以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。本実施形態においては、像担持体である一次転写ベルト5に沿って複数の画像形成部6BK、6M、6C、6Yが並列に配置されて、用紙4などの記録媒体に対して画像形成出力を実行する画像形成装置1000を例として挙げて説明を行う。
図1は、本実施形態に係る作像部100の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る作像部100は、複数の画像形成部6BK、6M、6C、6Yが、一次転写ベルト5の駆動方向の上流側から順番に配置されたいわゆるタンデムタイプといわれる構成である。
画像形成部6BKはブラックのトナー像を、画像形成部6Mはマゼンタのトナー像を、画像形成部6Cはシアンのトナー像を、6Yはイエローのトナー像を一次転写ベルト5に対してそれぞれ形成する。なお、画像形成部6BK、6M、6C、6Yは、それぞれが形成するトナー像の色が異なるだけであって、構成要素は共通のものである。
したがって、以下の説明においては、画像形成部6BKに係る構成要素を説明し、画像形成部6M、6C、6Yに係る構成要素については、図1中にそれぞれM、C、Yによって区別した符号を付し、重複する説明を省略する。
一次転写ベルト5は、所定の間隔を隔てて回転可能に配置された駆動ローラ7と従動ローラ15とに巻きまわされており、駆動ローラ7の回転駆動に伴って一方向に移動する。したがって、駆動ローラ7、駆動ローラ7を駆動させる駆動モータ、従動ローラ15は、協働して一次転写ベルト5の駆動部として機能する。
画像形成部6BKは、像担持体である感光体ドラム8BK、感光体ドラム8BKの周囲に配置された帯電器9BK、LEDヘッド10BK、現像器11BK、除電器12BKから構成される。なお、画像形成部6BKは、感光体ドラム8BKに付着したトナーなどの現像剤を除去する感光体クリーナなどを含んで構成されてもよい。
LEDヘッド10BKは、静電潜像を形成する光を感光体ドラム8BKに照射する。静電潜像は、感光体ドラム8BKの感光面を帯電器9BKによって一様に帯電させたのち、LEDヘッド10BKからブラックのトナー像に対応する光を感光体ドラム8BKに照射することによって、感光体ドラム8BKの感光面が露光されて形成される。
現像器11BKは、感光体ドラム8BKに形成された静電潜像をブラックのトナー(現像剤)によって可視像化する。これにより、感光体ドラム8BKの感光面にブラックのトナー像が形成される。
感光体ドラム8BKの感光面に形成されたブラックのトナー像は、感光体ドラム8BKと一次転写ベルト5とが接する位置において一次転写ローラ13BKに印加されるバイアスによって、一次転写ベルト5に転写される。一次転写ベルト5へトナー像を転写すると、感光体ドラム8BKは、感光面に残留したトナーを感光体クリーナによって除去し、除電器12BKによって除電され、次の画像形成の実行が指示されるまで待機する。
ブラックのトナー像が転写されると、一次転写ベルト5は、駆動ローラ7を回転駆動してブラックのトナー像上にマゼンタのトナー像が重畳して転写される位置まで移動される。画像形成部6Mでは、画像形成部6BKと同様に、感光体ドラム8M上にマゼンタのトナー像が形成され、そのマゼンタのトナー像がブラックのトナー像が転写済みの一次転写ベルト5に対して転写される。
マゼンタのトナー像が転写された一次転写ベルト5は、駆動ローラ7を回転駆動してマゼンタのトナー像上にシアンのトナー像が重畳して転写される位置まで移動される。画像形成部6Cでは、画像形成部6BK、6Mと同様に、感光体ドラム8C上にシアンのトナー像が形成され、そのシアンのトナー像がブラック、マゼンタのトナー像が転写済みの一次転写ベルト5に対して転写される。
シアンのトナー像が転写された一次転写ベルト5は、駆動ローラ7を回転駆動してシアンのトナー像上にイエローのトナー像が重畳して転写される位置まで移動される。画像形成部6Yでは、画像形成部6BK、6M、6Cと同様に、感光体ドラム8Y上にイエローのトナー像が形成され、そのイエローのトナー像がブラック、マゼンタ、シアンのトナー像が転写済みの一次転写ベルト5に対して転写される。このようにして、一次転写ベルト5にフルカラーの画像が形成される。
記録媒体である用紙4が収納されている収納部である給紙トレイ1から、一次転写ベルト5および二次転写ローラ16で構成される転写部との間には、給紙ローラ2、分離ローラ3およびレジストローラ対17が配置され、給紙トレイ1から繰り出された用紙4を転写部まで給送する。したがって、給紙ローラ2、分離ローラ3およびレジストローラ対17は、協働して給紙部として機能する。また、分離ローラ3とレジストローラ対17との間には、用紙検知センサ48が配置されている。用紙検知センサ48は、複数設けられる構成であってもよく、用紙検知部として機能する。
用紙4は、給紙ローラ2によって給紙トレイ1から繰り出され、分離ローラ3により1枚ずつ分離されて、転写部に向けて給送され、レジストローラ対17に突き当てられる。したがって、給紙ローラ2と分離ローラ3とは、協働して給送部として機能する。レジストローラ対17は、一次転写ベルト5に転写された画像の給送タイミングに合わせて回転を開始し、突き当てられた用紙4を転写部に給送する。
転写部に用紙4が到達すると、一次転写ベルト5上に転写された画像は、二次転写ローラ16に印加されたバイアス電圧により用紙4に転写される。画像が転写された用紙4は、定着器14によって画像が定着されたのち、画像形成装置1000の筐体外部に排紙される。
なお、帯電器9BK、9M、9C、9Y、現像器11BK、11M、11C、11Y、一次転写ローラ13BK、13M、13C、13Y、二次転写ローラ16へは、高圧電源よりバイアス電圧が供給される。本実施形態に係る画像形成装置1000では、このような構成によって用紙4に対して一次転写ベルト5に形成された画像が転写され、画像形成出力が実行される。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1000のハードウェア構成を説明する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1000は、CPU38、ROM39、RAM40、NVRAM41、操作パネルI/F42、I/O45および画像処理IC46が、システムバス44を介して相互に接続されて構成される。ROM39、RAM40、NVRAM41は、画像形成装置1000の記憶部30を構成する。
操作パネルI/F42には、ユーザが操作する操作パネル43が接続され、画像処理IC46には、コントローラ47が接続される。また、I/O45には、用紙4を検知する用紙検知センサ48、給紙ローラ2および分離ローラ3などの用紙4を給送する給送ローラを回転駆動する給送モータ49、一次転写ローラ13BK、13M、13C、13Yを回転駆動する転写モータ50、感光体ドラム8BK、8M、8C、8Yを回転駆動する感光体モータ51、画像形成装置1000内部の温度および湿度を検知する温湿度センサ52、用紙4の紙厚を検知する紙厚検知センサ53、給紙トレイ1に積載されている用紙4の量を検知する積載量検知センサ54が接続される。
CPU38には、操作パネルI/F42を介して操作パネル43が接続されている。操作パネル43は、表示部および入力部を備えており、ユーザインタフェースとして機能する。操作パネルI/F42は、CPU38と操作パネル43との間のデータ交換を行う。
また、CPU38には、画像処理IC46を介してコントローラ47が接続されている。CPU38は、コントローラ47から印刷する用紙4の紙厚などの印刷条件を取得する。CPU38は、画像形成装置1000の演算手段として機能し、ROM39に記憶された制御プログラムを実行して、システムバス44に接続される各種デバイスとのアクセスを制御し、I/O45を介して用紙検知センサ48、給送モータ49、転写モータ50、感光体モータ51、温湿度センサ52の入出力を制御する。
CPU38は、制御プログラムおよび制御用データで構成される命令にしたがって、各種の処理を実行する。ROM39は、読み出し専用の不揮発性メモリであり、CPU38によって使用される制御プログラムや制御用データなどが格納される。RAM40は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性のメモリであり、記録データの展開や環境データの格納に用いられるワークフレームメモリとして利用される。
NVRAM41は、読み書きが可能な不揮発性メモリであり、制御プログラムが利用する画像形成装置1000に関する情報が格納される。
このようなハードウェア構成において、ROM39に格納されたプログラムやNVRAM41や光学ディスクなどの記録媒体からRAM40に読み出されたプログラムに従ってCPU38が演算を行うことにより、画像形成装置1000のソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、図3に示すような、本実施形態に係る画像形成装置1000の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、図3を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1000の機能構成について説明する。図3に示すように、画像形成装置1000は、用紙4のすべり量を予測し、予測したすべり量に応じて画像形成の実行間隔を制御する実行間隔制御部35を備えたことを特徴とする。また、本実施形態に係る画像形成装置1000の他の部分の構成は、従来知られている複合機等の画像形成機能を有した装置に一般的に備えられるものと同様のものである。
コンピュータインタフェース部24は、画像形成装置1000に印刷要求を行う通信端末との間で通信を行う。CTL25は、通信端末から送信された画像データを制御部32に送信し、画像形成装置1000に対する画像形成出力、すなわち、印刷ジョブの実行要求を行う。印刷ジョブ管理部26は、画像形成装置1000に要求された印刷ジョブの実行要求に従って、印刷を行う順番を管理する。
作像プロセス部27は、通信端末から受信した画像データに基づいて、画像形成出力される各色のトナー像を形成し、用紙4に転写する。また、画像形成出力時に位置ずれを検知した場合、作像プロセス部27は、位置ずれを補正する。定着部28は、作像プロセス部27によりトナー像が転写された用紙4に対して熱と圧力を加え、トナー像を用紙4に定着させる。
操作部29は、画像形成装置1000の動作状態を表示し、また、画像形成装置1000への制御情報の入力を受け付ける。記憶部30は、画像形成装置1000の動作状態に関する動作情報や、その他、画像形成装置1000の動作に必要な情報を記憶する。読取部31は、読み取り対象の原稿に表現された画像情報を電気信号に変換する。制御部32は、画像形成装置1000を構成する機能ブロックの一連の動作を制御する。
画像書込制御部33は、CTL25から送信された画像データをLEDヘッド10BK、10M、10C、10Yが光を照射する制御信号に変換し、LEDヘッド10BK、10M、10C、10Yを点灯させる。ラインメモリ34は、CTL25から送信されたデータを一時的なバッファに格納し、画像処理によってスキュー量を調整する。
消耗品寿命検知部36は、感光体ドラム8BK、8M、8C、8Y、帯電器9BK、9M、9C、9Y、LEDヘッド10BK、10M、10C、10Y、現像器11BK、11M、11C、11Y、除電器12BK、12M、12C、12Y、一次転写ローラ13BK、13M、13C、13Y、二次転写ローラ16、給紙ローラ2、分離ローラ3、駆動ローラ7などの寿命を検知する。
また、消耗品寿命検知部36は、これらの寿命を検知するために、一次転写ローラ13BK、13M、13C、13Y、二次転写ローラ16、給紙ローラ2、分離ローラ3、レジストローラ対17、駆動ローラ7の走行距離や回転数、駆動電圧などをカウントし、カウントして得られた情報を記憶部30に保存する。
次に、図4を参照して、実行間隔制御部35の内部構成について説明する。上述したように、本実施形態では、用紙4のすべり量を予測し、予測したすべり量に応じて画像形成の実行間隔を制御する。本実施形態に係る「すべり量」とは、用紙4が本来搬送されるべき搬送量と、用紙4が給送ローラに対してスリップしたために実際に搬送された搬送量との差として把握される値である。また、「用紙の搬送量」とは、用紙4が搬送された距離を示す値である。
実行間隔制御部35は、給紙時間計測部351、駆動電圧検知部352、回転数検知部353、すべり量予測部354、間隔決定部355を含む。給紙時間計測部351は、用紙4が給紙ローラ2によって給紙トレイ1から繰り出されたタイミングからカウントを開始し、例えば、用紙4が給紙トレイ1から転写部に搬送されるまでの経路において、用紙4が最初に通過する位置に配置されている用紙検知センサ48が用紙4を検知したタイミングでカウントを終了して用紙4の給紙時間を計測する。
また、用紙4が給紙トレイ1から転写部に搬送されるまでの経路に複数の用紙検知センサ48が配置されている場合、給紙時間計測部351は、所定の位置の用紙検知センサ48を複数選択し、選択した用紙検知センサ48が用紙4を検知したタイミングに基づいて用紙4の給紙時間を計測する構成としてもよい。
駆動電圧検知部352は、用紙4を給紙する際の給紙ローラ2の駆動電圧である実測駆動電圧を検知する。回転数検知部353は、用紙4を給紙する際の給紙ローラ2の駆動回転数である実測回転数を検知する。
すべり量予測部354は、給紙時間計測部351が計測した用紙4の給紙時間、駆動電圧検知部352が検知した実測駆動電圧、回転数検知部353が検知した実測回転数のうち、いずれか、もしくは、複数の値に基づいて、給紙トレイ1に積載されている用紙4の材質や表面処理など、用紙4の状態に応じて種類ごとにすべり量を予測する。
すべり量予測部354は、給紙時間に基づいてすべり量の予測値を算出する場合、用紙4の給紙時間、用紙4の給紙時間の平均値、用紙4の給紙時間の標準偏差などを用いてすべり量の予測値を算出する。
ここで、理想給紙時間Sti、について説明する。上述したように、用紙4が給紙ローラ2によって給紙トレイ1から繰り出されたタイミングからカウントを開始し、用紙4が給紙トレイ1から転写部に搬送されるまでの経路において、用紙4が最初に通過する位置に配置されている用紙検知センサ48が用紙4を検知したタイミングでカウントを終了して用紙4の給紙時間を計測すると仮定する。
このとき、画像形成装置1000の筐体内部における用紙4の搬送距離や搬送速度などに基づいて理想給紙時間Stiを定義し、記憶部30に記憶しておく。例えば、画像形成装置1000の筐体内部における用紙4の搬送距離を、用紙4の搬送速度で除して理想給紙時間Stiを定義する。
用紙4と給送ローラとのすべりやすさは、用紙4の材質や表面処理、保管状況、画像形成装置1000の筐体内部の環境に依存する。また、画像形成装置1000の印刷枚数が増加するにつれて給送ローラ表面の平滑性が変化する。このような要因によって、給送ローラと用紙4との接点部分でスリップが生じるため、実際の給紙時間は理想給紙時間Stiよりも長くなる。
「理想給紙時間Sti」とは、用紙4が画像形成装置1000の筐体内部の搬送経路を搬送される時間のことを示す。理想給紙時間Stiは、用紙4が搬送される搬送経路の距離と、給紙ローラ2を理想駆動電圧で駆動した際に得られる搬送速度とから求められる。
間隔決定部355は、すべり量予測部354が算出したすべり量の予測値および理想給紙時間Stiに基づいて、画像形成装置1000における画像形成出力を実行する間隔を決定する。
このように、本実施形態においては、理想給紙時間Stiからすべり量を予測して画像形成出力を実行する間隔を決定し、画像形成出力時に不給紙ジャムが発生しているか否かを判定する。
次に、図5から図8を参照して、不給紙ジャムが発生しているか否かを判定する態様について説明する。図5および図6は、従来の画像形成装置に係る不給紙ジャムが発生しているか否かを判定する態様を示す図である。また、図7および図8は、本実施形態に係る画像形成装置1000に係る不給紙ジャムが発生しているか否かを判定する態様を示す図である。
図5および図6に示すように、一定時間のジャムマージンΔJMを定義し、実際の給紙時間が理想給紙時間StiとジャムマージンΔJMとを足し合わせた時間(以後、「不給紙検知時間」とする)を越えた場合に不給紙ジャムが発生したと検知する。
以下、具体的に説明する。図5において、縦軸は用紙4ごとの給紙時間を、横軸は給紙枚数を示す。図5では、理想給紙時間StiとジャムマージンΔJMとを足し合わせた不給紙検知時間が、当初はJMX1と設定されている。このとき、N枚目の用紙4の給紙時間が不給紙検知時間JMX1を超過した場合、不給紙ジャムが発生したことが検知される。
ひとたび不給紙ジャムが発生すると、画像形成装置1000の内部で停止した用紙4を取り除くためのジャム除去作業を行う必要が生じる。ゆえに、画像形成装置1000によって画像形成出力を実行できない、いわゆるダウンタイムが長期間化してしまう。
そこで、ダウンタイムを低減するために、給紙時間が長ければ、搬送されている用紙4が滑りやすい用紙であると判断してジャムマージンΔJMを変更する動作が従来から知られている。図5においてはジャムマージンΔJMを増加させ、N枚目の次の用紙4が給紙された時点から不給紙検知時間がJMX2に変更された状態が示されている。
なお、画像形成出力の実行間隔が大きくなるほど、ジャムマージンΔJMを大きくし、不給紙検知時間JMX1を長く設定するようにしてもよい。また、図5および図6においては、給紙時間の平均値、分散値などを用いてジャムマージンΔJMを算出している。
このような場合であっても、不良用紙や、裁断によって用紙4が湾曲する、いわゆる用紙4に発生する「バリ」などの理由により、ジャムマージンΔJMを大きくしても不給紙ジャムの発生を回避できず、突発的に不給紙ジャムが発生することがある。用紙4の裁断時のバリは、用紙4の紙厚などに応じて周期的に発生する。
したがって、画像形成出力を実行する際には、用紙4に周期的なすべりが生じることとなる。図6は、用紙4にバリが発生するN枚目、および、M枚目において、不給紙検知時間を超過する様子を示している。
図5および図6に示すように、従来の画像形成装置においては、不給紙検知時間を超過した場合、給紙時間の長期化が連続的に発生する状況に備えて、所定の固定値を用いてジャムマージンΔJMを拡大していた。
しかし、不良用紙の使用などによる突発的な不給紙ジャムだった場合、給紙時間の長期化は一時的にしか発生しない。したがって、図5に示すように、不給紙ジャム発生以降にジャムマージンΔJMを拡大してしまうと、不必要に画像形成出力の間隔を大きくしてしまうため、連続した画像形成出力を効率よく行うことが困難となる。
一方で、図6に示すように、不必要に画像形成出力の間隔を大きくすることを防ぐためにジャムマージンΔJMを小さいままにしておくと仮定する。上述したように、用紙4のバリは、周期的に発生する。ゆえに、裁断時のバリに起因する用紙4の搬送遅れによって不給紙ジャムが発生していた場合、ジャムマージンΔJMを小さいままにしておくと、図6のN枚目およびM枚目において不給紙ジャムが発生してしまう。
なお、「バリ」は、一般的には用紙4の裁断により発生するもので、用紙4が曲がった状態を意味する。バリの生じる理由からして、バリを有する用紙4は周期的に存在するため、バリが発生ししている用紙4を搬送した場合、一次転写ベルト5に形成された画像に対して用紙4の給紙が遅延し、不給紙ジャムが発生する。
このように、バリによって用紙4の給紙が遅れてしまうために、不給紙ジャムが検知されることによってダウンタイムが周期的に発生するため、結果的に連続した画像形成出力を効率よく行うことができない。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置1000においては、所定枚数にわたって画像形成出力を実行している間、用紙4の給紙の遅延が検知されなかった場合には、不給紙ジャムが発生する前のジャムマージンΔJMに戻すことによって、不必要に画像形成出力の間隔を大きくしないようにする。図7および図8を用いて具体的に説明する。
図7には、異常周期枚数が5枚の用紙4、すなわち、5枚ごとに周期的にバリが発生する用紙4が給紙トレイ1に収納され、5枚印刷するごとに給紙時間が長くなる状態を示している。図7においては、αn枚の画像形成出力を行った時点でジャムが発生した場合、同様の遅れが発生した場合に備えて画像形成出力の間隔を拡大し、さらに、ジャムマージンΔJMを拡大して、不給紙検知時間JMX1をジャムの発生前よりも長く、すなわち、不給紙検知時間をJMX1から不給紙検知時間JMX2に変更している。
このとき、図7に示すように、給紙枚数がαn枚の給紙時点から、バリが発生する周期枚数である異常周期枚数に所定の用紙4の枚数を足し合わせた枚数、すなわち、αn+1枚まで画像形成出力を実行する。そして、前回のジャム発生時と同程度の給紙時間が検知される画像形成出力が発生しなかった場合、前回のジャムはバリによる周期的なものではなく突発的な不給紙ジャムであると判断する。
このような場合、画像形成出力の間隔を最初のジャム発生前の間隔に戻すことにより、画像形成出力の間隔が大きくならないため、連続した画像形成出力を効率よく行うことができる。なお、このとき、画像形成出力間隔を最初のジャム発生前の間隔に戻す際に、同時にジャムマージンΔJMについても初のジャム発生前の時間戻す。この結果、不給紙検知時間もJMX2から不給紙検知時間JMX1に変更される。
一方で、図8に示すように、ジャムが発生して画像形成出力の間隔およびジャムマージンΔJMを拡大した後、αn+1枚まで画像形成出力を実行し、前回のジャム発生時と同程度の給紙時間が検知される画像形成出力が発生した場合、前回のジャムは、用紙4の裁断時のバリによって発生したものであると判断する。
このような場合、バリによる給紙時間の遅れが周期的に発生することを想定し、ジャム後に拡大した画像形成出力の間隔を元に戻すことなく画像形成出力を続ける。なお、このとき、ジャムマージンΔJMについてもジャム発生前の時間に戻さずに、不給紙検知時間をJMX2のまま維持する。すなわち、ジャムマージンΔJMについても、不給紙ジャムが検知されたことによって拡大された状態を維持する。このようにすることによって連続して不給紙ジャムが発生することを防ぐことができる。
以上説明したような構成によって、本実施形態に係る画像形成装置1000では、用紙4のすべり量もしくは用紙4の折れなどの用紙不良のどちらに起因した用紙4の給紙の遅延であるのかを考慮して不給紙ジャムの発生を検知する。
次に図9を参照して、本実施形態に係る画像形成出力に係る処理の流れについて説明する。図9は、本実施形態に係る画像形成出力に係る処理の流れを示すフローチャートである。
印刷ジョブ管理部26は、画像形成装置1000に要求された印刷ジョブの実行要求に従って、画像形成出力対象の画像データを制御部32に送信する。制御部32は、画像形成出力対象の画像データを受信すると、作像プロセス部27、画像書込制御部33、ラインメモリ34、定着部28を制御して、印刷ジョブの実行を開始する(S901)。
印刷ジョブの実行の開始とともに、制御部32は、給送モータ49、転写モータ50、感光体モータ51を駆動させ、給紙ローラ2によって用紙4を給紙トレイ1から繰り出して、給紙を開始する(S902)。
次に、制御部32は、用紙4の給紙時間を算出する給紙時間算出処理を実行する(S903)。S903の給紙時間算出処理は、図10に示すフローチャートに示される処理ステップに従って実行される。
図10は、本実施形態に係る給紙時間算出処理の流れを示すフローチャートである。制御部32は、用紙4が給紙ローラ2によって給紙トレイ1から繰り出されたタイミングの時刻を給紙開始時刻として取得し、記憶部30に記憶する(S1001)。
次に、制御部32は、用紙4が給紙トレイ1から転写部に搬送されるまでの経路において、用紙4が最初に通過する位置に配置されている用紙検知センサ48が用紙4を検知したか否かを判定する(S1002)。
用紙検知センサ48は、用紙4を検知すると、検知信号を出力する。この検知信号は、I/O45およびシステムバス44を介してCPU38に入力される。CPU38は、検知信号を受信すると、検知信号を受信した時刻を給紙終了時刻として、記憶部30に記憶する。
制御部32は、CPU38に用紙4を検知したことを示す検知信号が用紙検知センサ48から入力された場合に、用紙検知センサ48が用紙4を検知したと判定する(S1002/YES)。
そして、制御部32は、記憶部30に記憶された給紙開始時刻の情報と給紙終了時刻の情報とを取得し、取得した給紙開始時刻の情報および給紙終了時刻の情報に基づいて給紙時間を算出し(S1003)、記憶部30に記憶させ、給紙時間算出処理を終了する。
一方で、CPU38に用紙4を検知したことを示す検知信号が用紙検知センサ48から入力されなかった場合、制御部32は、記憶部30に記憶されているジャムマージンΔJMに相当する時間が経過したか否か判定する(S1004)。
制御部32は、ジャムマージンΔJMを経過するまでは(S1004/NO)、S1002の処理から再度実行し、用紙検知センサ48が用紙4を検知したか否かを再度判定する。用紙検知センサ48が用紙4を検知することなくジャムマージンΔJMに相当する時間が経過した場合(S1004/YES)、制御部32は、不給紙ジャムの発生を検知し(S1005)、本処理を終了する。したがって、制御部32は、転写部に用紙4が給紙されない異常の発生、すなわち、不給紙ジャムの発生を検知する異常検知部として機能する。
図9に戻って説明を再開する。制御部32は、印刷ジョブの実行中に不給紙ジャムが発生した場合(S904/YES、すなわち、S1004/YES)、ジャム発生検知時処理を実行する(S906)。S906のジャム発生検知時処理は、図11に示すフローチャートに示す処理ステップに従って実行される。
図11は、本実施形態に係るジャム発生検知時処理の流れを示すフローチャートである。不給紙ジャムの発生を検知すると、制御部32は、不給紙ジャムが発生する直前の画像形成出力を実行する間隔である画像形成間隔を記憶部30に記憶させる(S1101)。
次に、制御部32は、不給紙ジャムが発生する直前の給紙時間を記憶部30に記憶させる(S1102)。そして、制御部32は、画像形成間隔を所定の時間に拡大する。このとき、制御部32は、例えば、不給紙ジャムが発生する前の画像形成間隔の2倍に相当する時間、用紙4の搬送方向の2倍の長さ相当を給紙するために必要な時間などに拡大する変更を行い(S1103)、本処理を終了する。
不給紙ジャムが発生した場合の給紙時間は、不給紙ジャムが発生していない場合の給紙時間よりも長い。そのため、制御部32は、S1103の処理において、不給紙ジャムが発生していない場合の給紙時間よりも長くなるように画像形成間隔を拡大する。
再度、図9に戻って説明を再開する。S904の処理において、印刷ジョブの実行中に不給紙ジャムが発生しなかった場合(S904/NO、すなわち、S1002/YES)、制御部32は、実行間隔制御部35に画像形成間隔決定処理を実行させる(S905)。S905の画像形成間隔決定処理は、図12に示すフローチャートに示す処理ステップに従って実行される。
図12は、本実施形態に係る画像形成間隔決定処理の流れを示すフローチャートである。すべり量予測部354は、記憶部30に記憶されている給紙ローラ2、分離ローラ3などの駆動電圧や回転数、給紙開始時刻の情報および給紙終了時刻の情報に基づいて、上述したようにすべり量の予測値を算出する(S1201)。
間隔決定部355は、すべり量予測部354が算出したすべり量の予測値および記憶部30に記憶されている理想給紙時間Stiに基づいて、画像形成装置1000において画像形成出力を実行する間隔を示す時間である画像形成間隔を算出する(S1202)。したがって、間隔決定部355は、間隔算出部としても機能する。
次に、間隔決定部355は、記憶部30に記憶されている、不給紙ジャムが発生する直前の給紙時間を参照し、S903で算出した給紙時間との比較を行う(S1203)。そして、S903で算出した給紙時間が、不給紙ジャムが発生する直前の給紙時間以下の時間である場合(S1203/YES)、間隔決定部355は、記憶部30に記憶されている異常周期枚数だけ画像形成出力が実行されたか否かを判定する(S1204)。
記憶部30に記憶されている異常周期枚数の画像形成出力が実行されている場合(S1204/YES)、間隔決定部355は、記憶部30に記憶されている不給紙ジャムが発生する直前の画像形成間隔を制御部32に通知する。制御部32は、画像形成間隔を不給紙ジャムが発生する直前の画像形成間隔に変更し(S1205)、本処理を終了する。
なお、S903で算出した給紙時間が、不給紙ジャムが発生する直前の給紙時間より長い場合(S1203/NO)、または、記憶部30に記憶されている異常周期枚数だけ画像形成出力が実行されていない場合(S1204/NO)、間隔決定部355は、制御部32に対して画像形成出力を実行する間隔を変更するための通知を行わない。
したがって、S1203/NO、または、S1204/NOの場合、制御部32は、画像形成間隔を不給紙ジャムが発生する直前の画像形成間隔に変更することなく本処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1000は、用紙4のすべり量もしくは用紙4の折れなどの用紙不良のどちらに起因した用紙4の給紙の遅延であるのかを考慮して不給紙ジャムの発生を検知する。そして、用紙4のすべりによって給紙の遅延が発生している場合には、不給紙検知時間をジャム発生前の時間に戻して画像形成出力を実行するため、用紙4の特性を考慮した画像形成出力に係る用紙4の搬送異常を検知することが可能となる。これによって、画像形成装置1000は、効率よく画像形成出力を実行することが可能となる。