JP2020029446A - ポリスリレンを主骨格とする微細粒子を利用した藻の増殖を抑制する方法 - Google Patents

ポリスリレンを主骨格とする微細粒子を利用した藻の増殖を抑制する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリスリレンを主骨格とする微細粒子を使用して、藻類の増殖抑制または藻類細胞に代謝異常を誘発する簡易で安価な方法を提供する。【解決手段】ポリスリレンを主骨格とする微細粒子であり、藻類の細胞壁を構成する成分あるいは細胞壁に配置されたタンパク質や酵素に親和性を持つ粒子を用い、水溶液中または固体表面上で藻類の増殖を阻害あるいは死滅させる方法、あるいはこのような特性を持つ粒子の暴露により、藻類に刺激やストレスを与えて代謝異常を誘発して、有用な産物の生産の開始あるいは生産量の増大を誘導する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリスリレンを主骨格とする微細粒子を利用して藻に代謝異常を誘発することで、藻の増殖を抑制しようとする方法に関する。
非特許文献1によれば、藻の異常繁殖は内海や湾などの海域における赤潮の原因となる。また、鑑賞魚飼育用の水槽や建物の外壁面、溜池、養魚場、噴水、プール、水耕栽培の植物培養溶液などにおいて生育し、景観を害したり、悪臭を放ったり、商品作物の生育に必要な養分を奪うなどの原因となる。藻は、多くの細菌、カビや原生動物などの従属栄養生物と異なり、微量の無機塩と光のみで繁殖が可能な独立栄養生物である。そのため有機栄養分が存在しない清浄な環境には、まず藻が侵入して繁殖を始め、次に藻が生産した有機物やその死骸の存在により様々な従属栄養生物の繁殖が可能な環境が提供される。また、藻、バクテリア、カビなどがバイオフィルムと呼ばれる共生体を形成しながら繁殖する。このような共生体は、しばしば除去が困難となる。藻を安価にかつ容易に除去する手段が求められている。人にとって有害な藻の繁殖を簡単に防止する発明は大きな有用性を持つ。
非特許文献2及び特許文献2で記載されたように、金属の酸化物から構成されたナノサイズの粒子を藻の培養液に添加することで、藻の増殖に悪影響を及ぼす事は可能であるが、高効率かつ短期間で細胞を死滅させる効力はない。しかし、本発明において、金属フリーのポリスチレンを主骨格とする微細粒子を藻類細胞に暴露させることで、進化系統的に大きく異なる様々な藻類に対して、短時間で高効率に細胞死を誘導することに成功している。また、有用生物資源の増産につながる代謝異常を誘導することに成功している。
藻は光合成により、トリアシルグリセリドなどの脂質や多糖といった有用な生物資源を生産する。多くの場合、このような代謝物は特定の環境下におけるストレスが刺激となって生産が始まったり、生産量が増大したりする(非特許文献3)。例えば、トリアシルグリセリドやアスタキサンチンは、培養液中の窒素源の枯渇が引き金となり、その生産が増大することが知られている(非特許文献3)。藻による様々な生物資源の生産量は生育環境に応答して大きく変化する。適当な微細粒子を培養液へ投入することで、代謝産物の切換えが可能になれば、特定の有用生物資源の生産性の向上や、生産開始時期のコントロールが容易になり生産性の向上に繋がると期待できる。
特許文献1には、抗菌剤や防藻剤等を利用して菌や藻類の成長を抑制等することが記載されている。
特許文献2には、成分であるチオ硫酸銀イオンを用いた赤潮の除藻剤が記載してある。
特開2004−099557号公報 特開2007−332039号公報
門田元 編、『淡水赤潮』、「はじめに」、恒星社厚生閣、1987年 Franklin,N.M.,Rogers,N.J.,Apte,S.C.,Batley,G.E.,Gadd,G.E.&Casey,P.S.2007.Comparative toxicity of nanoparticulate ZnO,Bulk ZnO,and ZnCl2 to a freshwater microalga(Pseudokirchnereilla subcapitata):the importance of particle solubility.Environ.Sci.Technol.41(24):8484−8490. 渡辺 信 監修、『藻類ハンドブック』、「第3章エネルギー」、NTS出版、2012年
本発明では従来できなかった2つの事を可能とする。1つ目は、人にとって有害な藻の増殖を阻害あるいは、増殖している藻を簡易で安価な方法で死滅させることである。2つ目は、藻の生理的な状態を簡易で安価な方法で変化させ、細胞外物質の分泌等を増大させる等の代謝異常を誘発する方法である。2つの案件とも、これまでは簡易な方法で実行できる手段がない。本発明の目的は、ポリスリレンを主骨格とする微細粒子を使用して藻の代謝異常を誘発する方法、または代謝異常を継続的により強く進行させる等により藻類の増殖を抑制する方法を提供することにある。
本発明は、人にとって有害な藻の増殖を阻害あるいは、増殖している藻を簡易な方法で死滅させる、もしくは細胞の生理的な状態を変化させて有用物質の生産の開始あるいは増産させる方法に関する発明である。
即ち、上記目的を達成するために、以下の[1]〜[10]に示す発明を提供する。
[1]微細粒子であって、藻類の細胞壁成分あるいは細胞壁に配置されているタンパク質や酵素に親和性を示す藻類増殖抑制剤または代謝異常誘発剤。
[2]前記微細粒子が、ポリスリレンを主骨格とする微細粒子である[1]に記載の藻類増殖抑制剤または代謝異常誘発剤。
[3]前記ポリスリレンを主骨格とする微細粒子が、ポリスチレンモノマーを重合させ、その微細粒子の表面をアミノ基、トリアルキルアンモニウム基などで修飾した藻類増殖抑制剤または代謝異常誘発剤。
[4]前記ポリスリレンを主骨格とする微細粒子が、ポリスチレンモノマーを重合させて、表面修飾を持たない藻類増殖抑制剤または代謝異常誘発剤。
[5]前期藻類が、緑藻植物門に属する藻類である[1]〜[4]の何れか一項に記載の藻類増殖抑制剤または代謝異常誘発剤。
[6]前記緑藻植物門が緑藻綱またはトレボウクシア藻綱に属する藻類である[5]に記載の藻類増殖抑制剤または代謝異常誘発剤。
[7]前記微細藻類がクラミドモナス属またはクロレラ属に属する藻類である[1]〜[6]の何れか一項に記載の藻類増殖抑制剤または代謝異常誘発剤。
[8]前記微細藻類が、渦鞭毛虫門に属する渦鞭毛藻類、ユーグレノゾアに属する藻類、ハプト植物門に藻類、シアノバクテリアに属する藻の群から選択される少なくとも一種である[1]〜[4]の何れか一項に記載の藻類増殖抑制剤または代謝異常誘発剤。
[9]前記微細藻類の増殖を原因とする水質の汚濁あるいは景観の悪化を予防あるいは抑制する[1]〜[8]の何れか一項に記載の藻類増殖抑制剤。
[10]前記微細藻類の増殖により有用代謝産物が生産される[1]〜[8]の何れか一項に記載の代謝異常誘発剤。
上記[1]〜[10]の構成によれば、藻類増殖抑制剤または代謝異常誘発剤は、ポリスチレンを主骨格とする微細粒子、例えば、ポリスチレン粒子でその表面がアミノ基で修飾された粒子を使用することができる。そのため、当該藻類増殖抑制剤または代謝異常誘発剤は金属酸化物のナノ粒子を使用しないため金属フリーであり、環境中への蓄積性がなく安全性が高い。
藻類の細胞壁は、糖タンパク質、キチン、酸化珪素、セルロースおよびプロテオグリカン等によって構成される。上述したポリスリレンを主骨格とする微細粒子は、前記成分からなる細胞壁に対して親和性を示す。あるいは、その細胞壁上に配置されているタンパク質や酵素に親和性を示す。そのため、微細粒子は細胞表面に付着してその表面を覆いつくすことができる。あるいは親和性のあるタンパク質や酵素に付着することにより、その立体構造を歪めることで正常な機能を持たない分子に変えてしまうことができる。
藻類は、例えば緑藻植物門に属する緑藻類、渦鞭毛虫門に属する渦鞭毛藻類、ユーグレナゾアに属する藻、ハプト藻綱に含まれる藻やシアノバクテリアに属する藻等が含まれる。緑藻植物門に属する緑藻類としては、例えば緑藻綱またはトレボウクシア藻綱に属する藻類が挙げられる。緑藻綱に属する緑藻類としては例えばクラミドモナス属が挙げられ、トレボウクシア藻綱に属する緑藻類としては例えばクロレラ属が挙げられる。
後述の実施例で示すように、本発明者らは、予想外に、ポリスチレンの微細粒子が真核生物の単細胞緑藻クラミドモナス属(例えばクラミドモナス・レインハーディ(Chlamydomonas reinhardtii))やシアノバクテリア(Arthrospira platensis)に対して急性細胞死を誘導し得ることを見出した。さらに、クロレラ属(例えばクロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris))やボツリオコッカス(Botryococcus braunii(緑藻植物門、トレボウクシア藻綱))における細胞外物質の分泌を誘導されることを見出した。
上述したように、ポリスチレンの微細粒子、とくにアミノ基等の表面修飾により正の電荷を持つ粒子は、細胞壁との親和性により細胞表面に多数付着してその表面を覆いつくす。これにより、細胞は外部環境との間で、酸素や二酸化炭素、栄養素などの生育に必須な成分の導入が困難となる(窒息作用)。当該窒息作用によりROS(reactive oxygen species:活性酸素種)の蓄積、葉緑素の分解、細胞壁溶解酵素の分泌などの生理的な異常反応を起こすことが想定される。また、微細粒子が細胞璧上に配置されているタンパク質や酵素に親和性がある場合には、そのようなタンパク質分子に付着することにより立体構造に不可逆的な変化をもたらし、正常な活性のない分子に変換させてしまう。これにより、細胞のホメオスタシスは保たれなくなり、細胞死が引き起こされたり、特定の代謝物の増産や、細胞壁分解酵素の異常分泌等が生じると考えられる。
また、ポリスチレンの微細粒子が、非常に広範な藻類に対して細胞死を誘導する能力または、細胞死を直接は誘導しないが細胞外物質の異常な分泌を誘導できることから、ポリスチレンの微細粒子の投与は、上述した藻類の増殖を原因とする水質の汚濁、臭気の発生、景観の悪化を予防あるいは抑制する。前記水質の汚濁は、例えば公園内の池、噴水、溜池、堀、排水溝、浄化槽、水冷式冷却塔、浴槽、養殖場等の人工的閉鎖水域が挙げられる。ポリスチレンを主成分とする微細粒子を用いてば、これらの水域における汚濁を予防あるいは抑制することができる。
また、あらかじめ壁面や容器等の固体の表面にポリスチレンを主成分とする微細粒子を付着させてる事で、固体表面における藻の増殖を抑制することが可能である。
単細胞緑藻のクラミドモナス・レインハーディの培養液に表面がアミノ基で修飾された直径50nmのポリスチレン粒子を添加し、トリパンブルー染色により経時的に細胞死率を求めたグラフである。 単細胞緑藻のクラミドモナス・レインハーディの培養液に表面がアミノ基で修飾された直径1,000nm nmのポリスチレン粒子を添加し、トリパンブルー染色により経時的に細胞死率を求めたグラフである。 単細胞緑藻のクラミドモナス・レインハーディの培養液に表面がアミノ基(−NH)で修飾された直径100nmのポリスチレン粒子を最終濃度100ppmで加え、1時間経過した時点での細胞の明視野顕微鏡観察画像(上部)と蛍光観察画像(下部)である。 単細胞緑藻のクラミドモナス・レインハーディの培養液に表面がトリアルキルアンモニウム基(NR )で修飾された直径100nmのポリスチレン粒子を最終濃度100ppmで加えた時の細胞の1時間毎の経時変化の明視野顕微鏡観察画像である。 単細胞緑藻のクロレラ・ブルガリスの培養液に表面がアミノ基で修飾された50nmのポリスチレンの微細粒子を最終濃度が1,000ppmになるように添加後、2時間後の顕微鏡観察画像である。 寒天培地の表面に塗布された濃度の異なるポリスチレン微細粒子によるクラミドモナス・レインハーディの増速の影響を示す写真図である。 単細胞緑藻のムレミカヅキモに4種類のポリスチレンのナノ粒子を最終濃度100ppmとなるように加えた24時間後の明視野顕微鏡観察画像である。 Botryococcus braunii(群体性緑藻)に4種類のポリスチレンのナノ粒子を最終濃度1,000ppmとなるように加えた3時間後の明視野顕微鏡観察画像である。 ユーグレナ・グラシリス(ユーグレナ藻)に4種類のポリスチレンのナノ粒子を最終濃度100ppmとなるように加えてた3時間後の明視野顕微鏡観察画像である。 単細胞緑藻のクロレラ・ブルガリス4種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度1,000ppmとなるように加えた3時間後の明視野顕微鏡観察画像である。 単細胞緑藻のDidymogenes sphaericaに4種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度1,000ppmとなるように加えた3時間後の明視野顕微鏡観察画像である。 単細胞緑藻のMiractinium inermumに4種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度1,000ppmとなるように加えて3時間後の明視野顕微鏡観察画像である。 単細胞緑藻のLabochlamys culleusに4種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度100ppmとなるように加えた3時間後の明視野顕微鏡観察画像である。 単細胞緑藻のHaematococcus lacustrisに4種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度100ppmとなるように加えてた24時間の明視野顕微鏡観察画像である。 Prymnesium parvum(ハプト藻)に4種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度100ppmとなるように加えて3時間後の明視野顕微鏡観察画像である。 Heterocapsa triquetra(渦鞭毛藻)に4種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度100ppmとなるように加えて3時間の明視野顕微鏡観察画像である。 シアノバクテリアのArthrospira platensisに3種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度1,000ppmとなるように加えて3時間後の顕微鏡観察画像である。 シアノバクテリアのAphanizomenon flos−aquaeに3種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度1,000ppmとなるように加えて3時間後の顕微鏡観察画像である。 シアノバクテリアのDolichospermum planctonicumに3種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度1,000ppmとなるように加えて3時間の顕微鏡観察画像である。 シアノバクテリアのCylindrospeumopsis raciborskiiに3種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度1,000ppmとなるように加えて3時間後の顕微鏡観察画像である。
以下、本発明に係るポリスチレン微細粒子を用いた藻の増殖阻害や細胞死の誘導および代謝異常の誘導の実施例を詳細に説明する。
本発明のでは、藻類の細胞壁または細胞壁表面上のタンパク質等に親和性を示す有機化合物の微細粒子を使用して、微細藻類の増殖を抑制する。そのために用いる粒子は、ポリスチレンを主な骨格とするポリマーである。用いる粒子は、質量あたりの表面積が十分に大きくなるために、直径が十分に小さい粒子であればよい。またこの粒子の凝集を防ぐために、界面活性剤等を加えて水溶液中で安定に分散状態を維持できるようにしてもよい。金属フリーである有機化合物は、環境中での安全性が高い。
細胞壁は、微細藻類においては糖タンパク質、キチン、セルロースおよびプロテオグリカン等によって構成される。上述したポリスチレンを主な骨格とするポリマーの微細粒子は、前記成分からなる細胞壁もしくは細胞壁上に配置されているタンパク質や酵素に対して親和性を示すものが良い。親和性の強さの程度は特に限定されるものではなく、例えば、微細粒子が細胞壁への親和性により、細胞表面に付着してその表面を覆いつくせる程度の親和性の強さ、あるいは細胞壁上に配置されているタンパク質や酵素に付着して立体構造を不可逆的に変化させる程度の親和性の強さがあればよい。または、粒子の安定した細胞表面への付着がなくても、細胞表面に衝突が可能であり、衝突を介してその表面上のタンパク質や酵素の立体構造を不可逆的に変化させる事ができればよい。
藻類は、例えば緑藻植物門に属する緑藻類、渦鞭毛虫門に属する渦鞭毛藻類、ハプト植物門に属する藻、ユグレナゾアに含まれる藻、シアノバクテリア等が含まれる。
緑藻植物門に属する緑藻類としては、例えば緑藻綱またはトレボウクシア藻綱に属する藻類が挙げられる。
緑藻綱に属する緑藻類としては例えばクラミドモナス、ムレミカヅキモ(Pseudokirchnerella subcapitata)、Haematococcus lacustris、Labochlamys culleusが挙げられ、トレボウクシア藻綱に属する藻としては例えばクロレラ、ボツリオコッカス、Didymogenes sphaerica、Miractinium inermum、が挙げられる。クラミドモナスは10〜30μmの球形或いはなめらかな楕円形を呈した形状であり、細胞体の前方に昆虫の触角のようなほぼ同じ長さの2つの鞭毛を持つ。クロレラは直径約2〜10μmのほぼ球形を呈した形状であり、鞭毛を持たない。ボツリオコッカスの細胞はブドウの種状の形態をしており、群体を形成する。
シアノバクテリア(藍藻類)としては、Arthrospira platensis、Aphanizomenon flos−aquae、Dolichospermum planctonicum、Cylindrospeumopsis raciborskiiがあげられる。
さらに、上述した以外の他の藻類としては、Heterocapsa triquetra(NIES−7、渦鞭毛植物門、渦鞭毛藻綱)、Prymnesium parvum(ハプト植物門、プリムネシウム藻綱)、ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis、ユーグレノゾア、ミドリムシ科)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において用いられる微細粒子は、ポリスリレンを主骨格とする微細粒子を投入すれば良い。ポリスリレンを主骨格としていれば、他のモノマー分子とのハイブリッド・ポリマーでもよい。微細粒子の表面は、アミノ基(−NH)やトリアルキルアンモニウム基(NR )なの表面修飾を受けていても、あるいは表面修飾を受けていなくてもよい。
ポリスリレンを主骨格とする微細粒子は、平均粒子径が10〜1,000nm、好ましくは10〜500nmの平均粒子径を有する粒子分散液、粒子状、粒状等、どのような態様であってもよい。分散液は、懸濁液やコロイド液等の態様を取り得るが、これらに限定されるものではない。また、粒子の濃度が30mg/L〜1g/L、好ましくは100〜1g/Lとなるようにすればよい。
固体表面で増殖している藻に対して細胞死を誘導するには、ポリスリレンを主骨格とする微細粒子であって、平均粒子径が10〜1,000nm、好ましくは10〜500nmの平均粒子を粒子の濃度が30mg/L〜10g/L、好ましくは1〜10g/Lの液を噴霧すればよい。
まだ藻の増殖が認められない固体表面について藻の増速を防ぐには、ポリスリレンを主骨格とする微細粒子であって、平均粒子径が10〜1,000nm、好ましくは10〜500nmの平均粒子を粒子の濃度が30mg/L〜10g/L、好ましくは1〜10g/Lの液をあらかじめ噴霧して、固体表面に付着させておけば良い。
アミノ基を表面に持つポリスチレンの微細粒子は、細胞壁との親和性により細胞表面に多数付着してその表面を覆いつくす(図3:クラミドモナス・レインハーディ、図16:Arthrospira platensis,図17:Aphanizomenon flos−aquae 図19:Cylindrospeumopsis raciborskii)これにより、細胞は外部環境との間で、酸素や二酸化炭素、栄養素などの生育に必須な成分の導入が困難となる(窒息作用)。当該窒息作用により、代謝異常が起きる。あるいは、これにより、著しく細胞の恒常性が損なわれ、細胞の増殖抑制あるいは細胞死が引き起こされると考えられる。
窒息作用を実現するためには、微細粒子は細胞の最外層(いわゆる細胞壁)に安定的に付着できる親和性があれば十分であると考えられる。また、細胞壁の構成成分に親和性がなくとも、細胞の最外層に配置されているタンパク質や酵素に親和性があれば、これに付着することで立体構造を変化させて、不活性化が誘導されれば細胞の恒常性は保たれなくなり、代謝異常や細胞死等が起きる。
クラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii:野生型CC−124)に対する表面にアミノ基修飾を持つ粒径が50nmのポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L0780)による曝露の影響について調べた。
本実施例で使用した野生型CC−124のクラミドモナスは、ミネソタ大学(米国)のクラミドモナス資源センターから提供された。野生型CC−124のクラミドモナスをTris−Acetate−Phosphate(以下、TAP)培地(pH7.0)中で穏やかに振とうしながら定蛍光(84mmol光子m−2−1)下で混合栄養的に培養し、中期対数増殖期(OD600約0.8)に到達した細胞を、用いて微細粒子暴露による細胞の死亡率をアッセイに使用した。
中期対数増殖期のクラミドモナスの培養液にポリスチレン微細粒子を最終濃度100ppmとなるように加え、1時間おきに0.1mLの培養試料を取り出した。クラミドモナスの死亡率を調べるために、死細胞を青色で染色するトリパンブルー染色アッセイを行った。0.1mLの培養試料にトリパンブルー(0.4%w/v、和光純薬工業株式会社製)溶液を直接添加し(最終濃度0.2%(w/v))、5分後に青く染色されて細胞の率を顕微鏡(IX71:オリンパス株式会社製)によって調べた。その結果、細胞死は迅速に誘導され、ポリスチレン粒子、3時間の暴露により染色された細胞の率(細胞死率)はおよそ95%まで達することが分かった(図1)。
クラミドモナスの暴露に使用する粒子を表面がアミノ基(−NH)で修飾された直径1,000nmのポリスチレン粒子[amine−modified polystyrene製品、発売元シグマアルドリッチ、製品番号L1300]に変えて、実施実験1に示されたのと同様の実験を行った。その結果、100ppm,3時間の暴露によりトリパンブルーで染色された細胞の率はおよそ98%であった(図2)。
表面がアミノ基(−NH)で修飾された直径100nmのポリスチレン粒子[amine−modified polystyrene製品、発売元シグマアルドリッチ、製品番号L9904]をクラミドモナス・レインハーディ(Chlamydomonas reinhardtii)の野生型CC−124株の培養液に最終濃度100ppmで加え、1時間経過した時点で蛍光顕微鏡観察をした。その結果、添加した微細粒子は細胞の表面の多くの部分を覆うように付着していることが示された(図3)。
これは、表面にアミノ基修飾を持つ粒径が50nmのポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L0780)による暴露で得られる率とほぼ同じである。実施例1と実施例2から、表面がアミノ基(−NH)で修飾された微細粒子であれば、その粒径に関わりなく高い細胞死誘導率を持つことを示している。
表面がトリアルキルアンモニウム基(NR )で修飾された直径100nmのポリスチレン粒子(発売元micromod社、品番号MPT01−05−102、ゼータ電位+30mV)をクラミドモナス・レインハーディ(Chlamydomonas reinhardtii)の野生型CC−124株の培養液に最終濃度100ppmで加え培養した。その結果、トリパンブルーで染色された細胞は認められなかったが、細胞の周辺に分泌された高分子の存在が確認された(図4)。
クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris、NIES−2170株)の培養液に表面がアミノ基で修飾された50nmのポリスチレンの微細粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L0780)を最終濃度が1,000ppmになるように添加後、2時間が経過した時点で細胞を顕微鏡観察したところ、細胞外に分泌された物質が観察された(図5、▲1▼)。キチン及びセルロース特異的に付着するFluorescence Brightener染色を行い蛍光観察すると、この細胞外物質は明らかに染色されていたので(図5、▲2▼)、この物質はチキンあるいはセルロースを含むと推定された。また、トリバンブルー染色を行なったところ、多くの細胞が染色されていた(図5、▲3▼)。
固体表面に塗布されたポリスチレン微細粒子によるクラミドモナス・レインハーディ(Chlamydomonas reinhardtii)の増速阻害実験を以下のように行った。まずクラミドモナスの培養液を寒天培地上に塗り、5分間放置して水分を吸収させる。次に、4種類のポリスチレン粒子の濃度を変えてクラミドモナスが塗布された寒天培地上に各15μL添加し寒天に水分を吸収させ、その後25度において10日間静置培養した。番号を付した場所に滴下されたのは、以下の濃度のポリスチレン粒子液である。▲1▼表面にアミノ基修飾を持つ50nmポリスチレン粒子液(L0780,シグマアルドリッチ製)で1,000ppmの液体、▲2▼表面にアミノ基修飾を持つ50nmポリスチレン粒子液(L0780,シグマアルドリッチ製)で500ppmの液体、▲3▼表面にアミノ基修飾を持つ50nmポリスチレン粒子液(L0780,シグマアルドリッチ製)で100ppmの液体、▲4▼表面にアミノ基修飾を持つ100nmポリスチレン粒子液(L9904,シグマアルドリッチ製)で1,000ppmの液体、▲5▼表面にアミノ基修飾を持つ100nmポリスチレン粒子液(L9904,シグマアルドリッチ製)で500ppmの液体、▲6▼表面にアミノ基修飾を持つ100nmポリスチレン粒子液(L9904,シグマアルドリッチ製)で100ppmの液体、▲7▼表面にアミノ基修飾を持つ1,000nmポリスチレン粒子液(L1030,シグマアルドリッチ製)で1,000ppmの液体、▲8▼表面にアミノ基修飾を持つ1,000nmポリスチレン粒子液(L1030,シグマアルドリッチ製)で500ppmの液体、▲9▼表面にアミノ基修飾を持つ1,000nmポリスチレン粒子液(L1030,シグマアルドリッチ製)で100ppmの液体、▲10▼表面が無修飾の50nmポリスチレン粒子液(Polysciences社製、08961)で1,000ppmの液体、▲11▼表面が無修飾の50nmポリスチレン粒子液(Polysciences社製、08961)で500ppmの液体、▲12▼表面が無修飾の50nmポリスチレン粒子液(Polysciences社製、08961)で100ppmの液体。
L0780液,L9904液,L1030液では、1,000ppmと500ppmをスポットした場所には、クラミドモナスの生育が認められず寒天の表面が、そのまま露質した状態となった。一方、08961液ではでは、液の濃度に関わらず全ての懸濁液がスポットされた場所にクラミドモナスの生育が認められた(図6)。この事から、表面にアミノ基修飾を持つポリスチレン微細粒子は、十分な量の微細粒子が寒天の表面上にあれば、その下面にあるクラミドモナスの細胞の増殖を阻止したことが分かる。
ムレミカヅキモ(Pseudokirchnerella subcapitata、NIES−35株、緑色植物門、緑藻綱)の培養液に4種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度100ppmとなるように加えて細胞の変化を観察した。微細粒子添加後24時間の時点において、最終濃度が2%となるようにトリパンブルーを添加した後の明視野顕微鏡観を行った。▲1▼から▲5▼に加えた粒子は以下の通りである。▲1▼粒子無添加、▲2▼50nmの表面無修飾のポリスチレン粒子(製造元 Polysciences社、製品番号08691)を最終濃度100ppmで添加、▲3▼50nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L0780)を最終濃度100ppmで添加、▲4▼100nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L9904)を最終濃度100ppmで添加、▲5▼1,000nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L1030)を最終濃度100ppmで添加。
L0780液とL9904液では、細胞外に多量の高分子物質の分泌と細胞の凝集が認められた(図7、▲3▼と▲4▼)。一方、ポリスチレンの微細粒子、08961液とL1030液では、細胞の凝集も高分子物質の分泌も顕著には認められなかった(図7、▲2▼と▲5▼)。
Botryococcus braunii(緑藻植物門、トレボウクシア藻綱、B strain,Showa株)の培養液に4種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度1,000ppmとなるように加えて細胞の変化を3時間後に観察した。微細粒子添加後3時間の時点における明視野で顕微鏡観察を行った。▲1▼から▲4▼に加えた粒子は以下の通りである。▲1▼50nmの表面無修飾のポリスチレン粒子(製造元 Polysciences社、製品番号08691)を最終濃度100ppmで添加、▲2▼表面がトリアルキルアンモニウム基(NR )で修飾された直径100nmのポリスチレン粒子(発売元micromod社、品番号MPT01−05−102)を最終濃度1,000ppmで添加、▲3▼50nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L0780)を最終濃度100ppmで添加後、▲4▼100nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L9904)を最終濃度100ppmで添加。
その結果、表面がトリアルキルアンモニウム基(NR )で修飾された直径100nmのポリスチレン粒子(発売元micromod社、品番号MPT01−05−102)を最終濃度1,000ppmで添加した場合と50nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L0780)を添加した場合には、高分子物質の分泌が多量に観察された(図8▲2▼と▲3▼)。
一方、50nmの表面無修飾のポリスチレン粒子(製造元 Polysciences社、製品番号08691)(図8、▲1▼)、あるいは100nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L9904)(図8、▲4▼)を添加した場合には、高分子物質の分泌は観察されるが、その量はL0780液やMPT01−05−102液の場合よりも少なかった。
ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis、NIES−49株、ユーグレノゾア、ミドリムシ科)の培養液に4種類のポリスチレンの微細粒子を最終濃度100ppmとなるように加えて3時時間後に細胞の変化を観察した。▲1▼から▲5▼に加えた粒子は以下の通りである。▲1▼粒子無添加、▲2▼50nmの表面無修飾のポリスチレン粒子(製造元 Polysciences社、製品番号08691)を最終濃度100ppmで添加、▲3▼50nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ製品番号L0780)を最終濃度100ppmで添加、▲4▼100nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L9904)を最終濃度100ppmで添加、▲5▼1,000nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L1030)を最終濃度100ppmで添加。
表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン微細粒子(シグマアルドリッチ、製品番号L0780、L9904、L1030)では、暴露3時間でほとんどのユーグレナ細胞は溶解した(図9、▲3▼、▲4▼、▲5▼)。一方、表面修飾を持たないポリスチレン粒子(発売元micromod社、品番号MPT01−05−102)では、細胞の溶解は認められなかったが、球形に変形する細胞が多数認められた(図9、▲2▼)。
ユーグレナにおけるこのような細胞の形状変化は、高塩濃度、高温などの細胞にストレスを生じさせる環境下でも認めれるので、当該微細粒子の添加によって細胞にストレスを与えていると推定された。
緑藻植物門、トレボウクシア藻綱に属する3種類の藻((クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris、 NTES−2170株)、Didymogenes sphaerica(NIES−2167株)、Miractinium inermum (NIES−2171株)に対して、4種のポリスチレン粒子を最終濃度1,000ppmで暴露させて、細胞の変化とトリバンブルーに対する被染色性を3時間後に顕微鏡観察した。▲1▼から▲5▼に加えた粒子は以下の通りである。▲1▼粒子無添加、▲2▼50nmの表面無修飾のポリスチレン粒子(製造元 Polysciences社、製品番号08691)を最終濃度100ppmで添加、▲3▼50nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L0780)を最終濃度100ppmで添加、▲4▼100nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L9904)を最終濃度100ppmで添加、▲5▼1,000nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L1030)を最終濃度100ppmで添加。
3種類の藻は、共通して表面がアミノ基で修飾された3種類のポリスチレン微細粒子(シグマアルドリッチ、製品番号L0780、L9904、L1030)の暴露によりトリパンブルーで濃く染色される細胞を生じた。また、一方、表面に修飾を持たないポリスチレンの微細粒子(発売元micromod社、品番号MPT01−05−102)では、共通してトリパンブルーで濃く染色される細胞を生じなかった。また、細胞の溶解も認められた(図10、図11、図12)。
この事は、トレボウクシア藻綱に属する藻について、表面がアミノ基で修飾された3ポリスチレン粒子であれば、その粒径の違いに関わりなく、最終濃度1,000ppmでの暴露が細胞死を誘導できる事を示している。
緑藻植物門、緑藻綱に属する2種類の藻(Labochlamys culleus(NIES−2209株)、Haematococcus lacustris(NIES−144株))に対して、4種のポリスチレン微細粒子を最終濃度100ppmで暴露させて、細胞の変化とトリバンブルーに対する被染色性を顕微鏡観察した。Labochlamys culleus(図13)については、粒子添加後3時間で観察、Haematococcus lacustrisについては(図14)、粒子添加後24時間で観察した。▲1▼から▲5▼に加えた粒子は以下の通りである。▲1▼粒子無添加、▲2▼50nmの表面無修飾のポリスチレン粒子(製造元 Polysciences社、製品番号08691)を最終濃度100ppmで添加、▲3▼50nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L0780)を最終濃度100ppmで添加、▲4▼100nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L9904)を最終濃度100ppmで添加、▲5▼1,000nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L1030)を最終濃度100ppmで添加。
2種類の藻は、共通して表面がアミノ基で修飾された3種類のポリスチレン粒子(シグマアルドリッチ、製品番号L0780、L9904、L1030)の暴露によりトリパンブルーで濃く染色される細胞を生じた。
また、Haematococcus lacustrisについては表面に修飾を持たないポリスチレンの微細粒子(発売元micromod社、品番号MPT01−05−102)の暴露でもトリパンブルーで染色される藻を生じた(図13、図14)。
この2種類の藻は、用いた4種のポリスチレン粒子の暴露において、顕著な細胞の溶解性を示さなかった(図13、図14)。
2種類の緑藻植物門に属さない藻、Prymnesium parvum(ハプト植物門、プリムネシウム藻綱)及びHeterocapsa triquetra(渦鞭毛植物門、渦鞭毛藻綱)に対して、4種のポリスチレン微細粒子を最終濃度100ppmで暴露させて、細胞の変化とトリバンブルーに対する被染色性を3時間後に顕微鏡観察した。▲1▼から▲5▼に加えた粒子は以下の通りである。▲1▼粒子無添加、▲2▼50nmの表面無修飾のポリスチレン粒子(製造元 Polysciences社、製品番号08691)を最終濃度100ppmで添加、▲3▼50nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L0780)を最終濃度100ppmで添加、▲4▼100nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L9904)を最終濃度100ppmで添加、▲5▼1,000nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L1030)を最終濃度100ppmで添加。
2種類の藻は、共通して表面がアミノ基で修飾された3種類のポリスチレン粒子(シグマアルドリッチ、製品番号L0780、L9904、L1030)および、表面に修飾を持たないポリスチレン(発売元micromod社、品番号MPT01−05−102)の暴露により、Prymnesium parvumは顕著な細胞の溶解を示し(図15)、Heterocapsa triquetraはトリパンブルーで濃く染色される細胞を生じた(図16)。
4種類のシアノバクテリア(藍藻)、Arthrospira platensis(図17)、Aphanizomenon flos−aquae(図18)、Dolichospermum planctonicum(図19)、Cylindrospeumopsis raciborskii(図20)に4種のポリスチレン微細粒子を最終濃度1,000ppmで暴露させて、細胞の変化を3時間後に観察した。▲1▼から▲4▼に加えた粒子は以下の通りである。▲1▼粒子無添、▲2▼50nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L0780)を最終濃度1,000ppmで添加、▲3▼100nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L9904)を最終濃度1,000ppmで添加、▲4▼1,000nmの表面がアミノ基で修飾されたポリスチレン粒子(製品発売元シグマアルドリッチ、製品番号L1030)を最終濃度100ppmで添加。
当該4種類のシアノバクテリアともに、3時間後にはいずれの種類のポリスチレン微細粒子であっても、顕著な細胞溶解が観察された(図17、図18、図19、図20)。
また、Aphanizomenon flos−aquae(図18)及びCylindrospeumopsis raciborskii(図20)では、L9904液中の粒子において細胞全体が当該微細粒子で覆われている事が蛍光観察で確認できた。
また、Arthrospira platensisについては、L1030液中の粒子において細胞全体が当該微細粒子で覆われている事が蛍光観察で確認できた(図17)。
本発明は、藻類の増殖を抑制する方法、増殖している藻を死滅させる方法、藻の代謝異常を誘発して有用物質を生産させる方法に利用できる。

Claims (11)

  1. ポリスリレンを主骨格し、藻類の細胞壁に配置されるタンパク質や酵素に親和性を示す有機化合物の微細粒子を含有する、代謝異常誘起を利用した藻類増殖抑制剤。
  2. ポリスリレンを主骨格し、藻類の細胞壁に親和性を示す有機化合物の微細粒子粒子を含有する、代謝異常誘起を利用した藻類増殖抑制剤。
  3. 前記微細粒子が、ポリスリレン粒子またはポリスチレン粒子の表面に化学修飾を持つ請求項1及び2に記載の代謝異常誘起を利用した藻類増殖抑制剤。
  4. 請求項2及び3のポリスリレンを主骨格とする微細粒子の表面修飾がアミノ基またはトリアルキルアンモニウム基である請求項3の代謝異常誘起を利用した藻類増殖抑制剤。
  5. 前記藻類が、緑藻植物門に属する藻類である請求項1〜4の何れか一項に記載の代謝異常誘起を利用した藻類増殖抑制剤。
  6. 前記緑藻植物門が緑藻綱またはトレボウクシア藻綱に属する藻類である請求項5に記載の代謝異常誘起を利用した藻類増殖抑制剤。
  7. 前記藻類がクラミドモナス属またはクロレラ属に属する藻類である請求項1〜6の何れか一項に記載の代謝異常誘起を利用した藻類増殖抑制剤。
  8. 前記藻類が、渦鞭毛虫門に属する渦鞭毛藻類、シアノバクテリア(藍藻)に属する藍藻類、ハプト植物門に属するハプト藻類、ミドリムシ植物門に属するユーグレナ藻類の群から選択される少なくとも一種である請求項1〜4の何れか一項に記載の代謝異常誘起を利用した藻類増殖抑制剤。
  9. 前記藻類の増殖を原因とする水質の汚濁を予防あるいは抑制する請求項1〜8の何れか一項に記載の代謝異常誘起を利用した藻類増殖抑制剤。
  10. ポリスリレンを主骨格し、藻類の細胞壁に配置されるタンパク質や酵素に親和性を示す有機化合物の微細粒子を使用して、代謝異常誘起し藻類の増殖を抑制する方法。
  11. ポリスリレンを主骨格し、藻類の細胞壁に親和性を示す有機化合物の微細粒子を使用して、代謝異常誘起し藻類の増殖を抑制する方法。
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