JP2020003309A - 路面状態判別装置およびそれを備えるタイヤシステム - Google Patents

路面状態判別装置およびそれを備えるタイヤシステム Download PDF

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Abstract

【課題】より精度良く、短時間に路面状態を判別できる路面状態判別装置およびそれを備えるタイヤシステムを提供する。【解決手段】タイヤ3が、決められた特定対象に含まれる内容のどれであるかを特定するタイヤ特定を行い、そのタイヤ特定結果と対応するサポートベクタを用いて路面状態を判別する。このため、タイヤ側装置1が取り付けられたタイヤ3の振動特性に最も対応したサポートベクタを用いて路面状態を判別でき、より精度良く、短時間に路面状態を判別することが可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ側装置にてタイヤが受ける振動を検出し、その振動データに基づいて路面状態の判別する路面状態判別装置およびそれを備えるタイヤシステムに関する。
従来、特許文献1において、タイヤトレッドの裏面に加速度センサを備え、加速度センサにてタイヤに加えられる振動を検出すると共に、その振動の検出結果に基づいて路面状態の推定を行う路面状態判別装置が提案されている。この路面状態判別装置では、加速度センサが検出したタイヤの振動波形に基づいて路面状態に関するデータを作成し、各車輪それぞれのデータを車体側の受信機などに伝えることで、路面状態の判別を行っている。路面状態の判別は、予め学習しておいたサポートベクタを用いて行われる。そして、路面状態を推定することで、ドライバに対して注意を喚起する事が可能となる。
特開2014−35279号公報
路面状態の推定に用いられるタイヤの振動は、例えば夏用タイヤや冬用タイヤ等のタイヤ種類やタイヤ製造メーカなど、タイヤ毎によって異なるため、タイヤ毎に路面状態の判別に用いるのに最適なサポートベクタは異なったものとなる。しかしながら、タイヤに加えられる振動を検出するための加速度センサなどの振動検出部については、様々な種類のタイヤに適用されることから、予めどのようなタイヤに取り付けられるのかは不明である。このため、路面状態の判別に用いられるサポートベクタに関しては、様々なタイヤ種類、タイヤ製造メーカ等に対応できるようにロバスト性を高めたサポートベクタが用いられている。このため、路面状態の判別精度が悪くなったり、判別に時間が掛かったりするという課題を発生させる。
本発明は上記点に鑑みて、より精度良く、短時間に路面状態を判別できる路面状態判別装置およびそれを備えるタイヤシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載のタイヤシステムでは、タイヤ側装置(1)は、タイヤ(3)の振動の大きさに応じた検出信号を出力する振動検出部(1a)と、検出信号の波形に現れる路面状態を示す路面データを生成する波形処理部(1b)と、路面データを送信する第1データ通信部(1c)と、を備え、車体側システム(2)は、第1データ通信部から送信された路面データを受信する第2データ通信部(21a)と、教師データを保存する保存部(21b)と、路面データと教師データとに基づいて車両の走行路面における路面状態を判別する路面判定部(21c)と、所定の種別を特定対象としてタイヤが種別に含まれるいずれの内容に該当するかを特定するタイヤ特定を行うタイヤ特定部(21d)と、を備えている。さらに、タイヤ側装置は、波形処理部にて、検出信号に基づいてタイヤ特定に用いられる特定用データを生成すると共に、第1データ通信部を通じて特定用データを送信し、車体側システムは、タイヤ特定部にて、タイヤ側装置から伝えられた特定用データに基づいてタイヤ特定を行い、路面判定部にて路面状態の判別を行う際には、タイヤ特定の結果に対応する教師データを用いて路面状態の判別を行う。
このように、タイヤが、決められた特定対象に含まれる内容のどれであるかを特定するタイヤ特定を行い、そのタイヤ特定結果と対応するサポートベクタを用いて路面状態を判別できるようにしている。このため、タイヤ側装置が取り付けられたタイヤの振動特性に最も対応したサポートベクタを用いて路面状態を判別でき、より精度良く、短時間に路面状態を判別することが可能となる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態にかかるタイヤシステムの全体構成を示した図である。 タイヤ側装置および車体側システムの詳細構成を示したブロック図である。 タイヤ側装置が取り付けられたタイヤの断面模式図である。 振動センサ部の検出信号の周波数解析結果を示した図である。 振動センサ部の検出信号の周波数解析結果を示した図である。 タイヤ回転時における振動センサ部の出力電圧波形図である。 振動センサ部の検出信号を所定の時間幅Tの時間窓毎に区画した様子を示す図である。 タイヤ側処理の詳細を示したフローチャートである。 車体側処理の詳細を示したフローチャートである。 タイヤの今回の回転時の時間軸波形と1回転前のときの時間軸波形それぞれを所定の時間幅Tの時間窓で分割した各区画での行列式Xi(r)、Xi(s)と距離Kyzとの関係を示した図である。 第2実施形態のタイヤ側処理の詳細を示したフローチャートである。 第2実施形態の車体側処理の詳細を示したフローチャートである。 第3実施形態のタイヤ側処理の詳細を示したフローチャートである。 第3実施形態の車体側処理の詳細を示したフローチャートである。 第4実施形態にかかるタイヤシステムを構成するタイヤ側装置および車体側システムの詳細構成を示したブロック図である。 第4実施形態のタイヤ側処理の詳細を示したフローチャートである。 第4実施形態の車体側処理の詳細を示したフローチャートである。 第5実施形態にかかるタイヤシステムを構成する各部の詳細構成を示したブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
図1〜図9を参照して、本実施形態にかかる路面状態判別機能を有するタイヤシステム100について説明する。本実施形態にかかるタイヤシステム100は、車両の各車輪に備えられるタイヤの接地面に加わる振動に基づいて、路面状態の判別を行うものであり、ここで判別した路面状態に基づいて車両の危険性の報知や車両運動制御などが行われる。
図1および図2に示すようにタイヤシステム100は、車輪側に設けられたタイヤ側装置1と、車体側に備えられた各部を含む車体側システム2とを有する構成とされている。車体側システム2としては、受信機21、ブレーキ制御用の電子制御装置(以下、ブレーキECUという)22、報知装置23などが備えられている。なお、このタイヤシステム100のうち路面状態判別機能を実現する部分が路面状態判別装置に相当する。本実施形態の場合、タイヤ側装置1と車体側システム2のうちの受信機21が路面状態判別装置を構成している。
本実施形態のタイヤシステム100は、タイヤ側装置1よりタイヤ3の走行路面における路面状態に応じたデータ(以下、路面データという)を送信すると共に、受信機21で路面データを受信して路面状態の判別を行う。また、タイヤシステム100は、受信機21での路面状態の判別結果を報知装置23に伝え、報知装置23より路面状態の判別結果を報知させる。これにより、例えばドライ路やウェット路もしくは凍結路であることなど、路面状態をドライバに伝えることが可能となり、滑り易い路面である場合にはドライバに警告することも可能となる。また、タイヤシステム100は、車両運動制御を行うブレーキECU22などに路面状態を伝えることで、危険を回避するための車両運動制御が行われるようにする。例えば、凍結時には、ドライ路の場合と比較してブレーキ操作量に対して発生させられる制動力が弱められるようにすることで、路面摩擦係数μが低いときに対応した車両運動制御となるようにする。具体的には、タイヤ側装置1および受信機21は、以下のように構成されている。
タイヤ側装置1は、各タイヤ3それぞれに配置され、車体側システム2との間において双方向通信が可能とされている。具体的には、タイヤ側装置1は、図2に示すように、振動センサ部1a、波形処理部1b、データ通信部1c、電源部1dを備えた構成とされ、図3に示されるように、タイヤ3のトレッド31の裏面側に設けられる。
振動センサ部1aは、タイヤ3に加わる振動を検出するための振動検出部を構成するものである。例えば、振動センサ部1aは、加速度センサによって構成される。振動センサ部1aが加速度センサとされる場合、振動センサ部1aは、例えばタイヤ3が回転する際にタイヤ側装置1が描く円軌道に対して接する方向、つまり図3中の矢印Xで示すタイヤ接線方向の振動の大きさに応じた検出信号として、加速度の検出信号を出力する。より詳しくは、加速度取得部10は、矢印Xで示す二方向のうちの一方向を正、反対方向を負とする出力電圧を検出信号として発生させる。例えば、振動センサ部1aは、タイヤ3が1回転するよりも短い周期に設定される所定のサンプリング周期ごとに加速度検出を行い、それを検出信号として出力している。
なお、ここでは振動センサ部1aにて、タイヤ接線方向の振動を検出する場合について説明したが、他の方向、例えばタイヤ径方向の振動を検出しても同様のことを行える。
波形処理部1bは、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って検出信号の信号処理を行い、検出信号に現れる路面状態を示す路面データを生成する。ここでは、路面データとして、タイヤ振動の特徴量を含むデータを用いている。また、波形処理部1bは、検出信号の信号処理を行うことで、検出信号に現れるタイヤ振動からタイヤの特定に用いるデータである特定用データを生成している。この特定用データは、上記した路面データであっても良いが、本実施形態では異なるデータとしており、例えば検出信号の生波形そのもののデータを特定用データとしている。
具体的には、波形処理部1bは、振動センサ部1aが出力する検出信号をタイヤ接線方向の振動データを表す検出信号として用いて、この検出信号が示す振動波形の波形処理を行うことで、タイヤ振動の特徴量を抽出する。本実施形態の場合、タイヤ3の加速度(以下、タイヤGという)の検出信号を信号処理することで、タイヤGの特徴量を抽出する。また、波形処理部1bは、振動センサ部1aの検出信号そのものとなる生波形を取得し、必要に応じてノイズ除去等の信号処理を行い、それをデータ化する(以下、生波形をデータ化したものを生波形データという)。そして、波形処理部1bは、抽出した特徴量を含むデータを路面データとして、また生波形データを特定用データとしてデータ通信部1cに伝える。なお、ここでいう特徴量の詳細については後で説明する。
また、波形処理部1bは、データ通信部1cからのデータ送信を制御しており、データ送信を行わせたいタイミングでデータ通信部1cに対して路面データもしくは特定用データを伝えることで、データ通信部1cからデータ通信が行われるようにする。例えば、波形処理部1bは、タイヤ3が1回転するごとにタイヤGの特徴量の抽出を行い、タイヤ3が1回転もしくは複数回転する毎に1回もしくは複数回の割合で、データ通信部1cに対して路面データを伝えている。また、波形処理部1bは、走行開始時には、タイヤ3が1回転もしくは複数回転する毎に1回もしくは複数回の割合で、生波形データを生成し、データ通信部1cに対して伝える。例えば、波形処理部1bは、データ通信部1cに対して路面データもしくは生波形データを伝えるときのタイヤ3の1回転中に抽出された特徴量を含む路面データもしくは生波形データをデータ通信部1cに対して伝えている。
データ通信部1cは、第1データ通信部を構成する部分であり、車体側システム2における受信機21の後述するデータ通信部21aとの間においてデータ通信を行う。データ通信部1cは、データ通信部21aとの間において双方通信を行える構成とされている。データ通信部1cは、ここでは1つの構成として記載されているが、送信部と受信部それぞれ別々に構成されたものであっても良い。双方向通信の形態については様々なものを適用することができ、BLE(Bluetooth Low Energyの略)通信を含むブルートゥース通信、wifiなどの無線LAN(Local Area Networkの略)、Sub-GHz通信、ウルトラワイドバンド通信、ZigBeeなどを適用できる。なお、「ブルートゥース」は登録商標である。
例えば、データ通信部1cは、波形処理部1bから路面データもしくは特定用データが伝えられると、そのタイミングで路面データもしくは特定用データの送信を行う。データ通信部1cからのデータ送信のタイミングについては、波形処理部1bによって制御されている。そして、波形処理部1bからタイヤ3が1回転もしくは複数回転するごとに路面データもしくは特定用データが送られてくるたびに、データ通信部1cからのデータ送信が行われるようになっている。
電源部1dは、タイヤ側装置1の電源となるものであり、タイヤ側装置1に備えられる各部への電力供給を行うことで、各部が作動させられるようにしている。電源部1dは、例えばボタン電池等の電池で構成される。
一方、車体側システム2を構成する受信機21、ブレーキECU22、報知装置23は、図示しないイグニッションスイッチなどの起動スイッチがオンされると駆動されるものである。
受信機21は、図2に示すように、データ通信部21a、サポートベクタ保存部21b、路面判定部21c、タイヤ特定部21dを有した構成とされている。
データ通信部21aは、第2データ通信部を構成する部分であり、タイヤ側装置1のデータ通信部1cより送信された路面データや特定用データを受信し、路面判定部21cやタイヤ特定部21dに伝える役割を果たす。
サポートベクタ保存部21bは、サポートベクタを記憶して保存するものであり、後述するようにタイヤ特定の特定対象に対応したサポートベクタを例えば路面の種類ごとに保存している。
サポートベクタは、手本となる特徴量のことであり、例えばサポートベクタマシンを用いた学習によって得ている。タイヤ側装置1を備えた車両を実験的に路面の種類別に走行させ、そのときに特徴量抽出部11aで抽出した特徴量を所定のタイヤ回転数分学習し、その中から典型的な特徴量を所定数分抽出したものがサポートベクタとされる。例えば、路面の種類別に、100万回転分の特徴量を学習し、その中から100回転分の典型的な特徴量を抽出したものをサポートベクタとしている。
特定対象とは、タイヤ特定によって特定したいタイヤ3の内容の種別を意味している。例えば、特定対象としては、夏用タイヤ、冬用タイヤ、オールシーズンタイヤのような「タイヤ種類」が挙げられる。この場合、「タイヤ種類」が特定対象となる種別であり、「夏用タイヤ」、「冬用タイヤ」などが種別に含まれるタイヤ3の具体的な内容である。また、タイヤ3の種類に加えてタイヤ製造メーカまで特定できる場合には、「タイヤ製造メーカを特定したタイヤ種類」が特定対象とする種別となる。また、例えばタイヤ3の種類やタイヤ製造メーカよりも更に詳しいタイヤ3の銘柄(以下、タイヤ銘柄という)、換言すればタイヤの識別情報であるタイヤIDを特定対象とする種別とすることも可能である。さらに、振動特性が類似するタイヤ同士をタイヤ群として、タイヤ群を分類した複数の区分(以下、タイヤ区分という)も特定対象となる種別になり得る。
そして、特定対象に対応したサポートベクタとは、上記した特定対象とする種別に含まれるタイヤ3の内容毎のサポートベクタを意味している。すなわち、特定対象に対応したサポートベクタとは、特定対象が「タイヤ種類」であれば「タイヤ種類」に含まれる内容毎のサポートベクタを意味する。また、「タイヤ種類」に加えて「タイヤ製造メーカ」が特定対象である場合には、「タイヤ製造メーカを特定したタイヤ種類」の内容毎のサポートベクタが特定対象に対応したサポートベクタとなる。同様に、特定対象が「タイヤ銘柄」であれば「タイヤ銘柄」の内容毎のサポートベクタ、「タイヤ区分」であれば「タイヤ区分」の内容毎のサポートベクタが、特定対象に対応したサポートベクタとなる。例えば「タイヤ種類」が「夏用タイヤ」と「冬用タイヤ」に二種類の内容を含んでいるのであれば、「夏用タイヤ」に対する路面の種類毎のサポートベクタと、「冬用タイヤ」に対する路面の種類毎のサポートベクタが特定対象に対応するサポートベクタとなる。
このように、サポートベクタ保存部21bには、タイヤ特定部21dによるタイヤ特定の特定対象が上記した中のいずれであるかに応じて、その特定対象に対応したサポートベクタが記憶されている。
路面判定部21cは、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って各種処理を行って、路面状態を判別する。具体的には、路面判定部21cは、波形処理部1bから伝えられる路面データに含まれる特徴量とサポートベクタ保存部21bに記憶されているサポートベクタとを比較することで路面状態の判別を行っている。
例えば、今回受信した路面データに含まれる特徴量を路面の種類別のサポートベクタと対比して、その特徴量が最も近いサポートベクタの路面を現在の走行路面と判別している。このとき用いられるサポートベクタは、上記した特定対象に対応したサポートベクタのうち、タイヤ特定により特定された内容に対応したサポートベクタとされ、タイヤ側装置1が取り付けられたタイヤ3の振動特性に最も対応したサポートベクタとされる。
また、路面判定部21cは、路面状態を判別すると、判別した路面状態を報知装置23に伝え、必要に応じて報知装置23より路面状態をドライバに伝える。これにより、ドライバは路面状態に対応した運転を心掛けるようになり、車両の危険性を回避することが可能となる。例えば、報知装置23を通じて判別された路面状態を常に表示するようにしても良いし、判別された路面状態がウェット路や凍結路等のように運転をより慎重に行う必要があるときにのみ路面状態を表示してドライバに警告するようにしても良い。また、受信機21からブレーキECU22などの車両運動制御を実行するためのECUに対して路面状態を伝えており、伝えられた路面状態に基づいて車両運動制御が実行されるようにしている。
タイヤ特定部21dは、タイヤ側装置1から送信されてきた特定用データに基づいてタイヤ特定を行う。タイヤ特定では、「タイヤ種類」、「タイヤ製造メーカを特定したタイヤ種類」、「タイヤ銘柄」もしくは「タイヤ3の区分」のうちの1つを特定対象として決めてあり、タイヤ3が決められた特定対象に含まれる内容のどれに該当するものであるかを特定する。一例を挙げると、タイヤ特定部21dは、特定対象が「タイヤ種類」である場合、夏用タイヤ、冬用タイヤなどの「タイヤ種類」に含まれる内容のどれに該当するかを特定するものであり、例えばタイヤ3が「夏用タイヤ」に該当するということを特定する。
タイヤ3の振動特性は、タイヤ種類などに応じて異なったものとなる。例えば、夏用タイヤと冬用タイヤそれぞれにおける振動センサ部1aの検出信号の周波数解析結果は、図4Aや図4Bとなる。これらの図は、路面状態がドライ路面とウェット路面の場合を示しているが、両方共に、タイヤ種類に応じて、例えば2000Hzの高周波成分の値に差が出てくる。このため、特定用データの周波数解析を行い、その周波数解析結果に基づいてタイヤ種類を特定することができる。例えば、周波数解析後の2000kHz以上での検出信号の電圧値が閾値より大きければ夏用タイヤ、小さければ冬用タイヤのように、「タイヤ種類」を特定できる。また、周波数解析後の検出信号の電圧値の積分値を求め、その積分値を閾値と比較することで「タイヤ種類」を特定することもできる。
なお、ここではタイヤ特定での特定対象が「タイヤ種類」となる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、これは一例を示したに過ぎず、より詳細に振動センサ部1aの検出信号が示すタイヤ3の振動特性を分類することで、「タイヤ種類」だけでなく、「タイヤ製造メーカを特定したタイヤ種類」もしくは「タイヤ銘柄」を特定対象とすることができる。タイヤ3の振動特性については、「タイヤ種類」毎、「タイヤ製造メーカを特定したタイヤ種類」毎、もしくは「タイヤ銘柄」毎というように、特定対象としたいものに対応して、実験により予めデータを採ることができる。そして、実験結果などによって、タイヤ特定により特定対象とするもの毎、例えば「タイヤ銘柄」毎のタイヤ3の振動特性の範囲を設定しておけば、タイヤ特定時に得られたタイヤ3の振動特性がどの範囲に属しているかに基づいて「タイヤ銘柄」を特定できる。一例を挙げると、各タイヤ銘柄を区画する閾範囲を設定しておき、周波数解析後の検出信号の電圧値がどの閾範囲に含まれているか判定することで、「タイヤ銘柄」を特定できる。例えば、周波数解析後の2000kHz以上での検出信号の電圧値がどの閾範囲に属しているか、もしくは、周波数解析後の検出信号の電圧値の積分値がどの閾範囲に属しているかを判定することで、タイヤ銘柄を特定することができる。
ブレーキECU22は、様々なブレーキ制御を行う制動制御装置を構成するものである。具体的には、ブレーキECU22は、ブレーキ液圧制御用のアクチュエータを駆動することでホイールシリンダ圧を増減して制動力を制御する。また、ブレーキECU22は、各車輪の制動力を独立して制御することもできる。このブレーキECU22により、受信機21から路面状態が伝えられると、それに基づいて車両運動制御として制動力の制御を行っている。例えば、ブレーキECU22は、伝えられた路面状態が凍結路であることを示していた場合、ドライ路面と比較して、ドライバによるブレーキ操作量に対して発生させる制動力を弱めるようにする。これにより、車輪スリップを抑制でき、車両の危険性を回避することが可能となる。
また、報知装置23は、例えばメータ表示器などで構成され、ドライバに対して路面状態を報知する際に用いられる。報知装置23をメータ表示器で構成する場合、ドライバが車両の運転中に視認可能な場所に配置され、例えば車両におけるインストルメントパネル内に設置される。メータ表示器は、受信機21から路面状態が伝えられると、その路面状態が把握できる態様で表示を行うことで、視覚的にドライバに対して路面状態を報知することができる。
なお、報知装置23をブザーや音声案内装置などで構成することもできる。その場合、報知装置23は、ブザー音や音声案内によって、聴覚的にドライバに対して路面状態を報知することができる。また、視覚的な報知を行う報知装置23としてメータ表示器を例に挙げたが、ヘッドアップディスプレイなどの情報表示を行う表示器によって報知装置23を構成しても良い。
このようにして、本実施形態にかかるタイヤシステム100が構成されている。なお、車体側システム2を構成する各部は、例えばCAN(Controller Area Networkの略)通信などによる車内LAN(Local Area Networkの略)を通じて接続されている。このため、車内LANを通じて各部が互いに情報伝達できるようになっている。
以上のようにして、本実施形態にかかるタイヤ側装置1および車体側システム2を有するタイヤシステムが構成されている。
次に、上記した波形処理部1bで抽出する特徴量の詳細について説明する。
ここでいう特徴量とは、振動センサ部1aが取得したタイヤ3に加わる振動の特徴を示す量であり、例えば特徴ベクトルとして表される。
タイヤ回転時における振動センサ部1aの検出信号の出力電圧波形は、例えば図5に示す波形となる。この図に示されるように、タイヤ3の回転に伴ってトレッド31のうち振動センサ部1aの配置箇所と対応する部分が接地し始めた接地開始時に、振動センサ部1aの出力電圧が極大値をとる。以下、この振動センサ部1aの出力電圧が極大値をとる接地開始時のピーク値を第1ピーク値という。さらに、図5に示されるように、タイヤ3の回転に伴ってトレッド31のうち振動センサ部1aの配置箇所と対応する部分が接地していた状態から接地しなくなる接地終了時に、振動センサ部1aの出力電圧が極小値をとる。以下、この振動センサ部1aの出力電圧が極小値をとる接地終了時のピーク値を第2ピーク値という。
振動センサ部1aの出力電圧が上記のようなタイミングでピーク値をとるのは、以下の理由による。すなわち、タイヤ3の回転に伴ってトレッド31のうち振動センサ部1aの配置箇所と対応する部分が接地する際、振動センサ部1aの近傍においてタイヤ3のうちそれまで略円筒面であった部分が押圧されて平面状に変形する。このときの衝撃を受けることで、振動センサ部1aの出力電圧が第1ピーク値をとる。また、タイヤ3の回転に伴ってトレッド31のうち振動センサ部1aの配置箇所と対応する部分が接地面から離れる際には、振動センサ部1aの近傍においてタイヤ3は押圧が解放されて平面状から略円筒状に戻る。このタイヤ3の形状が元に戻るときの衝撃を受けることで、振動センサ部1aの出力電圧が第2ピーク値をとる。このようにして、振動センサ部1aの出力電圧が接地開始時と接地終了時でそれぞれ第1、第2ピーク値をとるのである。また、タイヤ3が押圧される際の衝撃の方向と、押圧から開放される際の衝撃の方向は逆方向であるため、出力電圧の符号も逆方向となる。
ここで、タイヤトレッド31のうち振動センサ部1aの配置箇所と対応する部分が路面に接地した瞬間を「踏み込み領域」、路面から離れる瞬間を「蹴り出し領域」とする。「踏み込み領域」には、第1ピーク値となるタイミングが含まれ、「蹴り出し領域」には、第2ピーク値となるタイミングが含まれる。また、踏み込み領域の前を「踏み込み前領域」、踏み込み領域から蹴り出し領域までの領域、つまりタイヤトレッド31のうち振動センサ部1aの配置箇所と対応する部分が接地中の領域を「蹴り出し前領域」、蹴り出し領域後を「蹴り出し後領域」とする。このように、タイヤトレッド31のうち振動センサ部1aの配置箇所と対応する部分が接地する期間およびその前後を5つの領域に区画することができる。なお、図5中では、検出信号のうちの「踏み込み前領域」、「踏み込み領域」、「蹴り出し前領域」、「蹴り出し領域」、「蹴り出し後領域」を順に5つの領域R1〜R5として示してある。
路面状態に応じて、区画した各領域でタイヤ3に生じる振動が変動し、振動センサ部1aの検出信号が変化することから、各領域での振動センサ部1aの検出信号を周波数解析することで、車両の走行路面における路面状態を検出する。例えば、圧雪路のような滑り易い路面状態では蹴り出し時の剪断力が低下するため、蹴り出し領域R4や蹴り出し後領域R5において、1kHz〜4kHz帯域から選択される帯域値が小さくなる。このように、路面状態に応じて振動センサ部1aの検出信号の各周波数成分が変化することから、検出信号の周波数解析に基づいて路面状態を判別することが可能になる。
このため、波形処理部1bは、連続した時間軸波形となっているタイヤ3の1回転分の振動センサ部1aの検出信号を、図6に示すように所定の時間幅Tの時間窓毎に複数の区画に分割し、各区画で周波数解析を行うことで特徴量を抽出している。具体的には、各区画で周波数解析を行うことで、各周波数帯域でのパワースペクトル値、つまり特定周波数帯域の振動レベルを求め、このパワースペクトル値を特徴量としている。
なお、時間幅Tの時間窓で分割された区画の数は車速に応じて、より詳しくはタイヤ3の回転速度に応じて変動する値である。以下の説明では、タイヤ1回転分の区画数をn(ただし、nは自然数)としている。
例えば、各区画それぞれの検出信号を複数の特定周波数帯域のフィルタ、例えば0〜1kHz、1〜2kHz、2〜3kHz、3〜4kHz、4〜5kHzの5つのバンドパスフィルタに通して得られたパワースペクトル値を特徴量としている。この特徴量は、特徴ベクトルと呼ばれるもので、ある区画i(ただし、iは1≦i≦nの自然数)の特徴ベクトルXiは、各特定周波数帯域のパワースペクトル値をaikで示すと、これを要素とする行列として、次式のように表される。
Figure 2020003309
なお、パワースペクトル値aikにおけるkは、特定周波数帯域の数、つまりバンドパスフィルタの数であり、上記のように0〜5kHzの帯域を5つに分ける場合、k=1〜5となる。そして、全区画1〜nの特徴ベクトルX1〜Xnを総括して示した行列式Xは、次式となる。
Figure 2020003309
この行列式Xがタイヤ1回転分の特徴量を表した式となる。波形処理部1bでは、この行列式Xで表される特徴量を振動センサ部1aの検出信号を周波数解析することによって抽出している。
続いて、本実施形態にかかるタイヤシステムの作動について、図7〜図8を参照して説明する。
各車輪のタイヤ側装置1では、波形処理部1bにて、図7に示すタイヤ側処理を実行している。この処理は、振動センサ部1aの検出信号に基づいて車両の走行開始を検知すると、所定の制御周期ごとに実行される。また、受信機21では、図8に示す車体側処理を実行している。この処理は、起動スイッチがオンされると路面判定部21cやタイヤ特定部21dなどの協働作動によって実行されるものであり、所定の制御周期毎に実行される。以下、これらの処理について、時系列に沿って順に説明する。
まず、タイヤ側処理として、ステップS100において、振動センサ部1aの検出信号から特定用データの計測処理を行う。この処理は、例えばタイヤ3が1回転するまでの期間継続される。波形処理部1bは、タイヤ3が1回転する際に出力される振動センサ部1aの検出信号を入力すると、その検出信号そのものとなる生波形に必要に応じてノイズ除去等の信号処理を行い、それをデータ化する。これにより、特定用データの計測が行われる。
なお、タイヤ3が1回転したことについては、振動センサ部1aの検出信号の時間軸波形に基づいて判定している。すなわち、検出信号は図5に示した時間軸波形を描くことから、検出信号の第1ピーク値や第2ピーク値を確認することでタイヤ3の1回転を把握することができる。
その後、ステップS110に進み、データ送信処理が行われる。これにより、ステップS100で得られた特定用データがデータ通信部1cに伝えられ、データ通信部1cより、特定用データが送信される。そして、ステップS120に進み、車体側システム2よりタイヤ特定完了を示す完了通知が有ったか否かを判定し、完了通知が有るまでステップS100からの処理を繰り返し行う。
一方、車体側処理として、ステップS200において、タイヤ側装置1から送信された特定用データが受信されたか否かが判定される。ここで肯定判定されるとステップS210に進み、否定判定されれば再び本処理を繰り返す。上記したステップS110において特定用データが送信されていれば、ステップS200で肯定判定されることになる。そして、ステップS210において、受信した特定用データに基づいてタイヤ特定処理を行う。タイヤ特定処理では、特定用データを送信してきたタイヤ側装置1の取り付けられたタイヤ3が、特定対象に含まれるどの内容のものであるかを特定する。このタイヤ特定の手法については上記した通りである。
そして、ステップS220に進んでタイヤ特定が完了したか否かを判定し、タイヤ特定が完了していればステップS230に進み、タイヤ特定が完了していなければステップS200からの処理を繰り返す。そして、ステップS230に進むと、データ通信部21aを通じて、タイヤ側装置1に対してタイヤ特定完了を示す完了通知を送信する。
これにより、図7のステップS120で肯定判定されることになる。そして、ステップS130に進み、今度は振動センサ部1aの検出信号から路面データの計測処理を行う。この処理は、例えばタイヤ3が1回転までの期間継続される。波形処理部1bは、タイヤ3が1回転する際に出力される振動センサ部1aの検出信号を入力すると、その時間軸波形の特徴量を抽出する。この特徴量の抽出については、上述した通りの手法によって行っている。
なお、路面状態が検出信号の時間軸波形の変化として特に現れるのが、「踏み込み領域」、「蹴り出し前領域」、「蹴り出し領域」を含めたその前後の期間である。このため、この期間中のデータが入力されていれば良く、必ずしもタイヤ1回転中における振動センサ部1aの検出信号すべてのデータを入力していなくても良い。例えば、「踏み込み前領域」や「蹴り出し後領域」については、「踏み込み領域」の近傍や「蹴り出し領域」の近傍のデータがあれば良い。このため、振動センサ部1aの検出信号のうちの振動レベルが閾値よりも小さくなる領域については、「踏み込み前領域」や「蹴り出し後領域」の中でも路面状態の影響を受け難い期間として、検出信号の入力を行わないようにしても良い。
そして、ステップS140に進む。ステップS140では、路面状態の判別のためのデータ送信を実行すべく、今回の制御周期の際に抽出した特徴量を含む路面データをデータ通信部1cに伝える。これにより、データ通信部1cより、特徴量を含む路面データが送信される。
この後は、ステップS150に進んで車両が停止したか否かを判定する。車両が停止したことについては、振動センサ部1aの検出信号の変化が所定時間以上無いこと等に基づいて判定することができる。そして、車両が停止した場合にはタイヤ側処理を終了し、車両が停止していない場合には繰り返しステップS130、S140の処理を行って、走行路面の路面状態に対応した路面データが車体側システム2に伝えられるようにする。
一方、車体側処理では、図8のステップS230の処理を終えた後、ステップS240に進み、タイヤ側装置1から路面データを受信したか否かを判定する。ここで、路面データが受信されて肯定判定されるまでは本処理が繰り返され、路面データが受信されるとステップS250に進む。
そして、ステップS250において、路面状態の判別を行う。路面状態の判別については、受信した路面データに含まれる特徴量と、路面判定部21cに保存された特定対象に対応した路面の種類別のサポートベクタとを比較することで行う。このとき、使用するサポートベクタを、ステップS220でのタイヤ特定により特定された内容に対応するサポートベクタとしている。このため、タイヤ側装置1が取り付けられたタイヤ3の振動特性に最も対応したサポートベクタを用いて路面状態を判別できる。
具体的には、特徴量を路面の種類別の全サポートベクタとの類似度を求め、最も類似度が高かったサポートベクタの路面を現在の走行路面と判別している。例えば、特徴量を路面の種類別の全サポートベクタとの類似度の算出は、次のような手法によって行うことができる。
上記したように特徴量を表す行列式Xについて、特徴量の行列式をX(r)、サポートベクタの行列式をX(s)とし、それぞれの行列式の各要素となるパワースペクトル値aikをa(r)ik,a(s)ikで表すとする。その場合、特徴量の行列式X(r)とサポートベクタの行列式X(s)は、それぞれ次のように表される。
Figure 2020003309
Figure 2020003309
類似度は、2つの行列式で示される特徴量とサポートベクタとの似ている度合いを示しており、類似度が高いほどより似ていることを意味している。本実施形態の場合、路面判定部21cは、カーネル法を用いて類似度を求め、その類似度に基づいて路面状態を判別する。ここでは、特徴量の行列式X(r)とサポートベクタの行列式X(s)の内積、換言すれば特徴空間内において所定の時間幅Tの時間窓毎で分割した区画同士の特徴ベクトルXiが示す座標間の距離を算出し、それを類似度として用いている。
例えば、図9に示すように、振動センサ部1aの検出信号の時間軸波形について、今回のタイヤ3の回転時の時間軸波形とサポートベクタの時間軸波形それぞれを所定の時間幅Tの時間窓で各区画に分割する。図示例の場合、各時間軸波形を5つの区画に分割しているため、n=5となり、iは、1≦i≦5で表される。ここで、図中に示したように、今回のタイヤ3の回転時の各区画の特徴ベクトルXiをXi(r)、サポートベクタの各区画の特徴ベクトルをXi(s)とする。その場合、各区画の特徴ベクトルXiが示す座標間の距離Kyzについては、今回のタイヤ3の回転時の各区画の特徴ベクトルXi(r)を含む横の升とサポートベクタの各区画の特徴ベクトルXi(s)を含む縦の升とが交差する升のように示される。なお、距離Kyzについて、yはXi(s)におけるiを書き換えたものであり、zはXi(r)におけるiを書き換えたものである。なお、実際には、車速に応じて、今回のタイヤ3の回転時とサポートベクタとの区画数は異なったものとなり得るが、ここでは等しくなる場合を例に挙げてある。
本実施形態の場合、5つの特定周波数帯域に分けて特徴ベクトルを取得している。このため、時間軸と合わせた6次元空間において各区画の特徴ベクトルXiが表されることとなり、区画同士の特徴ベクトルがXi示す座標間の距離は、6次元空間における座標間の距離となる。ただし、各区画の特徴ベクトルが示す座標間の距離については、特徴量とサポートベクタとが似ているほど小さく、似ていないほど大きくなることから、当該距離が小さいほど類似度が高く、距離が大きいほど類似度が低いことを示している。
例えば、時分割によって区画1〜nとされている場合、区画1同士の特徴ベクトルが示す座標間の距離Kyzについては、次式で示される。
Figure 2020003309
このようにして、時分割による区画同士の特徴ベクトルが示す座標間の距離Kyzを全区画について求め、全区画分の距離Kyzの総和Ktotalを演算し、この総和Ktotalを類似度に対応する値として用いている。そして、総和Ktotalを所定の閾値Thと比較し、総和Ktotalが閾値Thよりも大きければ類似度が低く、総和Ktotalが閾値Thよりも小さければ類似度が高いと判定する。このような類似度の算出を全サポートベクタに対して行い、最も類似度が高かったサポートベクタと対応する路面の種類が現在走行中の路面状態であると判別する。このようにして、路面状態判別を行うことができる。
なお、ここでは類似度に対応する値として各区画の特徴ベクトルが示す2つの座標間の距離Kyzの総和Ktotalを用いているが、類似度を示すパラメータとして他のものを用いることもできる。例えば、類似度を示すパラメータとして、総和Ktotalを区画数で割って求めた距離Kyzの平均値である平均距離Kaveを用いることができる。また、特許文献1に示されているように、様々なカーネル関数を用いて類似度を求めることもできる。また、特徴ベクトルのすべてを用いるのではなく、その中から類似度の低いパスを除いて類似度の演算を行うようにしても良い。
以上説明したように、本実施形態のタイヤシステムでは、タイヤ3が、決められた特定対象に含まれる内容のどれであるかを特定するタイヤ特定を行い、そのタイヤ特定結果と対応するサポートベクタを用いて路面状態を判別できるようにしている。このため、タイヤ側装置1が取り付けられたタイヤ3の振動特性に最も対応したサポートベクタを用いて路面状態を判別でき、より精度良く、短時間に路面状態を判別することが可能となる。
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してタイヤ側処理および車体側処理を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
第1実施形態では、特定用データを路面データと異なるデータで構成する場合としたが、本実施形態では、特定用データを路面データと同じデータで構成する、つまり路面データを特定用データとして用いる。そして、タイヤ側処理として上記した図7に代えて図10に示す処理を実行し、車体側処理として上記した図8に代えて図11に示す処理を実行する。
まず、タイヤ側処理では、ステップS300において、振動センサ部1aの検出信号から路面データの計測処理を行う。この処理は、図7のステップS130と同様にして実行される。そして、ステップS310に進み、路面データのデータ送信を実行する。このとき、データ送信が行われるのは路面データのみであるが、タイヤ特定が完了するまではデータ送信された路面データが特定用データとして用いられ、タイヤ特定が完了した後には路面データが路面状態の判別のために用いられる。そして、ステップS320において、車両が停止したか否かが判定され、車両が停止するまでステップS300およびステップS310の各処理が繰り返される。
一方、車体側処理では、ステップS400〜S420において、図8のステップS200〜S220と同様の処理を行う。ただし、ステップS400では、特定用データが受信されたか否かの判定においては、路面データが受信されていれば特定用データが受信されたと判定されることになる。また、ステップS410のタイヤ特定は、路面データに基づいて、例えば路面データに含まれる特徴量に基づいて行われることになる。
その後は、ステップS430〜S450において、図8のステップS240〜S260と同様の処理を行う。なお、特定用データを路面データと同じデータで構成する場合、これらを異なるデータで構成する場合のように特定用データから路面データへの切り替えを行う必要が無い。このため、図8のステップS230で実行していたタイヤ特定完了を示す完了通知を送ることなくステップS430に進むようにしている。
以上説明したように、路面データに含まれる特徴量などに基づいてタイヤ特定が可能である場合、路面データを特定用データとして用いてタイヤ特定を行うこともできる。その場合、タイヤ側装置1では、路面データの送信を繰り返し行うようにするだけで良く、車体側システム2では、路面データに基づいてタイヤ特定を行えば良い。また、路面データを特定用データとして用いる場合には、タイヤ側装置1で単に路面データを繰り返し送信するだけでよいため、タイヤ特定完了を示す完了通知の送信については行わなくても良くなる。なお、路面データを特定用データとして用いる場合、タイヤ側装置1は、特定用データから路面データへの切り替えを行う必要がなく、タイヤ特定が完了したことを把握することは必要ではなくなる。このため、本実施形態の場合、車体側システム2からタイヤ側装置1への通信は必ずしも行わなくても良く、単にタイヤ側装置1から車体側システム2にのみデータ通信が行える一方向通信であっても構わない。
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対してタイヤ特定を完了できなかった場合の処理を加えたものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
第1実施形態では、特定用データに基づいてタイヤ特定が完了できることを前提としているが、車両の走行開始から一定時間経過しても完了できないこともあり得る。この場合には、いつ完了できるか分からないタイヤ特定よりも路面状態の判別を優先できるようにする。これを実現するために、本実施形態では、サポートベクタ保存部21bに、納車時に予めデフォルト値としての標準サポートベクタを保存している。
標準サポートベクタは、ロバスト性を高めた全タイヤ対応のサポートベクタであり、タイヤ特定前もしくはタイヤ特定が不可であった場合の路面状態の判別に用いられる。この標準サポートベクタは、ロバスト性を高めた全タイヤ対応のサポートベクタであることから、タイヤ特定が行えなかった場合であっても路面データと比較されることで路面状態を判別できる。しかしながら、タイヤ3の振動特性に最も対応したサポートベクタではないため、精度良く、短時間での路面状態の判別は難しい。ただし、タイヤ特定を必ず行えるとは限らず、行えなかった場合には、精度が高くなく、時間が掛かったとしても、路面状態の判別を行えるようにした方が好ましい。このため、本実施形態においては、タイヤ側処理として上記した図7に代えて図12に示す処理を実行し、車体側処理として上記した図8に代えて図13に示す処理を実行する。
まず、タイヤ側処理として、ステップS500において車両の走行開始から一定時間が経過したか否かを判定する。ここでいう一定時間とは、車両の走行開始からタイヤ特定に必要と想定される時間からある程度余裕を設けた時間とされる。また、車両の走行開始の経過時間については、例えばステップS500の処理で否定判定される毎にタイヤ特定部21d等に内蔵されるカウンタのカウント値がインクリメントされるようにしておくことで計測できる。そして、カウンタのカウント値が閾値に達すると、本処理において一定時間が経過したと判定されるようにしている。
ここで、車両の走行開始時にはまだ一定時間が経過していない。このため、ステップS500で否定判定されてステップS510に進む。そして、ステップS510、S520において、図7のステップS100、S110と同様の処理を行ったのち、ステップS500の処理を繰り返す。これにより、車両の走行開始から一定時間が経過するまでの間に、特定用データが繰り返しデータ送信されることになる。
そして、車両の走行開始から一定時間が経過してステップS500で肯定判定されると、ステップS530〜S550に進み、図7のステップS130〜S150と同様の処理を実行することで路面データの送信を車両が停止するまで繰り返し行う。
一方、車体側処理では、ステップS600〜S620において、ほぼ図8のステップS200〜S220と同様の処理を行う。ただし、ステップS600では、タイヤ側装置1から送信されてきた特定用データを受信したか否かではなく、受信したデータが特定用データであるか否かを判定し、肯定判定されるとステップS610、S620の処理が実行されるようにしている。このようにしているため、車両の走行開始から一定時間中に特定用データが送信されてきた場合にはタイヤ特定が行われる。そして、第1実施形態で説明した手法によってタイヤ特定が行われるが、車両の走行開始から一定時間を経過すると、タイヤ特定が完了するか否かにかかわらず、その後にタイヤ側装置1から特定用データが送られてこなくなる。このため、ステップS600で否定判定されてステップS630の処理が実行される。
そして、ステップS630で図8のステップS240と同様の処理を行ったのち、ステップS640においてタイヤ特定が完了しているか否かを判定する。この処理は、図8のステップS220と同様の処理として行われる。ここで肯定判定されると、ステップS650、S660において、図8のステップS250、S260と同様の処理、つまり起動スイッチがオフされるまでの間、タイヤ特定によって特定された内容に対応するサポートベクタを用いての路面状態の判別が行われる。そして、否定判定された場合には、ステップS670に進み、標準サポートベクタを用いて路面状態の判別を行う。
以上説明したように、タイヤ特定が行えた場合には、タイヤ3の振動特定に最も対応したサポートベクタを用いて路面状態を判別し、車両が走行開始してから一定時間経過してもタイヤ特定が行えなかった場合には標準サポートベクタを用いて路面状態を判別する。これにより、仮にタイヤ特定が行えなかったとしても、少なくとも路面状態の判別を行うことを担保することが可能となる。
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1〜第3実施形態に対してタイヤ特定をユーザ指示に基づいて実施するようにしたものであり、その他については第1〜第3実施形態と同様であるため、第1〜第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。なお、ここでは第1実施形態に対して本実施形態を適用した場合について説明するが、第2、第3実施形態に対しても適用できる。
第1〜第3実施形態では、ユーザ指示を加味せず、車両が走行開始するとタイヤ特定が行われるようにしたが、ユーザ指示が出された場合にのみタイヤ特定が行われるようにすることもできる。図14に示すように、本実施形態では、車体側システム2にユーザ操作が入力される入力部24が備えられており、入力部24からのタイヤ特定の指示信号が受信機21に入力されるようになっている。入力部24は、例えばインストルメントパネルに取り付けられた図示しない操作スイッチやナビゲーションシステム等のタッチパネルなどが該当し、ユーザがタイヤ交換時等にタイヤ特定が行われるようにすることを指示する部分である。この入力部24から入力されるタイヤ特定の指示信号に基づいてタイヤ側処理や車体側処理が実行されるようになっている。具体的には、本実施形態では、タイヤ側処理として図15に示す処理を実行し、車体側処理として図16に示す処理を実行する。
まず、タイヤ側処理として、ステップS700においてタイヤ特定の指示があったか否かが判定される。後述するように、入力部24よりタイヤ特定の指示信号が受信機21に伝えられると、車体側処理において、受信機21から指示信号が入力されたことを示す指示データが各タイヤ側装置1に対して送信されるようになっている。このため、ステップS700では、その指示データを受け取っているか否かを判定している。
ここで肯定判定されるとステップS710に進み、タイヤ特定の完了通知があったか否かが判定され、ここで否定判定されてまだタイヤ特定が完了していなければ、ステップS720、S730において、図7のステップS100、S110と同様の処理を行う。そして、タイヤ特定が完了するまで当該処理が繰り返される。そして、ステップS700で否定判定されるかステップS710で肯定判定されると、ステップS740以降に進み、図7のステップS130〜S150と同様の処理を行う。
一方、車体側処理では、ステップS800において、ユーザが入力部24を通じてタイヤ特定の指示を出したか否か、つまりタイヤ特定の指示信号が入力されたか否かが判定される。ここで肯定判定されると、ステップS810に進み、データ通信部21aより各タイヤ側装置1に対して指示信号が入力されたことを示す指示データを送信する。その後、ステップS820において、タイヤ側装置1から送信された特定用データを受信し、図8のステップS210と同様のタイヤ特定処理を行う。その後、ステップS830に進む。そして、ステップS830〜S870において、図8のステップS220〜S260と同様の処理を行う。
以上説明したように、ユーザによる指示があったときにタイヤ特定が行われるようにすることもできる。このようにすれば、車両が走行開始する度に無駄にタイヤ特定が行われないようにして、真に必要な際にのみタイヤ特定が行われるようにできる。
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1〜第4実施形態に対してタイヤ特定した際に用いるサポートベクタを通信センターより取得するものであり、その他については第1〜第4実施形態と同様であるため、第1〜第4実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図17に示すように、本実施形態では、受信機21に学習データ通信部21eが備えられていると共に車体側システム2に外部通信機25が備えられ、外部に備えられる通信センター200との通信が行えるようになっている。
学習データ通信部21eは、外部通信機25を通じて、タイヤ特定の結果を通信センター200に伝えたり、通信センター200から送られてきたタイヤ特定の結果に対応するサポートベクタのデータを取得し、サポートベクタ保存部21bに学習させる役割を果たす。
外部通信機25は、DCM(Data Communication Module)のような無線ネットワークなどを経由して通信センター200とのデータ通信を行うための装置である。本実施形態の場合、外部通信機25は、学習データ通信部21eからタイヤ特定の結果を示すデータが伝えられると、その結果を通信センター200に伝える。また、通信センター200からは、伝えたタイヤ特定の結果に対応するサポートベクタのデータが送られてくるため、それを取得して学習データ通信部21eに伝える。
通信センター200は、タイヤ特定が行われる内容、すなわち「タイヤ種類」、「タイヤ製造メーカを特定したタイヤ種類」、「タイヤ銘柄」もしくは「タイヤ区分」の内容毎のサポートベクタを集計して記憶しているコンピュータサーバとして機能するものである。通信センター200は、外部通信機25を通じて、各車両からタイヤ特定の結果を示すデータが送られてくると、そのタイヤ特定の結果に対応するサポートベクタのデータをその結果を送ってきた車両に伝えるようになっている。
このように、タイヤ特定が行われたら、その結果を通信センター200に伝え、通信センター200からタイヤ特定の結果に対応するサポートベクタを取得するようにして、サポートベクタ保存部21bに記憶されるようにしても良い。このようにすれば、サポートベクタ保存部21bに様々なタイヤ特定が行われる内容毎のサポートベクタのすべてを予め記憶させておく必要がなくなる。サポートベクタのデータ量は多く、記憶させておく種類が多いほどデータ量が膨大になる。したがって、膨大なデータ量のサポートベクタの記憶については通信センター200に担わせ、各車両のサポートベクタ保存部21bには必要なサポートベクタが記憶されるようにすることで、サポートベクタ保存部21bの記憶容量の軽減を図ることができる。
なお、このような場合、タイヤ特定が完了する前やタイヤ特定が不可であった場合でも路面状態の判別が行えるようにすることが好ましい。このため、第3実施形態で説明したようなデフォルト値としての標準サポートベクタをサポートベクタ保存部21bに記憶しておくと良い。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
(1)例えば、上記実施形態では、振動検出部を構成する振動センサ部11を加速度センサによって構成する場合を例示したが、他の振動検出を行うことができる素子、例えば圧電素子などによって構成することもできる。
(2)また、上記各実施形態では、振動センサ部11の検出信号に現れる路面状態を示す路面データとして、特徴量を含むデータを用いている。しかしながら、これも一例を示したに過ぎず、他のデータを路面データとして用いても良い。例えば、タイヤ3の1回転中の振動データに含まれる5つの領域R1〜R5それぞれの振動波形の積分値データを路面データとしても良いし、検出信号そのものの生データを路面データとしても良い。
同様に、タイヤ特定を行うための特定用データについて、生波形データを用いるようにしているが、生波形データでなくても、振動センサ部1aが出力する検出信号の中からタイヤ特定に適したデータを抽出し、それを特定用データとして用いても良い。例えば、検出信号からタイヤ特定に適した周波数帯のデータのみを抽出し、それを特定用データとしても良い。
(3)また、上記第5実施形態では、タイヤ特定の結果を通信センター200に伝え、その結果に対応するサポートベクタが通信センター200から各車両に伝えられるようにした。これも一例を示したに過ぎず、受信機21からタイヤ側装置1より伝えられた特定用データを通信センター200に伝え、通信センター200でタイヤ特定を行うと共にそのタイヤ特定の結果に対応するサポートベクタが各車両に伝えられるようにしても良い。
(4)また、上記各実施形態では、車体側システム2に備えられる受信機21の路面判定部21cによって特徴量とサポートベクタとの類似度を求めて路面状態の判別を行っている。しかしながら、これも一例を示したに過ぎず、車体側システム2のいずれかの場所、例えばブレーキECU22などのような他のECUによって類似度を求めたり、路面状態の判別を行ったり、指示信号の送信を行うようにしても良い。
(5)また、路面状態の判別に用いる教師データの一例として、サポートベクタを例に挙げたが、公知となっている他の教師データを用いても良い。
(6)また、上記各実施形態では、複数のタイヤ3のそれぞれに対してタイヤ側装置1を備えるようにしたが、少なくとも1つに備えられていればよい。
1 タイヤ側装置
2 車体側システム
1a 振動センサ部
1b 波形処理部
1c、21a データ通信部
21 受信機
21b サポートベクタ保存部
21c 路面判定部
21d タイヤ特定部
200 通信センター

Claims (8)

  1. 車両に備えられるタイヤ(3)に配置されたタイヤ側装置(1)と、車体に備えられた車体側システム(2)とを有する路面状態判別装置であって、
    前記タイヤ側装置は、
    前記タイヤの振動の大きさに応じた検出信号を出力する振動検出部(1a)と、前記検出信号の波形に現れる路面状態を示す路面データを生成する波形処理部(1b)と、前記路面データを送信する第1データ通信部(1c)と、を備え、
    前記車体側システムは、
    前記第1データ通信部から送信された前記路面データを受信する第2データ通信部(21a)と、教師データを保存する保存部(21b)と、前記路面データと前記教師データとに基づいて前記車両の走行路面における路面状態を判別する路面判定部(21c)と、所定の種別を特定対象として前記タイヤが前記種別に含まれるいずれの内容に該当するかを特定するタイヤ特定を行うタイヤ特定部(21d)と、を備え、
    前記タイヤ側装置は、前記波形処理部にて、前記検出信号に基づいて前記タイヤ特定に用いられる特定用データを生成すると共に、前記第1データ通信部を通じて前記特定用データを送信し、
    前記車体側システムは、前記タイヤ特定部にて、前記タイヤ側装置から伝えられた前記特定用データに基づいて前記タイヤ特定を行い、前記路面判定部にて前記路面状態の判別を行う際には、前記タイヤ特定の結果に対応する前記教師データを用いて前記路面状態の判別を行う路面状態判別装置。
  2. 前記特定対象とする種別は、タイヤ種類、タイヤ種類を含めたタイヤ製造メーカ、タイヤ銘柄、振動特性が類似するタイヤ同士で区分けしたタイヤ区分、のいずれか1つである請求項1に記載の路面状態判別装置。
  3. 前記タイヤ側装置は、前記検出信号に基づいて前記車両の走行開始を検知し、前記車両の走行開始時に前記特定用データの送信を行う請求項1または2に記載の路面状態判別装置。
  4. 前記特定用データと前記路面データとが異なるデータとされており、
    前記タイヤ側装置は、前記車両の走行開始から一定時間が経過するまで前記特定用データの送信を行ったのち、前記一定時間を経過すると前記特定用データから切り替えて前記路面データを送信し、
    前記車体側システムは、前記タイヤ特定部にて、前記特定用データに基づいて前記タイヤ特定が完了すれば、前記タイヤ特定の結果に対応する前記教師データを用いて前記路面状態の判別を行い、前記路面データが送信されてきても前記タイヤ特定が完了していければ、前記教師データとして前記保存部に予め記憶されているデフォルト値を用いて前記路面状態の判別を行う請求項1ないし3のいずれか1つに記載の路面状態判別装置。
  5. 前記タイヤ側装置は、前記路面データを前記特定用データとして送信し、
    前記車体側システムは、前記タイヤ特定部にて、前記特定用データとして前記路面データを用いて前記タイヤ特定を行う請求項1ないし3のいずれか1つに記載の路面状態判別装置。
  6. 前記車体側システムは、ユーザからの前記タイヤ特定の実行の指示を入力する入力部(24)を有し、前記入力部に前記タイヤ特定の実行の指示が入力されると前記第2データ通信部を通じて前記タイヤ特定を行うことを示す指示データを前記タイヤ側装置に送信し、
    前記タイヤ側装置は、前記第1データ通信部が前記指示データを受信すると、前記特定用データの送信を行う請求項1または2に記載の路面状態判別装置。
  7. 前記保存部は、前記特定対象とする前記タイヤの内容に応じた前記教師データを保存しており、前記路面判定部は、前記保存部に記憶された前記教師データの中から前記タイヤ特定の結果に対応するものを用いて前記路面状態の判別を行う請求項1ないし6のいずれか1つに記載の路面状態判別装置。
  8. 請求項1ないし6いずれか1つに記載の路面状態判別装置と、
    前記車体側システムとの間においてデータ通信を行うと共に、前記特定対象とする前記タイヤの内容に応じた前記教師データを保存している通信センター(200)と、を有するタイヤシステムであって、
    前記車体側システムは、前記通信センターとの間の通信を行う外部通信機(25)を含み、該外部通信機を通じて前記通信センターに前記タイヤ特定の結果を送信し、
    前記通信センターは、前記外部通信機より前記タイヤ特定の結果を受信すると、該タイヤ特定の結果と対応する前記教師データを前記外部通信機に伝えるタイヤシステム。
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