JP2019530159A - 紫外可視測定法を用いた全バナジウムレドックスフロー電池の充電レベルの算出 - Google Patents
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Abstract
本発明は、バナジウムレドックスフロー電池の充電レベルを算出する方法であって、正の電解液中のV4+とV5+の濃度を、正負の電解液を特定の割合で混合し、正の電解液中に含まれるV5+を減少させることにより間接的に算出する方法に関する。V4+/V5+の電荷移動錯体は、紫外可視域で高い吸光度を有し、その濃度を直接算出することができないため、この方法により、V4+/V5+の電荷移動錯体の発生を防止する。これにより、紫外可視域での吸光度に基づき、正負の電解液の濃度を算出することができ、バナジウムレドックスフロー電池の充電レベルのモニタリングが容易になる。さらに、本発明は、バナジウムレドックスフロー電池を作動させる方法と、前記の方法を実施するのに適した装置にも関する。【選択図】図1
Description
本発明は、紫外可視分光測定法を用いて負の電解液と正の電解液の濃度を測定することによりバナジウムレドックスフロー電池の充電レベルを算出する方法と、この方法によりレドックスフロー電池の充電レベルが算出されるバナジウムレドックスフロー電池を作動させる方法に関する。本発明のさらなる態様は、紫外可視測定法を用いて負の電解液と正の電解液の紫外可視吸光度を参照することにより充電レベルを算出できる装置を備え、このような装置を備えているためにリバランスの必要がない又は少ないバナジウムレドックスフロー電池に関する。
環境保護への認識が高まるにつれ、また将来において燃料価格の高騰が予想されることもあり、各国の電力会社や政府の再生可能エネルギー(海洋資源や潮の干満、地熱発電、風力発電、太陽電池により生み出されるエネルギー)に対する注目が高まってきている。しかし、再生可能エネルギーを主な電力源とすると、電力供給が不安定になるため、このような変動の大きいエネルギー(例えば、太陽光発電や風力発電により生み出される電力)を蓄えるシステムを追加し、余剰電力を蓄え、また電力網を安定させる必要がある。例えば、電気の発電量が消費量を上回っているときに、このような蓄電システムに電気エネルギーを蓄えて、電力網に過剰に負荷をかけないようにすることができる。その後、電気の需要が再生可能エネルギーにより供給できる量を上回ったときに、エネルギーを電力網に戻すことができる。
今日使用されている蓄電システムの多くが、レドックスフロー電池である。従来の電池と比べ、レドックスフロー電池の電極は、化学反応はせず、触媒作用のみを発揮するため、蓄電システムの使用中に消耗することも増大することもない。従来の電池とは異なり、エネルギーを蓄えた反応体(電解液中の酸化還元対)は、貯蔵槽に蓄えられており、必要に応じて電気化学セルに導入され(これが「フロー(流入)」と呼ばれる理由である)、そこで酸化還元反応が起こる。よって、必要に応じて、電気化学的に活性の酸化還元対をタンクからセル内に戻し、逆反応を起こすことにより、電解液中に蓄えられた化学エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。レドックスフロー電池は、大きさを自由に決めることができ、メンテナンスがあまり必要でないため、特に一時的な蓄電装置として適している。
様々な酸化還元対に基づくレドックスフロー電池が知られている。例えば、正の電解液としてFe2+/Fe3+酸化還元対を含む鉄溶液が使用され、負の電解液としてCr2+/Cr3+酸化還元対を含むクロム溶液がベースになっているものがある(例えば、米国特許第4,159,366号明細書を参照)。このような電池に対して、バナジウムレドックスフロー電池は有利である。バナジウムレドックスフロー電池では、負の電解液と正の電解液に含まれる酸化還元対が、同一の要素であるバナジウム(二価、三価、四価、及び五価でありうる)に基づいている。大半のバナジウムレドックスフロー電池では、二価及び三価の場合はV2+及びV3+イオンとして存在しており、四価及び五価の場合はVO2+及びVO2 +イオンとして存在している。このため、反応時間が短く、膜が損傷した際に汚染が起こらず、柔軟な設計と高い充放電回数を達成できるという利点がある。これらの理由から、バナジウムレドックスフロー電池は、特に大規模蓄電手段として適している。
バナジウムレドックスフロー電池の作動中において、正の電解液及び負の電解液の充電レベルと、バナジウム濃度又はバナジウムのモル量をモニタリングすることが非常に重要である。充電レベルをモニタリングする理由は、電池を過充電すると水の電気分解が起こり、セル内で水素ガスと酸素ガスが発生するため、過充電は絶対に避けなくてはならないためである。さらに、過充電が起こると、供給エネルギーのほとんどが副反応のために消費されてしまうため、効率が下がる。電池を完全に放電させる(すなわち、充電レベルが5%を割る)ことも、電解液を劣化させる恐れがあるため、避けるべきである。よって、レドックスフロー電池の作動のためには、充電レベルを定期的にまた好ましくは継続して算出し、電池の過放電や過充電を避けなければならない。
2つの電解液タンク内のバナジウム濃度又はバナジウムのモル量をモニタリングする理由は、レドックスフロー電池を長期にわたり作動させる間に様々なプロセスが進み、2種類の電解液中において、バナジウム濃度の変化、バナジウムのモル量の変化、又は充電レベルの変化が起こりうるためである。さらに、2種類の電解液の間で体積にも変化が起こりうる。
このような現象が起こる主な原因は、バナジウムイオンと水が膜を通り抜ける物質移動である。バナジウムイオンが膜を通って拡散することは、バナジウムのクロスオーバーと呼ばれている。このバナジウムのクロスオーバーの結果、2つの電解液タンク内においてバナジウム濃度又はバナジウムのモル量の変化が起こり、また電解液の一部で自己放電が起こる。水が膜を通って拡散することにより、バナジウム濃度及び電解液の体積の変化が起こりうる。この結果、電池の一方の半電池側のバナジウム濃度がより高くなり、電池の他方の半電池側のバナジウム濃度が低くなる可能性がある。これにより、2種類の電解液間におけるバナジウムの濃度又はモル量と充電レベルの不均衡、及び蓄電手段の容量の低下が起こる。電池容量の損失は、負の電解液と正の電解液のバナジウム濃度又はバナジウムのモル量、及び充電レベルを参照して算出することができる。
蓄電手段の容量を元に戻すには、定期的に電解液のリバランス又は再混合を行い、2種類の電解液間で異なるモル量、濃度、体積、及び/又は充電レベルの釣り合いを取る必要がある。しかし、リバランスにより電解液の一部放電が起こり、再混合は通常電解液の完全な放電を起こす。つまり、リバランスと再混合のどちらも、レドックスフロー電池のエネルギー効率に悪影響を与えることになる。
本明細書中では記載を簡潔にするために、またイオン/錯体がV2+、V3+、V4+、及びV5+として実際に存在しているか否かに関わらず(もっとも、V4+とV5+は、この形では存在せず、例えばVO2+とVO2 +として存在しているであろうが)、バナジウムレドックスフロー電池の二価から五価のバナジウム種として記載される個々のバナジウム種の濃度を正確に算出することは、以下の理由からも必要である。
・V2+は強力な還元剤であり、酸素が少しでもあれば、徐々に酸化してV3+になる。
・V5+は限られた温度範囲及び濃度範囲においてのみ安定しており、時間の経過に伴い、劣化して溶液中で不可逆的に沈殿する可能性がある。
・作動中、少量の水が常に排出される可能性があるため、定期的に補水する必要がある。
上記したプロセスの全てが、正の電解液と負の電解液の両方において濃度の変化をもたらす。よって、総バナジウム濃度と無関係でない試験方法を用いて充電レベルを測定すると、不正確な値が出る。
V2+、V3+、及びV4+の濃度をオフラインで算出するための標準的な分析法は、過マンガン酸塩滴定法である。この方法では、負の電解液と、場合によっては正の電解液の両方の充電レベルを、V2+、V3+、及びV4+の異なる当量点を基に確かめることができる。負の電解液の場合には、V2+の酸化が動的に阻害されるため、直接滴定法がここでは行われる。正の電解液の充電レベルは、V5+について逆滴定法により算出される。しかし、この分析技術には、測定をオンラインで(すなわち、連続作動中に)行えないという欠点がある。この方法では、正の電解液と負の電解液から試料を採取し、その試料を使って過マンガン酸塩滴定法を行わなければならない。このため、過マンガン酸塩滴定法は、レドックスフロー電池の充電レベルを常時モニタリングするためには使えない。
よって、今日、作動中の充電レベルを頻繁に算出するために、電解液用の電気伝導率センサーが使われている。この方法は、イオンは1モル当たり特定の電気伝導率を有しているため、これに基づいてイオン濃度を算出できるというものである。電気伝導率への温度の影響も考慮した経験的モデルが、文献(S.Corcuera and M.Skyllas−Kazacos,Eur.Chem.Bull.2012,1(12),511−519)から知られている。しかし、電気伝導率測定法には、個々のイオン濃度(すなわち、負の電解液のV2+とV3+及び正の電解液のV4+とV5+)を正確に算出するためには、総濃度(VtotとSO4 2−)が一定に保たれていなくてはならないという大きな問題がある。しかし、通常の作動では、上記のプロセス、すなわち特に拡散や溶液中の(V2O5としての)V5+の不可逆的沈殿が起こる可能性があり、これによりバナジウムと硫酸塩の総濃度が変化するため、総濃度を一定にすることが難しい。総濃度の変化により、例えば、充放電回数が増えるにつれ、負の電解液では電気伝導率が上がり、正の電解液では電気伝導率が下がる。このような理由で、電気伝導率センサーを用いた充電レベルの算出は不正確なものになる。
充電レベルの別の算出方法として、2つの半電池内の電解液の密度及び/又は粘度と関連付ける方法がある。しかし、この算出方法にも、精度に限界があるという欠点がある。
さらに別の充電レベルの算出方法として、酸化還元電位を測定する方法がある。個々のイオン種の濃度と電圧には直接的な相関関係があるためである。しかし、この方法もまた、ネルンストの式から分かるように、総バナジウム濃度に間接的に依存している。例えば、酸化還元電位は、活量係数の変化に伴い変化する。
オンラインでの測定のために、特に光学的方法がよく使われている。例えば、近赤外域(950nm)において赤外検出器を使用する方法がある(S.Rudolph et al.,J.Electroanal.Chem.2013,694,17−22)。しかし、この方法は、負の電解液の濃度の算出にしか使用できない。なぜなら、正の電解液では、通常1.6モルの溶液(総バナジウム濃度に基づく)の高い吸光度により、充電レベルが約5%未満か95%超のときにしか、透過を検出できないためである。よって、この方法を、実際の電池の使用範囲(充電レベルが5〜95%の範囲)で用いることは不可能である。
紫外可視域で電磁線を用いることも提案され、レドックスフロー電池の充電レベルの算出についての文献において広範囲に記載されている(L.Liu et al.,J Appl Electrochem,2012,42,1025−1031;N.Buckley et al.,J.Electrochem.Soc.,2014,161,A524−A534 and others)。このためには、まず較正線を、約400nm、約600nm、及び/又は約800nmに定めて、吸光度と充電レベルの間の直線関係に基づき酸化還元レベルの算出に用いる必要がある。しかし、正の電解液については、V4+とV5+から二価の複核錯体が形成され、強力な電荷移動帯による高い吸光度を有しているため、計測はより難しくなる。
文献においても、正の電解液の充電レベルの算出について様々な方法が提示されている。1つ目の方法として、様々な充電レベルの透過スペクトルを、既知のバナジウムと硫酸の総濃度において記録し、較正のための比較スペクトルとして使用する方法が挙げられている。別の方法として、V4+とV5+の予測スペクトルを減算後、既定の波長(例えば、760nm)における「超過」吸光度を、充電レベルに対してグラフ化する方法が挙げられている。このグラフから導かれる放物線関数は、二次多項式を用いて表すことができる。しかし、これらの方法はどちらも、様々な理由から実施することが非常に難しい。比較スペクトルを用いる1つ目の方法は、比較的不正確である上に、計算や実施に多額の投資が必要である。さらに、バナジウムレドックスフロー電池の通常作動域である約1.6モル以上の総バナジウム濃度におけるV4+/V5+の複核錯体の高い吸光度のために、実行不可能と思われる。2つ目の方法については、二価の複核錯体の平衡定数と吸光係数を正確に知らなくてはならないところが難しい。しかし、本出願の予備調査中に、平衡定数は溶液の活性度により修正しなくてはならないことが分かった。これは、濃度に依存することが知られている。よって、特に高濃度においては、十分な精度で平衡定数と吸光係数を算出することができない。
Buckleyらによる特許公開(国際公開第2015/082475号)には、比較グラフ、較正関数、及び近似法を用いて、フロー電池の充電レベルを確かめる方法が記載されている。しかし、この方法でも、充電レベルの算出には、時間がかかり、方法の特性上、このままの方法でオンラインでの測定に用いることができない。さらに、算出結果は比較的不正確であるため、少なくとも正の電解液については、個々の濃度及び総濃度についての値が満足のいくものにはならない。
上記の状況を背景にして、バナジウムレドックスフロー電池について、二価から五価のバナジウム(V2+からV5+と表記する)の個々のイオン濃度、さらには負の電解液と正の電解液の両方の充電レベルを十分な精度で算出できる方法が求められている。さらに、この方法は、例えば、較正作業、較正線の決定、又は近似法の使用等の最小限の追加作業のみを必要とするものでなくてはならない。
文献には、様々なリバランスの方法が記載されている。2種類の電解液の体積のリバランス又は補正は、多くの場合、2つの電解液タンクの間で電解液があふれ出ることにより行われる。このようなリバランスの方法は、負の電解液と正の電解液の体積についてしか補正を行えないという欠点がある。2種類の電解液のバナジウムの濃度及び/又はモル量については、なんの補正も行われない。
Rudolphら[S.Rudolph,U.Schroder,I.M.Bayanov,On−line controlled state of charge rebalancing in vanadium redox flow battery,Journal of Electroanalytical Chemistry 2013,703,29]には、H+イオンの濃度をリバランスする方法が記載されている。この方法では、少量(5ml)の負の電解液を、4サイクル毎に正の電解液中に導入する。そして、同量の正の電解液を負の電解液中に導入する。電池の自己放電をできるだけ低く保つために、リバランスは放電状態のときに行われる。
Perryら[M.L.Perry,A.Smeltz,X.Wei,Rebalancing electrolyte concentration in flow battery using pressure differential,国際公開第2015/099728号(2013),2013]には、2つの半電池の2種類の電解液を異なる流量でポンプを使って移動させ、2つの半電池間に差圧を生じさせることにより、電解液の濃度をリバランスする方法が記載されている。浸透効果により、負の半電池側のより高い圧力の効果のために、溶媒(H2O)が膜を通り抜けて負の電解液から正の電解液のほうに拡散する。これにより、正の半電池中の正の電解液が希釈され、負の電解液の濃度が高まる。
上記の方法には、リバランスが電解液タンク又はセル内で行われるため、電解液タンク又はセル内で電解液の自己放電が起こるという欠点がある。しかし、リバランスに使用される体積流量は、その後の電解液の分析には使用されない。
S.Corcuera and M.Skyllas−Kazacos,Eur.Chem.Bull.2012,1(12),511−519
S.Rudolph et al.,J.Electroanal.Chem.2013,694,17−22
L.Liu et al.,J Appl Electrochem,2012,42,1025−1031;N.Buckley et al.,J.Electrochem.Soc.,2014,161,A524−A534 and others
S.Rudolph,U.Schroder,I.M.Bayanov,On−line controlled state of charge rebalancing in vanadium redox flow battery,Journal of Electroanalytical Chemistry 2013,703,29
本発明の第1の態様は、負の半電池と正の半電池を有するバナジウムレドックスフロー電池の充電レベルを算出する方法であって、
(i)既定の波長における吸光度に基づき、V2+とV3+の濃度を算出することにより、負の電解液の充電レベルを算出するステップと、
(ii)既定の体積の負の電解液と正の電解液を混合するステップと、
(iii)既定の波長における吸光度に基づき、負の電解液と正の電解液の混合液中のV2+とV3+又はV3+とV4+の濃度を算出するステップと、
(iv)ステップ(i)及び(iii)において算出された濃度から、V4+とV5+の元の濃度を計算することにより、正の電解液の充電レベルを算出するステップと
を含む方法に関する。
(i)既定の波長における吸光度に基づき、V2+とV3+の濃度を算出することにより、負の電解液の充電レベルを算出するステップと、
(ii)既定の体積の負の電解液と正の電解液を混合するステップと、
(iii)既定の波長における吸光度に基づき、負の電解液と正の電解液の混合液中のV2+とV3+又はV3+とV4+の濃度を算出するステップと、
(iv)ステップ(i)及び(iii)において算出された濃度から、V4+とV5+の元の濃度を計算することにより、正の電解液の充電レベルを算出するステップと
を含む方法に関する。
よって、本発明の方法は、個々のバナジウム種の濃度、さらに充電レベルを非常に正確に算出することができる光学的方法に基づいている。
本発明の第2の態様は、バナジウムレドックスフロー電池を作動させる方法であって、電池の充電レベルが、
(i)既定の波長における吸光度に基づき、V2+とV3+の濃度を算出することにより、負の電解液の充電レベルを算出するステップと、
(ii)既定の体積の負の電解液と正の電解液を混合するステップと、
(iii)既定の波長における吸光度に基づき、負の電解液と正の電解液の混合液中のV2+とV3+又はV3+とV4+の濃度を算出するステップと、
(iv)ステップ(i)及び(iii)において算出された濃度から、V4+とV5+の元の濃度を計算することにより、正の電解液の充電レベルを算出するステップと
により算出される方法に関する。
(i)既定の波長における吸光度に基づき、V2+とV3+の濃度を算出することにより、負の電解液の充電レベルを算出するステップと、
(ii)既定の体積の負の電解液と正の電解液を混合するステップと、
(iii)既定の波長における吸光度に基づき、負の電解液と正の電解液の混合液中のV2+とV3+又はV3+とV4+の濃度を算出するステップと、
(iv)ステップ(i)及び(iii)において算出された濃度から、V4+とV5+の元の濃度を計算することにより、正の電解液の充電レベルを算出するステップと
により算出される方法に関する。
上記の方法は、正の電解液と負の電解液の試料を定期的に採取し、記載の方法のステップに従って処理することにより、オフラインで実施することができる。しかし、本発明の趣旨に鑑み、オンラインで実施されることが好ましい。そうすることにより、電池の作動中に電池の充電レベルが算出され、測定中に負の電解液と正の電解液を電池内から抜き出さなくてもよいことを意味する。この方法は、例えば、負の電解液の場合には、レドックスフロー電池に供給される負の電解液の一部を紫外可視検出器に通すことにより簡単に実施することができる。
本発明の記載における「紫外可視」とは、200〜1000nmの波長域を意味する。
負の電解液はほとんどの(すなわち99%超の)バナジウムイオンを二価か三価の酸化状態で有しており、正の電解液はほとんどの(すなわち99%超の)バナジウムイオンを四価か五価の酸化状態で有している。
バナジウムレドックスフロー電池は、各セルが負の電解液を有する半電池と正の電解液を有する半電池を備える、1つ以上のセルからなっていてもよい。半電池の正負は固定されていない。すなわち、電池がどのように充電されるかによって、半電池の1つが正の半電池となり、半電池の別の1つが負の半電池となる。
「既定の体積」とは、外部から(すなわち、バッテリー/セルの制御により)決定される負の電解液と正の電解液の体積であり、複数回の測定中、一定に保たれる体積であると理解されたい。
記載の正負の半電池の総バナジウム濃度は、0.5〜8mol/L、好ましくは1〜3mol/L、さらに好ましくは1.2〜2.5mol/Lの範囲であることが適切である。総バナジウム濃度が低下すると、2つの電解液タンクの体積が一定であるバナジウムレドックスフロー電池の総容量が低下する。しかし、総バナジウム濃度が8mol/Lを超えると、電解液の粘度が比較的高くなり、セルの流抵抗値が上がり、セルの変換効率が下がるという不利な状態を引き起こす。
負の電解液の場合、V2+の濃度の算出は、800〜900nmの波長域、好ましくは840〜865nmの波長域、さらに好ましくは約852nmの波長において行うことが適切である。この波長には、V3+種の帯域とかなり実質的に干渉しないという利点がある。他方、V3+の濃度の算出は、370〜450nmの波長域、好ましくは390〜415nmの波長域、さらに好ましくは約402nmの波長における吸光度を測定することにより行うことが好ましい。あるいは、次善の策ではあるが、V3+の濃度の算出を、550〜700nmの波長域、好ましくは605〜630nmの波長域、最も好ましくは約612nmの波長における吸光度を測定することにより行うこともできる。
背景技術の方法とは異なり、本発明の方法の範囲では、較正を行う必要がないため、上記の方法には較正のステップが含まれていないことが有利である。較正を行う代わりに、個々の種に応じた一定の波長において、個々の種の吸光係数を算出することにより濃度を算出する。よって、バナジウム種の濃度を計算するために、吸光係数を測定吸光度とともに使用することができる。ランベルト・ベールの法則によると、経路長を用いて個々の種の濃度を計算することができる。
式中、cは算出される種の濃度(mol/L)であり、Aは特定の波長λにおける吸光度であり、εは種のモル吸光係数であり、dは経路長である。
具体的には、例えば、V2+の濃度の算出に最大852nmの波長を用い、V3+の濃度の算出にV2+の帯域とほとんど干渉しない約370nmあたりで最大402nmの波長を選んで、濃度を算出することができる。
上記の方法の範囲では、最適化のために、ケース毎に確かめられた吸光度を対応する他の種の吸光度成分により修正することが得策である。このようにして求められる式1と2は、線形代数により正確に解くことができ、V2+とV3+の濃度を求めることができる。よって、総バナジウム濃度(V2+とV3+を合わせた濃度)に対するV2+の濃度の比率は、式3より負の電解液の充電レベルを確かめるために使用することができる。
正の電解液の充電レベルを算出する方法として、3つの方法が考えられる。例えば、正の電解液を希釈せずに直接測定することが考えられるが、この方法を取ると冒頭に記載した問題が起こる。正の電解液の溶液は、標準的な濃度である約1.6mol/Lにおいて、二価の複核錯体が約1500〜2500Lmol−1cm−1の範囲で非常に高い吸光係数を有し、非常に濃い色であるため、吸収のためにキュベットの経路長を10μm以下にして、技術的に決定される測定域を超えないようにする必要がある。しかし、経路長を10μmにすると、最小量の固体粒子でさえセルの詰まりを発生させる恐れがある。さらなる問題として、個々のバナジウム種の濃度の算出の問題がある。核錯体の形成について吸光係数と平衡定数(及び必要なら活量係数)を算出した後に、反復法を用いて濃度を算出することもおそらく可能であるが、これにはコンピューターとソフトウェアへの多額の投資が必要になる。
2つ目の方法は、正の電解液を例えば1〜2倍に希釈して、希釈した溶液を100μmの経路長のキュベット内で分析する方法である。しかし、この方法では、上記のコンピューターとソフトウェアへの多額の投資が必要になるという問題を避けて通れない。さらに、溶液は正確に希釈する必要があり、不正確な希釈をすれば高い吸光係数のために測定精度に大きな影響が出る。さらに、溶液は希釈すると、回路に戻して再利用することがほぼできないという問題もある。
よって、正の電解液の充電レベルを算出するという課題は、既定の体積の負の電解液と正の電解液を互いに混合し、負の電解液中のV2+と正の電解液中のV5+を反応させることにより、それぞれの種の濃度に応じてV3+イオン及び/又はV4+イオンを発生させる本発明によって解決される。V3+とV5+、及びV2+とV4+の反応についても同じことが言える。続いて、負の電解液と正の電解液の混合液中のV2+とV3+又はV3+とV4+のイオンの濃度を、既定の波長における正負の電解液の混合液の吸光度を基に再び算出する。V2+とV3+の濃度の算出に使用される波長に関しては、上記の記載を参照してもよい。いずれにせよ、2種類の電解液の混合の結果発生するV2+とV3+又はV3+とV4+のイオンは、個々の電解液の混合比、充電レベル、及び総バナジウム濃度にのみ依存する。混合後に、V5+種がまだ存在しているという状態だけは避けるべきである。V4+の濃度は、700〜850nmの波長域、好ましくは760〜785nmの波長域、さらに好ましくは773nmの波長で算出されることが好ましい。なぜなら、この波長域においてV4+種の吸光度が最大になるためである。
V3+イオンは約402nmの波長において高い吸光度を有し、V4+イオンはこの範囲では吸収しないため、773nmの波長におけるV3+の吸光度は、V3+の濃度とこの波長における吸光係数により算出することができ、V4+の濃度の計算の際に考慮に入れることができる。
上記の方法の範囲では、ステップ(ii)において負の電解液と正の電解液が互いに混合される比率を、4:1〜1:4の範囲にすることが適切であり、3:1〜1:3の比率が特に好ましい。ここで、最初にどちらの電解液がより大きい割合で使用され、どちらの電解液がより小さい割合で使用されるかは重要ではない。この方法において重要なことは、2種類の電解液の混合により、酸化還元反応が起こり、V5+が確実に減少するようにすることである。これにより、残るバナジウム種は、V4+とV3+(例えば、正の電解液対負の電解液の比率が2:1)又はV3+とV2+(正の電解液対負の電解液の比率が、想定充電レベルが100%である1:2よりも大きく、電解液の総バナジウム濃度と等しい)になる。この方法は、上記した非常に高い吸光係数の問題、キュベットの経路長が短くなる問題、及びコンピューターとソフトウェアへの投資の問題を回避することができる。ステップ(ii)において負の電解液と正の電解液が約2:1又は約1:2の比率で互いに混合されることが最も好ましい。
また、V4+とV3+の濃度の計算のために、対応する他の酸化状態のバナジウムイオンの吸光度成分による修正を行うことも適切である。その後、V4+とV3+の濃度は、例えば、下記の式(4)と(5)に基づき線形方程式を解くことにより計算することができる。
正の電解液中の実際のV4+とV5+の濃度を算出するための逆算は、正負の電解液の混合液のV3+とV4+の確定濃度及び混合液に使われる負の電解液のV2+とV3+の確定濃度を考慮に入れた半経験的式に基づき行う。
正の電解液と負の電解液の混合によりV2+とV3+のイオンのみが発生した場合、これらのイオンの濃度は上記の式(1)と(2)及び上記の半経験的式から算出される。
さらに、上記のバナジウムレドックスフロー電池を作動させる方法は、まず負の電解液の充電レベルを電解セルへの供給部の上流で算出し、その後電解セルの出口領域で算出するという有利な態様を取ることもできる。この方法には、充電レベルに加えて、電解セルの充電効率又は放電効率を算出できるという利点がある。さらに、ステップ(ii)から(iv)を、正の電解液と負の電解液が、電解セルへの供給部と電解セルの出口領域において分流する構成において行うことが適切である。また、ステップ(ii)から(iv)における正の電解液の充電レベルの算出は、正の電解セルの充電効率又は放電効率を算出するためにも利用することができる。
ステップ(ii)から(iv)の間に、正の電解液と負の電解液の混合液が作られ、バナジウムレドックスフロー電池は正の電解液と負の電解液において実質的に同じ化学元素を有しているため、この混合液を電解液の回路に戻すことができる。充電レベルを算出した結果、技術的原因により正の電解液と負の電解液の放電が起こるため、少量のエネルギーを追加し、バナジウムレドックスフロー電池を再充電して満充電に戻す必要があるが、この欠点は、電解液を再利用することによりバナジウムレドックスフロー電池の総容量を一定に保つことができる利点により埋め合わせることができる。さらに、この方法の範囲で、正の電解液と負の電解液が特定の比率で混合される場合、負の電解液と正の電解液の混合液が、正の電解液タンク/貯蔵槽と負の電解液タンク/貯蔵槽に、対応する割合で戻されて再利用されることが適切である。
本発明のさらなる態様は、充電レベルの算出後に、ステップ(ii)から(iv)の間に正の電解液と負の電解液の混合液を負の電解液のタンクと正の電解液のタンクに戻して再利用すること、及び正の電解液と負の電解液の混合液をバナジウムレドックスフロー電池のリバランスに使用することに関する。
レドックスフロー電池を長期間作動させると、充放電中に様々なプロセスが進み、これにより、負の電解液のタンクと正の電解液のタンクのバナジウム濃度の変化、バナジウムのモル量及び/又は電解液体積の変化が起こる可能性がある。これらの変化が起こる原因は、望ましくない拡散が起こることや、バナジウムイオンや水が膜を通って物質移動すること等である。このような理由により、定期的に電解液のリバランスを行い、正の電解液と負の電解液の体積、バナジウム濃度、及び/又はバナジウムのモル量の補正を行う又は釣り合いを取ることにより、蓄電手段の容量を一定に保つことが適切である。
ステップ(ii)から(iv)の範囲において記載した正の電解液の充電レベルの算出とリバランスはどちらも、負の電解液と正の電解液の一部混合を伴う。リバランス中に、負の電解液と正の電解液は互いに混合され、2種類の電解液の体積、バナジウム濃度、又はバナジウムのモル量の釣り合いが取られる又は補正が行われる。ステップ(ii)から(iv)の範囲において記載した正の電解液の充電レベルの算出中に、負の電解液と正の電解液が互いに混合され、正の電解液のバナジウム濃度と充電レベルが算出される。
よって、バナジウムレドックスフロー電池の作動のために、充電レベルの算出と電解液のリバランス又は再混合を組み合わせ、技術的な理由で負の電解液と正の電解液の混合中に起こる放電に起因するバナジウムレドックスフロー電池の効率の低下を減らすことが得策であろう。必要であれば、充電レベルの算出頻度、並びに充電レベルの算出及び負の電解液と正の電解液の混合液の再利用のための混合比は、ステップ(ii)から(iv)の後のステップ(v)において負の電解液と正の電解液の混合液を電解液のリバランスに使用できるように、選択及び適合することができる。
充電レベルの算出頻度及び充電レベルの算出に使用される体積に応じて、負の電解液と正の電解液の混合液を、電解液の完全な又は部分的なリバランスに使用することができる。体積のリバランスのために、充電レベルの算出後に、負の電解液と正の電解液の混合液を体積が少ないほうの電解液に戻して再利用することが好ましい。
あるいは、負の電解液と正の電解液の混合液を、バナジウムのモル量をリバランスするために使用することもできる。このためには、充電レベルの算出後に、負の電解液と正の電解液の混合液をバナジウムのモル量が少ないほうの電解液に戻して再利用することが好ましい。
負の電解液と正の電解液中のバナジウム濃度のリバランスのため、又はバナジウム濃度の釣り合いを取るために、充電レベルの算出後に、負の電解液と正の電解液の混合液を、バナジウム濃度が低いほうの電解液又はバナジウム濃度が高いほうの電解液に戻して再利用する。
最もよいのは、典型的には、電解液を継続的にリバランスし、断続的なリバランスを定期的に行う必要をなくせるように、電解液の充電レベルの算出又は負の電解液と正の電解液の混合液の再利用を、リバランスとともに設計又は組み合わせることである。
本発明の別の態様は、正の半電池及び負の半電池と、正の半電池と負の半電池の間に配置された膜と、正負の電解液の各回路と、各回路が備える正負の電解液用の各貯蔵槽と、各半電池に電解液を供給する各供給部と、電解液を各半電池から各貯蔵槽に戻すための各出口と、正負の電解液を正負の半電池に供給する各ポンプを有するバナジウムレドックスフロー電池であって、
―電解液を負の半電池に供給する供給部の領域に、負の電解液の紫外可視スペクトルを算出する装置を有し、
―正負の電解液を正負の半電池に供給する各供給部の領域に、電解液の各出口を有しており、各出口が互いに、及び負の電解液と正の電解液の混合液の紫外可視スペクトルを算出する装置への供給部と直接接続されており、
―紫外可視スペクトルからV2+、V3+、及びV4+の濃度を算出し、負の電解液中のV2+とV3+の濃度と、正の電解液と負の電解液の混合液中のV2+、V3+、及びV4+の濃度から正の電解液中のV4+とV5+の濃度を計算するように設計された閉ループ制御回路を有するバナジウムレドックスフロー電池に関する。
―電解液を負の半電池に供給する供給部の領域に、負の電解液の紫外可視スペクトルを算出する装置を有し、
―正負の電解液を正負の半電池に供給する各供給部の領域に、電解液の各出口を有しており、各出口が互いに、及び負の電解液と正の電解液の混合液の紫外可視スペクトルを算出する装置への供給部と直接接続されており、
―紫外可視スペクトルからV2+、V3+、及びV4+の濃度を算出し、負の電解液中のV2+とV3+の濃度と、正の電解液と負の電解液の混合液中のV2+、V3+、及びV4+の濃度から正の電解液中のV4+とV5+の濃度を計算するように設計された閉ループ制御回路を有するバナジウムレドックスフロー電池に関する。
図1は、このような電池の概略図であり、符号1はレドックスフロー電池を示し、符号2は正の半電池を示し、符号3は負の半電池を示し、符号4は膜を示している。ポンプ13と14の働きにより、正負の電解液が貯蔵槽7と8から対応する半電池2と3に移動する。半電池を出た後、電解液は導管11と12を通り貯蔵槽7と8に戻る。記号〇は、電池の作動中には開けられており、電池を使用していないときは導管を通じて電解液が拡散しないように閉じることができる弁を示している。符号5と6は、正の電解液と負の電解液の各回路を示している。負の電解液を負の半電池3に供給する供給部10の領域に、負の電解液の紫外可視スペクトルを測定する装置15が配置され、その装置内を通る電解液は本管と平行な導管を流れるか、負の電解液の供給部10に直接合流してもよい。さらに、負の電解液の供給部10の領域には、出口17があり、ここを通じて電解液を紫外可視スペクトルの測定をする別の装置18に供給することができる。装置18には、正の電解液も供給される。この正の電解液は、正の半電池2に正の電解液を供給する供給部9の領域において分流し、出口16を経由するものであり、出口17からの負の電解液と混合された後、混合液の紫外可視スペクトルが装置18に記録される。最終的に、バナジウムレドックスフロー電池は閉ループ制御回路19を形成し、負の電解液中のV2+とV3+と正の電解液中のV4+とV5+の濃度を基に、電池の充電レベルを計算することができる。
当業者にとっては、上記の電池は1つのレドックスフロー電池のみを使用するものに限らず、上記の電池は、例えば直列につながれた複数のレドックスフロー電池を有していてもよいことは明白である。この場合、正の電解液と負の電解液の各出口が、電解液全体が個々のレドックスフロー電池に導かれる供給部9と10の領域にあることが適切である。
上記のように、バナジウムレドックスフロー電池は、負の半電池及び正の半電池と、正の半電池と負の半電池の間に配置された膜又はセパレータ―を有している。膜は、正負の半電池の電解液間のイオン交換を確実に行う一方で、ポンプで各セルに供給された2種類の溶液が混合することを防ぐイオン伝導膜である。理論的には、膜は、各半電池中の金属イオンを隔てるべきであるが、上記の理由から、長期間にわたってイオンが膜を取って移動することを完全に防ぐことは不可能である。
膜は、イオン交換膜であり、特に陽イオン交換膜又は陰イオン交換膜であることが好ましい。陽イオン交換膜は、電解液の濃度に応じて電荷を持つH+イオンを通すことができる。典型的な陽イオン交換膜は、ナフィオン112、ナフィオン117、又は他のナフィオン陽イオン交換膜である。しかし、陽イオン交換膜は、ゴアセレクトメンブレン、フレミオンメンブレン、又はセレニオンCMV陽イオン交換膜であってもよい。他の適した膜として、例えば、FuMA−Tech GmbH(ドイツ)がFumatechの商標で販売している製品を使用することもできると思われる。この製品は、バナジウムイオンを含む溶液中で化学的に安定しており、電気的耐久性が高く、正の半電池と負の半電池の電解液中のバナジウムイオンに対する透過性が低い。
膜に関して、さらに例えば、米国特許第8,808,897号明細書に記載のように、正の半電池と負の半電池をグラファイト紙で被覆することも適切であることがある。
バナジウムレドックスフロー電池の正極と負極は、典型的には、多孔性カーボン材又はフェルトや、グラファイトマット材又は布材をグラファイトの基板、ガラス状炭素、又は伝導性炭素に付けたものから作られている。適した電極は、例えば、SGL社(ドイツ)製のSIGRACET(登録商標)TF6やSIGRACELL GFA3 EAの商標名で販売されている。正極材料は、酸化チタン金属板又は酸化チタン拡張金網であってもよい。チタンベースの電極は、正の半電池の溶液の充電中に起こる酸化に対して長期間にわたって安定性を発揮する。
バナジウムレドックスフロー電池を放電させるためには、電気が電子の流れに沿って電池の負の側から正の側に流れるように電極を適切に接続しなければならない。充放電は、ポンプの稼働により電解液が外部タンクからレドックスフロー電池内に移動している間、又はポンプの稼働が停止し電池内で溶液が放電反応を起こし始めるときに起こすことができる。
本発明のレドックスフロー電池により電気分解を起こすためには、上記のように負の半電池内で陽子を再生させるため、正の半電池を電解セルとして設計することが適切である。このために、正極を耐食性電極として設計することが得策である。これに関する適した電極として、例えば、Condias GmbH(ドイツ)製のDiachem(登録商標)「ダイアモンド」電極がある。
さらに、上記のバナジウムレドックスフロー電池が、負の電解液と正の電解液の混合液を正の電解液と負の電解液の各回路に戻して再利用することを可能にする供給部を有していることが適切である。図1は、そのような供給部20と21を例示している。
本発明の方法は、負の電解液と正の電解液が電解セルを通過する前後において充電レベルが行われる、さらに有利な構成として上記に記載した。なぜなら、この情報に基づき、電池の充電/放電効率についての結論を出すことができるためである。よって、本明細書に記載する装置が、負の半電池3から負の電解液を供給する供給部12の領域において、負の電解液の紫外可視スペクトルを算出する装置を有し、負の半電池と正の半電池から負の電解液と正の電解液を排出する領域11と12において、これらの電解液用の出口を有し、これらの出口が互いに、及び正負の電解液の混合液の紫外可視スペクトルを算出する装置への供給部と直接接続されていることが適切である。この場合に作られる混合液も、供給部20と21に供給することにより貯蔵槽7と8に戻して再利用することが好ましい。
上記のように、正の電解液と負の電解液の混合液を供給することにより、完全な又は部分的なリバランスを行うことができる。もし、この方法で必要なだけのリバランスができない場合は、貯蔵槽7と8の間に追加の導管を設置することにより、追加でリバランスを行うことができる。これらの導管に追加のポンプを設置してもよいが、導管を供給部9と貯蔵槽8の間、又は供給部10と貯蔵槽7の間に設置し、ポンプ13と14の出力を利用することもできる。この場合、これらの導管を、弁を介して導管9と10に接続し、必要に応じて開閉できるようにすることが適切である。このために、出口12と貯蔵槽7の間、又は出口11と貯蔵槽8の間に、別の弁又は図1の〇で表されている弁によって開閉可能なさらなる導管を有するように、装置を適切に変更する必要がある。
上記の記載によると、この方法の改善策として、まず定数、すなわちV2+、V3+、及びV4+の各種に応じた波長における各種の吸光係数を、その後の計算に使用するために算出する。その後、直接算出した負の電解液中のV2+とV3+の濃度を基に、あらかじめ正の電解液と負の電解液を既知の比率で混ぜて作った混合液により間接的に、正の電解液の充電レベルを算出する。従って、この方法の利点は、
(i)個々の種の濃度を総濃度に関係なく正確に算出できることと、
(ii)紫外可視域で活性の種の吸光係数が、あらかじめ算出される自然な定数であり、さらなる較正の必要がないことと、
(iii)この方法は、安定剤、温度、遷移金属を変えた様々なシステムや手段に応用することができるため、広い意味で電荷担体としての遷移金属を有する全てのレドックスフローシステムに応用することができることと、
(iv)必要であれば、全スペクトルを記録することにより、遷移金属又は他の紫外可視域で活性の種による汚染を確かめることができることである。
(i)個々の種の濃度を総濃度に関係なく正確に算出できることと、
(ii)紫外可視域で活性の種の吸光係数が、あらかじめ算出される自然な定数であり、さらなる較正の必要がないことと、
(iii)この方法は、安定剤、温度、遷移金属を変えた様々なシステムや手段に応用することができるため、広い意味で電荷担体としての遷移金属を有する全てのレドックスフローシステムに応用することができることと、
(iv)必要であれば、全スペクトルを記録することにより、遷移金属又は他の紫外可視域で活性の種による汚染を確かめることができることである。
従って、本発明のさらなる態様は、負の半電池と正の半電池を有するレドックスフロー電池の充電レベルを算出する方法であって、
(i)既定の波長における吸光度に基づき、酸化型及び還元型の濃度を算出することにより、負の電解液の充電レベルを算出するステップと、
(ii)既定の体積の負の電解液と正の電解液を混合するステップと、
(iii)負の電解液からの酸化型及び還元型の酸化還元金属又は負の電解液からの酸化型酸化還元金属及び正の電解液からの還元型酸化還元金属の濃度を算出するステップと、
(iv)ステップ(i)から(iii)において算出した濃度から、正の電解液からの酸化型及び還元型の酸化還元金属の元の濃度を計算することにより、正の電解液の充電レベルを算出するステップと
を含む方法と、
この方法を用いてレドックスフロー電池の充電レベルが算出されるレドックスフロー電池を作動させる方法にも関する。この方法に、好ましい実施形態に関する上記の詳細を、意義ある限りにおいて同様に適用できる。
(i)既定の波長における吸光度に基づき、酸化型及び還元型の濃度を算出することにより、負の電解液の充電レベルを算出するステップと、
(ii)既定の体積の負の電解液と正の電解液を混合するステップと、
(iii)負の電解液からの酸化型及び還元型の酸化還元金属又は負の電解液からの酸化型酸化還元金属及び正の電解液からの還元型酸化還元金属の濃度を算出するステップと、
(iv)ステップ(i)から(iii)において算出した濃度から、正の電解液からの酸化型及び還元型の酸化還元金属の元の濃度を計算することにより、正の電解液の充電レベルを算出するステップと
を含む方法と、
この方法を用いてレドックスフロー電池の充電レベルが算出されるレドックスフロー電池を作動させる方法にも関する。この方法に、好ましい実施形態に関する上記の詳細を、意義ある限りにおいて同様に適用できる。
本発明について、以下にいくつかの例を挙げながら詳細に記載するが、これらの例は本発明の権利範囲を限定することを意図するものではない。
実施例
実施例1
まず、式1、2、4、及び5に関する二価、三価、及び四価のバナジウム種の吸光係数を、各種のかなり実質的に純粋なスペクトルにより推測した(図2及び図3を参照)。
実施例1
まず、式1、2、4、及び5に関する二価、三価、及び四価のバナジウム種の吸光係数を、各種のかなり実質的に純粋なスペクトルにより推測した(図2及び図3を参照)。
次に、さらに正確な負の電解液システムの吸光係数を求めるために、異なる総バナジウム濃度と充電レベルを有する複数の実試料を用いて、正確な吸光係数を反復法により算出した(図4を参照)。過マンガン酸塩滴定法により較正を行い、目標値とした。同じ作業を、異なる総バナジウム濃度と充電レベル及び正の電解液1.5に対し負の電解液1の混合比を有する各実試料に対して行った。同様に、過マンガン酸塩滴定法により較正を行った(図5を参照)。図4と図5において、▲は目標値、■は測光法により算出されたソルバー値を示している。2つの目標値は直線でつながれている。
表から、402nmにおいてV3+種の吸光係数(ε(V3+;402nm))が、予想通りどちらの反復法でもほぼ同じになることも分かった。
このように確かめた吸光係数を以下の実施例において使用した。
実施例2
レドックスフロー電池の充電後、負の電解液の溶液の充電レベルと総バナジウム濃度を、紫外可視スペクトル(図6を参照)と上記の方法を用いて算出し、過マンガン酸塩滴定法によりにより較正した。その後、濃度と充電レベルが不明の2つの正の電解液に対して1つの負の電解液の混合液を作った。この混合液を使用して、上記の方法と紫外可視スペクトル(図6を参照)を同様に用いて、正の電解液の充電レベルと総バナジウム濃度を算出し、過マンガン酸塩滴定法と比較した(表2を参照)。
レドックスフロー電池の充電後、負の電解液の溶液の充電レベルと総バナジウム濃度を、紫外可視スペクトル(図6を参照)と上記の方法を用いて算出し、過マンガン酸塩滴定法によりにより較正した。その後、濃度と充電レベルが不明の2つの正の電解液に対して1つの負の電解液の混合液を作った。この混合液を使用して、上記の方法と紫外可視スペクトル(図6を参照)を同様に用いて、正の電解液の充電レベルと総バナジウム濃度を算出し、過マンガン酸塩滴定法と比較した(表2を参照)。
実施例3
レドックスフロー電池が半分充電された状態で、負の電解液の溶液の充電レベルと総バナジウム濃度を、紫外可視スペクトル(図7を参照)と上記の方法を用いて算出し、過マンガン酸塩滴定法により較正した。その後、濃度と充電レベルが不明の2つの正の電解液に対して1つの負の電解液の混合液を作った。この混合液を使用して、上記の方法と紫外可視スペクトル(図7参照)を同様に用いて、正の電解液の充電レベルと総バナジウム濃度を算出し、過マンガン酸塩滴定法と比較した(表3を参照)。
レドックスフロー電池が半分充電された状態で、負の電解液の溶液の充電レベルと総バナジウム濃度を、紫外可視スペクトル(図7を参照)と上記の方法を用いて算出し、過マンガン酸塩滴定法により較正した。その後、濃度と充電レベルが不明の2つの正の電解液に対して1つの負の電解液の混合液を作った。この混合液を使用して、上記の方法と紫外可視スペクトル(図7参照)を同様に用いて、正の電解液の充電レベルと総バナジウム濃度を算出し、過マンガン酸塩滴定法と比較した(表3を参照)。
実施例4
以下の実施例は、大きく異なる充電レベル(例えば、拡散に起因する)を有する電解液の溶液であっても、この方法で、総バナジウム濃度と充電レベルを調べることができることを示すものである。
以下の実施例は、大きく異なる充電レベル(例えば、拡散に起因する)を有する電解液の溶液であっても、この方法で、総バナジウム濃度と充電レベルを調べることができることを示すものである。
この実施例でも、先の2つの実施例で用いたものと同じ方法を用いた。但し、この実施例では、正の電解液と負の電解液の混合比を1.5:1にした。計測に用いた紫外可視スペクトルが図8に示されており、過マンガン酸塩滴定法の結果との比較が表3に示されている。
実施例5
この実施例では、実施例4で用いたものと同じ方法を用いた(正の電解液と負の電解液の混合比は1.5:1)。先の実施例と比べて大きく異なる総バナジウム濃度にも関わらず(但し、各半電池の充電レベルは実施例4に匹敵する)、この方法は、広い濃度範囲に高い信頼性をもって適用できることが分かる。計測に用いたスペクトルが図9に示されており、過マンガン酸塩滴定法の結果との比較が表3に示されている。
この実施例では、実施例4で用いたものと同じ方法を用いた(正の電解液と負の電解液の混合比は1.5:1)。先の実施例と比べて大きく異なる総バナジウム濃度にも関わらず(但し、各半電池の充電レベルは実施例4に匹敵する)、この方法は、広い濃度範囲に高い信頼性をもって適用できることが分かる。計測に用いたスペクトルが図9に示されており、過マンガン酸塩滴定法の結果との比較が表3に示されている。
1 レドックスフロー電池
2 正の半電池
3 負の半電池
4 膜
5 正の電解液の回路
6 負の電解液の回路
7 正の電解液の貯蔵槽
8 負の電解液の貯蔵槽
9 正の電解液を正の半電池に供給する供給部
10 負の電解液を負の半電池に供給する供給部
11 正の電解液を正の半電池から排出する出口
12 負の電解液を負の半電池から排出する出口
13 正の電解液用のポンプ
14 負の電解液用のポンプ
15 紫外可視検出器
16 正の電解液を紫外可視検出器に送る出口
17 負の電解液を紫外可視検出器に送る出口
18 紫外可視検出器
19 制御回路
20 正の電解液を貯蔵槽に供給する供給部
21 負の電解液を貯蔵槽に供給する供給部
2 正の半電池
3 負の半電池
4 膜
5 正の電解液の回路
6 負の電解液の回路
7 正の電解液の貯蔵槽
8 負の電解液の貯蔵槽
9 正の電解液を正の半電池に供給する供給部
10 負の電解液を負の半電池に供給する供給部
11 正の電解液を正の半電池から排出する出口
12 負の電解液を負の半電池から排出する出口
13 正の電解液用のポンプ
14 負の電解液用のポンプ
15 紫外可視検出器
16 正の電解液を紫外可視検出器に送る出口
17 負の電解液を紫外可視検出器に送る出口
18 紫外可視検出器
19 制御回路
20 正の電解液を貯蔵槽に供給する供給部
21 負の電解液を貯蔵槽に供給する供給部
Claims (15)
- 負の半電池と正の半電池を有するバナジウムレドックスフロー電池の充電レベルを算出する方法であって、
(i)既定の波長における吸光度に基づき、V2+とV3+の濃度を算出することにより、負の電解液の充電レベルを算出するステップと、
(ii)既定の体積の負の電解液と正の電解液を混合するステップと、
(iii)既定の波長における吸光度に基づき、前記負の電解液と正の電解液の混合液中のV2+とV3+又はV3+とV4+の濃度を算出するステップと、
(iv)ステップ(i)及び(iii)において算出された前記濃度から、V4+とV5+の元の濃度を計算することにより、正の電解液の充電レベルを算出するステップと
を含む方法。 - バナジウムレドックスフローバッテリーを作動させる方法であって、前記バッテリーの充電レベルが、
(i)既定の波長における吸光度に基づき、V2+とV3+の濃度を算出することにより、負の電解液の充電レベルを算出するステップと、
(ii)既定の体積の負の電解液と正の電解液を混合するステップと、
(iii)既定の波長における吸光度に基づき、前記負の電解液と正の電解液の混合液中のV2+とV3+又はV3+とV4+の濃度を算出するステップと、
(iv)ステップ(i)及び(iii)において算出された前記濃度から、V4+とV5+の元の濃度を計算することにより、正の電解液の充電レベルを算出するステップと
により算出される方法。 - V2+の濃度が、800〜900nmの波長域、好ましくは840〜865nmの波長域、さらに好ましくは約852nmの波長において測定される、請求項1又は2に記載の方法。
- V3+の濃度が、370〜450nmの波長域、好ましくは390〜415nmの波長域、さらに好ましくは約402nmの波長において測定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- V4+の濃度が、700〜850nmの波長域、好ましくは760〜785nmの波長域、さらに好ましくは約773nmの波長において測定される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 較正ステップを含まない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ(ii)において負の電解液と正の電解液が互いに混合される比率が、4:1〜1:4の範囲、好ましくは約2:1又は約1:2である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- V2+とV3+又はV3+とV4+の濃度が、確かめられた吸光度を対応する他のイオンの吸光度成分によって修正することにより算出される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 負の電解液の充電状態が、電解セルへの供給部の上流及び前記電解セルの出口領域において算出され、ステップ(ii)から(iv)が正負の電解液について行われ、各電解液が各電解セルへの供給部の上流及び前記各電解セルの出口領域において前記各電解セルから分流する、請求項2〜8のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ(ii)において作られた前記負の電解液と正の電解液の混合液が、同じ又は異なる割合で前記負の半電池と前記正の半電池に供給される、請求項2〜9のいずれか一項に記載の方法。
- ステップ(ii)において作られた前記負の電解液と正の電解液の混合液が、前記レドックスフローバッテリーのリバランスに使用される、請求項2〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 正の半電池及び負の半電池(2、3)と、前記正の半電池と前記負の半電池の間に配置された膜(4)と、正負の電解液の各回路(5、6)と、前記各回路が備える正負の電解液用の各貯蔵槽(7、8)と、前記各半電池に電解液を供給する各供給部(9、10)と、電解液を前記各半電池から前記各貯蔵槽に戻すための各出口(11、12)と、正負の電解液を前記正負の半電池(2、3)に供給する各ポンプ(13、14)を有するバナジウムレドックスフローバッテリー(1)であって、
―電解液を前記負の半電池に供給する前記供給部(9)の領域に、負の電解液の紫外可視スペクトルを算出する装置(15)を有し、
―正負の電解液を前記正負の半電池に供給する前記各供給部(9、10)の領域に、電解液用の各出口(16、17)を有しており、前記各出口が互いに、及び負の電解液と正の電解液の混合液の紫外可視スペクトルを算出する装置(18)への供給部と直接接続されており、
―前記紫外可視スペクトルからV2+、V3+、及びV4+の濃度を算出し、負の電解液中のV2+とV3+の濃度と、前記正の電解液と負の電解液の混合液中のV2+、V3+、及びV4+の濃度から正の電解液中のV4+とV5+の濃度を計算するように設計された閉ループ制御回路(19)を有する
バナジウムレドックスフローバッテリー(1)。 - 前記正の半電池が電解セルとして設計され、正極が耐食性電極として設計される、請求項12に記載のバナジウムレドックスフロー電池。
- 前記負の電解液と正の電解液の混合液を、正の電解液と負の電解液の前記回路(5、6)に戻して再利用することを可能にする各供給部(20、21)をさらに有する、請求項12に記載のバナジウムレドックスフロー電池。
- 負の半電池と正の半電池を有するレドックスフロー電池の充電レベルを算出する方法であって、
(i)既定の波長における吸光度に基づき、酸化型及び還元型の酸化還元金属の濃度を算出することにより、負の電解液の充電レベルを算出するステップと、
(ii)既定の体積の負の電解液と正の電解液を混合するステップと、
(iii)負の電解液からの酸化型及び還元型の酸化還元金属又は負の電解液からの酸化型酸化還元金属及び正の電解液からの還元型酸化還元金属の濃度を算出するステップと、
(iv)ステップ(i)から(iii)において算出した前記濃度から、正の電解液からの酸化型及び還元型の酸化還元金属の元の濃度を計算することにより、正の電解液の充電レベルを算出するステップと
を含む方法。
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