JP2019209438A - バイト用ホルダ及びバイト - Google Patents

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Takahiro Saeki
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Abstract

【目的】上顎又は下顎自身の弾性変形による締め付け力で、切削インサートを固定するセルフクランプ方式のバイト用ホルダで、それとは別途の専用工具を要することなく、切削インサートの着脱を簡易にできるようにする。【解決手段】上顎120と下顎130とを含むクランプ部位103には、所定の回転軸線Gの回りに回転させ得るカム部材160であって、所定角度回転させることで、上下両顎の間に切削インサート300の配置が可能となるよう、上顎120を弾性変形させ得ると共に、その変形状態から所定角度回転させることで、その弾性変形量を減らして上下両顎120,130間にて切削インサートを挟み込む状態が得られる外周面形状を有するカム部材が装着されている構造とした。カム部材120は、これを外部から回転させるための工具に係合する工具係合部169を備えている。【選択図】 図2

Description

この発明は、旋削で工作物に溝を入れる溝入れ加工や、工作物を切断する突っ切り加工に用いられるバイトをなすバイト用ホルダ、及びこれに切削インサートを挟み込んでクランプしてなるバイトに関する。
この種のバイト用ホルダとしては、従来、上顎と下顎との間に、切削インサートを挿入又は嵌め込み得る空間(クランプ用空間)と、その空間の奥に該空間と連なって後方に延びるスリットとを有し、そのクランプ用空間に切削インサートを配置し、その上下両顎の間隔が小さくなるよう、上顎を、変形しない下顎側に向けてボルトをネジ込むことで弾性変形させ、その上顎にて切削インサートにおけるすくい面側を押え付けるようにすることで、これをクランプするようにしたものがある。このものでは、その構造上、ボルトを緩めることで、上顎はその弾性(復元力)により元の位置に戻ることになるのでアンクランプとなり、切削インサートの脱着を行い得る。
ところが、このようなバイト用ホルダでは、例えば、過誤により、切削インサートが下顎の上面(座面)に配置されていないのにもかかわらず、作業者がそれが配置されているものと勘違いして、上記したようにボルトを締めてしまい、上顎を塑性変形させる等、その後の使用ができない破損を招いてしまうことがある。また、このようなクランプに使用されるボルトは、上顎を変形させるために頭部付きのボルトとされるが、それが配置される上顎側のザグリ穴の座面が、多数回の使用等に起因して荒らされることで、締め付け時の抵抗が増大し、所定のトルクでボルト締めしても、十分な締め付けが得られないことがあり、このような場合には、締め付け力不足となり、切削抵抗で切削インサートが外れるということがあった。逆に、機械加工の現場では、潤滑性の高い油が下顎側のネジ孔に入り込んだり、ボルトのネジ山に付着したりすることがあり、このような場合には、ネジ込みの異常な円滑化により、ボルトの締め過ぎによる切削インサートの破損を招くということもあった。こうした中で、そのような課題が解決されるバイト用ホルダが各種提案されている(特許文献1、2参照)。
これらの特許文献1,2に記載の技術は、自由状態における上顎と下顎との間がクランプする切削インサートの上下(高さ)寸法より微量小さい空間と、該空間の奥にそれと連なって後方に向けて延びるスリットとを有するバイト用ホルダであり、専用工具を用い、上顎をそのスリットによる変形容易化により上方に弾性変形させて、上下両顎の間隔を広げ、その状態でその上下両顎間に切削インサートを配置し、その後、その専用工具の駆動によりその変形状態を解除するようにし、残存するその弾性変形にて、切削インサートをクランプするというものである。すなわち、上顎自身の弾性変形を利用して、切削インサートをクランプするというものであり、上記したボルトのねじ込みで上顎を下方に弾性変形させることによって切削インサートをクランプするものとは、クランプ手法が対照的なものである。
すなわち、これらのものでは、専用工具を用いて上下両顎の間隔(クランプ用空間の高さ)を広げ、そのクランプ用空間に切削インサートを配置した後、その専用工具を動かして、上顎の弾性変形を元に戻すようにし、自由状態におけるクランプ用空間の高さより高い上下間寸法の切削インサートをクランプするというものである。このようなホルダでは、上顎は、切削インサートの高さと、自由状態におけるクランプ用空間の高さの差分の弾性変形状態に置かれることになり、そのときの上顎自身に弾性変形を発生させる力で、切削インサートを挟み付けることからセルフクランプ方式とも称される。そして、このような特許文献1、2に記載の技術では、上顎は設定された寸法差分の弾性変形によってクランプ力を付与するセルフクランプ方式であるため、クランプ力に強弱のバラツキもなく、それを一定に保持できる上に、上記したボルト締めによるクランプ構造のホルダにおけるような課題の発生もないが、つぎのような解決すべき課題があった。
特開2015−9359号公報 特開平07−195208号公報
というのは、上記した特許文献1、2に記載の従来技術においては、切削インサートの脱着(クランプ、アンクランプ)の際において、上下両顎の間隔を広げるのに、バイト用ホルダとは別の独立の専用工具を用いる必要があるという点である。すなわち、特許文献1、2に記載の従来技術においては、その専用工具をバイト用ホルダとは別に、常にそれと関連付けて保管し、管理する必要があるから、その分の手間がかかるだけでなく、煩わしさがある。また、その専用工具が損傷や破損したり、紛失したりすると、脱着の作業が困難となり、切削加工作業の中断を余儀なくされてしまう。また、特許文献2に記載のものでは、アンクランプ時の専用工具による上顎の押し広げにおいては、梃を利用するものであることから、その過剰変形を発生させることがある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、上顎自身の弾性変形によって付与される締め付け力により、切削インサートを固定し得る構造のセルフクランプ方式のバイト用ホルダにおいて、バイト用ホルダとは別途の専用工具を要することも、上顎の過剰変形を招くこともなく、切削インサートの着脱を簡易にできる構造、機構を備えたバイト用ホルダを提供することをその目的とする。
請求項1に記載の本発明は、上顎と下顎の間の空間と、該空間に連なって後方に向けて延びるスリットとを有し、該スリットの間隔が広がるように前記上顎または下顎を変形させた状態で、その上下両顎間にて切削インサートを挟み込むクランプ部位を備えてなるバイト用ホルダであって、
前記クランプ部位には、所定の回転軸線の回りに回転させ得るカム部材であって、所定角度回転させることで、前記上顎または下顎を、前記上下両顎の間に前記切削インサートの配置が可能となるよう弾性変形をさせ得ると共に、その弾性変形状態から所定角度回転させることで、該弾性変形量を減らして該上下両顎間にて該切削インサートを挟み込む状態が得られる外周面形状を有するカム部材が装着されており、しかも、該カム部材は、これを外部から前記回転軸線の回りに回転させるための工具に係合する工具係合部を備えていることを特徴とするバイト用ホルダである。
請求項2に記載の本発明は、前記カム部材が、前記上下両顎間にて該切削インサートを挟み込んでいない状態において、前記上下顎を変形の無い状態にし得る前記外周面形状を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のバイト用ホルダである。
請求項3に記載の本発明は、前記カム部材が、前記スリットの先後方向における中間位置よりも前方に位置して装着されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のバイト用ホルダである。
請求項4に記載の本発明は、前記カム部材が、前記回転軸線を前記下顎側に位置して装着され、その回転によって前記上顎を弾性変形させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイト用ホルダである。
請求項5に記載の本発明は、前記カム部材が、小径円軸部と大径円軸部とを偏心状態で有する偏心円軸体で、該小径円軸部の軸線を前記回転軸線として回転するよう装着され、その回転によって前記大径円軸部の外周面が前記上顎を弾性変形させるカムをなしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイト用ホルダである。
請求項6に記載の本発明は、前記下顎の後方の前記スリットを形成する上向き面に、円弧状凹部が設けられている一方、
前記カム部材は、該円弧状凹部内においてその円の中心を前記回転軸線として該円弧状凹部の内周面に拘束されて回転できる円軸体の円弧の一部を先後方向の全体にわたって面取りした形状であって、その外周面が前記外周面形状を有するものにされてなるものであり、該円弧状凹部の内周面に拘束されて回転するよう装着され、その回転によって前記上顎を弾性変形させるカムをなしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイト用ホルダである。
請求項7に記載の本発明は、前記カム部材は、該カム部材を1回転させるときに、前記上下両顎の間に前記切削インサートの配置が可能となる前記上顎の弾性変形状態が複数回得られる前記外周面形状を有するものとされていることを特徴とする請求項6に記載のバイト用ホルダである。
請求項8に記載の本発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイト用ホルダにおける前記上下両顎の間に切削インサートが挟み込まれて固定されていることを特徴とするバイトである。
本発明の請求項1又は2に記載のバイト用ホルダによれば、前記カム部材を所定角度回転させて、両顎間が切削インサートの高さ以上の間隔となるよう前記上顎または下顎を押し上げる弾性変形をさせることにより、その切削インサートの配置ができる。そして、その状態から前記カム部材を所定角度回転させることで、該上下両顎間に切削インサートを挟み込み、セルフクランプすることができる。また、切削インサートの交換においても、同様にすることで、その脱着をすることができる。なお、請求項1−3に記載のバイト用ホルダにおいて弾性変形させるのは、上記したように上顎または下顎のいずれでもよいが、以下の記載においては、説明の簡易化のため、原則として、上顎を弾性変形させる場合を前提として説明する。
そして、本発明によれば、前記カム部材が、バイト用ホルダ自体に装着されており、その回転を外部からさせるための工具に係合する工具係合部を備えている。このため、工具係合部を汎用性のある通常工具(レンチ、又はスパナ等)の使用ができる多角形の穴や凸部等の工具係合部として形成しておくことで、専用工具を要することもなく、簡易に切削インサートを脱着できる。このように本発明によれば、切削インサートの脱着において、別途の専用工具を要しないので、その専用工具の管理の必要がなく、しかも、その紛失等による作業中断等のトラブルの発生も招かない。さらに、カム部材の回転により、上顎を弾性変形させる構造であるから、その最大リフト量を一定に保持でき、作業者によるクランプ力のバラツキや上顎の過剰変形を発生させることもない。
前記カム部材は、請求項2に記載のように、前記上下両顎間にて該切削インサートを挟み込んでクランプしていない状態においては、前記上顎または下顎を変形の無い自由状態に保持し得る外周面形状(カム線図)を有するものであるのが好ましい。すなわち、前記上下両顎間にて該切削インサートを挟み込んでクランプしていない状態(アンクランプ状態)においては、前記カム部材に負荷がかからないようにするのがよいが、該カム部材に影響がない範囲であれば、適度の負荷がかかるものであってもよい。また、前記カム部材は、前記上顎の下向き面に連なる後方部位の前記スリットの先後間に配置すればよいが、請求項3に記載のように、前記スリットの先後方向における中間位置よりも前方に位置して装着するのが、上顎または下顎の変形容易性より好ましいといえる。ただし、その装着位置は、前記上顎の変形容易性を考慮しつつ、設定すればよい。
前記カム部材は、上顎または下顎を上記したように弾性変形させることができればよく、したがって、上顎又は下顎のいずれの側に設けてもよいが、請求項4に記載のように、前記回転軸線を前記下顎側に位置して装着するのが、装着する位置の自由度も高く、ホルダのコンパクト化の要請上からしても、好ましいといえる。というのは、下顎は、切削主分力を受圧するところであるから、強度維持のためにその高さ寸法も大きいのが普通であり、前記カム部材を内蔵状態で装着するスペースも確保しやすいためである。一方、請求項1に記載の発明において、前記上下両顎の間に前記切削インサートの配置が可能となるよう弾性変形をさせるのは、該上下両顎のいずれでもよいわけであるが、上顎は、下顎のような強度は要しないから、このように弾性変形させるのは、請求項4に記載のように、上顎とするのがよい。
前記カム部材は、上顎に上記の弾性変形ないし動きを付与できればよく、適宜のものとすればよいが、例示をすれば、請求項5に記載のように、小径円軸部と大径円軸部とを偏心状態で有する大小異径の偏心円軸体で、該小径円軸部の軸線を前記回転軸線として回転するよう装着され、その回転によって前記大径円軸部の外周面が前記上顎の動きをさせるカムをなしているものが挙げられる。なお、このカム部材においては、該大径円軸部の外周面のうち、上顎に最大リフト量を付与する外周面の箇所に、平面(微小な平面又は凹み)を付けておくとよい。このようにしておけば、その最大リフト量を付与するときの回転中、その平面の存在により、その位置への到達が感覚的にも了知し易い上、その上顎の弾性変形状態を安定させることができるから、切削インサートを上下両顎の間に配置しやすくなる。
上記した請求項5に記載の前記カム部材においては、前記小径円軸部が、いわば固定部で、前記大径円軸部が片持ちで浮く状態となるため、上顎が変形しにくい高強度のものであるような場合には、前記大径円軸部が反力でその根元において曲がりを起こし、上顎に所望とする最大リフト量を付与できない場合がある。これに対し、請求項6に記載のカム部材とすることで、それの前記回転軸線の回りの回転時に、その外周面を、前記円弧状凹部の内周面で拘束させて支持することができるため、そのような変形の発生もないので、上顎に所望とする最大リフト量を安定して付与できる。そして、この場合も含め、前記カム部材は、左右いずれへの回転でも、360度の1回転の中で、前記上顎の弾性変形状態が複数回得られる外周面形状を有するものとするのが、上記上顎の動きを得るのに必要な回転角度も少なくてすみ、回転操作の簡易性が向上するために好ましい。
本発明のバイト用ホルダを具体化した実施の形態例1を説明する分解斜視図、及びその要部の部分断面拡大図。 図1のバイト用ホルダの説明図であり、Aは両顎のある一側面から見た図(正面図)、及びその部分拡大図、Bは平面図(上から見た図)。 Aは、図2のAを先端側から見た拡大図、Bは、図2のS1−S1線断面図。 Aは、図2のS2−S2線断面図、Bは、Aにおいてカム部材を除去した図。 カム部材の説明図であり、Aは、大小異径の偏心円軸体を正面から見た図、Bは、Aの左端面図(小径円軸部の端面から見た図)、その及びその偏心を説明する拡大図、Cは、Aの右端面図(大径円軸部の端面から見た図)。 Aは、カム部材の所定角度の回転により上顎が上方に最大リフト量で弾性変形している状態の説明図、Bは、Aの弾性変形状態で切削インサートを両顎間に挟み込ませた状態の説明図、Cは、その後、カム部材を所定角度回転させて、切削インサートをセルフクランプ方式でクランプしている状態の説明図。 本発明のバイト用ホルダを具体化した実施の形態例2を説明する斜視図、及び要部の拡大図。 図7のホルダの分解斜視図、及び、クランプ側ホルダ本体の拡大図。 図7のホルダを図8と反対側から見た分解斜視図、及び、クランプ側ホルダ本体の拡大図。 Aは図7のバイト用ホルダを両顎のある一側面から見た図(正面図)、及びその部分拡大図、Bは平面図(上から見た図)。 Aは、図10のAを先端側から見た拡大図、Bは、図10のS3−S3線断面図。 図10のS4−S4線拡大断面図。 カム部材の説明用拡大図であり、Aは、端面から見た図、Bは、その平面図、Cは、Aの右側面図。 カム部材を所定角度の回転により上顎が上方に最大リフト量で弾性変形している状態であって、両顎間に切削インサートを配置した状態の説明図、及びその要部拡大図。 図14の状態からカム部材を所定角度回転させて、切削インサートをセルフクランプ式でクランプしている状態の説明図。 Aは、カム部材の変形例を端面から見た拡大図、Cは、Aの右側面図。
本発明に係るバイト用ホルダを具体化した実施の形態例1について、図1〜図6を参照しながら詳細に説明する。図中、100は、本形態例のバイト用ホルダを示したもので、横断面矩形で延びるシャンク101aを有するバイト用ホルダ本体101の先端側(図1の左側)に、溝入れ用(又は突っ切り用)の切削インサート300を挟み込んでクランプするためのクランプ部位103を一体で備えている。本例では、バイト用ホルダ100の一側面105に沿い、その切削インサート300の切れ刃305の幅より狭い所定幅で、先端において先方に突出する上顎120と下顎130とを有しており、その上顎120と下顎130(以下、上下両顎ともいう)の間に、その切削インサート300を挟み込んでクランプするよう、クランプ部位103は次のように形成されている。なお、切削インサート300は、先後に長い棒状をなし、その両端面に逃げ面があり、同面の各端寄り部位にすくい面304を有して2つの切れ刃305を備えるもので、両すくい面304の間の三角溝が、上顎120にて押え付けられてクランプされるところの固定面307をなしている。
下顎130は、切削時における主分力を受けるところであり、バイト用ホルダ本体101の下面107から、そのシャンク部101aの上面109近傍までの高さを有し、切削時において変形を生じないような十分な剛性、強度があるものとして、バイト用ホルダ本体101の先端111において突出するように設けられている。この下顎130は、その上面133が切削インサート300を着座させる座面をなし、切削インサート300の切れ刃305の幅より少し狭い所定幅で、バイト用ホルダ本体101の下面107と略平行で先後に延びている。その上面(座面ともいう)133の先後長は、切削インサート300の下面の長さと略同じとされ、その座面133の後端には、切削インサート300の後方への移動を規制するための後拘束壁(先方向き壁面)135が立ち上がるよう形成されている。ただし、座面133の後拘束壁135寄り部位には、下向きに凹む下顎側凹部134が切り込み形成されている。本例ではこの座面133は、その表面が断面において、切削インサート300の下面に形成された三角溝に嵌る低い山形を呈し、横ずれ防止が図られている。なお、下顎130の先端面は、座面133寄りの垂直面部136より下方が、下に向かって後に傾斜する斜面をなしている。
一方、上顎120は、それ自体の弾性変形により、下顎130とで切削インサート300を挟み付けてクランプするところであり、切削インサート300のすくい面304側の固定面307を押え付けるよう、切削インサート300の切れ刃305の幅より狭い所定幅で、適度の高さ(厚み)をなし、自由状態(無負荷状態)でバイト用ホルダ本体101のシャンク101aの上面109と略平行で、バイト用ホルダ本体101の先端111に向けて突出するよう設けられている(図2参照)。ただし、この上顎120の先方への突出長は下顎130のそれより短く、したがって、上顎120の先端は下顎130の先端よりも後ろに位置するよう形成されている。本例では、切り屑排出性のため、上顎120の上面122の先端寄り部位123は、先端に向けて下向き傾斜面をなしており、その先端が下顎130の座面133に配置される切削インサート300におけるすくい面304の後端に位置し、この上顎120が、切削インサート300の固定面307を押え付ける設定とされている。ただし、切削インサート300の固定面307を押え付ける押え付け面124は、上顎120の下面(下向き面)のうちの先端寄り部位であり、その後端寄り部位には上向きに凹む上顎側凹部126が設けられて、上下両顎の間の空間(クランプ用空間)の奥に位置する切れ刃305に干渉しないようされている。なお、押え付け面124は、座面133と同様、クランプする切削インサート300のすくい面304側の固定面307の三角溝に嵌る山形を呈し、その横ずれ防止が図られている。
この上顎120の下向き面である押え付け面124と、下顎130の座面133との間のクランプ用空間における高さは、自由状態では、切削インサート300を挿入できない高さをなしている。すなわち、上下両顎120,130の間の空間の高さは切削インサート300の高さ(切削インサート300の下面と固定面307における上下)寸法より小さくなるものとされており、切削インサート300を挟み込んだ時は、上顎120にその寸法差の分の弾性変形を発生させる外力に相当する外力(バネ力)を生じさせ、この外力で切削インサート300を挟み込むことになる。
また、本例では、バイト用ホルダ本体101の先端寄り部であるクランプ部位103の上面には、シャンク101aにおいて一体で***する平坦な***部113を備えており、上顎120は、その***部113からバイト用ホルダ本体101の一側面105に沿って先端に向けて突出するように延びるものとされている。なお、バイト用ホルダ本体101を上から見たとき、***部113の先端115のうち、上顎120と反対側の一側面117寄り部位は、バイト用ホルダ本体101の上下間において面取り状にカットされている(図2−B参照)。このような本例のバイト用ホルダ100では、切削インサート300の切れ刃305先端から***部113の先端115までが、切り込み量の限界となる。
さて、上記した上顎120と下顎130の間の空間(クランプ用空間)の奥であり、下顎130の後拘束壁135の上部と、上顎120の後端部との間には、そのクランプ用空間に連なって後方に向けて延びるスリット140が形成されている。このスリット140は、上顎120と下顎130の後端から、***部113においてもその幅方向全体にわたり水平に切り込まれている。ただし、本例のスリット140は、バイト用ホルダ本体101をその一側面105側(上下両顎120,130が設けられている側)から見たとき(図2−A参照)、バイト用ホルダの下面107に平行に後方に向けて延び、***部113の後端寄り部位で下向きに延び、下顎130の座面133と同じか、それより低位でバイト用ホルダ本体101の下面107に平行に、***部113よりも後方に向けて延びている。
本例のバイト用ホルダ100のうち、下顎130は剛性、強度も高く変形しないが、このようなスリット140により、上顎120は、スリット140よりも上の部位である***部113を含み、スリット140の後端142を基端として、図2中に、2点鎖線で示したように上方に弾性変形できるよう形成されている。なお、スリット140は、適正な力で必要な弾性変形が得られるよう、その後端142に向かう長さ、厚み(空隙厚み)等が設定される。必要な弾性変形は、次記するカム部材の回転により、上下両顎120,130間に切削インサート300を挿入、配置し得る間隔が得られる変形である。
さて次に本発明の要部をなすところの、本例のカム部材160、及びそれがバイト用ホルダ本体101のクランプ部位103に装着される構造について説明する。本例では、バイト用ホルダ本体101のスリット140よりも下の部位、すなわち、下顎130側であり、スリット140の後端142と前端との中間部位に、次記するカム部材160が装着されている。すなわち、図2の拡大図中に示したように、スリット140を形成する上向き面138には、一側面105に開口すると共に下側に凹む形で、凹部150が設けられている(図1の拡大図参照)。その凹部150のうち、一側面105から見たときの奥の面である底壁面155に、次記するカム部材160の小径円軸部163を回り対偶となるよう挿入して、装着可能の円形穴157が設けられている。この凹部150は、これを一側面105側から見ると、下が半円状をなし、上(スリット140側)がその円の幅で上に延びてスリット140に開口する形状の内周壁面153を有しており、また、底壁面155に設けられている円形穴157は、一側面105と反対の一側面117に向けて貫通して設けられている(図2〜図4参照)。
一方、本例におけるカム部材160は、図5に示したように、小径円軸部163と大径円軸部165とを所定の偏心量Eの偏心状態で有する大小異径の偏心円軸体である。このカム部材160は、この小径円軸部163が、上記した凹部150の奥の底壁面155に設けられた円形穴157に挿入され、その円形穴(小径円軸部163)の軸線Gを中心(回転軸線)として、その軸線回りに回転するよう装着されており、その回転により大径円軸部165の外周面167がカムをなすものとされている。
そして、本例では、このように装着されているカム部材160の大径円軸部165が、回転軸線Gに対し、偏心量Eを真下にして位置しているときの、その大径円軸部165の上端(大径円軸部165の外周面167)P1は、上顎120の後方に連なる下向き面128に接することなくそれを自由状態に保持する設定とされている(図2拡大図参照)。他方、その状態から、所定角度、例えば180度回転させられることにより、回転軸線Gに対し、偏心量Eを真上にして位置することで、大径円軸部165の上端P2は、P1の位置から偏心量Eの2倍分高位となり、上顎120の後方に連なる下向き面128を上方に押し上げるように弾性変形させることによって最大リフト状態とし、このときにおいて、切削インサート300を上下両顎120,130の間に挿入できるものとされている(図6−A参照)。しかして本例では、その状態で、図6−Bに示したように、上下両顎120,130の間に切削インサート300を挿入した後、図6−Cに示したように、カム部材160を左右いずれかに、180度回転させることで、大径円軸部165は偏心量Eを真下に位置することになると同時に、上顎120はその弾性変形を減らし、下向き面128を下げ、切削インサート300を弾性的にセルフクランプすることになる設定とされている。
なお、凹部150は、小径円軸部163の回転において、大径円軸部165の回転に干渉しないよう、その内周壁面153が形成されている。このように本例では、大径円軸部165は、小径円軸部163を円形穴157において所定角度回転させたとき、自由状態にある上顎120を、上下両顎120,130の間に切削インサート300の配置が可能となるよう押し上げて弾性変形させ得ると共に、その配置後において、その弾性変形状態から所定角度回転させることで、その上顎120の変形を減らして、切削インサート300を弾性的にセルフクランプすることができる外周面形状(カム線図)を有するよう、そのカム部材160における偏心量E、大径円軸部165の外径が設定されている。なお、このようなカム部材160は、その小径円軸部163を円形穴157に挿入し、図示しない抜け止め手段により、その抜け止めが図られている。本例では、小径円軸部163を円形穴157に単なる回り対偶で組み付けたが、円形穴157をメネジのネジ穴として、小径円軸部163をオネジとしてネジ対偶としておき、その回転において上記上顎120の動きをさせることとしてもよい。
また、大径円軸部165の外向きの端面には、このカム部材160を、回転させるための工具に係合する工具係合部169が設けられている。この工具係合部169は、汎用性のある一般工具である公知のレンチ等の使用にて、カム部材160の小径円軸部163を円形穴157の軸線回りに回転させることが出来さえすればよいので、多角形の突起でもよいが、本例では、通常のL型レンチで回転させるため、その端面に、工具係合部169として多角形(例えば、6角)の穴(回転工具係合用凹み穴)が、小径円軸部163の中心軸(軸線G)と同軸で設けられている。
しかして、このような本例のバイト用ホルダ100は、これを切削に使用しない時は、カム部材160を回転させて、その大径円軸部165の外周面167が、スリット140を形成する上顎120側の下向き面128に接触しない位置となるよう、例えば、回転軸線Gに対し、偏心量Eが真下に位置するものとしておく(図2拡大図参照)。一方、切削インサート300をクランプしてバイトとして使用する際には、そこから図6−Aに示したように、カム部材160を180度回転させて、大径円軸部165の上端P2にて、上顎120の後方に連なる下向き面128を上方に押し上げ、切削インサート300を上下両顎120,130の間に挿入できるようにし、その状態で、図6−Bに示したように、上下両顎120,130の間に切削インサート300を挿入し、その後、図6−Cに示したように、カム部材160を左右いずれかに、180度回転させる。かくして、上顎120はその弾性変形を減らし、切削インサート300は弾性的にセルフクランプされる。
すなわち、このような本例のバイト用ホルダ100によれば、カム部材160の大径円軸部165に設けられた工具係合部169にレンチを差し込み、それを所定角度回転させることで、自由状態にある上顎120の後方において連なるそのスリット140における下向き面128に当接し、その下向き面128を圧接状態で押し上げ、上顎120をスリット140の後端142を基端として上向きに必要量弾性変形させることになり、上下両顎120,130の間のクランプ用空間に切削インサート300の配置が可能となる。これにより、その状態において、所定の切削インサート300をそこに配置し、その配置後は、レンチを所定角度回転させることで、カム部材160による上顎120のリフトがなくなるようにすることで、切削インサート300のセルフクランプがされることになり、バイトを得ることができる。なお、切削インサート300の交換におけるアンクランプにおいても、前記したのと同様にカム部材160を回転すればよい。
上記したように、本例のバイト用ホルダ100によれば、切削インサート300の脱着に、バイト用ホルダとは別途の専用工具を要することもなく、バイト用ホルダ本体101に装着されているカム部材160を、通常の工具にて回転することで切削インサート300の脱着ができる。よって、従来におけるような専用工具の管理の必要もない上に、専用工具の紛失等による作業中断等のトラブルの発生もない、セルフクランプ方式のバイト用ホルダとなすことができる。しかも、カム部材160の回転により、上顎120を弾性変形させるものであるから、その最大リフト量を一定に保持できるため過剰変形の発生を招くこともない上、クランプ力のバラツキも発生させない。
上記例におけるカム部材160の大径円軸部165の外周面167のうち、上顎120の最大リフト時の位置P2には、上記したように、必要なリフトが得られる範囲で、小さくとも平面を付けておくのがよい。また、上記もしたように、カム部材160は、その回転で、スリット140の間隔を広げて上顎120を上方に弾性変形させることができればよいので、上顎120側に回転軸線Gが位置するものとして装着することとしてもよいが、本例のように、下顎130側に回転軸線が位置するものとして装着することにより、上顎120の大型化を招かないので、バイト用ホルダのコンパクト化も図られる。また、カム部材160をスリット140の先後のうちのどこに装着するかは、上顎120の変形容易性及び変形量(上顎120の押し上げ量)等を考慮し、その位置を設定すればよい。また、カム部材160を回転させる回転軸線は、その回転によって上顎120を上方に弾性変形させることができればよく、その限りにおいて、適宜の方向に延びるものとして設けることができる。さらに、前記例でのカム部材160は、小径円軸部163と大径円軸部165とを偏心状態で有する大小異径の偏心円軸体からなるカム(偏心カム)としたが、カム部材は、上記した上顎120の動きが得られるものであればよく、適宜のものとして具体化できる。すなわち、大径円軸部が、その回転の中心から外周面までの距離が一定ではないものであればよく、例えば、本例の大径円軸部を略三角形状に置き換えたカム部材(三角カム)として具体化できる。
次に、上記例において用いたカム部材160とは異なる外周面形状(カム線図)を有するカム部材170を用いた実施の形態例2のバイト用ホルダ200について、図7−図16を参照しながら詳細に説明する。ただし、このものは、バイト用ホルダ200を構成するバイト用ホルダ本体201が、シャンク側バイト用ホルダ本体202と、上下両顎120,130を備えるクランプ側バイト用ホルダ本体(クランプ部位)203との、2つの分割本体の組立体からなるものであり、シャンク側バイト用ホルダ本体202の先端寄り部位に設けられた凹部210に(図8参照)、クランプ側バイト用ホルダ本体203を嵌合状に位置決め配置して、ボルト180による締め付けによって固定し、組み付けてなるものである。一方、クランプ部位をなすクランプ側バイト用ホルダ本体203における上下両顎120,130近傍の構成は、カム部材170、及びその装着の構造を除けば、上記例におけるそれと基本的に共通する。このため、以下の本例のバイト用ホルダ200の説明では、上記例におけるバイト用ホルダ100におけるバイト用ホルダ本体101と、カム部材160及びその装着の構造との相違点を中心として説明し、同一又は共通する部位には、同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
バイト用ホルダ200を構成するシャンク側バイト用ホルダ本体202は、そのシャンク202aが横断面矩形で先後に延び、先端寄り部位には、クランプ側バイト用ホルダ本体203を拘束して位置決めし、組み付けるための凹部210を備えている。この凹部210は、図8に示したように、シャンク側バイト用ホルダ本体202の先端寄り部位において、一側面105、上面220及び先端面を開口し、一側面105に対して平行で凹む主壁面213、底壁面(上向き面)215、そして後方壁面(先方向き面)217とからなっている。底壁面215は、クランプ側バイト用ホルダ本体203の下面205を拘束する部位であり、一側面105から離間する方向に低位をなす傾斜面をなしており(図11参照)、クランプ側バイト用ホルダ本体203の後面207を拘束する後方壁面217は、底壁面215の後端において円弧部を介して立ち上がり、その上部は、この凹部210に組付けられるクランプ側バイト用ホルダ本体203の後面207を斜め下向きに拘束し、その持ち上がりを規制する傾斜面をなしている。主壁面213における後方には、クランプ側バイト用ホルダ本体203をボルト締めで固定するためのネジ穴219が2箇所貫通して設けられている。なお、前記した凹部210に対応する部位の、下面205は他より低位をなし、凹部21の主壁面213に沿う上面220がシャンク202aの上面109より高位をなす平坦面とされている。
一方、クランプ側バイト用ホルダ本体203は、切削インサート300を挟み込んでクランプする上下両顎120,130を有し、その上下両顎120,130の間にクランプされる切削インサート300の上下間寸法より小さいクランプ用空間と、それに連なって後方に向けて延びるスリット140とを有し、一体で形成されてなるものであり、上記例におけるバイト用ホルダのクランプ部位103に代る部分である。このクランプ側バイト用ホルダ本体203は、前記した凹部210の各壁面に拘束されて組み付けられるよう所定厚さのブロック状の基部204をベースとするもので、その下面205は、凹部210の底壁面215に略密着するような傾斜を有し、先後に真っ直ぐ延びるものとされており、後面207は、凹部210の後方壁面217の傾斜面に押し付けられるよう傾斜状に形成されている。
このクランプ側バイト用ホルダ本体203は、上下両顎120,130が設けられている一側面105aと反対の一側面106、下面205、及び後端面207を、それぞれ、シャンク側バイト用ホルダ本体202における凹部210の上記した3つの壁面(主壁面213、底壁面215、及び後方壁面217)に押し付けるようにされ、その一側面105aに設けられた2つのボルト穴(ザグリ穴付きボルト穴)230から、頭部付きのボルト180を通し、主壁面213に設けられたネジ穴219にボルト締めされて固定され、組み付けられており、この組付けによりバイト用ホルダ200をなすものとされている。なお、クランプ側バイト用ホルダ本体203は、その組付け状態で、上下両顎120,130が位置する側の一側面105aが、シャンク側バイト用ホルダ本体202における一側面105より外に張り出しており、上面227は、シャンク側バイト用ホルダ本体202の凹部210を形成する主壁面213部位の上面220より高位をなすよう形成され、先方に向けて下傾する傾斜面をなしている。このように組み付けられているクランプ側バイト用ホルダ本体203は、基部204の先端225が、シャンク側バイト用ホルダ本体202の先端115と略一致している。
このようなクランプ側バイト用ホルダ本体203は、上記例におけるバイト用ホルダ本体101のクランプ部位103と同様、その一側面105aに沿い、クランプする切削インサート300の切れ刃305の幅より狭い所定幅で、基部204の先端面225において先方に突出する上顎120と下顎130とを有している。そして、その上下両顎120,130の間に、切削インサート300を挟み込んでクランプするよう形成されているなど、上下両顎、及び上下両顎の間のクランプ用空間と、それに連なって後方に向けて延びるスリット140についての基本構成は上記例におけるクランプ部位103の構成と共通する。以下、その相違点、カム部材170及びその装着構造を中心として説明する。
上顎120は、その上面122が、後方に向かうに従い上傾する傾斜をなし、クランプ側バイト用ホルダ本体203の上面227に連なっている。この上顎120の先方への突出長は、下顎130より短く、したがって、上顎120の先端は下顎130の先端よりも後に位置するよう形成され、また、上顎120の先端とその上面122との角が面取り状に形成されている。この上顎120のうち、切削インサート300の両端の切れ刃305のすくい面304相互間の面(固定面307)を押え付ける上顎120の下向き面である押え付け面124の後端から後方は、その上面122と平行な傾斜で連なる下向き面128をなし、この下向き面128と、下顎130の座面133の後方の後拘束壁135の上部において後方に延びる上向き面138とで、略一定の空間高さのスリット140が、クランプ側バイト用ホルダ本体203の幅方向の全体において後方に切り込まれている。
すなわち、上顎120と下顎130に挟まれる空間(クランプ用空間)の奥であり、下顎130の後拘束壁135の上部と、上顎120の後端部との間は、そのクランプ用空間に連なって後方に向けて延びるスリット140が設けられている。ただし、本例のスリット140は、クランプ側バイト用ホルダ本体203をその一側面105a側から見たとき、クランプ側バイト用ホルダ本体203をなす基部204の幅方向において、上顎120の下向き面である押え付け面124より後方の下向き面128に沿い、後方に向かうに従い上位となる直線状の傾斜で延び、急傾斜部を介して、さらに上位となる傾斜で延びその後端において下向きの1/4円弧をなしてクランプ側バイト用ホルダ本体203の後端寄り部位まで延びている。このようなスリット140により、上記例におけるのと同様、クランプ側バイト用ホルダ本体203の下顎130は剛性、強度も高く変形しない一方で、上顎120がスリット140を挟んで、基部204のうちの、上顎120の後部を含み、スリット140の後端142を基端として、上方に弾性変形し易いものとなっており、図10の拡大図中に2点鎖線で示したように変形するよう形成されている。なお、下顎130の座面133は、本例では、先後において凹部を介して分断され、着座の安定が図られている。
さて、次に本例におけるカム部材170、及びその装着等について説明する。クランプ側バイト用ホルダ本体203のスリット140よりも下の部位、すなわち、下顎130側であって、スリット140の先後方向の前端寄り部位であり、下顎130から後方に連なる上向き面138には、カム部材170を装着するため、上方を開口する円弧状凹部250が、下顎130(スリット140)を両側面105a,106間において横断する方向に延び、クランプ側バイト用ホルダ本体203を貫通するように凹設されている(図8〜図10参照)。ただし、この円弧状凹部250は、これを上下両顎120,130が位置する一側面105a側から見たとき(図10参照)、1/2円弧より大きい円弧を呈していると共に、その円弧のなす仮想円は、その仮想円の図示上部Kの円周部分が、自由状態にある上顎120のうちの、後方に連なる下向き面128より上を通るものとされている(図10中の部分拡大図参照)。すなわち、円弧状凹部250を一側面105a側から見たとき、この下向き面128をあらわす線が、その仮想円の図示上部Kをカットするよう、円弧状凹部250が設けられている。なお、円弧状凹部250の内周面253のうち、上下両顎120,130が設けられている一側面105a寄りの端部位には、この円弧状凹部250に装着されるカム部材170の抜け出し防止用のストッパ252が設けられている(図10、図12参照)。
本例におけるカム部材170は、この円弧状凹部250内においてその仮想円の中心を回転軸線Gとして円弧状凹部250の内周面253に微小隙間で拘束されて回転できる円軸体(円柱状の丸棒)をベースとするものから、次のように形成されたものである(図13参照)。すなわち、円弧状凹部250の内周面253に拘束されて回転できる外径の円軸部材から、図13に示したように、その円の横断面において、外周面の部分を、図示Y軸方向において平行な平面175、175で直径に関して対称となるよう、同じ割円でカットして、図示X軸方向において円周面とするとともに、その横断面において平面175、175をあらわす直線部分の両端、すなわち、その直線と、外周面(円周面)をあらわす円弧部分(円周面部分)173との交差部に小円弧の丸み176を付けたものである。つまり、円軸体の円弧の一部を、その先後方向の全体にわたって面取りした形状となっている。
本例におけるこのようなカム部材170における2つの平面175相互間の寸法Hは、上下両顎120,130が自由状態にあるとき、その平面175の一方を、上顎120から後方に連なる下向き面128と平行にすることで、この下向き面128と微小な隙間を保持し、カム部材170を円弧状凹部250内に挿入できる設定とされている(図10中の部分拡大図参照)。しかして、カム部材170は、クランプ側バイト用ホルダ本体203をシャンク側バイト用ホルダ本体202に組み付ける前、円弧状凹部250内に一側面105aの反対の側面106側から挿入し、その組み付けが行われることで、装着されている。なお、このカム部材170のうち、円弧状凹部250の上下両顎120,130が設けられている一側面105a寄り部位に位置する端面は、外部に露出するものとされ、その端面には、これを一般工具であるレンチ等にて回転させるための工具係合部(6角穴)169が設けられている。
このような本例では、カム部材170が円弧状凹部250の内周面253に配置されているとしても、上下両顎120、130の間に切削インサート300を配置することができないが、その状態(図10の状態)からカム部材170を90度回転させることで、カム部材170の円弧部分173にて、その下向き面128を上に押し上げることができ、その状態で、上下両顎120,130の間に切削インサート300の配置が可能となる設定とされている。なお、本例では、上下両顎120,130の間にて切削インサートを挟み込んでクランプしていない状態において(図10参照)、カム部材170の平面175が、下向き面128に接触せず、上顎120を変形の無い自由状態に保持し得るものとされているが、その下向き面128に接触ないし圧接するものとしてもよい。
しかして、このような本例では、上下両顎120,130の間に、切削インサート300を挟み込んでクランプする際には、工具係合部169に工具を差し込んで、図14に示したように、そのカム部材170を左右いずれかに約90度回転させる。この回転により、カム部材170は、その丸み176を介して外周面の円弧部分173が下向き面128を押し上げ、上顎120を上に弾性変形させる。そして、その上下両顎120ね130の間に切削インサート300を配置する。次いで、その配置後は、そこから、カム部材170を左右いずれかに90度回転する。こうすることで、図15に示したように、上顎120の弾性変形が減少し、切削インサート300は、上下両顎120,130間にクランプされる。
このように本例のバイト用ホルダ200においても、装着されているカム部材170を、専用工具を要することなく、通常の工具を使用して回転することで、切削インサート300の脱着ができる等、上記実施の形態例1と同様の効果が得られる。しかも、本例では、カム部材170の外周面を、円弧状凹部250の内周面253に拘束させて回転できるものとしたため、その回転によって上顎120を押し上げる時も、カム部材170の外周面は円弧状凹部250の内周面253にて支持される設定とされている。このため、カム部材170の変形を招くこともない。すなわち、上記実施の形態例1におけるカム部材160は、その装着の構造上、大径円軸部165が片持ち状態となるため、その曲り変形を招く可能性があるのに対し、本例ではこのような支持により、その変形の発生も防止できる。よって、上顎の弾性変形が容易でなく、その変形に大きな力を要するような場合に好適である。
なお、前記したカム部材170においては、横断面(円)で、ベースをなす円軸体の外周面のY軸方向については2つの平面175を設けた一方で、X軸方向については円周面のままの円弧部分173としたが、これは図16に示したように、そのX軸方向についても、上顎120に必要なリフトの弾性変形が得られる範囲において、その円弧部分173における対向する2箇所を微小な割円でカットして2つの微小な平面177を設けるとよい。このようにしておけば、上記もしたように、切削インサート300の配置が可能となる上顎120の押し上げ状態への到達が感覚的にも了知し易い上、その上顎120の弾性変形状態を安定させることができるためである。また、平面175や微小な平面177は3つ以上設けられていてもよい。
本例のバイト用ホルダ200は、上記した形状のカム部材170、装着構造とし、クランプ側バイト用ホルダ本体203を、シャンク側バイト用ホルダ本体202に組付けることで、バイト用ホルダとなる組付け構造のものとしたが、このようなカム部材170とする場合でも、実施の形態例1と同様、バイト用ホルダ本体が一体のものとしても具体化できることは明らかである。なお、本発明のバイト用ホルダは、それ自体にシャンクが無いものとしても適用できる。すなわち、前記例における、クランプ側バイト用ホルダ本体自体をバイト用ホルダ本体としてもよい。
実施の形態例1および2では、カム部材160,170を下顎130側に装着して上顎120を弾性変形させるものとしたが、カム部材160,170を上顎120側に装着すると共に下顎の剛性、強度を上顎120より小さくするなどして、下顎130を弾性変形させるものとしてもよい。すなわち、本発明では、上顎と下顎の間の空間と、該空間に連なって後方に向けて延びるスリットとを有し、該スリットの間隔が広がるように前記上顎または下顎を変形させた状態で、その上下両顎間にて切削インサートを挟み込むクランプ部位を備えてなるバイト用ホルダであり、前記上下両顎の間に前記切削インサートの配置が可能となるようにするには、前記上顎または下顎のいずれか一方を弾性変形をさせ得ればよく、したがって、上顎に限られず、下顎を弾性変形させるものとしてもよい。ただし、上記もしたように、下顎は、切削主分力を受圧するところであるから、高強度化、高剛性化されるのに対し、上顎は、下顎のような強度は要しないから弾性変形させ易いので、上記した実施の形態例1および2におけるように、上顎を弾性変形させるものとするのがよい。
本発明のバイト用ホルダは、前記したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更を加えて具体化できる。本発明におけるカム部材は、所定の回転軸線の回りに回転させ得るものであって、所定角度回転させることで、クランプ部位をなす上顎または下顎のいずれかを、上下両顎の間に、所定の切削インサートの配置が可能となるよう弾性変形をさせ得ると共に、その弾性変形状態から所定角度回転させることで変形の無い自由状態に戻し得る外周面形状を有するものか、或いは、自由状態には戻らないとしても、その弾性変形状態から所定角度回転させることでその変形を減らし、前記上下両顎の間に配置された前記切削インサートを挟み込んでクランプし得る外周面形状(カム線図)を有するものであればよい。したがって、前記カム部材は、上記例示したような偏心カムや、同心のカムに限られず、適宜のものを用いることができる。また、その装着位置も、カム部材の回転軸線も、カム部材の回転によって、例えば、上記例では上顎に前記した動きを付与できるものであればよいので、適宜に設定すればよい。さらに、上下両顎の高さや幅、或いは、前記スリットの前後長や、それの後方への延ばし方、そのスリットの厚み(空隙の厚み)、クランプ部位の厚みや幅等は、上下両顎の弾性変形の容易性や、要求されるクランプ力に応じて設定すればよい。
100、200 バイト用ホルダ
103、203 クランプ部位
120 上顎
130 下顎
138 下顎の後方のスリットを形成する上向き面
140 スリット
160、170 カム部材
163 小径円軸部
165 大径円軸部
167 大径円軸部の外周面
169 工具係合部
250 円弧状凹部
253 円弧状凹部の内周面
300 切削インサート
G 回転軸線

Claims (8)

  1. 上顎と下顎の間の空間と、該空間に連なって後方に向けて延びるスリットとを有し、該スリットの間隔が広がるように前記上顎または下顎を変形させた状態で、その上下両顎間にて切削インサートを挟み込むクランプ部位を備えてなるバイト用ホルダであって、
    前記クランプ部位には、所定の回転軸線の回りに回転させ得るカム部材であって、所定角度回転させることで、前記上顎または下顎を、前記上下両顎の間に前記切削インサートの配置が可能となるよう弾性変形をさせ得ると共に、その弾性変形状態から所定角度回転させることで、該弾性変形量を減らして該上下両顎間にて該切削インサートを挟み込む状態が得られる外周面形状を有するカム部材が装着されており、しかも、該カム部材は、これを外部から前記回転軸線の回りに回転させるための工具に係合する工具係合部を備えていることを特徴とするバイト用ホルダ。
  2. 前記カム部材が、前記上下両顎間にて該切削インサートを挟み込んでいない状態において、前記上下顎を変形の無い状態にし得る前記外周面形状を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のバイト用ホルダ。
  3. 前記カム部材が、前記スリットの先後方向における中間位置よりも前方に位置して装着されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のバイト用ホルダ。
  4. 前記カム部材が、前記回転軸線を前記下顎側に位置して装着され、その回転によって前記上顎を弾性変形させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイト用ホルダ。
  5. 前記カム部材が、小径円軸部と大径円軸部とを偏心状態で有する偏心円軸体で、該小径円軸部の軸線を前記回転軸線として回転するよう装着され、その回転によって前記大径円軸部の外周面が前記上顎を弾性変形させるカムをなしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイト用ホルダ。
  6. 前記下顎の後方の前記スリットを形成する上向き面に、円弧状凹部が設けられている一方、
    前記カム部材は、該円弧状凹部内においてその円の中心を前記回転軸線として該円弧状凹部の内周面に拘束されて回転できる円軸体の円弧の一部を先後方向の全体にわたって面取りした形状であって、その外周面が前記外周面形状を有するものにされてなるものであり、該円弧状凹部の内周面に拘束されて回転するよう装着され、その回転によって前記上顎を弾性変形させるカムをなしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイト用ホルダ。
  7. 前記カム部材は、該カム部材を1回転させるときに、前記上下両顎の間に前記切削インサートの配置が可能となる前記上顎の弾性変形状態が複数回得られる前記外周面形状を有するものとされていることを特徴とする請求項6に記載のバイト用ホルダ。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイト用ホルダにおける前記上下両顎の間に切削インサートが挟み込まれて固定されていることを特徴とするバイト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023277180A1 (ja) * 2021-07-01 2023-01-05 京セラ株式会社 ホルダ、切削工具及び切削加工物の製造方法

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