現在、既存のリニア振動モータは共振周波数が1つしかないため、触覚フィードバック技術の重要性がますます高まってきていることにつれて、単一の共振周波数で、振動感に対するますます多様になっているニーズを満たすことができなくなる。多共振周波数のニーズを満足するために、関連技術におけるリニア振動モータは、振動方向に沿って順に間隔をあけて設けられる少なくとも2つの振動子を含み、隣り合う2つの振動子間は、ばねによって接続されている。しかしながら、このような構造では、ばねによって、剛性支持を振動子に個別に提供することができない。
したがって、上記問題を解決するために、新型のリニア振動モータを提供する必要がある。
本発明は、剛性支持を振動子に個別に提供できるリニア振動モータを提供することを目的とする。
本発明によるリニア振動モータは、収容空間を有するハウジングと、前記ハウジング内に収容される振動子系、および前記振動子系を駆動して振動させる固定子とを含み、前記振動子系は、振動方向に沿って順に間隔をあけて設けられる少なくとも2つの振動子を含み、隣り合う2つの前記振動子の間は、弾性ホルダによって接続され、前記弾性ホルダは、第1固定部と、それぞれ前記第1固定部の両側に位置する2つの第2固定部と、前記第1固定部と前記第2固定部とを接続する2つの変形部とを含み、前記第1固定部は、前記ハウジングと固定され、2つの前記第2固定部は、隣り合う2つの前記振動子とそれぞれ固定されている。
好ましくは、前記第1固定部は、固定部材によって前記ハウジングに固定されている。
好ましくは、前記第1固定部は、前記ハウジングに当接する固定板と、前記固定板の前記振動方向における2つの対向側から前記収容空間内へ折り曲げて延在して形成される側板とを含み、前記固定板と前記側板とは、収容溝を囲み、前記固定部材は、前記収容溝内に設けられ、前記側板は、前記変形部に接続されている。
好ましくは、前記固定板が前記固定部材と前記ハウジングとの間に固定されるように、前記固定部材は、前記ハウジングと溶接固定される。
好ましくは、前記固定部材は、前記固定板に接する第1壁と、前記第1壁の前記振動方向における2つの対向側より、前記固定板から離間する方向へ折り曲げて延在する第2壁とを含み、前記第2壁は、前記側板に当接し、かつ、前記第1壁と前記第2壁とのうちの少なくとも前記第1壁は、前記ハウジングと溶接されている。
好ましくは、前記第2固定部の前記振動子から離反する側には、ダンパーガスケットが設けられている。
好ましくは、前記振動子と前記固定子とのうち、一方がコイルを含み、他方が磁石を含み、前記振動子は、カウンターウェイトブロックをさらに含み、前記振動子において、前記コイルまたは前記磁石が前記カウンターウェイトブロックに固設され、前記第2固定部が前記カウンターウェイトブロックに固定されている。
好ましくは、前記変形部は、少なくとも2つの弾力アームと、隣り合う2つの前記弾力アームを接続する折曲部とを含み、前記振動方向における2つの対向側にある2つの前記弾力アームは、それぞれ前記第1固定部および前記第2固定部と固定されている。
好ましくは、前記弾性ホルダは、一体成形されている。
好ましくは、前記弾性ホルダは、軸対称構造であり、前記振動方向に垂直な対称軸を有する。
関連技術に比べて、本発明によるリニア振動モータでは、前記弾性ホルダが第1固定部と、それぞれ前記第1固定部の両側に位置する2つの第2固定部と、前記第1固定部と前記第2固定部とを接続する2つの変形部とを含むように設けられ、前記ハウジングが前記第1固定部と固定され、2つの前記第2固定部が隣り合う2つの前記振動子とそれぞれ固定されていることにより、前記弾性ホルダが振動子に剛性支持を提供することができる。
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明瞭に、完全に説明する。当然ながら、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎす、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者は、創造的労力をかけない前提で、得た全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
図1〜図6に示すように、リニア振動モータ100は、収容空間を有するハウジング1と、前記ハウジング1内に収容される振動子系2、前記振動子系2を駆動して振動させる固定子3、および前記振動子系2を支持する弾性支持部材4とを含む。
前記ハウジング1は、長尺状をなし、前記ハウジング1の沿長軸方向に沿った両端には、それぞれ前記振動子系2を支持する前記弾性支持部材4が固設されており、前記振動子系2が前記弾性支持部材4を介して前記ハウジング1内に懸架され、前記振動子系2は、前記ハウジング1の長軸方向に沿って振動する。
前記ハウジング1は、筐体11と、前記筐体11と組み合わせて前記収容空間を形成する蓋体13とを含む。
前記筐体11は、底壁111と、前記底壁111の周縁から折り曲げて延在する側壁113とを含み、前記蓋体13が前記側壁113に蓋設されている。
前記固定子3は、前記蓋体13に固定されるコイル31を含む。もちろん、前記固定子3は、軟磁性体をさらに含んでもよく、前記軟磁性体が、前記蓋体13に固設され、前記コイル31が、前記軟磁性体の前記蓋体13から離間する側に固設されている。
前記振動子系2は、振動方向に沿って順に間隔をあけて設けられる少なくとも2つの振動子21を含み、隣り合う2つの前記振動子21の間は、弾性ホルダ5によって接続されている。
前記振動子21は、カウンターウェイトブロック23と、前記カウンターウェイトブロック23に固設される磁石25とを含み、前記弾性ホルダ5は、前記カウンターウェイトブロック23に固定されている。具体的に、前記カウンターウェイトブロック23には、収容孔231が貫設され、前記磁石25が前記収容孔231内に設けられている。前記コイル31が通電されたあと、前記コイル31は、ローレンツ力の反作用力で前記振動子21を駆動して振動させる。本実施形態では、前記コイル31と前記磁石25とは、正対し且つ間隔をあけて設けられている。
前記磁石25は、間隔をあけて設けられる複数の第1磁石部251と、隣り合う2つの前記第1磁石部251間に介設される第2磁石部253とを含み、前記第2磁石部253は、前記コイル31の中心軸線に対して対称的に設けられる。ここで、前記第1磁石部251は、永久磁石であり、前記第2磁石部253は、前記第1磁石部251と着磁方向が逆になる永久磁石であってもよいし、磁気伝導材料からなる磁気伝導体であってもよく、磁気伝導体が磁気伝導作用を果たすものである。このような磁石構造では、前記磁石25によって形成される磁界の磁気誘導線を最大限にコイルに通過させることができ、電磁誘導効率を向上させる。無論、前記磁石25は、一塊りになった磁性鋼であってもよい。
前記振動子21は、ポールコア27をさらに含み、前記ポールコア27は、前記カウンターウェイトブロック23の前記固定子3から離間する側に固設され、かつ、前記磁石25を覆う。前記ポールコア27を設けることによって、前記磁石25から発散した磁気誘導線を収束させて磁気誘導強度を高めることができる。
他の実施形態では、前記コイル31と前記磁石25との位置は、入れ替え可能であり、すなわち、前記固定子3は、磁石を含み、前記振動子21は、カウンターウェイトブロック23と、前記カウンターウェイトブロック23に固設されるコイルとを含み、これに応じて、前記カウンターウェイトブロック23における収容孔の数および形状は、対応して変化する。
本発明の技術案を当業者に明確に理解させるために、特に、前記振動子系2が2つの振動子21(図1、図5および図6に示す)を含み、2つの前記振動子21はそれぞれ第1振動子21aおよび第2振動子21bであると定義する。
前記弾性ホルダ5は、第1固定部51と、それぞれ前記第1固定部51の両側に位置する2つの第2固定部53と、前記第1固定部51と前記第2固定部53とを接続する2つの変形部55とを含み、前記ハウジング1は、前記第1固定部51と固定され、2つの前記第2固定部53は、前記第1振動子21aの前記カウンターウェイトブロック23および前記第2振動子21bの前記カウンターウェイトブロック23とそれぞれ固定されている。本実施形態では、前記第1固定部51は、前記ハウジング1の前記側壁113に固定されている。無論、他の実施形態では、前記第1固定部51は、前記底壁111又は前記蓋体13に固定されてもよい。
図1、図2および図6に示すように、前記弾性ホルダ5は、軸対称構造であり、それが前記振動方向に垂直な対称軸を有し、前記弾性ホルダ5は、一体成形されている。
前記第1固定部51は、固定部材6によって前記ハウジング1に固定されている。
前記第1固定部51は、前記ハウジング1に当接する固定板511と、前記固定板511の前記振動方向における2つの対向側から前記収容空間内へ折り曲げて延在して形成される側板513とを含み、前記固定板511と前記側板513とは、収容溝51Aを囲み、前記固定部材6は、前記収容溝51A内に設けられ、前記側板513は、前記変形部55に接続されている。図2と図6に示すように、前記固定板511は、前記側板513に垂直であり、かつ、両者の接続箇所に角丸めが設けられている。
前記固定部材6は、前記ハウジング1と溶接固定され、且つ前記第1固定部51と溶接固定されることによって、前記固定板511は、前記固定部材6と前記ハウジング1との間に固定される。これによって、前記第1固定部51が前記ハウジング1に固定されることを図る。
前記固定部材6は、前記固定板511に接する第1壁61と、前記第1壁61の前記振動方向における2つの対向側より、前記固定板511から離間する方向へ折り曲げて延在する第2壁63とを含み、前記第2壁63は、前記側板513に当接し、かつ、前記第1壁61と前記第2壁63とのうち、少なくとも前記第1壁61が前記ハウジング1と溶接されている。本実施形態では、前記第1壁61と前記第2壁63とがいずれも前記ハウジング1と溶接されているので、前記固定板511の固定強度を確保することができる。
本発明の一実施形態として、前記第2固定部53の前記振動子21から離反する側には、ダンパーガスケット7が設けられている。ここで、前記ダンパーガスケット7は、発泡体、ゴム、シリコーンゴム等の弾性材料で製造されたものである。前記ダンパーガスケット7を設けることによって、前記変形部55が変形したときの衝突を緩和することができる。
前記変形部55は、少なくとも2つの弾力アーム551と、隣り合う2つの前記弾力アーム551を接続する折曲部553とを含み、前記変形部55の前記振動方向における2つ対向側にある2つの前記弾力アーム551は、前記第1固定部51および前記第2固定部53とそれぞれ固定されている。図2に示すように、一実施形態として、前記弾力アーム551が2つであり、前記折曲部553が1つである。無論、前記弾力アーム551は、N(Nが3以上の整数)個であり、前記折曲部553は、N−1個であってもよく、前記折曲部553がN−1個であるとき、N−2個目の前記折曲部553の開口方向は、N−1個目の前記折曲部553の開口方向と逆である。なお、前記弾力アーム551と前記折曲部553との数は、無限ではないが、一般的には2つであることが好ましい。
前記折曲部553は、弧状構造である。弧状構造では、前記変形部55が変形したときに前記折曲部553で生じる応力を低減することができ、前記折曲部553の寿命を延ばすことができる。
前記変形部55の他の実施形態として、前記変形部55は、自己弾性アームのみであってもよく、前記弾性アームの両端は、前記第1固定部51および前記第2固定部53とそれぞれ固定される。
なお、他の実施形態では、前記弾性ホルダ5は、非軸対称構造であってもよく、具体的には、2つの前記変形部55の構造が非対称であり、例えば、一方の前記変形部55が弾性アームであり、他方の前記変形部55が2つの弾力アームと2つの前記弾力アームを接続する折曲部とを含み、前記弾性ホルダ5が、前記第1固定部と前記第2固定部と前記変形部との間の溶接によって形成される。
前記弾性支持部材4は、V字形のばねであり、それは、前記側壁113に固定される第1接続部41と、前記カウンターウェイトブロック51に固定される第2接続部43と、前記第1接続部41と前記第2接続部43とを接続する弾力部45とを含む。無論、他の実施形態では、前記弾性支持部材4として、U字形のばねを採用してもよい。
本実施形態では、前記第1接続部41と前記第2接続部43の対向する表面には、ダンパーガスケット7が設けられている。
本発明によるリニア振動モータ100では、前記弾性ホルダ5は、第1固定部51と、それぞれ前記第1固定部51の両側に位置する2つの第2固定部53と、前記第1固定部51と前記第2固定部53とを接続する2つの変形部55を含んで構成され、前記ハウジング1は、前記第1固定部51と固定され、2つの前記第2固定部53は、隣り合う2つの前記振動子21とそれぞれ固定されている。このようにして、前記弾性ホルダ5は、振動子21に剛性支持を提供することができる。
上述したのは、本発明の実施形態に過ぎず、当業者にとって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改良を加えることが可能であるが、これら全ては本発明の保護範囲に含まれると理解されるべきである。