JP2019523009A - C末端切断型フィブリリン−1の発現をもたらす変異を有するマウス - Google Patents

C末端切断型フィブリリン−1の発現をもたらす変異を有するマウス Download PDF

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Abstract

先天性リポジストロフィー(NPSCL)を伴う新生児早老症候群をモデル化する、前記Fbn1遺伝子に変異を含む非ヒト動物が提供される。このような非ヒト動物モデルを作製する方法もまた提供される。非ヒト動物モデルは、NPSCLの抑制もしくは低減またはNPSCL様症状の改善における活性について化合物をスクリーニングすることに、あるいは、NPSCLの促進もしくは悪化において潜在に有害な活性について化合物をスクリーニングすることに、ならびにNPSCLの機序ならびに潜在的に新しい治療及び診断標的についての洞察を提供するために、使用することができる。【選択図】図3

Description

関連出願との相互参照
本出願は、2016年7月29日に出願された米国特許出願第62/368,924号の利益を主張するものであり、これは、あらゆる目的のために全体が本明細書に参照により組み込まれる。
EFS Webを介してテキストファイルとして提出された配列表への言及
500041SEQLIST.txtファイルに記載の配列表は、184キロバイトであり、2017年7月28日に作成され、本明細書で参照により組み込まれる。
ヒトのフィブリリン−1(FBN1)遺伝子において、3000を超える変異が臨床的に同定されている。これらの変異は、I型フィブリリン疾患(fibrillinopathies)、マルファン症候群、MASS症候群、孤発性水晶体偏位症候群、胸部大動脈瘤、Weill−Marchesani症候群、幸福顔貌骨異形成症及び先端短肢異形成症、硬皮症候群、ならびに先天性リポジストロフィーを伴う新生児早老症候群(NPSCL)を含む様々な状態と関連している。現在利用可能な、FBN1変異を有するように操作されたトランスジェニック非ヒト哺乳動物は、NPSCLの症状を適切に反映していない。
先天性リポジストロフィーを伴う新生児早老症候群をモデル化するための方法及び組成物が提供される。一態様では、本発明は、ゲノムが変異を含むフィブリリン−1(Fbn1)遺伝子を含む非ヒト哺乳動物を提供し、遺伝子の発現は、非ヒト哺乳動物に新生児早老症候群の1つ以上の先天性リポジストロフィー様症状を発症させるC末端切断型Fbn1タンパク質をもたらす。任意に、非ヒト哺乳動物は、変異についてヘテロ接合型である。任意に、Fbn1遺伝子は、非ヒト哺乳動物に対して内因性であるFbn1プロモーターを含む。任意に、変異は、フレームシフト変異である。
一部の非ヒト哺乳動物では、変異は、早期終止コドンをもたらす。任意に、早期終止コドンは、Fbn1遺伝子の最後から2番目のエクソンまたは最終エクソンに存在する。任意に、早期終止コドンは、最終エクソンに存在するか、またはFbn1遺伝子の最後のエクソン−エクソン接合部の約55塩基対未満上流に存在する。任意に、早期終止コドンは、Fbn1遺伝子の最後のエクソン−エクソン接合部の約55塩基対未満上流に存在する。任意に、早期終止コドンは、最終エクソンに存在するか、またはFbn1遺伝子の最後のエクソン−エクソン接合部の約20塩基対未満上流に存在する。任意に、変異は、最後から2番目のエクソンがスキップされるようになるスプライス部位変異である。任意に、変異は、最後のコードエクソンに早期終止コドンをもたらす。
一部の非ヒト哺乳動物では、変異は、フリンファミリーのプロタンパク質転換酵素に対する塩基性アミノ酸認識配列を破壊する。一部の非ヒト哺乳動物では、変異は、プロフィブリリン−1のアスプロシンC末端切断産物の除去をもたらす。一部の非ヒト哺乳動物では、変異は、プロフィブリリン−1のアスプロシンC末端切断産物の破壊をもたらす。一部の非ヒト哺乳動物では、早期終止コドンは、正荷電C末端を有するコードタンパク質をもたらす。
一部の非ヒト哺乳動物では、コードタンパク質(すなわち、C末端切断型Fbn1タンパク質)は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質のアミノ酸2700〜2790、アミノ酸2710〜2780、アミノ酸2720〜2770、アミノ酸2730〜2760、またはアミノ酸2737〜2755の位置に対応する位置で切断される。任意に、コードタンパク質は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、最後のアミノ酸が配列番号30のアミノ酸2737、アミノ酸2738、またはアミノ酸2755に対応する位置に存在するように切断される。
一部の非ヒト哺乳動物では、コードタンパク質(すなわち、C末端切断型Fbn1タンパク質)は、配列番号8、42、または43に記載の配列からなるC末端を有する。一部の非ヒト哺乳動物では、コードタンパク質は、配列番号8、42、43、45、46、または47に記載の配列からなるC末端を有する。任意に、コードタンパク質は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、最後のアミノ酸が配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質のアミノ酸2737に対応する位置に存在するように切断され、コードタンパク質のC末端は、配列番号43に記載の配列からなる。任意に、コードタンパク質は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、最後のアミノ酸が配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質のアミノ酸2737に対応する位置に存在するように切断され、コードタンパク質のC末端は、配列番号43または46に記載の配列からなる。任意に、コードタンパク質は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、最後のアミノ酸が配列番号30のアミノ酸2738に対応する位置に存在するように切断され、コードタンパク質のC末端は、配列番号8に記載の配列からなる。任意に、コードタンパク質は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、最後のアミノ酸が配列番号30のアミノ酸2738に対応する位置に存在するように切断され、コードタンパク質のC末端は、配列番号8または45に記載の配列からなる。任意に、コードタンパク質は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、最後のアミノ酸が配列番号30のアミノ酸2755に対応する位置に存在するように切断され、コードタンパク質のC末端は、配列番号42に記載の配列からなる。任意に、コードタンパク質は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、最後のアミノ酸が配列番号30のアミノ酸2755に対応する位置に存在するように切断され、コードタンパク質のC末端は、配列番号42または47に記載の配列からなる。
一部の非ヒト哺乳動物では、Fbn1遺伝子は、最後から2番目のエクソンに変異を含む。任意に、Fbn1遺伝子の最後から2番目のエクソンは、最後から2番目のエクソンが配列番号26、27、または28と最適にアラインされる時、配列番号25に記載の野生型マウスFbn1の最後から2番目のエクソン配列に対して、配列番号26、27、または28における変異に相当する変異を含む。
一部の非ヒト哺乳動物では、Fbn1遺伝子の全部または一部を欠失させており、オーソログヒトFBN1遺伝子配列と置換している。任意に、コードタンパク質のC末端切断をもたらす変異は、オーソログヒトFBN1遺伝子配列に位置する。任意に、オーソログヒトFBN1遺伝子配列は、内因性非ヒト哺乳動物Fbn1遺伝子座に位置する。
一部の非ヒト哺乳動物では、変異Fbn1遺伝子によりコードされたタンパク質は、配列番号31、32、または33に記載の配列からなる。
一部の非ヒト哺乳動物では、哺乳動物は、齧歯動物である。任意に、齧歯動物は、ラットまたはマウスである。
一部の非ヒト哺乳動物では、哺乳動物は、マウスである。一部の非ヒト哺乳動物またはマウスでは、変異は、−1フレームシフトを引き起こして、エクソン64の3’末端またはエクソン65の5’末端に早期終止コドンをもたらす、内因性マウスFbn1遺伝子のエクソン64における挿入または欠失を含む。任意に、変異は、−1フレームシフトを引き起こして、エクソン65の5’末端に早期終止コドンをもたらす、エクソン64における挿入を含む。任意に、挿入は、変異を含むFbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時、配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8179位に対応する位置及び8180位に対応する位置の間に存在し、及び/または早期終止コドンは、変異を含むFbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時、配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8241位に対応する位置に存在する。任意に、変異は、−1フレームシフトを引き起こして、エクソン64の3’末端に早期終止コドンをもたらす、エクソン64における挿入または欠失を含む。任意に、変異は、変異を含むFbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時、配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8209位に対応する位置及び8210位に対応する位置の間に挿入を含み、及び/または早期終止コドンは、変異を含むFbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時、配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8214位に対応する位置に存在する。任意に、変異は、変異を含むFbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時、配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8161位に対応する位置で開始する挿入を含み、及び/または早期終止コドンは、変異を含むFbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時、配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8214位に対応する位置に存在する。任意に、C末端切断型Fbn1タンパク質は、正荷電C末端を有する。
一部の非ヒト哺乳動物では、症状は、以下の:体重の減少、除脂肪体重の減少、体脂肪量の減少、体脂肪率の減少、体重で正規化された摂食量の増加、及び後弯の増加、のうちの1つ以上を含む。一部の非ヒト哺乳動物では、症状は、以下の:体重の減少、除脂肪量の減少、体脂肪量の減少、体重で正規化された白色脂肪組織の減少、体重で正規化された褐色脂肪組織の保存を伴う白色脂肪組織の減少、体脂肪率の減少、体重で正規化された摂食量の増加、及び後弯の増加、のうちの1つ以上を含む。任意に、非ヒト哺乳動物は、以下の:正常な耐糖能、正常な血清中コレステロールレベル、正常な血清中トリグリセリドレベル、及び正常な血清中非エステル化脂肪酸レベル、のうちの1つ以上を有する。任意に、非ヒト哺乳動物は、以下の:代謝率の増加、インスリン感受性の改善、正常な耐糖能、正常な血清中コレステロールレベル、正常な血清中トリグリセリドレベル、及び正常な血清中非エステル化脂肪酸レベル、のうちの1つ以上を有する。任意に、症状は、体脂肪量の減少及び体脂肪率の減少のうちの少なくとも1つ、ならびに正常な耐糖能、正常な血清中コレステロールレベル、正常な血清中トリグリセリドレベル、及び正常な血清中非エステル化脂肪酸レベルのうちの少なくとも1つを含む。任意に、症状は、体脂肪量の減少、体脂肪率の減少、正常な耐糖能、正常な血清中コレステロールレベル、正常な血清中トリグリセリドレベル、及び正常な血清中非エステル化脂肪酸レベルを含む。任意に、症状は、体重で正規化された白色脂肪組織の減少、ならびに、インスリン感受性の改善、正常な耐糖能、正常な血清中コレステロールレベル、正常な血清中トリグリセリドレベル、及び正常な血清中非エステル化脂肪酸レベルのうちの少なくとも1つを含む。任意に、症状は、体重で正規化された白色脂肪組織の減少及びインスリン感受性の改善を含む。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の非ヒト哺乳動物のいずれかを作製する方法を提供し、方法は、(a)1細胞期胚ではない非ヒト哺乳動物多能性細胞のゲノムを、(i)Cas9タンパク質、及び、(ii)Fbn1遺伝子の標的ゲノム遺伝子座内の第1のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする第1のガイドRNA、と接触させること、を含み、Fbn1遺伝子は、コードタンパク質のC末端切断をもたらす変異を含むように改変され;さらに、方法が、(b)改変非ヒト哺乳動物多能性細胞を、宿主胚に導入すること、及び(c)宿主胚を代理母に移植して、Fbn1遺伝子がコードタンパク質のC末端切断をもたらす変異を含むように改変される遺伝子改変F0世代非ヒト哺乳動物を産生すること、を含み、変異は、F0世代非ヒト哺乳動物の先天性リポジストロフィー様症状を生じる。任意に、多能性細胞は、胚性幹(ES)細胞である。
一部の方法では、ステップ(a)は、非ヒト哺乳動物多能性細胞のゲノムを、Fbn1遺伝子の標的ゲノム遺伝子座内の第2のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする第2のガイドRNAと接触させることをさらに含む。一部の方法では、方法は、ステップ(a)の後に、且つステップ(b)の前に、改変非ヒト哺乳動物多能性細胞を選択することをさらに含み、改変非ヒト哺乳動物多能性細胞は、コードタンパク質のC末端切断をもたらす変異についてヘテロ接合型である。
一部の方法では、接触ステップ(a)は、標的ゲノム遺伝子座の5’標的配列にハイブリダイゼーションする5’ホモロジーアーム及び標的ゲノム遺伝子座の3’標的配列にハイブリダイゼーションする3’ホモロジーアームを含む外因性修復テンプレートと、ゲノムを接触させることをさらに含む。任意に、外因性修復テンプレートは、5’ホモロジーアーム及び3’ホモロジーアームに隣接する核酸インサートをさらに含む。任意に、核酸インサートは、前記標的ゲノム遺伝子座に相同またはオーソロガスである。任意に、外因性修復テンプレートは、長さが約50ヌクレオチド〜約1kbである。任意に、外因性修復テンプレートは、長さが約80ヌクレオチド〜約200ヌクレオチドである。任意に、外因性修復テンプレートは、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチドである。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の非ヒト哺乳動物のいずれかを作製する方法を提供し、方法は、(a)非ヒト哺乳動物の1細胞期胚のゲノムを、(i)Cas9タンパク質、及び、(ii)Fbn1遺伝子の標的ゲノム遺伝子座内の第1のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする第1のガイドRNA、と接触させること、を含み、Fbn1遺伝子は、コードタンパク質のC末端切断をもたらす変異を含むように改変され;さらに、方法は、(b)改変非ヒト哺乳動物の1細胞期胚を代理母に移植して、Fbn1遺伝子がコードタンパク質のC末端切断をもたらす変異を含むように改変される遺伝子改変F0世代非ヒト哺乳動物を産生すること、を含み、変異は、F0世代非ヒト哺乳動物の先天性リポジストロフィー様症状を生じる。
一部の方法では、ステップ(a)は、Fbn1遺伝子の標的ゲノム遺伝子座内の第2のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする第2のガイドRNAと、非ヒト1細胞期胚のゲノムを接触させることをさらに含む。一部の方法では、方法は、ステップ(a)の後に、且つステップ(b)の前に、改変非ヒト哺乳動物1細胞期胚を選択することをさらに含み、改変非ヒト1細胞期胚は、コードタンパク質のC末端切断をもたらす変異についてヘテロ接合型である。
一部の方法では、接触ステップ(a)は、標的ゲノム遺伝子座の5’標的配列にハイブリダイゼーションする5’ホモロジーアーム及び標的ゲノム遺伝子座の3’標的配列にハイブリダイゼーションする3’ホモロジーアームを含む外因性修復テンプレートと、ゲノムを接触させることをさらに含む。任意に、外因性修復テンプレートは、5’ホモロジーアーム及び3’ホモロジーアームに隣接する核酸インサートをさらに含む。任意に、核酸インサートは、前記標的ゲノム遺伝子座に相同またはオーソロガスである。任意に、外因性修復テンプレートは、長さが約50ヌクレオチド〜約1kbである。任意に、外因性修復テンプレートは、長さが約80ヌクレオチド〜約200ヌクレオチドである。任意に、外因性修復テンプレートは、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチドである。
別の態様では、本発明は、先天性リポジストロフィー様症状を改善するための活性について化合物をスクリーニングする方法を提供し、方法は、(a)上記の対象非ヒト哺乳動物を、化合物と接触させること;及び(b)化合物と接触していない対照非ヒト哺乳動物に対して、対象非ヒト哺乳動物の先天性リポジストロフィー様症状の存在を決定すること、を含み、対照非ヒト哺乳動物は、対象非ヒト哺乳動物と同じFbn1変異を含み、先天性リポジストロフィー様症状を改善するための活性が、対照非ヒト哺乳動物と比較した、対象非ヒト哺乳動物における先天性リポジストロフィー様症状の出現の減少により同定される。
一部の方法では、症状は、以下の:体重の減少、除脂肪量の減少、体脂肪量の減少、体脂肪率の減少、体重で正規化された摂食量の増加、及び後弯の増加、のうちの1つ以上を含む。任意に、症状は、体脂肪量の減少及び体脂肪率の減少のうちの少なくとも1つを含む。任意に、症状は、体脂肪量の減少及び体脂肪率の減少を含む。一部の方法では、症状は、以下の:体重の減少、除脂肪量の減少、体脂肪量の減少、体重で正規化された白色脂肪組織の減少、体重で正規化された褐色脂肪組織の保存を伴う白色脂肪組織の減少、体脂肪率の減少、体重で正規化された摂食量の増加、及び後弯の増加、のうちの1つ以上を含む。任意に、症状は、体重で正規化された白色脂肪組織の減少を含む。
野生型ヒトFBN1遺伝子の最後から2番目のエクソンの領域のヌクレオチド配列(及びコードされたアミノ酸配列)、ならびに、先天性リポジストロフィーを伴う新生児早老症候群と関連する変異型ヒトFBN1遺伝子多様体、野生型マウスFbn1遺伝子、及び操作されたマウスFbn1遺伝子多様性MAID8501の対応する領域のヌクレオチド及びアミノ酸配列を示す。「R」及び「S」の間のアミノ酸配列におけるフォワードスラッシュは、フリン切断部位を示す。 操作されたマウスFbn1遺伝子多様性MAID8501について、ヘテロ接合型またはホモ接合型の雄及び雌のF0ファウンダーマウスの生存率を示す。 野生型ヒトFBN1遺伝子の最後から2番目のエクソンの領域のヌクレオチド配列(及びコードされたアミノ酸配列)、ならびに、先天性リポジストロフィーを伴う新生児早老症候群と関連する変異型ヒトFBN1遺伝子多様体、野生型マウスFbn1遺伝子、及び操作されたマウスFbn1遺伝子多様性MAID8502の対応する領域のヌクレオチド及びアミノ酸配列を示す。図3は、予想されるMAID8502多様体及び生成されたMAID8520多様体に対するマウスFbn1遺伝子の最後から2番目のエクソン中の領域のコードされたアミノ酸配列を示す。「R」及び「S」の間のアミノ酸配列におけるフォワードスラッシュは、フリン切断部位を示す。 操作されたマウスFbn1遺伝子多様性MAID8520についてヘテロ接合型の雄野生型マウス及びF1世代マウスに対する、体重で正規化された週毎の摂餌量を示す。 操作されたマウスFbn1遺伝子多様性MAID8520についてヘテロ接合型の3ヶ月齢の雄のF1雄野生型マウス及び3ヶ月齢のF1雄マウスを示す。 野生型雄マウス、野生型雌マウス、ならびに、改変マウスFbn1遺伝子多様性MAID8520についてヘテロ接合型の雄及び雌マウスを含む、年齢別のF1マウスの体重を示す。 脊柱後弯のuCT画像を示す野生型雌マウス(図7A及び7B)ならびにFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウス(図7C〜7E)の骨格を示す。 体重及び体脂肪量に関するアッセイを示す。図8Aは、21%の脂肪改良食餌または60%の高脂肪食餌のいずれかを摂取中の野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの体重を示す。図8Bは、ECHOMRI(商標)で測定される場合の21%の脂肪改良食餌または60%の高脂肪食餌のいずれかを摂取中の野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの体脂肪量(体脂肪量のグラム及び体脂肪量の百分率)を示す。図8Cは、ECHOMRI(商標)で測定される場合の21%の脂肪改良食餌または60%の高脂肪食餌のいずれかにおける、野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの除脂肪量(除脂肪量のグラム及び除脂肪量の百分率)を示す。全てのマウスは31週齢であった。スキャン時のマウスは、22週間の60%の高脂肪食餌を摂取中であった。アスタリスクは、独立t検定によりp<0.0001を示す。 図9A〜9Cは、雄マウスにおける血糖恒常性に関連するアッセイを示す。図9Aは、固形食餌を摂取中の雄野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの体重を示す。図9Bは、固形食餌を摂取中の雄野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの一晩の空腹時血糖を示す。図9Cは、固形食餌を摂取中の雄野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの経口耐糖能を示す。図9D〜9Fは雌マウスの血糖恒常性に関するアッセイを示す。図9Dは、固形食餌を摂取中の雌野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの体重を示す。図9Eは、固形食餌を摂取中の雌野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの一晩の空腹時血糖を示す。図9Fは、固形食餌を摂取中の雌野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの経口耐糖能を示す。 図10A〜10Cは、雄マウスの循環脂質に関するアッセイを示す。図10Aは、固形食餌を摂取中の雄野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの血清中コレステロールレベルを示す。図10Bは、固形食餌を摂取中の雄野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスのトリグリセリドレベルを示す。図10Cは、固形食餌を摂取中の雄野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの非エステル化脂肪酸(NEFA−C)レベルを示す。図10D〜10Fは、雌マウスの循環脂質に関するアッセイを示す。図10Dは、固形食餌を摂取中の雌野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの血清中コレステロールレベルを示す。図10Eは、固形食餌を摂取中の雌野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスのトリグリセリドレベルを示す。図10Fは、固形食餌を摂取中の雌野生型マウス及びFbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの非エステル化脂肪酸(NEFA−C)レベルを示す。 図11A〜11Gは、体重に対する終末期の肝臓及び脂肪パッドの重量を示す。図11Aは、固形食餌を摂取中の34週齢の雌Fbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスの体重を示す。図11B〜11Dは、各群の生肝臓重量、褐色脂肪組織重量(BAT)、及び内臓白色脂肪組織重量(WAT)を示す。図11E〜11Gは、体重に対する終末期の肝臓及び脂肪パッドの重量を、体重の割合として示す。 図12A〜12Hは、60%の高脂肪食餌を12週間摂取中の雌Fbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスのColumbia Instruments OxymaxのCLAMSシステムからの代謝ケージデータを示す。 図13A〜13Dは、60%の高脂肪食餌を20週間摂取中の雌性Fbn1遺伝子多様性MAID8520ヘテロ接合型マウスのインスリン抵抗性試験を示す。
定義
本明細書で互換的に使用される「タンパク質」、「ポリペプチド」、及び「ペプチド」という用語は、コードされたアミノ酸及びコードされていないアミノ酸、ならびに化学的または生化学的に改変または誘導体化されたアミノ酸を含む任意の長さのポリマー形態のアミノ酸を含む。この用語は、改変ペプチド骨格を有するポリペプチドなどの、改変されているポリマーも含む。
タンパク質は、「N末端」及び「C末端」を有すると言われている。「N末端」という用語は、遊離アミン基(−NH2)を有するアミノ酸で終端されたタンパク質またはポリペプチドの開始に関する。「C末端」という用語は、遊離カルボキシル基(−COOH)で終端されたアミノ酸鎖(タンパク質またはポリペプチド)の末端に関する。
本明細書で互換的に使用される「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはそれらのアナログもしくは改変バージョンを含む、任意の長さのポリマー形態のヌクレオチドを含む。それらは、一本鎖、二本鎖、及び多重鎖DNAまたはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA−RNAハイブリッド、及びプリン塩基、ピリミジン塩、または他の天然の、化学的に改変された、生化学的に改変された、非天然の、もしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーを含む。
1つのモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸塩がホスホジエステル結合を介して一方向に隣接する3’酸素に結合するようなオリゴヌクレオチドを生成するように、モノヌクレオチドが反応するので、核酸は、「5’末端」及び「3’末端」を有すると言われている。オリゴヌクレオチドの末端は、5’リン酸塩がモノヌクレオチドペントース環の3’酸素に連結されていない場合、「5’末端」と呼ばれる。オリゴヌクレオチドの末端は、その3’酸素が別のモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸塩に連結されていない場合、「3’末端」と呼ばれる。核酸配列は、より大きなオリゴヌクレオチドの内部に存在するとしても、5’及び3’末端を有するとも言われ得る。線状または環状DNA分子のいずれかにおいて、別個の要素は、「上流」または「下流」の5’または3’要素であると呼ばれる。
「野生型」という用語は、(変異型、病変した、改変した等とは対照的に)正常な状態または文脈に見られるような構造及び/または活性を有する実体を含む。野生型遺伝子及びポリペプチドは多くの場合、複数の異なる形態(例えば、対立遺伝子)で存在する。
タンパク質及び核酸に関する「単離された」という用語は、タンパク質及びポリヌクレオチドの実質的に純粋調製物以下の、in situで通常存在し得る他の細菌、ウイルス、または細胞構成要素に関して比較的精製されているタンパク質及び核酸を含む。「単離された」という用語は、天然に存在する対応物を含まないか、化学的に合成され、それにより他のタンパク質もしくは核酸でほぼ汚染されていないか、またはそれらに自然に付随するほとんどの他の細胞構成要素(例えば、他の細胞タンパク質、ポリヌクレオチド、または細胞構成要素)から分離もしくは精製されているタンパク質及び核酸も含む。
「外因性」分子または配列は、その形態では細胞内に通常存在しない分子または配列を含む。通常の存在は、細胞の特定の発生段階及び環境条件に関する存在を含む。外因性分子または配列は、例えば、ヒト化バージョンの内因性配列などの、変異バージョンの細胞内の対応する内因性配列を含み得るか、または細胞内であるが異なる形態の(すなわち、染色体内ではない)内因性配列に対応する配列を含み得る。対照的に、内因性分子または配列は、特定の環境条件下、特定発生段階の特定の細胞にその形態で通常存在する分子または配列を含む。
「コドン最適化」は一般に、天然アミノ酸配列を維持しながら、天然配列の少なくとも1つのコドンを、宿主細胞の遺伝子においてより頻繁にまたは最も頻繁に使用されるコドンで置換することにより、特定の宿主細胞における発現の増強のために核酸配列を改変するプロセスを含む。例えば、Cas9タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、天然に存在する核酸配列と比較した場合、細菌細胞、酵母細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳動物細胞、齧歯動物細胞、マウス細胞、ラット細胞、ハムスター細胞、または任意の他の宿主細胞を含む、所与の原核生物細胞または真核生物細胞においてより高い使用頻度を有するコドンを置換するように改変することができる。コドン使用表は、例えば、「Codon Usage Database」で容易に入手可能である。これらの表は、様々な方法で適用することができる。あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるNakamura et al.(2000)Nucleic Acids Research 28:292を参照のこと。特定の宿主における発現のための特定の配列のコドン最適化のためのコンピューターアルゴリズム(例えば、Gene Forgeを参照のこと)もまた利用可能である。
「遺伝子座」という用語は、遺伝子の特定の場所(もしくは有意な配列)、DNA配列、ポリペプチドコード配列、または生物のゲノムの染色体上の位置を指す。例えば、「Fbn1遺伝子座」は、Fbn1遺伝子の特定の場所、Fbn1 DNA配列、Fbn1をコードする配列、またはこのような配列がどこに存在するかに関して同定されている生物のゲノムの染色体上のFbn1位置を指してもよい。「Fbn1遺伝子座」は、例えば、エンハンサー、プロモーター、5’及び/または3’UTR、またはそれらの組み合わせを含む、Fbn1遺伝子の調節エレメントを含んでもよい。
「遺伝子」という用語は、産物(例えば、RNA産物及び/またはポリペプチド産物)をコードする染色体のDNA配列を指し、遺伝子が全長mRNA(5’及び3’非翻訳配列を含む)に対応するように、非コードイントロンで遮断されたコード領域ならびに5’及び3’末端の両方のコード領域に隣接して位置する配列を含む。「遺伝子」という用語は、制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、及び転写因子結合部位)、ポリアデニル化シグナル、内部リボソーム進入部位、サイレンサー、インシュレーター配列、及びマトリックス結合領域を含む他の非コード配列も含む。これらの配列は、遺伝子のコード領域に近接する(例えば、10kb以内)か、または離れた部位にあってもよく、それらは、遺伝子の転写及び翻訳のレベルまたは速度に影響を与える。
「対立遺伝子」という用語は、多様体形態の遺伝子を指す。一部の遺伝子は、染色体上の同じ位置、または遺伝子座に位置する様々な異なる形態を有する。二倍体生物は、各遺伝子座に2つの対立遺伝子を有する。対立遺伝子の各ペアは、特定の遺伝子座の遺伝子型を表す。遺伝子型は、特定の遺伝子座における2つの同一の対立遺伝子が存在する場合、ホモ接合型として、2つの対立遺伝子が異なる場合、ヘテロ接合型として記載される。
「プロモーター」は、特定のポリヌクレオチド配列のための適切な転写開始部位でRNA合成を開始するように、RNAポリメラーゼIIを導くことが可能なTATAボックスを通常含むDNAの制御領域である。プロモーターは、転写開始速度に影響を及ぼす他の領域をさらに含み得る。本明細書に開示のプロモーター配列は、作動可能に連結されたポリヌクレオチドの転写を調節する。
「動作可能な結合」または「作動可能に連結されている」は、両方の構成要素が正常に機能し且つ構成要素のうちの少なくとも1つが他の構成要素のうちの少なくとも1つにもたらされる機能を媒介することができるという可能性を許容するように、2つ以上の構成要素(例えば、プロモーター及び別の配列要素)の並置を含む。例えば、プロモーターが1つ以上の転写制御因子の有無に応答してコード配列の転写レベルを制御する場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結することができる。作動可能な連結は、互いに隣接しているか、またはトランスで作用するこのような配列を含み得る(例えば、制御配列は、コード配列の転写を制御するために離れて作用することができる)。
核酸の「相補性」は、核酸の1つの鎖のヌクレオチド配列が、核酸塩基基の方向に起因して、対向する核酸鎖上の別の配列と水素結合を形成することを意味する。DNAの相補的塩基は通常、Tに対するA及びGに対するCである。RNAでは、それらは通常、Gに対するC及びAに対するUである。相補性は、完全または実質的/十分であり得る。2つの核酸間の完全な相補性は、2つの核酸が、二重鎖の全ての塩基がワトソン−クリック対合により相補的塩基に結合する二重鎖を形成し得ることを意味する。「実質的」または「十分な」相補性は、1つの鎖の配列が対向鎖の配列に完全及び/または完全に相補的ではないが、ハイブリダイゼーション条件(例えば塩濃度及び温度)の設定で、十分な結合が2つの鎖の塩基間に生じて、安定なハイブリッド複合体を形成することを意味する。このような条件は、配列及び標準的な数学的計算を使用して、ハイブリダイゼーションされた鎖のTm(融解温度)を予測することにより、または日常的な方法を使用するTmの経験的決定により、予測することができる。Tmは、2つの核酸鎖間に形成されたハイブリダイゼーション複合体の集団が50%変性している(すなわち、二本鎖核酸分子の集団が半分一本鎖に解離する)温度を含む。Tmより低い温度では、ハイブリダイゼーション複合体の形成が有利であるが、Tmより高い温度では、ハイブリダイゼーション複合体中の鎖の融解または分離が有利である。Tmは、例えば、Tm=81.5+0.41(%G+C)を使用することにより、1MのNaCl水溶液中の既知のG+C含有量を有する核酸に対して推定され得る。但し、他の既知のTm計算が、核酸構造特性を考慮に入れている。
「ハイブリダイゼーション条件」は、相補鎖相互作用及び水素結合により、1つの核酸鎖が2つ目の核酸鎖に結合して、ハイブリダイゼーション複合体を生成する累積的環境を含む。このような条件は、核酸を含有する水溶液または有機溶液の化学的構成成分及びそれらの濃度(例えば、塩、キレート剤、ホルムアミド)、及び混合物の温度を含む。インキュベーション時間の長さまたは反応チャンバの寸法などの他の要因が、環境に寄与し得る。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるSambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual, 2.sup.nd ed.,pp.1.90−1.91,9.47−9.51,1 1.47−11.57(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)を参照のこと。
ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補的配列を含有することを必要とする。但し、塩基間のミスマッチが可能である。2つの核酸間のハイブリダイゼーションに好適な条件は、当該技術分野で周知の変数である、核酸の長さ及び相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の相補性の程度が大きいほど、それらの配列を有する核酸のハイブリッドに対する融解温度(Tm)の値が大きい。相補性の短いストレッチを有する核酸間のハイブリダイゼーション(例えば、35以下、30以下、25以下、22以下、20以下、または18以下のヌクレオチドにわたって相補性)の場合、ミスマッチの位置が重要となる(Sambrook et al.、上掲、11.7−11.8を参照のこと)。通常は、ハイブリダイゼーション可能な核酸の長さは、少なくとも約10ヌクレオチドである。ハイブリダイゼーション可能な核酸についての例示的な最小長は、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約22ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、及び少なくとも約30ヌクレオチドを含む。さらに、温度及び洗浄液塩濃度は、相補性領域の長さ及び相補性の程度などの要因に従って必要に応じて調整してもよい。
ポリヌクレオチドの配列は、特異的にハイブリダイゼーション可能であるためにその標的核酸の配列と100%相補的である必要はない。さらに、ポリヌクレオチドは、介在するまたは隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象(例えば、ループ構造またはヘアピン構造)に関与しないように、1つ以上のセグメントにわたってハイブリダイゼーションし得る。ポリヌクレオチド(例えば、gRNA)は、それらが標的とする標的核酸配列内の標的領域と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%の配列相補性を含み得る。例えば、20ヌクレオチドのうちの18ヌクレオチドが標的領域に相補的であり、従って、特異的にハイブリダイゼーションするであろうgRNAは、90%の相補性を表すであろう。この例では、残りの非相補的ヌクレオチドは、相補的ヌクレオチドとクラスター化または分散していてもよく、互いにまたは相補的ヌクレオチドと隣接している必要はない。
核酸内の核酸配列の特定のストレッチ間のパーセント相補性は、Smith及びWatermanのアルゴリズム(Adv.Appl.Math.,1981,2,482−489)を使用するデフォルト設定を使用する、BLASTプログラム(基本ローカルアライメント検索ツール)及び当該分野で既知のPowerBLASTプログラム(Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410;Zhang and Madden(1997)Genome Res.7:649−656)を通常使用して、または、Gapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix(登録商標),Genetics Computer Group,University Research Park,Madison Wis.)を使用することにより、決定することができる。
本明細書で提供される方法及び組成物は、様々な異なる構成要素を用いる。本明細書を通して、いくつかの構成成分が活性な多様体及びフラグメントを有することができると認識される。このような構成成分は、例えば、Cas9タンパク質、CRISPR RNA、tracrRNA、及びガイドRNAを含む。これらの構成成分のそれぞれに対する生物学的活性は、本明細書の他の箇所に記載されている。
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の文脈における「配列同一性」または「同一性」は、特定の比較ウィンドウで最大の一致のためにアラインされる場合、同じである2つの配列の残基について言及する。タンパク質に関して配列同一性の百分率が使用される時に、同一ではない残基位置は、アミノ酸残基が類似の化学的性質(例えば、電荷または疎水性)を有する他のアミノ酸残基と置換され、それ故、分子の機能的特性を変更しない場合、保存的アミノ酸置換とは異なることが多いことが理解される。配列が保存的置換において異なる時、パーセント配列同一性を上方に調整して、置換の保存的性質を修正し得る。このような保存的置換により異なる配列は、「配列類似性」または「類似性」を有すると言われている。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。通常、これは、完全なミスマッチではなく部分的ミスマッチとして保存的置換をスコアリングすることを含み、それにより、配列同一性百分率を増加させる。従って、例えば、同一のアミノ酸が1のスコアを与えられ、且つ非保存的置換が0のスコアを与えられる場合、保存的置換は0〜1のスコアを与えられる。保存的置換のスコアリングは、例えば、プログラムPC/GENE(Intelligenetics、カリフォルニア州マウンテンビュー)で実行されるように計算される。
「配列同一性の百分率」は、比較ウィンドウで最適にアラインされた2つの配列を比較することにより決定された値を含み、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適アラインメントのための(付加または欠失を含まない)参照配列と比較した場合に、追加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。百分率は、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列中に発生する位置の数を決定して一致した位置の数を得ること、一致した位置の数を比較のウィンドウにおける位置の総数で割ること、及び結果に100を掛けて配列同一性の百分率を得ることにより計算される。
別途記載のない限り、配列同一性/類似性値は、以下のパラメータ:GAP重み50及び長さ重み3ならびにnwsgapdna.cmpスコアリングマトリックスを使用するヌクレオチド配列の%同一性及び%類似性;GAP重み8及び長さ重み2ならびにBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用するアミノ酸配列の%同一性及び%類似性を使用するGAPバージョン10、またはその同等の任意プログラムを使用して得られる値を含む。「同等のプログラム」は、問題の任意の2つの配列について、GAPバージョン10により生成された対応するアラインメントと比較した時に、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の一致及び同一のパーセント配列同一性を有するアラインメントを生成する任意の配列比較プログラムを含む。
共有エピトープを指すために本明細書で使用される「実質的な同一性」という用語は、対応する位置に同一の残基を含有する配列を含む。例えば、2つの配列は、対応する残基の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上が適切なストレッチの残基にわたって同一である場合、実質的に同一であると考えることができる。適切なストレッチは、例えば、完全な配列とし得るか、または、少なくとも5、10、15、もしくはそれ以上の残基とし得る。
「保存的アミノ酸置換」という用語は、配列中に通常存在するアミノ酸の、類似のサイズ、電荷、または極性の、異なるアミノ酸との置換を指す。保存的置換の例としては、イソロイシン、バリン、またはロイシンなどの非極性(疎水性)残基の、別の非極性残基との置換を含む。同様に、保存的置換の例としては、アルギニン及びリシンの間、グルタミン及びアスパラギンの間、またはグリシン及びセリンの間などの、1つの極性(親水性)残基の別のものとの置換を含む。さらに、リシン、アルギニン、もしくはヒスチジンなどの塩基性残基の、別のものへの置換、またはアスパラギン酸もしくはグルタミン酸などの1つの酸性残基の、別の酸性残基との置換は、保存的置換のさらなる例である。非保存的置換の例としては、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、もしくはメチオニンなどの非極性(疎水性)アミノ酸残基の、システイン、グルタミン、グルタミン酸、もしくはリシンなどの極性(親水性)残基との置換、及び/または、極性残基の非極性残基との置換が挙げられる。代表的なアミノ酸の分類を以下にまとめる。
「相同な」配列(例えば、核酸配列)は、既知の参照配列と同一または実質的に類似のいずれかである配列を含む。つまり、それは、既知の参照配列と例えば少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である。相同な配列は、例えば、オーソログ配列及びパラログの配列を含み得る。相同な遺伝子は、例えば、種分化事象(オルソログの遺伝子)または遺伝子重複事象(パラログの遺伝子)のいずれかを介して、共通の先祖DNA配列に通常由来する。「オルソログの」遺伝子は、種分化により共通の祖先遺伝子から進化した異なる種の遺伝子を含む。オーソログは通常、進化の間で同じ機能を保持する。「パラログの」遺伝子は、ゲノム内の重複で関連する遺伝子を含む。パラログは、進化の間で新しい機能を進化させ得る。
「in vitro」という用語は、人工的環境、及び人工的環境(例えば試験管)内で起こるプロセスまたは反応を含む。「in vivo」という用語は、自然環境(例えば、細胞または生物または身体)及び自然環境内で起こるプロセスまたは反応を含む。「ex vivo」という用語は、個体の身体から取り出された細胞、及びこのような細胞内で起こるプロセスまたは反応を含む。
1つ以上の列挙された要素を「含む(comprising)」または「含む(including)」組成物または方法は、具体的に列挙されていない他の要素を含んでもよい。例えば、タンパク質を「含む(comprises)」または「含む(includes)」組成物は、タンパク質を単独でまたは他の成分と組み合わせて含有してもよい。
値の範囲の表記は、範囲内のまたは範囲を規定する全ての整数、及び範囲内の整数により規定された全ての部分範囲を含む。
文脈から別途明らかでない限り、「約」という用語は、記載された値の測定の標準誤差(例えば、SEM)内の値を包含する。
単数形の冠詞「a」、「an」、及び「the」は、文脈に別途明示のない限り、複数の言及を含む。例えば、「1つのCas9タンパク質」または「少なくとも1つのCas9タンパク質」という用語は、それらの混合物を含む複数のCas9タンパク質を含み得る。
統計的に有意は、p≦0.05を意味する。
(発明を実施するための形態)
I.概要
本発明は、先天性リポジストロフィーを伴う新生児早老症候群(NPSCL)をモデル化するための、Fbn1遺伝子における変異を含む非ヒト動物を提供する。このような非ヒト動物モデルを作製する方法もまた提供される。非ヒト動物モデルは、NPSCLの抑制もしくは低減またはNPSCL様症状の改善における活性について化合物をスクリーニングすることに、あるいは、NPSCLの促進もしくは悪化において潜在に有害な活性について化合物をスクリーニングすることに、ならびにNPSCLの機序ならびに潜在的に新しい治療及び診断標的についての洞察を提供するために、使用することができる。
II.先天性リポジストロフィーを伴う新生児早老症候群の非ヒト動物モデル
Fbn1遺伝子に変異を含む非ヒト動物(例えば、ラットまたはマウスなどの非ヒト哺乳動物)が本明細書に提供される。このような非ヒト動物は、先天性リポジストロフィーを伴う新生児早老症候群(NPSCL)をモデル化し、NPSCL様症状(例えば、先天性リポジストロフィー様症状)を示す。
A.先天性リポジストロフィーを伴う新生児早老症候群(NPSCL)。
新生児早老症候群(NPS)は、主に顔及び四肢に影響を及ぼす先天性の部分的リポジストロフィーを特徴とする。あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるO’Neill et al.(2007)Am.J.Med.Gen.A.143A:1421−1430。先天性リポジストロフィーを伴う新生児早老症候群(NPSCL)、マルファン様−早老症候群、またはマルファン様−早老症−リポジストロフィー(MPL)症候群とも呼ばれる。それは、主に顔及び四肢に影響を及ぼす皮下脂肪組織の低減による先天性の極端な薄さを特徴とする。Hou et al.(2009)Pediatrics and Neonatology 50:102−109及びO’Neill et al.(2007)Am.J.Med.Gen.A.143A:1421−1430(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。表現型は通常、出生時及び出生前でさえも、皮下脂肪の不足に起因する薄い皮膚及び目立った脈管構造を伴う子宮内発育遅延として明らかである。O’Neill et al.(2007)。患者は、全ての年齢で、肥満度指数(BMI)で、年齢に対して標準以下のいくつかの標準偏差を示す。O’Neill et al.(2007)。NPS患者は、顔面形成異常の特徴及び皮下脂肪の低減に起因して早老症のように見えるが、白内障、毛髪の早期白髪化、またはインスリン抵抗性などの真の早老症の通常の特徴を有さない。O’Neill et al.(2007)。患者は正常な空腹時血漿中グルコース及びインスリンレベルを有し得、それらは、正常なインスリン感受性及びグルコース処理を有することを示唆する。O’Neill et al.(2007)。
NPSCL患者の主要な特徴としては、(1)先天性リポジストロフィー、(2)体重増加と不均衡な直線的発育の促進を伴う早産、及び(3)明確な顔の特徴を伴う早老症の外観、が挙げられる。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるTakenouchi et al.(2013)Am.J.Med.Genet.Part A 161A:3057−3062を参照のこと。Jacquinet et al.は、以下の:子宮内発育遅延及び/または早産、老年の顔の外観及び出生時の減少した皮下脂肪、ならびに進行性マルファン様特徴、を含むマルファン様−早老症表現型を報告している。大動脈の付け根の拡張、異所性水晶体及び硬膜拡張症は、時間の経過と共に現れ得る。発達のマイルストーン及び知性は、正常であるように見える。あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるJacquinet et al.(2014)Eur.J.Med.Genet.57(5):203−234。
ヒトNPSCL患者で観察される表現型は、多くのリポジストロフィー症候群とは異なり、内臓脂肪組織がないにもかかわらず血糖恒常性及び循環脂質に関して正常な代謝プロファイルである。ヒトNPSCL患者は、白色脂肪組織の喪失にもかかわらず、正常な血糖恒常性を有する。
本明細書に開示の非ヒト動物モデルは、NPSCL様症状(例えば、先天性リポジストロフィー様症状)を示す。このような症状は、例えば、以下の:体重の減少、除脂肪量の減少、体脂肪量の減少、(例えば、体重で正規化された)白色脂肪組織の減少、(例えば、体重で正規化された)褐色脂肪組織の保存を伴う白色脂肪組織の減少、体脂肪率の減少、体重で正規化された摂食量の増加、及び後弯の増加、のうちの1つ以上を含み得る。このような症状は、例えば、以下の:体重の減少、除脂肪量の減少、体脂肪量の減少、体脂肪率の減少、体重で正規化された摂食量の増加、及び後弯の増加、のうちの1つ以上を含み得る。このような症状は、以下の:代謝率の増加、インスリン感受性の改善、正常な耐糖能、正常な血清中コレステロールレベル、正常な血清中トリグリセリドレベル、及び正常な血清中非エステル化脂肪酸レベル、のうちの1つ以上と共に存在し得る。あるいは、このような症状は、以下の:正常な耐糖能、正常な血清中コレステロールレベル、正常な血清中トリグリセリドレベル、及び正常な血清中非エステル化脂肪酸レベル、のうちの1つ以上と共に存在し得る。例えば、症状は、体脂肪量の減少及び体脂肪率の減少のうちの少なくとも1つ、ならびに正常な耐糖能、正常な血清中コレステロールレベル、正常な血清中トリグリセリドレベル、及び正常な血清中非エステル化脂肪酸レベルのうちの少なくとも1つを含み得る。あるいは、症状は、体脂肪量の減少、体脂肪率の減少、正常な耐糖能、正常な血清中コレステロールレベル、正常な血清中トリグリセリドレベル、及び正常な血清中非エステル化脂肪酸レベルを含み得る。可能な他の表現型は、肝臓重量の減少、褐色脂肪組織(BAT)重量の減少、内臓白色脂肪組織(WAT)重量の減少、体重で正規化されたWAT重量の減少、体重で正規化された代謝率の上昇、エネルギー消費の増加、耐糖能の改善、及び高脂肪食餌を摂食中のインスリン感受性の改善のうちの1つ以上を含む。例えば、症状は、代謝率の改善、インスリン感受性の改善、正常な耐糖能、正常な血清中コレステロールレベル、正常な血清中トリグリセリドレベル、及び正常な血清中非エステル化脂肪酸レベルのうちの少なくとも1つと共に、体重で正規化された白色脂肪組織の減少(例えば、褐色脂肪組織の保存を伴う)を含み得る。例えば、症状は、インスリン感受性の改善と共に、体重で正規化された白色脂肪組織の減少(例えば、褐色脂肪組織の保存を伴う)を含み得る。
減少または増加は、統計的に有意であり得る。例えば、減少または増加は、対照野生型非ヒト動物と比較して少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または100%であり得る。
B.Fbn1変異
NPSCLは、ヒトのFBN1遺伝子の変異と関連している。例えば、Takenouchi et al.(2013)Am.J.Med.Genet.Part A 161A:3057−3062;Graul−Neumann et al.(2010)Am.J.Med.Genet.A.152A(11):2749−2755;Goldblatt et al.(2011)Am.J.Med.Genet.A 155A(4):717−720;Horn and Robinson(2011)Am.J.Med.Genet.A.155A(4);721−724;Jacquinet et al.(2014)Eur.J.Med.Genet.57(5):203−234;及びRomere et al.(2016)Cell 165(3):566−579(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。FBN1は、弾性及び非弾性細胞外マトリックスにおけるミクロフィブリルの主な構成成分である構造糖タンパク質フィブリリン−1をコードする65のコードエクソン(合計66のエクソン)を有する230kbの遺伝子である。プロフィブリリン−1は、2871アミノ酸長のプロタンパク質として翻訳され、これは、プロテアーゼフリンによりC末端で切断される。これは、成熟フィブリリン−1(細胞外マトリックス構成成分)に加えて、140アミノ酸長のC末端切断産物(すなわち、アスプロシン)を生成する。例示的なヒトフィブリリン−1配列は、UniProtアクセッション番号P35555が割り当てられる。
FBN1遺伝子において3000を超える変異が臨床的に同定されている。例えば、Wang et al.(2016)Forensic Science International 261:e1−e4及びwww.umd/be/FBN1/(これらのそれぞれは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。これらの変異は、I型フィブリリン疾患、マルファン症候群、MASS症候群、孤発性水晶体偏位症候群、胸部大動脈瘤、Weill−Marchesani症候群、幸福顔貌骨異形成症及び先端短肢異形成症、硬皮症候群、ならびに先天性リポジストロフィーを伴う新生児早老症候群を含む様々な状態と関連している。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるDavis and Summers(2012)Mol.Genet.Metab.107(4):635−647を参照のこと。これらのうちの最も一般的なものは、眼内、心臓血管、及び骨格の症状を含む常染色体優性マルファン症候群である。Loeys et al.(2010)J.Med.Genet.47(7):476−485及びJacquinet et al.(2014)Eur.J.Med.Genet.57(5):203−234(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。典型的なマルファン症候群の変異は、限られた遺伝子型−表現型の関係でFBN1遺伝子中に点在している。例えば、Faivre et al.(2007)Am.J.Hum.Genet.81(3):454−466及びJacquinet et al.(2014)Eur.J.Med.Genet.57(5):203−234(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。
本明細書に開示の非ヒト動物モデルのNPSCLは、非ヒト動物においてNPSCL様症状(例えば、先天性リポジストロフィー様症状)を生じるFbn1遺伝子の変異を含む。変異は、非ヒト動物の内因性Fbn1遺伝子に存在し得る。あるいは、非ヒト動物は、内因性Fbn1遺伝子の全てまたは一部が欠失しており、ヒトFBN1遺伝子由来の対応するオーソログ配列または非ヒト霊長類などの他の哺乳動物由来の他のオーソログ配列で置換されているヒト化Fbn1遺伝子座を含み得る。オーソログ配列による置換は、オーソログ配列からの変異を導入する特定のエクソンまたはイントロンにおいて生じ得る。置換はまた、全エクソン、または全エクソン及びイントロン、あるいは全エクソン、イントロン、及び制御配列を含むフランキング配列の置換とし得る。オーソログ配列による置換の程度に応じて、プロモーターなどの制御配列は、内因性であるか、または置換オーソログ配列が供給し得る。
好ましくは、非ヒト動物は、変異についてヘテロ接合型である。好ましくは、変異は、コードタンパク質のC末端切断をもたらす。例えば、変異は、フレームシフトを引き起こし得る。フレームシフト変異は、参照配列と比較して翻訳が別のフレームにシフトする、翻訳開始コドン(スタートコドン)及び終止コドン(ストップコドン)の間の配列変化である。例えば、リーディングフレームは、5’方向に1ヌクレオチドシフト(−1フレームシフト)するか、または3’方向に1ヌクレオチドシフト(+1フレームシフト)することができる。フレームシフト変異を有する遺伝子によりコードされるタンパク質は、N末端からフレームシフト変異までの野生型遺伝子によりコードされるタンパク質と同一であるが、その点以外は異なる。このようなフレームシフトは、早期終止コドンをもたらし得る。このような早期コドンは、例えば、最後から2番目のエクソンまたは最後のエクソンとし得る。任意に、早期終止コドンは、最後のエクソン−エクソン接合部の約100塩基対未満上流または約55塩基対未満上流に存在する。例えば、早期終止コドンは、最後から2番目のコードエクソン内のエクソン−エクソン接合部の約100塩基対未満、90塩基対、80塩基対、70塩基対、60塩基対、55塩基対、50塩基対、40塩基対、30塩基対、25塩基対、または20塩基対上流に存在し得る。あるいは、早期終止コドンは、(例えば、最後から2番目のコードエクソンのスキップをもたらすスプライス部位変異の結果として)最後のコードエクソンに存在し得る。任意に、早期終止コドンは、最後のコードエクソン(例えば、マウスFbn1のエクソン65)内に存在するか、または最後から2番目のエクソン(例えば、マウスFbn1のエクソン64)に存在し、早期終止コドンが最後から2番目のエクソンに存在する場合、それは、最後のエクソン−エクソン接合部の約55塩基対未満(例えば、19塩基対などの約20塩基対未満)上流に存在する。任意に、早期コドンが最後のコードエクソン内に存在する場合、それは、最後のエクソン−エクソン接合部の約100塩基対未満、90塩基対、80塩基対、70塩基対、60塩基対、55塩基対、50塩基対、40塩基対、30塩基対、25塩基対、20塩基対、15塩基対、または10塩基対(例えば、9塩基対)下流に存在する。任意に、早期終止コドンは、変異を含むFbn1遺伝子が配列番号20に最適にアラインされる時に、配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8150位及び8300位、8160位及び8290位、8170位及び8280位、8180位及び8270位、8190位及び8260位、8200位及び8250位、8210位及び8300位、8210位及び8290位、8210位及び8280位、8210位及び8270位、8210位及び8260位、8210位及び8250位、8200位及び8300位、8200位及び8290位、8200位及び8280位、8200位及び8270位、8200位及び8260位、8200位及び8250位、8150位及び8245位、8160位及び8245位、8170位及び8245位、8180位及び8245位、8190位及び8245位、8200位及び8245位、8150位及び8250位、8160位及び8250位、8170位及び8250位、8180位及び8250位、8190位及び8250位、8200位及び8250位、または8210位及び8245位に対応する位置の間に存在する。
早期終止コドンは、正荷電C末端を有する切断型タンパク質をもたらし得る。一般的な20のアミノ酸のうち、5つは、荷電することができる側鎖を有する。pH=7では、2つは、負に荷電し(アスパラギン酸(Asp、D)、及びグルタミン酸(Glu、E))、3つは、正に荷電する(リシン(Lys、K)、アルギニン(Arg、R)、及びヒスチジン(His、H))。一部の場合では、早期終止コドンは、極度に正に荷電したC末端を有する切断型タンパク質(例えば、ETEKHKRN(配列番号34))をもたらし得る。あるいは、早期終止コドンは、あまり正に荷電していないC末端を有する切断型タンパク質(例えば、ISLRQKPM(配列番号35))をもたらし得る。
任意に、変異は、フリンファミリーのプロタンパク質転換酵素に対する塩基性アミノ酸認識配列(RGRKRR(配列番号36))を破壊する。例えば、変異は、フリン認識配列の上流で切断されたタンパク質をもたらし得るか、フリン認識配列を変異させ得るか、またはフリン認識配列の上流でフレームシフトをもたらし得る。任意に、変異は、フリンファミリーのプロタンパク質転換酵素に対する塩基性アミノ酸認識配列の100塩基対以内に存在する。例えば、変異は、フリン認識配列の約90塩基対、80塩基対、70塩基対、60塩基対、50塩基対、40塩基対、または30塩基対以内に存在し得る。一例として、このような変異は、最後から2番目のエクソンまたは最後のエクソンにフレームシフトをもたらす、ヌクレオチドの挿入または欠失を含み得る。別の例として、このような変異は、最後から2番目のエクソンのスキップをもたらすドナースプライス部位変異、及び最後のエクソンに早期終止コドンをもたらす後続のフレームシフトを含み得る。
一部の非ヒト動物では、変異は、プロフィブリリン−1のC末端切断産物(すなわち、アスプロシン)の破壊または除去(例えば、ヘテロ接合型除去)をもたらす。C末端切断産物の破壊または除去は、例えば、フリンファミリーのプロタンパク質転換酵素に対する塩基性アミノ酸認識配列の破壊から生じ得る。あるいは、C末端切断産物の破壊または除去は、例えば、C末端切断産物が切断されるように早期終止コドンを生成する変異から生じ得る。アスプロシンの破壊は、アスプロシンの産生の減少または活性の減少したアスプロシンの産生のいずれかをもたらす。一部の非ヒト動物では、Fbn1遺伝子は、最後から2番目のエクソンに変異を含む。例えば、Fbn1遺伝子の最後から2番目のエクソンは、最後から2番目のエクソンが配列番号26、27、または28と最適にアラインメントされる時に、野生型マウスFbn1(配列番号25)の最後から2番目のエクソンと比較して、配列番号26、27、または28の変異(それぞれMAID対立遺伝子8501、8520、及び8502の最後から2番目のエクソン)に対応する変異を含み得る。
一部の非ヒト動物では、配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質の変異Fbn1遺伝子によりコードされるFbn1タンパク質は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインメントされる時に、アミノ酸2710〜2780、アミノ酸2720〜2770、アミノ酸2730〜2760、またはアミノ酸2737〜2755の位置に対応する位置で切断される。例えば、コードタンパク質は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインメントされる時に、最後のアミノ酸が配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質のアミノ酸2737、アミノ酸2738、またはアミノ酸2755に対応する位置に存在するように切断することができる。同様に、コードタンパク質は、最後のアミノ酸が本明細書に記載のMAID 8501、8502、及び8520Fbn1多様体によりコードされる切断型Fbn1タンパク質の最後のアミノ酸に対応する位置に存在するように切断することができる。
別の例として、コードタンパク質は、配列番号8、42、もしくは43に記載の配列からなるC末端を有し得、またはコードタンパク質は、本明細書に記載のMAID 8501、8502、及び8520Fbn1多様体によりコードされるタンパク質のC末端に対応するC末端を有し得る。例えば、コードタンパク質は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、最後のアミノ酸が配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質のアミノ酸2737に対応する位置に存在するように切断することができ、コードタンパク質のC末端は、配列番号43に記載の配列からなる。別の例として、コードタンパク質は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、最後のアミノ酸が配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質のアミノ酸2738に対応する位置に存在するように切断することができ、コードタンパク質のC末端は、配列番号8に記載の配列からなる。別の例として、コードタンパク質は、コードタンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、最後のアミノ酸が配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質のアミノ酸2755に対応する位置に存在するように切断することができ、コードタンパク質のC末端は、配列番号42に記載の配列からなる。例示的な切断型Fbn1タンパク質としては、配列番号31、32、及び33が挙げられる。
Fbn1遺伝子は、Fbn1タンパク質をコードする既知の任意の遺伝子、例えば、Swiss−Prot及びGenBankデータベースに記載のものを指し、Fbn1タンパク質は、このようなデータベースまたは野生型配列と少なくとも95、96、97、98、もしくは99%の同一性を有する別の方法に記載されているようなこれらのタンパク質の多様体を含み、このような遺伝子のハイブリッドを含み、本明細書にさらに記載されるようなNPSCL様症状(例えば、先天性リポジストロフィー様症状)を生ずる変異により改変されたこのような任意の遺伝子またはこのような遺伝子のハイブリッドを含む。任意の変更が、NPSCL様症状を生じるように変異した残基以外に存在する場合、変更は、好ましくは、コード配列に影響を及ぼさないか、または、変更がコード配列に影響を及ぼす場合、好ましくは、保存的置換を導入することによりそのようにする。
本明細書に開示の非ヒト動物の一部では、内因性Fbn1遺伝子は、NPSCL様症状を生じるように変異させる。例示的なマウスフィブリリン−1配列は、アクセッション番号NM_007993.2またはUniProtアクセッション番号Q61554が割り当てられる。例示的なラットフィブリリン−1配列は、アクセッション番号NM_031825.1またはUniProtアクセッション番号Q9WUH8が割り当てられる。他の例示的なフィブリリン−1配列としては、アクセッション番号NM_001001771.1(ブタ)、NM_001287085.1(イヌ)、及びNM_174053.2(ウシ)が挙げられる。マウスFbn1遺伝子は、15q15−q21.1の第15染色体の長腕に位置する。あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるMegenis et al.(1991)Genomics 11:346−351。ヒトFBN1と同様に、それは、65のエクソンに高度にフラグメント化されている非常に大きな遺伝子である。あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるPereira et al.(1993)Hum.Mol.Genet.2:961−968。
内因性Fbn1遺伝子のこのような変異は、本明細書の他の箇所に開示されるように、NPSCLと診断された患者のヒトFBN1遺伝子において同定された変異と一致し得る。内因性Fbn1遺伝子(またはタンパク質)の残基(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸)は、特定の比較ウィンドウで最大の一致が得られるように2つの配列(例えば、Fbn1コード配列)を最適にアラインすることにより、ヒトFBN1遺伝子(またはタンパク質)の残基と一致すると判定することができ、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド(またはアミノ酸)配列の一部は、(付加または欠失を含まない)参照配列と比較した場合、2つの配列の最適なアラインメントが得られるように、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでもよい(例えば、配列同一性及び相補性に関して本明細書の他の箇所にある考察を参照のこと)。2つの残基は、最適にアラインされる時に同じ位置に位置する場合に、それらは対応する。
NPSCL様症状を生じるマウスFbn1遺伝子の変異の具体例は、c.8207_8208ins1bp(参照配列NM_007993.2または参照配列 配列番号20)である。本明細書に開示の一部の非ヒト動物は、Fbn1遺伝子がNM_007933.2または配列番号20と最適にアラインされる時、NM_007993.2または配列番号20のc.8207_8208ins1bpに対応する変異を有するFbn1遺伝子を含む。NPSCL様症状を生じ得るマウスFbn1遺伝子配列内の変異の具体例は、配列番号20(マウスWT Fbn1 cDNA)に対する配列番号21、22、もしくは23の変異、または配列番号25(WT Fbn1 cDNAの最後から2番目のエクソン)に対する配列番号26、27、もしくは28の変異である。NPSCL様症状を生じ得る変異マウスFbn1タンパク質の具体例は、配列番号31、32、及び33である。
本明細書に開示の他の非ヒト動物では、内因性Fbn1遺伝子の全部または一部が欠失しており、ヒトFbn1遺伝子由来の対応する配列と置換されている。例えば、ヒトFbn1遺伝子配列は、内因性Fbn1遺伝子座に位置し得る(すなわち、内因性Fbn1遺伝子座の全部または一部がヒト化されている)。このような非ヒト動物では、ヒトFBN1遺伝子の対応する配列は、NPSCL様症状を生じる変異を含み得る。例示的なヒトFBN1 cDNA配列は、アクセッション番号NM_000138.3が割り当てられ、例示的なヒトフィブリリン−1タンパク質配列は、Uniprotアクセッション番号P35555が割り当てられる。ヒトFBN1遺伝子中の特定の変異位置は、本明細書で言及される場合、FBN1 cDNAN M_000138.3(Ensembl転写産物FBN1−201=ENST00000316623)に関するものである。同様に、ヒトFBN1遺伝子イントロンまたはエクソンは、本明細書で言及される場合、参照配列NM_000138.3及びENST00000316623に関するものであり、エクソン番号付けは、ATG開始コドンの局在化に従ってエクソン2から開始する(すなわち、エクソン番号付けは、最初のコードエクソンから開始する)。変異位置の番号付けは、Human Genome Variation Society(ヒトゲノム変異学会)(HGVS)の配列多様体命名法(varnomen.hgvs.org)に基づいている。接頭辞「c」は、参照配列が(タンパク質コード転写物に基づく)コードDNA参照配列であることを示す。番号は、「ATG」翻訳開始(スタート)コドンの「A」の「c.1」で開始し、翻訳終止(ストップ)コドン(すなわち、TAA、TAG、またはTGA)の最後のヌクレオチドで終わる。イントロンの5’末端のヌクレオチドが、すぐ上流のエクソンの最後のヌクレオチドに対して番号付けされ、「+」(プラス)及びイントロンまでの位置が続く(例えば、c.87+1)。イントロンの3’末端のヌクレオチド、すぐ下流のエクソンの最初のヌクレオチドに対して番号付けされ、「−」(マイナス)及びイントロンからの位置が続く(例えば、c.88−3)。参照配列と比較した場合、1つのヌクレオチドが他の1つのヌクレオチドにより置き換えられる置換変異は、「接頭辞」「位置置換」「参照ヌクレオチド」>「新規ヌクレオチド」の形式である(例えば、c.123A>Gは、参照配列がコードDNA参照配列及び参照配列の123位の「A」が「G」で置換されていることを示す)。参照配列と比較した場合、1つ以上のヌクレオチドが存在しない欠失変異は、「接頭辞」「削除された位置(複数可)」「del」の形式である(例えば、c.123_127delは、コードDNA参照配列の123〜127位のヌクレオチドが欠失されていることを示す)。参照配列と比較して、1つ以上のヌクレオチドが挿入され、挿入が5’直近の配列のコピーではない挿入変異は、「接頭辞」、「フランキングする位置」、「ins」、「挿入された配列」の形式である(例えば、c.123_124insAGCは、配列AGCがコードDNA参照配列の123〜124位に挿入されることを示す)。参照配列と比較して、1つ以上のヌクレオチドが1つ以上の他のヌクレオチドにより置換されている(且つ変異が置換、反転、または変換ではない)挿入/欠失(挿入欠失)変異は、「接頭辞」「欠失した位置(複数可)「delins」「挿入された配列」の形式である(例えば、c.123_127delinsAGは、123〜127位の配列が欠失しており、コードDNA参照配列の配列「AG」と置換されている)。
好ましくは、変異は、ヒトFBN1配列と最適にアラインされる時に、ヒトFBN1配列におけるc.8100〜c.8300もしくはc.8150〜c.8250、または非ヒトFbn1配列における対応する位置に存在する。ヒトFBN1遺伝子における例示的な変異としては、フレームシフトをもたらすヌクレオチドの挿入または欠失が挙げられる。例えば、Takenouchi et al.(2013)Am.J.Med.Genet.Part A 161A:3057−3062;Graul−Neumann et al.(2010)Am.J.Med.Genet.A.152A(11):2749−2755;及びGoldblatt et al.(2011)Am.J.Med.Genet.A 155A(4):717−720(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。ヒトFBN1遺伝子におけるこのような変異の一例は、c.8155_8156delである。これは、コードエクソン64(最後から2番目のエクソン)における2つの塩基対の欠失であり、これは、p.Lys2719の17コドン下流の、後続の早期終止コドンを伴うフレームシフトを引き起こす。例えば、Graul−Neumann et al.(2010)Am.J.Med.Genet.A.152A(11):2749−2755を参照のこと。同じ早期終止コドンをもたらすフレームシフトをもたらす、ヒトFBN1遺伝子のこのような変異の別の例は、c.8156_8175delである。例えば、Goldblatt et al.(2011)Am.J.Med.Genet.A 155A(4):717−720を参照のこと。同じ早期終止コドンをもたらすフレームシフトをもたらすヒトFBN1遺伝子のこのような変異の別の例は、c.8175_8182delである。例えば、Takenouchi et al.(2013)Am.J.Med.Genet.Part A 161A:3057−3062を参照のこと。コードエクソン64に早期終止コドンをもたらすヒトFBN1遺伝子のこのような変異の別の例は、c.8206_8207insAである。例えば、Romere et al.(2016)Cell 165(3):566−579を参照のこと。本明細書に記載の非ヒト動物は、Fbn1遺伝子配列がアクセッション番号NM_000138.3に記載のcDNA配列に対応するヒトFBN1遺伝子と最適にアラインされる時に、これらの変異のいずれかに対応する変異を有するFbn1遺伝子を含み得る。
ヒトFBN1遺伝子における他の例示的な変異としては、最後から2番目のエクソン(エクソン64)のスキップ及び最後のエクソン(エクソン65)に早期終止コドンをもたらす後続のフレームシフトをもたらすドナースプライス部位変異が挙げられる。例えば、Horn and Robinson(2011)Am.J.Med.Genet.A.155A(4):721−724及びJacquinet et al.(2014)Eur.J.Med.Genet.57(5):203−234(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。ヒトFBN1遺伝子のこのような変異の一例は、c.8226+1G>Aである。例えば、Jacquinet et al.(2014)Eur.J.Med.Genet.57(5):203−234を参照のこと。ヒトFBN1遺伝子のこのような変異の別の例は、c.8226+1G>Tである。例えば、Horn and Robinson(2011)Am.J.Med.Genet.A.155A(4):721−724及びRomere et al.(2016)Cell 165(3):566−579を参照のこと。これらの変異は、イントロン64のスプライス供与部位に影響を及ぼして、高度に保存されたGTジヌクレオチドを変化させ、コードエクソン64のスキップ及びC末端フリン切断部位が変更される切断型プロフィブリリン−1の合成を可能にする安定なmRNAの産生をもたらす。エクソン64をスキップすると、コードエクソン65の初めにフレームシフト及び9番目の下流コドンでの早期終止コドンの生成をもたらす。
本明細書に記載の非ヒト動物は、Fbn1遺伝子配列がアクセッション番号NM_000138.3に記載のcDNA配列に対応するヒトFBN1遺伝子配列と最適にアラインされる時に、これらの変異のいずれかに対応する変異を有するFbn1遺伝子を含み得る。同様に、本明細書に記載の非ヒト動物は、変異型Fbn1遺伝子が本明細書に記載の任意の変異型ヒトFBN1遺伝子のいずれかによりコードされたヒトFBN1タンパク質のいずれかに対応するFbn1タンパク質をコードするように変異を有するFbn1遺伝子を含み得る。同様に、コードタンパク質は、最後のアミノ酸が本明細書に記載の変異型ヒトFBN1遺伝子のいずれかによりコードされた切断型Fbn1タンパク質の最後のアミノ酸に対応する位置に存在するように切断することができ、及び/または、本明細書に記載の変異型ヒトFBN1遺伝子のいずれかによりコードされた切断型Fbn1タンパク質のC末端と同一であるC末端を有し得る。
特定の例示的な変異型Fbn1対立遺伝子は、変異型マウスFbn1対立遺伝子である。例えば、変異型マウスFbn1対立遺伝子の変異は、−1フレームシフトを引き起こして、最後から2番目のエクソン(エクソン64)の3’末端またはFbn1の最終エクソン(エクソン65)の5’末端に早期終止コドンをもたらす、最後から2番目のエクソン(エクソン64)における挿入または欠失を含み得る。
一例として、この変異は、実施例2に記載の及び配列番号22に記載のMAID8520対立遺伝子のように、−1フレームシフトを引き起こして、エクソン65の5’末端に早期終止コドンをもたらす、エクソン64における挿入または欠失を含み得る。任意に、挿入または欠失は、変異を含むFbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時に、配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8241位に対応する位置の上流に存在し(例えば、8179位に対応する位置及び8180位に対応する位置の間の挿入)、及び/または、早期終止コドンは、変異を含むFbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時に、配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8241位に対応する位置に存在する。
別の例として、変異は、実施例1に記載の及び配列番号21に記載のMAID8501対立遺伝子または実施例2に記載の及び配列番号23に記載のMAID8502対立遺伝子のように、−1フレームシフトを引き起こして、最後から2番目のエクソン(エクソン64)の3’末端に早期終止コドンをもたらす、最後から2番目のエクソン(エクソン64)における挿入または欠失を含み得る。任意に、挿入または欠失は、変異を含むFbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時に、配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8214位に対応する位置の上流に存在し(例えば、8209位に対応する位置及び8210位に対応する位置の間の挿入、もしくは8161位に対応する位置で開始する欠失)、及び/または、早期終止コドンは、変異を含むFbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時に、配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8214位に対応する位置に存在する。
1つの例示的な変異型マウスFbn1対立遺伝子は、実施例1に記載の、及び配列番号21に記載のMAID8501対立遺伝子である。MAID8501対立遺伝子によりコードされたタンパク質は、配列番号31に記載されている。参照配列としてNM_007993.2を使用すると、この変異型Fbn1対立遺伝子中の変異は、c.8213_8214delinsACTである。c.8212及び8213の間にAを挿入すること、ならびに、c.8214でG>T置換を行うことにより生成されたこの変異は、エクソン64及び65の間の境界の19ヌクレオチド上流の、Fbn1の最後から2番目のエクソン(エクソン64)に早期終止コドンをもたらす。変異は、最後から2番目のエクソンから最後の50ヌクレオチド(最後の24ヌクレオチド)の範囲内に存在し、ナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)を免れて、変異型切断型プロフィブリリンタンパク質の発現をもたらすと予測される。
別の例示的なマウス対立遺伝子は、実施例2に記載の及び配列番号23に記載のMAID8502対立遺伝子である。MAID8502対立遺伝子によりコードされたタンパク質は、配列番号33に記載されている。これは、ヒトc.8155_8156del Fbn1対立遺伝子に対応する変異型Fbn1対立遺伝子であり、これは、p.Lys2719の17コドン下流の、後続の早期終止コドンを伴うフレームシフトを引き起こす、コードエクソン64(最後から2番目のエクソン)における2塩基対の欠失を有する。MAID8502対立遺伝子では、2つの塩基対の欠失は、エクソン64及び65の間の境界の71ヌクレオチド上流に存在する。この変異は、エクソン64及び65の間の境界の19ヌクレオチド上流の、マウスFbn1の最後から2番目のエクソン(エクソン64)に早期終止コドンをもたらす。
別の例示的なマウス対立遺伝子は、実施例2に記載の及び配列番号22に記載のMAID8520対立遺伝子である。MAID8520対立遺伝子によりコードされたタンパク質は、配列番号32に記載されている。参照配列としてNM_007993.2を使用すると、この変異型Fbn1対立遺伝子中の変異は、8179_8180insAGGCGGCCCAGAGCCACCTGCCAGCである。この変異は、エクソン64及び65の間の境界の54ヌクレオチド上流の、最後から2番目のエクソン(エクソン64)に、25−bp挿入(配列番号44に記載の挿入配列)を通して生成された。それは、マウスFbn1の最後から2番目のエクソン(エクソン64)にフレームシフトをもたらす。この変異は、エクソン64及び65の間の境界の9ヌクレオチド下流の、マウスFbn1の最終エクソン(エクソン65)に早期終止コドンをもたらす。
上記の例示的なマウスFbn1対立遺伝子のそれぞれは、マウスFbn1遺伝子の最後から2番目のエクソン(エクソン64)にフレームシフト変異をもたらす。各フレームシフト変異は、マウスFbn1遺伝子中の最後から2番目のエクソン(エクソン64)の3’末端内か、または最終エクソン(エクソン65)の5’末端内のいずれかに早期終止コドンをもたらす。各変異は、早期終止コドンをもたらすので、各変異は、プロフィブリリン−1のC末端開裂産物(すなわち、アスプロシン)を破壊または除去する。その理由は、C末端開裂産物が、産生される場合、同様に必然的に切断されることになるからである。加えて、上記の例示的なマウスFbn1対立遺伝子のそれぞれは、アスパラギン酸及びグルタミン酸に対して、リシン、アルギニン、及びヒスチジンがより多数であることに起因して、正荷電C末端をもたらす。MAID8501、MAID8502、及びMAID8520対立遺伝子によりコードされたFbn1タンパク質の最後の14アミノ酸は、それぞれ、配列番号45、46、及び47に記載されている。
C.非ヒト動物
本明細書に開示のように、任意の好適な非ヒト動物が、NPSCLのモデルとして使用することができる。このような非ヒト動物は、好ましくは、齧歯動物(例えば、ラット、マウス、及びハムスター)などの哺乳動物である。他の非ヒト哺乳動物としては、例えば、非ヒト霊長類、サル、類人猿、ネコ、イヌ、ウサギ、ウマ、雄牛、シカ、バイソン、家畜(例えば、雌牛、早期去勢牛などのウシ種;ヒツジ、ヤギなどのヒツジ種;ならびにブタ及びイノシシなどブタ種)が挙げられる。「非ヒト」という用語は、ヒトを除外する。
本明細書に開示の非ヒト動物モデルに用いられるマウスは、例えば、129株、C57BL/6株、BALB/c株、Swiss Webster株、129及びC57BL/6株の混合物、BALB/c及びC57BL/6株の混合物、129及びBALB/c株の混合物、ならびにBALB/c、C57BL/6、及び129株の混合物を含む、任意の株に由来し得る。例えば、マウスは、BALB/c株に少なくとも部分的に由来し得る(例えば、BALB/c株に少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%由来する、またはBALB/c株に約25%、約50%、約75%、または約100%に由来する)。一例では、マウスは、50%のBALB/c、25%のC57BL/6、及び25%の129を含む株を有する。あるいは、マウスは、BALB/cを除外する株または株の組み合わせを含み得る。
129株の例としては、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/Svlm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、及び129T2が挙げられる。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるFesting et al.(1999)Mammalian Genome 10(8):836を参照のこと。C57BL株の例としては、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/Kal_wN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、及びC57BL/Olaが挙げられる。本明細書で提供される非ヒト動物モデルに用いられるマウスは、また、上述の129株及び上述のC57BL/6株の混合物(例えば、50%の129及び50%のC57BL/6)にも由来し得る。同様に、本明細書で提供される非ヒト動物モデルに用いられるマウスは、上述の129株の混合物または上述のBL/6株の混合物(例えば、129S6(129/SvEvTac)株)に由来し得る。
本明細書で提供される非ヒト動物モデルに用いられるラットは、例えば、ACIラット株、ダークアグーチ(DA)ラット株、Wistarラット株、LEAラット株、Sprague Dawley(SD)ラット株、またはFisher F344もしくはFisher F6などのFischerラット株を含む任意のラット株に由来し得る。ラットは、上記で引用した2つ以上の株の混合物に由来する株にも由来し得る。例えば、ラットは、DA株またはACI株に由来し得る。ACIラット株は、白い腹部及び足ならびにRT1av1ハプロタイプを有する黒アグーチを有することを特徴とする。このような株は、Harlan Laboratoriesを含む様々な供給元から入手可能である。ダークアグーチ(DA)ラット株は、アグーチコート及びRT1av1ハプロタイプを有することを特徴とする。このようなラットは、Charles River及びHarlan Laboratoriesを含む様々な供給元から入手可能である。一部の場合では、ラットは、同系交配のラット株に由来する。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるUS2014/0235933A1を参照のこと。
II.先天性リポジストロフィーを伴う新生児早老症候群の動物モデルの生成
A.細胞におけるFbn1変異の生成
ヌクレアーゼ物質及び/または外因性修復テンプレートの使用により、細胞(例えば、多能性細胞または1細胞期胚)内のゲノムのFbn1遺伝子を改変するための種々の方法が提供される。方法は、in vitro、ex vivo、またはin vivoで生じ得る。ヌクレアーゼ物質は、単独で、または外因性修復テンプレートと組み合わせて使用することができる。あるいは、外因性修復テンプレートは、単独で、またはヌクレアーゼ物質と組み合わせて使用することができる。
二本鎖破断(DSB)に応答した修復は、主に2つの保存されたDNA修復経路:非相同末端結合(NHEJ)、及び相同組み換え(HR)を介して生じる。あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるKasparek & Humphrey(2011)Seminars in Cell & Dev.Biol.22:886−897を参照のこと。NHEJは、相同テンプレートを必要とせずに、破断末端を、互いにまたは外因性配列に直接ライゲーションすることによる、核酸における二本鎖破断の修復を含む。NHEJによる非連続配列のライゲーションは多くの場合、二本鎖破断部位の近くの欠失、挿入、または転座をもたらし得る。
外因性修復テンプレートにより媒介される標的核酸(例えば、Fbn1遺伝子)の修復は、2つのポリヌクレオチド間の遺伝情報の交換の任意のプロセスを含み得る。例えば、NHEJは、外因性修復テンプレートの末端との破断末端の直接ライゲーションを介して、外因性修復テンプレートの標的インテグレーションももたらし得る(すなわち、NHEJベースの捕捉)。このようなNHEJ媒介標的インテグレーションは、相同性指向修復(HDR)経路が(例えば、非***細胞、初代細胞、及び相同性ベースのDNA修復を不十分に実施する細胞において)容易に使用できない場合、外因性修復テンプレートの挿入について好ましい可能性がある。加えて、相同性指向修復とは対照的に、(Cas媒介切断により生成されたオーバーハングを超えて)切断部位に隣接する広い領域の配列同一性に関する知識は必要ではなく、これは、ゲノム配列の知識が限られているゲノムを有する生物への標的挿入を試みる時に、有益である可能性がある。インテグレーションは、外因性修復テンプレート及び切断されたゲノム配列の間の平滑末端のライゲーションを介して、または切断されたゲノム配列のCasタンパク質により生成されたものと適合するオーバーハングに隣接する外因性修復テンプレートを使用する(すなわち、5’もしくは3’を有する)突出末端のライゲーションを介して、進行し得る。例えば、US2011/020722、WO2014/033644、WO2014/089290、及びMaresca et al.(2013)Genome Res.23(3):539−546(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。平滑末端がライゲーションされる場合、標的及び/またはドナーの切除は、フラグメント結合に必要とされるマイクロホモロジーの生成領域に必要とされ得、これは、標的配列に望ましくない変更を生成し得る。
修復は、相同性指向修復(HDR)または相同組み換え(HR)を介して生じ得る。HDRまたはHRは、ヌクレオチド配列相同性を必要とすることができる核酸修復の形成を含み、「ターゲット」分子(すなわち、二本鎖破断を経験したもの)の修復のためのテンプレートとして「ドナー」分子を使用し、ドナーから標的への遺伝情報の伝達をもたらす。特定の理論に束縛されることを望まないが、このような導入は、分解された標的及びドナーの間に形成されるヘテロ二本鎖DNAのミスマッチ修正、及び/または標的の一部になる遺伝子情報を再合成するためにドナーが使用される合成依存鎖アニーリング、及び/または関連プロセスを含み得る。一部の場合では、ドナーポリヌクレオチド、ドナーポリヌクレオチドの一部、ドナーポリヌクレオチドのコピー、またはドナーポリヌクレオチドのコピーの一部は、標的DNAにインテグレートされる。Wang et al.(2013)Cell 153:910−918;Mandalos et al.(2012)PLOS ONE 7:e45768:1−9;及びWang et al.(2013)Nat Biotechnol.31:530−532(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。
ゲノムにおけるFbn1遺伝子への標的遺伝子改変は、Fbn1遺伝子内の標的ゲノム遺伝子座の5’標的配列にハイブリダイゼーションする5’ホモロジーアーム及びFbn1遺伝子内の標的ゲノム遺伝子座の3’標的配列にハイブリダイゼーションする3’相同性を含む外因性修復テンプレートと、細胞を接触させることにより生成することができる。外因性修復テンプレートは、Fbn1遺伝子に対する標的遺伝子改変を生成するために、標的ゲノム遺伝子座と組み換え得る。このような方法は、例えば、コードタンパク質のC末端切断をもたらす変異を含むように改変されたFbn1遺伝子をもたらし得る。外因性修復テンプレートの例は、本明細書の他の箇所に開示されている。
ゲノムにおけるFbn1遺伝子への標的遺伝子改変は、Fbn1遺伝子内の標的ゲノム遺伝子座の認識配列に、1つ以上のニックまたは二本鎖破断を誘導するヌクレアーゼ物質と、細胞を接触させることにより生成することもできる。このような方法は、例えば、コードタンパク質のC末端切断をもたらす変異を含むように改変されたFbn1遺伝子をもたらし得る。方法に使用することができるヌクレアーゼ物質の例及び変形形態は、本明細書の他の箇所に記載されている。
例えば、ゲノムにおけるFbn1遺伝子への標的遺伝子改変は、Casタンパク質及びFbn1遺伝子の標的ゲノム遺伝子座内の1つ以上のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする1つ以上のガイドRNAと、細胞を接触させることにより生成することができる。例えば、このような方法は、Casタンパク質及びFbn1遺伝子内のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションするガイドRNAと、細胞を接触させることを含み得る。Casタンパク質及びガイドRNAは、複合体を形成し、Casタンパク質は、ガイドRNA認識配列を切断する。Cas9タンパク質による切断は、(例えば、Cas9タンパク質がニッカーゼである場合)二本鎖破断または一本鎖破断を生成することができる。このような方法は、例えば、コードタンパク質のC末端切断をもたらす変異を含むように改変されたFbn1遺伝子をもたらし得る。方法に使用することができるCas9タンパク質及びガイドRNAの例及び変形形態は、本明細書の他の箇所に記載されている。
任意に、細胞は、Fbn1遺伝子の標的ゲノム遺伝子座内の追加のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする1つ以上の追加のガイドRNAとさらに接触させることができる。接合体を1つ以上の追加のガイドRNA(例えば、第2のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする第2のガイドRNA)と接触させることにより、Casタンパク質による切断は、(例えば、Casタンパク質がニッカーゼである場合)2つ以上の二本鎖破断または2つ以上の一本鎖破断を生成することができる。
任意に、細胞は、さらに、Fbn1遺伝子の標的ゲノム遺伝子座と組み換えて、標的遺伝子改変を生じる1つ以上の外因性修復テンプレートと接触させることができる。方法に使用することができる外因性修復テンプレートの例及び変形形態は、本明細書の他の箇所に開示されている。
Casタンパク質、ガイドRNA(複数可)、及び外因性修復テンプレート(複数可)は、本明細書の他の箇所に記載されるような任意の形態且つ任意の手段で、細胞に導入することができ、CASタンパク質、ガイドRNA(複数可)、及び外因性修復テンプレート(複数可)の全てまたは一部は、任意の組み合わせで同時または逐次的に導入することができる。
このような一部の方法では、外因性修復テンプレートによる標的核酸(例えば、Fbn1遺伝子)の修復は、相同性指向修復(HDR)を介して生じる。相同性指向修復は、Casタンパク質がFbn1遺伝子のDNAの両方の鎖を切断して二本鎖破断を生成する時か、Casタンパク質が標的核酸のDNAの1つの鎖を切断して一本鎖破断を生成するニッカーゼである時か、またはCasニッカーゼを使用して2つの補われたニックにより形成された二本鎖破断を生成する時に、生じ得る。このような方法では、外因性修復テンプレートは、5’及び3’標的配列に対応する5’及び3’ホモロジーアームを含む。ガイドRNA認識配列(複数可)または切断部位(複数可)は、5’標的配列に隣接するか、3’標的配列に隣接するか、5’標的配列及び3’標的配列の両方に隣接するか、または5’標的配列にも3’標的配列にも隣接しない可能性がある。任意に、外因性修復テンプレートは、5’及び3’ホモロジーアームに隣接した核酸インサートをさらに含み得、核酸インサートは、5’及び3’標的配列の間に挿入される。例えば、核酸インサートは、野生型非ヒト動物Fbn1配列と比較した時に、1つ以上の改変を含み得るか、またはそれは、野生型ヒトFBN1配列と比較した時に、1つ以上の改変を含むヒトFBN1コード配列の全部または一部を含み得る。核酸インサートが存在しない場合、外因性修復テンプレートは、5’及び3’標的配列の間のゲノム配列を欠失させるように機能し得る。外因性修復テンプレートの例は、本明細書の他の箇所に開示されている。
あるいは、外因性修復テンプレートにより媒介されるFbn1遺伝子の修復は、非相同末端結合(NHEJ)媒介ライゲーションを介して生じ得る。このような方法では、外因性修復テンプレートの少なくとも1つの末端は、Fbn1遺伝子のCas媒介切断により生成される少なくとも1つのオーバーハングに相補的である短い一本鎖領域を含む。外因性修復テンプレートの相補的末端は、核酸インサートに隣接し得る。例えば、外因性修復テンプレートの各末端は、Fbn1遺伝子のCas媒介切断により生成されるオーバーハングに相補的である短い一本鎖領域を含み得、外因性修復テンプレートのこれらの相補的領域は、核酸インサートに隣接し得る。例えば、核酸インサートは、野生型非ヒト動物Fbn1配列と比較した時に、1つ以上の改変を含み得るか、またはそれは、野生型ヒトFBN1配列と比較した時に、1つ以上の改変を含むヒトFBN1コード配列の全部または一部を含み得る。
オーバーハング(すなわち、付着末端)は、Cas媒介切断により生成される二本鎖破断の平滑末端の切除により生成することができる。このような切除は、フラグメント結合に必要とされるマイクロホモロジーの領域を生じさせ得るが、これは、Fbn1遺伝子の望ましくないまたは制御不可能な改変を生成し得る。あるいは、このようなオーバーハングは、対になったCasニッカーゼを使用することにより生成することができる。例えば、細胞を、DNAの対向鎖を切断する第1及び第2のニッカーゼと接触させることができ、それにより、ゲノムは、ダブルニッキングにより改変される。これは、細胞を第1のCasタンパク質ニッカーゼ、Fbn1遺伝子の標的ゲノム遺伝子座内の第1のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする第1のガイドRNA、第2のCasタンパク質ニッカーゼ、及びFbn1遺伝子の標的ゲノム遺伝子座内の第2のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする第2のガイドRNAと接触させることにより達成することができる。第1のCasタンパク質及び第1のガイドRNAは、第1の複合体を形成し、第2のCasタンパク質及び第2のガイドRNAは、第2の複合体を形成する。第1のCasタンパク質ニッカーゼは、第1のガイドRNA認識配列内のゲノムDNAの第1の鎖を切断し、第2のCasタンパク質ニッカーゼは、第2のガイドRNA認識配列内のゲノムDNAの第2の鎖を切断し、任意に、外因性修復テンプレートは、標的遺伝子改変を生じさせるように、Fbn1遺伝子の標的ゲノム遺伝子座で組み換えする。
第1のニッカーゼは、ゲノムDNAの第1の鎖(すなわち、相補鎖)を切断することができ、第2のニッカーゼは、ゲノムDNAの第2の鎖(すなわち、非相補鎖)を切断することができる。第1及び第2のニッカーゼは、例えば、Cas9のRuvCドメインの触媒残基を変異させること(例えば、本明細書の他の箇所に記載のD10A変異)、またはCas9のHNHドメインの触媒残基を変異させること(例えば、本明細書の他の箇所に記載のH840A変異)により生成することができる。このような方法では、ダブルニッキングは、付着末端(すなわち、オーバーハング)を有する二本鎖破断を作成するために用いることができる。第1及び第2のガイドRNA認識配列は、DNAの第1及び第2の鎖上に第1及び第2のニッカーゼにより生成されたニックが二本鎖破断を生成するように切断部位を生成するように配置することができる。オーバーハングは、第1及び第2のCRISPR RNA認識配列内のニックが補われる時、生成される。オフセットウィンドウは、例えば、少なくとも約5bp、10bp、20bp、30bp、40bp、50bp、60bp、70bp、80bp、90bp、100bpまたはそれ以上とし得る。例えば、Ran et al.(2013)Cell 154:1380−1389;Mali et al.(2013)Nat.Biotech.31:833−838;及びShen et al.(2014)Nat.Methods 11:399−404を参照のこと。
B.ヌクレアーゼ物質
所望の認識配列へのニックまたは二本鎖破断を誘導する任意のヌクレアーゼ物質は、本明細書に開示の方法及び組成物に使用することができる。天然に存在するまたは天然ヌクレアーゼ物質は、ヌクレアーゼ物質が所望の認識配列においてニックまたは二本鎖破断を誘導する限り用いることができる。あるいは、改変または操作されたヌクレアーゼ物質を使用することができる。「操作されたヌクレアーゼ物質」は、所望の認識配列においてニックまたは二本鎖破断を特異的に認識及び誘導するように天然型から操作された(改変または誘導された)ヌクレアーゼを含む。従って、操作されたヌクレアーゼ物質は、天然の、天然に存在するヌクレアーゼ物質から誘導することができ、またはそれは、人工的に生成もしくは合成することができる。操作されたヌクレアーゼは、認識配列のニックまたは二本鎖破断を誘導することができ、例えば、認識配列は、天然の(未操作または未改変)ヌクレアーゼ物質により認識されている配列ではない。ヌクレアーゼ物質の改変は、タンパク質切断剤のわずか1アミノ酸、または核酸切断剤の1ヌクレオチドとし得る。認識配列または他のDNAにおいてニックまたは二本鎖破断を産生することは、本明細書では、認識配列または他のDNAを「切断すること(cutting)」または「切断すること(cleaving)」と称することができる。
ヌクレアーゼ物質の活性多様体及びフラグメント(すなわち、操作されたヌクレアーゼ物質)もまた提供される。このような活性多様体は、天然ヌクレアーゼ物質と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を含み得、活性多様体は、所望の認識配列で切断し、従って、ニックまたは二本鎖破断誘導活性を保持する。例えば、本明細書に記載のヌクレアーゼ物質のいずれかは、天然のエンドヌクレアーゼ配列から改変することができ、天然ヌクレアーゼ物質により認識されなかった認識配列にニックまたは二本鎖破断を認識及び誘導するように設計することができる。従って、一部の操作されたヌクレアーゼは、対応する天然のヌクレアーゼ物質認識配列とは異なる認識配列でニックまたは二本鎖破断を誘導する特異性を有する。ニックまたは二本鎖破断誘導活性についてのアッセイは、既知であり、一般に、認識配列を含有するDNA基質上のエンドヌクレアーゼの全体的な活性及び特異性を測定する。
「ヌクレアーゼ物質に対する認識配列」という用語は、ニックまたは二本鎖破断がヌクレアーゼ物質により誘導されるDNA配列を含む。ヌクレアーゼ物質に対する認識配列は、細胞に対し内因性(または固有)であり得るか、または認識配列は、細胞に対し外因性であり得る。細胞に対し外因性である認識配列は、細胞のゲノムに天然に存在しない。認識配列は、標的遺伝子座に配置されることが望まれる目的のポリヌクレオチドに対しても外因性であり得る。一部の場合では、認識配列は、宿主細胞のゲノムに一度だけ存在する。
例示された認識配列の活性多様体及びフラグメントもまた提供される。このような活性多様体は、所与の認識配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を含み得、活性多様体は、生物学的活性を保持し、従って、配列特異的に、ヌクレアーゼ物質により認識及び切断されることが可能である。ヌクレアーゼ物質による認識配列の二本鎖破断を測定するためのアッセイは、当該技術分野で既知である(例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるTAQMAN(登録商標)qPCR assay,Frendewey et al.(2010)Methods in Enzymology 476:295−307)。
認識配列の長さは、変動し得、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)対の場合に約30〜36bp(すなわち、各ZFNの場合に約15〜18bp)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)の場合に約36bp、またはCRISPR/Cas9ガイドRNAの場合に約20bpである認識配列を含む。
ヌクレアーゼ物質の認識配列は、標的ゲノム遺伝子座のどこかに、またはその近傍に、配置することができる。認識配列は、遺伝子(例えば、Fbn1遺伝子)のコード領域内に、または遺伝子の発現に影響を及ぼす制御領域内に位置し得る。ヌクレアーゼ物質の認識配列は、イントロン、エクソン、プロモーター、エンハンサー、制御領域、または任意の非タンパク質コード領域に位置し得る。
本明細書に開示の種々の方法及び組成物に用いることができる1種のヌクレアーゼ物質は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)である。TALエフェクターヌクレアーゼは、原核生物または真核生物のゲノム中の特定の標的配列で二本鎖破断を行うために使用することができる配列特異的ヌクレアーゼのクラスである。TALエフェクターヌクレアーゼは、FokIなどのエンドヌクレアーゼの触媒ドメインに、天然のまたは操作され転写活性化因子様(TAL)エフェクター、またはその機能的部分を融合することにより生成される。独特のモジュールTALエフェクターDNA結合ドメインは、任意の所与のDNA認識特異性を潜在的に有するタンパク質の設計が可能になる。従って、TALエフェクターヌクレアーゼのDNA結合ドメインは、特異的なDNA標的部位を認識するように操作することができ、従って、所望の標的配列で二本鎖破断を行うために使用することができる。WO2010/079430;Morbitzer et al.(2010)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.107(50:21617−21622;Scholze & Boch(2010)Virulence 1:428−432;Christian et al.(2010)Genetics 186:757−761;Li et al.(2011)Nucleic Acids Res.39(1):359−372;及びMiller et al.(2011)Nature Biotechnology 29:143−148(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。
好適なTALヌクレアーゼの例、及び好適なTALヌクレアーゼを調製する方法は、例えば、US2011/0239315A1、US2011/0269234A1、US2011/0145940A1、US2003/0232410A1、US2005/0208489A1、US2005/0026157A1、US2005/0064474A1、US2006/0188987A1、及びUS2006/0063231A1に開示され、これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる。種々の実施形態では、例えば、目的のゲノム遺伝子座の標的核酸配列で、またはその近傍で切断するTALエフェクターヌクレアーゼが操作され、標的核酸配列は、外因性修復テンプレートにより改変されるべき配列に、またはその近くに存在する。本明細書で提供される種々の方法及び組成物と共に使用するのに適するTALヌクレアーゼは、本明細書の他の箇所に記載されるように、外因性修復テンプレートにより改変されるべき標的核酸配列で、またはその近くで結合するように具体的に設計されたものを含む。
一部のTALENでは、TALENの各モノマーは、2つの超可変残基を介して単一の塩基対を認識する33〜35のTALリピートを含む。一部のTALENでは、ヌクレアーゼ物質は、FokIエンドヌクレアーゼなどの独立したヌクレアーゼに作動可能に連結されたTALリピートベースのDNA結合ドメインを含むキメラタンパク質である。例えば、ヌクレアーゼ物質は、第1のTALリピートベースのDNA結合ドメイン及び第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインを含み得、第1及び第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインのそれぞれは、FokIヌクレアーゼに作動可能に連結され、第1及び第2のTALリピートベースのDNA結合ドメインは、様々な長さ(12〜20塩基対)のスペーサー配列により隔てられている標的DNA配列の各鎖の2つの連続的な標的DNA配列を認識し、FokIヌクレアーゼサブユニットは、標的配列で二本鎖破断をもたらす活性ヌクレアーゼを生成する。
本明細書に開示の種々の方法及び組成物に用いることができるヌクレアーゼ物質の別の例は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)である。一部のZFNでは、ZFNの各モノマーは、3つ以上のジンクフィンガーベースのDNA結合ドメインを含み、各ジンクフィンガーベースのDNA結合ドメインは、3bpのサブサイトに結合する。他のZFNでは、ZFNは、FokIエンドヌクレアーゼなどの独立したヌクレアーゼに作動可能に連結されたジンクフィンガーベースのDNA結合ドメインを含むキメラタンパク質である。例えば、ヌクレアーゼ物質は、第1のZFN及び第2のZFNを含み得、第1のZFN及び第2のZFNのそれぞれは、FokIヌクレアーゼサブユニットに作動可能に連結され、第1及び第2のZFNは、約5〜7bpのスペーサーにより隔てられている標的DNA配列の各鎖の2つの連続的な標的DNA配列を認識し、FokIヌクレアーゼサブユニットは、二量体化して二本鎖破断をもたらす活性ヌクレアーゼを生成する。例えば、US2006/0246567;US2008/0182332;US2002/0081614;US2003/0021776;WO2002/057308A2;US2013/0123484;US2010/0291048;WO2011/017293A2;及びGaj et al.(2013)Trends in Biotechnology 31(7):397−405(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。
本明細書に開示の種々の方法及び組成物に用いることができる別の種類のヌクレアーゼ物質は、メガヌクレアーゼである。メガヌクレアーゼは、保存された配列モチーフに基づいて4つのファミリー:LAGLIDADG、GIY−YIG、H−N−H、及びHis−Cysボックスファミリーに分類されている。これらのモチーフは、金属イオンの配位及びホスホジエステル結合の加水分解に関与する。メガヌクレアーゼは、それらの長い認識配列及びそれらのDNA基質における一部の配列多型を許容することで有名である。メガヌクレアーゼドメイン、構造、及び機能は、既知である。例えば、Guhan and Muniyappa(2003)Crit Rev Biochem Mol Biol.38:199−248;Lucas et al.(2001)Nucleic Acids Res.29:960−969;Jurica and Stoddard,(1999)Cell Mol Life Sci 55:1304−1326;Stoddard(2006)Q Rev Biophys 38:49−95;及びMoure et al.(2002)Nat Struct Biol 9:764を参照のこと。一部の例では、天然に存在する多様体及び/または操作された誘導体メガヌクレアーゼが使用される。動力学、補因子相互作用、発現、最適条件、及び/または認識配列特異性が既知であり、活性についてスクリーニングするための方法が既知である。例えば、Epinat et al.,(2003)Nucleic Acids Res.31:2952−2962;Chevalier et al.(2002)Mol.Cell 10:895−905;Gimble et al.(2003)Mol.Biol.334:993−1008;Seligman et al.(2002)Nucleic Acids Res.30:3870−3879;Sussman et al.(2004)J.Mol.Biol.342:31−41;Rosen et al.(2006)Nucleic Acids Res.34:4791−4800;Chames et al.(2005)Nucleic Acids Res.33:e178;Smith et al.(2006)Nucleic Acids Res.34:e149;Gruen et al.(2002)Nucleic Acids Res.30:e29;Chen and Zhao(2005)Nucleic Acids Res 33:e154;WO2005/105989;WO2003/078619;WO2006/097854;WO2006/097853;WO2006/097784;及びWO2004/031346(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。
例えば、I−SceI、I−SceII、I−SceIII、I−SceIV、I−SceV、I−SceVI、I−SceVII、I−CeuI、I−CeuAIIP、I−CreI、I−CrepsbIP、I−CrepsbIIP、I−CrepsbIIIP、I−CrepsbIVP、I−TliI、I−PpoI、PI−PspI、F−SceI、F−SceII、F−SuvI、F−TevI、F−TevII、I−AmaI、I−AniI、I−ChuI、I−CmoeI、I−CpaI、I−CpaII、I−CsmI、I−CvuI、I−CvuAIP、I−DdiI、I−DdiII、I−DirI、I−DmoI、I−HmuI、I−HmuII、I−HsNIP、I−LlaI、I−MsoI、I−NaaI、I−NanI、I−NcIIP、I−NgrIP、I−NitI、I−NjaI、I−Nsp236IP、I−PakI、I−PboIP、I−PcuIP、I−PcuAI、I−PcuVI、I−PgrIP、I−PobIP、I−PorI、I−PorIIP、I−PbpIP、I−SpBetaIP、I−ScaI、I−SexIP、I−SneIP、I−SpomI、I−SpomCP、I−SpomIP、I−SpomIIP、I−SquIP、I−Ssp6803I、I−SthPhiJP、I−SthPhiST3P、I−SthPhiSTe3bP、I−TdeIP、I−TevI、I−TevII、I−TevIII、I−UarAP、I−UarHGPAIP、I−UarHGPA13P、I−VinIP、I−ZbiIP、PI−MtuI、PI−MtuHIP、PI−MtuHIIP、PI−PfuI、PI−PfuII、PI−PkoI、PI−PkoII、PI−Rma43812IP、PI−SpBetaIP、PI−SceI、PI−TfuI、PI−TfuII、PI−ThyI、PI−TliI、PI−TliII、またはその任意の活性多様体もしくはフラグメントを含む任意のメガヌクレアーゼを使用することができる。
メガヌクレアーゼは、例えば、12〜40塩基対の二本鎖DNA配列を認識し得る。一部の場合では、メガヌクレアーゼは、ゲノムにおいて完全に一致した1つ標的配列を認識する。
一部のメガヌクレアーゼは、ホーミングヌクレアーゼである。1種のホーミングヌクレアーゼは、例えば、I−SceI、I−CreI、及びI−Dmolを含む、LAGLIDADGファミリーのホーミングヌクレアーゼである。
好適なヌクレアーゼ物質は、I型、II型、III型、及びIV型エンドヌクレアーゼを含む制限エンドヌクレアーゼも含む。I型及びIII型制限エンドヌクレアーゼは、特異的な認識配列を認識するが、通常は、切断部位(認識配列)から数百塩基対離れて存在し得るヌクレアーゼ結合部位からの可変位置で切断する。II型システムでは、制限活性は、任意のメチラーゼ活性に依存せず、切断は通常、結合部位内で、またはその近傍の特定の部位で生じる。ほとんどのII型酵素は、パリンドローム配列を切断する。しかし、IIa型酵素は、非パリンドローム認識配列を認識し、認識配列の外側で切断し、IIb型酵素は、認識配列の外側の両方の部位で配列を2回切断し、IIs型酵素は、非対称認識配列を認識し、片側で且つ認識配列から約1〜20ヌクレオチドの規定された距離で切断する。IV型制限酵素は、メチル化DNAを標的とする。制限酵素は、例えば、REBASEデータベース(rebase.neb.comのウェブページ;Roberts et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:418−420;Roberts et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:1805−1812;及びBelfort et al.(2002)in Mobile DNA II,pp.761−783,Eds.Craigie et al.,(ASM Press,Washington,DC)にさらに記載及び分類され、これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる。
本明細書に記載の方法及び組成物に使用される他の好適なヌクレアーゼ物質は、本明細書の他の場所に記載されているCRISPR−Casシステムを含む。
ヌクレアーゼ物質は、当該技術分野に既知の任意の手段により細胞に導入されてもよい。ヌクレアーゼ物質をコードするポリペプチドは、細胞に直接導入されてもよい。あるいは、ヌクレアーゼ物質をコードするポリヌクレオチドを、細胞に導入することができる。ヌクレアーゼ物質をコードするポリヌクレオチドが細胞に導入される時、ヌクレアーゼ物質は、細胞内で、一過性で、条件付きで、または構成的に発現させることができる。例えば、ヌクレアーゼ物質をコードするポリヌクレオチドは、発現カセットに含有することができ、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、または組織特異的プロモーターに作動可能に連結することができる。このようなプロモーターは、本明細書の他の箇所でさらに詳細に考察されている。あるいは、ヌクレアーゼ物質は、ヌクレアーゼ物質をコードするmRNAとして細胞に導入することができる。
ヌクレアーゼ物質をコードするポリヌクレオチドは、細胞のゲノムに安定的にインテグレートすることができ、細胞において活性なプロモーターに作動可能に連結することができる。あるいは、ヌクレアーゼ物質をコードするポリヌクレオチドは、標的化ベクター中に、またはインサートポリヌクレオチドを含む標的化ベクターから分離されるベクターもしくはプラスミド中に存在し得る。
ヌクレアーゼ物質が、ヌクレアーゼ物質をコードするポリヌクレオチドの導入により細胞に提供される時、ヌクレアーゼ物質をコードするこのようなポリヌクレオチドは、ヌクレアーゼ物質をコードする天然に存在するポリヌクレオチド配列と比較して、目的の細胞においてより高い使用頻度を有するコドンを置換するように改変することができる。例えば、ヌクレアーゼ物質をコードするポリヌクレオチドは、天然に存在するポリヌクレオチド配列と比較した場合、細菌細胞、酵母細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳動物細胞、齧歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、または目的の他の任意の宿主細胞を含む、目的の所与の原核または真核細胞のより高い使用頻度を有するコドンを置換するように改変することができる。
C.CRISPR−Casシステム
本明細書に開示の方法は、細胞内のゲノムを改変するために、Clustered Regularly Interspersed Short Palindromic Repeats(CRISPR)/CRISPR関連(Cas)システムまたはこのようなシステムの構成要素を利用し得る。CRISPR−Casシステムは、転写物及びCas遺伝子の発現に関与するか、またはその活性を導く他の要素を含む。CRISPR−Casシステムは、I型、II型、またはIII型システムとし得る。あるいは、CRISPR/Casシステムは、例えば、V型システム(例えば、サブタイプV−AまたはサブタイプV−B)とし得る。本明細書に開示の方法及び組成物は、核酸の部位特異的切断のためにCRISPR複合体(Casタンパク質と複合体化したガイドRNA(gRNA)を含む)を利用することによりCRISPR−Casシステムを用い得る。
本明細書に開示の方法に使用されるCRISPR−Casシステムは、天然に存在しない。「天然に存在しない」システムは、天然に存在する段階から変更もしくは変異させる、それらが事実上天然に関連する少なくとも1つの他の構成要素が少なくとも実質上ない、またはそれらが天然に関連しない少なくとも1つの他の構成要素と関連する、システムの1つ以上の構成要素などの、人の手の関与を示すものを含む。例えば、一部のCRISPR−Casシステムは、天然には一緒に生じないgRNA及びCasタンパク質を含む天然に存在しないCRISPR複合体を用いる。
(1)Casタンパク質
Casタンパク質は一般に、ガイドRNA(gRNA、以下により詳細に記載される)と相互作用し得る少なくとも1つのRNA認識または結合ドメインを含む。Casタンパク質は、ヌクレアーゼドメイン(例えば、DNaseまたはRNaseドメイン)、DNA結合ドメイン、ヘリカーゼドメイン、タンパク質−タンパク質相互作用ドメイン、二量体化ドメイン、及び他のドメインも含み得る。ヌクレアーゼドメインは、核酸分子の共有結合の破断を含む核酸切断のための触媒活性を有する。切断は、平滑末端または付着末端を生成し得、それは、一本鎖または二本鎖とし得る。例えば、野生型Cas9タンパク質は通常、平滑切断産物を生成するであろう。あるいは、野生型Cpf1タンパク質(例えば、FnCpf1)は、5−ヌクレオチドの5’オーバーハングを有する切断産物をもたらす可能性があり、切断は、非標的鎖上のPAM配列から18番目の塩基対の後ろで、且つ標的鎖上の23番目の後ろで生じる。Casタンパク質は、Fbn1遺伝子の二本鎖破断(例えば、平滑末端を有する二本鎖破断)を生成するための完全な切断活性を有し得るか、またはそれは、Fbn1遺伝子の一本鎖破断を生成するニッカーゼとし得る。
Casタンパク質の例としては、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5e(CasD)、Cas6、Cas6e、Cas6f、Cas7、Cas8a1、Cas8a2、Cas8b、Cas8c、Cas9(Csn1またはCsx12)、Cas10、Casl0d、CasF、CasG、CasH、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1(CasA)、Cse2(CasB)、Cse3(CasE)、Cse4(CasC)、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、及びCu1966、ならびにそのホモログまたは改変バージョンが挙げられる。
好ましくは、Casタンパク質は、Cas9タンパク質であるか、またはII型CRISPR−CasシステムのCas9タンパク質に由来する。Cas9タンパク質は、II型CRISPR−CASシステムからのものであり、通常、保存されたアーキテクチャを有する4つの重要なモチーフを共有する。モチーフ1、2、及び4は、RuvC様モチーフであり、モチーフ3は、HNHモチーフである。例示的なCas9タンパク質は、Streptococcus pyogenes、Streptococcus thermophilus、Streptococcus sp.、Staphylococcus aureus、Nocardiopsis dassonvillei、Streptomyces pristinaespiralis、Streptomyces viridochromogenes、Streptomyces viridochromogenes、Streptosporangium roseum、Streptosporangium roseum、Alicyclobacillus acidocaldarius、Bacillus pseudomycoides、Bacillus selenitireducens、Exiguobacterium sibiricum、Lactobacillus delbrueckii、Lactobacillus salivarius、Microscilla marina、Burkholderiales bacterium、Polaromonas naphthalenivorans、Polaromonas sp.、Crocosphaera watsonii、Cyanothece sp.、Microcystis aeruginosa、Synechococcus sp.、Acetohalobium arabaticum、Ammonifex degensii、Caldicelulosiruptor becscii、Candidatus Desulforudis、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Finegoldia magna、Natranaerobius thermophilus、Pelotomaculum thermopropionicum、Acidithiobacillus caldus、Acidithiobacillus ferrooxidans、Allochromatium vinosum、Marinobacter sp.、Nitrosococcus halophilus、Nitrosococcus watsoni、Pseudoalteromonas haloplanktis、Ktedonobacter racemifer、Methanohalobium evestigatum、Anabaena variabilis、Nodularia spumigena、Nostoc sp.、Arthrospira maxima、Arthrospira platensis、Arthrospira sp.、Lyngbya sp.、Microcoleus chthonoplastes、Oscillatoria sp.、Petrotoga mobilis、Thermosipho africanus、またはAcaryochloris marinaに由来する。Cas9ファミリーメンバーのさらなる例は、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるWO2014/131833に記載される。S.pyogenes由来のCas9(SwissProtアクセッション番号Q99ZW2が割り当てられる)が好ましい酵素である。S.aureus由来のCas9(UniProtアクセッション番号J7RUA5が割り当てられる)が別の好ましい酵素である。
Casタンパク質の別の例は、Cpf1(Prevotella及びFrancisella 1からのCRISPR)タンパク質である。Cpf1は、Cas9の特徴的なアルギニン富化クラスターとの対応物を伴うCas9の対応するドメインと相同のRuvC様ヌクレアーゼドメインを含有する大きなタンパク質(約1300アミノ酸)である。しかし、Cpf1は、Cas9タンパク質に存在するHNHヌクレアーゼドメインを欠損しており、RuvC様ドメインは、それがHNHドメインを含む長いインサートを含有するCas9とは対照的に、Cpf1配列において隣接している。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるZetsche et al.(2015)Cell 163(3):759−771を参照のこと。例示的なCpf1タンパク質は、Francisella tularensis 1、Francisella tularensis subsp.novicida、Prevotella albensis、Lachnospiraceae bacterium MC2017 1、Butyrivibrio proteoclasticus、Peregrinibacteria bacterium GW2011_GWA2_33_10、Parcubacteria bacterium GW2011_GWC2_44_17、Smithella sp.SCADC、Acidaminococcus sp.BV3L6、Lachnospiraceae bacterium MA2020、Candidatus Methanoplasma termitum、Eubacterium eligens、Moraxella bovoculi 237、Leptospira inadai、Lachnospiraceae bacterium ND2006、Porphyromonas crevioricanis 3、Prevotella disiens、及びPorphyromonas macacaeに由来する。Francisella novicida U112由来のCpf1(FnCpf1;UniProtアクセッション番号A0Q7Q2が割り当てられる)は、好ましい酵素である。
Casタンパク質は、野生型タンパク質(すなわち、事実上生じるもの)、改変Casタンパク質(すなわち、Casタンパク質多様体)、または野生型もしくは改変Casタンパク質のフラグメントとし得る。Casタンパク質はまた、野生型または改変Casタンパク質の活性多様体またはフラグメントとし得る。活性多様体またはフラグメントは、野生型もしくは改変Casタンパク質またはそれらの部分と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を含み得、活性多様体は、所望の切断部位で切断し、これ以降、ニック誘導または二本鎖破断誘導活性を保持する能力を保持する。ニック誘導または二本鎖破断誘導活性についてのアッセイは、既知であり、一般に、切断部位を含有するDNA基質上のCasタンパク質の全体的な活性及び特異性を測定する。
Casタンパク質は、核酸結合親和性、核酸結合特異性、及び酵素活性のうちの1つ以上を増加または減少させるように改変することができる。Casタンパク質は、安定性などのタンパク質の他の任意の活性または特性を変えるために改変することもできる。例えば、Casタンパク質の1つ以上のヌクレアーゼドメインを修飾、欠失、もしくは不活化することができるか、またはCasタンパク質は、タンパク質の機能に必須ではないドメインを除去するために、もしくはCasタンパク質の活性を最適化(例えば、増強もしくは低減)するために、切断することができる。
Casタンパク質は、DNaseドメインなどの少なくとも1つのヌクレアーゼドメインを含み得る。例えば、野生型Cpf1タンパク質は一般に、おそらく、二量体配置で標的DNAの両方の鎖を切断するRuvC様ドメインを含む。Casタンパク質は、DNaseドメインなどの少なくとも2つのヌクレアーゼドメインを含み得る。例えば、野生型Cas9タンパク質は一般に、RuvC様ヌクレアーゼドメイン及びHNH様ヌクレアーゼドメインを含む。RuvC及びHNHドメインはそれぞれ、DNAにおける二本鎖破断を行う二本鎖DNAの異なる鎖を切断し得る。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるJinek et al.(2012)Science 337:816−821を参照のこと。
ヌクレアーゼドメインの一方または両方は、それらがもはや機能的ではないか、またはヌクレアーゼ活性の低減を有するように、欠失または変異させることができる。ヌクレアーゼドメインの1つが、欠失または変異している場合、得られるCasタンパク質(例えば、Cas9)は、ニッカーゼと呼ぶことができ、二本鎖DNA内のガイドRNA認識配列で一本鎖破断を生じさせることができるが、二本鎖破断を生じない(すなわち、それは、相補鎖または非相補鎖を切断することができるが、両方を切断することができない)。ヌクレアーゼドメインの両方が欠失または変異している場合、得られるCasタンパク質(例えば、Cas9)は、二本鎖DNAの両方の鎖を切断する能力の低減を有するであろう(例えば、ヌクレアーゼヌルCasタンパク質)。Cas9をニッカーゼに変換する変異の例は、S.pyogenes由来のCas9のRuvCドメインにおけるD10A(Cas9の10位でのアスパラギン酸塩からアラニンへの)変異である。同様に、S.pyogenes由来のCas9のHNHドメインのH939A(アミノ酸839位でヒスチジンからアラニンへ)またはH840A(アミノ酸840位のヒスチジンからアラニンへ)は、Cas9をニッカーゼに変換し得る。Cas9をニッカーゼに変換する変異の他の例としては、S.thermophilus由来のCas9への対応する変異が挙げられる。例えば、Sapranauskas et al.(2011)Nucleic Acids Research 39:9275−9282及びWO2013/141680(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。このような変異は、部位特異的変異導入、PCR媒介変異導入、または全遺伝子合成などの方法を使用して生成することができる。ニッカーゼを生成する他の変異の例は、例えば、WO2013/176772及びWO2013/142578に見出すことができ、これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる。
Casタンパク質は、融合タンパク質として異種ポリペプチドに作動可能に連結することもできる。例えば、Casタンパク質は、切断ドメイン、エピジェネティック改変ドメイン、転写活性化ドメイン、または転写リプレッサードメインに融合させることができる。あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるWO2014/089290を参照のこと。CASタンパク質は、安定性の増加または減少を提供する異種ポリペプチドに融合させることもできる。融合ドメインまたは異種ポリペプチドは、N末端、C末端、またはCasタンパク質内の内部に位置し得る。
Cas融合タンパク質の例は、細胞内局在をもたらす異種ポリペプチドに融合したCasタンパク質である。このような異種ポリペプチドは、例えば、核を標的とするSV40 NLS、ミトコンドリアを標的とするためのミトコンドリア局在化シグナル、ER保持シグナルなどの1つ以上の核局在化シグナル(NLS)を含み得る。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるLange et al.(2007)J.Biol.Chem.282:5101−5105を参照のこと。このような細胞内局在化シグナルは、N末端、C末端、またはCasタンパク質内のどこかに位置し得る。NLSは、塩基性アミノ酸のストレッチを含み得、単節型配列または双節型配列とし得る。
Casタンパク質は、細胞透過性ドメインに作動可能に連結することもできる。例えば、細胞透過性ドメインは、HIV−1 TATタンパク質、ヒトB型肝炎ウイルス由来のTLM細胞透過性モチーフ、MPG、Pep−1、VP22、単純ヘルペスウイルス由来の細胞透過性ペプチド、またはポリアルギニンペプチド配列に由来し得る。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるWO2014/089290を参照のこと。細胞透過ドメインは、N末端、C末端、またはCasタンパク質内のどこかに位置し得る。
Casタンパク質は、追跡または精製を容易にするために、蛍光タンパク質、精製タグ、またはエピトープタグなどの異種ポリペプチドに作動可能に連結することもできる。蛍光タンパク質の例としては、緑色蛍光タンパク質(例えば、GFP、GFP−2、tagGFP、turboGFP、eGFP、エメラルド、アザミグリーン、単量体アザミグリーン、CopGFP、AceGFP、ZsGreenl)、黄色蛍光タンパク質(例えば、YFP、eYFP、Citrine、Venus、YPet、PhiYFP、ZsYellowl)、青色蛍光タンパク質(例えば、eBFP、eBFP2、Azurite、mKalamal、GFPuv、Sapphire、T−sapphire)、シアン色蛍光タンパク質(例えば、eCFP、Cerulean、CyPet、AmCyanl、Midoriishi−Cyan)、赤色蛍光タンパク質(mKate、mKate2、mPlum、DsRed monomer、mCherry、mRFP1、DsRed−Express、DsRed2、DsRed−Monomer、HcRed−Tandem、HcRedl、AsRed2、eqFP611、mRaspberry、mStrawberry、Jred)、橙赤色蛍光タンパク質(mOrange、mKO、Kusabira−Orange、Monomeric Kusabira−Orange、mTangerine、tdTomato)、及び任意の他の好適な蛍光タンパク質が挙げられる。タグの例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質、チオレドキシン(TRX)、ポリ(NANP)、タンデムアフィニティー精製(TAP)タグ、myc、AcV5、AU1、AU5、E、ECS、E2、FLAG、赤血球凝集素(HA)、nus、Softag1、Softag3、Strep、SBP、Glu−Glu、HSV、KT3、S、S1、T7、V5、VSV−G、ヒスチジン(His)、ビオチンカルボキシルキャリアータンパク質(BCCP)、及びカルモジュリンが挙げられる。
Cas9タンパク質は、外因性修復テンプレートまたは標識核酸に連結することもできる。このような連結(すなわち、物理的連結)は、共有相互作用または非共有相互作用を介して達成することができ、連結は、直接的である(例えば、タンパク質上のシステインまたはリシン残基の修飾またはインテイン修飾により達成することができる直接融合または化学的コンジュゲートを介する)ことができるか、あるいはストレプトアビジンまたはアプタマーなどの1つ以上の介在するリンカーまたはアダプター分子を介して達成することができる。例えば、Pierce et al.(2005)Mini Rev.Med.Chem.5(1):41−55;Duckworth et al.(2007)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.46(46):8819−8822;Schaeffer and Dixon(2009)Australian J.Chem.62(10):1328−1332;Goodman et al.(2009)Chembiochem.10(9):1551−1557;及びKhatwani et al.(2012)Bioorg.Med.Chem.20(14):4532−4539(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。タンパク質−核酸コンジュゲートを合成するための非共有方策は、ビオチン−ストレプトアビジン及びニッケル−ヒスチジン法を含む。共有結合タンパク質−核酸コンジュゲートは、多種多様の化学作用を使用して適切に官能化された核酸及びタンパク質を連結することにより合成することができる。これらの化学作用の一部は、オリゴヌクレオチドのタンパク質表面上のアミノ酸残基(例えば、リシンアミンまたはシステインチオール)への直接結合を含むが、他のより複雑なスキームは、タンパク質の翻訳後修飾、または触媒性もしくは反応性タンパク質ドメインの関与を必要とする。タンパク質の核酸への共有結合のための方法は、例えば、オリゴヌクレオチドのタンパク質リシンまたはシステイン残基への化学的架橋、タンパク質ライゲーションの発現、化学酵素的方法、及び光アプタマーの使用を含み得る。外因性修復テンプレートまたは標識核酸は、C末端、N末端、またはCas9タンパク質内の内部領域に連結することができる。好ましくは、外因性修復テンプレートまたは標識核酸は、Cas9タンパク質のC末端またはN末端に連結される。同様に、Cas9タンパク質は、外因性修復テンプレートもしくは標識核酸内の5’末端、3’末端、または内部領域に連結することができる。つまり、外因性修復テンプレートまたは標識核酸は、任意の向き及び極性で連結することができる。好ましくは、Cas9タンパク質は、外因性修復テンプレートまたは標識核酸の5’末端または3’末端に連結される。
Casタンパク質は、任意の形態で提供することができる。例えば、Casタンパク質は、gRNAと複合化されたCasタンパク質などのタンパク質の形態で提供することができる。あるいは、Casタンパク質は、RNA(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))またはDNAなどの、Casタンパク質をコードする核酸の形態で提供することができる。任意に、Casタンパク質をコードする核酸は、特定の細胞または生物におけるタンパク質への効率的な翻訳のためにコドン最適化することができる。例えば、Casタンパク質をコードする核酸は、天然に存在するポリヌクレオチド配列と比較して、細菌細胞、酵母細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳動物細胞、齧歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、または目的の他の任意の宿主細胞においてより高い使用頻度を有するコドンを置換するように改変することができる。Casタンパク質をコードする核酸が細胞に導入される時に、CASタンパク質は、細胞において一過性で、条件付きで、または構成的に発現させることができる。
Casタンパク質をコード核酸は、細胞のゲノムに安定的にインテグレートすることができ、細胞において活性なプロモーターに作動可能に連結することができる。あるいは、Casタンパク質をコードする核酸は、発現構築物においてプロモーターに作動可能に連結することができる。発現構築物は、目的の遺伝子または他の核酸配列(例えば、Cas遺伝子)の発現に向けることが可能であり、且つこのような目的の核酸配列を標的細胞に導入することができる任意の核酸構築物を含む。例えば、Casタンパク質をコードする核酸は、核酸インサートを含む標的化ベクター及び/またはgRNAをコードするDNAを含むベクターに存在し得る。あるいは、それは、核酸インサートを含む標的化ベクターから分離しており、及び/またはgRNAをコードするDNAを含むベクターから分離しているベクターまたはプラスミドに存在し得る。発現構築物に使用することができるプロモーターは、例えば、真核細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳動物細胞、非ヒト哺乳動物細胞、齧歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、ハムスター細胞、ウサギ細胞、多能性細胞、胚性幹(ES)細胞、または接合体のうちの1つ以上において活性なプロモーターを含む。このようなプロモーターは、例えば、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、または組織特異的プロモーターとし得る。任意に、プロモーターは、一方向のCasタンパク質及び他方向のガイドRNAの両方の発現を駆動する双方向性プロモーターとし得る。このような双方向性プロモーターは、(1)3つの外部制御エレメント:遠位配列エレメント(DSE)、近位配列エレメント(PSE)、及びTATAボックスを含有する完全な従来の一方向性Pol IIIプロモーター、ならびに、(2)逆方向にDSEの5’末端に融合されたPSE及びTATAボックスを含む第2の基本Pol IIIプロモーター、で構成され得る。例えば、H1プロモーターでは、DSEは、PSE、及びTATAボックスに隣接しており、プロモーターは、逆方向の転写がU6プロモーターに由来するPSE及びTATAボックスを付加することにより制御されるハイブリッドプロモーターを生成することにより、双方向性にすることができる。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照に組み込まれるUS2016/0074535を参照のこと。Casタンパク質及びガイドRNAをコードする遺伝子を発現する双方向性プロモーターの使用は同時に、送達を容易にするためのコンパクトな発現カセットの生成を可能にする。
(2)ガイドRNA
「ガイドRNA」または「gRNA」は、Casタンパク質(例えば、Cas9タンパク質)に結合し、且つCasタンパク質を標的DNA(例えば、Fbn1遺伝子)内の特定の場所への標的化するRNA分子である。ガイドRNAは、2つのセグメント:「DNA標的化セグメント」及び「タンパク質結合セグメント」を含み得る。「セグメント」は、RNAにおけるヌクレオチドの連続したストレッチなどの分子のセクションまたは領域を含む。一部のgRNAは、2つの別々のRNA分子:「アクチベーターRNA」(例えば、tracrRNA)及び「ターゲッターRNA」(例えば、CRISPR RNAまたはcrRNA)を含む。他のgRNAは、「単一分子gRNA」、「単一ガイドRNA」、または「sgRNA」とも呼ばれ得る単一RNA分子(単一RNAポリヌクレオチド)である。例えば、WO2013/176772、WO2014/065596、WO2014/089290、WO2014/093622、WO2014/099750、WO2013/142578、及びWO2014/131833(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。Cas9の場合、例えば、単一ガイドRNAは、(例えば、リンカーを介して)tracrRNAに融合したcrRNAを含み得る。Cpf1の場合、例えば、crRNAのみが、切断を達成するのに必要とされる。「ガイドRNA」及び「gRNA」という用語は、二分子gRNA及び単分子gRNAの両方を含む。
例示的な二分子gRNAは、crRNA様(「CRISPR RNA」または「ターゲッターRNA」または「crRNA」または「crRNAリピート」)分子及び対応するtracrRNA様(「トランス作用CRISPR RNA」または「アクチベーターRNA」または「tracrRNA」または「足場」)分子を含む。crRNAは、gRNAのDNA標的化セグメント(一本鎖)及びgRNAのタンパク質結合セグメントのdsRNA二重鎖の半分を形成するヌクレオチドのストレッチの両方を含む。
対応するtracrRNA(アクチベーターRNA)は、gRNAのタンパク質結合セグメントのdsRNA二本鎖の残りの半分を形成するヌクレオチドのストレッチを含む。crRNAのヌクレオチドのストレッチは、tracrRNAのヌクレオチドのストレッチに相補的であり、これとハイブリダイゼーションして、gRNAのタンパク質結合ドメインのdsRNAの二重鎖を形成する。そのようなものであるから、各crRNAは、対応するtracrRNAを有すると言うことができる。
crRNA及び対応するtracrRNAは、gRNAを形成するためにハイブリダイゼーションする。crRNAのみが必要とされる系では、crRNAは、gRNAとし得る。crRNAはさらに、ガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする一本鎖DNA標的化セグメントを提供する。細胞内の改変に使用される場合、所与のcrRNAまたはtracrRNA分子の正確な配列は、RNA分子が使用される種に特異的であるように設計することができる。例えば、Mali et al.(2013)Science 339:823−826;Jinek et al.(2012)Science 337:816−821;Hwang et al.(2013)Nat.Biotechnol.31:227−229;Jiang et al.(2013)Nat.Biotechnol.31:233−239;及びCong et al.(2013)Science 339:819−823(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。
所与のgRNAのDNA標的化セグメント(crRNA)は、標的DNAの配列(すなわち、ガイドRNA認識配列)に相補的なヌクレオチド配列を含む。gRNAのDNA標的化セグメントは、ハイブリダイゼーション(すなわち、塩基対)を介して、配列特異的な方法で、標的DNA(例えば、Fbn1遺伝子)と相互作用する。そのようなものであるから、DNA標的化セグメントのヌクレオチド配列は、変動し得、gRNA及び標的DNAが相互作用する標的DNA内の場所を決定する。主題のgRNAのDNA標的化セグメントは、標的DNA内の任意の所望の配列にハイブリダイゼーションするように改変することができる。天然に存在するcrRNAは、CRISPR−Casシステム及び生物に応じて異なるが、多くの場合、21〜46ヌクレオチドの長さの2つのダイレクトリピート(DR)が隣接した21〜72ヌクレオチド長の標的化セグメントを含有する(例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるWO2014/131833を参照のこと)。S.pyogenesの場合、DRは、36ヌクレオチド長であり、標的化セグメントは、30ヌクレオチド長である。3’に位置するDRは、対応するtracrRNAと相補的であり、これとハイブリダイゼーションし、これは、次々、Casタンパク質と結合する。
DNA標的化セグメントは、少なくとも約12ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約17ヌクレオチド、少なくとも約18ヌクレオチド、少なくとも約19ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、または少なくとも約40ヌクレオチドの長さを有することができる。このようなDNA標的化セグメントは、約12ヌクレオチド〜約100ヌクレオチド、約12ヌクレオチド〜約80ヌクレオチド、約12ヌクレオチド〜約50ヌクレオチド、約12ヌクレオチド〜約40ヌクレオチド、約12ヌクレオチド〜約30ヌクレオチド、約12ヌクレオチド〜約25ヌクレオチド、または約12ヌクレオチド〜約20ヌクレオチドの長さを有し得る。例えば、DNA標的化セグメントは、約15ヌクレオチド〜約25ヌクレオチド(例えば、約17ヌクレオチド〜約20ヌクレオチド、または約17ヌクレオチド、約18ヌクレオチド、約19ヌクレオチド、または約20ヌクレオチド)とし得る。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるUS2016/0024523を参照のこと。S.pyogenes由来のCas9の場合、代表的なDNA標的セグメントは、長さが16〜20ヌクレオチドまたは長さが17〜20ヌクレオチドである。S.aureus由来のCas9場合、代表的なDNA標的化セグメントは、長さが21〜23ヌクレオチドである。Cpf1の場合、代表的なDNA標的化セグメントは、長さが少なくとも16ヌクレオチドまたは長さが少なくとも18ヌクレオチドである。
TracrRNAは、任意の形態(例えば、全長tracrRNAまたは活性部分tracrRNA)及び様々な長さであり得る。それらは、一次転写産物または処理された形態を含み得る。例えば、(単一ガイドRNAの一部として、または2分子gRNAの一部としての別個の分子として)tracrRNAは、野生型tracrRNA配列の全部または一部(例えば、野生型tracrRNA配列の約20以上、26、32、45、48、54、63、67、85、もしくはそれ以上のヌクレオチド)を含むか、またはこれからなり得る。S.pyogenes由来の野生型tracrRNA配列の例としては、171ヌクレオチド、89ヌクレオチド、75ヌクレオチド、及び65ヌクレオチドのバージョンを含む。例えば、Deltcheva et al.(2011)Nature 471:602−607;WO2014/093661(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。単一ガイドRNA(sgRNA)内のtracrRNAの例としては、+48、+54、+67、及び+85バージョンのsgRNA内に見られるtracrRNAセグメントが挙げられ、「+n」は、野生型tracrRNAの最大+nヌクレオチドがsgRNAに含まれていることを示す。全ての目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるUS8,697,359を参照のこと。
標的DNA内のDNA標的配列及びガイドRNA認識配列の間の相補性パーセントは、少なくとも60%(例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%)とし得る。標的DNA内のDNA標的配列及びガイドRNA認識配列の間の相補性パーセントは、約20連続ヌクレオチドにわたって少なくとも60%とし得る。一例として、標的DNA内のDNA標的配列及びガイドRNA認識配列の間のパーセント相補性は、標的DNAの相補鎖内のガイドRNA認識配列の5’末端にある14連続ヌクレオチドにわたって100%であり、残りの部分にわたって限りなく0%である。この場合では、DNA標的配列は、長さが14ヌクレオチドであると考えることができる。別の例として、標的DNA内のDNA標的配列及びガイドRNA認識配列の間のパーセント相補性は、標的DNAの相補鎖内のガイドRNA認識配列の5’末端にある7連続ヌクレオチドにわたって100%であり、残りの部分にわたって限りなく0%である。この場合では、DNA標的配列は、長さが7ヌクレオチドであると考えることができる。一部のガイドRNAでは、DNA標的配列内の少なくとも17ヌクレオチドが、標的DNAに相補的である。例えば、DNA標的化配列は、長さが20ヌクレオチドとし得、標的DNA(ガイドRNA認識配列)との1、2、または3つのミスマッチを含み得る。好ましくは、ミスマッチは、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に隣接していない(例えば、ミスマッチは、DNA標的化配列の5’末端にあるか、またはミスマッチは、PAM配列から少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19塩基対離れている)。
gRNAのタンパク質結合セグメントは、互いに相補的なヌクレオチドの2つのストレッチを含み得る。タンパク質結合セグメントの相補的ヌクレオチドは、二本鎖RNA二重鎖(dsRNA)を形成するためにハイブリダイゼーションする。主題のgRNAのタンパク質結合セグメントは、Casタンパク質と相互作用し、gRNAは、DNA標的セグメントを介して、結合Casタンパク質を標的DNA内の特定のヌクレオチド配列に導く。
ガイドRNAは、さらなる望ましい特徴(例えば、改変または制御された安定性;細胞内標的化;蛍光標識を用いる追跡;タンパク質またはタンパク質複合体に対する結合部位など)を提供する改変または配列を含み得る。このような改変の例としては、例えば、5’キャップ(例えば、7−メチルグアニラートキャップ(m7G));3’ポリアデニル化テール(すなわち、3’ポリ(A)テール);(例えば、タンパク質及び/またはタンパク質複合体による制御された安定性及び/または制御されたアクセシビリティを可能にする)リボスイッチ配列;安定性制御配列;dsRNA二重鎖(すなわち、ヘアピン)を形成する配列;RNAを細胞内の場所(例えば、核、ミトコンドリア、葉緑体など)に標的化する改変または配列;追跡(例えば、蛍光分子への直接コンジュゲーション、蛍光検出を容易にする部分へのコンジュゲーション、蛍光検出を可能にする配列など)を提供する改変または配列;タンパク質(例えば、転写アクチベーター、転写リプレッサー、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAデメチラーゼ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼなどを含む、DNAに作用するタンパク質)に対する結合部位を提供する改変または配列;ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
ガイドRNAは、任意の形態で提供することができる。例えば、gRNAは、2分子(別々のcrRNA及びtracrRNA)または1分子(sgRNA)のいずれかとしてのRNAの形態で、任意に、Casタンパク質との複合体の形態で、提供することができる。例えば、gRNAは、例えば、T7 RNAポリメラーゼを使用するin vitro転写により調製することができる(例えば、WO2014/089290及びWO2014/065596(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと)。ガイドRNAは、化学合成により調製することもできる。
gRNAは、gRNAをコードするDNAの形態で提供することもできる。gRNAをコードするDNAは、単一RNA分子(sgRNA)または別々のRNA分子(例えば、別々のcrRNA及びtracrRNA)をコードし得る。後者の場合、gRNAをコードするDNAは、1つのDNA分子として、またはそれぞれcrRNA及びtracrRNAをコードする別々のDNA分子として提供することができる。
gRNAがDNAの形態で提供される時、gRNAは、細胞において一過性で、条件付きで、または構成的に発現させることができる。gRNAsをコードするDNAが、細胞のゲノムに安定的にインテグレートすることができ、細胞において活性なプロモーターに作動可能に連結することができる。あるいは、gRNAをコードするDNAは、発現構築物のプロモーターに作動可能に連結することができる。例えば、gRNAをコードするDNAは、外因性修復テンプレートを含むベクター及び/またはCasタンパク質をコードする核酸を含むベクターに存在し得る。あるいは、それは、外因性修復テンプレートを含むベクター及び/またはCasタンパク質をコードする核酸を含むベクターから分離するベクターまたはプラスミドに存在し得る。このような発現構築物に使用することができるプロモーターは、例えば、真核細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳動物細胞、非ヒト哺乳動物細胞、齧歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、ハムスター細胞、ウサギ細胞、多能性細胞、胚性幹(ES)細胞、または接合体のうちの1つ以上において活性なプロモーターを含む。このようなプロモーターは、例えば、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、または組織特異的プロモーターとし得る。このようなプロモーターはまた、例えば、双方向性プロモーターとし得る。好適なプロモーターの具体例は、ヒトU6プロモーターなどのRNAポリメラーゼIIIプロモーター、ラットU6ポリメラーゼIIIプロモーター、またはマウスU6ポリメラーゼIIIプロモーターが挙げられる。
(3)ガイドRNA認識配列
「ガイドRNA認識配列」という用語は、結合に十分な条件が存在するという条件で、gRNAのDNA標的化セグメントが結合するであろう標的DNA(例えば、Fbn1遺伝子)に存在する核酸配列を含む。例えば、ガイドRNA認識配列は、ガイドRNAが相補性を有するように設計される配列を含み、ガイドRNA認識配列及びDNA標的化配列の間のハイブリダイゼーションは、CRISPR複合体の形成を促進する。完全な相補性は、必ずしも必要ではない。但し、ハイブリダイゼーションを引き起こし、且つCRISPR複合体の形成を促進するのに十分な相補性が存在する。ガイドRNA認識配列は、以下により詳細に記載されるCasタンパク質の切断部位も含む。ガイドRNA認識配列は、例えば、ミトコンドリアまたは葉緑体などの、細胞の核もしくは細胞質中に、または細胞の小器官内に、位置し得る任意のポリヌクレオチドを含み得る。
標的DNA内のガイドRNA認識配列は、Casタンパク質またはgRNAにより標的とする(すなわち、これにより結合するか、またはこれとハイブリダイゼーションするか、またはこれに相補的である)ことができる。好適なDNA/RNA結合条件は、細胞に通常存在する生理学的条件を含む。他の好適なDNA/RNA結合条件(例えば、無細胞系における条件)は、当該技術分野において既知である(例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるMolecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.(Sambrook et al.,Harbor Laboratory Press 2001)を参照のこと)。CASタンパク質またはgRNAと相補的であり、且つ、これらとハイブリダイゼーションする標的DNAの鎖は、「相補鎖」と呼ぶことができ、「相補鎖」と相補的である(且つ、それ故、Casタンパク質またはgRNAと相補的でない)標的DNAの鎖は、「非相補鎖」または「テンプレート鎖」と呼ぶことができる。
Casタンパク質は、gRNAのDNA標的化セグメントが結合する標的DNAに存在する核酸配列の内側または外側の部位で核酸を切断し得る。「切断部位」は、Casタンパク質が一本鎖破断または二本鎖破断を生成する核酸の位置を含む。例えば、CRISPR複合体(ガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションし、且つCasタンパク質と複合体を形成したgRNAを含む)の形成は、gRNAのDNA標的化セグメントが結合する標的DNAに存在する核酸配列の、またはその近傍(例えば、それから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、またはそれ以上の塩基対以内)の鎖の一方または両方の切断をもたらし得る。切断部位がgRNAのDNA標的化セグメントが結合する核酸配列の外側にある場合、切断部位は依然として「ガイドRNA認識配列」内に存在すると考えられる。切断部位は、1つの鎖上のみに、または核酸の両方の鎖上に存在し得る。切断部位は、(平滑末端を生成する)核酸の両方の鎖上の同じ位置に存在し得るか、または各鎖上の異なる部位に存在し得る(付着末端(すなわち、オーバーハング)を生成する)。付着末端は、例えば、2つのCasタンパク質を使用することにより生成することができ、これらのそれぞれは、異なる鎖上の異なる切断部位に一本鎖破断を生成して、それにより、二本鎖破断を生成する。例えば、第1のニッカーゼは、二本鎖DNA(dsDNA)の第1の鎖上に一本鎖破断を生じ得、第2のニッカーゼは、オーバーハング配列が生じるようにdsDNAの第2の鎖上に一本鎖破断を生じ得る。一部の場合では、第1の鎖上のニッカーゼのガイドRNA認識配列は、第2の鎖上のニッカーゼのガイドRNA認識配列から、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100、250、500、または1,000塩基対離れている。
Casタンパク質による標的DNAの部位特異的切断は、標的DNA内において、(i)gRNA及び標的DNAの間の塩基対相補性、及び(ii)プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と呼ばれる短いモチーフ、の両方により決定される場所で生じ得る。PAMは、ガイドRNA認識配列に隣接し得る。任意に、ガイドRNA認識配列は、3’末端上でPAMに隣接することができる。あるいは、ガイドRNA認識配列は、5’末端上でPAMに隣接することができる。例えば、Casタンパク質の切断部位は、PAM配列の約1〜約10または約2〜約5塩基対(例えば、3塩基対)上流または下流に存在し得る。(例えば、S.pyogenes由来のCas9または密接に関連するCas9が使用される)一部の場合では、非相補鎖のPAM配列は、5’−NGG−3’とすることができ、Nは、任意のDNAヌクレオチドであり、標的DNAの非相補鎖のガイドRNA認識配列の3’近くに存在する。そのようなものであるから、相補鎖のPAM配列は、5’−CCN−3’であり、Nは、任意のDNAヌクレオチドであり、標的DNAの相補鎖のガイドRNA認識配列の5’のすぐ近くに存在する。このような一部の場合では、N及びNは、相補的であり得、N−N塩基対は、任意の塩基対(例えば、N=C及びN=G;N=G及びN=C;N=A及びN=T;またはN=T、ならびにN=A)とし得る。S.aureus由来のCas9の場合、PAMは、NNGRRT(配列番号146)またはNNGRR(配列番号147)とし得、Nは、A、G、C、またはTとし得、Rは、GまたはAとし得る。一部の場合(例えば、FnCpf1の場合)では、PAM配列は、5’末端の上流に存在し得、5’−TTN−3’の配列を有し得る。
ガイドRNA認識配列の例としては、gRNAのDNA標的化セグメントと相補的なDNA配列、またはPAM配列に加えて、このようなDNA配列が挙げられる。例えば、標的モチーフは、GN19NGG(配列番号39)またはN20NGG(配列番号40)などのCas9タンパク質で認識されたNGGモチーフの直前の20ヌクレオチドDNA配列とし得る(例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるWO2014/165825を参照のこと)。5’末端のグアニンは、細胞のRNAポリメラーゼによる転写を容易にし得る。ガイドRNA認識配列の他の例は、in vitroでのT7ポリメラーゼによる効率的な転写を容易にするために、5’末端に2つのグアニンヌクレオチド(例えば、GGN20NGG;配列番号41)を含み得る。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるWO2014/065596を参照のこと。5’GまたはGG及び3’GGまたはNGGを含む他のガイドRNA認識配列は、配列番号39〜41の、長さが4〜22ヌクレオチドを有し得る。さらに、他のガイドRNA認識配列は、配列番号39〜41の、長さが14〜20ヌクレオチドを有し得る。
ガイドRNA認識配列は、細胞に対して内因性または外因性の任意の核酸配列とし得る。ガイドRNA認識配列は、遺伝子産物(例えば、タンパク質)をコードする配列もしくは非コード配列(例えば、制御配列)とすることができるか、または両方を含み得る。
D.外因性修復テンプレート
本明細書に開示の方法及び組成物は、ヌクレアーゼ物質を用いるFbn1遺伝子の切断後に、Fbn1遺伝子を改変する外因性修復テンプレートを利用し得る。例えば、細胞は、1細胞期胚とし得、外因性修復テンプレートは、長さが5kb未満とし得る。1細胞期胚以外の細胞型では、外因性修復テンプレート(例えば、標的化ベクター)は、より長いものとし得る。例えば、1細胞期胚以外の細胞型では、外因性修復テンプレートは、本明細書の他の箇所に記載されているように、大きい標的化ベクター(LTVEC)(例えば、少なくとも10kbの長さを有するか、または合計が少なくとも10kbの5’及び3’ホモロジーアームを有する標的化ベクター)とし得る。ヌクレアーゼ物質と組み合わせて外因性修復テンプレートを使用することは、相同性指向修復を促進することによりFbn1遺伝子内に、より正確な改変をもたらし得る。
このような方法では、ヌクレアーゼ物質は、一本鎖破断(ニック)または二本鎖破断を生成するためにFbn1遺伝子を切断し、外因性修復テンプレートは、非相同末端結合(NHEJ)媒介ライゲーションを介し、または相同性指向修復事象により、Fbn1遺伝子を組み換える。任意に、外因性修復テンプレートを用いる修復は、ヌクレアーゼ切断部位を除去または破壊し、従って、標的とされている対立遺伝子は、ヌクレアーゼ物質により再標的化することができない。
外因性修復テンプレートは、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を含み得、それらは、一本鎖または二本鎖とし得、それらは、線状または環状形態をとり得る。例えば、外因性修復テンプレートは、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド(ssODN)とし得る。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるYoshimi et al.(2016)Nat.Commun.7:10431を参照のこと。例示的な外因性修復テンプレートは、長さが約50〜約5kbヌクレオチド、長さが約50〜約3kbヌクレオチド、または長さが約50〜約1,000ヌクレオチドである。他の例示的な外因性修復テンプレートは、長さが約40〜約200ヌクレオチドである。例えば、外因性修復テンプレートは、長さが約50〜約60、約60〜約70、約70〜約80、約80〜約90、約90〜約100、約100〜約110、約110〜約120、約120〜約130、約130〜約140、約140〜約150、約150〜約160、約160〜約170、約170〜約180、約180〜約190、または約190〜約200ヌクレオチドとし得る。あるいは、外因性修復テンプレートは、長さが約50〜約100、約100〜約200、約200〜約300、約300〜約400、約400〜約500、約500〜約600、約600〜約700、約700〜約800、約800〜約900、または約900〜約1,000ヌクレオチドとし得る。あるいは、外因性修復テンプレートは、長さが約1kb〜約1.5kb、約1.5kb〜約2kb、約2kb〜約2.5kb、約2.5kb〜約3kb、約3kb〜約3.5kb、約3.5kb〜約4kb、約4kb〜約4.5kb、または約4.5kb〜約5kbとし得る。あるいは、外因性修復テンプレートは、例えば、長さが5kb以下、4.5kb、4kb、3.5kb、3kb、2.5kb、2kb、1.5kb、1kb、900ヌクレオチド、800ヌクレオチド、700ヌクレオチド、600ヌクレオチド、500ヌクレオチド、400ヌクレオチド、300ヌクレオチド、200ヌクレオチド、100ヌクレオチド、または50ヌクレオチドとし得る。1細胞期胚以外の細胞型では、外因性修復テンプレート(例えば、標的化ベクター)は、より長いものとし得る。例えば、1細胞期胚以外の細胞型では、外因性修復テンプレートは、本明細書の他の箇所に記載されているような大きな標的化ベクター(LTVEC)とし得る。
一例では、外因性修復テンプレートは、長さが約80ヌクレオチド〜約200ヌクレオチドのssODNである。別の例では、外因性修復テンプレートは、長さが約80ヌクレオチド〜約3kbのssODNである。このようなssODNは、例えば、それぞれ長さが約40ヌクレオチド〜約60ヌクレオチドのホモロジーアームを有し得る。このようなssODNは、例えば、長さがそれぞれ約30ヌクレオチド〜100ヌクレオチドのホモロジーアームも有し得る。ホモロジーアームは、対称的(例えば、それぞれ、長さが各40ヌクレオチドもしくは各60ヌクレオチド)であり得るか、または、それらは、非対称的(例えば、長さが36ヌクレオチドの1つのホモロジーアーム及び長さが91ヌクレオチドの1つのホモロジーアーム)であり得る。
外因性修復テンプレートは、さらなる望ましい特徴(例えば、改変または制御された安定性;蛍光標識を用いる追跡または検出;タンパク質またはタンパク質複合体に対する結合部位など)を提供する改変または配列を含み得る。外因性修復テンプレートは、1つ以上の蛍光標識、精製タグ、エピトープタグ、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、外因性修復テンプレートは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの蛍光標識などの1つ以上の蛍光標識(例えば、蛍光タンパク質または他の蛍光団もしくは染料)を含み得る。例示的な蛍光標識としては、蛍光団(例えば、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM))、Texas Red、HEX、Cy3、Cy5、Cy5.5、Pacific Blue、5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)ならびにCy7などの蛍光体が挙げられる。オリゴヌクレオチドを標識するための広範囲の蛍光染料(例えば、Integrated DNA Technologies製)が市販されている。このような蛍光標識(例えば、内部蛍光標識)は、例えば、外因性修復テンプレートの末端と適合する突出末端を有する切断されたFbn1遺伝子に直接インテグレートされている外因性修復テンプレートを検出するために使用することができる。標識またはタグは、5’末端、3’末端、または外因性修復テンプレートの内部に存在し得る。例えば、外因性修復テンプレートは、5’末端で、Integrated DNA Technologies製のIR700蛍光団(5’IRDYE(登録商標)700)と共にコンジュゲートすることができる。
外因性修復テンプレートは、Fbn1遺伝子にインテグレートされるべきDNAのセグメントを含む核酸インサートも含み得る。核酸インサートのFbn1遺伝子へのインテグレーションは、Fbn1遺伝子における目的の核酸配列の付加、Fbn1遺伝子における目的の核酸配列の欠失、またはFbn1遺伝子における目的の核酸配列の置換(すなわち、欠失及び挿入)をもたらし得る。一部の外因性修復テンプレートは、Fbn1遺伝子におけるあらゆる対応する欠失なしに、Fbn1遺伝子における核酸インサートの挿入のために設計される。他の外因性修復テンプレートは、あらゆる対応する核酸インサートの挿入なしに、Fbn1遺伝子において目的の核酸配列を欠失させるように設計される。さらに他の外因性修復テンプレートは、Fbn1遺伝子において目的の核酸配列を欠失させ、それを核酸インサートと置換するように設計される。
欠失及び/または置換されるFbn1遺伝子における核酸インサートまたは対応する核酸は、種々の長さとし得る。欠失及び/または置換されるFbn1遺伝子における例示的な核酸インサートまたは対応する核酸は、長さが約1ヌクレオチド〜約5kb、または長さが約1ヌクレオチド〜約1,000ヌクレオチドである。例えば、欠失及び/または置換されているFbn1遺伝子における核酸インサートまたは対応する核酸は、長さが約1〜約10、約10〜約20、約20〜約30、約30〜約40、約40〜約50、約50〜約60、約60〜約70、約70〜約80、約80〜約90、約90〜約100、約100〜約110、約110〜約120、約120〜約130、約130〜約140、約140〜約150、約150〜約160、約160〜約170、約170〜約180、約180〜約190、または約190〜約200ヌクレオチドとし得る。同様に、欠失及び/または置換されているFbn1遺伝子における核酸インサートまたは対応する核酸は、長さが約1〜約100、約100〜約200、約200〜約300、約300〜約400、約400〜約500、約500〜約600、約600〜約700、約700〜約800、約800〜約900、または約900〜約1,000ヌクレオチドとし得る。同様に、欠失及び/または置換されるFbn1遺伝子における核酸インサートまたは対応する核酸は、長さが約1kb〜約1.5kb、約1.5kb〜約2kb、約2kb〜約2.5kb、約2.5kb〜約3kb、約3kb〜約3.5kb、約3.5kb〜約4kb、約4kb〜約4.5kb、または約4.5kb〜約5kbとし得る。Fbn1遺伝子から欠失される核酸はまた、約1kb〜約5kb、約5kb〜約10kb、約10kb〜約20kb、約20kb〜約30kb、約30kb〜約40kb、約40kb〜約50kb、約50kb〜約60kb、約60kb〜約70kb、約70kb〜約80kb、約80kb〜約90kb、約90kb〜約100kb、約100kb〜約200kb、約200kb〜約300kb、約300kb〜約400kb、約400kb〜約500kb、約500kb〜約600kb、約600kb〜約700kb、約700kb〜約800kb、約800kb〜約900kb、約900kb〜約1Mbまたはそれ以上とし得る。あるいは、Fbn1遺伝子から欠失される核酸は、約1Mb〜約1.5Mb、約1.5Mb〜約2Mb、約2Mb〜約2.5Mb、約2.5Mb〜約3Mb、約3Mb〜約4Mb、約4Mb〜約5Mb、約5Mb〜約10Mb、約10Mb〜約20Mb、約20Mb〜約30Mb、約30Mb〜約40Mb、約40Mb〜約50Mb、約50Mb〜約60Mb、約60Mb〜約70Mb、約70Mb〜約80Mb、約80Mb〜約90Mb、または約90Mb〜約100Mbとし得る。
核酸インサートは、ゲノムDNAまたは他の任意の種類のDNAを含み得る。例えば、核酸インサートは、原核生物、真核生物、酵母、鳥(例えば、ニワトリ)、非ヒト哺乳動物、齧歯類、ヒト、ラット、マウス、ハムスター、ウサギ、ブタ、ウシ、シカ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、マーモセット、アカゲザル)、家畜哺乳動物、農業哺乳動物、カメ、または目的の他の任意の生物に由来し得る。
核酸インサートは、Fbn1遺伝子の全部または一部(例えば、フィブリリン−1タンパク質の特定のモチーフまたは領域をコードする遺伝子の一部)に対して相同またはオーソログである配列を含み得る。相同配列は、異なる種または同じ種に由来し得る。例えば、核酸インサートは、Fbn1遺伝子における置換のために標的とされる配列と比較して、1つ以上の点変異(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上)を含む配列を含み得る。一部の場合では、核酸インサートは、ヒトFbn1配列である。核酸インサートの挿入が、Fbn1非ヒト核酸配列の全部または一部の、対応するオーソログヒト核酸配列との置換をもたらす場合、これは、非ヒト動物におけるFbn1遺伝子座の全部または一部のヒト化をもたらし得る(すなわち、核酸インサートは、その内因性ゲノム遺伝子座で対応する非ヒトDNA配列の代わりに挿入される)。挿入されるヒト配列は、ヒトFbn1遺伝子に1つ以上の変異をさらに含み得る。
欠失及び/または置換されるFbn1遺伝子における核酸インサートまたは対応する核酸は、エクソンなどのコード領域;イントロン、非翻訳領域、もしくは制御領域(例えば、プロモーター、エンハンサー、もしくは転写リプレッサー結合要素)などの非コード領域;またはそれらの任意の組み合わせとし得る。
核酸インサートは、条件付き対立遺伝子も含み得る。条件付き対立遺伝子は、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるUS2011/0104799に記載されているように、多機能対立遺伝子とし得る。例えば、条件付き対立遺伝子は、(a)標的遺伝子の転写に関してセンス方向の作動配列;(b)センスまたはアンチセンス方向の薬物選択カセット(DSC);(c)アンチセンス方向の目的のヌクレオチド配列(NSI);ならびに(d)逆方向の反転モジュール(エクソン分割イントロン及び可逆遺伝子トラップ様モジュールを利用するCOIN)による条件、を含み得る。例えば、US2011/0104799を参照のこと。条件付き対立遺伝子は、(i)作動配列及びDSCを欠損しており、且つ、(ii)センス方向にNSI及びアンチセンス方向にCOINを含有する、条件付き対立遺伝子を形成するために、第1のリコンビナーゼへの曝露時に組み換える組み換え可能な単位をさらに含み得る。例えば、US2011/0104799を参照のこと。
核酸インサートは、選択マーカーをコードするポリヌクレオチドも含み得る。あるいは、核酸インサートは、選択マーカーをコードするポリヌクレオチドを欠損し得る。選択マーカーは、選択カセットに含まれ得る。任意に、選択カセットは、自己欠失カセットとし得る。例えば、これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるUS8,697,851及びUS2013/0312129を参照のこと。一例として、自己欠失カセットは、マウスPrm1プロモーターに作動可能に連結されたCrei遺伝子(イントロンにより分離されているCreリコンビナーゼをコードする2つのエクソンを含む)及びヒトユビキチンプロモーターに作動可能に連結されたネオマイシン耐性遺伝子を含み得る。Prm1プロモーターを用いることにより、自己欠失カセットは、F0動物の雄生殖細胞において特異的に欠失させることができる。例示的な選択マーカーとしては、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hyg)、ピューロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ(puro)、ブラスチシジンSデアミナーゼ(bsr)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、もしくは単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−k)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは、標的とされる細胞において活性なプロモーターに作動可能に連結することができる。プロモーターの例は、本明細書の他の箇所に記載されている。
核酸インサートは、レポーター遺伝子も含み得る。例示的なレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)、シアン色蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、増強黄色蛍光タンパク質(eYFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、増強青色蛍光タンパク質(eBFP)、DsRed、ZsGreen、MmGFP、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J−Red、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、Emerald、CyPet、Cerulean、T−Sapphire、及びアルカリホスファターゼをコードするものが挙げられる。このようなレポーター遺伝子は、標的とされている細胞において活性なプロモーターに作動可能に連結することができる。プロモーターの例は、本明細書の他の箇所に記載されている。
核酸インサートは、1つ以上の発現カセットまたは欠失カセットも含み得る。所与のカセットは、発現に影響を与える種々の制御構成要素と共に、目的のヌクレオチド配列、選択マーカーをコードするポリヌクレオチド、及びレポーター遺伝子のうちの1つ以上を含み得る。含まれ得る選択マーカー及びレポーター遺伝子の例は、本明細書の他の箇所で詳細に考察されている。
核酸インサートは、部位特異的組み換え標的配列に隣接した核酸を含み得る。あるいは、核酸インサートは、1つ以上の部位特異的組み換え標的配列を含み得る。核酸インサート全体がこのような部位特異的組み換え標的配列に隣接させることができるが、核酸インサート内の目的の任意の領域または個々のポリヌクレオチドは、このような部位に隣接させることもできる。核酸インサートまたは核酸インサートにおける任意の目的のポリヌクレオチドに隣接し得る部位特異的組み換え標的配列は、例えば、loxP、lox511、lox2272、lox66、lox71、loxM2、lox5171、FRT、FRT11、FRT71、attp、att、FRT、rox、またはそれらの組み合わせを含み得る。一例では、部位特異的組み換え部位は、核酸インサート内に含有される選択マーカー及び/またはレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチドに隣接する。核酸インサートのFbn1遺伝子へのインテグレーション後に、部位特異的組み換え部位間の配列を除去することができる。任意に、2つの外因性修復テンプレートは、それぞれ、部位特異的組み換え部位を含む核酸インサートと共に使用することができる。外因性修復テンプレートは、目的の核酸に隣接する5’及び3’領域を標的化することができる。2つの核酸インサートの標的ゲノム遺伝子座へのインテグレーション後に、2つの挿入された部位特異的組み換え部位の間の目的の核酸を除去することができる。
核酸インサートは、制限エンドヌクレアーゼ(すなわち、制限酵素)のための1つ以上の制限部位も含み得、これは、I型、II型、III型、及びIV型エンドヌクレアーゼを含む。I型及びIII型制限エンドヌクレアーゼは、特異的な認識配列を認識するが、通常は、切断部位(認識配列)から数百塩基対離れて存在し得るヌクレアーゼ結合部位からの可変位置で切断する。II型系では、制限活性は、任意のメチラーゼ活性に依存せず、切断は通常、結合部位内の、またはその近傍の特定の部位で生じる。ほとんどのII型酵素は、パリンドローム配列を切断するが、IIa型酵素は、非パリンドローム認識配列を認識し、認識配列の外側で切断し、IIb型酵素は、認識配列の外側の両方の部位で配列を2回切断し、IIs型酵素は、非対称認識配列を認識し、片側で且つ認識配列から約1〜20ヌクレオチドの定義された距離で切断する。IV型制限酵素は、メチル化DNAを標的とする。制限酵素は、例えば、REBASEデータベース(rebase.neb.comのウェブページ;Roberts et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:418−420;Roberts et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:1805−1812;及びBelfort et al.(2002)in Mobile DNA II,pp.761−783,Eds.Craigie et al.,(ASM Press,Washington,DC)にさらに記載及び分類される。
(1)非相同末端結合媒介挿入のための修復テンプレート
一部の外因性修復テンプレートは、(例えば、Fbn1遺伝子の)標的ゲノム遺伝子座でのCasタンパク質媒介切断により生成される1つ以上のオーバーハングと相補的な5’末端及び/または3’末端に短い一本鎖領域を有する。これらのオーバーハングは、5’及び3’ホモロジーアームと呼ぶこともできる。例えば、一部の外因性修復テンプレートは、標的ゲノム遺伝子座の5’及び/または3’標的配列でのCasタンパク質媒介切断により生成される1つ以上のオーバーハングと相補的な5’末端及び/または3’末端に短い一本鎖領域を有する。このような一部の外因性修復テンプレートは、5’末端のみに、または3’末端のみに、相補的領域を有する。例えば、このような一部の外因性修復テンプレートは、標的ゲノム遺伝子座の5’標的配列に生成されるオーバーハングに相補的な5’末端のみで、または標的ゲノム遺伝子座の3’標的配列に生成されるオーバーハングに相補的な3’末端のみで、相補的領域を有する。他のこのような外因性修復テンプレートは、5’末端及び3’末端の両方に相補的領域を有する。例えば、このような他の外因性修復テンプレートは、例えば、標的ゲノム遺伝子座でのCas媒介切断により生成される第1及び第2のオーバーハングにそれぞれ相補的な5’末端及び3’末端の両方に、相補的領域を有する。例えば、外因性修復テンプレートが二本鎖である場合、一本鎖相補的領域は、修復テンプレートの上鎖の5’末端及び修復テンプレートの下鎖の5’末端から伸びて、各端に5’オーバーハングを生成し得る。あるいは、一本鎖相補的領域は、修復テンプレートの上鎖の3’末端から及びテンプレートの下鎖の3’末端から伸びて、3’オーバーハングを生成し得る。
相補的領域は、外因性修復テンプレート及びFbn1遺伝子の間のライゲーションを促進するのに十分な任意の長さであり得る。例示的な相補的領域は、長さが約1〜約5ヌクレオチド、約1〜約25ヌクレオチド、または約5〜約150ヌクレオチドである。例えば、相補的領域は、長さが少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25ヌクレオチドとし得る。あるいは、相補的領域は、長さが約5〜約10、約10〜約20、約20〜約30、約30〜約40、約40〜約50、約50〜約60、約60〜約70、約70〜約80、約80〜約90、約90〜約100、約100〜約110、約110〜約120、約120〜約130、約130〜約140、約140〜約150ヌクレオチドまたはそれ以上とし得る。
このような相補的領域は、2対のニッカーゼにより生成されたオーバーハングに相補的であり得る。付着末端を有する2つの二本鎖破断は、第1の二本鎖破断を生成するDNAの対向鎖を切断する第1及び第2のニッカーゼ、ならびに、第2の二本鎖破断を生成するDNAの対向鎖を切断する第3及び第4のニッカーゼを使用することにより生成することができる。例えば、Casタンパク質は、第1、第2、第3、及び第4のガイドRNAに対応する第1、第2、第3、及び第4のガイドRNA認識配列にニックを作るために使用することができる。第1及び第2のガイドRNA認識配列は、DNAの第1及び第2の鎖上の第1及び第2のニッカーゼで生成されたニックが、二本鎖破断を生成する(すなわち、第1の切断部位は、第1及び第2のガイドRNA認識配列内にニックを含む)ように、第1の切断部位を生成するために配置することができる。同様に、第3及び第4のガイドRNA認識配列は、DNAの第1及び第2の鎖上の第3及び第4のニッカーゼにより生成されたニックが、二本鎖破断を生成する(すなわち、第2の切断部位は、第3及び第4のガイドRNA認識配列内にニックを含む)ように、第2の切断部位を生成するために配置することができる。好ましくは、第1及び第2のガイドRNA認識配列及び/または第3及び第4のガイドRNA認識配列内のニックは、オーバーハングを生成するオフセットニックとし得る。オフセットウィンドウは、例えば、少なくとも約5bp、10bp、20bp、30bp、40bp、50bp、60bp、70bp、80bp、90bp、100bpまたはそれ以上とし得る。Ran et al.(2013)Cell 154:1380−1389;Mali et al.(2013)Nat.Biotech.31:833−838;及びShen et al.(2014)Nat.Methods 11:399−404(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。このような場合には、第1及び第2のガイドRNA認識配列内のニックにより、且つ、第3及び第4のガイドRNA認識配列内のニックにより、生成されたオーバーハングに相補的な一本鎖の相補的領域を有する二本鎖外因性修復テンプレートを設計することができる。次に、このような外因性修復テンプレートは、非相同末端結合媒介ライゲーションにより挿入することができる。
(2)相同性指向修復による挿入のための修復テンプレート
一部の外因性修復テンプレートは、ホモロジーアームを含む。外因性修復テンプレートが、核酸インサートも含む場合、ホモロジーアームは、核酸インサートに隣接することができる。言及を容易にするために、ホモロジーアームは、本明細書では5’及び3’(すなわち、上流及び下流)ホモロジーアームと呼ばれる。この用語は、外因性修復テンプレート内の核酸インサートに対するホモロジーアームの相対位置に関する。5’及び3’ホモロジーアームは、本明細書で、それぞれ「5’標的配列」及び「3’標的配列」と呼ばれるFbn1遺伝子内の領域に対応する。
ホモロジーアーム及び標的配列は、2つの領域が相同組み換え反応の基質として作用するのに十分なレベルの配列同一性を互いに共有する時、互いに「対応する」または「対応している」。「相同性」という用語は、対応する配列と同一であるか、または配列同一性を共有するDNA配列を含む。所与の標的配列及び外因性修復テンプレートに見られる対応するホモロジーアームの間の配列同一性は、相同組み換えが起こることを可能にする任意の程度の配列同一性であり得る。例えば、外因性修復テンプレート(またはそのフラグメント)のホモロジーアーム及び標的配列(またはそのフラグメント)により共有される配列同一性の程度は、配列が相同組み換えを受けるように、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性であり得る。さらに、ホモロジーアーム及び対応する標的配列の間の対応する相同性領域は、相同組み換えを促進するのに十分である任意の長さであり得る。例示的なホモロジーアームは、長さが約25〜約2.5kbヌクレオチドであるか、長さが約25〜約1.5kbヌクレオチドであるか、または長さが約25〜約500ヌクレオチドである。例えば、所与のホモロジーアーム(またはホモロジーアームのそれぞれ)及び/または対応する標的配列は、Fbn1遺伝子内の対応する標的配列を用いるホモロジーアームが相同組み換えを受けるのに十分な相同性を有するように、長さが約25〜約30、約30〜約40、約40〜約50、約50〜約60、約60〜約70、約70〜約80、約80〜約90、約90〜約100、約100〜約150、約150〜約200、約200〜約250、約250〜約300、約300〜約350、約350〜約400、約400〜約450、または約450〜約500ヌクレオチドの対応する相同性領域を含み得る。あるいは、所与のホモロジーアーム(もしくは各ホモロジーアーム)及び/または対応する標的配列は、長さが約0.5kb〜約1kb、約1kb〜約1.5kb、約1.5kb〜約2kb、または約2kb〜約2.5kbである相同性の対応する領域を含み得る。例えば、ホモロジーアームはそれぞれ、長さが約750ヌクレオチドとし得る。ホモロジーアームは、対称的(それぞれ、長さがほぼ同じサイズ)であり得るか、または非対称的(一方が他方よりも長い)であり得る。
ホモロジーアームは、細胞に固有の遺伝子座(例えば、標的遺伝子座)に対応し得る。あるいは、例えば、それらは、例えば、導入遺伝子、発現カセット、またはDNAの異種もしくは外因性領域を含む、細胞のゲノムにインテグレートされたDNAの異種もしくは外因性セグメントの領域に対応し得る。あるいは、標的化ベクターのホモロジーアームは、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、ヒト人工染色体の領域、または適切な宿主細胞に含有される任意の他の操作された領域に対応し得る。さらに別の、標的化ベクターのホモロジーアームは、BACライブラリー、コスミドライブラリー、もしくはP1ファージライブラリーの領域に対応するか、またはそれに由来し得るか、あるいは合成DNAに由来し得る。
ヌクレアーゼ物質が外因性修復テンプレートと組み合わせて使用される場合、5’及び3’標的配列は、好ましくは、ヌクレアーゼ切断部位での一本鎖破断(ニック)または二本鎖破断時に、標的配列及び標的配列の間の相同組み換え事象の発生を促進するように、ヌクレアーゼ切断部位に十分近接して位置する。「ヌクレアーゼ切断部位」という用語は、ニックまたは二本鎖破断がヌクレアーゼ物質により生じるDNA配列(例えば、ガイドRNAと複合化されたCas9タンパク質)を含む。ヌクレアーゼ切断部位における一本鎖破断または二本鎖破断時に、距離が5’及び3’標的配列とホモロジーアームの間の相同組み換え事象の発生を促進するようなものである場合、外因性修復テンプレートの5’及び3’ホモロジーアームに対応するFbn1遺伝子内の標的配列は、ヌクレアーゼ切断部位に「十分に近接して位置する」。従って、外因性修復テンプレートの5’及び/または3’ホモロジーアームに対応する標的配列は、例えば、所与のヌクレアーゼ切断部位から少なくとも1ヌクレオチド以内または所与のヌクレアーゼ切断部位から少なくとも10ヌクレオチド〜約1,000のヌクレオチド以内に存在し得る。一例として、ヌクレアーゼ切断部位は、標的配列のうちの少なくとも一方または両方に直接隣接し得る。
外因性修復テンプレートのホモロジーアーム及びヌクレアーゼ切断部位に対応する標的配列の空間的関係は変動し得る。例えば、標的配列は、ヌクレアーゼ切断部位の5’側に位置し得るか、標的配列は、ヌクレアーゼ切断部位の3’側に位置し得るか、または標的配列は、ヌクレアーゼ切断部位に隣接し得る。
1細胞期胚以外の細胞では、外因性修復テンプレートは、細胞において相同組み換えを実施することが意図される他のアプローチにより、通常使用されるものよりも大きい核酸配列に対応し、且つこれに由来するホモロジーアームを含む標的化ベクターを含む「大きな標的化ベクター」または「LTVEC」とし得る。LTVECは、細胞において相同組み換えを実施することを意図した他のアプローチにより、通常使用されるものよりも大きい核酸配列を有する核酸インサートを含む標的化ベクターも含む。例えば、LTVECは、サイズの制限のために従来のプラスミドベースの標的化ベクターにより収容することができない大きな遺伝子座の改変を可能にする。例えば、標的遺伝子座は、従来の方法を使用して標的化可能でないか、または、ヌクレアーゼ物質(例えば、Casタンパク質)により誘導されるニックもしくは二本鎖破断がない状態で、不正確でのみ、もしくは著しく低い効率でのみ、標的化することができる細胞の遺伝子座とし得る(すなわち、5’及び3’ホモロジーアームが、これに相当し得る)。
LTVECの例としては、細菌人工染色体(BAC)、ヒト人工染色体、または酵母人工染色体(YAC)に由来するベクターが挙げられる。LTVECの非限定例及びそれらを作製するための方法は、例えば、米国特許第6,586,251号;同第6,596,541号;及び同第7,105,348号、ならびにWO2002/036789に記載され、これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる。LTVECは、線形形態または円形形態をとり得る。
LTVECは、任意の長さであり得、通常は、長さが少なくとも10kbである。例えば、LTVECは、約50kb〜約300kb、約50kb〜約75kb、約75kb〜約100kb、約100kb〜125kb、約125kb〜約150kb、約150kb〜約175kb、約175kb〜約200kb、約200kb〜約225kb、約225kb〜約250kb、約250kb〜約275kb、または約275kb〜約300kbとし得る。あるいは、LTVECは、少なくとも10kb、少なくとも15kb、少なくとも20kb、少なくとも30kb、少なくとも40kb、少なくとも50kb、少なくとも60kb、少なくとも70kb、少なくとも80kb、少なくとも90kb、少なくとも100kb、少なくとも150kb、少なくとも200kb、少なくとも250kb、少なくとも300kb、少なくとも350kb、少なくとも400kb、少なくとも450kb、または少なくとも500kb以上とし得る。LTVECのサイズは、大きすぎるので、従来のアッセイ、例えば、サザンブロッティング及び長距離(例えば、1kb〜5kb)PCRによる標的化事象のスクリーニングを可能にすることができない。
LTVECにおける5’ホモロジーアーム及び3’ホモロジーアームの合計は通常、少なくとも10kbである。一例として、5’ホモロジーアームは、約5kb〜約100kbに及び得、及び/または3’ホモロジーアームは、約5kb〜約100kbに及び得る。各ホモロジーアームは、例えば、約5kb〜約10kb、約10kb〜約20kb、約20kb〜約30kb、約30kb〜約40kb、約40kb〜約50kb、約50kb〜約60kb、約60kb〜約70kb、約70kb〜約80kb、約80kb〜約90kb、約90kb〜約100kb、約100kb〜約110kb、約110kb〜約120kb、約120kb〜約130kb、約130kb〜約140kb、約140kb〜約150kb、約150kb〜約160kb、約160kb〜約170kb、約170kb〜約180kb、約180kb〜約190kb、または約190kb〜約200kbとし得る。5’及び3’ホモロジーアームの合計は、例えば、約10kb〜約20kb、約20kb〜約30kb、約30kb〜約40kb、約40kb〜約50kb、約50kb〜約60kb、約60kb〜約70kb、約70kb〜約80kb、約80kb〜約90kb、約90kb〜約100kb、約100kb〜約110kb、約110kb〜約120kb、約120kb〜約130kb、約130kb〜約140kb、約140kb〜約150kb、約150kb〜約160kb、約160kb〜約170kb、約170kb〜約180kb、約180kb〜約190kb、または約190kb〜約200kbとし得る。あるいは、各ホモロジーアームは、少なくとも5kb、少なくとも10kb、少なくとも15kb、少なくとも20kb、少なくとも30kb、少なくとも40kb、少なくとも50kb、少なくとも60kb、少なくとも70kb、少なくとも80kb、少なくとも90kb、少なくとも100kb、少なくとも110kb、少なくとも120kb、少なくとも130kb、少なくとも140kb、少なくとも150kb、少なくとも160kb、少なくとも170kb、少なくとも180kb、少なくとも190kb、または少なくとも200kbとし得る。同様に、5’及び3’ホモロジーアームの合計は、少なくとも10kb、少なくとも15kb、少なくとも20kb、少なくとも30kb、少なくとも40kb、少なくとも50kb、少なくとも60kb、少なくとも70kb、少なくとも80kb、少なくとも90kb、少なくとも100kb、少なくとも110kb、少なくとも120kb、少なくとも130kb、少なくとも140kb、少なくとも150kb、少なくとも160kb、少なくとも170kb、少なくとも180kb、少なくとも190kb、または少なくとも200kbとし得る。
LTVECは、細胞において相同組み換えを実施することを意図した他のアプローチにより、通常使用されるものよりも大きい核酸配列を有する核酸インサートを含み得る。例えば、LTVECは、約5kb〜約10kb、約10kb〜約20kb、約20kb〜約40kb、約40kb〜約60kb、約60kb〜約80kb、約80kb〜約100kb、約100kb〜約150kb、約150kb〜約200kb、約200kb〜約250kb、約250kb〜約300kb、約300kb〜約350kb、約350kb〜約400kb、またはそれ以上に及ぶ核酸インサートを含み得る。
E.細胞のゲノムと接触すること及び核酸を細胞に導入すること
細胞のゲノムを接触させることは、1つ以上のヌクレアーゼ物質またはヌクレアーゼ物質をコードする核酸(例えば、1つ以上のCasタンパク質または1つ以上のCasタンパク質をコードする核酸、及び1つ以上のガイドRNAまたは1つ以上のガイドRNAをコードする核酸(すなわち、1つ以上のCRISPR RNA及び1つ以上のtracrRNA)、及び/または1つ以上の外因性修復テンプレートを細胞に導入することを含み得る。但し、細胞が1細胞期胚である場合、例えば、外因性修復テンプレートは、長さが5kb未満であり得る。細胞のゲノムを接触させること(すなわち、細胞を接触させること)は、上記構成要素のうちの1つのみ、構成要素のうちの1つ以上、または構成要素のうちの全てを、細胞に導入することを含み得る。「導入すること」は、配列が細胞の内部に接近するように、核酸またはタンパク質を細胞に提示すことを含む。導入することは、任意の手段により達成することができ、構成成分のうちの1つ以上(例えば、構成成分のうちの2つ、または構成成分の全て)は、細胞に、同時または任意の組み合わせで逐次的に導入することができる。例えば、外因性修復テンプレートは、ヌクレアーゼ物質の導入前に導入することができるか、またはヌクレアーゼ物質の導入後に導入することができる(例えば、外因性修復テンプレートは、ヌクレアーゼ物質の導入の約1、2、3、4、8、12、24、36、48、または72時間前または後に、投与することができる)。例えば、US2015/0240263及びUS2015/0110762(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。
ヌクレアーゼ物質は、タンパク質の形態で、またはRNA(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))もしくはDNAなどのヌクレアーゼ物質をコードする核酸の形態で、細胞に導入することができる。DNAの形態で導入される場合、DNAは、細胞において活性なプロモーターに作動可能に連結することができる。このようなDNAは、1つ以上の発現構築物に存在し得る。
例えば、Casタンパク質は、gRNAと複合体を形成したCasタンパク質のようなタンパク質の形態で、またはRNA(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)またはDNA)などのCasタンパク質をコードする核酸の形態で、細胞に導入することができる。ガイドRNAは、RNAの形態で、またはガイドRNAをコードするDNAの形態で、細胞に導入することができる。DNAの形態で導入される場合、Casタンパク質及び/またはガイドRNAをコードするDNAは、細胞において活性なプロモーターに作動可能に連結することができる。このようなDNAは、1つ以上の発現構築物に存在し得る。例えば、このような発現構築物は、単一の核酸分子の構成要素とし得る。あるいは、それらは、2つ以上の核酸分子の間の任意の組み合わせで分離することができる(すなわち、1つ以上のCRISPR RNAをコードするDNA、1つ以上のtracrRNAをコードするDNA、及びCasタンパク質をコードするDNAは、別々の核酸分子の構成要素とし得る)。
一部の方法では、ヌクレアーゼ物質をコードするDNA(例えば、Casタンパク質及びガイドRNA)及び/または外因性修復テンプレートをコードするDNAを、DNAミニサークルを介して細胞に導入することができる。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるWO2014/182700を参照のこと。DNAミニサークルは、複製起点も抗生物質選択マーカーも持たない非ウイルス遺伝子導入に使用することができるスーパーコイルDNA分子である。従って、DNAミニサークルは通常、プラスミドベクターよりもサイズが小さい。これらのDNAは、細菌のDNAを欠いているため、それにより、細菌のDNAで見つかった非メチル化CpGモチーフを欠損している。
本明細書で提供される方法は、核酸またはタンパク質を細胞に導入するための特定の方法によっては決まらず、核酸またはタンパク質が少なくとも1つの細胞の内部へのアクセスを獲得することのみによって決まる。核酸及びタンパク質を種々の細胞型に導入するための方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、安定なトランスフェクション法、一過性トランスフェクション法、及びウイルス媒介法が挙げられる。
トランスフェクションプロトコール、及び核酸またはタンパク質を細胞に導入するためのプロトコールは、変わってもよい。非限定的なトランスフェクション法としては、リポソーム;ナノ粒子;リン酸カルシウム(Graham et al.(1973)Virology 52(2):456−67,Bacchetti et al.(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74(4):1590−4,及びKriegler,M(1991).Transfer and Expression:A Laboratory Manual.New York:W.H.Freeman and Company.pp.96−97);デンドリマー;またはDEAEデキストランもしくはポリエチレンイミンなどのカチオン性ポリマーを使用する化学ベースのトランスフェクション法が挙げられる。非化学的方法としては、エレクトロポレーション、ソノポレーション、及び光学的トランスフェクションが挙げられる。粒子ベースのトランスフェクションは、遺伝子銃、または磁気アシストトランスフェクション(Bertram(2006)Current Pharmaceutical Biotechnology 7,277−28)を含む。ウイルス法は、トランスフェクションに使用することもできる。
核酸またはタンパク質の細胞への導入は、エレクトロポレーションにより、細胞質内注射により、ウイルス感染により、アデノウイルスにより、アデノ随伴ウイルスにより、レンチウイルスにより、レトロウイルスにより、トランスフェクションにより、脂質媒介トランスフェクションにより、またはヌクレオフェクションにより、媒介することもできる。ヌクレオフェクションは、核酸基質を、細胞質に送達することが可能になるだけでなく、核膜を通過して核にも送達することが可能になる、改善されたエレクトロポレーション技術である。加えて、本明細書に開示の方法におけるヌクレオフェクションの使用は通常、標準のエレクトロポレーションよりもはるかに少ない(例えば、標準のエレクトロポレーションによる700万と比較してわずか約200万)細胞を必要とする。一例では、ヌクレオフェクションは、LONZA(登録商標)NUCLEOFECTOR(商標)システムを使用して実施する。
核酸またはタンパク質の細胞(例えば、1細胞期胚)への導入は、マイクロインジェクションにより達成することもできる。1細胞期胚では、マイクロインジェクションは、母系及び/または父系の前核へのもの、あるいは細胞質へのものとし得る。マイクロインジェクションが1つの前核のみへのものである場合、父系の前核は、大きいサイズのために好ましい。mRNAのマイクロインジェクションは、好ましくは、(例えば、mRNAを翻訳機構に直接送達する)細胞質へのものであるが、タンパク質またはCasタンパク質をコードするDNAをコードするDNAのマイクロインジェクションは、好ましくは、核/前核へのものである。あるいは、マイクロインジェクションは、核/前核及び細胞質の両方への注射により実施することができ;針は最初に、核/前核に導入することができ、第1の量を注入することができ、針を1細胞期胚から除去しながら、第2の量を細胞質に注射することができる。ヌクレアーゼ物質タンパク質が細胞質に注入される場合、タンパク質は、好ましくは、核/前核への送達を確実にする核局在化シグナルを含む。マイクロインジェクションを実施するための方法は、周知である。例えば、Nagy et al.(Nagy A,Gertsenstein M,Vintersten K,Behringer R.,2003,Manipulating the Mouse Embryo.Cold Spring Harbor,New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press);Meyer et al.(2010)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 107:15022−15026;及びMeyer et al.(2012)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 109:9354−9359を参照のこと。
核酸またはタンパク質を細胞に導入するための他の方法は、例えば、ベクター送達、粒子媒介送達、エキソソーム媒介送達、脂質−ナノ粒子媒介送達、細胞透過性ペプチド媒介送達、または埋め込み型装置媒介送達を含み得る。
核酸またはタンパク質の細胞への導入は、ある期間にわたって1回または複数回実施することができる。例えば、導入は、ある期間にわたって少なくとも2回、ある期間にわたって少なくとも3回、ある期間にわたって少なくとも4回、ある期間にわたって少なくとも5回、ある期間にわたって少なくとも6回、ある期間にわたって少なくとも7回、ある期間にわたって少なくとも8回、ある期間にわたって少なくとも9回、ある期間にわたって少なくとも10回、少なくとも11回、ある期間にわたって少なくとも12回、ある期間にわたって少なくとも13回、ある期間にわたって少なくとも14回、ある期間にわたって少なくとも15回、ある期間にわたって少なくとも16回、ある期間にわたって少なくとも17回、ある期間にわたって少なくとも18回、ある期間にわたって少なくとも19回、またはある期間にわたって少なくとも20回実施することができる。
一部の場合では、方法及び組成物に用いられる細胞は、ゲノムに安定的に組み込まれたDNA構築物を有する。このような場合、接触させることは、ゲノムにすでに安定的に組み込まれた構築物を細胞に提供することを含み得る。例えば、本明細書に開示の方法に用いられる細胞は、ゲノムに安定的に組み込まれた既存のCasコード遺伝子を有してもよい(すなわち、Cas−ready細胞)。「安定的に組み込まれた」または「安定的に導入された」または「安定的にインテグレートされた」は、ヌクレオチド配列が細胞のゲノムにインテグレートされ、且つそれらの後代により継承されることが可能であるように、ポリヌクレオチドの細胞への導入を含む。任意のプロトコールは、DNA構築物または標的ゲノムインテグレーション系の種々の構成要素の安定した組み込みに使用されてもよい。
F.標的遺伝子改変の種類
種々の種類の標的遺伝子改変は、本明細書に記載の方法を使用して導入することができる。このような標的改変としては、例えば、1つ以上のヌクレオチドの付加、1つ以上のヌクレオチドの欠失、1つ以上のヌクレオチドの置換、点変異、目的のポリヌクレオチドもしくはその一部のノックアウト、目的のポリヌクレオチドもしくはその一部のノックイン、内因性核酸配列の異種核酸配列、外因性核酸配列、相同核酸配列、もしくはオルソログの核酸配列との置換、ドメインスワップ、エクソンスワップ、イントロンスワップ、制御配列スワップ、遺伝子スワップ、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、少なくとも1、2、3、4、5、7、8、9、10またはそれ以上のヌクレオチドは、標的ゲノム改変を形成するように変化させる(例えば、欠失させるか、挿入するか、または置換する)ことができる。欠失、挿入、または置換は、本明細書の他の箇所に開示されているように、任意のサイズであり得る。例えば、Wang et al.(2013)Cell 153:910−918;Mandalos et al.(2012)PLOS ONE 7:e45768:1−9;及びWang et al.(2013)Nat Biotechnol.31:530−532(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。
このような標的遺伝子改変は、標的ゲノム遺伝子座の破壊をもたらし得、病原性変異または病原性対立遺伝子を導入し得、標的ゲノム遺伝子座のヒト化(すなわち、非ヒト核酸配列の相同体またはオーソログヒト核酸配列との置換)をもたらし得、条件付き対立遺伝子を生成し得る等である。破壊は、制御要素(例えば、プロモーターまたはエンハンサー)の変更、ミスセンス変異、ナンセンス変異、フレームシフト変異、切断変異、ヌル変異、または少数のヌクレオチドの挿入もしくは欠失(例えば、フレームシフト変異を引き起こす)を含み得、且つそれは、対立遺伝子の不活化(すなわち、機能の喪失)または喪失をもたらし得る。
標的遺伝子改変は、例えば、二対立遺伝子改変または単一対立遺伝子改変とし得る。好ましくは、標的遺伝子改変は、単一対立遺伝子改変である。二対立遺伝子改変は、同じ改変が、対応する相同染色体(例えば、二倍体細胞)上の同じ遺伝子座に対してなされるか、または異なる改変が、対応する相同染色体上の同じ遺伝子座に対してなされる事象を含む。一部の方法では、標的遺伝子改変は、単一対立遺伝子改変である。単一対立遺伝子改変は、改変が唯一の対立遺伝子になされる事象(すなわち、2つの相同染色体のうちの1つのみにおけるFbn1遺伝子に対する改変)を含む。相同染色体は、同じ遺伝子座に同じ遺伝子を有するが、場合により異なる対立遺伝子を有する染色体(例えば、減数***中に対合する染色体)を含む。対立遺伝子という用語は、遺伝子配列の1つ以上の代替形態のいずれかを含む。二倍体細胞または生物では、所与の配列の2つの対立遺伝子は通常、一対の相同染色体上の対応する遺伝子座を占める。
単一対立遺伝子変異は、標的化Fbn1改変についてヘテロ接合型である細胞をもたらし得る。ヘテロ接合性は、Fbn1遺伝子の1つの対立遺伝子(すなわち、両方の相同染色体上の対応する対立遺伝子)のみが標的改変を有する状況を含む。
二対立遺伝子改変は、標的改変についてホモ接合性をもたらし得る。ホモ接合性は、Fbn1遺伝子の両方の対立遺伝子(すなわち、両方の相同染色体上の対応する対立遺伝子)は、標的改変を有する状況を含む。例えば、二対立遺伝子改変は、Casタンパク質が第1のガイドRNA認識配列内の(すなわち、第1のガイドRNA認識配列内の第1の切断部位で)一対の第1及び第2の相同染色体を切断する時に、生成して、それにより、第1及び第2の相同染色体において末端配列を生成することができる。次に、第1及び第2の相同染色体のそれぞれの末端配列は、外因性修復テンプレートにより媒介される修復プロセスを経て、標的遺伝子改変を含む二対立遺伝子改変を有するゲノムを形成し得る。例えば、外因性修復テンプレートが核酸インサートを含む場合、核酸インサートは、一対の第1及び第2の相同染色体のFbn1遺伝子に挿入して、それにより、ホモ接合改変ゲノムがもたらされ得る。
あるいは、二対立遺伝子改変は、標的改変についての複合ヘテロ接合性(例えば、半接合性)をもたらし得る。複合ヘテロ接合性は、標的遺伝子座の両方の対立遺伝子(すなわち、両方の相同染色体上の対立遺伝子)が改変されているが、それらは、異なる方法(例えば、一方の対立遺伝子の標的改変及び他方の対立遺伝子の不活化または破壊)で改変されている状況を含む。例えば、標的改変を伴わない対立遺伝子では、Casタンパク質により生成された二本鎖破断は、核酸配列の挿入または欠失を含む変異型対立遺伝子を生成して、それにより、そのゲノム遺伝子座の破壊を引き起こす非相同末端結合(NHEJ)媒介DNA修復により修復されていてもよい。例えば、二対立遺伝子改変は、細胞が標的改変を有する一方の対立遺伝子、及び発現させることが不可能なもう一方の対立遺伝子を有する場合、複合ヘテロ接合性をもたらし得る。複合ヘテロ接合性は、半接合性を含む。半接合性は、標的遺伝子座の一方の対立遺伝子(すなわち、2つの相同染色体のうちの1つの対立遺伝子)のみが存在する状況を含む。例えば、二対立遺伝子改変は、標的改変が、一方の対立遺伝子において、他方の対立遺伝子の対応する喪失または欠失を伴って生じる場合、標的改変についての半接合性をもたらし得る。
G.標的遺伝子改変を有する細胞の同定
本明細書で開示されている方法は、改変Fbn1遺伝子を有する細胞を同定することをさらに含み得る。種々の方法は、欠失または挿入などの標的遺伝子改変を有する細胞を同定するために使用することができる。このような方法は、Fbn1遺伝子において標的遺伝子改変を有する1つの細胞を同定することを含み得る。スクリーニングは、改変ゲノム遺伝子座を有するこのような細胞を同定するために行うことができる。
スクリーニングステップは、親染色体の対立遺伝子の改変(MOA)(例えば、対立遺伝子喪失(LOA)及び/または対立遺伝子獲得(GOA)アッセイ)を評価するための定量的アッセイを含み得る。例えば、定量的アッセイは、リアルタイムPCR(qPCR)などの定量的PCRを介して実施することができる。リアルタイムPCRは、標的ゲノム遺伝子座を認識する第1のプライマーセット及び非標的参照遺伝子座を認識する第2のプライマーセットを利用することができる。プライマーセットは、増幅配列を認識する蛍光プローブを含み得る。
スクリーニングステップは、保持アッセイも含み得、これは、核酸インサートを標的ゲノム遺伝子座に正確に標的化挿入することを、核酸インサートを標的ゲノム遺伝子座の外側のゲノム位置にランダムトランスジェニック挿入することと区別するのに使用されるアッセイである。長距離PCRまたはサザンブロッティングなどの標的改変についてスクリーニングするための従来のアッセイは、挿入された標的ベクターを標的遺伝子座に結合させる。しかし、大きなホモロジーアームサイズのために、LTVECは、このような従来のアッセイによるスクリーニングを許容しない。LTVEC標的化をスクリーニングするために、対立遺伝子喪失(LOA)及び対立遺伝子獲得(GOA)アッセイを含む対立遺伝子改変(MOA)アッセイを使用することができる(例えば、US2014/0178879及びFrendewey et al.(2010)Methods Enzymol.476:295−307(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと)。対立遺伝子喪失(LOA)アッセイは、従来のスクリーニング論理を逆転させ、変異が向けられた天然遺伝子座のコピー数を定量する。正しく標的化された細胞クローンでは、LOAアッセイは、(XまたはY染色体上にない遺伝子について)2つの天然の対立遺伝子のうちの一方を検出し、他方の対立遺伝子は、標的改変により破壊されている。同じ原理は、挿入された標的化ベクターのコピー数を定量するための対立遺伝子獲得(GOA)アッセイと逆に適用することができる。例えば、GOA及びLOAアッセイの併用は、正確に標的とされたヘテロ接合型クローンが、喪失した1コピーの天然の標的遺伝子を有しており、且つ1コピーの薬剤耐性遺伝子または他の挿入マーカーを獲得しているものであると明らかにするであろう。
一例として、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)は、対立遺伝子の定量化の方法として使用することができるが、0、1、及び2コピーの標的遺伝子間の差異、または、0、1、及び2コピーの核酸インサート間の差異を確実に区別し得る任意の方法は、MOAアッセイを進展させるのに使用することができる。例えば、TAQMAN(登録商標)は、特に、参照遺伝子と比較することにより、ゲノムDNA試料中のDNAテンプレートのコピー数を定量するために使用することができる(例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるUS6,596,541を参照のこと)。参照遺伝子は、標的遺伝子(複数可)または遺伝子座(遺伝子座)と同じゲノムDNAにおいて定量される。従って、2つのTAQMAN(登録商標)増幅(それぞれが対応するプローブを有する)が実施される。一方のTAQMAN(登録商標)プローブは、参照遺伝子の「Ct」(閾値サイクル)を決定するが、他方のプローブは、成功した標的化により置換される標的遺伝子(複数可)または遺伝子座(遺伝子座)の領域のCtを決定する(すなわち、LOAアッセイ)。Ctは、TAQMAN(登録商標)プローブのそれぞれに対する出発物質であるDNAの量を反映する量であり、すなわち、より不十分な配列は、閾値サイクルに達する、より多くのPCRサイクルを必要とする。TAQMAN(登録商標)反応のテンプレート配列のコピー数を半分に減少させることは、約1Ct単位の増加をもたらすであろう。標的遺伝子(複数可)または遺伝子座(複数可)の1つの対立遺伝子が相同組み換えにより置換されている細胞におけるTAQMAN(登録商標)反応は、非標的細胞由来のDNAと比較した時に、参照遺伝子の場合のCtの増加なしに、標的TAQMAN(登録商標)反応の場合の1Ctの増加をもたらすであろう。GOAアッセイの場合、別のTAQMAN(登録商標)プローブは、良好な標的化により、標的遺伝子(複数可)または遺伝子座(複数可)を置換している核酸インサートのCtを決定するために使用することができる。
対になったgRNAは、標的ゲノム遺伝子座で大きなCas媒介欠失を生成し得、それは、(すなわち、1細胞期胚以外の細胞における)LTVECによる適切な標的化を検証する標準LOA及びGOAアッセイを増強するのに有用であり得る。例えば、LOA及びGOAアッセイ単独では、特に、GOAアッセイが、LTVECインサート内の選択カセットに対するプローブを用いる場合、正確に標的とされた細胞クローンを、標的ゲノム遺伝子座の大きなCas誘導欠失が、ゲノムの他の箇所のLTVECのランダムインテグレーションと一致するクローンと区別しないことがある。標的細胞における選択圧が、選択カセットに基づくので、ゲノム内の他の箇所のLTVECのランダムトランスジェニックインテグレーションは一般に、選択カセット及びLTVECの隣接領域を含むが、LTVECからより遠位の領域を除外するであろう。例えば、LTVECの一部がゲノムにランダムにインテグレートされ、且つLTVECが3’ホモロジーアーム、3’ホモロジーアームに隣接する選択カセットを有する長さが約5kb以上の核酸インサートを含む場合、一般に、5’ホモロジーアームではなく3’ホモロジーアームは、選択カセットと共にトランスジェニック的にインテグレートされるであろう。あるいは、選択カセットが5’ホモロジーアームに隣接する場合、一般に、3’ホモロジーアームではなく5’ホモロジーアームは、選択カセットと共に、トランスジェニック的にインテグレートされるであろう。一例として、LOA及びGOAアッセイがLTVECの標的インテグレーションを評価するために使用され、且つGOAアッセイが選択カセットに対してプローブを利用する場合、LTVECのランダムトランスジェニックインテグレーションと組み合わせた標的ゲノム遺伝子座でのヘテロ接合型欠失は、標的ゲノム遺伝子座でのLTVECのヘテロ接合型標的インテグレーションと同じ情報を与えるであろう。LTVECによる適切な標的化を検証するために、保持アッセイは、単独で、またはLOA及び/またはGOAアッセイと組み合わせて使用することができる。
保持アッセイは、(LTVECの5’ホモロジーアームに対応する)5’標的配列及び/または(LTVECの3’ホモロジーアームに対応する)3’標的配列のDNAテンプレートのコピー数を決定する。特に、選択カセットに隣接するホモロジーアームに対応する標的配列のDNAテンプレートのコピー数を決定することが有用である。二倍体細胞では、2より大きいコピー数は一般に、標的ゲノム遺伝子座ではなく標的ゲノム遺伝子座の外側でランダムにLTVECのトランスジェニックインテグレーションを示し、これは、望ましくない。正確に標的とされたクローンは、コピー数2を保持するであろう。さらに、このような保持アッセイにおける2未満のコピー数は一般に、欠失のために標的とされる領域を超えて拡大する大きなCas媒介欠失を示し、これもまた望ましくない。例えば、US2016/0145646及びWO2016/081923(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。
好適な定量的アッセイの他の例としては、蛍光媒介in situハイブリダイゼーション(FISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、等温DNA増幅、固定化プローブ(複数可)への定量的ハイブリダイゼーション、INVADER(登録商標)プローブ、TAQMAN(登録商標)Molecular Beaconプローブ、またはECLIPSE(登録商標)プローブ技術(例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるUS2005/0144655を参照のこと)が挙げられる。長距離PCR、サザンブロッティング、またはSangerシーケンシングなどの標的改変についてスクリーニングするための従来のアッセイも使用することができる。このようなアッセイは通常、挿入された標的化ベクター及び標的化ゲノム遺伝子座の間の結合についての証拠を得るために使用される。例えば、長距離PCRアッセイの場合、一方のプライマーは、挿入されたDNA内の配列を認識し得、他方のプライマーは、標的化ベクターのホモロジーアームの末端を超える標的ゲノム遺伝子座配列を認識する。
次世代シーケンシング(NGS)は、特に、改変されている1細胞期胚において、スクリーニングに使用することもできる。次世代シーケンシングは、「NGS」または「超並列シーケンシング」または「ハイスループットシーケンシング」と呼ぶことができる。このようなNGSは、標的遺伝子改変の正確な性質を規定し、且つモザイク現象を検出するMOAアッセイ及び保持アッセイに加えて、スクリーニングツールとして使用することもできる。モザイク現象は、単一の受精卵(すなわち、接合体)から発生している1つの個体における異なる遺伝子型を有する細胞の2つ以上の集団の存在を指す。本明細書に開示の方法では、選択マーカーを使用して標的クローンについてスクリーニングする必要はない。例えば、本明細書に記載のMOA及びNGSアッセイは、選択カセットを使用せずに信頼することができる。
H.遺伝子改変非ヒト動物の作製方法
遺伝子改変された非ヒト動物は、本明細書に開示の種々の方法を用いて生成することができる。本明細書に記載の方法を含む、遺伝子改変生物を産生するための任意の簡便な方法またはプロトコールは、このような遺伝子改変非ヒト動物を産生するのに適する。胚性幹(ES)細胞などの多能性細胞を遺伝子改変することから始まるこのような方法は一般に、(1)本明細書に記載の方法を使用する1細胞期胚ではない多能性細胞のゲノムを改変すること;(2)遺伝子改変多能性細胞を同定または選択すること;(3)遺伝子改変多能性細胞を宿主胚に導入すること;ならびに(4)代理母に遺伝子改変多能性細胞を含む宿主胚を移植及び懐胎すること、を含む。次に、代理母は、標的遺伝子改変を含み、且つ生殖系列を介して標的遺伝子改変を送達することが可能なF0世代の非ヒト動物を産生し得る。遺伝子改変されたゲノム遺伝子座を有する動物は、本明細書に記載されるように、対立遺伝子改変(MOA)アッセイを介して同定することができる。ドナー細胞は、胚盤胞期または前桑実胚期(すなわち、4細胞期または8細胞期)などの、任意の段階で宿主胚に導入することができる。生殖系列を介して遺伝子改変を伝達することが可能な後代が生成される。多能性細胞は、本明細書の他の箇所で考察されるように、例えば、ES細胞(例えば、齧歯動物ES細胞、マウスES細胞、またはラットES細胞)とし得る。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる米国特許第7,294,754号を参照のこと。
あるいは、1細胞期胚を遺伝子改変することから始まるこのような方法は一般に、(1)本明細書に記載の方法を使用する1細胞期胚のゲノムを改変すること;(2)遺伝子改変された胚を同定または選択すること;ならびに、(3)遺伝子改変された胚を代理母に移植及び懐胎すること、を含む。次に、代理母は、標的遺伝子改変を含み、且つ生殖系列を介して標的遺伝子改変を送達することが可能なF0世代の非ヒト動物を産生し得る。遺伝子改変されたゲノム遺伝子座を有する動物は、本明細書に記載されるように、対立遺伝子改変(MOA)アッセイを介して同定することができる。
核移植技術は、非ヒト哺乳動物を生成するために使用することができる。要約すると、核移植のための方法は、(1)卵母細胞を除核するか、または除核卵母細胞を提供するステップ;(2)除核卵母細胞と組み合わせるべきドナー細胞または核を単離または提供するステップ;(3)細胞または核を除核卵母細胞に挿入して、再構成細胞を形成するステップ;(4)再構成細胞を非ヒト動物の子宮に移植して、胚を形成するステップ;及び、(5)胚を成長させるステップ、を含み得る。このような方法では、卵母細胞は一般に、死亡した動物から回収されるが、それらは、生きた動物の卵管及び/または卵巣からも単離されてもよい。卵母細胞は、除核の前に当業者らに既知の様々な培地中で成熟させることができる。卵母細胞の除核は、当業者らに周知の多数の方法で実施することができる。再構成細胞を形成するための、ドナー細胞または核の、除核卵母細胞への挿入は、融合前に、ドナー細胞を透明帯の下にマイクロインジェクションすることによるものとし得る。融合は、接触/融合面を超えるDC電気パルスの印加(電気融合)により、ポリエチレングリコールなどの融合促進化学物質への細胞の曝露により、またはSendai virusなどの不活化ウイルスを介して、誘導されてもよい。再構成細胞は、核ドナー及びレシピエント卵母細胞の融合前、中、及び/または後に、電気的及び/または非電気的手段により活性化することができる。活性化法は、電気パルス、化学的に誘導された衝撃、***による浸透、卵母細胞における二価カチオンのレベルを増加させること、及び卵母細胞中の細胞タンパク質のリン酸化(キナーゼ阻害剤によるものとして)を低減させることを含む。活性化再構成細胞または胚は、当業者らに周知の培地中で培養し、次に、動物の子宮に移植することができる。例えば、US2008/0092249、WO1999/005266、US2004/0177390、WO2008/017234、及び米国特許第7,612,250号(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。
本明細書で提供される種々の方法は、遺伝子改変された非ヒトF0動物の生成を可能にし、遺伝子改変F0動物の細胞は、標的遺伝子改変を含む。F0動物を生成するために使用された方法に応じて、標的遺伝子改変を有するF0動物内の細胞の数が変動することが認められる。例えば、VELOCIMOUSE(登録商標)法を介して、ドナーES細胞を、対応する生物由来の前桑実胚期胚(例えば、8細胞期マウス胚)に導入することは、より高い割合のF0動物の細胞集団が、標的遺伝子改変を有する細胞を含むことを可能にする。例えば、非ヒトF0動物の細胞寄与の少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、85%、86%、87%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%は、標的遺伝子改変を有する細胞集団を含み得る。さらに、F0動物の少なくとも1つ以上の生殖細胞は、標的遺伝子改変を有し得る。
I.非ヒト動物及び細胞の種類
本明細書で提供される方法は、非ヒト動物、ならびに非ヒト動物由来の細胞及び胚を用いる。このような非ヒト動物は、好ましくは、齧歯動物(例えば、ラット、マウス、及びハムスター)などの哺乳動物である。他の非ヒト哺乳動物としては、例えば、非ヒト霊長類、サル、類人猿、ネコ、イヌ、ウサギ、ウマ、雄牛、シカ、バイソン、家畜(例えば、雌牛、早期去勢牛などのウシ種;ヒツジ、ヤギなどのヒツジ種;ならびにブタ及びイノシシなどブタ種)が挙げられる。「非ヒト」という用語は、ヒトを除外する。
本明細書で提供される方法に用いられる非ヒト動物細胞は、例えば、全能性細胞または多能性細胞(例えば、齧歯動物ES細胞、マウスES細胞、またはラットES細胞などの胚性幹(ES)細胞)とし得る。全能性細胞は、任意の細胞型を生じさせ得る未分化細胞を含み、多能性細胞は、複数の分化細胞型に成長する能力を有する未分化細胞を含む。このような多能性及び/または全能性細胞は、例えば、ES細胞または誘導性多能性幹(iPS)細胞などのES様細胞とし得る。ES細胞は、胚への導入時に、発生中の胚の任意の組織に寄与することが可能な胚由来の全能性または多能性細胞を含む。ES細胞は、胚盤胞の内部細胞塊から誘導することができ、3つの脊椎動物胚葉(内胚葉、外胚葉、及び中胚葉)のいずれかの細胞に分化することが可能である。
本明細書で提供される方法で用いられる非ヒト動物細胞は、1細胞期胚(すなわち、受精卵母細胞または接合体)も含み得る。このような1細胞期胚は、任意の遺伝的背景(例えば、BALB/c、C57BL/6、129、またはそれらの組み合わせ)に由来し得、新鮮または凍結であり得るか、天然の育種またはin vitro受精から誘導することができる。
本明細書で提供される方法に用いられるマウス及びマウス細胞は、例えば、129株、C57BL/6株、BALB/c株、Swiss Webster株、129及びC57BL/6株の混合物、BALB/c及びC57BL/6株の混合物、129及びBALB/c株の混合物、ならびにBALB/c、C57BL/6、及び129株の混合物を含む任意の株に由来し得る。例えば、本明細書で提供される方法に用いられるマウスまたはマウス細胞は、BALB/c株に少なくとも部分的に由来し得る(例えば、BALB/c株に少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%に由来する、または、BALB/c株に約25%、約50%、約75%、もしくは約100%に由来する)。一例では、マウスまたはマウス細胞は、50%のBALB/c、25%のC57BL/6、及び25%の129を含む株を有し得る。あるいは、マウスまたはマウス細胞は、BALB/cを排除する株または株の組み合わせを含み得る。
129株及びC57BL株の例は、本明細書の他の箇所に開示されている。本明細書に提供される方法に用いられるマウス及びマウス細胞は、上述の129株及び上述のC57BL/6株(例えば、50%の129及び50%のC57BL/6)の混合物にも由来し得る。同様に、本明細書に提供される方法に用いられるマウス及びマウス細胞は、上述の129株の混合物または上述のBL/6株の混合物(例えば、129S6(129/SvEvTac)株)に由来し得る。マウスES細胞の具体例は、VGF1マウスES細胞である。VGF1マウスES細胞(F1H4としても知られる)は、雌C57BL/6NTacマウスを雄129S6/SvEvTacマウスに交配することにより産生されたハイブリッド型胚から誘導された。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるAuerbach et al.(2000)Biotechniques 29,1024−1028を参照のこと。
本明細書で提供される方法に用いられるラットまたはラット細胞は、例えば、ACIラット株、ダークアグーチ(DA)ラット株、Wistarラット株、LEAラット株、Sprague Dawley(SD)ラット株、またはFisherF344もしくはFisherF6などのFischerラット株を含む任意のラット株に由来し得る。ラットまたはラット細胞は、上記の2つ以上の株の混合物に由来する株から得ることもできる。例えば、ラットまたはラット細胞は、DA株またはACI株に由来し得る。ACIラット株は、白い腹部及び足ならびにRT1av1ハプロタイプを有する黒アグーチを有することを特徴とする。このような株は、Harlan Laboratoriesを含む様々な供給元から入手可能である。ACIラット由来のラットES細胞株の例は、ACI.G1ラットES細胞である。ダークアグーチ(DA)ラット株は、アグーチコート及びRT1av1ハプロタイプを有することを特徴とする。このようなラットは、Charles River及びHarlan Laboratoriesを含む様々な供給元から入手可能である。DAラット由来のラットES細胞株の例は、DA.2BラットES細胞株及びDA.2CラットES細胞株である。一部の場合では、ラットまたはラット細胞は、同系交配のラット株に由来する。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるUS2014/0235933A1を参照のこと。
宿主胚に移植されている細胞は、「ドナー細胞」と呼ぶことができる。ドナー細胞は、宿主胚と同じ株に由来し得るか、または異なる株に由来し得る。同様に、代理母は、ドナー細胞及び/または宿主胚と同じ株に由来にし得るか、または代理母は、ドナー細胞及び/または宿主胚と異なる株に由来し得る。
様々な宿主胚は、本明細書に開示の方法及び組成物に用いることができる。例えば、ドナー細胞(例えば、ドナーES細胞)は、対応する生物由来の前桑実胚期胚(例えば、8細胞期胚)に導入することができる。例えば、US7,576,259;US7,659,442;US7,294,754;及びUS2008/0078000(これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる)を参照のこと。他の方法では、ドナー細胞は、2細胞期、4細胞期、8細胞期、16細胞期、32細胞期、または64細胞期の宿主胚に移植されてもよい。宿主胚はまた、胚盤胞ともし得、または前胚盤胞胚、前桑実胚期胚、桑実胚期胚(例えば、集合桑実胚期胚)、コンパクションされていない桑実胚期胚、または圧縮桑実胚期胚とし得る。マウス胚を用いる時、宿主胚期は、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるTheiler(1989)“The House Mouse:Atlas of Mouse Development,”Springer−Verlag,New Yorkに記載のタイラー期(Theiler stages)に関するタイラー期1(TS1)、TS2、TS3、TS4、TS5、及びTS6とし得る。例えば、タイラー期は、TS1、TS2、TS3、及びTS4から選択することができる。一部の方法では、宿主胚は、透明帯を含み、ドナー細胞は、透明帯の穴を通って宿主胚に導入されるES細胞である。他の方法では、宿主胚は、透明帯のない胚である。
III.化合物のスクリーニング法
本明細書に記載のFbn1変異を有する非ヒト動物は、先天性リポジストロフィーを伴う新生児早老症候群(NPSCL)を抑制するか、もしくは低減させること、またはNPSCL様症状(例えば、先天性リポジストロフィー様症状)を改善することに潜在的に有用な活性について化合物をスクリーニングすること、あるいは、NPSCLを促進するか、または悪化させるのに潜在的に有害な活性について化合物をスクリーニングすること、に使用することができる。NPSCLを抑制もしくは低減する活性、またはNPSCL様症状を改善する活性を有する化合物は、NPSCLに対する治療薬または予防薬として潜在的に有用である。NPSCLを促進または悪化させる活性を有する化合物は、有毒であると同定されており、治療薬として、またはそれらがヒトと接触し得る他の状況において(例えば、食品、農業、建設、または給水において)避けるべきである。
スクリーニングすることができる化合物の例としては、抗体、抗原結合タンパク質、部位特異的DNA結合タンパク質(例えば、CRISPR−Cas複合体)、ポリペプチド、βターン模倣物、多糖、リン脂質、ホルモン、プロスタグランジン、ステロイド、芳香族化合物、複素環式化合物、ベンゾジアゼピン、オリゴマーN−置換グリシン、及びオリゴカルバマートが挙げられる。化合物の大きな組み合わせのライブラリーは、WO1995/012608、WO1993/006121、WO1994/008051、WO1995/035503、及びWO1995/030642に記載のコードされた合成ライブラリー(ESL)法により構成することができ、これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる。ペプチドライブラリーは、ファージディスプレイ法により生成することもできる。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるUS5,432,018を参照のこと。CRISPR−Casシステムを異なる遺伝子に標的化するためのガイドRNAのライブラリーの使用は、例えば、WO2014/204727、WO2014/093701、WO2015/065964、及びWO2016/011080に開示され、これらのそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれる。
動物ベースのアッセイは一般に、化合物をFbn1変異体非ヒト動物に投与すること、及び応答の変化についてヒトのNPSCLの症状に酷似した症状を評価することを含む。変更は、化合物を有する非ヒト動物を接触させた前後の症状のレベルから、または、化合物なしの同じFbn1変異を有する対照動物(例えば、野生型コホート兄弟)を用いて実施される対照実験を実施することにより評価することができる。
監視することができる好適なNPSCL様の徴候または症状は、本明細書の他の箇所に開示されているような、体重、除脂肪量、体脂肪量、(例えば、体重で正規化された)白色脂肪量、体脂肪率、体重で正規化された摂食量、及び後弯を含む。例えば、(例えば、体重で正規化された)白色脂肪組織量を監視することができる。これらの症状は、耐糖能、血清中コレステロールレベル、血清中トリグリセリドレベル、及び血清中非エステル化脂肪酸レベルのうちの1つ以上と共に監視することができる。同様に、これらの症状は、以下の:耐糖能、血清中コレステロールレベル、血清中トリグリセリドレベル、血清中非エステル化脂肪酸レベル、肝臓重量、褐色脂肪組織(BAT)重量、内臓白色脂肪組織(WAT)重量、体重で正規化されたWAT重量、体重で正規化された代謝率、エネルギー消費、及び高脂肪食餌を摂取中のインスリン感受性、のうちの1つ以上と共に監視することができる。例えば、このようなNPSCL様症状の悪化は、化合物と接触させる前の症状のレベルと比較した、または対照非ヒト動物における症状のレベルと比較した、体重の減少、除脂肪量の減少、体脂肪量の減少、(例えば、体重で正規化された)白色脂肪組織の減少、体脂肪率の減少、体重で正規化された摂食量の増加、及び後弯の増加、のうちの1つ以上をもたらし得る。このような減少または増加は、肝臓重量の減少、(例えば、体重で正規化された)褐色脂肪組織(BAT)重量の保存、内臓白色脂肪組織(WAT)重量の減少、体重で正規化されたWAT重量の減少、体重で正規化された代謝率の上昇、エネルギー消費の増加、耐糖能の改善、及び高脂肪食餌を摂取中のインスリン感受性の改善のうちの1つ以上と共に生じ得る。このような減少または増加は、以下の残りの正常な:耐糖能、血清中コレステロールレベル、血清中トリグリセリドレベル、及び血清中非エステル化脂肪酸レベル、のうちの1つ以上を伴って生じ得る。あるいは、このようなNPSCL様症状の改善は、化合物と接触させる前の症状のレベルと比較した、または対照非ヒト動物における症状のレベルと比較した、体重の増加、除脂肪量の増加、体脂肪量の増加、体脂肪率の増加、体重で正規化された摂食量の減少、及び後弯の減少、のうちの1つ以上をもたらし得る。このような減少または増加は、肝臓重量の増加、(例えば、体重で正規化された)褐色脂肪組織(BAT)重量の保存または変更、内臓白色脂肪組織(WAT)重量の増加、体重で正規化されたWAT重量の増加、体重で正規化された代謝率の減少、エネルギー消費の減少、耐糖能の減少、及び高脂肪食餌を摂取中のインスリン感受性の減少のうちの1つ以上と共に生じ得る。このような症状は、本明細書に提供される実施例に記載されるようにアッセイすることができる。減少または増加は、統計的に有意であり得る。例えば、減少または増加は、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または100%であり得る。
上記または下記に引用された全ての特許出願、ウェブサイト、他の刊行物、アクセッション番号などは、各個々の条項が参照により組み込まれることが特異的に且つ個別に示されるような同じ程度に、あらゆる目的のために全体が参照により組み込まれる。配列の異なるバージョンが異なる時間でアクセッション番号に関連する場合、本出願の有効出願日におけるアクセッション番号に関連するバージョンを意味する。有効出願日は、実際の出願日または該当する場合のアクセッション番号を参照する優先出願の出願日の早い方を意味する。同様に、異なるバージョンの出版物、ウェブサイトなどが、異なる時に出版されている場合、別途指示のない限り、その出願の有効出願日に最も直近で発行されたバージョンを意味する。特に別途指示のない限り、本発明の任意の特徴、ステップ、要素、実施形態、または態様は、任意の他のものと組み合わせて使用することができる。本発明は、明瞭さ及び理解のための実例及び実施例により、少し詳しく記載されているが、特定の変更及び修正が添付の特許請求の範囲の範囲内で実施され得ることは明らかであろう。
配列の簡単な説明
添付の配列表に列挙されたヌクレオチド及びアミノ酸配列は、ヌクレオチド塩基についての標準的な文字の略語、及びアミノ酸についての3文字のコードを使用して示される。ヌクレオチド配列は、配列の5’末端で開始すること及び前方へ(すなわち、各行で左から右に)3’末端に進むことの標準的な規則に従う。各ヌクレオチド配列の一方の鎖のみが示されているが、相補鎖は、表示されている鎖への任意の言及により含まれると理解される。アミノ酸配列は、配列のアミノ末端から開始すること及び前方へ(すなわち、各行で左から右に)カルボキシ末端に進むことの標準的な規則に従う。
実施例1.切断型C末端を有するMAID8501のFbn1変異型マウスの生成。
変異型Fbn1マウス対立遺伝子を生成して、ヒト変異型FBN1対立遺伝子を再現した。参照配列としてNM_007993.2を使用すると、変異は、c.8213_8214delinsACTである。c.8212及び8213の間にAを挿入し、c.8214でG>T置換を行うことにより生成されたこの変異は、Fbn1の最後から2番目のエクソンに早期終止コドンをもたらす。変異型対立遺伝子は、MAID8501として示されている。図1を参照のこと。変異は、最後から2番目のエクソンの最後の50ヌクレオチド以内に存在し、ナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)を脱出して、変異型切断型プロフィブリリンタンパク質の発現をもたらすと予測される。
変異型対立遺伝子を生成するために、ドナーテンプレートと共に前核注入または細胞質mRNAピエゾ注入を介して、CRISPR/Cas9構成要素を、C57BL/6の1細胞期胚に導入した。DNA標的化配列であるガイドRNAの配列は、配列番号37に記載されており、ドナーの配列は、配列番号38に記載されている。NGSを使用して、正確に標的とされたクローンについてスクリーニングした。標的化結果を表2に記載する。
胚の偽妊娠雌マウスへのマイクロインジェクション後に、F0ファウンダーマウスを生成した。図2に示されるように、MAID8501 Fbn1変異についてホモ接合型である雄または雌マウスは、40日間後に生存しなかったが、雄及び雌ヘテロ接合型マウスは、はるかに長く生存した。
実施例2.切断型C末端を有するMAID8520 Fbn1変異型マウスの生成。
別の実験では、ヒトc.8155_8156del Fbn1対立遺伝子に対応する変異型Fbn1対立遺伝子を生成するように、ガイドRNA配列及びドナー配列を設計して、これは、p.Lys2719の17コドン下流の後続の早期終止コドンでフレームシフトを引き起こす、コードエクソン64(最後から2番目のエクソン)における2塩基対の欠失を有する。予測された変異型対立遺伝子は、MAID8502として示される。図3を参照のこと。
変異型対立遺伝子を生成するために、ドナーテンプレートと共に前核注入または細胞質mRNAピエゾ注入を介して、CRISPR/Cas9構成要素を、C57BL/6の1細胞期胚に導入した。生成された1つのクローンは、予想されたMAID8502対立遺伝子の代わりに、図3に示される予想されたMAID8520変異型対立遺伝子を有していた。MAID8520変異型対立遺伝子はまた、図3に示すように、コードされたFbn1タンパク質の早期終結をもたらす。
F0ファウンダーマウスを、胚の偽妊娠雌マウスへのマイクロインジェクション後に生成し、続いて、F1世代マウスを生成した。野生型マウスと比較して、Fbn1変異についてヘテロ接合型のマウスは、体重で正規化した場合に、はるかに多く食べた。例えば、体重で正規化された週毎の摂食量(グラム対グラム)(ヘテロ接合型の雄は、体重で正規化された時に、それらの野生型対応物よりも約1.7倍多い食餌を食べた)を示す図4を参照のこと。摂食量の増加にもかかわらず、Fbn1変異についてヘテロ接合型の雄及び雌マウスの体重は一貫して、経時的に、対応する野生型マウスよりも低かった。例えば、左側に2つの3ヶ月齢の雄F1ヘテロ接合型マウスを、右側に2つの3ヶ月齢の野生型雄F1マウスを示す図5を参照のこと。5週齢から13週齢までのF1子孫の体重を示す図6も参照のこと。例えば、ヘテロ接合型変異型雄の体重は、5週で約7グラム及び13週で12グラムであり、対応する野生型雄の体重は、5週で約18グラム及び13週で25グラムであった。これらの傾向は、雌マウスにも観察された。
野生型雌と比較したヘテロ接合型雌のさらなる分析は、野生型雌と比較した時に、ヘテロ接合型変異型雌において後弯(すなわち、背中の前方への丸みの悪化)を示した。図7A〜7Eを参照のこと。同様に、ヘテロ接合型雌は、それらの野生型対応物と比較して非常に少ない脂肪を有した。図8A〜8Cに示されるように、ヘテロ接合型変異型雌マウスは、齧歯動物の脂肪及び除脂肪量を測定するために使用されるECHOMRI(商標)により測定される場合の体重、除脂肪量、及び体脂肪量が統計的に有意に低いレベルを有した。マウスに21週間の60%の高脂肪食餌を給餌したとしても、これらの差異は保持される。体脂肪が存在しないにもかかわらず、ヘテロ接合型変異型雌及び対応する野生型雌は、固形食餌を摂取中の類似した耐糖能(経口耐糖能、一晩絶食後に2mg/kg与えられた)、ならびに血清中コレステロール、トリグリセリド、及び非エステル化脂肪酸(ADVIAで測定)の上昇を示した。例えば、それぞれ、図9A〜9F及び図10A〜10Fを参照のこと。
ヘテロ接合型変異型雌のさらなる分析は、内臓白色脂肪のほぼ完全な喪失にもかかわらず、褐色脂肪組織(BAT)貯蔵の保存を示した。図11A〜11Hを参照のこと。BATの保存により、発明者らが、60%の高脂肪食餌を12週間給餌した後のヘテロ接合型変異型雌のエネルギー消費を検査できるようになった。図12A〜12Hを参照のこと。Columbia Instruments Oxymax CLAMSシステムを使用する代謝ケージ分析は、マウスが、それらのVO、VCO、及びエネルギー消費(エネルギー)により示されるように、体重に対して正規化された代謝率の上昇を有することを示した。20週間の高脂肪食餌の摂取後も、これらのマウスは、耐糖能の改善を示した。図13A〜13Dを参照のこと。
フィブリリン−1のC末端欠失についてヘテロ接合型のマウスは、白脂肪貯蔵の大幅な低減を伴い痩せているが、野生型マウスと比較して、褐色脂肪の保存、エネルギー消費の増加、類似の耐糖能、高脂肪食餌を摂取中のインスリン感受性の改善、及び血清中脂質の無上昇を有する。これは、多くのリポジストロフィー症候群と異なり、これらの特定のマウスが、内臓脂肪組織がないにもかかわらず、血糖恒常性及び循環脂質に関して正常な代謝プロファイルを有するという点で、ヒトNPSCL患者で観察されたFBN1表現型を要約する。FBN1変異型マウスの他の多くのモデルは、非常に正常なヘテロ接合体を有するが、ホモ接合体は、出生後の早期の死亡または胚の死亡を示している。例えば、あらゆる目的のために本明細書に全体が参照により組み込まれるPereira et al.(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96(7):3819−3823を参照のこと。本発明者らのモデルは、優性のヘテロ接合型表現型を示し、これは、ヒト患者の特徴の多くを要約して、本発明者らが治療の選択肢を研究することを可能にする。特に、本発明者らのモデルは、白色脂肪組織の喪失を示すが、褐色脂肪組織は、白色脂肪組織の喪失にもかかわらず、インスリン感受性の改善と組み合わせて保存されている。ヒトNPSCL患者は、本発明者らのモデルが示す白色脂肪組織の喪失にもかかわらず、正常な血糖恒常性を有する。褐色脂肪組織の保存は、インスリン感受性の維持/改善の基礎をなす機序である可能性がある。というのは、これが、マウスに、貯蔵することができない過剰な脂肪を燃焼させ得るからである。

Claims (52)

  1. ゲノムが変異を含むフィブリリン−1(Fbn1)遺伝子を含む非ヒト哺乳動物であって、前記遺伝子の発現が、前記非ヒト哺乳動物に新生児早老症候群の1つ以上の先天性リポジストロフィー様症状を発症させるC末端切断型Fbn1タンパク質をもたらす、前記非ヒト哺乳動物。
  2. 前記非ヒト哺乳動物が、前記変異についてヘテロ接合型である、請求項1に記載の非ヒト哺乳動物。
  3. 前記Fbn1遺伝子が、前記非ヒト哺乳動物に対して内因性のFbn1プロモーターを含む、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  4. 前記変異が、フレームシフト変異である、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  5. 前記変異が、早期終止コドンをもたらす、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  6. 前記早期終止コドンが、前記Fbn1遺伝子の最後から2番目のエクソンまたは最終エクソンに存在する、請求項5に記載の非ヒト哺乳動物。
  7. 前記早期終止コドンが、前記Fbn1遺伝子の最終エクソン内であるか、または最後のエクソン−エクソン接合部の約55塩基対未満上流にある、請求項6に記載の非ヒト哺乳動物。
  8. 前記変異が、最後から2番目のエクソンがスキップされるようになるスプライス部位変異である、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  9. 前記変異が、最後のコードエクソンに早期終止コドンを生じる、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  10. 前記変異が、フリンファミリーのプロタンパク質転換酵素に対する塩基性アミノ酸認識配列を破壊する、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  11. 前記変異が、プロフィブリリン−1のアスプロシンのC末端切断産物の破壊または除去をもたらす、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  12. 前記C末端切断型Fbn1タンパク質が、正荷電C末端を有する、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  13. 前記C末端切断型Fbn1タンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、前記C末端切断型Fbn1タンパク質が、配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質のアミノ酸2700〜2790、アミノ酸2710〜2780、アミノ酸2720〜2770、アミノ酸2730〜2760、またはアミノ酸2737〜2755の位置に相当する位置で切断される、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  14. 前記C末端切断型Fbn1タンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、前記最後のアミノ酸が配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質のアミノ酸2737、アミノ酸2738、またはアミノ酸2755に対応する位置に存在するように、前記C末端切断型Fbn1タンパク質が切断される、請求項13に記載の非ヒト哺乳動物。
  15. 前記C末端切断型Fbn1タンパク質が、配列番号8、42、43、45、46、または47に記載の配列からなるC末端を有する、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  16. 前記C末端切断型Fbn1タンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、前記最後のアミノ酸が配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質のアミノ酸2737に対応する位置に存在するように、前記C末端切断型Fbn1タンパク質が切断され、且つ、前記C末端切断型Fbn1タンパク質の前記C末端が配列番号43または46に記載の配列からなる、請求項13〜15のいずれか1項に記載の非ヒト哺乳動物。
  17. 前記C末端切断型Fbn1タンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、前記最後のアミノ酸が配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質のアミノ酸2738に対応する位置に存在するように、前記C末端切断型Fbn1タンパク質が切断され、且つ、前記C末端切断型Fbn1タンパク質の前記C末端が配列番号8または45に記載の配列からなる、請求項13〜15のいずれか1項に記載の非ヒト哺乳動物。
  18. 前記C末端切断型Fbn1タンパク質が配列番号30と最適にアラインされる時、前記最後のアミノ酸が配列番号30に記載の野生型マウスFbn1タンパク質のアミノ酸2755に対応する位置に存在するように、前記C末端切断型Fbn1タンパク質が切断され、且つ、前記C末端切断型Fbn1タンパク質の前記C末端が配列番号42または47に記載の配列からなる、請求項13〜15のいずれか1項に記載の非ヒト哺乳動物。
  19. 前記変異が、最後から2番目のエクソンに存在する、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  20. 前記変異した最後から2番目のエクソンが配列番号26、27、または28と最適にアラインされる時、前記Fbn1遺伝子の前記変異した最後から2番目のエクソンが、配列番号25に記載の野生型マウスFbn1の最後から2番目のエクソン配列に対して、配列番号26、27、または28における変異に対応する変異を含む、請求項19に記載の非ヒト哺乳動物。
  21. 前記Fbn1遺伝子の全部または一部が、欠失しており、且つオーソログヒトFBN1遺伝子配列と置換されている、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  22. 前記変異が、オーソログヒトFBN1遺伝子配列に位置する、請求項21に記載の非ヒト哺乳動物。
  23. 前記オーソログヒトFBN1遺伝子配列が、内因性非ヒト哺乳動物Fbn1遺伝子座に位置する、請求項21または22に記載の非ヒト哺乳動物。
  24. 前記変異したFbn1遺伝子によりコードされた前記C末端切断型Fbn1タンパク質が、配列番号31、32、または33に記載の配列からなる、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  25. 前記非ヒト哺乳動物が、齧歯動物である、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  26. 前記齧歯動物が、ラットまたはマウスである、請求項25に記載の非ヒト哺乳動物。
  27. 前記齧歯動物が、マウスである、請求項26に記載の非ヒト哺乳動物。
  28. 前記変異が、−1フレームシフトを引き起こして、エクソン64の3’末端またはエクソン65の5’末端に早期終止コドンをもたらす、前記内因性マウスFbn1遺伝子のエクソン64における挿入または欠失を含む、請求項27に記載の非ヒト哺乳動物。
  29. 前記変異が、−1フレームシフトを引き起こして、エクソン65の5’末端に早期終止コドンをもたらす、エクソン64における挿入を含む、請求項28に記載の非ヒト哺乳動物。
  30. 前記変異を含む前記Fbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時、前記挿入が配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8179位に対応する位置及び8180位に対応する位置の間に存在し、及び/または前記変異を含む前記Fbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時、前記早期終止コドンが配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8241位に対応する位置に存在する、請求項29に記載の非ヒト哺乳動物。
  31. 前記変異が、−1フレームシフトを引き起こして、エクソン64の3’末端に早期終止コドンをもたらす、エクソン64における挿入または欠失を含む、請求項28に記載の非ヒト哺乳動物。
  32. 前記変異を含む前記Fbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時、前記変異が配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8209位に対応する位置及び8210位に対応する位置の間に挿入を含み、及び/または前記変異を含む前記Fbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時、前記早期終止コドンが配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8214位に対応する位置に存在する、請求項31に記載の非ヒト哺乳動物。
  33. 前記変異を含む前記Fbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時、前記変異が配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列の8161位に対応する位置で開始する欠失を含み、及び/または前記変異を含む前記Fbn1遺伝子が配列番号20と最適にアラインされる時、前記早期終止コドンが配列番号20に記載の野生型マウスFbn1コード配列中の8214位に対応する位置に存在する、請求項31に記載の非ヒト哺乳動物。
  34. 前記C末端切断型Fbn1タンパク質が、正荷電C末端を有する、請求項28〜33のいずれか1項に記載の非ヒト哺乳動物。
  35. 症状が、以下の:体重の減少、除脂肪量の減少、体脂肪量の減少、体重で正規化された白色脂肪組織の減少、体重で正規化された褐色脂肪組織の保存を伴う白色脂肪組織の減少、体脂肪率の減少、体重で正規化された摂食量の増加、及び後弯の増加、のうちの1つ以上を含む、先行請求項のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  36. 前記非ヒト哺乳動物が、以下の:代謝率の増加、インスリン感受性の改善、正常な耐糖能、正常な血清中コレステロールレベル、正常な血清中トリグリセリドレベル、及び正常な血清中非エステル化脂肪酸レベル、のうちの1つ以上を有する、請求項34に記載の非ヒト哺乳動物。
  37. 前記症状が、体重で正規化された白色脂肪組織の減少、ならびに、インスリン感受性の改善、正常な耐糖能、正常な血清中コレステロールレベル、正常な血清中トリグリセリドレベル、及び正常な血清中非エステル化脂肪酸レベルのうちの少なくとも1つを含む、請求項35に記載の非ヒト哺乳動物。
  38. 前記症状が、体重で正規化された白色脂肪組織の減少及びインスリン感受性の改善を含む、請求項36に記載の非ヒト哺乳動物。
  39. 請求項1〜38のいずれか1項に記載の非ヒト哺乳動物を作製する方法であって、
    (a)1細胞期胚ではない非ヒト哺乳動物多能性細胞のゲノムを、
    (i)Cas9タンパク質、及び
    (ii)前記Fbn1遺伝子の標的ゲノム遺伝子座内の第1のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする第1のガイドRNA、と接触させること、を含み、前記Fbn1遺伝子が、前記C末端切断型Fbn1タンパク質をもたらす前記変異を含むように改変され、
    さらに、前記方法が、(b)前記改変非ヒト哺乳動物多能性細胞を、宿主胚に導入すること、及び
    (c)前記宿主胚を代理母に移植して、前記Fbn1遺伝子が前記C末端切断型Fbn1タンパク質をもたらす前記変異を含むように改変される遺伝子改変F0世代非ヒト哺乳動物を産生すること、を含み、前記変異が、前記F0世代非ヒト哺乳動物の先天性リポジストロフィー様症状を生じる、前記方法。
  40. 前記多能性細胞が、胚性幹(ES)細胞である、請求項39に記載の方法。
  41. 請求項1〜38のいずれか1項に記載の非ヒト哺乳動物を作製する方法であって、
    (a)非ヒト哺乳動物の1細胞期胚の前記ゲノムを、
    (i)Cas9タンパク質、及び
    (ii)前記Fbn1遺伝子の標的ゲノム遺伝子座内の第1のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする第1のガイドRNA、と接触させること、を含み、前記Fbn1遺伝子が、前記C末端切断型Fbn1タンパク質をもたらす前記変異を含むように改変され;
    さらに、方法が、(b)前記改変非ヒト哺乳動物1細胞期胚を代理母に移植して、前記Fbn1遺伝子が前記C末端切断型Fbn1タンパク質をもたらす前記変異を含むように改変される遺伝子改変F0世代非ヒト哺乳動物を産生すること、を含み、前記変異が、前記F0世代非ヒト哺乳動物の先天性リポジストロフィー様症状を生じる、前記方法。
  42. ステップ(a)が、前記Fbn1遺伝子の前記標的ゲノム遺伝子座内の第2のガイドRNA認識配列にハイブリダイゼーションする第2のガイドRNAと、前記非ヒト哺乳動物多能性細胞または前記非ヒト1細胞期胚の前記ゲノムを接触させることをさらに含む、請求項39〜41のいずれか1項に記載の方法。
  43. 前記方法が、ステップ(a)の後に、且つステップ(b)の前に、改変非ヒト哺乳動物多能性細胞または改変非ヒト哺乳動物1細胞期胚を選択することをさらに含み、前記改変非ヒト哺乳動物多能性細胞または改変非ヒト1細胞期胚が、前記C末端切断型Fbn1タンパク質をもたらす前記変異についてヘテロ接合型である、請求項39〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 前記接触ステップ(a)が、前記標的ゲノム遺伝子座の5’標的配列にハイブリダイゼーションする5’ホモロジーアーム及び前記標的ゲノム遺伝子座で3’標的配列にハイブリダイゼーションする3’ホモロジーアームを含む外因性修復テンプレートと、前記ゲノムを接触させることをさらに含む、請求項39〜43のいずれか1項に記載の方法。
  45. 前記外因性修復テンプレートが、5’ホモロジーアーム及び3’ホモロジーアームに隣接する核酸インサートをさらに含む、請求項44に記載の方法。
  46. 前記核酸インサートが、前記標的ゲノム遺伝子座に相同またはオーソロガスである、請求項45に記載の方法。
  47. 前記外因性修復テンプレートが、長さが約50ヌクレオチド〜約1kbである、請求項44〜46のいずれか1項に記載の方法。
  48. 前記外因性修復テンプレートが、長さが約80ヌクレオチド〜約200ヌクレオチドである、請求項47に記載の方法。
  49. 前記外因性修復テンプレートが、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチドである、請求項44〜48のいずれか1項に記載の方法。
  50. 先天性リポジストロフィー様症状を改善するための活性について化合物をスクリーニングする方法であって、
    (a)請求項1〜38のいずれか1項に記載の対象非ヒト哺乳動物を、前記化合物と接触させること、及び
    (b)前記化合物と接触していない対照非ヒト哺乳動物に対して、前記対象非ヒト哺乳動物の先天性リポジストロフィー様症状の存在を決定すること、を含み、前記対照非ヒト哺乳動物が、前記対象非ヒト哺乳動物と同じFbn1変異を含み、
    先天性リポジストロフィー様症状を改善するための活性が、前記対照非ヒト哺乳動物と比較した、前記対象非ヒト哺乳動物における先天性リポジストロフィー様症状の出現の減少により同定される、前記方法。
  51. 前記症状が、以下の:体重の減少、除脂肪量の減少、体脂肪量の減少、体重で正規化された白色脂肪組織の減少、体重で正規化された褐色脂肪組織の保存を伴う白色脂肪組織の減少、体脂肪率の減少、体重で正規化された摂食量の増加、及び後弯の増加、のうちの1つ以上を含む、請求項50に記載の方法。
  52. 前記症状が、体重で正規化された白色脂肪組織の減少を含む、請求項51に記載の方法。
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