JP2019523230A - 抗転移性2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン、それらの合成、および同薬剤の使用方法 - Google Patents

抗転移性2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン、それらの合成、および同薬剤の使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、新規な癌転移を予防しそして治すためのセレノフェノ[h]クロメン誘導体、ならびにそれらの製造方法およびそのような物質の投与による原発性癌およびその転移の治療および/または予防のための様々な医薬組成物における使用に関する。【選択図】 なし

Description

本明細書の実施形態は、化学および生化学の分野に関し、より具体的には、抗癌化合物、それらの合成、およびそれらの使用方法に関する。本発明は、新規な2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン誘導体、開示した化合物の製造方法ならびに癌および転移の治療および/または予防のための使用について開示する。
様々な局在性の癌が広範囲に広がり、それらがあらゆる年齢の死亡の主原因である。腫瘍増殖は複雑な多段階プロセスである。発生および進行性の腫瘍増殖は、癌細胞の特性と免疫学的反応性の状態の両方に依存する。これにより、1つまたはいくつかの基本的な方法:手術、放射線療法、化学療法および免疫療法を使用する癌治療のアプローチの多様性が決定される。それらの目標は腫瘍の質量を最小限に抑えることである。固形腫瘍の場合、その腫瘍の外科的切除が第一線の選択肢である。白血病および他の一般的な疾患は、大量の放射線または化学療法によって治療される。しかしながら、いずれの方法も単独ではすべての腫瘍細胞を排除しそして完全な回復を達成することはできていない。したがって、現代の腫瘍学は通常、腫瘍細胞を除去するために治療法の組み合わせを適用している。
残念なことに、原発腫瘍の外科的除去に成功したにもかかわらず、腫瘍は周囲の組織および臓器に広がって転移する可能性があるため、再発の可能性が非常に高い。転移は原発腫瘍から周囲組織への腫瘍細胞の局所的浸潤で始まり、細胞は血液またはリンパ循環系に入る(Hunter, ら, Breast Cancer Res, 2008, 10, S2; Talmadgeら, Cancer Res 2010, 70, 5649−5669)。原発腫瘍の摘出後、様々な臓器への転移があると診断された患者の割合は最大30%である(Essnerら, Arch Surg, 2004, 139, 961−966, 966−7)。
転移は癌による死亡の90%の原因である。リンパ性、血行性および混合性(リンパ性、血行性または播種による)の転移の広がり方がある。リンパ系への拡散はリンパ系を介して起こり、そこで癌細胞はリンパ系を貫通しその後血流に入る。内臓:食道、胃、大腸、喉頭、頸部の悪性腫瘍は、頻繁にこのようにしてリンパ節に転移する。
血行性経路の場合、腫瘍細胞は最初に血管を貫通し、そして次に異なる臓器および組織(例えば、肺、肝臓、骨など)において血流により広まる。外科的介入が血流からの腫瘍細胞の拡散の危険性を増大させるため、大部分の死亡はこの経路に関連していた。リンパ組織および造血組織の悪性腫瘍−肉腫、過腎腫、水平上皮腫はこのようにして転移する。
しかしながら、大部分の癌:乳癌、甲状腺癌、肺癌および卵巣癌は、リンパ系および血行系によって等しく転移する能力がある(Achen, Stacker, Annals of the New York Academy of Sciences, 2008, 1131, pp. 225−234; LiおよびLi, Int. J. Oncol., 2014, 44, 1806−1812)。
転移癌は全身療法(化学療法、生物学的療法、標的療法、ホルモン療法)、局所療法(手術、放射線療法)、またはこれらの治療法の組み合わせで治療することができる。([ガイドライン] Fizazi K, Greco FA, Pavlidis N, Daugaard G, Oien K, Pentheroudakis G,ら, Cancers of unknown primary site: ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow‐up(原発不明の癌:診断、治療および経過観察のためのESMO診療ガイドライン). Ann Oncol. 2015 Sep. 26 Suppl.5: vl33−8)。オキサリプラチンおよびイリノテカンのようないくつかの抗癌剤は、ある程度の効果を伴って肝臓転移において使用される。シスプラチンと5‐フルオロウラシルをベースとした化学療法による原発不明の転移性癌の治療の有効性は未だ議論されている。原発不明の転移性癌患者に対する最も効果的な化学療法レジメンは、白金化合物(シスプラチンまたはカルボプラチン)とタキサン(好ましくはパクリタキセル)との併用療法を含む。しかしながら、この組み合わせでさえも、約12〜26%の反応率と5〜7ヶ月の生存期間中央値しか得られていない。三種薬物療法により、追加の利益が提供されるとは思われない(Vajdic CM, Goldstein D. Cancer of unknown primary site(原発部位不明の癌). Aust Fam Physician. 2015 Sep. 44 (9):640−3.)。
残念なことに、転移性癌の大部分は今日でも治癒不能である。例えば、転移性乳癌の治療により、寿命が延び、癌の進行が遅くなり、癌関連症状が緩和し、そして生活の質が向上する可能性がある。それにもかかわらず、転移性乳癌個体の生存期間の中央値はわずか18〜24か月間である(http://www.uptodate.com/contents/treatment‐of‐metastatic‐breast‐cancer‐beyond‐the‐basics)。したがって、有効な抗転移性化学療法薬に対する医学的ニーズが依然として高い。
本発明者らは、驚くべきことに、癌細胞株に対して低いまたは中程度の細胞毒性を有する特定の新規な2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン誘導体が予想外にも種々の癌に対して優れたインビボ抗転移活性を有することを見出した。これらの物質は、正常マウス胚線維芽細胞に対する細胞毒性が極めて低いため、転移性腫瘍の治療および/または予防に非常に適している。これらの新規化合物は種々の医薬組成物の製造に使用することができ、それらは1種以上の医薬的に許容され得る希釈剤、担体または賦形剤と共に存在する。
本発明の目的は、原発性癌および/またはそれらの転移の治療に有用な抗癌特性を有するセレン含有新規化合物、開示化合物の製造方法ならびにこのような物質の投与による種々の癌の治療および/または予防である。
本発明者らは式Iの化合物から選択される化合物を開示した。
式中、
はOH、ステロイド部分(例えばコレステロール)を含む、OC〜C16炭化水素基、N(アルキル)、N‐ヘテロシクリルを表し;
はハロゲン原子(例えばBr)を表し;
はヒドロキシ‐C1〜4アルキル、1‐ヒドロキシ‐シクロ‐C3〜6アルキル、シクロ‐C5〜7アルケニル、ヒドロキシ‐C1〜6シクロアルキル、C1〜4アルキル‐N‐ヘテロシクリルを表す。
本明細書で使用する場合、「炭化水素」という用語は環状、分岐状、または直鎖状のアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を指す。炭化水素基は非置換であってもよく、または1つ以上の置換基で置換されていてもよい。前記炭化水素が、その上に(複数の)置換基を有する分岐構造である場合、その置換は炭化水素骨格上にあっても分岐上にあってもよく:あるいは、その置換は炭化水素骨格上および分岐上にあってもよい。
「アルキル」という用語は示された数の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。例えば、C〜C12アルキルはアルキル基が1〜12個(両端を含む)の炭素原子を有することができることを示す。「アルキレン」という用語は二価のアルキル、例えば、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−または−CHCH(CH)CH−を指す。アルキルまたはアルキレンは任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する「シクロアルキル」という用語は、3〜12個の炭素を有する非芳香族、飽和または部分不飽和の環式、二環式、三環式または多環式炭化水素基を指す。任意の環原子が(例えば、1つまたは複数の置換基で)置換されていてもよい。シクロアルキル基は縮合環を含むことができる。縮合環は1つまたは複数の共通の炭素原子を共有する環である。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、メチルシクロヘキシル、アダマンチル、ノルボルニルおよびノルボルネニルが含まれるが、これらに限定されない。
「アルケニル」という用語は1つまたは複数の二重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。アルケニル基の例には、アリル、プロペニル、2‐ブテニル、3‐ヘキセニルおよび3‐オクテニル基が含まれるが、これらに限定されない。二重結合炭素のうちの1つは、任意にアルケニル置換基の結合点であってもよい。「アルケニレン」という用語は二価のアルケニル、例えば、−CH=CH−、−CH=CHCH−または−CH=C=CH−を指す。アルケニルまたはアルケニレンは任意に置換されていてもよい。
「アルキニル」という用語は1つまたは複数の三重結合を有する直鎖または分岐の炭化水素鎖を指す。アルキニル基の例には、エチニル、プロパルギル、および3‐ヘキシニルが含まれるが、これらに限定されない。三重結合炭素の1つは、任意にアルキニル置換基の結合点であってもよい。「アルキニレン」という用語は二価アルキニル、例えば、−C≡C−または−C≡C−CH−を指す。アルキニルまたはアルキニレンは任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、「エステル」という用語はカルボン酸とアルコールとの間の反応の生成物を指す。
本明細書で使用する場合、「アミド」という用語は−CONH−基を含有する有機化合物を指す。
本明細書で使用する場合、「アリール」という用語はフェニルおよびナフチルを指す。
本明細書で使用する「ヘテロシクリル」という用語は、単環式の場合は1〜3個のヘテロ原子、二環式の場合は1〜6個のヘテロ原子、三環式の場合は1〜9個のヘテロ原子を有する非芳香族の飽和または部分不飽和3〜10員単環式、8〜12員二環式、または11〜14員三環式環系を指し、該ヘテロ原子はO、N、S、SiおよびPから選択される(例えば、単環式、二環式、または三環式の場合、それぞれ炭素原子とO、N、S、SiおよびPの1〜3、1〜6または1〜9個のヘテロ原子)。任意の環原子が(例えば、1つまたは複数の置換基で)置換されていてもよい。ヘテロシクリル基は縮合環を含むことができ、これは1つまたは複数の共通の原子を共有する環である。ヘテロシクリル基の例には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリン、ピリミジン、ピロリジン、インドリン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラン、チアントレン、ピラン、ベンゾピラン、キサンテン、フェノキサチイン、フェノチアジン、フラザン、ラクトン、ラクタム、例えばアゼチジノンおよびピロリジノン、スルタム、スルトンなどの基が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、「ハロ」または「ハロゲン」という用語はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
本開示の実施形態は、本明細書に記載の有用な特性を有する、本開示の化合物の任意のラセミ体、光学活性体、多形体、互変異性体、または立体異性体の形態またはそれらの混合物を包含する。
化合物が安定な無毒の酸または塩基の塩を形成するのに十分に塩基性または酸性である場合、薬学的に許容され得る塩としての前記化合物の使用が適切であり得る。本開示の実施形態の範囲内の薬学的に許容され得る塩の例には、生理学的に許容され得るアニオンを形成する酸と共に形成された有機酸付加塩および無機塩が含まれる。
本発明内の式Iの特定化合物は、以下を含むが、これらに限定されない:
7‐ブロモ‐8‐(2‐ヒドロキシプロパン‐2‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐(シクロペンテ‐1‐エン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸ブチル、
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸オクチル、
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸デシル、
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(ピペリジン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐(モルホリノメチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐((4‐メチルピペラジン‐1‐イル)メチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸、
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸、
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(ピペリジン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩、
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(モルホリン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩、
7‐ブロモ‐8‐((4‐メチルピペラジン‐1‐イル)メチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩、
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1)‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸オクチル、
(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)‐10,13‐ジメチル‐17‐((R)‐6‐メチルヘプタン‐2‐イル)‐2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17‐テトラデカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[α]]フェナントレン‐3‐イル‐7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキシレート、
(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)‐10,13‐ジメチル‐17‐((R)‐6‐メチルヘプタン‐2‐イル)‐2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17‐テトラデカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[α]フェナントレン‐3‐イル‐7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキシレート、
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐3‐(ピペリジン‐1‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン、
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐3‐(モルホリン‐1‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン、
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐N,N‐ビス(2‐メトキシエチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキサミド、
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐3‐(モルホリン‐4‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン。
抗転移特性を有する抗癌化合物を探して、本発明者らは、式1の2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン誘導体が実験動物における種々の腫瘍の転移の発症に対して非常に活性であることを予想外に発見した。更に驚くべきことに、これらの化合物は、LD50のインビトロ推定に広く使用されている、正常な3T3細胞(マウス胚線維芽細胞)に対する有意な細胞毒性を伴わずに癌細胞に対して非常に選択的であった。高い毒性および正常細胞に対して癌細胞に対する低い選択性がセレン含有分子にとって特徴であることがよく知られているため、本発明者らの発見は予想外のものであった。
歴史的に、セレンは必須の微量元素として大きな関心を集めてきた。特定の疾患はこの元素の食事療法の補足によって制御することができる。セレンはグルタチオンペルオキシダーゼおよび他の酵素系の成分として細胞代謝に不可欠である。特定の癌の予防にSe含有サプリメントを使用するいくつかの試みがある。残念ながら、セレン含有化合物の抗癌活性は、セレンの化学形態および設計された化合物の構造的特徴に依存するいくつかのメカニズムに基づいているため、依然として予測不可能である。これらの化合物が細胞株において活性であるとしても、インビボでの新規Se含有化合物の基礎的な毒性および選択性ならびに抗転移活性を予測するルールが欠如している。
本発明者らは、2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン骨格を有する、特にこの足場の7位および8位に置換基が存在する場合の、多数の化合物に抗転移活性が特徴的であることを発見した。本発明者らは、式1の化合物の7位のRに関して最も適切な置換基はハロゲンであり、そして8位のRに関して最も好ましい置換基はヒドロキシ‐C1〜4アルキル、1‐ヒドロキシ‐シクロ‐C3〜6アルキル、シクロ‐C5〜7アルケニル、ヒドロキシ‐C1〜6シクロアルキル、C1〜4アルキル‐N‐ヘテロシクリル‐基であることを見出した。
式1で表される化合物の3位には酸、エステルまたはアミド部分が好ましい。
本発明者らはまた、置換基Rが、好ましくはOH、ステロイド部分(例えばコレステロール)を含む、OC〜C16炭化水素基、N(アルキル)、N‐ヘテロシクリル部分からなる置換基の群から選択できることを発見した。
本明細書で使用する場合、「炭化水素」という用語は環状、分岐状、または直鎖状のアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を指す。炭化水素基は、非置換であってもよく、または1つ以上の置換基で置換されていてもよい。炭化水素が、その上に(複数の)置換基を有する分岐構造である場合、その置換は炭化水素骨格上にあっても分岐上にあってもよく:あるいは、その置換は炭化水素骨格上および分岐上にあってもよい。
「アルキル」という用語は示された数の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。例えば、C〜C12アルキルはアルキル基が1〜12個(両端を含む)の炭素原子を有することができることを示す。「アルキレン」という用語は二価のアルキル、例えば、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−または−CHCH(CH)CH−を指す。アルキルまたはアルキレンは任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する「シクロアルキル」という用語は、3〜12個の炭素を有する非芳香族、飽和または部分不飽和の環式、二環式、三環式または多環式炭化水素基を指す。任意の環原子が(例えば、1つまたは複数の置換基で)置換されていてもよい。シクロアルキル基は縮合環を含むことができる。縮合環は1つまたは複数の共通の炭素原子を共有する環である。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、メチルシクロヘキシル、アダマンチル、ノルボルニルおよびノルボルネニルが含まれるが、これらに限定されない。
「アルケニル」という用語は1つまたは複数の二重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。アルケニル基の例には、アリル、プロペニル、2‐ブテニル、3‐ヘキセニル、および3‐オクテニル基が含まれるが、これらに限定されない。二重結合炭素のうちの1つは、任意にアルケニル置換基の結合点であってもよい。「アルケニレン」という用語は二価のアルケニル、例えば、−CH=CH−、−CH=CHCH−または−CH=C=CH−を指す。アルケニルまたはアルケニレンは任意に置換されていてもよい。
「アルキニル」という用語は1つまたは複数の三重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。アルキニル基の例には、エチニル、プロパルギル、および3‐ヘキシニルが含まれるが、これらに限定されない。三重結合炭素の1つは、任意にアルキニル置換基の結合点であってもよい。用語「アルキニレン」は二価アルキニル、例えば、−C≡C−または−C≡C−CH−を指す。アルキニルまたはアルキニレンは任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、「エステル」という用語はカルボン酸とアルコールとの間の反応の生成物を指す。
本明細書で使用する場合、「アミド」という用語は−CONH−基を含有する有機化合物を指す。
本明細書で使用する場合、「アリール」という用語はフェニルおよびナフチルを指す。
本明細書で使用する「ヘテロシクリル」という用語は、単環式の場合は1〜3個のヘテロ原子、二環式の場合は1〜6個のヘテロ原子、三環式の場合は1〜9個のヘテロ原子を有する非芳香族の飽和または部分不飽和3〜10員単環式、8〜12員二環式、または11〜14員三環式環系を指し、該ヘテロ原子はO、N、S、SiおよびPから選択される(例えば、単環式、二環式、または三環式の場合、それぞれ炭素原子とO、N、S、SiおよびPの1〜3、1〜6または1〜9個のヘテロ原子)。任意の環原子が(例えば、1つまたは複数の置換基で)置換されていてもよい。ヘテロシクリル基は縮合環を含むことができ、これは1つまたは複数の共通の原子を共有する環である。ヘテロシクリル基の例には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリン、ピリミジン、ピロリジン、インドリン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラン、チアントレン、ピラン、ベンゾピラン、キサンテン、フェノキサチイン、フェノチアジン、フラザン、ラクトン、ラクタム、例えばアゼチジノンおよびピロリジノン、スルタム、スルトンなどの基が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、「ハロ」または「ハロゲン」という用語はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
本開示の実施形態は、本明細書に記載の有用な特性を有する、本開示の化合物の任意のラセミ体、光学活性体、多形体、互変異性体、もしくは立体異性体の形態またはそれらの混合物を包含する。
化合物が安定な無毒の酸または塩基の塩を形成するのに十分な塩基性または酸性である場合、薬学的に許容され得る塩としての化合物の使用が適切であり得る。本開示の実施形態の範囲内の薬学的に許容され得る塩の例には、生理学的に許容され得るアニオンを形成する酸と共に形成した有機酸付加塩および無機塩が含まれる。
「薬学的に許容され得る」という用語は、本明細書では式Iの化合物が形成することができる治療的に活性な無毒の塩の形態を指す。後者は、塩基形態を塩酸、臭化水素酸、硫酸;硝酸;リン酸などの無機酸;または酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2‐ヒドロキシプロパン酸、オキソプロパン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4‐メチルベンゼンスルホン酸、2‐ヒドロキシ安息香酸などの有機酸のような適切な酸で処理することによって都合よく得ることができる。逆に、前記塩はアルカリで処理することにより遊離塩基に変換することができる。
治療に使用するために、式Iの化合物は溶媒和物の形態であってもよい。
本開示の実施形態による医薬組成物は、開示した化合物を固体または液体の薬学的に許容され得る担体と、そして任意に薬学的に許容され得るアジュバントおよび賦形剤と標準的な従来の技術を用いて組み合わせることによって調製できる。固体形態の組成物には、粉末剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェー剤(cachets)および坐剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑剤、懸濁剤、結合剤、錠剤崩壊剤、およびカプセル化剤としても機能し得る少なくとも1つの物質であり得る。不活性固体担体には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース系材料、低融点ワックス、カカオバターなどが含まれる。液体形態の組成物には、溶液、懸濁液およびエマルジョンが含まれる。例えば、水および水‐プロピレングリコール系に溶解し、任意に適切な従来の着色剤、香味剤、安定剤、および/または増粘剤を含有する、本明細書に開示の化合物の溶液を提供することができる。
一実施形態では、医薬組成物は有効量または適切量の1つまたは複数の活性成分を含有する単位剤形で従来の技術を使用して提供することができる。実施形態では、医薬組成物中の活性成分(化合物)の量およびその単位剤形は、特定の用途、特定の化合物の効力および所望の濃度に応じて広く変動または調整することができる。一実施形態では、活性成分の量は前記組成物の0.5wt%から90wt%の範囲であり得る。
実施形態では、動物における癌を治療、改善、予防または撲滅するための治療的使用において、前記化合物またはそれらの医薬組成物を、治療上有効な治療を受けている動物における活性成分の濃度または血中レベルを得てかつ維持するための投薬量で経口、非経口、局所および/または吸入により投与できる。一実施形態では、そのような治療上有効な量の活性成分の投与量は、約0.1〜約100mg/kg体重/日、より好ましくは約3.0〜約50mg/kg体重/日の範囲であり得る。投与量は患者の要求、治療されている癌の重症度、種類、段階、悪性度、または位置、ならびに使用されている特定の化合物に応じて変わり得ることを理解されたい。また、所望の血中レベルを迅速に達成するために、投与される初期投与量を上記の上限レベルを超えて増加させることができ、または初期投与量を最適値より少なくし、そして特定の状況に応じて治療の過程において毎日の投与量を徐々に増加させることができることを理解されたい。所望すれば、一日量を投与のために複数回、例えば一日に2〜4回に分割してもよい。
スキーム1は、本発明の式Iの化合物の製造を説明する。本発明のすべての最終化合物は、これらの図表に記載されている手順によって、またはそれに類似の手順によって製造することができ、その手順は有機化学の当業者に周知であろう。このスキームで使用されているすべての変数は、以下に定義されているとおり、または特許請求の範囲に記載されている通りである。
式1の化合物製造の一般手順(スキーム1)
7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチルエステル(2)は、メタノール中の2,4‐ジヒドロキシベンズアルデヒドおよびマロン酸ジメチルと数滴のピペリジンとの反応で得られた。反応は60℃で48時間行った。所望の2を濾過により良好な収率で単離した。溶媒として適切なアルコール(ブタノール、オクタノール、またはデカノール)中でクロロトリメチルシランを用いて2を処理し、続いて130℃で4〜5日間の長期間加熱することによって、ブチル‐、オクチル‐、およびデシル‐エステル3を合成した。冷却後、溶媒を蒸発させ、沈殿物を石油エーテルで洗浄し、濾過し、そして乾燥させて純粋なエステル3を得た。2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸エステル(4)の合成は、0℃で過剰のトリエチルアミンを含む乾燥ジクロロメタン中、2および3と無水トリフルオロメタンスルホニルとの反応において良好な収率で行われた。得られた混合物を室温で3時間撹拌し、次いで再び0℃に冷却した。氷水を添加し、その混合物を1NのHClでpH2〜3まで後処理した。有機相を分離し、乾燥させ、SiOを通して濾過し、そして蒸発乾固して結晶質固体を得た。
7位の三重結合導入のために、修正されたSonogashiraプロトコルを利用した。7‐(3‐ヒドロキシ‐3‐メチルブト‐1‐イン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボキシレート(II)は、乾燥DMF/トリエチルアミン中の触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および/または酢酸パラジウム、ならびにヨウ化銅の存在下でAr雰囲気下、20℃またはわずかに高温(最大40℃)での4と末端アセチレンとの反応によって製造された。反応完了後、酢酸エチルおよび数滴のアンモニア(水溶液)を加え、続いてシリカゲルパッドを通して濾過した。次に有機溶液を塩水で洗浄し、そして乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、所望の生成物IIをシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより単離した。
驚くべきことに、本発明者らは、その場で製造した臭化セレン(IV)を用いたエチニルクロメンIIの処理により、セレノフェノ[3,2‐h]クロメン(I−1〜I−10)の形成がもたらされることを見出した。濃臭化水素酸に二酸化セレンを溶解し、続いてジオキサン中のエチニルクロメンIIを添加することにより反応を実施し、得られた混合物を室温で24〜48時間撹拌した。基質IIの消費後、反応混合物をNaCO水溶液でpH8〜9までアルカリ性にし、塩化メチレンで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮し、そして残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適当なカルボン酸(I−11〜I−15)を、メタノール‐水中での過剰の水酸化ナトリウムを用いるエステルの単純な加水分解により製造した。通常、反応混合物を5日間撹拌したままにし、次いで2NのHClでpH=2〜3まで酸性化した。形成した沈殿物を濾別し、冷アセトニトリルで洗浄しそして乾燥させた。親油性置換基(例えば、オクチルまたはコレステロール部分)を含有する、エステルI−16〜I−18は、ジクロロメタン中の過剰のシュウ酸クロリドでカルボン酸I−11〜I−15を処理することによって2段階で製造した。24時間撹拌した後に溶媒を蒸発させ、粗生成物を乾燥CHClに溶解した。一方、別のフラスコでは対応するアルコールと0.5当量のジメチルアミノピリジンを乾燥CHClおよび過剰のトリエチルアミンに溶解した。このフラスコを氷浴中で冷却し、セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸クロリド溶液を滴加した。室温で24時間撹拌した後、エステルI−16〜I−18をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより首尾よく単離した。アミドI−19〜I−22はアルコールの代わりに過剰の第二級アミンを用いて同様の方法で製造された。
反応条件:
a:マロン酸ジメチル、メタノール、ピペリジン、48時間、60℃;
b:クロロトリメチルシラン、アルコール、4〜5日間、130℃;
c:無水トリフルオロメタンスルホニル、トリエチルアミン、ジクロロメタン、0℃;
d:末端アセチレン、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および/または酢酸パラジウム、ヨウ化銅、DMF/トリエチルアミン、室温または40℃、Ar;
e:酸化セレン(IV)、濃臭化水素酸、ジオキサン、室温;
f:水酸化ナトリウム、メタノール/水、室温;
g:塩化オキサリル、アルコール、トリエチルアミン、ジクロロメタン、0℃;
h:塩化オキサリル、アミン、ジクロロメタン、0℃。
本発明の開示した化合物の製造は、以下の実施例に記載されており、これらは本発明の範囲を説明することを意図しており、本発明の範囲を限定するものではない。
以下、「DMF」はN,N‐ジメチルホルムアミドと定義され、「DMAC」はN,N‐ジメチルアセトアミドと定義され、「NMP」はN‐メチルピロリドンと定義され、「DMSO」はジメチルスルホキシドと定義され、「HCl」は塩酸と定義され、「aq. NH」はアンモニア水溶液と定義され、「MeCN」はアセトニトリルと定義され、「DIEA」はジイソプロピルエチルアミンと定義され、「EtOAc」は酢酸エチルと定義され、「rt」は室温と定義される。
中間体2
7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチルエステル(2)の合成。50mlの乾燥メタノール中の2,4‐ジヒドロキシベンズアルデヒド(10g、0.072mol)およびマロン酸ジメチル(14g、0.108mol)の溶液に、6滴のピペリジンを加えた。反応混合物を60℃で48時間撹拌した。次いで、それを0℃に冷却しそして沈殿物を濾別し、氷冷メタノールで洗浄しそして乾燥させた。収率、90%。H NMR:3.79(s、3H)、4.08(br s、1H)、6.71(d、1H)、6.83(dd、1H)、7.74(d、1H)、8.68(s、1H)。
中間体3
7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸エステル(3)の合成。7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(3g、13.63mmol)を適切なアルコール(15mL)に懸濁し、次いで5mLのSiMeClを加えた。次に反応混合物を130℃で4〜5日間加熱した。冷却後、溶媒を蒸発させ、沈殿物を石油エーテルで洗浄し、濾過し、そして乾燥させて純粋なエステルを得た。
7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸ブチルエステル(3a)。
収率、64%。H‐NMR:0.92(t、3H)、1.35〜1.47(m、2H)、1.60〜1.70(m、2H)、4.21(t、2H)、6.72〜6.73(m、1H)、6.82〜6.86(m、1H)、7.75(d、1H)、8.65(s、1H)。
7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸オクチルエステル(3b)。
収率、68%。H‐NMR:0.87(t、3H)、1.26〜1.42(m、8H)、1.71〜1.78(m、2H)、4.31(t、2H)、6.86〜6.88(m、2H)、7.43(d、1H)、8.48(s、1H)。
7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸デシルエステル(3c)。
収率、63%。H‐NMR:0.88(t、3H)、1.23〜1.38(m、14H)、1.61〜1.70(m、2H)、4.20(t、2H)、6.73(br s、1H)、6.84(dd、1H)、7.76(d、1H)、8.65(s、1H)。
中間体4
2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸エステル(4)の合成。
2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチルエステル(4a)の製造方法について示す。無水トリフルオロメタンスルホニル(5.64g、20mmol)を乾燥ジクロロメタン中の7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチルエステル2(4g、18.2mmol)およびトリエチルアミン(7.34g、72.7mmol)の溶液に0℃で滴加した。得られた混合物を3時間撹拌し(TLC制御)、0℃に冷却した。氷水を添加し、前記混合物を1NのHClでpH2〜3まで後処理した。有機相を分離し、MgSOで乾燥させ、SiOを通して濾過し、蒸発乾固して結晶性固体を得た。収率:63%;融点156〜158℃。GC‐MS:352(M)。H NMR(CDCl/HMDS)δppm:3.97(s、3H、OCH)、7.28(dd、1H)、2.31(d、1H)、7.73(d、1H)、8.55(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:53.2、110.4、117.0、117.7、118.3、119.0、120.2、131.2、147.5、152.5、155.3、155.7、163.1。
2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸ブチルエステル(4b)。
収率:44%;融点122〜123℃。H‐NMR:0.97(t、3H、J=6.9Hz、CH)、1.42〜1.52(m、2H、CH)、1.72〜1.79(m、2H、CH)、4.36(t、2H、J=6.9Hz、CH)、7.25〜7.30(m、2H、6‐CH、8‐CH)、7.72(d、1H、J=8.6Hz、5‐CH)、8.49(s、1H、4‐CH)。13C‐NMR:13.7、19.1、30.5、66.2、110.4、117.0、117.7、118.1、119.5、131.1、146.8、152.4、155.2、155.7、162.6。
2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸オクチルエステル(4c)。
収率:96%。H NMR:0.87(t、3H)、1.26〜1.36(m、8H)、1.38〜1.46(m、2H)、4.35(t、2H)、7.25〜7.30(m、2H)、7.72(d、1H)、8.49(s、1H)。13C NMR:14.1、22.6、25.8、29.1、29.2、31.7、66.5、110.4、117.0、117.7、118.1、119.5、120.2、131.1、146.8、152.4、155.2、155.7、162.5。
2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸デシルエステル(4d)。
収率:46%;融点96〜98℃。H NMR:0.87(t、3H)、1.27〜1.47(m、14H)、1.73〜1.81(m、2H)、4.35(t、2H)、7.25〜7.30(m、2H)、7.72(d、1H)、8.49(s、1H)。13C NMR:14.0、22.6、25.8、28.5、29.1、29.2、29.4、29.5、31.8、66.4、110.3、117.0、117.7、118.1、119.5、120.2、131.1、146.8、152.3、155.2、155.6、162.5。
中間体II
7‐(3‐ヒドロキシ‐3‐メチルブト‐1‐イン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボキシレート(II)の合成。
7‐(3‐ヒドロキシ‐3‐メチルブト‐1‐イン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IIa)の製造方法について示す。乾燥DMF(5ml)中の2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチルエステル(0.97g、2.76mmol)およびトリエチルアミン(0.837g、8.28mmol)の溶液をAr雰囲気下で乾燥DMF(5ml)中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.319g、0.276mmol)およびヨウ化銅(0.10g、0.552mmol)の混合物に滴加した。次いで、2‐メチルブト‐3‐イン‐2‐オール(0.46g、5.52mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌し続けた。反応完了後、酢酸エチル(150ml)および数滴のアンモニア(aq.)を加え、続いてシリカゲルパッドを通して濾過した。次に有機溶液を塩水(5×50ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、所望の生成物IIaをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチル)によって単離した。収率:65%、融点168〜170℃。GC‐MS:286(M)。H NMR(CDCl)δppm:1.64(s、6H)、2.14(s、1H)、3.95(s、3H)、7.33(dd、1H)、7.34〜7.36(m、1H)、7.52(d、1H)、8.51(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:31.2、53.0、65.6、80.7、99.1、117.5、117.9、119.4、128.0、129.2、148.3、154.8、156.4、163.6。
7‐/(1‐ヒドロキシシクロペンチル)エチニル/‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IIb)。
収率:60%、融点176〜177℃。H‐NMR:1.77〜1.92(m、4H)、2.04〜2.07(m、4H)、2.09(s、1H)、3.94(s、3H)、7.31〜7.33(m、2H)、7.51(d、1H、J=8.6Hz)、8.50(s、1H)。13C‐NMR:23.5、42.4、52.9、74.7、81.6、98.5、117.4、117.7、119.3、128.0、129.2、129.4、148.3、154.8、156.3、163.5。
7‐/(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)エチニル/‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IIc)。
(収率)66%。融点178〜180℃。GC‐MS:326(M)。H NMR(CDCl/HMDS)δppm:1.23〜1.32(m、1H)、1.56〜1.78(m、7H)、2.00〜2.04(m、1H)、2.18(s、1H)、3.95(s、1H)、7.33(s、1H)、7.34(d、1H)、7.52(d、1H)、8.51(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:23.2、25.1、39.7、52.9、69.1、82.8、98.4、117.5、117.8、119.4、128.1、129.3、148.3、154.9、156.3、163.6。
7‐/(1‐メトキシシクロヘキシル)エチニル/‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IId)。
収率:57%、泡状物。H NMR:1.30〜1.31(m、1H)、1.52〜1.60(m、3H)、1.61〜1.74(m、4H)、1.96〜2.00(m、2H)、3.42(s、3H)、3.95(s、3H)、7.34〜7.38(m、2H)、7.53(d、1H)、8.51(s、1H)。13C NMR:22.7、25.3、36.5、50.9、52.9、74.3、84.5、96.2、117.4、117.8、119.5、128.1、129.2、129.4、148.3、154.9、156.3、163.5。
7‐/(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)エチニル/‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸ブチル(IIe)。
収率:61%、泡状物。H‐NMR:0.97(t、3H)、1.28〜1.36(m、1H)、1.42〜1.52(m、2H)、1.52〜1.69(m、4H)、1.69〜1.79(m、5H)、1.99〜2.04(m、2H)、4.35(t、2H)、7.33〜7.36(m、2H)、7.53(d、1H)、8.45(s、1H)。13C NMR:13.7、19.1、23.2、25.1、30.6、39.8、65.9、69.1、82.9、98.2、117.6、118.4、119.4、128.0、129.13、129.18、147.6、154.8、156.3、163.0。
7‐/(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)エチニル/‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸オクチル(IIf)。
収率:59%、泡状物。H‐NMR:0.86(t、3H)、1.26〜1.35(m、9H)、1.38〜1.46(m、2H、CH)、1.55〜1.80(m、9H)、1.99〜2.00(m、2H)、2.13(s、1H)、4.33(t、2H)、7.32〜7.35(m、2H)、7.52(d、1H)、8.45(s、1H)。13C NMR:14.1、22.6、25.1、25.9、28.5、29.1、29.2、31.7、39.7、66.2、69.1、82.8、98.2、117.5、118.4、119.4、128.0、129.1、129.2、147.6、154.8、156.3、163.0。
7‐/(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)エチニル/‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸デシル(IIg)。
収率:83%、泡状物。H‐NMR:0.87(t、3H)、1.26〜1.45(m、14H)、1.56〜1.80(m、9H)、2.00〜2.04(m、2H)、2.06(s、1H)、4.34(t、2H)、7.33〜7.36(m、2H)、7.52(d、1H)、8.45(s、1H)。13C NMR:14.1、22.6、23.2、25.1、25.9、28.5、29.2、29.3、29.4、29.5、31.8、39.7、66.2、69.1、82.8、98.2、117.5、118.3、119.4、128.0、129.1、129.2、135.0、147.6、154.8、156.3、163.0。
2‐オキソ‐7‐/3‐(ピペリジン‐1‐イル)プロプ‐1‐イン‐1‐イル/‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IIh)。
乾燥DMF中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(98.5mg、0.085mmol)、酢酸パラジウム(12.7mg、0.114mmol)、ヨウ化銅(21.6mg、0.114mmol)の混合物をAr雰囲気下40℃で20分間撹拌した。続いて、乾燥DMF中の2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチルエステル(500mg、1.42mmol)およびトリエチルアミン(0.43g、4.26mmol)の溶液と対応するプロパルギルアミン(1.99mmol)を加えた。合成は40℃で3時間行った(TLC制御)。反応混合物をrtまで冷却し、EtOAcを加えた。得られた混合物を水および塩水で洗浄し、そしてシリカゲルパッドを通して濾過した。有機相を分離し、1NのHClで処理し、そして水で抽出した。水相をEtOで洗浄し、EtOAcで希釈し、そして飽和NaCO溶液でpH8〜9まで後処理をした。分離した有機相をMgSOで乾燥させ、蒸発乾固して純粋な生成物を得た。収率:54%。融点148〜149℃。MS(EI)m/z:326[M+1]H NMR(CDCl)δppm:1.41〜1.48(m、2H)、1.61〜1.66(m、4H)、2.52〜2.59(m、2H)、3.50(s、2H)、3.93(s、3H)、7.34(d、1H)、7.36(s、1H)、7.51(d、1H)、8.50(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:23.8、25.9、48.5、52.9、53.6、83.6、91.3、117.3、117.6、119.46、128.1、129.2、129.8、148.3、154.9、156.4、163.5。
2‐オキソ‐7‐/3‐(ピペリジン‐1‐イル)プロピ‐1‐イン‐1‐イル/‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IIi)。
収率:60%。融点146〜148℃。MS(EI)m/z:328[M+1]H NMR(CDCl)δppm:2.65(t、4H)、3.56(s、2H)、3.78(t、4H)、3.96(s、3H)、7.34(dd、1H)、7.37(d、1H)、7.54(d、1H)、8.52(s、1H、8‐CH)。13C NMR(CDCl)δppm:48.1、52.5、53.0、66.8、84.2、90.0、117.6、117.9、119.5、128.2、129.30、148.3、154.9、156.3、163.6。
7‐/3‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル/プロピ‐1‐イン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IIj)。
収率:43%。融点149〜150℃。MS(EI)m/z:341[M+1]H NMR(CDCl)δppm:2.28(s、3H)、2.40〜2.56(m、4H)、2.62〜2.72(m、4H)、3.54(s、2H)、3.92(s、3H)、7.30〜7.34(m、2H)、7.50(d、1H)、8.49(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:45.9、47.6、52.0、52.9、54.9、84.0、90.4、117.4、117.7、119.4、128.1、129.2、148.3、154.8、156.3、163.5。
セレノフェノ[3,2‐h]クロメン(I)の一般的な製造方法。
HBr(2mL)中の二酸化セレン(0.22g、2.0mmol)の溶液に、ジオキサン中のエチニルクロメンII(1.0mmol)を添加し、得られた混合物を室温で24〜48時間撹拌した。基質IIの消費後(LC‐MS)、反応混合物をNaCO水溶液でpH8〜9に塩基性化し、塩化メチレンで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、そして残渣を塩化メチレン/酢酸エチルの混合物を溶離剤として使用するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
実施例1
7‐ブロモ‐8‐(2‐ヒドロキシプロパン‐2‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−1)。
収率:63%;融点>200℃。MS(EI)m/z:445[M+1]
NMR(CDCl/HMDS)δppm:1.88(s、6H)、3.99(s、3H)、7.64(d、1H)、7.79(d、1H)、8.81(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:28.7、53.2、75.1、113.3、115.4、121.1、122.2、124.6、126.1、151.1、162.1。
実施例2
7‐ブロモ‐8‐(シクロペンテ‐1‐エン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−2)。
収率:36%、融点=176〜177℃。H NMR:2.03〜2.11(m、2H)、2.57〜2.63(m、2H)、2.93〜2.99(m、2H)、3.96(s、3H)、6.69〜6.72(m、1H)、7.57(d、1H)、7.74(d、1H)、8.65(s、1H)。13C NMR:23.4、33.9、36.9、52.9、105.9、113.5、116.2、121.9、124.3、126.1、136.5、137.0、144.8、146.9、149.7、152.2、156.2、163.7。
実施例3
7‐ブロモ‐8‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−3)
収率:66%。融点=260〜265℃。MS(EI)m/z:485[M+1]H NMR(CDCl)δppm:1.37〜1.46(m、1H)、1.69〜1.88(m、7H)、2.52〜2.61(m、2H)、2.74(s、1H)、3.97(s、3H)、7.59(d、1H)、7.76(d、1H)、8.68(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:21.6、24.7、34.9、52.9、75.9、101.6、113.1、116.2、121.6、124.7、125.8、147.8、149.9、152.6、156.4、162.6、163.8。
実施例4
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−4)
収率:45%、融点=166〜167℃。H NMR:1.29〜1.39(m、1H)、1.65〜1.78(m、5H)、1.99〜2.01(m、2H)、2.29〜2.33(m、2H)、3.30(s、3H)、3.97(s、3H)、7.60(d、1H)、7.81(d、1H)、8.68(s、1H)。13C NMR:21.7、25.1、34.7、51.0、52.9、79.6、104.6、113.4、116.4、122.0、124.8、125.9、147.3、149.8、152.4、156.2、157.9、163.7。ESI‐MSm/z:498[M]。
実施例5
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸ブチル(I−5)
収率:61%、融点=202〜204℃。H‐NMR:0.99(t、3H)、1.44〜1.54(m、2H)、1.69〜1.81(m、7H)、1.84〜1.88(m、2H)、2.52〜2.59(m、2H)、4.36(t、2H)、7.57(d、1H)、7.73(d、1H)、8.61(s、1H)。13C NMR:13.7、19.2、21.6、24.8、30.6、34.9、65.8、75.9、101.5、113.1、116.7、121.5、124.6、125.8、147.7、149.2、152.5、156.3、162.5、163.2。ESI‐MSm/z:541[M]。
実施例6
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸オクチル(I−6)
収率:33%、融点=189〜190℃。H‐NMR:0.88(t、3H)、1.27〜1.48(m、11H)、1.68〜1.82(m、7H)、1.82〜1.88(m、2H)、2.51〜2.59(m、2H)、2.90(s、1H)、4.35(t、2H)、7.57(d、1H)、7.73(d、1H)、8.61(s、1H)。13C‐NMR:14.1、21.6、22.6、24.8、25.9、28.6、29.1、29.2、31.8、34.9、66.1、75.9、101.5、113.1、116.7、121.5、124.6、125.7、147.7、149.3、152.4、156.4、162.6、163.2。ESI‐MSm/z:582[M]。
実施例7
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸デシル(I−7)
収率:28%、融点=175〜176℃。H‐NMR:0.86〜0.90(m、1H)、0.87(t、3H)、1.25〜1.37(m、14H)、1.41〜1.47(m、2H)、1.69〜1.81(m、7H)、1.84〜1.88(m、2H)、2.52〜2.60(m、2H)、286(s、1H)、4.35(t、2H)、7.58(d、1H)、7.74(d、1H)、8.61(s、1H)。13C‐NMR:14.1、21.6、22.7、24.8、25.7、25.9、28.6、29.3、29.4、29.5、31.9、32.8、34.9、63.1、66.1、75.9、101.5、113.1、116.7、121.5、124.6、125.8、147.7、149.3、152.5、156.4、162.5、163.2。ESI‐MSm/z:611[M+1]。
実施例8
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(ピペリジン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−8)
収率:65%、融点=125〜130℃。MS(EI)m/z:484[M+1]H NMR(CDCl/HMDS)δppm:1.45〜1.52(m、2H)、1.61〜1.66(m、4H)、2.59〜2.63(m、4H)、3.78(s、2H)、3.97(s、3H)、7.58(d、1H)、7.71(d、1H)、8.68(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:23.9、26.1、52.8、55.3、59.5、104.8、112.9、116.0、120.8、125.8、146.7、149.9、152.7、155.2、156.3、163.8。
実施例9
7‐ブロモ‐8‐(モルホリノメチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−9)
収率:48%。融点150〜155℃。MS(EI)m/z:486[M+1]H NMR(CDCl/HMDS)δppm:2.70(t、4H)、3.77(t、4H)、3.86(s、2H)、3.97(s、3H)、7.59(dd、1H)、7.73(dd、1H)、8.68(d、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:52.9、54.1、59.3、67.0、106.0、113.2、116.4、121.1、125.6、126.0、146.5、149.9、152.4、152.7、156.2、163.7。
実施例10
7‐ブロモ‐8‐((4‐メチルピペラジン‐1‐イル)メチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−10)
収率:34%、融点=115〜118℃(分解)。MS(EI)m/z:499[M+1]H NMR(CDCl/HMDS)δppm:2.34(s、3H)、2.44〜2.60(m、4H)、2.64〜2.80(m、4H)、3.86(s、2H)、3.97(s、3H)、7.58(d、1H)、7.72(d、1H)、8.68(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:45.8、52.8、53.5、55.0、58.7、105.4、113.0、116.1、120.8、125.5、125.8、146.5、149.8、152.6、153.6、156.1、163.6。
加水分解のための一般的な方法
飽和水溶液としての水酸化ナトリウム(276mg、6.9mmol)を50mlのメタノール中のクロメン(335mg、0.69mmol)の溶液に添加した。反応混合物を5日間撹拌し続け(TLC制御)、次いで2NのHClでpH=2〜3まで酸性化した。形成された沈殿物を濾別し、冷アセトニトリルで洗浄しそして乾燥させた。
実施例11
7‐ブロモ‐8‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸(I−11)
収率:98%。融点>200℃。H‐NMR:1.21〜1.29(m、1H)、1.61〜1.74(m、7H)、2.39〜2.43(m、2H)、7.68(d、1H)、7.93(d、1H)、8.87(s、1H)。ESI‐MSm/z:471[M+1]。
実施例12
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸(I−12)
収率:75%、融点>200℃。H‐NMR:1.30〜1.41(m、1H)、1.67〜1.81(m、5H)、2.05〜2.12(m、2H)、2.28〜2.32(m、2H)、3.34(s、3H)、7.73(d、1H)、7.93(d、1H)、9.04(s、1H)。13C NMR:21.7、25.1、34.7、51.0、52.9、79.6、104.6、113.4、116.4、122.0、124.8、125.9、147.3、149.8、152.4、156.2、157.9、163.7。ESI‐MSm/z:485[M+1]。
実施例13
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(ピペリジン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩(I−13)

収率:99%、融点237〜240℃。H NMR:1.51〜1.55(m、2H)、1.75〜1.81(m、4H)、2.96〜3.13(m、4H)、4.53(br s、1H)、7.76(d、1H)、7.98(d、1H)、8.88(s、1H)。ESI‐MSm/z:470[M+1]。
実施例14
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(モルホリン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩(I−14)
収率:90%、融点>200℃。H‐NMR:3.03〜3.38(m、4H)、3.82〜3.98(m、4H)、4.72(br s、2H)、7.78(d、1H)、7.99(d、1H)、8.88(s、1H)。ESI‐MSm/z:472[M+1]。
実施例15
7‐ブロモ‐8‐/(4‐メチルピペラジン‐1‐イル/メチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩(I−15)
収率:88%、融点>200℃。H‐NMR:2.66〜2.79(m、4H)、2.78(br s、3H)、3.08〜3.15(m、4H)、4.03(s、2H)、7.73(d、1H)、7.97(d、1H)、8.89(s、1H)。ESI‐MSm/z:485[M+1]。
セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸からアミドおよびエステルを合成する一般的な方法
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸(0.21mmol)を乾燥CHCl(20ml)に懸濁し、過剰の塩化オキサリル(0.17ml、2mmol)を滴加した。24時間撹拌した後、溶媒を蒸発させ、粗生成物を乾燥CHCl(20ml)に溶解した。一方、別のフラスコに第二級アミン(10当量)またはアルコール(0.61mmol)および0.5当量のDMAP(0.1mmol、13mg)を乾燥CHCl(10ml)に溶解した。アルコールの場合には、過剰のEtN(0.5mL)を混合物に添加した。このフラスコを氷浴中で冷却し、セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸クロリド溶液を滴加した。室温で24時間撹拌した後、アミドまたはエステルをシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより単離した。
実施例16
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸オクチル(I−16)
収率:31%、融点=145〜147℃。H‐NMR:0.88(t、3H)、1.24〜1.48(m、10H)、1.68〜1.84(m、6H)、2.24〜2.29(m、2H)、2.48〜2.53(m、2H)、4.35(t、2H)、6.32〜6.35(m、1H)、7.58(d、1H)、7.74(d、1H)、8.60(s、1H)。13C‐NMR:14.2、21.5、22.6、22.7、25.8、25.9、28.6、29.1、29.2、29.9、31.8、66.1、105.2、113.4、116.7、121.9、124.7、126.0、132.2、133.5、146.3、149.1、151.0、152.2、156.2、163.1。
実施例17
(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)‐10,13‐ジメチル‐17‐((R)‐6‐メチルヘプタン‐2‐イル)‐2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17‐テトラデカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[α]フェナントレン‐3‐イル‐7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキシレート(I−17)
収率:26%、融点>200℃。H‐NMR:0.67(s、3H)、0.85(dd、6H)、0.90(d、3H)、0.94〜1.57(m、20H)、1.67〜2.02(m、13H)、2.33〜2.37(m、2H)、2.46〜2.51(m、4H)、4.81〜4.90(m、1H、CH)、5.39〜5.41(m、1H)、6.30〜6.33(m、1H)、7.56(d、1H)、7.73(d、1H)、8.57(s、1H)。13C‐NMR:11.8、18.7、19.3、21.0、21.5、22.5、22.7、22.8、23.8、24.3、25.8、27.8、28.0、28.2、29.9、31.8、31.9、35.8、36.2、36.6、36.9、38.0、39.5、39.7、42.3、49.9、56.1、56.6、75.7、105.2、113.4、116.9、121.9、122.9、124.7、125.9、132.3、133.5、139.4、146.2、148.8、150.9、152.2、156.2、162.2。
実施例18
(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)‐10,13‐ジメチル‐17‐((R)‐6‐メチルヘプタン‐2‐イル)‐2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17‐テトラデカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[α]フェナントレン‐3‐イル‐7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキシレート(I−18)
収率:24%、融点>200℃。H‐NMR:0.68(s、3H)、0.86(dd、6H)、0.92(d、3H)、0.94〜1.04(m、3H)、1.06(s、3H、CH)、1.11〜1.38(m、12H)、1.44〜1.59(m、6H)、1.67〜1.86(m、7H)、1.91〜2.06(m、6H)、2.31〜2.34(m、2H)、2.48〜2.50(m、2H)、3.30(s、3H)、4.84〜4.92(m、1H)、5.41〜5.43(m、1H)、7.60(d、1H)、7.81(d、1H)、8.60(s、1H)。13C‐NMR:11.8、18.7、19.3、21.0、21.6、22.5、22.8、23.8、24.3、25.1、27.7、28.0、28.2、31.8、31.9、34.7、35.8、36.1、36.6、36.9、38.0、39.5、39.7、42.3、49.9、51.0、56.1、56.6、75.7、79.5、104.6、113.4、117.2、121.9、122.9、124.8、125.8、139.4、147.1、148.8、152.2、156.2、157.5、162.2。
実施例19
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐3‐(ピペリジン‐1‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン(I−19)
収率:29%、泡状物。H‐NMR:1.62〜1.74(m、8H)、1.78〜1.84(m、2H)、2.24〜2.28(m、2H)、2.48〜2.53(m、2H)、3.34〜3.37(m、2H)、3.70〜3.74(m、2H)、6.30〜6.33(m、1H)、7.51(d、1H)、7.73(d、1H)、7.97(s、1H)。13C‐NMR:21.5、22.7、24.4、25.4、25.8、26.2、29.9、43.1、48.4、105.1、114.0、121.9、124.5、124.8、125.2、132.2、133.3、143.1、144.9、149.5、150.9、157.5、163.2。
実施例20
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐3‐(モルホリン‐1‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン(I−20)
収率:34%、融点=195〜196℃。H‐NMR:1.69〜1.75(m、2H)、1.79〜1.85(m、2H)、2.24〜2.30(m、2H)、2.49〜2.54(m、2H)、3.44(t、2H)、3.74(t、2H)、3.80〜3.82(m、4H)、6.32〜6.35(m、1H)、7.54(d、1H)、7.77(d、1H)、8.07(s、1H)。13C‐NMR:21.5、22.7、25.8、29.9、42.7、47.7、66.7、105.1、113.9、122.1、123.3、124.8、125.3、132.2、133.4、144.7、145.4、149.9、151.1、157.5、163.6。
実施例21
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐N,N‐ビス(2‐メトキシエチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキサミド(I−21)
収率:27%、泡状物。H‐NMR:1.67〜1.83(m、4H)、2.22〜2.28(m、2H)、2.48〜2.53(m、2H)、3.28(s、3H)、3.39(s、3H)、3.49〜3.58(m、4H)、3.66〜3.77(m、4H)、6.29〜6.33(m、1H)、7.49(d、1H)、7.72(d、1H)、7.92(s、1H)。13C‐NMR:21.5、22.7、25.8、29.9、45.7、49.8、58.8、58.9、70.3、70.7、105.0、113.9、121.9、124.3、124.8、125.1、132.2、133.2、143.1、144.9、149.3、150.8、157.7、165.6。
実施例22
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐3‐(モルホリン‐4‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン(I−22)
収率:40%、泡状物。H‐NMR:1.30〜1.39(m、1H)、1.64〜1.77(m、5H)、1.99〜2.07(m、2H)、2.29〜2.32(m、2H)、3.30(s、3H)、3.42(t、2H)、3.72(t、4H)、3.79(br s、4H)、7.53(d、1H)、7.80(d、1H)、8.06(s、1H)。13C‐NMR:21.7、25.1、34.7、42.6、47.7、51.0、66.5、66.6、79.5、104.5、113.8、122.0、123.5、124.8、125.1、144.6、146.2、151.1、156.5、157.4、163.5。ESI‐MSm/z:554[M+1]。
式1の合成化合物の原発腫瘍および転移に対する細胞毒性および抗癌活性を細胞株および動物モデルで試験した。
1. インビトロでの抗増殖活性
セレノフェノ[h]クロメンの抗癌活性を、細胞毒性アッセイを用いてインビトロで試験した。したがって、単層腫瘍細胞株MDA−MB−435s(ヒト黒色腫)、MCF−7(ヒト乳腺癌、エストロゲン陽性)、MES−SA(ヒト子宮肉腫)、HT−1080(ヒト線維肉腫)、A549(ヒト肺癌)、SH−SY5Y(ヒト神経芽細胞腫)、CCL−8(マウス肉腫)、MG−22A(マウス肝癌)、およびHepG2(ヒト肝細胞癌)を、10%ウシ胎仔血清(「Sigma」)を添加した標準培地DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)(「Sigma」)中で培養した。化合物をウェルに添加した直後に、約2〜9×10細胞/mL(系統の性質に応じて)を96ウェルプレートに入れた。未処理細胞を対照として使用した。それらのプレートを72時間、37℃、5%COでインキュベートした。生存細胞数は、3‐(4,5‐ジメチルチアゾール‐2‐イル)‐2,5‐ジフェニルテトラゾリニウムブロマイド(MTT)を用いて決定した。MTT試験:インキュベートした後、培地を除去し、10mMのHEPESを含む200μlの新鮮培地をそれらのプレートの各ウェルに添加し、次いで20μlのMTT(HBSS中2mg/mL)を加えた。インキュベーション(3時間、37℃、5%CO)後、MTTを含む培地を除去し、200μLのDMSOを各試料に一度に加えた。試料をAnthos HT II光度計において540nmで試験した。
並行して、最も高い許容用量に関連する境界濃度をNIH 3T3(マウス胚線維芽細胞)細胞株を用いて各化合物について決定し、得られた基礎細胞毒性を用いてげっ歯類におけるインビボ急性経口LD50値の開始用量を予測した。
基礎細胞毒性試験:NICEATM‐ECVAM検証試験によって修正されたStokesの標準プロトコルに従ってニュートラルレッド取り込み(NRU)アッセイを行った。NRU細胞毒性アッセイ手順は、生細胞が超生体色素であるニュートラルレッドを取り込んで結合する能力に基づく。5%ウシ胎仔血清を含有するダルベッコ改変イーグル(DMEM)培地中で、Balb/c 3T3(マウススイスアルビノ胚線維芽細胞)細胞(9000細胞/ウェル)を96ウェルプレートに24時間置いた。次いで、それらの細胞を8種の濃度範囲(1000、316、100、31、10、3、1μg/ml)にわたって試験化合物に24時間曝した。未処理細胞を対照として使用した。24時間後、培地をすべてのプレートから除去した。次いで、250μLのニュートラルレッド溶液を添加した(DMEM中0.05mg/mLのNRを37℃で24時間プレインキュベートし、次いで使用前に0.22μmのシリンジフィルターを通して濾過した)。プレートを3時間インキュベートした後、細胞をPBSで3回洗浄した。生細胞内の色素は酢酸、エタノールおよび水の混合物(1:50:49)で抽出することにより放出された。ニュートラルレッドの吸光度を、分光光度計マルチプレートリーダー(TECAN、Infinite M1000)を用いて540nmで測定した。生細胞の割合は、式:OD(処理細胞)×100/OD(対照細胞)を用いて計算した。IC50値はGraph Pad Prism(登録商標)3.0のプログラムを用いて計算した。
IC50値からのLD50の推定:げっ歯類における急性経口全身毒性試験に関する開始用量を推定するためにインビトロ試験からのデータを使用した。インビボ開始用量はインビトロIC50値を回帰式:logLD50(mM/kg)=0.439logIC50(mM)+0.621に代入することによって計算された推定LD50値である。その値をmg/kgに再計算し、化合物を4つの毒性カテゴリーに従って評価する:カテゴリー1:LD50≦5mg/kg(高毒性);カテゴリー2:5<LD50≦50mg/kg(中程度の毒性);カテゴリー3:50<LD50≦300mg/kg(わずかに有毒);カテゴリー4:300<LD50≦2000mg/kg(実質的に無毒)。
急性毒性の決定。急性経口投与毒性(LD50)は、OECDテストガイドライン425 [OECD (2001) Guideline for testing of chemicals OECD 425, acute oral toxicity ‐ Up‐and‐Down Procedure(化学物質試験ガイドライン OECD425、急性経口毒性−上げ下げ法)、パリ、p.1−26]に従った上げ下げ法によって推定した。動物は処置後2週間にわたり、臨床的徴候または死亡率について毎日観察した。化合物をDMSOに溶解し、次いでPBSに溶解した(pH7.4;DMSO最終濃度<1%)。試験物質をマウスに経口で単回投与した。動物を処置後2週間にわたり、臨床的徴候または死亡率について毎日観察した。
細胞培養に基づく研究の結果を表1に要約する。
一般に、試験化合物は悪性腫瘍細胞に対して中程度または低い細胞毒性を示した。とりわけ、すべての誘導体は基礎細胞毒性試験(LD50>1252mg/kg)に従った正常なNIH 3T3細胞に対して低毒性であり、このことはSe含有化合物にとって非常に驚くべきことである。誘導体I−1はSHSY5Y細胞増殖を抑制することができる(IC50=32μM)。また、ヒドロキシシクロヘキシル‐セレノフェノ[h]クロメンI−3は中等度の抗増殖活性(A549およびSHSY5Y癌細胞株で19μMまでのIC50)を示し、同時に正常マウス胚線維芽細胞NIH 3T3に対して低毒性である(推定基礎毒性LD50は2712mg/kgに等しい)。エステル基の加水分解(化合物I−11)により、細胞毒性の完全な喪失がもたらされた。モルホリノメチルセレノフェノ[h]クロメンI−9は中程度の細胞毒性を有するが、この化合物は正常なNIH 3T3細胞に対して研究されたクロメンの中で最も毒性が高い。対応するカルボン酸I−14は癌細胞株に対する細胞毒性および実質的な基礎毒性(LD50=1320mg/kg)のままであった。N‐メチルピペラジノメチル置換セレノフェノ[h]クロメンI−10およびI−15は癌細胞株に対して毒性が低く、これにより、分子内のセレンまたはクマリン骨格の存在よりも、試験化合物の細胞毒性活性に関する構造的特徴のより高い導入が示された。
インビボでの急性毒性を6週齢の雄性ICRマウスに対してI−10およびI−11について決定した。驚くべきことに、本発明者らのデータによれば、マウスにおける経口投与後のI−10に関する急性毒性は891mg/kgであり、I−11では2000mg/kg超である。
2. インビボでの抗癌活性の評価
マウス非転移性癌モデル
マウス。6週齢の雌性ICRおよびBALB/cマウスはTartu Laboratory Animal Centre(タルトゥ大学実験動物センター)(エストニア)から購入した。マウスをケージに5匹収容し、標準条件下(21〜23℃、12時間明:暗サイクル)、自由に給餌し(R3食、Lactamin AB、キムスタド(Kimstad)、スェーデン)、毎日観察した。実験動物を含む実験手順は、欧州共同体の指針、現地の法律および方針に従って行われ、ラトビアのリガ(Riga)のラトビア動物保護倫理委員会、食品獣医局によって承認された。
細胞株:マウス肉腫CCRF−S180 II(CCL−8)およびルイス肺癌(LLC)細胞株を利用してインビボ試験を実施した。全ての細胞株はATCCから購入した。これらの細胞は10%ウシ胎仔血清(Sigma)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(Sigma)中で増殖させた。
開示した化合物の抗癌活性の試験は、マウス非転移癌モデルにおいてインビボで行った。ICRマウスの背部に5×10個のCCL−8細胞を皮下接種し、BALB/cマウスに1×10個のLLC(ルイス肺癌)細胞を接種した。これらの細胞は調査の0日目に0.1mLのPBS中に懸濁させた。DMSOに溶解し、次いで0.1mLの水中に溶解した化合物(DMSO最終濃度1%)を皮下注射した。未処置群のマウスには、同様にDMSOと共に0.1mLの水を投与した。腫瘍体積(腫瘍体積V=4πab2/3、aは最大、bは最小腫瘍直径)を週に2回記録した。外観、体重および行動を含む疾患についてマウスを一日おきに調べた。ケタミン/キシラジン麻酔後の断頭により実験の16日目にマウスを殺処分した。
結果を表2に示す。驚くべきことに、総用量45mg/kgのI−9〜I−11の注射の経過後、肉腫CCL−8腫瘍の体積は38〜58%減少した。さらに、誘導体I−10はLLC原発腫瘍の増殖を34%抑制することができた。すべての動物群で副作用が検出されなかったことに注意されるべきである。
3. インビボでの抗転移活性の評価
血行性の転移性播種のインビボモデル。移植後の異なる腫瘍の増殖および転移の研究のための様々なインビボ実験モデルがある。注射部位および特定の腫瘍向性選択細胞株は、主に、一次転移および二次転移ならびにそれらの位置の増殖によって決定される。肺転移モデルは、B16黒色腫および乳癌4T1を含む多くの腫瘍モデルの治療を評価するために広く使用されている。皮膚の黒色腫は初期段階の外科的切除によって治癒することができるが、高い転移能および化学療法に対する抵抗性により、高レベルの再発がもたらされる。2013年の転移診断における5年生存率はわずか15%であり、過去10年間で12%からわずかに改善しただけであった。(Cancer Facts and Figures 2013(癌の事実と図2013).American Cancer Society,米国ジョージア州アトランタ, 2013)。皮膚癌黒色腫B16−F10の最も攻撃的な形態の1つを、尾静脈形成肺転移における静脈内投与のために選択した(Posteら, Cancer Res., 1980, 40, 1636−1644)。
肺転移の黒色腫モデル
C57BL/6マウスの尾静脈を介して100,000個のB16−F10黒色腫細胞をマウスに注射し、24時間後に以下のスキームに従って投与した化合物の皮下注射(s.c.)で処置を開始した:1、7、8、9、10、11および14日目に用量20mg/kg。対照群のマウスには、同様にDMSOを含む0.1mLの水を投与した(DMSO最終濃度<1%)。21日後、すべてのマウスをケタミン/キシラジンで麻酔しそして安楽死させ、マウスを殺処分して肺の黒い黒色腫結節を測定した。各実験において、マウスの体重を週に2回測定した。
B16−F10黒色腫の肺転移モデルを用いて行われた実験から得られたデータ(表3;Figure2)に基づいて、セレノフェノ[h]クロメンI−10が肺における黒色腫転移を74%阻害するという予想外の驚くべき結果を確認した(投与:以下のスキームに従ったs.c.:1、7、8、9、10、11、14日目;総用量140mg/kg用量)。6匹の動物の群における個々の各マウスに対するI−10の影響を分析すると、5匹の動物において黒色腫転移は完全に予防されたが、1匹においては予防されなかったことを本発明者らは観察した。同じ実験条件下で化合物I−11を使用することにより、この化合物は肺の黒色腫転移をほぼ完全に(96%)予防するとの結論に本発明者らは至った。さらに、6匹のうち4匹の動物では転移が全く観察されなかった。
Figure2. 肺におけるB16−F10転移の阻害(C57BL/6マウス)。B16−F10細胞(10,000/0.1ml PBS)を同系マウスに静脈内注射した。肉眼的肺転移の数を21日後に測定した。
抗転移活性の評価
乳癌4T1の同系マウスモデル(アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)カタログ番号CRL−2539, 2004)は、ヒト乳癌の臨床的パラメータを模倣する優れたモデルである。これらの細胞をマウスに投与する異なる方法を使用して、腫瘍転移を様々な器官で形成し、そして拡散のために異なる経路を使用する。
したがって、同所性(orthotropic)マウス乳腺への4T1細胞の移植により、肺、リンパ節、肝臓および骨髄における転移の発生が誘導される。この場合、癌細胞はリンパ行性および血行性の経路を拡散するために使用し、原発腫瘍を発症し、次いで浸潤および転移が起こる。
4T1細胞を尾静脈に注射する場合、転移は主に肺および肝臓において発生する。このような方法は腫瘍細胞の血行性拡散をシミュレートする(AslaksonおよびMiller, Cancer Res, 1992, 52, 1399−1405; Eckhardtら, Nat Rev. Drug Discov.(医薬品の発見) 2012, 11,479−497; Khannaら, Carcinogenesis 2005, 26, 513−523)。
肺、肝臓、リンパ節、および脳に転移を伴う4T1マウス転移性乳癌の同所性モデル。
同系のBALB/cマウスの***脂肪体に4T1細胞を注射することによってマウス乳癌の同所性モデルを作製した。この場合、4T1細胞は固形腫瘍を生じ、その後肺、肝臓、リンパ節、および脳に転移する(Aslaksonら, Cancer Res, 1992, 52, 1399−1405)。
本発明者らの実験では、試験の0日目に7週齢の雌性BALB/cマウスに、0.01mLのPBS中に懸濁した10個の4T1細胞を第4の***脂肪体に同所注射した。前記化合物をDMSOに溶解し、0.1mLの水で希釈し(DMSO最終濃度1%)、そして皮下注射した。前記化合物を1、2、3、11日目に用量20mg/kgの用量で投与した。未処置群のマウスにも同様にDMSOを含む0.1mLの水を4回投与した。腫瘍体積(腫瘍体積V=4πab2/3、ここで「a」は最大腫瘍直径、「b」は最小腫瘍直径である)は週2回計算した。前記マウスを一日おきに外観、体重および行動について調べた。前記マウスをケタミン/キシラジン麻酔下での断頭により実験の16日目に殺処分した。安楽死後、前記マウスを解剖した。原発腫瘍、肝臓および脾臓を摘出し、秤量しそして研究した。内臓におけるすべての転移を記述した。
肺転移の4T1モデル
Balb/cマウスの尾静脈に100,000個の4T1乳癌細胞を注射し、24時間後に以下のスキームに従って化合物の皮下(s.c.)注射、腹腔内(i.p.)注射または経口投与(p.o.)で処置を開始した:1、4、7、9、11および14日目の用量20または40mg/kg。化合物をDMSOに溶解し、得られた溶液を水で希釈した(DMSO最終濃度<1%)。対照群のマウスには、同様にDMSOを含む0.1mLの水を投与した。21日後、すべてのマウスをケタミン/キシラジンで麻酔して安楽死させ、前記マウスを殺処分して脾臓をマウスから摘出して秤量した。各実験において、マウスの体重を週に2回測定した。
4T1自然肺転移の計測(墨汁アッセイ)。(Lewisら, Cancer Res, 2005, 65)墨汁(15%の墨汁、85%の水、3滴のNHOH/100ml)の気管内注射によって肺転移を計数した。墨汁を注入した肺をフェケッツ溶液(300mlの70%EtOH、30mlの37%ホルムアルデヒド、5mlの氷酢酸)で洗浄し、次いで新鮮なフェケッツ溶液中に一晩置いた。腫瘍結節は墨汁を吸収しないため、正常な肺組織は黒く染まり、腫瘍結節は白いままである。黒い肺の背景に対する白い腫瘍結節を測定した。
原発腫瘍の増殖と脾腫の抑制。前記4T1同所性モデルは進行性形態のエストロゲン非感受性ヒト転移性乳癌と酷似している(Heppnerら, Breast Cancer Res 2000, 2, 331−334)。
本発明者らの結果によれば、I−10およびI−11は原発腫瘍の増殖に対して有意であるが非常に控えめな阻害効果を有する(最大32%)が、驚くべきことにこれらの化合物は転移の形成を劇的に減少させる。
腫瘍細胞のこの種の移植により、非常に顕著な脾腫が誘発される。腫瘍を有する対照群における脾臓の体積は、健康な動物と比較して316%増加した。このモデルにおいて、I−10およびI−11は脾腫の発症を減少させ、脾臓重量の増加はそれぞれ256%および198%であった。
驚くべきことに、本発明者らの実験により、化合物I−11およびI−15はほぼ完全に(98%)インビボで4T1癌腫肺転移の形成を予防するという単純に優れたデータが得られた。この効果は実験に用いた各マウス(各群に5匹)について観察された(表5;Table5、表4;Figure3)。化合物の皮下治療が最良であることが見出されたことに留意すべきである。
マウスへの乳癌腫瘍細胞の移植により、腫瘍白血病反応の誘導および赤脾髄の大量の顆粒球浸潤に関連する脾腫が発症した(Johnsonら, Int. J. Cell Cloning,1985, 3,91−105; Serafiniら, Cancer Immunol. Immunother., 2004, 53, 64−72; du Preら, Experim. Mol. Pathol., 2007, 82, 12−24)。腫瘍を有する動物における脾臓の重量増加の結果を表4;Figure3に示す。腫瘍を有する対照動物では、脾臓重量は+147%で増加した。I−10で処置した動物において、脾臓の重量増加は有意に低かった(63%の増加)。用量20mg/kgのI−15を用いた処置により、観察された腫瘍脾臓重量増加はわずか+55%であり、40mg/kgの用量では、増加はほぼ完全に抑制された(+14%)。しかしながら、化合物I−10は脾腫の発症に影響を及ぼさない。
Figure3. BALB/cマウスにおける肺での4T1転移の阻害ならびに脾臓重量。化合物を1、4、7、9、11、14日目に皮下注射で投与した。4T1細胞(10,000/0.1ml PBS)を同系マウスに静脈内注射した。16日目の転移を各マウスについて示し、平均値を説明のために示す。
化合物を1、4、7、9、11および14日目に20または40mg/kgの用量で投与した。4T1細胞(10,000/0.1ml PBS)を同系マウスに静脈内注射した。16日後に肉眼で見えた肺転移の数を測定した。
はP<0.005、**はP<0.05、スチューデントの両側t検定により対照との比較。
これらの特定のセレノフェノ[h]クロメンがいずれもいかなる主要な副作用も誘発しなかったこと:これらの化合物で処置したすべての動物が健康でかつ活動的に見え、体重変化が視覚的になかったことを踏まえれば、これらの値は特に有望であった。
細胞株および動物モデルに対する式1の合成化合物の原発腫瘍ならびに転移に対する細胞毒性および抗癌活性の実施した試験により、たとえインビトロでのこれらの化合物の細胞毒性が控えめであっても、本出願の実施形態が異なる局在の癌転移の治療においても非常に活性であることが明らかに実証された。癌細胞に対する化合物の前例のない高い選択性と共にこの予想外の発見により、これらの化合物は抗転移薬として非常に有望なものとなる。
本明細書の実施形態は、化学および生化学の分野に関し、より具体的には、抗癌化合物、それらの合成、およびそれらの使用方法に関する。本発明は、新規な2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン誘導体、開示した化合物の製造方法ならびに癌および転移の治療および/または予防のための使用について開示する。
様々な局在性の癌が広範囲に広がり、それらがあらゆる年齢の死亡の主原因である。腫瘍増殖は複雑な多段階プロセスである。発生および進行性の腫瘍増殖は、癌細胞の特性と免疫学的反応性の状態の両方に依存する。これにより、1つまたはいくつかの基本的な方法:手術、放射線療法、化学療法および免疫療法を使用する癌治療のアプローチの多様性が決定される。それらの目標は腫瘍の質量を最小限に抑えることである。固形腫瘍の場合、その腫瘍の外科的切除が第一線の選択肢である。白血病および他の一般的な疾患は、大量の放射線または化学療法によって治療される。しかしながら、いずれの方法も単独ではすべての腫瘍細胞を排除しそして完全な回復を達成することはできていない。したがって、現代の腫瘍学は通常、腫瘍細胞を除去するために治療法の組み合わせを適用している。
残念なことに、原発腫瘍の外科的除去に成功したにもかかわらず、腫瘍は周囲の組織および臓器に広がって転移する可能性があるため、再発の可能性が非常に高い。転移は原発腫瘍から周囲組織への腫瘍細胞の局所的浸潤で始まり、細胞は血液またはリンパ循環系に入る(Hunter, ら, Breast Cancer Res, 2008, 10, S2; Talmadgeら, Cancer Res 2010, 70, 5649−5669)。原発腫瘍の摘出後、様々な臓器への転移があると診断された患者の割合は最大30%である(Essnerら, Arch Surg, 2004, 139, 961−966, 966−7)。
転移は癌による死亡の90%の原因である。リンパ性、血行性および混合性(リンパ性、血行性または播種による)の転移の広がり方がある。リンパ系への拡散はリンパ系を介して起こり、そこで癌細胞はリンパ系を貫通しその後血流に入る。内臓:食道、胃、大腸、喉頭、頸部の悪性腫瘍は、頻繁にこのようにしてリンパ節に転移する。
血行性経路の場合、腫瘍細胞は最初に血管を貫通し、そして次に異なる臓器および組織(例えば、肺、肝臓、骨など)において血流により広まる。外科的介入が血流からの腫瘍細胞の拡散の危険性を増大させるため、大部分の死亡はこの経路に関連していた。リンパ組織および造血組織の悪性腫瘍−肉腫、過腎腫、水平上皮腫はこのようにして転移する。
しかしながら、大部分の癌:乳癌、甲状腺癌、肺癌および卵巣癌は、リンパ系および血行系によって等しく転移する能力がある(Achen, Stacker, Annals of the New York Academy of Sciences, 2008, 1131, pp. 225−234; LiおよびLi, Int. J. Oncol., 2014, 44, 1806−1812)。
転移癌は全身療法(化学療法、生物学的療法、標的療法、ホルモン療法)、局所療法(手術、放射線療法)、またはこれらの治療法の組み合わせで治療することができる。([ガイドライン] Fizazi K, Greco FA, Pavlidis N, Daugaard G, Oien K, Pentheroudakis G,ら, Cancers of unknown primary site: ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow‐up(原発不明の癌:診断、治療および経過観察のためのESMO診療ガイドライン). Ann Oncol. 2015 Sep. 26 Suppl.5: vl33−8)。オキサリプラチンおよびイリノテカンのようないくつかの抗癌剤は、ある程度の効果を伴って肝臓転移において使用される。シスプラチンと5‐フルオロウラシルをベースとした化学療法による原発不明の転移性癌の治療の有効性は未だ議論されている。原発不明の転移性癌患者に対する最も効果的な化学療法レジメンは、白金化合物(シスプラチンまたはカルボプラチン)とタキサン(好ましくはパクリタキセル)との併用療法を含む。しかしながら、この組み合わせでさえも、約12〜26%の反応率と5〜7ヶ月の生存期間中央値しか得られていない。三種薬物療法により、追加の利益が提供されるとは思われない(Vajdic CM, Goldstein D. Cancer of unknown primary site(原発部位不明の癌). Aust Fam Physician. 2015 Sep. 44 (9):640−3.)。
残念なことに、転移性癌の大部分は今日でも治癒不能である。例えば、転移性乳癌の治療により、寿命が延び、癌の進行が遅くなり、癌関連症状が緩和し、そして生活の質が向上する可能性がある。それにもかかわらず、転移性乳癌個体の生存期間の中央値はわずか18〜24か月間である(http://www.uptodate.com/contents/treatment‐of‐metastatic‐breast‐cancer‐beyond‐the‐basics)。したがって、有効な抗転移性化学療法薬に対する医学的ニーズが依然として高い。
本発明者らは、驚くべきことに、癌細胞株に対して低いまたは中程度の細胞毒性を有する特定の新規な2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン誘導体が予想外にも種々の癌に対して優れたインビボ抗転移活性を有することを見出した。これらの物質は、正常マウス胚線維芽細胞に対する細胞毒性が極めて低いため、転移性腫瘍の治療および/または予防に非常に適している。これらの新規化合物は種々の医薬組成物の製造に使用することができ、それらは1種以上の医薬的に許容され得る希釈剤、担体または賦形剤と共に存在する。
本発明の目的は、原発性癌および/またはそれらの転移の治療に有用な抗癌特性を有するセレン含有新規化合物、開示化合物の製造方法ならびにこのような物質の投与による種々の癌の治療および/または予防である。
本発明者らは式Iの化合物から選択される化合物、
式中、
はOH、O〜C16炭化水素基、それらの基は直鎖状、分岐状もしくは環状であってもよくまたは任意に置換されて、ステロイド部分(例えばコレステロール)を含んで、いてもよく、N(アルキル)およびN‐ヘテロシクリルから選択され
はハロゲン原子(例えばBr)を表し;
はヒドロキシ‐C1〜4アルキル、1‐ヒドロキシ‐シクロ‐C3〜6アルキル、シクロ‐C5〜7アルケニル、ヒドロキシ‐C1〜6シクロアルキル、および1〜4アルキル‐N‐ヘテロシクリルから選択され、または
その光学異性体、多形体もしくは薬学的に許容され得る酸付加塩または水和物もしくは溶媒和物
である、化合物を開示した
本明細書で使用する場合、「炭化水素」という用語は環状、分岐状、または直鎖状のアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を指す。炭化水素基は非置換であってもよく、または1つ以上の置換基で置換されていてもよい。前記炭化水素が、その上に(複数の)置換基を有する分岐構造である場合、その置換は炭化水素骨格上にあっても分岐上にあってもよく:あるいは、その置換は炭化水素骨格上および分岐上にあってもよい。
「アルキル」という用語は示された数の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。例えば、C〜C12アルキルはアルキル基が1〜12個(両端を含む)の炭素原子を有することができることを示す。「アルキレン」という用語は二価のアルキル、例えば、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−または−CHCH(CH)CH−を指す。アルキルまたはアルキレンは任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する「シクロアルキル」という用語は、3〜12個の炭素を有する非芳香族、飽和または部分不飽和の環式、二環式、三環式または多環式炭化水素基を指す。任意の環原子が(例えば、1つまたは複数の置換基で)置換されていてもよい。シクロアルキル基は縮合環を含むことができる。縮合環は1つまたは複数の共通の炭素原子を共有する環である。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、メチルシクロヘキシル、アダマンチル、ノルボルニルおよびノルボルネニルが含まれるが、これらに限定されない。
「アルケニル」という用語は1つまたは複数の二重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。アルケニル基の例には、アリル、プロペニル、2‐ブテニル、3‐ヘキセニルおよび3‐オクテニル基が含まれるが、これらに限定されない。二重結合炭素のうちの1つは、任意にアルケニル置換基の結合点であってもよい。「アルケニレン」という用語は二価のアルケニル、例えば、−CH=CH−、−CH=CHCH−または−CH=C=CH−を指す。アルケニルまたはアルケニレンは任意に置換されていてもよい。
「アルキニル」という用語は1つまたは複数の三重結合を有する直鎖または分岐の炭化水素鎖を指す。アルキニル基の例には、エチニル、プロパルギル、および3‐ヘキシニルが含まれるが、これらに限定されない。三重結合炭素の1つは、任意にアルキニル置換基の結合点であってもよい。「アルキニレン」という用語は二価アルキニル、例えば、−C≡C−または−C≡C−CH−を指す。アルキニルまたはアルキニレンは任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、「エステル」という用語はカルボン酸とアルコールとの間の反応の生成物を指す。
本明細書で使用する場合、「アミド」という用語は−CONH−基を含有する有機化合物を指す。
本明細書で使用する場合、「アリール」という用語はフェニルおよびナフチルを指す。
本明細書で使用する「ヘテロシクリル」という用語は、単環式の場合は1〜3個のヘテロ原子、二環式の場合は1〜6個のヘテロ原子、三環式の場合は1〜9個のヘテロ原子を有する非芳香族の飽和または部分不飽和3〜10員単環式、8〜12員二環式、または11〜14員三環式環系を指し、該ヘテロ原子はO、N、S、SiおよびPから選択される(例えば、単環式、二環式、または三環式の場合、それぞれ炭素原子とO、N、S、SiおよびPの1〜3、1〜6または1〜9個のヘテロ原子)。任意の環原子が(例えば、1つまたは複数の置換基で)置換されていてもよい。ヘテロシクリル基は縮合環を含むことができ、これは1つまたは複数の共通の原子を共有する環である。ヘテロシクリル基の例には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリン、ピリミジン、ピロリジン、インドリン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラン、チアントレン、ピラン、ベンゾピラン、キサンテン、フェノキサチイン、フェノチアジン、フラザン、ラクトン、ラクタム、例えばアゼチジノンおよびピロリジノン、スルタム、スルトンなどの基が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、「ハロ」または「ハロゲン」という用語はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
本開示の実施形態は、本明細書に記載の有用な特性を有する、本開示の化合物の任意のラセミ体、光学活性体、多形体、互変異性体、または立体異性体の形態またはそれらの混合物を包含する。
化合物が安定な無毒の酸または塩基の塩を形成するのに十分に塩基性または酸性である場合、薬学的に許容され得る塩としての前記化合物の使用が適切であり得る。本開示の実施形態の範囲内の薬学的に許容され得る塩の例には、生理学的に許容され得るアニオンを形成する酸と共に形成された有機酸付加塩および無機塩が含まれる。
本発明内の式Iの特定化合物は、以下を含むが、これらに限定されない:
7‐ブロモ‐8‐(2‐ヒドロキシプロパン‐2‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐(シクロペンテ‐1‐エン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸ブチル、
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸オクチル、
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸デシル、
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(ピペリジン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐(モルホリノメチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐((4‐メチルピペラジン‐1‐イル)メチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
7‐ブロモ‐8‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸、
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸、
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(ピペリジン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩、
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(モルホリン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩、
7‐ブロモ‐8‐((4‐メチルピペラジン‐1‐イル)メチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩、
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1)‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸オクチル、
(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)‐10,13‐ジメチル‐17‐((R)‐6‐メチルヘプタン‐2‐イル)‐2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17‐テトラデカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[α]]フェナントレン‐3‐イル‐7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキシレート、
(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)‐10,13‐ジメチル‐17‐((R)‐6‐メチルヘプタン‐2‐イル)‐2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17‐テトラデカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[α]フェナントレン‐3‐イル‐7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキシレート、
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐3‐(ピペリジン‐1‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン、
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐3‐(モルホリン‐1‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン、
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐N,N‐ビス(2‐メトキシエチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキサミド、
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐3‐(モルホリン‐4‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン。
図1は肺におけるB16−F10転移の阻害(C57BL/6マウス)を示す。B16−F10細胞(10,000/0.1ml PBS)を同系マウスに静脈内注射した。肉眼的肺転移の数を21日後に測定した。 BALB/cマウスにおける肺での4T1転移の阻害ならびに脾臓重量を示す。化合物を1、4、7、9、11、14日目に皮下注射で投与した。4T1細胞(10,000/0.1ml PBS)を同系マウスに静脈内注射した。16日目の転移を各マウスについて示し、平均値を説明のために示す。
抗転移特性を有する抗癌化合物を探して、本発明者らは、式の2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン誘導体が実験動物における種々の腫瘍の転移の発症に対して非常に活性であることを予想外に発見した。更に驚くべきことに、これらの化合物は、LD50のインビトロ推定に広く使用されている、正常な3T3細胞(マウス胚線維芽細胞)に対する有意な細胞毒性を伴わずに癌細胞に対して非常に選択的であった。高い毒性および正常細胞に対して癌細胞に対する低い選択性がセレン含有分子にとって特徴であることがよく知られているため、本発明者らの発見は予想外のものであった。
歴史的に、セレンは必須の微量元素として大きな関心を集めてきた。特定の疾患はこの元素の食事療法の補足によって制御することができる。セレンはグルタチオンペルオキシダーゼおよび他の酵素系の成分として細胞代謝に不可欠である。特定の癌の予防にSe含有サプリメントを使用するいくつかの試みがある。残念ながら、セレン含有化合物の抗癌活性は、セレンの化学形態および設計された化合物の構造的特徴に依存するいくつかのメカニズムに基づいているため、依然として予測不可能である。これらの化合物が細胞株において活性であるとしても、インビボでの新規Se含有化合物の基礎的な毒性および選択性ならびに抗転移活性を予測するルールが欠如している。
本発明者らは、2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン骨格を有する、特にこの足場の7位および8位に置換基が存在する場合の、多数の化合物に抗転移活性が特徴的であることを発見した。本発明者らは、式の化合物の7位のRに関して最も適切な置換基はハロゲンであり、そして8位のRに関して最も好ましい置換基はヒドロキシ‐C1〜4アルキル、1‐ヒドロキシ‐シクロ‐C3〜6アルキル、シクロ‐C5〜7アルケニル、ヒドロキシ‐C1〜6シクロアルキル、C1〜4アルキル‐N‐ヘテロシクリル‐基であることを見出した。
式1で表される化合物の3位には酸、エステルまたはアミド部分が好ましい。
本発明者らはまた、置換基Rが、好ましくはOH、ステロイド部分(例えばコレステロール)を含む、OC〜C16炭化水素基、N(アルキル)、N‐ヘテロシクリル部分からなる置換基の群から選択できることを発見した。
本明細書で使用する場合、「炭化水素」という用語は環状、分岐状、または直鎖状のアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を指す。炭化水素基は、非置換であってもよく、または1つ以上の置換基で置換されていてもよい。炭化水素が、その上に(複数の)置換基を有する分岐構造である場合、その置換は炭化水素骨格上にあっても分岐上にあってもよく:あるいは、その置換は炭化水素骨格上および分岐上にあってもよい。
「アルキル」という用語は示された数の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。例えば、C〜C12アルキルはアルキル基が1〜12個(両端を含む)の炭素原子を有することができることを示す。「アルキレン」という用語は二価のアルキル、例えば、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−または−CHCH(CH)CH−を指す。アルキルまたはアルキレンは任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する「シクロアルキル」という用語は、3〜12個の炭素を有する非芳香族、飽和または部分不飽和の環式、二環式、三環式または多環式炭化水素基を指す。任意の環原子が(例えば、1つまたは複数の置換基で)置換されていてもよい。シクロアルキル基は縮合環を含むことができる。縮合環は1つまたは複数の共通の炭素原子を共有する環である。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、メチルシクロヘキシル、アダマンチル、ノルボルニルおよびノルボルネニルが含まれるが、これらに限定されない。
「アルケニル」という用語は1つまたは複数の二重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。アルケニル基の例には、アリル、プロペニル、2‐ブテニル、3‐ヘキセニル、および3‐オクテニル基が含まれるが、これらに限定されない。二重結合炭素のうちの1つは、任意にアルケニル置換基の結合点であってもよい。「アルケニレン」という用語は二価のアルケニル、例えば、−CH=CH−、−CH=CHCH−または−CH=C=CH−を指す。アルケニルまたはアルケニレンは任意に置換されていてもよい。
「アルキニル」という用語は1つまたは複数の三重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。アルキニル基の例には、エチニル、プロパルギル、および3‐ヘキシニルが含まれるが、これらに限定されない。三重結合炭素の1つは、任意にアルキニル置換基の結合点であってもよい。用語「アルキニレン」は二価アルキニル、例えば、−C≡C−または−C≡C−CH−を指す。アルキニルまたはアルキニレンは任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、「エステル」という用語はカルボン酸とアルコールとの間の反応の生成物を指す。
本明細書で使用する場合、「アミド」という用語は−CONH−基を含有する有機化合物を指す。
本明細書で使用する場合、「アリール」という用語はフェニルおよびナフチルを指す。
本明細書で使用する「ヘテロシクリル」という用語は、単環式の場合は1〜3個のヘテロ原子、二環式の場合は1〜6個のヘテロ原子、三環式の場合は1〜9個のヘテロ原子を有する非芳香族の飽和または部分不飽和3〜10員単環式、8〜12員二環式、または11〜14員三環式環系を指し、該ヘテロ原子はO、N、S、SiおよびPから選択される(例えば、単環式、二環式、または三環式の場合、それぞれ炭素原子とO、N、S、SiおよびPの1〜3、1〜6または1〜9個のヘテロ原子)。任意の環原子が(例えば、1つまたは複数の置換基で)置換されていてもよい。ヘテロシクリル基は縮合環を含むことができ、これは1つまたは複数の共通の原子を共有する環である。ヘテロシクリル基の例には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリン、ピリミジン、ピロリジン、インドリン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピラン、チアントレン、ピラン、ベンゾピラン、キサンテン、フェノキサチイン、フェノチアジン、フラザン、ラクトン、ラクタム、例えばアゼチジノンおよびピロリジノン、スルタム、スルトンなどの基が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、「ハロ」または「ハロゲン」という用語はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
本開示の実施形態は、本明細書に記載の有用な特性を有する、本開示の化合物の任意のラセミ体、光学活性体、多形体、互変異性体、もしくは立体異性体の形態またはそれらの混合物を包含する。
化合物が安定な無毒の酸または塩基の塩を形成するのに十分な塩基性または酸性である場合、薬学的に許容され得る塩としての化合物の使用が適切であり得る。本開示の実施形態の範囲内の薬学的に許容され得る塩の例には、生理学的に許容され得るアニオンを形成する酸と共に形成した有機酸付加塩および無機塩が含まれる。
「薬学的に許容され得る」という用語は、本明細書では式Iの化合物が形成することができる治療的に活性な無毒の塩の形態を指す。後者は、塩基形態を塩酸、臭化水素酸、硫酸;硝酸;リン酸などの無機酸;または酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2‐ヒドロキシプロパン酸、オキソプロパン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4‐メチルベンゼンスルホン酸、2‐ヒドロキシ安息香酸などの有機酸のような適切な酸で処理することによって都合よく得ることができる。逆に、前記塩はアルカリで処理することにより遊離塩基に変換することができる。
治療に使用するために、式Iの化合物は溶媒和物の形態であってもよい。
本開示の実施形態による医薬組成物は、開示した化合物を固体または液体の薬学的に許容され得る担体と、そして任意に薬学的に許容され得るアジュバントおよび賦形剤と標準的な従来の技術を用いて組み合わせることによって調製できる。固体形態の組成物には、粉末剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェー剤(cachets)および坐剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑剤、懸濁剤、結合剤、錠剤崩壊剤、およびカプセル化剤としても機能し得る少なくとも1つの物質であり得る。不活性固体担体には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース系材料、低融点ワックス、カカオバターなどが含まれる。液体形態の組成物には、溶液、懸濁液およびエマルジョンが含まれる。例えば、水および水‐プロピレングリコール系に溶解し、任意に適切な従来の着色剤、香味剤、安定剤、および/または増粘剤を含有する、本明細書に開示の化合物の溶液を提供することができる。
一実施形態では、医薬組成物は有効量または適切量の1つまたは複数の活性成分を含有する単位剤形で従来の技術を使用して提供することができる。実施形態では、医薬組成物中の活性成分(化合物)の量およびその単位剤形は、特定の用途、特定の化合物の効力および所望の濃度に応じて広く変動または調整することができる。一実施形態では、活性成分の量は前記組成物の0.5wt%から90wt%の範囲であり得る。
実施形態では、動物における癌を治療、改善、予防または撲滅するための治療的使用において、前記化合物またはそれらの医薬組成物を、治療上有効な治療を受けている動物における活性成分の濃度または血中レベルを得てかつ維持するための投薬量で経口、非経口、局所および/または吸入により投与できる。一実施形態では、そのような治療上有効な量の活性成分の投与量は、約0.1〜約100mg/kg体重/日、より好ましくは約3.0〜約50mg/kg体重/日の範囲であり得る。投与量は患者の要求、治療されている癌の重症度、種類、段階、悪性度、または位置、ならびに使用されている特定の化合物に応じて変わり得ることを理解されたい。また、所望の血中レベルを迅速に達成するために、投与される初期投与量を上記の上限レベルを超えて増加させることができ、または初期投与量を最適値より少なくし、そして特定の状況に応じて治療の過程において毎日の投与量を徐々に増加させることができることを理解されたい。所望すれば、一日量を投与のために複数回、例えば一日に2〜4回に分割してもよい。
スキーム1は、本発明の式Iの化合物の製造を説明する。本発明のすべての最終化合物は、これらの図表に記載されている手順によって、またはそれに類似の手順によって製造することができ、その手順は有機化学の当業者に周知であろう。このスキームで使用されているすべての変数は、以下に定義されているとおり、または特許請求の範囲に記載されている通りである。
の化合物製造の一般手順(スキーム1)
7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチルエステル(2)は、メタノール中の2,4‐ジヒドロキシベンズアルデヒドおよびマロン酸ジメチルと数滴のピペリジンとの反応で得られた。反応は60℃で48時間行った。所望の2を濾過により良好な収率で単離した。溶媒として適切なアルコール(ブタノール、オクタノール、またはデカノール)中でクロロトリメチルシランを用いて2を処理し、続いて130℃で4〜5日間の長期間加熱することによって、ブチル‐、オクチル‐、およびデシル‐エステル3を合成した。冷却後、溶媒を蒸発させ、沈殿物を石油エーテルで洗浄し、濾過し、そして乾燥させて純粋なエステル3を得た。2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸エステル(4)の合成は、0℃で過剰のトリエチルアミンを含む乾燥ジクロロメタン中、2および3と無水トリフルオロメタンスルホニルとの反応において良好な収率で行われた。得られた混合物を室温で3時間撹拌し、次いで再び0℃に冷却した。氷水を添加し、その混合物を1NのHClでpH2〜3まで後処理した。有機相を分離し、乾燥させ、SiOを通して濾過し、そして蒸発乾固して結晶質固体を得た。
7位の三重結合導入のために、修正されたSonogashiraプロトコルを利用した。7‐(3‐ヒドロキシ‐3‐メチルブト‐1‐イン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボキシレート(II)は、乾燥DMF/トリエチルアミン中の触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および/または酢酸パラジウム、ならびにヨウ化銅の存在下でAr雰囲気下、20℃またはわずかに高温(最大40℃)での4と末端アセチレンとの反応によって製造された。反応完了後、酢酸エチルおよび数滴のアンモニア(水溶液)を加え、続いてシリカゲルパッドを通して濾過した。次に有機溶液を塩水で洗浄し、そして乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、所望の生成物IIをシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより単離した。
驚くべきことに、本発明者らは、その場で製造した臭化セレン(IV)を用いたエチニルクロメンIIの処理により、セレノフェノ[3,2‐h]クロメン(I−1〜I−10)の形成がもたらされることを見出した。濃臭化水素酸に二酸化セレンを溶解し、続いてジオキサン中のエチニルクロメンIIを添加することにより反応を実施し、得られた混合物を室温で24〜48時間撹拌した。基質IIの消費後、反応混合物をNaCO水溶液でpH8〜9までアルカリ性にし、塩化メチレンで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮し、そして残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適当なカルボン酸(I−11〜I−15)を、メタノール‐水中での過剰の水酸化ナトリウムを用いるエステルの単純な加水分解により製造した。通常、反応混合物を5日間撹拌したままにし、次いで2NのHClでpH=2〜3まで酸性化した。形成した沈殿物を濾別し、冷アセトニトリルで洗浄しそして乾燥させた。親油性置換基(例えば、オクチルまたはコレステロール部分)を含有する、エステルI−16〜I−18は、ジクロロメタン中の過剰のシュウ酸クロリドでカルボン酸I−11〜I−15を処理することによって2段階で製造した。24時間撹拌した後に溶媒を蒸発させ、粗生成物を乾燥CHClに溶解した。一方、別のフラスコでは対応するアルコールと0.5当量のジメチルアミノピリジンを乾燥CHClおよび過剰のトリエチルアミンに溶解した。このフラスコを氷浴中で冷却し、セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸クロリド溶液を滴加した。室温で24時間撹拌した後、エステルI−16〜I−18をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより首尾よく単離した。アミドI−19〜I−22はアルコールの代わりに過剰の第二級アミンを用いて同様の方法で製造された。
反応条件:
a:マロン酸ジメチル、メタノール、ピペリジン、48時間、60℃;
b:クロロトリメチルシラン、アルコール、4〜5日間、130℃;
c:無水トリフルオロメタンスルホニル、トリエチルアミン、ジクロロメタン、0℃;
d:末端アセチレン、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)および/または酢酸パラジウム、ヨウ化銅、DMF/トリエチルアミン、室温または40℃、Ar;
e:酸化セレン(IV)、濃臭化水素酸、ジオキサン、室温;
f:水酸化ナトリウム、メタノール/水、室温;
g:塩化オキサリル、アルコール、トリエチルアミン、ジクロロメタン、0℃;
h:塩化オキサリル、アミン、ジクロロメタン、0℃。
本発明の開示した化合物の製造は、以下の実施例に記載されており、これらは本発明の範囲を説明することを意図しており、本発明の範囲を限定するものではない。
以下、「DMF」はN,N‐ジメチルホルムアミドと定義され、「DMAC」はN,N‐ジメチルアセトアミドと定義され、「NMP」はN‐メチルピロリドンと定義され、「DMSO」はジメチルスルホキシドと定義され、「HCl」は塩酸と定義され、「aq. NH」はアンモニア水溶液と定義され、「MeCN」はアセトニトリルと定義され、「DIEA」はジイソプロピルエチルアミンと定義され、「EtOAc」は酢酸エチルと定義され、「rt」は室温と定義される。
中間体2
7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチルエステル(2)の合成。50mlの乾燥メタノール中の2,4‐ジヒドロキシベンズアルデヒド(10g、0.072mol)およびマロン酸ジメチル(14g、0.108mol)の溶液に、6滴のピペリジンを加えた。反応混合物を60℃で48時間撹拌した。次いで、それを0℃に冷却しそして沈殿物を濾別し、氷冷メタノールで洗浄しそして乾燥させた。収率、90%。H NMR:3.79(s、3H)、4.08(br s、1H)、6.71(d、1H)、6.83(dd、1H)、7.74(d、1H)、8.68(s、1H)。
中間体3
7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸エステル(3)の合成。7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(3g、13.63mmol)を適切なアルコール(15mL)に懸濁し、次いで5mLのSiMeClを加えた。次に反応混合物を130℃で4〜5日間加熱した。冷却後、溶媒を蒸発させ、沈殿物を石油エーテルで洗浄し、濾過し、そして乾燥させて純粋なエステルを得た。
7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸ブチルエステル(3a)。
収率、64%。H‐NMR:0.92(t、3H)、1.35〜1.47(m、2H)、1.60〜1.70(m、2H)、4.21(t、2H)、6.72〜6.73(m、1H)、6.82〜6.86(m、1H)、7.75(d、1H)、8.65(s、1H)。
7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸オクチルエステル(3b)。
収率、68%。H‐NMR:0.87(t、3H)、1.26〜1.42(m、8H)、1.71〜1.78(m、2H)、4.31(t、2H)、6.86〜6.88(m、2H)、7.43(d、1H)、8.48(s、1H)。
7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸デシルエステル(3c)。
収率、63%。H‐NMR:0.88(t、3H)、1.23〜1.38(m、14H)、1.61〜1.70(m、2H)、4.20(t、2H)、6.73(br s、1H)、6.84(dd、1H)、7.76(d、1H)、8.65(s、1H)。
中間体4
2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸エステル(4)の合成。
2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチルエステル(4a)の製造方法について示す。無水トリフルオロメタンスルホニル(5.64g、20mmol)を乾燥ジクロロメタン中の7‐ヒドロキシ‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチルエステル2(4g、18.2mmol)およびトリエチルアミン(7.34g、72.7mmol)の溶液に0℃で滴加した。得られた混合物を3時間撹拌し(TLC制御)、0℃に冷却した。氷水を添加し、前記混合物を1NのHClでpH2〜3まで後処理した。有機相を分離し、MgSOで乾燥させ、SiOを通して濾過し、蒸発乾固して結晶性固体を得た。収率:63%;融点156〜158℃。GC‐MS:352(M)。H NMR(CDCl/HMDS)δppm:3.97(s、3H、OCH)、7.28(dd、1H)、2.31(d、1H)、7.73(d、1H)、8.55(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:53.2、110.4、117.0、117.7、118.3、119.0、120.2、131.2、147.5、152.5、155.3、155.7、163.1。
2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸ブチルエステル(4b)。
収率:44%;融点122〜123℃。H‐NMR:0.97(t、3H、J=6.9Hz、CH)、1.42〜1.52(m、2H、CH)、1.72〜1.79(m、2H、CH)、4.36(t、2H、J=6.9Hz、CH)、7.25〜7.30(m、2H、6‐CH、8‐CH)、7.72(d、1H、J=8.6Hz、5‐CH)、8.49(s、1H、4‐CH)。13C‐NMR:13.7、19.1、30.5、66.2、110.4、117.0、117.7、118.1、119.5、131.1、146.8、152.4、155.2、155.7、162.6。
2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸オクチルエステル(4c)。
収率:96%。H NMR:0.87(t、3H)、1.26〜1.36(m、8H)、1.38〜1.46(m、2H)、4.35(t、2H)、7.25〜7.30(m、2H)、7.72(d、1H)、8.49(s、1H)。13C NMR:14.1、22.6、25.8、29.1、29.2、31.7、66.5、110.4、117.0、117.7、118.1、119.5、120.2、131.1、146.8、152.4、155.2、155.7、162.5。
2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸デシルエステル(4d)。
収率:46%;融点96〜98℃。H NMR:0.87(t、3H)、1.27〜1.47(m、14H)、1.73〜1.81(m、2H)、4.35(t、2H)、7.25〜7.30(m、2H)、7.72(d、1H)、8.49(s、1H)。13C NMR:14.0、22.6、25.8、28.5、29.1、29.2、29.4、29.5、31.8、66.4、110.3、117.0、117.7、118.1、119.5、120.2、131.1、146.8、152.3、155.2、155.6、162.5。
中間体II
7‐(3‐ヒドロキシ‐3‐メチルブト‐1‐イン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボキシレート(II)の合成。
7‐(3‐ヒドロキシ‐3‐メチルブト‐1‐イン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IIa)の製造方法について示す。乾燥DMF(5ml)中の2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチルエステル(0.97g、2.76mmol)およびトリエチルアミン(0.837g、8.28mmol)の溶液をAr雰囲気下で乾燥DMF(5ml)中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.319g、0.276mmol)およびヨウ化銅(0.10g、0.552mmol)の混合物に滴加した。次いで、2‐メチルブト‐3‐イン‐2‐オール(0.46g、5.52mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌し続けた。反応完了後、酢酸エチル(150ml)および数滴のアンモニア(aq.)を加え、続いてシリカゲルパッドを通して濾過した。次に有機溶液を塩水(5×50ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、所望の生成物IIaをフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチル)によって単離した。収率:65%、融点168〜170℃。GC‐MS:286(M)。H NMR(CDCl)δppm:1.64(s、6H)、2.14(s、1H)、3.95(s、3H)、7.33(dd、1H)、7.34〜7.36(m、1H)、7.52(d、1H)、8.51(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:31.2、53.0、65.6、80.7、99.1、117.5、117.9、119.4、128.0、129.2、148.3、154.8、156.4、163.6。
7‐(1‐ヒドロキシシクロペンチル)エチニル‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IIb)。
収率:60%、融点176〜177℃。H‐NMR:1.77〜1.92(m、4H)、2.04〜2.07(m、4H)、2.09(s、1H)、3.94(s、3H)、7.31〜7.33(m、2H)、7.51(d、1H、J=8.6Hz)、8.50(s、1H)。13C‐NMR:23.5、42.4、52.9、74.7、81.6、98.5、117.4、117.7、119.3、128.0、129.2、129.4、148.3、154.8、156.3、163.5。
7‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)エチニル‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IIc)。
(収率)66%。融点178〜180℃。GC‐MS:326(M)。H NMR(CDCl/HMDS)δppm:1.23〜1.32(m、1H)、1.56〜1.78(m、7H)、2.00〜2.04(m、1H)、2.18(s、1H)、3.95(s、1H)、7.33(s、1H)、7.34(d、1H)、7.52(d、1H)、8.51(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:23.2、25.1、39.7、52.9、69.1、82.8、98.4、117.5、117.8、119.4、128.1、129.3、148.3、154.9、156.3、163.6。
7‐(1‐メトキシシクロヘキシル)エチニル‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IId)。
収率:57%、泡状物。H NMR:1.30〜1.31(m、1H)、1.52〜1.60(m、3H)、1.61〜1.74(m、4H)、1.96〜2.00(m、2H)、3.42(s、3H)、3.95(s、3H)、7.34〜7.38(m、2H)、7.53(d、1H)、8.51(s、1H)。13C NMR:22.7、25.3、36.5、50.9、52.9、74.3、84.5、96.2、117.4、117.8、119.5、128.1、129.2、129.4、148.3、154.9、156.3、163.5。
7‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)エチニル‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸ブチル(IIe)。
収率:61%、泡状物。H‐NMR:0.97(t、3H)、1.28〜1.36(m、1H)、1.42〜1.52(m、2H)、1.52〜1.69(m、4H)、1.69〜1.79(m、5H)、1.99〜2.04(m、2H)、4.35(t、2H)、7.33〜7.36(m、2H)、7.53(d、1H)、8.45(s、1H)。13C NMR:13.7、19.1、23.2、25.1、30.6、39.8、65.9、69.1、82.9、98.2、117.6、118.4、119.4、128.0、129.13、129.18、147.6、154.8、156.3、163.0。
7‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)エチニル‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸オクチル(IIf)。
収率:59%、泡状物。H‐NMR:0.86(t、3H)、1.26〜1.35(m、9H)、1.38〜1.46(m、2H、CH)、1.55〜1.80(m、9H)、1.99〜2.00(m、2H)、2.13(s、1H)、4.33(t、2H)、7.32〜7.35(m、2H)、7.52(d、1H)、8.45(s、1H)。13C NMR:14.1、22.6、25.1、25.9、28.5、29.1、29.2、31.7、39.7、66.2、69.1、82.8、98.2、117.5、118.4、119.4、128.0、129.1、129.2、147.6、154.8、156.3、163.0。
7‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)エチニル‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸デシル(IIg)。
収率:83%、泡状物。H‐NMR:0.87(t、3H)、1.26〜1.45(m、14H)、1.56〜1.80(m、9H)、2.00〜2.04(m、2H)、2.06(s、1H)、4.34(t、2H)、7.33〜7.36(m、2H)、7.52(d、1H)、8.45(s、1H)。13C NMR:14.1、22.6、23.2、25.1、25.9、28.5、29.2、29.3、29.4、29.5、31.8、39.7、66.2、69.1、82.8、98.2、117.5、118.3、119.4、128.0、129.1、129.2、135.0、147.6、154.8、156.3、163.0。
2‐オキソ‐7‐3‐(ピペリジン‐1‐イル)プロプ‐1‐イン‐1‐イル‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IIh)。
乾燥DMF中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(98.5mg、0.085mmol)、酢酸パラジウム(12.7mg、0.114mmol)、ヨウ化銅(21.6mg、0.114mmol)の混合物をAr雰囲気下40℃で20分間撹拌した。続いて、乾燥DMF中の2‐オキソ‐7‐トリフルオロメタンスルホニルオキシ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチルエステル(500mg、1.42mmol)およびトリエチルアミン(0.43g、4.26mmol)の溶液と対応するプロパルギルアミン(1.99mmol)を加えた。合成は40℃で3時間行った(TLC制御)。反応混合物をrtまで冷却し、EtOAcを加えた。得られた混合物を水および塩水で洗浄し、そしてシリカゲルパッドを通して濾過した。有機相を分離し、1NのHClで処理し、そして水で抽出した。水相をEtOで洗浄し、EtOAcで希釈し、そして飽和NaCO溶液でpH8〜9まで後処理をした。分離した有機相をMgSOで乾燥させ、蒸発乾固して純粋な生成物を得た。収率:54%。融点148〜149℃。MS(EI)m/z:326[M+1]H NMR(CDCl)δppm:1.41〜1.48(m、2H)、1.61〜1.66(m、4H)、2.52〜2.59(m、2H)、3.50(s、2H)、3.93(s、3H)、7.34(d、1H)、7.36(s、1H)、7.51(d、1H)、8.50(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:23.8、25.9、48.5、52.9、53.6、83.6、91.3、117.3、117.6、119.46、128.1、129.2、129.8、148.3、154.9、156.4、163.5。
2‐オキソ‐7‐3‐(ピペリジン‐1‐イル)プロピ‐1‐イン‐1‐イル‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IIi)。
収率:60%。融点146〜148℃。MS(EI)m/z:328[M+1]H NMR(CDCl)δppm:2.65(t、4H)、3.56(s、2H)、3.78(t、4H)、3.96(s、3H)、7.34(dd、1H)、7.37(d、1H)、7.54(d、1H)、8.52(s、1H、8‐CH)。13C NMR(CDCl)δppm:48.1、52.5、53.0、66.8、84.2、90.0、117.6、117.9、119.5、128.2、129.30、148.3、154.9、156.3、163.6。
7‐3‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イルプロピ‐1‐イン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐クロメン‐3‐カルボン酸メチル(IIj)。
収率:43%。融点149〜150℃。MS(EI)m/z:341[M+1]H NMR(CDCl)δppm:2.28(s、3H)、2.40〜2.56(m、4H)、2.62〜2.72(m、4H)、3.54(s、2H)、3.92(s、3H)、7.30〜7.34(m、2H)、7.50(d、1H)、8.49(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:45.9、47.6、52.0、52.9、54.9、84.0、90.4、117.4、117.7、119.4、128.1、129.2、148.3、154.8、156.3、163.5。
セレノフェノ[3,2‐h]クロメン(I)の一般的な製造方法。
HBr(2mL)中の二酸化セレン(0.22g、2.0mmol)の溶液に、ジオキサン中のエチニルクロメンII(1.0mmol)を添加し、得られた混合物を室温で24〜48時間撹拌した。基質IIの消費後(LC‐MS)、反応混合物をNaCO水溶液でpH8〜9に塩基性化し、塩化メチレンで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、そして残渣を塩化メチレン/酢酸エチルの混合物を溶離剤として使用するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
実施例1
7‐ブロモ‐8‐(2‐ヒドロキシプロパン‐2‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−1
収率:63%;融点>200℃。MS(EI)m/z:445[M+1]
NMR(CDCl/HMDS)δppm:1.88(s、6H)、3.99(s、3H)、7.64(d、1H)、7.79(d、1H)、8.81(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:28.7、53.2、75.1、113.3、115.4、121.1、122.2、124.6、126.1、151.1、162.1。
実施例2
7‐ブロモ‐8‐(シクロペンテ‐1‐エン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−2
収率:36%、融点=176〜177℃。H NMR:2.03〜2.11(m、2H)、2.57〜2.63(m、2H)、2.93〜2.99(m、2H)、3.96(s、3H)、6.69〜6.72(m、1H)、7.57(d、1H)、7.74(d、1H)、8.65(s、1H)。13C NMR:23.4、33.9、36.9、52.9、105.9、113.5、116.2、121.9、124.3、126.1、136.5、137.0、144.8、146.9、149.7、152.2、156.2、163.7。
実施例3
7‐ブロモ‐8‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−3)
収率:66%。融点=260〜265℃。MS(EI)m/z:485[M+1]H NMR(CDCl)δppm:1.37〜1.46(m、1H)、1.69〜1.88(m、7H)、2.52〜2.61(m、2H)、2.74(s、1H)、3.97(s、3H)、7.59(d、1H)、7.76(d、1H)、8.68(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:21.6、24.7、34.9、52.9、75.9、101.6、113.1、116.2、121.6、124.7、125.8、147.8、149.9、152.6、156.4、162.6、163.8。
実施例4
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−4)
収率:45%、融点=166〜167℃。H NMR:1.29〜1.39(m、1H)、1.65〜1.78(m、5H)、1.99〜2.01(m、2H)、2.29〜2.33(m、2H)、3.30(s、3H)、3.97(s、3H)、7.60(d、1H)、7.81(d、1H)、8.68(s、1H)。13C NMR:21.7、25.1、34.7、51.0、52.9、79.6、104.6、113.4、116.4、122.0、124.8、125.9、147.3、149.8、152.4、156.2、157.9、163.7。ESI‐MSm/z:498[M]。
実施例5
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸ブチル(I−5)
収率:61%、融点=202〜204℃。H‐NMR:0.99(t、3H)、1.44〜1.54(m、2H)、1.69〜1.81(m、7H)、1.84〜1.88(m、2H)、2.52〜2.59(m、2H)、4.36(t、2H)、7.57(d、1H)、7.73(d、1H)、8.61(s、1H)。13C NMR:13.7、19.2、21.6、24.8、30.6、34.9、65.8、75.9、101.5、113.1、116.7、121.5、124.6、125.8、147.7、149.2、152.5、156.3、162.5、163.2。ESI‐MSm/z:541[M]。
実施例6
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸オクチル(I−6)
収率:33%、融点=189〜190℃。H‐NMR:0.88(t、3H)、1.27〜1.48(m、11H)、1.68〜1.82(m、7H)、1.82〜1.88(m、2H)、2.51〜2.59(m、2H)、2.90(s、1H)、4.35(t、2H)、7.57(d、1H)、7.73(d、1H)、8.61(s、1H)。13C‐NMR:14.1、21.6、22.6、24.8、25.9、28.6、29.1、29.2、31.8、34.9、66.1、75.9、101.5、113.1、116.7、121.5、124.6、125.7、147.7、149.3、152.4、156.4、162.6、163.2。ESI‐MSm/z:582[M]。
実施例7
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸デシル(I−7)
収率:28%、融点=175〜176℃。H‐NMR:0.86〜0.90(m、1H)、0.87(t、3H)、1.25〜1.37(m、14H)、1.41〜1.47(m、2H)、1.69〜1.81(m、7H)、1.84〜1.88(m、2H)、2.52〜2.60(m、2H)、286(s、1H)、4.35(t、2H)、7.58(d、1H)、7.74(d、1H)、8.61(s、1H)。13C‐NMR:14.1、21.6、22.7、24.8、25.7、25.9、28.6、29.3、29.4、29.5、31.9、32.8、34.9、63.1、66.1、75.9、101.5、113.1、116.7、121.5、124.6、125.8、147.7、149.3、152.5、156.4、162.5、163.2。ESI‐MSm/z:611[M+1]。
実施例8
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(ピペリジン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−8)
収率:65%、融点=125〜130℃。MS(EI)m/z:484[M+1]H NMR(CDCl/HMDS)δppm:1.45〜1.52(m、2H)、1.61〜1.66(m、4H)、2.59〜2.63(m、4H)、3.78(s、2H)、3.97(s、3H)、7.58(d、1H)、7.71(d、1H)、8.68(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:23.9、26.1、52.8、55.3、59.5、104.8、112.9、116.0、120.8、125.8、146.7、149.9、152.7、155.2、156.3、163.8。
実施例9
7‐ブロモ‐8‐(モルホリノメチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−9)
収率:48%。融点150〜155℃。MS(EI)m/z:486[M+1]H NMR(CDCl/HMDS)δppm:2.70(t、4H)、3.77(t、4H)、3.86(s、2H)、3.97(s、3H)、7.59(dd、1H)、7.73(dd、1H)、8.68(d、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:52.9、54.1、59.3、67.0、106.0、113.2、116.4、121.1、125.6、126.0、146.5、149.9、152.4、152.7、156.2、163.7。
実施例10
7‐ブロモ‐8‐((4‐メチルピペラジン‐1‐イル)メチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル(I−10)
収率:34%、融点=115〜118℃(分解)。MS(EI)m/z:499[M+1]H NMR(CDCl/HMDS)δppm:2.34(s、3H)、2.44〜2.60(m、4H)、2.64〜2.80(m、4H)、3.86(s、2H)、3.97(s、3H)、7.58(d、1H)、7.72(d、1H)、8.68(s、1H)。13C NMR(CDCl)δppm:45.8、52.8、53.5、55.0、58.7、105.4、113.0、116.1、120.8、125.5、125.8、146.5、149.8、152.6、153.6、156.1、163.6。
加水分解のための一般的な方法
飽和水溶液としての水酸化ナトリウム(276mg、6.9mmol)を50mlのメタノール中のクロメン(335mg、0.69mmol)の溶液に添加した。反応混合物を5日間撹拌し続け(TLC制御)、次いで2NのHClでpH=2〜3まで酸性化した。形成された沈殿物を濾別し、冷アセトニトリルで洗浄しそして乾燥させた。
実施例11
7‐ブロモ‐8‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸(I−11)
収率:98%。融点>200℃。H‐NMR:1.21〜1.29(m、1H)、1.61〜1.74(m、7H)、2.39〜2.43(m、2H)、7.68(d、1H)、7.93(d、1H)、8.87(s、1H)。ESI‐MSm/z:471[M+1]。
実施例12
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸(I−12)
収率:75%、融点>200℃。H‐NMR:1.30〜1.41(m、1H)、1.67〜1.81(m、5H)、2.05〜2.12(m、2H)、2.28〜2.32(m、2H)、3.34(s、3H)、7.73(d、1H)、7.93(d、1H)、9.04(s、1H)。13C NMR:21.7、25.1、34.7、51.0、52.9、79.6、104.6、113.4、116.4、122.0、124.8、125.9、147.3、149.8、152.4、156.2、157.9、163.7。ESI‐MSm/z:485[M+1]。
実施例13
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(ピペリジン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩(I−13)

収率:99%、融点237〜240℃。H NMR:1.51〜1.55(m、2H)、1.75〜1.81(m、4H)、2.96〜3.13(m、4H)、4.53(br s、1H)、7.76(d、1H)、7.98(d、1H)、8.88(s、1H)。ESI‐MSm/z:470[M+1]。
実施例14
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(モルホリン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩(I−14)
収率:90%、融点>200℃。H‐NMR:3.03〜3.38(m、4H)、3.82〜3.98(m、4H)、4.72(br s、2H)、7.78(d、1H)、7.99(d、1H)、8.88(s、1H)。ESI‐MSm/z:472[M+1]。
実施例15
7‐ブロモ‐8‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イルメチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩(I−15)
収率:88%、融点>200℃。H‐NMR:2.66〜2.79(m、4H)、2.78(br s、3H)、3.08〜3.15(m、4H)、4.03(s、2H)、7.73(d、1H)、7.97(d、1H)、8.89(s、1H)。ESI‐MSm/z:485[M+1]。
セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸からアミドおよびエステルを合成する一般的な方法
7‐ブロモ‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸(0.21mmol)を乾燥CHCl(20ml)に懸濁し、過剰の塩化オキサリル(0.17ml、2mmol)を滴加した。24時間撹拌した後、溶媒を蒸発させ、粗生成物を乾燥CHCl(20ml)に溶解した。一方、別のフラスコに第二級アミン(10当量)またはアルコール(0.61mmol)および0.5当量のDMAP(0.1mmol、13mg)を乾燥CHCl(10ml)に溶解した。アルコールの場合には、過剰のEtN(0.5mL)を混合物に添加した。このフラスコを氷浴中で冷却し、セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸クロリド溶液を滴加した。室温で24時間撹拌した後、アミドまたはエステルをシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより単離した。
実施例16
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸オクチル(I−16)
収率:31%、融点=145〜147℃。H‐NMR:0.88(t、3H)、1.24〜1.48(m、10H)、1.68〜1.84(m、6H)、2.24〜2.29(m、2H)、2.48〜2.53(m、2H)、4.35(t、2H)、6.32〜6.35(m、1H)、7.58(d、1H)、7.74(d、1H)、8.60(s、1H)。13C‐NMR:14.2、21.5、22.6、22.7、25.8、25.9、28.6、29.1、29.2、29.9、31.8、66.1、105.2、113.4、116.7、121.9、124.7、126.0、132.2、133.5、146.3、149.1、151.0、152.2、156.2、163.1。
実施例17
(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)‐10,13‐ジメチル‐17‐((R)‐6‐メチルヘプタン‐2‐イル)‐2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17‐テトラデカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[α]フェナントレン‐3‐イル‐7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキシレート(I−17)
収率:26%、融点>200℃。H‐NMR:0.67(s、3H)、0.85(dd、6H)、0.90(d、3H)、0.94〜1.57(m、20H)、1.67〜2.02(m、13H)、2.33〜2.37(m、2H)、2.46〜2.51(m、4H)、4.81〜4.90(m、1H、CH)、5.39〜5.41(m、1H)、6.30〜6.33(m、1H)、7.56(d、1H)、7.73(d、1H)、8.57(s、1H)。13C‐NMR:11.8、18.7、19.3、21.0、21.5、22.5、22.7、22.8、23.8、24.3、25.8、27.8、28.0、28.2、29.9、31.8、31.9、35.8、36.2、36.6、36.9、38.0、39.5、39.7、42.3、49.9、56.1、56.6、75.7、105.2、113.4、116.9、121.9、122.9、124.7、125.9、132.3、133.5、139.4、146.2、148.8、150.9、152.2、156.2、162.2。
実施例18
(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)‐10,13‐ジメチル‐17‐((R)‐6‐メチルヘプタン‐2‐イル)‐2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17‐テトラデカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[α]フェナントレン‐3‐イル‐7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキシレート(I−18)
収率:24%、融点>200℃。H‐NMR:0.68(s、3H)、0.86(dd、6H)、0.92(d、3H)、0.94〜1.04(m、3H)、1.06(s、3H、CH)、1.11〜1.38(m、12H)、1.44〜1.59(m、6H)、1.67〜1.86(m、7H)、1.91〜2.06(m、6H)、2.31〜2.34(m、2H)、2.48〜2.50(m、2H)、3.30(s、3H)、4.84〜4.92(m、1H)、5.41〜5.43(m、1H)、7.60(d、1H)、7.81(d、1H)、8.60(s、1H)。13C‐NMR:11.8、18.7、19.3、21.0、21.6、22.5、22.8、23.8、24.3、25.1、27.7、28.0、28.2、31.8、31.9、34.7、35.8、36.1、36.6、36.9、38.0、39.5、39.7、42.3、49.9、51.0、56.1、56.6、75.7、79.5、104.6、113.4、117.2、121.9、122.9、124.8、125.8、139.4、147.1、148.8、152.2、156.2、157.5、162.2。
実施例19
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐3‐(ピペリジン‐1‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン(I−19)
収率:29%、泡状物。H‐NMR:1.62〜1.74(m、8H)、1.78〜1.84(m、2H)、2.24〜2.28(m、2H)、2.48〜2.53(m、2H)、3.34〜3.37(m、2H)、3.70〜3.74(m、2H)、6.30〜6.33(m、1H)、7.51(d、1H)、7.73(d、1H)、7.97(s、1H)。13C‐NMR:21.5、22.7、24.4、25.4、25.8、26.2、29.9、43.1、48.4、105.1、114.0、121.9、124.5、124.8、125.2、132.2、133.3、143.1、144.9、149.5、150.9、157.5、163.2。
実施例20
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐3‐(モルホリン‐1‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン(I−20)
収率:34%、融点=195〜196℃。H‐NMR:1.69〜1.75(m、2H)、1.79〜1.85(m、2H)、2.24〜2.30(m、2H)、2.49〜2.54(m、2H)、3.44(t、2H)、3.74(t、2H)、3.80〜3.82(m、4H)、6.32〜6.35(m、1H)、7.54(d、1H)、7.77(d、1H)、8.07(s、1H)。13C‐NMR:21.5、22.7、25.8、29.9、42.7、47.7、66.7、105.1、113.9、122.1、123.3、124.8、125.3、132.2、133.4、144.7、145.4、149.9、151.1、157.5、163.6。
実施例21
7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐N,N‐ビス(2‐メトキシエチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキサミド(I−21)
収率:27%、泡状物。H‐NMR:1.67〜1.83(m、4H)、2.22〜2.28(m、2H)、2.48〜2.53(m、2H)、3.28(s、3H)、3.39(s、3H)、3.49〜3.58(m、4H)、3.66〜3.77(m、4H)、6.29〜6.33(m、1H)、7.49(d、1H)、7.72(d、1H)、7.92(s、1H)。13C‐NMR:21.5、22.7、25.8、29.9、45.7、49.8、58.8、58.9、70.3、70.7、105.0、113.9、121.9、124.3、124.8、125.1、132.2、133.2、143.1、144.9、149.3、150.8、157.7、165.6。
実施例22
7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐3‐(モルホリン‐4‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン(I−22)
収率:40%、泡状物。H‐NMR:1.30〜1.39(m、1H)、1.64〜1.77(m、5H)、1.99〜2.07(m、2H)、2.29〜2.32(m、2H)、3.30(s、3H)、3.42(t、2H)、3.72(t、4H)、3.79(br s、4H)、7.53(d、1H)、7.80(d、1H)、8.06(s、1H)。13C‐NMR:21.7、25.1、34.7、42.6、47.7、51.0、66.5、66.6、79.5、104.5、113.8、122.0、123.5、124.8、125.1、144.6、146.2、151.1、156.5、157.4、163.5。ESI‐MSm/z:554[M+1]。
の合成化合物の原発腫瘍および転移に対する細胞毒性および抗癌活性を細胞株および動物モデルで試験した。
1. インビトロでの抗増殖活性
セレノフェノ[h]クロメンの抗癌活性を、細胞毒性アッセイを用いてインビトロで試験した。したがって、単層腫瘍細胞株MDA−MB−435s(ヒト黒色腫)、MCF−7(ヒト乳腺癌、エストロゲン陽性)、MES−SA(ヒト子宮肉腫)、HT−1080(ヒト線維肉腫)、A549(ヒト肺癌)、SH−SY5Y(ヒト神経芽細胞腫)、CCL−8(マウス肉腫)、MG−22A(マウス肝癌)、およびHepG2(ヒト肝細胞癌)を、10%ウシ胎仔血清(「Sigma」)を添加した標準培地DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)(「Sigma」)中で培養した。化合物をウェルに添加した直後に、約2〜9×10細胞/mL(系統の性質に応じて)を96ウェルプレートに入れた。未処理細胞を対照として使用した。それらのプレートを72時間、37℃、5%COでインキュベートした。生存細胞数は、3‐(4,5‐ジメチルチアゾール‐2‐イル)‐2,5‐ジフェニルテトラゾリニウムブロマイド(MTT)を用いて決定した。MTT試験:インキュベートした後、培地を除去し、10mMのHEPESを含む200μlの新鮮培地をそれらのプレートの各ウェルに添加し、次いで20μlのMTT(HBSS中2mg/mL)を加えた。インキュベーション(3時間、37℃、5%CO)後、MTTを含む培地を除去し、200μLのDMSOを各試料に一度に加えた。試料をAnthos HT II光度計において540nmで試験した。
並行して、最も高い許容用量に関連する境界濃度をNIH 3T3(マウス胚線維芽細胞)細胞株を用いて各化合物について決定し、得られた基礎細胞毒性を用いてげっ歯類におけるインビボ急性経口LD50値の開始用量を予測した。
基礎細胞毒性試験:NICEATM‐ECVAM検証試験によって修正されたStokesの標準プロトコルに従ってニュートラルレッド取り込み(NRU)アッセイを行った。NRU細胞毒性アッセイ手順は、生細胞が超生体色素であるニュートラルレッドを取り込んで結合する能力に基づく。5%ウシ胎仔血清を含有するダルベッコ改変イーグル(DMEM)培地中で、Balb/c 3T3(マウススイスアルビノ胚線維芽細胞)細胞(9000細胞/ウェル)を96ウェルプレートに24時間置いた。次いで、それらの細胞を8種の濃度範囲(1000、316、100、31、10、3、1μg/ml)にわたって試験化合物に24時間曝した。未処理細胞を対照として使用した。24時間後、培地をすべてのプレートから除去した。次いで、250μLのニュートラルレッド溶液を添加した(DMEM中0.05mg/mLのNRを37℃で24時間プレインキュベートし、次いで使用前に0.22μmのシリンジフィルターを通して濾過した)。プレートを3時間インキュベートした後、細胞をPBSで3回洗浄した。生細胞内の色素は酢酸、エタノールおよび水の混合物(1:50:49)で抽出することにより放出された。ニュートラルレッドの吸光度を、分光光度計マルチプレートリーダー(TECAN、Infinite M1000)を用いて540nmで測定した。生細胞の割合は、式:OD(処理細胞)×100/OD(対照細胞)を用いて計算した。IC50値はGraph Pad Prism(登録商標)3.0のプログラムを用いて計算した。
IC50値からのLD50の推定:げっ歯類における急性経口全身毒性試験に関する開始用量を推定するためにインビトロ試験からのデータを使用した。インビボ開始用量はインビトロIC50値を回帰式:logLD50(mM/kg)=0.439logIC50(mM)+0.621に代入することによって計算された推定LD50値である。その値をmg/kgに再計算し、化合物を4つの毒性カテゴリーに従って評価する:カテゴリー1:LD50≦5mg/kg(高毒性);カテゴリー2:5<LD50≦50mg/kg(中程度の毒性);カテゴリー3:50<LD50≦300mg/kg(わずかに有毒);カテゴリー4:300<LD50≦2000mg/kg(実質的に無毒)。
急性毒性の決定。急性経口投与毒性(LD50)は、OECDテストガイドライン425 [OECD (2001) Guideline for testing of chemicals OECD 425, acute oral toxicity ‐ Up‐and‐Down Procedure(化学物質試験ガイドライン OECD425、急性経口毒性−上げ下げ法)、パリ、p.1−26]に従った上げ下げ法によって推定した。動物は処置後2週間にわたり、臨床的徴候または死亡率について毎日観察した。化合物をDMSOに溶解し、次いでPBSに溶解した(pH7.4;DMSO最終濃度<1%)。試験物質をマウスに経口で単回投与した。動物を処置後2週間にわたり、臨床的徴候または死亡率について毎日観察した。
細胞培養に基づく研究の結果を表1に要約する。
一般に、試験化合物は悪性腫瘍細胞に対して中程度または低い細胞毒性を示した。とりわけ、すべての誘導体は基礎細胞毒性試験(LD50>1252mg/kg)に従った正常なNIH 3T3細胞に対して低毒性であり、このことはSe含有化合物にとって非常に驚くべきことである。誘導体I−1はSHSY5Y細胞増殖を抑制することができる(IC50=32μM)。また、ヒドロキシシクロヘキシル‐セレノフェノ[h]クロメンI−3は中等度の抗増殖活性(A549およびSHSY5Y癌細胞株で19μMまでのIC50)を示し、同時に正常マウス胚線維芽細胞NIH 3T3に対して低毒性である(推定基礎毒性LD50は2712mg/kgに等しい)。エステル基の加水分解(化合物I−11)により、細胞毒性の完全な喪失がもたらされた。モルホリノメチルセレノフェノ[h]クロメンI−9は中程度の細胞毒性を有するが、この化合物は正常なNIH 3T3細胞に対して研究されたクロメンの中で最も毒性が高い。対応するカルボン酸I−14は癌細胞株に対する細胞毒性および実質的な基礎毒性(LD50=1320mg/kg)のままであった。N‐メチルピペラジノメチル置換セレノフェノ[h]クロメンI−10およびI−15は癌細胞株に対して毒性が低く、これにより、分子内のセレンまたはクマリン骨格の存在よりも、試験化合物の細胞毒性活性に関する構造的特徴のより高い導入が示された。
インビボでの急性毒性を6週齢の雄性ICRマウスに対してI−10およびI−11について決定した。驚くべきことに、本発明者らのデータによれば、マウスにおける経口投与後のI−10に関する急性毒性は891mg/kgであり、I−11では2000mg/kg超である。
2. インビボでの抗癌活性の評価
マウス非転移性癌モデル
マウス。6週齢の雌性ICRおよびBALB/cマウスはTartu Laboratory Animal Centre(タルトゥ大学実験動物センター)(エストニア)から購入した。マウスをケージに5匹収容し、標準条件下(21〜23℃、12時間明:暗サイクル)、自由に給餌し(R3食、Lactamin AB、キムスタド(Kimstad)、スェーデン)、毎日観察した。実験動物を含む実験手順は、欧州共同体の指針、現地の法律および方針に従って行われ、ラトビアのリガ(Riga)のラトビア動物保護倫理委員会、食品獣医局によって承認された。
細胞株:マウス肉腫CCRF−S180 II(CCL−8)およびルイス肺癌(LLC)細胞株を利用してインビボ試験を実施した。全ての細胞株はATCCから購入した。これらの細胞は10%ウシ胎仔血清(Sigma)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(Sigma)中で増殖させた。
開示した化合物の抗癌活性の試験は、マウス非転移癌モデルにおいてインビボで行った。ICRマウスの背部に5×10個のCCL−8細胞を皮下接種し、BALB/cマウスに1×10個のLLC(ルイス肺癌)細胞を接種した。これらの細胞は調査の0日目に0.1mLのPBS中に懸濁させた。DMSOに溶解し、次いで0.1mLの水中に溶解した化合物(DMSO最終濃度1%)を皮下注射した。未処置群のマウスには、同様にDMSOと共に0.1mLの水を投与した。腫瘍体積(腫瘍体積V=4πab2/3、aは最大、bは最小腫瘍直径)を週に2回記録した。外観、体重および行動を含む疾患についてマウスを一日おきに調べた。ケタミン/キシラジン麻酔後の断頭により実験の16日目にマウスを殺処分した。
結果を表2に示す。驚くべきことに、総用量45mg/kgのI−9〜I−11の注射の経過後、肉腫CCL−8腫瘍の体積は38〜58%減少した。さらに、誘導体I−10はLLC原発腫瘍の増殖を34%抑制することができた。すべての動物群で副作用が検出されなかったことに注意されるべきである。
3. インビボでの抗転移活性の評価
血行性の転移性播種のインビボモデル。移植後の異なる腫瘍の増殖および転移の研究のための様々なインビボ実験モデルがある。注射部位および特定の腫瘍向性選択細胞株は、主に、一次転移および二次転移ならびにそれらの位置の増殖によって決定される。肺転移モデルは、B16黒色腫および乳癌4T1を含む多くの腫瘍モデルの治療を評価するために広く使用されている。皮膚の黒色腫は初期段階の外科的切除によって治癒することができるが、高い転移能および化学療法に対する抵抗性により、高レベルの再発がもたらされる。2013年の転移診断における5年生存率はわずか15%であり、過去10年間で12%からわずかに改善しただけであった。(Cancer Facts and Figures 2013(癌の事実と図2013).American Cancer Society,米国ジョージア州アトランタ, 2013)。皮膚癌黒色腫B16−F10の最も攻撃的な形態の1つを、尾静脈形成肺転移における静脈内投与のために選択した(Posteら, Cancer Res., 1980, 40, 1636−1644)。
肺転移の黒色腫モデル
C57BL/6マウスの尾静脈を介して100,000個のB16−F10黒色腫細胞をマウスに注射し、24時間後に以下のスキームに従って投与した化合物の皮下注射(s.c.)で処置を開始した:1、7、8、9、10、11および14日目に用量20mg/kg。対照群のマウスには、同様にDMSOを含む0.1mLの水を投与した(DMSO最終濃度<1%)。21日後、すべてのマウスをケタミン/キシラジンで麻酔しそして安楽死させ、マウスを殺処分して肺の黒い黒色腫結節を測定した。各実験において、マウスの体重を週に2回測定した。
B16−F10黒色腫の肺転移モデルを用いて行われた実験から得られたデータ(図1)に基づいて、セレノフェノ[h]クロメンI−10が肺における黒色腫転移を74%阻害するという予想外の驚くべき結果を確認した(投与:以下のスキームに従ったs.c.:1、7、8、9、10、11、14日目;総用量140mg/kg用量)。6匹の動物の群における個々の各マウスに対するI−10の影響を分析すると、5匹の動物において黒色腫転移は完全に予防されたが、1匹においては予防されなかったことを本発明者らは観察した。同じ実験条件下で化合物I−11を使用することにより、この化合物は肺の黒色腫転移をほぼ完全に(96%)予防するとの結論に本発明者らは至った。さらに、6匹のうち4匹の動物では転移が全く観察されなかった。
抗転移活性の評価
乳癌4T1の同系マウスモデル(アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)カタログ番号CRL−2539, 2004)は、ヒト乳癌の臨床的パラメータを模倣する優れたモデルである。これらの細胞をマウスに投与する異なる方法を使用して、腫瘍転移を様々な器官で形成し、そして拡散のために異なる経路を使用する。
したがって、同所性(orthotropic)マウス乳腺への4T1細胞の移植により、肺、リンパ節、肝臓および骨髄における転移の発生が誘導される。この場合、癌細胞はリンパ行性および血行性の経路を拡散するために使用し、原発腫瘍を発症し、次いで浸潤および転移が起こる。
4T1細胞を尾静脈に注射する場合、転移は主に肺および肝臓において発生する。このような方法は腫瘍細胞の血行性拡散をシミュレートする(AslaksonおよびMiller, Cancer Res, 1992, 52, 1399−1405; Eckhardtら, Nat Rev. Drug Discov.(医薬品の発見) 2012, 11,479−497; Khannaら, Carcinogenesis 2005, 26, 513−523)。
肺、肝臓、リンパ節、および脳に転移を伴う4T1マウス転移性乳癌の同所性モデル。
同系のBALB/cマウスの***脂肪体に4T1細胞を注射することによってマウス乳癌の同所性モデルを作製した。この場合、4T1細胞は固形腫瘍を生じ、その後肺、肝臓、リンパ節、および脳に転移する(Aslaksonら, Cancer Res, 1992, 52, 1399−1405)。
本発明者らの実験では、試験の0日目に7週齢の雌性BALB/cマウスに、0.01mLのPBS中に懸濁した10個の4T1細胞を第4の***脂肪体に同所注射した。前記化合物をDMSOに溶解し、0.1mLの水で希釈し(DMSO最終濃度1%)、そして皮下注射した。前記化合物を1、2、3、11日目に用量20mg/kgの用量で投与した。未処置群のマウスにも同様にDMSOを含む0.1mLの水を4回投与した。腫瘍体積(腫瘍体積V=4πab2/3、ここで「a」は最大腫瘍直径、「b」は最小腫瘍直径である)は週2回計算した。前記マウスを一日おきに外観、体重および行動について調べた。前記マウスをケタミン/キシラジン麻酔下での断頭により実験の16日目に殺処分した。安楽死後、前記マウスを解剖した。原発腫瘍、肝臓および脾臓を摘出し、秤量しそして研究した。内臓におけるすべての転移を記述した。
肺転移の4T1モデル
Balb/cマウスの尾静脈に100,000個の4T1乳癌細胞を注射し、24時間後に以下のスキームに従って化合物の皮下(s.c.)注射、腹腔内(i.p.)注射または経口投与(p.o.)で処置を開始した:1、4、7、9、11および14日目の用量20または40mg/kg。化合物をDMSOに溶解し、得られた溶液を水で希釈した(DMSO最終濃度<1%)。対照群のマウスには、同様にDMSOを含む0.1mLの水を投与した。21日後、すべてのマウスをケタミン/キシラジンで麻酔して安楽死させ、前記マウスを殺処分して脾臓をマウスから摘出して秤量した。各実験において、マウスの体重を週に2回測定した。
4T1自然肺転移の計測(墨汁アッセイ)。(Lewisら, Cancer Res, 2005, 65)墨汁(15%の墨汁、85%の水、3滴のNHOH/100ml)の気管内注射によって肺転移を計数した。墨汁を注入した肺をフェケッツ溶液(300mlの70%EtOH、30mlの37%ホルムアルデヒド、5mlの氷酢酸)で洗浄し、次いで新鮮なフェケッツ溶液中に一晩置いた。腫瘍結節は墨汁を吸収しないため、正常な肺組織は黒く染まり、腫瘍結節は白いままである。黒い肺の背景に対する白い腫瘍結節を測定した。
原発腫瘍の増殖と脾腫の抑制。前記4T1同所性モデルは進行性形態のエストロゲン非感受性ヒト転移性乳癌と酷似している(Heppnerら, Breast Cancer Res 2000, 2, 331−334)。
本発明者らの結果によれば、I−10およびI−11は原発腫瘍の増殖に対して有意であるが非常に控えめな阻害効果を有する(最大32%)が、驚くべきことにこれらの化合物は転移の形成を劇的に減少させる。
腫瘍細胞のこの種の移植により、非常に顕著な脾腫が誘発される。腫瘍を有する対照群における脾臓の体積は、健康な動物と比較して316%増加した。このモデルにおいて、I−10およびI−11は脾腫の発症を減少させ、脾臓重量の増加はそれぞれ256%および198%であった。
驚くべきことに、本発明者らの実験により、化合物I−11およびI−15はほぼ完全に(98%)インビボで4T1癌腫肺転移の形成を予防するという単純に優れたデータが得られた。この効果は実験に用いた各マウス(各群に5匹)について観察された(表3、図2)。化合物の皮下治療が最良であることが見出されたことに留意すべきである。
マウスへの乳癌腫瘍細胞の移植により、腫瘍白血病反応の誘導および赤脾髄の大量の顆粒球浸潤に関連する脾腫が発症した(Johnsonら, Int. J. Cell Cloning,1985, 3,91−105; Serafiniら, Cancer Immunol. Immunother., 2004, 53, 64−72; du Preら, Experim. Mol. Pathol., 2007, 82, 12−24)。腫瘍を有する動物における脾臓の重量増加の結果を表4;Figure3に示す。腫瘍を有する対照動物では、脾臓重量は+147%で増加した。I−10で処置した動物において、脾臓の重量増加は有意に低かった(63%の増加)。用量20mg/kgのI−15を用いた処置により、観察された腫瘍脾臓重量増加はわずか+55%であり、40mg/kgの用量では、増加はほぼ完全に抑制された(+14%)。しかしながら、化合物I−10は脾腫の発症に影響を及ぼさない。
化合物を1、4、7、9、11および14日目に20または40mg/kgの用量で投与した。4T1細胞(10,000/0.1ml PBS)を同系マウスに静脈内注射した。16日後に肉眼で見えた肺転移の数を測定した。
はP<0.005、**はP<0.05、スチューデントの両側t検定により対照との比較。
これらの特定のセレノフェノ[h]クロメンがいずれもいかなる主要な副作用も誘発しなかったこと:これらの化合物で処置したすべての動物が健康でかつ活動的に見え、体重変化が視覚的になかったことを踏まえれば、これらの値は特に有望であった。
細胞株および動物モデルに対する式1の合成化合物の原発腫瘍ならびに転移に対する細胞毒性および抗癌活性の実施した試験により、たとえインビトロでのこれらの化合物の細胞毒性が控えめであっても、本出願の実施形態が異なる局在の癌転移の治療においても非常に活性であることが明らかに実証された。癌細胞に対する化合物の前例のない高い選択性と共にこの予想外の発見により、これらの化合物は抗転移薬として非常に有望なものとなる。

Claims (11)

  1. 式(1)の化合物
    各RはOH、OC〜C16炭化水素基、それらの基は直鎖状、分岐状もしくは環状であってもよくまたは任意に置換されて、ステロイド部分(例えばコレステロール)を含んで、いてもよく、N(アルキル)、N‐ヘテロシクリルから独立して選択され;
    はハロゲン(例えばBr)を表し;
    各Rはヒドロキシ‐C1〜4アルキル、1‐ヒドロキシ‐シクロ‐C3〜6アルキル、シクロ‐C5〜7アルケニル、ヒドロキシ‐C1〜6シクロアルキル、C1〜4アルキル‐N‐ヘテロシクリルから独立して選択される;
    その光学異性体、多形体および薬学的に許容され得る酸付加塩ならびに水和物および溶媒和物。
  2. 前記化合物は以下を含む群:
    7‐ブロモ‐8‐(2‐ヒドロキシプロパン‐2‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
    7‐ブロモ‐8‐(シクロペンテ‐1‐エン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
    7‐ブロモ‐8‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
    7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
    7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸ブチル、
    7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸オクチル、
    7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸デシル、
    7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(ピペリジン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
    7‐ブロモ‐8‐(モルホリノメチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
    7‐ブロモ‐8‐((4‐メチルピペラジン‐1‐イル)メチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸メチル、
    7‐ブロモ‐8‐(1‐ヒドロキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸、
    7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸、
    7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(ピペリジン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩、
    7‐ブロモ‐2‐オキソ‐8‐(モルホリン‐1‐イルメチル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩、
    7‐ブロモ‐8‐/(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)メチル/‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸塩酸塩、
    7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1)‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボン酸オクチル、
    (3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)‐10,13‐ジメチル‐17‐((R)‐6‐メチルヘプタン‐2‐イル)‐2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17‐テトラデカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[α]]フェナントレン‐3‐イル‐7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキシレート、
    (3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)‐10,13‐ジメチル‐17‐((R)‐6‐メチルヘプタン‐2‐イル)‐2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17‐テトラデカヒドロ‐1H‐シクロペンタ[α]フェナントレン‐3‐イル‐7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキシレート、
    7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐3‐(ピペリジン‐1‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン、
    7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐3‐(モルホリン‐1‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン、
    7‐ブロモ‐8‐(シクロヘキセ‐1‐エン‐1‐イル)‐N,N‐ビス(2‐メトキシエチル)‐2‐オキソ‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐3‐カルボキサミド、
    7‐ブロモ‐8‐(1‐メトキシシクロヘキシル)‐3‐(モルホリン‐4‐カルボニル)‐2H‐セレノフェノ[3,2‐h]クロメン‐2‐オン
    およびそれらの薬学的に許容され得るエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、および塩
    から選択される、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記化合物は以下の構造:
    を有する、医薬品として使用するための請求項2に記載の化合物。
  4. 前記化合物は以下の構造:
    を有する、医薬品として使用するための請求項2に記載の化合物。
  5. 前記化合物は以下の構造:
    を有する、医薬品として使用するための請求項2に記載の化合物。
  6. 調整された治療上有効量の請求項1に記載の化合物を、それを必要とする個体に投与することにより、個体における癌および癌の転移を予防、治療、改善するための活性成分として請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
  7. 前記組成物は治療上有効量の式Iの化合物、および薬学的に許容され得る担体から本質的になる、非経口または経口投与に適した単相医薬組成物である、請求項6に記載の医薬組成物。
  8. 前記化合物は1つ以上の化学療法剤、外科手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、またはそれらの組み合わせと併せて投与される、医薬品として使用するための請求項1または2に記載の化合物。
  9. 黒色腫、乳腺癌、肉腫、線維肉腫、肺癌、肝細胞癌および神経芽細胞腫の治療または予防に使用するための、請求項1または2に記載の化合物。
  10. 癌の転移の治療または予防に使用するための、請求項1に記載の化合物。
  11. 式Iの化合物:
    式中、
    はOH、ステロイド部分(例えばコレステロール)を含む、OC1〜16炭化水素基、N(アルキル)、N‐ヘテロシクリルを表し;
    はハロゲン(例えばBr)を表し;
    はヒドロキシ‐C1〜4アルキル、1‐ヒドロキシ‐シクロ‐C3〜6アルキル、シクロ‐C5〜7アルケニル、ヒドロキシ‐C1〜6シクロアルキル、C1〜4アルキル‐N‐ヘテロシクリルを表す;
    から選択される化合物を、
    式IIの化合物
    式中、
    RはC〜C10炭化水素基を表し、
    R’は請求項1のRとして定義され、ヒドロキシ‐C1〜4アルキル、1‐ヒドロキシ‐シクロ‐C3〜6アルキル、シクロ‐C5〜7アルケニル、ヒドロキシ‐C1〜6シクロアルキル、C1〜4アルキル‐N‐ヘテロシクリルを表す、
    の中から選択される化合物から
    ハロゲン化セレンで処理することにより
    合成する方法。
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