実用されるポータブルデバイス及びモバイルデバイスの数及び種類はこの十年間で急増した。例えば携帯電話、タブレット、メディアプレイヤー等の使用は普遍的になった。このようなデバイスは通常内蔵電池によって給電され、典型的な使用シナリオは、多くの場合電池の充電又は外部電源からのデバイスの直接的な有線給電を必要とする。
今日のシステムのほとんどは、外部電源から給電されるために配線及び/又は明らかな電気接触を必要とする。しかし、これはどちらかといえば非実用的であり、ユーザーが物理的にコネクタを挿入すること又は他の方法で物理的な電気接触を確立することを要求する。また、導線の長さを導入することにより、これはユーザーにとって不便な傾向がある。また、通常は電力要求も大きく異なり、現在ではほとんどのデバイスに独自の専用電源が提供されており、結果として、それぞれが特定のデバイス専用の多数の異なる電源を普通のユーザーが保持することになる。内蔵電池の使用は、使用中に電源に有線接続する必要性を回避し得るが、電池が充電(又は高価な交換)を要するので、これは部分的な解決策しか提供しない。電池の使用は更にデバイスの重量、並びに潜在的にコスト及びサイズを著しく増加させ得る。
顕著に改良されたユーザー体験を提供するために、電力送信機デバイス内の送信コイルから個々のデバイス内の受信コイルに電力が誘導伝送されるワイヤレス給電の利用が提唱されている。
磁気誘導による電力伝送は、多くの場合、一次送信コイルと二次受信コイルとが密結合する変圧器に適用される良く知られた概念である。2つのデバイス間で一次送信コイルと二次受信コイルとを分けることにより、疎結合変圧器の原理に基づくデバイス間のワイヤレス電力伝送が可能になる。
このような構成は、導線又は物理的な電気接続の確立を要することなくデバイスへのワイヤレス電力伝送を可能にする。実際には、これはデバイスを送信コイルの付近又は上に置くだけで充電又は外部給電することを可能にする。例えば、電力伝送デバイスは給電のためにデバイスを単純に置くことができる水平面を備え得る。
更に、このようなワイヤレス電力伝送構成は、電力送信デバイスがある種類の電力受信デバイスと共に使用され得るよう好適に設計され得る。特に、Qi規格と呼ばれるワイヤレス電力伝送規格が定められており、現在も更なる発展が遂げられている。Qi規格は、規格に対応する電力送信デバイスが、同じメーカーであること又は互いに専用であることを必要とせず、同様にQi規格に対応する電力受信デバイスと共に使用されることを可能にする。Qi規格は、更に、動作が特定の電力受信デバイスに(例えば、特定の電力ドレインに応じて)適合されることを可能にする何らかの機能を含む。
Qi規格はWireless Power Consortiumによって開発され、より詳しい情報は例えばそのウェブサイトhttp://www.wirelesspowerconsortium.com/index.html上に見つけることができ、特に、規定された規格書を見つけることができる。
Qiワイヤレス給電規格は、電力送信機が電力受信機にある保証電力を供給可能でなければならないことを表す。要求される特定の電力レベルは電力受信機の設計に依存する。保証電力を定めるために、テスト電力受信機及び負荷条件のセットが定められ、これらは条件ごとの保証電力を表す。
Qiは、元々は、5W未満の電力ドレインのデバイスとして見なされる低電力デバイス用のワイヤレス電力伝送を規定したものである。Qi規格の対象範囲に含まれるシステムは、2つの平面コイル間の誘導結合を用いて電力送信機から電力受信機に電力を伝送する。2つのコイル間の距離は典型的には5mmである。このレンジは少なくとも40mmまで伸ばすことができる。
しかし、利用可能な電力を高める取り組みがなされており、特に、Qi規格は5Wより高い電力ドレインを有する中電力デバイスに拡張されようとしている。
Qi規格は、対応デバイスが満たさなければならない様々な技術的要件、パラメータ、及び動作手順を定める。
通信
Qi規格は電力受信機から電力送信機への通信をサポートし、これにより、電力送信機が特定の電力受信機に適合することを可能にし得る情報を電力受信機が供給することを可能にする。現在の規格では、電力受信機から電力送信機への一方向通信リンクが規定されており、アプローチは電力受信機が制御要素であるという原理に基づく。電力送信機と電力受信機との間での電力伝送を準備及び制御するために、電力受信機は電力送信機に明確に情報を送信する。
一方向通信は、電力受信機が二次受信コイルに与える負荷を変更して電力信号を変調させる負荷変調を実行することによって達成される。電力送信機はこれによって生じる電気特性の変化(例えば、電流ドローの変動)を検出及び復号(復調)し得る。
したがって、物理層において、電力受信機から電力送信機への通信チャネルは電力信号をデータキャリアとして使用する。電力受信機が負荷を変調し、これが送信コイル電流又は電圧の振幅及び/又は位相変化によって検出される。データはバイト及びパケットにフォーマットされる。
より詳しい情報は、Qiワイヤレス給電仕様書(バージョン1.0)の第1部、6章に見つけることができる。
Qiは一方向通信リンクを使用するが、電力送信機から電力受信機への通信を導入することが提唱されている。しかし、このような双方向リンクの導入は些細なことではなく、多数の難題及び課題が課される。例えば、システムは依然として後方互換性を持たなければならず、例えば、双方向通信不能な電力送信機及び受信機を依然としてサポートしなければならない。更に、既存のパラメータと調和しなければならないため、例えば変調オプション、電力変動、伝送オプション等に関する技術的制約は非常に厳しい。コスト及び複雑性が低く保たれることも重要であり、また、例えば追加ハードウェアの必要性が最小化されること、検出が容易且つ信頼可能であること等が望ましい。電力送信機から電力受信機への通信が電力受信機から電力送信機への通信に影響し、劣化させ、又は干渉しないことも重要である。更に、最も重要な要件は、通信リンクがシステムの電力伝送能力を容認しがたい程に低下させないことである。
したがって、双方向通信を含むようQi等の電力伝送システムを改良することには多くの課題及び困難が伴う。
システム制御
ワイヤレス電力伝送システムを制御するために、Qi規格は、システムが動作の異なる時点で属し得る複数のフェーズ又はモードを定める。更なる詳細はQiワイヤレス給電仕様書(バージョン1.0)の第1部、5章に見つけることができる。
システムは以下のフェーズに属し得る。
選択フェーズ
このフェーズはシステムが使用されていないとき、すなわち、電力送信機と電力受信機との間に結合が存在しない(すなわち、電力送信機の近くに電力受信機が配置されていない)ときの典型的なフェーズである。
選択フェーズでは、電力送信機はスタンバイモードにあり得るが、対象の潜在的な存在を検出する。同様に、受信機は電力信号の存在を待つ。
Pingフェーズ
送信機が対象の潜在的な存在を、例えば容量変化によって検出する場合、システムは電力送信機が(少なくとも間欠的に)電力信号を供給するPingフェーズに移行する。この電力信号は電力受信機によって検出され、電力受信機はその後電力送信機に最初のパッケージを送信する。具体的には、電力受信機が電力送信機のインターフェイス上に存在する場合、電力受信機は最初の信号強度パケットを電力送信機に伝送する。信号強度パケットは、電力送信コイルと電力受信コイルとの間の結合度の指標を与える。信号強度パケットは電力送信機によって検出される。
識別及び構成フェーズ
電力送信機及び電力受信機はその後、電力受信機が少なくとも識別子及び要求電力を伝達する識別及び構成フェーズに移行する。情報は負荷変調によって複数のデータパケットで伝達される。負荷変調の検出を可能にするために、電力送信機は識別及び構成フェーズ中、一定の電力信号を保つ。具体的には、電力送信機はこのために一定の振幅、周波数、及び位相の電力信号を供給する(負荷変調によって引き起こされる変化を除いて)。
実際の電力伝送に備え、電力受信機は自身の電子機器を起動するために受信信号を印加し得るが、出力負荷は未接続のままにする。電力受信機は電力送信機にパケットを伝送する。これらのパケットは識別及び構成パケット等の必須メッセージを含み、又は拡張識別パケット若しくは給電延期パケット等の定義オプションメッセージを含み得る。
電力送信機はその後、電力受信機から受信された情報に従って電力信号を構成する。
電力伝送フェーズ
システムはその後、電力送信機が要求電力信号を供給し、電力受信機が出力負荷を接続して受信された電力によって給電する電力伝送フェーズに移行する。
このフェーズ中、電力受信機は出力負荷条件を監視し、具体的には特定の動作点の実測値と目標値との間の制御エラーを測定する。電力受信機はこれらの制御エラーを制御エラーメッセージによって、例えば毎250msecの最小レートで電力送信機に伝送する。これは、電力受信機の継続する存在のサインを電力送信機に提供する。更に、制御エラーメッセージは、電力送信機が報告されたエラーを最小化するよう電力信号を調整する閉ループ電力制御を実行するために用いられる。具体的には、動作点の実測値が目標値に等しい場合、電力受信機は値がゼロの制御エラーを伝達し、結果として電力信号は変化しない。電力受信機が非ゼロの制御エラーを伝達する場合、電力送信機はこれに応じて電力信号を調節する。
システムは電力伝送の効率的なセットアップ及び動作を可能にする。しかし、このアプローチは制限的であり、任意の機能のための望ましいフレキシビリティ及びサポートを完全に許容しない可能性がある。例えば、電力受信機が電力送信機から5Wを超える電力を得ようとする場合、電力送信機は電力伝送を停止し、悪いユーザー体験をもたらし得る。したがって、改良された機能、フレキシビリティ、及びパフォーマンスを提供するために、Qi規格を更に発展させることが望ましい。
特に、一方向通信は制限的であり得る。実際には、これは電力送信機が電力受信機のあらゆるリクエストに対応可能でなければならないことを要求し、したがって、全ての電力送信機が対応可能であると知っているリクエストパラメータのみに電力受信機が制限されることを更に要求する。後方互換性の欠如をもたらすので、このようなアプローチは機能の更なる発展を複雑化又は阻害する。
しかし、上述したように、Qiシステム等の電力伝送システムへの双方向通信の導入は、効率的な電力伝送及び動作、並びに後方互換性を保証するためには、複雑であり、多くの制約及び要件が課される。
既存のシステムは限られた動作的フレキシビリティ及びカスタマイズオプションしか提供しない。特に、動作パラメータの適合は一定のパラメータのセットに制限される。例えば、識別及び構成フェーズは、いくつかの動作パラメータが特定の電力受信機に適合されることを可能にする。しかし、適合可能なパラメータの数は限られている。これはQi規格の更なる発展及び改良を制限し得る。例えば、新しい(より高い)電力レベル又は新しい通信方法(例えば、新しい双方向通信技術等)の導入を妨げ得る。
かかる高められたフレキシビリティをサポートするために規格化された動作を更に改良することは、信頼でき且つ効果的な動作をもたらす効率的な動作を提供するだけでなく後方互換性を持たなければならないため、非常に困難である。具体的には、改良された規格は、現在の規格(Qi規格のバージョン1.0及び1.1)に従って動作する機器を依然としてサポート可能でなければならない。
これは多くの問題を与え得る。例えば、現在の構成フェーズを単純に拡張することは、既存の機器の動作を変更しなければならないので、ふさわしくない可能性がある。また、これは更なる動作パラメータの決定において十分なフレキシビリティを実現しない可能性がある。他の問題としては、追加の構成を実行するには時間を要し、このような時間は現在の規格に従っては得られない可能性がある。
例えば、Qi規格は構成パケットと後続のパケットとの間に未使用の時間間隔を含むので、電力受信機から伝送される構成パケットを拡張して特定の動作パラメータの特定の値のリクエストを示す新たに定義されたビットを加えることは原理的には可能である。しかし、Qi規格の最初の拡張は、電力送信機が単一の承認を供給することしか許容できない。したがって、複数のリクエストに対する単一の承認は、電力送信機の応答を曖昧にさせる。例えば、電力受信機が電力レベル30Wのリクエスト及び専用通信モードのリクエストを含むパケットを送信する場合、電力送信機は、電力レベル30W及び専用通信モードの両方をサポートする場合にしかこのようなリクエストを肯定的に承認することができない。電力送信機が2つのリクエストのうちの一方しかサポートしない場合、電力送信機はリクエストを拒否しなければならない。
更に、システムが低い複雑性及び簡単な動作を維持することが非常に望ましい。特に、電力送信機からの通信の複雑性が低いことが望ましく、実際には多くの状況において、電力送信機からの通信が1ビット承認に限られることが望ましい。これは電力送信機から電力受信機への通信を非常に容易に実行することを可能にする。例えば、これは非常に低いデータレート要求をもたらし、例えば検出が非常に遅い電力信号変動に基づくことを可能にする。
したがって、電力送信機から電力受信機への通信を導入すること、例えば、電力送信機が特定の動作パラメータをサポートする能力を正確に定めるデータを提供することは、電力送信機から電力受信機へのより複雑な通信プロトコルを要求し、よってQiシステム等のシステムにおいては実用的ではない可能性がある。更に、電力送信機からの通信チャネルが低データレートしかサポートしない場合、かかる増加した情報の伝達は相当な時間を要し得る。このようなより複雑且つ時間を要するソリューションは、Qi等の低コスト低出力ソリューションの拡張にはあまり適さない。むしろ、より単純な拡張、例えば10−15Wのアプリケーションを可能にする既存のQi仕様v1.1の拡張に対応するソリューションが好ましかろう。
したがって、改良された電力伝送システムは有益であり、特に向上されたフレキシビリティ、改良された後方互換性、容易な実行、及び/又は改良されたパフォーマンスを可能にするシステムは有益であろう。
図1は、本発明の一部の実施形態に係る電力伝送システムの一例を示す。電力伝送システムは、送信コイル/インダクタ103を含む(又は送信コイル103に結合される)電力送信機101を備える。システムは更に、受信コイル/インダクタ107を含む(又は受信コイル107に結合される)電力受信機105を備える。
システムは、電力送信機101から電力受信機105へのワイヤレス誘導電力伝送を提供する。具体的には、電力送信機101は、送信コイル103によって磁束として伝播される電力信号を生成する。電力信号は典型的には約100kHzから200kHzの周波数を有し得る。送信コイル103と電力受信機105とは疎結合し、よって受信コイルは電力送信機101からの電力信号(の少なくとも一部)を拾う。したがって、送信コイル103から受信コイル107へのワイヤレス誘導結合を介して、電力送信機101から電力受信機105に電力が伝送される。電力信号という用語は主に送信コイル103に供給される電気信号を指すために使用されるが、同等に、磁束信号又は更には受信コイル107の電気信号を指すものとしても考えられ及び使用され得ることが理解されよう。
以下、Qi規格に係る(本明細書で説明される(又は必然的な)変更及び改良を除く)一実施形態を具体的に参照して、電力送信機101及び電力受信機105の動作を説明する。特に、電力送信機101及び電力受信機105は、Qi仕様バージョン1.0又は1.1に実質的に対応し得る(本明細書で説明される(又は必然的な)変更及び改良を除く)。
ワイヤレス電力伝送システム内の電力送信機101と電力受信機105との間の電力伝送を準備及び制御するために、電力受信機105は電力送信機101に情報を伝達する。かかる通信はQi仕様バージョン1.0及び1.1において規格化されている。
物理レベル上では、電力受信機105から電力送信機101への通信チャネルは電力信号をキャリアとして使用することによって実現される。電力受信機105は受信コイル107の負荷を変調する。これは、電力送信機側において対応する電力信号の変動をもたらす。負荷変調は送信コイル103の電流の振幅及び/又は位相の変化によって検出され、あるいは又は加えて、送信コイル103の電圧変化によって検出され得る。この原理に基づき、電力受信機105は電力送信機101によって復調されるデータを変調できる。このデータはバイト及びパケットにフォーマットされる。より詳しい情報は、http://www.wirelesspowerconsortium.com/downloads/wireless-power-specification-part-1.htmlを介して入手可能なQiワイヤレス給電仕様書とも称される"System description, Wireless Power Transfer, Volume I: Low Power, Part 1: Interface Definition, Version 1.0 July 2010, published by the Wireless Power Consortium"において、特に6章のCommunications Interfaceに見つけることができる。
電力伝送を制御するために、システムは異なるフェーズ、特に選択フェーズ、Pingフェーズ、識別及び構成フェーズ、並びに電力伝送フェーズを経ることができる。より詳しい情報は、Qiワイヤレス給電仕様書の第1部、5章に見つけることができる。
電力送信機101は、最初は、電力受信機の潜在的な存在を監視するだけの選択フェーズにある。電力送信機101はこのために様々な方法、例えばQiワイヤレス給電仕様書に記載されるような方法を使用し得る。かかる潜在的な存在が検出された場合、電力送信機101は電力信号が一時的に生成されるPingフェーズに入る。電力受信機105は自身の電子機器を起動するために受信信号を印加し得る。電力信号を受信した後、電力受信機105は電力送信機101に最初のパケットを伝送する。具体的には、電力送信機と電力受信機との間の結合度を示す信号強度パケットが送信される。より詳しい情報は、Qiワイヤレス給電仕様書の第1部、6.3.1章に見つけることができる。したがって、Pingフェーズでは、電力送信機101のインターフェイスに電力受信機105が存在するか否かが決定される。
信号強度メッセージを受信すると、電力送信機101は識別及び構成フェーズに移行する。このフェーズにおいて、電力受信機105は自身の出力負荷を未接続に保ち、負荷変調を用いて電力送信機101に通信する。電力送信機はこのために一定の振幅、周波数、及び位相の電力信号を供給する(負荷変調によって引き起こされる変化は除く)。メッセージは、電力受信機105がリクエストした通りに自身を構成するために電力送信機101によって使用される。
システムは続いて、実際の電力伝送が行われる電力伝送フェーズに移行する。具体的には、自身の電力要求を伝達した後、電力受信機105は出力負荷を接続し、受信される電力を出力負荷に供給する。電力受信機105は出力負荷を監視し、特定の動作点の実測値と目標値との間の制御エラーを測定する。電力受信機105はかかる制御エラーを例えば毎250msの最小レートで電力送信機101に伝達し、これらのエラー及び電力信号の変更又は無変更の要望を電力送信機101に示す。
Qiワイヤレス給電仕様書バージョン1.0及び1.1は、電力受信機105から電力送信機101への通信のみを規定し、すなわち一方向通信のみを規定することに留意されたい。
しかし、図1のシステムでは双方向通信が使用され、すなわち、電力送信機101から電力受信機105にデータを伝送することも可能である。多様なアプリケーションがかかる通信の利益を享受し、例えば電力受信機をテストモードに設定すること、電力受信機を較正モードに設定すること、又は、例えば電力送信機から電力受信機にコマンド若しくはステータス情報を伝達するために、電力受信機の制御下で電力送信機から電力受信機への通信を可能にすること等が挙げられる。
図2は、図1の電力送信機101をより詳細に示す。一次コイル103(PCL)とも呼ばれる送信コイル103が電力送信機通信ユニット201(TRM−COM)に接続して示されており、電力送信機通信ユニット201は送信機コントローラ203(CTR)に結合されている。
電力送信機通信ユニット201は送信コイル103を駆動するためのドライバ207(DRV)に結合された変調器205(MOD)を、(潜在的に)変調された電力信号(PS)を送信コイル103を介して電力受信機105に伝送するために有する。
このシステムにおいて、電力受信機105は電力信号を負荷変調することによって受信コイル107及び送信コイル103を介して電力送信機101に電力受信機信号を送信し得る。この信号は反射信号(RS)と呼ばれる。反射信号は、例えば送信コイル103の電流又は電圧を感知ユニット209(SNS)が感知することによって検出される。例えば検出された信号の振幅又は位相の変化をビットに変換することにより検出信号を復調するために、復調器211(DEM)が送信機コントローラ203に結合される。
図2の例では、第1のユニット213は、送信コイル103を介して電力受信機105からデータを受信するよう構成される。第1のユニット213は感知ユニット209及び復調器211を含む。これらの2つのユニットは、送信コイル103を介してデータを受信する機能を実現する。送信コイル103は受信コイル107への誘導電力伝送のために交流磁場(電力信号PS)を伝送し、受信コイル107によって引き起こされる反射磁場(反射信号RS)(すなわち、負荷変調によって引き起こされる電力信号の変動)を受信する。感知ユニット209(電流/電圧センサSNS)は、送信コイル103の電流/電圧を感知する。復調器211は、感知された信号の振幅又は位相の変化をデータに変換する。
送信機コントローラ203は受信データを解釈し、これに応じて第2のユニット215を制御し、送信コイル103を介して電力受信機105にメッセージを送信することができる。この例では、メッセージは具体的には電力受信機105からのメッセージに応答するための応答メッセージであり、特に承認/非承認又は受諾/拒否メッセージであり得る。このような通信構成は複雑性の低いアプローチを可能にし、また電力送信機から電力受信機への通信をサポートするための複雑な通信機能及びプロトコルの必要性を回避し得る。本アプローチは更に、電力受信機が変わらずに電力送信機の制御要素であることを可能にし、よってQi電力伝送アプローチの一般的な設計原理と良好に調和し得る。
具体的には、送信機コントローラ203は変調器205を制御することによって電力信号を変調し、所望のメッセージを供給する。変調器205は具体的には電力信号の振幅、周波数、又は位相を変更することによって電力信号を変調し、すなわち、典型的にはAM、FM、及び/又はPM変調を使用し得る。同じく第2のユニット215に含まれるドライバ207は、送信コイル103に交流電気信号を供給することによって送信コイル103を介して変調された電力信号を電力受信機105に送信するよう構成される。
コントローラ203は、更に、電力伝送設定を制御するよう、並びに要求される制御及び動作フェーズ/機能を実現するよう構成される。特に、コントローラ203は送信コイル103からのメッセージを受信及び解釈し、これに応じて、例えば電力信号の要求電力レベルを設定し得る。具体的には、識別及び構成フェーズ中、コントローラ203は電力受信機105からの構成パケット又はメッセージを解釈し、例えばこれに応じて最大電力信号レベルを設定し得る。電力伝送フェーズ中、送信機コントローラ203は電力受信機105から受信された制御エラーメッセージに従って電力レベルを増減させ得る。
図3は、図1の電力受信機105をより詳細に示す。受信コイル107(SCL)は、電力受信機通信ユニット301(REC−COM)に接続して示されており、電力受信機通信ユニット301は受信機コントローラ303(CTR)に結合される。電力受信機105は、受信コイル107から送信コイル103を介して電力送信機101にデータを送るための第1のユニット305を備える。第1のユニット305は、電力送信機101にデータを送信するための反射信号(RS)を生成するために受信コイル107における負荷を変調するための変調器309(MOD)に結合される可変負荷307(LD)を有する。第1のユニット305は、変調器309及び可変負荷307を含む機能ユニットであることが理解されよう。
電力受信機105は、更に、受信コイル107を介して電力送信機101からメッセージを受信するための第2のユニット311を備える。このために、第2のユニット311は、受信コイル107を介して電力送信機101から受信される変調された電力信号(PS)を例えば電圧又は電流を感知することにより検出するための感知ユニット313(SNS)を備える。
第2のユニット311は、更に、感知ユニット313及び受信機コントローラ303に結合される復調器315(DEM)を備える。復調器315は使用された変調に基づき検出信号を復調する。変調は例えば振幅変調(AM)、位相変調(PM)、又は周波数変調(FM)であり、復調器315は適切な変調を実行して、例えば、検出信号の振幅、周波数、及び/又は位相変化をビットに変換することによって、メッセージを取得し得る。
一例として、受信コイル107は誘導電力伝送のための電力信号を送信コイル103から受信し、負荷307を変動させることによって送信コイル103に反射信号を送信し得る。したがって、負荷307の変動が電力信号の変調を提供する。変調器309は例えばインピーダンス回路を接続/切断することによって振幅(及び/又は反射信号の周波数及び/又は位相)を制御する、すなわち、負荷307の動作を制御する。電流/電圧感知ユニット313は、電力送信機101から受信される受信コイル107の電流/電圧を感知する。感知ユニット313は電力受信機の他の機能の一部であり、具体的には、DC電力を生成するために使用される電力信号の整流及び平滑化の一部であり得る。復調器315は、感知された信号をデータに翻訳する。受信機コントローラ303は(例えば)変調器309を制御してデータを伝達し、また復調器315によって受信されるデータを解釈する。
電力受信コイル107は、更に、電力伝送フェーズ中に電力信号を受け取って電力を抽出するよう構成される電力ユニット317に接続される。電力ユニット317は、電力伝送フェーズ中に電力送信機101から給電される負荷である電力負荷319に結合される。電力負荷319は外部の電力負荷でもよいが、典型的には電力受信機デバイスの一部であり、例えばバッテリー、ディスプレイ、又は電力受信機の他の機能である(例えば、スマートフォンの場合、電力負荷はスマートフォンの複合機能に対応し得る)。
電力受信コイル107は、安定したDC出力電圧(又は電流)源を提供するために、具体的には整流回路、平滑化回路(コンデンサ)、及び電圧(及び/又は電流)調整回路を含み得る。
電力ユニット317は受信機コントローラ303に結合される。これは、受信機コントローラ303が電力回路の動作特性を決定することを可能にし、例えば、受信機コントローラ303に現在の動作点に関する情報を提供するために利用され得る。受信機コントローラ303は、電力伝送フェーズ中に制御エラーメッセージを生成するためにこれを使用し得る。受信機コントローラ303は更に電力ユニット317の動作を制御し、例えば、受信機コントローラ303は負荷の接続/切断を切り替え得る。具体的には、受信機コントローラ303は、構成フェーズ中は負荷を切断し、電力伝送フェーズ中は負荷を接続するよう電力ユニット317を制御し得る。
図3のシステムでは、感知ユニット313は電力信号を直接受信するよう示されており、第2のユニット311はデータを電力信号から直接復調する。これは例えば周波数変調の場合に有効であり得る。
しかし、多くのシナリオにおいて、感知ユニット313は電力信号を直接感知せずに、電力ユニット317の信号を感知してもよい。
具体例として、感知ユニット313は電力ユニット317が生成する整流及び平滑化された電圧を測定してもよい。これは電力信号がAM変調される場合、特に適し得る。
具体的には、図4は電力ユニット317の要素をより詳細に示す。受信コイル107からの信号は整流器401(典型的にはブリッジ整流器)によって整流され、整流された信号はコンデンサCLによって平滑化され、平滑化されたDC電圧が得られる(電力消費及びCLの値に依存するリップルと共に)。図4は更に、電力負荷319を接続及び切断するためのスイッチSLを示す。電力伝送中のリップルが十分低いことを確実にするために、コンデンサCLは典型的には比較的高く選択され、これはコンデンサ及び負荷の組み合わせの時定数を遅くする。
本例では、電力送信機101から電力受信機105に通信するために、電力送信機101は電力信号に振幅変調を適用し得る。これはコンデンサCLの両端間の振幅変化を起こし、本例ではこの電圧を測定するために感知ユニット313が結合されている。したがって、コンデンサCLの両端間の電圧変動が検出され、電力信号上に変調されたデータを復元するために使用され得る。
かかるアプローチの使用は構成要素の再使用を可能にするので、コスト及び複雑性を低減し得る。しかし、低リップルを得るためにはCLは比較的大きくなければならず、これはコンデンサCLの両端間の電圧変動を遅くする。負荷が接続されていないとき、すなわち識別及び構成フェーズ中、これは更に強調される。これはデータレートを極めて著しく制限し得る。したがって、図1のシステムは電力送信機101から電力受信機105への低データレート通信に適した通信及び動作プロトコルを適用する。実際には、多くのシナリオにおいて、電力送信機101から電力受信機105へのメッセージを1ビットメッセージに制限できることは好適である。
現在のQi規格の標準化は、電力受信機から電力送信機への一方向通信に基づく。したがって、動作原理は電力受信機が動作を制御すること並びに動作パラメータを調整及び選択することに基づく。更に、パラメータの適合及びカスタマイズは識別及び構成フェーズ中に設定される少数の特定の動作パラメータに限定される。しかし、システムが発展されるにつれ、このアプローチは非常に制限的であり、電力伝送システムが提供し得る機能、ユーザー体験、及びパフォーマンスを限定することが認められた。したがって、動作パラメータの選択及び適合に関してよりフレキシブルなアプローチを提供するよう、電力伝送システム、例えば具体的には仕様バージョン1.0及び1.1のQiシステムを改良することが望ましい。例えば、現在の規格がサポートする電力レベルよりも高い電力レベルを含むより多くの電力レベルをサポートすることが望ましかろう。他の例としては、より複雑な通信プロトコルを選択、サポート、及び最適化する能力が望ましかろう。
しかし、このような改良機能の導入は達成困難であり、多くの難題及び課題が課される。実際には、追加機能が後方互換性を許容することが要求され、特に、既存のバージョン1.0及び1.1デバイスを改良機能をサポートするデバイスと共に使用し得ることが要求される。また、改良は好ましくは複雑性が低く、既存の規格との連携及びインターワーキングを容易にし得るべきである。よって、必要な変化及び変更を抑えることが望ましい。したがって、更なる改良は既存の規格の設計戦略及び原理に従うことが好ましい。
図1のシステムでは、電力送信機101と電力受信機105とが更なる動作パラメータを交渉することを可能にする追加のネゴシエーションフェーズを導入することにより、改良された機能のサポートが提供される。
実際には、Qi規格のv1.0及びv1.1においては動作パラメータの構成はほとんど許容されていない。動作パラメータの構成は一方向通信に基づき、特に、電力受信機が特定のパラメータ値を定めて、これらを適用しなければならない電力送信機に伝達することに基づく。
Qiシステムのバージョン1.0及び1.1の識別及び構成フェーズ中に通信され得る情報は以下に存する。
識別パラメータ
−電力受信機のバージョン
−メーカーコード
−識別子
構成パラメータ
−電力制御遅延時間
−最大電力(電力クラスを表す2ビットと6ビットの最大電力フィールドによって定義される)
−Prop:プロプライエタリ制御が使用され得ることの表示
これらのパラメータの更なる詳細は、Qi仕様書バージョン1.0及び1.1に見つけることができる。
図1のシステムでは構成フェーズは維持される。したがって、一定の動作パラメータのセットを定めることを可能にする必須の構成フェーズが実行される。Qi電力伝送システムの場合、この構成フェーズは特に識別及び構成フェーズに対応する。
しかし、加えて、新たなネゴシエーションフェーズが導入され、システムが更なる動作パラメータを決定し得る(及び/又は構成フェーズにおいて既に決定された動作パラメータを変更し、典型的にはネゴシエーションフェーズがより広い範囲の値から選択することを可能にし得る)。ネゴシエーションフェーズは電力送信機101及び電力受信機105が双方向通信を用いてパラメータを交渉することに基づく。したがって、構成フェーズとは対照的に、電力送信機は必ずしも電力受信機によって定められた動作パラメータを適用せずともよく、これらの値を受諾又は拒否し得る。しかし、図1のシステムでは、電力受信機105がメイン制御要素であることを可能にすることにより、ネゴシエーションフェーズは依然としてQiシステムの根本的な設計原理をサポートする。具体的には、多くの実施形態において、ネゴシエーションフェーズは電力受信機105が動作パラメータを提案し、電力送信機101が単に提案されたパラメータを承認する/承認しない(受諾する/拒否する)システムをサポートし得る。これは更に、電力送信機101から電力受信機105への通信を容易化し、特に動作をサポートするのに低データレート通信チャネルで十分となることを可能にする。これは更に、例えば既存の整流及び平滑化コンデンサ回路を使用する振幅検出を許容することによって、又は単純な周波数復調技術を使用することによって、例えば受信信号の一定量のゼロ交差の時間を測定することによって、複雑さ及びコストの低減を可能にし得る。
図5は、図1の電力伝送システムの動作の一例を示す。
まず、電力受信機105及び電力送信機101の両方がPingフェーズ501、503で動作し、電力送信機101が一時的に出力を上げる。これに応じて、電力受信機105は電力送信機101に信号強度メッセージを送信し、(識別及び)構成フェーズ505に移行する。更に、信号強度メッセージを受信すると、電力送信機101はPingフェーズから(識別及び)構成フェーズに移行する。
電力送信機101及び電力受信機105は続いて(識別及び)構成フェーズを実行し、電力伝送パラメータの第1のセットを確立する。具体的には、電力受信機が自身のID(バージョン番号等)を供給して、電力伝送値が定められてもよい。
通信は一方向であり、具体的には電力送信機101が一定電力信号を保ち、電力受信機105がこの信号の負荷変調を供給することによって達成される。構成フェーズの終了時には、電力受信機105と電力送信機101との間で基本電力契約が確立されている。この電力契約は、具体的には電力受信機105によって消費され、電力送信機101によって供給されなければならない電力レベルに対応する。
以上のステップは、具体的にはQi規格バージョン1.0又は1.1に従って実行され得る。したがって、図1のシステムは既存のバージョン1.0及び1.1デバイスを完全にサポートし、よって後方互換性を維持する。
しかし、このケースでは、電力受信機105及び電力送信機101は更なる動作パラメータを構成するための(又は既存の動作パラメータを変更するための)ネゴシエーションフェーズをサポートし得る改良デバイスである。
したがって、ある段階において、電力受信機105は電力送信機101にシステムがネゴシエーションフェーズに入ることをリクエストするメッセージを送信し得る。このようなリクエストメッセージは当該目的のための専用メッセージでもよいが、電力送信機のための他の情報を含むメッセージの一部であってもよい。リクエストは例えば識別及び構成フェーズの最後のメッセージ内に含まれ得る。ネゴシエーションフェーズリクエストメッセージを受信すると、電力送信機101は肯定応答メッセージを送信し(511)、その後ネゴシエーションフェーズ513に入る。更に、肯定応答メッセージを受信すると、電力受信機105はネゴシエーションフェーズ515に入る。
電力受信機105及び電力送信機101はその後、以下でより詳細に説明されるネゴシエーションプロトコルに従うことにより、更なる動作パラメータを決定する。更なる動作パラメータは、Qi仕様バージョン1.0及び1.1に従う構成フェーズでは定めることができない新たなパラメータを含み得る。例えば、ネゴシエーションフェーズは双方向通信のための適切な通信パラメータ又はプロトコルを定めるために使用され得る。あるいは又は加えて、ネゴシエーションフェーズは識別及び構成フェーズにおいて既に定められ得るパラメータを変更してもよい。しかし、多くの実施形態では、かかる変更はパラメータをQi仕様バージョン1.0又は1.1によって許容されない又はサポートされない値に変化させることも含む。
例えば、バージョン1.0及び1.1は5W以下の電力消費の低電力デバイスを対象とする。電力送信機101は識別及び構成フェーズにおいて電力受信機105が指示する電力レベルをサポート可能でなければならず、よって、電力受信機105は最大で5Wの電力しか要求することができない。しかし、最大電力消費が120Wの中電力デバイスもサポートするよう規格を発展させる取り組みが進行中である。図1のシステムでは、5Wの電力契約を確立するために識別及び構成フェーズを使用し、その後電力受信機105が、電力伝送契約を例えば15Wに変更する交渉を行い得るネゴシエーションフェーズのイニシャライズをリクエストすることにより、このようなより高い電力がサポートされ得る。したがって、上述のアプローチは完全な後方互換性を提供しながら、より高い受電デバイスの導入を可能にし得る。実際には、識別及び構成フェーズはQi仕様バージョン1.0及び1.1に対応するので、図1の電力送信機101はあらゆるバージョン1.0又は1.1電力受信機とインタラクトできる。同様に、図1の電力受信機105はあらゆるバージョン1.0又は1.1電力送信機とインタラクトできる(ただし、当然ながらそのバージョンによって規定される動作(例えば、電力レベル)に制限される)。
更に、ネゴシエーションフェーズには電力受信機105のリクエストに応じて入る。したがって、動作の主要な制御及び複雑さは電力受信機が保持する。このアプローチは更にQiシステムの設計原理に従い、デバイス(送信機が制御する動作をサポートするために電力受信機の動作が大きく変化する必要がないので、電力受信機を含む)に要求される変化を最小化する。
したがって、ネゴシエーションフェーズは任意(オプション)のフェーズである。実際に、システムはネゴシエーションフェーズに一度も入ることなく、識別及び構成フェーズのみに基づいて動作し得る。しかし、リクエストされた場合はネゴシエーションフェーズに入り、動作パラメータの更なるフレキシビリティ及びカスタマイズを提供することができる。全てのQiデバイスによってサポートされなければならない不可欠な機能ではないという点で、ネゴシエーションフェーズは更に任意選択的である。ネゴシエーションフェーズは改良デバイスによってのみサポートされ、一方で、より単純な例えばレガシーデバイスは依然としてバージョン1.0及び1.1のみをサポートすることができる。しかし、デバイスが新しい拡張機能をネゴシエーションフェーズにおいて交渉することを約束する場合、デバイスは通常、ネゴシエーションフェーズに関連して説明されるネゴシエーション手順に適合しなければならない。
したがって、このアプローチは高度な後方互換性を維持しながら電力伝送システムを改良するための実用的、効率的、且つ/又は複雑さの低いアプローチを提供する。このアプローチは追加機能、改良されたパフォーマンス、及び/又は改良されたユーザー体験を可能にし得る。例えば、このアプローチは、Qi規格の今後のリリースにおいて新たな電力レベル及び新たな通信方法の導入を可能にし得る。
図1の例では、ネゴシエーションフェーズは具体的には複数のネゴシエーションサイクルによって実行され、各ネゴシエーションサイクルは、電力受信機105が動作パラメータの値を提案又はリクエストし、送信機がリクエストを受諾又は拒否する応答をすることにより、少なくとも1つのパラメータを決定する。具体的には、この例では、各ネゴシエーションサイクルは電力受信機105が1つの動作パラメータの値をリクエストし、送信機がリクエストされた値を受諾又は拒否する1ビットメッセージによって応答することを含む。ネゴシエーションフェーズは単一のネゴシエーションサイクルを含んでもよいし、又は複数のパラメータ値を設定するために複数のネゴシエーションサイクルを含んでもよい。
実際には、一部の実施形態では、ネゴシエーションサイクルの数は先のネゴシエーションサイクルの結果に応じて変動し得る。例えば、電力受信機105が特定の電力値をリクエストして電力送信機101によって拒否される場合、電力受信機105は次のネゴシエーションサイクルにおいてより低い値をリクエストし得る。
このシステムでは、このように1つ又は典型的には複数のネゴシエーションサイクルがネゴシエーションフェーズにおいて実行される。ネゴシエーションサイクルはそれぞれ電力送信機101によって個別に受諾又は拒否される個別の動作パラメータに相当し、これにより、電力送信機101と電力受信機105とが新しいパラメータに関する明確な約束を達成することを保証する複雑性が低いアプローチを提供する。具体的には、各ネゴシエーションサイクルにおいて、電力受信機105は特定の動作パラメータのサポートをリクエストし、電力送信機101は自身がリクエストを受諾又は拒絶するかを示す応答メッセージをもって返答する。動作パラメータはそれぞれ電力レベル、通信モード、異物検出(FOD)等に関連し得る。
例示的なネゴシエーションサイクルの一例を図6を参照して説明する。
ネゴシエーションサイクルは、電力送信機101が特定の動作パラメータをサポートするか否か(例えば、特定の機能又はパラメータ(例えば、電力レベル)の特定の値がサポートされるか否か)を電力受信機105がリクエストするステップ601において開始する。これは、例えば電力送信機101が特定の電力レベル、通信モード等をサポートすることのリクエストであり得る。
リクエストを受信すると、電力送信機101はステップ603において自身がリクエストされた動作パラメータ(値)をサポートし得るか否かを評価する。サポート可能な場合、電力送信機101は電力受信機105に対する受諾メッセージの生成及び送信(ステップ605)に移行し、更に、新しい電力伝送契約を確立した後にその動作パラメータをサポートすることを決定する。
電力受信機105が所定の時間内に受諾応答を受信する場合(ステップ605)、電力受信機105は新しい電力伝送契約を確立した後にその動作パラメータを適用することを決定する。
電力送信機101がリクエストされた動作パラメータをサポートしない場合、609において拒絶メッセージをもって応答する。電力受信機105が拒絶応答を受信する場合(ステップ611)、電力受信機105は新しい電力伝送契約を確立した後にリクエストした動作パラメータを使用しないことを決定する。
リクエストが電力送信機にとって不明であるために電力送信機101がリクエストを理解しない場合、電力送信機は受信機応答が理解されないことを示すメッセージをもって応答する(ステップ613)。電力受信機がこのような応答を受信する場合(ステップ615)、新しい電力伝送契約を確立した後、リクエストした動作パラメータを適用しないことを決定する。更に、不必要な通信を避けるために、電力受信機は後段においてかかるリクエストを繰り返すことを回避してもよい。
通信エラーのために電力送信機がリクエストを正しく受信しない場合、電力送信機は応答メッセージを送信しない(ステップ617)。電力受信機が所与の時間内に応答メッセージを受信しない場合、電力受信機はリクエストした動作パラメータを適用しないが、リクエストを再度行ってもよい(ステップ619)。通常、通信エラーのために電力受信機が応答メッセージを正しく受信しない場合、電力受信機は動作パラメータを適用しないが、リクエストを再度行ってもよい。
電力送信機による動作パラメータを受諾又は拒否するメッセージは、単純な1ビットメッセージ、又は例えば他の情報を含むマルチビットメッセージであり得る。例えば、メッセージはパラメータが受諾された、拒否された、又は理解されない(やはり拒否として扱われる)ことを示し得る。一部の実施形態では、最初のメッセージは更に動作パラメータを指定するメッセージの受信承認を含み得る。動作パラメータを受諾又は拒否するメッセージは更に、通信の信頼性を高めるために提供される冗長ビットを含み得る。例えば、エラーコードの一部である冗長ビットが使用され得る(例えば、単純な反復符号が使用され得る)。
具体例として、電力送信機101からのメッセージは承認表示及びパラメータが受諾若しくは拒否されるか、又は理解されないかの表示を含む8ビットメッセージであり得る。このような情報は8ビット未満で明確に伝達可能であるが、より信頼性の高い検出を提供するために冗長ビットが使用され得る。特に、冗長ビットの使用は各オプションに対応するデータシンボル(8ビットの組み合わせ)間のハミング距離を増大し、これによりビットエラーが存在する場合にさえ正確な検出を可能にする。
個別の承認(受諾/拒絶メッセージ)を含むネゴシエーションサイクルを使用するアプローチは非常に効率的なアプローチを提供し、特にQi電力伝送システム等の電力伝送システムに更に適する。特に、本アプローチは、電力受信機105がパラメータ設定選択の責任を負うマスターコントローラであるという設計原理を維持する。本アプローチは更に送信機に要求される通信を最小化し、実際には各ネゴシエーションアプローチが電力送信機101から電力受信機105に単一のビットのみを伝達することを要求する。したがって、電力送信機101から電力受信機105への通信には非常に低いデータレートしか要求されない。したがって、ネゴシエーションフェーズが双方向通信に基づく一方、この通信は非対称であり、電力送信機101から電力受信機105への通信に対して電力受信機105から電力送信機101への通信のデータレートが著しく高く且つデータ符号化が著しく複雑でもよい。かかるアプローチはQi等のシステムに特に適している。なぜなら、既に規格化されている電力受信機105から電力送信機101への高データレート通信を利用する一方、電力送信機101から電力受信機105への通信を導入するために必要な影響及び変化を低減できるからである。
特に、かかるアプローチは非常に遅い時定数を使用して電力信号の振幅変調を検出することを可能にし得る。これは特に、電力伝送回路の整流及び平滑化コンデンサによって生成される出力電圧の感知に基づく検出を可能にし得る。これは部品数を減らし、特に同じA/Dコンバータを使用することを可能にし得る(一切のスイッチング回路を要することなく)。
また、かかるアプローチは、例えば受信信号のゼロ交差をカウントし、比較的大きい所定のゼロ交差の数の経過時間を測定することにより、電力受信機及びその制御ユニットに高い性能要件又は付加的な複雑性を課すことなく、単純且つ低コストな周波数変調及び復調を可能にし得る。
本例では、電力受信機105から電力送信機101への通信は負荷変調により、すなわち、電力受信機105が電力信号/送信コイルの負荷を変化させて電力送信機101がその結果の(電圧及び/又は電流)変動を検出することによる。電力送信機101から電力受信機105への通信は任意の適切な通信によって実現され得るが、典型的には電力送信機101が電力信号を変調することによって実現される。この変調は典型的には振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、又は位相変調(PM)であり得るが、パルス幅変調(PWM)等他の変調形式でもよい。ネゴシエーションサイクルが用いる効率的なハンドシェイクサイクルのため、低いデータレートで十分であり、よって多くの場合、単純な検出回路を使用する確実な通信を使用することができる。
具体例として、システムは、電力受信機105からパッケージを受信した後に電力送信機101が電力信号の振幅(典型的には電圧振幅)を変化させるAM変調に基づき得る。これは例えば電力送信機101が単純に送信コイル信号の電圧を例えば5%下げることによって実行され得る。このように、振幅減少は電圧を変化させることによって直接達成され得るが、例えば(送信コイルを含む)電力送信機101の同調出力回路の共振周波数から周波数を変更することによっても達成できる。
電力受信機105は電力伝送ユニット317の平滑化コンデンサの両端間の電圧(図4のコンデンサCLの両端間の電圧に対応)を測定し得る。時定数が低いので、この電圧は電力信号の電圧にゆっくりとしか追従しない(典型的には数ミリ秒オーダーの時定数)。しかし、1ビットしか伝達する必要がないので、Qi通信の典型的なタイミングは依然として、電力受信機105が適度な時間内に信号を検出することを許容する。
上述したように、ネゴシエーションフェーズで決定される動作パラメータの更なるセットは、構成フェーズで既に決定されたパラメータを変更することを含み、又は、識別及び構成フェーズで選択されなかった若しくは選択不可能な動作パラメータを含み得る。また、ネゴシエーションフェーズに複数回入ってもよく、先行するネゴシエーションフェーズで設定された動作パラメータが後のネゴシエーションフェーズで変更されてもよい。
一例として、ネゴシエーションフェーズは電力送信機と電力受信機との間の通信のための通信パラメータ設定を交渉し得る。通信パラメータは例えば変調パラメータ(変調タイプ、変調度等)、データレートパラメータ、エラー制御パラメータ等であり得る。通信パラメータは2つの方向のうちの一方にのみ(すなわち、電力送信機101から電力受信機105、又は電力受信機105から電力送信機101)適用されてもよいし、両方向に適用されてもよい。
一例として、ネゴシエーションフェーズにおける電力送信機101から電力受信機105への通信のためのデフォルトの変調フォーマットはAMであり得る。しかし、電力受信機105が以降の電力送信機101からの伝送にFM(具体的にはFSK)が使用されることをリクエストするメッセージを送信することによってネゴシエーションサイクルが開始されてもよい。電力送信機101がFSKをサポートできる場合、電力送信機101は受諾メッセージを送信し、それ以降(又は場合によってはネゴシエーションフェーズの終了時から)FSKを適用する。電力送信機101がFSKをサポートできない場合、電力送信機101は拒絶メッセージを送信し、通信はそのままAMを使用し続ける。
多くの実施形態では、ネゴシエーションフェーズにおいて設定される動作パラメータは電力レベルパラメータを含む。具体的には、識別及び構成フェーズは、電力受信機105が最大で5Wを抽出することを許容する電力受信機105と電力送信機101との間の電力契約を生じ得る(バージョン1.0及び1.1の制限に従って)。しかし、後続のネゴシエーションフェーズにおいて、電力受信機105は電力レベル割り当てを識別及び構成フェーズがサポートするものよりも高い値に引き上げるリクエストを送信し得る。例えば、電力受信機105は自身に10Wが割り当てられることをリクエストし得る。電力送信機101が引き上げられた電力レベルをサポートできる場合、電力送信機101は受諾メッセージを送信し、そうでなければ拒否メッセージを送信する。
より複雑な電力レベルパラメータが設定され得ることが理解されよう。例えば、電力レベルリクエストはタイミング情報に関連付けられ得る。したがって、例えば電力受信機105は、継続的に5Wが許容され、10%の時間は(又は特定の時間間隔で)10Wが許容されることをリクエストし得る。このような追加情報は、例えば電力送信機101が複数のデバイスを同時にサポートする場合、より正確な電力管理を可能にし得る。
電力レベルパラメータは、電力受信機(105)による使用が意図される最大整流電力レベルであり得る。
このために、Qi規格は例えば以下のように規定され得るリクエスト最大電力(0×04)パケットを含む。
ここで、パラメータは以下のように定義される。
Power Class(電力クラス) このフィールドは、電力受信機のクラスを表す符号なしの整数値を持つ。
Maximum Power(最大電力) スケールファクタの他、このフィールド内の符号なしの整数値は、整流器の出力において電力受信機が供給することが期待される最大電力量を表す。この最大電力量は以下のように計算される。
電力を8ビットワードで表す代わりに、精度を高めるために、16ビットを使用してもよい。
複数のパケットが受信電力を伝達する場合、電力伝送を構成するために実際に使用されるべき電力を伝達する、送信機への更なる伝達が存在し得る。
ネゴシエーションフェーズは異なる時に及び電力伝送システムの異なる動作モードから入ることができる。上記例では、識別及び構成フェーズの後にネゴシエーションフェーズに入り、よって初期電力契約が定められた後にネゴシエーションフェーズに入る。
多くの実施形態では、識別及び構成フェーズの後にネゴシエーションフェーズに入り得る。これは具体的には、識別及び構成フェーズの完了後(直後)に電力受信機105がネゴシエーションフェーズに入るリクエストを送信することにより、又は、実際には電力受信機105が識別及び構成フェーズの一部としてリクエストを送信し、その後両デバイスが識別及び構成フェーズの完了時にネゴシエーションフェーズに入ることによって達成され得る。したがって、これらの実施形態では、識別及び構成フェーズと電力伝送フェーズとの間にネゴシエーションフェーズに入る。
一部の実施形態では、識別及び構成フェーズの一部であるパケットにおいて電力受信機105からリクエストが送信された後にネゴシエーションフェーズに入ってもよい。例えば、Qiバージョン1.0及び1.1では、構成フェーズの最後のメッセージは複数のリザーブデータビットを有する。本発明の一部の実施形態によれば、これらのリザーブデータビットのうちの1つが識別及び構成フェーズの後にネゴシエーションフェーズに入るためのリクエストとして使用される。
したがって、このような実施形態では、構成フェーズの最後に、電力受信機105は構成パケット内のネゴシエーションビットを設定することによってネゴシエーションフェーズに入るリクエストを示す。電力送信機101がネゴシエーションをサポートする場合、電力送信機101はリクエストの受信を承認し、受諾メッセージを送信することによってリクエストを受諾する。一部の実施形態では、承認/受諾メッセージは構成フェーズの後に、すなわち、構成フェーズの後であって、さもなければ始まるであろう電力伝送フェーズの前の時間間隔内に送信され得る。電力送信機101はその後ネゴシエーションフェーズに入る。電力受信機105が所定の時間内に受諾メッセージを受信する場合、電力受信機105もネゴシエーションフェーズに進む。
識別及び構成フェーズとは対照的に、ネゴシエーションフェーズは必須ではなくスキップすることができる。したがって、電力受信機が構成フェーズの終了時に(構成パケット内に適切なネゴシエーションビットを再設定することによって)ネゴシエーションフェーズに入るリクエストを示さない場合、電力受信機105及び電力送信機101は共にネゴシエーションフェーズをスキップし、電力伝送フェーズに直接進む。電力受信機105がネゴシエーションフェーズをリクエストする一方、電力送信機101がネゴシエーションフェーズをサポートしない場合、電力送信機101はリクエストの受信を承認し、拒否メッセージを送信することによってリクエストの拒否を電力受信機105に通知する。両デバイスはその後電力伝送フェーズに進む。
本アプローチは、適切に改良された又は基本電力伝送契約を適宜伴い、電力伝送フェーズに入ることを可能にする。実際には、構成フェーズの終了時(ネゴシエーションフェーズに入る前)、電力送信機は低電力Qi仕様バージョン1.0又は1.1が規定する動作パラメータを含む基本契約を確立する。バージョン1.0及び1.1の電力送信機は電力ネゴシエーションフェーズをサポートせず、如何なるネゴシエーションフェーズのリクエストにも応答しない。この場合、電力送信機は識別フェーズの標準パラメータを持って電力伝送に直接進む。例えば、この場合伝送電力は5Wであり得るが、新たなネゴシエーションフェーズは、例えば伝送電力が代替的に10Wであるべきことを指定する又は5Wであることを確認するネゴシエーションフェーズパケットによってそれを変更し得る。更に、電力受信機が所定の時間(送信機が満たすべき応答時間)内に如何なる受諾又は拒否メッセージも受信しない場合、受信機は電力送信機が電力ネゴシエーションをサポートしないと見なし、電力伝送フェーズに進む。また、同様に、送信機はネゴシエーションフェーズをサポートする最近の送信機であり得るが、バージョン1の電力伝送戦略(及び関連する通信戦略)に戻ることを選択し得る。同様に、電力受信機がバージョン1.0又は1.1電力受信機である場合、ネゴシエーションフェーズに入るリクエストは生成されない。これらの場合、システムはいずれも識別及び構成フェーズから電力伝送フェーズに直接移行し、よって基本電力伝送契約が適用される。
したがって、本アプローチはバージョン1.0及び1.1デバイスとの完全な後方互換性を提供する。
しかし、電力受信機105及び電力送信機101が共に構成フェーズをサポートできる場合、識別及び構成フェーズの後、電力伝送フェーズの前にネゴシエーションフェーズに入ってもよい。ネゴシエーションフェーズは基本電力伝送契約を基礎として使用し、これを変更して、変更された又は改良された電力伝送契約を提供し得る。そして、改良された電力伝送契約を使用して電力伝送フェーズに入る。
一部の実施形態では、電力伝送システムは代替的に又は追加で電力伝送フェーズからネゴシエーションフェーズに入ることをサポートしてもよい。具体的には、電力受信機は適切なペイロードによって給電終了パケットを送信することによって電力伝送システムからネゴシエーションフェーズに(再び)入ることをリクエストし得る(ペイロードはネゴシエーションフェーズに再び入る希望を示すよう定義される)。
システムが電力伝送フェーズからネゴシエーションフェーズに入る場合、初期電力伝送契約は現在電力伝送フェーズにおいて適用されている電力伝送契約である。以前にネゴシエーションフェーズに入っていない場合、これは基本電力伝送契約であり得る。しかし、過去にネゴシエーションフェーズに入っている場合(例えば識別及び構成フェーズと電力伝送フェーズとの間に)、電力伝送契約は改良された電力契約であり得る。
電力伝送フェーズからネゴシエーションフェーズに入り得ることは、デバイスの特定の要求及びプリファレンスに動作を動的に適合可能な非常に柔軟なシステムを提供する。
ネゴシエーションフェーズは具体的には、電力受信機105が変更しようとするパラメータに関してのみネゴシエーションサイクルを含むよう構成されてもよい。したがって、電力伝送契約の他の特徴は全て不変に維持される。このようなアプローチは複雑さが低く且つ短縮されたネゴシエーションフェーズを可能にする。
多くの実施形態では、電力受信機105は電力送信機101がネゴシエーションフェーズをサポートできることを確認した場合にのみネゴシエーションフェーズに入るリクエストを送信するよう構成される。
したがって、電力受信機105は、電力送信機がネゴシエーションフェーズをサポートするか否かを決定し、電力送信機がネゴシエーションフェーズをサポートするか否かに応じてネゴシエーションフェーズに入るリクエストを送信するか否かを選択するよう構成され得る。
このようなアプローチはよりロバスト且つ信頼できるシステムを提供し、また改良された後方互換性を提供し得る。特に、既存のQiバージョン1.0及び1.1電力送信機は未知のメッセージをエラー状況に起因するものと解釈し、よって通常は動作を終了し得る。
再構成に関する問題
既存のQiバージョン1.0及び1.1は、電力伝送フェーズから構成フェーズに再突入し、電力伝送を中断することなく、途切れなく電力伝送フェーズに再突入するために、その後構成フェーズの間動作点を不変に保つ。しかし、実際には多くの電力送信機がこの要件をサポートしない。また、これらの多くは、電力受信機がペイロードに再構成のリクエストを設定して給電終了パケットを伝送するとき、電力伝送を単純に停止する。
再構成オプションの使用は市場の電力送信機製品にとってもはや有用ではなくなる。再構成は例えば受信機の内部設定の変更、例えば、より高い電力のためのハーフブリッジからフルブリッジへの移行等であり得る。
再構成のためのソリューション
この状況は例えば、ネゴシエーションをサポートする全ての新しい電力送信機に再構成機能が実装されていると見なすことにより改善され、電力送信機はこの機能に関して試される。システムが電力伝送フェーズの前に構成フェーズからネゴシエーションフェーズに入った後にのみ、電力受信機は再構成オプションをリクエストすることができる。
他の実施形態は、電力送信機が再構成をサポートするか否かを電力受信機が明確にリクエストするネゴシエーションフェーズ内のネゴシエーションサイクルを規定することにより、より優れたオプションを可能にし得る。これは疑いを残さず、また、電力送信機がかかる要件を満たすか否かを確認する電力送信機のより優れたコンプライアンステストを可能にする。したがって、送信機及び受信機は、例えば本明細書に記載される例のような特定のリクエストを含むパケットを他方のために生成するユニット(典型的にはプロセッサ上で動作するソフトウェア)を有し、ユニットはこれらのリクエスト時に受信される応答を取り扱うことができる。応答は例えばローカルメモリ内に保存される。例えば、送信機(又は受信機)が再ネゴシエーション又は再構成を取り扱うことができるか否かに関する応答は、単純な肯定又は否定であり、すなわち1つのリザーブビット内に符号化され得る。また、リクエストは、送信機が現在使用されている構成パケットよりも高い最大電力をサポートするか否かを尋ねてもよく、応答はやはり肯定又は否定であり得る。このように、例えば現在の給電フェーズのための保証最大電力、更に送信機の最大送信能力(場合によっては、例えば現在の設定若しくは構成において、又は現在の時機等において、やはり可変であり得る)等、異なる電力の合意を得ることができる。
再ネゴシエーション
電力送信機が電力伝送フェーズからネゴシエーションフェーズに入る能力は、例えばシステムが以前に構成フェーズからネゴシエーションフェーズに入った後にのみ再ネゴシエーションを許容することにより、暗示的に実現され得る。しかし、一実施形態は、電力送信機が再ネゴシエーションをサポートするか否かを電力受信機が明示的にリクエストするネゴシエーションサイクルを規定することにより、より優れたオプションも可能にする。これは疑いを残さず、また、電力送信機がかかる要件を満たすか否かを確認するために、電力送信機のより優れたコンプライアンステストを可能にする。
電力送信機が再構成をサポートするか否か及び電力送信機が再ネゴシエーションをサポートするか否かの受信機からの両リクエストは、送信機が再構成及び再ネゴシエーションをサポートするか否かの単一のリクエストにまとめられ得る。
再ネゴシエーションオプションは以下の状況において特に好適である。電力送信機は2つのモード、すなわちハーフブリッジ及びフルブリッジで動作可能なインバータを有し得る。状況に応じて、電力送信機は自身の動作をハーフブリッジからフルブリッジに及びその逆に変更し得る。ハーフブリッジ動作は、Qiv1.0及びv1.1に基づいて設計された電力受信機に関して、かかる電力受信機の整流電圧を上限値未満に保つために要求され得る。フルブリッジ動作は、より高い電力レベルを許容するQiの将来のバージョン用に設計された電力受信機に関して、かかる新しいより高いレベルの電力受信機の整流電圧を下限値より高く保つために要求され得る。
保証電力レベルを交渉することにより、電力送信機はハーフブリッジ又はフルブリッジのいずれの動作モードが適切かを決定できる。高電力レベルを受信するよう設計された電力受信機は、ネゴシエーションサイクルにおいて高い保証電力レベルをリクエストする。かかるリクエストを受けると、受信機の整流器出力において十分に高い電圧を達成するために、電力伝送モードに入るとき、電力送信機は自身の動作モードをデフォルトのハーフブリッジモードからフルブリッジモードに変更し得る。
電力受信機が、例えばバッテリーがほぼ充電されているために、電力伝送フェーズ中に要求電力レベルを下げる場合、電力送信機はフルブリッジからハーフブリッジに移行しなければならない可能性がある。この場合、電力受信機が再ネゴシエーションリクエストにより電力伝送フェーズからネゴシエーションフェーズに再突入し、ネゴシエーションサイクルによって自身がより低い保証電力レベルを必要とすることを示し、その後電力伝送フェーズに戻る場合、非常に有効である。このリクエストに基づき、この(短い)再ネゴシエーションフェーズにおいて、電力送信機は電力伝送フェーズに再び入るときにフルブリッジからハーフブリッジに自身の動作モードを変更することができ、電力受信機の整流電圧の上限値を超えることを防止できる。更に、電力受信機がより低い保証電力レベルのリクエストを開始し、(再)ネゴシエーションフェーズの終了時の移行を予期するので、電力受信機はかかる移行を承知している。承知していない場合、つまり再ネゴシエーションが適用されない場合、電力伝送フェーズ中のフルブリッジ動作からハーフブリッジ動作への移行時の予期されない電力レベルの変化のため、電力受信機は電力伝送を停止することを望み得る。
より低い保証電力レベルを再交渉する能力の更なる利点は、複数の電力送信機が単一の電源を共有しなければならない状況に見つけることができる。この状況は特に、例えば単一の限定された電源が多数の電力送信機に給電しなければならない公共交通機関において起こり得る。かかる状況では、給電を要求する全ての電力受信機のニーズの一部しか満たされない可能性がある。保証電力レベルの再ネゴシエーションは、装置のバッテリーがほぼ充電された電力受信機の電力レベルを下げ、装置のバッテリーがほぼ空の電力受信機がより多くの電力を利用できるようにすることを可能にする。例えば、かかる送信機は、必要とする電力要件(すなわち、送信機が給電する受信機)に関して他の送信機と通信し、その後デバイス間で最適な給電状況を決定するために、通信ユニットを備え得る。これは、現在より少ない電力で動作し得ることを受信機が(又は、場合によっては入力手段を介して受信機のユーザーが)示し得る再ネゴシエーションフェーズ内に組み込まれ得る。
一実施形態では、受信機は特定のTXリクエストパケットを使用して、送信機が保証電力レベルを供給することをリクエストし得る。
電力送信機の適合性を検出するための異なるアプローチが使用され得ることが理解されよう。例えば、一部の実施形態では、識別及び構成フェーズ中の電力受信機からのメッセージに応じて、適合電力送信機は電力レベルをわずかに変化させ得る。この変化は電力受信機からのデータメッセージ間の時間間隔中に起こり得る。したがって、このような実施形態では、電力送信機は短く小さい振幅減少(又は増加)を用いて、自身が双方向通信可能であり、ネゴシエーションフェーズをサポートできることを示す。
具体例として、識別及び構成フェーズ中、電力受信機は自身がサポートするQi仕様バージョンの表示を含む識別メッセージを送信する(例えば、電力受信機は自身がバージョン2.0対応電力受信機であることを示し得る)。電力送信機が関連する機能をサポート可能な場合(例えば、電力送信機がバージョン2.0をサポートし得る場合(典型的には電力送信機がバージョン2.0以上の新しいデバイスであることに対応する))、電力送信機は一時的に振幅を変化させる。
これに対応して、電力受信機は電力送信機に伝達しているメッセージ間の電力信号を監視し、変化が検出される場合、電力受信機は電力送信機がネゴシエーションフェーズをサポートすると見なし、後段でネゴシエーションフェーズに入るリクエストを送信し得る。
ネゴシエーションフェーズを終了するために異なるアプローチが使用され得ることが理解されよう。
実際には、ネゴシエーションサイクルの数は電力受信機105が交渉したいパラメータの数に応じて変動し得る(及び場合によっては電力送信機101の応答に応じて)。
一部の実施形態では、電力受信機105は、交渉された電力伝送契約に満足するとき、ネゴシエーションフェーズ終了メッセージを送信し得る。ネゴシエーションフェーズ終了メッセージを受信すると、電力送信機101はネゴシエーションフェーズを終了して、電力伝送フェーズに進む。一部の実施形態では、電力送信機はネゴシエーションフェーズ終了メッセージの受信を通知し得る。このような実施形態では、電力受信機105は通知が受信されるまで(又はタイムアウトするまで)ネゴシエーションフェーズ終了メッセージをある間隔で繰り返してもよい。電力受信機105はその後電力伝送フェーズに進む。他の実施形態では、電力受信機105はネゴシエーションフェーズ終了メッセージを送信した後電力伝送フェーズに直接進み得る。
具体例として、電力受信機は典型的にはゼロ以上のネゴシエーションサイクル後に電力伝送フェーズに入ることを望む。この場合、電力受信機は電力ネゴシエーションが完了したことを示すネゴシエーションフェーズ終了メッセージ(ネゴシエーション完了リクエスト)を電力送信機に送信する。ネゴシエーションフェーズ終了メッセージを受信すると、電力送信機は先の契約に基づく、ネゴシエーションフェーズのネゴシエーションサイクルにおいて交渉されたパラメータによって変更された電力伝送契約を確立する。電力送信機は受諾メッセージを送信することによりネゴシエーションフェーズ終了メッセージを受諾することを示す。その後、電力送信機は約束された動作パラメータの適用を開始し、電力伝送フェーズに進む。電力受信機が受諾メッセージを受信する場合、電力受信機は約束された動作パラメータの適用を開始し、電力伝送フェーズに進む。
電力送信機が何らかの理由で現在のパラメータに基づく新しい電力伝送契約を確立することを望まない場合、電力送信機は拒絶メッセージによって応答し、ネゴシエーションフェーズに留まる。電力受信機が拒絶応答を受信する場合、電力受信機は電力ネゴシエーションフェーズに留まる。電力受信機はその後再交渉することによって状況を修復することを試み、又は変更された電力契約を持たずにネゴシエーションフェーズから出てもよい。
電力送信機が通信エラーのためにネゴシエーションフェーズ終了メッセージを正しく受信しない場合、電力送信機は応答メッセージを送信しない。電力受信機が応答メッセージを受信しない場合、電力受信機は電力ネゴシエーションフェーズに留り、ネゴシエーションフェーズ終了メッセージを繰り返し得る。電力受信機が通信エラーのために応答メッセージを正しく受信しない場合、電力受信機は電力ネゴシエーションフェーズに留まり、ネゴシエーションフェーズ終了メッセージを繰り返し得る。
電力受信機が電力伝送フェーズに進むことを望まない場合、電力受信機は専用給電終了メッセージパケットを送信してもよい。かかるパケットを受信すると、電力送信機はネゴシエーションフェーズを出て、Qiシステムの場合は選択フェーズに対応するスタンバイフェーズに戻る。したがって、電力受信機はネゴシエーションフェーズ中、ネゴシエーションフェーズを終了するだけでなく電力伝送セットアッププロセス全体を終了する専用メッセージを送信し得る。電力受信機は具体的には、電力送信機と交渉可能なパラメータのセットが電力受信機の動作にとっては不十分である(例えば、電力受信機が望む電力レベルを得ることができない)ことを決定し、よってプロセスを断念し得る。
更に、一部の実施形態及びシナリオでは、電力送信機101はネゴシエーションフェーズに属するときに電力制御エラーメッセージを受信し得る。電力制御エラーメッセージは、電力伝送フェーズにおいて電力伝送のための電力制御ループを実行するために使用される。これらは具体的には電力信号を所望の動作点にあるよう制御するために電力受信機105によって生成される。
電力送信機がネゴシエーションフェーズに属するときに電力制御エラーメッセージを受信する場合、電力送信機は電力伝送フェーズに直接移行する。更に、多くの実施形態では、電力送信機はネゴシエーションフェーズ中に導入された変更を破棄し、ネゴシエーションフェーズに入る前に存在した電力契約と共に電力伝送フェーズに入る。
このアプローチは例えば給電フェーズに非常に素早く入るために電力受信機によって使用され得る(例えば、ユーザーが電力受信機の操作を開始する場合)。このような場合、電力受信機は単純に電力制御エラーメッセージを送信し、電力伝送フェーズに直接移行し得る。電力制御エラーメッセージを受信すると、電力送信機も同様に電力伝送フェーズに直接進む。
したがって、電力受信機が素早く電力伝送フェーズに移行することを望む場合、電力受信機は制御エラーパケットを送信し得る。制御エラーパケットの通信後、電力送信機及び電力受信機は共に新たな電力伝送契約を確立することなく直ちに電力伝送フェーズに進み、これにより以前に確立された電力伝送契約をそのまま残す。
本アプローチは更に潜在的なエラー状況に取り組む。例えば、エラーが原因で電力送信機がネゴシエーションフェーズにある一方で電力受信機が電力伝送フェーズにある場合、電力受信機は電力伝送フェーズに属するときの標準手順の一部として電力制御エラーメッセージを送信する。これはその後電力送信機を自動的に同じく電力伝送フェーズに移行させ、これにより状況を修正する。
このようなシナリオは、電力受信機がネゴシエーションをリクエストし、電力送信機がネゴシエーションをサポートするが、電力受信機が正しく又は時間内に受諾メッセージを受信しない場合に発生する可能性がある。この場合、電力受信機が電力伝送フェーズに入る一方で電力送信機はネゴシエーションに入り得る。これは望ましくない状況である。
電力受信機が通信エラーが生じたことの疑いを持たない場合、電力受信機は電力伝送フェーズの要件に従って進行し、よって制御エラーパケットを送信しなければならない。電力送信機がネゴシエーションフェーズに属する間に制御エラーパケットを受信する場合、電力送信機は交渉することなく電力伝送フェーズに進む。
電力受信機が例えばエラーを含む応答又は遅い応答を検出することによって通信エラーを疑う場合、電力受信機は代わりに再構成のリクエストと共に給電終了パケットを送信することにより電力伝送フェーズから識別及び構成フェーズに戻り得る。電力送信機及び電力受信機はその後構成フェーズに再び入る。これは構成フェーズからネゴシエーションに入る再挑戦を可能にする。
何らかの不明な理由のために電力送信機が電力伝送フェーズに入る一方電力受信機が構成フェーズに入る場合、電力送信機が所定の時間内に制御エラーパケットを受信しないとき、電力送信機は電力伝送を終了する。ネゴシエーションモードにある電力受信機は、電力伝送フェーズに入ることを望まない限り制御エラーパケットを送信しない。したがって、この場合プロセスは自動的に終了し、受信機によって再びイニシャライズされ得る。
図7は、Qiシステムに適用された場合の各フェーズの動作及び相互作用の一例を示す。
上記は、明確さのために異なる機能回路、ユニット、及びプロセッサに関連して本発明の実施形態を説明してきたことを理解されたい。しかし、本発明を損なうことなく、異なる機能回路、ユニット、又はプロセッサ間で機能を任意に適切に分散させ得ることは明らかであろう。例えば、別々のプロセッサ又はコントローラによって実行されると説明される機能が同じプロセッサ又はコントローラによって実行されてもよい。したがって、特定の機能ユニット又は回路への言及は、厳密な論理的又は物理的構造又は組織ではなく、説明される機能を提供するための適切な手段への言及に過ぎないと考えられたい。
更に、例えば給電中に送信機又は受信機が再構成可能であるか否か、及び場合によっては更なる情報等、受信機と送信機との間でどの拡張オプションが利用可能であるかを調整するために、ネゴシエーションフェーズを好適に使用することができる。これはスムーズに進むべきである。最初のネゴシエーション中にこれが事前合意されていた場合、送信機又は受信機のいずれかがかかるリクエストを開始し、その後、標準として既定される又は最初のネゴシエーション中に合意された一連の後続のプロセス状態及び処理が起こる。オプションをフルに利用可能にするために、同じ原理を使用して完全に新しいネゴシエーションを開始できる。例えば、素早く給電を開始できるよう、最初のネゴシエーションが、最小の数の不可欠なパラメータを通信する簡易なものであり得る。一方、多くの余分な情報が集められてもよく(例えば、ユーザーがより急いで受信機を取り除く必要があることを示し、又は送信機が複数の他の装置と給電契約を交渉し、又は受信機がバッテリーの過剰試験(excessive testing)を実行し、又は受信機若しくは送信機が他の関連パラメータを試験若しくは測定してもよい)、その後必要に応じて、より詳細なネゴシエーションフェーズが開始されてもよい。
例えば、上記オプションを可能にするために、将来のQi又は類似の電力伝送規格は、以下のように定められ得る「再構成及び再ネゴシエーションに関するTXサポートの確認(0x06)」と称されるパケットを含み得る。
ReConf(再構成) このビットが1に設定される場合、電力受信機は電力送信機が再構成をサポートするか否かを確認する。6.3.2章は、電力受信機が如何に再構成を示し得るかを記載する。
ReNeg(再ネゴシエーション) このビットが1に設定される場合、電力受信機は電力送信機が再ネゴシエーションをサポートするか否かを確認する。6.3.2章は、電力受信機が如何に再ネゴシエーションを示し得るかを記載する。
具体的なTXリクエストパケット(0x020)は、以下の通りであり得る。
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせを含め、任意の適切な形式で実装され得る。特に、制御戦略及びプロセスステップのフローを実装するコントローラ、並びにそのあらゆる手段又は物理的若しくは機能的ユニットは、例えば汎用プロセッサ上で動作するソフトウェア、又は専用ASI構成フェーズ、例えば状態機械を含むプロセッサ等として物理的に実装され得る。本発明は、任意で、1つ以上のデータプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサ上で動作するコンピュータソフトウェアとして少なくとも部分的に実装されてもよい。本発明の実施形態の素子及び構成要素は、任意の適切な方法で物理的に、機能的に、及び論理的に実装され得る。実際には、機能は単一のユニット若しくは複数のユニットに実装されてもよいし、又は他の機能ユニットの一部として実装されてもよい。したがって、本発明は単一のユニットに実装されてもよいし、又は、異なるユニット、回路、及びプロセッサ間に物理的に及び機能的に分散されてもよい。当業者は、システム構成又は方法の実施形態をもって説明されたあらゆるオプションが、送信機又は受信機の対応するバージョンにおいても実現され、これらによって同様に開示されることを理解するであろう。
本発明をいくつかの実施形態に関連して説明してきたが、本発明を本明細書に記載される特定の形態に限定することは意図しない。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。また、ある特徴が特定の実施形態と関連して説明されているように見えたとしても、当業者は、説明される実施形態の様々な特徴が本発明に従って組み合わせられ得ることを認識するであろう。請求項において、用語「含む(又は備える若しくは有する等)」は他の要素又はステップの存在を除外しない。
また、個別に列挙されていたとしても、複数の手段、要素、回路、又は方法ステップは、例えば単一の回路、ユニット、又はプロセッサによって実装され得る。更に、個別の特徴が異なる請求項内に含まれていたとしても、これらは好適に組み合わされ、異なる請求項内に含まれているからといって、特徴の組み合わせが実現できない及び/又は好適ではないとは限らない。また、特徴が1つのクレームカテゴリに含まれているからと言ってこのカテゴリに限定されるとは限らず、適宜他のクレームカテゴリに等しく適用可能である。また、請求項内の特徴の順番は特徴が作用しなければならない順番を示唆するものではなく、特に、方法クレームの各ステップの順番は、ステップがその順番で実行されなければならないことを示唆しない。逆に、ステップは任意の適切な順番で実行され得る。また、要素は複数を除外しない。したがって、「第1の」、「第2の」等は複数を除外しない。請求項内の参照符号は単に明瞭化のための例として設けられ、特許請求の範囲を一切制限しないと解されたい。