JP2019535724A - 細菌感染症の治療に使用するためのアミジン置換β−ラクタム化合物のリポソーム製剤 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ベータ−ラクタムの投与用の新規であり、効果的なリポソーム製剤を提供する。
Description
本発明は、リポソームβ−ラクタム製剤、薬物送達目的のための上記β−ラクタムのリポソームへのカプセル封入、ならびに細菌感染症の治療および予防における上記製剤の使用に関する。
本発明は、新規β−ラクタム製剤、それらの調製および使用に関する。特に、本発明は、抗菌剤として有用なアミジン置換モノバクタム誘導体である新規β−ラクタム化合物、およびそれらの薬物送達システムとしてのリポソームへの封入に関する。
公衆衛生の専門家及び関係者は、抗生物質耐性菌の出現と拡大が21世紀の公衆衛生上の大きな問題の1つであると考えている。それ自体は新しい現象ではないが、抗生物質耐性菌の蔓延はこれまでにない規模に達している。最も耐性の高い分離株が病院環境で出現し続けている一方で、医師及び疫学者は、以前にヘルスケアの連絡を受けていない人々の間で、ますます多くの耐性細菌に遭遇している。
治療不可能な院内感染で死亡している患者の数は増え続けている。腸内細菌科および非発酵槽を含む多剤耐性グラム陰性病原体による感染に対する治療選択肢は特に限られており、製薬業界のパイプラインには有望な耐性破壊プロファイルを有する化合物がほとんど含まれていないという事実によって悪化した。既存の薬に対して耐性を持つようになったバクテリアによって引き起こされた感染を打ち破るために効果的な抗微生物薬の数を増やす必要がある(Jim O'Neill; The Review on antimicrobial resistance; Tackling drug-resitant infections globally, 2016)。非常に成功し、忍容性が高いクラスのβ−ラクタム抗生物質は歴史的にグラム陰性病原体によって引き起こされる感染症の治療のための1つの主力であった。これらの特に第三世代のセファロスポリンの中で、カルバペネムおよびモノバクタムは、グラム陰性菌による感染症の治療に広く使用されている。しかしながら、1000を超えるβ−ラクタマーゼの広範な配列およびさらなる耐性メカニズムは、これらのサブクラスにおける現在の化合物の中期的な有用性を著しく危険にさらしている。特に広域スペクトルβラクタマーゼ(ESBL)およびカルバペネマーゼは耐性の重要な推進力である。耐性破壊特性を有する新しいβ−ラクタムは、ギャップを埋めるために緊急に必要とされている。
非常に有望な抗菌特性および抗菌特性を有するアミジン置換モノバクタム誘導体である新規β−ラクタム化合物は、最近、WO2013/110643に開示されている。
薬物の投与に関連する問題は、とりわけ、例えば体内での非特異的相互作用による医薬活性成分の早すぎる不活性化である。これは不十分な濃度レベルの治療的に活性な化合物をもたらし得る。他方、高濃度の活性成分の投与は有害作用を伴う可能性がある。一般に、治療ウィンドウは狭くてもよく、非有効用量または潜在的に毒性の用量のいずれかに近くてもよい。
したがって、頻繁に遭遇する副作用なしに投与することができるβ−ラクタム化合物の忍容性の高い製剤を提供することが目的である。より多量の界面活性剤および/または共溶媒などが使用される場合、それらは、それらの副作用のために子供には適していない。
さらに、本発明の別の目的は、各活性成分をリポソーム中に封入することが特に困難であるため、親水性活性化合物のリポソーム製剤を提供することである。
上記の目的は、本発明のβ−ラクタム化合物をリポソーム薬物送達システムに封入することによって解決された。
本発明のドラッグデリバリーシステムの利点は、標的とされる感染細胞または臓器への医薬活性成分を送達させる可能性、医薬の早期代謝及び不活性化を防ぐ可能性、並びに健康な組織の損傷の可能性に起因するより高い効率を伴う毒性および副作用の減少を有するそれらの標的作用様式である。
薬物送達において、非常に成功したクラスの小胞はリポソームであり、この場合、両親媒性分子はリン脂質である。これらの両親媒性物質において、親水性の頭部は、それらのエステル化によって2つの疎水性脂肪酸鎖に結合している負に帯電したリン酸またはリン酸エステル部分からなり、例えばグリセロールを有する。水中では、リン脂質は、非極性の疎水性脂肪酸アルキルテールと水との相互作用が最小になるように自己集合する。したがって、リン脂質は、対応する構造の内側に疎水性のアルキル鎖を有し、極性リン酸基が水性媒体に向けられた二層膜およびリポソームに自己組織化する。リン脂質の性質、すなわちその電荷、サイズおよびpH依存特性は、その治療効率、安定性および薬物動態学的特性を含む、得られるリポソームの特性に主に影響を及ぼす[Giuseppina Bozzuto, Agnese Molinari; Liposomes as nanomedical devices; International Jour-nal of Nanomedicine 2015, 10, 975-999]。
細胞膜に非常に類似したそれらの形態および構造により、リポソームは、高度に生体適合性であり、容易に生分解性であり、それ故に薬物送達のための完璧な候補である。リポソームは、薬物封入のための3つの異なる区画からなる。その溶解度特性に依存して、薬物は、水性コア中に位置するか、脂質二重層中に挿入されるか、またはリン脂質の内側および外側極性界面に水で結合するかのいずれかである。したがって、疎水性および親水性薬物をリポソームに封入することができる。極性薬物および水溶性薬物は内側の水性区画に溶解または分散しているか、または内側および外側の極性頭部基の近くに位置しているのに対して、疎水性薬物はリン脂質二重層の疎水性アルキル鎖の間に挿入される。
カプセル化された化合物の放出速度に関しては重要な要素である、リポソームの二重層構造を安定化し、二重層密度を誘発するために、ステロイドをリン脂質二重層に添加してもよい。天然に存在するステロイドはコレステロールであり、それはその堅い構造のために剛性、従ってリン脂質二重層の機械的安定性を増加させる。コレステロールは、二重層のコア内の疎水性アルキル鎖間にインターカレートし、したがってリポソームの透過性を低下させる。さらに、コレステロールは、薬物送達システムにセンシング、刺激応答性、または「ステルス」特性を備えさせて、リポソームの表面に分子を付着させるために適用される。
リポソームの調製方法およびカプセル化方法には、薄膜水和法、逆相蒸発法、界面活性剤除去法、および脱水−再水和法が含まれる。これらの確立された方法のうち、リポソーム薬物封入のための最も便利な方法は、脂質が有機溶媒に溶解される薄膜水和法である。有機溶媒を完全に除去した後に残る薄膜は、次に水溶液/緩衝液で水和され、その結果リポソームが形成される。
上記のβ−ラクタム化合物はpH依存性の溶解性を示し、中性およびアルカリ性pHでは溶解性が乏しく、酸性pHでは溶解性が高い。それはまた水/アセトニトリル混合物において溶解性が高い。しかしながら、強酸性pHおよびアセトニトリルはともに医薬品製剤には望ましくない。驚くべきことに、リポソームへのβ−ラクタム化合物の能動的充填は、好ましくは膜貫通勾配によって行われることが見出された。
したがって、本発明は、以下に関する:
活性成分として式(I):
活性成分として式(I):
[式中、
R1およびR2は、メチルを表し、
R3は、−O−(SO2)OHを表し、
Xは、CHを表し、
Zは、カルボキシ置換基で置換された2つの炭素のアルキル鎖を表し、
Yは、Oを表し、
lは、0を表し、
Aは、下記式:
R1およびR2は、メチルを表し、
R3は、−O−(SO2)OHを表し、
Xは、CHを表し、
Zは、カルボキシ置換基で置換された2つの炭素のアルキル鎖を表し、
Yは、Oを表し、
lは、0を表し、
Aは、下記式:
{式中、R1bおよびR2bは、水素を表し、R3bは、アミノエチル、アゼチジン、ピロリジンまたはピペリジンを表し、Qは、結合を表し、*は、Aによって表される残基への結合部位である}
で表される置換基で置換されたフェニルを表す]
で表される化合物、あるいはその塩、またはその溶媒和物、もしくはその塩の溶媒和物。ここで、リポソームは、少なくとも1つのリン脂質および1つのステロイドを含む。
で表される置換基で置換されたフェニルを表す]
で表される化合物、あるいはその塩、またはその溶媒和物、もしくはその塩の溶媒和物。ここで、リポソームは、少なくとも1つのリン脂質および1つのステロイドを含む。
上記で定義されたようなリポソーム医薬製剤において、活性成分は、式(Ia)〜(Ig)から選択される化合物の群の少なくとも1つのメンバーであり得る。
本発明の実施形態では、リポソーム医薬製剤は式(I−g)の化合物を含む。
本発明のさらなる実施形態では、リポソーム医薬製剤は、ホスホチジルコリン、ホスホチジルセリン、ホスホチジルエタノールアミン、ホスホイノシトール、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−L−セリン]ナトリウム塩、ジパルミトイルホスホチジルコリン、ジステアロイルホスホチジルコリン、ジパルミトイルホスホチジルセリン、ジパルミトイルホスホチジルグリセロール、1−ステアロイル−2−リノレオイル−sn−グリセロ−3−[ホスホール−L−セリン]ナトリウム塩、ジオレオイルホスホチジルコリン、およびスフィンゴミエリンを含む群から選択されるリン脂質を含む。
本発明のさらなる実施形態では、ステロイドがコレステロール、コレステロール誘導体、およびポリマー誘導体化コレステロールを含む群から選択される、上記で定義された医薬製剤である。
本発明によるリポソーム製剤はまた、コレステロール、コプロスタノール、コレスタノール、またはコレスタンの誘導体、ならびにPCとコレステロールとの組み合わせなどの他のステロイド成分を含んでもよい。それらはまた、またはあるいは、ステロールの有機酸誘導体、例えば、コレステロールヘミスクシネート(CHS)、例えばコレステロールヘミスクシネートを含有してもよく、例えば、リポソームに組み込むのに適したステロールには、コレステロール、コレステロール誘導体、コレステリルエステル、ビタミンD、フィトステロール、ステロイドホルモン、およびそれらの混合物が含まれる。有用なコレステロール誘導体には、コレステロールホスホコリン、コレステロール−ポリエチレングリコール、およびコレステロール−SO4が含まれるが、フィトステロールは、シトステロール、カンペステロール、およびスチグマステロールであり得る。
本発明のさらなる実施形態では、リポソーム医薬製剤はリン脂質を含み、ここでリン脂質はジステアロイルホスホチジルコリンである。
本発明のさらなる実施形態では、リポソーム医薬製剤はステロイドであるコレステロールを含む。
上記で定義された本発明のさらなる実施形態において、ステロイドに対するリン脂質の比は、60:40〜40:60の範囲内である。
上記で定義された本発明のさらなる実施形態では、リポソーム医薬製剤は、55:45である、リン脂質対ステロイドの比を含む。
上記で定義されたような本発明のさらなる実施形態において、脂質対薬物比は、1:0.1〜1:0.5の範囲にある。
上記で定義されたような本発明のさらなる実施形態では、脂質対薬物比は1:0.3である。
上記で定義されたような本発明のさらなる実施形態では、粒径の範囲は25〜750nm、50〜500nm、75〜300nm、例えば100〜250nm、120〜200nm、または130〜180nmである。
上記で定義された本発明のさらなる実施形態において、前述の実施形態のうちのいずれか1つによるリポソーム医薬製剤は、細菌感染症の治療および/または予防における使用のためのものである。
本発明は、式(I)および(Ia〜I−g)の化合物の少なくとも1つ、例えば、式(I−g)の化合物を含むリポソーム製剤を提供する。これらのリポソーム製剤は、従来の(例えば、非リポソーム化合物は、リポソームの酸性pHで劣った細胞内拡散および保持または活性の低下のいずれかを示すため)、細胞内細菌感染の治療および/または予防方法に特に適している。さらに、式(I)および(Ia〜I−g)の化合物の少なくとも1つ、例えば式(Ig)の化合物を含むリポソーム製剤は、治療上の有効性を失うことなく、1日1回のスケジュールでの投与を可能にする薬学的に適切な投与量で十分に許容されるため、高い効力を有する。しかしながら、本発明による製剤をより頻繁に、例えば1日に2または3回以上投与することも可能である。より頻繁な投薬は、長期間(例えば、治療期間)にわたって本明細書に開示される化合物の一定レベルの治療上有効な濃度をより容易に維持することを可能にする。
本明細書に記載のリポソーム製剤はまた、活性化合物の全用量を減らすことを可能にし、これは細胞内細菌に対する安定性の改善および作用機序に関連する。その結果、本明細書に開示されている抗生物質化合物の投与に関連する悪影響を軽減することができる。したがって、これらのリポソーム製剤は、有利には、小児患者の治療に特によく適している。例えば、500mlの注入で、0.5gの本明細書に記載の化合物(I−a)〜(I−g)の投与量を投与することが可能である。さらに、リポソーム製剤はまた、本明細書に記載の化合物(I−a)〜(I−g)(例えば、(I−g))のような難透過性薬物の経口吸収を改善することもできる。本明細書に記載の化合物(I−a)〜(I−g)のうちの少なくとも1つ(例えば、化合物(I−g))を含む経口投与用のリポソーム製剤が提供される。これらの製剤はまた、この投与様式は子供に恐怖および痛みを伴う経験を誘発しないので、小児科用途に特によく適している。
有利には、本明細書に開示されている式(I)および(Ia〜I−g)の化合物(例えば、式(I−g)の化合物)のリポソーム製剤は、抗生物質耐性菌株の改善された治療を可能にし、これは、リポソーム製剤はそのような耐性菌の感受性を増大ためである(例えば、Lagace, J., et al.; J. Microendcapsul. 1991 Jan-Mar; 8 (1):53-61参照)。
本発明はまた、前述の実施形態のいずれか1つに記載の脂質製剤を投与することを含む、細菌感染症および/または細菌感染症の拡大の治療および/または予防方法に関する。
本発明に従って使用するための式(I)および(Ia〜I−g)の化合物は、それらの構造に応じて、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って本発明はまたエナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらのそれぞれの混合物も包含する。立体異性体的に均一な成分は、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーのこのような混合物から既知の方法で単離することができる。
本発明に従って使用するための式(I)および(I−a〜I−g)の化合物が互変異性型で存在する場合、本発明はすべての互変異性型を包含する。
本発明の目的に好ましい塩は、本発明に従って使用するための式(I)および(I−a〜I−g)の化合物の生理学的に許容される塩である。しかしながら、それ自体医薬用途には適していないが、例えば本発明に従って使用するための式(I)および(I−a〜I−g)の化合物の単離または精製に使用することができる塩も包含される。式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の例には、無機塩基の塩、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、特にナトリウムまたはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、特にマグネシウムまたはカルシウム塩;有機塩基の塩、特に、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、プロカイン、モルホリン、ピロリン、ピペリジンから誘導される塩;有機塩基としてのN−エチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ピペラジン;又は塩基性アミノ酸との塩、特にリジン、アルギニン、オルニチンおよびヒスチジンとの塩が含まれる。また、本発明に従って使用するための式(I)および(I−a〜I−g)の化合物の薬学的に許容される塩の例には、無機酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩またはホスホン酸塩;有機酸の塩、特に酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩またはベンゼンスルホン酸塩;または酸性アミノ酸との塩、特にアスパラギン酸塩またはグルタミン酸塩が含まれる。
本発明の目的のために使用するための式(I)および(Ia〜Ig)の溶媒和物は、固体又は英気体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成する、本発明に従って使用するための式(I)および(Ia〜Ig)の化合物の形態を指す。水和物は、配位が水と起こる溶媒和物の特定の形態である。
本発明の別の態様では、上記製剤は、従来のリポソーム、pH感受性リポソーム、カチオン性リポソーム、免疫リポソームおよび長時間作用型リポソームを含む群から選択され得るリポソームを含む。
本発明の一態様では、上記リポソーム製剤は、従来のリポソーム(Tumori. 2003 May-Jun;89(3):237-49; From conventional to stealth liposomes: a new frontier in cancer chemotherapy; Cattel L1, Ceruti M, Dosio F)の群から選択されるリポソームを含む。
本発明において、従来のリポソームは、リン脂質またはリン脂質とステロイドからなるリポソームであり、上記従来のリポソームは単層または多層リポソームとして存在してもよい。従来のリポソームは、当業者に公知の方法で調製することができる(例えば、Liposome: classification, preparation, and applications; Abolfazl, A. et al.; Nanoscale Research Letters 2013; 8:102)。
本発明のさらなる態様は、リポソーム製剤であって、上記リン脂質が、ホスホチジルコリン、ホスホチジルセリン、ホスホチジルエタノールアミン、ホスホイノシトール、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3[ホスホ−L−セリン]ナトリウム塩、ジパルミトイルホスホチジルコリン、ジパルミトイルホスホチジルセリン、ジパルミトイルホスホチジルグリセロール、1−ステアロイル−2−リノレオ−3−グリセロ−3−[ホスホ−L−セリン]ナトリウム塩、ジオレオイルホスホチジルコリン、およびスフィンゴミエリンを含む群から選択され得る。本発明の製剤において、リン脂質はジステアロイルホスホチジルコリンであり得る。
本発明のさらなる態様は、上記リポソーム製剤であって、上記ステロイド、上記医薬活性成分の漏出を防止するために添加され、上記ステロイドが、コレステロールおよびその誘導体、例えば、限定されないが、コレステロールスルフェート、コレステロールヘミスクシネート、ポリマー誘導体化コレステロールおよび関連ステロールを含む群から選択され得る。本発明のさらに別の態様は、上記リポソーム製剤であって、上記ステロイドが上記薬学的に活性な成分の漏出を防ぐために添加され、上記ステロイドがコレステロールである。
本発明のさらなる態様において、上記リポソーム製剤中の上記で定義されたリン脂質と上記で定義されたステロイドとの間の比率は、それぞれ100/0〜50/50モル%のリン脂質およびステロイドの範囲であり得る。本発明のさらに別の態様では、上記リポソーム製剤中の上記で定義されたリン脂質と上記で定義されたステロイドとの間の比率は、それぞれリン脂質およびステロイドの55/45モル%であり得る。
本発明のリポソーム製剤は、当業者に知られている従来の方法によって調製することができ、これらの方法は、機械的攪拌、溶媒蒸発、溶媒注入および界面活性剤可溶化方法であり得る。ここで、本発明の一態様では、上記リポソームは、溶媒蒸発法、例えば薄膜水和法において調製される。
上記溶媒蒸発法では、上で定義した脂質およびステロイドを上で定義した比率で一般的な溶媒に溶解し、溶媒を減圧下(真空下)で蒸発させる。次いで、残った乾燥フィルムを緩衝液で水和して、上記リポソームの形成を促進する。上記緩衝液は、硫酸アンモニウム緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液および酢酸カルシウム緩衝液を含む群から選択することができる(pH勾配法)。
薬学的に活性な成分は、当業者に知られている能動的または受動的な装填方法によって上記リポソームに装填される。本発明の一態様では、上記方法は能動的装填方法、例えば、膜貫通勾配により誘発される能動的負荷法である。上記膜貫通勾配は、硫酸アンモニウムにより誘導される膜貫通アンモニウム勾配、酢酸カルシウムもしくは酢酸ナトリウムまたはそれらの混合物により誘導される膜貫通酢酸塩勾配、クエン酸塩により誘導される膜貫通pH勾配または硫酸マンガンによって誘導される勾配であり得る。本発明の一実施形態では、上記勾配はクエン酸塩によって誘発される膜貫通pH勾配である。
本発明のさらなる実施形態では、本発明による活性化合物のカプセル化、例えば、式Iの化合物、例えば、式(I−a)、(I−b)、(I−c)、(I−d)、(I−e)、(I−f)および(I−g)の化合物は、リポソーム小胞への薬物の最大負荷を可能にするpHで起こる。本発明のいくつかの実施形態では、化合物負荷リポソームの調製は、活性化合物の絶対電荷が+0.5から−0.5の間の範囲にあるときに起こる。さらに、本発明の実施形態は、上記小胞を充填するための活性化合物の溶液のpH値が2.0〜9.0であり、例えばpHが4.6〜8.2であり得る、上記リポソームの製造方法に関する。
本発明のリポソーム製剤の製造方法において、水和後、リポソームはそれらのサイズ範囲を規定するために多孔質膜を通して押し出される。上記リポソームの大きさは、50〜500nmの範囲、例えば、130〜150nmの範囲であり得る。
上記定義の押し出し後に上記定義の方法により調製された上記リポソームの多分散指数(PDI)は、0.100未満である。
薬学的に活性な成分のカプセル化の前に上記で定義された膜貫通勾配を設定するために、リポソームは、緩衝液をリポソーム内に保ちながら、リポソーム分散液中の緩衝液を除去する塩溶液中で透析される。
医薬活性成分を上記リポソームに封入する目的のために、医薬活性成分は、膜貫通勾配を確立するために上記で定義された透析に適用されるのと同じ塩溶液に溶解される。医薬活性成分の溶液は、続いてリポソーム分散液に添加される。当業者に知られているように、薬物の負荷は膜貫通勾配の結果として起こる。
本発明に従って使用するための式(I)および(I−a〜I−g)の化合物の少なくとも1つを含むリポソーム製剤は、予想できなかった驚くべき薬理学的効力を有する。本発明の配合物は、式(I−a)〜(I−g)の化合物のうちの1つを含む少なくとも1つの部分を含むことができ、例えば、式(I−g)および式(Ia)〜(Ig)の化合物のうちの別の1つを含む別の部分、すなわち、式は、個々のリポソームに本明細書で定義される少なくとも2つの異なるβラクタム、又はリポソーム粒子に一緒に本明細書中に定義される少なくとも2つの異なるβラクタム、を含むリポソームを含む混合製剤であり得る。
本発明の別の態様では、薬学的に活性な物質として式(I)および(I−a〜I−g)による化合物を含む上記リポソーム製剤は、それ故、ヒト及び動物における疾患の治療および/または予防のための医薬として使用するのに適している。ヒトおよび動物における疾患の治療および/または予防のための医薬のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの化合物は式(I−g)を有する。本発明によるリポソーム製剤は、別々に投与することができる少なくとも1種のβ−ラクタマーゼ阻害剤(BLI)と組み合わせて使用することができる。BLIはまた、単独でまたは式(I−a)〜(I−g)の化合物、例えば、式(I−g)と組み合わせて、上記少なくとも1つのBLIを含む、リポソーム薬物として製剤化することもできる。少なくとも一部がβ−ラクタム、例えば、式(I−a)〜(I−g)の化合物、例えば式(I−g)を含み、製剤の別の部分が別の活性化合物、例えばBLIを含む、混合リポソーム製剤も企図される。
本明細書で使用されるとき、適切なBLIは、クラブラン酸、タゾバクタム、スルバクタム、およびラクタム阻害剤、DABCO阻害剤、BATSI阻害剤および/またはメタロ−β−ラクタマーゼ阻害剤の群に属する他のBLIを含む群から選択され得る。本発明によるリポソーム製剤と一緒にこれらのBLIは、治療または予防の方法で投与することができ、細菌、特にグラム陰性菌によって引き起こされる感染を有する対象の予防の治療において使用するための化合物である。
本発明のさらに別の態様では、上述の製剤において、上記製剤はさらに、可溶化剤、抗酸化剤、緩衝剤、酸性化剤、錯化促進剤、食塩水、デキストロース、凍結乾燥助剤、増量剤、安定剤、電解質、別の治療薬、アルカリ化剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗真菌剤(antimycotic agent)、抗マイコバクテリア剤、腸内消毒剤、抗マラリア剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、鎮痛剤、麻酔薬、免疫調節薬、免疫抑制薬、モノクローナル抗体、抗新生物薬、抗癌剤、制吐剤、抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬、抗けいれん薬、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、および他の抗コレステロール薬、抗高血圧薬、インスリン、経口糖尿病治療薬、プロトンポンプ阻害薬、経口または非経口抗凝固薬、利尿薬、ジゴキシン、気管支ジアレーター、抗不整脈薬、血管拡張薬、ステロイドおよびそれらの誘導体または組み合わせを含んでいる。
本発明の別の態様において、薬学的に活性な物質として式(I)および(I−a〜I−g)に従う化合物を含む上記リポソーム製剤は、特に有利な範囲の抗菌効果によって区別される。リポソーム中の化合物のいくつかの実施形態では、式(I−g)を有する。
したがって、本発明はさらに、細菌、特にグラム陰性菌によって引き起こされる疾患の治療および/または予防のための本発明による使用のための薬学的に活性な物質としての式(I)および(I−a〜I−g)による化合物を用いた、上で定義したリポソーム製剤の使用に関する。
本発明の薬学的に活性な物質として式(I)および(I−a〜I−g)による化合物を含む上記で定義されたリポソーム製剤は、低毒性と組み合わせた、グラム陰性菌および選択されたグラム陽性菌に対して抗菌スペクトルを示す。
本発明による医薬活性物質として式(I)および(I−a〜I−g)による化合物を含むリポソーム製剤は、ヒトおよび獣医学において、以下の病原体によって、または以下の病原体の混合物によって引き起こされる局所および全身感染の予防および治療に特に有用である。
好気性グラム陽性菌:例えば、限定されないが、Staphylococcus spp.(S.aureus)、Streptococcus spp.(S.pneumoniae、S.pyogenes、S.agalactiae、StreptococcusC群及びG群)、並びにBacillus spp.及びListeria monocytogenes。
好気性グラム陰性菌:Enterobacteriaceae、例えば、限定されないが、Escherichia spp.(E.coli)、Citrobacter spp.(C.freundii、C. diversus)、Klebsiella spp.(K.pneumoniae、K.oxytoca)、Enterobacter spp. (E.cloacae、E.aerogenes)、Morganella morganii、Hafnia alvei、Serratia spp.(S.marcescens)、Proteus spp.(P.mirabilis、P.vulgaris、P.penneri)、Providencia spp.(P.stuartii、P.rettgeri)、Yersinia spp.(Y.enterocolitica、Y.pseudotuberculosis)、Salmonella spp.、Shigella spp.、及びさらには、非発酵体、例えば、限定されないが、Pseudomonas spp.(P.aeruginosa)、Burkholderia spp.(B.cepacia)、Stenotrophomonas maltophilia、及びAcinetobacter spp.(A.baumannii、Acinetobacter gen.sp.13TU、Acinetobacter gen.sp.3)、並びにBordetella spp.(B.bronchiseptica)、Moraxella catarrhalis及びLegionella pneumophila;さらには、Aeromonas spp.、Haemophilus spp.(H.influenzae)、Neisseria spp.(N.gonorrhoeae、N.meningitidis)、並びにAlcaligenes spp.(例えば、A.xylosoxidans)、Pasteurella spp.(P.multocida)、Vibro spp.(V.cholerae)、Campylobacter jejuni、及びHelicobacter pylori。
さらに、抗菌スペクトルはまた、厳密に嫌気性細菌をカバーし、限定されないが、Bacteroides spp.(B.fragilis)、Peptostreptococcus spp.(P.anaerobius)、Prevotella spp.、Brucella spp.(B.abortus)、Porphyromonas spp.、及びClostridium spp.(Clostridium perfringens)が含まれる。
上記の病原体のリストは単に例示的なものであり、決して限定的なものと見なすべきではない。上記病原体によって引き起こされ得て、本発明による薬学的に活性な物質としての式(I)および(I−a〜I−g)の化合物を含むリポソーム製剤によって予防され、改善され又は治癒される疾患の例は、例えば、以下の通りである。
気道感染症、例えば、下気道感染症、嚢胞性線維症患者の肺感染症、慢性気管支炎の急性増悪、市中肺炎(CAP)、院内肺炎(人工呼吸器関連肺炎(VAP)を含む)、上気道の疾患、びまん性汎細気管支炎、扁桃炎、咽頭炎、急性副鼻腔炎および乳様炎を含む中耳炎;尿路および性器感染症、例えば膀胱炎、尿管炎、腎盂腎炎、子宮内膜炎、前立腺炎、卵管炎および精巣上体炎;結膜炎、角膜潰瘍などの眼の感染症、放射状角膜切開手術患者における虹彩環炎および術後感染;血液感染症、例えば敗血症;皮膚及び軟部組織の感染、例えば、感染性皮膚炎、感染した創傷、感染した火傷、痰、毛嚢炎および膿痂疹;骨髄炎及び敗血症性関節炎などの骨及び関節の感染症;消化管感染症、例えば、赤痢、腸炎、大腸炎、壊死性腸炎および直腸肛門感染症;腹腔内感染、建夫ば、腸チフス、伝染性下痢、虫垂炎を伴う腹膜炎、骨盤腹膜炎、および腹腔内膿瘍;口腔領域の感染症、例えば歯科手術後の感染症;他の感染症、例えば、メリオドーシス、感染性心内膜炎、肝膿瘍、胆嚢炎、胆管炎、***炎、並びに髄膜炎及び神経系感染症が挙げられる。
ヒトに加えて、細菌感染症はまた、動物、例えば、霊長類、ブタ、反芻動物(ウシ、ヒツジ、ヤギ)、ウマ、ネコ、イヌ、家禽(めんどり、シチメンチョウ、ウズラ、ハト、観賞用の鳥)、並びに生産性の高い観賞用の魚、爬虫類、及び両生類において治療され得る。
本発明による医薬活性物質として式(I)および(I−a〜I−g)による化合物を含むリポソーム製剤は、全身的および/または局所的に作用し得る。この目的のために、それらは、例えば、経口的に、非経口的に、皮下に、静脈内に、肺に、髄腔内に、舌下、舌、口腔、直腸、経皮的に、結膜的に、耳用、またはインプラントもしくはステントとして、適切な方法で投与できる。
これらの投与経路のために、本発明のリポソーム製剤は適切な投与形態で投与することができる。
1.リポソームの調製
全てのリポソーム製剤は、薄膜水和法によって調製した。簡単に説明すると、正確に秤量した量のDSPC/Chol:55/45(mol)をクロロホルムと共に丸底フラスコ中で溶解し、40℃で減圧下でフィルムを作製した。有機溶媒を完全に除去した後、フィルムを以下の緩衝剤のうちの1つで水和させた:300mMの硫酸アンモニウム;150mM酢酸ナトリウム;120mMの酢酸カルシウム、または0.9%NaCl(陰性対照として使用)、およびHEPES/食塩緩衝液(HBS)pH7.4(陰性対照として使用)(最終濃度60mMの脂質で)。
全てのリポソーム製剤は、薄膜水和法によって調製した。簡単に説明すると、正確に秤量した量のDSPC/Chol:55/45(mol)をクロロホルムと共に丸底フラスコ中で溶解し、40℃で減圧下でフィルムを作製した。有機溶媒を完全に除去した後、フィルムを以下の緩衝剤のうちの1つで水和させた:300mMの硫酸アンモニウム;150mM酢酸ナトリウム;120mMの酢酸カルシウム、または0.9%NaCl(陰性対照として使用)、およびHEPES/食塩緩衝液(HBS)pH7.4(陰性対照として使用)(最終濃度60mMの脂質で)。
65℃で1時間水和させた(フラスコの壁からフィルムを完全に除去した)後、様々な孔径(400、200および100nm)のポリカーボネート膜を備えたLipexサーモバレル押出機を使用してリポソームを押し出し、130〜150nmの最終サイズおよびPdI<0.100に達成させた。このサイズ範囲で、最大理論的カプセル化を達成することができる。押し出し後、膜貫通勾配を作り出すために、リポソームを0.9%NaCl(154mM)に対して透析した。外部緩衝液の完全な交換を確実にするために、10回の容量交換を行った。リポソームを2〜8℃で保存し、使用前に毎回0.9%NaClを用いて所望の濃度に希釈した。
βラクタム(化合物I−g)溶液の調製
正確に秤量した量の化合物I−gを0.9%NaClに徐々に入れ、溶解するまで混合した。55℃で加熱することにより溶解を促進した。
正確に秤量した量の化合物I−gを0.9%NaClに徐々に入れ、溶解するまで混合した。55℃で加熱することにより溶解を促進した。
リポソームのサイズ測定
リポソームサイズの決定のための測定は、Malvern Nano ZS(224/SOP/002)を用いた動的レーザー光散乱(DLS)により行った。このシステムは633nmの波長で4mWのヘリウム/ネオンレーザーを備えており、173°の検出角度で非侵襲的後方散乱技術でリポソームサンプルを測定する。リポソームを最適なリポソーム濃度に達するように水相で希釈し、そして実験を25℃で実施した。
リポソームサイズの決定のための測定は、Malvern Nano ZS(224/SOP/002)を用いた動的レーザー光散乱(DLS)により行った。このシステムは633nmの波長で4mWのヘリウム/ネオンレーザーを備えており、173°の検出角度で非侵襲的後方散乱技術でリポソームサンプルを測定する。リポソームを最適なリポソーム濃度に達するように水相で希釈し、そして実験を25℃で実施した。
化合物I−gの定量
分光光度計を用いて、λmax=280nmで化合物I−gの定量化を行った。検量線を作成し(R2=0.9998)、これに従って、全ての分光光度計の読みを濃度に対して計算した。さらに、陽性対照として用いた物質の定量化についても同じ手順に従った。全てのサンプルは同じマトリックス(25%物理的NaCl溶液(0.9%)/75% 2−プロパノール:体積/体積)を用いて調製された。
分光光度計を用いて、λmax=280nmで化合物I−gの定量化を行った。検量線を作成し(R2=0.9998)、これに従って、全ての分光光度計の読みを濃度に対して計算した。さらに、陽性対照として用いた物質の定量化についても同じ手順に従った。全てのサンプルは同じマトリックス(25%物理的NaCl溶液(0.9%)/75% 2−プロパノール:体積/体積)を用いて調製された。
化合物I−gの定量に用いた分析方法の評価
化合物I−gの正確な定量化を確実にするために、いくつかの試験を行った。最初に、種々の脂質濃度のプレーンリポソームを希釈しそして測定した。この波長における吸光度は無視できると考えられる。それにもかかわらず、リポソームはODシグナルを妨害しないことが確認されている。さらに、2.5mM(NaCl 0.9%中)の化合物I−gの新たに調製された溶液の吸光度を、単なる溶液としてまたはリポソームと組み合わせてのいずれかで測定した。溶液を3つの異なる方法で希釈した。
化合物I−gの正確な定量化を確実にするために、いくつかの試験を行った。最初に、種々の脂質濃度のプレーンリポソームを希釈しそして測定した。この波長における吸光度は無視できると考えられる。それにもかかわらず、リポソームはODシグナルを妨害しないことが確認されている。さらに、2.5mM(NaCl 0.9%中)の化合物I−gの新たに調製された溶液の吸光度を、単なる溶液としてまたはリポソームと組み合わせてのいずれかで測定した。溶液を3つの異なる方法で希釈した。
1.第一の場合、溶液を最初に0.9%NaClで希釈し(2、4、6倍)、次にそれのアリコート(200μl)を取り出し、2−プロパノール(600μl)と混合して、25%物理的NaCl溶液(0.9%)/75%2−プロパノールの混合物を得た。
2.第二の場合、溶液(2.5mM)を最初に10mMリポソーム分散液(内側の酢酸カルシウム/外側の0.9%NaCl)と1:1(vol/vol)の比で混合し、この混合物のアリコート(25μl)を取り出し、0.9%NaCl(175μl)(ストック溶液)で希釈し、この溶液に2−プロパノール(600μl)を添加して同じ最終マトリックス(25%物理NaCl溶液)を得た(25%物理NaCl溶液(0.9%)/75% 2−プロパノール)をもたらした。さらに、スペクトル全体を0.1と0.7の間でスキャンするために、ストック溶液でいくつかの希釈ステップを実行し、同じサンプル前処理ステップを使用して測定した。
3.第3の場合、化合物(I−g)(2.5mM)の溶液を10mMリポソーム分散液(酢酸カルシウム内/0.9%NaCl外)と1:1(vol/vol)の比で混合し、さらに、最初に0.9%NaCl溶液(500、1100、および2300μl)を使用し、次に2−プロパノール(1800、3600および7200μl)を使用して、24、48、および96倍に希釈した。目的は、検量線が信頼できる範囲のODの範囲を調べることであった。全ての試料調製方法は理論値からの逸脱をもたらした。しかしながら、第3の試料調製手順は理論値からの最小の偏差を示した。効率的な能動的負荷が80〜90%を超える薬物封入をもたらすはずであることを考慮すると、実現可能性研究における15〜20%の偏差は許容可能である。
カプセル化薬物の検出
ローディング効率を計算するために、遠心限外濾過を使用して薬物充填リポソームを遊離薬物から分離した。遠心限外濾過は、100kDのPES膜を備えたcentrisart管(限外濾過濃縮器)を用いて行った。簡単に説明すると、特定量のサンプルをセントリサートチューブにピペットで入れ、リポソームをそれらの外部水性媒体から分離するために遠心分離のために置いた。この方法では、限外濾過液中に遊離化合物I−gを含有する外部媒体を集める一方で、リポソームはチューブの底に沈殿物を形成する。続いて、限外濾過液中の化合物I−gの濃度を上記のように分光光度計で測定し、封入率を以下の式:
E%=[化合物I−g合計]−[化合物I−g−濾液]/[化合物I−g−合計]%
に従って計算した。
ローディング効率を計算するために、遠心限外濾過を使用して薬物充填リポソームを遊離薬物から分離した。遠心限外濾過は、100kDのPES膜を備えたcentrisart管(限外濾過濃縮器)を用いて行った。簡単に説明すると、特定量のサンプルをセントリサートチューブにピペットで入れ、リポソームをそれらの外部水性媒体から分離するために遠心分離のために置いた。この方法では、限外濾過液中に遊離化合物I−gを含有する外部媒体を集める一方で、リポソームはチューブの底に沈殿物を形成する。続いて、限外濾過液中の化合物I−gの濃度を上記のように分光光度計で測定し、封入率を以下の式:
E%=[化合物I−g合計]−[化合物I−g−濾液]/[化合物I−g−合計]%
に従って計算した。
Claims (13)
- 活性成分として式(I):
R1およびR2は、メチルを表し、
R3は、−O−(SO2)OHを表し、
Xは、CHを表し、
Zは、カルボキシ置換基で置換された2つの炭素のアルキル鎖を表し、
Yは、Oを表し、
lは、0を表し、
Aは、下記式:
R1bおよびR2bは、水素を表し、
R3bは、アミノエチル、アゼチジン、ピロリジンまたはピペリジンを表し、
Qは、結合を表し、
*は、Aによって表される残基への結合部位である}
で表される置換基で置換されたフェニルを表す]
で表される化合物、あるいはその塩、またはその溶媒和物、もしくはその塩の溶媒和物を含むリポソーム医薬製剤であって、リポソームが少なくとも1つのリン脂質及び1つのステロイドを含む医薬製剤。 - 有効成分が、式(I−g)で表される化合物である、請求項1又は2に記載のリポソーム医薬製剤。
- リン脂質が、ホスホチジルコリン、ホスホチジルセリン、ホスホチジルエタノールアミン、ホスホイノシトール、1,2−ジラウロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3[ホスホ−L−セリン]ナトリウム塩、ジパルミトイルホスホチジルコリン、ジパルミトイルホスホチジルセリン、ジパルミトイルホスホチジルグリセロール、1−ステアロイル−2−リノレオ−3−グリセロ−3−[ホスホ−L−セリン]ナトリウム塩、ジオレオイルホスホチジルコリン、およびスフィンゴミエリンを含む群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリポソーム医薬製剤。
- ステロイドが、コレステロール、コレステロール誘導体、およびポリマー誘導体化コレステロールを含む群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリポソーム医薬製剤。
- リン脂質が、ジステアロイルホスホチジルコリンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリポソーム医薬製剤。
- ステロイドがコレステロールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリポソーム医薬製剤。
- ステロイドに対するリン脂質の比が60:40〜40:60の範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリポソーム医薬製剤。
- ステロイドに対するリン脂質の比が55:45である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のリポソーム医薬製剤。
- 薬物に対する脂質の比が1:0.1〜1:0.5の範囲内である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のリポソーム医薬製剤。
- 薬物に対する脂質の比が1:0.3である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のリポソーム医薬製剤。
- 細菌感染症の治療および/または予防に使用するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載のリポソーム医薬製剤。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の脂質製剤を投与することを含む、細菌感染症を治療および/または予防する方法。
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