JP2020026573A - マグネシウム合金粉末 - Google Patents

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敏治 松本
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太司 城戸
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広郁 宮原
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Abstract

【課題】軽量なマグネシウム合金であって3次元プリンターでの構造部材等、電極材、塗料、医療用デバイスなどの用途に適している粉末態様の、マグネシウム合金粉末を、提供する。【解決手段】本発明のマグネシウム合金粉末は、カルシウム(Ca)と、マグネシウム(Mg)と、添加元素を含み、粉末の平均粒径が200μm未満であり、凝固組織の平均粒径が5μm未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、合金ビレットを機械的に粉砕、削り出しなどを行うのではなく、粉末として製造して粉末状態であるマグネシウム合金粉末に関する。
電子機器、自動車や航空機などの輸送機器、精密機器、製造機械など、様々なアプリケーションにおいて筐体などを構成するために種々の金属素材が用いられる。このような電子機器、輸送機器、精密機器、製造機械などは、軽量化が求められている。電子機器や精密機器などは、携帯性を高めるために軽量化が求められる。輸送機器などは、その燃費性能向上や動作性能向上のために、軽量化が求められる。
加えて、電子機器や輸送機器などの多くの分野では、強度や耐久性も求められる。電子機器や精密機器ではその筐体に軽量でありながら強度などを有する金属素材が求められる。輸送機器では、軽量であって強度および耐熱性などを有する金属素材が求められる。特に、電子機器や輸送機器などの構造材(部品、筐体、骨格部材などの様々な部分)での軽量化が求められる。
このように軽量でありながら耐久性や強度(耐熱性)に優れた金属素材が、これら機器の構造部材に使用されることが多くなってきている。例えば、アルミニウムやアルミニウム合金が軽量性の観点から採用されている場合もある。鉄素材に比較すれば、その軽量性が高いからである。
しかしながら、アルミニウムやアルミニウム合金は、強度、耐久性などの観点で不十分な点が多い。このため、アルミニウムやアルミニウム合金に代わる金属素材が求められる傾向がある。
加えて、インゴット態様や板状態様の金属素材を、成型加工して構造材などにすることよりも、粉末素材の金属素材を積層造形して構造材が製造されることも行われるようになっている。あるいは、粉末素材の金属素材を、成型して焼結させる焼結加工が行われて構造材が製造されることも行われる。板状部材などを成型加工するよりも、加工容易性が高く、複雑形状への加工が容易に行えるメリットがある。
また、粉末素材からの積層造形や焼結加工により製造される構造材の方が、高い強度を発現しやすいとのメリットもある。
積層造形としては、例えば、3次元プリンターによる製造がある。加工容易性やコスト面のメリットから、様々な場面で、3次元プリンターが使用されている。これらの状況から、上述したように、軽量でありつつも耐久性、強度、耐熱性に優れており、粉末形態の金属素材が求められるようになってきている。
このような状況で、構造材料として実用可能な金属においては、最も低密度のマグネシウムが注目されている。マグネシウムの室温における密度は、1.7g/cm3であり、この密度は鉄の密度の約1/4であり、アルミニウムの密度の約2/3である。また、マグネシウムは、比強度、比剛性、切削性、耐くぼみ性、振動吸収等の性質が優れていることも知られている。
すなわち、鉄などの金属素材はもちろんのこと、アルミニウムに対しても、軽量化やその他の点で、マグネシウムは高い優位性を有している。このため、マグネシウムは、ノートパソコンや携帯端末の筐体などの小型の電子機器に用いられてきた。更なる展開として、上述のように、電子機器を始めとした輸送機器の各種部品に使用されることが望まれている。あるいは、筐体のみならず、内部の構造部材(内燃機関の一部など)にも採用されることが求められている。
しかしながら、マグネシウムは低温で発火しやすく、高温環境下での強度特性が低い(難燃性が低い)という問題を有している。電子機器においても機器が高温となることもあり、難燃性が低いことは、マグネシウム金属を電子機器の部材や筐体に利用しにくい問題を生じさせる。更には、輸送機器のように熱を発生させやすい機器にマグネシウム金属を適用する場合には、この難燃性が低いことの問題がより顕著に表れる。
例えば、多くの輸送機器は、エンジン機構によって駆動されることが多い。輸送機器に用いられる各種部品は、このエンジン機構からの熱や駆動による熱を受けやすく、高温環境となりやすい。小型の電子機器と異なり、輸送機器の各種部品には、この耐熱性の問題で、マグネシウム金属が適用されにくい状態であった。
また、上述したように、近年では3次元プリンターを用いた部材製造や、焼結加工による部材製造がおこなわれることも多くなっている。このような製造工程では、金属素材がインゴット形態から成型加工されるよりも、粉末態様の金属素材から製造されることが適切である。特に、3次元プリンターでは、粉末の金属素材が必要である。積層造形においては、この粉末金属からの製造が必要となるからである。
また、電子機器や輸送機器の構造部材だけでなく、電池の電極材、医療用デバイス、塗料等の様々な分野でも、軽量性や化学的特性から、マグネシウム系金属素材の適用が求められている。このような用途でも、インゴット態様や板状態様ではなく、粉末態様のマグネシウム系金属素材が求められる。
このように、軽量であると共に難燃性を実現し、粉末態様から製造することが求められる用途に対して、粉末形態のマグネシウム合金が求められている。この粉末形態は、マグネシウム合金が製造される際に粉末として実現され、インゴットなどを切削加工して微細化するものではない。
このような状況で、マグネシウム合金粉末の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017−61753号公報
特許文献1は、0.2質量%以上5質量%以下のカルシウムを含むマグネシウム基合金で構成され、粒子表面が酸化カルシウムを含む被覆層で覆われてなる粉末であって、粒子の平均粒径が100μm以上1500μm以下であり、粒子断面の10か所についてマイクロビッカース硬度を測定したとき、その最大値と最小値との差を前記最大値で割った値である硬度ばらつき指標の平均値が0.3以下であることを特徴とするマグネシウム基合金粉末を開示する。
しかしながら、特許文献1のマグネシウム基合金粉末は、その平均粒径が100μm以上であって粒径が大きい問題がある。例えば、3次元プリンターなどでは、100μm未満の粒径での粉末金属素材が必要であり、特許文献1に開示されるマグネシウム基合金粉末では、3次元プリンターでの利用が困難である。また、3次元プリンターにより製造される構造部材だけでなく、電極材、塗料、医療用デバイスなどでも、その強度、耐久性、加工性などから、粉末粒径が小さいことが必要である。
この点でも、特許文献1の技術は不十分である問題がある。
また、特許文献1の技術は、その請求項10に記載のように、押出体を用途としている点で、上述したような、3次元プリンターでの構造部材等、電極材、塗料、医療用デバイスなどの用途に適していない問題も有している。
本発明は、これらの課題に鑑み、軽量なマグネシウム合金であって3次元プリンターでの構造部材等、電極材、塗料、医療用デバイスなどの用途に適している粉末態様の、マグネシウム合金粉末を、提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明のマグネシウム合金粉末は、カルシウム(Ca)と、
マグネシウム(Mg)と、
添加元素を含み、
粉末の平均粒径が200μm未満であり、
凝固組織の平均粒径が5μm未満である。
本発明のマグネシウム合金粉末は、インゴットなどからの切削加工などによる微細化ではなく、粉末として製造される。このため、粉末のそれぞれにおいて凝固組織を含んでおり、マグネシウムの特性および添加された他の物質の特性を、適切に反映できる。加えて、凝固組織が成長した粒子の粉末であるので、粉末の個々の形状、物性の均一性が高く、その後の部材製造に適している。特に、マグネシウムの特徴である軽量性などを、製造される部材においても実現できる。
また、従来技術に比較して、粒径や凝固組織の粒径が十分に小さいことで、3次元プリンターにも最適に使用できる。
また、凝固組織の粒径が非常に小さいことで、組織微細化により機械的特性が向上する。更に、強度などのプラスメリットがありながらも、金属粉末とすることや耐熱性などへの悪提供を与えない、添加元素が加わることも許容できることで、製造での柔軟性が高まる。
カルシウムを混合した場合のマグネシウム合金の発火温度が上昇することを示すグラフである。 本発明の実施の形態1におけるマグネシウム合金粉末の写真である。 本発明の実施の形態1における平均粒径の異なるマグネシウム合金粉末の写真である。 粉末の粒径および凝固組織を測定する際の状態を示す説明図である。 実施例1の粉末の平均粒径の測定結果を示すグラフである。 実施例1のマグネシウム合金粉末の顕微鏡写真である。 実施例2の粉末の平均粒径の測定結果を示すグラフである。 実施例2のマグネシウム合金粉末の顕微鏡写真である。 実施例3の粉末の平均粒径の測定結果を示すグラフである。 実施例3のマグネシウム合金粉末の顕微鏡写真である。 実施例4の粉末の平均粒径の測定結果を示すグラフである。 実施例4のマグネシウム合金粉末の顕微鏡写真である。 実施例5の粉末の平均粒径の測定結果を示すグラフである。 実施例5のマグネシウム合金粉末の顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態3におけるマグネシウム合金粉末の製造方法を示すフロー図である。 ガスアトマイズ法に用いる製造装置の一例を示す模式図である。 図16の製造装置により製造されたマグネシウム合金粉末の写真である。
本発明の第1の発明に係るマグネシウム合金粉末は、カルシウム(Ca)と、
マグネシウム(Mg)と、
添加元素を含み、
粉末の平均粒径が200μm未満であり、
凝固組織の平均粒径が5μm未満である。
この構成により、軽量かつ難燃性でありながら、焼結体や積層造形や吹付などの工程で部材や部品を製造できる合金素材を提供できる。
本発明の第2の発明に係るマグネシウム合金粉末では、第1の発明に加えて、添加元素は、第1添加元素群を含み、
第1添加元素群は、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)およびマンガン(Mn)の内の、少なくとも一つ以上の組み合わせである。
この構成により、軽量性や難燃性を損なわず、粒径においても十分なマグネシウム合金粉末が得られる。
本発明の第3の発明に係るマグネシウム合金粉末では、第1または第2の発明に加えて、添加元素は、第2添加元素群を含み、
第2添加元素群は、ケイ素(Si)、ベリリウム(Be)、ジルコニウム(Zr)、すず(Sn)、リチウム(Li)、銀(Ag)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ストロンチウム(Sr)、ジスプロシウム(Dy)の少なくとも一つ以上の組み合わせである。
この構成により、軽量性や難燃性を損なわず、粒径においても十分なマグネシウム合金粉末が得られる。また、場合に応じて、機械的強度の向上などを実現できる。
本発明の第4の発明に係るマグネシウム合金粉末では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、粉末の平均粒径が、100μm未満である。
この構成により、より粒径が小さくなり、積層造形や塗布などの様々な用途に最適に使用できるマグネシウム合金粉末が実現できる。
本発明の第5の発明に係るマグネシウム合金粉末では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、粉末の平均粒径が、67μm未満である。
この構成により、例えば3次元プリンターにおいて最適に使用できる。
本発明の第6の発明に係るマグネシウム合金粉末では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、カルシウムは、全体に対して0〜20mass%である。
この構成により、難燃性を実現しつつも、マグネシウムの特性を維持できるマグネシウム合金粉末を実現できる。
本発明の第7の発明に係るマグネシウム合金粉末では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、添加元素は、全体に対して0〜20mass%である。
この構成により、難燃性を実現しつつも、マグネシウムの特性を維持できるマグネシウム合金粉末を実現できる。また、添加元素の特性に応じた特性を発揮させることもできる。
本発明の第8の発明に係るマグネシウム合金粉末では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、粉末の粒径形状が、略球状である。
この構成により、様々な用途での使用が容易となる。
本発明の第9の発明に係るマグネシウム合金粉末では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、マグネシウム合金粉末は、3次元プリンターに使用される。
この構成により、3次元プリンターにおいても、マグネシウムの特性を活かした部材や部品の製造が可能となる。
本発明の第10の発明に係るマグネシウム合金粉末では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、マグネシウム合金粉末は、電子機器、輸送機器、精密機器、電極材、医療用デバイスの構造材における焼結体用の粉体原料、もしくは塗料用の粉体原料に使用される。
この構成により、粉末形態であることが好適である種々の用途に、最適に使用できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
(全体概要)
まず、本発明のマグネシウム合金粉末の全体概要について説明する。
本発明の実施の形態1におけるマグネシウム合金粉末は、粉末状態としての結果物で製造される。インゴットなどの部材が切削加工などされて紛体が得られるものではない。すなわち、製造工程を経て製造される合金が、粉末状である。この粉末状であるものが、本発明のマグネシウム合金粉末である。
実施の形態1におけるマグネシウム合金粉末は、カルシウムとマグネシウムと追加元素を含み、粉末としての平均粒径が200μm未満であり、凝固組織の平均粒径が5μm未満である。
マグネシウム合金粉末は、製造された段階で粉末状である。この形態である粉末の平均粒径が200μm未満である。平均粒径であるので、複数のマグネシウム合金粉末の粒径の平均として、200μm未満である。このため、複数のマグネシウム合金粉末の一部の粒径が、200μm以上であっても、全体としての平均が、200μm未満であればよい。
平均粒径200μm未満と非常に小さいことで、電極材、医療用デバイス、塗料、積層デバイス用の素材などに、好適に使用できる。例えば、このマグネシウム合金粉末は、電子機器、輸送機器、精密機器、電極材、医療用デバイスの構造材における焼結体用の粉体原料、もしくは塗料用の粉体原料、もしくは積層用の粉体原料に好適に使用できる。
また、マグネシウム合金粉末は、内部に凝固組織を有する。製造される過程で凝固組織が成長する。この凝固組織の平均粒径が5μm未満である。凝固組織の平均粒径が5μm未満であることで、マグネシウム合金粉末の強度が実現される。この結果、マグネシウム合金粉末は上述のように、電極材、医療用デバイス、塗料、積層デバイス用の素材などに、好適に使用できる。
また、凝固組織の平均粒径が5μm未満と非常に小さいことで、マグネシウム合金粉末を用いて製造された部材や部品などの機械的特性が向上する。凝固組織の平均粒径が小さいことで、マグネシウム合金粉末の凝固組織を起点とする破壊を減少させることができるからである。
このように本発明のマグネシウム合金粉末は、平均粒径および凝固組織のそれぞれの平均粒径が非常に小さいことで、電子機器、輸送機器、精密機器、電極材、医療用デバイス、塗料、積層デバイス用の粉体原料などに、好適に使用できる。また、3次元プリンターなどの積層デバイス用素材にも好適に使用できる。粉末状であることが必要であると共に、その粒径が小さいことが必要な分野において、好適に使用できる。
また、本発明のマグネシウム合金粉末は、カルシウムを含有していることで、難燃性であるメリットも有する。難燃性であることで(発火温度が高い)、高温になることが有り得る電子機器や輸送機器の部品、部材、構造材などにも使用可能である。
図1は、カルシウムを混合した場合のマグネシウム合金の発火温度が上昇することを示すグラフである。図1のグラフに示されるように、カルシウムが混合されたマグネシウム合金の発火温度は、マグネシウム単体よりも高く、混合される量の増加によっては、その発火温度も上昇する。この結果、カルシウムが添加されたマグネシウム合金の難燃性が高まっていることが分かる。
(添加元素)
また、本発明のマグネシウム合金粉末は、カルシウムとマグネシウムに加えて添加元素を含んでいる。この添加元素は、後述するように、第1添加元素群から選択される元素あるいは第2添加元素群から選択される元素を含んでいる。これらのいずれかの添加元素を含むことで、製造の幅が広がるメリットがある。添加元素がふくまれることで、例えば、機械的強度を上げたり、加工性を向上させたりする効果のある添加元素を含めることができる。このように、添加元素を含むことが許容されることで、製造の幅が広がったり、追加的な効果を狙ったりすることができる。
ここで、添加元素は、まず第1添加元素群を含む。
第1添加元素群は、第1添加元素群は、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)およびマンガン(Mn)の内の、少なくとも一つ以上の組み合わせである。このように定義される第1添加元素群を、マグネシウム合金粉末は含む。マグネシウム合金粉末は、このように定義される第1添加元素群を含む場合でも、マグネシウム合金粉末は、上述の通り、粉末の平均粒径が200μm未満であり、凝固組織の平均粒径が5μm未満である。
例えば、カルシウム、マグネシウム、亜鉛とを含むマグネシウム合金粉末が、第1添加元素群を含むマグネシウム合金粉末である。
また、添加元素は、第2添加元素群を含む。
第2添加元素群は、ケイ素(Si)、ベリリウム(Be)、ジルコニウム(Zr)、すず(Sn)、リチウム(Li)、銀(Ag)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ストロンチウム(Sr)、ジスプロシウム(Dy)の少なくとも一つ以上の組み合わせである。このように定義される第2添加元素群を含む場合でも、マグネシウム合金粉末は、上述の通り、粉末の平均粒径が200μm未満であり、凝固組織の平均粒径が5μm未満である。
例えば、カルシウム、マグネシウム、ベリリウムを含むマグネシウム合金粉末が、第2添加元素群を含むマグネシウム合金粉末である。
このような第1添加元素群や第2添加元素群を含むことで、例えば、機械的強度などの面での向上を目指しつつも、難燃性と微小性による粉体原料の最適化を実現できる。
また、第1添加元素群と第2添加元素群で定義される元素のそれぞれが含まれる場合もありえる。すなわち、アルミニウムとケイ素の両方を含むことでもよい。すなわち、本発明のマグネシウム合金粉末は、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素を含んで、粉末の平均粒径が200μm未満であって、凝固組織の平均粒径が5μm未満である粉体である。
(平均粒径)
上述においては、第1段階として、マグネシウム合金粉末の平均粒径が200μm未満である場合を説明した。第2段階として、本発明のマグネシウム合金粉末の平均粒径は、100μm未満であることも好適である。
平均粒径が100μm未満であることで、本発明のマグネシウム合金粉末は、より小さくなり、上述した電子機器、輸送機器、精密機器、電極材、医療用デバイス、塗料、積層デバイス用の素材などに、より好適に使用できる。粒径が小さいことは、これらのようなデバイスにおける製造工程が容易になると共に、製造されたこれらのデバイスや部材の耐久性や強度が向上する。特に、これらの構造材における焼結体に適した粉体原料であったり、塗料用の粉体原料であったりすることに好適である。
また、第3段階として、マグネシウム合金粉末の平均粒径が67μm未満であることも好適である。次に述べるように、3次元プリンターの積層用の粉体原料として好適に使用できるからである。
近年、3次元プリンターが様々な分野で使用されている。成型加工や研削加工などの従来の加工技術を用いて部品や部材を製造するだけでなく、3次元プリンターで部品や部材を製造することが増えてきている。特に、少量多品種などの場合や試作品などの場合には、3次元プリンターが使用される場合が増えてきている。
この3次元プリンターは、粉末素材を用いて積層して部品や部材を製造する。このため、粉末素材が必要となる。このとき、3次元プリンターに用いられる粉末素材は、粒径が小さいことが好ましい。その中でも、67μm以下であることは、3次元プリンターでの使用として、一つの基準である。
このため、本発明のマグネシウム合金粉末の平均粒径が、67μm未満であることは、非常に好適である。
なお、3次元プリンターの構造や種類によって、使用される粉末部材に要求される粒径は異なりうる。67μm未満とは、この一例である。他の大きさを基準とすることもありえる。
このように、本発明のマグネシウム合金粉末は、平均粒径が非常に小さい。加えて、平均粒径も用途において必要とされる段階に対応して調整が可能である。この結果、電極材、医療用デバイス、塗料、積層デバイス用の素材などに適切に使用できる。これらの素材に使用できることで、電子機器、精密機器、輸送機器などの部品や部材にも最終的に適用が可能となる。
(一例の説明)
実施の形態1におけるマグネシウム合金粉末の一例について説明する。
(マグネシウム合金粉末の写真)
図2は、本発明の実施の形態1におけるマグネシウム合金粉末の写真である。図2の写真に示されるマグネシウム合金粉末1は、実際に発明者が製作したものである。マグネシウム合金粉末1は、実際に粉末状態として製造される。
また、図2の写真のマグネシウム合金粉末1の内部に凝固組織2が成長している。写真における網目状の黒色部分とそれに囲まれた白色部分が、凝固組織2である。
マグネシウム合金粉末1の平均粒径とは、図2の写真に示される円形の直径に基づくものである。凝固組織2の平均粒径は、図2の写真の内部の網目状の黒色部分に囲まれた白色部分の直径に基づくものである。
図3は、本発明の実施の形態1における平均粒径の異なるマグネシウム合金粉末の写真である。図3の写真では、左側から粒径が46μmのマグネシウム合金粉末、粒径が70μmのマグネシウム合金粉末、粒径が107μmのマグネシウム合金粉末のそれぞれが示されている。
これらは、いずれも発明者が実際に製作したマグネシウム合金粉末である。左の粒径が46μmのマグネシウム合金は、平均粒径が67μm未満のマグネシウム合金粉末の一例である。真ん中の粒径が70μmのマグネシウム合金粉末は、平均粒径が100μm未満のマグネシウム合金粉末の一例である。右側の粒径が107μmのマグネシウム合金粉末は、平均粒径が200μm未満のマグネシウム合金粉末の一例である。
このように、平均粒径が200μm未満のマグネシウム合金粉末において、100μm未満、67μm未満のそれぞれの段階でのものを製造できる。
(凝固組織)
図2の写真に示されるように、マグネシウム合金粉末1の内部には、凝固組織2が含まれている。マグネシウム合金粉末1が製造される過程で、内部の凝固組織が成長する。
凝固組織2の平均粒径は、5μm未満である。このように凝固組織2の平均粒径が非常に小さいことで、機械的特性が向上する。特に、マグネシウム合金粉末1を用いて製造された部品や部材の機械的特性も向上する。
マグネシウム合金粉末1は、その平均粒径が小さいだけでなく、内部の凝固組織2の平均粒径も小さいので、電極材、医療用デバイス、塗料、積層デバイス用の素材などに好適に使用でき、機械的特性も高い。
例えば、マグネシウム合金粉末1を用いて積層造形された部材や部品は、機械的特性が高い。また、この部材を加工して作られる部品や構造材の機械的特定も高い。このように、マグネシウム合金粉末1の特性を引き継いで、目的とする部品や部材が製造できる。
(カルシウムの含有率)
マグネシウム合金粉末は、カルシウムとマグネシウムと上述した添加元素を含む。添加元素群は、第1添加元素群の元素および第2添加元素群の元素の少なくとも一つを含む。
ここで、カルシウムは、全体に対して0〜20mass%であることも好適である。カルシウムの含有率が、この範囲であることで、マグネシウム合金粉末の難燃性を向上させつつ、マグネシウム合金粉末のマグネシウムの特性(軽量性など)を損なわない。
(添加元素の含有率)
添加元素は、全体対して0〜20mass%であることも好適である。添加元素の含有率が、この範囲であることで、マグネシウム合金粉末の難燃性や軽量性などを損なわずに、粉体原料としての利用に適した状態とできる。また、機械的強度などのプラスメリットを与えつつも、粉体原料としての難燃性や軽量性を維持したままとできる。
(粉末形状)
図2、図3に示される通り、マグネシウム合金粉末の外形形状は、略球状であることも好適である。図2、図3では、発明者が実際に製造したマグネシウム合金粉末であり、いずれも外形が略球状である。略球状であることで、焼結体用としてや積層造形するための素材として適切である。
3次元プリンターのように、積層造形に用いられる場合には、略球状であることで、使用が容易となるからである。また、使用が容易となるのに加えて、積層造形されて製造される部材や部品の精度が向上するからである。
(用途)
上述で説明したマグネシウム合金粉末1は、種々の用途に使用される。その中でも、焼結体用としての粉体原料や、積層造形での部品や部材製造の粉体原料が好適である。粉末形態であることで、焼結体の製造工程や積層造形での製造工程に適しているからである。
積層造形を行う3次元プリンターで用いる粉末素材して使用されることが好適である。近年の製造現場や開発現場では、3次元プリンターが盛んに使用されている。3次元プリンターを用いた部材や部品の製造においても、マグネシウムを主成分とする素材が求められている。軽量化が求められるからである。
このため、マグネシウム合金粉末1は、この3次元プリンターの使用において最適である。また、カルシウムが含有されていることで、難燃性も実現されている。
また、マグネシウム合金粉末1は、電子機器、輸送機器、精密機器、電極材、医療用デバイスの構造材や、塗料のいずれかに使用されることも好適である。これらも粉末を固めて製造されたり、基体に粉末が塗布や蒸着されて製造されたりするからである。すなわち、焼結体用の粉体原料として好適に使用できる。
これらの用途においても、マグネシウムの軽量性とカルシウムが含有されていることでの難燃性が適している。添加元素は、これらの特性に影響を与えない。また機械的特性の向上などの追加的なメリットを生じさせる。また、粉末であって、平均粒径および凝固組織の平均粒径のそれぞれが小さいことで、製造が容易であると共に、製造後の機械的特性が高くなる。
以上のように、実施の形態1におけるマグネシウム合金粉末は、平均粒径と凝固組織の平均粒径が小さいことで、積層造形などを始めとした様々な分野で好適に使用できる。また、平均粒径が小さいことで、用途への広がりや製造精度の向上が実現できる。加えて、凝固組織の平均粒径が小さいことで、機械的強度などの特性が向上する。
(実施の形態2)
実施の形態2においては、いくつかの実施例について説明する。
(実施例1:添加元素がほとんどないか微量の場合)
発明者は、実施例1として、添加元素がほとんどないか微量である、全体に対して0.5mass%のカルシウムと残部のマグネシウムを含有するマグネシウム合金粉末を作製した。作製工程は次の通りである。
(1)原料となるマグネシウムおよびカルシウムを所定含有率となるように秤量する。
(2)秤量された原料を溶融する。
(3)溶融した溶融金属を、環境雰囲気を制御した状態で、冷却部へ滴下する。
(4)冷却部による冷却により、凝固した粉末を、マグネシウム合金粉末として回収する。
このようにして作製された実施例1のマグネシウム合金粉末の粒径および凝固組織を測定した。
(粉末の平均粒径の測定)
粉末の平均粒径の測定は次の通りに行った。
装置:マイクロトラック9320・X100 HRA(日機装(株)製)
試料粒子の分散媒体:イオン交換水
測定方法:マグネシウム合金粉末をイオン交換水とともに流動・循環させ、これにレーザー光を照射して生じた光の散乱角度等を読み取ることで、粉末の粒径を測定する。これを繰り返すことで粒度分布と平均粒径が計算する。また、図4に示される「D」が、マグネシウム合金粉末そのものの粒径であり、これを測定すれば、一つの粉末の粒径が測定できる。図4は、粉末の粒径および凝固組織を測定する際の状態を示す説明図である。
(結晶組織の平均粒径の測定)
結晶組織の平均粒径の測定は、次の通りに行った。顕微鏡写真から凝固組織の平均粒径を測定した。凝固組織の粒径については、図4に示されるように粉末断面の同心円と交わる結晶の数で、円周を除算して、凝固組織の粒径を算出する。図4に示される算出式によって、凝固組織の平均粒径の算出が行われる。
図5は、実施例1の粉末の平均粒径の測定結果を示すグラフである。図5のグラフから明らかな通り、実施例1のマグネシウム合金粉末の平均粒径は、50.4μmである。また、図6は、実施例1のマグネシウム合金粉末の顕微鏡写真である。図6の写真から明らかな通り、実施例1のマグネシウム合金粉末の凝固組織の平均粒径は、4.9μmである。すなわち、5μm未満である。
このように、全体に対して0.5mass%のカルシウムと残部のマグネシウムを含有するマグネシウム合金粉末は、粉末の平均粒径が200μm未満であり、凝固組織の平均粒径は5μm未満であることが確認された。このような特性を有することで、焼結体用の粉体材料や積層造形の粉体材料として好適であることが確認された。
(実施例2:5mass%アルミニウム、0.3mass%マンガン、1mass%カルシウム、残部はマグネシウムのマグネシウム合金粉末)
発明者は、実施例2として、全体に対して5mass%アルミニウム、全体に対して0.3mass%マンガン、全体に対して1mass%カルシウム、残部はマグネシウムのマグネシウム合金粉末を作製した。作製工程は実施例1と(原料と含有率を除いて)同様である。このようにして作製された実施例2のマグネシウム合金粉末の平均粒径および凝固組織の平均粒径を測定した。粉末の平均粒径と凝固組織の平均粒径の測定方法は、実施例1で説明したのと同様である。
図7は、実施例2の粉末の平均粒径の測定結果を示すグラフである。図7のグラフから明らかな通り、実施例2のマグネシウム合金粉末の平均粒径は、49.5μmである。また、図8は、実施例2のマグネシウム合金粉末の顕微鏡写真である。図8の写真から明らかな通り、実施例2のマグネシウム合金粉末の凝固組織の平均粒径は、3.1μmである。すなわち、5μm未満である。
このように、 全体に対して5mass%アルミニウム、全体に対して0.3mass%マンガン、全体に対して1mass%カルシウム、残部はマグネシウムのマグネシウム合金粉末は、粉末の平均粒径が200μm未満であり、凝固組織の平均粒径は5μm未満であることが確認された。このような特性を有することで、焼結体用の粉体材料や積層造形の粉体材料として好適であることが確認された。
第1添加元素群から選択されるアルミニウム、マンガンが0〜20mass%含まれる場合でも、粉末の粒径や凝固組織の粒径は、目的通りの値である。結果として、積層造形や焼結体などに好適に利用できる粉体原料となる。もちろん、軽量性や難燃性を有しつつ、粒径の小ささによる機械的強度の実現もできる。
(実施例3:9mass%アルミニウム、0.7mass%亜鉛、2mass%カルシウム、残部はマグネシウムのマグネシウム合金粉末 )
発明者は、実施例3として、全体に対して9mass%アルミニウム、全体に対して0.7mass%亜鉛、全体に対して2mass%カルシウム、残部はマグネシウムであるマグネシウム合金粉末を作製した。作製工程は実施例1と(原料と含有率を除いて)同様である。このようにして作製された実施例3のマグネシウム合金粉末の平均粒径および凝固組織の平均粒径を測定した。粉末の平均粒径と凝固組織の平均粒径の測定方法は、実施例1で説明したのと同様である。
図9は、実施例3の粉末の平均粒径の測定結果を示すグラフである。図9のグラフから明らかな通り、実施例3のマグネシウム合金粉末の平均粒径は、52.3μmである。また、図10は、実施例3のマグネシウム合金粉末の顕微鏡写真である。図10の写真から明らかな通り、実施例3のマグネシウム合金粉末の凝固組織の平均粒径は、2.5μmである。すなわち、5μm未満である。
このように、全体に対して9mass%アルミニウム、全体に対して0.7mass%亜鉛、全体に対して2mass%カルシウム、残部はマグネシウムであるマグネシウム合金粉末は、粉末の平均粒径が200μm未満であり、凝固組織の平均粒径は5μm未満であることが確認された。このような特性を有することで、焼結体用の粉体材料や積層造形の粉体材料として好適であることが確認された。
このように、カルシウムとマグネシウムに加えて、第1添加元素群から選択される添加元素がふくまれる場合でも、粉末の平均粒径および凝固組織の平均粒径とは、所望の基準を達成できる。
(実施例4:4mass%アルミニウム、3mass%カルシウム、残部はマグネシウムのマグネシウム合金粉末)
発明者は、実施例4として、全体に対して4mass%アルミニウム、全体に対して3mass%カルシウム、残部はマグネシウムのマグネシウム合金粉末を作製した。作製工程は実施例1と(原料と含有率を除いて)同様である。このようにして作製された実施例4のマグネシウム合金粉末の平均粒径および凝固組織の平均粒径を測定した。粉末の平均粒径と凝固組織の平均粒径の測定方法は、実施例1で説明したのと同様である。
図11は、実施例4の粉末の平均粒径の測定結果を示すグラフである。図11のグラフから明らかな通り、実施例4のマグネシウム合金粉末の平均粒径は、53.0μmである。また、図12は、実施例4のマグネシウム合金粉末の顕微鏡写真である。図12の写真から明らかな通り、実施例4のマグネシウム合金粉末の凝固組織の平均粒径は、1.8μmである。すなわち、5μm未満である。
このように、全体に対して4mass%アルミニウム、全体に対して3mass%カルシウム、残部はマグネシウムのマグネシウム合金粉末は、粉末の平均粒径が200μm未満であり、凝固組織の平均粒径は5μm未満であることが確認された。このような特性を有することで、焼結体用の粉体材料や積層造形の粉体材料として好適であることが確認された。
このように、カルシウムとマグネシウムに加えて、第1添加元素群から選択される添加元素であるアルミニウムが含まれる場合でも、粉末の平均粒径および凝固組織の平均粒径とは、所望の基準を達成できる。
(実施例5:13.5mass%のアルミニウム、10.0mass%のカルシウム、残部のマグネシウム)
発明者は、実施例5として、全体に対して13.5mass%のアルミニウムと、全体に対して10.0mass%のカルシウムと、残部のマグネシウムを含有するマグネシウム合金粉末を作製した。作製工程は実施例1と(原料と含有率を除いて)同様である。このようにして作製された実施例5のマグネシウム合金粉末の平均粒径および凝固組織の平均粒径を測定した。粉末の平均粒径と凝固組織の平均粒径の測定方法は、実施例1で説明したのと同様である。
図13は、実施例5の粉末の平均粒径の測定結果を示すグラフである。図13のグラフから明らかな通り、実施例5のマグネシウム合金粉末の平均粒径は、50.4μmである。また、図14は、実施例5のマグネシウム合金粉末の顕微鏡写真である。図14の写真から明らかな通り、実施例5のマグネシウム合金粉末の凝固組織の平均粒径は、1.2μmである。すなわち、5μm未満である。
このように、全体に対して13.5mass%のアルミニウムと、全体に対して10.0mass%のカルシウムと、残部のマグネシウムを含有するマグネシウム合金粉末は、粉末の平均粒径が200μm未満であり、凝固組織の平均粒径は5μm未満であることが確認された。このような特性を有することで、焼結体用の粉体材料や積層造形の粉体材料として好適であることが確認された。
このように、カルシウムとマグネシウムに加えて、第1添加元素群から選択される添加元素が含まれる場合でも、粉末の平均粒径および凝固組織の平均粒径とは、所望の基準を達成できる。
以上のように、実施の形態2において、添加元素を含む場合でも、焼結体や積層造形に好適に使用できる粉体原料のマグネシウム合金粉末が得られることが確認された。
(実施の形態3)
次に実施の形態3について説明する。実施の形態3では、実施の形態1、2で説明したマグネシウム合金粉末の製造方法について説明する。マグネシウム合金粉末の製造方法は、次の工程を備える。
(溶融工程)
マグネシウムとカルシウムと添加元素を溶融させて溶融金属を製造する溶融工程。
(滴下工程)
溶融金属を滴下させる滴下工程。
(冷却凝固工程)
滴下される溶融金属を冷却して粉末凝固させる冷却凝固工程。
これらの工程を備えることで、実施の形態1,2で説明したマグネシウム合金粉末を製造することができる。
また、溶融工程の前段階において、必要となる原料のそれぞれを秤量する秤量工程が備わってもよい。
なお、秤量工程においては、マグネシウムやカルシウムなどの原料がそれぞれ秤量されてもよいが、秤量された原料から、一度インゴットが製造されることでもよい。溶融工程では、このインゴットが使用されてもよい。
図15は、本発明の実施の形態3におけるマグネシウム合金粉末の製造方法を示すフロー図である。図15にあるように、原料の秤量工程、溶融工程、滴下工程、冷却凝固工程とを備えている。これらの工程を経て、図15の最後に示されるように、粉体形態のマグネシウム合金粉末が製造される。
ここで、図16を用いて、一例としての製造装置を用いてマグネシウム合金粉末の製造について説明する。図16に示される製造装置は、ガスアトマイズ法に用いる製造装置の一例である。製造装置は、溶解炉10、噴霧槽11、回収部12を、備えている。これらの要素を順々に製造工程が進んでいく。溶解炉10をスタートとして秤量されたマグネシウム等の原料の溶融が行われる。
1:不活性ガスに置換した溶解炉10にて原料を溶解する。不活性ガスとしては、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガスなどがある。今回の製作例では、アルゴンガスを使用した。
2:噴霧槽11を不活性ガスに置換する。
3:溶融したマグネシウム合金を滴下して不活性ガスを吹き付ける。この不活性ガスの吹付により、溶解しているマグネシウム合金が粉末化する。
4:回収部12から粉末となったマグネシウム合金粉末を回収する。
以上の工程によって、マグネシウム合金粉末が製造される。
図17は、図16の製造装置により製造されたマグネシウム合金粉末の写真である。図16を用いて説明した製造装置によって得られるマグネシウム合金粉末は、実施の形態2で説明したように、粉末の平均粒径が200μm未満であり、凝固組織の平均粒径が5μm未満である。
このような製造方法を経て、切削などで削り取られた粉末態様のものではなく、最初から粉末状態であるマグネシウム合金粉末が製造できる。切削などでは、凝固組織が整然としてないあるいは成長していない粉末となり得るが、実施の形態3で説明した製造方法でのマグネシウム合金粉末は、凝固組織も整然としている。
なお、実施の形態1〜3で説明されたマグネシウム合金粉末は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
1 マグネシウム合金粉末
2 凝固組織
10 溶解炉
11 噴霧槽
12 回収部

Claims (11)

  1. カルシウム(Ca)と、
    マグネシウム(Mg)と、
    添加元素を含み、
    粉末の平均粒径が200μm未満であり、
    凝固組織の平均粒径が5μm未満である、マグネシウム合金粉末。
  2. 前記添加元素は、第1添加元素群を含み、
    前記第1添加元素群は、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)およびマンガン(Mn)の内の、少なくとも一つ以上の組み合わせである、請求項1記載のマグネシウム合金粉末。
  3. 前記添加元素は、第2添加元素群を含み、
    前記第2添加元素群は、ケイ素(Si)、ベリリウム(Be)、ジルコニウム(Zr)、すず(Sn)、リチウム(Li)、銀(Ag)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ストロンチウム(Sr)、ジスプロシウム(Dy)の少なくとも一つ以上の組み合わせである、請求項1または2記載のマグネシウム合金粉末。
  4. 前記粉末の平均粒径が、100μm未満である、請求項1から3のいずれか記載のマグネシウム合金粉末。
  5. 前記粉末の平均粒径が、67μm未満である、請求項1から3のいずれか記載のマグネシウム合金粉末。
  6. 前記カルシウムは、全体に対して0〜20mass%である、請求項1から5のいずれか記載のマグネシウム合金粉末。
  7. 前記添加元素は、全体に対して0〜20mass%である、請求項1から6のいずれか記載のマグネシウム合金粉末。
  8. 前記粉末の粒径形状が、略球状である、請求項1から7のいずれか記載のマグネシウム合金粉末。
  9. 前記マグネシウム合金粉末は、3次元プリンターに使用される、請求項1から8のいずれか記載のマグネシウム合金粉末。
  10. 前記マグネシウム合金粉末は、電子機器、輸送機器、精密機器、電極材、医療用デバイスの構造材における焼結体用の粉体原料、もしくは塗料用の粉体原料に使用される、請求項1から9のいずれか記載のマグネシウム合金粉末。
  11. マグネシウムとカルシウムと添加元素を溶融させて溶融金属を製造する溶融工程と、
    前記溶融金属を滴下させる滴下工程と、
    前記滴下される前記溶融金属を冷却して粉末凝固させる冷却凝固工程と、を備える、マグネシウム合金粉末の製造方法であって、
    前記マグネシウム合金粉末は、
    粉末の平均粒径が200μm未満であり、
    凝固組織の平均粒径が5μm未満である、マグネシウム合金粉末の製造方法。
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