衛星細胞の増殖を増加させる方法を本明細書で提供する。この方法は、衛星細胞を、キナーゼ阻害剤、Gタンパク質共役受容体(GPCR)モジュレーター、エピジェニック修飾因子、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)モジュレーター、ヘッジホッグシグナル伝達経路モジュレーター、神経ペプチド、ドーパミン受容体モジュレーター、セロトニン受容体モジュレーター、ヒスタミン受容体モジュレーター、アデノシン受容体アゴニスト、イオノフォア、イオンチャネルモジュレーター、アデノシン受容体モジュレーター、ガンマ−セクレターゼモジュレーター、コルチコステロイド、その任意の組み合わせからなる群より選択される化合物と接触させることを含む。
本明細書で使用される場合、用語「増殖」は、細胞の成長および***を意味する。一部の実施形態では、用語「増殖」は、細胞に関して本明細書で使用される場合、ある期間にわたって数を増加させ得る細胞の群を指す。
本明細書で使用される場合、衛星細胞の増殖を「誘導する」、「増強する」、または「増加させる」ことは、衛星細胞が、より急速な速度および/またはより高い頻度で複製することを意味する。本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、衛星細胞の増殖は、非処置対照に対して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、50%、70%、80%、90%、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍またはそれより多く増加する。衛星細胞の増殖の%または倍数増加は、衛星細胞が化合物と接触していない対照に対して、本明細書に記載の化合物と接触している間に複製している衛星細胞の数を測定することにより決定することができる。増殖の増加はまた、それぞれの処置および非処置対照における細胞の合計数に対する複製している細胞の比に基づいてもよい。一部の実施形態では、処置および非処置対照における細胞の合計数を使用して、増殖を決定する。衛星細胞の増殖は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0136481号に記載されているBrdU取り込み方法を使用して決定することができる。
筋衛星細胞または衛星細胞は、成熟筋に見出される、細胞質を実際的に含まない小さな単核前駆細胞である。これらは、基底膜と個々の筋線維の筋細胞膜(細胞膜)との間にサンドイッチされて見出され、線維の筋細胞膜下の核と識別することが困難であり得る。衛星細胞は、分化し、融合して既存の筋線維を増強し、新たな線維を形成することができる。これらの細胞は、最も古い公知の成体幹細胞ニッチを表し、筋肉の正常な成長、さらには傷害または疾患後の再生に関係している。
非損傷筋肉では、衛星細胞の大部分は休止状態にあり;それらは、分化もせず、細胞***もしない。機械的歪みに応じて、衛星細胞は活性化される。活性化衛星細胞は初めに、骨格筋芽細胞として増殖し、その後、筋分化を受ける。
衛星細胞に特徴的なマーカーには、細胞表面タンパク質またはコード遺伝子の発現、細胞内タンパク質またはコード遺伝子の発現、細胞形態学的特徴などが含まれる。当業者は、公知の免疫蛍光、免疫化学、ポリメラーゼ連鎖反応、インサイチュハイブリダイゼーション、ノーザンブロット分析、化学的または放射化学または生物学的方法により、衛星細胞特異的特徴の存在および非存在を容易に確かめることができることを認めるであろう。
所望の場合には、衛星細胞の集団中の細胞の種類(複数可)を、当技術分野で周知の技術を使用して決定することができる。例えば、細胞型特異的染色液の使用。別法では、様々な衛星細胞特異的タンパク質を指向する抗体を使用して、免疫蛍光染色を行うことができる。加えて、例えば、光学顕微鏡法、または電子顕微鏡法などの技法を使用して、その形態学により、細胞型を決定することができる。
衛星細胞は、いくつかの別個の遺伝子マーカーを発現する。例えば、現在の判断は、すべての衛星細胞がPAX7およびPAX3を発現するというものである(F. Rlaixら、Nature、2005年、435巻(7044号):898〜899頁)。活性化衛星細胞は、Myf5およびMyoDなどの筋原転写因子(myogenic transcription factor)を発現する。これらはまた、それらが分化すると、デスミンなどの筋肉特異的線維タンパク質の発現を開始する。
衛星細胞の調節についてはほとんど知られていない。PAX3およびPAX7は共に現在、決定的な衛星マーカーを形成しているが、Pax遺伝子は、不十分な転写活性化因子であり得る。活性化および休止のダイナミクスならびに筋原調節因子、Myf5、MyoD、ミオゲニン、およびMRF4による筋原性プログラムの誘導は、決定されるべきこととして残っている。衛星細胞が、ミオスタチンと呼ばれるタンパク質によって負に調節されることを示すいくつかの研究が存在する。ミオスタチンのレベルの上昇は、p21と呼ばれるサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を上方調節し、それによって、衛星細胞の分化を誘導する。
一部の実施形態では、衛星細胞は、安定した状態にあり、例えば、細胞を被験体から採取し、ある程度の期間にわたってそれらを保管することができるように処理した。例えば、細胞を、例えば、初代細胞を凍結するために当技術分野で公知の方法を使用して、解凍すると細胞が生存可能であるように、凍結することができる。例えば、生きている哺乳動物を生じさせるために胚を凍結および解凍するために当技術分野で公知の方法を、本方法で使用するために適合させることができる。そのような方法は、液体窒素を、例えば、1種または複数の凍結保護物質、例えば、細胞に対する凍結−解凍損傷を防ぐ薬剤と共に使用することを含み得る。
キナーゼ阻害剤
本明細書で使用される場合、用語「キナーゼ」は、ホスフェート基を転移する任意のホスホトランスフェラーゼ酵素を意味する。一部の実施形態では、キナーゼは、プロテインキナーゼである。プロテインキナーゼは、タンパク質中の特異的な残基のリン酸化を触媒する酵素のファミリーである。一般に、プロテインキナーゼは、いくつかの群;セリンおよび/またはトレオニン残基を優先的にリン酸化する群、チロシン残基を優先的にリン酸化する群、ならびにチロシンおよびSer/Thr残基の両方をリン酸化する群に分類される。
プロテインキナーゼには、例えば、これらだけに限定されないが、タンパク質チロシンキナーゼファミリー(PTK)のメンバーが含まれ、次いで、それらは、細胞質PTKおよび受容体PTK(RTK)に分けられ得る。細胞質PTKSには、SRCファミリー(BLK;FOR;FYN;HCK;LCK;LYN;SRC;YESおよびYRKを含む);BRKファミリー(BRK;FRK、SAD;およびSRMを含む);CSKファミリー(CSKおよびCTKを含む);BTKファミリー(BTK;ITK;TEC;MKK2およびTXKを含む)、ヤヌスキナーゼファミリー(JAKI、JAK2、JAK3およびTyk2を含む)、FAKファミリー(FAKおよびPYK2を含む);Fesファミリー(FESおよびFERを含む)、ZAP70ファミリー(ZAP70およびSYKを含む);ACKファミリー(ACK1およびACK2を含む);およびAblファミリー(ABLおよびARGを含む)が含まれる。RTKファミリーには、EGF−受容体ファミリー(EGFR、HER2、HER3およびHER4を含む);インスリン受容体ファミリー(INS−RおよびIGF1−Rを含む);PDGF−受容体ファミリー(PDGFRa、PDGFR|3、CSF1R、KIT、FLK2を含む);VEGF−受容体ファミリー(FLT1、FLK1およびFLT4を含む);FGF−受容体ファミリー(FGFR1、FGFR2、FGFR3およびFGFR4を含む);CCK4ファミリー(CCK4を含む);METファミリー(METおよびRONを含む);TRKファミリー(TRKA、TRKB、およびTRKCを含む);AXLファミリー(AXL、MER、およびSKYを含む);TIE/TEKファミリー(TIEおよびTIE2/TEKを含む);EPHファミリー(EPHA1、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB5、EPHB6を含む);RYKファミリー(RYKを含む);MCKファミリー(MCKおよびTYRO10を含む);ROSファミリー(ROSを含む);RETファミリー(RETを含む);LTKファミリー(LTKおよびALKを含む);RORファミリー(ROR1およびROR2を含む);Muskファミリー(Muskを含む);LMRファミリー(LMR1、LMR2およびLMR3を含む);およびSuRTK106ファミリー(SuRTK106を含む)が含まれる。
キナーゼの代表的な非限定的例には、Abl、Abl(T315I)、ALK、ALK4、AMPK、Arg、Arg、ARKS、ASK1、Aurora−A、Axl、Blk、Bmx、BRK、BrSK1、BrSK2、BTK、CaMKI、CaMKII、CaMKIV、CDK1/サイクリンB、CDK2/サイクリンA、CDK2/サイクリンE、CDK3/サイクリンE、CDK5/p25、CDK5/p35、CDK6/サイクリンD3、CDK7/サイクリンH/MAT1、CDK9/サイクリンT1、CHK1、CHK2、CK1(y)、CK18、CK2、CK2a2、cKit(D816V)、cKit、c−RAF、CSK、cSRC、DAPK1、DAPK2、DDR2、DMPK、DRAK1、DYRK2、EGFR、EGFR(L858R)、EGFR(L861Q)、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphAS、EphAV、EphAS、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、ErbB4、Per、Fes、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Fgr、Fill、Flt3(D835Y)、Flt3、Flt4、Fms、Fyn、GSK3(3、GSK3a、Hck、HIPK1、HIPK2、HIPK3、IGF−1R、IKK(3、IKKa、IR、IRAKI、IRAK4、IRR、ITK、JAK2、JAK3、JNK1a1、JNK2a2、JNK3、KDR、Lck、LIMK1、LKB1、LOK、Lyn、Lyn、MAPK1、MAPK2、MAPK2、MAPKAP−K2、MAPKAP−K3、MARK1、MEK1、MELK、Met、MINK、MKK4、MKK6、MKK7(3、MLCK、MLK1、Mnk2、MRCK−ベータ、MRCKa、MSK1、MSK2、MSSK1、MST1、MST2、MST3、MuSK、NEK2、NEKS、NEK6、NEK7、NLK、p70S6K、PAK2、PAK3、PAK4、PAK6、PAR−lBa、PDGFR(3、PDGFRa、PDK1、PI3Kベータ、PI3Kデルタ、PI3Kガンマ、Pim−1、Pim−2、PKA(b)、PKA、PKB(3、PKBa、PKBy、PKC^i、PKC(3I、PKC(3II、PKCa、PKCy、PKC8、PKCe、PKC^、PKCr|、PKC9、PKCi、PKD2、PKG1(3、PKGla、Plk3、PRAK、PRK2、PrKX、PTK5、Pyk2、Ret、RIPK2、ROCK−I、ROCKII、ROCK−II、Ron、Ros、Rse、Rskl、Rskl、Rsk2、Rsk3、SAPK2a、SAPK2a(T106M)、SAPK2b、SAPK3、SAPK4、SGK、SGK2、SGK3、SIK、Snk、SRPK1、SRPK2、STK33、Syk、TAK1、TBK1、Tie2、TrkA、TrkB、TSSK1、TSSK2、WNK2、WNK3、Yes、ZAP−70、ZIPKが含まれる。一部の実施形態では、キナーゼは、ALK、Aurora−A、Axl、CDK9/サイクリンTl、DAPK1、DAPK2、Per、FGFR4、GSK3(3、GSK3a、Hck、JNK2a2、MSK2、p70S6K、PAK3、PI3Kデルタ、PI3Kガンマ、PKA、PKB(3、PKBa、Rse、Rsk2、Syk、TrkA、およびTSSK1であってよい。また他の実施形態では、キナーゼは、ABL、AKT、AURORA、CDK、DBF2/20、EGFR、EPH/ELK/ECK、ERK/MAPKFGFR、GSK3、IKKB、INSR、JAK DOM 1/2、MARK/PRKAA、MEK/STE7、MEKK/STE11、MLK、mTOR、PAK/STE20、PDGFR、PI3K、PKC、POLO、SRC、TEC/ATK、およびZAP/SYKからなる群より選択される。
同様に、セリン/トレオニン特異的キナーゼは、細胞外シグナル調節キナーゼ、(p42/ERK2およびp44/ERKI);c−Jun NH2末端キナーゼ(JNK);cAMP応答配列結合プロテインキナーゼ(CREBK);cAMP依存性キナーゼ(CAPK);マイトジェン活性化プロテインキナーゼ−活性化プロテインキナーゼ(MAPKおよびその類縁体);ストレス活性化プロテインキナーゼ−p38/SAPK2;マイトジェンおよびストレス活性化キナーゼ(MSK);プロテインキナーゼ、PKA、PKBおよびPKCを特に含む、いくつかの別個のサブファミリーを含む。
一部の実施形態では、キナーゼは、FMS様チロシンキナーゼ3(Flt3)、PDGFR/EGFR、Bcr−abl、Jak3、またはSRCキナーゼ阻害剤である。Flt3は、FLK2(胎児肝臓キナーゼ−2)およびSTK1(ヒト幹細胞キナーゼ−1)としても公知である。
本明細書で使用される場合、用語「キナーゼ阻害剤」は、キナーゼの活性、例えば、ホスホトランスフェラーゼ活性を阻害する、または低下させる任意の化合物、分子または組成物を意味する。限定することなく、キナーゼ阻害剤は、小さなまたは大きな有機または無機分子;単糖;二糖;三糖;オリゴ糖;多糖;生物学的高分子、例えば、タンパク質、ペプチド、ペプチド類似体およびその誘導体、ペプチド模倣物質(peptidomimetic)、核酸、核酸類似体および誘導体、酵素、抗体、抗体の部分または断片;細菌、植物、真菌、または動物細胞もしくは組織などの生物材料から作製された抽出物;天然に存在する組成物または合成組成物;ならびにその任意の組み合わせからなる群より選択され得る。
広範囲の様々なキナーゼ阻害剤が当技術分野で公知であり、本明細書に記載の組成物および方法で使用することができる。キナーゼ阻害剤は、FMS様チロシンキナーゼ3阻害剤;オーロラキナーゼ阻害剤;オーロラ−Bキナーゼ阻害剤;オーロラ−Cキナーゼ阻害剤;ベータ−アドレナリン受容体キナーゼ阻害剤;チェックポイントキナーゼ阻害剤;サイクリン依存性キナーゼ1阻害剤;サイクリン依存性キナーゼ2阻害剤;サイクリン依存性キナーゼ4阻害剤;サイクリン依存性キナーゼ阻害剤;EphB2キナーゼ阻害剤;上皮成長因子受容体キナーゼ阻害剤;N−アシルマンノサミンキナーゼ阻害剤;MAPキナーゼ阻害剤;オフェリン(Opheline)キナーゼ阻害剤;ホスファチジルイノシトール3−キナーゼベータ阻害剤;ホスファチジルイノシトール3−キナーゼガンマ阻害剤;プロテインキナーゼ(CK1)阻害剤;プロテインキナーゼB阻害剤;プロテインキナーゼC eta阻害剤;プロテイン−セリン−トレオニンキナーゼ阻害剤;癌原遺伝子チロシン−プロテインキナーゼFyn阻害剤;癌原遺伝子チロシン−プロテインキナーゼKit阻害剤;ピリドキサールキナーゼ阻害剤;RafキナーゼB阻害剤;Rafキナーゼ阻害剤;Rho関連キナーゼ阻害剤;リボソームプロテインS6キナーゼ阻害剤;およびその任意の組み合わせからなる群より選択することができる。
特定の態様では、本明細書において開示する化合物は、RETキナーゼ阻害剤である。特定の態様では、本明細書において開示する化合物(例えば、CEP−701および/またはAC220)は、RET阻害剤であるか、もしくはそれを含み、または他の方法でRETリン酸化を阻害する。特定の態様では、本明細書において開示する化合物(例えば、CEP−701および/またはAC220)は、C−RET阻害剤であるか、もしくはそれを含み、または他の方法でC−RETリン酸化を阻害する。
RETキナーゼリガンドを減少させる化合物および組成物も企図される。例えば、特定の態様では、開示の化合物および組成物は、RETキナーゼ活性化に干渉する抗体または薬剤、例えば、C−RETに結合するか、または他の方法でそれへのC−RETリガンド(例えば、GDNF)の結合に干渉する抗体および薬剤を含む。
特定の態様では、キナーゼ阻害剤は、B−Raf阻害剤、JAK3阻害剤、p38MAPK阻害剤、C−Raf1阻害剤、Akt阻害剤、BMK1/ERK5阻害剤、p38MAPK阻害剤、RTK阻害剤、ERK5阻害剤、Bcr−Abl阻害剤、RhoK阻害剤、p38阻害剤、p110阻害剤、FAK阻害剤、ATP競合JNK阻害剤、またはMELK阻害剤である。一部の態様では、キナーゼ阻害剤は、表5に特定されている経路を阻害する。一部の態様では、キナーゼ阻害剤は、表5に特定されているものである。
本明細書に記載の組成物および方法に適したキナーゼ阻害剤はまた、例えば、そのすべての内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5674998号;同第5795977号;同第5864033号;同第6194939号;同第6239133号;同第6346625号;同第6391894号;同第6448277号;同第6492409号;同第6498165号;同第6706711号;同第6723726号;同第6825190号;同第6825355号;同第6943161号;同第6951859号;同第6982266号;同第6982266号;同第7056925号;同第7101884号;同第7105531号;同第7105531号;同第7115597号;同第7153856号;同第7183307号;同第7196090号;同第7199137号;同第7199147号;同第7223757号;同第7232826号;同第7262199号;同第7265134号;同第7309787号;同第7314940号;同第7326713号;同第7326713号;同第7449488号;同第7456169号;同第7459554号;同第7470693号;同第7470713号;同第7488826号;同第7504429号;同第7511040号;同第7514435号;同第7517882号;同第7521460号;同第7528132号;同第7550478号;同第7550598号;同第7572914号;同第7582652号;同第7598272号;同第7601852号;同第7618982号;同第7635703号;同第7648987号;同第7662977号;同第7683060号;同第7687506号;同第7732613号;同第7749994号;同第7767674号;同第7790739号;同第7812166号;同第7820662号;同第7855211号;同第7872031号;同第7893064号;同第7893081号;同第7901894号;同第7915443号;同第7943629号;同第7968546号;同第7994159号;同第7998507号;同第8022057号;同第8024821号;同第8026234号;同第8026246号;同第8026247号;同第8044221号;同第8093239号;同第8093383号;同第8143410号;同第8148361号;および同第8152630号ならびに米国特許出願公開第20070161673号;同第20090181940号;同第20090215785号;同第20100097654号;同第20100234404号;同第20110008211号;同第20030044203号;同第20030065180号;同第20030087919号;同第20030119839号;同第20030139462号;同第20030187001号;同第20030199511号;同第20030199525号;同第20030216446号;同第20040034038号;同第20040034075号;同第20040082581号;同第20040180897号;同第20040192725号;同第20050043347号;同第20050096324号;同第20050131022号;同第20050153990号;同第20050171076号;同第20050187247号;同第20050192304号;同第20050203114号;同第20050215556号;同第20050239794号;同第20050239815号;同第20050261318号;同第20050267133号;同第20050277642号;同第20050277642号;同第20050288290号;同第20050288321号;同第20050288321号;同第20060019958号;同第20060058304号;同第20060058341号;同第20060079563号;同第20060122389号;同第20060122389号;同第20060148824号;同第20060178388号;同第20060217369号;同第20060264438号;同第20060270694号;同第20060276490号;同第20060281789号;同第20060287370号;同第20060287381号;同第20070049600号;同第20070054906号;同第20070060619号;同第20070078140号;同第20070099856号;同第20070099935号;同第20070123534号;同第20070173516号;同第20070173525号;同第20070185139号;同第20070191420号;同第20070191420号;同第20070203143号;同第20070213386号;同第20070254896号;同第20070259869号;同第20070270425号;同第20070280928号;同第20080027063号;同第20080108611号;同第20080153869号;同第20080161297号;同第20080167330号;同第20080207613号;同第20080207613号;同第20080207632号;同第20080255155号;同第20080255184号;同第20080269244号;同第20080293714号;同第20080293785号;同第20080312307号;同第20090054425号;同第20090054436号;同第20090105209号;同第20090124602号;同第20090131407号;同第20090131437号;同第20090131506号;同第20090149389号;同第20090162376号;同第20090175852号;同第20090197862号;同第20090215750号;同第20090221616号;同第20090233960号;同第20090264446号;同第20090286779号;同第20090298855号;同第20090318440号;同第20100004234号;同第20100041645号;同第20100041684号;同第20100041684号;同第20100048599号;同第20100081662号;同第20100093767号;同第20100099710号;同第20100113454号;同第20100120772号;同第20100120801号;同第20100144732号;同第20100144745号;同第20100160303号;同第20100168102号;同第20100179134号;同第20100179146号;同第20100190816号;同第20100204221号;同第20100222342号;同第20100234386号;同第20100298301号;同第20100317643号;同第20100324041号;同第20100331314号;同第20110009410号;同第20110070317号;同第20110077237号;同第20110118285号;同第20110124623号;同第20110136789号;同第20110190280号;同第20110195980号;同第20110257238号;同第20110269739号;同第20110269772号;同第20110275630号;同第20110281857号;同第20110281866号;同第20110288097号;同第20110293745号;同第20110294812号;同第20120015937号;同第20120041024号;同第20120053187号;同第20120065213号;同第20120071490号;同第20120071494号;同第20120077851号;同第20120095014号;同第20120095233号;同第20120212961号;同第20100267774号および同第20100324074号に記載されている。
一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、
およびその任意の組み合わせからなる群より選択され得る。
一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、キザルチニブ(quizartinib)(AC220)、またはその任意の塩、エステルもしくはキレートであるか、またはそれを含む。特定の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、
である。
特定の態様では、キナーゼ阻害剤は、BAY−439006(すなわち、ソラフェニブ;HMSL10008−101−1);HG−6−64−01(すなわち、HMSL10017−101−1);HKI−272(すなわち、ネラチニブ;HMSL10018−101−1);KIN001−055(すなわち、HY−11067;HMSL10033−101−1);SB239063(すなわち、HMSL10036−101−1);KIN001−242(すなわち、HMSL10044−104−1);SB590885(すなわち、GSK2118436;HMSL10046−101−1);AZ−628(すなわち、HMSL10050−101−1);MK2206(すなわち、HMSL10057−102−1);XMD11−50(すなわち、LRRK2−in−1;HMSL10086−101−1);XMD8−92(すなわち、HMSL10094−101−1);BIRB796;ドラマピモド(Doramapimod)(すなわち、HMSL10169−101−1);スニチニブリンゴ酸塩(すなわち、SU11248;ステント;HMSL10175−106−1);GDC−0879(すなわち、HMSL10181−101−1);XMD8−85(すなわち、HMSL10093−101−1);AMN−107(すなわち、ニロチニブ;HMSL10099−101−1);Y39983(すなわち、HMSL10149−102−1);SB203580(すなわち、RWJ64809;PB203580;HMSL10167−101−1);VX−745(すなわち、HMSL10168−101−1);pseudoXL765(すなわち、HMSL10173−101−1);Y−27632(すなわち、HMSL10176−101−1);PH−797804(すなわち、HMSL10439−101);VX−702(すなわち、HMSL10440−101);NG25(すなわち、HMSL10419−101);SB202190(すなわち、HMSL10441−101);BI−D1870(すなわち、HMSL10423−101);BIX02565(すなわち、HMSL10434−101);URMC−099(すなわち、HMSL10453−101);スタウロスポリンアグリコン(すなわち、K252C;HMSL10454−101);ラリメチニブ(すなわち、LY2228820;HMSL10438−103);BMX−IN−1(すなわち、HMSL10427−101);PF3644022(すなわち、HMSL10476−101);NVP−BHG712(すなわち、KIN001−265;HMSL10200−101);ボスチニブ(すなわち、SKI−606;HMSL10189−101);NVP−TAE226(すなわち、CHIR−265;HMSL10207−101);RAD001(すなわち、エベロリムス;HMSL10235−101);CC−401(すなわち、HMSL10185−101);CGP74514A(すなわち、HMSL10355−101);KIN001−269(すなわち、HMSL10195−101);RAF265(すなわち、HMSL10206−101);OTSSP167(すなわち、HMSL10337−102);ドルソモルフィン(すなわち、Compound C;BML275;HMSL10399−102);ロスマピモド(すなわち、GSK−AHAB;SB856553;GW856553X;HMSL10402−101);AZD5363(すなわち、HMSL10370−101);RO31−8220(すなわち、ビスインドリルマレイミドIX;HMSL10407−103);ソトラスタウリン(すなわち、AEB071;HMSL10408−101);TAK−632(すなわち、HMSL10409−101);FRAX597(すなわち、HMSL10400−101);GW2580(すなわち、HMSL10401−101);アリセルチブ(すなわち、MLN8237;HMSL10391−101)またはその誘導体、塩、代謝産物、プロドラッグ、および立体異性体である。一部の態様では、化合物は、XMD8−92、SB239063、XMD11−50、またはその誘導体、塩、代謝産物、プロドラッグ、および立体異性体である。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、キナーゼの活性は、非阻害対照に対して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(例えば、活性の完全な喪失)阻害される、また低下する。理論に束縛されることは望まないが、キナーゼの活性を測定するために当技術分野で公知の任意のアッセイを使用して、例えば、リン酸化反応の測定により、キナーゼの活性を決定することができる。
ヘッジホッグシグナル伝達経路モジュレーター
本明細書で使用される場合、ヘッジホッグシグナル伝達経路に関する用語「モジュレートする」は、ヘッジホッグシグナル伝達経路の構成成分の正常な機能を正に、または負に調節することを意味する。したがって、モジュレートする、という用語は、ヘッジホッグシグナル伝達経路の構成成分の正常な機能の増加、減少、マスキング、変更、無効化、または回復を指すために使用することができる。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、モジュレーターは、ヘッジホッグシグナル伝達経路の少なくとも1つの活性を、モジュレーションのない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%、少なくとも98%またはそれよりも大きくモジュレートする。
用語「ヘッジホッグシグナル伝達経路」、「ヘッジホッグ経路」および「ヘッジホッグシグナル伝達経路」はすべて、通常は特にヘッジホッグ、smoothened、Ptch1、およびGliにより媒介され、ヘッジホッグ活性に典型的な遺伝子発現の変化および他の表現型変化をもたらす一連の事象を指すために使用される。下流構成成分の活性化は、ヘッジホッグタンパク質の非存在下でも、ヘッジホッグ経路を活性化し得る。例えば、smoothenedの過剰発現は、ヘッジホッグの非存在下で経路を活性化し、GliおよびPtch1遺伝子発現は、活性なヘッジホッグ−シグナル伝達経路の指標である。したがって、シグナル伝達の前記増加がヘッジホッグシグナル伝達経路の構成成分(例えば、Ptch1、Glil、Gli3、smoothenedなど)の変異/病変の結果であるかどうかに関わらず、またはシグナル伝達の前記増加がヘッジホッグシグナル伝達経路の構成成分の変異/病変を含まない細胞(例えば、ヘッジホッグシグナル伝達経路の構成成分に関して野生型細胞)の状況において起こるかどうかに関わらず、本明細書に記載の化合物を、ヘッジホッグシグナル伝達の不適切な増加を克服するために使用することができる。したがって、一部の実施形態では、細胞は、smoothened機能獲得、ヘッジホッグ機能獲得、patched(Ptc)機能喪失、Gli機能獲得、および/またはヘッジホッグリガンドの過剰発現の表現型を有する。
用語「smoothened機能獲得」は、smo遺伝子の異常な修飾もしくは変異、または遺伝子の発現レベルの上昇を指し、これは、細胞とヘッジホッグタンパク質との接触、例えば、ヘッジホッグ経路の異常な活性化に類似する表現型をもたらす。いずれかの特定の理論に束縛されることは望まないが、Ptch1は、細胞に直接的にはシグナル伝達し得ず、むしろ、ヘッジホッグシグナル伝達においてPtch1の下流に位置する別の膜結合タンパク質であるsmoothenedの活性をモジュレートすることに注意する(Marigoら(1996年)Nature、384巻:177〜179頁;Taipaleら(2002年)Nature、418巻、892〜896頁)。smo遺伝子は、Drosophilaの各セグメントの正確なパターン形成に必要なセグメントポラリティー遺伝子である(Alcedoら、(1996年)Cell 86巻:221232)。smoのヒトホモログは同定されている。例えば、Stoneら(1996年)Nature 384巻:129〜134頁、およびGenBank受託U84401を参照されたい。smoothened遺伝子は、ヘテロ三量体Gタンパク質共役受容体;すなわち、7回膜貫通領域の特徴を有する内在性膜タンパク質をコードする。このタンパク質は、wingless経路のメンバーであるDrosophila Frizzled(Fz)タンパク質に対して相同性を示す。Ptcは、Hh受容体である。Smoを発現する細胞は、Hhに結合することができず、smoがHhと直接的に相互作用しないことを示す(Nusse、(1996年)Nature 384巻:119〜120頁)。むしろ、ソニックヘッジホッグ(SHH)はその受容体に結合し、PTCHは、smoothenedのPTCHによる正常な阻害を妨げると考えられる。smoothened変異の活性化は、散発性基底細胞癌で(Xieら、Nature、1998年、391巻:90〜92頁)、および中枢神経系の未分化神経外胚葉性腫瘍(Reifenbergerら、Cancer Res.、1998年、58巻:1798〜1803頁)で起こることが公知である。
用語「ヘッジホッグ機能獲得」は、細胞とヘッジホッグタンパク質との接触に類似する表現型、例えば、ヘッジホッグ経路の異常な活性化をもたらす、Ptch1遺伝子、ヘッジホッグ遺伝子、もしくはsmoothened遺伝子の異常な修飾もしくは変異、またはそのような遺伝子の発現レベルの低下(もしくは喪失)を指す。機能獲得は、Ptch1遺伝子産物がCiホモログ遺伝子、例えば、Gli1、Gli2、およびGli3の発現レベルを調節する能力の喪失を含み得る。用語「ヘッジホッグ機能獲得」はまた、これらだけに限定されないが、ヘッジホッグ自体の修飾または変異を含むヘッジホッグシグナル伝達経路のいずれかでの変化によって起こる任意の同様の細胞表現型(例えば、過剰増殖を示す)を指すために本明細書において使用される。例えば、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化により異常に高い増殖速度を有する腫瘍細胞は、ヘッジホッグがその細胞において変異していなくても、「ヘッジホッグ機能獲得」表現型を有するであろう。
用語「patched機能喪失」は、細胞とヘッジホッグタンパク質との接触に類似する表現型、例えば、ヘッジホッグ経路の異常な活性化をもたらす、Ptch1遺伝子の異常な修飾もしくは変異、または遺伝子の発現レベルの低下を指す。機能喪失は、Ptch1遺伝子産物がCiホモログ遺伝子、例えば、Gli1、Gli2、およびGli3の発現レベルまたは活性を調節する能力の喪失を含み得る。用語「Ptch1機能喪失」はまた、これらだけに限定されないが、Ptch1自体の修飾または変異を含むヘッジホッグシグナル伝達経路のいずれかでの変化によって起こる任意の同様の細胞表現型(例えば、過剰増殖を示す)を指すために本明細書において使用される。例えば、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化により、異常に高い増殖速度を有する腫瘍細胞は、Ptch1がその細胞において変異していなくても、「Ptch1機能喪失」表現型を有するであろう。
用語「Gli機能獲得」は、ヘッジホッグタンパク質への細胞応答に類似する表現型、例えば、ヘッジホッグ経路の異常な活性化をもたらす、Gli遺伝子の異常な修飾もしくは変異、または遺伝子の発現レベルの上昇を指す。
ヘッジホッグ遺伝子の脊椎動物ファミリーは、Desert(Dhh)、Sonic(Shh)およびIndian(Ihh)ヘッジホッグとして公知の哺乳動物に存在する3つのメンバーを含み、それらはすべて、分泌タンパク質をコードする。これらの様々なヘッジホッグタンパク質は、シグナルペプチド、高度に保存されたN末端領域、およびより分岐したC末端ドメインからなる。生化学研究により、Hh前駆体タンパク質の自己タンパク質分解切断が内部チオエステル中間体を介して進行し、これが続いて、求核性置換で切断されることが示されている。おそらく、求核試薬は、N−ペプチドのC末端に共有結合して、それを細胞表面に係留する小さな親油性分子であろう。生物学的影響は重大である。その係留の結果として、N末端ヘッジホッグペプチドの高い局所濃度が、ヘッジホッグ産生細胞の表面で生じる。このN末端ペプチドこそが、短期および長期ヘッジホッグシグナル伝達活性に必要かつ十分である。
不活性なヘッジホッグシグナル伝達経路では、膜貫通タンパク質受容体Patched(Ptc)が、7回膜貫通型タンパク質であるSmoothened(Smo)の活性を阻害する。Hhシグナル伝達の下流の構成成分である転写因子Gliは、リプレッサー形態にプロセシングされ、アクチベーター形態の核蓄積は、FusedおよびSuppressor of fused(Sufu)を含む細胞質タンパク質との相互作用を介して妨げられる。結果として、ヘッジホッグ標的遺伝子の転写活性化が抑制される。経路の活性化は、Ptcへの3つの哺乳動物リガンド(Dhh、ShhまたはIhh)のいずれかの結合を介して開始される。リガンド結合は、Smoの抑制の逆転、それによる、核への転写因子Gliの活性形態のトランスロケーションをもたらすカスケードの活性化をもたらす。核Gliは、PtcおよびGli自体を含む標的遺伝子発現を活性化する。ヘッジホッグシグナル伝達レベルの上昇は、がん形成を開始するために十分であり、腫瘍の生存に必要である。
ヘッジホッグシグナル伝達経路モジュレーターは、ヘッジホッグシグナル伝達経路のアゴニストまたはアンタゴニストであり得る。
用語「ヘッジホッグアゴニスト」は、標的遺伝子の転写を増加させるように、patchedの生物活性に拮抗する、またはそれを遮断する薬剤を指す。ptc機能獲得および/またはsmoothened機能喪失を克服するように、ヘッジホッグアンタゴニストを使用することができ、その際、後者は、「smoothenedアゴニスト」とも称される。用語「ヘッジホッグアンタゴニスト」は同様に、ヘッジホッグタンパク質の正常な機能を直接的に阻害することにより作用し得る任意の薬剤だけでなく、ヘッジホッグシグナル伝達経路を阻害してptcの機能を再現する任意の薬剤も指す。
例示的なヘッジホッグシグナル伝達経路モジュレーターには、これらだけに限定されないが、AY9944、トリパラノール、ジェルビン、シクロパミン、トマチジン(tomatidine)などが含まれる。
GPCRモジュレーター
本明細書で使用される場合、GPCRに関する用語「モジュレートする」は、GPCRシグナル伝達経路の正常な機能を正に、または負に調節することを意味する。したがって、モジュレートする、という用語は、GPCRの正常な機能の増加、減少、マスキング、変更、無効化、または回復を指すために使用することができる。GPCRモジュレーターは、GPCRアゴニストまたはGPCRアンタゴニストであってよい。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、モジュレーターは、GPCRの少なくとも1つの活性を、モジュレーションのない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%、少なくとも98%またはそれよりも大きくモジュレートする。
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、アミノ末端細胞外ドメイン、カルボキシル末端細胞内ドメイン、および細胞膜を7回貫通する蛇行構造により特徴づけられる細胞表面受容体の広範なスーパーファミリーを形成している。したがって、そのような受容体は時には、7回膜貫通型(7TM)受容体とも称される。これらの7つの膜貫通ドメインは、アミノ−およびカルボキシ−末端ドメインに加えて、3つの細胞外ループおよび3つの細胞内ループを規定する。受容体の細胞外部分が、1つまたは複数の細胞外結合パートナー(例えば、リガンド)を認識および結合する役割を有する一方で、細胞内部分は、シグナル伝達カスケードの下流分子を認識し、それと情報伝達する役割を有する。
総じて、GPCRは、配列相同性および機能的類似性に基づき6つのクラスに分類することができる:クラスA(または1)(ロドプシン様);クラスB(または2)(セクレチン受容体ファミリー);クラスC(または3)(代謝型グルタミン酸/フェロモン);クラスD(または4)(真菌接合フェロモン受容体(Fungal mating pheromone receptors));クラスE(または5)(環状AMP受容体);およびクラスF(または6)(Frizzled/Smoothened)。非常に大きなロドプシンA群は、19のサブグループ(A1〜A19)にさらに細分されている。さらに最近では、GRAFSと呼ばれる代替の分類系(グルタミン酸、ロドプシン、接着(adhesion)、Frizzled/Taste2、セクレチン)が提案されている。
本明細書で使用される場合、用語「GPCRリガンド」は、GPCRに結合する分子を指す。Gタンパク質共役受容体は、カルシウムイオン、ホルモン、ケモカイン、神経ペプチド、神経伝達物質、ヌクレオチド、脂質、臭気物質、およびさらには光子を含む様々なリガンドに結合し、多くの細胞型の正常な(および時には異常な)機能に重要である[一般に、Strosberg、Eur. J. Biochem.196巻:1〜10頁(1991年)およびBohmら、Biochem J. 322巻:1〜18頁(1997年)を参照されたい]。特異的なリガンドがその対応する受容体に結合する場合、リガンドは典型的には、受容体の細胞内部分にカップリングしている特異的なヘテロ三量体グアニン−ヌクレオチド結合調節タンパク質(Gタンパク質)を活性化するように受容体を刺激する。次いで、Gタンパク質は、エフェクター分子の活性を刺激するか、または阻害することにより、シグナルを細胞内のエフェクター分子に伝達する。これらのエフェクター分子には、アデニル酸シクラーゼ、ホスホリパーゼおよびイオンチャネルが含まれる。アデニル酸シクラーゼおよびホスホリパーゼは、第2のメッセンジャー分子cAMP、イノシトール三リン酸およびジアシルグリセロール(diacyglycerol)の産生に関係している酵素である。この一連の事象により、細胞外リガンド刺激は、Gタンパク質共役受容体による細胞内変化を起こす。そのような受容体のそれぞれは、それ自体の特徴的な一次構造、発現パターン、リガンド結合プロファイル、および細胞内エフェクター系を有する。
GPCRには、感覚シグナルメディエーター(例えば、光および嗅覚刺激分子);アデノシン、ボンベシン、ブラジキニン、エンドセリン、γ−アミノ酪酸(GABA)、肝細胞成長因子(HGF)、メラノコルチン、神経ペプチドY、オピオイドペプチド、オプシン、ソマトスタチン、GH、タキキニン、血管作動性腸管ペプチドファミリーのメンバー、およびバソプレッシン;生体アミン(例えば、ドーパミン、エピネフリン、ノルエピネフリン、ヒスタミン、グルタミン酸(代謝型作用)、グルカゴン、アセチルコリン(ムスカリン様作用)、およびセロトニン);ケモカイン;炎症の脂質メディエーター(例えば、プロスタグランジン、プロスタノイド、血小板活性化因子、およびロイコトリエン);ならびにペプチドホルモン(例えば、カルシトニン、C5aアナフィラトキシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ゴナドトロピンホルモン放出ホルモン(GnRH)、ニューロキニン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、カンナビノイド、およびオキシトシン)のための受容体が含まれる。まだ同定されていない、刺激のための受容体として作用するGPCRは、オーファン受容体として公知である。
ところが、リガンドが外部から膜に結合する、研究されてきた他の種類の受容体では、GPCRのリガンドは典型的には、膜貫通ドメイン内で結合する。しかしながら、プロテアーゼ活性化受容体は、それらの細胞外ドメインの部分の切断により活性化する。
GPCRリガンドの種類には、これらだけに限定されないが:平衡を、活性状態に有利にシフトさせるアゴニスト;平衡を、不活性状態に有利にシフトさせるインバースアゴニスト;および平衡に影響を及ぼさないニュートラルアンタゴニストが含まれる。活性状態のGPCRがGタンパク質に遭遇すると、これは、Gタンパク質を活性化し得る。GPCRは、市場に出ているすべての処方医薬品の約40%の標的である。(Filmore、Modern Drug Discovery、2004年11月、11頁)。一般に処方されるGPCRをベースとする薬物の例には、アテノロール(TENORMIN(登録商標))、アルブテロール(VENTOLIN(登録商標))、ラニチジン(ZANTAC(登録商標))、ロラタジン(CLARITIN(登録商標))、ヒドロコドン(VICODIN(登録商標))テオフィリン(THEODUR(登録商標))、およびフルオキセチン(PROZAC(登録商標))が含まれる。
例示的なGPCRモジュレーターには、これらだけに限定されないが、コルチコトロピン放出因子(CRF)、ウロコルチン1、ウロコルチン2、ウソルコルチン(usorcortin)3、副甲状腺ホルモン、PTH関連ホルモン、TIP39、カルシトニン、アミリン、CGRP(CALCAおよびCALCB)、アドレノメデュリン、セクレチン、VIP、PACAP、グルカゴン、GHRH、GLP−1、GLP−2、ダイノルフィンA、ダイノルフィンAアミド、ダイノルフィンA(1−6)、ダイノルフィンA(1−13)、ダイノルフィンA(2−13)、ダイノルフィンA(2−17)、MetEnk、Met−Enk−RF−アミド、Met−Enk−Arg−Phe、Met−Enk−Glyleu、[D−pGlul、D−Phe2、D−Trp3,6]−LH−RH、gl−MSHアミド、g2−MSH、[N−MePhel、D−Pro4]−モルフィセプチン(PL017)、ACTH(ヒト)、Leu−Enk、アドレノメデュリン(22−52)、アドレノメデュリン(26−52)(ヒト)(ADMアンタゴニスト)、アグーチ1−40アミド、アグーチ関連タンパク質(87−132)−アミド、アルファ−MSH、アルファ−Neo−エンドルフィン、アミリンアミド、BAM(1−20)、BAM(1−22)、BAM(2−22)、BAM(6−22)、BAM(1−20)、ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)、抗炎症性ペプチド1、抗炎症性ペプチド2、(3−エンドルフィン、ベンジルウレイド−Met−Leu−Phe、ベータ−ANP、ベータ−エンドルフィン、ベータ−MSH、ビッグエンドセリン−1、ビッグガストリン−1、BNP(脳ナトリウム利尿ペプチド−32)、BNP−45(心臓ナトリウム利尿ペプチド、ボンベシン、BAM(8−25)、BAM(8−20)、FLRF、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、NPFF、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(8−37)、CART(55−1,02)、CART(55102)[Met(O)67、CART(61−102)、CGRP(8−37)、CGRP II、コレシストキニンオクタペプチド[CCK(26−33)]、コレシストキニン−33、CNP−22(C型ナトリウム利尿ペプチド)、コルチコトロピン放出因子、コルチスタチン−14、NPAF、SST、NPY、FMRFアミド、オルパニン(Orpanin)FQFMRFアミド関連ペプチド、YMRFアミド、YLPLRFアミド、YFMRFアミド、LPLRFアミド、dFMRFアミド、W−Nle−R−F−アミド、およびACEPが含まれる。
GPCRのポリペプチドモジュレーターには、これらだけに限定されないが、バソプレッシン、オキシトシン、ソマトスタチン、神経ペプチドY、GnRH、黄体形成ホルモン、瀘胞刺激ホルモン、副甲状腺ホルモン、オレキシン、ウロテンシンII、エンドルフィン、エンケファリンなどが含まれる。GPCRモジュレーターのリストは、ウェブ上でpharminfo.pharm.kyoto−u.ac.jp/services/glida/ligand_classification.phpにまとめられている。
一部の実施形態では、GPCRモジュレーターは、リガンドの結合を、対照と比べて、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、または約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、阻害する。GPCRへのリガンドの結合は、当業者に公知の任意の方法により決定することができる。
一部の実施形態では、GPCRモジュレーターは、GPCRの活性を、非阻害対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(例えば、活性の完全な喪失)低下させる。
一部の実施形態では、GPCRモジュレーターは、GPCRの活性を、非活性化対照に対して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、50%、70%、80%、90%、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍またはそれよりも高く増強する。
一部の実施形態では、GPCRモジュレーターは、GPCRの活性部位(例えば、リガンドのための結合部位)に結合することができる。
一部の実施形態では、セロトニン受容体モジュレーターは、GPCRのアロステリック部位に結合することができる。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、GPCRアンタゴニストは、500nM未満もしくはそれに等しい、250nM未満もしくはそれに等しい、100nM未満もしくはそれに等しい、50nM未満もしくはそれに等しい、10nM未満もしくはそれに等しい、1nM未満もしくはそれに等しい、0.1nM未満もしくはそれに等しい、0.01nM未満もしくはそれに等しい、または0.001nM未満もしくはそれに等しいIC50を有する。
本発明のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、GPCRアゴニストは、500nM、250nM、100nM、50nM、10nM、1nM、0.1nM、0.01nMまたは0.001nM未満またはそれに等しいEC50を有する。
一部の実施形態では、GPCRモジュレーターは、
およびその任意の組み合わせからなる群より選択され得る。
ドーパミン受容体モジュレーター
本明細書で使用される場合、用語「ドーパミン受容体モジュレーター」は、1種または複数のドーパミン受容体をモジュレートする化合物を指す。ドーパミン受容体モジュレーターは、ドーパミンアゴニストまたはドーパミンアンタゴニストであってよい。本明細書で使用される場合、用語「ドーパミンアゴニスト」は、1種または複数のドーパミン受容体を活性化する、および/もしくは刺激する、ならびに/またはドーパミンのレベルを上昇させる(L−ドーパまたはドーパミン代謝を阻害する薬物など)、ならびに/またはドーパミンシグナル伝達経路を刺激する、ならびに/またはノルエピネフリンのレベルを低下させる、ならびに/またはノルエピネフリンシグナル伝達経路を阻害する化合物を指す。用語「ドーパミンアゴニスト」にはまた、天然ヒトドーパミン受容体と共通する少なくとも一部の生物学的活性を示すドーパミン分子の類似体が含まれる。したがって、用語「ドーパミンアゴニスト」は、ドーパミン作動性薬剤を包含する。本明細書で使用される場合、用語「ドーパミン作動性薬剤」は、ドーパミンの作用を模倣する化合物を指す。したがって、ドーパミン作動性薬剤という用語は、ドーパミン、ドーパミンの誘導体、およびドーパミン受容体上でドーパミン様作用を有する化合物を包含することが意図されている。ドーパミンの例示的な類似体には、アポモルヒネ、ペルゴリド、ブロモクリプチンおよびリスリドなどのエルゴリンおよびアポルフィンが含まれる)。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、モジュレーターは、ドーパミン受容体の少なくとも1つの活性を、モジュレーションを伴わない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%、少なくとも98%またはそれよりも高くモジュレートする。
理論に束縛されることは望まないが、ドーパミンアゴニストは、複数の経路のうちの1つを介して作用し得る。例えば、ドーパミンアゴニストは、D1ドーパミン受容体および/またはDj様受容体、例えば、D1およびD5ドーパミン受容体ならびに/またはD2ドーパミン受容体(例えば、D2、D2ショートおよびD2ロング受容体、D4、およびD4ドーパミン受容体)ならびに/またはD3ドーパミン受容体ならびに/またはD4ドーパミン受容体を活性化または強化し得る。ドーパミンアゴニストは、ドーパミンの生合成および/または変換および/または分解に関係する1種または複数の酵素を阻害することにより作用し得る。
例示的なドーパミンアゴニストには、これらだけに限定されないが、(−)−7−{[2−(4−フェニルピペラジン−1−イル)エチル]プロピルアミノ}−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オール;(+)−4−プロピル−9−ヒドロキシナフトキサジン((+)PHNO);(E)−1−アリール−3−(4−ピリジンピペラジン−1−イル)プロパノンオキシム;(R)−3−(4−プロピルモルホリン−2−イル)フェノール(PF−219,061);(R,R)−S32504;2−(N−フェニルエチル−N−プロピルアミノ)−5−ヒドロキシテトラリン;2−ブロモ−a−エルゴクリプチン(ブロモクリプチン);5,6,7,8−テトラヒドロ−6−(2−プロペン−1−イル)−4H−チアゾロ[4,5−d]アゼピン−2−アミン(BHT−920);5−HT取り込み阻害剤;5−HT−1Aアゴニスト(ロキシンドール(roxindole)など);6−Br−APB;6−メチル−8−a−(N−アシル)アミノ−9−エルゴリン;6−メチル−8−a−(N−フェニル−アセチル)アミノ−9−エルゴリン;6−メチル−8β−カルボベンジルオキシ−アミノエチル−10−a−エルゴリン;7,8−ジヒドロキシ−5−フェニル−オクタヒドロベンゾ[h]イソキノリン;8−アシルアミノエルゴリン;9,10−ジヒドロエルゴコミン;a2−アドレナリン作動性アンタゴニスト(テルグリドなど);A−412,997;A−68,930;A−77,636;A−86,929;ABT−670;ABT−724;AF−14;アラプチド(alaptide);アミスルプリド;任意のD−2−ハロ−6−アルキル−8−置換エルゴリン;アプリンドア(Aplindore);アポモルヒネ;アリピプラゾール(USAではエビリファイ);ベンザゼピン類似体;BP−897;ブロモクリプチン;ブロモクリプチンメシル酸塩;カベルゴリン;シス−8−ヒドロキシ−3−(n−プロピル)−1,2,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−およびトランス−N−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]シクロヘキシル}−3−メトキシベンズアミド;クロザピン;COMT阻害剤(CGP−28014、エンタカポンおよびトルカポンなど);CP−226,269;CP−96,345;CY−208,243;D−2−ブロモ−6−メチル−8−シアノメチルエルゴリン;ジヒドレキシジン;ジヒドロ−アルファ−エルゴクリプチン;ジヒドロ−アルファ−エルゴトキシン;ジヒドロエルゴクリプチン;ジヒドロエルゴクリプチン;ジヒドロエルゴトキシン(ヒデルギン);ジナプソリン;ジノキシリン;ドンペリドン;ドーパミン;ドーパミンD1受容体アゴニスト;ドーパミンD2受容体アゴニスト;ドーパミンD3受容体アゴニスト;ドーパミンD4受容体アゴニスト;ドーパミンD5受容体アゴニスト;ドーパミン取り込み阻害剤(GBR−12909、GBR−13069、GYKI−52895、およびNS−2141など);ドプレキシン(doprexin);ドキサントリン(Doxanthrine);ER−230;エルフォトキシン(erfotoxine);エルゴコルニン(Ergocornine);エルゴリン誘導体;麦角アルカロイド誘導体;エチクロプリド;エチスレルギン(etisulergine);FAUC299;FAUC316;フェノルドパム;フリバンセリン;ハロペリドール;イロペリドン;L−ドーパ;レボドパ;リスリド;リスリド;LSD;LU111995;マザペルチン;メチルフェニデート;モノアミンオキシダーゼ−B阻害剤(セレギリン、N−(2ブチル)−N−メチルプロパルギルアミン、N−メチル−N−(2−ペンチル)プロパルギルアミン、AGN−1133、麦角誘導体、ラザベミド、LU−53439、MD−280040およびモフェギリンなど);N−0434;ナキサゴリド;オランザピン;オピエート受容体アゴニスト(NIH−10494など);PD−118,440;PD−168,077;ペルゴリド(A−68939、A−77636、ジヒドレキシン、およびSKF−38393など);PIP3EA;ピリベジル;ピリベジル;プラミペキソール;キナゴリド;キネロラン;キンピロール;ラセミ体トランス−10,11−ジヒドロキシ5,6,6a,7,8,12b−ヘキサヒドロおよび関連ベンザゼピン類似体;ラクロプリド;レモキシプリド;リスペリドン;Ro10−5824;ロピニロール;ロチゴチン;サルビノリンA;SDZ−HDC−912;セルチンドール;SKF−38,393;SKF−75,670;SKF−81,297;SKF−82,526(フェノルドパム);SKF−82,598;SKF−82,957;SKF−82,958;SKF−38,393;SKF−77,434;SKF−81,297;SKF−82,958;SKF−89,145;SKF−89,626;スピペロン;スピロペリドール;スルプリド;スマニロール;タリペキソール;テルグリド;トロパプリド;WAY−100635;YM09151−2;ゼチドリン;β−アドレナリン受容体アゴニスト;ならびにその類似体、誘導体、鏡像異性体、代謝産物、プロドラッグ、および薬学的に許容される塩が含まれる。
例示的なベータ−3アドレナリン受容体アゴニストには、これらだけに限定されないが、DPDMS;ドペキサミン;AJ−9677;AZ−40140;BMS187413;BMS−194449;BMS−210285;BRL−26830A;BRL−28410;BRL−35135;BRL−37344;CGP 12177;CL−316243;CP−114271;CP−331648;CP−331679;D−7114;FR−149175;GW−2696;GW−427353;ICI−198157;L−750355;L−796568;LY−377604;N−5984;SB−226552;SR−58611A;SR−59062A;SWR0342SA;ZD−2079;ならびにその類似体、誘導体、鏡像異性体、代謝産物、プロドラッグ、および薬学的に許容される塩が含まれる。
一部の実施形態では、ドーパミンアゴニストは、ドーパミン受容体の活性を、非活性化対照に対して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、50%、70%、80%、90%、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍またはそれよりも高く増強する。
一部の実施形態では、ドーパミンアゴニストは、その受容体へのリガンドの結合を、対照と比べて少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、または約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、阻害する。
一部の実施形態では、ドーパミン受容体モジュレーターは、ドーパミン受容体の活性部位(例えば、リガンドのための結合部位)に結合することができる。
一部の実施形態では、ドーパミン受容体モジュレーターは、ドーパミン受容体のアロステリック部位に結合することができる。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、ドーパミンアゴニストは、500nM未満もしくはそれに等しい、250nM未満もしくはそれに等しい、100nM未満もしくはそれに等しい、50nM未満もしくはそれに等しい、10nM未満もしくはそれに等しい、1nM未満もしくはそれに等しい、0.1nM未満もしくはそれに等しい、0.01nM未満もしくはそれに等しい、または0.001nM未満もしくはそれに等しいIC50を有する。
本発明のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、ドーパミンアゴニストは、500nM、250nM、100nM、50nM、10nM、1nM、0.1nM、0.01nMまたは0.001nM未満またはそれに等しいEC50を有する。
一部の実施形態では、ドーパミンアゴニストは、ドーパミンベータ−ヒドロキシラーゼを阻害する。ドーパミンベータ−ヒドロキシラーゼは、ドーパミンをノルエピネフリンに変換する。したがって、ドーパミンベータ−ヒドロキシラーゼを阻害することにより、細胞内ドーパミンは増加し、ノルエピネフリンは減少する。
DBHの例示的な阻害剤には、これらだけに限定されないが、フサル酸;1,1’,1”,1”’−[ジスルファンジイルビス−(カルボノチオイルニトリロ)]テトラエタン(ジスルフラム);2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン(トロポロン、2−ヒドロキシトロポンまたはプルプロカテコールとも称される);5−(アミノメチル)−1−[(2S)−5,7−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル]−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−チオン(ネピカスタット(Nepicastat)、INN、またはSYN117));1−(4−ヒドロキシベンジル)イミダゾール−2−チオール;FLA−63;ジエチルジチオカルバメート(diethyidithiocarbamate);ベータクロロフェネチルアミン;4−ヒドロキシベンジルシアニド;2−ハロ−3(p−ヒドロキシフェニル)−1−プロペン;1−フェニル−1−プロピン;2−フェニルアリルアミン;2−(2−チエニル)アリルアミン;2−チオフェン−2(2−チエニル)アリルアミン;3−フェニルプロパルギルアミン;1−フェニル−1(アミノエチル)エタン;N−(トリフルオロアセチル)フェニル(アミノエチル)エタン;最高6個の炭素原子を含有するアルキル基で置換されている5−ピコリン酸;最高6個の炭素原子を含有するハロアルキル基で置換されている5−ピコリン酸;ならびにその類似体、誘導体、鏡像異性体、代謝産物、プロドラッグ、および薬学的に許容される塩が含まれる。
ドーパミンベータ−ヒドロキシラーゼの他の阻害剤には、これらだけに限定されないが、それらすべての内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,487,761号;同第4,634,711号;同第4,719,223号;同第4,743,613号;同第4,749,717号;同第4,761,415号;同第4,762,850号;同第4,798,843号;同第4,810,800号;同第4,835,154号;同第4,839,371号;同第4,859,779号;同第4,876,266号;同第4,882,348号;同第4,906,668号;同第4,935,438号;同第4,963,568号;同第4,992,459号;同第5,100,912号;同第5,189,052号;同第5,597,832号;同第6,407,137号;同第6,559,186号;同第7,125,904号;同第7,576,081号が含まれる。
本発明のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、ドーパミンベータ−ヒドロキシラーゼの活性は、非阻害対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(例えば、活性の完全な喪失)阻害される、または低下する。
一部の実施形態では、ドーパミンベータ−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、別の無関係の生物学的作用を生じさせるのに要する阻害剤の濃度よりも低い濃度で、所望の活性を有する。一部の例示的な実施形態では、ドーパミンベータ−ヒドロキシラーゼ阻害活性に必要な阻害剤の濃度は、無関係の生物学的作用を生じさせるのに要する濃度の高くても約2分の1、または高くても約5分の1、または高くても約10分の1、または高くても約20分の1である。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、ドーパミンベータ−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、500nM未満もしくはそれに等しい、250nM未満もしくはそれに等しい、100nM未満もしくはそれに等しい、50nM未満もしくはそれに等しい、10nM未満もしくはそれに等しい、1nM未満もしくはそれに等しい、0.1nM未満もしくはそれに等しい、0.01nM未満もしくはそれに等しい、または0.001nM未満もしくはそれに等しいIC50を有する。
一部の実施形態では、ドーパミン受容体モジュレーターは、リガンドの結合を、対照と比べて少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、または約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、阻害する。ドーパミン受容体へのリガンドの結合は、当業者に公知の任意の方法により決定することができる。
一部の実施形態では、ドーパミン受容体モジュレーターは、ドーパミン受容体の活性を、非阻害対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(例えば、活性の完全な喪失)低下させる。
一部の実施形態では、ドーパミン受容体モジュレーターは、ドーパミン受容体の活性を、非活性化対照に対して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、50%、70%、80%、90%、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍またはそれよりも高く増強する。
一部の実施形態では、ドーパミン受容体モジュレーターは、ドーパミン受容体の活性部位(例えば、リガンドのための結合部位)に結合することができる。
一部の実施形態では、セロトニン受容体モジュレーターは、ドーパミン受容体のアロステリック部位に結合することができる。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、GPCRアンタゴニストは、500nM未満もしくはそれに等しい、250nM未満もしくはそれに等しい、100nM未満もしくはそれに等しい、50nM未満もしくはそれに等しい、10nM未満もしくはそれに等しい、1nM未満もしくはそれに等しい、0.1nM未満もしくはそれに等しい、0.01nM未満もしくはそれに等しい、または0.001nM未満もしくはそれに等しいIC50を有する。
本発明のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、GPCRアゴニストは、500nM、250nM、100nM、50nM、10nM、1nM、0.1nM、0.01nMまたは0.001nM未満またはそれに等しいEC50を有する。
セロトニン受容体モジュレーター
本明細書で使用される場合、セロトニン受容体に関する用語「モジュレートする」は、セロトニン受容体の正常な機能を正に、または負に調節することを意味する。したがって、モジュレートする、という用語は、セロトニン受容体の正常な機能の増加、減少、マスキング、変更、無効化、または回復を指すために使用することができる。セロトニン受容体モジュレーターは、セロトニン受容体のアゴニストまたはアンタゴニストであってよい。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、モジュレーターは、セロトニン受容体の少なくとも1つの活性を、モジュレーションのない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%、少なくとも98%またはそれよりも高くモジュレートする。
セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン、5−HT)は、多数の受容体により効果を誘発する主な神経伝達物質である。現在までに、少なくとも15種の異なる5−HT受容体が、多くはcDNAクローニングの結果として同定されており、これらの受容体は、7つのファミリーに分類されている(5−HT1〜5−HT7)。例えば、Hoyerら、Pharmacol. Biochem. Behav.、2002年、71巻:533〜554頁を参照されたい。15種のクローニングされた5−HT受容体のうちの14種は、脳で発現される。5−HTは、多くの病態、特に、うつ病、不安、統合失調症、摂食障害、強迫性障害、学習および記憶機能障害、片頭痛、慢性疼痛、感覚認知、運動活動、温度調節、侵害受容、性行動、ホルモン分泌、および認知を含む中枢神経系の状態に関係している。
本明細書で使用される場合、用語「セロトニン受容体モジュレーター」は、セロトニン受容体に結合する、もしくはそれへのリガンドの結合を阻害する、またはセロトニン受容体の活性を減少させる、もしくはなくす、もしくは上昇させる、もしくは増強する、もしくは模倣する化合物を意図し、それを包含する。したがって、「セロトニン受容体モジュレーター」は、セロトニン受容体アンタゴニストおよびセロトニン受容体アゴニストの両方を包含する。一部の実施形態では、セロトニン受容体モジュレーターは、5−HT1Aおよび/もしくは5−HT1Bおよび/もしくは5−HT2Aおよび/もしくは5−HT2Bおよび/もしくは5−HT2Cおよび/もしくは5−HT3および/もしくは5−HT4および/もしくは5−HT6および/もしくは5−HT7受容体に結合する、もしくはそれへのリガンドの結合を阻害する、または5−HT1Aおよび/もしくは5−HT1Bおよび/もしくは5−HT2Aおよび/もしくは5−HT2Bおよび/もしくは5−HT2Cおよび/もしくは5−HT3および/もしくは5−HT4および/もしくは5−HT6および/もしくは5−HT7受容体の活性を可逆的に、もしくは不可逆的に減少させる、もしくはなくす、もしくは上昇させる、もしくは増強する、もしくは模倣する。
一部の実施形態では、セロトニンモジュレーターは、セロトニン受容体アンタゴニストである。
例示的なセロトニンモジュレーターには、これらだけに限定されないが、(−)シサプリド;(−)ノルシサプリド;(−)ベンラファキシン;(+)シサプリド;(+)ノルシサプリド;(+)ベンラファキシン;1−(2−フルオロフェニル)−3−(4−hy)−プロパ−2−エン−1−オン−O−(2−ジメチルアミノエチル)−オキシム;[5[3−(4−メチルスルホニルアミノ)−ベンジル(benzy−l)−1,2,4−オキサジアゾール−5イル]−1H−インドール−3−イル]エタンアミン(L694247);2−ヒドロキシメチルオランザピン;2−メチル−5−HT;2C−B;3−トロパニル−インドール−3−カルボキシレート;3−トロパニル−インドール−3−カルボキシレートメチオジド;311C90;5−CT;5−MeO−DMT;5−MT;8−OH−DPAT;A−372,159;アゴメラチン;AL−38022A;アルモトリプタン;アルニチダン;アロセトロン;アロセトロン;アルファ−Me−5−HT;アルプレノロール;アミトリプチリン;AR−A000002;アリピプラゾール;AS−19;アセナピン;BIMU−8;BMY7378;BRL−15572;ブホテニン;ブスピロン;BVT−933(Biovitrum);BW−723C86;BZP;カンナビジオール;クロルプロマジン;シランセトロン;シニタプリド;シサプリド;シタロプラム;クロミプラミン;クロザピン;クナンセリン(cnanserin);CP−93,129;CP−94,253;シアノピンドロール;ダゾプリド;デメチルシタロプラム;デメチルセルトラリン;デシプラミン;デスメチルオランザピン;ジヒドロエルゴタミン;ジメボリン(Dimebolin);DMT;ドラセトロン;DOM;EGIS−12233;エレトリプタン;エレトリプタン;EMD−386,088;EMDT;エプリバンセリン;エトペリドン;フェンフルラミン;フレシノキサン;フリバンセリン;フルオキセチン;フルフェナジン;フルボキサミン;フロバトリプタン;ゲピロン;GR127935;グラニセトロン;ハロペリドール;ホモクロルシクリジン;ヒドロドラセトロン;イロペリドン;イミプラミン;ヨードシアノピンドロール;イプサピロン;ケタンセリン;1−[5(2−チエニルメトキシ)−1H−3−インドリル[プロパン−2−アミン塩酸塩(BW723C86);L−リシン;レコゾタン;リスリド;ロルカセリン;ロキサピン;LSD;LY−278,584;LY−53,857;m−クロロフェニルピペラジン(MCPP);MDL11939;MDMA;メフウェイ(Mefway);メマンチン;メスカリン;メテルゴリン;メチオテピン;メチオテピン;メチセルギド;メトクロプラミド;ミアンセリン;ミルタザピン;モサプリド;MS−245;ミリスチシン;NAN−190;ナラトリプタン;ナラトリプタン;ネファゾドン;ノルシサプリド;ノルフェンフルラミン;ノルフルオキセチン;ノルトリプタリン(nortriptaline);オランザピン;オンダンセトロン;オキセトロン;オクスプレノロール;p−NPPL;パロキセチン;ペルラピン;ピボセロド;ピマバンセリン;ピンドロール;ピペラジン;ピゾチフェン;プロパノロール;プルカロプリド;プシロシン;プシロシビン;クエチアピン;クエチアピン;リスペリドン;キパジン;R−ヒドロキシネファゾドン;r(−)フルオキセチン;r(+)オンダンセトロン;ラウオルシン;レンザプリド(Renzapride);レンザプリド;リサトリプタン;リスペリドン;リタンセリン;リザトリプタン;Ro04−6790;ロバルゾタン;RS−56812;RS−67333;RU24969;RU24969;s(+)フルオキセチン;S15535;SB206553;SB216641;SB242084;SB−258,585;SB−269,970;SB−271,046;SB−357,134;SB−399,885;SB−699,551;SDZ−205,557;セルトラリン;シブトラミン;スピペロン;スマトリプタン;タンドスピロエ(Tandospiroe);テガセロッド;TFMPP;トラゾドン;トロピセトロン;トリプタミン;UH−301;ウラピジル;バレレニン酸;ベンラファキシン;WAY−100,135;WAY−100,635;ザリプロデン;YM−348;;ヨヒンビン;ザコプリド(Zacopride);;ザロスピロン(zalospirone);ザトセトロン;ジプラシドン;ゾルミトリプタン;ならびにその類似体、誘導体、鏡像異性体、代謝産物、プロドラッグ、および薬学的に許容される塩が含まれる。
追加のセロトニンモジュレーターには、それらすべての内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,737,496号;同第4,782,063号;同第4,788,290号;同第4,789,673号;同第4,797,406号;同第4,903,691号;同第5,001,133号;同第5,017,582号;同第5,130,313号;同第5,143,916号;同第5,202,318号;同第5,232,924号;同第5,260,303号;同第5,319,085号;同第5,356,934号;同第5,399,557号;同第5,434,161号;同第5,516,782号;同第5,591,749号;同第5,604,239号;同第5,612,366号;同第5,705,509号;同第5,728,835号;同第5,736,544号;同第5,874,429号;同第5,962,448号;同第6,187,772号;同第6,255,306号;同第6,235,745号;同第6,271,223号;同第6,288,101号;同第6,316,468号;同第6,353,008号;同第6,436,964号;同第6,638,934号;同第6,686,374号;同第6,743,913号;同第6,828,330号;同第6,911,452号;同第7,109,339号;同第7,244,722号;同第7,297,711号;同第7,351,707号;同第7,375,114号;同第7,592,355号;同第7,655,691号;同第7,772,239号;同第7,781,476号;および同第7,851,474号、ならびに米国特許出願公開第2003/0153576号;同第2005/0215555号;同第2006/0003990号;同第2006/0025601号;同第2006/0079567号;同第2006/0100266号;同第2006/0178366号;同第2007/0032481号;同第2007/0244086号;同第2010/0004264号;および同第2010/0069356号に記載されている化合物が含まれる。
一部の実施形態では、セロトニン受容体モジュレーターは、リガンドの結合を、対照と比べて少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、または約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、阻害する。セロトニン受容体へのリガンドの結合は、例えば、その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0239854号に記載のアッセイにより決定することができる。
一部の実施形態では、セロトニン受容体モジュレーターは、セロトニン受容体の活性を、非阻害対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(例えば、活性の完全な喪失)低下させる。
一部の実施形態では、セロトニン受容体モジュレーターは、セロトニン受容体の活性を、非活性化対照に対して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、50%、70%、80%、90%、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍またはそれよりも高く増強する。
一部の実施形態では、セロトニン受容体モジュレーターは、セロトニン受容体の活性部位(例えば、リガンドのための結合部位)に結合することができる。
一部の実施形態では、セロトニン受容体モジュレーターは、セロトニン受容体のアロステリック部位に結合することができる。
本発明のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、セロトニンアンタゴニストは、500nM未満もしくはそれに等しい、250nM未満もしくはそれに等しい、100nM未満もしくはそれに等しい、50nM未満もしくはそれに等しい、10nM未満もしくはそれに等しい、1nM未満もしくはそれに等しい、0.1nM未満もしくはそれに等しい、0.01nM未満もしくはそれに等しい、または0.001nM未満もしくはそれに等しいIC50を有する。
本発明のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、セロトニンアゴニストは、500nM、250nM、100nM、50nM、10nM、1nM、0.1nM、0.01nMまたは0.001nM未満またはそれに等しいEC50を有する。
ヒスタミン受容体モジュレーター
本明細書で使用される場合、ヒスタミン受容体に関する用語「モジュレートする」は、ヒスタミン受容体の正常な機能を正に、または負に調節することを意味する。したがって、モジュレートする、という用語は、ヒスタミン受容体の正常な機能の増加、減少、マスキング、変更、無効化、または回復を指すために使用することができる。ヒスタミン受容体モジュレーターは、ヒスタミン受容体のアゴニストまたはアンタゴニストであってよい。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、モジュレーターは、ヒスタミン受容体の少なくとも1つの活性を、モジュレーションのない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%、少なくとも98%またはそれよりも高くモジュレートする。
ヒスタミン受容体は、それらの内在性リガンドとしてヒスタミンを有するGタンパク質共役7回膜貫通型タンパク質のスーパーファミリーに属する。Gタンパク質共役受容体は、真核細胞における主なシグナル伝達系の1つを構成している。これらの受容体のためのコード配列(その領域内で、アゴニスト−アンタゴニスト結合部位に寄与すると考えられる)は、哺乳動物種の全体でかなり保存されている。ヒスタミン受容体は、多くの末梢組織で、および中枢神経系内で見出される。4種の公知のヒスタミン受容体、H1、H2、H3およびH4が存在する。
本明細書で使用される場合、「ヒスタミン受容体モジュレーター」という用語は、ヒスタミン受容体に結合する、もしくはそれへのリガンドの結合を阻害する、またはヒスタミン受容体の活性を減少させる、もしくはなくす、もしくは上昇させる、もしくは増強する、もしくは模倣する化合物を意図し、それを包含する。したがって、「ヒスタミン受容体モジュレーター」は、ヒスタミン受容体アンタゴニストおよびヒスタミン受容体アゴニストの両方を包含する。一部の実施形態では、ヒスタミン受容体モジュレーターは、ヒスタミンH1および/またはH2および/またはH3および/またはH4受容体に結合する、もしくはそれへのリガンドの結合を阻害する、またはヒスタミンH1および/またはH2および/またはH3および/またはH4受容体の活性を可逆的に、もしくは不可逆的に減少させる、もしくはなくす、もしくは上昇させる、もしくは増強する、もしくは模倣する。
一部の実施形態では、ヒスタミンモジュレーターは、ヒスタミン受容体アンタゴニストである。
例示的なヒスタミンモジュレーターには、これらに限定されないが、A−349,821;ABT−239;アクリバスチン;アリメマジン(トリメプラジン);アンタゾリン;アステミゾール;アザタジン;アゼラスチン;ベポタスチン;ビラスチン;ビスフェンチジン(Bisfentidine);BL−6341A;BL−6548;BMY−25271;BMY−25405;BMY−52368;ブロムフェニラミン;カルビノキサミン;セチリジン;クロルシクリジン;クロルフェナミン(クロルフェニラミン);クロルプロマジン;シメチジン;シプロキシファン;クレマスチン;クロベンプロピット;クロザピン;シクリジン;シプロヘプタジン;D−16637;DA−4634;デスロラタジン;デクスクロルフェニラミン;ジメボン;ジメンヒドリネート;ジメチンデン;ジフェンヒドラミン;ドネチジン;エバスチン;エブロチジン;エンブラミン;エチンチジン;ファモチジン;ファモチジン;フェキソフェナジン;FRG−8701;FRG−8813;ハロペリドール;HB−408;HE−30−256;ヒドロキシジン;ICI−162846;ICIA−5165;インプロミジン;JNJ7777120;ケトチフェン;L−643728;ラフチジン;ランチジン(lamtidine);レボカバスチン;レボセチリジン;ロラタジン;ロクスチジン;ルピチジン;メクロジン;メピラミン;ミフェンチジン;ミゾラスチン;ニザチジン;ニザチジン;オロンザピン;オロパタジン;ORF−17578;フェニラミン;ピファチジン;プロメタジン;クエチアピン;キフェナジン(Quifenadine);ラミキソチジン(ramixotidine);ラニチジン;リタンセリン;ロキサチジン;SKF−94482;SR−58042;スホチジン;テルフェナジン;チオペラミド;チオチジン;VUF−6002;Wy−45727;ザルチジン;ならびにその類似体、誘導体、鏡像異性体、代謝産物、プロドラッグ、および薬学的に許容される塩が含まれる。
追加のヒスタミンモジュレーターには、それらすべての内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,932,644号;同第3,980,781号;同第4,060,621号;同第4,112,234号;同第4,117,131号;同第4,145,546号;同第4,153,793号;同第4,154,834号;同第4,159,329号;同第4,159,329号;同第4,218,452号;同第4,227,000号;同第4,234,588号;同第4,250,316号;同第4,255,248号;同第4,307,104号;同第4,309,433号;同第4,309,433号;同第4,318,913号;同第4,337,256号;同第4,338,328号;同第4,374,248号;同第4,374,248号;同第4,375,341号;同第4,380,639号;同第4,385,058号;同第4,385,058号;同第4,399,294号;同第4,432,983号;同第4,439,437号;同第4,442,110号;同第4,447,611号;同第4,481,199号;同第4,485,104号;同第4,496,567号;同第4,507,296号;同第4,520,025号;同第4,521,418号;同第4,522,943号;同第4,524,071号;同第4,526,973号;同第4,529,723号;同第4,543,352号;同第4,551,466号;同第4,608,380号;同第4,638,001号;同第4,645,110号;同第4,670,487号;同第4,681,883号;同第4,694,008号;同第4,738,969号;同第4,745,110号;同第4,764,612号;同第4,777,179号;同第4,812,451号;同第4,812,452号;同第4,952,589号;同第5,273,984号;同第5,486,526号;同第5,541,343号;同第5,639,775号;同第5,753,671号;同第6,420,560号;同第6,552,047号;同第6,936,627号;同第7,115,600号;同第7,205,316号;同第7,256,205号、ならびに米国特許出願公開第2002/0086859号;同第2004/0138234号;同第2005/0070525号;同第2006/0047114号;同第2006/0069087号;同第2007/0238771号;同第2008/0015200号;同第2009/0239854号;同第2009/0325927号;および同第2010/0022580に記載されている化合物が含まれる。
一部の実施形態では、ヒスタミン受容体モジュレーターは、リガンドの結合を、対照と比べて少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、または約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、阻害する。
一部の実施形態では、ヒスタミン受容体モジュレーターは、非阻害対照に対して、ヒスタミン受容体の活性を少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(例えば、活性の完全な喪失)低下させる。
一部の実施形態では、ヒスタミン受容体モジュレーターは、非活性化対照に対して、ヒスタミン受容体の活性を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、50%、70%、80%、90%、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍またはそれよりも高く増強する。
一部の実施形態では、ヒスタミン受容体モジュレーターは、ヒスタミン受容体の活性部位(例えば、リガンドのための結合部位)に結合することができる。
一部の実施形態では、ヒスタミン受容体モジュレーターは、ヒスタミン受容体のアロステリック部位に結合することができる。
本発明のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、ヒスタミンアンタゴニストは、500nM未満もしくはそれに等しい、250nM未満もしくはそれに等しい、100nM未満もしくはそれに等しい、50nM未満もしくはそれに等しい、10nM未満もしくはそれに等しい、1nM未満もしくはそれに等しい、0.1nM未満もしくはそれに等しい、0.01nM未満もしくはそれに等しい、または0.001nM未満もしくはそれに等しいIC50を有する。
本発明のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、ヒスタミンアゴニストは、500nM、250nM、100nM、50nM、10nM、1nM、0.1nM、0.01nMまたは0.001nM未満またはそれに等しいEC50を有する。
一部の実施形態では、ヒスタミン受容体モジュレーターは、メチルヒスタミンジヒドロクロリド、すなわち、ヒスタミンR(−)−アルファ−メチル−ジヒドロクロリド(
)であってよい。
HDACモジュレーター
本明細書で使用される場合、HDACに関する用語「モジュレートする」は、HDACの正常な機能を正に、または負に調節することを意味する。したがって、モジュレートする、という用語は、HDACの正常な機能の増加、減少、マスキング、変更、無効化、または回復を指すために使用することができる。HDACモジュレーターは、セロトニン受容体のアゴニストまたはアンタゴニストであってよい。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、モジュレーターは、HDACの少なくとも1つの活性を、モジュレーションのない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%、少なくとも98%またはそれよりも高くモジュレートする。
HDACは、3つのクラス(クラスI、IIおよびIII)に分類される少なくとも18種の酵素を含むファミリーである。クラスI HDACには、これらだけに限定されないが、HDAC1、2、3、および8が含まれる。クラスI HDACは、核において見出され得、転写制御リプレッサーに関係していると考えられる。クラスII HDACには、これらだけに限定されないが、HDAC4、5、6、7、および9が含まれ、細胞質、さらには核の両方において見出され得る。クラスIII HDACは、NAD依存性タンパク質であると考えられ、それらには、これらだけに限定されないが、タンパク質のサーチュインファミリーのメンバーが含まれる。サーチュインタンパク質の非限定的例には、SIRT1〜7が含まれる。
用語「HDACモジュレーター」は、本明細書で使用される場合、転写活性をモジュレートする能力を有する化合物を指す。
一部の実施形態では、HDACモジュレーターは、HDAC阻害剤である。用語「HDAC阻害剤」は、本明細書で使用される場合、ヒストンデアセチラーゼ活性を阻害する能力を有する化合物を指す。この治療用のクラスは、血管新生および細胞周期を遮断することができ、アポトーシスおよび分化を促進する。HDAC阻害剤は、単独で標的化抗がん活性を示すだけでなく、既存の薬剤、さらには、他の新たな標的療法の有効性も改善する。
本明細書で使用される場合、用語「選択的HDAC阻害剤」は、3種すべてのHDACクラスと有意に相互作用することがないHDAC阻害剤を指す。本明細書で使用される場合、「クラスI選択的HDAC」は、HDAC1、2、3または8のうちの1種または複数とは相互作用するが、クラスII HDAC(すなわち、HDAC4、5、6、7および9)とは有意に相互作用しないHDAC阻害剤を指す。
HDAC阻害活性を有するいくつかの化合物が、当技術分野で公知であり(参照により本明細書に組み込まれる、例えば、Marksら、J. Natl. Cancer Inst.、92巻;1210〜1216頁(2000年)およびMillerら、J. Med. Chem、46巻(24号);5097〜5115頁(2003年)を参照されたい)、本開示のHDAC阻害剤として使用することができる。HDAC阻害剤は、非限定的例として、短鎖脂肪酸、例えば、酪酸、フェニルブチレート(PB)、4−フェニルブチレート(4−PBA)、ピバロイルオキシメチルブチレート(ピバネクス(Pivanex)、AN−9)、イソバレレート、バレレート、バルプロエート、バルプロ酸、プロピオネート、ブチルアミド、イソブチルアミド、フェニルアセテート、3−ブロモプロピオネート、またはトリブチリンであってよい。HDac阻害活性を有する短鎖脂肪酸化合物は、米国特許第4,988,731号、同第5,212,326号、同第4,913,906号、同第6,124,495号、同第6,110,970号、同第6,419,953号、同第6,110,955号、同第6,043,389号、同第5,939455号、同第6,511,678号、同第6,528,090号、同第6,528,091号、同第6,713,086号、同第6,720,004号、米国特許出願公開第20040087652号、国際公開WO02/007722に、ならびにPhielら、J Biol Chem、276巻(39号):36734〜41頁(2001年)、Rephaeliら、Int J Cancer、116巻(2号):226〜35頁(2005年)、Reidら、Lung Cancer、45巻(3号):381〜6頁(2004年)、Gottlicherら、2001年、EMBO J、22巻(13号):3411〜20頁(2003年)、およびVaisburgら、Bioorg Med Chem Lett、14巻(1号):283〜7頁(2004年)に記載されている。HDac阻害剤は、非限定的例として、ヒドロキサム酸(hydroxyamic acid)基を有する化合物、例えば、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、トリコスタチンA(TSA)、トリコスタチンC(TSC)、サリチルヒドロキサム酸、オキサムフラチン(oxamflatin)、スベリックビスヒドロキサム酸(suberic bishydroxamic acid)(SBHA)、m−カルボキシケイ皮酸ビスヒドロキサム酸(CBHA)、ピロキサミド(CAS RN 382180−17−8)、ジエチルビス−(ペンタメチレン−N,Nジメチルカルボキサミド)マロネート(EMBA)、アゼライックビスヒドロキサム酸(azelaic bishydroxamic acid)(ABHA)、アゼライック−1−ヒドロキサメート−9−アニリド(azelaic−l−hydroxamate−9−anilide)(AAHA)、6−(3−クロロフェニルウレイド)カーポイックヒドロキサム酸(6−(3−Chlorophenylureido)carpoic hydroxamic acid)、またはA−161906であってよい。
HDac阻害活性を有するヒドロキサム酸化合物は、米国特許第6,800,638号、6,784,173号、同第6,531,472号、同第6,495,719号、同第6,512,123号、および同第6,511,990号、米国特許出願公開第20060004041号、同第20050227976号、同第20050187261号、同第20050107348号、同第20050131018号、同第20050124679号、同第20050085507号、同第20040266818号、同第20040122079号、同第20040024067号、および同第20030018062号、国際公開欧州特許第1174438号、WO/2004092115、WO/2005019174、WO0052033、WO018045、WO018171、WO0138322、WO0170675、WO9735990、W09911659、WO0226703、WO0230879およびWO0226696、ならびにButlerら、Clin Cancer Res.、7巻:962〜970頁(2001年)、Richonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA:95巻;3003〜3007頁(1998年)、Kimら、Oncogene:18巻(15号);24612470(1999年)、Klanら、Biol Chem.、384巻(5号):777〜85頁(2003年)、Yoshidaら、J Biol Chem.、265巻(28号):17174〜9頁(1990年)、Suzuliら、Bioorg Med Chem Lett.、15巻(2号):331〜5頁(2005年)、Kellyら、J Clin Oncol.、23巻(17号):3923〜31頁(2005年)、Kellyら、Clin Cancer Res.、9巻(10号、第1部):3578〜88頁(2003年)、Sonodaら、Oncogene、13巻(1号):143〜9頁(1996年)、Richonら、Proc Natl Acad Sci USA.、93巻(12号):5705〜8頁(1996年)、Jungら、J. Med. Chem.、42巻;4669〜4679頁(1999年)、Jungら、Bioorg. Med. Chem. Lett、7巻(13号);1655〜1658頁(1997年)、Lavoieら、Bioorg. Med. Chem. Letters、11巻、2847〜2850頁(2001年)、Remiszewskiら、J. Med. Chem.45巻、4号、753〜757頁(2002年)、Sternsonら、Org. Lett.3巻、26号、4239〜4242頁(2001年)、Bouchainら、J Med Chem.、46巻(5号):820〜30頁(2003年)、およびWooら、J Med Chem.、45巻(13号):2877〜85頁(2002年)に記載されている。
HDAC阻害剤は、非限定的例として、環状テトラペプチド、例えば、デプシペプチド(FK228)、FR225497、トラポキシンA、アピシジン、クラミドシン(chlamydocin)、またはHC−毒素であってよい。HDAC阻害活性を有する環状テトラペプチドは、米国特許第5,922,837号、同第6,403,555号、同第6,656,905号、同第6,399,568号、同第6,825,317号、同第6,831,061号、米国特許出願公開第20050209134号、同第20040014647号、同第20030078369号、および同第20020120099号に、ならびにKijimaら、J Biol Chem、268巻(30号):22429〜35頁(1993年)、Joseら、Bioorg Med Chem Ze#、14巻(21号):5343〜6頁(2004年)、Xiaoら、Rapid Commun Mass Spectrom.、17巻(8号):757〜66頁(2003年)、Furumaiら、Cancer Res.、62巻(17号):4916〜21頁(2002年)、Nakajimaら、Exp. Cell Res.、241巻;126〜133頁(1998年)、Sandorら、Clin Cancer Res.、8巻(3号):718〜28頁(2002年)、Jungら、J. Med. Chem.、42巻;4669〜4679頁(1999年)、およびJungら、Bioorg. Med. Chem. Lett、7巻(13号);1655〜1658頁(1997年)に記載されている。
HDAC阻害剤は、ベンズアミド、例えば、MS−275であってよい。HDAC阻害活性を有するベンズアミドは、米国特許第6,174,905号および同第6,638,530号、米国特許出願公開第2004005513号、同第20050171103号、同第20050131018号、および同第20040224991号、国際公開WO/2004082638、WO/2005066151、WO/2005065681、欧州特許第0847992号および日本特許第258863/96号に、ならびにSaitoら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、96巻、45924597頁(1999年);Suzukiら、J. Med. Chem.、42巻、3001〜3003頁(1999年)、Ryanら、J Clin Oncol、23巻(17号):391222(2005年)、Pauerら、Cancer Invest.、22巻(6号):886〜96頁(2004年)、およびUndeviaら、Ann Oncol、15巻(11号):1705〜11頁(2004年)に記載されている。
HDAC阻害剤は、デプデシン(depudecin)、スルホンアミドアニリド(例えば、ジアリルスルフィド)、BL1521、クルクミン(ジフェルロイルメタン(diferuloylmethane))、CI−994(N−アセチルジナリン(acetyldinaline))、スピルコスタチン(spiruchostatin)A、スクリプタイド(Scriptaid)、カルバマゼピン(CBZ)、または関連化合物であってよい。HDac阻害活性を有するこれらの、および関連化合物は、米国特許第6,544,957号に、ならびにLeaら、Int. J. Oncol、15巻、347〜352頁(1999年)、Ouwehandら、FEBSLett.、579巻(6号):1523〜8頁(2005年)、Krakerら、Mol Cancer Ther.、2巻(4号):401〜8頁(2003年)、de Ruijterら、Biochem Pharmacol、68巻(7号):1279〜88頁(2004年)、Liuら、Acta Pharmacol Sin.、26巻(5号):603〜9頁(2005年)、Fournelら、Cancer Res.、62巻:4325〜4330頁(2002年)、Yurek−Georgeら、J Am Chem Soc、126巻(4号):1030〜1頁(2004年)、Suら、Cancer Res.、60巻(12号):3137〜42頁(2000年)、Beutlerら、Life Sci.、76巻(26号):3107〜15頁(2005年)、およびKwonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、95巻、3356〜3361頁(1998年)に記載されている。
HDAC阻害剤は、環状テトラペプチド基およびヒドロキサム酸基を含む化合物であってよい。そのような化合物の例は、米国特許第6,833,384号および同第6,552,065号に、ならびにNishinoら、Bioorg Med Chem.、12巻(22号):5777〜84頁(2004年)、Nishinoら、Org Lett、5巻(26号):5079〜82頁(2003年)、Komatsuら、Cancer Res.、61巻(11号):4459〜66頁(2001年)、Furumaiら、Proc Natl Acad Sci USA.、98巻(1号):87〜92頁(2001年)、Yoshidaら、Cancer Chemotherapy and Pharmacology、48巻、補遺1;S20〜S26(2001年)、およびRemiszeskiら、J Med Chem.、46巻(21号):4609〜24頁(2003年)に記載されている。
HDAC阻害剤は、ベンズアミド基およびヒドロキサム酸基を含む化合物であってよい。そのような化合物の例は、Ryuら、Cancer Lett. Jul.、9巻、2005年(電子出版)、Plumbら、Mol Cancer Ther、2巻(8号):721〜8頁(2003年)、Ragnoら、J Med Chem.、47巻(6号):1351〜9頁(2004年)、Maiら、J Med Chem.、47巻(5号):1098109頁(2004年)、Maiら、J Med Chem.、46巻(4号):512〜24頁(2003年)、Maiら、J Med Chem.、45巻(9号):1778〜84頁(2002年)、Massaら、J Med Chem.、44巻(13号):2069〜72頁(2001年)、Maiら、J Med Chem.、48巻(9号):3344〜53頁(2005年)、およびMaiら、J Med Chem.、46巻(23号):4826〜9頁(2003年)に記載されている。
HDAC阻害剤は、米国特許第6,897,220号、同第6,888,027号、同第5,369,108号、同第6,541,661号、同第6,720,445号、同第6,562,995号、同第6,777,217号、もしくは同第6,387,673号、同第6,693,132号、または米国特許出願公開第20060020131号、同第20060058553号、同第20060058298号、同第20060058282号、同第20060052599号、同第2006004712号、同第20060030554号、同第20060030543号、同第20050288282号、同第20050245518号、同第20050148613号、同第20050107348号、同第20050026907号、同第20040214880号、同第20040214862号、同第20040162317号、同第20040157924号、同第20040157841号、同第20040138270号、同第20040072849号、同第20040029922号、同第20040029903号、同第20040023944号、同第20030125306号、同第20030083521号、同第20020143052号、同第20020143037号、同第20050197336号、同第20050222414号、同第20050176686号、同第20050277583号、同第20050250784号、同第20050234033号、同第20050222410号、同第20050176764号、同第20050107290号、同第20040043470号、同第20050171347号、同第20050165016号、同第20050159470号、同第20050143385号、同第20050137234号、同第20050137232号、同第20050119250号、同第20050113373号、同第20050107445号、同第20050107384号、同第20050096468号、同第20050085515号、同第20050032831号、同第20050014839号、同第20040266769号、同第20040254220号、同第20040229889号、同第20040198830号、同第20040142953号、同第20040106599号、同第20040092598号、同第20040077726号、同第20040077698号、同第20040053960号、同第20040002506号、同第20030187027号、同第20020177594号、同第20020161045号、同第20020119996号、同第20020115826号、同第20020103192号、もしくは同第20020065282号に記載されている化合物であってよい。
HDAC阻害剤は、FK228、AN−9、MS−275、CI−994、LAQ−824、SAHA、G2M−777、PXD−101、LBH−589、MGCD−0103、MK0683、ピロキサミド、フェニル酪酸ナトリウム、CRA−024781、ベリノスタット;(すなわちPXD101)、MS−275(すなわち、エンチノスタット;MS−27−275)、ボリノスタット(すなわち、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA);ゾリンザ)、モセチノスタット(すなわち、MGCD0103)、SB939(すなわち、プラシノスタット)、ロシリノスタット(すなわち、ACY−1215)ならびにその誘導体、塩、代謝産物、プロドラッグ、および立体異性体からなる群より選択される阻害剤であってよい。
追加の非限定的例には、ONO−2506またはアルンド酸から選択される、報告されているHDAC阻害剤(CAS RN 185517−21−9);MGCD0103(Gelmonら、「Phase I trials of the oral histone deacetylase (HDac) inhibitor MGCD0103 given either daily or 3x weekly for 14 days every 3 weeks in patients (pts) with advanced solid tumors.」、Journal of Clinical Oncology、2005年、ASCO Annual Meeting Proceedings. 23巻(16S、6月1日、補遺)、2005年:3147頁およびKalitaら、「Pharmacodynamic effect of MGCD0103, an oral isotype−selective histone deacetylase (HDac) inhibitor, on HDac enzyme inhibition and histone acetylation induction in Phase I clinical trials in patients (pts) with advanced solid tumors or non−Hodgkin’s lymphoma (NHL)」、Journal of Clinical Oncology、2005年、ASCO Annual Meeting Proceedings.、23巻(16S、II部の第I部、6月1日、補遺)、2005年:9631頁を参照されたい)、97th American Association for Cancer Research(AACR) Annual Meeting、Washington、D.C.において、ポスター標題「Enhanced Isotype−Selectivity and Antiproliferative Activity of Thiophenyl Derivatives of BenzamideHDac Inhibitors In Human Cancer Cells」(abstract #4725)で示されたとおりのベンズアミドHDac阻害剤の報告されているチオフェニル誘導体、および米国特許第6,541,661号に記載のとおりの、報告されているHDac阻害剤;SAHAまたはボリノスタット(CAS RN 149647−78−9);PXD101またはPXD101またはPX105684(CAS RN 414864−00−9)、CI−994またはタセジナリン(Tacedinaline)(CAS RN 112522−64−2)、MS−275(CAS RN 209783−80−2)、またはWO2005/108367で報告されている阻害剤が含まれる。
HDAC阻害剤は、当技術分野で公知で、かつ例えば、それらすべてが全体として参照により本明細書に組み込まれるMillerら、J. Med. Chem.、46巻(24号);5097〜5115頁(2003年)およびKlanら、Biol Chem.、384巻(5号):777〜85頁(2003年))に記載されている構造活性相関および教示を使用して同定される新規のHDac阻害剤であってよい。ヒストンデアセチラーゼ活性を評価する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、それらすべてが全体として参照により本明細書に組み込まれるRichonら、Methods Enzymol、376巻:199〜205頁(2004年)、Wegenerら、Mol Genet Metab.、80巻(1〜2号):138〜47頁(2003年)、米国特許第6,110,697号、および米国特許出願公開第20050118596号、同第20050227300号、同第20030161830号、同第20030224473号、同第20030082668号、同第20030013176号、および同第20040091951号)に記載されている。
1種または複数のHDacの転写および/または翻訳を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボザイムが、米国特許第6,953,783号、ならびに米国特許出願公開第20050171042号、同第20040266718号、同第20040204373号、同第20040077578号、同第20040077084号、同第20040077083号、同第20040072770号、同第20030236204号、同第20030216345号、同第20030152557号、同第20030148970号、同第20030078216号、同第20020137162号、同第20020164752号、同第20020115177号、および同第20020061860号に記載されている。
HDACの一部の例示的な阻害剤には、低分子量カルボキシレート(例えば、約250amu未満)、ヒドロキサム酸、ベンズアミド、エポキシケトン、環状ペプチド、およびハイブリッド分子が含まれる。(例えば、全体として参照により本明細書に組み込まれるDrummond D.C.ら、Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol.、(2005年)45巻:495〜528頁(そのなかの具体的な例を含む)を参照されたい)。非限定的例のHDAC阻害剤には、これらだけに限定されないが、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA(例えば、MK0683、ボリノスタット)および他のヒドロキサム酸)、BML−210、デプデシン(例えば、(−)−デプデシン)、HC毒素、ヌルスクリプト(Nullscript)(4−(1,3−ジオキソ−1H,3H−ベンゾ[de]イソキノリン−2−イル)−N−ヒドロキシブタンアミド)、フェニルブチレート(例えば、フェニル酪酸ナトリウム)およびバルプロ酸((VPA)および他の短鎖脂肪酸)、スクリプタイド、スラミンナトリウム、トリコスタチンA(TSA)、APHA Compound 8、アピシジン、酪酸ナトリウム、酪酸ピバロイルオキシメチル(ピバネクス、AN−9)、トラポキシンB、クラミドシン、デプシペプチド(FR901228またはFK228としても公知)、ベンズアミド(例えば、CI−994(すなわち、N−アセチルジナリン)およびMS−27−275)、MGCD0103、NVP−LAQ−824、CBHA(m−カルボキシ桂皮酸(carboxycinnaminic acid)ビスヒドロキサム酸)、JNJ16241199、ツバシン、A−161906、プロキサミド、オキサムフラチン、3−Cl−UCHA(すなわち、6−(3−クロロフェニルウレイド)カプロイックヒドロキサム酸(caproic hydroxamic acid))、AOE(2−アミノ−8−オキソ−9,10−エポキシデカン酸)、CHAP31およびCHAP50が含まれる。他の阻害剤には、例えば、HDACのドミナントネガティブ形態(例えば、触媒的に不活性な形態)、HDACのsiRNA阻害剤、およびHDACに特異的に結合する抗体が含まれる。HDAC阻害剤は、例えば、BIOMOL International、Fukasawa、Merck Biosciences、Novartis、Gloucester Pharmaceuticals、Aton Pharma、Titan Pharmaceuticals、Schering AG、Pharmion、MethylGene、およびSigma Aldrichから市販されている。本発明に適したさらなるHDAC阻害剤には、これらだけに限定されないが、その内容がそれぞれ全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,183,298号;同第6,512,123号;同第6,541,661号;同第6,531472号;同第6,960,685号;同第6,897,220号;同第6,905,669号;同第6,888,207号;同第6,800,638号および同第7,169,801号、ならびに米国特許出願公開第10/811,332号;同第12/286,769号;同第11/365,268号;同第11/581,570号;同第10/509,732号;同第10/546,153号;同第10/381,791号および同第11/516,620号のものが含まれる。
一部の実施形態では、HDACモジュレーターは、リガンドの結合を、対照と比べて少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、または約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、阻害する。
一部の実施形態では、HDACモジュレーターは、HDACの活性を、非阻害対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(例えば、活性の完全な喪失)低下させる。
一部の実施形態では、HDACモジュレーターは、HDACの活性を、非活性化対照に対して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、50%、70%、80%、90%、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍またはそれよりも高く増強する。
一部の実施形態では、HDACモジュレーターは、HDACの活性部位(例えば、リガンドのための結合部位)に結合することができる。
一部の実施形態では、HDACモジュレーターは、HDACのアロステリック部位に結合することができる。
本発明のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、HDACアンタゴニストは、500nM未満もしくはそれに等しい、250nM未満もしくはそれに等しい、100nM未満もしくはそれに等しい、50nM未満もしくはそれに等しい、10nM未満もしくはそれに等しい、1nM未満もしくはそれに等しい、0.1nM未満もしくはそれに等しい、0.01nM未満もしくはそれに等しい、または0.001nM未満もしくはそれに等しいIC50を有する。
本発明のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、HDACアゴニストは、500nM、250nM、100nM、50nM、10nM、1nM、0.1nM、0.01nMまたは0.001nM未満またはそれに等しいEC50を有する。
エピジェネティック修飾因子
「エピジェネティック修飾因子」は、DNA配列の変化以外の機構に起因する細胞のエピジェネティック状態、すなわち、細胞における表現型または遺伝子発現を修飾する薬剤を指す。細胞のエピジェネティック状態には、例えば、DNAメチル化、ヒストン修飾(複数可)およびRNA関連サイレンシングが含まれる。
特定の態様では、エピジェネティック修飾因子は、細胞のエピジェネティック状態を、対照細胞と比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%変化させる(例えば、上昇させる、または低下させる)。特定の態様では、エピジェネティック修飾因子は、細胞のエピジェネティック状態を、対照細胞に対して、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍またはそれよりも高く変化させる(例えば、上昇させる、または低下させる)。
一部の態様では、エピジェネティック修飾因子は、ヒストン修飾をモジュレートする(例えば、HDACモジュレーター)。一部の態様では、エピジェネティック修飾因子は、BRD2、BRD4またはEGLN1が関係する経路をモジュレートする。一部の態様では、エピジェネティック修飾因子は、(+)−JQ1;S)−JQ1;ベリノスタット(すなわち、PXD101);MS−275(すなわち、エンチノスタット;MS−27−275);ボリノスタット(すなわち、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA);ゾリンザ);モセチノスタット(すなわち、MGCD0103);I−BET(すなわち、GSK525762A);SB939(すなわち、プラシノスタット;PFI−1);ロシリノスタット(すなわち、ACY−1215);I−BET151(すなわち、GSK1210151A);IOX2;またはその誘導体、塩、代謝産物、プロドラッグ、および立体異性体である。一部の態様では、エピジェネティック修飾因子は、表5に示すエピジェネティック修飾因子である。
一部の態様では、エピジェネティック修飾因子は、ボリノスタットである。
神経ペプチド
神経ペプチドは、ニューロンが相互に情報伝達するために使用する、より大きな神経伝達物質とは別個の小タンパク質様分子である。これらは、ニューロンシグナル伝達分子であり、特異的な方法で脳の活性に影響を及ぼし、したがって、特に、無痛、報酬、食物摂取、学習および記憶などの脳機能に関係する。神経ペプチドは、ニューロンにより発現および放出され、細胞表面受容体での作用により、ニューロン情報伝達を媒介またはモジュレートする。ヒトゲノムは、神経ペプチドの前駆体をコードする約90の遺伝子を含有する。現在約100種の異なるペプチドが、哺乳動物の脳においてニューロンの種々の集団により放出されることが公知である。
例示的な神経ペプチドには、これらだけに限定されないが、視床下部ホルモン、例えば、オキシトシンおよびバソプレッシン;視床下部放出および阻害ホルモン、例えば、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、ソマトスタチン成長ホルモン放出阻害ホルモンおよび甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン;タキキニン、例えば、ニューロキニンa(サブスタンスK)、ニューロキニンb、神経ペプチドKおよびサブスタンスP;オピオイドペプチド、例えば、b−エンドルフィン、ダイノルフィンおよびmet−およびleu−エンケファリン;NPYおよび関連ペプチド、例えば、神経ペプチドチロシン(NPY)、膵臓ポリペプチドおよびペプチドチロシン−チロシン(PYY);VIP−グルカゴンファミリーメンバー、例えば、グルコーゲン様ペプチド−1(GLP−1)、ペプチドヒスチジンイソロイシン(PHI)、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド(PACAP)および血管作動性腸管ポリペプチド(VIP);さらには、多くの他のペプチド、例えば、脳ナトリウム利尿ペプチド)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)(a−およびb型)、コレシストキニン(CCK)および他の形態、ガラニン、膵島アミロイドポリペプチド(LAPP)またはアミリン、メラニン凝集ホルモン(MCH)、メラノコルチン(ACTH、a−MSHなど)、神経ペプチドFF(F8Fa)、ニューロテンシン、副甲状腺ホルモン関連タンパク質、アグーチ遺伝子関連タンパク質(AGRP)、コカインおよびアンフェタミン調節転写物(CART)/ペプチド、エンドモルフィン−1および−2、5−HT−モジュリン(moduline)、ヒポクレチン/オレキシン、ノシセプチン/オルファニンFQ、ノシスタチン、プロラクチン放出ペプチド、セクレトニューリンおよびウロコルチン;ニューロテンシン;神経ペプチドY;ニューロテンシン;サブスタンスP;TRH;エンケファリン;などが含まれる。
一部の実施形態では、神経ペプチドは、PD160170(
)であってよい。
イオノフォア
本明細書で使用される場合、用語「イオノフォア」は、一部の例では、他のものを実質的に排除して、特定のイオンと共に複合体を形成することができる分子を含む。一般に、イオノフォアは、イオンと結合することにより、またはそれに対するバリアの透過性を上昇させることにより、脂質バリアを横切ってのイオンの透過を助長する。
限定することなく、イオノフォアは、小さなまたは大きな有機または無機分子;単糖;二糖;三糖;オリゴ糖;多糖;生物学的高分子、例えば、タンパク質、ペプチド、ペプチド類似体およびその誘導体、ペプチド模倣物質、核酸、核酸類似体および誘導体、酵素、抗体、抗体の部分または断片;細菌、植物、真菌、または動物細胞もしくは組織などの生物材料から作製された抽出物;天然に存在する組成物または合成組成物;ならびにその任意の組み合わせからなる群より選択することができる。
例示的なカリウムイオンイオノフォアには、これらだけに限定されないが、バリノマイシン、クラウンエーテル、例えば、ジメチルジベンゾ−30−クラウン−10、ジシクロヘキシル−18−クラウン、ジメチルジシクロヘキシル−18−クラウン−6、ホウ酸テトラフェニル、テトラキス(クロロフェニル)ボレートが含まれる。ナトリウムイオンイオノフォアには、例えば、メチルモネンシン、N,N’,N”−トリヘプチル−N,N’,N”トリメチル−4,4’,4”−プロピリジントリス−(3−オキサブチルアミド)、N,N,N、N’−テトラシクロヘキシル−1,2−フェニレンジオキシジアセトアミド、4−オクタデカノイルオキシメチル−N,N,N’,N’−テトラシクロヘキシル−1,2−フェニレンジオキシジアセトアミド、ビス[(12−クラウン−4)メチル]ドデシルメチルマロネートが含まれる。例示的なカルシウムイオンイオノフォアには、これらだけに限定されないが、ビス(ジデシルホスフェート)、ビス(4−オクチルフェニルホスフェート)、ビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニルホスフェートテトラコサメチルシクロドデカシロキサン、N,N’−ジ(1,1,3,3エトキシカルボニル)ウンデシル)−N,N’,4,5−テトラメチル−3,6ジオキサオクタンジアミド、カルシウムイオノフォアA23187(C−7522としても公知)、カルシウムイオノフォアII 21193、およびカルシウムイオノフォアIV 21198が含まれる。例示的なバリウムイオンイオノフォアには、これらだけに限定されないが、カルシウムジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート+デカン−1−オール、オルト−ニトロジフェニルエーテル中のノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールのバリウム錯体が含まれる。例示的な塩化物イオンイオノフォアには、これらだけに限定されないが、{u−[4,5−ジメチル(dimefhyl)−3,6−ビス(オクチルオキシ)−1,2−フェニレン]}ビス(トリフルオロアセタト−0)ジマーキュリ(dimercuri)(ETH9009)、{(x−[4,5−ジメチル−3,6−ビス(ドデシルオキシ)−1,2−フェニレン]}ビス(塩化水銀)(ETH9033)、5,10,15,20−テトラフェニル21H,23H−ポルフィンマンガン(III)クロリド(MnTPPCl)、塩化トリブチルスズ(TBTC1)および塩化トリオクチルスズ(TOTC1)が含まれる。重炭酸イオンイオノフォアには、例えば、第四級アンモニウムイオン交換体p−オクトデシルオキシ−メタ−クロロフェニル−ヒドラゾン−メソキサロニトリルが含まれる。アンモニウムイオンイオノフォアには、例えば、ノナクチン(nonactin)およびモナクチン(monactin)が含まれる。硝酸イオンイオノフォアには、例えば、トリドデシルヘキサデシルアンモニウムニトレート+n−オクチルオルト−ニトロフェニル、1:10のフェナントロリンニッケル(II)ニトレート+パラ−ニトロシメンが含まれる。リチウムイオンイオノフォアには、例えば、N,N’−ジヘプチル−N,N’,5,5−テトラメチル−3,7−ジオキソノナンジアミド)、12−クラウン−4,6,6−ジベンジル−14−クラウン−4が含まれる。イオノフォアの別の非限定的な例示的リストには:カリウムでは、バリノマイシン、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ホウ酸テトラフェニル、テトラキス(クロロフェニル)ボレート;カルシウムでは、ビス(ジデシルホスフェート)、ビス(4−オクチルフェニルホスフェート)、ビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニルホスフェートテトラコサメチルシクロドデカシロキサン(tetracosamefhylcyclododecasiloxane)、N、N’−ジ(11−エトキシカルボニル)ウンデシル)−N、N’,4,5−テトラメチル−3,6−ジオキサオクタンジアミド;水素では、トリドデシルアミン、N−メチルN−オクタデシル(1−メチル、2−ヒドロキシ、2−フェニル)エチルアミン、N−オクタデシル3−ヒドロキシn−プロピルアミン、N,N’ビス(オクタデシルエチレンアミン)、p−オクタデシルオキシ−m−クロロフェニルヒドラゾンメソオキサロニトリル;ナトリウムでは、モネンシン、N,N’,N”−トリヘプチル−N,N,N”−トリメチル−4、4’、4”−プロピリジントリス−(3−オキサブチルアミド)、N,N,N’,N’−テトラシクロヘキシル−1,2−フェニレンジオキシジアセトアミド、4−オクタデカノイルオキシメチル−N,N,N’,N’,−テトラシクロヘキシル−1,2−フェニレンジオキシジアセトアミド、ビス[(12−クラウン−4)メチル]ドデシルメチルマロネート;リチウムでは、N,N’−ジヘプチル−N,N,5,5−テトラメチル−3,7−ジオキソノナンジアミド)、12−クラウン−4,6,6ジベンジル−14クラウン−4;クロリドでは、第四級塩化アンモニウム、塩化トリブチルスズが含まれる。他の適切なイオノフォアには、イオノマイシン、モネンシン、ラサロシド、レイドロマイシン(laidlomycin)、などが含まれる。
イオンチャネルモジュレーター
本明細書で使用される場合、用語「イオンチャネルモジュレーター」は、イオンチャネルの少なくとも1つの活性をモジュレートする化合物を指す。用語「イオンチャネルモジュレーター」は、本明細書で使用される場合、チャネル細孔自体と相互作用するか、またはチャネル複合体上の部位と相互作用することにより、チャネルのアロステリックモジュレーターとして作用し得る薬剤を含むことが意図されている。用語「イオンチャネルモジュレーター」は、本明細書で使用される場合、間接的にイオンチャネルの活性をモジュレートする薬剤を含むことも意図されている。「間接的に」とは、イオンチャネルとのモジュレーター相互作用に関して使用される場合、イオンチャネルモジュレーターが、イオンチャネル自体と直接的に相互作用しない、すなわち、イオンチャネルモジュレーターが、仲介物を介してイオンチャネルと相互作用することを意味する。したがって、用語「間接的に」はまた、イオンチャネルと結合または相互作用するために、イオンチャネルモジュレーターが、別の分子を必要とする状況を包含する。
限定することなく、イオンチャネルモジュレーターは、小さなまたは大きな有機または無機分子;単糖;二糖;三糖;オリゴ糖;多糖;生物学的高分子、例えば、タンパク質、ペプチド、ペプチド類似体およびその誘導体、ペプチド模倣物質、核酸、核酸類似体および誘導体、酵素、抗体、抗体の部分または断片;細菌、植物、真菌、または動物細胞もしくは組織などの生物材料から作製された抽出物;天然に存在する組成物または合成組成物;ならびにその任意の組み合わせからなる群より選択することができる。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、イオンチャネルを通るイオンの通過をモジュレートする。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、モジュレーターは、イオンチャネルの阻害剤またはアンタゴニストである。本明細書で使用される場合、用語「阻害剤」は、イオンチャネルを通るイオンの流れを阻害する、または減少させる化合物を指す。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、モジュレーターは、イオンチャネルのアゴニストである。本明細書で使用される場合、用語「アゴニスト」は、イオンチャネルを通るイオンの流れを増加させる化合物を指す。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、モジュレーターは、イオンチャネルの少なくとも1つの活性を、モジュレーションのない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%、少なくとも98%またはそれよりも高くモジュレートする。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルの少なくとも1つの活性が、モジュレーターを含まない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(例えば、活性の完全な喪失)阻害される、または低下する。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、500nM、250nM、100nM、50nM、10nM、1nM、0.1nM、0.01nMまたは0.001nM未満もしくはそれに等しいIC50を有する。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、イオンチャネルを通るイオンの流れを、モジュレーターを含まない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(例えば、チャネルを通るイオン流の完全な停止)阻害する。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、イオンチャネルを通るイオンの流れを、モジュレーターを含まない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍またはそれよりも高く増加させる。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、細胞中のイオン、例えば、ナトリウムの濃度を、モジュレーターを含まない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍またはそれよりも高く、上昇させる。
理論に束縛されることは望まないが、イオンチャネルモジュレーターは、いくつかの異なる機構により、イオンチャネルの活性をモジュレートすることができる。例えば、モジュレーターは、イオンチャネルと結合して、イオンがチャネルを通過することを物理的に遮断することができる。イオンチャネルモジュレーターは、結合すると、イオンチャネルにおいてコンフォメーション変化をもたらすことができ、それが、イオンとチャネルとの間の相互作用を増加または減少させることができるか、またはチャネルの開口を増加または減少させることができる。
モジュレーターは、イオンチャネルのエネルギー利用活性、例えば、ATPアーゼ活性をモジュレートすることができる。本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、イオンチャネルのATPアーゼ活性を阻害する。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、Na+/K+−ATPアーゼのATPアーゼ活性を、モジュレーターを含まない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(完全な阻害)阻害する。理論に束縛されることは望まないが、ATPアーゼ活性は、そのような脱リン酸化反応を測定するために当業者に周知の方法を利用することにより、アデノシン−三リン酸の脱リン酸化を測定することにより測定することができる。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、RIG−I活性化を、モジュレーターを含まない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(完全な阻害)阻害する。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、RIG−IのATPアーゼ活性を、モジュレーターを含まない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(完全な阻害)阻害する。
限定することなく、イオンチャネルモジュレーターは、小さな有機分子、小さな無機分子、多糖、ペプチド、タンパク質、核酸、細菌、植物、真菌、動物細胞、動物組織などの生物材料から作製された抽出物、およびその任意の組み合わせであってよい。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、強心性配糖体である。本明細書で使用される場合、用語「強心性配糖体」は、心臓に対して正の変力効果を有する化合物のカテゴリーを指す。強心性配糖体は、当技術分野で心臓ステロイドとも称される。これらは、心不整脈を含む心疾患の処置で使用され、房室結節伝導に対して速度依存性効果を有する。化合物の一般的な群として、強心性配糖体は、ピロンまたはブテノリド置換基(「ピロン型」および「ブテノリド型」)をC17に含むステロイド核を含む。加えて、強心性配糖体は、C3で任意選択でグリコシル化されていてもよい。グリコシル化を伴わない強心性配糖体の形態は、「アグリコン」としても公知である。大半の強心性配糖体は、3β−OH基に付着している1〜4個の糖を含む。最も一般的に使用される糖には、L−ラムノース、D−グルコース、D−ジギトキソース、D−ジギタロース、D−ジギノース(digginose)、D−サルメントース、L−バラロース、およびD−フルクトースが含まれる。一般に、糖は、生物学的活性に対して僅かな他の効果を有する強心性配糖体の薬物動態に影響を及ぼす。この理由で、強心性配糖体のアグリコン形態は、利用可能であり、本明細書で使用される場合の用語「強心性配糖体」に包含されることが意図される。強心性配糖体の薬物動態は、分子の疎水性を調整することにより調整することができ、疎水性の傾向が高まると、より大きな吸収および半減期の増加が生じる。糖部分を、アセチル基などの1個または複数の基で修飾してもよい。
多数の強心性配糖体が当技術分野で公知である。例示的な強心性配糖体には、これらだけに限定されないが、ブファリン、ウアバイン、ジギトキシゲニン、ジゴキシン、ラナトシドC、ストロファンチンK、ウザリゲニン、デスアセチルラナトシドA、ジギトキシン、アクチルジギトキシン(actyl digitoxin)、デスアセチルラナトシドC、ストロファントシド、シラレニン、シラレンA、プロシラリジン、プロシラリジンA、BNC−1、BNC−4、ジギトキソース、ギトキシン(gitoxin)、ストロファンチジオール(strophanthidiol)、オレアンドリン(oleandrin)、アコベノシド(acovenoside)A、ストロファンチジンジギラノビオシド(strophanthidine digilanobioside)、ストロファンチジン−d−シマロシド、ジギトキシゲニン−L−ラムノシド、ジギトキシゲニンテレトシド(digitoxigenin theretoside)、ストロファンチジン、ストロファンチジン、ストロファンチジンジギラノビオシド、ストロファンチジン−Dシマロシド、ジゴキシゲニン、ジゴキシゲニン3,12−ジアセテート、ギトキシゲニン(gitoxigenin)、ギトキシゲニン3−アセテート、ギトキシゲニン3,16−ジアセテート、16−アセチルギトキシゲニン、アセチルストロファンチジン、ウアバゲニン、3−エピゴキシゲニン(epigoxigenin)、ネリフォリン(neriifolin)、アセチルネリフォリンセルベリン(acetylneriifolin cerberin)、セベンチン(theventin)、ソマリン(somalin)、オドロシド(odoroside)、ホンゲリン(honghelin)、デスアセチルジギラニド(desacetyl digilanide)、カロトロピン(calotropin)、カロトキシン(calotoxin)、ラナトシドA、ウザリン(uzarin)、ストロファンチジン−3β−ジギトキソシド、ストロファンチジンa−L−ラムノピラノシド、ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、および/またはプロドラッグが含まれる。
100種を超える強心性配糖体が、多くは被子植物に属する植物において二次代謝産物として同定されている。例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれるMelero, C. P., Medardea, M. & Feliciano, A. S.、A short review on cardiotonic steroids and their aminoguanidine analogues. Molecules、5巻、51〜81頁(2000年)を参照されたい。一般に、強心性配糖体は、Digitalis purpureaおよびDigitalis lanata(キツネノテブクロ)、Nerium oleander(キョウチクトウ)、Thevetia peruviana(キバナキョウチクトウ)、Convallaria majalis(スズラン)、Urginea maritimaおよびUrginea indica(カイソウ)、およびStrophanthus gratus(ウアバイン)を含む多様な植物群において見出される。しかしながら最近では、ブファジエノリド(bufadienolide)群の強心性配糖体が、動物の皮膚および頸動脈腺(carotid gland)で、主には数種のヒキガエル種の毒液で同定された。その内容が参照により本明細書に組み込まれるSteyn, P. S. & van Heerden, F. R.、Bufadienolides of plant and animal origin. Nat. Prod. Rep.、15巻、397〜413頁(1998年)を参照されたい。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、ナトリウムポンプ遮断薬である。本明細書で使用される場合、用語「ナトリウムポンプ遮断薬」、「ナトリウムポンプ阻害剤」、および「ナトリウムポンプアンタゴニスト」は、細胞膜を横切るナトリウムおよび/またはカリウムイオンの流れを阻害または遮断する化合物を指す。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、カルシウムチャネル遮断薬である。本明細書で使用される場合、用語「カルシウムチャネル遮断薬」、「カルシウムチャネル阻害剤」、および「カルシウムチャネルアンタゴニスト」は、細胞膜を横切るカルシウムイオンの流れを阻害または遮断する化合物を指す。カルシウムチャネル遮断薬は、カルシウムイオン流入阻害剤、スローチャネル遮断薬(slow channel blocker)、カルシウムイオンアンタゴニスト、カルシウムチャネルアンタゴニスト薬として、およびIV群抗不整脈薬としても公知である。例示的なカルシウムチャネル遮断薬には、これらだけに限定されないが、アミロリド、アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ミベフラジル、ニカルジピン、ニフェジピン(ジヒドロピリジン)、ニッケル、ニモジンピン、ニソルジピン、酸化窒素(NO)、ノルベラパミル、ベラパミル、ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、および/またはプロドラッグが含まれる。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、カルシウムチャネル遮断薬は、ベータ遮断薬である。例示的なベータ遮断薬には、これらだけに限定されないが、アルプレノロール、ブシンドロール、カルテオロール、カルベジロール(追加のα遮断活性を有する)、ラベタロール、ナドロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、チモロール、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、セリプロロール、エスモロール、メトプロロール、ネビボロール、ブタキサミン、およびICI−118,551(3−(イソプロピルアミノ)−1−[(7−メチル−4−インダニル)オキシ]ブタン−2−オール)、ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、および/またはプロドラッグが含まれる。
例示的なK+イオンチャネルモジュレーターには、これらだけに限定されないが、2,3−ブタンジオンモノキシム;3−ベンジジノ−6−(4−クロロフェニル)ピリダジン;4−アミノピリジン;5−(4−フェノキシブトキシ)ソラレン;5−ヒドロキシデカン酸ナトリウム塩;L−α−ホスファチジル−D−ミオ−イノシトール;4,5−ジホスフェート、ジオクタノイル;Aa1;アデノシン5’−(β,γ−イミド)トリホスフェートテトラリチウム塩水和物;アジトキシン(Agitoxin)−1;アジトキシン−2;アジトキシン−3;アリニジン;アパミン;アプリンジン塩酸塩;BDS−I;BDS−II;BL−1249;BeKm−1;CP−339818;カリブドトキシン;カリブドトキシン;クロルゾキサゾン;クロマノール293B;シベンゾリンコハク酸塩;クロフィリウムトシル酸塩;クロトリマゾール;クロマカリム;CyPPA;DK−AH269;デンドロトキシン−I;デンドロトキシン−K;塩化デクアリニウム水和物;DPO−1ニードレス(needles);ジアゾキシド;ドフェチリド;E−4031;エルグトキシン;グリメピリド;グリピジド;グリベンクラミド;ヘテロポダトキシン(Heteropodatoxin)−2;ホンゴトキシン(Hongotoxin)−1;ICA−105574;IMID−4F塩酸塩;イベリオトキシン;イブチリドヘミフマル酸塩;イソピマル酸;カリオトキシン(Kaliotoxin)−1;レブクロマカリム;Lq2;マルガトキシン(Margatoxin);肥満細胞脱顆粒ペプチド;マウロトキシン(Maurotoxin);メフェチルテトラゾール;塩酸メピバカイン;ミノキシジル;ミノキシジル硫酸塩;N−アセチルプロカインアミド塩酸塩;N−サリチロイルトリプタミン;NS1619;NS1643;NS309;NS8593塩酸塩;ニコランジル;ノキシウストキシン(Noxiustoxin);オメプラゾール;PD−118057;PNU−37883A;パンジノトキシン(Pandinotoxin)−Kα;パキシリン(Paxilline);ペニトレム(Penitrem)A;フリキソトキシン(Phrixotoxin)−2;ピナシジル一水和物;Psora−4;キニン;キニン半硫酸塩一水和物;キニン臭化水素酸塩;キニン塩酸塩脱水物;レパグリニド;ルテカルピン;S(+)−ニグルジピン塩酸塩;SG−209;シラトキシン;セマチリド一塩酸塩一水和物;スロトキシン;ストロマトキシン−1;TRAM−34;タマピン;テルチアピン;テルチアピン−Qトリフルオロ酢酸塩;テトラカイン;テトラカイン塩酸塩;テトラエチルアンモニウムクロリド;チチュストキシン(Tityustoxin)−Kα;トラザミド;UCL1684;UCL−1848トリフルオロ酢酸塩;UK−78282一塩酸塩;VU590ジヒドロクロリド水和物;XE−991;ZD7288水和物;ザテブラジン(Zatebradine)塩酸塩;α−デンドロトキシン;β−デンドロトキシン;δ−デンドロトキシン;γ−デンドロトキシン;β−ブンガロトキシン;ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、および/またはプロドラッグが含まれる。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、カリウムチャネルアゴニストである。本明細書で使用される場合、「カリウムチャネルアゴニスト」は、K+イオンチャネルを通るイオンの透過を助長するK+イオンチャネルモジュレーターである。例示的なカリウムチャネルアゴニストには、これらだけに限定されないが、ジアゾキシド、ミノキシジル、ニコランジル、ピナシジル、レチガビン、フルピルチン、レマカリム、L−735534、ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、および/またはプロドラッグが含まれる。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、ブファリン;ジゴキシン;ウアバイン;ニモジピン;ジアゾキシド;ジギトキシゲニン;ラノラジン;ラナトシドC;ストロファンチンK;ウザリゲニン;デスアセチルラナトシドA;アクチルジギトキシン;デスアセチルラナトシドC;ストロファントシド;シラレンA;プロシラリジンA;ジギトキソース;ギトキシン;ストロファンチジオール;オレアンドリン;アコベノシドA;ストロファンチジンジギラノビオシド;ストロファンチジン−d−シマロシド;ジギトキシゲニン−L−ラムノシド;ジギトキシゲニンテレトシド;ストロファンチジン;ジゴキシゲニン−3,12−ジアセテート;ギトキシゲニン;ギトキシゲニン3−アセテート;ギトキシゲニン−3,16−ジアセテート;16−アセチルギトキシゲニン;アセチルストロファンチジン;ウアバゲニン;3−エピゴキシゲニン;ネリフォリン;アセチヒエリフォリンセルベリン(acetyhieriifolin cerberin);セベンチン;ソマリン;オドロシド;ホンゲリン;デスアセチルジギラニド;カロトロピン;カロトキシン;コンバラトキシン;オレアンドリゲニン;ペリプロシルナリン(periplocyrnarin);ストロファンチジンオキシム;ストロファンチジンセミカルバゾン;ストロファンチジン酸ラクトンアセテート;エルニシルナリン(ernicyrnarin);サネントシド(sannentoside)D;サルベロゲニン;サルメントシドA;サルメントゲニン;プロシラリジチ(proscillariditi);マリノブファゲニン(marinobufagenin);アミオダロン;ドフェチリド;ソタロール;イブチリド;アジミリド;ブレチリウム;クロフィリウム;N−[4−[[1−[2−(6−メチル−2−ピリジニル)エチル]−4−ピペリジニル]カルボニル]フェニル]メタンスルホンアミド(E−4031);ニフェカラント;テジサミル;セマチリド;アムピラ;アパミン;カリブドトキシン;1−エチル−2−ベンゾイミダゾリノン(1−EBIO);3−オキシム−6,7−ジクロロ−1H−インドール−2,3−ジオン(NS309);シクロヘキシル−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−メチル−ピリミジン−4−イル]−アミン(CyPPA);GPCRアンタゴニスト;イフェンプロジル;グリベンクラミド;トルブタミド;ジアゾキシド;ピナシジル;ハロセン;テトラエチルアンモニウム;4−アミノピリジン;デンドロトキシン;レチガビン;4−アミノピリジン;3,4−ジアミノピリジン;ジアゾキシド;ミノキシジル;ニコランジ;レチガビン;フルピルチン;キニジン;プロカインアミド;ジソピラミド;リドカイン;フェニトイン;メキシレチン;フレカイニド;プロパフェノン;モリシジン;アテノロール;ロプラノロール;エスモロール;チモロール;メトプロロール;アテノロール;ビソプロロール;アミオダロン;ソタロール;イブチリド;ドフェチリド;アデノシン;ニフェジピン;δ−コノトキシン;κ−コノトキシン;μ−コノトキシン;ω−コノトキシン;ω−コノトキシンGVIA;ω−コノトキシンω−コノトキシンCNVIIA;ω−コノトキシンCVIID;ω−コノトキシンAM336;シルニジピン;L−システイン誘導体2A;ω−アガトキシンIVA;N,N−ジアルキル−ジペプチジル−アミン;SNX−111(ジコノチド);カフェイン;ラモトリジン;202W92(ラモトリジンの構造類似体);フェニトイン;カルバマゼピン;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2−c]−ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1−フェニルエチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2−c]−ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1−メチル−2−プロピニルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、シクロプロピルメチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ(3,2−c)ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、ブチルエステル;(S)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1−メチルプロピルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、メチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1−メチルエチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、2−プロピニルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1−メチル−2プロピニルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、2−ブチニルエステル(este);1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1−メチル−2ブチニルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、2,2−ジメチルプロピルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、3−ブチニルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1,1−ジメチル−2プロピニルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ3,2−c]ピリジン−3−イル−3−ピリジンカルボン酸、1,2,2−トリメチルプロピルエステル;R(+)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4[チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸(2Aメチル−1−フェニルプロピル)エステル;S−(−)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル(dimerhyl)−5−ニトロ−4[チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、2−メチル−1−フェニルプロピルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2c]−ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1−メチルフェニルエチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1−フェニルエチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2c]−ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、(1−フェニルプロピル)エステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2c]−ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、(4−メトキシフェニル)メチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2c]−ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1−メチル−2フェニルエチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2c]−ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、2−フェニルプロピルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2c]−ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、フェニルメチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2c]−ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、2−フェノキシエチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−チエノ3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、3−フェニル−2プロピニルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2c]−ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、2−メトキシ2−フェニルエチルエステル;(S)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1フェニルエチルエステル;(R)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1フェニルエチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2c]−ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、シクロプロピルメチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−チエノ[3,2−c]ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、1−シクロプロピルエチルエステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−[チエノ[3,2c]−ピリジン−3−イル]−3−ピリジンカルボン酸、2−シアノエチルエステル;1,4−ジヒドロ−4−(2−{5−[4−(2−メトキシフェニル)−1−1ピペラジニル]ペンチル}−3−フラニル)−2,6−ジメチル−5−ニトロ3−ピリジンカルボン酸、メチルエステル;4−(4−ベンゾフラザニル)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸、{4−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]ブチル}エステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−(3−ピリジニル)−3−ピリジンカルボン酸、{4−[4−(2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]ブチル}エステル;4−(3−フラニル)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−3ピリジンカルボン酸、{2−[4−(2−メトキシフェニル)−1ピペラジニル]エチル}エステル;4−(3−フラニル)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−3ピリジンカルボン酸、{2−[4−(2−ピリミジニル)−1ピペラジニル]エチル}エステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸、{4−[4−(2−メトキシフェニル)1−ピペラジニル]ブチル}エステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(1−メチル−1H−ピロール−2イル)−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸、{4−[4−(2ピリミジニル)−1−ピペラジニル]ブチル}エステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−(3−チエニル)−3−ピリジンカルボン酸、{2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル}エステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−(3−チエニル)−3−ピリジンカルボン酸、{2−[4−(2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]エチル}エステル;4−(3−フラニル)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸、{4−[4−(2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]ブチル}エステル;(4−(2−フラニル)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸、{4−[4−(2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル]ブチル}エステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−5−ニトロ−4−(2−チエニル)−3−ピリジンカルボン酸、{2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル}エステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸、{2−[4−(2メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル}エステル;1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−4−(1−メチル−1H−ピロール−2−イ
ル)−5−ニトロ−3−ピリジンカルボン酸、{2−[4−(2ピリミジニル)1−ピペラジニル]エチル}エステル;5−(4−クロロフェニル)−N−(3,5−ジメトキシフェニル)−2−フランカルボキサミド(A−803467);ならびにその類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、および/またはプロドラッグからなる群より選択される。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、イオンチャネルモジュレーターは、ブファリンまたはその類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、および/またはプロドラッグである。例示的なブファリン類似体および誘導体には、これらだけに限定されないが、7β−ヒドロキシルブファリン;3−エピ−7β−ヒドロキシルブファリン;1β−ヒドロキシルブファリン;15α−ヒドロキシルブファリン;15β−ヒドロキシルブファリン;テロシノブファギン(5−ヒドロキシルブファリン);3−エピ−テロシノブファギン;3−エピ−ブファリン−3−O−β−d−グルコシド;11β−ヒドロキシルブファリン;12β−ヒドロキシルブファリン;1β,7β−ジヒドロキシルブファリン;16α−ヒドロキシルブファリン;7β,16α−ジヒドロキシルブファリン;1β,12β−ジヒドロキシルブファリン;レシブフォゲニン(resibufogenin);ノルブファリン(norbufalin);3−ヒドロキシ−14(15)−エン−19−ノルブファリン−20,22−ジエノリド;14−デヒドロブファリン;ブフォタリン(bufotalin);アレノブファギン(arenobufagin);シノブファギン(cinobufagin);マリノブファゲニン;プロシラリジン;シルロシド(scillroside);シラレニン;および14,15−エポキシ−ブファリンが含まれる。限定することなく、ブファリンの類似体および誘導体には、血液脳関門を横切ることができるものが含まれる。本明細書では、ブファジエノリド(bufadienolide)ならびにその類似体および誘導体も、ブファリン類似体(analaogs)またはその誘導体と判断される。本発明に適したさらなるブファリンまたはブファジエノリド類似体および誘導体には、米国特許第3,080,362号;同第3,136,753号;同第3,470,240号;同第3,560,487号;同第3,585,187号;同第3,639,392号;同第3,642,770号;同第3,661,941号;同第3,682,891号;同第3,682,895号;同第3,687,944号;同第3,706,727号;同第3,726,857号;同第3,732,203号;同第3,80,6502号;同第3,812,106号;同第3,838,146号;同第4,001,401号;同第4,102,884号;同第4,175,078号;同第4,242,33号;同第4,380,624号;同第5,314,932号;同第5,874,423号;および同第7,087,590号に記載されているもの、ならびにMinら、J. Steroid. Biochem. Mol. Biol.、91巻(1〜2号):87〜98頁(2004年);Kamano,Y. & Pettit,G.R.、J. Org. Chem.、38巻(12号):2202〜2204頁(1973年);Watabeら、Cell Growth Differ、8巻(8号):871頁(1997年);およびMahringerら、Cancer Genomics and Proteomics、7巻(4号):191〜205頁(2010年)に記載されているものが含まれる。上記のパラグラフで列挙した特許および参照文献のすべての内容が参照により本明細書に組み込まれる。
アデノシン受容体モジュレーター
本明細書で使用される場合、用語「アデノシン受容体モジュレーター」は、アデノシン受容体の少なくとも1つの活性をモジュレートする化合物を指す。用語「アデノシン受容体モジュレーター」は、本明細書で使用される場合、アデノシン受容体自体と相互作用するか、またはチャネル複合体上の部位と相互作用することにより受容体のアロステリックモジュレーターとして作用し得る薬剤を含むことが意図されている。用語「アデノシン受容体モジュレーター」は、本明細書で使用される場合、間接的にアデノシン受容体の活性をモジュレートする薬剤を含むことも意図されている。アデノシン受容体とのモジュレーターが相互作用に関して使用される場合の「間接的に」とは、モジュレーターが受容体自体と直接的に相互作用しない、すなわち、モジュレーターが、仲介物を介してイオンチャネルと相互作用することを意味する。したがって、用語「間接的に」はまた、モジュレーターが受容体に結合または相互作用するために別の分子を必要とする状況を包含する。
アデノシン受容体は、リガンド、アデノシンと結合することができ、生理学的応答をもたらす動物およびヒトにおいて見出されるタンパク質である。アデノシン受容体は、海馬、脂肪細胞、房室結節、線状体、血小板、好中球、冠動脈血管系および嗅結節(olfactory tubercule)を含む様々な組織および細胞に位置している。
4種のアデノシン受容体は一般に、A1、A2A、A2B、およびA3と称される。なかでも、A1受容体の刺激は、神経細胞を阻害し、心拍数を低下させ、房室結節伝導を減速させ、かつ血管収縮を促進することができる。A2A受容体の刺激は一般に、抗炎症性であり、過剰な組織炎症を感知し、冠動脈血管拡張を促進するために使用され得る。A2Bの刺激は一般に、血管拡張を促進する。なかでも、A3受容体の刺激は、細胞増殖を刺激するだけでなく阻害もし、かつ腫瘍成長および血管新生を促進し得る。多数の文献が、アデノシン受容体についての現行の知識を記載している。これらには、それらすべての内容が参照により本明細書に組み込まれる、Bioorganic & Medicinal Chemistry、6巻、(1998年)、619〜641頁、Bioorganic & Medicinal Chemistry、6巻、(1998年)、707〜719頁、J. Med. Chem.、(1998年)、41巻、2835〜2845頁、J. Med. Chem.、(1998年)、41巻、3186〜3201頁、J. Med. Chem.、(1998年)、41巻、2126〜2133頁、J. Med. Chem.、(1999年)、42巻、706〜721頁、J. Med. Chem.、(1996年)、39巻、1164〜1171頁、Arch. Pharm. Med. Chem.、332巻、39^1頁、(1999年)、Am. J. Physiol.、276巻、H1113〜1116頁、(1999年)およびNaunyn Schmied、Arch. Pharmacol.、362巻、375〜381頁、(2000年)が含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「モジュレートする」は、アデノシン受容体の少なくとも1つの生物学的活性の変化または変更を指す。モジュレーションは、活性の上昇もしくは低下、結合の特徴の変化、または受容体の生物学的、機能性、もしくは免疫学的特性の任意の他の変化であり得る。アデノシン受容体に結合して、アデノシン受容体生理学的応答の阻害をもたらすリガンドは、アデノシン受容体アンタゴニストと呼ばれる。同様に、アデノシン受容体に結合し、それにより、アデノシン受容体結合アデノシンに起因する応答を模倣する生理学的応答を生じるリガンドは、アデノシン受容体アゴニストと呼ばれる。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、モジュレーターは、アデノシン受容体のアゴニストである。アデノシン受容体アゴニストは、受容体に対して直接的にも間接的にも作用して、受容体の活性化をもたらすか、または同じ正味の効果を有する受容体の作用を模倣する化合物を含むことは分かるであろう。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、モジュレーターは、受容体の少なくとも1つの活性を、モジュレーションのない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%、少なくとも98%またはそれよりも高くモジュレートする。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、受容体の少なくとも1つの活性は、モジュレーターを含まない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%上昇する。
例示的なアデノシン受容体モジュレーターには、これらだけに限定されないが、2−(1−ヘキシニル)−N−メチルアデノシン;2−Cl−IB−MECA;2’−MeCCPA;5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン;8−シクロペンチル−1,3−ジメチルキサンチン(CPX);8−シクロペンチル−1,3−ジプロピルキサンチン(DPCPX);8−フェニル−1,3−ジプロピルキサンチン;ATL−146e;BAY60−6583;カフェイン;CCPA;CF−101(IB−MECA);CGS−21680;CP−532,903;CVT−6883;GR79236;イストラデフィリン;LUF−5835;LUF−5845;MRE3008F20;MRS−1191;MRS−1220;MRS−1334;MRS−1523;MRS−1706;MRS−1754;MRS−3558;MRS−3777;N6−シクロペンチルアデノシン;PSB36;PSB−0788;PSB−10;PSB−11;PSB−1115;PSB−603;レガデノソン;SCH−442,416;SCH−58261;SDZ WAG994;テオフィリン;VUF−5574;ZM−241,385などが含まれる。
アデノシン受容体アゴニストの例示的なアゴニストには、これらだけに限定されないが、GR79236;SDZ WAG994;ATL−146e;CGS−21680;レガデノソン;5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン;BAY 60−6583;LUF−5835;LUF−5845;2−(1−ヘキシニル)−N−メチルアデノシン;CF−101(IB−MECA);2−Cl−IB−MECA;CP−532,903;MRS−3558;N6−シクロペンチルアデノシン(CPA)、N−エチルカルボキサミドアデノシン(NECA)、2−[p−(2−カルボキシエチル)フェネチル−アミノ−5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン(CGS−21680);2−クロロアデノシン;N6−[2−(3,5−デメトキシフェニル(demethoxyphenyl))−2−(2−メトキシフェニル]エチルアデノシン;2−クロロ−N6−シクロペンチルアデノシン(CCPA);2’−MeCCPA;N−(4−アミノベンジル)−9−[5−(メチルカルボニル)−ベータ−D−ロボフラノシル]アデニン(AB−MECA);([IS−[1a,2b,3b,4a(S*)]]−4−[7−[[2−(3クロロ−2−チエニル)−1−メチル−プロピル]アミノ]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジル−3−イル]シクロペンタンカルボキサミド(AMP579);N6−(R)−フェニルイソプロピルアデノシン(R−PLA);アミノフェニルエチルアデノシン9APNEA)およびシクロヘキシルアデノシン(CHA);N−[3−(R)−テトラヒドロフラニル]−6−アミノプリンリボシド(CVT510);CVT−2759;アロステリック増強剤、例えば、PD81723;N6−シクロペンチル−2−(3−フェニルアミノカルボニルトリアゼン−1−イル)アデノシン(TCPA);2−アミノ−3−ナフトイルチオフェン78などが含まれる。
一部の実施形態では、アデノシン受容体アゴニストは、N6−シクロペンチルアデノシン(
)であってよい。
ガンマセクレターゼリガンド
本明細書で使用される場合、ガンマセクレターゼに関する用語「モジュレートする」は、ガンマセクレターゼの正常な機能を正に、または負に調節することを意味する。したがって、モジュレートする、という用語は、ガンマセクレターゼの正常な機能の増加、減少、マスキング、変更、無効化、または回復を指すために使用することができる。ガンマセクレターゼモジュレーターは、ガンマセクレターゼアゴニストまたはガンマセクレターゼアンタゴニストであってよい。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、モジュレーターは、ガンマセクレターゼの少なくとも1つの活性を、モジュレーションのない対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%、少なくとも98%またはそれよりも高くモジュレートする。
本明細書で使用される場合、用語「ガンマセクレターゼタンパク質」および「ガンマセクレターゼ」は、ガンマセクレターゼ切断配列を有するポリペプチド基質を認識すること;およびガンマセクレターゼ切断部位でのガンマセクレターゼ切断配列の切断を触媒して、基質切断産物を産生することが含まれるガンマセクレターゼ活性を示すタンパク質を指す。
ガンマ(Gamrna)−セクレターゼは、少なくとも4つのタンパク質:プレセニリン(PS)、ニカストリン(nicastrin)(NCT)、PEN−2およびAPH−1から構成される高分子タンパク質分解複合体である(De Strooper、2003年、Neuron 38巻:9〜12頁)。最近、CD147およびTMP21が、ガンマセクレターゼ複合体と関連することが見出されている(Chenら、2006年、Nature 440巻、1208〜1212頁;Zhouら、2005年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、102巻:7499〜7504頁)。これらの公知の構成成分のうち、PSは、アスパルチルプロテアーゼとして認識されるガンマセクレターゼの活性部位を含有すると考えられる(Eslerら、2000年、Nat. Cell. Biol.、2巻:428頁:434頁;Liら、2000年、Nature 405巻、689〜694頁;Wolfeら、1999年、Nature 398巻、513〜517頁)。ガンマセクレターゼ基質認識およびその触媒機構のプロセスを理解するために、かなりの努力が成されている。TMタンパク質細胞外ドメインが300アミノ酸よりも小さい限り、PS依存性プロテアーゼは、その一次配列に関わらず、任意の一回膜貫通(TM)タンパク質をプロセシングすることができる。さらに、細胞外ドメインのサイズは、基質切断の効率を決定するようである(StruhlおよびAdachi、2000年、Mol. Cell 6巻:625〜636頁)。
例示的なガンマセクレターゼ阻害剤には、これらだけに限定されないが、それらすべての内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003/0216380号;同第2006/0009467号;同第2004/0048848号;同第2004/0171614号;同第2005/0085506号;同第2006/0100427号;同第2005/0261495号;同第2007/0299053号;同第2006/0264417号;同第2006/0258638号;同第2005/0245501号;同第2003/0134841号;同第2008/004,5533号;同第2007/0213329号;同第2006/0041020号;同第2004/0116404号;および同第2003/0114496号、米国特許第7,122,675号;同第6,683,091号;同第7,208,602号;同第7,256、186号;同第6,967,196号;同第7,304,056号;同第7,304,055号;同第7,101,870号;同第6,962,913号;同第6,794,381号;同第7,304,094号;および同第6,984,663号、ならびにPCT公開番号WO03/013527;WO03/066592;WO00/247671;WO00/050391;WO00/007995;およびWO03/018543に記載されているものが含まれる。追加の例示的なガンマセクレターゼモジュレーターには、それらすべての内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2002/0128319号、PCT公開番号WO01/78721、およびWeggenら、Nature、414巻(2001年)212〜16頁;Moriharaら、J. Neurochem.、83巻(2002年)、1009〜12頁;およびTakahashiら、J. Biol. Chem.、278巻(2003年)、18644〜70頁)に記載されているような、ある種の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)およびそれらの類似体が含まれる。
一部の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターは、基質の結合を、対照と比べて少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、または約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは100%のうちの任意の1つの値だけ、阻害する。ガンマセクレターゼへの基質の結合は、当業者に公知の任意の方法により決定することができる。
一部の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターは、ガンマセクレターゼの活性を、非阻害対照に対して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%(例えば、活性の完全な喪失)低下させる。
一部の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターは、ガンマセクレターゼの活性を、非活性化対照に対して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、50%、70%、80%、90%、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍またはそれよりも高く増強する。
一部の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターは、GPCRの活性部位(例えば、基質に対する結合部位)に結合することができる。
一部の実施形態では、セロトニン受容体モジュレーターは、ガンマセクレターゼのアロステリック部位に結合することができる。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、GPCRアンタゴニストは、500nM未満もしくはそれに等しい、250nM未満もしくはそれに等しい、100nM未満もしくはそれに等しい、50nM未満もしくはそれに等しい、10nM未満もしくはそれに等しい、1nM未満もしくはそれに等しい、0.1nM未満もしくはそれに等しい、0.01nM未満もしくはそれに等しい、または0.001nM未満もしくはそれに等しいIC50を有する。
本発明のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、GPCRアゴニストは、500nM、250nM、100nM、50nM、10nM、1nM、0.1nM、0.01nMまたは0.001nM未満またはそれに等しいEC50を有する。
コルチコステロイド
本明細書で使用される場合、用語「コルチコステロイド」は、副腎皮質で産生されるか、または合成で生産される一群のステロイドホルモンを指す。コルチコステロイドは、ストレス応答、炎症の免疫応答および調節、炭水化物代謝、タンパク質異化作用、血液電解質レベル、および行動などの広範な生理的システムに関係している。コルチコステロイドは一般に、化学構造に基づき、4つの群に分類される。A群コルチコステロイド(短時間から中時間作用型グルココルチコイド)には、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、チキソコルトールピバル酸塩、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、およびプレドニゾンが含まれる。B群コルチコステロイドには、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、およびハルシノニドが含まれる。C群コルチコステロイドには、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、およびフルオコルトロンが含まれる。D群コルチコステロイドには、ヒドロコルチゾン−17−ブチレート、ヒドロコルチゾン−17−バレレート、ジプロピオン酸アルクロメタゾン(aclometasone dipropionate)、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プレドニカルベート、クロベタゾン−17−ブチレート、クロベタゾール−17−プロピオネート、カプロン酸フルオコルトロン、ピバル酸フルオコルトロン、および酢酸フルプレドニデンが含まれる。
限定することなく、コルチコステロイドは、小さなまたは大きな有機または無機分子;単糖;二糖;三糖;オリゴ糖;多糖;生物学的高分子、例えば、タンパク質、ペプチド、ペプチド類似体およびその誘導体、ペプチド模倣物質、核酸、核酸類似体および誘導体、酵素、抗体、抗体の部分または断片;細菌、植物、真菌、または動物細胞もしくは組織などの生物材料から作製された抽出物;天然に存在する組成物または合成組成物;ならびにその任意の組み合わせからなる群より選択され得る。
例示的なコルチコステロイドには、これらだけに限定されないが、アルドステルノン(aldosternone)、ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン(betametahasone)、ベタメタゾン−21−ホスフェートジナトリウム、吉草酸ベタメタゾン、ブデソニド(本明細書ではBudとも称される)、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタゾン、ピバル酸クロコルトロン、コルチゾル、コルチステロン、コルチゾン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、フルシノニド、酢酸フルドロコルチゾン(fludrocortisones acetate)、フルメタゾン、フルニソリド、フルシオノロンアセトニド、フランカルボン酸フルチカゾン(fluticasone furate)、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド、ハルプメタゾン(halpmetasone)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾン、16α−ヒドロキシプレドニゾロン、酢酸イソフルプレドン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドナシノロン、プレドリカルベート(predricarbate)、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロン、および二酢酸トリアムシノロンが含まれる。
本明細書で使用される場合、コルチコステロイドという用語は、次の一般名および商標名のコルチコステロイドを含むことが意図されている:コルチゾン(CORTONE ACETATE、ADRESON、ALTESONA、CORTELAN、CORTISTAB、CORTISYL、CORTOGEN、CORTONE、SCHEROSON);経口デキサメタゾン(DECADRON−ORAL、DEXAMETH、DEXONE、HEXADROL−ORAL、DEXAMETHASONE INTENSOL、DEXONE 0.5、DEXONE 0.75、DEXONE 1.5、DEXONE 4);経口ヒドロコルチゾン(CORTEF、HYDROCORTONE);ヒドロコルチゾンシピオネート(CORTEF ORAL SUSPENSION);経口メチルプレドニゾロン(MEDROL−ORAL);経口プレドニゾロン(PRELONE、DELTA−CORTEF、PEDIAPRED、ADNISOLONE、CORTALONE、DELTACORTRIL、DELTASOLONE、DELTASTAB、DI−ADRESON F、ENCORTOLONE、HYDROCORTANCYL、MEDISOLONE、METICORTELONE、OPREDSONE、PANAAFCORTELONE、PRECORTISYL、PRENISOLONA、SCHERISOLONA、SCHERISOLONE);プレドニゾン(DELTASONE、LIQUID PRED、METICORTEN、ORASONE 1、ORASONE 5、ORASONE 10、ORASONE 20、ORASONE 50、PREDNICEN−M、PREDNISONE INTENSOL、STERAPRED、STERAPRED DS、ADASONE、CARTANCYL、COLISONE、CORDROL、CORTAN、DACORTIN、DECORTIN、DECORTISYL、DELCORTIN、DELLACORT、DELTADOME、DELTACORTENE、DELTISONA、DIADRESON、ECONOSONE、ENCORTON、FERNISONE、NISONA、NOVOPREDNISONE、PANAFCORT、PANASOL、PARACORT、PARMENISON、PEHACORT、PREDELTIN、PREDNICORT、PREDNICOT、PREDNIDIB、PREDNIMENT、RECTODELT、ULTRACORTEN、WINPRED);経口トリアムシノロン(KENACORT、ARISTOCORT、ATOLONE、SHOLOG A、TRAMACORT−D、TRI−MED、TRIAMCOT、TRISTOPLEX、TRYLONE D、U−TRI−LONE)。
他の例示的なコルチコステロイド薬には、コルチゾン、コルチゾル、ヒドロコルチゾン(11β、17−ジヒドロキシ、21−(ホスホノオキシ)−プレグン−4−エン、3,20−ジオンジナトリウム)、ジヒドロキシコルチゾン、デキサメタゾン(21−(アセチルオキシ)−9フルオロ−β,17−ジヒドロキシ−16α−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン)、および高度に誘導体化されたステロイド薬、例えば、ベコナーゼ(beconase)(ジプロピオン酸ベクロメタゾン、これは9−クロロ11(3,17,21,トリヒドロキシ−16β−メチルプレグナ−1,4ジエン−3,20−ジオン17,21−ジプロピオン酸塩である)が含まれる。コルチコステロイドの他の例には、フルニソリド、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デフラザコートおよびベタメタゾンが含まれる。
一部の実施形態では、コルチコステロイドは、ブデソニド(
)であってよい。
相乗効果
本発明者らはまた、ヒット化合物の多くが、成長因子と一緒に与えられると、衛星細胞の増殖に対して相乗効果を有することを発見している。したがって、本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物を、成長因子と共に、衛星細胞と接触させる。例示的な成長因子には、これらだけに限定されないが、塩基性上皮成長因子(bEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、FGF−1、FGF−2(bFGF)、FGF−4、チモシン、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン結合成長因子(IGF)、IGF−1、IGF−2、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、TGF−アルファ、TGF−ベータ、軟骨誘導因子−Aおよび−B、類骨誘導因子、オステオゲニン、骨形成タンパク質、および他の骨成長因子、コラーゲン成長因子、ヘパリン結合成長因子−1または−2、およびそれらの生物学的に活性な誘導体が含まれる。
本明細書で使用される場合の用語「相乗的」は、組み合わせの活性が、組み合わせの各構成成分の個々の活性の和よりも大きい、構成成分の組み合わせを意味すると定義される。一部の実施形態では、組み合わせの活性は、組み合わせの各構成成分の個々の活性の和よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍またはそれよりも高い。
化合物(comound)および成長因子を、任意の比で、衛星細胞と接触させることができる。その比は、モル:モル比または重量:重量比であってよく、例えば、比は、100:1〜1:100の範囲であってよい。一部の実施形態では、増殖増強剤および成長因子は、20:1〜1:20の比である。一部の実施形態では、増殖増強剤および成長因子は、10:1〜1:10の比である。一部の実施形態では、増殖増強剤および成長因子は、5:1〜1:5の比である。一部の実施形態では、増殖増強剤および成長因子は、15:1〜1:5の比である。一部の実施形態では、増殖増強剤および成長因子は、10:1〜1:1の比である。一実施形態では、増殖増強剤および成長因子は、1:1の比で使用される。
一部の実施形態では、成長因子は、塩基性上皮成長因子(bEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、FGF−1、FGF−2(bFGF)、FGF−4、チモシン、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン結合成長因子(IGF)、IGF−1、IGF−2、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、TGF−アルファ、TGF−ベータ、軟骨誘導因子−Aおよび−B、類骨誘導因子、オステオゲニン、骨形成タンパク質、および他の骨成長因子、コラーゲン成長因子、ヘパリン結合成長因子−1または−2、およびそれらの生物学的に活性な誘導体からなる群より選択され得る。
相乗作用組成物
本明細書において考察する場合、本発明者らは、特に、増殖増強剤の一部が、成長因子と一緒に使用される場合に、衛星細胞の増殖に対して相乗効果を示すことを発見している。したがって、本開示は、増殖増強剤および成長因子を含む相乗作用組成物も提供する。成長因子を選択することができる。
限定することなく、増殖増強剤および成長因子は、相乗作用組成物中に任意の比で存在してよく、その比は、モル:モルまたは重量:重量であってよい。例えば、増殖増強剤および成長因子は、100:1〜1:100の比であってよい。一部の実施形態では、増殖増強剤および成長因子は、20:1〜1:20の比である。一部の実施形態では、増殖増強剤および成長因子は、10:1〜1:10の比である。一部の実施形態では増殖増強剤および成長因子は、5:1〜1:5の比である。一部の実施形態では、増殖増強剤および成長因子は、15:1〜1:5の比である。一部の実施形態では、増殖増強剤および成長因子は、10:1〜1:1の比である。一実施形態では、増殖増強剤および成長因子を、1:1の比で使用する。一部の実施形態では、増殖増強剤および成長因子は、50:1、40:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、3:1、2:1、1:1.75、1.5:1、または1.25:1〜1:1.25、1:1.5、1.75、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:15、1:20、1:20、1:30、1:40、または1:50の比であってよい。
衛星細胞と化合物との接触
衛星細胞集団を、細胞培養物中で、例えば、in vitroまたはex vivoで増殖増強剤と接触させることができるか、または増殖増強剤を、被験体に、例えば、in vivoで投与することができる。本発明の一部の実施形態では、本明細書に記載の増殖増強剤を、損傷筋組織を修復または再生するために被験体に投与することができる。
衛星細胞の集団を接触させることに関して本明細書で使用される場合、用語「接触させること」または「接触させる」は、衛星細胞を、示された化合物または薬剤を含む適切な培養培地に供することを含む。衛星細胞集団がin vivoである場合、「接触させること」または「接触させる」は、増殖増強剤または薬剤が衛星細胞集団にin vivoで接触するように、適切な投与経路を介して、医薬組成物中の増殖増強剤または薬剤を被験体に投与することを含む。
in vivo法では、治療有効量の本明細書に記載の化合物を被験体に投与することができる。化合物を被験体に投与する方法は、当技術分野で公知であり、当業者は容易に利用可能である。被験体における衛星細胞の増殖を促進することは、損傷筋組織に起因するいくつかの疾患、障害または状態の処置、予防または好転(amelioration)をもたらし得る。
ex vivo法で使用するのに適した衛星細胞は、当業者に周知の方法により被験体から得ることができる。
用語「ex vivo」は、生きている生物から除去され、生物の外(例えば、試験管内)で培養される細胞を指す。ex vivo法では、衛星細胞は、自己衛星細胞、すなわち、筋損傷または修復の処置を必要とする被験体から採取された1つまたは複数の細胞を含んでよい。自己衛星細胞は、何らかの免疫に基づく細胞の拒絶を回避するという利点を有する。別法では、細胞は、異種であってもよく、例えば、ドナーから採取することもできる。第2の被験体は、同種でも異種でもよい。典型的には、細胞がドナーに由来する場合、それらは、レシピエントと十分に免疫的に適合性であるドナーからのものであり、すなわち、移植拒絶を受けずに、免疫抑制の必要を軽減する、または除去する。一部の実施形態では、細胞を、異種供給源、すなわち、レシピエント、またはレシピエントの種と十分に免疫的に適合性であるように遺伝子操作されている非ヒト哺乳動物から採取する。免疫適合性を決定するための方法は、当技術分野で公知であり、HLAおよびABO決定因子についてドナー−レシピエント適合性を評価するための組織型判定を含む。例えば、Transplantation Immunology, BachおよびAuchincloss編(Wiley, John & Sons, Incorporated、1994年)を参照されたい。
理論に束縛されることは望まないが、任意の適切な細胞培養培地を本発明のex vivo法で使用することができる。例えば、発明者らは、細胞が最少10%血清培地中で生存し得ることを発見した。細胞は、少なくとも30%血清を含む懸濁培養物中で生存することができるが、これらは、10%血清を含む培地がbFGFの非存在下で使用される場合、接着することを必要とする。細胞は、それらがラミニン上に接着している場合、培養物中で最適である。本明細書に記載の化合物とのex vivoでの接触の後に、衛星細胞が所望の集団数または密度、例えば、約1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、9×106、1×107、2×107、またはそれより多い細胞に達したときに、細胞を、筋修復または損傷の処置を必要とする被験体に移植することができる。細胞を、細胞を元々得た被験体に、または別の被験体に移植することができる。
衛星細胞が増殖増強剤と接触すると、増殖増強剤は、衛星細胞に対して直接的または間接的な影響を有し得る。本明細書で使用される場合、「直接的な影響」は、増殖増強剤が衛星細胞と直接的に相互作用すること、例えば、衛星細胞の上の細胞表面受容体と結合して、衛星細胞に取り込まれることを意味する。本明細書で使用される場合、「間接的な影響」は、増殖増強剤が衛星細胞と直接的に相互作用しないことを意味する。例えば、増殖増強剤は、非衛星細胞と相互作用し、衛星細胞の増殖に間接的に影響を及ぼし得る。理論に束縛されることは望まないが、増殖増強剤は、非衛星細胞からの分子の発現および/または分泌を誘導し、次いで、この分子が衛星細胞の増殖に直接的または間接的に影響を及ぼすことにより、衛星細胞に間接的に影響を及ぼし得る。
本明細書で使用される場合、用語「損傷筋組織」は、例えば、物理的傷害または事故、疾患、感染、濫用、血液循環の喪失により、または遺伝もしくは環境因子により変化している、骨格筋または心筋などの筋組織を指す。損傷筋組織は、ジストロフィーの筋肉または老化している筋肉であってよい。筋損傷の例示的な症状には、これらだけに限定されないが、腫脹、アザまたは発赤、傷害の結果としての開いた切傷、休息時の疼痛、その筋肉と関連した特定の筋肉または関節が使用される場合の疼痛、筋肉または腱の脱力、および筋肉を全く使用することができないことが含まれる。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、損傷筋組織は、筋萎縮/消耗から生じる。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、損傷筋組織は、サルコペニアから生じる。本明細書で使用される場合、用語「サルコペニア」は、加齢と共に必然的に生じる筋肉量および機能の低下を指す。サルコペニアは、身体活動レベルの低下の原因であり、これは次いで、体脂肪の上昇および筋肉のさらなる低下をもたらし得る。筋肉量の低下は、筋肉タンパク質合成と、筋肉タンパク質分解との間の負の正味収支から生じる。骨格筋量および機能のこの低下の病因は、明白であるとは考えられていない。身体活動レベルの低下、中枢神経系の変化に次ぐ運動単位の低下、および不適切なタンパク質摂取がすべて関係している。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、損傷筋組織は、物理的傷害から生じる。
本発明のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、損傷筋肉は、骨格筋である。
一部の実施形態では、被験体は、筋傷害、外傷(insult)または疾患を有するか、または他の点でそれにより影響を受けている。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、損傷筋組織をもたらす疾患は、筋障害である。限定することなく、筋障害は、先天性筋障害または後天性筋障害であってよい。例示的な筋疾患には、これらだけに限定されないが、ジストロフィー、筋緊張症(神経性筋強直症(neuromytonia))、先天性筋障害(例えば、ネマリン筋障害、マルチコア/ミニコア筋障害(multi/minicore myopathy)、中心核筋障害(または筋細管筋障害))、ミトコンドリア筋障害、家族性周期性麻痺、炎症性筋障害、代謝性筋障害(例えば、糖原貯蔵病および脂質貯蔵障害)、皮膚筋炎、多発性筋炎封入体筋炎、骨化性筋炎、横紋筋融解症およびミオグロビン尿症(myoglobinuirias)が含まれる。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、筋障害は、筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、反射***感神経性ジストロフィー、網膜ジストロフィー、角膜ジストロフィー(Conal dystrophy)、筋緊張性ジストロフィー、角膜ジストロフィー、およびその任意の組み合わせからなる群より選択されるジストロフィーである。
先天性筋障害は、誕生時に存在することもあるが、通常は、誕生時または新生児期の間に緊張低下および脱力をもたらす稀な遺伝性一次筋肉障害の群に当てられ、場合によっては、のちに、小児期に運動技能発達(motor development)を遅延させる数百種の別個の神経筋障害に時には適用される用語である。患者は、軽度(後期小児期に発症、および成人期を通じて歩行可能)から重度(呼吸不全(respitatory insufficiency)および生後1年以内での死亡)の範囲の脱力に罹患している。
先天性筋障害の最も一般的な種類は、ネマリン筋障害、筋細管筋障害、セントラルコア筋障害、先天性線維型不均等症(congenital fiber type disproportion)、およびマルチコア筋障害である。これらは、それらの組織学的特質、症状、および予後により主に識別される。診断は、特徴的な臨床的所見により示され、筋肉生検により確認される。
特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の化合物を、小さな筋肉(例えば、括約筋)が影響を受ける任意の疾患を処置するために、被験体に投与することができる。特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の化合物を、食道疾患(例えば、食道逆流疾患および食道筋(esophageal muscle)の制御、緊張または運動性の低下により生じる他の疾患)を処置するために、被験体に投与することができる。特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の化合物を、尿失禁を処置するために、被験体に投与することができる。特定の実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の化合物を、大便失禁を処置するために、被験体に投与することができる。特定の態様では、治療有効量の本明細書で企図されている化合物を、括約筋緊張を増加または改善するために、被験体に投与することができる。
X連鎖性筋細管筋障害(XLMTM):筋細管筋障害は、常染色体またはX連鎖性である。より一般的な常染色体変化は、両方の性別において軽度の脱力および緊張低下をもたらす。X連鎖性変化は、男性に影響を及ぼし、重度の骨格筋脱力および緊張低下、顔面脱力、嚥下障害、および呼吸筋脱力および呼吸不全をもたらす。しかしながら、女性キャリアは、重大な臨床症状を発現することは稀である。多くの患者は、呼吸不全により、生後1年以内に死亡する。一部の患者が数年生存して、誕生後の呼吸機能の自発的改善を示し得る。XLMTMはまた、当技術分野で、CNM、MTMX、X連鎖性中心核筋障害、およびXMTMとも称されている。
特徴的な筋組織病理は、収縮要素のハロー形退化(halo devoid)により囲まれているが、ミトコンドリアを含有する中心に位置する核を含む小さく丸い筋線維からなる。MTM1遺伝子は、XLMTM患者の大多数で変異している。この遺伝子は、遍在的に発現しており、異なるポリアデニル化シグナルの使用により、筋肉特異的代替転写物を示す。133種を超える異なる疾患関連変異がMTM1遺伝子で記載されている。MTM1変異のリストは、ウェブ上で、Human Gene Mutation Databaseに、XLMTMのエントリーで維持されており、次のアドレス:www.uwcm.ac.uk/uwcm/mg/search/119439.htmlでアクセスすることができる。MTM1遺伝子の変異は、遺伝子を通じて広がっているが、各エクソンについての変異の数 対 ヌクレオチド長の比と比較すると、より多くが、エクソン4、12、3、8、9、および11において、その順番で見出されている。X連鎖性筋細管筋障害におけるMTM1変異の概説については、J. Laporteら、2000年、15巻:393〜409頁を参照されたい。
MTM1遺伝子の変異は、ミスセンス、ナンセンス、小さな挿入または欠失、大きな欠失およびスプライス部位変異を含む。大半の点突然変異が短縮しているが;しかしながら、変異の約25%がミスセンスである。大半の短縮およびスプライス変異は、重篤な表現型と関連しているが、一部のミスセンス変異は、軽度またはそれほど重篤ではない表現型および長期生存と関連している。
ネマリン筋障害:ネマリン筋障害は、常染色体優性または劣性であり得、種々の染色体での様々な変異から生じる。ネマリン筋障害は、新生児において重度、中等度、または軽度であり得る。重篤に影響を受ける患者は、呼吸筋の脱力および呼吸不全を経験し得る。中等度の疾患は、顔面、頸部、体幹、および脚の筋肉の進行性脱力をもたらすが、平均余命はほぼ正常であり得る。軽度の疾患は非進行性であり、平均余命は正常である。
セントラルコア筋障害:遺伝は常染色体優性である。大半の罹患患者は、新生児のときに緊張低下および軽度の近位筋脱力を発症する。多くが、顔面脱力も有する。脱力は、非進行性であり、平均余命は正常である。しかしながら、患者は、悪性高熱を発症する高いリスクを有する(セントラルコア筋障害と関連する遺伝子も、悪性高熱に対する感受性の上昇と関連している)。
先天性線維型不均等症:先天性線維型不均等症は遺伝性であるが、そのパターンは不十分にしか理解されていない。顔面、頸部、体幹、および四肢の緊張低下および脱力が多くの場合に、骨格異常および異形症の特徴に随伴する。大半の罹患小児が年齢と共に改善するが、僅かなパーセンテージは、呼吸不全を発症する。
マルチコア筋障害:マルチコア筋障害は通常、常染色体劣性であるが、常染色体優性であり得る。乳児は典型的には、近位脱力を示すが、一部の小児は、後に全身脱力を示す。進行は高度に変動的である。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法はまた、本明細書に記載の化合物の投与を開始する前に、先天性筋障害について、被験体を診断するステップを含む。被験体を、被験体により示される症状に基づき、先天性筋障害について診断することができる。
一般に、先天性筋障害の症状には、これらだけに限定されないが、反射の減弱、筋肉の腫脹、収縮後の筋弛緩の困難、筋肉のこわばり(stiff muscle)、および筋肉の硬直が含まれる。特異的な症状を下に記載する。
セントラルコア疾患は、軽度の非進行性筋肉脱力により特徴づけられる。セントラルコア疾患の徴候は通常、乳児期または早期小児期に現れ、さらに早期に示されることもある。子宮内での胎動の低下および殿位(逆子)が存在することもある。CCDの主な特質は、不十分な筋緊張(緊張低下)、筋肉脱力、ならびに先天性股関節脱臼、脊柱側弯症(背骨の湾曲)、凹足(高湾曲足(high−arched feet))、およびばち状足(clubbed feet)を含む骨格問題である。CCDを有する小児は、運動マイルストーンの達成の遅延を経験し、障害を有さない小児よりもかなり遅く座り、かつ歩く傾向がある。疾患を有する小児は通常、容易に走ることができず、跳躍および他の身体活動が多くの場合に不可能であることが見出され得る。セントラルコア疾患は身体障害(disabling)であり得るが、これは通常、知性にも平均余命にも影響を及ぼさない。
セントラルコア疾患を有するヒトは時に、手術中の麻酔により引き起こされる状態である悪性高熱(MH)に対して脆弱である。MHは、体温の急速で、時には致命的な上昇をもたらし、筋肉の硬直をもたらし得る。
発症年齢、症状の存在、およびネマリン筋障害(NM)の症状の重症度には変動性がある。最も共通して、NMは、乳児期または早期小児期に脱力および不十分な筋緊張と共に現れる。場合によっては、羊水過多(過剰な羊水)および胎動の低下などの妊娠合併症が存在することがある。NMに罹患している小児は、寝返り、お座りおよび歩行などの運動マイルストーンの遅延を有する傾向がある。一般的に顔面、頸部および上肢で、筋肉脱力が生じる。時間をわたり、特徴的な筋障害性の顔面(表情を欠いた面長な顔)が発達する。胸郭変形(chest deformity)、脊柱側弯症、および足変形を含む骨格問題を発症することがある。NMの最も重篤な症例では、摂食困難および潜在的な致命的呼吸問題も生じ得る。生後2年を生き延びた小児では、筋肉脱力が、ゆっくり進行するか、または全く進行しない傾向がある。
典型的には、MTM(XLMTM)のX連鎖型は、3つの型(X連鎖性、常染色体劣性、および常染色体優性)のうち、最も重篤である。XLMTMは通常、不十分な筋緊張および呼吸窮迫を有する新生男児として現れる。妊娠は、羊水過多および胎動の低下を併発していることがある。新生児期を生き延びた小児のうち、多くは、呼吸のために人工呼吸器に、少なくとも部分的に依存している。誤嚥のリスクにより、多くが、胃瘻管(G管)も有する。XLMTMを有する男児は、運動マイルストーンの達成に重大な遅延を経験し得、独立して歩行することは決してあり得ない。彼らは、特徴的な顔貌(面長で、高度に湾曲した口蓋と叢生歯を有する幅の狭い顔)を有すると共に背が高い傾向がある。知性は一般に影響を受けない。発症し得る医学的合併症には、脊柱側弯症、眼の問題(眼筋麻痺および眼瞼下垂(droopy eyelid))、および歯性不正咬合(重篤な叢生)が含まれる。XLMTMでは、停留精巣、球状赤血球症、紫斑病、肝臓酵素の上昇、および胆石を含む他の問題が起こることもある。
MTMの常染色体劣性および常染色体優性型は、X連鎖型よりも穏やかな経過を有する傾向がある。常染色体劣性型は、乳児期、小児期、または早期成人期に現れ得る。一般的な特質には、顔面脱力および眼筋麻痺(眼筋の麻痺)を伴うか、または伴わない全身筋肉脱力が含まれる。摂食および呼吸の問題が生じ得るが、罹患した個体は通常、乳児期を生き延びる。常染色体優性型の発症は、後期小児期から早期成人期までに及ぶ。これは、MTMの3つの型の内で最も軽度である傾向がある。X連鎖型の状態とは異なり、MTMの常染色体劣性および常染色体優性型では、他の臓器(肝臓、腎臓、および胆嚢など)の問題は報告されていない。
先天性筋障害の診断は一般に、被験体の個人および家族歴、反射および強度を試験する身体的および神経学的検査、ならびに専門試験の評価を含む。先天性筋障害と他の神経筋障害との症状の間で重複があるので、いくつかの試験を行って、診断を絞り込むことができる。血清CK(クレアチニンキナーゼ)分析、EMG(筋電図)、神経伝達検査、および筋肉超音波は、この診断を行う際には価値が限られる傾向がある。先天性筋障害の確定診断は通常、遺伝的検査および/または筋肉生検に依存する。同じく、筋肉生検を、悪性高熱に対する患者の感受性を決定するために使用することができる。
X連鎖性筋細管筋障害:X連鎖性MTMの診断は通常、筋肉生検で成される。所見には、筋細管のように見える筋線維内で中央に位置する核、筋原線維として公知の構造の非存在、およびことによると、胎児筋細胞で通常は見られる特定のタンパク質の存続が含まれる。遺伝子検査により、X連鎖型を有するヒトの最高97〜98%において、変異(疾患をもたらす遺伝子変化)が検出される。遺伝子検査は、(i)MTM1遺伝子の完全な遺伝子配列決定;(ii)一本鎖コンフォメーション多型分析(SSCP)または変性勾配高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)などの方法による変異スクリーニング(スキャニング)、続く、異常な断片の配列決定;および(iii)欠失検査を含み得る。XLMTMはまた、ミオチューブラリン(myoubilarin)のレベルを測定することにより診断することもできる。公知のMTM1変異を有する患者は通常、異常なミオチューブラリンレベルを示す。
セントラルコア疾患:CCDを有するヒトからの筋肉生検は典型的には、そこに存在すべき特定の代謝酵素(タンパク質)について染色(試験)した場合に、ブランクに見える代謝的に不活性な「コア」または中央領域を示す。これらの中央領域は、細胞のエネルギー産生「工場」であるミトコンドリアも欠いている。RYR1変異の遺伝子検査は、研究ベースで利用可能である。同じ遺伝子検査を使用して、疾患を有する可能性があるか、そのリスクを有する可能性がある家族の構成員において遺伝子変化の存在を決定することができる。RYR1変異が見出されている家族では、絨毛膜絨毛採取(CVS)または羊水穿刺から得た胎児細胞のDNAを使用して、出生前診断が可能であり得る。
ネマリン筋障害:NMの臨床診断は、筋脱力および緊張低下(筋緊張の低下)を有する1歳未満の乳児で疑われる。ネマリン筋障害の確定診断は、筋肉生検サンプルで、「ゴモリ・トリクローム」として公知の特異的な染色液を使用する、この疾患に特徴的なネマリン小体、ロッド形構造の実証により成される。筋肉生検はまた、I型線維として公知の構造が優勢であることを示し得る。遺伝子検査は、臨床ベースでは、第1染色体の長腕上に位置する1つの遺伝子、ACTA1遺伝子について利用可能である。NM症例の約15%は、この遺伝子の変異による。公知のACTA1変異を有する家族では、出生前診断が可能である。胎児のDNAは、絨毛膜絨毛採取(CVS)または羊水穿刺から得た細胞を使用して検査することができる。
医薬組成物
被験体に投与するため、増殖増強剤を、薬学的に許容される組成物で提供することができる。これらの薬学的に許容される組成物は、1種または複数の薬学的に許容される担体(賦形剤)および/または希釈剤と一緒に製剤化された治療有効量の1種または複数の増殖増強剤を含む。下記で詳細に記載するとおり、本発明の医薬組成物を、次のために適合するものを含めて、固体または液体形態で投与するために特別に製剤化することができる:(1)経口投与、例えば、水薬(水性または非水性の溶液または懸濁液)、強制経口投与剤(gavage)、ロゼンジ剤、糖剤、カプセル剤、丸剤、錠剤(例えば、頬側、舌下、および全身吸収を標的とするもの)、ボーラス剤、散剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト剤;(2)例えば、皮下、筋肉内、静脈内または硬膜外注射による非経口投与、例えば、滅菌溶液または懸濁液、または持続放出製剤;(3)局所塗布、例えば、皮膚に塗布されるクリーム剤、軟膏剤、または制御放出パッチ剤または噴霧剤として;(4)膣内または直腸内、例えば、膣坐剤、クリーム剤または泡沫として;(5)舌下;(6)眼;(7)経皮;(8)経粘膜;または(9)経鼻。加えて、化合物を、患者に埋植するか、または薬物送達系を使用して注射することができる。例えば、そのすべての内容が参照により本明細書に組み込まれるUrquhartら、Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol.、24巻:199〜236頁(1984年);Lewis編、「Controlled Release of Pesticides and Pharmaceuticals」(Plenum Press、New York、1981年);米国特許第3,773,919号;および米国特許第353,270,960号を参照されたい。
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、合理的なベネフィット/リスク比に見合って、適正な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するために適している化合物、物質、組成物、および/または剤形を指す。
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」は、本化合物をある臓器、または身体部分から、別の臓器、または身体部分に運搬または輸送することに関係して、液体もしくは固体充填剤(filler)、希釈剤、賦形剤、製造助剤(manufacturing aid)(例えば、滑沢剤、タルクマグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくは亜鉛、またはステアリン酸)、または溶媒カプセル化物質などの薬学的に許容される物質、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、かつ患者に有害ではないという意味において、「許容される」必要がある。薬学的に許容される担体として役立つ物質の一部の例には、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびバレイショデンプン;(3)セルロース、およびその誘導体、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロースおよび酢酸セルロース;(4)粉末化トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク;(8)賦形剤、例えば、カカオバターおよび坐剤用ワックス;(9)油、例えば、ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油;(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール(PEG);(12)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質不含水;(17)等張性食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;(22)増量剤(bulking agent)、例えば、ポリペプチドおよびアミノ酸(23)血清構成成分、例えば、血清アルブミン、HDLおよびLDL;(22)C2〜C12アルコール、例えば、エタノール;ならびに(23)医薬製剤で使用される他の非毒性適合性物質が含まれる。湿潤剤、着色剤、放出剤(release agent)、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤、芳香剤、防腐剤および抗酸化剤も、製剤中に存在してよい。「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」などの用語は、本明細書で互換的に使用される。
語句「治療有効量」は、本明細書で使用される場合、任意の医学的処置に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比で、動物中の細胞の少なくとも部分集団で多少の所望の治療効果をもたらすために有効である、本明細書に記載の化合物、物質、またはその化合物を含む組成物の量を意味する。例えば、統計的に有意な測定可能な衛星細胞の増殖または筋修復または再生をもたらすのに十分な、被験体に投与される化合物の量。
本明細書で使用される場合、用語「修復する」は、筋組織の損傷を緩和する、または完全になくすプロセスを指す。一部の実施形態では、筋組織損傷の少なくとも1つの症状が、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%緩和される。
治療有効量の決定は十分に、当業者の能力の範囲内である。一般に、治療有効量は、被験体の履歴、年齢、状態、性別、さらには、被験体の医学的状態の重症度および種類、ならびに他の薬学的活性薬剤の投与で変動し得る。
本明細書で使用される場合、用語「投与する」は、所望の効果が生じるように、所望の部位での組成物の少なくとも部分的な局在化をもたらす方法または経路により、組成物を被験体に配置することを指す。本発明の方法に適した投与経路には、局所および全身投与の両方が含まれる。一般に、局所投与では、投与された増殖増強剤(または増殖増強剤で処置された衛星細胞)の多くが、被験体の全身と比較して、特定の部位に送達されることになるのに対して、全身投与では、増殖増強剤(または増殖増強剤で処置された衛星細胞)が本質的に被験体の全身に送達されることになる。局所投与の方法の1つは、筋肉内注射による。
化合物で処置された細胞を投与する状況では、用語「投与すること」は、被験体にそのような細胞を移植することも含む。本明細書で使用される場合、用語「移植」は、少なくとも1個の細胞を被験体に埋植または移入するプロセスを指す。用語「移植」は、例えば、自己移植(ある患者のある位置から細胞(複数可)を除去し、かつ同じ患者の同じまたは別の位置へと移入すること)、同種移植(同じ種のメンバー間での移植)、および異種移植(異なる種のメンバー間での移植)を含む。熟練した当業者は、本発明に適した筋修復および再生のための細胞の埋植または移植のための方法を十分に分かっている。例えば、その両方の内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,592,174号および米国特許出願公開第2005/0249731号を参照されたい。
さらに、増殖増強剤を、局所製剤に適した軟膏剤、クリーム剤、散剤、または他の製剤の形態で製剤化することができる。理論に束縛されることは望まないが、これらの製剤は、増殖増強剤を皮膚からより深部の筋組織へと送達することができる。したがって、そのような製剤は、皮膚を通じての活性成分の浸透を増強する1種または複数の薬剤を含むことができる。局所塗布では、増殖増強剤は、創傷包帯および/または皮膚被覆組成物中に含まれてよい。
増殖増強剤またはそれを含む組成物を、これらだけに限定されないが、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、気道(エアロゾル)、肺、経鼻、直腸、および局所(頬側および舌下を含む)投与を含む経口または非経口経路を含む当技術分野で公知の任意の適切な経路により投与することができる。
例示的な投与様式には、これらだけに限定されないが、注射、注入、点滴注入、吸入、または摂取が含まれる。「注射」には、限定することなく、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、脳室内(intraventricular)、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管(transtracheal)、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、脳脊髄内、ならびに胸骨内注射および注入が含まれる。本明細書に記載の態様の好ましい実施形態では、組成物を静脈内注入または注射により投与する。
本明細書で使用される場合、「被験体」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は、霊長類、げっ歯類、家畜または狩猟動物などの脊椎動物である。霊長類には、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、およびマカク、例えば、アカゲザルが含まれる。げっ歯類には、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギおよびハムスターが含まれる。家畜および狩猟動物には、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、ネコ種、例えば、イエネコ、イヌ種、例えば、イヌ、キツネ、オオカミ、トリ種、例えば、ニワトリ、エミュー、ダチョウ、ならびに魚、例えば、マス、ナマズおよびサケが含まれる。患者または被験体には、上述のものの任意のサブセット、例えば、上述のすべてが含まれるが、ヒト、霊長類またはげっ歯類などの1つまたは複数の群または種は除外される。本明細書に記載の態様の特定の実施形態では、被験体は、哺乳動物、例えば、霊長類、例えば、ヒトである。用語「患者」および「被験体」は、本明細書で互換的に使用される。用語「患者」および「被験体」は、本明細書で互換的に使用される。被験体は、雄でも雌でもよい。
特定の態様では、被験体は、急性骨髄性白血病(AML)を有さないか、または他の点でそれに罹患していない。特定の態様では、被験体はがんを有さないか、または他の点でそれに罹患していない。
好ましくは、被験体は、哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであってよいが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳動物を、自己免疫疾患または炎症と関連する障害の動物モデルを示す被験体として有利に使用することができる。加えて、本明細書に記載の方法および組成物を、家畜化動物および/またはペットを処置するために使用することができる。
被験体は、筋損傷または筋萎縮/消耗で特徴づけられる障害と以前に診断されている、またはそれに罹患していると同定されている、またはそれらを有する被験体であってよい。
被験体は、本明細書に記載の化合物で現在処置されていない被験体であってよい。
被験体は、本明細書に記載の化合物を含む治療レジメンで処置されている疾患と以前に診断されていて、その疾患が、筋損傷または筋萎縮/消耗で特徴づけられる疾患ではない被験体であってよい。
したがって、一部の実施形態では、処置方法は、筋損傷の少なくとも1つの症状が軽減するように、被験体の治療レジメンを調整することを含む。限定することなく、治療レジメンは、増殖増強剤の投与頻度をモジュレートすることにより、および/または投与部位または投与様式を変更することにより調整することができる。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、方法はさらに、筋損傷または筋萎縮/消耗について被験体を処置する前に、筋損傷または筋萎縮/消耗について被験体を診断することを含む。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、方法はさらに、筋損傷または筋萎縮/消耗について被験体を処置する前に、筋損傷または筋萎縮/消耗を有する被験体を選択することを含む。
本明細書に記載の化合物は、薬学的活性薬剤と組み合わせて被験体に共投与する(co−administrate)ことができる。例示的な薬学的活性化合物には、これらだけに限定されないが、そのすべての完全な内容が全体として参照により本明細書に組み込まれるHarrison’s Principles of Internal Medicine、第13版、T.R. Harrisonら編、McGraw−Hill N.Y.、NY;Physicians’ Desk Reference、第50版、1997年、Oradell New Jersey、Medical Economics Co.;Pharmacological Basis of Therapeutics、第8版、GoodmanおよびGilman、1990年;United States Pharmacopeia、The National Formulary, USP XII NF XVII、1990年;Goodman and Oilman’s The Pharmacological Basis of Therapeuticsの現行版;およびThe Merck Indexの現行版で見出されるものが含まれる。
本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、薬学的活性薬剤は、成長因子である。例示的な成長因子には、これらだけに限定されないが、塩基性上皮成長因子(bEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、FGF−1、FGF−2(bFGF)、FGF−4、チモシン、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン結合成長因子(IGF)、IGF−1、IGF−2、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、TGF−アルファ、TGF−ベータ、軟骨誘導因子−Aおよび−B、類骨誘導因子、オステオゲニン、骨形成タンパク質、および他の骨成長因子、コラーゲン成長因子、ヘパリン結合成長因子−1または−2、ならびにそれらの生物学的に活性な誘導体が含まれる。
増殖増強剤および薬学的活性薬剤を、同じ医薬組成物で、または異なる医薬組成物で(同時に、または異なる時間に)、被験体に投与することができる。異なる時間に投与する場合、増殖増強剤および薬学的活性薬剤を、他方の投与の5分、10分、20分、60分、2時間、3時間、4時間、8時間、12時間、24時間以内に投与することができる。増殖増強剤および薬学的活性薬剤を異なる医薬組成物で投与する場合、投与経路は異なってよい。
担体物質と組み合わせて単一剤形を生成することができる増殖増強剤の量は一般に、治療効果を生じる増殖増強剤の量である。一般に、100パーセントのうち、この量は、約0.01%〜99%の化合物、好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは10%〜約30%の範囲であろう。
毒性および治療効力は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定するために、標準的な薬学的手順により、細胞培養または実験動物において決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これは、LD50/ED50の比として表すことができる。大きな治療指数を示す組成物が好ましい。
本明細書で使用される場合、用語EDは、有効な用量を示し、動物モデルに関して使用される。用語ECは、有効な濃度を示し、in vitroモデルに関して使用される。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータを、ヒトにおいて使用するための投薬量範囲を処方する際に使用することができる。そのような化合物の投薬量は好ましくは、毒性をほとんど有さないか、または毒性を有さないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動してよい。
治療上有効な用量は、初めに細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養で決定した場合にIC50(すなわち、症状の最大半量の阻害を達成する治療薬の濃度)を含む循環血漿中濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいて、用量を処方することができる。血漿中レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。いずれの特定の投薬量の効果も、適切なバイオアッセイによりモニターすることができる。
投薬量は、医師により決定され、観察される処置の効果に合うように、必要に応じて調整されてよい。一般に、増殖増強剤が1μg/kg〜150mg/kg、1μg/kg〜100mg/kg、1μg/kg〜50mg/kg、1μg/kg〜20mg/kg、1μg/kg〜10mg/kg、1μg/kg〜1mg/kg、100μg/kg〜100mg/kg、100μg/kg〜50mg/kg、100μg/kg〜20mg/kg、100μg/kg〜10mg/kg、100μg/kg〜1mg/kg、1mg/kg〜100mg/kg、1mg/kg〜50mg/kg、1mg/kg〜20mg/kg、1mg/kg〜10mg/kg、10mg/kg〜100mg/kg、10mg/kg〜50mg/kg、または10mg/kg〜20mg/kgの用量で与えられるように、組成物を投与する。本明細書に示す範囲がすべての中間範囲を含むこと、例えば、1mg/kg〜10mg/kgの範囲は、1mg/kg〜2mg/kg、1mg/kg〜3mg/kg、1mg/kg〜4mg/kg、1mg/kg〜5mg/kg、1mg/kg〜6mg/kg、1mg/kg〜7mg/kg、1mg/kg〜8mg/kg、1mg/kg〜9mg/kg、2mg/kg〜10mg/kg、3mg/kg〜10mg/kg、4mg/kg〜10mg/kg、5mg/kg〜10mg/kg、6mg/kg〜10mg/kg、7mg/kg〜10mg/kg、8mg/kg〜10mg/kg、9mg/kg〜10mg/kgなどを含むことは理解されるべきである。さらに、上記の中間の範囲、例えば、1mg/kg〜10mg/kgの範囲では、2mg/kg〜8mg/kg、3mg/kg〜7mg/kg、4mg/kg〜6mg/kgなどの用量範囲も、本発明の範囲内であることは理解されるべきである。
一部の実施形態では、組成物を、増殖増強剤またはその代謝産物が、投与時間の15分、30分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間またはそれより長く後に、500μM未満、400μM未満、300μM未満、250μM未満、200μM未満、150μM未満、100μM未満、50μM未満、25μM未満、20μM未満、10μM未満、5μM未満、1μM未満、0.5μM未満、0.1μM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、250nM未満、200nM未満、150nM未満、100nM未満、50nM未満、25nM未満、20nM未満、10nM未満、5nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.1nM未満、0.05nM未満、0.01nM未満、0.005nM未満、0.001nM未満のin vivo濃度を有するような投薬量で投与する。
一部の態様では、XMD8−92を、約1〜10μM、好ましくは約3μMのin vivo濃度が得られる投薬量で投与する。一部の態様では、SB−23906を、約1〜10μM、好ましくは約5μMのin vivo濃度が得られるような投薬量で投与する。一部の態様では、XMD11−50を、約500〜1000nM、好ましくは約800nMのin vivo濃度が得られる投薬量で投与する。一部の態様では、ボリノスタットを、約100〜500nM、好ましくは約400nMのin vivo濃度が得られる投薬量で投与する。
処置の期間および頻度に関しては、熟達した医師が、処置が治療利益を示しているときを決定し、かつ投薬量を増加または減少させる、投与頻度を増加または減少させる、処置を中断する、処置を再開する、または処置レジメンに対する他の変更を成すかどうかを決定するために、被験体をモニターすることは、典型的である。投与スケジュールは、ポリペプチドに対する被験体の感受性などのいくつかの臨床因子に応じて、1週間に1回から毎日まで変動してよい。所望の用量を、毎日または3日、4日、5日、または6日ごとに投与することができる。所望の用量を1回で投与するか、または部分用量、例えば、2〜4の部分用量に分けて、ある期間にわたって、例えば、1日を通じて適切な間隔または他の適切なスケジュールで投与することができる。そのような部分用量は、単位剤形として投与することができる。本明細書に記載の態様の一部の実施形態では、投与は、長期であり、例えば、毎日1回または複数の用量で数週または数か月の期間にわたる。投与スケジュールの例は、毎日、1日2回、1日3回または1日4回またはそれより多い回数で1週間、2週間、3週間、4週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、または6カ月またはそれより長い期間にわたる投与である。
スクリーニングアッセイ
また別の態様では、本発明は、衛星細胞集団において増殖を刺激する、または増加させるために、候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)衛星細胞の集団を試験化合物と接触させるステップと;
(b)衛星細胞の増殖を評価するステップと;
(c)衛星細胞の増殖を誘導する、増加させる、または増強する化合物を選択するステップと
を含む方法を提供する。
本明細書で使用される場合、用語「試験化合物」は、衛星細胞の増殖を誘導する、刺激する、増強する、または増加させるそれらの能力についてスクリーニングされるべき化合物および/または組成物を指す。試験化合物には、化学化合物および化学化合物の混合物、例えば、小さな有機または無機分子;サッカリン;オリゴ糖;多糖;生物学的高分子、例えば、ペプチド、タンパク質、およびペプチド類似体および誘導体;抗体、抗体断片、ペプチド模倣物質;核酸;核酸類似体および誘導体;細菌、植物、真菌、または動物細胞などの生物材料から作製された抽出物;動物組織;天然に存在する組成物または合成組成物;ならびにその任意の組み合わせを含む広範囲の様々な種々の化合物が含まれ得る。
一部の実施形態では、試験化合物は、小分子である。
考えられる試験化合物の数は、数百万種に達する。小分子、ポリマーおよびゲノムをベースとするライブラリを開発する方法は、例えば、Dingら、J Am. Chem. Soc.、124巻:1594〜1596頁(2002年)およびLynnら、J. Am. Chem. Soc.、123巻:8155〜8156頁(2001年)に記載されている。市販の化合物ライブラリは、例えば、ArQule、Pharmacopia、graffinity、Panvera、Vitas−M Lab、Biomol InternationalおよびOxfordから得ることができる。これらのライブラリを、本明細書に記載のスクリーニングデバイスおよび方法を使用してスクリーニングすることができる。NIH Roadmap、Molecular Libraries Screening Centers Network(MLSCN)からのものなどの化学化合物ライブラリも使用することができる。化合物ライブラリの包括的なリストは、www.broad.harvard.edu/chembio/platform/screening/compound_libraries/index.htm.で見出すことができる。化学物質ライブラリまたは化合物ライブラリは、通常はハイスループットスクリーニングまたは工業的製造で最終的に使用される保管された化学物質のコレクションである。化学物質ライブラリは、一連の保管された化学物質の単純な用語で存在してもよい。各化学物質は、化合物の化学構造、純度、量、および生理化学的特徴などの情報と共に、データベースのいくつかの種類で保存されている関連情報を有する。
実施される特定の実施形態に応じて、試験化合物を、溶液中に遊離して提供することができるか、または担体、または固体支持体、例えば、ビーズに付着させてもよい。試験化合物を固定化するために、いくつかの適切な固体支持体を使用してもよい。適切な固体支持体の例には、アガロース、セルロース、デキストラン(市販のもの、すなわち、セファデックス、セファロース)カルボキシメチルセルロース、ポリスチレン、ポリエチレングリコール(PEG)、濾紙、ニトロセルロース、イオン交換樹脂、プラスチックフィルム、ポリアミンメチルビニルエーテルマレイン酸コポリマー、ガラスビーズ、アミノ酸コポリマー、エチレン−マレイン酸コポリマー、ナイロン、シルクなどが含まれる。加えて、本明細書に記載の方法では、試験化合物を、個別に、またはグループでスクリーニングしてもよい。有効な試験化合物のヒット率が低いと予測され、所与のグループについて1つより多いポジティブな結果が予測されない場合に、グループスクリーニングは特に有用である。
一部の実施形態では、試験化合物は、衛星細胞の増殖を、非処置対照とくらべて少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、50%、70%、80%、90%、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍またはそれより高く誘導する、増強する、または増加させる。
一部の実施形態では、衛星細胞の増殖を評価するステップは、衛星細胞マーカーを検出するステップを含む。
一部の実施形態では、衛星細胞の増殖を評価するステップは、衛星細胞マーカーおよび細胞複製マーカーを検出するステップを含む。選択された試験化合物を、衛星細胞マーカーおよび細胞複製マーカーが同じ細胞に共局在化する化合物にさらに限定することができる。
衛星細胞の増殖の増加または増強は、(i)非処置対照と比較して、培養物中の細胞の合計数の増加;(ii)非処置対照と比較して、培養物中で少なくとも1種の衛星細胞マーカーを発現させる細胞の合計数の増加;(iii)非処置対照と比較して、培養物中の細胞の合計数に対する、少なくとも1種の衛星細胞マーカーを発現する細胞の比の上昇;(iv)非処置対照と比較して、少なくとも1種の細胞複製マーカーを発現する細胞の数の増加;(v)非処置対照と比較して、少なくとも1種の細胞複製マーカーを発現する細胞の比の上昇;または(vi)それらの組み合わせにより評価することができる。
一部の実施形態では、衛星細胞の増殖を、Cellomics ArrayScan VTIを使用する自動画像獲得および分析により評価する。複製事象のコンピューターに基づくコールがヒトに基づくコールと一致するように、獲得閾値/パラメーターを確立する。そのような自動画像獲得および分析により、化合物のハイスループットスクリーニングが可能である。
一般に、プレーティング密度は、約10k細胞/ウェル〜約100k細胞/ウェルの範囲であってよい。一部の実施形態では、細胞プレーティング密度は、約25k細胞/ウェル〜約75k細胞/ウェルの範囲にある。一実施形態では、細胞プレーティング密度は、約60k細胞/ウェルである。一般に、細胞の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより多くが、プレーティングの時点で生存可能である。
プレーティング後に、衛星細胞を、試験化合物と接触させる前に、十分な時間、例えば、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、36時間、48時間またはそれより長く、表面に接着させることができる。一部の実施形態では、細胞を、化合物処置の前に、48時間接着させる。細胞を十分な時間接着させた後に、目的の化合物で処置する前に、培地を換えることができる。
一般に、化合物を、適切な期間にわたって、β細胞の複製を、対照に対して増強することができる任意の濃度で試験することができる。一部の実施形態では、化合物を、約0.1nM〜約1000mMの範囲の濃度で試験する。好ましくは化合物を、約0.1μM〜約20μM、約0.1μM〜約10μM、または約0.1μM〜約5μMの範囲で試験する。一実施形態では、化合物を1μMで試験する。
衛星細胞集団を、衛星細胞の培養に適した任意の温度で維持することができる。一実施形態では、衛星細胞を、約15℃〜約55℃の範囲の温度で維持する。一実施形態では、膵臓細胞を37℃で維持する。
一般に、衛星細胞を十分な時間、例えば、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも5日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、またはそれより長く、試験化合物と接触させた後に、培養物中の衛星細胞の数を計数することができる。細胞を手動で、または自動システムにより計数することができる。自動システムの使用により、化合物のハイスループットスクリーニングが可能である。
発明者らは、場合によっては、増殖増強剤での長時間の処置が、より短時間の処置と比較して、より高い衛星細胞の増殖をもたらさないことを発見している。したがって、培養物中の衛星細胞の数を1時間から7日間の間、試験化合物と接触させた後に、計数することができる。例えば、衛星細胞を1日間、2日間、3日間、4日間、5日間または6日間にわたり試験化合物と接触させた後に、培養物中の衛星細胞の数を計数することができる。
衛星細胞を十分な時間、例えば、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも5日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、またはそれより長く、試験化合物と接触させた後に、衛星細胞および複製細胞マーカーの検出を行うことができる。マーカーの検出後に、細胞複製および/または衛星細胞マーカーを発現する細胞の数を計数することができる。マーカーの検出は、適切なアッセイのために細胞を調製するステップ、例えば、細胞を固定および/または染色するステップを含んでよい。
一部の実施形態では、衛星細胞を1時間から約7日間、試験化合物と接触させた後に、衛星細胞および細胞複製マーカーの検出を行うことができる。
一部の実施形態では、衛星細胞を1日間、2日間、3日間、4日間、5日間または6日間試験化合物と接触させた後に、衛星細胞および細胞複製マーカーの検出を行うことができる。
一部の実施形態では、方法は追加で、細胞の合計数に対する衛星細胞の比を非処置対照と比較して増加させる化合物を選択するステップを含む。
用語「衛星細胞マーカー」は、限定することなく、衛星細胞で特異的に発現されるか、または存在するタンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質および核酸の多型、スプライスバリアント、タンパク質または核酸の断片、元素、ならびに他の分析物を指す。例示的な衛星細胞マーカーには、これらだけに限定されないが、PAX7、PAX3、Myf5、MyoD、およびデスミンが含まれる。使用することができる他のマーカーには、これらだけに限定されないが、ベータ−インテグリン1およびCXCR4が含まれる。衛星細胞を同定する方法は、その内容が参照により本明細書に組み込まれるSherwoodら(Cell、2004年、119巻:543〜554頁)にも記載されている。
用語「細胞複製マーカー」は、限定することなく、細胞増殖と特異的に関連するタンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質および核酸の多型(polymorphisma)、スプライスバリアント、タンパク質または核酸の断片、元素、および他の分析物を指す。加えて、「細胞複製マーカー」は、酵素活性の変化、例えば、上昇または低下が、細胞増殖と特異的に関連する場合には、酵素活性を含む。例示的な細胞複製マーカーには、これらだけに限定されないが、リン酸化ヒストンH3(PH3)、Ki−67タンパク質、リン酸化MPM−2抗原、増殖細胞核抗原(PCNA、細胞周期のDNA合成期の間に細胞の核で発現されるタンパク質)、ホスホ−S780−Rbエピトープ(Jacobberger,JWら、Cytometry A(2007年)、73A:5〜15頁)、Cenp−F(ミトシン)、クラスIII β−チューブリン、紡錘体チェックポイントタンパク質(checkpint protine)hMad2、リン酸化ミオシン軽鎖キナーゼ、トポイソメラーゼII、チェックポイントキナーゼ1(Chk1)、小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)、サイクリン依存性キナーゼ1(Cdk1)キナーゼ活性の低下が含まれる。ヒストンH3は、Ser28またはSer10でリン酸化していてよい。
細胞複製マーカーおよび衛星細胞マーカーは、当技術分野で公知で、かつ当業者が容易に利用可能な方法により検出することができ、例えば、適切なELISA、免疫蛍光、または免疫組織化学アッセイを検出のために使用することができる。MIB−1は、Ki−67タンパク質を検出する一般的に使用されるモノクローナル抗体である。これは、臨床用途で、Ki−67標識指数を決定するために使用される。Ki−67ELISAは、Klein,CLら、J. Mater. Sci. Mater. Med.(2000年)、11巻:125〜132頁;Frahm,SOら、J. Immunol. Methods(199*0、211巻:43〜50頁;およびKey Gら、J. Immunol. Methods(1994年)、177巻:113〜117頁に記載されている。リン酸化ヒストンH3を検出するためのホスホ−ヒストンH3抗体は、Cell Signaling TechnologyおよびMilliporeから市販されている。PCNAに対する抗体は、Sigma Aldrichから市販されている。MPM−2抗原に対する抗体は、有糸***中の細胞に特異的であり、共通のリン酸化エピトープを共有するタンパク質のファミリーを認識する。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、衛星細胞を哺乳動物から単離することができる。被験体から細胞を単離する方法は、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれるSherwoodら(Cell、2004年、119巻:543〜554頁)に記載されている。
本明細書に記載のこの態様および他の態様の一部の実施形態では、衛星細胞をマウスから単離することができる。
衛星細胞は、形質転換細胞であってよい。本明細書で使用される場合、用語「形質転換細胞」は、当技術分野で認められており、無制限増殖の状態に変換されている細胞を指し、すなわち、それらは、培養物中で、限定されていない***により成長する能力を獲得している。形質転換細胞は、それらの成長制御の喪失に関して、新形成、脱分化および/または過形成などの用語により特徴づけられ得る。一般に、用語「形質転換衛星細胞」は、連続的な継代培養で存続する能力の上昇、またはin vitroでの成長速度の上昇を示す衛星細胞を指す。
一部の実施形態では、スクリーニング法は、ハイスループットスクリーニングである。ハイスループットスクリーニング(HTS)は、ロボティクス、データ処理および制御ソフトウェア、液体取り扱いデバイス、および感知検出器を使用する科学実験のための方法である。ハイスループットスクリーニングまたはHTSは、研究者が、数百万の生化学、遺伝的または薬理試験を迅速に行うことを可能にする。ハイスループットスクリーニングは、当業者に周知であり、例えば、そのそれぞれの内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,976,813号;同第6,472,144号;同第6,692,856号;同第6,824,982号;および同第7,091,048号に記載されているものである。
HTSは、候補化合物のライブラリに対してアッセイのスクリーニングを実行するための自動化を使用する。アッセイは、比活性:通常は、生化学または生物学的機構の阻害または刺激のための試験である。典型的なHTSスクリーニングライブラリまたは「デッキ」は、100,000〜2,000,000を超える化合物を含有し得る。
HTSの重要な実験器具または試験容器は、マイクロタイタープレート:ウェルと呼ばれる小さな開放ディボットのグリッドを特徴とする、通常は使い捨てでプラスチック製の小さな容器である。HTS用の現代のマイクロプレートは一般に、384、1536、または3456ウェルのいずれかを有する。これらはすべて、9mm間隔で8×12のウェルを有する元の96ウェルマイクロプレートを反映して、96の倍数である。
アッセイを準備するために、研究者は、プレートの各ウェルに、衛星細胞集団などの、実験を行うことを望んでいる適切な試薬を充填する。試薬がウェル中で化合物を吸収する、それに結合する、または他の点でそれと反応する(または反応に失敗する)ことを可能にする多少のインキュベーション時間が過ぎた後に、手動で、または機器により、プレートの全てのウェルにわたり測定を行う。(例えば)コンピューターが独力では容易に決定することができない変化を探すために、研究者が顕微鏡法を使用している場合には、手動の測定が多くの場合に必要である。他の点で、特殊自動分析機器が、比色測定、放射能計数など、ウェル上でいくつかの実験を実行することもできる。この場合には、機器は、単一のウェルから得られた値へ各番号をマッピングして、各実験の結果を数値のグリッドとして出力する。大容量分析機器は、このように、数分の期間内で、数ダースのプレートを測定することができ、数千の実験データポイントを非常に迅速に生じる。
例として、一実施形態では、アッセイを次のとおりに行った。衛星細胞をCAG−B−アクチン−GFPマウス、2〜4カ月齢から、Sherwoodら、2004年およびCerlettiら、2008年に概説されているFACS単離法により採取した。簡単に述べると、すべての四肢筋肉および腹部筋肉を動物から採取し、初めは0.2%コラゲナーゼ溶液中で、次いで、0.0125%コラゲナーゼ/0.05%ディスパーゼ溶液中で消化した。濾過した溶液を、細胞表面マーカーについて染色し、FACSに掛けた。Mac1、Sca1およびCD45については陰性で、かつベータ−インテグリン1およびCXCR4については陽性だった細胞をスクリーニングアッセイのために使用した。細胞を、FACS機器から直接、50細胞/ウェルで、10ug/mLラミニンでコーティングされた96ウェルプレートにプレーティングした(37℃で4〜6時間、次いで、部分的に除去した)。スクリーニングのための培地は、10%熱不活化ウマ血清、1×ペニシリン/ストレプトマイシンおよび1×L−グルタミンを補充されたHam F−10であった。塩基性FGF(bFGF)を陽性対照ウェルにのみ添加し;他のウェルはすべて、培地のみを与えられた。プレーティングの日を0日目と呼んだ。プレーティングの翌日、1日目に、化合物を添加した。化合物はすべて、DMSOに溶解し、初めは、10uM、1uMまたは0.1uMで2連で試験した。各プレートのための陰性対照は、同じ濃度のDMSOであった(化合物は溶解していない)。化合物を、培地を換えずに4日目まで細胞と共にインキュベートした。bFGFを、陽性対照ウェルに毎日加えた。4日目に、プレートを4%パラホルムアルデヒド中で固定し、リン酸緩衝食塩水で洗浄した。プレートをOpera Confocalイメージャーで直接的に画像化した。なぜなら、細胞は、CAG−EGFP−ベータ−アクチン導入遺伝子から容易に見ることができたからである。アカペラスクリプト(Acapella script)を使用して、各ウェル内の細胞の数を計数した。ウェルを、細胞数に基づき、増殖についてスコアリングした(DMSO処置ウェルは通常、アッセイの終了時に約50個の細胞を有し、bFGF処置ウェルは通常、終了時に150〜250個の細胞を有した)。発明者らは、化合物がDMSO対照から1(または、スクリーニングの第2のセッションでは、3)標準偏差(複数可)よりも大きいか、またはそれに等しい細胞数を有した場合に、その化合物をヒットとして選択した。次いで、そうして選択された化合物を、初期用量曲線で、通常は、ヒットとしてフラグを立てた濃度に対応する20nM〜30uMの間の濃度で試験した。化合物が、DMSO陰性対照に対して少なくとも2標準偏差の細胞数まで、増殖させることができたならば、その化合物は活性であった。用量曲線において活性であると見出された任意の化合物について、元の供給業者から再供給を受けた。再供給された化合物を、増殖能について用量曲線で再び試験した。次いで、依然として活性であると見出された化合物を、最適化および特徴づけのための列に入れた。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のスクリーニングアッセイにより選択された化合物を提供する。本明細書に記載のスクリーニングアッセイにより選択された化合物の類似体、誘導体、および異性体がまた、本明細書において特許請求されることは理解されるべきである。
キット
別の態様では、本発明は、筋修復または再生のためのキットを提供する。一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載の化合物、例えば、キナーゼ阻害剤、Gタンパク質共役受容体(GPCR)モジュレーター、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)モジュレーター、ヘッジホッグシグナル伝達経路モジュレーター、神経ペプチド、ドーパミン受容体モジュレーター、セロトニン受容体モジュレーター、ヒスタミン受容体モジュレーター、イオノフォア、イオンチャネルモジュレーター、ガンマ−セクレターゼモジュレーター、およびその任意の組み合わせからなる群より選択される化合物を含む。化合物を、投与のための医薬製剤に予め製剤化することができるか、または医薬製剤に処方するための成分をキットに提供することができる。
一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載の化合物を含み、化合物は、局所塗布のために製剤化される。
一部の実施形態では、キットは、衛星細胞の集団を含み、集団内の少なくとも1つの細胞は、その細胞を本明細書に記載の化合物と接触させることにより予め処置されている。
上述の構成成分に加えて、キットは、情報資料を含んでよい。情報資料は、本明細書に記載の方法および/または本明細書に記載の方法のための化合物の使用に関する記述、指示、販売または他の資料であってよい。例えば、情報資料には、製剤を被験体に投与するための方法が記載される。キットは、送達デバイスも含んでよい。
一実施形態では、情報資料は、適切な手法で、例えば、適切な用量、剤形、または投与様式(例えば、本明細書に記載の用量、剤形、または投与様式)で、製剤を投与するための指示を含んでよい。別の実施形態では、情報資料は、適切な被験体、例えば、ヒト、例えば、成人を同定するための指示を含んでよい。キットの情報資料は、その形態を限定されない。多くの場合に、情報資料、例えば、指示は、印刷物、例えば、印刷された文字、図面、および/または写真、例えば、ラベルまたは印刷されたシートで提供される。しかしながら、情報資料は、点字、コンピューター可読材料、動画記録、または音声記録などの他の形式で提供されてもよい。別の実施形態では、キットの情報資料は、リンクまたは連絡先情報、例えば、キットの使用者が本明細書に記載の方法における製剤および/またはその使用についての実質的な情報を得ることができる実際の住所、Eメールアドレス、ハイパーリンク、ウェブサイト、または電話番号である。もちろん、情報資料を、形式の任意の組み合わせで提供することもできる。
一部の実施形態では、製剤の個々の構成成分を、1つの容器内で提供することができる。別法では、製剤の構成成分を別々に、2つまたはそれより多い容器内で、例えば、オリゴヌクレオチド製剤のために1つの容器、および担体化合物のために少なくとも別の容器で提供することが望まれ得る。例えば、キットと共に提供される指示に従って、異なる構成成分を組み合わせることができる。本明細書に記載の方法に従って、構成成分を組み合わせて、例えば、医薬組成物を調製および投与することができる。
製剤に加えて、キットの組成物は、溶媒または緩衝液、安定剤または防腐剤、および/または本明細書に記載の状態または障害を処置するための第2の薬剤などの他の成分を含むことができる。別法では、他の成分が、キットに、ただし、製剤とは別の組成物または容器内で含まれてもよい。このような実施形態では、キットは、製剤および他の成分を混合するための、またはオリゴヌクレオチドを他の成分と一緒に使用するための指示を含むことができる。
化合物を、任意の形態、例えば、液体、乾燥または凍結乾燥形態で提供することができる。製剤が実質的に純粋であり、かつ/または無菌であることが好ましい。製剤を液体溶液で提供する場合、その液体溶液は好ましくは、水溶液であり、無菌水溶液が好ましい。製剤を乾燥形態で提供する場合、再構成は一般に、適切な溶媒の添加による。溶媒、例えば、無菌水または緩衝液を任意選択でキット内に提供してよい。
一部の実施形態では、キットは、製剤および情報資料のために別々の容器、仕切りまたはコンパートメントを含有する。例えば、製剤は、ボトル、バイアル、またはシリンジ内に含有されてよく、情報資料は、プラスチック製スリーブまたはパケット内に含有されてよい。他の実施形態では、キットの別々の要素が、単一の分けられていない容器内に含有される。例えば、製剤は、ラベルの形態で情報資料が付着しているボトル、バイアルまたはシリンジに含有される。
一部の実施形態では、キットは、それぞれ1つまたは複数の単位剤形の製剤を含有する複数の、例えば、パックの個々の容器を含む。例えば、キットは、それぞれ単一の単位用量の製剤を含有する複数のシリンジ、アンプル、ホイルパケット、またはブリスターパックを含む。キットの容器は、気密および/または防水であってよい。
例示的な実施形態は、ナンバリングされた次のパラグラフのうちの1つまたは複数により記載することもできる。
1. 衛星細胞の増殖を増加させる方法であって、衛星細胞を、キナーゼ阻害剤、Gタンパク質共役受容体(GPCR)モジュレーター、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)モジュレーター、エピジェネティック修飾因子、ヘッジホッグシグナル伝達経路モジュレーター、神経ペプチド、ドーパミン受容体モジュレーター、セロトニン受容体モジュレーター、ヒスタミン受容体モジュレーター、アデノシン受容体(receprtor)アゴニスト、イオノフォア、イオンチャネルモジュレーター、ガンマ−セクレターゼモジュレーター、コルチコステロイド、およびその任意の組み合わせからなる群より選択される化合物と接触させるステップを含む、方法。
2. 化合物が、小さな有機または無機分子;サッカリン;オリゴ糖;多糖;ペプチド、タンパク質、ペプチド類似体および誘導体;抗体、抗体断片、ペプチド模倣物質;核酸;核酸類似体および誘導体;生物材料から作製される抽出物;天然に存在する組成物または合成組成物;ならびにその任意の組み合わせからなる群より選択される、パラグラフ1に記載の方法。
3. 化合物が、Flt3キナーゼ、PDGFR/EGFR、Bcr−abl、Jak3、またはSRCキナーゼ阻害剤である、パラグラフ1〜2のいずれかに記載の方法。
4. 化合物が、プロテインキナーゼ阻害剤および受容体キナーゼ阻害剤からなる群より選択される、パラグラフ1〜3のいずれかに記載の方法。一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、レスタウルチニブ(CEP701、
およびその任意の組み合わせの群より選択され得る。
5. 化合物を、衛星細胞と約0.01nM〜約100μMの濃度で接触させる、パラグラフ1〜4のいずれかに記載の方法。
6. 前記接触させるステップが少なくとも1時間にわたる、パラグラフ1〜5のいずれかに記載の方法。
7. 前記接触させるステップが1〜7日間にわたる、パラグラフ1〜6のいずれかに記載の方法。
8. 接触がin vitroである、パラグラフ1〜7のいずれかに記載の方法。
9. 接触がex vivoである、パラグラフ1〜8のいずれかに記載の方法。
10. 接触がin vivoである、パラグラフ1〜9のいずれかに記載の方法。
11. in vivoでの接触が哺乳動物における接触である、パラグラフ10に記載の方法。
12. in vivoでの接触がヒトにおける接触である、パラグラフ10または11に記載の方法。
13. in vivoでの接触が被験体における接触であり、被験体が損傷筋組織のための処置を必要としている、パラグラフ10〜12のいずれかに記載の方法。
14. 損傷筋組織が、物理的傷害または事故、疾患、感染、濫用、血液循環の喪失、または筋萎縮もしくは消耗の結果である、パラグラフ13に記載の方法。
15. 損傷筋組織が、ジストロフィーの筋肉または老化している筋肉である、パラグラフ13または14に記載の方法。
16. 損傷筋組織が筋萎縮/消耗の結果である、パラグラフ13〜15のいずれかに記載の方法。
17. 被験体において筋肉を修復または再生するための方法であって、治療有効量の化合物を被験体に投与するステップを含み、被験体が損傷筋組織を有し、化合物が、キナーゼ阻害剤、Gタンパク質共役受容体(GPCR)モジュレーター(modulaotrs)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)モジュレーター、エピジェネティック修飾因子、ヘッジホッグシグナル伝達経路モジュレーター、神経ペプチド、ドーパミン受容体モジュレーター、セロトニン受容体モジュレーター、ヒスタミン受容体モジュレーター、イオノフォア、イオンチャネルモジュレーター、ガンマ−セクレターゼモジュレーター、およびその任意の組み合わせからなる群より選択される、方法。
18. 損傷筋組織が、物理的傷害または事故、疾患、感染、濫用、血液循環の喪失、または筋萎縮もしくは消耗の結果である、パラグラフ17に記載の方法。
19. 損傷筋組織が、ジストロフィーの筋肉または老化している筋肉である、パラグラフ17〜18のいずれかに記載の方法。
20. 損傷筋組織が筋萎縮/消耗の結果である、パラグラフ17〜19のいずれかに記載の方法。
21. 被験体が哺乳動物である、パラグラフ17〜20のいずれかに記載の方法。
22. 被験体がヒトである、パラグラフ17〜21のいずれかに記載の方法。
23. 化合物を治療剤と共投与する、パラグラフ17〜22のいずれかに記載の方法。
24. 化合物および治療剤を同じ製剤中で投与する、パラグラフ23に記載の方法。
25. 化合物を1μg/kg〜150mg/kgの投薬量で投与する、パラグラフ17〜24のいずれかに記載の方法。
26. 前記投与するステップが、注射、注入、点滴注入、吸入、または摂取による、パラグラフ17〜25のいずれかに記載の方法。
27. 前記投与するステップが1日1回である、パラグラフ17〜26のいずれかに記載の方法。
28. 被験体を筋修復または再生のために処置する前に、被験体を筋損傷または筋萎縮/消耗について診断するステップをさらに含む、パラグラフ17〜27のいずれかに記載の方法。
29. 化合物が、
およびその任意の組み合わせからなる群より選択される、パラグラフ17〜28のいずれかに記載の方法。
30. 衛星細胞の増殖を誘導する、刺激する、増強する、または増加させる化合物をスクリーニングするためのハイスループットアッセイであって、
(a)衛星細胞を試験化合物と接触させるステップと;
(b)衛星細胞の増殖を評価するステップと;
(c)衛星細胞の複製または成長を誘導する、刺激する、増強する、または増加させる化合物を選択するステップと
を含む、ハイスループットアッセイ。
31. 衛星細胞の増殖を評価するステップが、細胞マーカーを検出するステップを含む、パラグラフ30に記載のアッセイ。
32. 細胞マーカーが、CXCR4、β1−インテグリン、Sca−1、Mac−1、CD45、PAX7、PAX3、Myf5、MyoD、デスミン、およびその任意の組み合わせからなる群より選択される、パラグラフ31に記載のアッセイ。
33. 試験化合物が0.1nM〜1000mMの範囲の濃度を有する、パラグラフ30〜32のいずれかに記載のアッセイ。
34. アッセイを約15℃〜約55℃の範囲の温度で行う、パラグラフ30〜33のいずれかに記載のアッセイ。
35. 試験化合物を、膵臓細胞と1時間から7日間にわたって接触させる、パラグラフ30から34のいずれかに記載のアッセイ。
36. 試験化合物が、衛星細胞の増殖を、非処置対照に対して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、50%、70%、80%、90%、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍またはそれより多く増加させる、パラグラフ30から35のいずれかに記載のアッセイ。
37. 衛星細胞を哺乳動物から単離する、パラグラフ30〜36のいずれかに記載のアッセイ。
38. 衛星細胞を被験体から単離し、被験体が損傷筋組織のための処置を必要としている、パラグラフ30から37のいずれかに記載のアッセイ。
39. 損傷筋組織が、物理的傷害または事故、疾患、感染、濫用、血液循環の喪失、または筋萎縮もしくは消耗の結果である、パラグラフ38に記載の方法。
40. 損傷筋組織が、ジストロフィーの筋肉または老化している筋肉である、パラグラフ38または39に記載の方法。
41. 損傷筋組織が筋萎縮/消耗の結果である、パラグラフ38〜40のいずれかに記載の方法。
42. 上述のパラグラフ1〜41のいずれかに記載の一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、
、またはその塩、エステルもしくはキレートを含む。
44. 衛星細胞の増殖を増加させる方法であって、衛星細胞を化合物と接触させるステップを含み、化合物がキナーゼ阻害剤である、方法。
45. キナーゼがプロテインキナーゼである、パラグラフ44に記載の方法。
46. プロテインキナーゼがタンパク質チロシンキナーゼである、パラグラフ44に記載の方法。
47. タンパク質チロシンキナーゼが受容体タンパク質チロシンキナーゼである、パラグラフ46に記載の方法。
48. 受容体タンパク質チロシンキナーゼがRETファミリーのメンバーである、パラグラフ47に記載の方法。
49. 受容体タンパク質チロシンキナーゼがRETである、パラグラフ47に記載の方法。
50. 化合物が受容体タンパク質チロシンキナーゼへのリガンドの結合に干渉する、パラグラフ47に記載の方法。
51. 化合物が、小さな有機または無機分子、サッカリン、オリゴ糖、多糖、ペプチド、タンパク質、ペプチド類似体および誘導体、抗体、抗体断片、ペプチド模倣物質、核酸、核酸類似体および誘導体、生物材料から作製された抽出物、天然に存在する組成物または合成組成物ならびにその任意の組み合わせからなる群より選択される、パラグラフ44に記載の方法。
52. 化合物が抗体である、パラグラフ51に記載の方法。
53. 化合物を、衛星細胞と約0.01nM〜約100μMの濃度で接触させる、パラグラフ44に記載の方法。
54. 接触がin vivoである、パラグラフ44に記載の方法。
55. in vivo接触が哺乳動物における接触である、パラグラフ54に記載の方法。
56. in vivo接触が哺乳動物における接触であり、哺乳動物が損傷筋組織の処置を必要としている、パラグラフ55に記載の方法。
57. 損傷筋組織が、物理的傷害または事故、疾患、感染、濫用、血液循環の喪失、筋萎縮、筋消耗、ジストロフィーの筋肉または老化している筋肉の結果である、パラグラフ56に記載の方法。
58. 化合物が、キザルチニブ(AC220)、またはその任意の塩、エステルまたはキレートを含む、パラグラフ44〜57のいずれかに記載の方法。
59. 損傷筋組織を有する被験体において筋肉を修復または筋肉を再生するための方法であって、治療有効量の化合物を被験体に投与するステップを含み、化合物がキナーゼ阻害剤である、方法。
60. キナーゼがプロテインキナーゼである、パラグラフ59に記載の方法。
61. プロテインキナーゼがタンパク質チロシンキナーゼである、パラグラフ60に記載の方法。
62. タンパク質チロシンキナーゼが受容体タンパク質チロシンキナーゼである、パラグラフ61に記載の方法。
63. 受容体タンパク質チロシンキナーゼがRETファミリーのメンバーである、パラグラフ62に記載の方法。
64. 受容体タンパク質チロシンキナーゼがRETである、パラグラフ61に記載の方法。
65. 化合物が受容体タンパク質チロシンキナーゼへのリガンドの結合に干渉する、パラグラフ61に記載の方法。
66. 化合物が、小さな有機または無機分子、サッカリン、オリゴ糖、多糖、ペプチド、タンパク質、ペプチド類似体および誘導体、抗体、抗体断片、ペプチド模倣物質、核酸、核酸類似体および誘導体、生物材料から作製された抽出物、天然に存在する組成物または合成組成物ならびにその任意の組み合わせからなる群より選択される、パラグラフ59に記載の方法。
67. 損傷筋組織が、物理的傷害または事故、疾患、感染、濫用、血液循環の喪失、筋萎縮、筋消耗、ジストロフィーの筋肉または老化している筋肉の結果である、パラグラフ59に記載の方法。
68. 被験体が哺乳動物である、パラグラフ59に記載の方法。
69. 化合物が、キザルチニブ(AC220)、またはその任意の塩、エステルまたはキレートを含む、パラグラフ59〜68のいずれかに記載の方法。
70. 化合物が、
およびその任意の組み合わせからなる群より選択される、パラグラフ44〜69のいずれかに記載の方法。
71. 上述のパラグラフ1〜41、44、51〜57、59〜60、66、および67〜68のいずれかに記載の一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、1種または複数のB−Raf阻害剤、JAK3阻害剤、p38MAPK阻害剤、C−Raf1阻害剤、Akt阻害剤、ERK阻害剤、BMK1/ERK5阻害剤、p38MAPK阻害剤、RTK阻害剤、ERK5阻害剤、Bcr−Abl阻害剤、RhoK阻害剤、p38阻害剤、p110阻害剤、FAK阻害剤、ATP競合JNK阻害剤、MELK阻害剤もしくは表5に特定されている経路の阻害剤またはその塩、エステルもしくはキレートを含む。
72. 上述のパラグラフ1〜41、44、51〜57、59〜60、66、および67〜68のいずれかに記載の一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、BAY−439006(すなわち、ソラフェニブ;HMSL10008−101−1);HG−6−64−01(すなわち、HMSL10017−101−1);HKI−272(すなわち、ネラチニブ;HMSL10018−101−1);KIN001−055(すなわち、HY−11067;HMSL10033−101−1);SB239063(すなわち、HMSL10036−101−1);KIN001−242(すなわち、HMSL10044−104−1);SB590885(すなわち、GSK2118436;HMSL10046−101−1);AZ−628(すなわち、HMSL10050−101−1);MK2206(すなわち、HMSL10057−102−1);XMD11−50(すなわち、LRRK2−in−1;HMSL10086−101−1);XMD8−92(すなわち、HMSL10094−101−1);BIRB796;ドラマピモド(すなわち、HMSL10169−101−1);スニチニブリンゴ酸塩(すなわち、SU11248;ステント;HMSL10175−106−1);GDC−0879(すなわち、HMSL10181−101−1);XMD8−85(すなわち、HMSL10093−101−1);AMN−107(すなわち、ニロチニブ;HMSL10099−101−1);Y39983(すなわち、HMSL10149−102−1);SB203580(すなわち、RWJ64809;PB203580;HMSL10167−101−1);VX−745(すなわち、HMSL10168−101−1);pseudoXL765(すなわち、HMSL10173−101−1);Y−27632(すなわち、HMSL10176−101−1);PH−797804(すなわち、HMSL10439−101);VX−702(すなわち、HMSL10440−101);NG25(すなわち、HMSL10419−101);SB202190(すなわち、HMSL10441−101);BI−D1870(すなわち、HMSL10423−101);BIX02565(すなわち、HMSL10434−101);URMC−099(すなわち、HMSL10453−101);スタウロスポリンアグリコン(すなわち、K252C;HMSL10454−101);ラリメチニブ(すなわち、LY2228820;HMSL10438−103);BMX−IN−1(すなわち、HMSL10427−101);PF3644022(すなわち、HMSL10476−101);NVP−BHG712(すなわち、KIN001−265;HMSL10200−101);ボスチニブ(すなわち、SKI−606;HMSL10189−101);NVP−TAE226(すなわち、CHIR−265;HMSL10207−101);RAD001(すなわち、エベロリムス;HMSL10235−101);CC−401(すなわち、HMSL10185−101);CGP74514A(すなわち、HMSL10355−101);KIN001−269(すなわち、HMSL10195−101);RAF265(すなわち、HMSL10206−101);OTSSP167(すなわち、HMSL10337−102);ドルソモルフィン(すなわち、Compound C;BML275;HMSL10399−102);ロスマピモド(すなわち、GSK−AHAB;SB856553;GW856553X;HMSL10402−101);AZD5363(すなわち、HMSL10370−101);RO31−8220(すなわち、ビスインドリルマレイミドIX;HMSL10407−103);ソトラスタウリン(すなわち、AEB071;HMSL10408−101);TAK−632(すなわち、HMSL10409−101);FRAX597(すなわち、HMSL10400−101);GW2580(すなわち、HMSL10401−101);アリセルチブ(すなわち、MLN8237;HMSL10391−101)、表5に列挙されているキナーゼ阻害剤、またはその誘導体、塩、代謝産物、プロドラッグ、および立体異性体を含む。
73. 上述のパラグラフ1〜41、51〜57、59〜60、66、および67〜68のいずれかに記載の一部の実施形態では、エピジェネティック修飾因子は、HDAC修飾因子(例えば、HDAC1、HDAC3、および/またはHDAC6修飾因子)、BRD修飾因子(例えば、BRD2および/またはBRD4修飾因子)、またはEGLN1修飾因子を含む。
73. 上述のパラグラフ1〜41、51〜57、59〜60、66、および67〜68のいずれかに記載の一部の実施形態では、エピジェネティック修飾因子が、(+)−JQ1;S)−JQ1;ベリノスタット(すなわち、PXD101);MS−275(すなわち、エンチノスタット;MS−27−275);ボリノスタット(すなわち、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA);ゾリンザ);モセチノスタット(すなわち、MGCD0103);I−BET(すなわち、GSK525762A);SB939(すなわち、プラシノスタット);PFI−1);ロシリノスタット(すなわち、ACY−1215);I−BET151(すなわち、GSK1210151A);IOX2;またはその誘導体、塩、代謝産物、プロドラッグ、および立体異性体を含む。
いくつかの選択定義
便宜的に、本明細書、明細書、実施例および添付の特許請求の範囲で用いられる特定の用語をここに集める。他の点で述べられるか、または文脈で示されない限り、次の用語および語句は、下記に示す意味を含む。他の点で明確に述べられるか、または文脈から明らかでない限り、下記の用語および語句は、それが関係する分野で、その用語または語句が獲得している意味を除外するものではない。定義は、特定の実施形態の説明を補助するために示されているものであって、請求している発明を制限することを意図したものではない。なぜなら、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限されるからである。さらに、文脈によって他の点で必要とされない限り、単数形は複数形を含むこととし、複数形の用語は、単数形を含むこととする。
他の点で定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関係する分野の当業者が共通して理解する意味と同じ意味を有する。任意の公知の方法、デバイス、および物質を、本発明の実行または試験において使用することができるが、これに関する方法、デバイス、および材料は本明細書に記載されている。
本明細書で使用される場合、用語「含むこと」または「含む」は、本発明に必須である組成物、方法、およびそのそれぞれの構成成分(複数可)に関して使用され、必須であるか、またはそうでないかに関わらず、特定されていない要素を含むことについてなおオープンである。
単数形の用語「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他のものを示していない限り、複数の指示物を含む。同様に、単語「または」は、文脈が明確に他のものを示していない限り、「および」を含むことが意図されている。
実施例を実施する際、または他のものを示されている場合以外、本明細書で使用される成分または反応条件の量を表す数字はすべて、すべての場合に、用語「約」により修飾されていると理解されるべきである。用語「約」は、パーセンテージに関連して使用される場合、挙げられている値の±5%を意味し得る。例えば、約100は、95〜105を意味する。
本明細書に記載のものと同様か、または同等の方法および物質を本開示の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料を下に記載する。用語「含む(comprises)」は、「含む(includes)」を意味する。略語「e.g.(例えば)」は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、本明細書では、非限定的例を示すために使用される。したがって、略「e.g.」は、用語「for example(例えば)」の同意語である。
用語「減少(decrease)」、「低下した(reduced)」、「低下(reduction)」、「減少(decrease)」または「阻害する(inhibit)」はすべて、本明細書では一般に、実質的に有意な量での減少を意味するために使用される。しかしながら、疑念を回避するために、「低下した(reduced)」、「低下(reduction)」または「減少(decrease)」または「阻害する(inhibit)」は、基準レベルと比較して少なくとも10%の低下、例えば、少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%もしくは100%まで、および100%減少を含めた減少(例えば、基準サンプルと比較して、非存在レベル)、または基準レベルと比較して10〜100%の間の任意の減少を意味する。
用語「増加した」、「増加する」または「増強する」または「活性化する」はすべて、本明細書では、統計的に有意な量での増加を一般に意味するために使用され;あらゆる疑念を回避するために、用語「増加した」、「増加する」または「増強する」または「活性化する」は、基準レベルと比較して少なくとも10%の増加、例えば、少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%もしくは100%まで、および100%増加を含めた増加または基準レベルと比較して10〜100%の間の任意の増加、または少なくとも約2倍、もしくは少なくとも約3倍、もしくは少なくとも約4倍、もしくは少なくとも約5倍もしくは少なくとも約10倍の増加、もしくは基準レベルと比較して2倍〜10倍もしくはそれより多くの間のあらゆる増加を意味する。
用語「統計的に有意な」または「有意に」は、統計的有意性を指し、一般に、基準レベルから少なくとも2標準偏差(2SD)離れていることを意味する。この用語は、差異が存在する統計的証拠を指す。これは、帰無仮説が実際に真である場合、帰無仮説を棄却する決定を成す確率として定義される。
用語「モジュレーター」は、分子の活性を変化させる、または誘発する化合物を指す。例えば、モジュレーターは、モジュレーターの非存在下での活性の大きさと比較して、分子の特定の活性の大きさの増加または減少をもたらし得る。特定の実施形態では、モジュレーターは、分子の1つまたは複数の活性の大きさを減少させる阻害剤である。特定の実施形態では、阻害剤は、分子の1つまたは複数の活性を完全に妨げる。特定の実施形態では、モジュレーターは、分子の少なくとも1つの活性の大きさを増加させる活性化因子である。特定の実施形態では、モジュレーターの存在は、モジュレーターの非存在下では生じない活性をもたらす。限定することなく、モジュレーターは、小さなまたは大きな有機または無機分子;単糖;二糖;三糖;オリゴ糖;多糖;生物学的高分子、例えば、タンパク質、ペプチド、ペプチド類似体およびその誘導体、ペプチド模倣物質、核酸、核酸類似体および誘導体、酵素、抗体、抗体の部分または断片;細菌、植物、真菌、または動物細胞もしくは組織などの生物材料から作製された抽出物;天然に存在する組成物または合成組成物;ならびにその任意の組み合わせからなる群より選択され得る。
用語「選択的モジュレーター」は、標的活性を選択的にモジュレートする化合物を指す。
用語「選択的にモジュレートする」は、非標的活性をモジュレートするよりも大きな程度まで、標的活性をモジュレートする選択的モジュレーターの能力を指す。
用語「標的活性」は、モジュレーターによりモジュレートされ得る生物学的活性を指す。特定の例示的な標的活性には、これらだけに限定されないが、結合親和性、シグナル伝達、酵素活性などが含まれる。
用語「アゴニスト」は、その存在が、その受容体について天然に存在するリガンドの存在から生じる生物学的活性と同じである受容体の生物学的活性をもたらす化合物を指す。
用語「部分アゴニスト」は、その存在が、その受容体について天然に存在するリガンドの存在から生じる種類と同じ種類の、ただし、より低い大きさである受容体の生物学的活性をもたらす化合物を指す。
用語「アンタゴニスト」は、その存在が受容体の生物学的活性の大きさの減少をもたらす化合物を指す。特定の実施形態では、アンタゴニストの存在は、受容体の生物学的活性の完全な阻害をもたらす。
用語「阻害剤」は、標的分子の活性を阻害する、および/または低下させることができる分子または物質または化合物または組成物または薬剤または任意の組み合わせを指す。本明細書で使用される場合、用語「阻害剤」は、用語「アンタゴニスト」と互換可能である。用語「阻害剤」は、競合的、非競合的、機能的および化学的アンタゴニストを含む。用語「部分阻害剤」は、特に非競合的機構によりアゴニストの作用を不完全に遮断することができる分子または物質または化合物または組成物または薬剤または任意の組み合わせを意味する。
本明細書で使用される場合、用語「リガンド」は、標的分子に結合する薬剤を指す。リガンドは、標的分子の認識機能領域、例えば、酵素の活性部位、抗体の抗原結合部位、受容体のホルモン結合部位、補因子結合部位などに結合する薬剤に限られない。リガンドはまた、標的化合物の任意の表面またはコンフォメーションドメインに結合する薬剤であってよい。したがって、リガンドは、それ自体は、上記の手法で標的に結合するそれらの能力以外は、明白か、または公知の生物学的機能を有さなくてもよい薬剤を包含する。リガンドという用語は、結合すると反応する薬剤および結合以外により反応しない薬剤を包含する。
本明細書で使用される場合、用語「小分子」は、「天然生成物様」である化合物を指し得るが、しかしながら、用語「小分子」は、「天然生成物様」化合物に限られない。むしろ、小分子は典型的には、いくつかの炭素−炭素結合を含有し、5000ダルトン(5kD)未満、好ましくは3kD未満、さらにより好ましくは2kD未満、最も好ましくは1kD未満の分子量を有することにおいて特徴づけられる。場合によっては、小分子は、700ダルトンと同等またはそれ未満の分子量を有することが好ましい。
本開示をさらに、次の実施例により説明するが、これは、限定的と解釈されるべきではない。実施例は、例示であるに過ぎず、本明細書に記載の態様のいずれかを限定することを意図したものではない。次の実施例は、何ら本発明を限定するものではない。
(実施例1 スクリーニングアッセイ)
衛星細胞をCAG−B−アクチン−GFPマウス、2〜4カ月齢から、Sherwoodら、2004年およびCerlettiら、2008年に概説されているFACS単離法により採取した。簡単に述べると、すべての四肢筋肉および腹部筋肉を動物から採取し、初めは0.2%コラゲナーゼ溶液中で、次いで、0.0125%コラゲナーゼ/0.05%ディスパーゼ溶液中で消化した。濾過した溶液を、細胞表面マーカーについて染色し、FACSに掛けた。Mac1、Sca1およびCD45については陰性で、かつベータ−インテグリン1およびCXCR4については陽性だった細胞をスクリーニングアッセイのために使用した。細胞を、FACS機器から直接、50細胞/ウェルで、10ug/mLラミニンでコーティングされた96ウェルプレートにプレーティングした(37℃で4〜6時間、次いで、部分的に除去した)。スクリーニングのための培地は、10%熱不活化ウマ血清、1×ペニシリン/ストレプトマイシンおよび1×L−グルタミンを補充されたHam F−10であった。塩基性FGF(bFGF)を陽性対照ウェルにのみ添加し;他のウェルはすべて、培地のみを与えられた。プレーティングの日を0日目と呼んだ。プレーティングの翌日、1日目に、化合物を添加した。化合物はすべて、DMSOに溶解し、初めは、10uM、1uMまたは0.1uMで2連で試験した。各プレートのための陰性対照は、同じ濃度のDMSOであった(化合物は溶解していない)。化合物を、培地を換えずに4日目まで細胞と共にインキュベートした。bFGFを、陽性対照ウェルに毎日加えた。4日目に、プレートを4%パラホルムアルデヒド中で固定し、リン酸緩衝食塩水で洗浄した。プレートをOpera Confocalイメージャーで直接的に画像化した。なぜなら、細胞は、CAG−EGFP−ベータ−アクチン導入遺伝子から容易に見ることができたからである。アカペラスクリプトを使用して、各ウェル内の細胞の数を計数した。ウェルを、細胞数に基づき、増殖についてスコアリングした(DMSO処置ウェルは通常、アッセイの終了時に約50個の細胞を有し、bFGF処置ウェルは通常、終了時に150〜250個の細胞を有した)。発明者らは、化合物がDMSO対照から1(または、スクリーニングの第2のセッションでは、3)標準偏差(複数可)よりも大きいか、またはそれに等しい細胞数を有した場合に、その化合物をヒットとして選択した。次いで、そうして選択された化合物を、初期用量曲線で、通常は、ヒットとしてフラグを立てた濃度に対応する20nM〜30uMの間の濃度で試験した。本発明者らは、化合物が、DMSO陰性対照に対して少なくとも2標準偏差の細胞数まで、増殖させることができた場合に、その化合物を活性と呼んだ。用量曲線において活性であると見出された任意の化合物について、元の供給業者から再供給を受けた。再供給された化合物を、増殖能について用量曲線で再び試験した。次いで、依然として活性であると見出された化合物を、最適化および特徴づけのための列に入れた。
上記のとおり、本発明者らは、主にキナーゼ阻害剤およびGPCRリガンドから構成される215の化合物のセットをスクリーニングした。本発明者らは、これらの化合物を1μMでアッセイし、DMSO処置陰性対照に対して1標準偏差よりも大きくスコアリングされた化合物を、有望なヒットとしてカウントした。これらの基準を使用して、本発明者らは、そのセットから、20種の化合物をヒットとして同定した。次いで、本発明者らは、これらの20種の化合物のそれぞれを、用量応答アッセイで試験して、それらの活性を検証した。この方法を使用して活性を有すると見出された5種の化合物を表3に示す。その5種の化合物での用量応答曲線を図9A〜13に示す。
化合物(スニチニブ(SU11248)、JAK3阻害剤VI、およびレスタウルチニブ/CEP701)の3種を再試験し、これらは再試験において活性であることが見出された。各化合物は、bFGF陽性対照(スニチニブおよびレスタウルチニブでは4.7±1.4、JAK3阻害剤VIでは3.7±1.1)で見られたのと同様の入力SMP細胞の増殖を促進した。DMSO処置細胞は、両方の試験で1±0.3のレベルまで増殖した。
加えて、本発明者はまた、CEP701がbFGFと相乗作用して、より高いレベルのSMP増殖を達成することができるかを検査した。これらの実験では、スクリーニングおよびその後の用量応答アッセイで使用した細胞50個/ウェルの代わりに、300個の細胞を各ウェルにプレーティングした。アッセイの変動性を縮小させるために、プロトコールのこの変化を導入した。これらの条件下で、精製SMPをプレーティングした翌日に、0.05μM CEP701を添加し、5ng/mL bFGFを毎日、適切なサンプルに添加した。プレーティングから3日後に、培地を換え、新鮮な化合物を添加した。生存度を改善するだけでなく、変動性も縮小させるために、プロトコールのこの追加の変化を導入した。プレートを、プレーティングから4日後に固定した。
CEP701およびbFGFの両方で処置された培養物は、増殖の8倍の増加を示し(図14)、これは、CEP701およびbFGFが相加的に作用して、in vitroでSMPの拡大増殖を増加させることができることを示している。培地の交換が細胞の生存度の上昇をもたらしたと考えられるので、本発明者らは、固定の数日前に化合物を除去して、細胞を回復させることを試みることを決めた。次の実験では、化合物を、プレーティングの翌日(1日目)に添加した。化合物を、下記に示すとおりの日に培養物から完全に除去するまで、毎日新たにした。次いで、4日目に固定するまで、細胞を、化合物が補充されていない培地中で培養した。本発明者らは、2日間の回復時間が、培養物に有利であることを発見した。本発明者らは、CEF−701がbFGFと相加的に働き得ることが発見されたことを確認した(図15)。加えて、Jak3阻害剤VIもbFGFと相加的に働くが(図16)、スニチニブはbFGFとは相加的に働かなかった(図17)。
これらの化合物がSMPの正体に対して有する効果を評価するために、本発明者らは、培養物中で分化する処置SMPの能力を研究した。これらの実験のために、300個の細胞を、0日目に、本発明者らの標準増殖培地(F−10中10%ウマ血清)に、各ウェルでプレーティングした。化合物を1日目に添加し、SMPを3日間、増殖させた。4日目に、培地を分化培地(高グルコースDMEM中10%ウマ血清、10%FBS、0.5%ニワトリ胚抽出物)に切り換えた。次いで、培養物を分化条件下で3または4日間インキュベートし、7日目または8日目に固定した。次いで、それらを、Hoechstおよび抗ミオシン重鎖抗体で染色した。
図18〜20に示されているとおり、CEP701、スニチニブ、またはJak3阻害剤VIでの処置は、拡大増殖したSMPが分化し、融合して筋管を形成する能力に影響を及ぼすことはなかった。加えて、CEP701に3日間曝露され、2日間回復させ、その後、分化条件に置かれた衛星細胞も、筋管に融合することができた(データは図示せず)。
本発明者らは、さらなる研究のために、CEP701に集中した。次に、本発明者らは、CEP701とTGF−ベータ阻害剤との相加効果を研究した。TGF−ベータ阻害剤は、増殖を促進し、衛星細胞の分化を妨げることが公知である。培養物へのAlk5阻害剤IIの添加は、増殖の僅かな増加をもたらした。しかしながら、CEP701およびTGF−ベータ阻害剤の添加で、相加効果はほとんど見られなかった(図21)。
次に、本発明者らは、衛星細胞の増殖についてのCEP701の特異性を試験した。本発明者は、筋肉調製物から線維芽細胞のSca1陽性集団を単離した(FACSを介して取得した)。500または3000個の線維芽細胞を各ウェルにプレーティングし、10%FBSを補充したDMEM中で培養した。化合物をプレーティングの翌日に添加し、毎日新たにした。プレートをプレーティングの5日後に固定し、増殖マーカーKi67について染色した。図22から分かるとおり、CEP701に曝露されたもの(右側のパネル)とDMSOに曝露されたもの(左側のパネル)との間で、増殖細胞のパーセンテージに差異は見られなかった。加えて、CEP701は、初代線維芽細胞に対して効果を有さなかった(図23)。
別の実験で、本発明者らは、CEP701化合物を、老いた組織で試験した。高齢マウスは、実験の時点で15カ月齢であった。このアッセイで使用した条件は、若齢動物で使用した条件と同じであった。FACSの後に、細胞300個/ウェルを0日目に、本発明者らの標準増殖培地(F−10中10%ウマ血清)にプレーティングした。化合物を1日目に示した濃度で添加し、毎日新たにした。4日目に、化合物を停止し、培地のみ交換した。プレートを固定し、6日目に画像化した。
図24および25に見られるとおり、50nM CEP701が、老いた細胞にも、若い細胞にも最適な濃度であると考えられた。両方の場合に、記載の条件下での50nM CEP701への曝露は、細胞数の約6倍の増加をもたらした。CEP701およびbFGFは、老いた細胞の培養物中で相加的に作用して、細胞数の約10倍の増加をもたらすことができた。
別の実験では、本発明者らは、200個の化合物の新たなセットをスクリーニングした。このセットは主に、数種のキナーゼ阻害剤および他の注釈化合物と共に、GPCRリガンドに焦点が当てられている。本発明者らは、1uMで2連でスクリーニングしたキナーゼ阻害剤を除いて、化合物を10uMで2連でスクリーニングした。化合物が、反復物のいずれかで、陰性対照に対して3標準偏差よりも高いレベルで、入力SMPの増殖を増加させた場合に、その化合物を、有望なヒットとしてスコアリングした。これらの基準を使用して、本発明者らは、2つのヒット(N6−シクロペンチルアデノシン、アデノシン(adenosinse)受容体アゴニスト、およびブデソニド、グルココルチコイドステロイド)を同定し、その後の用量応答曲線で検証した(図26および27)。
追加の試験の後に、本発明者らは最終的に、化合物の種々のバッチを試験するために、元の供給業者からのブデソニド、およびN6−シクロペンチルアデノシン(CPA)の再供給を受けることを決めた。本発明者らは、スクリーニングおよび第1の用量応答試験中に行ったとおりに、50個の細胞を各ウェルにプレーティングして、再供給された化合物すべてで用量応答を行った。
この実験では、DMSO陰性対照は、1±0.4の正規化された値を有し、bFGF陽性対照は、5.6±1.7の値を有した。CPAおよびブデソニドは両方とも、有効であり、陰性対照で見られたレベルよりもかなり高い増殖レベルをもたらした。理論に束縛されることは望まないが、本発明者らが開発した最適化実験条件下(細胞300個/ウェル、および2日間の曝露の後に化合物を新たにするために培地交換)で、これらのアッセイを繰り返すことで、アッセイの変動性も増殖応答も改善され得る。
スクリーニングした化合物の第1のセットからのヒットと同様に、本発明者らは、これらの化合物を、bFGFと相乗作用する能力について試験した。本発明者らの標準培養条件(F−10中10%ウマ血清)を使用して、化合物を、プレーティングの翌日に細胞に添加し、示されるように培養物から除去するまで毎日新たにした。次いで、4日目に固定するまで、細胞を、化合物が補充されていない培地中で増殖させた。
CPA(30μM)は、in vitroでbFGFと相乗作用することが分かった。CPAおよびbFGFの組み合わせは、bFGFのみでの約6倍の増加と比較して、細胞数の15倍の増加を示した(図28)。しかしながら、ブデソニドとbFGFとの組み合わせは、bFGFのみと比較して、さらなる増加は示さなかった(図29)。
本発明者らはまた、これらの化合物が衛星細胞の正体に対して有する効果、および培養物中で分化するそれらの能力を評価した。これらの実験では、300個の細胞を0日目に、本発明者らの標準増殖培地(F−10中10%ウマ血清)で、各ウェルにプレーティングした。化合物を1日目に添加し、SMPを3日間増殖させた。4日目に、培地を分化培地(高グルコースDMEM中10%ウマ血清、10%FBS、0.5%ニワトリ胚抽出物)に切り換えた。培養物を分化条件下で3または4日間インキュベートし、7日目に固定した。次いで、それらを、Hoechstおよび抗ミオシン重鎖抗体で染色した。図29および30で見ることができるように、化合物に曝露された衛星細胞は、ミオシン重鎖陽性筋管に融合することができた。
次いで、本発明者らは、これらの化合物がTGF−ベータ阻害剤と相加的に働き得るかを試験した。細胞をCPAおよびAlk5阻害剤IIの両方で処理した場合、単独のCPAおよびAlk5阻害剤IIと比較して、増殖の僅かな上昇が見られた(図31)。
この試験で、本発明者らは、衛星細胞をin vitroで増殖させることができる化合物を同定するように設計されたスクリーニングを実施した。本発明者らは、bFGFの存在下および非存在下の両方で増殖をもたらし得る数種の化合物を発見した。化合物は、正常に分化し、分化状態のための正常なマーカーを持つ衛星細胞集団をもたらした。これらの結果は、これらの化合物での処置が、衛星細胞集団が正常に増殖することを可能にし、病態で筋修復に寄与することを示している。
(実施例2)
衛星細胞をCAG−B−アクチン−GFPマウス、2〜4カ月齢から、実施例1において概説されているとおりにFACS単離法により採取した。簡単に述べると、すべての四肢筋肉および腹部筋肉を動物から採取し、初めは0.2%コラゲナーゼ溶液中で、次いで、0.0125%コラゲナーゼ/0.05%ディスパーゼ溶液中で消化した。濾過した溶液を、細胞表面マーカーについて染色し、FACSに掛けた。Mac1、Sea1およびCD45については陰性で、かつベータ−インテグリン1およびCXCR4については陽性だった細胞をスクリーニングアッセイのために使用した。細胞を、FACS機器から直接、細胞50個/ウェルで、10ug/mLラミニンでコーティングされた96ウェルプレートにプレーティングした(37℃で4〜6時間、次いで、部分的に除去した)。スクリーニングのための培地は、10%熱不活化ウマ血清、1×ペニシリン/ストレプトマイシンおよび1×L−グルタミンを補充されたHam F−10であった。塩基性FGF(bFGF)を陽性対照ウェルにのみ添加し;他のウェルはすべて、培地のみを与えられた。プレーティングの日を0日目と呼んだ。
プレーティングの翌日(1日目)に、図33に図示されているとおりに、化合物を添加した。化合物はすべて、DMSOに溶解し、初めは、10uM、1uMまたは0.1uMで2連で試験した。各プレートのための陰性対照は、同じ濃度のDMSOであった(化合物は溶解していない)。化合物を、培地を換えずに4日目まで細胞と共にインキュベートした。bFGFを、陽性対照ウェルに毎日加えた。4日目に、プレートを4%パラホルムアルデヒド中で固定し、リン酸緩衝食塩水で洗浄した。プレートをOpera Confocalイメージャーで直接的に画像化した。なぜなら、細胞は、CAG−EGFP−ベータ−アクチン導入遺伝子から容易に見ることができたからである。アカペラスクリプトを使用して、各ウェル内の細胞の数を計数した。ウェルを、細胞数に基づき、増殖についてスコアリングした(DMSO処置ウェルは通常、アッセイの終了時に約50個の細胞を有し、bFGF処置ウェルは通常、終了時に150〜250個の細胞を有した)。化合物がDMSO対照から1(または、スクリーニングの第2のセッションでは、3)標準偏差(複数可)よりも大きいか、またはそれに等しい細胞数を有した場合に、その化合物をヒットとして選択した。次いで、そうして選択された化合物を、初期用量曲線で、通常は、ヒットとしてフラグを立てた濃度に対応する20nM〜30uMの間の濃度で試験した。化合物が、DMSO陰性対照に対して少なくとも2標準偏差の細胞数まで、増殖させることができた場合に、その化合物は活性であると考えられた。用量曲線において活性であると見出された任意の化合物について、元の供給業者から再供給を受けた。再供給された化合物を、増殖能について用量曲線で再び試験した。次いで、依然として活性であると見出された化合物を、最適化および特徴づけのための列に入れた。
本発明者らは、図34に図示されているカスタムスクリーニングライブラリから約400種の化合物のセットをスクリーニングした。本発明者らは、これらの化合物を1μMでアッセイし、DMSO処置陰性対照に対して1標準偏差を超えてスコアリングされる化合物を、有望なヒットとしてカウントした。これらの基準を使用して、本発明者らは、そのセットから、in vitroで衛星細胞の増殖を増加させることができる約10種の化合物を、ヒットとして同定した。次いで、本発明者らは、これらの化合物のそれぞれを、用量応答アッセイで試験して、それらの活性を検証した。図35に図示されているとおり、in vitroで衛星細胞の増殖を増加させることが見出された4種の化合物は、レスタウルチニブ(CEP701)、スニチニブ(SU11248)、JAK3阻害剤VI、およびN6−シクロペンチルアデノシン(CPA)であった。レスタウルチニブ(CEP701)は、最高のヒットと同定され、ナノモル濃度用量で有効であり、いくつかの他のヒット化合物との標的重複を有した。加えて、レスタウルチニブ(CEP701)は、in vitroで老化した衛星細胞の増殖を増加させ(図36)、ヒト衛星細胞の増殖を増加させ、線維芽細胞の増殖は増加させなかった。
次いで、本発明者らは、図37Aに図示されているとおり、これらの化合物のそれぞれを用量応答アッセイで試験して、それらの活性を検証した。レスタウルチニブ(CEP701)、スニチニブ(SU11248)、JAK3阻害剤VI、およびN6−シクロペンチルアデノシン(CPA)での用量応答曲線を図37Bに示す。
レスタウルチニブ(CEP701)に加えて、キザルチニブ(AC220)、小分子受容体チロシンキナーゼ阻害剤も、低用量でヒト衛星細胞を拡大増殖させる能力を実証した。図38に図示されているとおり、CEP−701およびAC220は両方とも、DMSO対照に対して、1nMの濃度で、2倍を超えてヒト衛星細胞を増加させた。
図39に図示されているとおり、5%ウマ血清およびヒットと同定された化合物(例えば、CEP701、SU11248、JAK3阻害剤VI、CPAおよびTyr AG490)を含む分化培地は、筋芽細胞分化を駆動する。同様に、図40は、筋芽細胞面積および長さの両方で観察される増加により証明されるとおり、CEP701が、DMSO対照に対して、分化培地中で、筋芽細胞の分化を増強することを実証している。
次に、本発明者らは、チューブリン>GFP衛星細胞を傷害mdx筋肉に移植し、CEP701またはDMSO対照を投与することによる、図41Aに図示されている実験プロトコールを行うことにより、CEP701処置細胞が移植可能性(engraftability)を維持しているかを決定することに努めた。図41Bに図示されているとおり、CEP701処置細胞は、DMSO対照に対して、切片当たりのGFP+線維の数の増加をもたらした。
次に、本発明者らは、CEP701処置がin vivoで再生線維のサイズおよび衛星細胞の数を増加させるか否かを決定することに努めた。図42Aに図示されているとおり、CEP701を、CTX傷害後にマウスに皮下投与し、続いて、組織を採取した。再生筋線維が、eMHC+である。図42B〜42Dに図示されているとおり、CEP701での処置は、成体および高齢マウスの両方で、in vivoで再生線維のサイズおよび衛星細胞の数の両方を増加させた。
本発明者らはまた、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を阻害する複数のヒット化合物を同定する試みにおいて、活性部位断片に対してin vitro結合アッセイ(KINOMEスキャン)を行った。下の表4に示されているとおり、CEP701、AC220およびスニチニブはそれぞれ、複数のRTKを阻害する(数字は、nMでのKdである;初代筋芽細胞での発現)。
RET癌原遺伝子は、グリア細胞由来神経栄養因子、ニュールツリン、アルテミンおよびパーセフィンを含むGDNFリガンドファミリーのための受容体であり、神経系を含むいくつかの組織型の発生および機能に重要である。RET癌原遺伝子は、JAK/STATを含むいくつかの下流経路を活性化する。図43Aに図示されているとおり、表4に特定されている複数のヒット化合物CEP701、AC220およびスニチニブは、RTKのPDGFRファミリーを阻害する。図43Bに図示されているとおり、ホスホ−RETレベルは、傷害筋肉において上昇し、この図では、両方の無傷の対側前脛骨(TA)筋肉におけるホスホ−RETの倍数変化を、心臓毒傷害から2日目に観察されたものと比較している。図43Bに図示されているとおり、ELISAによると、心臓毒傷害後2日で、無傷の対側TA筋に対して、ホスホ−RETの約8倍の増加が観察された。
図44A〜44Bに示されているとおり、衛星細胞は、in vitroでRETを発現する。図45A〜45Dに図示されているとおり、CEP701処置は、in vitroでRETリン酸化を阻害する。
図46は、RETのin vitroでの欠失の影響を評価する研究の結果を示している。条件的RET変異体およびレポーターを使用して、本発明者らは、RETプロモーターが衛星細胞の少なくとも25%で活性であること(図47)およびRETノックアウト細胞がin vitroで野生型細胞よりも良好に増殖すること(図48)を決定することができた。図49は、未処置FLT3およびRETノックアウト細胞の対照に対する、倍数変化を実証している。
(実施例3)
この実施例は、in vitroで衛星細胞の増殖を促進する化合物を同定するように設計されたスクリーニングからの一次ヒットのリストを含む。衛星細胞は、生後の筋成長および再生を担う骨格筋幹細胞である。in vitroで衛星細胞を増殖させる化合物は、筋肉再生のための重要な関連を有する。なぜなら、それらが、in vivoで同等に有効であり、細胞補充療法のために移植可能な細胞を増殖させる可能性を有するからである。試験された4つの化合物ライブラリ、LINCS1、2、3および4は、Harvard Medical SchoolのSorger研究室により、本発明者らに提供された。Sorger研究室は、治療に関連する細胞経路のさらなる調査のために公的データを作成することを目的とするNIHイニシアティブであるLINCS(Library of Integrated Network−Based Cellular Signatures)Consortiumのメンバーである。LINCS1、2、および4はキナーゼ阻害剤を含む一方で、LINCS3はエピジェネティック修飾因子を含む。スクリーニングの結果を表5に示す。
図50は、この実施例で衛星細胞の増殖スクリーニングを促進する小分子を同定している。(A)衛星細胞のFACS単離および化合物ライブラリ処置を概説する化学物質スクリーニング実験の図。(B)上位10種の化合物のうちの4種からの代表的な用量応答曲線。ビヒクル対照に対する細胞増殖の最大倍数変化に基づき、上位10種の化合物を選択した。細胞マーカーとしてHoechst33342を使用するハイコンテントイメージングにより、増殖を評価した。(C)FACSで選別した、Tg:Pax7−nGFPマウスからの衛星細胞(96wプレート上で、4日間培養し、ビヒクル、化合物または陽性対照(Jak3阻害剤6)で処置した)の代表的な蛍光イメージ。各化合物での最適な処置濃度を用量応答で決定した;XMD8−92では3uM、SB23906では5uM、XMD11−50では800nM、およびボリノスタットでは400nM。Hoechst33342を細胞マーカーとして使用した。スケールバーは100umであった。(D)衛星細胞の拡大増殖を促進する数種の化合物についての、ビヒクル対照に対する倍数変化。
材料および方法
衛星細胞の単離および化学物質スクリーニング。
衛星細胞をインタクトな四肢筋肉から単離し、以前に記載されたとおり(Rocheteauら、2012年)、蛍光活性化細胞選別(FACS)のために調製した。FACSは、Harvard UniversityのBauer Flow Cytometry Core Facilityで、Beckman Coulter MoFlo Legacy(Beckman Coulter)により行われた。衛星細胞をエッペンドルフ管に選別し、手動で96ウェルプレートにプレーティングした(Greiner)。プレートを、PBS中で希釈された10ug/uLラミニンで37℃で4時間、予めコーティングした。選別された細胞を、0.05ng/mL塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF、Life Technologies)を補充されたStemSpan SFEM II基本培地(Stem Cell Technologies)中で培養した。陽性対照のためのウェルを600nM Jak3阻害剤IV(EMD Millipore)で処置した。スクリーニングおよび用量応答フォローアップのために、細胞を細胞150個/ウェルでプレーティングした。
化合物の添加
細胞をプレーティングした日を、0日目とみなした。化合物を、1日目に添加した。スクリーニングおよび用量応答フォローアップのために、4日目まで培地を換えることなく、細胞をインキュベートし、プレートを画像化のために調製した。すべての化合物をジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma Aldrich)に懸濁し;0.1%DMSOを、すべてのアッセイで陰性対照として添加した。
本明細書および実施例で同定されている特許および他の刊行物はすべて明白に、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は単に、本出願の出願日の前のそれらの開示について提供されたものである。この点について、いずれも、本発明者らが、先行の発明のせいで、または何らかの他の理由で、そのような開示に先行する権利が与えられないことを認めるものとして解釈されるべきではない。日付に関するすべての言明またはこれらの文献の内容に関する表現は、本出願人が利用可能な情報に基づき、これらの文献の日付または内容の正確性に関して何らかの承認を成すものではない。
好ましい実施形態を本明細書において詳細に表示および説明してきたが、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変更、追加、置換などを成すことができ、したがって、これらは、下記の特許請求の範囲で定義されるとおりの本発明の範囲内であると判断されることは関連分野の当業者には明らかであろう。さらに、まだ示していない範囲で、当業者には、本明細書に記載および図示されている様々な実施形態のいずれか1つをさらに修飾して、本明細書において開示する他の実施形態のいずれかで示した特徴に組み込むことができることは理解されるであろう。