本発明に係る実施例について、図1乃至図3を用いて説明する。
図1を参照して、燃料噴射弁1の全体構成について説明する。図1は、本発明に係る燃料噴射弁の一実施例について、弁軸心(中心軸線)に沿う断面を示す断面図である。なお、中心軸線1aは、弁体27c、ロッド部(接続部)27b及び可動鉄心27aが一体に設けられた可動子27の軸心(弁軸心線)に一致し、且つ筒状体5の中心軸線に一致している。
図1において、燃料噴射弁1の上端部(上端側)を基端部(基端側)と呼び、下端部(下端側)を先端部(先端側)と呼ぶ場合がある。基端部(基端側)及び先端部(先端側)という呼び方は、燃料の流れ方向或いは燃料配管に対する燃料噴射弁1の取り付け構造に基づいている。また、本明細書において説明される上下関係は図1を基準とするもので、燃料噴射弁1を内燃機関に搭載した形態における上下方向とは必ずしも一致しない。
燃料噴射弁1には、金属材製の筒状体5によって、その内側に燃料流路(燃料通路)3がほぼ中心軸線1aに沿うように構成されている。筒状体5は、磁性を有するステンレス等の金属素材を用い、深絞り加工等のプレス加工により中心軸線1aに沿う方向に段付きの形状に形成されている。これにより、筒状体5は、一端側5aの径が他端側5bの径に対して大きくなっている。
筒状体5の基端部には燃料供給口2が設けられ、この燃料供給口2に、燃料に混入した異物を取り除くための燃料フィルタ13が取り付けられている。
筒状体5の基端側端部は径方向外側に向けて拡径するように曲げられた鍔部(拡径部)5dが形成され、鍔部5dとカバー47の基端側端部47aとで形成される環状凹部(環状溝部)4にOリング11が配設されている。
筒状体5の先端部には、弁体27cと弁座部材15とからなる弁部7が構成されている。弁座部材15は、筒状体5の先端側端部の内側に挿入され、レーザ溶接19により筒状体5に固定されている。レーザ溶接19は、筒状体5の外周側から全周に亘って実施されている。この場合、弁座部材15を筒状体5の先端側端部の内側に圧入した上で、弁座部材15をレーザ溶接により筒状体5に固定してもよい。
筒状体5の中間部には弁体27cを駆動するための駆動部9が配置されている。駆動部9は電磁アクチュエータ(電磁駆動部)で構成されている。具体的には、駆動部9は、筒状体5の内部(内周側)に固定された固定鉄心25と、筒状体5の内部において固定鉄心25に対して先端側に配置され、中心軸線1aに沿う方向に移動可能な可動子(可動部材)27と、可動子27に構成された可動鉄心27aと固定鉄心25とが微小ギャップδ1を介して対向する位置で筒状体5の外周側に外挿された電磁コイル29と、電磁コイル29の外周側で電磁コイル29を覆うヨーク33とによって構成されている。
筒状体5の内側には可動子27が収容されており、筒状体5は可動鉄心27aの外周面と対向して可動鉄心27aを囲繞するハウジングを構成している。
可動鉄心27aと固定鉄心25とヨーク33とは、電磁コイル29に通電することにより生じる磁束が流れる閉磁路を構成する。磁束は微小ギャップδ1を通過するが、微小ギャップδ1の部分で筒状体5を流れる漏れ磁束を低減するため、筒状体5の微小ギャップδ1に対応する位置に、非磁性部或いは筒状体5の他の部分よりも弱磁性の弱磁性部5cが設けられている。以下、この非磁性部或いは弱磁性部5cは、単に非磁性部5cと呼んで説明する。非磁性部5cは、筒状体5に非磁性化処理を行うことにより、或いは、筒状体5の外周面に環状凹部を形成することにより、構成することができる。
電磁コイル29は、樹脂材料で筒状に形成されたボビン31に巻回され、筒状体5の外周側に外挿されている。電磁コイル29はコネクタ41に設けられたターミナル43に電気的に接続されている。コネクタ41には図示しない外部の駆動回路が接続され、ターミナル43を介して、電磁コイル29に駆動電流が通電される。
固定鉄心25は、磁性金属材料からなる。固定鉄心25は筒状に形成され、中心部を中心軸線1aに沿う方向に貫通する貫通孔25aを有する。固定鉄心25は、筒状体5の小径部5bの基端側に圧入固定され、筒状体5の中間部に位置している。固定鉄心25は溶接により筒状体5に固定してもよいし、溶接と圧入を併用して筒状体5に固定してもよい。
可動子27は、可動鉄心27aとロッド部(接続部)27bと弁体27cとで構成される。可動鉄心27aは円環形状である。弁体27cは弁座15b(図2参照)と当接する部材である。弁座15b及び弁体27cは協働して燃料通路を開閉する。ロッド部27bは細長い円筒形状であり、可動鉄心27aと弁体27cとを接続する接続部である。可動鉄心27aは、弁体27cと連結され、固定鉄心25との間に作用する磁気吸引力によって、弁体27cを開閉弁方向に駆動するための部材である。
本実施例では、ロッド部27bと弁体27cとを別部材で構成し、ロッド部27bに弁体27cを固定している。ロッド部27bと弁体27cとの固定は、溶接により行われる。ロッド部27bと弁体27cとは一つの部材で一体化されて構成されてもよい。
ロッド部27bは円筒形状であり、ロッド部27bの上端に開口すると共に軸方向に延設された孔27baを有する。ロッド部27bには内側と外側とを連通する連通孔(開口部)27boa,27bobが形成されている。ロッド部27bの外周面と筒状体5の内周面との間には燃料室37が形成されている。ロッド部27bの上端部27bcは固定鉄心25の貫通孔25a内に挿入されており、貫通孔25a内の燃料通路3が孔27ba及び連通孔27boa,27bobを通じて燃料室37に連通している。孔27ba及び連通孔27boa,27bobは貫通孔25a内の燃料通路3と燃料室37とを連通する燃料流路3を構成する。
固定鉄心25の貫通孔25aにはコイルばね39が設けられている。コイルばね39の一端は、可動鉄心27aの内側に設けられたばね座27ag(図3参照)に当接している。コイルばね39の他端部は、固定鉄心25の貫通孔25aの内側に配設されたアジャスタ(調整子)35の下端部(先端側端面)に当接している。コイルばね39は、可動鉄心27aに設けられたばね座27agとアジャスタ(調整子)35の下端との間に、圧縮状態で配設されている。
コイルばね39は、弁体27cが弁座15b(図2参照)に当接する方向(閉弁方向)に可動子27を付勢する付勢部材として機能している。中心軸線1aに沿う方向におけるアジャスタ35の位置を貫通孔25a内で調整することにより、コイルばね39による可動子27(すなわち弁体27c)の付勢力が調整される。
アジャスタ35は、中心部を中心軸線1aに沿う方向に貫通する燃料流路3を有する。燃料供給口2から供給された燃料は、アジャスタ35の燃料流路3を流れた後、固定鉄心25の貫通孔25aの先端側部分の燃料流路3に流れ、可動子27内に構成された燃料流路3に流れる。
ヨーク33は、磁性を有する金属材料でできており、燃料噴射弁1のハウジングを兼ねている。ヨーク33は大径部33aと小径部33bとを有する段付きの筒状に形成されている。大径部33aは電磁コイル29の外周を覆って円筒形状を成しており、大径部33aの先端側に大径部33aよりも小径の小径部33bが形成されている。小径部33bは筒状体5の小径部5bの外周に圧入又は挿入されている。小径部33bの内周面は筒状体5の外周面に緊密に接触している。このとき、小径部33bの内周面の少なくとも一部は、可動鉄心27aの外周面と筒状体5を介して対向しており、この対向部分に形成される磁路の磁気抵抗を小さくしている。ヨーク33の先端側端部は、筒状体5と、全周に亘ってレーザ溶接24により接合されている。
筒状体5の先端部には円筒状のプロテクタ49が外挿され、筒状体5の先端部がプロテクタ49によって保護されている。プロテクタ49のフランジ部49aと、ヨーク33の小径部33bと、ヨーク33の大径部33aと小径部33bとの段差面とによって環状溝34が形成され、環状溝34にOリング46が外挿されている。Oリング46は、燃料噴射弁1が内燃機関に取り付けられる際に、内燃機関側に形成された挿入口の内周面とヨーク33における小径部33bの外周面との間で液密及び気密を確保するシールとして機能する。
燃料噴射弁1の中間部から基端側端部の近傍までの範囲に、樹脂カバー47がモールドされている。樹脂カバー47の先端側端部はヨーク33の大径部33aの基端側の一部を被覆している。また、樹脂カバー47を形成する樹脂によりコネクタ41が一体的に形成されている。
次に、図2を参照して、ノズル部8の構成ついて、詳細に説明する。図2は、図1に示すノズル部8の近傍を拡大して示す断面図である。
弁座部材15には、中心軸線1aに沿う方向に貫通する貫通孔15d,15c,15v,15eが形成されている。この貫通孔の途中には下流側に向かって縮径する円錐面15vが形成されている。円錐面15v上には弁座15bが構成され、弁体27cが弁座15bに離接することにより、燃料通路の開閉が行われる。なお、弁座15bが形成された円錐面15vを弁座面と呼ぶ場合もある。また弁座15bは、弁体27cと当接する弁座面15v側のシール部を構成する。
貫通孔15d,15c,15v,15eにおける、円錐面15vから上側の孔部分15d,15c,15vは、弁体27cを収容する弁体収容孔を構成する。弁体収容孔15d,15c,15vの内周面に、弁体27cを中心軸線1aに沿う方向に案内するガイド面15cが形成されている。ガイド面15cは可動子27を案内する二つのガイド面のうち、下流側に位置する下流側ガイド面を構成する。
下流側ガイド面15cとこの下流側ガイド面15cに摺接する弁体27cの摺接面27cbとは、可動子27の変位を案内する下流側ガイド部50Aを構成する。
ガイド面15cの上流側には、上流側に向かって拡径する拡径部15dが形成されている。拡径部15dは弁体27cの組付けを容易にすると共に、燃料通路断面を拡大するのに役立っている。一方、弁座面15vの下端部は燃料導入孔15eに接続され、燃料導入孔15eの下端面が弁座部材15の先端面15tに開口している。
弁座部材15の先端面15tには、ノズルプレート21nが取り付けられている。ノズルプレート21nは弁座部材15にレーザ溶接23により固定されている。レーザ溶接部23は、複数の燃料噴射孔110が形成された噴射孔形成領域を取り囲むようにして、この噴射孔形成領域の周囲を一周している。
また、ノズルプレート21nは板厚が均一な板状部材(平板)で構成され、複数の燃料噴射孔110が形成されている。複数の燃料噴射孔110の形態は特に問わない。燃料噴射孔110の上流側に燃料に旋回力を付与する旋回室を有するものであってもよい。燃料噴射孔の中心軸線110aは燃料噴射弁の中心軸線1aに対して平行であってもよいし、傾斜していてもよい。
本実施例において、燃料噴射孔110を開閉する弁部7は弁座部材15と弁体27cとによって構成され、燃料噴霧の形態を決定する燃料噴射部21はノズルプレート21nによって構成される。そして、弁部7と燃料噴射部21とは、燃料噴射を行うためのノズル部8を構成している。すなわち、本実施例におけるノズル部8は、ノズルプレート21nがノズル部8の本体側(弁座部材15)の先端面15tに接合されて構成されている。
また、本実施例では、弁体27cは、球状を成すボール弁を用いている。このため、弁体27cにおけるガイド面15cと対向する部位には、周方向に間隔を置いて複数の切欠き面27caが設けられ、この切欠き面27caによって下流側ガイド部50Aにおける燃料通路15h(図3参照)が構成されている。弁体27cはボール弁以外の弁体で構成することも可能である。例えば、ニードル弁を用いてもよい。
図3を参照して、可動子27近傍の構成について、詳細に説明する。図3は、可動子27近傍を拡大して示す縦断面図である。
本実施例では、可動鉄心27aとロッド部27bとが一部材で一体に形成されている。可動鉄心27aの上端面27abの中央部には、下端側に向けて窪んだ凹部27aaが形成されている。凹部27aaの底部には、ばね座27agが形成され、コイルばね39の一端がばね座27agに支持されている。さらに、凹部27aaの底部には、ロッド部27bの内側に連通する開口部27afが形成されている。開口部27afは、固定鉄心25の貫通孔25aから凹部27aa内の空間(燃料通路)27aiに流入した燃料を、ロッド部27bの内側の空間(燃料通路)27biに流す燃料通路を構成する。
すなわち可動子27は、一端部に設けられた弁体27cと他端部に設けられた可動鉄心27aとの間に延設され可動鉄心27aよりも小径のロッド部27bと、可動鉄心27aの内周側27aiからロッド部27bの内周側に連通するように形成された燃料通路27biと、を有する。
本実施例では、ロッド部27bと可動鉄心27aとを一部材で構成しているが、別々の部材で構成したものを一体に組み付けてもよい。
可動鉄心27aの上端面27abは、固定鉄心25の下端面25bと対向する面である。上端面27abと下端面25bとは、相互に磁気吸引力が作用する磁気吸引面を構成する。可動鉄心27aの外周面27acは筒状体5の内周面5eに摺動するよう構成されている。内周面5eは上流側ガイド面を構成し、外周面27acは上流側ガイド面5eに摺接する。上流側ガイド面5eと可動鉄心27aの外周面27acとは、可動子27の変位を案内する上流側ガイド部50Bを構成する。
可動子27は、上流側ガイド部50Bと上述した下流側ガイド部50Aとの二点で案内されて、中心軸線(弁軸心線)1aに沿う方向に往復動作する。
上述したように、ロッド部27bには、内側と外側とを連通する連通孔27boa,27bobが形成されている。連通孔27boaは、ロッド部27bの上端側に配置され、可動鉄心27aの近傍に配置されている。連通孔27bobは、ロッド部27bの下端側に配置され、弁体27c(弁座15b)の近傍に配置されている。本実施例では、可動子27のロッド部27bの近傍における燃料流れの死水域(澱み)の発生を低減するように、連通孔27boa,27bobを配設している。
ここで、図4の比較例を参照して、ロッド部27bの近傍における燃料流れについて説明する。図4は、本発明との比較例1におけるロッド部27b近傍の燃料の流速分布を示す解析結果の図である。図4では、連通孔27boを横切るA−A断面と、A−A断面に垂直で連通孔27boを横切らないB−B断面とを示している。
比較例1では、ロッド部27bの中間部分に軸方向に細長い形状の連通孔(開口部)27boが設けられている。連通孔27boは、ロッド部27bの周方向において、180度離間した2箇所に配設されており、中心軸線1aに沿う方向においては1ヶ所に配設されている。この場合、ロッド部27bの外周側(ロッド部27bの外周面と筒状体内周面5eとの間)で、可動鉄心27aの下端部と連通孔27boの上端部との間に死水域(上部死水域)が発生している。また、ロッド部27bの内周側(内側)では、シール部を構成する弁体27cが接合された下端部に死水域(下部死水域)ができる。
死水域は燃料流速が非常に遅くなることによってできる流れの澱みである。この死水域に入り込んだ異物を燃料流れで押し流すには、時間がかかる。このため、死水域の発生を防ぐか、死水域をできる限り小さくすることが望ましい。
そこで、上部死水域及び下部死水域の発生を防ぐため、或いは上部死水域及び下部死水域を小さくするため、ロッド部27bの上端側と下端側とに連通孔を分割して配設する。すなわち、連通孔は、ロッド部27bの軸方向において、少なくとも2箇所に分割して配置される。そのうち1箇所(上流側連通孔27boa)は可動鉄心27aの下端部(ロッド部27bの上端部)の近傍に配設され、もう1箇所(下流側連通孔27bob)は弁体27c(ロッド部27bの下端部)の近傍に配設される。例えば、上流側連通孔27boaは、その上端部が可動鉄心27aの下端部からロッド部27bの内径寸法以上に離間しないように設けられる。また、下流側連通孔27bobは、その下端部がロッド部27bの下端からロッド部27bの内径寸法以上に離間しないように設けられる。
下流側ガイド部50Aには、ガイド部の上流側と下流側とを中心軸線1a方向に連通する燃料通路15hが設けられている。燃料通路15hは、弁体27cの切欠き面27caと、弁座部材15に形成された弁体収容孔の内周面(下流側ガイド面)15cとの間に形成される。この燃料通路15hは、可動子27又はロッド部27bの周方向において、下流側連通孔27bobと同じ角度位置に設けられている。下流側連通孔27bobの中心線と切欠き面27caの中心線と弁軸心線(中心軸線)1aとは平行で一つの仮想平面上に存在する。
これにより、下流側連通孔27bobから燃料室37に流出した燃料は、下流側ガイド部50Aに形成された燃料通路15hにスムーズに流入する。このため、下流側連通孔27bobの出口部において燃料の流速を高めることができ、死水域の発生を抑制することができる。
さらに、上流側連通孔27boaの断面積S1と下流側連通孔27bobの断面積S2とは、ロッド部27bの近傍における燃料流れの流速を高められるように設定される。以下、図5乃至図8を参照して、ロッド部27bの近傍における燃料流れの解析結果について説明する。
図5は、本発明との比較例2について、上流側連通孔27boaの断面積S1と下流側連通孔27bobの断面積S2との和(S1+S2)と、可動鉄心27aからロッド部27bへ連通する開口部27afの面積S3との比((S1+S2)/S3)を変化させた場合の、各連通孔27boa,27bobの出口部における流速の変化を解析した結果を示す図である。図6は、本発明との比較例2について、面積比((S1+S2)/S3)が3.0、7.5、12.0の各場合における燃料の流速分布の解析結果を示す図である。図6においても、図4と同様なA−A断面とB−B断面とについて、流速分布を示す。
比較例2では、上流側連通孔27boaは、ロッド部27bの周方向において、180度離間した2箇所に配設されている。また、下流側連通孔27bobは、ロッド部27bの周方向において、180度離間した2箇所に配設されている。上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobは、弁軸心線1aに直交する断面上において、弁軸心線1aに対して点対称に配置される。また、上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobは、ロッド部27bの内周側から外周側に向かって直線状に貫通する貫通孔として形成されている。
なお、上流側連通孔27boaの断面積S1は2つの上流側連通孔27boaの総断面積であり、下流側連通孔27bobの断面積S2は2つの下流側連通孔27bobの総断面積である。断面積S3は、可動鉄心27aからロッド部27bへ連通する開口部27afの面積であり、ロッド部27b内(内径部)に構成される燃料通路3の断面積である。ロッド部27bの内径部に構成される燃料流路が複数の流路に分割されている場合は、断面積S3はそれらの総断面積である。
図5に示すように、面積比((S1+S2)/S3)が4.0よりも小さい範囲では、この面積比が小さくなるほど、各連通孔27boa,27bobの出口部における流速が速くなることが分かる。面積比((S1+S2)/S3)が4.0以上になると、各連通孔27boa,27bobの出口部における流速はほぼ一定となり、このときの流速は面積比((S1+S2)/S3)が4.0よりも小さい範囲における流速よりも低い値である。
図6に示すように、面積比((S1+S2)/S3)が3.0の場合には、A−A断面及びB−B断面の両方で、可動鉄心27aの下端面よりも下側において、死水域となるほど燃料流速の低下した部分は発生していない。これは、各連通孔27boa,27bobの出口部において、燃料流速が速くなっているためと考えられる。しかし面積比((S1+S2)/S3)が3.0の場合においても、B−B断面では、A−A断面に対して流速の低下している様子が窺える。
一方、面積比((S1+S2)/S3)が7.5及び12.0の場合には、A−A断面及びB−B断面の両方で、可動鉄心27aの下端よりも下側の外周部において、死水域となる燃料流速の低下した部分が発生している。これは、各連通孔27boa,27bobの出口部において、燃料流速が遅くなっているためと考えられる。
面積比((S1+S2)/S3)が7.5の場合は、上流側連通孔27boaの開口面積は、面積比((S1+S2)/S3)が3.0の場合と同じであり、下流側連通孔27bobの開口面積を拡げている。この場合、上流側連通孔27boaよりも下流側に死水域が発生している。
また、面積比((S1+S2)/S3)が12.0の場合は、下流側連通孔27bobの開口面積を面積比((S1+S2)/S3)が7.5の場合と同じにして、上流側連通孔27boaの開口面積を拡げている。この場合、上流側連通孔27boaの開口部の側方に死水域が発生している。これは、燃料流れはロッド部27bの軸方向に大きな速度成分を有しており、拡大した上流側連通孔27boaの下部から流出すると共に、上流側連通孔27boaからの燃料流れの流出位置がロッド部27bの下端側に移動するためと考えられる。また、下流側連通孔27bobの開口面積が大きくなっているために、燃料流れがロッド部27bの内側を下端部に向けて流れ易くなっていることも影響しているものと考えられる。
以上、説明したように、面積比((S1+S2)/S3)を4.0よりも小さい範囲に設定することにより、各連通孔27boa,27bobの出口部における流速を速くすることができる。そして、ロッド部27bの近傍における死水域の発生を抑制することができる。
なお、面積比((S1+S2)/S3)の下限値は、上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobのさらに下流側に構成される燃料通路の断面積によって制約される。一般的に、燃料噴射量は弁体27cと弁座15bとの間に形成される環状隙間の面積及び燃料噴射孔の総断面積で決められる。従って、燃料噴射弁に構成される燃料通路の中で、弁体27cと弁座15bとの間の環状隙間の面積或いは燃料噴射孔の総断面積が最も小さい。各連通孔27boa,27bobの開口面積(S1+S2)は、弁体27cと弁座15bとの間の環状隙間の面積及び燃料噴射孔の総断面積よりも大きくする必要がある。各連通孔27boa,27bobの開口面積(S1+S2)が弁体27cと弁座15bとの間の環状隙間の面積及び燃料噴射孔の総断面積よりも大きく設定され、このときの開口面積(S1+S2)によって面積比((S1+S2)/S3)の下限値が決まる。
燃料通路の断面積(S1+S2)及びS3はいずれも、弁体27cと弁座15bとの間の環状隙間の面積及び燃料噴射孔の総断面積よりも大きい。このため、面積比((S1+S2)/S3)の下限値は1よりも小さい場合もあり得る。しかし、ロッド部27bでの圧力損失を無くし、燃料流れを連通孔27boa,27bobからスムーズに流出させることを優先する場合は、面積比((S1+S2)/S3)は1以上であることが好ましい。
図7は、本発明との比較例2について、上流側連通孔27boaの断面積S1と下流側連通孔27bobの断面積S2との比(S1/S2)を変化させた場合の、各連通孔27boa,27bobの出口部における流速変化の解析結果を示す図である。
上流側連通孔27boaの断面積S1と下流側連通孔27bobの断面積S2との面積比(S1/S2)が1.0の場合に、各連通孔27boa,27bobの出口部における流速は最も速くなる。そして、図5において、面積比((S1+S2)/S3)が4.0のときの上流側連通孔27boaの出口部における流速値(0.9m/s)を基準にして、面積比(S1/S2)の許容範囲を設定する。すなわち、下流側連通孔27bobよりも流速が低い上流側連通孔27boaを基準として、上流側連通孔27boaの出口部における流速が0.9m/sよりも速くなる範囲を許容範囲とする。
この場合、面積比(S1/S2)を、0.5よりも大きく、1.6よりも小さい範囲に設定する。これにより、各連通孔27boa,27bobの出口部において流速がその最大値の近傍でかつ死水域の発生を抑制可能な適切な範囲となるように、上流側連通孔27boaの断面積S1と下流側連通孔27bobの断面積S2とを設定することができる。
図8は、本発明との比較例2について、面積比(S1/S2)が0.3、1.0、1.6の各場合における燃料の流速分布の解析結果を示す図である。図8においても、図4と同様なA−A断面とB−B断面とについて、流速分布を示す。
面積比(S1/S2)が1.0の場合は、A−A断面及びB−B断面の両方で、可動鉄心27aの下端面よりも下側において、死水域となるほど燃料流速の低下した部分は発生していない。しかし面積比(S1/S2)が1.0の場合においても、B−B断面では、A−A断面に対して流速の低下している様子が窺える。
一方、面積比(S1/S2)が0.3の場合には、A−A断面及びB−B断面の両方で、可動鉄心27aの下端よりも下側の外周部において、死水域となる燃料流速の低下した部分が発生している。また、面積比(S1/S2)が1.6の場合には、A−A断面において、可動鉄心27aの下端よりも下側に、死水域となる燃料流速の低下した部分が発生している。面積比(S1/S2)が0.3及び1.6の場合に死水域が発生しているのは、各連通孔27boa,27bobの出口部において、燃料流速が遅くなっているためと考えられる。
比較例2において、面積比((S1+S2)/S3)を4.0よりも小さい範囲に設定し、且つ面積比(S1/S2)を0.5よりも大きく、1.6よりも小さい範囲に設定することにより、各連通孔27boa,27bobの出口部における流速を速くすることができる。そして、ロッド部27bの近傍における死水域の発生を抑制することができる。
次に、図9乃至図10Bを参照して、本発明の一実施例に係る上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobについて説明する。
本実施例では、上述した面積比((S1+S2)/S3)が3.0の場合、及び面積比(S1/S2)が1.0の場合のB−B断面に発生する、A−A断面に対して流速の低下する領域をさらに改善する。以下で説明する実施例では比較例2に対して連通孔27boa,27bobの形状及び構成を変えているが、上記面積比の数値関係において各連通孔27boa,27bobの出口部における流速を高める効果は、比較例2と同様に得られる。
図9は、本発明の一実施例に係る上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobの形状を示す、弁軸心線1aに垂直なロッド部27bの断面(A−A断面及びB−B断面)を示す図である。
本実施例では、上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobは、ロッド部17bの内周側(内径側)と外周側(外径側)とを連通するように構成され、ロッド部27bの外周側(ロッド部27bの外周面と筒状体内周面5eとの間)に、弁軸心線1aを中心とする旋回流を発生するように構成される。すなわち、上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobは、上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobを通過した燃料がロッド部27bの外周を周方向に沿って旋回するように構成される。
具体的には、弁軸心線1aに垂直な断面上において、上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobは、曲線を描く燃料通路として、或いは中心線が弁軸心線(ロッド部27bの中心)1aに対してオフセットした直線状の燃料通路として形成される。図9では、上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobが曲線を描く燃料通路として形成される場合を「曲線」の欄に示し、直線状の燃料通路として形成される場合を「直線」の欄に示す。
また図9では、上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobを、ロッド部27bの周方向において、2カ所に形成した場合(「2穴」)、3カ所に形成した場合(「3穴」)、4カ所に形成した場合(「4穴」)例を示す。
上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobが「曲線」の燃料通路として形成される場合について説明する。
連通孔27boa,27bobは、曲線を描く燃料通路として形成される場合、弁軸心線(ロッド部27bの中心)1a側から見た場合に、ロッド部27bの内径(内周面)側から外径(外周面)側に向かう径方向に対して同じ向きの曲がりを有するように形成される。すなわち、連通孔27boa,27bobは、弁軸心線1aに垂直な平面内において、同じ向きの曲がりを有する。図9では、連通孔27boa,27bobは、いずれも左に曲がる曲線を描く例を示している。
図10Aは、本発明の一実施例に係る上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobの形状(曲線)と筒状体内周面5eとの関係を示す、弁軸心線1aに垂直な断面図である。なお図10Aでは、上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobは同じ形状に構成されるものとして、1つの図面上に図示している。
連通孔27boa,27bobは、中心線lcが筒状体5の内周面5eに対して傾斜している。すなわち、中心線lcが内周面5eと交差する交点Pにおいて、交点Pで中心線lcに接する接線lc1と内周面5eの法線lv(lhは交点Pにおける内周面5eへの接線)との間に0度よりも大きな角度θが存在する。これにより、連通孔27boa,27bobから流出する燃料流れは、筒状体5の内周面5eに対して傾斜した方向(法線lvに対して傾斜した方向)に流出する。
すなわち、複数の上流側連通孔27boaからロッド部27bの外周側に流出した燃料流れは、筒状体5の内周面5e(或いは内周面5eの法線lv)に対して同じ方向に傾斜した流線lfを有し、筒状体5の内周面5eに衝突する際に同じ方向に旋回する旋回流Fsを形成する。また、複数の下流側連通孔27bobからロッド部27bの外周側に流出した燃料流れは、筒状体5の内周面5e(或いは内周面5eの法線lv)に対して同じ方向に傾斜した流線lfを有し、筒状体5の内周面5eに衝突する際に同じ方向に旋回する旋回流Fsを形成する。
さらに、上流側連通孔27boaからロッド部27bの外周側に流出した燃料流れ及び下流側連通孔27bobからロッド部27bの外周側に流出した燃料流れは、いずれも筒状体5の内周面5e(或いは内周面5eの法線lv)に対して同じ方向に傾斜した流線lfを有し、筒状体5の内周面5eに衝突する際に同じ方向に旋回する旋回流Fsを形成する。
本実施例では、「2穴」、「3穴」、「4穴」のいずれの場合も、連通孔27boa,27bobは、周方向に等間隔に配置される。すなわち、複数の連通孔27boa,27bobは、周方向に隣接する連通孔27boa,27bobとの角度間隔が等しくなるように配置されている。さらに、「2穴」及び「4穴」の場合には、複数の連通孔27boa,27bobは、ロッド部27bの中心1aに対して、点対称な形状である。これにより、ロッド部27bの外周に発生する旋回流Fsは、ロッド部27bの周方向の全周において均質に流れるようになる。すなわち、比較例2のB−B断面に発生する、A−A断面に対して流速の低下する領域を小さくすることができる。
図9及び図10Bを参照して、上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobが「直線」の燃料通路として形成される場合について説明する。図10Bは、本発明の一実施例に係る上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobの形状(直線)と筒状体内周面5eとの関係を示す、弁軸心線1aに垂直な断面図である。なお図10Bでは、上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobは同じ形状に構成されるものとして、1つの図面上に図示している。
連通孔27boa,27bobは、「直線」の燃料通路として形成される場合、各連通孔27boa,27bobはロッド部27bの内径(内周面)と外径(外周面)との間の壁面を直線状に貫通する。本実施例では、各連通孔27boa,27bobは、弁軸心線1aに垂直な平面に平行な方向に形成されている。さらに各連通孔27boa,27bobは、各連通孔27boa,27bobの中心線が弁軸心線(ロッド部27bの中心)1aに対してオフセットした直線状の燃料通路として形成される。
図9の断面図上において、弁軸心線(弁軸心)1aは、各連通孔27boa,27bobの中心線に対して、同じ側に位置する。図9では、各連通孔27boa,27bobを内径(内周面)側から見た場合に、弁軸心線(ロッド部27bの中心)1aは、連通孔27boa,27bobに対して、左側に位置する。
連通孔27boa,27bobは、中心線lcが筒状体5の内周面5e(或いは内周面5eの法線lv)に対して傾斜している。すなわち、中心線lcと内周面5eとの交点Pを通る内周面5eの法線lv(lhは交点Pにおける内周面5eへの接線)と中心線lcとの間に0度よりも大きな角度θが存在する。これにより、連通孔27boa,27bobから流出する燃料流れは、筒状体5の内周面5eに対して傾斜した方向(法線lvに対して傾斜した方向)lfに流出する。
複数の上流側連通孔27boaからロッド部27bの外周側に流出した燃料流れは、筒状体5の内周面5e(或いは内周面5eの法線lv)に対して同じ方向に傾斜した流線lfを有し、筒状体5の内周面5eに衝突する際に同じ方向に旋回する旋回流Fsを形成する。また、複数の下流側連通孔27bobからロッド部27bの外周側に流出した燃料流れは、筒状体5の内周面5e(或いは内周面5eの法線lv)に対して同じ方向に傾斜した流線lfを有し、筒状体5の内周面5eに衝突する際に同じ方向に旋回する旋回流Fsを形成する。
さらに、上流側連通孔27boaからロッド部27bの外周側に流出した燃料流れ及び下流側連通孔27bobからロッド部27bの外周側に流出した燃料流れは、いずれも筒状体5の内周面5e(或いは内周面5eの法線lv)に対して同じ方向に傾斜した流線lfを有し、筒状体5の内周面5eに衝突する際に同じ方向に旋回する旋回流Fsを形成する。
本実施例では、「2穴」、「3穴」、「4穴」のいずれの場合も、連通孔27boa,27bobは、周方向に等間隔に配置される。すなわち、複数の連通孔27boa,27bobは、周方向に隣接する連通孔27boa,27bobとの角度間隔が等しくなるように配置されている。さらに、「2穴」及び「4穴」の場合には、複数の連通孔27boa,27bobは、ロッド部27bの中心1aに対して、点対称な形状である。これにより、ロッド部27bの外周に発生する旋回流は、ロッド部27bの周方向の全周において均質に流れるようになる。すなわち、比較例2のB−B断面において、A−A断面に対して流速の低下する領域を小さくすることができる。
図11は、比較例1及び本発明の一実施例に係る可動子27について、燃料流れの解析結果を示す図である。なお図11では、上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobは同じ形状に構成されている。
図11から、比較例1ではロッド部27bの外周に大きな死水域が生じているのに対して、本実施例の「2穴」、「3穴」及び「4穴」の構成では、旋回流の発生により、死水域の発生が防止又は抑制されることが分かる。この旋回流により、比較例2における、面積比((S1+S2)/S3)が3.0の場合、及び面積比(S1/S2)が1.0の場合のB−B断面に発生する、A−A断面に対して流速の低下する領域をさらに改善することができる。
図11では、連通孔27boa,27bobが「直線」で「2穴」の場合に旋回流の旋回力が最も大きくなっており、その次に「直線」で「4穴」の場合が続いている。従って、最も好ましい構成は、連通孔27boa,27bobが「直線」且つ「2穴」であり、続いて「直線」且つ「4穴」である。
図10から分かるように、上流側で発生した旋回流はロッド部27bの下流端まで持続する。このため、上流側連通孔27boaのみに本実施例の構成を適用し、下流側連通孔27bobは比較例2の構成にしても、本発明の目的は達成される。もちろん上流側連通孔27boa及び下流側連通孔27bobの両方に本実施例の構成を適用することがより好ましい。
さらに、上流側連通孔27boaと下流側連通孔27bobとで、「曲線」又は「直線」の構成を変えたり、その数を変えたりしてもよい。この場合、上流側連通孔27boaに強い旋回流を発生することができる「直線」且つ「2穴」、又は「直線」且つ「4穴」の構成を採用し、下流側連通孔27bobに本実施例のその他の構成や比較例2の構成を採用することが好ましい。
或いは、旋回流が発生する範囲内で、複数の連通孔27boa,27bobに「曲線」と「直線」の連通孔を混在させることもできる。
なお、ロッド部27bの周方向において、上流側連通孔27boaの個数及び下流側連通孔27bobの個数は、2穴、3穴又は4穴に限定される訳ではなく、1穴又は5穴以上の個数であってもよい。しかし、連通孔27boa,27bobが1つ場合は、周方向の全周に均質な旋回流を流すことが難しくなるため、2つ以上の連通孔27boa,27bobを、できれば周方向に等間隔に配置することが望ましい。
図12を参照して、本発明に係る燃料噴射弁を搭載した内燃機関について説明する。図12は、燃料噴射弁1が搭載された内燃機関の断面図である。
内燃機関100のエンジンブロック101にはシリンダ102が形成されおり、シリンダ102の頂部に吸気口103と排気口104とが設けられている。吸気口103には、吸気口103を開閉する吸気弁105が、また排気口104には排気口104を開閉する排気弁106が設けられている。エンジンブロック101に形成され、吸気口103に連通する吸気流路107の入口側端部107aには吸気管108が接続されている。
燃料噴射弁1の燃料供給口2(図1参照)には燃料配管110が接続される。
吸気管108には燃料噴射弁1の取付け部109が形成されており、取付け部109に燃料噴射弁1を挿入する挿入口109aが形成されている。挿入口109aは吸気管108の内壁面(吸気流路)まで貫通しており、挿入口109aに挿入された燃料噴射弁1から噴射された燃料は吸気流路内に噴射される。二方向噴霧の場合、エンジンブロック101に吸気口103が二つ設けられた形態の内燃機関を対象として、それぞれの燃料噴霧が各吸気口103(吸気弁105)を指向して噴射される。
以上説明したように、各連通孔27boa,27bobを適切に配置すると共に、各連通孔27boa,27bobの開口面積を適切な大きさにすることによって、各連通孔27boa,27bobを通じてロッド部27bの内部から外部に流出する燃料の流速を高めることができる。さらに、各連通孔27boa,27bobはロッド部27bの外周に線下流を発生させる。これにより、ロッド部27bの外周側における死水域の発生を抑制することができる。これにより、万が一、燃料流路3内に異物が混入しても、その異物を速やかに燃料流路3内から排出することができ、慣らし運転の時間を短縮することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、一部の構成の削除や、記載されていない他の構成の追加が可能である。