断面形状を円形とする場合、その平均外径は用途により異なるが、例えば1mm以上10mm以下とできる。上記多芯ケーブル用コア電線の横断面の平均外径の測定方法としては特に限定されないが、例えば多芯ケーブル用コア電線の任意の3点の外径を、ノギスを用いて測定したときの平均値を平均外径としてもよい。
<導体>
導体2は、複数の素線を一定のピッチで撚り合せて構成される。この素線としては、特に限定されないが、例えば銅線、銅合金線、アルミニウム線、アルミニウム合金線等が挙げられる。また、導体2は、複数の素線を撚り合せた撚素線を用い、複数の撚素線をさらに撚り合せた撚撚線であるとよい。撚り合せる撚素線は同じ本数の素線を撚ったものが好ましい。
素線の数は多芯ケーブルの用途や素線の径等にあわせて適宜設計されるが、下限としては、196本が好ましく、294本がより好ましい。一方、素線の数の上限としては、2450本が好ましく、2000本がより好ましい。また、撚撚線の例としては、28本の素線を撚り合せた7本の撚素線をさらに撚り合せた196本の素線を有する撚撚線、42本の素線を撚り合せた7本の撚素線をさらに撚り合せた294本の素線を有する撚撚線、20本の素線を撚り合せた19本の撚素線をさらに撚り合せた380本の素線を有する撚撚線、32本の素線を撚り合せた7本の撚素線をさらに撚り合せた224本の素線を有する7本の撚撚線をさらに撚り合せた1568本の素線を有する撚撚撚線、50本の素線を撚り合せた7本の撚素線をさらに撚り合せた350本の素線を有する7本の撚撚線をさらに撚り合せた2450本の素線を有する撚撚撚線等を挙げることができる。
素線の平均径の下限としては、40μmが好ましく、50μmがより好ましく、60μmがさらに好ましい。一方、素線の平均径の上限としては、100μmが好ましく、90μmがより好ましい。素線の平均径が上記下限より小さい、又は上記上限を超えると、当該多芯ケーブル用コア電線1の耐屈曲性向上効果が十分に発揮されないおそれがある。上記素線の平均径の測定方法としては特に限定されないが、例えば素線の任意の3点の平均径を、両端が円柱のマイクロメータを用いて測定したときの平均値を平均径としてもよい。
導体2の横断面における平均面積(素線間の空隙も含む)の下限としては、1.0mmが好ましく、1.5mmがより好ましく、1.8mmがさらに好ましく、2.0mmがさらに好ましい。一方、導体2の横断面における平均面積の上限としては、3.0mmが好ましく、2.8mmがより好ましい。導体2の横断面における平均面積を上記範囲とすることで、当該多芯ケーブル用コア電線1を車載用の多芯ケーブルに好適に用いることができる。上記導体の横断面における平均面積の算出方法としては特に限定されないが、例えば導体の任意の3点を、導体の撚り構造を押しつぶさないように注意しながらノギスを用いて外径を測定したときの平均値を平均外径とし、この平均外径から算出される面積を平均面積としてもよい。
<絶縁層>
絶縁層3は、合成樹脂を主成分とする組成物により形成され、導体2の外周に積層されることで導体2を被覆する。絶縁層3の平均厚みとしては、特に限定されないが、例えば0.1mm以上5mm以下とされる。ここで「平均厚み」とは、任意の十点において測定した厚みの平均値をいう。なお、以下において他の部材等に対して「平均厚み」という場合にも同様に定義される。
絶縁層3の主成分は、ポリエチレン系樹脂である。ポリエチレン系樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂が挙げられる。また、エチレン−αオレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体(EBA)等の樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、これらの中でも低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。ポリエチレン系樹脂は、これらの1種又は2種以上を用いることができる。2種以上のポリエチレン系樹脂を混合して用いる場合は、2種以上のポリエチレン系樹脂全体が絶縁層3の主成分を構成していればよい。2種以上のポリエチレン系樹脂を用いる場合は、低温と高温での弾性率等の特性を両立させるため、HDPE及びLDPE、HDPE及びLLDPE、HDPE及びEVA等の組み合わせで用いることが好ましい。この場合、ポリエチレン系樹脂の合計含有量に対するHDPEの含有割合としては、10質量%以上50質量%以下が好ましい。また、LDPE及びEVA、LLDPE及びEVA等の組み合わせで用いることも同様に好ましい。この場合、ポリエチレン系樹脂の合計含有量に対するEVAの含有割合としては、10質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂の融点の下限としては、80℃であり、85℃が好ましく、90℃がより好ましい。一方、上記融点の上限としては、130℃であり、120℃が好ましく、110℃がより好ましい。上記融点が上記下限より小さいと、使用環境よりも融点が低くなり、室温以上の温度域での耐摩耗性、強度等の十分な機械特性が得られないおそれがある。逆に、上記融点が上記上限を超えると、疲労破壊しやすくなり、割れが生じて十分な屈曲性能が得られないおそれがある。なお、多芯ケーブル用コア電線においては、2種以上のポリエチレン系樹脂を混合して用いる場合は、その混合物の融点が上記融点の範囲内であればよい。例えば、2種のポリエチレン系樹脂を混合する場合、一方のポリエチレン系樹脂の融点が上記融点の範囲内であるが、他方のポリエチレン系樹脂の融点が130℃超である場合でも、これらの混合物の融点が上記融点の範囲内であればよい。この場合、上記融点の範囲内である一方のポリエチレン系樹脂が、全ポリエチレン系樹脂における主成分(50質量%以上)であれば、その混合物の融点が上記融点の範囲内にあるとすることができる。
上記ポリエチレン系樹脂の含有量の下限としては、50質量%が好ましく、70質量%がより好ましい。一方、上記ポリエチレン系樹脂含有量の上限としては、100質量%が好ましく、90質量%がより好ましい。上記ポリエチレン系樹脂含有量が上記下限より小さいと、低温及び室温以上の温度域での耐屈曲性向上効果が不十分となるおそれがある。
絶縁層3の25℃から−35℃までの線膨張係数C1と−35℃での弾性率E1との積C1×E1の下限としては、0.01MPaK−1である。一方、上記積C1×E1の上限としては、0.9MPaK−1であり、0.8MPaK−1が好ましく、0.7MPaK−1がより好ましい。上記積C1×E1が上記下限より小さいと、絶縁層3の強度等の機械的特性が不十分となるおそれがある。逆に、上記積C1×E1が上記上限を超えると、低温で絶縁層3が変形し難くなるため、当該多芯ケーブル用コア電線1の低温の耐屈曲性が低下するおそれがある。なお、C1×E1は、ポリエチレン系樹脂の種類、含有割合等により調整することができる。
絶縁層3の25℃から−35℃までの線膨張係数C1の下限としては、1.0×10−5−1が好ましく、1.0×10−4−1がより好ましい。一方、絶縁層3の線膨張係数C1の上限としては、2.5×10−4−1が好ましく、2.0×10−4−1がより好ましい。絶縁層3の線膨張係数C1が上記下限より小さいと、絶縁層3の強度等の機械的特性が不十分となるおそれがある。逆に、絶縁層3の線膨張係数C1が上記上限を超えると、低温で絶縁層3が変形し難くなるため、当該多芯ケーブル用コア電線1の低温での耐屈曲性が低下するおそれがある。
絶縁層3の−35℃での弾性率E1の下限としては、1000MPaが好ましく、2000MPaがより好ましい。一方、絶縁層3の弾性率E1の上限としては、3500MPaが好ましく、3000MPaがより好ましい。絶縁層3の弾性率E1が上記下限より小さいと、絶縁層3の強度等の機械的特性が不十分となるおそれがある。逆に、絶縁層3の弾性率E1が上記上限を超えると、低温で絶縁層3が変形し難くなるため、当該多芯ケーブル用コア電線1の低温での耐屈曲性が低下するおそれがある。
絶縁層3の25℃から80℃までの線膨張係数C2の下限としては、1.0×10−4−1が好ましく、2.0×10−4−1がより好ましい。一方、絶縁層3の線膨張係数C1の上限としては、5.0×10−4−1が好ましく、4.5×10−4−1がより好ましい。絶縁層3の線膨張係数C2が上記下限より小さいと、室温以上での導体の締め付けが緩和されにくく、導体の十分な屈曲性能が得られないおそれがある。逆に、絶縁層3の線膨張係数C2が上記上限を超えると、室温以上となった時の膨張により、シース内で絶縁同士の接触圧が高まって絶縁材が摩耗することにより、導体が露出して通電の障害の原因となるおそれがある。
絶縁層3の25℃での弾性率E2の下限としては、100MPaが好ましく、200MPaがより好ましい。一方、絶縁層3の弾性率E2の上限としては、1000MPaが好ましく、800MPaがより好ましい。絶縁層3の弾性率E2が上記下限より小さいと、耐摩耗性が悪く、十分な屈曲性能を得られないおそれがある。逆に、絶縁層3の弾性率E2が上記上限を超えると、ケーブルの曲げ剛性が大きくなり、導体の十分な屈曲性能が得られないおそれがある。
絶縁層3の80℃での弾性率E3の下限としては、50MPaが好ましく、100MPaがより好ましい。一方、絶縁層3の弾性率E3の上限としては、300MPaが好ましく、200MPaがより好ましい。絶縁層3の弾性率E3が上記下限より小さいと、耐摩耗性が悪く、十分な屈曲性能を得られないおそれがある。逆に、絶縁層3の弾性率E3が上記上限を超えると、ケーブルの曲げ剛性が大きくなり、導体の十分な屈曲性能が得られないおそれがある。
絶縁層3は、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、反射付与剤、隠蔽剤、加工安定剤、可塑剤等の添加剤を含有していてもよい。また、絶縁層3は、上記ポリエチレン系樹脂以外のその他の樹脂を含有してもよい。
その他の樹脂の含有量の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。また、絶縁層3は、その他の樹脂を実質的に含有しなくてもよい。
上記難燃剤としては、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤、金属水酸化物、窒素系難燃剤、リン系難燃剤等のノンハロゲン系難燃剤などが挙げられる。難燃剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
臭素系難燃剤としては、例えばデカブロモジフェニルエタン等が挙げられる。塩素系難燃剤としては、例えば塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェノール、パークロルペンタシクロデカン等が挙げられる。金属水酸化物としては、例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。窒素系難燃剤としては、例えばメラミンシアヌレート、トリアジン、イソシアヌレート、尿素、グアニジン等が挙げられる。リン系難燃剤としては、例えばホスフィン酸金属塩、ホスファフェナントレン、リン酸メラミン、リン酸アンモニウム、リン酸エステル、ポリホスファゼン等が挙げられる。
絶縁層3における難燃剤の含有量の下限としては、樹脂成分100質量部に対し、10質量部が好ましく、50質量部がより好ましい。一方、難燃剤の含有量の上限としては、200質量部が好ましく、130質量部がより好ましい。難燃剤の含有量が上記下限より小さいと、難燃効果を十分に付与できないおそれがある。逆に、難燃剤の含有量が上記上限を超えると、絶縁層3の押出成型性を損なうおそれ、及び伸びや引張強さ等の機械特性を損なうおそれがある。
絶縁層3は、樹脂成分が架橋されていることが好ましい。絶縁層3の樹脂成分を架橋する方法としては、電離放射線を照射する方法、有機過酸化物等の熱架橋剤を用いる方法、シランカップリング剤を添加してシラングラフト反応をさせる方法等が挙げられる。
<多芯ケーブル用コア電線の製造方法>
当該多芯ケーブル用コア電線1は、複数の素線を撚り合せる工程(撚り合せ工程)と、複数の素線を撚り合せた導体2の外周を被覆する絶縁層3を形成する工程(絶縁層形成工程)とを主に備える製造方法により得ることができる。
導体2の外周への絶縁層3の被覆方法としては、例えば絶縁層3を形成する組成物を導体2外周へ押出す方法が挙げられる。
また、当該多芯ケーブル用コア電線1の製造方法では、絶縁層3の樹脂成分を架橋する工程(架橋工程)をさらに備えるとよい。この架橋工程は、絶縁層3を形成する組成物の導体2への被覆前に行ってもよく、被覆後(絶縁層3の形成後)に行ってもよい。
上記架橋は、組成物への電離放射線の照射により行うことができる。電離放射線としては、例えばγ線、電子線、X線、中性子線、高エネルギーイオン線等を用いることができる。また、電離放射線の照射線量の下限としては、10kGyが好ましく、30kGyがより好ましい。一方、電離放射線の照射線量の上限としては、300kGyが好ましく、240kGyがより好ましい。照射線量が上記下限より小さいと、架橋反応が十分進行しないおそれがある。逆に、照射線量が上記上限を超えると、樹脂成分の分解が生じるおそれがある。
〔利点〕
当該多芯ケーブル用コア電線1は、絶縁性を維持しつつ低温及び室温以上の温度域での耐屈曲性が高められる。
〔第2実施形態〕
図2に示す多芯ケーブル10は、複数の図1の当該多芯ケーブル用コア電線1を撚り合せた芯線4と、この芯線4の周囲に配設されるシース層5とを備える多芯ケーブルである。上記シース層5は、内側シース層5a(介在)と外側シース層5b(外被)とを有する。当該多芯ケーブル10は、電動パーキングブレーキのブレーキキャリパーを駆動するモータに電気信号を送信するためのケーブルとして好適に使用できる。
当該多芯ケーブル10の外径は、用途により適宜設計されるが、外径の下限としては、6mmが好ましく、8mmがより好ましい。一方、多芯ケーブル10の外径の上限としては、16mmが好ましく、14mmがより好ましく、12mmがさらに好ましく、10mmが特に好ましい。
<芯線>
芯線4は、2本の同径の当該多芯ケーブル用コア電線1の対撚りにより構成される。この多芯ケーブル用コア電線1は、上述のように導体2及び絶縁層3を有する。
<シース層>
シース層5は、芯線4の外側に積層される内側シース層5aと、内側シース層5aの外周に積層される外側シース層5bとの二層構造である。
内側シース層5aの主成分としては、柔軟性を有する合成樹脂であれば特に限定されず、例えばポリエチレンやEVA等のポリオレフィン、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。これらは2種以上を混合して用いてもよい。
内側シース層5aの最小厚さ(芯線4と内側シース層5aの外周との最小距離)の下限としては、0.3mmが好ましく、0.4mmがより好ましい。一方、内側シース層5aの最小厚さの上限としては、0.9mmが好ましく、0.8mmがより好ましい。また、内側シース層5aの外径の下限としては、6.0mmが好ましく、7.3mmがより好ましい。一方、内側シース層5aの外径の上限としては、10mmが好ましく、9.3mmがより好ましい。
外側シース層5bの主成分としては、難燃性及び耐摩耗性に優れた合成樹脂であれば特に限定されず、例えばポリウレタン等が挙げられる。
外側シース層5bの平均厚さとしては、0.3mm以上0.7mm以下が好ましい。
内側シース層5a及び外側シース層5bは、それぞれ樹脂成分が架橋されていることが好ましい。内側シース層5a及び外側シース層5bの架橋方法は、絶縁層3の架橋方法と同様とすることができる。
また、内側シース層5a及び外側シース層5bは、絶縁層3で例示した添加剤を含有してもよい。
なお、シース層5と芯線4との間に抑巻部材として、紙等のテープ部材を巻き付けてもよい。
<多芯ケーブルの製造方法>
当該多芯ケーブル10は、複数の多芯ケーブル用コア電線1を撚り合せる工程(撚り合せ工程)と、複数の多芯ケーブル用コア電線1を撚り合せた芯線4の外側にシース層を被覆する工程(シース層被覆工程)とを備える製造方法により得ることができる。
上記多芯ケーブルの製造方法は、図3に示す多芯ケーブル製造装置を用いて行うことができる。この多芯ケーブル製造装置は、複数のコア電線サプライリール102と、撚り合せ部103と、内側シース層被覆部104と、外側シース層被覆部105と、冷却部106と、ケーブル巻付リール107とを主に備える。
(撚り合せ工程)
撚り合せ工程では、複数のコア電線サプライリール102に巻き付けられた多芯ケーブル用コア電線1をそれぞれ撚り合せ部103に供給し、撚り合せ部103で複数の多芯ケーブル用コア電線1を撚り合せて芯線4を形成する。
(シース層被覆工程)
シース層被覆工程では、内側シース層被覆部104により、撚り合せ部103で形成された芯線4の外側に貯留部104aに貯留された内側シース層形成用の樹脂組成物を押し出す。これにより、芯線4の外側に内側シース層5aが被覆される。
内側シース層5aの被覆後、外側シース層被覆部105により、内側シース層5aの外周に貯留部105aに貯留された外側シース層形成用の樹脂組成物を押し出す。これにより、内側シース層5aの外周に外側シース層5bが被覆される。
外側シース層5bの被覆後、芯線4を冷却部106で冷却することでシース層5が硬化し、当該多芯ケーブル10が得られる。この当該多芯ケーブル10は、ケーブル巻付リール107で巻取回収される。
当該多芯ケーブルの製造方法は、シース層5の樹脂成分を架橋する工程(架橋工程)をさらに備えるとよい。この架橋工程は、シース層5を形成する組成物の芯線4への被覆前に行ってもよく、被覆後(シース層5の形成後)に行ってもよい。
上記架橋は、多芯ケーブル用コア電線1の絶縁層3と同様の組成物への電離放射線の照射により行うことができる。電離放射線の照射線量の下限としては、50kGyが好ましく、100kGyがより好ましい。一方、電離放射線の照射線量の上限としては、300kGyが好ましく、240kGyがより好ましい。照射線量が上記下限より小さいと、架橋反応が十分進行しないおそれがある。逆に、照射線量が上記上限を超えると、樹脂成分の分解が生じるおそれがある。
〔利点〕
当該多芯ケーブル10は、芯線を構成するコア電線として、当該多芯ケーブル用コア電線1を有するため、低温及び室温以上の温度域での耐屈曲性に優れる。
〔第3実施形態〕
図4に示す多芯ケーブル11は、複数の図1の当該多芯ケーブル用コア電線を撚り合せた芯線14と、この芯線14の周囲に配設されるシース層5とを備える多芯ケーブルである。当該多芯ケーブル11は、図2の多芯ケーブル10と異なり、径の異なる複数の当該多芯ケーブル用コア電線を撚り合せた芯線14を備える。当該多芯ケーブル11は、電動パーキングブレーキの信号ケーブルとしての用途に加え、アンチロック・ブレーキシステム(ABS)の動作を制御する電気信号を送信する用途にも好適に使用できる。なお、上記シース層5は、図2の多芯ケーブル10のシース層5と同じであるため、同一符号を付して説明を省略する。
<芯線>
芯線14は、同径の2本の第1コア電線1aと、この第1コア電線1aよりも径が小さく、かつ同径の2本の第2コア電線1bとを撚り合せて構成される。具体的には、芯線14は、上記2本の第1コア電線1aと、上記2本の第2コア電線1bを対撚りした1本の撚コア電線とを撚り合せて構成される。当該多芯ケーブル11をパーキングブレーキ及びABSの信号ケーブルとして用いる場合、第2コア電線2bを撚り合せた撚コア電線がABS用の信号を送信する。
第1コア電線1aは、図1の多芯ケーブル用コア電線1と同じものである。第2コア電線1bは、第1コア電線1aと横断面の寸法以外の構成は同様であり、材料も同じものが使用できる。
〔利点〕
当該多芯ケーブル11は、車両に搭載される電動パーキングブレーキ用の電気信号だけでなく、ABS用の電気信号も送信することができる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
当該多芯ケーブル用コア電線の絶縁層は多層構造であってもよい。また、当該多芯ケーブルのシース層は単層でもよく、3層以上の多層構造であってもよい。
当該多芯ケーブルは、コア電線として本開示の多芯ケーブル用コア電線以外の電線を含んでもよい。ただし、本開示の効果を有効に発現させるためには全てのコア電線を本開示の多芯ケーブル用コア電線とすることが好ましい。また、当該多芯ケーブルのコア電線の数は2本以上であれば特に限定されず、6本等とすることもできる。
また、当該多芯ケーブル用コア電線は、導体に直接積層されるプライマー層を有していてもよい。このプライマー層としては、金属水酸化物を含有しないエチレン等の架橋性樹脂を架橋させたものを好適に用いることができる。このようなプライマー層を設けることにより、絶縁層及び導体の剥離性の経時低下を防止できる。
以下、実施例によって開示明の一態様に係る多芯ケーブル用コア電線及び多芯ケーブルをさらに具体的に説明するが、本開示は以下の製造例に限定されるものではない。
[コア電線の作成]
表1に示す配合で絶縁層形成組成物を調製し、平均径80μm、72本の軟銅の素線を撚った7本の撚素線をさらに撚った導体(平均径2.4mm)の外周に絶縁層形成組成物を押出して外径3mmの絶縁層を形成し、No.1〜No.11のコア電線を得た。なお、絶縁層に120kGyで電子線照射を行い、樹脂成分を架橋させた。
(ポリエチレン系樹脂)
表1中、使用したポリエチレン系樹脂は以下の通りである。また、樹脂の融点については、示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度10℃/分の条件下で、25℃→200℃→25℃→200℃の順に温度を変化させたときの二度目の昇温時の吸熱ピーク温度を測定した。
(1)HDPE1(高密度ポリエチレン系樹脂)
東ソー製「ニポロンハード(登録商標)6300」、融点137℃
(2)HDPE2(高密度ポリエチレン系樹脂)
東ソー製「ニポロンハード(登録商標)6710」、融点131℃
(3)EVA1(エチレン−酢酸ビニル共重合体)
三井デュポンポリケミカル製「エバフレックスEV360」、融点77℃
(4)EVA2(エチレン−酢酸ビニル共重合体)
三井デュポンポリケミカル製「エバフレックスP1403」、融点92℃
(5)LDPE(低密度ポリエチレン系樹脂)
日本ポリエチレン製「ノバテックLD ZF33」、融点108℃
(6)LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)
日本ポリエチレン製「ノバテックLL UE320」、融点122℃
なお、表1における「−」は、該当する成分を使用しなかったことを示す。
(添加剤)
また、表1中、「難燃剤1」は、臭素系難燃剤(アルベマール株式会社の「サイテックス(登録商標)8010」)である。「難燃剤2」は三酸化アンチモンである。「酸化防止剤」は、BASF社の「イルガノックス(登録商標)1010」である。
[多芯ケーブルの作成]
平均径80μm、60本の銅合金の素線を撚った導体(平均径0.72mm)の外周に架橋難燃ポリオレフィンを押出して外径1.45mmの絶縁層を形成したコア電線を2本撚り合せて第2コア電線を得た。次に、同種の2本の上記コア電線と、上記第2コア電線とを撚り合せて芯線を形成し、この芯線の周囲にシース層を押出により被覆することで、No.1〜No.11の多芯ケーブルを得た。シース層としては、架橋ポリオレフィンを主成分とし、最小厚さが0.45mm、平均外径が7.4mmの内側シース層と、難燃性の架橋ポリウレタンを主成分とし、平均厚さが0.5mm、平均外径が8.4mmの外側シース層とを有するものを形成した。なお、シース層の樹脂成分の架橋は、180kGyの電子線照射により行った。
[線膨張係数及び弾性率]
No.1〜No.11の多芯ケーブルの絶縁層について、JIS−K7244−4(1999)に記載の動的機械特性の試験方法に準拠し、粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA−220」)を用いて、引張モード、−100℃から200℃の温度範囲で、昇温速度5℃/分、周波数10Hz、歪0.05%の条件で、温度変化に対する薄板の寸法変化から、25℃から−35℃までの線膨張係数C1及び25℃から80℃までの線膨張係数C2を算出した。また、JIS−K7244−4(1999)に記載の動的機械特性の試験方法に準拠し、粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA−220」)を用いて、引張モード、−100℃から200℃の温度範囲で、昇温速度5℃/分、周波数10Hz、歪0.05%の条件で測定した貯蔵弾性率から、−35℃における弾性率E1、25℃における弾性率E2及び80℃における弾性率E3を求めた。その結果を表1に示す。
[屈曲試験]
図5に示すように、水平かつ互いに平行に配置された直径60mmの2本のマンドレルA1及びマンドレルA2の間にNo.1〜No.11の多芯ケーブルXを鉛直方向に通し、上端を一方のマンドレルA1の上側に当接するよう水平方向に90°屈曲させた後、他方のマンドレルA2の上側に当接するよう逆向きに90°屈曲させることを繰り返した。なお、試験条件は、多芯ケーブルXの下端に下向きに2kgの荷重を加え、温度を−35℃及び80℃の条件下で、それぞれ屈曲回数速度を60回/分とし、10000回屈曲した。この試験後のコア電線の状態を確認し、異常なし(通電できる状態)、断線(通電できなくなった状態)、摩耗(絶縁材の摩耗により導体が露出)、割れ(絶縁材が割れて導体が露出)の判定を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2020038849
表1に示すように、絶縁層の主成分がポリエチレン系樹脂であり、絶縁層の25℃から−35℃までの線膨張係数C1と、−35℃での弾性率E1との積C1×E1が0.01MPaK−1以上0.90MPaK−1以下であり、ポリエチレン系樹脂の融点が80℃以上130℃以下であるNo.5〜No.6及びNo.8〜No.11の多芯ケーブルは、−35℃及び80℃条件下の屈曲試験において断線、摩耗、割れ等の異常が発生せず、良好な結果が得られた。以上の結果から、本開示の実施例は、低温及び室温以上の温度域での耐屈曲性に優れることが示された。
[耐油性試験]
No.5〜No.6及びNo.8〜No.11の多芯ケーブルについて、自動車部品−低圧電線の試験方法JASO D618(2008)に記載の方法に準拠して油に浸漬した。油としてはガソリンを用いた。複合ケーブルを1−2m程度採取し、両端25cmからシース層をはぎ取り、EPB電線及びABS電線を露出させ、シース層とEPB電線及びABS電線との間には油が入り、EPB電線の内部及びABS電線の内部には油が入らないように、EPB電線及びABS電線の末端は油の液面より上に配置した。次に、油に浸漬後の上記多芯ケーブルを室温で30分以上乾燥させた後、上述の10000回での−35℃及び80℃条件下の屈曲試験を実施した。この試験後のコア電線の状態を確認し、異常なし(通電できる状態)、断線(通電できなくなった状態)、摩耗(絶縁材の摩耗により導体が露出)、割れ(絶縁材が割れて導体が露出)の判定を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2020038849
表2に示すように、No.5〜No.6及びNo.8〜No.9の多芯ケーブルは、油に浸漬後の−35℃及び80℃の屈曲試験においても断線、摩耗、割れ等の異常が発生せず、良好な結果が得られた。一方、No.10〜No.11の多芯ケーブルは、油に浸漬後の−35℃の屈曲試験においても断線、摩耗、割れ等の異常が発生せず、良好な結果が得られた。以上の結果から、本開示の実施例は、低温及び室温以上の温度域での耐油性も良好な性能が得られることが示された。
以下、本開示の好ましい態様を付記する。
(付記1)
複数の素線を撚り合わせた導体と、この導体の外周を被覆する絶縁層とを備える多芯ケーブル用コア電線であって、
上記絶縁層の主成分がポリエチレン系樹脂であり、
絶縁層の25℃から−35℃までの線膨張係数C1と、−35℃での弾性率E1との積C1×E1が0.01MPaK−1以上0.90MPaK−1以下であり、
上記ポリエチレン系樹脂の融点が80℃以上130℃以下である多芯ケーブル用コア電線。
(付記2)
上記絶縁層の25℃における弾性率E2が100MPa以上である付記1に記載の多芯ケーブル用コア電線。
(付記3)
上記絶縁層の25℃から80℃までの線膨張係数C2が5.0×10−4−1以下である付記1又は付記2に記載の多芯ケーブル用コア電線。
(付記4)
上記導体の横断面における平均面積が1.0mm以上3.0mm以下である付記1、付記2又は付記3に記載の多芯ケーブル用コア電線。
(付記5)
上記導体における複数の素線の平均径が40μm以上100μm以下、複数の素線が196本以上2450本以下である付記1から付記4のいずれか1項に記載の多芯ケーブル用コア電線。
(付記6)
上記導体が、複数の素線を撚り合せた撚素線をさらに撚り合せたものである付記1から付記5のいずれか1項に記載の多芯ケーブル用コア電線。
(付記7)
複数のコア電線を撚り合わせた芯線と、この芯線の周囲に配設されるシース層とを備える多芯ケーブルであって、
上記複数のコア電線の少なくとも1本が付記1に記載のものである多芯ケーブル。
(付記8)
上記複数のコア電線の少なくとも1本が複数のコア電線を撚り合せたものである付記7に記載の多芯ケーブル。
(付記9)
複数の素線を撚り合わせた導体と、この導体の外周を被覆する絶縁層とを備える多芯ケーブル用コア電線であって、
上記絶縁層の主成分がポリエチレン系樹脂であり、
上記ポリエチレン系樹脂が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンからなる群から選択される少なくとも1種であり、
絶縁層の25℃から−35℃までの線膨張係数C1と、−35℃での弾性率E1との積C1×E1が0.01MPaK−1以上0.90MPaK−1以下であり、
上記C1が1.0×10−5−1以上2.5×10−4−1以下であり、
上記E1が1000MPa以上3500MPa以下であり、
上記ポリエチレン系樹脂の融点が80℃以上130℃以下である多芯ケーブル用コア電線。
(付記10)
複数の素線を撚り合わせた導体と、この導体の外周を被覆する絶縁層とを備える多芯ケーブル用コア電線であって、
上記絶縁層の主成分がポリエチレン系樹脂であり、
上記ポリエチレン系樹脂が、低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの組み合わせであり、
上記ポリエチレン系樹脂の合計含有量に対する高密度ポリエチレンの含有割合が10質量%以上50質量%以下であり、
絶縁層の25℃から−35℃までの線膨張係数C1と、−35℃での弾性率E1との積C1×E1が0.01MPaK−1以上0.90MPaK−1以下であり、
上記C1が1.0×10−5−1以上2.5×10−4−1以下であり、
上記E1が1000MPa以上3500MPa以下であり、
上記ポリエチレン系樹脂の融点が80℃以上130℃以下である多芯ケーブル用コア電線。
(付記11)
上記絶縁層の25℃における弾性率E2が100MPa以上である付記9又は付記10に記載の多芯ケーブル用コア電線。
(付記12)
上記絶縁層の25℃から80℃までの線膨張係数C2が5.0×10−4−1以下である付記9、付記10又は付記11に記載の多芯ケーブル用コア電線。
(付記13)
上記導体の横断面における平均面積が1.0mm以上3.0mm以下である付記9から付記12のいずれか1項に記載の多芯ケーブル用コア電線。
(付記14)
上記導体における複数の素線の平均径が40μm以上100μm以下、複数の素線が196本以上2450本以下である付記9から付記13のいずれか1項に記載の多芯ケーブル用コア電線。
(付記15)
上記導体が、複数の素線を撚り合せた撚素線をさらに撚り合せたものである付記9から付記14のいずれか1項に記載の多芯ケーブル用コア電線。
(付記16)
複数のコア電線を撚り合わせた芯線と、この芯線の周囲に配設されるシース層とを備える多芯ケーブルであって、
上記複数のコア電線の少なくとも1本が付記9又は付記10に記載のものである多芯ケーブル。
(付記17)
上記複数のコア電線の少なくとも1本が複数のコア電線を撚り合せたものである付記16に記載の多芯ケーブル。
1、1a、1b 多芯ケーブル用コア電線
2 導体
3 絶縁層
4、14 芯線
5 シース層
5a 内側シース層
5b 外側シース層
10、11 多芯ケーブル
102 コア電線サプライリール
103 撚り合せ部
104 内側シース層被覆部
104a、105a 貯留部
105 外側シース層被覆部
106 冷却部
107 ケーブル巻付リール
A1、A2 マンドレル
X 多芯ケーブル

Claims (1)

  1. 多芯ケーブル用コア電線の絶縁層に用いられる樹脂組成物であって、
    主成分がポリエチレン系樹脂であり、
    上記絶縁層の25℃から−35℃までの線膨張係数C1と、−35℃での弾性率E1との積C1×E1が0.01MPaK−1以上0.90MPaK−1以下であり、
    上記ポリエチレン系樹脂の融点が80℃以上130℃以下である、樹脂組成物。
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